(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】感圧センサ
(51)【国際特許分類】
H01H 13/18 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H01H13/18 A
(21)【出願番号】P 2021011993
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-08-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】杉田 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】安倍 憲太郎
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 智巳
(72)【発明者】
【氏名】岡 太一
(72)【発明者】
【氏名】加古 学
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-335266(JP,A)
【文献】特開2008-258118(JP,A)
【文献】特開2012-195181(JP,A)
【文献】特表2016-519410(JP,A)
【文献】特開2007-256136(JP,A)
【文献】特開2001-110272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に形成されるとともに導電性および弾性を有する第1導電部材と、
前記第1導電部材が配置される長尺状の空間を内部に有するとともに、導電性および弾性を有する第2導電部材と、
絶縁性および弾性を有し、前記第1導電部材を前記第2導電部材から離間して保持する絶縁部材と、
を備え、
前記絶縁部材は、前記第1導電部材と非融着であることにより前記第1導電部材と相対移動可能とさ
れ、かつ前記第2導電部材と融着している感圧センサ。
【請求項2】
長尺状に形成されるとともに導電性および弾性を有する第1導電部材と、
前記第1導電部材が配置される長尺状の空間を内部に有するとともに、導電性および弾性を有する第2導電部材と、
絶縁性および弾性を有し、前記第1導電部材を前記第2導電部材から離間して保持する絶縁部材と、
を備え、
前記絶縁部材は、前記第1導電部材と非融着であることにより前記第1導電部材と相対移動可能とさ
れ、かつ中空な円筒状の形状を有している感圧センサ。
【請求項3】
前記絶縁部材は長尺状に形成され、
1つの前記絶縁部材が前記第1導電部材の表面に沿ってらせん状に配置された請求項1
または2記載の感圧センサ。
【請求項4】
前記絶縁部材は長尺状に形成され、
複数の前記絶縁部材が、前記第1導電部材の表面に間隔を開けて配置された請求項1
または2記載の感圧センサ。
【請求項5】
前記第1導電部材の長手方向と交差する断面視において、
前記第1導電部材の中心を通る仮想直線上に1つの前記絶縁部材が配置された請求項
4記載の感圧センサ。
【請求項6】
長尺状に形成されるとともに導電性および弾性を有する第1導電部材と、
前記第1導電部材が配置される長尺状の空間を内部に有するとともに、導電性および弾性を有する第2導電部材と、
絶縁性および弾性を有し、前記第1導電部材を前記第2導電部材から離間して保持する絶縁部材と、
を備え、
前記絶縁部材は、前記第1導電部材および前記第2導電部材の両方と非融着であることにより前記第1導電部材および前記第2導電部材の両方と相対移動可能とさ
れ、かつ中空な円筒状の形状を有している感圧センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧センサに関する。
【背景技術】
【0002】
外力を受けて内部の電気導体が導通状態となることでスイッチ機能を実現する感圧センサが知られている(例えば、特許文献1参照。)。感圧センサは、扉、窓、シャッター等の開閉装置や通過車両の検出、足踏み式スイッチなどに用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された感圧センサは中空らせん構造を有している。具体的には、感圧センサは中心部に長手方向に延びる中空構造を有している。さらに、4本の電気導体が中空構造を取り囲み周方向に等間隔に配置され、長手方向にらせん状に延びて配置されている。
【0005】
この中空らせん構造を実現するために、感圧センサは中空構造を形成するスペーサを用いた工程により製造されている。具体的には、感圧センサを製造する工程には、スペーサの周囲に電気導体を配置して感圧センサを形成した後、スペーサを引き抜く工程が含まれている。
【0006】
その結果、特許文献1の感圧センサは製造にかかるコストが増大しやすいという問題があった。つまり、中空構造を形成する工程が増大しやすいこと、スペーサの材料費が嵩みやすいこと、加工費が増大しやすいことによりコストが増大しやすいという問題があった。
【0007】
また、感圧センサは上述の開閉装置における配置箇所の形状に沿って配置される。例えば、凸状に湾曲した箇所や、凹状に湾曲した箇所の形状に沿って配置される場合がある。感圧センサの内部構造によっては、上述のような湾曲した形状に沿って感圧センサを配置しにくくなる(言い換えると、許容曲げ性能が劣る)場合があるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、製造コストの増大を抑制するとともに、許容曲げ性能の確保が容易な感圧センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の感圧センサには、長尺状に形成されるとともに導電性および弾性を有する第1導電部材と、前記第1導電部材が配置される長尺状の空間を内部に有するとともに、導電性および弾性を有する第2導電部材と、絶縁性および弾性を有し、前記第1導電部材を前記第2導電部材から離間して保持する部材であって、前記第1導電部材および前記第2導電部材の少なくとも一方と相対移動可能とされた絶縁部材と、が設けられている。
【0010】
本発明の感圧センサは、第1導電部材および第2導電部材が同軸状に配置され、第1導電部材および第2導電部材の間には絶縁部材が配置されるとともに空間が形成された構成を有する。このような構成を有するため、特許文献1に記載のセンサのようなスペーサを用いた製造方法ではなく、押し出し成型などのスペーサを用いない製造方法で感圧センサを製造することが可能となる。
【0011】
絶縁部材と、第1導電部材および第2導電部材の少なくとも一方と、が相対移動可能な構成を有している。そのため、感圧センサが曲げられた際に発生する第1導電部材と第2導電部材との伸び縮みの差が、上述の相対移動により吸収されやすい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の感圧センサによれば、製造コストの増大を抑制しやすく、許容曲げ性能を確保しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る感圧センサの構成を説明する横断面図である。
【
図2】
図1の感圧センサの第1導電部材および第2導電部材が導通した状態を説明する横断面図である。
【
図3】
図1の感圧センサが曲げられる場合の状態を説明する縦断面図である。
【
図4】
図4(a)は、
図1の感圧センサにおける第1変形例の構成を説明する横断面図であり、
図4(b)は、
図1の感圧センサにおける第2変形例の構成を説明する横断面図である。
【
図5】
図5(a)は、
図1の感圧センサにおける第3変形例の構成を説明する横断面図であり、
図5(b)は、
図1の感圧センサにおける第4変形例の構成を説明する横断面図である。
【
図6】
図6(a)は、
図1の感圧センサにおける第5変形例の構成を説明する横断面図であり、
図6(b)は、
図1の感圧センサにおける第6変形例の構成を説明する横断面図である。
【
図7】
図7(a)は、
図1の感圧センサにおける第7変形例の構成を説明する横断面図であり、
図7(b)は、
図1の感圧センサにおける第8変形例の構成を説明する横断面図である。
【
図8】
図1の感圧センサにおける第9変形例の構成を説明する横断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る感圧センサの構成を説明する横断面図である。
【
図10】
図10(a)は、
図9の感圧センサにおける第1変形例の構成を説明する横断面図であり、
図10(b)は、
図9の感圧センサにおける第2変形例の構成を説明する横断面図である。
【
図11】
図11(a)は、
図9の感圧センサにおける第3変形例の構成を説明する横断面図であり、
図11(b)は、
図9の感圧センサにおける第4変形例の構成を説明する横断面図である。
【
図12】
図12(a)は、
図9の感圧センサにおける第5変形例の構成を説明する横断面図であり、
図12(b)は、
図9の感圧センサにおける第6変形例の構成を説明する横断面図である。
【
図13】
図13(a)は、
図9の感圧センサにおける第7変形例の構成を説明する横断面図であり、
図13(b)は、
図9の感圧センサにおける第8変形例の構成を説明する横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る感圧センサ1について
図1から
図8を参照しながら説明する。本実施形態の感圧センサ1は、所望の長さを有する円柱状または円筒状の形状を有している。
図1は第1の実施形態に係る感圧センサ1における断面の構成を示す。
【0015】
感圧センサ1は、
図1における紙面の手前側および奥側に向かって延びる形状を有している。また、本実施形態では、感圧センサ1の直径が4mmである例に適用して説明する。なお、感圧センサ1の直径は4mmよりも小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0016】
感圧センサ1には、
図1に示すように、第1導電部材10と、第2導電部材20と、第1絶縁部材(絶縁部材に相当する。)40と、第2絶縁部材50と、が主に設けられている。
第1導電部材10は第2導電部材20の内部に配置される部材である。第1導電部材10は、導電性を有するとともに弾性を有する材料を用いて円柱状に形成された部材である。本実施形態では、横断面視において、第1導電部材10は円形状を有している例に適用して説明する。第1導電部材10を形成する材料としては、カーボンブラックを含む導電ゴムを例示することができる。
【0017】
第1導電部材10には、第1導体11が設けられている。第1導体11は、導電性を有する金属材料から形成された線材である。第1導体11は円柱形状の第1導電部材10における中心線に沿って配置されている。言い換えると、第1導体11は第1導電部材10と同軸に配置されている。なお、第1導体11は、第1導電部材10と導電可能に配置されていればよく、第1導電部材10における中心線以外の場所に配置されてもよい。
【0018】
第2導電部材20は、内部の空間30に第1導電部材10および第1絶縁部材40が配置される円筒状の部材である。第2導電部材20は、導電性を有するとともに弾性を有する材料を用いて形成された部材である。第2導電部材20を形成する材料としては、カーボンブラックを含むポリオレフィン等の導電ゴムを例示することができる。
【0019】
第2導電部材20には、第2導体21が設けられている。第2導体21は、導電性を有する金属材料から形成された線材である。第2導体21は円筒形状の第2導電部材20における周壁内に長手方向に沿って配置されている。
【0020】
本実施形態では、第2導体21は、第1導電部材10を間に挟む第1絶縁部材40と反対側の位置(または位相とも表記する。)に配置されている例に適用して説明する。なお、第2導電部材20における第2導体21が配置される位置は、上述の第1絶縁部材40と反対側の位置であってもよいし、他の位置であってもよい。
【0021】
本実施形態では、第1導体11および第2導体21が錫めっき軟銅撚り線である例に適用して説明する。なお、第1導体11および第2導体21を形成する金属材料は、銅を成分に含む銅合金であってもよいし、銀であってもよいし、銀を成分に含む銀合金であってもよい。
【0022】
第1絶縁部材40は、第1導電部材10とともに第2導電部材20の空間30に配置される円柱形状の部材である。第1絶縁部材40の直径は、第1導電部材10から第2導電部材20までの径方向の間隔と同等の大きさである。
【0023】
第1絶縁部材40は、第1導電部材10の表面である周面に沿ってらせん状に配置されている。本実施形態では、第1絶縁部材40は、第1導電部材10が第2導電部材20と同軸となる位置に保持する部材である例に適用して説明する。
【0024】
第1絶縁部材40が第1導電部材10のまわりを1周する際に長手方向に移動する移動量(らせんピッチとも表記する。)は、適宜定めることができ特に限定するものではない。第1絶縁部材40を形成する材料としては、ポリオレフィン等の絶縁性を有するゴム材料を例示することができる。
【0025】
本実施形態では、第1絶縁部材40における第1導電部材10と接触する部分は、第1導電部材10と融着している。言い換えると、第1導電部材10に固定されている。その一方で、第1絶縁部材40における第2導電部材20と接触する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。第1絶縁部材40と第1導電部材10のゴム材料を同一のものを使用することにより、融着による固定が容易となる。
【0026】
なお、本実施形態では第1絶縁部材40と第1導電部材10とが融着し、第1絶縁部材40と第2導電部材20とが非融着である例に適用して説明するが、第1絶縁部材40と第1導電部材10とが非融着であり、第1絶縁部材40と第2導電部材20とが融着してもよい。さらに、第1絶縁部材40と第1導電部材10が非融着であり、第1絶縁部材40と第2導電部材20とが非融着であってもよい。
【0027】
第2絶縁部材50は、第2導電部材20の外周面を覆う円筒形状を有する部材であり、感圧センサ1の外形を構成する部材である。第2絶縁部材50を形成する材料としては、ポリウレタン等の絶縁性を有するゴム材料を例示することができる。
【0028】
本実施形態では、第2絶縁部材50における第2導電部材20と接触する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。なお、第2絶縁部材50は、第2導電部材20と融着していてもよい。言い換えると、第2導電部材20と固定されていてもよい。
【0029】
次に、上記の構成からなる感圧センサ1における作用について説明する。
図2は感圧センサ1の第1導電部材10および第2導電部材20が導通した状態を示す。
感圧センサ1に押圧力Pが加えられていない場合、第1導電部材10および第2導電部材20は、
図1に示すように空間30および第1絶縁部材40により離間されている。つまり、第1導電部材10および第2導電部材20は電気的にも離間されている。
【0030】
感圧センサ1に押圧力Pが加えられると、
図2に示すように第2絶縁部材50および第2導電部材20は弾性変形する。本実施形態では、外部から第1導電部材10に向かう押圧力Pが加えられた例に適用して説明する。第2導電部材20は、押圧力Pが加えられた部分が第1導電部材10に向かって変形し、第1導電部材10と接触する。言い換えると第1導電部材10および第2導電部材20は導電可能となる。
【0031】
感圧センサ1における第1導電部材10と第2導電部材20との間に導電性があるか否かに基づいて、感圧センサ1に押圧力Pが加えられているか否かを検知することが可能となる。なお、第1導電部材10と第2導電部材20との間の抵抗値に基づいて、感圧センサ1に押圧力Pが加えられているか否かを検知してもよい。
【0032】
次に、上記の構成からなる感圧センサ1が曲げられた場合について説明する。
図3は、感圧センサ1が曲げられる場合の状態を示す。
感圧センサ1が曲げられると、
図3に示すように感圧センサ1の内側部分(
図3の左側部分)には縮む方向に力が働き、外側部分(
図3の右側部分)には伸びる方向に力が働く。
【0033】
感圧センサ1の外周側に配置された第2導電部材20に働く縮む方向の力、および、伸びる方向の力は、感圧センサ1の中心に配置された第1導電部材10に働く縮む方向の力、および、伸びる方向の力よりも強い。
【0034】
第2導電部材20は第1絶縁部材40と非融着であるため、第1絶縁部材40と相対移動可能に接触している。そのため、第2導電部材20の内側部分は、第1絶縁部材40に対して長手方向に相対移動しながら縮む。また、第2導電部材20の外側部分は、第1絶縁部材40に対して長手方向に相対移動しながら伸びる。
【0035】
これに対して、第2導電部材20が第1絶縁部材40と融着して一体化している場合には、第2導電部材20の内側部分は、第1絶縁部材40および第1導電部材10に拘束されて縮みにくい。また、第2導電部材20の外側部分は、第1絶縁部材40および第1導電部材10に拘束されて伸びにくい。
【0036】
また、第2導電部材20よりも外周側に配置された第2絶縁部材50に働く縮む方向の力、および、伸びる方向の力は、中心側に配置された第2導電部材20に働く縮む方向の力、および、伸びる方向の力よりも強い。
【0037】
第2絶縁部材50は第2導電部材20と非融着であるため、第2導電部材20と相対移動可能に接触している。そのため、第2絶縁部材50の内側部分は、第2導電部材20に対して長手方向に相対移動しながら縮む。また、第2絶縁部材50の外側部分は、第2導電部材20に対して長手方向に相対移動しながら伸びる。
【0038】
これに対して、第2絶縁部材50が第2導電部材20と融着して一体化している場合には、第2絶縁部材50の内側部分は、第2導電部材20に拘束されて縮みにくい。また、第2絶縁部材50の外側部分は、第2導電部材20に拘束されて伸びにくい。
【0039】
次に、上記の構成からなる感圧センサ1の製造方法の一例について
図1を参照しながら説明する。
まず、押し出し成型などの公知の製造方法を用いて第1導電部材10が形成される。第1導電部材10は、内部に第1導体11が配置された円柱状の形状に形成される。
【0040】
その後、第1導電部材10の周囲に円柱状の第1絶縁部材40がらせん状に配置される。なお、第1絶縁部材40は押し出し成型などの公知の製造方法を用いて形成される。第1絶縁部材40を配置する際、第1導電部材10および第1絶縁部材40は、互いが融着する温度になるように管理される。なお、融着する温度は、第1導電部材10および第1絶縁部材40を構成する材料の種類に応じて定まる温度である。なお、第1導電部材10および第1絶縁部材40は、接着剤により固定してもよい。
【0041】
次ぎに、第1絶縁部材40の周囲に円筒状の第2導電部材20が設けられる。このとき、第1導電部材10および第2導電部材20の間に空間30が形成される。なお、第2導電部材20は押し出し成型などの公知の製造方法を用いて形成される。第2導電部材20を配置する際、第1絶縁部材40および第2導電部材20は、互いが非融着となる温度に管理される。
【0042】
なお、この際の非融着となる温度は、第1絶縁部材40および第2導電部材20が融着する温度未満の温度である。また、非融着となる温度は、第1絶縁部材40および第2導電部材20を構成する材料の種類に応じて定まる温度である。
【0043】
次ぎに、第2導電部材20の周囲に円筒状の第2絶縁部材50が設けられる。なお、第2絶縁部材50は押し出し成型などの公知の製造方法を用いて形成される。第2絶縁部材50を配置する際、第2導電部材20および第2絶縁部材50は、互いが非融着となる温度に管理される。以上の工程を経ることにより、感圧センサ1が製造される。
【0044】
なお、この際の非融着となる温度は、第2導電部材20および第2絶縁部材50が融着する温度未満の温度である。また、非融着となる温度は、第2導電部材20および第2絶縁部材50を構成する材料の種類に応じて定まる温度である。
【0045】
上記の感圧センサ1は、第1導電部材10および第2導電部材20が同軸状に配置され、第1導電部材10および第2導電部材20の間には第1絶縁部材40が配置されるとともに空間30が形成された構成を有する。このような構成を有するため、押し出し成型などのスペーサを用いない製造方法で感圧センサ1を製造することが可能となり、製造コストの増大を抑制しやすくなる。
【0046】
感圧センサ1は、第1絶縁部材40と第2導電部材20とが相対移動可能な構成を有している。そのため、感圧センサ1が曲げられた際に発生する第1導電部材10と第2導電部材20との伸び縮みの差が、第1絶縁部材40と第2導電部材20との相対移動により吸収されやすい。つまり、感圧センサ1の許容曲げ性能を確保しやすい。
【0047】
なお、第1絶縁部材40と第1導電部材10とが相対移動可能な構成であっても、感圧センサ1の許容曲げ性能を確保しやすい。さらに、第2絶縁部材50と第2導電部材20とが相対移動可能な構成を有することにより、感圧センサ1の許容曲げ性能を更に確保しやすくなる。
【0048】
第1絶縁部材40を第1導電部材10の周囲にらせん状に配置することにより、1つの第1絶縁部材40で第1導電部材10を第2導電部材20から離間して保持することができる。複数の第1絶縁部材40を有する場合と比較して、外部から力を受けた際に第2導電部材20が変形しやすくなり、第2導電部材20と第1導電部材10とが接触しやすくなる。また、第1絶縁部材40の数を減らすことができ、製造コストの低減を図りやすい。
【0049】
なお、感圧センサ1は、上述の実施形態で説明した形状に限定されるものではなく、その他の形状を有するものであってもよい。例えば、以下で説明する各種の形状を有するものであってもよい。
【0050】
図4(a)は、感圧センサ1Aの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Aは、感圧センサ1と比較すると第1絶縁部材40Aの形状が異なる。第1絶縁部材40A以外の構成要素は感圧センサ1と同じ形状を有している。
【0051】
第1絶縁部材40Aは、角柱状に形成された部材である。また、第1絶縁部材40Aは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置されている。第1絶縁部材40Aは、横断面視において、第1導電部材10から第2導電部材20に向かって径方向に延びるほぼ長方形の形状を有している。
【0052】
第1絶縁部材40Aにおける第1導電部材10と接する面は、第1導電部材10の周面に沿った凹状の湾曲形状を有し、第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材40Aにおける第2導電部材20と接する面は、第2導電部材20の内周面に沿った凸状の湾曲形状を有し、第2導電部材20と非融着となっている。
【0053】
第1絶縁部材40Aが角柱状に形成された部材であるため、円柱状に形成された第1絶縁部材40と比較して、第1導電部材10および第2導電部材20と接触する面積を広くしやすい。そのため、第1絶縁部材40Aが第1導電部材10を安定して保持しやすい。
【0054】
図4(b)は、感圧センサ1Bの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Bは、感圧センサ1と比較すると第2導電部材20Bおよび第1絶縁部材40Bの形状が異なる。第2導電部材20Bおよび第1絶縁部材40B以外の構成要素は感圧センサ1と同じ形状を有している。
【0055】
第2導電部材20Bは、内部の空間30に第1導電部材10および第1絶縁部材40Bが配置される円筒状の部材である。第2導電部材20Bには、第1絶縁部材40Bの端部が配置されるスリット22Bが設けられている。スリット22Bは、第2導電部材20Bに形成された溝状の切欠きであって、第2導電部材20Bの円周面に沿って長手方向に向かってらせん状に延びて形成されている。
【0056】
第1絶縁部材40Bは、第1絶縁部材40Aと同様に角柱状に形成された部材である。第1絶縁部材40Bにおける第2導電部材20B側の端部は、スリット22Bの内部を通過して第2絶縁部材50の内周面に接している。
【0057】
第1絶縁部材40Bは、第2導電部材20Bと非融着であるとともに、第2絶縁部材50とも非融着である。言い換えると、第1絶縁部材40Bは、第2導電部材20Bおよび第2絶縁部材50と相対移動が可能となっている。
【0058】
第1絶縁部材40Bの端部がスリット22Bの内部を通過するため、感圧センサ1や感圧センサ1Aと比較して、第1絶縁部材40Bと第2導電部材20Bとの配置関係を維持しやすい。
【0059】
図5(a)は、感圧センサ1Cの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Cは、感圧センサ1と比較すると第1絶縁部材40Cの形状が異なる。第1絶縁部材40C以外の構成要素は感圧センサ1と同じ形状を有している。
【0060】
第1絶縁部材40Cは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置される部材である。第1絶縁部材40Cは、横断面視において、第1導電部材10から第2導電部材20に向かって径方向に延びる形状であって、くびれ41Cを有する形状を有している。
【0061】
第1絶縁部材40Cにおける第1導電部材10と接する面は、第1導電部材10の周面に沿った凹状の湾曲形状を有し、第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材40Cにおける第2導電部材20と接する面は、第2導電部材20の内周面に沿った凸状の湾曲形状を有し、第2導電部材20と非融着となっている。
【0062】
くびれ41Cは、第1絶縁部材40Cにおける第1導電部材10および第2導電部材20の挟まれた一対の面のそれぞれに設けられている。本実施形態では、くびれ41Cは、第1絶縁部材40C形成されたほぼV字状に形成された溝である例に適用して説明する。
【0063】
第1絶縁部材40Cは、一対のくびれ41Cが設けられることにより、くびれ41Cが設けられない場合と比較して第1絶縁部材40Cの幅が狭くなり座屈し(または、折れ曲がり)やすくなる。そのため、くびれ41Cが設けられていない場合と比較して、第1導電部材10と第2導電部材20とが接近しやすくなり、接触しやすくなる。
【0064】
なお、本実施形態では第1絶縁部材40Cにくびれ41Cが一対設けられる例に適用して説明するが、1つのくびれ41Cが設けられてもよい。また、くびれ41Cの形状はV字状であってもよいし、U字状など第1絶縁部材40Cを座屈させやすい他の形状であってもよい。また、このくびれ41の位置は、第1導電部材10の円周面と第2導電部材20の円周面との中間付近が好ましく、座屈させやすくすることができる。
【0065】
図5(b)は、感圧センサ1Dの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Dは、感圧センサ1と比較すると第1絶縁部材40Dの形状が異なる。第1絶縁部材40D以外の構成要素は感圧センサ1と同じ形状を有している。
【0066】
第1絶縁部材40Dは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置された部材である。第1絶縁部材40Dは、横断面視において、第1導電部材10から第2導電部材20に向かって径方向に延びる湾曲した長方形の形状を有している。
【0067】
第1絶縁部材40Dにおける第1導電部材10と接する面は、第1導電部材10の周面に沿った凹状の湾曲形状を有し、第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材40Dにおける第2導電部材20と接する面は、第2導電部材20の内周面に沿った凸状の湾曲形状を有し、第2導電部材20と非融着となっている。
【0068】
第1絶縁部材40Dにおける第1導電部材10および第2導電部材20の挟まれた一対の面の一方の面41Dは、凸状に湾曲した形状を有している。また、一対の面の他方の面42Dは凹状に湾曲した形状を有している。
【0069】
本実施形態では、第1絶縁部材40Dが
図5(b)において左回転方向に凸な湾曲形状を有している例に適用して説明するが、第1絶縁部材40Dは右回転方向に凸な湾曲形状を有していてもよい。また、
図5(b)に示す実施形態において第1絶縁部材40Dは、第1導電部材10の円周面に沿って、左回転方向にらせん状に配置されている。
【0070】
第1絶縁部材40Dは、湾曲した長方形の形状を有していることにより、湾曲した長方形の形状を有していない場合と比較して、押圧力Pが加えられた際に座屈し(または、折れ曲がり)やすくなる。そのため、第1導電部材10と第2導電部材20とが接触しやすい。
【0071】
図6(a)は、感圧センサ1Eの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Eは、感圧センサ1と比較すると第1絶縁部材40Eの形状が異なる。第1絶縁部材40E以外の構成要素は感圧センサ1と同じ形状を有している。
【0072】
第1絶縁部材40Eは、円筒状に形成された部材である。また、第1絶縁部材40Eは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置されている。横断面視において、第1絶縁部材40Eは、外周面41Eおよび内周面42Eを有する形状である。
【0073】
外周面41Eの直径は、第1導電部材10から第2導電部材20までの径方向の間隔と同等の大きさである。外周面41Eは第1導電部材10および第2導電部材20に接している。
【0074】
第1絶縁部材40Eの外周面41Eにおける第1導電部材10と接する部分は第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材40Eの外周面41Eにおける第2導電部材20と接する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。
【0075】
第1絶縁部材40Eは、中空な円筒状の形状を有していることにより、中実な形状を有している場合と比較して、押圧力Pが加えられた際につぶれやすい。そのため、第1導電部材10と第2導電部材20とが接触しやすい。
【0076】
図6(b)は、感圧センサ1Fの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Fは、感圧センサ1と比較すると第1導電部材10Fおよび第1絶縁部材40Fの形状が異なる。第1導電部材10Fおよび第1絶縁部材40F以外の構成要素は感圧センサ1と同じ形状を有している。
【0077】
第1導電部材10Fは、ほぼ円柱状に形成された部材である。第1導電部材10Fの周面には、第1絶縁部材40Fが配置される凹状の溝12Fが形成されている。溝12Fは、第1導電部材10Fの長手方向に向かってらせん状に延びて形成されている。
【0078】
第1絶縁部材40Fは、円柱状に形成された部材である。また、第1絶縁部材40Fは、第1導電部材10Fの溝12Fに沿ってらせん状に配置されている。横断面視において、第1絶縁部材40Fの直径は、第1導電部材10Fから第2導電部材20までの径方向の間隔よりも大きい。
【0079】
第1絶縁部材40Fは、溝12Fにおいて第1導電部材10Fと融着している。第1絶縁部材40Fにおける第2導電部材20の内周面と接する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。
【0080】
第1絶縁部材40Eは、第1導電部材10Fの溝12Fに配置されるため、第1絶縁部材40Eと第1導電部材10Fとの接触面積を確保しやすい。言い換えると、第1絶縁部材40Eと第1導電部材10Fとの融着面積が確保しやすくなる。
【0081】
図7(a)は、感圧センサ1Gの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Gは、感圧センサ1と比較すると第1絶縁部材40Gの形状が異なる。第1絶縁部材40G以外の構成要素は感圧センサ1と同じ形状を有している。
【0082】
第1絶縁部材40Gは、ほぼ円柱状に形成された部材である。横断面視において、第1絶縁部材40Gの直径は、第1導電部材10から第2導電部材20までの径方向の間隔よりも大きい。第1絶縁部材40Gは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置されている。
【0083】
第1絶縁部材40Gの円周面には、第1導電部材10が配置される凹状の溝41Gが形成されている。第1絶縁部材40Gは、溝41Gにおいて第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材40Gにおける第2導電部材20の内周面と接する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。
【0084】
第1絶縁部材40Gの溝41Gに、第1導電部材10が配置されるため、第1絶縁部材40Gと第1導電部材10との接触面積を確保しやすい。言い換えると、第1絶縁部材40Gと第1導電部材10との融着面積が確保しやすくなる。
【0085】
図7(b)は、感圧センサ1Hの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Hは、感圧センサ1と比較すると第1導電部材10H、第1絶縁部材40Hおよび第2絶縁部材50Hの形状が異なる。第1絶縁部材40H以外の構成要素は感圧センサ1と同じ形状を有している。
【0086】
第1導電部材10Hは、ほぼ円柱状に形成された部材である。第1導電部材10Hの周面には、第1絶縁部材40Hが配置される凹状の溝12Hが形成されている。溝12Hは、第1導電部材10Hの長手方向に向かってらせん状に延びて形成されている。
【0087】
第1絶縁部材40Hは、円筒状に形成された部材である。また、第1絶縁部材40Hは、第1導電部材10Hの溝12Hに沿ってらせん状に配置されている。横断面視において、第1絶縁部材40Hは、外周面41Hおよび内周面42Hを有する形状である。第1絶縁部材40Hの直径は、第1導電部材10Hから第2導電部材20までの径方向の間隔よりも大きい。
【0088】
第1絶縁部材40Hは、溝12Hにおいて第1導電部材10Hと融着している。第1絶縁部材40Hにおける第2導電部材20の内周面と接する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。
【0089】
第2絶縁部材50Hは、第2導電部材20の外周面を覆う部材であり、感圧センサ1Hの外形を構成する部材である。第2絶縁部材50Hは、横断面視において外形がD字状の形状を有している。
【0090】
具体的には、第2絶縁部材50Hは、第2導電部材20に沿ってのびる曲面51Hと、曲面51Hの両端部から延びる平面形状を有する一対の側面52H,52Hと、一対の側面52H,52Hの間に配置され平面形状を有する端面53Hと、を有している。
【0091】
第2絶縁部材50Hに端面53Hが設けられているため、感圧センサ1Hの配置を行いやすくなる。つまり、感圧センサ1Hを配置する際に、配置対象に端面53Hを接触させることにより、感圧センサ1Hの配置姿勢を安定させやすくなる。感圧センサ1Hの配置姿勢が安定することにより、配置を行いやすくなる。
【0092】
図8は、感圧センサ1Jの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Jは、感圧センサ1と比較すると第1導電部材10Jおよび第1絶縁部材40Jの形状が異なる。第1導電部材10Jおよび第1絶縁部材40J以外の構成要素は感圧センサ1と同じ形状を有している。
【0093】
第1導電部材10Jは、横断面視において楕円形状を有するほぼ円柱状に形成された部材である。第1導電部材10Jは、自身の長手方向に向かって楕円形状が回転して形成されている。
【0094】
第1導電部材10Jの周面には、第1絶縁部材40Jが配置される凹状の溝12Jが形成されている。より具体的には、楕円形状の短軸と周面とが交差する位置に溝12Jが形成されている。
【0095】
第1絶縁部材40Jは、円筒状に形成された部材である。また、第1絶縁部材40Jは、第1導電部材10Jの溝12Jに沿ってらせん状に配置されている。横断面視において、第1絶縁部材40Jは、外周面41Jおよび内周面42Jを有する形状である。第1絶縁部材40Jの直径は、第1導電部材10Jから第2導電部材20までの径方向の間隔の最大値よりも大きい。
【0096】
第1絶縁部材40Jは、溝12Jにおいて第1導電部材10Jと融着している。第1絶縁部材40Jにおける第2導電部材20の内周面と接する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。
【0097】
第1導電部材10Jの断面形状が楕円形状を有しているため、第1導電部材10Jと第2導電部材20の内周面との最短距離を短くしやすい。具体的には、第1導電部材10Jの周面における楕円形状の長軸との交点と、第2導電部材20の内周面との距離が、断面形状が円形状である場合よりも短くしやすい。そのため、第1導電部材10Jと第2導電部材20とを接触させやすい。
【0098】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態にかかる感圧センサついて
図9から
図13を参照しながら説明する。本実施形態の感圧センサの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、第1絶縁部材の数が異なっている。よって、本実施形態においては、
図9から
図13を用いて第1絶縁部材に関連する構成要素を説明し、同一の構成要素の説明を省略する。
【0099】
本実施形態の感圧センサ100には、
図1に示すように、第1導電部材10と、第2導電部材20と、第1絶縁部材(絶縁部材に相当する。)140と、第2絶縁部材50と、が主に設けられている。
【0100】
第1絶縁部材140は、第1導電部材10とともに第2導電部材20の空間30に配置される円柱形状の部材である。第1絶縁部材140の直径は、第1導電部材10から第2導電部材20までの径方向の間隔と同等の大きさである。
【0101】
本実施形態では、3本の第1絶縁部材140が空間30に配置されている。本実施形態では、3本の第1絶縁部材140が、第1導電部材10の周囲に周方向に等間隔に並んで配置されている例に適用して説明する。
【0102】
なお、第1絶縁部材140が配置される間隔が等間隔であってもよいし、等間隔でなくてもよい。より具体的には、第1導電部材10の中心を通る仮想直線上Lに1本の第1絶縁部材140が配置されていればよい。また、第1絶縁部材140が配置される本数は3本であってもよいし、3本よりも多くてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、周方向に並ぶ第1絶縁部材140の間に第2導体21配置されている例に適用して説明する。例えば、隣接する第1絶縁部材140の中央に第1絶縁部材140が配置されている例に適用して説明する。なお、第1絶縁部材140は、隣接する第1絶縁部材140の中央に配置されてもよいし、どちらか一方の第1絶縁部材140に近い位置に配置されてもよい。
【0104】
本実施形態では、第1絶縁部材140は、第1導電部材10の表面である周面に沿ってらせん状に配置されている例に適用して説明する。なお、第1絶縁部材140は、第1導電部材10の長手方向に沿って直線状に延びて配置されてもよい。
【0105】
第1絶縁部材140が第1導電部材10のまわりを1周する際に長手方向に移動する移動量(らせんピッチとも表記する。)は、適宜定めることができ特に限定するものではない。第1絶縁部材140を形成する材料としては、ポリオレフィン等の絶縁性を有するゴム材料を例示することができる。
【0106】
本実施形態では、第1絶縁部材140における第1導電部材10と接触する部分は、第1導電部材10と融着している。言い換えると、第1導電部材10に固定されている。その一方で、第1絶縁部材140における第2導電部材20と接触する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。
【0107】
なお、本実施形態では第1絶縁部材140と第1導電部材10とが融着し、第1絶縁部材140と第2導電部材20とが非融着である例に適用して説明するが、第1絶縁部材140と第1導電部材10とが非融着であり、第1絶縁部材140と第2導電部材20とが融着してもよい。さらに、第1絶縁部材140と第1導電部材10が非融着であり、第1絶縁部材140と第2導電部材20とが非融着であってもよい。
【0108】
上記の構成からなる感圧センサ100における導通する状態や曲げられた場合の作用などについては、第1の実施形態の感圧センサ1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0109】
上記の構成の感圧センサ100によれば、3本の第1絶縁部材140により第1導電部材10を第2導電部材20から離間して保持することができる。1本の第1絶縁部材140を有する場合と比較して、第1導電部材10を第2導電部材20から離間して保持しやすい。
【0110】
第1導電部材10を挟んで仮想直線L上に1本の第1絶縁部材140を配置することにより、2本の第1絶縁部材140が配置された場合と比較して、外部から仮想直線L方向に働く力を受けた際に第2導電部材20が変形しやすくなる。つまり、第2導電部材20と第1導電部材10とが接触しやすくなる。また、仮想直線L方向へ感圧センサ100を曲げやすくなる。
【0111】
なお、感圧センサ100は、上述の実施形態で説明した形状に限定されるものではなく、その他の形状を有するものであってもよい。例えば、以下で説明する各種の形状を有するものであってもよい。
【0112】
図10(a)は、感圧センサ100Aの構成を説明する横断面図である。感圧センサ100Aは、感圧センサ100と比較すると第1絶縁部材140Aの形状が異なる。第1絶縁部材140A以外の構成要素は感圧センサ100と同じ形状を有している。
【0113】
3本の第1絶縁部材140Aは、第1絶縁部材40Aと同様に角柱状に形成された部材である。また、3本の第1絶縁部材140Aは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置されている。なお、3本の第1絶縁部材140Aは、第1導電部材10の長手方向に沿って直線状に延びて配置されてもよい。
【0114】
3本の第1絶縁部材140Aは、第1絶縁部材140と同様に、第1導電部材10の周囲に周方向に等間隔に並んで配置されていてもよいし、等間隔でなくてもよい。また、第1絶縁部材140Aが配置される本数は3本であってもよいし、3本よりも多くてもよい。
【0115】
第1絶縁部材140Aにおける第1導電部材10と接する面は、第1導電部材10の周面に沿った凹状の湾曲形状を有し、第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材140Aにおける第2導電部材20と接する面は、第2導電部材20の内周面に沿った凸状の湾曲形状を有し、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第1絶縁部材140Aは、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。
【0116】
なお、本実施形態では第1絶縁部材140Aと第1導電部材10とが融着し、第1絶縁部材140Aと第2導電部材20とが非融着である例に適用して説明するが、第1絶縁部材140Aと第1導電部材10とが非融着であり、第1絶縁部材140Aと第2導電部材20とが融着してもよい。さらに、第1絶縁部材140Aと第1導電部材10が非融着であり、第1絶縁部材140Aと第2導電部材20とが非融着であってもよい。
【0117】
図10(b)は、感圧センサ100Bの構成を説明する横断面図である。感圧センサ1Bは、感圧センサ100と比較すると第2導電部材120Bおよび第1絶縁部材140Bの形状が異なる。第2導電部材120Bおよび第1絶縁部材140B以外の構成要素は感圧センサ100と同じ形状を有している。
【0118】
第2導電部材120Bは、内部の空間30に第1導電部材10および第1絶縁部材140Bが配置される円筒状の部材である。第2導電部材120Bには、第1絶縁部材140Bの端部が配置される3本のスリット122Bが設けられている。
【0119】
3本のスリット122Bは、第2導電部材120Bに形成された溝状の切欠きであって、第2導電部材120Bの円周面に沿って長手方向に向かってらせん状に延びて形成されている。3本のスリット122Bは、第2導電部材120Bの周方向に等間隔に並んで配置されていてもよいし、等間隔でなくてもよい。
【0120】
3本のスリット122Bによる3つに分割された第2導電部材120Bのそれぞれには、第2導体121Bが設けられている。3本の第2導体121Bは、導電性を有する金属材料から形成された線材である。
【0121】
3本の第1絶縁部材140Bは、第1絶縁部材140Aと同様に角柱状に形成された部材である。3本の第1絶縁部材140Bは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置されている。第1絶縁部材140Bにおける第2導電部材120B側の端部は、スリット122Bの内部を通過して第2絶縁部材50の内周面に接している。
【0122】
第1絶縁部材140Bは、第2導電部材120Bと非融着であるとともに、第2絶縁部材50とも非融着である。言い換えると、第1絶縁部材140Bは、第2導電部材120Bおよび第2絶縁部材50と相対移動が可能となっている。
【0123】
なお、本実施形態では、スリット122Bおよび第1絶縁部材140Bがらせん状に延びる例に適用して説明するが、直線状に延びてもよい。また、スリット122Bおよび第1絶縁部材140Bの数は、3本であってもよいし、3本よりも多くてもよい。
【0124】
図11(a)は、感圧センサ100Cの構成を説明する横断面図である。感圧センサ100Cは、感圧センサ100と比較すると第1絶縁部材140Cの形状が異なる。第1絶縁部材140C以外の構成要素は感圧センサ100と同じ形状を有している。
【0125】
3本の第1絶縁部材140Cは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置される部材である。第1絶縁部材140Cは、横断面視において、第1導電部材10から第2導電部材20に向かって径方向に延びる形状であって、くびれ41Cを有する形状を有している。
【0126】
第1絶縁部材140Cにおける第1導電部材10と接する面は、第1導電部材10の周面に沿った凹状の湾曲形状を有し、第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材140Cにおける第2導電部材20と接する面は、第2導電部材20の内周面に沿った凸状の湾曲形状を有し、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第1絶縁部材140Cは、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。
【0127】
くびれ41Cは、第1絶縁部材140Cにおける第1導電部材10および第2導電部材20の挟まれた一対の面のそれぞれに設けられている。本実施形態では、くびれ41Cは、第1絶縁部材140C形成されたほぼV字状に形成された溝である例に適用して説明する。
【0128】
第1絶縁部材140Cは、一対のくびれ41Cが設けられることにより、くびれ41Cが設けられない場合と比較して第1絶縁部材140Cの幅が狭くなり座屈し(または、折れ曲がり)やすくなる。
【0129】
なお、本実施形態ではくびれ41Cが一対設けられる例に適用して説明するが、1つのくびれ41Cが設けられてもよい。また、くびれ41Cの形状はV字状であってもよいし、U字状など第1絶縁部材140Cを座屈させやすい他の形状であってもよい。
【0130】
なお、本実施形態では、第1絶縁部材140Cがらせん状に延びる例に適用して説明するが、直線状に延びてもよい。また、第1絶縁部材140Cの数は、3本であってもよいし、3本よりも多くてもよい。
【0131】
図11(b)は、感圧センサ100Dの構成を説明する横断面図である。感圧センサ100Dは、感圧センサ100と比較すると第1絶縁部材140Dの形状が異なる。第1絶縁部材140D以外の構成要素は感圧センサ100と同じ形状を有している。
【0132】
3本の第1絶縁部材140Dは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置された部材である。第1絶縁部材140Dは、横断面視において、第1導電部材10から第2導電部材20に向かって径方向に延びる湾曲した長方形の形状を有している。
【0133】
第1絶縁部材140Dにおける第1導電部材10と接する面は、第1導電部材10の周面に沿った凹状の湾曲形状を有し、第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材140Dにおける第2導電部材20と接する面は、第2導電部材20の内周面に沿った凸状の湾曲形状を有し、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第1絶縁部材140Dは、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。
【0134】
第1絶縁部材140Dにおける第1導電部材10および第2導電部材20の挟まれた一対の面の一方の面141Dは、凸状に湾曲した形状を有している。また、一対の面の他方の面142Dは凹状に湾曲した形状を有している。
【0135】
本実施形態では、第1絶縁部材140Dが
図5(b)において左回転方向に凸な湾曲形状を有している例に適用して説明するが、第1絶縁部材140Dは右回転方向に凸な湾曲形状を有していてもよい。
【0136】
なお、本実施形態では、第1絶縁部材140Dがらせん状に延びる例に適用して説明するが、直線状に延びてもよい。また、第1絶縁部材140Dの数は、3本であってもよいし、3本よりも多くてもよい。
【0137】
図12(a)は、感圧センサ100Eの構成を説明する横断面図である。感圧センサ100Eは、感圧センサ100と比較すると第1絶縁部材140Eの形状が異なる。第1絶縁部材140E以外の構成要素は感圧センサ100と同じ形状を有している。
【0138】
3本の第1絶縁部材140Eは、円筒状に形成された部材である。また、第1絶縁部材140Eは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置されている。横断面視において、第1絶縁部材140Eは、外周面141Eおよび内周面142Eを有する形状である。外周面141Eは第1導電部材10および第2導電部材20に接している。
【0139】
第1絶縁部材140Eの外周面141Eにおける第1導電部材10と接する部分は第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材140Eの外周面141Eにおける第2導電部材20と接する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第1絶縁部材140Eは、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。
【0140】
なお、本実施形態では、第1絶縁部材140Eがらせん状に延びる例に適用して説明するが、直線状に延びてもよい。また、第1絶縁部材140Eの数は、3本であってもよいし、3本よりも多くてもよい。
【0141】
図12(b)は、感圧センサ100Fの構成を説明する横断面図である。感圧センサ100Fは、感圧センサ100と比較すると第1導電部材110Fおよび第1絶縁部材140Fの形状が異なる。第1導電部材110Fおよび第1絶縁部材140F以外の構成要素は感圧センサ100と同じ形状を有している。
【0142】
第1導電部材110Fは、ほぼ円柱状に形成された部材である。第1導電部材110Fの周面には、第1絶縁部材140Fが配置される凹状の溝112Fが3つ形成されている。溝112Fは、第1導電部材110Fの長手方向に向かってらせん状に延びて形成されている。
【0143】
第1絶縁部材140Fは、円柱状に形成された部材である。また、第1絶縁部材140Fは、第1導電部材110Fの溝112Fに沿ってらせん状に配置されている。横断面視において、第1絶縁部材140Fの直径は、第1導電部材110Fから第2導電部材20までの径方向の間隔よりも大きい。
【0144】
第1絶縁部材140Fは、溝112Fにおいて第1導電部材110Fと融着している。第1絶縁部材140Fにおける第2導電部材20の内周面と接する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第1絶縁部材140Fは、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。
【0145】
なお、本実施形態では、第1絶縁部材140Fおよび溝112Fがらせん状に延びる例に適用して説明するが、直線状に延びてもよい。また、第1絶縁部材140Fおよび溝112Fの数は、3本であってもよいし、3本よりも多くてもよい。
【0146】
図7(a)は、感圧センサ100Gの構成を説明する横断面図である。感圧センサ100Gは、感圧センサ100と比較すると第1絶縁部材140Gの形状が異なる。第1絶縁部材140G以外の構成要素は感圧センサ100と同じ形状を有している。
【0147】
3本の第1絶縁部材140Gは、ほぼ円柱状に形成された部材である。横断面視において、第1絶縁部材140Gの直径は、第1導電部材10から第2導電部材20までの径方向の間隔よりも大きい。第1絶縁部材140Gは、第1導電部材10の円周面に沿ってらせん状に配置されている。
【0148】
第1絶縁部材140Gの円周面には、第1導電部材10が配置される凹状の溝141Gが形成されている。第1絶縁部材140Gは、溝141Gにおいて第1導電部材10と融着している。第1絶縁部材140Gにおける第2導電部材20の内周面と接する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第1絶縁部材140Gは、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。
【0149】
なお、本実施形態では、第1絶縁部材140Gがらせん状に延びる例に適用して説明するが、直線状に延びてもよい。また、第1絶縁部材140Gの数は、3本であってもよいし、3本よりも多くてもよい。
【0150】
図13(b)は、感圧センサ100Hの構成を説明する横断面図である。感圧センサ100Hは、感圧センサ100と比較すると第1導電部材110H、第1絶縁部材140Hおよび第2絶縁部材150Hの形状が異なる。第1絶縁部材140H以外の構成要素は感圧センサ100と同じ形状を有している。
【0151】
第1導電部材110Hは、ほぼ円柱状に形成された部材である。第1導電部材110Hの周面には、第1絶縁部材140Hが配置される凹状の溝112Hが形成されている。溝112Hは、第1導電部材110Hの長手方向に向かってらせん状に延びて形成されている。
【0152】
第1絶縁部材140Hは、円筒状に形成された部材である。また、第1絶縁部材140Hは、第1導電部材110Hの溝112Hに沿ってらせん状に配置されている。横断面視において、第1絶縁部材140Hは、外周面141Hおよび内周面142Hを有する形状である。第1絶縁部材140Hの直径は、第1導電部材110Hから第2導電部材20までの径方向の間隔よりも大きい。
【0153】
第1絶縁部材140Hは、溝112Hにおいて第1導電部材110Hと融着している。第1絶縁部材140Hにおける第2導電部材20の内周面と接する部分は、第2導電部材20と非融着となっている。言い換えると、第1絶縁部材110Hは、第2導電部材20と相対移動が可能となっている。
【0154】
第2絶縁部材150Hは、第2導電部材20の外周面を覆う部材であり、感圧センサ100Hの外形を構成する部材である。第2絶縁部材150Hは、横断面視において外形がD字状の形状を有している。
【0155】
具体的には、第2絶縁部材150Hは、第2導電部材20に沿ってのびる曲面151Hと、曲面151Hの両端部から延びる平面形状を有する一対の側面152H,152Hと、一対の側面152H,152Hの間に配置され平面形状を有する端面153Hと、を有している。
【0156】
なお、本実施形態では、第1絶縁部材140Hおよび溝112Hがらせん状に延びる例に適用して説明するが、直線状に延びてもよい。また、第1絶縁部材140Hおよび溝112Hの数は、3本であってもよいし、3本よりも多くてもよい。
【0157】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、感圧センサは、第1導電部材と第2導電部材との間の導電性に基づいて押圧力を検出するものに適用して説明したが、第1導電部材と第2導電部材との間の静電容量の変化に基づいて押圧力を検出するものであってもよい。
【0158】
また、本発明を上記の実施形態に適用したものに限られることなく、これらの実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0159】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H…感圧センサ、 10,10F,10H,10J,110F,110H…第1導電部材、 20,20B,120B…第2導電部材、 40,40A,40B,40C,40D,40E,40F,40G,40H,40J,140,140A,140B,140C,140D,140E,140F,140G,140H…第1絶縁部材、 L…仮想直線上