(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】光変調デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13363 20060101AFI20241217BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241217BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20241217BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20241217BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G02F1/13363
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02F1/1337
G02F1/1339 500
(21)【出願番号】P 2022574212
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(86)【国際出願番号】 KR2021009489
(87)【国際公開番号】W WO2022019679
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2020-0092376
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギム、ミン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ベルヤエフ、セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ホン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ウーン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ハン ミン
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-153802(JP,A)
【文献】特表2020-517987(JP,A)
【文献】特開2019-070779(JP,A)
【文献】特開2010-039281(JP,A)
【文献】特表2018-507443(JP,A)
【文献】特開2001-264807(JP,A)
【文献】特開2009-229894(JP,A)
【文献】特開2017-198750(JP,A)
【文献】特開2007-225912(JP,A)
【文献】特開2007-155972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1333
G02F 1/1335,1/13363
G02F 1/1337
G02F 1/1339
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ第1表面と第2表面を有し、互いの前記第1表面が対向するように配置された第1基板および第2基板、
前記第1基板および第2基板の間に存在する光変調層、
前記第1基板の第2表面および前記第2基板の第2表面のうち一つ以上の表面に形成された偏光層、および
前記第1基板
の第2表面または前記第2基板の第2表面に形成されており、
前記偏光層と前記第1基板の間または前記偏光層と前記第2基板の間に形成されており、550nm波長の光に対する面内位相差が
200nm~300nmの範囲内であ
り、厚さが20μm~70μmの範囲内である位相差フィルムを含み、
前記第1基板および前記第2基板は非等方性
基板であり、
前記光変調層と前記第1基板の間または前記光変調層と前記第2基板の間のうち少なくとも一つに下記の数式3を満足する
とともに屈折率異方性(△n)が0.01~0.15の範囲内である光学異方性層を含み、
[数式3]
nz<ny≒nx
数式3でnxは光学異方性層の遅相軸方向の550nm波長の光に対する屈折率であり、nyは光学異方性層の進相軸方向の550nm波長の光に対する屈折率であり、nzは光学異方性層の厚さ方向の屈折率である、光変調デバイス。
【請求項2】
位相差フィルムは下記の数式1または数式2を満足し、
[数式1]
nx>ny≒nz
[数式2]
nx≒nz>ny
数式1および数式2でnxは位相差フィルムの遅相軸方向の550nm波長の光に対する屈折率であり、nyは位相差フィルムの進相軸方向の550nm波長の光に対する屈折率であり、nzは位相差フィルムの厚さ方向の屈折率である、請求項1に記載の光変調デバイス。
【請求項3】
第1基板の第1表面には接着剤層または粘着剤層が形成されており、第2基板の第1表面には液晶配向膜が形成されている、請求項1又は2に記載の光変調デバイス。
【請求項4】
接着剤層または粘着剤層はシリコーン接着剤層またはシリコーン粘着剤層である、請求項3に記載の光変調デバイス。
【請求項5】
第1基板には液晶配向膜が形成されていない、請求項3に記載の光変調デバイス。
【請求項6】
液晶配向膜は垂直配向膜である、請求項3に記載の光変調デバイス。
【請求項7】
前記偏光層は前記第1基板の表面に形成された第1偏光層および前記第2基板の表面に形成された第2偏光層を含み、前記第1偏光層および前記第2偏光層の吸収軸は互いに垂直である、請求項
1に記載の光変調デバイス。
【請求項8】
前記偏光層の少なくとも一つは前記位相差フィルムに隣接しており、前記位相差フィルムの遅相軸と前記位相差フィルムに隣接する偏光層の吸収軸は互いに垂直である、請求項
1に記載の光変調デバイス。
【請求項9】
第1基板および第2基板の遅相軸は互いに水平である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項10】
位相差フィルムの遅相軸と第1基板および第2基板の遅相軸は互いに垂直である、請求項1から
9のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項11】
液晶配向膜の配向方向は第1基板および第2基板の遅相軸と互いに水平または垂直である、請求項3に記載の光変調デバイス。
【請求項12】
第1基板および第2基板はそれぞれ550nm波長の光に対する面内位相差が500nm以上である、請求項1から
11のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項13】
第1基板および第2基板の間隔が隔壁形状のスペーサーで維持されている、請求項1から
12のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項14】
光変調層は液晶化合物を含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項15】
光変調層は、垂直配向モードと水平ツイステッドモードの間をスイッチングできるように形成されている、請求項1から
14のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項16】
光変調層の厚さdとツイステッドモードのピッチpの比率d/pは1以下である、請求項
15に記載の光変調デバイス。
【請求項17】
請求項1から
16のいずれか一項に記載の光変調デバイスを含む、ウィンドウ。
【請求項18】
請求項1から
16のいずれか一項に記載の光変調デバイスを含む、サンルーフ。
【請求項19】
それぞれ第1表面と第2表面を有し、互いの前記第1表面が対向するように配置された第1基板および第2基板、
前記第1基板および前記第2基板の間に存在する光変調層、および
前記第1基板または前記第2基板の第2表面に形成されており、550nm波長の光に対する面内位相差が100nm~300nmの範囲内である位相差フィルムを含み、
前記第1基板および前記第2基板は非等方性フィルムであり、
前記位相差フィルムの遅相軸と前記第1基板および前記第2基板の遅相軸は互いに垂直である、光変調デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年7月24日付で提出された大韓民国特許出願第10-2020-0092376号に基づいて優先権を主張し、該当大韓民国特許出願文献に開示された内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は光変調デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
光変調デバイスは少なくとも2個以上の異なる状態間をスイッチングできるデバイスである。このような光変調デバイスに対して、最近では柔軟素子の具現およびロールツーロール工程の適用などが比較的容易であるように高分子フィルム基材を適用している。
【0004】
この時、高分子フィルムとして等方性フィルム基材を使う場合、弱い機械的強度、クラックの発生または熱による収縮などが発生する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非等方性フィルム基材を導入した光変調デバイスは、フィルム基材の位相差によってデバイスの駆動性能が低下する問題がある。例えば、遮断モードで光変調デバイスの側面に光が漏洩するなどの問題がある。
【0006】
したがって本出願は、透過率可変特性などの光学特性および機械的物性などが優秀でありながらも、遮断モードで全方位の光漏洩が制御されて多様な用途で適用可能な光変調デバイスを提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で定義する角度は製造誤差(error)または偏差(variation)等の誤差を勘案して理解されるべきである。例えば、本明細書で用語垂直、水平、直交、平行または角度の数値などは、目的効果を損傷させない範囲での実質的な垂直、水平、直交、平行または角度の数値を意味し、例えば、前記それぞれの場合は、約±15度以内の誤差、約±14度以内の誤差、約±13度以内の誤差、約±12度以内の誤差、約±11度以内の誤差、約±10度以内の誤差、約±9度以内の誤差、約±8度以内の誤差、約±7度以内の誤差、約±6度以内の誤差、約±5度以内の誤差、約±4度以内の誤差、約±3度以内の誤差、約±2度以内の誤差、約±1度以内の誤差または約±0.5度以内の誤差を含むことができる。
【0008】
本明細書で言及する物性の中で測定温度が該当物性に影響を及ぼす場合、特に別途に規定しない限り、前記物性は常温で測定した物性である。
【0009】
本明細書で用語常温は特に加温または減温されていない自然そのままの状態での温度であって、約10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、例えば、約15℃以上、18℃以上、20℃以上または約23℃以上であり、約27℃以下の温度を意味し得る。また、特に別途に規定しない限り、本明細書で言及する温度の単位は℃である。
【0010】
本明細書で面内位相差(Rin)は下記の数式4で計算された値を意味し得、厚さ方向位相差(Rth)は下記の数式5で計算された値を意味し得る。
【0011】
[数式4]
【0012】
Rin=d×(nx-ny)
【0013】
[数式5]
【0014】
Rth=d×(nz-ny)
【0015】
数式4および数式5でRinは面内位相差であり得、Rthは厚さ方向位相差であり得、dは層の厚さであり得、nxは層の遅相軸方向の屈折率であり得、nyは層の進相軸方向の屈折率であって、前記遅相軸方向と直交する面内方向の屈折率であり得、nzは層の厚さ方向の屈折率であり得る。
【0016】
前記で用語層は、面内位相差および/または厚さ方向位相差の測定対象の層である。前記層は例えば、偏光層、高分子フィルム、位相差フィルム、光学異方性層または光変調層などであり得る。
【0017】
本明細書で言及する用語傾斜角は特に別途に規定しない限り、次のように定義される。
図3でx軸とy軸によって形成される平面を基準面(例えば、基準面は光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム、位相差フィルム、光学異方性層または光変調層などの表面であり得る)とする時、その基準面の法線であるz軸に対して
図3のように形成される角度を傾斜角と定義する(
図3でP地点での傾斜角はΘ)。
図3でx軸とy軸によって形成される平面を基準面(例えば、基準面は光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム、位相差フィルム、光学異方性層または光変調層などの表面であり得る)とする時、その基準面のx軸を0度にしたときに該当x軸に対して
図3のように形成される角度を動径角と定義する(
図3でP地点での動径角はΦ)。前記で基準面のx軸は例えば、基準面の横方向の軸を意味し得る。
【0018】
本明細書で言及する位相差、屈折率、屈折率異方性および透過率などは、特に別途に規定しない限り約550nm波長の光に対する物理量である。
【0019】
特に別途に規定しない限り、本明細書で言及するいずれか2つの方向がなす角度は前記2つの方向がなす鋭角または鈍角のうち鋭角であるか、または時計回り方向および反時計回り方向に測定された角度のうち小さい角度であり得る。したがって、特に別途に規定しない限り、本明細書で言及する角度は正の数である。ただし、場合によって時計回り方向または反時計回り方向に測定された角度間の測定方向を表示するために、前記時計回り方向に測定された角度を正の数で表示し、反時計回り方向に測定された角度を負の数で表記してもよい。
【0020】
本出願は例えば、それぞれ第1表面と第2表面を有し、互いの第1表面が対向するように対向配置された第1および第2基板、前記第1および第2基板の間に存在する光変調層を含む光変調デバイスに対するものであり得る。前記第1基板または前記第2基板の第2表面に550nm波長の光に対する面内位相差が100nm~300nmの範囲内である位相差フィルムが形成されていてもよい。本明細書で例えば、第1表面は層の主表面とその反対側表面のうちいずれか一つの表面を意味し、第2表面は層の主表面とその反対側表面のうち他の一つの表面を意味し得る。本明細書で他の例示で、第1表面は各層のうち前記光変調層に向かう方向を意味し得、第2表面は前記第1表面の反対方向を意味し得る。本明細書で前記層は、例えば、第1基板、第2基板、位相差フィルム、光学異方性層、接着剤層(または粘着剤層)、液晶配向膜および/または偏光層などであり得る。
【0021】
本出願の光変調デバイスは、例えば、前記第1基板または前記第2基板の第2表面に位相差フィルムを含むことができる。前記位相差フィルムは、好ましくは前記第1基板の第2表面または前記第2基板の第2表面のうちいずれか一つにのみ配置され得る。
【0022】
前記位相差フィルムは例えば、550nm波長の光に対する面内位相差が100nm~300nmの範囲内であり得る。他の例示で、前記面内位相差は105nm以上、110nm以上、115nm以上、120nm以上、125nm以上、130nm以上、135nm以上、140nm以上、145nm以上、150nm以上、155nm以上、160nm以上、165nm以上、170nm以上、175nm以上、180nm以上、185nm以上、190nm以上、195nm以上、200nm以上、205nm以上、210nm以上、215nm以上、220nm以上、225nm以上、230nm以上、235nm以上、240nm以上、245nm以上、250nm以上、255nm以上、260nm以上、265nm以上または270nm以上であるか295nm以下、290nm以下、285nm以下または280nm以下であり得る。
【0023】
前記位相差フィルムは例えば、550nm波長の光に対する厚さ方向位相差が略0nmであるか0nmを超過する値を有することができる。本明細書で550nm波長の光に対する厚さ方向位相差が略0nmであるか0nmを超過する値を有することができるということは、0nmまたは0nmを超過する値に対して±5nm、±4nm、±3nm、±2nm、±1nm、±0.9nm、±0.8nm、±0.7nm、±0.6nm、±0.5nm、±0.4nm、±0.3nm、±0.2nmまたは±0.1nmの誤差を有する値を含む意味であり得る。
【0024】
本出願の光変調デバイスは、前記のような面内位相差を有し、および/または後述する特性を有する位相差フィルムを適切な位置に導入することによって遮断モードでの全方位光漏洩を制御することができる。
【0025】
前記位相差フィルムは例えば、下記の数式1または数式2を満足するフィルムであり得る。
【0026】
[数式1]
【0027】
nx>ny≒nz
【0028】
[数式2]
【0029】
nx≒nz>ny
【0030】
数式1および数式2でnxは位相差フィルムの遅相軸方向の550nm波長の光に対する屈折率であり得、nyは位相差フィルムの進相軸方向の550nm波長の光に対する屈折率であり得、nzは位相差フィルムの厚さ方向の屈折率であり得る。
【0031】
本明細書で≒は実質的同一を意味し得る。
【0032】
前記位相差フィルムは例えば、HWP(Half-Wave Plate)またはQWP(Quarter-Wave Plate)であり得る。本明細書で用語HWPは、1/2波長位相遅延特性を有する波長板を意味し、用語QWPは、1/4波長位相遅延特性を有する波長板を意味する。本明細書でn波長位相遅延特性は少なくとも一部の波長範囲内で、入射光をその入射光の波長のn倍だけ位相遅延させることができる特性を意味する。したがって、前記1/2波長位相遅延特性は少なくとも一部の波長範囲内で、入射光をその入射光の波長の1/2倍だけ位相遅延させることができる特性を意味し得、前記1/4波長位相遅延特性は少なくとも一部の波長範囲内で、入射光をその入射光の波長の1/4倍だけ位相遅延させることができる特性を意味し得る。
【0033】
前記位相差フィルムは例えば、20μm~70μm範囲内の厚さを有することができ、他の例示で、21μm以上、22μm以上、23μm以上、24μm以上、25μm以上、26μm以上、27μm以上、28μm以上、29μm以上、30μm以上、31μm以上、32μm以上、33μm以上、34μm以上、35μm以上、36μm以上、37μm以上、38μm以上、39μm以上、40μm以上、41μm以上、42μm以上、43μm以上または44μm以上であるか69μm以下、68μm以下、67μm以下、66μm以下、65μm以下、64μm以下、63μm以下、62μm以下、61μm以下、60μm以下、59μm以下、58μm以下、57μm以下、56μm以下、55μm以下、54μm以下、53μm以下、52μm以下、51μm以下、50μm以下、49μm以下、48μm以下、47μm以下または46μm以下であり得るが、これに制限されるものではない。
【0034】
前記位相差フィルムは例えば、屈折率異方性(△n)が0.1~1.5の範囲内であり得る。本出願の屈折率異方性(△n)は異常屈折率(ne、extraordinary refractive index)および正常屈折率(no、ordinary refractive index)の差(ne-no)であり得る。本明細書で前記neは例えば、nzであり得、noは例えば、nxおよび/またはnyであり得る。すなわち、本出願で前記屈折率異方性(△n)は例えば、nz-nxまたはnz-nyであり得る。前記屈折率異方性(△n)は他の例示で、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上または0.6以上であるか1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1.0以下、0.9以下または0.8以下であり得る。
【0035】
前記位相差フィルムはまた例えば、平均屈折率が1.0~2.0の範囲内であり得る。本出願の平均屈折率は異常屈折率(ne)および正常屈折率(no)の平均値((ne+no)/2)を意味し得る。本明細書で前記平均屈折率は例えば、(nx+nz)/2または(ny+nz)/2であり得る。前記平均屈折率は他の例示で、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上または1.5以上であるか1.9以下、1.8以下、1.7以下または1.6以下であり得る。
【0036】
本出願で前記異常屈折率(ne)および正常屈折率(no)はAbbe屈折計を利用して確認できるが、その具体的な方式は下記の評価例4に開示された方法に従う。
【0037】
本出願は、前記範囲の面内位相差を有するかおよび/または数式1または数式2等を満足する位相差フィルムを前記のような位置に適切に導入することによって、機械的物性などが優秀でありながらも目的とする光学補償効果、例えば遮断モードで全方位光漏洩が制御された効果を有する光変調デバイスを提供することができる。
【0038】
本発明者は前述した特性を有する位相差フィルムと後述する特性を有する光学異方性層を適切な位置に配置することによって、透過率可変特性などの光学特性および機械的物性などが優秀でありながらも遮断モードなどで全方位の光漏洩が制御されて多様な用途で適用可能な光変調デバイスを提供できることを確認した。
【0039】
前記光学異方性層は例えば、前記光変調層と前記第1基板の間または前記光変調層と前記第2基板の間のうち少なくとも一つに含まれ得る。本明細書で前記光変調層と前記第1基板の間または前記光変調層と前記第2基板の間のうち少なくとも一つに含まれ得るとは、前記光変調層と前記第1基板の間および前記光変調層と前記第2基板の間それぞれに前記光学異方性層が配置されているか、前記光変調層と前記第1基板の間または前記光変調層と前記第2基板の間のうちいずれか一つに前記光学異方性層が配置されていることを意味し得る。
【0040】
前記光学異方性層は例えば、下記の数式3を満足する-Cプレートであり得る。
【0041】
[数式3]
【0042】
nz<ny≒nx
【0043】
数式3でnxは光学異方性層の遅相軸方向の550nm波長の光に対する屈折率であり得、nyは光学異方性層の進相軸方向の550nm波長の光に対する屈折率であり得、nzは光学異方性層の厚さ方向の屈折率であり得る。
【0044】
前記光学異方性層は例えば、550nm波長の光に対する厚さ方向位相差が-100nm~-350nmの範囲内であり得る。前記厚さ方向位相差は他の例示で、-110nm以下、-120nm以下、-130nm以下、-140nm以下、-150nm以下、-160nm以下、-170nm以下、-180nm以下、-190nm以下、-200nm以下または-210nm以下であるか-340nm以上、-330nm以上、-320nm以上、-310nm以上、-300nm以上、-290nm以上、-280nm以上、-270nm以上、-260nm以上、-250nm以上、-240nm以上または-230nm以上であり得る。
【0045】
前記光学異方性層は例えば、550nm波長の光に対する面内位相差が10nm以下の範囲内であり得る。他の例示で、前記面内位相差は9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下または1nm以下であり得、好ましくは0nmであり得る。
【0046】
本出願で光学異方性層は前記のような特性を示すものであれば通常的に使われる液晶フィルムまたは高分子フィルムなどが制限なく適用され得る。前記光学異方性層は一つの例示で、ポリアミドを溶媒に配合して形成することができる。前記ポリアミドは一つの例示で、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-5,5'-ビフェニルジアミンをイソフタル酸および/またはテレフタル酸と重合して形成することができる。また、前記溶媒は、一つの例示でジメチルアセトアミドであり得る。前記ポリアミドは例えば、前記溶媒に対して略4重量%~10重量%の範囲内で含まれ得、他の例示で、4.5重量%以上または5重量%以上であるか9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下または5.5重量%以下で含まれ得る。
【0047】
一つの例示で、ポリアミドを溶媒に配合して形成した前記溶液を高分子フィルムまたは後述する導電層上に塗布してコーティングすることができ、例えば、バーコーティング方式、スロット-ダイ(Slot-Die)コーティング方式、グラビア(Gravire)コーティング方式などによって遂行することができる。
【0048】
前記コーティングによって形成されたコーティング層は熱硬化または紫外線硬化などによって硬化され得る。一つの例示で、本出願の前記光学異方性層は前記コーティング層に略50℃~150℃の範囲内の熱を略5分~30分の範囲内の時間の間加えて硬化させて形成した層であり得る。他の例示で、前記硬化温度は60℃以上、70℃以上、80℃以上または90℃以上であるか140℃以下、130℃以下、120℃以下または110℃以下であり得、前記硬化時間は6分以上、7分以上、8分以上または9分以上であるか25分以下、20分以下または15分以下程度であり得るが、これに制限されるものではない。
【0049】
前記光学異方性層は例えば、屈折率異方性(△n)が0.01~0.15の範囲内であり得る。前記屈折率異方性(△n)は他の例示で、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上または0.09以上であるか0.14以下、0.13以下、0.12以下または0.11以下であり得る。
【0050】
前記光学異方性層はまた例えば、平均屈折率が1.0~2.0の範囲内であり得る。前記平均屈折率は他の例示で、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上または1.6以上であるか1.9以下、1.8以下または1.7以下であり得る。
【0051】
本出願で前記光学異方性層は厚さが例えば、0.1μm~10μmの範囲内であり得る。他の例示で、前記厚さは約0.2μm以上、約0.3μm以上、約0.4μm以上、約0.5μm以上、約0.6μm以上、約0.7μm以上、約0.8μm以上、約0.9μm以上、約1μm以上、約1.1μm以上、約1.2μm以上、約1.3μm以上、約1.4μm以上、約1.5μm以上、約1.6μm以上、約1.7μm以上、約1.8μm以上または約1.9μm以上であるか約9μm以下、約8μm以下、約7μm以下、約6μm以下、約5μm以下、約4μm以下または約3μm以下であり得る。
【0052】
本出願は、前記のような特性を有する位相差フィルムおよび/または光学異方性層を光変調デバイスの適切な位置に配置することによって、遮断モードで側面への光漏洩を制御しながらも後述する高分子フィルム基板の光性質によって補償効果が歪曲される問題を解決することができる。
【0053】
本出願で前記第1および/または第2基板は高分子フィルムであり得る。前記高分子フィルムは等方性または非等方性であり得るが、機械的強度、クラック発生の制御または熱による収縮制御などの観点で非等方性高分子フィルムであることが好ましいであろう。
【0054】
前記第1および/または第2高分子フィルムは例えば、それぞれ550nm波長に対する面内位相差が500nm以上であり得る。他の例示で、前記面内位相差は1000nm以上、2000nm以上、3000nm以上、4000nm以上,5000nm以上、6000nm以上、7000nm以上、8000nm以上、9000nm以上または10000nm以上であるか50000nm以下、40000nm以下、30000nm以下、20000nm以下または15000nm以下であり得るが、これに制限されるものではない。
【0055】
前記第1および/または第2高分子フィルムは例えば、それぞれ550nm波長に対する厚さ方向位相差が3000nm以下であり得る。他の例示で、前記厚さ方向位相差は2900nm以下、2800nm以下、2700nm以下、2600nm以下、2500nm以下、2400nm以下、2300nm以下、2200nm以下、2100nm以下、2000nm以下、1900nm以下、1800nm以下、1700nm以下、1600nm以下、1500nm以下、1400nm以下、1300nm以下、1200nm以下、1100nm以下または1000nm以下であるか100nm以上、200nm以上、300nm以上、400nm以上または500nm以下程度であり得る。
【0056】
前記のように高い位相差を有するフィルムは業界に公知となっており、このようなフィルムは光学的に大きな非等方性はもちろん、製造過程での高延伸などによって機械的物性も大きな非対称性を示す。業界に公知になっている前記位相差フィルムは例えば、ポリエチレンテレフタレート(Poly ethylene terephthalate;PET)フィルム、シクロ-オレフィン重合体(Cyclo-Olefin Polymer;COP)フィルム、シクロ-オレフィン共重合体(Cyclo-Olefin Co-polymer;COC)フィルム、ポリカーボネート(Polycarbonate;PC)、ポリプロピレン(Poly Propylene;PP)フィルム、ポリスルホン(Polysulfone;PSF)フィルムまたはアクリル(Polymethylmethacrylate;PMMA)フィルムなどであり得るが、これに制限されるものではない。本出願で前記第1および/または第2高分子フィルムは同一または異なり得、目的とする効果などを考慮して前記公知になっているフィルムの中から適切に選択することができる。
【0057】
本出願で第1および第2高分子フィルムはレインボー(rainbow)現状の制御などの効果を最大化する側面で、下記の数式6のPの値が0.3以上を満足するように選択することができる。
【0058】
[数式6]
【0059】
【0060】
数式6のPにおいて、WAは第1基板の厚さを意味し得、WBは第2基板の厚さを意味し得、min(WA、WB)はWAまたはWBうちより小さい値を意味し得る。前記数式6のP値は他の例示で、1未満、0.95未満、0.9未満、0.85未満または0.8未満であるか0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上または0.7以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0061】
本出願で前記数式6のPでWA値は例えば、50μm~100μmの範囲内であり得る。前記WA値は他の例示で、55μm以上、60μm以上、65μm以上、70μm以上または75μm以上であるか95μm以下、90μm以下または85μm以下であり得る。本出願で前記数式6のPでWB値は例えば、120μm~180μmの範囲内であり得る。前記WB値は他の例示で、125μm以上、130μm以上または135μm以上または140μm以上であるか175μm以下、170μm以下、165μm以下、160μm以下、155μm以下または150μm以下であり得る。
【0062】
本出願は、第1および/または第2高分子フィルムとして例えば前記のような面内位相差、厚さなどを有する高分子フィルムを導入しつつ、前述した特性を有する位相差フィルムおよび/または光学異方性層を適切な位置に配置することによって、透過率可変特性などの光学特性および機械的物性などが優秀でありながらも遮断モードで全方位の光漏洩が制御されて多様な用途で適用可能な光変調デバイスを提供することができる。
【0063】
本出願は例えば、第1および/または第2基板の第2表面のうち一つ以上の表面に形成された偏光層をさらに含むことができる。本出願で前記偏光層は第1基板の第2表面にのみ形成されるか、第2基板の第2表面にのみ形成されるかまたは第1および第2基板の第2表面それぞれにすべて形成されていてもよく、好ましくは前記第1および第2基板の第2表面にそれぞれ形成されていることができる。
【0064】
本明細書で偏光層は自然光または非偏光を偏光に変化させる素子を意味し得る。前記偏光層は例えば、線偏光層であり得る。本明細書で線偏光層は選択的に透過する光がいずれか一方向に振動する線偏光であり、選択的に吸収または反射する光が前記線偏光の振動方向と直交する方向に振動する線偏光である場合を意味する。すなわち、前記線偏光子は面方向に直交する透過軸および吸収軸または反射軸を有することができる。
【0065】
前記偏光層は吸収型偏光層または反射型偏光層であり得る。前記吸収型偏光層としては、例えば、PVA(本明細書でPVAはpolyvinyl alcoholを意味する)延伸フィルムなどのような高分子延伸フィルムにヨードを染着した偏光層または配向された状態で重合された液晶をホストとし、前記液晶の配向により配列された異方性染料をゲストとするゲスト-ホスト型偏光層を使うことができるが、これに制限されるものではない。前記反射型偏光層としては、例えば、いわゆるDBEF(Dual Brightness Enhancement Film)として公知になっている反射型偏光層やLLC(Lyotropic liquid crystal)のような液晶化合物をコーティングして形成される反射型偏光層を使うことができるが、これに制限されるものではない。
【0066】
本出願で前記偏光層は例えば、80μm~200μmの範囲内の厚さを有することができる。他の例示で、前記偏光層の厚さは、90μm以上、100μm以上、110μm以上、120μm以上または130μm以上であるか190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下または150μm以下であり得る。
【0067】
本出願で用語光変調デバイスは、少なくとも2個以上の異なる光の状態の間をスイッチングできるデバイスを意味し得る。前記で異なる光の状態は、少なくとも透過率、ヘイズおよび色相のうちいずれか一つの特性が互いに異なる状態を意味し得る。前記光変調層は、前述した通り、前記対向配置された第1および第2基板の間に存在することができる。
【0068】
本出願で前記光変調層は、例えば、液晶化合物を含み、前記液晶化合物の配向状態を外部信号の印加等を通じて制御できる液晶層を意味し得る。液晶化合物としては、外部信号の印加によってその配向方向が変更され得るものであればすべての種類の液晶化合物を使うことができる。液晶化合物としては、例えば、ネマティック(nematic)液晶化合物、スメクティック(smectic)液晶化合物またはコレステリック(cholestric)液晶化合物などを使うことができる。また、外部信号の印加によってその配向方向が変更され得るように、液晶化合物は例えば重合性基または架橋性基を有さない化合物であるか、重合性基または架橋性基を有しても非重合、非架橋状態の化合物であり得る。
【0069】
前記光変調層は例えば、誘電率異方性が負の数である液晶化合物を含むか、あるいは前記光変調層は前記言及された誘電率異方性を示すことができる。誘電率異方性の絶対値は本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。用語「誘電率異方性(△ε)」は水平誘電率(ε//)と垂直誘電率(ε⊥)の差(ε//-ε⊥)を意味し得る。本明細書で用語水平誘電率(ε//)は液晶分子の方向子と印加電圧による電場の方向が実質的に水平となるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味し、垂直誘電率(ε⊥)は液晶分子の方向子と印加電圧による電場の方向が実質的に垂直となるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味する。
【0070】
前記光変調層は例えば、屈折率異方性(△n)が約0.04~0.15の範囲内である液晶化合物を含むか、前記光変調層が前記言及された屈折率異方性を示すことができる。前記屈折率異方性(△n)は他の例示で、約0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下または0.1以下であるか0.05以上、0.06以上または0.07以上であり得る。
【0071】
前記光変調層はまた例えば、平均屈折率が1.0~2.0の範囲内であり得る。前記平均屈折率は他の例示で、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上または1.5以上であるか1.9以下、1.8以下、1.7以下または1.6以下であり得る。
【0072】
前記光変調層の駆動モードは、例えば、Reversed TN(Twisted Nematic)モード、Reversed STN(Super Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、MVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モードなどであり得る。
【0073】
本出願の光変調層は、光透過度可変特性を調節するという側面で前記液晶化合物と共に二色性染料をさらに含むことができる。本明細書で用語「染料」とは、可視光領域、例えば、400nm~700nm波長範囲内で少なくとも一部または全体範囲内の光を集中的に吸収および/または変形させ得る物質を意味し得、用語「二色性染料」は前記可視光領域の少なくとも一部または全体範囲で光の異方性吸収が可能な物質を意味し得る。このような染料としては、例えば、アゾ染料またはアントラキノン染料などが公知になっているが、これに制限されるものではない。
【0074】
一つの例示で、前記光変調層は液晶化合物および二色性染料を含む液晶層であって、いわゆるゲストホスト液晶層(Guest Host Liquid Crystal cell)であり得る。用語「GHLC層」は、液晶の配列によって二色性染料が共に配列されて二色性染料の整列方向と前記整列方向の垂直な方向に対してそれぞれ非等方性光吸収特性を示す機能性層を意味し得る。例えば、二色性染料は光の吸収率が偏光方向により変わる物質であって、長軸方向に偏光された光の吸収率が大きいとp型染料と呼称し、短縮方向に偏光された光の吸収率が大きいとn型染料と呼称することができる。一つの例示で、p型染料が使われる場合、染料の長軸方向に振動する偏光は吸収され、染料の短縮方向に振動する偏光は吸収が少ないため透過させることができる。
【0075】
前記ゲストホスト液晶層内に含まれる二色性染料の比率は特に制限されず、目的とする透過度を考慮して適正範囲で設定され得る。通常、二色性染料および液晶化合物の混和性などを考慮して前記二色性染料は約0.1重量%~4重量%程度の割合で光変調層内に含まれ得る。
【0076】
本出願は、例えば、前記光変調層内の液晶化合物の配列を調節して、初期配向が垂直配向であり、前記垂直配向状態が外部信号の印加によって水平配向状態に変更され得るように設計された光変調デバイスに対するものであり得る。また、前記水平配向はツイステッド配向であり得る。前記で初期配向とは、光変調層に外部信号が印加されない時の配向状態である。本明細書で用語垂直配向は、前記光変調層の方向子または前記光変調層内の液晶化合物の方向子が前記光変調層の平面に対して略垂直に配列された状態で、例えば、前記光変調層の基準面の法線であるz軸と前記方向子がなす角度は約80度~100度または85度~95度の範囲内であるか約90度程度であり得る。また、用語水平配向は、前記光変調層の方向子または前記光変調層内の液晶化合物の方向子が前記光変調層の基準面に略平行するように配列された状態を意味し得、例えば、前記方向子と前記光変調層の基準面がなす角度は約0度~10度または約0度~5度の範囲内であるか約0度程度であり得る。
【0077】
本明細書で用語光変調層の方向子または液晶化合物の方向子は前記光変調層の光軸(Optical axis)または遅相軸(Slow axis)を意味し得る。例えば、前記光軸または遅相軸は、液晶分子が棒(rod)状である場合は長軸方向を意味し得、液晶分子が円板(discotic)状である場合は円板平面の法線方向の軸を意味し得、前記光変調層内に互いに方向子が異なる複数の液晶化合物が含まれている場合は前記液晶化合物の方向子などのベクターの和を意味し得る。
【0078】
本出願は、例えば、前記光変調層内の液晶化合物の配列を調節して、初期配向が垂直配向であり、前記垂直配向状態が外部信号の印加によって水平配向状態に変更され得るように設計された光変調デバイスに対するものであり得る。
【0079】
前記光変調層は例えば、ツイスト配向モードを具現できるように設計され得る。本明細書で用語ツイスト配向モードは前記液晶化合物の方向子が仮想の螺旋軸に沿ってツイストされながら層をなして配向された螺旋形の構造を意味し得る。
【0080】
前記ツイスト配向モードは、一つの例示で少なくとも水平配向モードで具現され得、垂直配向モードである場合にはツイストされずに前記光変調層の方向子または前記光変調層内の液晶化合物の方向子が前記光変調層の平面に対して略垂直に配列された状態であり得る。水平ツイスト配向モードは例えば、個々の液晶化合物が水平配向された状態で螺旋軸に沿ってツイストされながら層をなす状態を意味し得る。
【0081】
前記水平ツイスト配向モードで、前記光変調層の厚さ(d、cell gap)とピッチpの比率(d/p)は例えば、1以下であり得る。前記比率(d/p)が1を超過すると、初期垂直配向モードである場合にも液晶化合物が螺旋軸に沿ってツイストされる現象が発生し得、フィンガードメイン(finger domain)等の問題が発生し得るためできるだけ前記範囲に調節され得る。前記比率(d/p)は他の例示で約0.95以下、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下、約0.7以下、約0.65以下、約0.6以下、約0.55以下、約0.5以下または約0.45以下であるか、約0.1以上、約1.15以上、約0.2以上、約0.25以上または約0.3以上程度であってもよい。前記で光変調層の厚さdは光変調デバイス内のセルギャップ(Cell Gap)と同じ意味であり得る。
【0082】
水平ツイスト配向モードの光変調層のピッチpは、Wedge cellを利用した計測方法で測定でき、具体的にはD.PodolskyyなどのSimple method for accurate measurements of the cholesteric pitch using a stripe-wedge Grandjean-Cano cell(Liquid Crystals、Vol.35、No.7、July 8、2008、789-791)に記載された方式で測定することができる。
【0083】
前記光変調層が水平ツイストモードを具現できるように前記光変調層はいわゆるキラルドーパントをさらに含むことができる。
【0084】
光変調層に含まれ得るキラルドーパント(Chiral dopant)としては、液晶性、例えば、ネマティック規則性を損傷させずに目的とする回転(twisting)を誘導できるものであれば、特に制限されずに使われ得る。液晶分子に回転を誘導するためのキラルドーパントは、分子構造の中にキラリティー(chirality)を少なくとも含む必要がある。キラルドーパントは、例えば、1個または2個以上の非対称炭素(asymmetric carbon)を有する化合物、キラルアミンまたはキラルスルホキシドなどのヘテロ原子上に非対称点(asymmetric point)がある化合物またはクムレン(cumulene)またはビナフトール(binaphthol)等の軸不斉を有する光学活性である部位(axially asymmetric、optically active site)を有する化合物が例示され得る。キラルドーパントは例えば、分子量が1,500以下である低分子化合物であり得る。キラルドーパントとしては、市販されるキラルネマティック液晶、例えば、Merck社で市販されるキラルドーパント液晶S811またはBASF社のLC756等が適用され得る。
【0085】
キラルドーパントの適用比率は、目的とする前記比率(d/p)を達成できるのであれば特に制限されない。一般的にキラルドーパントの含有量(重量%)は、100/(HTP(Helixcal Twisting power)×ピッチ(nm)の数式で計算され、目的とするピッチpを考慮して適正割合で選択され得る。一つの例示で、前記キラルドーパントは前記ピッチpが略10μm~50μmの範囲内であるように含まれ得る。他の例示で、前記キラルドーパントは前記ピッチが略11μm以上、12μm以上、13μm以上、14μm以上、15μm以上、16μm以上、17μm以上、18μm以上または19μm以上であるか45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、24μm以下、23μm以下、22μm以下または21μmとなるように適正範囲で含まれ得る。
【0086】
本出願の光変調層の厚さは本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。一例示で、前記光変調層の厚さは、約15μm以下であり得る。このように厚さを制御することで、透過モードおよび遮断モードでの透過率の差が大きいデバイス、すなわち、透過率可変特性が優秀なデバイスを具現することができる。前記厚さは他の例示で、約14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下または7μm以下であるか1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上または5μm以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0087】
本出願は、前記のような光変調層を前述した位相差フィルムおよび/または光学異方性層と共に適切な位置に導入することによって、透過率可変特性が優秀であり、機械的物性も優秀でありながらも遮断モードでの全方位光漏洩が制御された光変調デバイスを提供することができる。
【0088】
本出願の光変調デバイスは、例えば、前記第1基板の第1表面に接着剤層または粘着剤層を含むことができる。一つの例示で、前記接着剤層または粘着剤層は垂直配向力を有する接着剤または粘着剤を含むことができる。本明細書で用語垂直配向力を有する接着剤または粘着剤は液晶分子に対する垂直配向力および接着力(または粘着力)を同時に有する物質を意味し得る。
【0089】
本出願で垂直配向力を有する接着剤または粘着剤としては、例えば、シリコーン(Silicone)接着剤またはシリコーン粘着剤を使うことができる。前記シリコーン接着剤またはシリコーン粘着剤としては、硬化性シリコーン化合物を含む組成物の硬化物を使うことができる。硬化性シリコーン化合物の種類は特に制限されず、例えば加熱硬化性シリコーン化合物または紫外線硬化性シリコーン化合物を使うことができる。
【0090】
一つの例示で前記硬化性シリコーン組成物は付加硬化性シリコーン組成物であって、(1)分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンおよび(2)分子中に2個以上のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンを含むことができる。前記のようなシリコーン化合物は、例えば、白金触媒などの触媒の存在下で、付加反応によって硬化物を形成することができる。
【0091】
前記(1)オルガノポリシロキサンは、シリコーン硬化物を構成する主成分であり、1分子のうち少なくとも2個のアルケニル基を含む。この時、アルケニル基の具体的な例には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基またはヘプテニル基などが含まれ、このうちビニル基が通常適用されるが、これに制限されるものではない。前記(1)オルガノポリシロキサンで、前述したアルケニル基の結合位置は特に限定されない。例えば、前記アルケニル基増えた分枝鎖の末端および/または分枝鎖の側鎖に結合されていてもよい。また、前記(1)オルガノポリシロキサンで、前述したアルケニルの他に含まれ得る置換基の種類としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、このうちメチル基またはフェニル基が通常適用されるが、これに制限されるものではない。
【0092】
前記(1)オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分枝状、環状、網目状または一部が分枝状をなす直鎖状などのように、いずれの形状を有してもよい。通常前記のような分子構造のうち特に直鎖状の分子構造を有するものが適用されるが、これに制限されるものではない。
【0093】
前記(1)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分枝鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分枝鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、R1
2SiO2/2で表示されるシロキサン単位とR1
2R2SiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1
2R2SiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1R2SiO2/2で表示されるシロキサン単位とR1SiO3/2で表示されるシロキサン単位またはR2SiO3/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体および前記のうち2以上の混合物が挙げられるが、これに制限されるものではない。前記で、R1はアルケニル基以外の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであり得る。また、前記でR2はアルケニル基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基またはヘプテニル基などであり得る。
【0094】
前記付加硬化性シリコーン組成物で、(2)オルガノポリシロキサンは前記(1)オルガノポリシロキサンを架橋させる役割を遂行することができる。前記(2)オルガノポリシロキサンで、水素原子の結合位置は特に限定されず、例えば、分枝鎖の末端および/または側鎖に結合されていてもよい。また、前記(2)オルガノポリシロキサンで、前記ケイ素結合水素原子の他に含まれ得る置換基の種類は特に限定されず、例えば、(1)オルガノポリシロキサンで言及したような、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、このうち通常メチル基またはフェニル基が適用されるが、これに制限されるものではない。
【0095】
前記(2)オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分枝状、環状、網目状または一部が分枝状をなす直鎖状などのように、いずれの形状を有してもよい。前記のような分子構造のうち通常直鎖状の分子構造を有するものが適用されるが、これに制限されるものではない。
【0096】
前記(2)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェン共重合体、分枝鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分枝鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分枝鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、R1
3SiO1/2で表示されるシロキサン単位とR1
2HSiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1
2HSiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R1HSiO2/2で表示されるシロキサン単位とR1SiO3/2で表示されるシロキサン単位またはHSiO3/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体および前記のうち2以上の混合物が挙げられるが、これに制限されるものではない。前記で、R1はアルケニル基以外の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであり得る。
【0097】
前記(2)オルガノポリシロキサンの含有量は、適切な硬化がなされ得る程度に含まれるのであれば特に限定されない。例えば、前記(2)オルガノポリシロキサンは、前述した(1)オルガノポリシロキサンに含まれるアルケニル基一つに対して、ケイ素結合水素原子が0.5~10個となる量で含まれ得る。このような範囲で硬化を充分に進行させて、耐熱性を確保することができる。
【0098】
前記付加硬化性シリコーン組成物は、硬化のための触媒であり、白金または白金化合物をさらに含むことができる。このような、白金または白金化合物の具体的な種類は特別な制限はない。触媒の比率も適切な硬化がなされ得る水準に調節されればよい。
【0099】
前記付加硬化性シリコーン組成物は、貯蔵安定性、取り扱い性および作業性向上の観点で必要な適切な添加剤を適正割合でさらに含んでもよい。
【0100】
他の例示で前記シリコーン組成物は、縮合硬化性シリコーン組成物であり、例えば(a)アルコキシ基含有シロキサンポリマー;および(b)水酸基含有シロキサンポリマーを含むことができる。
【0101】
前記(a)シロキサンポリマーは、例えば、下記の化学式1で表示される化合物であり得る。
【0102】
[化学式1]
【0103】
R1
aR2
bSiOc(OR3)d
【0104】
化学式1でR1およびR2は、それぞれ独立的に、水素原子または置換または非置換された1価炭化水素基を表し、R3はアルキル基を表し、R1、R2およびR3がそれぞれ複数個存在する場合には互いに同一または異なり得、aおよびbはそれぞれ独立的に0以上、1未満の数を表し、a+bは0超過、2未満の数を表し、cは0超過、2未満の数を表し、dは0超過、4未満の数を表し、a+b+c×2+dは4である。
【0105】
化学式1の定義で、1価炭化水素は、例えば、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基またはトリル基などであり得、このとき炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基またはオクチル基などであり得る。また、化学式1の定義で、1価炭化水素基は、例えば、ハロゲン、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、グリシドキシ基またはウレイド基などの公知の置換基で置換されていてもよい。
【0106】
化学式1の定義で、R3のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基などが挙げられる。アルキル基の中で、メチル基またはエチル基などが通常適用されるが、これに制限されるものではない。
【0107】
化学式1のポリマーのうち分枝状または3次架橋されたシロキサンポリマーを使うことができる。また、この(a)シロキサンポリマーには、目的を損傷させない範囲内で、具体的には脱アルコール反応を阻害しない範囲内で水酸基が残存していてもよい。
【0108】
前記(a)シロキサンポリマーは、例えば、多官能のアルコキシシランまたは多官能クロロシランなどを加水分解および縮合させることによって製造することができる。この分野の平均的技術者は、目的とする(a)シロキサンポリマーにより適切な多官能アルコキシシランまたはクロロシランを容易に選択することができ、それを使った加水分解および縮合反応の条件も容易に制御することができる。一方、前記(a)シロキサンポリマーの製造時には、目的に応じて、適切な1官能のアルコキシシランを併用して使ってもよい。
【0109】
前記(a)シロキサンポリマーとしては、例えば、信越シリコーン社のX40-9220またはX40-9225、GE東レシリコーン社のXR31-B1410、XR31-B0270またはXR31-B2733などのような、市販されているオルガノシロキサンポリマーを使うことができる。
【0110】
前記縮合硬化性シリコーン組成物に含まれる、(b)水酸基含有シロキサンポリマーとしては、例えば、下記の化学式2で示される化合物を使うことができる。
【0111】
[化学式2]
【0112】
【0113】
化学式2で、R4およびR5はそれぞれ独立的に、水素原子または置換または非置換された1価の炭化水素基を表し、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合には、前記は互いに同一であるか異なり得、nは5~2,000の整数を表す。
【0114】
化学式2の定義で、1価炭化水素基の具体的な種類としては、例えば、前記化学式1の場合と同じ炭化水素基を挙げることができる。
【0115】
前記(b)シロキサンポリマーは、例えば、ジアルコキシシランおよび/またはジクロロシランなどを加水分解および縮合させることによって製造することができる。この分野の平均的技術者は、目的とする(b)シロキサンポリマーにより適切なジアルコキシシランまたはジクロロシランを容易に選択することができ、それを使った加水分解および縮合反応の条件も容易に制御することができる。前記のような(b)シロキサンポリマーとしては、例えば、GE東レシリコーン社のXC96-723、YF-3800、YF-3804などのような、市販されている2官能オルガノシロキサンポリマーを使うことができる。
【0116】
前述した付加硬化型あるいは縮合硬化型シリコーン組成物は本出願で適用されるシリコーン粘着剤または接着剤を形成するための材料の一つの例示である。すなわち、基本的に業界でOCAまたはOCRなどで知られているシリコーン粘着剤または接着剤がすべて本出願で適用され得る。
【0117】
前記粘着剤または接着剤あるいはそれを形成する硬化性組成物の類型は特に制限されず、目的とする用途により適切に選択され得る。例えば、固相、半固相または液相の粘着剤または接着剤または硬化性組成物が使われ得る。固相または半固相の粘着剤または接着剤または硬化性組成物は接着(または粘着)対象が合着される前に硬化され得る。液相の粘着剤または接着剤または硬化性組成物は、いわゆる光学透明レジン(OCR;Optical Clear Resin)と呼称され、接着または粘着対象が合着された後に硬化され得る。一例示によると、前記粘着剤または接着剤または硬化性組成物としては、いわゆるポリジメチルシロキサン系(Polydimethyl siloxane-based)粘着剤または接着剤または硬化性組成物またはポリメチルビニルシロキサン系(Polymethylvinyl siloxane-based)粘着剤または接着剤または硬化性組成物またはアルコキシシリコーン系(Alkoxy silicone-based)粘着剤または接着剤または硬化性組成物などを使うことができるが、これに制限されるものではない。
【0118】
前記粘着剤層または接着剤層の厚さは特に制限されず、目的とする接着力または粘着力の確保のための適正範囲に選択され得る。前記厚さは略1μm~50μmの範囲内であり得る。前記厚さは他の例示で2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上または9μm以上であるか、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下または15μm以下程度であってもよい。
【0119】
前記のような配置下で前記のような接着剤層または粘着剤層を含むことによってロールツーロール(Roll-to-roll)工程の適用が可能であるので、工程性が優秀であり、接着力(または粘着力)が優秀でありながらも特に遮断モードでの光漏洩が制御されて優秀な光学特性を示すことができる光変調デバイスを提供することができる。
【0120】
このように公知の垂直配向膜と垂直配向能を有する接着剤または粘着剤によって形成される液晶化合物の配向、前述した位相差フィルムおよび/または光学異方性層などとの組み合わせによって、液晶化合物の垂直配向時には全方位の側面光漏洩を効果的に抑制し、水平配向時には正面光の吸収を最小化するようにすることができる。
【0121】
本出願は例えば、第2基板の第1表面に液晶配向膜が形成されている光変調デバイスに関するものであり得る。前記液晶配向膜は、前記光変調層の初期配向を決定するために使われ得、例えば、垂直配向膜であり得る。また、液晶配向膜の種類は特に制限されず、例えば公知のラビング配向膜または光配向膜であり得る。
【0122】
前記液晶配向膜の配向方向は、ラビング配向膜である場合にはラビング方向、光配向膜である場合には照射される偏光の方向であり得るが、このような配向方向は、線形偏光子を使った検出方式で確認することができる。例えば、光変調層がReversed TN(Twisted Nematic)モードなどのようなツイスト配向モードである場合に一面に線形偏光子を配置し、その偏光子の吸収軸を変更して透過率を測定すると、前記吸収軸または透過軸と液晶配向膜の配向方向が一致する場合に透過率が低くなる傾向を見せるが、適用された液晶化合物の屈折率異方性などを反映した模写(simulation)を通じて配向方向を確認することができる。光変調層のモードによって液晶配向膜の配向方向を確認する方式は公知である。また、前記液晶配向膜は前述した通り、公知のラビング配向膜または光配向膜などが適用され得、望むモードによって適用され得る配向膜の種類は公知である。
【0123】
本出願で前記液晶配向膜の厚さは例えば、50nm~150nmの範囲内であり得る。前記液晶配向膜の厚さは他の例示で、60nm以上、70nm以上、80nm以上または90nm以上であるか140nm以下、130nm以下、120nmまたは110nm以下であり得る。
【0124】
本出願の一つの例示で、前記のように垂直配向力を有する接着剤層または粘着剤層が第1基板の一面に形成されている場合、前記第1基板には液晶配向膜が形成されていなくてもよい。このような構成を通じて、ロールツーロール(Roll-to-roll)工程への適用が可能であるので、優秀な工程性などを確保することができる。
【0125】
本出願で前記対向配置された第1および第2基板の間隔が隔壁形態のスペーサーで維持されていてもよい。一つの例示で、
図1のように第1偏光層101/第1基板201/光学異方性層700/接着剤層または粘着剤層400/光変調層300/液晶配向膜500/第2基板202/位相差フィルム600/第2偏光層102が順次形成されているか、
図2のように第1偏光層101/位相差フィルム600/第1基板201/光学異方性層700/接着剤層または粘着剤層400/光変調層300/液晶配向膜500/第2基板202/第2偏光層102が順次形成されていながら、前記第1および第2基板の間隔Gを前記隔壁形態のスペーサー800で維持していてもよい。この時、光変調層300はスペーサー800が存在しない領域内に存在することができるが、これに制限されるものではない。
【0126】
本出願で前記スペーサーの形状および配列方式は例えば、第2基板と第1基板間で一定の間隔を維持できるようにする範囲内で適切に設計され得る。
【0127】
本出願の前記スペーサーは隔壁の形状で区画をなすように存在したりまたは二以上の柱形状が離隔して存在してもよいが、これに制限されるものではない。一つの例示で、前記スペーサーは四角形、三角形またはハニカム(Honeycomb)の隔壁形状であり得る。遮断モードでの光漏洩を効果的に制御する側面で四角形の隔壁形状が適切であり、正方形または長方形形態の隔壁形状が適切であり得るが、これに制限されるものではない。
【0128】
本出願で前記スペーサーの配列方式、例えば、ピッチ、線間幅、高さおよび上部または第2基板での面積比率などは、本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択され得る。前記で面積比率は、第2基板の第1表面の全体面積対比スペーサーが形成された面積の百分率を意味する。
【0129】
本明細書で用語ピッチ(Pitch)は、前記スペーサーを上部から観察した時に確認される互いに対向する辺間の間隔または互いに対向する頂点と辺間の間隔を意味する。本明細書でスペーサーを上部から観察するとは、スペーサーと形成された高分子フィルム基板の面の法線方向と平行に前記スペーサーを観察することを意味する。一例示で、前記スペーサーが三角形の隔壁形状の場合、用語ピッチは三角形の一頂点と前記頂点が対向する辺間の垂直距離を意味し得る。他の例示で、四角形の隔壁形状の場合、用語ピッチは四角形の各辺の長さを意味し得、四角形の各辺の長さがすべて同一である場合(すなわち、角形が正方形である場合)にはその同一の辺の長さがピッチとして規定され、各辺の長さが同一でない場合(例えば、四角形が長方形である場合)、すべての辺の長さの算術平均が前記ピッチとして規定され得る。他の例示で、前記スペーサーがハニカム(六角形である場合)の隔壁形状の場合、用語ピッチは前記六角形の対向する辺の間隔を意味し得、前記対向する辺の間隔が全て同一である場合にはその同一の辺の間隔の長さがピッチとして規定され、前記それぞれの辺の間隔が同一でない場合、すべての辺の間隔の長さの算術平均が前記ピッチとして規定され得る。
【0130】
本出願で前記スペーサーのピッチは例えば、50μm~500μmであり得、他の例示で100μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上または300μm以上であるか450μm以下または400μm以下であり得る。
【0131】
本明細書で用語線間幅(line width)は前記スペーサーを上部から観察した時の前記隔壁の長さ方向と垂直な方向に確認される寸法を意味する。前記スペーサーの線間幅は例えば、1μm~50μmであり得、他の例示で2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上または9μm以上であるか45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下または11μm以下であり得る。
【0132】
また、用語スペーサーの高さは、通常前記光変調層の厚さ(cell gap)と略一致し、前記言及した高分子フィルム基板の面の法線方向に測定されるスペーサーの寸法を意味する。本出願で前記スペーサーの高さは第1基板と第2基板間の間隔を考慮して調節され得る。例えば、前記スペーサーの高さは1μm~20μmであり得、他の例示で、2μm以上、3μm以上、4μm以上または5μm以上であるか19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下または7μm以下であり得る。一つの例示で、前記スペーサーの高さは光変調層の厚さと略同一であってもよい。
【0133】
本明細書で用語面積比率は、高分子フィルム基板の面積をAとし、スペーサーが形成された面積をBとする時に、高分子フィルム基板の面積(A)のうちスペーサーが形成された面積(B)の比率に100を積算した値、すなわち、100×B/Aを意味する。本出願でスペーサーの面積比率は前記第1または第2高分子フィルム基板に対して約0.1%~50%であり得る。本出願で前記スペーサーの面積比率が大きいほど第1および第2高分子フィルム基板の接着力(または粘着力)が増加し得る。他の例示で、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上または8%以上であるか45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下または10%以下であり得る。
【0134】
本出願で前記スペーサーは例えば、硬化性樹脂を含むことができる。硬化性樹脂は、例えば、加熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂、例えば、紫外線硬化性樹脂であり得るが、これに制限されるものではない。前記加熱硬化性樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ヨウ素樹脂、ポリエステル樹脂またはメラミン樹脂などであり得るが、これに制限されるものではない。前記紫外線硬化性樹脂は代表的にアクリル重合体、例えば、ポリエステルアクリレート重合体、ポリスチレンアクリレート重合体、エポキシアクリレート重合体、ポリウレタンアクリレート重合体、ポリブタジエンアクリレート重合体、シリコーンアクリレート重合体またはアルキルアクリレート重合体などを使うことができるが、これに制限されるものではない。一つの例示で、前記スペーサーはアクリル重合体、より具体的には、ポリエステル系アクリレート重合体を使って形成され得るが、これに制限されるものではなく、他の例示でシリコーン重合体を使って形成されてもよい。スペーサーをシリコーン重合体を使って形成する場合、スペーサーの凹んだ領域に残存するシリコーン重合体が垂直配向膜の役割を遂行できるため、前述した通り、スペーサーが存在する基板に追加の液晶配向膜を使わなくてもよい。シリコーン重合体としては例えば、ケイ素と酸素の結合(Si-O-Si)を主軸とする公知の重合体、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS、Polydimethylsiloxane)を使うことができるが、これに制限されるものではない。
【0135】
本出願はスペーサーの形態および/または配列方式を前記のように制御することによって、セルギャップが適切に維持されて上下フィルム基板の接着力(または粘着力)が優秀で、遮断モードでの光漏洩も適切に制御された光変調デバイスを提供することができる。
【0136】
本発明者らは前記内容と共に、前記偏光層、前記高分子フィルム、前記位相差フィルムおよび/または液晶配向膜の各軸間の配置関係を適切に制御することによって、遮断モードで全方位の光漏洩を特に効果的に制御できるという点を確認した。本明細書で前記軸は、例えば、偏光層の吸収軸、高分子フィルムまたは位相差フィルムの遅相軸または液晶配向膜の配向方向などを意味し得る。
【0137】
本出願の第1および第2偏光層は例えば、その吸収軸が互いに垂直となるように配置されたりおよび/または第1および第2高分子フィルムは例えば、その遅相軸が互いに水平となるように配置され得る。
【0138】
本出願の第1および/または第2偏光層の吸収軸と第1および/または第2高分子フィルムの遅相軸はまた、互いに垂直であるか水平となるように配置され得る。一つの例示で、前記第1および第2偏光層の吸収軸が互いに垂直となるように配置され、前記第1および第2高分子フィルムの遅相軸が互いに水平となるように配置された場合であれば、第1および第2偏光層のうちいずれか一つの吸収軸と前記第1および第2高分子フィルムの遅相軸は互いに垂直となり、前記第1および第2偏光層のうち他の一つの吸収軸と前記第1および第2高分子フィルムの遅相軸は互いに水平となるように配置され得る。
【0139】
本出願の光変調デバイスは、偏光層および/または高分子フィルムを前記のように配置しつつ、位相差フィルムなどと後述するように配置することによってレインボー(rainbow)等の光歪曲現象を効果的に制御することができる。
【0140】
本出願の位相差フィルムは、例えば位相差フィルムの遅相軸が前記第1および/または第2高分子フィルムの遅相軸と互いに垂直となるように配置され得る。一つの例示で、前記第1および/または第2高分子フィルムの遅相軸が互いに水平となるように配置された場合であれば、前記位相差フィルムの遅相軸は前記第1および第2高分子フィルムの遅相軸それぞれに対して垂直となるように配置され得る。
【0141】
本出願の位相差フィルムは、例えば、位相差フィルムの遅相軸が前記位相差フィルムに隣接する偏光層の吸収軸と互いに垂直であるように配置され得る。本明細書で位相差フィルムに隣接する偏光層の意味は、例えば、位相差フィルムに直接接して形成された偏光層であってもよく、位相差フィルムに直接接して形成されてはいないが、光変調デバイスの構造内に導入されている第1および第2偏光層の中で前記位相差フィルムとさらに近く配置されている偏光層を意味してもよい。一つの例示で、
図1のような構造を有する光変調デバイスである場合、前記位相差フィルムに隣接する偏光層は前記第2偏光層であり得る。したがって、
図1のような光変調デバイスである場合、前記位相差フィルムの遅相軸が前記第2偏光層の吸収軸と互いに垂直であるように配置され得る。他の例示で、
図2のような構造を有する光変調デバイスの場合、前記位相差フィルムに隣接する偏光層は前記第1偏光層であり得る。したがって、前記
図2のような光変調デバイスである場合、前記位相差フィルムの遅相軸が前記第1偏光層の吸収軸と互いに垂直であるように配置され得る。
【0142】
本出願の液晶配向膜は例えば、その配向方向が前記第1および/または第2高分子フィルムの遅相軸と互いに水平または垂直であるように配置され得る。液晶配向膜の配向方向は例えば、ラビング配向膜である場合はラビング方向、光配向膜である場合は照射される偏光の方向であり得る。一つの例示で、前記第1および第2高分子フィルムの遅相軸が互いに水平となるように配置された場合であれば、前記液晶配向膜はその配向方向が前記第1および第2高分子フィルムの遅相軸それぞれと互いに水平または垂直であるように配置され得る。ただし前記第1および第2高分子フィルムの遅相軸が互いに水平となるように配置されたのに対して、前記液晶配向膜はその配向方向が前記第1および第2高分子フィルムの遅相軸それぞれと互いに垂直であるように配置されることが光特性の側面でより好ましいであり得るが、これに制限されるものではない。
【0143】
本出願の光変調デバイスは、前記のような特性を有する偏光層、高分子フィルム、位相差フィルム、光学異方性層、光変調層および/または液晶配向膜などを適切な位置に配置し、各層の軸間の関係を前記のように制御することによって透過率可変特性が優秀でありながらも特に遮断モードでの全方位光漏洩が効果的に制御され得る。
【0144】
一つの例示で、本出願の光変調デバイスは、遮断モードである時の透過率が60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下または0.3%以下であり得る。遮断モードでは透過率が低いほど有利であるので、遮断モード状態の透過率の下限は特に制限されず、一つの例示で前記遮断モード状態での透過率の下限は約0%であり得る。
【0145】
本出願の光変調デバイスは一つの例示で、透過モードである時の透過率が20%以上であり得、他の例示で、21%以上、22%以上、23%以上または24%以上程度であり得る。透過モード状態の透過率の上限は特に制限されはしないが、一つの例示で前記透過モード状態での透過率の上限は60%であり得、他の例示で、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下または30%以下程度であり得る。
【0146】
本出願の光変調デバイスは一つの例示で、前記透過モードと遮断モード状態での透過率の差が、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上、21%以上、22%以上、23%以上または24%以上であることもあったり、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下または25%以下であり得る。
【0147】
前記透過率は、例えば、直進光透過率であり得る。直進光透過率は、前記光変調デバイスに入射した光に対して前記入射方向と同一方向に透過した光の比率の百分率であり得る。例えば、前記デバイスがフィルムまたはシートの形態であれば、前記フィルムまたはシート表面の法線方向であるz軸方向と並んでいる方向に入射した光の中で同様に前記法線方向と並んでいる方向に前記デバイスを透過した光の百分率を前記透過率と定義することができる。
【0148】
前記透過率は、それぞれ可視光領域、例えば、約400nm~700nmまたは約380nm~780nm範囲内のいずれか一つの波長に対する透過率または反射率であるか、前記可視光領域全体に対する透過率または反射率であるか、前記可視光領域全体に対する透過率または反射率の中で最大または最小透過率または反射率であるか、前記可視光領域内の透過率の平均値または反射率の平均値であり得る。また、他の例示で前記透過率は約550nm波長の光に対する透過率であり得る。
【0149】
本出願の光変調デバイスは一つの例示で、遮断モードであるときの傾斜角透過率が3%以下であり得る。本明細書で傾斜角透過率は、測定対象の基準面(例えば、光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム、位相差フィルム、光学異方性層または光変調層などの表面であり得る)の法線方向であるz軸方向からの傾斜角がΘとなる軸の方向と平行するように測定対象を透過する光の透過率を、動径角Φを異ならせながら測定した値を意味し得る。一つの例示で、測定対象の基準面の法線方向であるz軸方向を0度として、60度(
図3の傾斜角Θ)に対して
図3の動径角Φを0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度および315度に異ならせながら測定した透過率を意味し得る。本出願で前記遮断モードであるときの傾斜角透過率は、他の例示で、2.9%以下、2.8%以下または2.7%以下であるか、0%以上、0.5%以上、1%以上、1.5%以上または2%以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0150】
本出願の光変調デバイスは、前記第1および第2基板の一面にそれぞれ導電層をさらに含むことができる。例えば、接着剤層または粘着剤層と第1基板の間および液晶配向膜と第2基板の間にそれぞれ導電層が形成されていてもよい。
【0151】
導電層が形成される場合、前記光学異方性層は前記第1基板と導電層間または前記導電層と粘着剤層または接着剤層間に配置されていたりおよび/または前記第2基板と前記導電層間または前記導電層と液晶配向膜の間に配置されていてもよい。
【0152】
前記導電層は光変調層の液晶化合物の整列状態を転換できるように、光変調層に適切な電界を印加することができる。前記電界の方向は垂直または水平方向、例えば、光変調層の厚さ方向または面方向であり得る。
【0153】
前記導電層は例えば、透明伝導性層であり得、前記透明伝導性層は例えば、伝導性高分子、伝導性金属、伝導性ナノワイヤまたはITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物などを蒸着して形成され得る。その他にも透明伝導性層を形成できる多様な素材および形成方法が公知となっており、これを制限なく適用することができる。
【0154】
前記のような光変調デバイスは多様な用途に適用され得る。光変調デバイスが適用され得る用途には、ウインドウまたはサンルーフなどのような建物、容器または車両などを含む密閉された空間の開口部やアイウェア(eyewear)等や建具用、OLED(organic light emitting device)の遮光板などが例示され得る。前記でアイウェアの範囲には、一般的なメガネ、サングラス、スポーツ用ゴーグルまたはヘルメットまたは仮想現実または増強現実体験用機器などのようなウェアラブル機器など、観察者がレンズを通じて外部を観察できるように形成されたすべてのアイウェアが含まれ得る。
【0155】
本出願の光変調デバイスが適用され得る代表的な用途には車両用サンルーフがあり得る。
【0156】
一つの例示で前記光変調デバイスは、それ自体として車両用サンルーフであり得る。例えば、少なくとも一つ以上の開口部が形成されている車体を含む自動車において前記開口部に装着された前記光変調デバイスまたは車両用サンルーフを装着して使われ得る。
【0157】
サンルーフは、車両の天井に存在する固定されたまたは作動(ベンティングまたはスライディング)する開口部(opening)であり、光または新鮮な空気が車両の内部に流入するようにする機能をすることができる装置を通称する意味であり得る。本出願でサンルーフの作動方式は特に制限されず、例えば、手動で作動したりまたはモータで駆動することができ、サンルーフの形状、大きさまたはスタイルは目的とする用途により適切に選択され得る。例えば、サンルーフは作動方式によりポップアップタイプサンルーフ、スポイラー(tile & slide)タイプサンルーフ、インビルトタイプサンルーフ、フォールディングタイプサンルーフ、トップマウントタイプサンルーフ、パノラミックルーフシステムタイプサンルーフ、除去可能なルーフパネル(t-topsまたはtarga roofts)タイプサンルーフまたはソーラータイプサンルーフなどが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0158】
本出願の例示的なサンルーフは本出願の前記光変調デバイスを含むことができ、この場合、光変調デバイスに対する具体的な事項は前記光変調デバイスの項目で記述した内容が同一に適用され得る。
【発明の効果】
【0159】
本出願は光変調デバイスに関する。本出願は、透過率可変特性などの光学特性および機械的物性などが優秀でありながらも遮断モードで全方位の光漏洩が制御されて多様な用途で適用可能な光変調デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【
図1】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
【
図2】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
【0161】
【
図3】傾斜角と動径角を説明するための模式図である。
【0162】
【
図4】屈折率異方性を評価するための方法を示す図面である。
【符号の説明】
【0163】
101:第1偏光層
【0164】
102:第2偏光層
【0165】
201:第1基板
【0166】
202:第2基板
【0167】
400:接着剤層または粘着剤層
【0168】
500:液晶配向膜
【0169】
300:光変調層
【0170】
800:スペーサー
【0171】
600:位相差フィルム
【0172】
700:光学異方性層
【0173】
G:セルギャップ
【発明を実施するための形態】
【0174】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲は下記の実施例によって制限されるものではない。
【0175】
評価例1.遮断モードである時の透過率測定
【0176】
遮断モード(電圧未印加、0V)である時の透過率をヘイズメーター(NDH5000SP、セコス社)を利用して、ASTM D1003規格によって測定した。
【0177】
具体的には、積分球内の測定対象に380nm~780nm波長の光を入射させると、入射された光は測定対象によって拡散光(DT、拡散して出光したすべての光の和)と直進光(PT、拡散光を排除した正面方向の出光)に分離される。前記拡散光と直進光を積分球内で受光素子に集光させてそれぞれ測定することができる。すなわち、前記過程によって全体透過光(TT)は前記拡散光(DT)と直進光(PT)の総和(DT+PT)と規定され得る。前記全体透過光は全体透過率を意味する。
【0178】
一方、光変調デバイスに対する遮断モード(0V)での傾斜角透過率の最大値は、光変調デバイスに電圧を印加していない状態で傾斜角60℃に対して全方位透過率を測定した値のうち最も大きい値とした。測定対象の基準面(例えば、基準面は光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム、位相差フィルム、光学異方性層または光変調層などの表面であり得る)の法線方向であるz軸方向を0度とし、60度(
図3の傾斜角Θ)に対して
図3の動径角Φを0度、30度、60度、90度、120度、150度、180度、210度、240度、270度、300度および330度に異ならせながら測定した結果のうち最も大きい値を表1に示した。
【0179】
評価例2.面内位相差評価
【0180】
高分子フィルム、位相差フィルムなどの面内位相差(Rin)はAgilent社のUV/VIS spectroscope 8453装備を利用して測定した(550nm波長基準)。UV/VIS spectroscopeに2枚の偏光子を透過軸が互いに直交するように設置し、前記2枚の偏光子間に高分子フィルム、位相差フィルムなどをその遅相軸が2枚の偏光子の透過軸とそれぞれ45度をなすように位置させた後、波長による透過率測定した。波長による透過率グラフで各ピーク(peak)の位相遅延次数(Phase retardation order)を求めた。具体的には、波長による透過率グラフで波形は下記の数式Aを満足し、サイン(Sine)波形で最大ピーク(Tmax)条件は下記の数式Bを満足する。数式Aでλmaxである場合、数式AのTと数式BのTは同一であるため数式を展開する。n+1、n+2およびn+3に対しても数式を展開し、nとn+1数式を整理してRを消去してnをλnおよびλn+1数式で整理すると、下記の数式Cが導き出される。数式AのTと数式BのTが同一であることに基づいてnとλが分かるので、各λn、λn+1、λn+2およびλn+3に対してRを求める。4ポイントに対して波長によるR値の直線趨勢線を求めて550nmの波長の光に対するR値を算定する。直線趨勢線の関数はY=ax+bであり、aおよびbは定数である。前記関数のxに550nmを代入した時のY値が550nm波長の光に対するRin値である。
【0181】
[数式A]
【0182】
T=sin2[(2πR/λ)]
【0183】
[数式B]
【0184】
T=sin2[((2n+1)π/2)]
【0185】
[数式C]
【0186】
n=(λn-3λn+1)/(2λn+1+1-2λn)
【0187】
前記でRは面内位相差(Rin)を意味し、λは波長を意味し、nはサイン波型の頂点の次数を意味する。
【0188】
評価例3.各層の厚さ
【0189】
光変調層の厚さはスペーサーの高さと一致し、前記スペーサーの高さは測定装備(Optical profiler、Nano system社、Nano View-E1000)を使って確認した。また、光学異方性層の厚さも前記測定装備(Optical profiler、Nano system社、Nano View-E1000)を使って確認した。
【0190】
一方、偏光層、位相差フィルムおよび接着剤層(または粘着剤層)の厚さはデジマチック厚さゲージ(547、光豊社)を利用して測定した。
【0191】
評価例4.光変調層(液晶層)、位相差フィルムまたは光学異方性層の屈折率異方性および平均屈折率評価
【0192】
光変調層、位相差フィルムまたは光学異方性層の屈折率異方性(△n)および平均屈折率はAbbe屈折計を使って次の方式で評価する。Abbe屈折計のMeasuring Prismとillumination Prismの面に垂直配向膜をコーティングし、測定しようとする対象をMeasuring Prismに塗布した後にillumination Prismで覆うと、二つの界面の垂直配向力により光変調層、位相差フィルムまたは光学異方性層は垂直に配向される。この時前記過程で光変調層に適用される液晶化合物は、二色性染料などの他の物質と混合されていない液晶化合物のみである。
【0193】
その後、
図4に示された通り、接眼レンズ側(grounded部)に線形偏光板を適用して光(light)を照射して観測すると、
図4に示されたようなθeおよびθoを求めることができ、Measuring prismの屈折率(np)と前記角度(θeおよびθo)を通じて異常屈折率(ne=npsinθe)と正常屈折率(no=npsinθo)を求めることができる。ここで、その差(ne-no)が屈折率異方性と規定され得、その平均値((ne+no)/2)が平均屈折率と規定され得る。前記測定時の基準波長は略550nmである。
【0194】
実施例1.
【0195】
第1および第2基板として、それぞれ厚さ80μm、145μmである延伸PET(Polyethylene terephthalate)フィルム(SKC社)を使ってデバイスを製作した。前記第1および第2基板は550nm波長の光に対する面内位相差が約10,000nm~15,000nmの範囲内であった。
【0196】
前記第1基板の第1表面に-Cプレート材料をバーコーティングした後に約130℃で20分間硬化させて約2μm厚さの光学異方性層を形成し、引き続き前記光学異方性層上にITO(Indium Tin Oxide)膜(導電層)を蒸着した。前記光学異方性層の550nm波長の光に対する厚さ方向位相差は略-220nm程度であり、屈折率異方性は略0.1であり、平均屈折率は1.65であった。ここで-Cプレート材料はテレフタル酸、イソフタル酸および2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを重合したポリアミドをジメチルアセトアミド溶液に対して略5.3重量%で配合して準備した。
【0197】
引き続き、前記ITO膜上に垂直配向力を有するシリコーン粘着剤(Shinetsu社、KR3700)をバーコーティングした後に約150℃で10分間硬化させて約10μm厚さの粘着剤層を形成した(第1高分子フィルム基板)。
【0198】
前記第2基板の第1表面にまずITO(Indium Tin Oxide)膜(導電層)を蒸着し、前記ITO膜上にセルギャップ(Cell gap)維持のための正方形隔壁形態のスペーサー(ピッチ:350μm、高さ:6μm、線間幅:10μm、面積比率:9%)を形成した。その後、光変調層(液晶層)の初期配向制御のために、前記ITO膜の第1表面に略100nm厚さのポリイミド系垂直配向膜(SE-5661LB3、Nissan社)を形成した後、ラビング布でラビング処理した。この時ラビング方向は第1および第2基板の遅相軸に対して垂直になるようにした(第2高分子フィルム基板)。
【0199】
引き続き、前記第1高分子フィルム基板の粘着剤層と第2高分子フィルム基板の垂直配向膜が対向するように配置し(Cell gap:6μm)、その内部に液晶物質を注入した後にラミネーション工程を通じてデバイスを製作した。前記液晶物質としては、屈折率異方性(△n)が略0.07であり、平均屈折率が略1.58である負の誘電率異方性を有する液晶化合物(MAT-19-1261、Merck社)にキラルドーパント(S811、Merck社)を配合した組成物を使った。この時、前記キラルドーパントは前記液晶化合物100重量部に対して約0.58重量部配合し、キラルピッチ(chiral pitch)が略20μm程度となるようにした。
【0200】
引き続き、前記第1高分子フィルムの光学異方性層が形成されていない第2表面に第1偏光層を付着し、前記第2高分子フィルムのITO膜(導電層)が形成されていない第2表面位相差フィルムを付着した。この時前記位相差フィルムとしては550nm波長の光に対する面内位相差が275nmであり、550nm波長の光に対する厚さ方向位相差が略0nmであるAプレート(LG CHEM社)を使った。前記位相差フィルムの厚さは略45μmであり、屈折率異方性は0.7であり、平均屈折率は1.55であった。
【0201】
引き続き前記位相差フィルムの前記第2高分子フィルムが付着されていない面である第2表面に第2偏光層を形成した。前記第1および第2偏光層としては一般的なPVA偏光層を使ったし、その厚さはそれぞれ140μmであった。
【0202】
前記配置時には第1および第2基板の遅相軸が互いに水平であり、第1および第2偏光層の吸収軸が互いに垂直であり、前記第1偏光層の吸収軸が前記第1および第2基板の遅相軸に水平となるように配置した。また、位相差フィルムの遅相軸と前記位相差フィルムに隣接する偏光層である第2偏光層の吸収軸が互いに垂直となるように配置した。
【0203】
その結果、第1偏光層/第1基板/-Cプレート/ITO膜/粘着剤層/光変調層(液晶層)/垂直配向膜/ITO膜/第2基板/位相差フィルム/第2偏光層の構造を有する光変調デバイスが形成された。
【0204】
実施例2.
【0205】
第1および第2基板として、それぞれ厚さ80μm、145μmである延伸PET(Polyethylene terephthalate)フィルム(SKC社)を使ってデバイスを製作した。前記第1および第2基板は550nm波長の光に対する面内位相差が約10,000nm~15,000nmの範囲内であった。
【0206】
前記第1基板の一面に位相差フィルムを付着した。この時前記位相差フィルムとしては550nm波長の光に対する面内位相差が275nmであり、550nm波長の光に対する厚さ方向位相差が略0nmであるAプレート(LG CHEM社)を使った。前記位相差フィルムの厚さは略45μmであり、屈折率異方性は0.7であり、平均屈折率は1.55であった。
【0207】
引き続き前記第1基板の位相差フィルムが付着されていない他の一面である第1表面に-Cプレート材料をバーコーティングした後に約130℃で20分間硬化させて約2μm厚さの光学異方性層を形成し、引き続き前記光学異方性層の第1表面にITO(Indium Tin Oxide)膜(導電層)を蒸着した。前記光学異方性層の550nm波長の光に対する厚さ方向位相差は略-220nm程度であり、屈折率異方性は略0.1であり、平均屈折率は1.65であった。ここで-Cプレート材料はテレフタル酸、イソフタル酸および2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを重合したポリアミドをジメチルアセトアミド溶液に対して略5.3重量%で配合して準備した。
【0208】
引き続き、前記ITO膜の第1表面に垂直配向力を有するシリコーン粘着剤(Shinetsu社、KR3700)をバーコーティングした後に約150℃で10分間硬化させて約10μm厚さの粘着剤層を形成した(第1高分子フィルム基板)。
【0209】
前記第2基板の第1表面にまずITO(Indium Tin Oxide)膜(導電層)を蒸着し、前記ITO膜上にセルギャップ(Cell gap)維持のための正方形隔壁形態のスペーサー(ピッチ:350μm、高さ:6μm、線間幅:10μm、面積比率:9%)を形成した。その後、光変調層(液晶層)の初期配向制御のために、前記ITO膜の第1表面に略100nm厚さのポリイミド系垂直配向膜(SE-5661LB3、Nissan社)を形成した後、ラビング布でラビング処理した。この時ラビング方向は第1および第2基板の遅相軸に対して垂直になるようにした(第2高分子フィルム基板)。
【0210】
引き続き、前記第1高分子フィルム基板の粘着剤層と第2高分子フィルム基板の垂直配向膜が対向するように配置し(Cell gap:6μm)、その内部に液晶物質を注入した後にラミネーション工程を通じてデバイスを製作した。前記液晶物質としては、屈折率異方性(△n)が略0.07であり、平均屈折率が略1.58である負の誘電率異方性を有する液晶化合物(MAT-19-1261、Merck社)にキラルドーパント(S811、Merck社)を配合した組成物を使った。この時、前記キラルドーパントは前記液晶化合物100重量部に対して約0.58重量部配合し、キラルピッチ(chiral pitch)が略20μm程度となるようにした。
【0211】
引き続き、前記第1高分子フィルムの光学異方性層が形成されていない面である第2表面に前記位相差フィルムを付着し、前記位相差フィルムの第2表面に第1偏光層を付着した。前記第1および第2偏光層としては一般的なPVA偏光層を使ったし、その厚さはそれぞれ140μmであった。
【0212】
前記配置時には第1および第2基板の遅相軸が互いに水平であり、第1および第2偏光層の吸収軸が互いに垂直であり、前記第1偏光層の吸収軸が前記第1および第2高分子フィルムの遅相軸に垂直となるように配置した。また、位相差フィルムの遅相軸と前記位相差フィルムに隣接する偏光層である第1偏光層の吸収軸が互いに垂直となるように配置した。
【0213】
その結果、第1偏光層/位相差フィルム/第1基板/-Cプレート/ITO膜/粘着剤層/光変調層(液晶層)/垂直配向膜/ITO膜/第2基板/第2偏光層の構造を有する光変調デバイスが形成された。
【0214】
比較例1.
【0215】
第2基板のITO膜(導電層)が形成されていない面である第2表面に位相差フィルムを付着せず、第2偏光層を直接接して付着し、第1偏光層/第1基板/-Cプレート/ITO膜/粘着剤層/光変調層(液晶層)/垂直配向膜/ITO膜/第2基板/第2偏光層の構造を有する光変調デバイスを製造したこと除いては実施例1と同一に製造した。
【0216】
【0217】
前記表1で遮断モード(0V)での傾斜角透過率は、光変調デバイスに電圧を印加しなかった状態で、測定対象の基準面(例えば、光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム、位相差フィルム、光学異方性層または光変調層などの表面であり得る)の法線方向であるz軸方向を0度とし、60度(
図3の傾斜角Θ)に対して
図3の動径角Φを0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度および315度に異ならせながら測定した透過率を示したものである。