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特許7604840画像形成システム、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】画像形成システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241217BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241217BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H04N1/00 885
B41J29/38 104
G03G21/00 388
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020178801
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069877
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】小関 健
(72)【発明者】
【氏名】金野 彰
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 誠司
(72)【発明者】
【氏名】今関 尚冶
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-123923(JP,A)
【文献】特開2018-067840(JP,A)
【文献】特開2006-116742(JP,A)
【文献】特開2016-154309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成装置、および、前記画像形成装置と共に設けられる周辺装置を含む構成装置を具備する画像形成システムであって、
前記構成装置は、第1モードおよび前記第1モードより消費電力が小さい第2モードへ移行可能であり、
前記構成装置のうち前記画像形成装置の利用者の有無を判定する第1判定部と、
前記構成装置のうち前記周辺装置の利用者の有無を判定する第2判定部と、
前記画像形成装置の利用者がいると判定されると、前記第2モードから前記第1モードへ前記画像形成装置および前記周辺装置を移行可能な第1移行部と、
前記画像形成装置の利用者がいないと判定され、且つ、前記周辺装置の利用者がいると判定されると、前記画像形成装置および前記周辺装置のうち前記周辺装置を前記第2モードから前記第1モード移行可能な第2移行部と
を具備する画像形成システム。
【請求項2】
利用者の向きを検知する検知部を具備し、
前記第1移行部は、検知された前記利用者の向きに応じて、前記第1モードまたは前記第2モードへ前記画像形成装置を移行可能な
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1移行部は、予め定められた移行契機が成立した際に、前記画像形成装置の利用者がいないと判定されたことを条件に、前記第1モードから前記第2モードへ前記画像形成装置を移行可能である
請求項1または請求項に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1移行部は、前記画像形成装置の方向とは異なる方向を前記利用者が向いたことが検知されると、前記第1モードから前記第2モードへ前記画像形成装置を移行可能である
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、予め定められたメンテナンスが実行される状態へ移行可能であり、
前記画像形成装置の方向を前記利用者が向いていることが検知される場合、前記メンテナンスが実行される状態への移行を制限する制限部
を具備する請求項2または請求項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第2移行部は、前記画像形成装置の利用者が前記周辺装置の方向を向いていることが検知されると、前記第2モードから前記第1モードへ前記周辺装置を移行可能である
請求項1から請求項5の何れかに記載の画像形成システム。
【請求項7】
画像を形成する画像形成装置、および、前記画像形成装置と共に設けられる周辺装置を含む構成装置を具備する画像形成システムの制御方法であって、
前記構成装置は、第1モードおよび前記第1モードより消費電力が小さい第2モードへ移行可能であり、
前記構成装置のうち前記画像形成装置の利用者の有無を判定するステップと、
前記構成装置のうち前記周辺装置の利用者の有無を判定するステップと、
前記画像形成装置の利用者がいると判定されると、前記第2モードから前記第1モードへ前記画像形成装置および前記周辺装置を移行可能なステップと、
前記画像形成装置の利用者がいないと判定され、且つ、前記周辺装置の利用者がいると判定されると、前記画像形成装置および前記周辺装置のうち前記周辺装置を前記第2モードから前記第1モードへ移行可能なステップと
を具備する画像形成システムの制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の各ステップをコンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第1モードおよび第1モードより消費電力が小さい第2モード(例えば、省電力モード)へ移行可能な画像形成装置が提案される。また、以上の画像形成装置において、利用者の有無を判定し、利用者がいると判定されると、第2モードから第1モードへ移行させる技術が採用される場合があった(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、上述の画像形成装置を構成装置として含む画像形成システムが提案される。以上の画像形成システムでは、利用者は、構成装置のうち第1構成装置を使用する場合と第2構成装置を使用する場合とがある。したがって、第1構成装置の利用者がいる場合に第1構成装置が第2モードから第1モードへ移行可能であり、第2構成装置の利用者がいる場合に第2構成装置が第2モードから第1モードへ移行可能である構成が好適である。以上の事情を考慮して、本発明は、第1構成装置の利用者がいる場合に第1構成装置が第2モードから第1モードへ移行可能にするとともに、第2構成装置の利用者がいる場合に第2構成装置が第2モードから第1モードへ移行可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成システムは、画像を形成する画像形成装置、および、画像形成装置と共に設けられる周辺装置を含む構成装置を具備する画像形成システムであって、構成装置は、第1モードおよび第1モードより消費電力が小さい第2モードへ移行可能であり、構成装置のうち画像形成装置の利用者の有無を判定する第1判定部と、構成装置のうち周辺装置の利用者の有無を判定する第2判定部と、画像形成装置の利用者がいると判定されると、第2モードから第1モードへ画像形成装置および周辺装置を移行可能な第1移行部と、画像形成装置の利用者がいないと判定され、且つ、周辺装置の利用者がいると判定されると、画像形成装置および周辺装置のうち周辺装置を第2モードから第1モード移行可能な第2移行部とを具備する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、画像形成システムにおいて、画像形成装置の利用者がいる場合に画像形成装置が消費電力が小さい第2モードから第1モードへ移行可能になるとともに、周辺装置の利用者がいる場合に周辺装置が第2モードから第1モードへ移行可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】画像形成システムの構成装置の一例を説明するための図である。
図2】画像形成装置の一例であるMFPのハードウェア構成を説明するための図である。
図3】画像形成システムの機能ブロック図である。
図4】画像形成装置の省電力モード復帰判定処理のフローチャートである。
図5】画像形成装置の省電力モード移行判定処理のフローチャートである。
図6】第2実施形態における検知部を説明するための図である。
図7】画像形成装置の省電力モード継続中処理のフローチャートである。
図8】第3実施形態におけるセンサ部を説明するための図である。
図9】画像形成装置の通常モード中処理等のフローチャートである。
図10】画像形成装置の事前復帰処理のフローチャートである。
図11】変形例におけるセンサ部の位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
図1は、本発明の画像形成システム1の一例を説明するための図である。第1実施形態の画像形成システム1は、MFP(Multifunction Peripheral Product Printer)100、および、複数の周辺装置(200、300)を含んで構成される。複数の周辺装置は、周辺装置200および周辺装置300を含む。以上の各周辺装置は、MFP100と通信可能に接続される。周辺装置200としては、例えば、MFP100へ印刷用紙を供給する給紙装置が想定される。また、周辺装置300としては、例えば、MFP100により画像が印刷された印刷用紙に仕上処理(綴じ込処理など)を実行するフィニッシャーが想定される。ただし、周辺装置の種類および個数は以上の例に限定されない。
【0008】
図1に示す通り、MFP100にはセンサS1が設けられる。センサS1は、MFP100の利用者がいる場合にON状態となり、MFP100の利用者がいない場合にOFF状態になる。具体的には、MFP100を使用する際に利用者が位置することが想定される領域(例えば、MFP100の周辺のうち後述の操作パネル140の正面近傍の領域)に、利用者が位置するとセンサS1はON状態となり、利用者が位置しないとセンサS1はOFF状態となる。
【0009】
周辺装置200にはセンサS2が設けられる。センサS2は、周辺装置200の利用者がいる場合にON状態となり、周辺装置200の利用者がいない場合にOFF状態になる。具体的には、周辺装置200を使用する際に利用者が位置することが想定される領域に、利用者が位置するとセンサS2はON状態となり、利用者が位置しないとセンサS2はOFF状態となる。同様に、周辺装置300にはセンサS3が設けられる。センサS3は、周辺装置300の利用者がいる場合にON状態となり、周辺装置300の利用者がいない場合にOFF状態になる。以上の各センサS(1~3)としては、例えば、焦電センサが好適に採用される。ただし、焦電センサ以外をセンサSとして採用してもよい。
【0010】
以下、説明のため、利用者が位置する場合にセンサS(1~3)がON状態となる領域を、当該センサSの「検知領域」と記載する場合がある。また、画像形成システム1を構成するMFP100、周辺装置200および周辺装置300を「構成装置」と総称する場合がある。図1に示す通り、構成装置は、画像形成システム1を正面視した場合、右から周辺装置200、MFP100、周辺装置300の順に隣接して設けられる。具体的には、構成装置は、当該構成装置のセンサSの検知領域が他の構成装置のセンサSの検知領域と重ならない位置に設けられる。ただし、センサSの検知領域と他のセンサSの検知領域とが部分的に重なる構成としてもよい。なお、上述の各装置以外を構成装置として採用してもよい。
【0011】
画像形成システム1の構成装置の各々は、各種の動作(印刷動作、給紙動作、排出動作など)を直ちに実行可能な通常モード(第1モード)、および、通常モードより消費電力が小さい省電力モード(第2モード)に移行可能である。例えば、構成装置が省電力モードの場合、通常モードへ移行(復帰)した後に、当該構成装置において各種の動作が実行可能になる。
【0012】
詳細には後述するが、構成装置の各々は、当該構成装置の利用者の有無に応じて、第1モードおよび第2モードへ移行可能になる。なお、省電力モードを複数種類設けてもよい。例えば、第1の省電力モードと第2の省電力モードとを含む複数種類の省電力モードを設けてもよい。第2の省電力モードは、第1の省電力モードより消費電力が大きいが、第1の省電力モードより実行可能な動作の種類が多い。また、第2の省電力モードは、第1の省電力モードより消費電力が大きいが、通常モードへ復帰するまでに要する時間が第1の省電力モードより短い。
【0013】
図2は、MFP100のハードウェア構成図である。図2に示されているように、MFP100は、コントローラ110、近距離通信回路120、エンジン制御部130、操作パネル140を備えている。
【0014】
コントローラ110は、コンピュータの主要部であるCPU101、システムメモリ(MEM-P)102、サウスブリッジ(SB)104、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)105、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)106、HDDコントローラ107、および、記憶部であるHD108およびネットワークI/F150を具備する。NB103とASIC105との間は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス161で接続される。
【0015】
CPU101は、MFP100の全体制御を行う制御部であり、ノースブリッジ(NB)103を含む。NB103は、CPU101と、MEM-P102、SB104、およびAGPバス161とを接続するためのブリッジであり、MEM-P102に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0016】
MEM-P102は、コントローラ110の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM102a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM102bとを含む。なお、RAM102bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0017】
SB104は、NB103とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。図2には、SB104に接続されるデバイスとしてネットワークI/F150および入出力ポート(汎用ポート)160が例示される。ASIC105は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス161、PCIバス162、HD108およびMEM-C106を相互に接続するブリッジとして機能する。
【0018】
ASIC105は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C106を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部2およびプリンタ部4との間でPCIバス162を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。ASIC105には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0019】
HD108は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDDコントローラ107は、CPU101の制御にしたがってHD108に対するデータの読出又は書込を制御する。
【0020】
MEM-C106は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。AGPバス161は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P102に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0021】
近距離通信回路120には、近距離通信回路120aが備わっている。近距離通信回路120は、NFC、Bluetooth等の通信回路である。エンジン制御部130は、スキャナ部2およびプリンタ部4を含んで構成される。また、操作パネル140は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部140a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル140bを備える。
【0022】
コントローラ110は、MFP100全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル140からの入力等を制御する。スキャナ部2又はプリンタ部4には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0023】
なお、MFP100は、操作パネル140のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0024】
また、ネットワークI/F150は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路120およびネットワークI/F150は、PCIバス162を介して、ASIC105に電気的に接続される。センサS1は、入出力ポート160等を介して、CPU101に電気的に接続される。
【0025】
図3は、画像形成システム1の機能ブロック図である。例えば、上述のCPU101がプログラムを実行することでMFP100が画像形成装置10として機能する。また、周辺装置200のCPUがプログラムを実行することで第1周辺装置20として機能し、周辺装置300のCPUがプログラムを実行することで第2周辺装置30として機能する。
【0026】
図3に示す通り、画像形成装置10は、センサ部11、判定部12および移行部13を含んで構成される。例えば、上述のセンサS1(図1参照)がセンサ部11として機能する。センサ部11は、画像形成装置10(MFP100)の利用者がいる場合にON信号を出力し、画像形成装置10の利用者がいない場合にOFF信号を出力する。具体的には、センサ部11は、上述のセンサS1の検知領域に利用者が位置する場合にON信号を出力し、当該検知領域に利用者が位置しない場合にOFF信号を出力する。センサ部11は、通常モードに加え省電力モードにおいても各信号(ON信号、OFF信号)を出力可能に構成される。
【0027】
第1周辺装置20はセンサ部21を具備する。例えば、上述のセンサS2がセンサ部21として機能する。センサ部21は、第1周辺装置20(周辺装置200)の利用者がいる場合にON信号を出力し、第1周辺装置20の利用者がいない場合にOFF信号を出力する。第1周辺装置20からの信号(ON信号、OFF信号)は、画像形成装置10(第2判定部12b)に入力される。センサ部21は、通常モードに加え省電力モードにおいても各信号を出力可能に構成される。
【0028】
第2周辺装置30はセンサ部31を具備する。例えば、上述のセンサS3がセンサ部31として機能する。センサ部31は、第2周辺装置30(周辺装置300)の利用者がいる場合にON信号を出力し、第2周辺装置30の利用者がいない場合にOFF信号を出力する。第2周辺装置30からの信号(ON信号、OFF信号)は、画像形成装置10(第3判定部12c)に入力される。センサ部31は、通常モードに加え省電力モードにおいても各信号を出力可能に構成される。なお、以下において、ON信号を出力するセンサ部(11、21、31)の状態を「ON状態」と記載し、OFF信号を出力するセンサ部の状態を「OFF状態」と記載する場合がある。
【0029】
画像形成装置10の判定部12は、第1判定部12a、第2判定部12bおよび第3判定部12cを含む。第1判定部12aは、画像形成システム1の構成装置(10、20、30)のうち画像形成装置10(第1構成装置の一例)の利用者の有無を判定する。具体的には、第1判定部12aは、センサ部11からON信号が入力される場合(センサ部11がON状態の場合)、画像形成装置10の利用者がいると判断する。一方、第1判定部12aは、センサ部11からOFF信号が入力される場合、画像形成装置10の利用者がいないと判断する。
【0030】
第2判定部12bは、構成装置のうち第1周辺装置20(第2構成装置の一例)の利用者の有無を判定する。具体的には、第2判定部12bは、第1周辺装置20(センサ部21)からON信号が入力される場合(センサ部21がON状態の場合)、第1周辺装置20の利用者がいると判断する。一方、第2判定部12bは、センサ部21からOFF信号が入力される場合、第1周辺装置20の利用者がいないと判断する。なお、第2判定部12bを画像形成装置10以外の装置が具備する構成としてもよい。例えば、第1周辺装置20が第2判定部12bを具備する構成としてもよい。
【0031】
第3判定部12cは、構成装置のうち第2周辺装置30の利用者の有無を判定する。具体的には、第3判定部12cは、第2周辺装置30(センサ部31)からON信号が入力される場合(センサ部31がON状態の場合)、第2周辺装置30の利用者がいると判断する。一方、第3判定部12cは、センサ部31からOFF信号が入力される場合、第2周辺装置30の利用者がいないと判断する。なお、第3判定部12cを画像形成装置10以外の装置が具備する構成としてもよい。例えば、第2周辺装置30が第3判定部12cを具備する構成としてもよい。
【0032】
画像形成装置10の移行部13は、第1移行部13a、第2移行部13bおよび第3移行部13cを含む。第1移行部13aは、画像形成装置10(第1構成装置)の利用者がいると判定されると、省電力モード(第2モード)から通常モード(第1モード)へ画像形成装置10を移行可能である。以上の構成によれば、利用者が画像形成装置10を実際に操作する以前に、画像形成装置10を省電力モードから通常モードへ復帰できる。したがって、画像形成装置10の利用者の利便性が向上するという利点がある。
【0033】
また、第1実施形態における第1移行部13aは、画像形成装置10の利用者がいると判定されると、画像形成装置10および第2周辺装置30を省電力モードから通常モードへ移行可能である。具体的には、第1移行部13aは、画像形成装置10の利用者がいると判定されると、画像形成装置10、第1周辺装置20および第2周辺装置30の全てを通常モードへ移行可能である。
【0034】
画像形成装置10の利用者は、画像形成装置10を使用する際に、第1周辺装置20および第2周辺装置30を使用する可能性が高い。したがって、画像形成装置10の利用者がいると判定した際に、画像形成装置10に加え、第1周辺装置20および第2周辺装置30を通常モードへ移行することにより、第1周辺装置20および第2周辺装置30が使用可能になるまでの待ち時間が短縮され易くなり、利用者の利便性が向上する。
【0035】
さらに、第1実施形態における第1移行部13aは、予め定められた移行契機が成立した際に、画像形成装置10の利用者がいないと判定されたことを条件に、通常モードから省電力モードへ画像形成装置10を移行可能である。第1実施形態では、例えば、各構成装置(10、20、30)の何れもが予め定められた時間にわたり操作されない契機(以下「移行契機」)で、画像形成装置10を含む各構成装置(10、20、30)が省電力モードへ移行する。ただし、移行契機が成立した場合であっても、構成装置の利用者がいる場合、当該構成装置は省電力モードへ移行しない。一方、移行契機が成立した場合であって、構成装置の利用者がいない場合、当該構成装置は省電力モードへ移行する。なお、移行契機は適宜に変更できる。
【0036】
画像形成装置10の利用者は、画像形成装置10を使用する前に(または、使用を一時中断して)、他の作業(例えば印刷内容の確認作業)を実施する場合がある。以上の場合、省電力モードの移行契機が成立し得る。仮に、画像形成装置10に利用者がいるにもよらず、画像形成装置10が省電力モードへ移行する構成では、上述の他の作業の終了後、省電力モードから通常モードへ復帰するまで待ち時間が生じるという不都合がある。本実施形態では、画像形成装置10に利用者がいる場合、移行契機が成立しても画像形成装置10が通常モードで維持されるため、上述の不都合が抑制されるという利点がある。
【0037】
第2移行部13bは、第1周辺装置20(第2構成装置)の利用者がいると判定されると、省電力モード(第2モード)から通常モード(第1モード)へ第1周辺装置20を移行可能である。以上の構成によれば、利用者が第1周辺装置20を実際に操作する以前に、第1周辺装置20を省電力モードから通常モードへ復帰できる。したがって、第1周辺装置20の利用者の利便性が向上するという利点がある。
【0038】
第1実施形態の第2移行部13bは、第1周辺装置20の利用者がいると判定されると、画像形成装置10、第1周辺装置20および第2周辺装置30のうち、第1周辺装置20を省電力モードから通常モードへ移行可能である(画像形成装置10および第2周辺装置30は通常モードで維持される)。一方、上述した通り、画像形成装置10の利用者がいると判定されると、画像形成装置10、第1周辺装置20および第2周辺装置30の全てが通常モードへ移行する。以上の第1実施形態では、画像形成装置10に利用者がいると判定された場合と、第1周辺装置20に利用者がいると判定された場合とで、省電力モードから通常モードへ復帰する装置が相違する。すなわち、第1実施形態では、利用者がいると判定された装置に応じて、通常モードへ復帰する装置が可変であるとも換言される。
【0039】
以上の第1実施形態では、例えば、何れかの構成装置に利用者がいると判定された際に全ての構成装置が一律に通常モードへ復帰する構成と比較して、使用される可能性が低い構成装置を省電力モードで維持できるという利点がある。また、利用者がいると判定された構成装置のみが通常モードへ復帰する構成と比較して、同時に使用する可能性が高い複数の構成装置を通常モードへ移行できるため、利用者の利便性が向上するという利点がある。ただし、何れの構成装置の利用者がいると判定された場合であっても、全ての構成装置が通常モードへ復帰する構成としてもよい。
【0040】
第3移行部13cは、第2周辺装置30の利用者がいると判定されると、省電力モードから通常モードへ第2周辺装置30を移行可能である。以上の構成によれば、利用者が第2周辺装置30を実際に操作する以前に、第2周辺装置30を省電力モードから通常モードへ復帰できる。したがって、第2周辺装置30の利用者の利便性が向上するという利点がある。
【0041】
具体的には、第3移行部13cは、第2周辺装置30の利用者がいると判定されると、画像形成装置10、第1周辺装置20および第2周辺装置30のうち、画像形成装置10および第2周辺装置30を省電力モードから通常モードへ移行可能である。なお、第1移行部13aにより通常モードへ復帰する構成装置の種類は適宜に変更できる。同様に、第2移行部13bにより通常モードへ復帰する構成装置、および、第3移行部13cにより通常モードへ復帰する構成装置は適宜に変更できる。
【0042】
図4は、省電力モード復帰判定処理のフローチャートである。画像形成装置10は、予め定められた契機(例えば所定の時間間隔)で省電力モード復帰判定処理を実行する。
【0043】
省電力モード復帰判定処理を開始すると、画像形成装置10は、画像形成装置10のセンサ部11がON状態であるか否かを判定する(S11)。画像形成装置10のセンサ部11がON状態であると判断すると(S11:Yes)、画像形成装置10は、省電力モードであれば通常モードへ移行する(S12)。その後、画像形成装置10は、省電力モードの第1周辺装置20を通常モードへ移行し(S13)、省電力モードの第2周辺装置30を通常モードへ移行し(S14)、省電力モード復帰判定処理を終了する。
【0044】
具体的には、ステップS13において、通常モードへの復帰を指示する信号が、画像形成装置10から第1周辺装置20へ出力される。また、ステップS14において、通常モードへの復帰を指示する信号が、画像形成装置10から第2周辺装置30へ出力される。各周辺装置(20、30)は、以上の信号が入力されると、省電力モードから通常モードへ復帰する(後述のステップS16およびステップS19においても同様)。
【0045】
上述のステップS11において、画像形成装置10のセンサ部11がON状態でないと判断すると(S11:No)、画像形成装置10は、第1周辺装置20のセンサ部21がON状態であるか否かを判定する(S15)。第1周辺装置20のセンサ部21がON状態であると判断すると(S15:Yes)、画像形成装置10は、省電力モードの第1周辺装置20を通常モードへ移行し(S16)、省電力モード復帰判定処理を終了する。
【0046】
上述のステップS15において、第1周辺装置20のセンサ部11がON状態でないと判断すると(S15:No)、画像形成装置10は、第2周辺装置30のセンサ部31がON状態であるか否かを判定する(S17)。第2周辺装置30のセンサ部31がON状態であると判断すると(S17:Yes)、画像形成装置10は、省電力モードであれば通常モードへ移行し(S18)、省電力モードの第2周辺装置30を通常モードへ移行し(S19)、省電力モード復帰判定処理を終了する。一方、第2周辺装置30のセンサ部31がON状態でないと判断すると(S17:No)、画像形成装置10は、各構成装置を通常モードへ移行させることなく省電力モード復帰判定処理を終了する。
【0047】
図5は、省電力モード移行判定処理のフローチャートである。画像形成装置10は、上述の移行契機が成立すると、省電力モード移行判定処理を開始する。
【0048】
省電力モード移行判定処理を開始すると、画像形成装置10は、画像形成装置10のセンサ部11がON状態であるか否かを判定する(S21)。センサ部11がON状態ではないと判断すると(S21:No)、画像形成装置10は、通常モードであれば省電力モードへ移行するための準備処理を実行し(S22)、ステップS24へ処理を進める。以上の準備処理では、例えば、各種のデータを予め定められた記憶装置へ退避する処理が実行される。
【0049】
センサ部11がON状態であると判断すると(S21:Yes)、画像形成装置10は、画像形成装置10が予め定められた時間にわたり操作されていないか否かを判定する(S23)。画像形成装置10が予め定められた時間にわたり操作されていないと判断すると(S23:Yes)、画像形成装置10は、上述の省電力モードへ移行するための準備処理を実行し、ステップS24へ処理を進める。以上の構成では、センサ部11がON状態であっても、予め定められた時間にわたり操作されていない場合は画像形成装置10が省電力モードへ移行可能になる。
【0050】
例えば、センサ部11がON状態で画像形成装置10が予め定められた時間にわたり操作されていない場合としては、画像形成装置10の使用を終了した後に、その場で他の作業を利用者が実施した場合が想定される。ここで、センサ部11がON状態では、利用者が画像形成装置10の使用を終了した後の期間であっても、画像形成装置10が省電力モードへ移行しない構成を仮定する。以上の構成では、画像形成装置10における電力量が削減され難いという不都合が生じ得る。本実施形態によれば、センサ部11がON状態であっても、予め定められた時間にわたり操作されていない場合、画像形成装置10が省電力モードへ移行する。したがって、上述の不都合が抑制できるという利点がある。
【0051】
画像形成装置10が予め定められた時間内に操作されている場合(S23:No)、画像形成装置10は、準備処理を省略してステップS24へ処理を進める。ステップS24において、画像形成装置10は、第1周辺装置20のセンサ部21がON状態であるか否かを判定する(S24)。センサ部21がON状態ではないと判断すると(S24:No)、画像形成装置10は、第1周辺装置20を省電力モードへ移行するための指示(準備)処理を実行し(S25)、ステップS27へ処理を進める。以上の指示処理では、省電力モードへ移行すべき指示が第1周辺装置20へ出力される。以上の指示が入力されると、第1周辺装置20は、例えば、各種のデータを予め定められた記憶装置へ退避する処理を実行する。
【0052】
センサ部21がON状態であると判断すると(S24:Yes)、画像形成装置10は、第1周辺装置20が予め定められた時間にわたり操作されていないか否かを判定する(S26)。第1周辺装置20が予め定められた時間にわたり操作されていないと判断すると(S26:Yes)、画像形成装置10は、上述のステップS25を実行し、ステップS27へ処理を進める。以上の構成では、センサ部21がON状態であっても、予め定められた時間にわたり操作されていない場合は第1周辺装置20が省電力モードへ移行可能になる。第1周辺装置20が予め定められた時間内に操作されている場合(S26:No)、画像形成装置10は、上述のステップS25を省略し、ステップS27へ処理を進める。
【0053】
ステップS27において、画像形成装置10は、第2周辺装置30のセンサ部31がON状態であるか否かを判定する(S27)。センサ部31がON状態ではないと判断すると(S27:No)、画像形成装置10は、第2周辺装置30を省電力モードへ移行するための指示(準備)処理を実行し(S28)、ステップS30へ処理を進める。以上の指示処理では、省電力モードへ移行すべき指示が第2周辺装置30へ出力される。以上の指示が入力されると、第2周辺装置30は、例えば、各種のデータを予め定められた記憶装置へ退避する処理を実行する。
【0054】
センサ部31がON状態であると判断すると(S27:No)、画像形成装置10は、第2周辺装置30が予め定められた時間にわたり操作されていないか否かを判定する(S29)。第2周辺装置30が予め定められた時間にわたり操作されていないと判断すると(S29:Yes)、画像形成装置10は、上述のステップS28を実行し、ステップS30へ処理を進める。以上の構成では、センサ部31がON状態であっても、予め定められた時間にわたり操作されていない場合は第2周辺装置30が省電力モードへ移行可能になる。
【0055】
第2周辺装置30が予め定められた時間内に操作されている場合(S29:No)、画像形成装置10は、上述のステップS28を省略し、ステップS30へ処理を進める。ステップS30において、画像形成装置10は、ステップS22を実行した場合、省電力モードへ移行する。また、ステップS30において、画像形成装置10は、ステップS25を実行した場合は第1周辺装置20を省電力モードへ移行させ、ステップS28を実行した場合は第2周辺装置30を省電力モードへ移行させる。ステップS30を実行した後に、画像形成装置10は、省電力モード移行判定処理を終了する。
【0056】
以上の各処理を実行する装置は、適宜に変更可能である。また、上述の各機能(移行部等)は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0057】
<第2実施形態>
本発明の他の実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、第1実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0058】
図6は、第2実施形態の検知部14を説明するための図である。第2実施形態の画像形成システム1は、第1実施形態と同様に、画像形成装置10、第1周辺装置20および第2周辺装置30を含んで構成される。また、画像形成装置10は、センサ部11、判定部12(a~c)および移行部13(a~c)を含む。同様に、第1周辺装置20はセンサ部21を含み、第2周辺装置30はセンサ部31を含む。
【0059】
第2実施形態の画像形成装置10は、以上の各構成に加え、検知部14およびセンサ部15(a、b)を含んで構成される。検知部14は、画像形成装置10の利用者の向きを検知する。具体的には、検知部14は、センサ部15からの信号に基づいて、利用者の向きを検知する。センサ部15は、センサ部15aおよびセンサ部15bを含む。センサ部15aおよびセンサ部15bは、画像形成装置10の利用者までの距離を特定可能な信号を生成し、例えば超音波センサが好適に採用され得る。センサ部15aおよびセンサ部15bは、上述のセンサ部11の検知領域側の画像形成装置10の表面に設けられる。具体的には、センサ部15aおよびセンサ部15bは、鉛直方向に略一列に配列される。
【0060】
図6に示す通り、センサ部15aは、画像形成装置10を床面に設置した際に、床面からHaセンチメートル(cm)の高さに設けられ、Ha(cm)の高さに位置する物体までの距離が特定される信号を生成する。具体的には、センサ部15aは、画像形成装置10から利用者の足首(Ps1)までの距離Laが特定される信号を生成可能な高さに設けられる。一方、センサ部15bは、画像形成装置10を床面に設置した際に、床面からHf(cm)の高さに設けられ、Hf(cm)の高さに位置する物体までの距離が特定される信号を生成する。具体的には、センサ部15bは、画像形成装置10から利用者の爪先(Ps2)までの距離Lfが特定される信号を生成可能な高さに設けられる。
【0061】
図6の具体例では、利用者の正面が画像形成装置10の方向を向いている場合を想定する。以上の場合、距離Laは距離Lfより大きくなる(La>Lf)。一方、利用者の正面が画像形成装置10の方向を向いていない場合(例えば、利用者が画像形成装置10に背を向けている場合)、距離Laと距離Lfとは略一致する(La≒Lf)。検知部14は、距離Laと距離Lfとの差を示す判定値Dが閾値Dhより大きいか否かに応じて、画像形成装置10の利用者の向きを判定する。
【0062】
具体的には、検知部14は、センサ部11により利用者が検知されると、センサ部15aが出力する信号から距離Laを特定し、センサ部15bが出力する信号から距離Lfを特定する。また、検知部14は、距離Laから距離Lfを減算して判定値Dを算出し(La-Lf=D)、当該判定値Dが閾値Dh以上であるか否かを判定する。判定値Dが閾値Dh以上の場合、検知部14は、利用者が画像形成装置10の方向を向いていると判断する。一方、判定値Dが閾値Dhより小さい場合、検知部14は、利用者が画像形成装置10の方向を向いていないと判断する。
【0063】
第2実施形態の第1移行部13aは、検知された利用者の向きに応じて、通常モードまたは省電力モードへ画像形成装置10を移行可能である。具体的には、第2実施形態の第1移行部13aは、第1判定部12aにより利用者がいると判断され、且つ、検知部14により利用者が画像形成装置10の方向を向いていると判断された場合、省電力モードから通常モードへ画像形成装置10を移行可能にする。
【0064】
一方、第1判定部12aにより利用者がいると判断されたとしても、検知部14により利用者が画像形成装置10の方向を向いていないと判断された場合、第1移行部13aは、省電力モードから通常モードへ画像形成装置10を移行可能にしない。以上の構成によれば、画像形成装置10の近傍(センサ部11の検知領域)を偶然通過した者がいたとしても、省電力モードから通常モードへ移行する事態が抑制されるという利点がある。
【0065】
また、第2実施形態の第1移行部13aは、画像形成装置10の方向とは異なる方向を利用者が向いたことが検知されると、通常モードから省電力モードへ画像形成装置10を移行可能である。以上の構成によれば、例えば、予め定められた時間にわたり利用者により操作されないことを条件に、通常モードから省電力モードへ画像形成装置10を移行可能な構成と比較して、利用者が使用を終了してから画像形成装置10が省電力モードへ移行するまでの時間を短縮できるという利点がある。
【0066】
なお、センサ部15は、画像形成装置10の表面に設けられなくてもよい。例えば、表面から距離Wxの画像形成装置10の内部にセンサ部15が設けられる構成を想定する。以上の構成では、センサ部15により計測された距離から距離Wxを減算することにより、利用者(Ps1、Ps2)までの実際の距離を求めることができる。
【0067】
また、検知部14により検知された利用者の向きに替えて、画像形成装置10における可動部(例えば、原稿カバー)が動かされたか否かに応じて、通常モードへ移行可能な構成としてもよい。具体的には、可動部が動いた場合にON状態になる可動部センサを画像形成装置10に設ける。以上の構成において、センサ部15により利用者が検知され、且つ、可動部センサがON状態である場合に、通常モードへ移行可能な構成としてもよい。可動部が利用者により動かされた場合、画像形成装置10を使用する意思が当該利用者にある旨が推測される。したがって、当該変形例であっても、第2実施形態と同様に、画像形成装置10を使用する意思が無い者をセンサ部11が検知した際に通常モードへ移行する不都合が抑制されるという利点がある。
【0068】
図7(a)は、省電力モード継続中処理のフローチャートである。画像形成装置10は、省電力モードにおいて、センサ部11により利用者が検知されると(第1判定部12aにより利用者がいると判断されると)、省電力モード継続中処理を開始する。なお、第2実施形態のセンサ部11は、第1実施形態と同様に、省電力モードにおいても利用者を検知可能に構成される。
【0069】
省電力モード継続中処理を開始すると、画像形成装置10は、利用者の足検出を開始する(S51)。具体的には、センサ部15(a、b)は、省電力モード継続中処理が実行される前の省電力モードでは非稼動状態に制御される。上述のステップS51では、センサ部15を稼働状態にする。非稼動状態では、稼働状態より消費電力が抑制される。したがって、第2実施形態によれば、例えばセンサ部15が常に稼働状態である構成と比較して、消費電力が抑制されるという利点がある。センサ部15は、稼働状態へ移行すると、上述の距離Laおよび距離Lx(図6参照)が特定される信号を生成可能になる。
【0070】
センサ部15を稼働状態にした後に、画像形成装置10は、センサ部15の信号を取得し、当該信号から距離Laおよび距離Lfを特定する(S52)。また、画像形成装置10は、距離Laから距離Lfを減算し、減算結果を判定値Dとして記憶する(S53)。その後、画像形成装置10は、利用者が画像形成装置10の方向を向いているか否かを判定する(S54)。具体的には、画像形成装置10は、ステップS53で算出した判定値Dが閾値Dh以上であるか否かを判定する。
【0071】
判定値Dが閾値Dh以上である場合、画像形成装置10は、利用者が画像形成装置10の方向を向いていると判断し(S54:Yes)、省電力モードから通常モードへ復帰する処理(S55)を実行し、省電力モード継続中処理を終了する。一方、判定値Dが閾値Dhより小さい場合、画像形成装置10は、利用者が画像形成装置10の方向を向いていないと判断し(S54:No)、省電力モードを継続する処理(S56)を実行し、省電力モード継続中処理を終了する。
【0072】
図7(b)は、通常モード中処理のフローチャートである。画像形成装置10は、例えば通常モードにおいて予め定められた時間間隔で通常モード中処理を実行する。
【0073】
通常モード中処理を開始すると、画像形成装置10は、省電力モード継続中処理(図7(a))のステップS51と同様に、利用者の足検出を開始する(S61)。その後、省電力モード継続中処理のステップS52~54と同様に、センサ部15の信号を取得し(S62)、該信号から特定した距離Laおよび距離Lfから判定値Dを算出し(S63)、当該判定値Dから利用者が画像形成装置10の方向を向いているか否かを判定する(S64)。
【0074】
利用者が画像形成装置10の方向を向いていると判断すると(S64:Yes)、画像形成装置10は、通常モードを維持して通常モード中処理を終了する。一方、利用者が画像形成装置10の方向を向いていないと判断すると(S64:No)、画像形成装置10は、内部メンテナンスを実行する(S65)。内部メンテナンスとしては、例えば、画像形成装置10における印刷(作像)開始位置を調整するための動作が想定される。以上の内部メンテナンスが実行される状態では、通常の動作(印刷動作など)が一時的に実行できなくなる。
【0075】
第2実施形態では、利用者が画像形成装置10の方向を向いていない隙に、内部メンテナンスが実行される。すなわち、利用者が画像形成装置10を一時的に使用していない可能性が高い期間に内部メンテナンスが実行される。したがって、利用者が画像形成装置10を使用する期間に内部メンテナンスが実行される事態が抑制され、内部メンテナンスが終了するまで利用者を待たせる不都合が抑制できるという利点がある。
【0076】
内部メンテナンスを実行した後に、画像形成装置10は、利用者が画像形成装置10を向いていない状態で一定時間が経過したか否かを判定する(S66)。利用者が画像形成装置10を向いていない状態で一定時間が経過したと判断すると(S66:Yes)、画像形成装置10は、通常モードから省電力モードへ移行し(S67)、通常モード中処理を終了する。ところで、仮にステップS66を省略した構成を想定する。以上の構成では、利用者が画像形成装置10の方向とは異なる方向を向くと、直ちに、省電力モードへ移行する。したがって、利用者が画像形成装置10を継続して使用する場合であっても、省電力モードへ移行してしまう不都合が生じ易くなる。第2実施形態では、以上の不都合が抑制されるという利点がある。
【0077】
利用者が画像形成装置10を向いていない状態が一定時間継続していないと判断すると(S66:No)、画像形成装置10は、上述のステップS61へ処理を戻し、ステップS61からステップS66を繰返し実行する。ステップS61からステップS66が繰返し実行される期間において、利用者が画像形成装置10の方向を向くと、ステップS64で「Yes」と判断され、通常モードのまま通常モード中処理が終了する。
【0078】
なお、第2実施形態において、センサ部15を周辺装置に設けてもよい。以上の構成において、判定部(12b、12c)が周辺装置の利用者がいると判断し、且つ、利用者が周辺装置の方向を向いている場合、当該周辺装置を通常モードへ復帰させる構成としてもよい。また、利用者が周辺装置の方向を向いていない場合、当該周辺装置を省電力モードへ移行する構成としてもよい。さらに、周辺装置の利用者が当該周辺装置に向いている場合に、当該周辺装置において内部メンテナンスが制限される構成としてもよい。
【0079】
<第3実施形態>
図8(a)から図8(c)は、第3実施形態におけるセンサ部16を説明するための図である。第3実施形態の画像形成装置10は、第2実施形態で説明したセンサ部15に替えて、センサ部16を具備する。また、第3実施形態の画像形成装置10は、第1実施形態および第2実施形態で説明した各構成に加え、制限部17を具備する。詳細には後述するが、検知部14はセンサ部16により利用者の向きを検知する。制限部17は、検知された利用者の向きに応じて、内部メンテナンスの実行を制限する。
【0080】
また、第3実施形態の検知部14は、画像形成装置10の利用者が画像形成装置10と対峙しているのか、画像形成装置10の利用者が第1周辺装置20の方向を向いているのか、画像形成装置10の利用者が第1周辺装置20の方向を向いているのかを判断可能に構成される。以下、説明のため、画像形成装置10の利用者からみて、画像形成装置10の方向を「Y方向」という。また、画像形成装置10の利用者からみて、第1周辺装置20の方向を「X1方向」という。同様に、画像形成装置10の利用者からみて、第2周辺装置30の方向を「X2方向」という。図8(a)から図8(c)には、Y方向、X1方向およびX2方向が示される。
【0081】
図8(a)から図8(c)は、画像形成装置10を使用している利用者から見た画像形成装置10である。図8(a)から図8(c)には、画像形成装置10の表面のうち各センサ部16が設けられる領域SUが抜粋して示される。また、画像形成装置10の利用者の足(Ua、Uf)が示される。第3実施形態のセンサ部16は、複数個(例えば、5個)のセンサ部16a(i~V)、および、各センサ部16aに対応する複数個(例えば、5個)のセンサ部16b(i~V)を含む。
【0082】
各センサ部16aは、利用者の足の甲より上側(足首など)の部分(Ua)を検知可能な位置(床面から高さHa(cm)の位置)に、水平方向に略等間隔に設けられる。具体的には、センサ部16aの正面に利用者(部分Ua)が位置する場合、当該センサ部16aがON状態になり、センサ部16aの正面に利用者(部分Ua)が位置しない場合、当該センサ部16aがOFF状態になる。
【0083】
各センサ部16bは、利用者の足の甲より下側の部分(Uf)を検知可能な位置(床面から高さHf(cm)の位置)に、水平方向に略等間隔に設けられる。また、センサ部16bは、当該センサ部16bに対応するセンサ部16aの真下に設けられる。センサ部16bの正面に利用者(部分Uf)が位置する場合、当該センサ部16bがON状態になり、センサ部16bの正面に利用者(部分Uf)が位置しない場合、当該センサ部16bがOFF状態になる。第3実施形態の検知部14は、ON状態のセンサ部16の組合せに応じて、利用者の向きを検知する。
【0084】
図8(a)は、利用者がX1方向(第1周辺装置20の方向)を向いている場合を想定する。利用者の足首(部分Ua)は、当該利用者の踵(部分Ufの端部)の略真上に位置するという事情がある。したがって、利用者の足首(部分Ua)を検知したセンサ部16aに対応する(真下に位置する)センサ部16bは、当該利用者の踵を検知する。例えば、図8(a)の具体例では、センサ部16aiiが利用者の足首(部分Ua)を検知し、センサ部16biiが当該利用者の踵を検知した場合を想定する。
【0085】
また、利用者の爪先(部分Ufの他端部)は、当該利用者の踵から水平方向にずれた位置にあるという事情がある。例えば、利用者がX1方向を向いている図8(a)の具体例では、利用者の踵からX1方向にずれた位置に当該利用者の爪先が位置する。以上の説明から理解される通り、利用者がX1方向を向いている場合、利用者の足首(部分Ua)を検知したセンサ部16aに対応するセンサ部16bよりX1方向側の他のセンサ部16bがON状態になる。検知部14は、利用者の足首(部分Ua)を検知したセンサ部16aに対応するセンサ部16bよりX1方向側の他のセンサ部16bがON状態の場合、当該利用者はX1方向を向いていると判断する。
【0086】
図8(b)は、利用者がX2方向(第2周辺装置30の方向)を向いている場合の具体例である。利用者がX2方向を向いている場合、利用者の足首(部分Ua)を検知したセンサ部16aに対応するセンサ部16bよりX2方向側の他のセンサ部16bがON状態になる。例えば、図8(b)の具体例では、利用者の足首(部分Ua)を検知したセンサ部16aiiiに対応するセンサ部16biiiよりX2方向側のセンサ部16biiおよびセンサ部16biがON状態になる。検知部14は、利用者の足首(部分Ua)を検知したセンサ部16aに対応するセンサ部16bよりX2方向側の他のセンサ部16bがON状態の場合、当該利用者はX2方向を向いていると判断する。
【0087】
図8(c)は、利用者がY方向(画像形成装置10の方向)を向いている場合の具体例である。第3実施形態の画像形成装置10は、利用者がY方向を向いている場合、利用者の足首(部分Ua)を検知したセンサ部16aに対応するセンサ部16bにより利用者(踵または爪先)が検知され、他のセンサ部16bでは利用者が検知されない様に構成される。例えば、図8(b)の具体例では、利用者の足首(部分Ua)を検知したセンサ部16aiii、および、センサ部16aiiiに対応するセンサ部16biiiがON状態になり、他のセンサ部16はOFF状態である。ただし、利用者の足首(部分Ua)を検知したセンサ部16aに対応するセンサ部16bにより利用者が検知され、他のセンサ部16bでは利用者が検知されない場合としては、利用者がY方向を向いている場合の他、利用者がY方向逆向き(画像形成装置10の方向とは逆向き)を向いている場合が想定される。
【0088】
以上の事情を考慮して、第3実施形態のセンサ部16は、第2実施形態のセンサ部15と同様に、利用者までの距離を特定可能な信号を生成する。また、第3実施形態の検知部14は、第2実施形態の検知部14と同様に、センサ部16の信号から特定される距離に応じて、利用者がY方向を向いているか、利用者がY方向逆向きを向いているかを判断する。ただし、利用者の向きを検知するための構成は、以上の例に限定されない。例えば、利用者を撮影した画像を解析し、当該利用者の向きを検知してもよい。以上の変形例の具体例としては、画像認証技術が好適に採用され得る。
【0089】
図9(a)は、第3実施形態における通常モード中処理のフローチャートである。通常モード中処理を開始すると、画像形成装置10は、利用者が画像形成装置10に背を向けているか(Y方向とは逆向きを利用者が向いているか)否かを判定する(S101)。利用者が背を向けていないと判断した場合(S101:No)、画像形成装置10は、通常モードを継続し(S102)、通常モード中処理を終了する。
【0090】
一方、利用者が背を向けていると判断した場合(S101:Yes)、画像形成装置10は、利用者が背を向けている状態が予め定められた時間にわたり継続したか否かを判定する(S103)。利用者が背を向けている状態の継続時間が予め定められた時間未満の場合(S103:No)、画像形成装置10は、ステップS101に処理を戻す。
【0091】
図9(a)から理解される通り、利用者が画像形成装置10に背を向けた状態ではなくなるか、利用者が背を向けている状態が予め定められた時間にわたり継続するまで、ステップS101およびステップS103が繰返し実行される。利用者が画像形成装置10に背を向けた状態が予め定められた時間にわたり継続したと判断すると(S103:Yes)、画像形成装置10は、省電力モードへ移行して(S104)、通常モード中処理を終了する。
【0092】
図9(b)は、内部メンテナンス制御処理のフローチャートである。画像形成装置10は、例えば、内部メンテナンスを本来実行する時期(例えば印刷の終了直後)において内部メンテナンス制御処理を実行する。
【0093】
画像形成装置10は、内部メンテナンス制御処理を開始すると、利用者が画像形成装置10の方向(Y方向)を向いているか否かを判定する(S111)。利用者が画像形成装置10の方向を向いていると判断すると(S111:Yes)、画像形成装置10は、制限状態へ移行し(S112)、ステップS114へ処理を進める。制限状態では、上述の内部メンテナンスの実行が制限される。
【0094】
利用者が画像形成装置10の方向を向いている場合、利用者が直ちに画像形成装置10を使用する可能性が高い。したがって、第3実施形態の構成は、利用者が画像形成装置10を直ちに使用する可能性が高い場合、内部メンテナンスの実行が制限されるとも換言される。したがって、内部メンテナンスが終了するまでの待ち時間が生じ難くなるという利点がある。
【0095】
上述のステップS111において、利用者が画像形成装置10の方向を向いていないと判断すると(S111:No)、画像形成装置10は、制限状態を終了し(S113)、ステップS114へ処理を進める。ステップS114において、画像形成装置10は、制限状態であるか否かを判定する(S114)。制限状態ではない場合(S114:No)、画像形成装置10は、内部メンテナンスを実行して(S115)、内部メンテナンス制御処理を終了する。一方、制限状態である場合(S114:Yes)、画像形成装置10は、内部メンテナンスを省略して、内部メンテナンス制御処理を終了する。
【0096】
以上の通り、第3実施形態では、利用者が画像形成装置10の方向(Y方向)を向いていない場合に制限状態を終了した。すなわち、利用者がY方向逆向き、X1方向およびX2方向を含むY方向とは相違する方向を向いている場合に制限状態が終了する構成を採用した。以上の構成に代えて、利用者がY方向とは逆を向いた場合に制限状態を終了し、他の方向(X1方向およびX2方向を含む)を向いても制限状態が終了しない構成としてもよい。
【0097】
第3実施形態では、画像形成装置10が通常モードの期間において、第1周辺装置20および第2周辺装置30が省電力モードへ移行する場合がある。また、以上の場合において、画像形成装置10の利用者が、画像形成装置10の使用を終了し、第1周辺装置20または第2周辺装置30を使用する場合がある。第3実施形態では、以上の場合に、利用者の待ち時間が抑制される構成を採用する。以上の構成について、以下で詳細に説明する。
【0098】
図10は、事前復帰処理のフローチャートである。画像形成装置10は、例えば、画像形成装置10が使用される期間において、予め定められた時間間隔で事前復帰処理を実行する。
【0099】
事前復帰処理を開始すると、画像形成装置10は、利用者が画像形成装置10の方向を向いているか否かを判定する(S121)。利用者が画像形成装置10の方向を向いていると判断すると(S121:Yes)、画像形成装置10は、他の構成装置を通常モードに復帰させることなく(後述のS123を実行しないで)、事前復帰処理を終了する。一方、利用者が画像形成装置10の方向を向いていないと判断すると(S121:No)、画像形成装置10は、利用者がX1方向(第1周辺装置20の方向)またはX2方向(第1周辺装置20の方向)を向いているか否かを判定する(S122)。
【0100】
利用者がX1方向またはX2方向を向いていないと判断すると(S122:No)、画像形成装置10は、他の構成装置を通常モードに復帰させることなく事前復帰処理を終了する。一方、利用者がX1方向またはX2方向を向いていると判断すると(S122:Yes)、画像形成装置10は、利用者が向いている方向に応じた装置を通常モードに復帰させる(S123)。具体的には、利用者がX1方向を向いている場合、画像形成装置10は、第1周辺装置20を通常モードへ復帰させる。また、利用者がX2方向を向いている場合、画像形成装置10は、第2周辺装置30を通常モードへ復帰させる。
【0101】
以上の構成によれば、利用者が向かおうとしている周辺装置(20、30)を事前に通常モードに復帰できる。周辺装置を復帰させた後に、画像形成装置10は事前復帰処理を終了する。なお、第3実施形態において、センサ部16を周辺装置に設けてもよい。以上の構成において、周辺装置の利用者の向きに応じて、画像形成システム1の他の構成装置を事前に通常モードに復帰可能な構成としてもよい。さらに、周辺装置の利用者が当該周辺装置に背を向けた場合に、当該周辺装置を省電力モードへ移行する構成としてもよい。さらに、周辺装置の利用者が当該周辺装置に向いている場合に、当該周辺装置において内部メンテナンスが制限される構成としてもよい。
【0102】
<変形例>
以上の各形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0103】
上述の第2実施形態において、センサ部15(a、b)を設ける位置は適宜に変更され得る。図11(a)は、変形例におけるセンサ部15の位置を説明するための図である。センサ部15bは、上述の第2実施形態と同様に、床面から高さHf(cm)の位置に設けられ、利用者の爪先(Ps2)を検知する。一方、センサ部15aは、床面からの高さがHa(cm)より高い位置に設けられる。また、センサ部15aの測定方向は、水平方向に対して角度「θ」(0°<θ<90°)だけ傾いている。なお、図11(a)の例では、利用者の部分Ps1(足首)がセンサ部15aにより検知される場合を想定する。
【0104】
以上の変形例では、センサ部15bが生成する信号から特定される距離Lfは、画像形成装置10から利用者の爪先(Ps2)までの距離を示す。一方、センサ部15aが生成する信号から特定される距離Laは、画像形成装置10から利用者の足首(Ps1)までの距離(以下「距離Lx」とする)とは相違する。そこで、当該変形例では、距離Laから距離Lxを算出する補正処理を実行する。具体的には、距離Lxは、距離Laにcosθを乗じることで求められる(Lx=La×cosθ)。画像形成装置10は、距離Lfと補正処理で算出した距離Lxとを用いて、利用者の向きを検知する。
【0105】
図11(b)は、他の変形例におけるセンサ部15(a、b)の位置を説明するための図である。なお、図11(b)には、画像形成装置10の方向(Y方向)が矢印で示される。また、以下において、Y方向と垂直な方向をX方向と記載する場合がある。X方向は水平方向と略平行である。上述の第2実施形態および図11(a)に示す変形例では、センサ部15aおよびセンサ部15bを鉛直方向に一列に配列した。図11(b)の変形例では、センサ部15aおよびセンサ部15bが鉛直方向に一列に配列されない。
【0106】
具体的には、当該変形例のセンサ部15aは床面から高さHa(cm)の位置に設けられ、センサ部15bは床面から高さHf(cm)の位置に設けられる(第2実施形態と同様)。また、センサ部15aとセンサ部15bとではX方向における位置が相違する。具体的には、図11(b)に示す通り、センサ部15aは、測定方向がθaだけY方向からずれた位置に設けられる。また、センサ部15bは、測定方向がθbだけY方向からずれた位置に設けられる。以上の変形例では、利用者の足首(Ps1)から画像形成装置10までの距離(以下「Lx1」)は、センサ部15aの信号から特定される距離Laとは相違する。また、利用者の爪先(Ps2)から画像形成装置10までの距離(以下「Lx2」)は、センサ部15bの信号から特定される距離Lfとは相違する。
【0107】
そこで、当該変形例では、距離Laから距離Lx1を算出する補正処理を実行する。具体的には、距離Lx1は、距離Laにcosθaを乗じることで求められる(Lx1=La×cosθa)。また、当該変形例では、距離Lfから距離Lx2を算出する補正処理を実行する。具体的には、距離Lx2は、距離Lfにcosθbを乗じることで求められる(Lx2=Lb×cosθb)。画像形成装置10は、補正処理で算出した距離Lx1と距離Lx2とを用いて、利用者の向きを検知する。なお、図11(a)の変形例、または、図11(b)の変形例を、周辺装置(20、30)におけるセンサ部15の位置に採用してもよい。
【0108】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の画像形成システム(1)は、画像を形成する画像形成装置(10)、および、画像形成装置と共に設けられる周辺装置(20、30)を含む構成装置(10、20、30)を具備する画像形成システムであって、構成装置は、第1モード(通常モード)および第1モードより消費電力が小さい第2モード(省電力モード)へ移行可能であり、構成装置のうち第1構成装置(画像形成装置10)の利用者の有無を判定する第1判定部(12a)と、構成装置のうち第1構成装置とは別の第2構成装置(第1周辺装置20)の利用者の有無を判定する第2判定部(12b)と、第1構成装置の利用者がいると判定されると、第2モードから第1モードへ第1構成装置を移行可能な第1移行部(13a)と、第2構成装置の利用者がいると判定されると、第2モードから第1モードへ第2構成装置を移行可能な第2移行部(13b)とを具備する。本態様によれば、画像形成システムにおいて、第1構成装置の利用者がいる場合に第1構成装置が消費電力が小さい第2モードから第1モードへ移行可能になるとともに、第2構成装置の利用者がいる場合に第2構成装置が第2モードから第1モードへ移行可能になる。
【0109】
<第2態様>
本態様の画像形成システム(1)は、利用者の向きを検知する検知部(14)を具備し、第1移行部は、検知された利用者の向きに応じて、第1モードまたは第2モードへ第1構成装置を移行可能である。本態様によれば、例えば、予め定められた時間が経過した契機のみで第1構成装置が第2モードへ移行する構成と比較して、第2モードの期間が長くなり、消費電力を抑制し易くなるという利点がある。
【0110】
<第3態様>
本態様の画像形成システム(1)は、第1移行部は、第1構成装置の利用者がいると判定されると、第1構成装置および第2構成装置の双方を第2モードから第1モードへ移行可能であり(図4のS11~S13参照)、第2移行部は、第2構成装置の利用者がいると判定されると、第1構成装置および第2構成装置のうち、第2構成装置を第2モードから第1モードへ移行可能である(図4のS15、S16参照)。本態様によれば、第1構成装置の使用中に第2構成装置が第1モードへ移行するため、第2構成装置が第1モードへ移行するのを待つという状況が生じ難くなるという利点がある。また、第2構成装置の使用中に第1構成装置を第2モードで維持できるため、消費電力が抑制できるという利点もある。
【0111】
<第4態様>
本態様の画像形成システム(1)は、第1移行部は、予め定められた移行契機が成立した際に、第1構成装置の利用者がいないと判定されたことを条件に、第1モードから第2モードへ第1構成装置を移行可能である(図5参照)。本態様によれば、利用者がいるにもかかわらず、第1構成装置が第2モードへ移行してしまう不都合が抑制される。
【0112】
<第5態様>
本態様の画像形成システム(1)は、第1移行部は、第1構成装置の方向とは異なる方向を利用者が向いたことが検知されると、第1モードから第2モードへ第1構成装置を移行可能である。態様によれば、例えば、予め定められた時間が経過した契機のみで第1構成装置が第2モードへ移行する構成と比較して、第2モードの期間が長くなり、消費電力を抑制し易くなるという利点がある。
【0113】
<第6態様>
本態様の画像形成システム(1)は、第1構成装置は、予め定められたメンテナンスが実行される状態(制限状態)へ移行可能であり、第1構成装置の方向を利用者が向いていることが検知される場合、メンテナンスが実行される状態への移行を制限する制限部(17)を具備する。本態様によれば、メンテナンスが終了するまでの待ち時間が生じ難くなるという利点がある。
【0114】
<第7態様>
本態様の画像形成システム(1)は、第2移行部は、第1構成装置の利用者が第2構成装置の方向を向いていることが検知されると、第2モードから第1モードへ第2構成装置を移行可能である。本態様によれば、第2構成装置が事前に第1モードへ移行するため、第2構成装置が第1モードへ移行する待ち時間が抑制されるという利点がある。
【0115】
<第8態様>
本態様の画像形成装置(10)は、画像形成システム(1)を構成するとともに、画像を形成する画像形成装置であって、画像形成システムの構成装置のうち第1構成装置の利用者の有無を判定する第1判定部と、構成装置のうち第1構成装置とは別の第2構成装置の利用者の有無を判定する第2判定部と、第1構成装置の利用者がいると判定されると、第1モードより消費電力が小さい第2モードから第1モードへ第1構成装置を移行可能な第1移行部と、第2構成装置の利用者がいると判定されると、第2モードから第1モードへ第2構成装置を移行可能な第2移行部とを具備し、第2移行部により、第2構成装置が第2モードから第1モードへ移行する際に、第1構成装置を第2モードで維持可能である。本態様によれば、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
【0116】
<第9態様>
本態様の画像形成システムの制御方法は、画像を形成する画像形成装置、および、画像形成装置と共に設けられる周辺装置を含む構成装置を具備する画像形成システムの制御方法であって、構成装置のうち第1構成装置の利用者の有無を判定するステップ(図4のS11)と、構成装置のうち第1構成装置とは別の第2構成装置の利用者の有無を判定するステップ(図4のS15)と、第1構成装置の利用者がいると判定されると、第1モードより消費電力が小さい第2モードから第1モードへ第1構成装置を移行可能とするステップ(図4のS12)と、第2構成装置の利用者がいると判定されると、第2モードから第1モードへ第2構成装置を移行可能とするステップ(図4のS16)とをコンピュータに実行させるとともに、第2構成装置の利用者がいると判定され、第2構成装置が第2モードから第1モードへ移行する際に、第1構成装置を第2モードで維持可能な画像形成システムの制御方法である。本態様によれば、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
【0117】
<第10態様>
本態様のプログラムは、請求項9に記載の各ステップをコンピューターに実行させるプログラムである。本態様によれば、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
【符号の説明】
【0118】
1…画像形成システム、10…画像形成装置、11…センサ部、12…判定部、13…移行部、14…検知部、15…センサ部、16…センサ部、17…制限部、20…第1周辺装置、21…センサ部、30…第2周辺装置、31…センサ部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【文献】特許6044113号公報
図1
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図5
図6
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