(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】化合物およびこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 493/04 20060101AFI20241217BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20241217BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20241217BHJP
H10K 101/20 20230101ALN20241217BHJP
【FI】
C07D493/04 101A
C07D493/04 CSP
C09K11/06 690
H10K85/60
H10K50/17
H10K50/15
H10K50/18
H10K50/12
H10K101:20
(21)【出願番号】P 2023518076
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 KR2022008938
(87)【国際公開番号】W WO2023033326
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0116104
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ホジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンウー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョー ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、フーン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウーチュル
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ジェ セウン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0093625(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0093788(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0093792(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0351816(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0128583(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 493/04
C09K 11/06
H10K 85/60
H10K 50/17
H10K 50/15
H10K 50/18
H10K 50/12
H10K 101/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
Dは、重水素であり、
L1は、重水素で置換もしくは非置換のナフチレン基であり、
Ar1は、
重水素、ナフチル基、およびこれらの組み合わせのうち1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のビフェニル基;または重水素で置換もしくは非置換のナフチル基であり、
R1~R9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または重水素であり、
a1は1~8の整数である。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式1-2で表される、請求項1に記載の化合物:
[化学式1-2]
【化3】
前記化学式1-2において、
D、Ar1、a1、およびR1~R9の定義は、前記化学式1における定義と同様であり、
L11は、重水素で置換もしくは非置換のナフチレン基である。
【請求項3】
前記化学式1は、下記化学式1-4で表される、請求項1に記載の化合物:
[化学式1-4]
【化5】
前記化学式1-4において、
D、Ar1、a1、およびR1~R9の定義は、前記化学式1における定義と同様であり、
a3は0~4の整数であり、
a4は0~4の整数であり、
0≦a3+a4≦6である。
【請求項4】
前記化学式1は、下記化合物の中から選択されるいずれか一つである、請求項1に記載の化合物:
【化7】
【化9】
【化11】
【化13】
【化15】
【化17】
【化19】
【化21】
。
【請求項5】
第1電極;第2電極;および前記第1電極と第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物を含む、有機発光素子。
【請求項6】
前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、または電子遮断層を含み、前記正孔注入層、正孔輸送層、または電子遮断層は、前記化合物を含む、請求項5に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記化合物を含む、請求項5に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記化合物を発光層のホストとして含む、請求項5に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記発光層は、ドーパントを含み、前記ドーパントは、蛍光性ドーパント、燐光性ドーパント、および熱活性化遅延蛍光系ドーパントからなる群より選択される1以上を含む、請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記蛍光性ドーパントは、アリールアミン系化合物およびボロン系化合物からなる群より選択される1以上を含む、請求項9に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年9月1日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0116104号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本明細書は、化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに転換させる現象をいう。有機発光現象を用いる有機発光素子は、通常、陽極、陰極、およびその間に有機物層を含む構造を有する。ここで、有機物層は、有機発光素子の効率および安全性を高めるために、それぞれ異なる物質で構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなることができる。このような有機発光素子の構造において、二つの電極の間に電圧を印加すると、陽極からは正孔が、陰極からは電子が有機物層に注入されることになり、注入された正孔と電子が再結合したときにエキシトン(exciton)が形成され、このエキシトンが再び基底状態に落ちるときに光が出ることになる。
【0004】
上記のような有機発光素子のための新しい材料の開発が求められ続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、化合物およびこれを含む有機発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
Dは、重水素であり、
L1は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
Ar1は、置換もしくは非置換のアリール基であり、
R1~R9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または重水素であり、
a1は1~8の整数である。
【0007】
また、本明細書は、第1電極;第2電極;および前記第1電極と第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記化合物を含む、有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に記載の化合物は、有機発光素子の有機物層の材料として用いることができる。また一つの実施態様による化合物は、有機発光素子において、効率の向上、低い駆動電圧および/または寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書の一実施態様による有機発光素子の例を示すものである。
【
図2】本明細書の一実施態様による有機発光素子の例を示すものである。
【符号の説明】
【0010】
1 ・・・基板
2 ・・・第1電極
3 ・・・第2電極
4 ・・・発光層
5 ・・・第1正孔注入層
6 ・・・第2正孔注入層
7 ・・・正孔輸送層
8 ・・・電子遮断層
9 ・・・第1電子輸送層
10 ・・・第2電子輸送層
11 ・・・電子注入層
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0012】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1で表される化合物を提供する。
【0013】
本明細書の一実施態様による化学式1は、アントラセンコアに1)Ar1および2)ベンゾビスベンゾフランの3位に結合されるL1を置換基として含み、前記化学式1のアントラセンの置換可能な位置の少なくとも一つの水素が重水素で置換される構造であるため、電子および正孔の移動度が向上し、分子安定性が改善される構造的特性を有する。したがって、これを含む有機発光素子は、駆動電圧、効率、および寿命の面で優れる。
【0014】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書において、
【化2】
は、連結される部位を意味する。
【0016】
本願明細書の全体にわたって、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載の構成要素からなる群より選択される一つ以上の混合または組み合わせを意味し、前記構成要素からなる群より選択される一つ以上を含むことを意味する。
【0017】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に置き換わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0018】
本明細書において、「置換もしくは非置換」という用語は、重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;シアノ基;ニトロ基;アルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;アルケニル基;ハロアルキル基;シリル基;ホウ素基;アミン基;アリール基;およびヘテロアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、またはいかなる置換基も有しないことを意味する。
【0019】
本明細書において、2個以上の置換基が連結されるとは、いずれか一つの置換基の水素が他の置換基と連結されることをいう。例えば、2個の置換基が連結されるとは、フェニル基とナフチル基が連結され、
【化3】
または
【化4】
の置換基になることができる。また、3個の置換基が連結されるとは、(置換基1)-(置換基2)-(置換基3)が連続して連結されることだけでなく、(置換基1)に(置換基2)および(置換基3)が連結されることも含む。例えば、フェニル基、ナフチル基、およびイソプロピル基が連結され、
【化5】
の置換基になることができる。4個以上の置換基が連結されることにも前述した定義が同様に適用される。
【0020】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素が挙げられる。
【0021】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~30であることが好ましく、具体的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書において、前記アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において、前記アルケニル基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~30であることが好ましい。具体的な例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書において、前記ハロアルキル基は、前記アルキル基の定義中のアルキル基の水素の代わりに少なくとも一つのハロゲン基が置換されることを意味する。
【0026】
本明細書において、アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましく、前記アリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。
【0027】
前記アリール基が単環式アリール基である場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましい。具体的に、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
前記アリール基が多環式アリール基である場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10~30であることが好ましい。具体的に、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、ピレン基、フェナレン基、ペリレン基、クリセン基、フルオレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書において、前記フルオレン基は置換されていてもよく、隣接した基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0030】
前記フルオレン基が置換される場合、
【化6】
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味し得る。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位に置換された2個の置換基、および脂肪族環において同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈することができる。
【0032】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素ではない原子、ヘテロ原子を1以上含むものであり、具体的に、前記ヘテロ原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含んでもよい。炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30であることが好ましく、前記ヘテロアリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジン基、ピリダジン基、ピラジン基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、フタラジン基、ピリドピリミジン基、ピリドピラジン基、ピラジノピラジン基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、フェナントリジン基(phenanthridine)、フェナントロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾール基、チアジアゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾシロール基、フェノキサチイン基(phenoxathiine)、フェノキサジン基(phenoxazine)、フェノチアジン基(phenothiazine)、ジヒドロインデノカルバゾール基、スピロフルオレンキサンテン基、およびスピロフルオレンチオキサンテン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において、前記シリル基は、アルキルシリル基、アリールシリル基、ヘテロアリールシリル基などであってもよい。前記アルキルシリル基中のアルキル基は、前述したアルキル基の例示が適用され、前記アリールシリル基中のアリール基は、前述したアリール基の例示が適用され、前記ヘテロアリールシリル基中のヘテロアリール基は、前記ヘテロアリール基の例示が適用されてもよい。
【0034】
本明細書において、ホウ素基は、-BR100R101であってもよく、前記R100およびR101は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;ニトリル基;置換もしくは非置換の炭素数3~30の単環もしくは多環のシクロアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;および置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基からなる群より選択されてもよい。前記ホウ素基は、具体的に、ジメチルホウ素基、ジエチルホウ素基、t-ブチルメチルホウ素基、ジフェニルホウ素基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書において、アミン基は、-NH2、アルキルアミン基、N-アルキルアリールアミン基、アリールアミン基、N-アリールヘテロアリールアミン基、N-アルキルヘテロアリールアミン基、およびヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。アミン基の具体的な例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、N-フェニルトリルアミン基、N-フェニルビフェニルアミン基、N-フェニルナフチルアミン基、N-ビフェニルナフチルアミン基、N-ナフチルフルオレニルアミン基、N-フェニルフェナントレニルアミン基、N-ビフェニルフェナントレニルアミン基、N-フェニルフルオレニルアミン基、N-フェニルテルフェニルアミン基、N-フェナントレニルフルオレニルアミン基、N-ビフェニルフルオレニルアミン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書において、N-アルキルアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびアリール基が置換されたアミン基を意味する。前記N-アルキルアリールアミン基中のアルキル基およびアリール基は、前述したアルキル基およびアリール基の例示と同様である。
【0037】
本明細書において、N-アリールヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアリール基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。前記N-アリールヘテロアリールアミン基中のアリール基およびヘテロアリール基は、前述したアリール基およびヘテロアリール基の例示と同様である。
【0038】
本明細書において、N-アルキルヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。前記N-アルキルヘテロアリールアミン基中のアルキル基およびヘテロアリール基は、前述したアルキル基およびヘテロアリール基の例示と同様である。
【0039】
本明細書において、アルキルアミン基の例としては、置換もしくは非置換のモノアルキルアミン基、または置換もしくは非置換のジアルキルアミン基が挙げられる。前記アルキルアミン基中のアルキル基は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であってもよい。前記アルキル基を2以上含むアルキルアミン基は、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、または直鎖状アルキル基および分岐鎖状アルキル基を同時に含んでもよい。例えば、前記アルキルアミン基中のアルキル基は、前述したアルキル基の例示の中から選択されてもよい。
【0040】
本明細書において、アリールアミン基の例としては、置換もしくは非置換のモノアリールアミン基、または置換もしくは非置換のジアリールアミン基が挙げられる。前記アリールアミン基中のアリール基は、単環式アリール基であってもよく、多環式アリール基であってもよい。前記アリール基を2以上含むアリールアミン基は、単環式アリール基、多環式アリール基、または単環式アリール基および多環式アリール基を同時に含んでもよい。例えば、前記アリールアミン基中のアリール基は、前述したアリール基の例示の中から選択されてもよい。
【0041】
本明細書において、ヘテロアリールアミン基の例としては、置換もしくは非置換のモノヘテロアリールアミン基、または置換もしくは非置換のジヘテロアリールアミン基が挙げられる。前記ヘテロアリール基を2以上含むヘテロアリールアミン基は、単環式ヘテロアリール基、多環式ヘテロアリール基、または単環式ヘテロアリール基および多環式ヘテロアリール基を同時に含んでもよい。例えば、前記ヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基は、前述したヘテロアリール基の例示の中から選択されてもよい。
【0042】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が二つ存在するもの、すなわち、2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除いては、前述したアリール基の説明が適用されてもよい。
【0043】
本明細書において、「重水素化」または「重水素化された」とは、化合物の置換可能な位置の水素が重水素で置換されたことを意味する。
【0044】
本明細書において、「過重水素化された」とは、分子内のすべての水素が重水素で置換された化合物または基を意味し、「100%重水素化された」のと同一の意味を有する。
【0045】
本明細書において、「X%重水素化された」、「重水素化率X%」、または「重水素置換率X%」とは、当該構造において置換可能な位置の水素中のX%が重水素で置換されたことを意味する。例えば、当該構造がジベンゾフランである場合、前記ジベンゾフランが「25%重水素化された」、前記ジベンゾフランの「重水素化率25%」、または前記ジベンゾフランの「重水素置換率25%」とは、前記ジベンゾフランの置換可能な位置の8個の水素中の2個が重水素で置換されたことを意味する。
【0046】
本明細書において、重水素化率は、核磁気共鳴分光法(1H NMR)、TLC/MS(Thin-Layer Chromatography/Mass Spectrometry)、またはMALDI-TOF MS(Matrix assisted laser desorption/ionization Time-of-Flight Mass Spectrometry)などの公知の方法により確認することができる。
【0047】
本明細書において、特に定義しない限り、本明細書で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で説明されるものと類似または等価の方法および材料が本発明の実施形態の実施または試験で用いられてもよいが、適した方法および材料については後述する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体的に本明細書に参考として含まれ、相反する場合、特定の語句(passage)が言及されなければ、定義をはじめとする本明細書が優先するであろう。なお、材料、方法、および実施例は、単に例示的なものであって、制限しようとするものではない。
【0048】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式1-1または1-2で表される。
[化学式1-1]
【化7】
[化学式1-2]
【化8】
前記化学式1-1および1-2において、
D、Ar1、a1、およびR1~R9の定義は、前記化学式1における定義と同様であり、
L11は、置換もしくは非置換のアリーレン基である。
【0049】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式1-3または1-4で表される。
[化学式1-3]
【化9】
[化学式1-4]
【化10】
前記化学式1-3および1-4において、
D、Ar1、a1、およびR1~R9の定義は、前記化学式1における定義と同様であり、
a2は0~4の整数であり、
a3は0~4の整数であり、
a4は0~4の整数であり、
0≦a3+a4≦6である。
【0050】
本明細書の一実施態様によれば、前記a2~a4の定義において、0は、重水素の代わりに水素が結合することを意味する。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、前記a2は1~4の整数である。
【0052】
本明細書の一実施態様によれば、前記a2は0である。
【0053】
本明細書の一実施態様によれば、前記a2は1である。
【0054】
本明細書の一実施態様によれば、前記a2は2である。
【0055】
本明細書の一実施態様によれば、前記a2は3である。
【0056】
本明細書の一実施態様によれば、前記a2は4である。
【0057】
本明細書の一実施態様によれば、前記a3は1~4の整数である。
【0058】
本明細書の一実施態様によれば、前記a3は0である。
【0059】
本明細書の一実施態様によれば、前記a3は1である。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、前記a3は2である。
【0061】
本明細書の一実施態様によれば、前記a3は3である。
【0062】
本明細書の一実施態様によれば、前記a3は4である。
【0063】
本明細書の一実施態様によれば、前記a4は1~4の整数である。
【0064】
本明細書の一実施態様によれば、前記a4は0である。
【0065】
本明細書の一実施態様によれば、前記a4は1である。
【0066】
本明細書の一実施態様によれば、前記a4は2である。
【0067】
本明細書の一実施態様によれば、前記a4は3である。
【0068】
本明細書の一実施態様によれば、前記a4は4である。
【0069】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1は1である。
【0070】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1は2である。
【0071】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1は3である。
【0072】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1は4である。
【0073】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1は5である。
【0074】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1は6である。
【0075】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1は7である。
【0076】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1は8である。
【0077】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9のうち少なくとも一つは重水素であり、残りは水素である。
【0078】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9のいずれか一つは重水素であり、残りは水素である。
【0079】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9のいずれか二つは重水素であり、残りは水素である。
【0080】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9のいずれか三つは重水素であり、残りは水素である。
【0081】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9のいずれか四つは重水素であり、残りは水素である。
【0082】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9のいずれか五つは重水素であり、残りは水素である。
【0083】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9のいずれか六つは重水素であり、残りは水素である。
【0084】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9のいずれか七つは重水素であり、残りは水素である。
【0085】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9のいずれか八つは重水素であり、残りの一つは水素である。
【0086】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9は重水素である。
【0087】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R9は水素である。
【0088】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;または重水素で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリーレン基であり、前記Ar1は、重水素、炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基、およびこれらの組み合わせのうち1以上の置換基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0089】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリーレン基である。
【0090】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリーレン基である。
【0091】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;または重水素で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリーレン基である。
【0092】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;または重水素で置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリーレン基である。
【0093】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1は、直接結合;重水素で置換もしくは非置換のフェニレン基;または重水素で置換もしくは非置換のナフチレン基である。
【0094】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1は、置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0095】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基である。
【0096】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1は、重水素、炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基、およびこれらの組み合わせのうち1以上の置換基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0097】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1は、重水素、炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基、およびこれらの組み合わせのうち1以上の置換基で置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基である。
【0098】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1は、重水素、ナフチル基、およびこれらの組み合わせのうち1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のビフェニル基;または重水素で置換もしくは非置換のナフチル基である。
【0099】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化合物の中から選択されるいずれか一つである。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
。
【0100】
本明細書は、前述した化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0101】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする際、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0102】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする際、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0103】
本発明において、前記「層」は、本技術分野で主に用いられる「フィルム」と互換する意味であり、目的とする領域を覆うコーティングを意味する。前記「層」の大きさは限定されず、それぞれの「層」はその大きさが同一でも異なっていてもよい。一実施態様によれば、「層」の大きさは、全体素子と同一であってもよく、特定の機能性領域の大きさに相当してもよく、単一サブピクセル(sub-pixel)だけ小さくてもよい。
【0104】
本明細書において、特定のA物質がB層に含まれるという意味は、i)1種以上のA物質が一つのB層に含まれることと、ii)B層が1層以上に構成され、A物質が多層のB層のうち1層以上に含まれることをすべて含む。
【0105】
本明細書において、特定のA物質がC層またはD層に含まれるとは、i)1層以上のC層のうち1層以上に含まれるか、ii)1層以上のD層のうち1層以上に含まれるか、iii)1層以上のC層および1層以上のD層にそれぞれ含まれることをすべて意味する。
【0106】
本明細書は、第1電極;第2電極;および前記第1電極と第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1で表される化合物を含む、有機発光素子を提供する。
【0107】
本明細書の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子遮断層、正孔遮断層などを含む構造を有してもよい。しかし、有機発光素子の構造は、これに限定されず、さらに少ない数の有機層を含んでもよい。
【0108】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、または電子遮断層を含み、前記正孔注入層、正孔輸送層、または電子遮断層は、前記化合物を含む。
【0109】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記化合物を含む。
【0110】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記化合物を発光層のホストとして含む。
【0111】
本明細書の一実施態様によれば、前記発光層は、ドーパントを含み、前記ドーパントは、蛍光性ドーパント、燐光性ドーパント、および熱活性化遅延蛍光系ドーパントからなる群より選択される1以上を含む。
【0112】
本明細書の一実施態様によれば、前記蛍光性ドーパントは、アリールアミン系化合物およびボロン系化合物からなる群より選択される1以上を含む。
【0113】
本明細書の一実施態様によれば、前記蛍光性ドーパントは、アリールアミン系化合物である。
【0114】
本明細書の一実施態様によれば、前記蛍光性ドーパントは、ボロン系化合物である。
【0115】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホストおよびドーパントを含み、前記ホストは、前記化合物を含み、前記ドーパントは、前記蛍光性ドーパント、燐光性ドーパント、および熱活性化遅延蛍光系ドーパントからなる群より選択される1以上を含む。
【0116】
本明細書の一実施態様によれば、前記アリールアミン系化合物は、下記化学式D-1で表される。
[化学式D-1]
【化27】
前記化学式D-1において、
L101およびL102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
Ar101~Ar104は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0117】
本明細書の一実施態様によれば、前記L101およびL102は直接結合である。
【0118】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar101~Ar104は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基である。
【0119】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar101~Ar104は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基である。
【0120】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar101~Ar104は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基で置換のフェニル基;またはジベンゾフラン基である。
【0121】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式D-1は、下記化合物で表される。
【化28】
【0122】
本明細書の一実施態様によれば、前記ボロン系化合物は、下記化学式D-2で表される。
[化学式D-2]
【化29】
前記化学式D-2において、
T1~T5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアミン基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
t3およびt4はそれぞれ1~4の整数であり、
t5は1~3の整数であり、
前記t3が2以上である場合、前記2以上のT3は互いに同一または異なり、
前記t4が2以上である場合、前記2以上のT4は互いに同一または異なり、
前記t5が2以上である場合、前記2以上のT5は互いに同一または異なる。
【0123】
本明細書の一実施態様によれば、前記T1~T5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリールアミン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0124】
本明細書の一実施態様によれば、前記T1~T5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;炭素数6~30の単環もしくは多環のアリールアミン基;または炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0125】
本明細書の一実施態様によれば、前記T1~T5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;tert-ブチル基;ジフェニルアミン基;またはtert-ブチル基で置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0126】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式D-2は、下記化合物で表される。
【化30】
【0127】
本明細書の一実施態様によれば、前記燐光性ドーパントおよび熱活性化遅延蛍光系ドーパントとしては、当該技術分野で周知のものを用いるが、これらに限定されない。
【0128】
本明細書の一実施態様によれば、前記発光層は、ホストおよびドーパントを99:1~1:99の重量比で含む。具体的には99:1~50:50の重量比、より具体的には99:1~95:5の重量比で含む。
【0129】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔遮断層、および電子遮断層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含む。
【0130】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、第1電極;第2電極;前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた発光層;および前記発光層と前記第1電極との間、または前記発光層と前記第2電極との間に備えられた2層以上の有機物層を含む。
【0131】
本明細書の一実施態様によれば、前記発光層と前記第1電極との間、または前記発光層と前記第2電極との間の2層以上の有機物層は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、正孔注入および輸送層、電子遮断層、正孔遮断層、電子注入層、電子輸送層、および電子注入および輸送層からなる群より2以上が選択されてもよい。
【0132】
本明細書の一実施態様によれば、前記発光層と前記第1電極との間に2層以上の正孔注入層を含む。前記2層以上の正孔注入層は、互いに同一または異なる物質を含んでもよい。
【0133】
本明細書の一実施態様によれば、前記発光層と前記第1電極との間に2層以上の正孔輸送層を含む。前記2層以上の正孔輸送層は、互いに同一または異なる物質を含んでもよい。
【0134】
本明細書の一実施態様によれば、前記発光層と前記第2電極との間に2層以上の電子輸送層を含む。前記2層以上の電子輸送層は、互いに同一または異なる物質を含んでもよい。
【0135】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極は、アノードまたはカソードである。
【0136】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2電極は、カソードまたはアノードである。
【0137】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、基板上に、アノード、1層以上の有機物層、およびカソードが順次積層された構造(normal type)の有機発光素子であってもよい。
【0138】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、基板上に、カソード、1層以上の有機物層、およびアノードが順次積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であってもよい。
【0139】
例えば、本明細書の一実施態様による有機発光素子の構造が
図1および2に例示されている。
図1および2は、有機発光素子を例示したものであって、これらに限定されるものではない。
【0140】
図1には、基板1の上に、第1電極2、発光層4、および第2電極3が順次積層された有機発光素子の構造が例示されている。前記化学式1の化合物は、発光層4に含まれる。
【0141】
図2には、基板1、第1電極2、第1正孔注入層5、第2正孔注入層6、正孔輸送層7、電子遮断層8、発光層4、第1電子輸送層9、第2電子輸送層10、電子注入層11、および第2電極3が順次積層された有機発光素子の構造が例示されている。この構造において、前記化合物は、前記発光層4に含まれてもよい。
【0142】
本明細書の有機発光素子は、発光層が前記化合物、すなわち、前記化学式1で表される化合物を含むことを除いては、当該技術分野で周知の材料および方法により製造されてもよい。
【0143】
前記有機発光素子が複数の有機物層を含む場合、前記有機物層は、同一の物質または異なる物質から形成されてもよい。
【0144】
例えば、本明細書の有機発光素子は、基板上に、第1電極、有機物層、および第2電極を順次積層させることで製造することができる。この際、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸着法(e-beam evaporation)のようなPVD(physical Vapor Deposition)方法を用いて、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させてアノードを形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上にカソードとして使用可能な物質を蒸着させることで製造することができる。このような方法の他にも、基板上に第2電極物質、有機物層、および第1電極物質を順次蒸着させて有機発光素子を製造することができる。
【0145】
また、前記化学式1で表される化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法により有機物層に形成されてもよい。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらに限定されない。
【0146】
このような方法の他にも、基板上に第2電極物質から有機物層、第1電極物質を順次蒸着させて有機発光素子を作製することができる。ただし、製造方法がこれらに限定されるものではない。
【0147】
前記第1電極物質としては、通常、有機物層への正孔注入が円滑になるように仕事関数の大きい物質が好ましい。例えば、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール、およびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
前記第2電極物質としては、通常、有機物層への電子注入が容易になるように仕事関数の小さい物質が好ましい。例えば、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、および鉛のような金属またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alのような多層構造の物質などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含んでもよい。本明細書の一実施態様による前記化学式1で表される化合物を含む発光層の他に追加の発光層を含む場合、ホスト材料としては、縮合および/または非縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などが挙げられる。具体的に、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などが挙げられ、ヘテロ環含有化合物としては、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
前記ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などが挙げられる。具体的に、芳香族アミン誘導体は、置換もしくは非置換のアリールアミン基を有する縮合芳香族環誘導体として、アリールアミン基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどが挙げられる。また、スチリルアミン化合物は、置換もしくは非置換のアリールアミンに少なくとも1個のアリールビニル基が置換されている化合物として、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基、およびアリールアミン基からなる群より1または2以上選択される置換基が置換もしくは非置換される。具体的に、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、金属錯体としては、イリジウム錯体、白金錯体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
前記正孔注入層は、電極から正孔を受け取る層である。正孔注入物質は、正孔を輸送する能力を有し、アノードから正孔受け取り効果、および発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有することが好ましい。また、発光層で生成されたエキシトンの電子注入層または電子注入材料への移動を防止可能な能力に優れた物質が好ましい。また、薄膜形成能力に優れた物質が好ましい。また、正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)がアノード物質の仕事関数と周辺有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体的な例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物;ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物;キナクリドン(quinacridone)系の有機物;ペリレン(perylene)系の有機物;アントラキノン、ポリアニリンのようなポリチオフェン系の導電性高分子などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
本明細書の一実施態様によれば、前記正孔注入層は、下記化学式HI-1で表される化合物を含むが、これのみに限定されるものではない。
[化学式HI-1]
【化31】
前記化学式HI-1において、
R300~R308は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
r301およびr302は、それぞれ1~4の整数であり、
r303およびr304は、それぞれ1~3の整数であり、
前記r301が2以上である場合、前記R301は互いに同一または異なり、
前記r302が2以上である場合、前記R302は互いに同一または異なり、
前記r303が2以上である場合、前記R303は互いに同一または異なり、
前記r304が2以上である場合、前記R304は互いに同一または異なる。
【0153】
本明細書の一実施態様によれば、前記R301~R304は水素である。
【0154】
本明細書の一実施態様によれば、前記R300は、置換もしくは非置換のアリール基である。
【0155】
本明細書の一実施態様によれば、前記R300は、炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0156】
本明細書の一実施態様によれば、前記R300はフェニル基である。
【0157】
本明細書の一実施態様によれば、前記R300は、R301またはR302と結合して置換もしくは非置換の環を形成する。
【0158】
本明細書の一実施態様によれば、前記R300は、R301またはR302と結合してインドール環を形成する。
【0159】
本明細書の一実施態様によれば、前記R305~R308は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0160】
本明細書の一実施態様によれば、前記R305~R308は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基である。
【0161】
本明細書の一実施態様によれば、前記R305~R308は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基;またはフェニル基で置換もしくは非置換のカルバゾール基である。
【0162】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式HI-1は、下記化合物で表される。
【化32】
【0163】
本明細書の一実施態様によれば、前記正孔注入層は、下記化学式HI-2で表される化合物を含むが、これのみに限定されるものではない。
[化学式HI-2]
【化33】
前記化学式HI-2において、
X'1~X'6のうち少なくとも一つはNであり、残りはCHであり、
R309~R314は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成する。
【0164】
本明細書の一実施態様によれば、前記X'1~X'6はNである。
【0165】
本明細書の一実施態様によれば、前記R309~R314はシアノ基である。
【0166】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式HI-2は、下記化合物で表される。
【化34】
【0167】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層である。正孔輸送物質は、アノードや正孔注入層から正孔を受け取って発光層に移せる物質であって、正孔に対する移動性の大きい物質が好ましい。具体的な例としては、アリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共に存在するブロック共重合体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
本明細書の一実施態様によれば、前記正孔輸送層は、下記化学式HT-1で表される化合物を含むが、これのみに限定されるものではない。
[化学式HT-1]
【化35】
前記化学式HT-1において、
R315~R317は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つであるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
r315は1~5の整数であり、前記r315が2以上である場合、2以上の前記R315は互いに同一または異なり、
r316は1~5の整数であり、前記r316が2以上である場合、2以上の前記R316は互いに同一または異なる。
【0169】
本明細書の一実施態様によれば、前記R317は、置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つである。
【0170】
本明細書の一実施態様によれば、前記R317は、カルバゾール基;フェニル基;ビフェニル基;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つである。
【0171】
本明細書の一実施態様によれば、前記R315およびR316は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して、アルキル基で置換の芳香族炭化水素環を形成する。
【0172】
本明細書の一実施態様によれば、前記R315およびR316は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基であるか、隣接した基と互いに結合して、メチル基で置換のインデンを形成する。
【0173】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式HT-1は、下記化合物のいずれか一つで表される。
【化36】
【0174】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取って発光層まで電子を輸送する層である。電子輸送物質は、カソードから電子の注入を円滑に受けて発光層に移せる物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好ましい。具体的な例としては、8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alq3を含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン-金属錯体などが挙げられるが、これらに限定されない。電子輸送層は、従来技術により用いられたように、任意の所望のカソード物質とともに用いてもよい。特に、適したカソード物質は、低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く通常の物質である。具体的に、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウム、およびサマリウムなどが挙げられ、それぞれの場合、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く。
【0175】
本明細書の一実施態様によれば、前記電子輸送層は、下記化学式ET-1で表される化合物を含む。
[化学式ET-1]
【化37】
前記化学式ET-1において、
X'7およびX'8のうち少なくとも一つはNであり、残りはCHであり、
R318~R323は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
L'1は、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
r322は1~7の整数であり、前記r322が2以上である場合、前記R322は互いに同一または異なり、
l'1は1~5の整数であり、前記l'1が2以上である場合、前記L'1は互いに同一または異なる。
【0176】
本明細書の一実施態様によれば、前記R318~R323は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアリール基であり、隣接した基が互いに結合して置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環を形成する。
【0177】
本明細書の一実施態様によれば、前記R318~R323は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基;またはナフチル基であるか、隣接した基が互いに結合してベンゼンを形成する。
【0178】
本明細書の一実施態様によれば、前記L'1は、置換もしくは非置換のアリーレン基である。
【0179】
本明細書の一実施態様によれば、前記L'1はフェニレン基である。
【0180】
本明細書の一実施態様によれば、前記ET-1は、下記化合物で表される。
【化38】
【0181】
本明細書の一実施態様によれば、前記電子輸送層は、下記化学式ET-2で表される化合物を含む。
[化学式ET-2]
【化39】
前記化学式ET-2において、
T7~T9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つであるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
t7は1~4の整数であり、前記t7が2以上である場合、2以上の前記T7は互いに同一または異なり、
t8は1~4の整数であり、前記t8が2以上である場合、2以上の前記T8は互いに同一または異なり、
t9は1~10の整数であり、前記t9が2以上である場合、2以上の前記T9は互いに同一または異なる。
【0182】
本明細書の一実施態様によれば、前記T7~T9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアリール基;および置換もしくは非置換のヘテロアリール基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つである。
【0183】
本明細書の一実施態様によれば、前記T7~T9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;カルバゾール基;フェニル基;ビフェニル基;トリアジン基;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つである。
【0184】
本明細書の一実施態様によれば、前記ET-2は、下記化合物で表される。
【化40】
【0185】
前記電子輸送層は、金属錯体をさらに含んでもよい。前記金属としては、当業界で用いられる金属を用いてもよい。
【0186】
前記電子注入層は、電極から電子を受け取る層である。電子注入物質は、電子を輸送する能力に優れ、カソードからの電子受け取り効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有することが好ましい。また、発光層で生成されたエキシトンが正孔注入層に移動するのを防止し、薄膜形成能力に優れた物質が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フルオレニリデンメタン、アントロンなどとその誘導体、金属錯体化合物、および含窒素5員環誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
前記金属錯体化合物としては、8-ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(2-ナフトラート)ガリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0188】
前記電子遮断層は、電子注入層から注入された電子が発光層を経て正孔注入層に進入するのを防止して素子の寿命および効率を向上可能な層である。公知の材料は、制限なく使用可能であり、発光層と正孔注入層との間に、発光層と正孔輸送層との間に、または発光層と正孔注入および正孔輸送を同時にする層との間に形成されてもよい。
【0189】
前記正孔遮断層は、正孔のカソード到達を阻止する層であり、一般に、電子注入層と同様の条件で形成されてもよい。具体的に、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体(aluminum complex)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
本明細書による有機発光素子は、用いられる材料に応じて、トップエミッション型、ボトムエミッション型、または両面発光型であってもよい。
【0191】
本明細書による有機発光素子は、多様な電子装置に含まれて用いられてもよい。例えば、前記電子装置は、ディスプレイパネル、タッチパネル、太陽光モジュール、照明装置などであってもよく、これらに限定されない。
【実施例】
【0192】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例および比較例などを挙げて詳しく説明する。ただし、本明細書による実施例および比較例は種々の異なる形態に変形されてもよく、本明細書の範囲が以下に記述する実施例および比較例に限定されるものと解釈されない。本明細書の実施例および比較例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0193】
合成例1.Core-1の合成
【化41】
<1-a>化合物Core-1の製造
3-クロロ-ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ビスベンゾフラン(50g、170.81mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(54.3g、256.22mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.9g、6.7mmol)、酢酸カリウム(33.5g、341.6mmol)、およびPd(dba)
2(1.9g、3.4mmol)を1,4-ジオキサン(400ml)に入れ、6時間還流させた。反応溶液を冷まし、有機層をエチルアセテートで抽出した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で有機溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、化合物Core-1(44.0g、収率67%)を得た。
MS:[M+H]+=385
【0194】
合成例2.Core-2の合成
【化42】
<2-a>化合物Core-2-aの製造
化合物Core-1(40g、104.1mmol)、1-ブロモ-3-クロロベンゼン(18.9g、98.9mmol)をTHF(400ml)に溶かした後、Pd(PPh
3)
4(1.2g、1.0mmol)と2M K
2CO
3水溶液80mlを入れ、4時間還流させた。反応溶液を冷まし、有機層をエチルアセテートで抽出した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で有機溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、化合物Core-2-a(23.7g、収率65%)を得た。
MS:[M+H]+=369
【0195】
<2-b>化合物Core-2の製造
前記合成例1の<1-a>化合物Core-1の製造において、3-クロロ-ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ビスベンゾフランの代わりに化合物Core-2-aを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物Core-2を得た。
MS:[M+H]+=461
【0196】
合成例3.Core-3の合成
【化43】
<3-a>化合物Core-3-aの製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに1-ブロモ-4-クロロベンゼンを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物Core-3-aを得た。
MS:[M+H]+=369
【0197】
<3-b>化合物Core-3の製造
前記合成例1の<1-a>化合物Core-1の製造において、3-クロロ-ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ビスベンゾフランの代わりに化合物Core-3-aを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物Core-3を得た。
MS:[M+H]+=461
【0198】
合成例4.Core-4の合成
【化44】
<4-a>化合物Core-4-aの製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに1-ブロモ-6-クロロナフタレンを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物Core-4-aを得た。
MS:[M+H]+=419
【0199】
<4-b>化合物Core-4の製造
前記合成例1の<1-a>化合物Core-1の製造において、3-クロロ-ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ビスベンゾフランの代わりに化合物Core-4-aを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物Core-4を得た。
MS:[M+H]+=511
【0200】
合成例5.BH-1の合成
【化45】
<5-a>化合物BH-1の製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-ブロモ-10-フェニルアントラセン-1,2,3,4,5,6,7,8-d
8を用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-1を得た。
MS:[M+H]+=519
【0201】
合成例6.BH-2の合成
【化46】
<6-a>化合物BH-2の製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-ブロモ-10-(ナフタレン-1-イル)アントラセン-1,2,3,4,5,6,7,8-d
8を用い、化合物Core-1の代わりに化合物Core-2を用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-2を得た。
MS:[M+H]+=645
【0202】
合成例7.BH-3の合成
【化47】
<7-a>化合物BH-3-aの製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-ブロモアントラセンを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-3-aを得た。
MS:[M+H]+=435
【0203】
<7-b>化合物BH-3-bの製造
化合物BH-3-a(40g、92.1mmol)とAlCl3(8g、60mmol)をC6D6(800ml)に入れ、5時間撹拌した。反応終了後、D2O(50ml)を入れて30分間撹拌した後、トリメチルアミン(trimethylamine)(5ml)を滴加した。反応液を分液漏斗に移し、水とトルエンで抽出した。抽出液をMgSO4で乾燥した後、エチルアセテートで再結晶し、BH-3-b(27.9g、収率67%)を得た。
MS:[M+H]+=453
【0204】
<7-c>化合物BH-3-cの製造
化合物BH-3-b(30g、66.3mmol)をジメチルホルムアミド250mlに分散させた後、ジメチルホルムアミド50mlに溶かしたn-ブロモスクシンイミド(12.4g、69.6mmol)溶液を徐々に滴加した。常温で4時間反応した後、水600mlを滴加した。固体が生成されると、フィルタ後、エチルアセテートに溶かして分液漏斗に入れた後、蒸留水で数回洗浄する。EAで再結晶し、化合物BH-3-c(29.9g、収率85%)を得た。
MS:[M+H]+=531
【0205】
<7-d>化合物BH-3の製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに化合物BH-3-cを用い、化合物Core-1の代わりに[1,1'-ビフェニル]-2-イルボロン酸を用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-3を得た。
MS:[M+H]+=604
【0206】
合成例8.BH-4の合成
【化48】
<8-a>化合物BH-4の製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-ブロモ-10-(ナフタレン-1-イル)アントラセン-1,2,3,4,5,6,7,8-d
8を用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-4を得た。
MS:[M+H]+=569
【0207】
合成例9.BH-5の合成
【化49】
<9-a>化合物BH-5の製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-ブロモ-10-(ナフタレン-2-イル-d7)アントラセン-1,2,3,4,5,6,7,8-d
8を用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-5を得た。
MS:[M+H]+=576
【0208】
合成例10.BH-6の合成
【化50】
<10-a>化合物BH-6-aの製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-([1,1'-ビフェニル]-3-イル)-10-ブロモアントラセンを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-6-aを得た。
MS:[M+H]+=587
【0209】
<10-b>化合物BH-6の製造
前記合成例7の<7-b>化合物BH-3-bの製造において、化合物BH-3-aの代わりに化合物BH-6-aを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-6を得た。
MS:[M+H]+=613
【0210】
合成例11.BH-7の合成
【化51】
<11-a>化合物BH-7-aの製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-ブロモ-10-フェニルアントラセンを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-7-aを得た。
MS:[M+H]+=511
【0211】
<11-b>化合物BH-7の製造
前記合成例7の<7-b>化合物BH-3-bの製造において、化合物BH-3-aの代わりに化合物BH-7-aを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-7を得た。
MS:[M+H]+=533
【0212】
合成例12.BH-8の合成
【化52】
<12-a>化合物BH-8-aの製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、化合物Core-1の代わりに化合物Core-3を用い、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-ブロモ-10-(ナフタレン-1-イル)アントラセンを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-8-aを得た。
MS:[M+H]+=637
【0213】
<12-b>化合物BH-8の製造
前記合成例7の<7-b>化合物BH-3-bの製造において、化合物BH-3-aの代わりに化合物BH-8-aを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-8を得た。
MS:[M+H]+=665
【0214】
合成例13.BH-9の合成
【化53】
<13-a>化合物BH-9の製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-ブロモ-10-(ナフタレン-1-イル-d7)アントラセン-1,2,3,4,5,6,7,8-d
8を用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-9を得た。
MS:[M+H]+=576
【0215】
合成例14.BH-10の合成
【化54】
<14-a>化合物BH-10-aの製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、化合物Core-1の代わりに化合物Core-4を用い、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-([1,1'-ビフェニル]-3-イル)-10-ブロモアントラセンを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-10-aを得た。
MS:[M+H]+=713
【0216】
<14-b>化合物BH-10の製造
合成例7の<7-b>化合物BH-3-bの製造において、化合物BH-3-aの代わりに化合物BH-10-aを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-10を得た。
MS:[M+H]+=746
【0217】
合成例15.BH-11の合成
【化55】
<15-a>化合物BH-11の製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに化合物BH-3-cを用い、化合物Core-1の代わりに[1,1'-ビフェニル]-4-イルボロン酸を用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-11を得た。
MS:[M+H]+=604
【0218】
合成例16.BH-12の合成
【化56】
<12-a>化合物BH-12-aの製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに9-ブロモアントラセンを用い、化合物Core-1の代わりに化合物Core-3を用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-12-aを得た。
MS:[M+H]+=511
【0219】
<12-b>化合物BH-12-bの製造
前記合成例7の<7-b>化合物BH-3-bの製造において、化合物BH-3-aの代わりに化合物BH-12-aを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-12-bを得た。
MS:[M+H]+=533
【0220】
<12-c>化合物BH-12-cの製造
前記合成例7の<7-c>化合物BH-3-cの製造において、化合物BH-3-bの代わりに化合物BH-12-bを用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-12-cを得た。
MS:[M+H]+=611
【0221】
<12-d>化合物BH-12の製造
前記合成例2の<2-a>化合物Core-2-aの製造において、1-ブロモ-3-クロロベンゼンの代わりに化合物BH-12-cを用い、化合物Core-1の代わりに[1,1'-ビフェニル]-4-イルボロン酸を用いたことを除いては同様に合成および精製し、化合物BH-12を得た。
MS:[M+H]+=684
【0222】
<実験例1:有機発光素子の作製>
実施例1
ITO(indium tin oxide)を1,400Åの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を、洗剤を溶かした蒸留水に入れ、超音波で洗浄した。この際、洗剤としてはフィッシャー社製(Fischer Co.)の製品を用い、蒸留水としては、ミリポア社製(Millipore Co.)のフィルタ(Filter)で2次濾過した蒸留水を用いた。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返して超音波洗浄を10分間行った。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールの溶剤で超音波洗浄をして乾燥させた後、プラズマ洗浄機に輸送させた。また、酸素プラズマを用いて前記基板を5分間洗浄した後、真空蒸着機に基板を輸送させた。
【0223】
上記のように準備したITO透明電極上に、下記HI-AとHATCNをそれぞれ650Å、50Åの厚さに熱真空蒸着して第1正孔注入層および第2正孔注入層を順次形成した。前記第2正孔注入層上に、下記HT-Aを600Åの厚さに真空蒸着して正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層上に、下記HT-Bを50Åの厚さに真空蒸着して電子遮断層を形成した。
【0224】
その次に、前記電子遮断層上に、青色発光ドーパントとして下記化合物BD-Aを発光層の全重量に対して4wt%、ホストとして下記化合物BH-1を発光層の全重量に対して96wt%、200Åの厚さに真空蒸着して発光層を形成した。
【0225】
その次に、前記発光層上に第1電子輸送層として下記化合物ET-Aの50Åを真空蒸着し、次いで、下記ET-BおよびLiQを1:1の重量比で真空蒸着して360Åの厚さに第2電子輸送層を形成した。前記第2電子輸送層上に、LiQを真空蒸着して5Åの厚さに真空蒸着して電子注入層を形成した。前記電子注入層上に220Åの厚さにアルミニウムと銀を10:1の重量比で蒸着し、その上にアルミニウムを1000Åの厚さに蒸着して陰極を形成した。
【0226】
上記の過程において、有機物の蒸着速度は0.4~0.9Å/secを維持し、陰極のアルミニウムは2Å/secの蒸着速度を維持し、蒸着時の真空度は1×10
-7~5×10
-8torrを維持して有機発光素子を作製した。
【化57】
【0227】
実施例2~12
前記実施例1において、発光層のホストとして前記化合物BH-1の代わりに下記表1に記載の化合物を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法を用いて実施例2~12の有機発光素子をそれぞれ作製した。
【化58】
【0228】
比較例1~5
前記実施例1において、発光層のホストとして前記化合物BH-1の代わりに下記化合物BH-aからBH-eをそれぞれ用いたことを除いては、実施例1と同様の方法を用いて比較例1~5の有機発光素子を作製した。
【化59】
【0229】
前記実施例1~12および比較例1~5の有機発光素子に10mA/cm2の電流密度を印加する際の電圧、換算効率(cd/A/y)、および20mA/cm2の電流密度を印加する際の寿命(LT95)を測定し、その結果を下記表1に示す。この際、LT95は、電流密度20mA/cm2での初期輝度を100%とした際の輝度が95%に減少するのに要される時間の比率を示した。
【0230】
【0231】
前記換算効率(cd/A/y)は、電流効率(cd/A)から材料の色純度(CIEy)まで考慮したものであり、高い輝度および高い色再現率を目標とする小型および大型有機発光素子における重要な効率の基準値となる。
【0232】
前記表1において、本明細書の一実施態様による化学式1の化合物を用いた有機発光素子である実施例1~12は、アントラセンに少なくとも一つの重水素を含む化合物を含み、比較例1は、重水素を含まない化合物を含み、比較例2~5は、アントラセンコアに重水素を含まない化合物を含む。
【0233】
具体的に、本明細書の一実施態様によるアントラセンに重水素を必ず含む化合物は、重水素を含まない比較例1、2、およびアントラセンコアに重水素を含まない比較例3~5よりも、電子および正孔の移動度が向上し、分子安定性が改善される構造的特性を有するため、これを含む有機発光素子は、駆動電圧、効率、および寿命的な面で優れることが分かった。