(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】CF-SMCおよびCF-SMCの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 11/16 20060101AFI20241217BHJP
D01G 1/04 20060101ALI20241217BHJP
B29K 105/12 20060101ALN20241217BHJP
【FI】
B29B11/16
D01G1/04 102
B29K105:12
(21)【出願番号】P 2020132813
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】小並 諭吉
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 康
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 禎雄
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 由貴廣
(72)【発明者】
【氏名】金羽木 惇二
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-076620(JP,A)
【文献】国際公開第2019/098370(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/017254(WO,A1)
【文献】特開平04-135714(JP,A)
【文献】特開平04-135713(JP,A)
【文献】特開2019-065405(JP,A)
【文献】国際公開第2017/221688(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/158496(WO,A1)
【文献】特開2009-114612(JP,A)
【文献】特開2014-205942(JP,A)
【文献】特開2018-053420(JP,A)
【文献】特開2022-087260(JP,A)
【文献】国際公開第2021/193234(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/187346(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/002746(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B11/16
15/08-15/14
B29C41/00-41/36
41/46-41/52
70/00-70/88
C08J5/04-5/10
5/24
D01G1/00-99/00
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1~6cmの範囲内の所定の繊維長を有するチョップド炭素繊維束からなるマットがマトリックス樹脂で含浸されてなるCF-SMCであって、該チョップド炭素繊維束がフィラメント数1K以上4K未満の成分を比率R
1、フィラメント数4K以上7K未満の成分を比率R
2、フィラメント数7K以上10K未満の成分を比率R
3で含有するとしたとき、比率R
1が10~30wt%、比率R
2が30~60wt%、比率R
3が10~30wt%、比率R
2およびR
3の合計が60wt%以上であり、さらに、該チョップド炭素繊維束がフィラメント数1K未満の成分およびフィラメント数16K以上の成分をいずれも1wt%以上含有しないCF-SMC。
【請求項2】
前記チョップド炭素繊維束がフィラメント数16K以上の成分を含有しない、請求項1に記載のCF-SMC。
【請求項3】
比率R
1が15wt%以上である、請求項1または2に記載のCF-SMC。
【請求項4】
比率R
1が25wt%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のCF-SMC。
【請求項5】
CF-SMCの重量に占める炭素繊維の重量の比率が45~65%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のCF-SMC。
【請求項6】
連続炭素繊維束をロータリーカッターでチョップしてチョップド炭素繊維束にする工程と、該ロータリーカッターの下方を走行するキャリアフィルム上に該チョップド炭素繊維束を堆積させて炭素繊維マットを形成する工程と、該炭素繊維マットをマトリックス樹脂で含浸させる工程とを有し、該キャリアフィルム上に堆積する前の該チョップド炭素繊維束に下記(A)の断片化処理装置を用いた断片化処理を施す、CF-SMCの製造方法:(A)それぞれがロータリーカッターの回転軸と平行な回転軸を有する第一ピンローラーと第二ピンローラーを備え、第一ピンローラーの最大半径と第二ピンローラーの最大半径の和が第一ピンローラーと第二ピンローラーの回転軸間距離よりも大きく、第一ピンローラーは第二ピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転駆動され、第二ピンローラーは第一ピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転駆動される、断片化処理装置。
【請求項7】
第一ピンローラーおよび第二ピンローラーの各々において、シリンダーの半径が最大半径の半分以上である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
第一ピンローラーのピン先端における周速と、第二ピンローラーのピン先端における周速が等しい、請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記連続炭素繊維束は、フィラメント数が12K以上18K未満でスプリットされていない連続炭素繊維束である、請求項6~8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記連続炭素繊維束は、部分的なスプリットによりフィラメント数12K以上18K未満のサブ束に分割された総フィラメント数24K以上の連続炭素繊維束である、請求項6~8のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SMC(シートモールディングコンパウンド)およびSMCの製造方法に関し、とりわけ、補強材として炭素繊維(CF)を用いたSMCであるCF-SMCと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、炭素繊維と樹脂とからなる複合材料であるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が、航空機、自動車、船舶その他各種の輸送機器の部品、スポーツ用品、レジャー用品などに幅広く使用されている。
ある種のCFRP製品は、CF-SMCから圧縮成形法により成形される。
CF-SMCは炭素繊維プリプレグの一種であり、チョップド炭素繊維束(chopped carbon fiber strand)からなるマットを熱硬化性樹脂組成物で含浸させた構造を有する。
CFRPは、トウサイズの小さな炭素繊維束、すなわち、繊維束を構成する炭素繊維フィラメントの数が少ない炭素繊維束で補強されたものほど、高強度であることが知られている(特許文献1)。
CF-SMCの製造において、原料に用いる連続炭素繊維束にスリットを入れて、フィラメント数の少ないサブ束に分割してからチョップする方法が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開US2012/0213997号
【文献】国際公開WO2017/006989号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CF-SMCは、フィラメント数の少ないチョップド炭素繊維束を用いたものほど、硬化物が高い強度を示す一方で、硬化温度における流動性が低下するために、それを用いて製造することができる成形品の形状が限られてくる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、硬化物の強度と硬化時の流動性のバランスが良好なCF-SMCを提供することを主たる目的とする。
本発明の各実施形態により解決され得る課題は、本明細書中に明示的または黙示的に開示されている場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好ましい実施形態には以下が含まれるが、限定するものではない。
[1]1~6cmの範囲内の所定の繊維長を有するチョップド炭素繊維束からなるマットがマトリックス樹脂で含浸されてなるCF-SMCであって、該チョップド炭素繊維束がフィラメント数1K以上4K未満の成分を比率R1、フィラメント数4K以上7K未満の成分を比率R2、フィラメント数7K以上10K未満の成分を比率R3で含有するとしたとき、比率R1が10~30wt%、比率R2が30~60wt%、比率R3が10~30wt%、比率R2およびR3の合計が60wt%以上であり、さらに、該チョップド炭素繊維束がフィラメント数1K未満の成分およびフィラメント数16K以上の成分をいずれも1wt%以上含有しないCF-SMC。
[2]前記チョップド炭素繊維束がフィラメント数16K以上の成分を含有しない、[1]に記載のCF-SMC。
[3]比率R1が15wt%以上または20wt%以上である、[1]または[2]に記載のCF-SMC。
[4]比率R1が25wt%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のCF-SMC。
[5]繊維含有率が45~65%である、[1]~[4]のいずれかに記載のCF-SMC。
[6]連続炭素繊維束をロータリーカッターでチョップしてチョップド炭素繊維束にする工程と、該ロータリーカッターの下方を走行するキャリアフィルム上に該チョップド炭素繊維束を堆積させて炭素繊維マットを形成する工程と、該炭素繊維マットをマトリックス樹脂で含浸させる工程とを有し、該キャリアフィルム上に堆積する前の該チョップド炭素繊維束に下記(A)の断片化処理装置を用いた断片化処理を施す、CF-SMCの製造方法:
(A)それぞれがロータリーカッターの回転軸と平行な回転軸を有する第一ピンローラーと第二ピンローラーを備え、第一ピンローラーの最大半径と第二ピンローラーの最大半径の和が第一ピンローラーと第二ピンローラーの回転軸間距離よりも大きく、第一ピンローラーは第二ピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転駆動され、第二ピンローラーは第一ピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転駆動される、断片化処理装置。
[7]第一ピンローラーおよび第二ピンローラーの各々において、シリンダーの半径が最大半径の半分以上である、[6]に記載の製造方法。
[8]第一ピンローラーのピン先端における周速と、第二ピンローラーのピン先端における周速が等しい、[6]または[7]に記載の製造方法。
[9]前記連続炭素繊維束は、フィラメント数が12K以上18K未満でスプリットされていない連続炭素繊維束である、[6]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]前記連続炭素繊維束は、部分的なスプリットによりフィラメント数12K以上18K未満のサブ束に分割された総フィラメント数24K以上の連続炭素繊維束である、[6]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、硬化物の強度と硬化時の流動性のバランスが良好なCF-SMCが提供される。他の一実施形態によれば、硬化物の強度と硬化時の流動性のバランスが良好なCF-SMCの製造に好ましく用い得るCF-SMC製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、部分的に5本にスプリットされた連続炭素繊維束を示す模式図であり、
図1(a)は厚さ方向から見た平面図、
図2(b)は繊維方向に垂直な断面を示す断面図である。
【
図3】
図3は、ロータリーカッターの模式図である。
【
図5】
図5は、断片化処理装置が備えるピンロールの模式図である。
【
図6】
図6は、平面展開したピンロールの周面の一部を示す。
【
図7】
図7は、断片化処理装置が備える2つのピンロールの位置関係等を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実験1~4で行ったCF-SMCのスパイラル流動長測定の結果を示すグラフである。
【
図9】
図9は、実験1~4で行ったCF-SMCの硬化物の曲げ強度測定の結果を示すグラフである。
【
図10】
図10は、実験1~4で行ったCF-SMCの硬化物の曲げ弾性率測定の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.CF-SMC
本発明の一実施形態はCF-SMC、すなわち、所定の繊維長を有するチョップド炭素繊維束からなる炭素繊維マットをマトリックス樹脂で含浸させた構造を有するシートモールディングコンパウンドに関する。
炭素繊維マットの単位面積あたり重量は、典型的には500~2500g/m2であるが、限定するものではない。
チョップド炭素繊維束の繊維長は、通常、1~6cmの範囲内であり、例えば約0.5インチ(約1.3cm)、約1インチ(約2.5cm)、約1.5インチ(約3.8cm)、約2インチ(約5.1cm)などであり得る。
【0009】
実施形態に係るCF-SMCは、炭素繊維マットをなすチョップド炭素繊維束のフィラメント数構成に特徴を有する。すなわち、該チョップド炭素繊維束がフィラメント数1K以上4K未満の成分を比率R1、フィラメント数4K以上7K未満の成分を比率R2、フィラメント数7K以上10K未満の成分を比率R3で含有するとしたとき、比率R1が10~30wt%、比率R2が30~60wt%、比率R3が10~30wt%であり、さらに、比率R2およびR3の合計が60wt%以上である。加えて、該チョップド炭素繊維束は、フィラメント数1K未満の成分とフィラメント数16K以上の成分を、どちらについても1wt%以上含有しない。特に、フィラメント数16K以上の成分については、全く含有しなくてもよい。
ここで、Kとは1000を意味する記号であり、例えば、3000本の炭素繊維フィラメントからなる炭素繊維束のフィラメント数は3Kと表され、12000本の炭素繊維フィラメントからなる炭素繊維束のフィラメント数は12Kと表される。
【0010】
実施形態に係るCF-SMCの硬化物の強度は、比率R1が高くなるにつれ高くなる傾向がある。従って、硬化物の強度向上の観点からは、比率R1は好ましくは15wt%以上、より好ましくは20wt%以上である。
実施形態に係るCF-SMCの硬化時の流動性は、比率R1が高くなるにつれ低下する傾向がある。従って、硬化時の流動性向上の観点からは、比率R1は好ましくは25wt%以下である。
実施形態に係るCF-SMCでは、比率R2と比率R3の合計が60wt%以上であり、チョップド炭素繊維束の重量にして過半をフィラメント数4K以上10K未満の成分が占める。
通常、比率R2は比率R3よりも大きい。
【0011】
チョップド炭素繊維束がフィラメント数16K以上の成分を1wt%以上含有しないことは、実施形態に係るCF-SMCの硬化物の高強度化に好ましく寄与する。これは、トウサイズが大きくマトリックス樹脂が浸潤し難いチョップド炭素繊維素束が少ない方が、CF-SMC中に樹脂リッチ領域が形成され難いからである。樹脂リッチ領域は局所的にマトリックス樹脂の含有量が高くなった部位であり、CF-SMCの硬化物中では破壊の起点となる脆弱部となる。
【0012】
実施形態に係るCF-SMCにおいて、チョップド炭素繊維束がフィラメント数1K未満の成分を1wt%以上含有しないことは、硬化時の流動性向上にとって好ましいだけでなく、硬化物の強度向上にとっても好ましい。フィラメント数1K未満のチョップド炭素繊維束は真直性が低いからである。更に、かかるチョップド炭素繊維束の含有量が少ないことで、炭素繊維マットをマトリックス樹脂で含浸させ易くなる。
【0013】
実施形態に係るCF-SMCの繊維含有率、すなわちCF-SMCの重量に占める炭素繊維の重量の比率は、限定するものではないが、45~65wt%であり得る。硬化物の弾性率および強度を考慮すると、該繊維含有率は好ましくは50wt%以上、より好ましくは53wt%以上である。硬化時の流動性を考慮すると、該繊維含有率は好ましくは60wt%以下である。
【0014】
実施形態に係るCF-SMCのマトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂を主要成分とし、硬化剤が配合されるとともに、必要に応じて増粘剤、重合禁止剤、低収縮剤、充填剤、難燃剤などの添加剤が配合された、樹脂組成物である。マトリックス樹脂は、炭素繊維マットを含浸させる段階では十分な流動性を有するペーストであり、含浸後に増粘される。
マトリックス樹脂の主成分として用いられる熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂およびフェノール樹脂である。これらから選ばれる二種以上を混合して使用することもできる。
【0015】
好ましい熱硬化性樹脂は、炭素繊維との接着性に優れる点から、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂である。ビニルエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂は、互いに混合して使用してもよく、また、スチレンや(メタ)アクリレートのようなエチレン系不飽和化合物からなる反応性希釈剤と混合して使用してもよい。
マトリックス樹脂の具体的な配合組成については、従来のCF-SMCで採用されているものを適宜参照することができる。
【0016】
2.CF-SMCの製造方法
本発明の一実施形態は、CF-SMCの製造方法に関する。
実施形態に係るCF-SMC製造方法は、連続炭素繊維束をロータリーカッターでチョップしてチョップド炭素繊維束にする工程と、該ロータリーカッターの下方を走行するキャリアフィルム上に該チョップド炭素繊維束を堆積させて炭素繊維マットを形成する工程と、該炭素繊維マットをマトリックス樹脂で含浸させる工程とを有する。
実施形態に係るCF-SMC製造方法では、更に、キャリアフィルム上に堆積する前のチョップド炭素繊維束に下記(A)の断片化処理装置を用いた断片化処理が施される。
(A)それぞれがロータリーカッターの回転軸と平行な回転軸を有する第一ピンローラーと第二ピンローラーを備え、第一ピンローラーの最大半径と第二ピンローラーの最大半径の和が第一ピンローラーと第二ピンローラーの回転軸間距離よりも大きく、第一ピンローラーは第二ピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転駆動され、第二ピンローラーは第一ピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転駆動される、断片化処理装置。
この断片化処理装置(A)を用いた断片化処理により、キャリアフィルム上に堆積する炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数構成は、断片化処理をしないときとは異なるものとなる。
【0017】
2.1.連続炭素繊維束
実施形態に係るCF-SMC製造方法において、原料の連続炭素繊維束に特段の限定はなく、例えば、市販のPAN系炭素繊維束を好ましく用いることができる。
前述の、実施形態に係るCF-SMCを製造する場合であれば、フィラメント数が12K以上18K未満でスプリットされていない連続炭素繊維束か、あるいは、部分的なスプリットによりフィラメント数12K以上18K未満のサブ束に分割された総フィラメント数24K以上の連続炭素繊維束を、好ましく用いることができる。
フィラメント数が16K未満でスプリットされていない連続炭素繊維束を原料に用いることにより、チョップド炭素繊維束がフィラメント数16K以上の成分を含有しないCF-SMCを容易に作製することができる。
【0018】
フィラメント数12K以上18K未満のサブ束に分割された総フィラメント数24K以上の連続炭素繊維束は、スリッターロールを用いて、総フィラメント数24K以上の連続炭素繊維束を、どのサブ束もフィラメント数が12K以上18K未満となるようにスプリットすることによって得ることができる。各スリット刃に欠落部を設けたスリッターロールを用いれば、スリットの形成が間欠的となり、サブ束同士が完全に切り離されていない状態、すなわち、部分的にスプリットされた状態にある連続炭素繊維束が得られる。
【0019】
n本のサブ束に分割された連続炭素繊維束を得るには、(n-1)個のスリット刃を有するスリッターローラーを用いればよい。連続炭素繊維束の幅方向に並んだ(n-1)本のスリットが形成されることにより、連続炭素繊維束はn本のサブ束に分割される。
一例として、それぞれ欠落部を有する4個のスリット刃を備えたスリッターローラーを用いて、5本のサブ束に部分的に分割した連続炭素繊維束を、
図1(a)および(b)に示す。
便宜のために、連続炭素繊維束の繊維方向(長手方向)をx方向、幅方向をy方向、厚さ方向をz方向とすると、
図1(a)は連続炭素繊維束10をz方向から見た平面図であり、
図1(b)は連続炭素繊維束10のx方向に垂直な断面(yz平面で切断したときの断面)を示している。
【0020】
図1(a)に示すように、連続炭素繊維束10には、第一スリット列A
S1、第二スリット列A
S2、第三スリット列A
S3および第四スリット列A
S4の、4つのスリット列が形成されている。
第一スリット列A
S1は、x方向に並んだ複数の第一スリットS1からなる。
第二スリット列A
S2は、x方向に並んだ複数の第二スリットS2からなる。
第三スリット列A
S3は、x方向に並んだ複数の第三スリットS3からなる。
第四スリット列A
S4は、x方向に並んだ複数の第四スリットS4からなる。
これら4つのスリット列は、異なるスリット刃で形成されることから、y方向の位置が異なっている。
【0021】
スリット長L
Sとスリット間ギャップ長L
Gは、いずれのスリット列内でも一定であり、また、異なるスリット列間においても共通している。
スリット長L
Sとスリット間ギャップ長L
Gの和に対するスリット長L
Sの比L
S/(L
S+L
G)は通常90%以上、好ましくは95%以上であり、例えば99%であってもよい。従って、連続炭素繊維束10は、
図1(b)に示すように、殆どの部分で5本のサブ束11にスプリットされている。
第一スリット列A
S1、第二スリット列A
S2、第三スリット列A
S3および第四スリット列A
S4のy方向の位置は、5本のサブ束11の幅が概ね同じとなるように設定されている。例えば、連続炭素繊維束10のフィラメント数が75Kのとき、各サブ束11のフィラメント数は15K±0.5Kである。
【0022】
スリット長LSは、後の工程で連続炭素繊維束10から切り出されるチョップド炭素繊維束の繊維長の少なくとも2倍以上であり、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上、更に好ましくは30倍以上である。
スリット長LSは、例えば、3m以下、2m以下または1m以下であり得る。
スリット間ギャップ長LGは、後の工程で連続炭素繊維束10から切り出されるチョップド炭素繊維束の繊維長より短いことが好ましく、10mm未満であってもよいし、更には5mm未満であってもよい。
【0023】
図1(a)に示す例では、第一スリット列A
S1と第二スリット列A
S2とで、スリット間ギャップG
Sの位置がx方向にずれている。第二スリット列A
S2と第三スリット列A
S3の間、および、第三スリット列A
S3と第四スリット列A
S4の間でも同様である。
このように隣り合うスリット列の間でスリット間ギャップG
Sの位置をx方向にずらす構成は必須ではない。一例では、全てのスリット列の間でスリット間ギャップG
Sの位置を揃えてもよいし、他の一例では、一部のスリット列の間でスリット間ギャップG
Sの位置を揃え、他の一部のスリット列の間でスリット間ギャップG
Sの位置をx方向にずらしてもよい。
【0024】
スリット長LS、スリット間ギャップ長LG、スリット長LSとスリット間ギャップ長LGの和に対するスリット長LSの比LS/(LS+LG)、および、スリット間ギャップGSの位置について以上に述べたことは、連続炭素繊維束10を部分的に5本のサブ束にスプリットする場合に限らず、4本以下または6本以上のサブ束に部分的スプリットする場合にも当て嵌まる。
【0025】
2.2.SMC製造装置
実施形態に係るCF-SMC製造方法で好ましく用い得るSMC製造装置の概念図を、
図2に示す。
図2を参照すると、SMC製造装置100は、第一樹脂塗工セクション110、第二樹脂塗工セクション120、チョップセクション130、堆積セクション140および含浸セクション150を有する。チョップセクション130と堆積セクション140の間には、断片化処理装置160が配置されている。
【0026】
第一樹脂塗工セクション110には、ロールから引き出される第一キャリアフィルム41上にマトリックス樹脂50からなる第一樹脂層51を形成するために、ドクターブレードを備えた塗工機111が配置される。
第二樹脂塗工セクション120には、ロールから引き出される第二キャリアフィルム42上に、マトリックス樹脂50からなる第二樹脂層52を形成するために、ドクターブレードを備えた塗工機112が配置される。
【0027】
チョップセクション130には、パッケージから引き出される連続炭素繊維束10をチョップするためのロータリーカッター131が配置される。
ロータリーカッター131は、
図3に示すように、ガイドロール132、ピンチロール133およびカッターロール134を備えている。カッターロール134の外周には複数の刃135が周方向に一定間隔で配置されており、一定の繊維長を有するチョップド炭素繊維束20を連続炭素繊維束10から次々と切り出すことが可能である。
通常、同時に複数の連続炭素繊維束10が、ロータリーカッター131の回転軸に平行な平面内で互いに平行となるように引き揃えられてロータリーカッター131に供給される。
【0028】
堆積セクション140はチョップセクション130の下方に配置される。第一キャリアフィルム41は、第一樹脂塗工セクション110から、堆積セクション140を経て、含浸セクション150に搬送される。第一キャリアフィルム41が堆積セクション140を走行するとき、その表面に形成された第一樹脂層51上に、チョップセクション130で産生されるチョップド炭素繊維束20が落下し堆積することで、炭素繊維マット30が形成される。
【0029】
含浸セクション150の上流部で、第一キャリアフィルム41の第一樹脂層51側の面と第二キャリアフィルム42の第二樹脂層52側の面とが対向するように、第一キャリアフィルム41と第二キャリアフィルム42とが貼り合わされて積層体が形成される。
含浸セクション150に配置された含浸機151は、この積層体を2つの搬送ベルトで上下から挟んで搬送するために、上下2つのベルト搬送機を備えるとともに、この積層体を搬送ベルトごと挟んで加圧するためのローラーを備えている。
【0030】
チョップセクション130と堆積セクション140の間に配置される断片化処理装置160は、
図4に示すように、カバー161と、カバーの内側に配置された、誘導板162および一対のピンローラー(第一ピンローラー163aおよび第二ピンローラー163b)とを有する。第一ピンローラー163aおよび第二ピンローラー163bは誘導板の下方に位置し、略同じ軸方向長を有し、かつ、回転軸が互いに平行である。
SMC製造装置100において、断片化処理装置160は、第一ピンローラー163aおよび第二ピンローラー163bの回転軸がロータリーカッター131の回転軸と平行となるように配置される。
【0031】
図5を参照すると、第一ピンローラー163aは、シリンダー164aを有しており、その表面にはいずれも同じ形状と寸法を有するピン165aが複数配置されている。シリンダー164aとピン165aはどちらも剛体であり、例えば金属で形成される。
シリンダー164aの直径は、限定するものではないが、例えば60mm~150mmであり得る。
【0032】
ピン165aは第一ピンローラー163aの回転軸に垂直に伸びており、限定するものではないが、例えば円柱形状を有する。ピン165aの端面と外周面の境界は面取りされていてもよい。
ピン165aの直径は、限定するものではないが、例えば1mm~5mmであり得る。
ピン165aの長さ、つまり、ピンの先端から根元までの距離は、限定するものではないが、例えば10mm~50mmであり得る。
ピン165aが円形断面を有することは、断片化処理装置160で処理されるチョップド炭素繊維束10の毛羽立ちを防止するうえで好ましい。
【0033】
シリンダー164aの周面を平面展開したとき、該周面上におけるピン165aの配置は、軸方向に5mm~20mmおよび周方向に4mm~30mmずらしたときに元の配置と重なることが好ましい。
例えば、
図5に示すシリンダー164aの場合、周面を平面展開すると、
図6に示すように、一辺が軸方向と平行となるように平面充填する正三角形(破線で表示)の各頂点にピン165aが配置されている。この正三角形の一辺の長さが例えば5mmであるとき、
図6に示すピン165aの配置は、軸方向に2.5mmおよび周方向に約4.3mmずらしたときに元の配置と重なる。
【0034】
本明細書では、ピンローラーの最大半径をその回転軸からピン先端までの距離と定義する。第一ピンローラー163aにおいて、シリンダー164aの半径は当該第一ピンローラー163aの最大半径の半分以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。ピンローラーの最大半径に対するシリンダー半径の比率が高い程、ピンローラーが回転しているときに、ピンの先端における周速とピンの根元における周速の差が小さくなるからである。
【0035】
第一ピンローラー163aについて以上に述べたことは、全て、第二ピンローラー163bにも該当する。
限定するものではないが、断片化処理装置160の設計、製造および保守のコストを下げるためには、最大半径、シリンダー径、ピンの形状、寸法、本数および配置等を含め、できる限り多くの項目で第一ピンローラー163aと第二ピンローラー163bの設計および仕様を一致させることが好ましい。
【0036】
図7を参照すると、断片化処理装置160において、第一ピンローラー163aの最大半径r
M1と第二ピンローラー163bの最大半径r
M2の和は、この2つのピンローラーの回転軸間距離d
12よりも大きい。
第一ピンローラー163aの最大半径r
M1と第二ピンローラーのシリンダー164bの半径r
C2の和は、2つのピンローラーの回転軸間距離d
12よりも小さい。同様に、第二ピンローラー163bの最大半径r
M2と第一ピンローラーのシリンダー164aの半径r
C1の和も、2つのピンローラーの回転軸間距離d
12より小さい。
【0037】
第一ピンローラー163aと第二ピンローラー163bは、駆動機構(図示せず)によって回転駆動される。
第一ピンローラー163aと第二ピンローラー163bの回転方向は、
図4中に矢印で示す通りである。すなわち、第一ピンローラー163aは、第二ピンローラー163bに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転し、第二ピンローラー163bは、第一ピンローラー163aに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転する。
チョップセクション130で産生されるチョップド炭素繊維束20は、実質的に全部が、第一ピンローラー163aと第二ピンローラー163bの間の隙間を通って堆積セクションに落下する。
【0038】
2.3.SMCの製造方法
本実施形態のSMC製造方法を、前記2.2.で説明したSMC製造装置を用いる場合を例にして説明する。
(引き出し工程)
引き出し工程では、予め準備された連続炭素繊維束のパッケージから、連続炭素繊維束が引き出される。
この工程では、ボビンパッケージをクリールに取り付けて、外取りで連続炭素繊維束を引き出してもよいし、あるいは、ボビンを抜き取ったパッケージから内取りで連続炭素繊維束を引き出してもよい。
【0039】
(チョップ工程)
チョップ工程では、引き出された連続炭素繊維束10がチョップセクション130に供給され、ロータリーカッター131で次々と切断されることにより、所定の繊維長を有するチョップド炭素繊維束20が産生される。産生したチョップド炭素繊維束20は、ロータリーカッター131の下方に設置された断片化処理装置160に向かって落下する。
チョップド炭素繊維束20の繊維長は、通常、1~6cmの範囲内であり、例えば約0.5インチ(約1.3cm)、約1インチ(約2.5cm)、約1.5インチ(約3.8cm)、約2インチ(約5.1cm)などであり得る。
【0040】
(断片化処理工程)
断片化処理装置160では、ロータリーカッター131から落下してくるチョップド炭素繊維束20の少なくとも一部が、第一ピンローラー163aと第二ピンローラー163bの少なくとも一方と接触し、その衝撃によって複数の断片に分かれる。
この断片化処理は、解繊を目的とするものではない。すなわち、チョップド炭素繊維束を単繊維またはそれに近い状態となるまでほぐすものではない。好ましくは、第一キャリアフィルム41上に堆積する炭素繊維マット30中の、フィラメント数1K未満の炭素繊維束の含有量が1wt%未満となるように、第一ピンローラー163aおよび第二ピンローラー163bの各々のピン先端における周速が設定される。
【0041】
それぞれ相手方に面する側でピンが上から下に動くよう第一ピンローラー163aと第二ピンローラー163bの回転方向が設定されている理由は、この2つのピンローラーの間を通過するチョップド炭素繊維束20に強いせん断力が加わらないようにするためである。強いせん断力は、炭素繊維束の毛羽立ちや真直性低下の原因となると考えられる。
この目的がより効果的に達成されるために、第一ピンローラー163aと第二ピンローラー164bの回転数(rpm)は、前者のピン165aの先端における周速と、後者のピン165bの先端における周速差が等しくなるように設定することが好ましい。
【0042】
(樹脂塗工工程)
樹脂塗工工程では、ロールから引き出される第一キャリアフィルム41上に、塗工機111を用いて、マトリックス樹脂50からなる第一樹脂層51を形成するとともに、別のロールから引き出される第二キャリアフィルム42上に、塗工機212を用いて、マトリックス樹脂50からなる第二樹脂層52を形成する。
マトリックス樹脂50は、熱硬化性樹脂を主要成分とし、硬化剤が配合されるとともに、必要に応じて増粘剤、重合禁止剤、低収縮剤、充填剤、難燃剤などの添加剤が配合されたペーストである。
【0043】
(堆積工程)
堆積工程では、断片化処理装置160で処理されたチョップド炭素繊維束20が、該装置の下方を運ばれる第一キャリアフィルム41上に落下する。落下したチョップド炭素繊維束20は、第一キャリアフィルム41の表面に形成された第一樹脂層51上に堆積し、炭素繊維マット30を形成する。
【0044】
(含浸工程)
第一樹脂層51上に堆積した炭素繊維マット30を載せた第一キャリアフィルム41は、含浸機151に向かって運ばれる途中で、一方の表面に第二樹脂層52が形成された第二キャリアフィルム42と貼り合わされる。
第一キャリアフィルム41と第二キャリアフィルム42を貼り合せたものを含浸機151で加圧することにより、炭素繊維マット30がマトリックス樹脂50で含浸される。
含浸工程の終了後、マトリックス樹脂50で含浸された炭素繊維マット30は第一キャリアフィルム41と第二キャリアフィルム42に挟まれたままボビンに巻き取られ、熟成工程を経てCF-SMC製品となる。熟成工程では、マトリックス樹脂50が増粘して半硬化状態となる。
【0045】
3.実験結果
以下に、本発明者等が行った実験の結果を記す。
【0046】
3.1.実験1
フィラメント数15K、幅8mm、厚さ0.1mmの連続炭素繊維束(三菱ケミカル社製TR50S15L)を準備した。
図2に示すSMC製造装置と同様の構成を有するSMC製造装置を用いて、この連続炭素繊維束から炭素繊維マットを作製した。
詳しくいうと、複数本の連続炭素繊維束を等間隔で平行に並べた状態でロータリーカッターに供給し、それぞれを繊維長が25.4mmとなるようにカットしてチョップド炭素繊維束とした。
チョップド炭素繊維束は、断片化処理装置を通して、ロータリーカッターの下方を線速1.5m/分で走行する、マトリックス樹脂層を塗工しないキャリアフィルム上に落下させた。
【0047】
断片化処理装置の2個のピンローラーは、いずれも金属製で、同じ構成を有していた。シリンダー周面上に配置されたピンの直径と長さはそれぞれ3mmおよび20mmであった。各ピンローラーのシリンダー周面を平面展開したとき、該周面上におけるピンの配置は周期的で、軸方向に7.5mmおよび周方向に6.5mmずらしたときに元の配置と重なる配置であった。
2個のピンローラーは、どちらもピン先端における周速が628m/分となるように、かつ、どちらも他のピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように、回転させた。
断片化処理装置で処理されたチョップド炭素繊維束はキャリアフィルム上に落下して堆積し、炭素繊維マットを形成した。
上記手順で作製した炭素繊維マットのうち、キャリアフィルムの中央線近傍に堆積した一部分をなすチョップド炭素繊維束300片の重量を測定し、フィラメント数構成を調べた。
【0048】
更に、同じSMC製造装置を用い、上記の条件で炭素繊維マットを作製するとともに、該炭素繊維マットにマトリックス樹脂を含浸させて、CF-SMCを作製した。マトリックス樹脂には、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびスチレンを含有する熱硬化性樹脂組成物を用いた。製造条件は繊維含有率が約53%となるように調節した。
作製したCF-SMCについて、電気機能材料工業会規格EIMS T901準拠のスパイラル流動長測定を行なった。測定条件は、金型温度140℃、プランジャー押し込み圧10MPa、プランジャー押し込み時間160秒、硬化時間190秒とした。スパイラル流動長は、CF-SMCの硬化時の流動性の指標である。
作製したCF-SMCを温度140℃、圧力8MPaで硬化させ、硬化物の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
【0049】
3.2.実験2
断片化処理装置の2個のピンローラーのピン先端における周速を785m/分としたこと以外は実験1と同様にして、炭素繊維マットを作製し、それに含まれるチョップド炭素繊維束のフィラメント数構成を調べるとともに、CF-SMCを作製し、そのスパイラル流動長と、その硬化物の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
【0050】
3.3.実験3
SMC製造装置に断片化処理装置を取り付けなかったこと以外は実験1と同様にしてCF-SMCを作製し、そのスパイラル流動長と、その硬化物の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
【0051】
3.4.実験4
原料の連続炭素繊維束を変更し、フィラメント数3K、幅2mm、厚さ0.07mmの連続炭素繊維束(三菱ケミカル社製TR30S3L)を用いたこと以外は実験3と同様にしてCF-SMCを作製し、そのスパイラル流動長と、その硬化物の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
【0052】
【0053】
【0054】
実験1および実験2で作製したCF-SMCは、
図8に示すように、フィラメント数15Kの連続炭素繊維束を用いて作製した実験3のCF-SMCと比べても遜色ないスパイラル流動長を示し、しかも、その硬化物は、
図9に示すように、フィラメント数3Kの連続炭素繊維束を用いて作製した実験4のCF-SMCの硬化物と比べても遜色ない曲げ強度を示した。
【0055】
以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、各実施形態は例として提示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載された各実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、様々に変形することができ、かつ、実施可能な範囲内で、他の実施形態により説明された特徴と組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 連続炭素繊維束
11 サブ束
20 チョップド炭素繊維束
50 マトリックス樹脂
100 SMC製造装置
110 第一樹脂塗工セクション
120 第二樹脂塗工セクション
130 チョップセクション
140 堆積セクション
150 含浸セクション
160 断片化処理装置