(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
G03G21/18 153
(21)【出願番号】P 2020149082
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 直樹
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-029461(JP,A)
【文献】特開2014-109652(JP,A)
【文献】特開2000-047505(JP,A)
【文献】特開2009-116266(JP,A)
【文献】特開2006-133374(JP,A)
【文献】特開2019-049638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/02
13/14-13/16
15/00
15/02
15/14-15/16
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
装置本体に着脱可能であって、像を担持可能な像担持体を備える着脱ユニットと、
前記像担持体に対して接離可能に設けられた転写部材と、
前記着脱ユニットに設けられ、前記像担持体に対する前記転写部材の位置を規制するユニット側ガイド部と、
前記装置本体に設けられ、前記ユニット側ガイド部に前記転写部材を案内するための本体側ガイド部と、
前記転写部材をユニット側ガイド部と本体側ガイド部との間で移動可能とする移動手段と、を備え
、
前記転写部材は、前記着脱ユニットを着脱するときに、前記本体側ガイド部に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ユニット側ガイド部は、少なくとも一部に、前記像担持体に近づくにつれ前記転写部材との隙間が小さくなる形状を有する
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写部材は、ローラ形状であり、
前記ユニット側ガイド部と前記本体側ガイド部との間の距離は、前記転写部材における前記ユニット側ガイド部と前記本体側ガイド部とに接する部分の直径より小さい
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記接する部分は前記ローラ形状の転写部材の軸であることを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写部材は、ローラ形状であり、
前記ユニット側ガイド部と前記本体側ガイド部との間の距離は、前記転写部材が前記ユニット側ガイド部と前記本体側ガイド部とに接する部分の直径以上であり、
前記転写部材が前記ユニット側ガイド部から前記本体側ガイド部へ移動することを補助する補助部材をさらに備える
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記本体側ガイド部は、前記転写部材が侵入する側の入口側開口と該入口側開口よりも前記像担持体に近い側の像担持体側開口を有する形状であり、前記入口側開口の開口幅が前記像担持体側開口よりも広いことを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
装置本体と、
装置本体に着脱可能であって、像を担持可能な像担持体を備える着脱ユニットと、
前記像担持体に対して接離可能に設けられた転写部材と、
前記着脱ユニットに設けられ、前記像担持体に対する前記転写部材の位置を規制するユニット側ガイド部と、
前記装置本体に設けられ、前記ユニット側ガイド部に前記転写部材を案内するための本体側ガイド部と、
前記転写部材をユニット側ガイド部と本体側ガイド部との間で移動可能とする移動手段と、を備え、
前記転写部材は、ローラ形状であり、
前記ユニット側ガイド部と前記本体側ガイド部との間の距離は、前記転写部材における前記ユニット側ガイド部と前記本体側ガイド部とに接する部分の直径より小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
装置本体と、
装置本体に着脱可能であって、像を担持可能な像担持体を備える着脱ユニットと、
前記像担持体に対して接離可能に設けられた転写部材と、
前記着脱ユニットに設けられ、前記像担持体に対する前記転写部材の位置を規制するユニット側ガイド部と、
前記装置本体に設けられ、前記ユニット側ガイド部に前記転写部材を案内するための本体側ガイド部と、
前記転写部材をユニット側ガイド部と本体側ガイド部との間で移動可能とする移動手段と、を備え、
前記転写部材は、ローラ形状であり、
前記ユニット側ガイド部と前記本体側ガイド部との間の距離は、前記転写部材が前記ユニット側ガイド部と前記本体側ガイド部とに接する部分の直径以上であり、
前記転写部材が前記ユニット側ガイド部から前記本体側ガイド部へ移動することを補助する補助部材をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
装置本体と、
装置本体に着脱可能であって、像を担持可能な像担持体を備える着脱ユニットと、
前記像担持体に対して接離可能に設けられた転写部材と、
前記着脱ユニットに設けられ、前記像担持体に対する前記転写部材の位置を規制するユニット側ガイド部と、
前記装置本体に設けられ、前記ユニット側ガイド部に前記転写部材を案内するための本体側ガイド部と、
前記転写部材をユニット側ガイド部と本体側ガイド部との間で移動可能とする移動手段と、を備え、
前記本体側ガイド部は、前記転写部材が侵入する側の入口側開口と該入口側開口よりも前記像担持体に近い側の像担持体側開口を有する形状であり、前記入口側開口の開口幅が前記像担持体側開口よりも広いことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の装置前面側からトナー担持体を含むプロセスユニットを引き出す際に、転写ローラユニットをプロセスユニットから離間させることが既に知られている。
例えば、特許文献1には、転写ローラを感光体ドラムから接離でき、且つ、転写ローラの正確な位置決めを行う構成が開示されている。しかし、プロセスユニットを挿抜する際に、挿抜軌跡から転写ローラを退避させるためには離間量が大きくなり、小型化できないというという問題があった。
【0003】
また、特許文献2には、転写ローラと転写ローラの上下流の用紙搬送ガイドとを転写ユニットとし、装置本体または中間転写ユニットに位置決め部材を設けた構成が開示されている。しかし、位置決め部材を装置本体に設ける構成では、プロセスユニットを挿抜する際に、装置本体のガイド形状がプロセスユニットやトナー像担持体に接触する可能性があるため、カバー部材の追加や高精度部品を使うことによるコストが上昇するという問題があった。また、位置決め部材を中間転写ユニットに設ける構成では、プロセスユニットの挿抜軌跡から転写ローラを退避させるためには離間量が大きくなるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、プロセスユニットを挿抜する画像形成装置において、プロセスユニットを画像形成装置本体から取り出す手順を簡単にして、低コストかつ小型化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、
装置本体と、
装置本体に着脱可能であって、像を担持可能な像担持体を備える着脱ユニットと、
前記像担持体に対して接離可能に設けられた転写部材と、
前記着脱ユニットに設けられ、前記像担持体に対する前記転写部材の位置を規制するユニット側ガイド部と、
前記装置本体に設けられ、前記ユニット側ガイド部に前記転写部材を案内するための本体側ガイド部と、
前記転写部材をユニット側ガイド部と本体側ガイド部との間で移動可能とする移動手段と、を備え、
前記転写部材は、前記着脱ユニットを着脱するときに、前記本体側ガイド部に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、プロセスユニットを挿抜する画像形成装置において、プロセスユニットを画像形成装置本体から取り出す手順を簡単にして、低コストかつ小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の画像形成装置の構成例を説明する図である。
【
図2】
図1の画像形成装置において、本体開閉がバーを開けた状態を説明する図である。
【
図3】プロセスユニットの構成例を説明する図である。
【
図5】転写ローラの接離機構の一例を説明する図である。
【
図6】プロセスユニットの挿抜と転写ユニットの開閉および周辺レイアウトの一例を説明する図である。
【
図7】比較例の画像形成装置の転写ローラ軸のガイドの一例を説明する図である。
【
図8】画像形成装置本体に転写ローラ軸のガイドを設けた比較例を説明する図である。
【
図9】一実施形態の画像形成装置の転写ローラ軸のガイドの形状例を説明する図である。
【
図10】PCU側ガイドにより転写ローラ軸の位置が規制されている状態を説明する図である。
【
図11】転写ローラが本体側ガイドに移動した状態を説明する図である。
【
図12】ガイド間の隙間が転写ローラ軸の外径よりも大きい場合の構成例を説明する図である。
【
図13】中間転写方式を用いた画像形成装置の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0009】
本発明は、画像形成装置前面から、像担持体を有するプロセスユニット(プロセスカートリッジ)を取り出す構成に際して、転写ローラを感光体から離間した際に本体側に設けた本体側ガイドに移動させることで、プロセスユニットの挿抜軌跡から退避させることが特徴になっている。
【0010】
この特徴を実現するため、一実施形態の画像形成装置は、例えば、画像形成装置本体(プリンタ)14と、装置本体に着脱可能であって、像を担持可能な像担持体(例えば、感光体または中転ベルト)を備える着脱ユニット(プロセスユニット5)と、像担持体に対して接離可能に設けられた転写部材(転写ローラ11)と、着脱ユニットに設けられ、像担持体に対する転写部材の位置を規制するユニット側ガイド部(PCU側ガイド29)と、装置本体に設けられ、ユニット側ガイド部に転写部材を案内するための本体側ガイド部(本体側ガイド30)と、転写部材をユニット側ガイド部と本体側ガイド部との間で移動可能とする移動手段(接離レバー20、稼働レバー21、転写ローラユニット23等)と、を備える構成とする。なお、( )内は、
図1から
図6に示す構成を、一例として対応づけたものである。
【0011】
このようにすると、着脱ユニットの取り付け/取り外し時に、着脱ユニットの挿脱軌跡から転写部材を移動させる移動量を小さくすることができる。さらに、ユニット側ガイド部と本体側ガイド部とをそれぞれ設けることで、精度が要求されるユニット側ガイド部の寸法を最適化でき、低コスト化が図れる。
上記記載の本発明の実施形態について、以下の図面を用いて詳細に解説する。
【0012】
まず、画像形成装置全体の構成例について説明する。
図1、2は、一実施形態の画像形成装置の構成例を説明する図であり、
図1は、本体開閉カバーを閉めた状態、
図2は、本体開閉がバーを開けた状態を示す。
図1および
図2において、14は画像形成装置本体(装置本体)としてのプリンタ、5は感光体ドラム1上にトナー像(画像)を形成するプロセスユニット(作像部)、17はパソコンなどの入力装置から入力された画像情報に基づいた露光光を感光体ドラム1上に照射する露光部(書込み部)、11は感光体ドラム1上に形成されたトナー像を記録媒体7に転写する転写ローラ(転写部材)、7は転写紙等の記録媒体、12は記録媒体7上の未定着画像を定着する定着装置、10は転写ローラ11に向けて記録媒体7を搬送するレジストローラ(タイミングローラ)、を示す。
【0013】
ここで、プロセスユニット5は、像を担持可能な像担持体としての感光体ドラム1と、帯電部3(帯電ローラ)と、現像部4(現像装置)と、クリーニング部2(クリーニング装置)とが一体的にユニットとして構成されている。プロセスユニット5は、上述した着脱ユニットの一例であり、画像形成装置本体14に対して、着脱可能(交換可能)に設置されている。
【0014】
さらに詳しくは、像担持体としての感光体ドラム1は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。図示は省略するが、感光体ドラム1は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層が順次積層されている。また、感光体ドラム1は、不図示の駆動モータによって、
図1の反時計方向に回転駆動される。
【0015】
本体開閉カバー15は回転支点16を中心に回動可能に設けられている。転写ローラ11、レジストローラ10の一部などは転写ユニット24に設けられており、回転支軸22を中心に回動可能に設けられている。転写ローラ11は、像担持体に対して接離可能に設けられた転写部材の一例である。
【0016】
次に、
図3から
図6を参照して、プロセスユニットおよび転写ユニットについて詳述する。
図3は、プロセスユニットの構成例を説明する図である。
図4は、転写ユニットの構成例を説明する図である。
図5は、転写ローラの接離機構の一例を説明する図である。
図6は、プロセスユニットの挿抜と転写ユニットの開閉および周辺レイアウトの一例を説明する図である。
【0017】
図3を参照して、プロセスユニット5の構成例について説明する。
プロセスユニット5は、感光体ドラム1を、二つのプロセスユニット面板18で挟んだ構成である。二つのプロセスユニット面板18には、転写ローラ11が感光体ドラム1に接触する際に、その位置を決めるための転写ローラ軸19のPCU(プロセスユニット)側ガイド29がそれぞれ設けられている。よって、転写ローラ11が感光体ドラム1に当接した状態においては、転写ローラ11も二つのプロセスユニット面板18に挟まれた構成となっている。
また、プロセスユニット5は画像形成装置本体14の内部に挿抜可能に設けられており、挿抜方向は感光体ドラム1の軸方向である。
【0018】
転写ローラ11と感光体ドラム1との位置は、以下の2つの構成で決めている。
1つ目は円周方向で、PCU側ガイド29によって決められる。
2つ目は軸間距離で、感光体ドラム1を剛体としたとき、転写ローラ11の硬度と接離レバー20の加圧力のバランスで決められる。もしくは転写ローラ軸19に転写ローラ外径よりも外径が小さいコロを設け、これを感光体ドラム1の表面に当接させる方式もある。
【0019】
図4を参照して、転写ユニット24の構成例について説明する。
転写ユニット24には転写ローラ11を組み付けている着脱可能な転写ローラユニット23を設けている。転写ユニット24は、
図6に示す本体側板26に挟まれている。本体側板26は、転写ユニット24を開閉するときの回転支軸22で、転写ユニット24を保持している。
転写ローラ11は、接離機構により、転写ローラ軸19が、後述するPCU側ガイド29、本体側ガイド30に案内されて移動する。
転写ローラ11の接離機構については
図5を参照して説明し、転写ユニット24の開閉機構については
図6を参照して説明する。
【0020】
図5を参照して、感光体ドラム1に対する転写ローラ11の接離機構の一例について説明する。転写ローラ11は、
図1に示すように感光体ドラム1に押圧されている。
接離機構は、転写ローラ11を、自重によって感光体ドラム1から離間する方向になるように配置する構成とする。また、接離機構は、少なくとも、転写ローラ11を設けた転写ローラユニット23と、接離レバー20と、稼働レバー21とにより、転写ローラ11を移動させる。接離レバー20は、転写ローラユニット23を、接離レバー加圧方向25に力がかかるようにバネで押圧する。一方、稼働レバー21は、接離レバー20を接離レバー加圧方向25とは逆の方向に変位させる。
接離機構は、転写ローラ11を、接離レバー20を介して接離レバー加圧方向25に押圧し、稼働レバー21を稼働させることにより、感光体ドラム1に対して転写ローラ11を接離させる機構である。
【0021】
図6を参照して、プロセスユニット5の挿抜と転写ユニット24の開閉について説明する。
プロセスユニット5は、画像形成装置本体に対して感光体ドラム1の軸方向、つまり矢印28の方向に挿抜可能に設けられている。転写ユニット24は、その両側に設けた転写ユニット開閉の回転支軸22を本体側板26に保持させており、回転支軸22を中心に矢印27の方向に開閉可能に設けられている。
【0022】
また、本体側板26に設けた転写ローラ軸19の本体側ガイド30の間口、および、プロセスユニット面板18に設けた転写ローラ軸19のPCU側ガイド29の間口は、転写ユニット24の回動軌跡に伴う転写ローラ軸19の軌跡と交差するように設ける。
【0023】
次に、
図6に示した転写ローラ軸19のPCU側ガイド29、本体側ガイド30の形状について詳細に説明する。
まず、比較例の構成と問題点等について、
図7、8を参照して説明する。
今までの、プロセスユニットを装置本体から引き出す構成では、転写ローラを感光体に近接させるため、装置側面側に転写ローラユニットを設け、位置決め形状をプロセスユニットの面板に設けている。しかし、装置側面カバーを閉じる際に転写ローラを位置決めまでガイドする形状もプロセスユニットの面板に持たせているため、離間量が大きくなって小型化にできないという問題があった。
【0024】
図7は、比較例の画像形成装置の転写ローラ軸のガイドの一例を説明する図である。
図7では、転写ローラ11と転写ローラ軸19との位置の一例を破線で示している。
プロセスユニット面板18に設けられた転写ローラ軸19のガイド29Pは、機能として二つに分けることができる。具体的には、転写ユニット24の開閉動作によって近付いてくる転写ローラ軸19の受取口29P-1と、転写ローラ11と感光体ドラム1を当接させる位置規制部29P-2である。
このような構成においてはプロセスユニット5を画像形成装置本体14から挿抜しようとする場合、転写ローラ11をプロセスユニット5の挿抜軌跡、すなわち転写ローラ軸19のガイド29Pよりも外側に移動させなければいけない。
【0025】
詳細には、転写ローラ11を感光体ドラム1から離間しても、転写ローラ11の当接角度を決めている位置規制部29P-2に接触した状態となっている。ガイド29Pは全てプロセスユニット5内に配置されているため、プロセスユニット5を引き出そうとしても転写ローラユニット23と干渉する。そのため、装置前面からプロセスユニット5を引き出すために、装置側面のカバーを開けて、
図2に示すように転写ユニット24を退避させなければいけなかった。
そのため、先述した接離機構による移動量を増やすために周辺部品や画像形成装置本体14のサイズアップ、もしくは転写ユニット24を開くための作業手順の増加が必要となる。
【0026】
次に、転写ローラ軸19のガイドを画像形成装置本体のみに転写ローラ軸19のガイドを設ける比較例について説明する。
図8は、画像形成装置本体に転写ローラ軸のガイドを設けた比較例を説明する図である。転写ローラ軸19のガイド30Pは、
図6に示した本体側板26に設けたとする。
図8では、転写ローラ11と転写ローラ軸19との位置の一例を破線で示している。
この場合における利点は、プロセスユニット5を挿抜する際の転写ローラ11の変位量は最小でよいという点である。しかし、プロセスユニット面板18のガイド形状がなくなったことで、プロセスユニット5の挿抜や持ち運びを行う際に感光体ドラム1に接触しやすくなってしまうため、図示しない感光体保護カバー部品が必要となる。
【0027】
また、転写ローラ軸19のガイド30Pは、
図7に示した位置規制部29P-2の機能を担うことになる。このため、位置規制の機能を本体側板26側に設けると感光体ドラム1と転写ローラ11の位置公差に関連する積み上がり部品が増えること、現状の構成よりも高精度な部品にする必要があること、などによるコストアップも生じる。
【0028】
図7、8を参照して説明した問題点を解消するため、一実施形態では、PCU側ガイド29と本体側ガイド30とにより転写ローラ軸19を案内する。
図9は、一実施形態の画像形成装置の転写ローラ軸のガイドの形状例を説明する図である。
本発明の一実施形態では、転写ローラ軸19のガイド形状のうち、高精度を必要とする位置規制部29P-2として機能するPCU側ガイド29をプロセスユニット面板18に設け、相対的に低精度としてもよい受取口29P-1として機能する本体側ガイド30を、本体側板26(
図6参照)に設ける。
【0029】
PCU側ガイド29は、上述したユニット側ガイド部の一例であり、本体側ガイド30は、上述した本体側ガイド部の一例である。
PCU側ガイド29と本体側ガイド30との間の隙間(距離)31はガイドする転写ローラ軸19の外径(転写部材としての転写ローラ軸19におけるPCU側ガイド29と本体側ガイド30とに接する部分の直径)よりも小さくすることでガイド間からの脱落も防ぐことができる。これにより、PCU側ガイド29と本体側ガイド30との間で、転写ローラ11を安定して受け渡すことができる。ここでは、転写ローラ軸19を用いて説明したが、転写ローラ11などのローラ形状の転写部材が、PCU側ガイド29と本体側ガイド30とに接して案内される部分の外径が隙間31より大きい形状であればよい。
【0030】
また、PCU側ガイド29と本体側ガイド30と間の、転写ローラ11の移動は、プロセスユニット(PCDU)5を着脱するために開くカバーの「開」を検知してから所定のタイミングにソレノイドやカムなどの機構によって稼働レバー21を回動させて転写ローラ11を離間位置へ移動させる。また、電源がOFFになったときから所定のタイミングになったときにも転写ローラ11を離間位置へ移動する。また、電源がONになったときから所定のタイミングにソレノイドやカムなどの機構によって接離レバー20を回動させて転写ローラ11を接触位置へ移動させる。
転写ローラ11は、通紙のときには、PCU側ガイド29に位置し、プロセスユニット5を着脱するときには、本体側ガイド30に位置する。
【0031】
このような構成を取ることで、現状よりも少ない接離移動量でプロセスユニット5の挿抜軌跡から転写ローラ11を退避させることができる。また、挿抜時などの感光体ドラム1の保護部材も不要となる。さらに部品精度の最適配分ができるため、高精度化による部品コストアップも防ぐことができる。
【0032】
図10は、PCU側ガイドにより転写ローラ軸の位置が規制されている状態を説明する図である。
図11は、転写ローラが本体側ガイドに移動した状態を説明する図である。
図10、11では、転写ローラ11と転写ローラ軸19との位置の一例を破線で示している。
図10に示すように、転写ローラ11は、PCU側ガイド29により、転写ローラ軸19の位置が規制される。詳細には、転写ローラ軸19の位置は、PCU側ガイド29によって感光体ドラム1の中心からの円周方向上に決められる。
感光体ドラム1と転写ローラ11との軸間距離については先に述べたように転写ローラ硬度と接離レバー20との加圧力のバランスで決められる。またこのような状態になるのは、通紙するときや転写ローラ11の表面をバイアスクリーニングするときである。
【0033】
また、
図11に示すように、転写ローラ11を感光体ドラム1から離間したときに本体側ガイド30に移動させることで、プロセスユニット5の挿抜軌跡から退避させることができる。これにより、装置前面からの操作のみでプロセスユニット5を引き出すことができる。
【0034】
また、PCU側ガイド29は、少なくとも一部に、感光体ドラム1に近づくにつれ、転写ローラ11との隙間が小さい形状を有することが好ましい。
さらに、PCU側ガイド29または本体側ガイド30の転写ローラ11が入ってくる側の間口(入口側開口)を感光体ドラム1側の開口(像担持体側開口)よりも広くするとよい。このようにすると、転写ローラユニット23の受け渡し性を向上させることができる。
【0035】
一方、PCU側ガイド29と本体側ガイド30とのガイド間の隙間31を、ガイドする転写ローラ軸19の外径よりも小さく取れない場合には、転写ローラ11がPCU側ガイド29から本体側ガイド30へ移動することを補助する補助部材をさらに備えるとよい。
図12は、ガイド間の隙間が転写ローラ軸の外径よりも大きい場合の構成例を説明する図である。
図12では、転写ローラ軸19を保持する転写ローラユニット23に、補助部材23-1を加えた構成とする。転写ローラ軸19が隙間31に差し掛かるときに、転写ローラユニット23に設けた補助部材23-1と、プロセスユニット5の挿抜軌跡から離れた位置にある転写ユニット24の一部とが接触する構成にする。また、補助部材は、転写ローラユニット23の形状を一部変更して形成してもよい。
これにより転写ローラ軸19の移動軌跡は、転写ローラユニット23が有する補助部材23-1と転写ユニット24との接触箇所を中心とした円弧の軌跡となるので、転写ローラ軸19はガイドの隙間31に入ることなく本体側ガイド30とPCU側ガイド29との間を移動することが可能になる。
【0036】
上述の実施形態では、像担持体として感光体ドラム1を、転写部材として転写ローラ11を用いて説明したが、像担持体は中間転写ベルトであってもよく、転写部材はベルト形状であってもよい。
【0037】
本発明は、例えば、
図13に示すように2次転写ローラ36と中間転写ユニット32との組み合わせる構成例においても適用可能である。
図13は、中間転写方式を用いた画像形成装置の構成例を説明する図である。着脱ユニットとしての中間転写ユニット32は、像担持体としての中間転写ベルト35と、中間転写ベルト35を掛け渡す支持ローラ33、34を備える。転写ユニット24は、転写部材としての2次転写ローラ36を備える。画像形成装置は、中間転写ベルト35の上に、イエロー(Y)、マセンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kが配置されている。4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成されたトナー像が中間転写ベルト35に転写される。
【0038】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 感光体ドラム(像担持体)
5 プロセスユニット(着脱ユニット)
11 転写ローラ(転写部材)
14 プリンタ(画像形成装置)
18 プロセスユニット面板
19 転写ローラ軸
20 接離レバー
21 稼働レバー
22 支軸
23 転写ローラユニット
23-1 補助部材
24 転写ユニット
26 本体側板
29 PCU側ガイド
29P-1 受取部
29P-2 位置規制部
30 本体側ガイド
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【文献】特開2006‐030643号公報
【文献】特開2007‐127784号公報