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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】接触端子、検査治具、および検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20241217BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20241217BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073 D
H01L21/66 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022508301
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2021009931
(87)【国際公開番号】W WO2021187339
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2020049472
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】横田 友佑
(72)【発明者】
【氏名】太田 憲宏
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053002(JP,A)
【文献】特開2019-052996(JP,A)
【文献】特開2015-141200(JP,A)
【文献】特開2019-015542(JP,A)
【文献】特開2019-138658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触端子の軸方向に延びて導電性を有する筒状体と、
導電性を有する棒状の第1導体と、
を備え、
前記筒状体は、
前記筒状体の軸方向一方側端部において、軸方向一方側端面より軸方向他方側に向かって切欠かれた形状に設けられる端部側切欠きと、
前記軸方向一方側端部に開口する孔部と、
前記端部側切欠きと前記孔部とによって挟まれる一対の腕部と、
を有し、
前記第1導体は、
前記筒状体より軸方向一方側に突出する第1突出部と、
前記第1突出部の軸方向他方側に連接されて前記筒状体内部に配置される第1挿入部と、
を有し、
前記第1挿入部は、
前記軸方向一方側へ向かうに従って外径が大きくなる傾斜部と、
前記傾斜部の前記軸方向一方側に連接されて前記軸方向に沿って外径が一定である第1ストレート部と、
を有し、
前記第1ストレート部の外径は、前記筒状体の内径より大きく、
前記第1ストレート部は、前記腕部と接触し、
前記第1ストレート部の軸方向一方側端に配置される壁面部は、前記孔部と接触可能である、
接触端子。
【請求項2】
前記第1突出部は、前記筒状体の前記軸方向一方側端面と前記軸方向に対向する鍔部を有する、請求項1に記載の接触端子。
【請求項3】
前記壁面部と前記鍔部との間の距離は、前記孔部と前記軸方向一方側端面との間の距離と略等しい、請求項2に記載の接触端子。
【請求項4】
前記第1ストレート部の一部は、前記孔部から露出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接触端子。
【請求項5】
前記第1挿入部は、前記傾斜部の軸方向他方側に連接されて前記軸方向に沿って外径が一定である第2ストレート部を有し、
前記第2ストレート部の外径と前記筒状体の内径は、略同一である、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接触端子。
【請求項6】
前記孔部は、前記軸方向一方側端部において軸方向他方側に突出する軸方向突出部の縁部である軸方向突出縁部を含み、
前記壁面部は、前記軸方向突出縁部と接触可能である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接触端子。
【請求項7】
前記軸方向一方側端部は、互いに近づく周方向に突出する一対の周方向突出部を有し、
前記孔部は、前記周方向突出部の縁部である周方向突出縁部を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の接触端子。
【請求項8】
前記端部側切欠きは、幅が軸方向に沿って一定である一定幅部分を有し、
前記一定幅部分は、前記軸方向一方側端面から、前記軸方向に垂直な第1方向に視て前記傾斜部と重なる位置まで延びる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の接触端子。
【請求項9】
前記孔部は、周方向の幅が軸方向他方側へ向かうに従って小さくなる幅狭部分を有する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の接触端子。
【請求項10】
前記端部側切欠きは、幅が軸方向他方側へ向かうに従って大きくなる幅広部分を有する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の接触端子。
【請求項11】
前記第1導体は、前記軸方向周りの回転体形状である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の接触端子。
【請求項12】
導電性を有する棒状の第2導体をさらに備え、
前記第2導体は、前記筒状体内部に配置される第2挿入部を有し、
前記筒状体は、
前記筒状体の軸方向他方側端部において、軸方向他方側端面より軸方向一方側に向かって切欠かれた形状に設けられる第2端部側切欠きと、
前記軸方向他方側端部に開口する第2孔部と、
前記第2端部側切欠きと前記第2孔部とによって挟まれる一対の第2腕部と、
を有し、
前記第2挿入部は、
軸方向他方側へ向かうに従って外径が大きくなる第2傾斜部と、
前記第2傾斜部の軸方向他方側に連接されて軸方向に沿って外径が一定である第3ストレート部と、
を有し、
前記第3ストレート部の外径は、前記筒状体の内径より大きく、
前記第3ストレート部は、前記第2腕部と接触し、
前記第3ストレート部の軸方向他方側端に配置される壁面部は、前記第2孔部と接触可能である、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の接触端子。
【請求項13】
複数の請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の接触端子と、
前記複数の接触端子を支持する支持部材と、
を備える検査治具。
【請求項14】
請求項13に記載の検査治具と、
前記接触端子を検査対象に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象の検査を行う検査処理部と、
を備える検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象の検査に用いられる接触端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象に接触させる接触端子が知られている。このような接触端子は、中間位置にばね部が形成された筒状体に、導電性を有する棒状部材を挿入して構成される。
【0003】
上記接触端子では、筒状体から棒状部材の端部を突出させた状態で、筒状体の先端部に棒状部材が固定される。このような固定を行う方法の一例として、圧入を用いて棒状部材を筒状体に固定した接触端子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-15542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように圧入を用いて棒状部材を固定する接触端子では、棒状部材の筒状体への組み付け性の改善余地が存在する。
【0006】
上記状況に鑑み、本発明は、導体の筒状体への組み付け性を改善することが可能となる接触端子、およびこれを用いた検査治具、検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な接触端子は、接触端子の軸方向に延びて導電性を有する筒状体と、導電性を有する棒状の第1導体と、を備える。
【0008】
前記筒状体は、前記筒状体の軸方向一方側端部において、軸方向一方側端面より軸方向他方側に向かって切欠かれた形状に設けられる端部側切欠きと、前記軸方向一方側端部に開口する孔部と、前記端部側切欠きと前記孔部とによって挟まれる一対の腕部と、を有する。
【0009】
前記第1導体は、前記筒状体より軸方向一方側に突出する第1突出部と、前記第1突出部の軸方向他方側に連接されて前記筒状体内部に配置される第1挿入部と、を有する。
【0010】
前記第1挿入部は、前記軸方向一方側へ向かうに従って外径が大きくなる傾斜部と、前記傾斜部の前記軸方向一方側に連接されて前記軸方向に沿って外径が一定である第1ストレート部と、を有する。
【0011】
前記第1ストレート部の外径は、前記筒状体の内径より大きく、前記第1ストレート部は、前記腕部と接触し、前記第1ストレート部の軸方向一方側端に配置される壁面部は、前記孔部と接触可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の例示的な接触端子、およびこれを用いた検査治具、検査装置によれば、導体の筒状体への組み付け性を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態に係る検査装置の全体構成を示す概略図である。
図2図2は、本発明の例示的な実施形態に係る接触端子を示す側面図である。
図3図3は、図2の構成を紙面に平行な平面で切断した状態を示す側面断面図である。
図4図4は、図3の状態の接触端子に荷重をかけた状態を示す側面断面図である。
図5図5は、図1の一部構成を示す拡大図である。
図6図6は、第1導体を筒状体に固定する第1実施形態に係る構造の分解状態を端部側切欠き側から視た斜視図である。
図7図7は、第1導体を筒状体に固定する第1実施形態に係る構造の分解状態を孔部側から視た斜視図である。
図8図8は、図6において第1導体を筒状体に組み付けた状態を示す斜視図である。
図9図9は、図7において第1導体を筒状体に組み付けた状態を示す斜視図である。
図10図10は、図8の第1導体を筒状体に組み付けた状態を示す側面図である。
図11図11は、第1実施形態の一変形例を示す斜視図である。
図12図12は、第1導体を筒状体に固定する第2実施形態に係る構造の分解状態を端部側切欠き側から視た斜視図である。
図13図13は、第1導体を筒状体に固定する第2実施形態に係る構造の分解状態を孔部側から視た斜視図である。
図14図14は、図12において第1導体を筒状体に組み付けた状態を示す斜視図である。
図15図15は、図13において第1導体を筒状体に組み付けた状態を示す斜視図である。
図16図16は、図14の第1導体を筒状体に組み付けた状態を示す側面図である。
図17図17は、図14の第1導体を筒状体に組み付けた状態を端部側切欠き側から視た側面図である。
図18図18は、図14の第1導体を筒状体に組み付けた状態を孔部側から視た側面図である。
図19図19は、第1導体を筒状体に固定する比較例に係る構造の分解状態を示す斜視図である。
図20図20は、第1導体を筒状体に固定する比較例に係る構造の完成状態を示す斜視図である。
図21図21は、第1導体を筒状体に固定する比較例に係る構造の完成状態を示す側面図である。
図22図22は、第2導体を筒状体に固定する構造の分解状態を端部側切欠き側から視た斜視図である。
図23図23は、第2導体を筒状体に固定する構造の分解状態を孔部側から視た斜視図である。
図24図24は、第2導体を筒状体に組み付けた状態を端部側切欠き側から視た斜視図である。
図25図25は、第2導体を筒状体に組み付けた状態を孔部側から視た斜視図である。
図26図26は、筒状体の軸方向他方側端部の一変形例を示す斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下、接触端子の中心軸J(図2参照)に平行な方向を「軸方向」と称し、図面において、軸方向をXとして軸方向一方側をX1、軸方向他方側をX2として示す。また、図面において、軸方向Xに垂直な方向を第1方向Yとして第1方向一方側をY1、第1方向他方側をY2として示す。なお、後述するように、筒状体20における端部側切欠き31側が第1方向一方Y1側であり、孔部32側が第1方向他方Y2側である。また、図面において、軸方向Xおよび第1方向Yに垂直な方向を第2方向Zとして第2方向一方側をZ1、第2方向他方側をZ2として示す。また、中心軸J周りの方向を「周方向」と称する。
【0015】
<1.検査装置の全体構成> 本発明の例示的な実施形態に係る検査装置10の全体構成について図1を用いて説明する。なお、図1において、軸方向一方X1側が下方となるように、接触端子2は検査装置10に組み付けられる。
【0016】
図1に示す検査装置10は、検査対象100の電気的検査を行う。検査装置10は、検査治具8と、検査処理部9と、を備える。検査治具8は、例えば、いわゆるプローブカードとして構成される。
【0017】
検査対象100は、例えば、シリコンなどの半導体基板に複数の回路が形成された半導体ウェハである。半導体ウェハは、ダイシングされることにより、上記回路の個々を有する半導体チップに個片化される。なお、検査対象100は、半導体ウェハ以外にも例えば、半導体チップ、CSP(Chip size package)、WLP(Wafer Level Package)、FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)または半導体素子等の電子部品とすることができる。
【0018】
また、検査対象100は、基板としてもよい。この場合、検査対象100は、例えば、プリント配線基板、ガラスエポキシ基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、半導体パッケージ用のパッケージ基板、インターポーザ基板、フィルムキャリア等の基板であってもよく、液晶ディスプレイ、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ等のディスプレイ用の電極板、またはタッチパネル用の電極板であってもよい。
【0019】
また、EMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)と呼ばれるパッケージング技術による製品を検査対象100としてもよい。EMIBでは、シリコンブリッジと呼ばれる小さなシリコン基板をパッケージ樹脂基板に埋め込み、シリコンブリッジの表面に微細且つ高密度な配線を形成することで、隣り合うシリコンダイをパッケージ樹脂基板に近接搭載する。
【0020】
図1に示すように、検査治具8は、プローブヘッド1と、ピッチ変換ユニット6と、接続プレート7と、を備える。プローブヘッド1は、接触端子(プローブ)2と、支持部材3と、を有する。
【0021】
検査治具8は、複数の接触端子2と、複数の接触端子2を支持する支持部材3と、を備える。
【0022】
ピッチ変換ユニット6は、支持部材3の上方に配置され、支持部材3に固定される。接触端子2は、軸方向一方X1側に一端部2Aを有し、軸方向他方X2側に他端部2Bを有する。他端部2Bは、ピッチ変換ユニット6の下端部に設けられる各第1電極61(図5参照)と接続される。
【0023】
ピッチ変換ユニット6は、接触端子2間の第1ピッチをピッチ変換ユニット6の上端部に形成される第2電極間の第2ピッチへ変換する。第2ピッチは、第1ピッチよりも長い。ピッチ変換ユニット6は、例えば、MLO(Multi-Layer Organic)またはMLC(Multi-Layer Ceramic)等の多層配線基板などによって形成される。
【0024】
接続プレート7は、ピッチ変換ユニット6を着脱可能に構成される。ピッチ変換ユニット6は、接続プレート7を介して検査処理部9と電気的に接続される。
【0025】
検査処理部9は、例えば電源回路、電圧計、電流計、およびマイクロコンピュータ等を備える。検査処理部9は、不図示の駆動機構を制御して検査治具8を検査対象100に対して相対的に移動させる。
【0026】
検査対象100が例えば半導体ウェハである場合、検査対象100において、ダイシング後に形成される半導体チップの個々に対応する回路ごとに、複数のパッドまたは複数のバンプ等の検査点が形成される。検査処理部9は、検査対象100に形成された複数の回路のうち一部の領域を検査領域として、検査領域内の各検査点と接触端子2が上下方向に対向する位置に検査治具8を相対的に移動させる。このとき、検査治具8は、接触端子2の一端部2Aを検査対象100側へ向けた状態である。
【0027】
そして、検査処理部9は、検査治具8を下方に移動させて、検査領域内の各検査点に接触端子2を接触させる。これにより、各検査点と検査処理部9とが電気的に接続される。
【0028】
検査処理部9は、上記の状態で各接触端子2を介して検査対象100の各検査点に検査用の電流または電圧を供給し、各接触端子2から得られた電圧信号または電流信号に基づき検査対象100の検査を実行する。
【0029】
すなわち、検査装置10は、検査治具8と、接触端子2を検査対象100に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、検査対象100の検査を行う検査処理部9と、を備える。
【0030】
検査対象100における検査領域内の検査が完了すると、検査処理部9は、検査治具8を上方に移動させ、新たな検査領域に対応した位置に検査治具8を相対的に平行移動させ、検査治具8を下方に移動させて新たな検査領域内の各検査点に接触端子2を接触させて検査を行う。このように、検査領域を順次変更しつつ検査を行うことで、検査対象100全体の検査が行われる。
【0031】
<2.接触端子の構成> 以下、接触端子2の構成について、より詳細に説明する。図2および図3は、接触端子2に荷重がかかっておらず、第1ばね部22および第2ばね部23が自然長状態である場合を示す。
【0032】
接触端子2は、接触端子2の軸方向に延びて導電性を有する筒状体20と、導電性を有する棒状の第1導体(プランジャー)40と、導電性を有する棒状の第2導体(プランジャー)50と、を備える。第1導体40および第2導体50は、例えばパラジウム合金などの導電性材により形成される。
【0033】
筒状体20は、円筒状に形成され、例えば約25~300μmの外径と、約10~250μmの内径とを有するニッケル或いはニッケル合金のチューブを用いて形成される。また、筒状体20の内周面には、金メッキ等の導電層が形成されることが好ましい。これにより、後述する摺動接点CP(図4)における接触抵抗を低減できる。さらに、筒状体20の外周面を必要に応じて絶縁被覆してもよい。
【0034】
筒状体20は、第1胴部21と、第1ばね部22と、第2ばね部23と、第2胴部24と、を有する。第1胴部21、第1ばね部22、第2胴部24、および第2ばね部23は、この順に軸方向一方X1側から軸方向他方X2側にかけて配置される。
【0035】
第1ばね部22および第2ばね部23は、筒状体20の周面に沿って螺旋状に延びる螺旋状体として形成される。第1胴部21および第2胴部24は、螺旋状に構成されない筒状である。
【0036】
このような螺旋状体を有する筒状体を製造するには、例えば、芯材の外周にメッキにより金メッキ層を形成した後、形成された金メッキ層の外周に電鋳によりニッケル電鋳層を形成する。ニッケル電鋳層の外周にレジスト層を形成した後、レーザーで露光してレジスト層の一部を螺旋状に除去する。レジスト層をマスキング材としてエッチングを行い、螺旋状にレジスト層を除去した箇所のニッケル電鋳層を除去する。そして、レジスト層を除去した後、ニッケル電鋳層が螺旋状に除去された箇所の金メッキ層を除去し、金メッキ層をニッケル電鋳層の内周に残したまま芯材を除去して筒状体を形成する。
【0037】
第1導体40は、筒状体20より軸方向一方X1側に突出する第1突出部41と、第1突出部41の軸方向他方X2側に連接されて筒状体20内部に配置される第1挿入部42と、を有する(図3)。第1導体40および第2導体50は、軸方向周りの回転体形状である。これにより、第1導体40および第2導体50は、旋盤による切削加工により形成できる。
【0038】
第1突出部41は、棒状本体部411と、棒状本体部411の軸方向他方X2側に連接される鍔部412と、を有する。棒状本体部411は、軸方向一方X1側に先端部411Aを有する。先端部411Aは、後述するように検査対象100の検査点と接触される。
【0039】
なお、図3の例では、先端部411Aは、円錐状としているが、これに限らず、例えば円錐台状、半球状、または円柱状などとしてもよい。
【0040】
第1挿入部42は、鍔部412の軸方向他方X2側に連接され、第1胴部21に固定される。より具体的には、第1挿入部42は、筒状体20の軸方向一方側端部201に固定される。軸方向一方側端部201は、第1胴部21に含まれる。なお、第1挿入部42を第1胴部21に固定する固定構造については、後述する。
【0041】
第2導体50は、第2突出部51と、筒状体20内部に配置される第2挿入部52と、を有する(図3)。第2挿入部52は、第2突出部51の軸方向一方X1側に連接される。第2挿入部52は、筒状体20の軸方向他方側端部202に固定される。なお、第2挿入部52を筒状体20に固定する固定構造については、後述する。
【0042】
このように第1導体40および第2導体50が筒状体20に固定されて接触端子2が形成される。
【0043】
図3に示すように、第2挿入部52は、筒状体20内部を第2ばね部23、第2胴部24、および第1ばね部22を介して第1胴部21まで軸方向に延びる。これにより、第2挿入部52は、第1胴部21に接触する。
【0044】
図4は、接触端子2に荷重をかけることにより第1ばね部22および第2ばね部23を圧縮させた状態を示す。この場合、第2導体50が図3の状態に比べて第1導体40に対して相対的に軸方向一方X1側に移動する。これにより、第2挿入部52は、第1胴部21と接触しつつ軸方向一方X1側へ移動する。一方、第1挿入部42は、第1胴部21に固定されている。従って、第2挿入部52と第1胴部21との接触により摺動接点CPが形成される。接触端子2における電流経路は、第1挿入部42、第1胴部21、摺動接点CP、および第2挿入部52を介した経路となる。
【0045】
また、接触端子2では、図3に示すように、第1導体40の軸方向長さを短くし、第2導体50の軸方向長さを長くすることにより、双方の長さの差を小さくできる。これにより、第1導体40および第2導体50を製造しやすくなる。
【0046】
図5は、接触端子2を支持部材3により支持させた状態を示す図である。図5に示すように、支持部材3は、上側支持体301と、中間支持体302と、下側支持体303と、を有する。ここでは、接触端子2が支持部材3により支持される構成について説明する。
【0047】
下側支持体303は、厚み方向に貫通する貫通孔である支持孔303Aを有する。支持孔303Aの軸方向視の断面積は、棒状本体部411の軸方向視の断面積よりも若干大きく、且つ鍔部412の軸方向視の断面積よりも小さい。これにより、棒状本体部411を支持孔303Aに挿入可能であり、且つ鍔部412により接触端子2の脱落が防止される。
【0048】
中間支持体302は、下側支持体303よりも上方に配置され、支持孔303Aと同軸の貫通孔である支持孔302Aを有する。支持孔302Aの軸方向視の断面積は、第2胴部24の軸方向視の外形断面積よりも若干大きい。これにより、第2胴部24を支持孔302Aに挿入可能である。
【0049】
上側支持体301は、中間支持体302よりも上方に配置され、支持孔302Aと同軸の貫通孔である支持孔301Aを有する。支持孔301Aの軸方向視の断面積は、筒状体20の軸方向他方側端部202および第2突出部51の軸方向視の外形断面積よりも若干大きい。これにより、軸方向他方側端部202および第2突出部51を支持孔301Aに挿入可能である。
【0050】
接触端子2を支持部材3により支持させる際には、棒状本体部411を上方から支持孔301A、支持孔302A、および支持孔303Aに順に挿通させる。なお、支持孔301A,302Aは、鍔部412を挿通可能とする軸方向視の断面を有する。
【0051】
このようにして接触端子2を支持部材3により支持させた状態では、棒状本体部411は、支持孔303Aに収容される。鍔部412は、下側支持体303の上面303Bに当接される。第2胴部24は、支持孔302Aに収容される。軸方向他方側端部202および第2突出部51は、支持孔301Aに収容される。
【0052】
そして、第2突出部51の先端部511をピッチ変換ユニット6の下面に露出される第1電極61に接触させつつ上側支持体301の上面をピッチ変換ユニット6の下面に押し当てる。これにより、支持部材3をピッチ変換ユニット6に固定する。このとき、第1ばね部22および第2ばね部23が軸方向に圧縮される。これにより、先端部511は、ばね部22,23の弾性力により第1電極61に押し当てられ、先端部511と第1電極61とが安定した導通接触状態に保持される。
【0053】
さらに、検査対象100の検査を行う場合、棒状本体部411の先端部411Aを検査対象100の検査点100Aに接触させる。このとき、先端部411Aには軸方向他方X2側への力が加わり、第1ばね部22および第2ばね部23は軸方向に圧縮される。これにより、ばね部22,23による弾性力により、先端部411Aは検査点100Aに押し当てられ、先端部411Aと検査点100Aとが安定した導通接触状態に保持される。
【0054】
接触端子2において、ばね部は、第1ばね部22と、第1ばね部22よりも軸方向他方X2側に配置される第2ばね部23を有し、筒状体20は、第1ばね部22と第2ばね部23との間に配置されて螺旋状に構成されない第2胴部24を有する。これにより、筒状体20の中間に位置する第2胴部24を中間支持体302により支持することができ、筒状体20の座屈を抑制できる。
【0055】
<3.導体の筒状体への固定><3-1.第1導体の筒状体への固定構造の第1実施形態> 次に、接触端子2における第1導体40を筒状体20へ固定する固定構造の第1実施形態について説明する。図6および図7は、第1導体40を筒状体20へ固定する前の分解状態を示す図である。
【0056】
筒状体20の軸方向一方側端部201に、端部側切欠き31と、孔部32と、が設けられる。
【0057】
端部側切欠き31(図6)は、軸方向一方側端部201の軸方向一方側端面201Aより軸方向他方X2側に向かって切欠かれた形状に形成される。孔部32(図7)は、軸方向一方側端部201に開口する。端部側切欠き31は、第1方向一方Y1側に設けられる。孔部32は、第1方向他方Y2側に設けられる。端部側切欠き31の周方向中心位置は、孔部32の周方向中心位置に対して周方向に180°ずれている。ただし、上記2つの周方向中心位置は、180°から若干ずれていてもよい。
【0058】
すなわち、筒状体20は、筒状体20の軸方向一方側端部201において、軸方向一方側端面201Aより軸方向他方X2側に向かって切欠かれた形状に設けられる端部側切欠き31と、軸方向一方側端部201に開口する孔部32と、を有する。
【0059】
第1導体40の第1挿入部42(図6)は、傾斜部421と、第1ストレート部422と、窄み部423と、第2ストレート部424と、を有する。傾斜部421は、軸方向一方X1側へ向かうに従って外径が大きくなる。第1ストレート部422は、傾斜部421の軸方向一方X1側に連接され、軸方向に沿って外径が一定である。
【0060】
第1ストレート部422の外径D2は、筒状体20の内径D1より大きい(図6)。
【0061】
窄み部423は、第1ストレート部422の軸方向一方X1側に連接されるとともに、鍔部412の軸方向他方X2側に連接される。窄み部423の外径は、第1ストレート部422の外径より小さい。
【0062】
第2ストレート部424は、傾斜部421の軸方向他方X2側に連接され、軸方向に沿って外径が一定である。
【0063】
第1導体40を筒状体20に組み付ける際には、第2ストレート部424を軸方向一方側端面201Aより筒状体20内部に挿入する。挿入を進めると、傾斜部421が軸方向一方側端面201Aの内周に当たる。そのまま第1導体40を押し込むと、軸方向一方側端部201が拡がり、第1ストレート部422が筒状体20内部に挿入される。
【0064】
そのまま挿入を進めると、鍔部412が軸方向一方側端面201Aと接触することにより、第1導体40の挿入は制限される。第1導体40を筒状体20に押し込んで鍔部412が軸方向一方側端面201Aと接触した状態を図8および図9に示す。図8は、図6において第1導体40を筒状体20に挿入した状態を示す。図9は、図7において第1導体40を筒状体20に挿入した状態を示す。
【0065】
図8および図9に示す状態において、第1ストレート部422は、筒状体20の有する一対の腕部211,212により第2方向Zに両側から挟まれる。腕部211,212は、端部側切欠き31と孔部32とによって挟まれる。
【0066】
第1ストレート部422の外径D2は、筒状体20の内径D1より大きいので、第1ストレート部422は、一対の腕部211,212によって押圧される。すなわち、第1ストレート部422は、腕部211,212と接触する。これにより、第1導体40は、筒状体20に固定される。
【0067】
また、第1ストレート部422と窄み部423との間の段差には、壁面部425が形成される(図6)。ここで、図9に示すように、壁面部425と鍔部412との間の距離L1は、孔部32と軸方向一方側端面201Aとの間の距離L2より長い。これにより、図9の状態において、窄み部423は、孔部32と軸方向一方側端面201Aとの間に嵌合する。壁面部425は孔部32に含まれる軸方向突出縁部321と接触可能である。軸方向突出縁部321は、軸方向一方側端部201において軸方向他方X2側に突出する軸方向突出部201Bの縁部である。
【0068】
すなわち、第1ストレート部422の軸方向一方側端に配置される壁面部425は、孔部32と接触可能である。これにより、筒状体20に組み付けた第1導体40は筒状体20から抜けにくくなる。また、壁面部425が軸方向突出縁部321(図7)と接触可能であることにより、第1導体40は筒状体20から、より抜けにくくなる。さらに、壁面部425が軸方向突出縁部321の周方向両端付近に接触することを抑制できる。
【0069】
ここで、仮に図19に示すように、筒状体20Xの軸方向一方側端部201に孔部は設けず、端部側切欠きS20のみを設けた場合、第1導体40を筒状体20Xに組み付けると図20に示す状態となる。このとき、端部側切欠きS20のみを設けているので、第1導体40の筒状体20Xへの挿入時に軸方向一方側端部201は拡がりにくい。
【0070】
これに対し、本実施形態に係る接触端子2であれば、筒状体20に端部側切欠き31と孔部32を設けるので、軸方向一方側端部201が拡がりやすくなる。従って、第1導体40を押し込みやすくなり、第1導体40の組み付けが容易となる。
【0071】
また、図8および図9に示すように、第1突出部41は、筒状体20の軸方向一方側端面201Aと軸方向に対向する鍔部412を有する。これにより、第1導体40を筒状体20に挿入する際に、挿入され過ぎることを抑制できる。
【0072】
また、図19に示す筒状体20Xに第1導体40を挿入すると、筒状体20Xの内径D1よりも太い外径D2を有する第1ストレート部422が筒状体20Xの軸方向一方側端部201を拡げようと作用する。このとき、軸方向一方側端部201における端部側切欠きS20の軸方向他方X2側端部付近の部分は、筒状体20Xの周方向に移動する。また、第1ストレート部422と接触される筒状体20Xの部分は、筒状体20Xの径方向外側に向かって移動する。このため、筒状体20Xの軸方向一方側端部201は、拡げられる。このとき、軸方向一方側端部201の軸心は、第1導体40を挿入しない場合の軸心からずれる。図20に示すように鍔部412が軸方向一方側端面201Aに接触するまで第1導体40を挿入した場合、軸方向一方側端面201A付近の軸心のずれは大きい。このため、第1導体40は、第1導体40を挿入しない場合での筒状体20Xの軸心に沿う方向から傾きやすい。第1導体40は、端部側切欠きS20側に傾く。図21では、第1導体40が角度θで傾く状態を示す。
【0073】
これに対し、第1実施形態に係る接触端子2であれば、図10に示すように、第1ストレート部422の一部は、軸方向に沿って軸方向一方側端422Aから軸方向他方側端422Bにかけて孔部32から露出する。すなわち、第1ストレート部422の一部は、孔部32から露出する。これにより、第1ストレート部422の露出箇所は筒状体20と接触しないので、第1導体40の筒状体20に対する傾きを抑制できる。
【0074】
また、第2ストレート部424の外径D3(図6)と筒状体20の内径D1は、略同一である。これにより、第1導体40の筒状体20に対する傾きを抑制できる。外径D3と内径D1の関係は、0<D1-D3≦6μmであれば、上記効果を享受できる。例えば、筒状体20の内径D1を47μm、外径を58μmとした場合、第2ストレート部424の外径D3を45μmとすれば、上記効果を享受できる。
【0075】
また、図7に示すように、軸方向一方側端部201は、互いに近づく周方向に突出する一対の周方向突出部201C,201Dを有する。孔部32は、周方向突出部201C,201Dの縁部である周方向突出縁部322,323を含む。第1導体40が周方向突出部201C,201Dに保持されることで、第1導体40の傾きを抑制できる(図9)。
【0076】
なお、本実施形態の一変形例として、図11に示すように、壁面部425と鍔部412との間の距離L1は、孔部32と軸方向一方側端面201Aとの間の距離L2と略等しくしてもよい。これにより、第1導体40の筒状体20に対する軸方向の移動を抑制できる。距離L1とL2の関係は、0≦L1-L2≦30μmであれば、上記効果を享受できる。
【0077】
また、図8に示すように、端部側切欠き31は、幅Wzが軸方向に沿って一定である一定幅部分311を有する。一定幅部分311は、軸方向一方側端面201Aから、第1方向Yに視て傾斜部421と重なる位置まで延びる。これにより、第1導体40が筒状体20における一定幅部分311付近の部分により保持され、第1導体40の傾きを抑制できる。
【0078】
<3-2.第1導体の筒状体への固定構造の第2実施形態> 図12から図18は、第1導体40の筒状体20へ固定する構造の第2実施形態を示す図である。第2実施形態に係る第1導体40および筒状体20において、第1実施形態における構成要素に対応する構成要素には、第1実施形態での符号と同じ符号を付している。従って、第2実施形態は、第1実施形態の先述した特徴的な構成による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。ここでは、第1実施形態との相違点である端部側切欠き31および孔部32の形状について、図17および図18を用いて詳述する。
【0079】
図17に示すように、端部側切欠き31は、一定幅部分31Aと、幅広部分31Bと、を有する。一定幅部分31Aは、軸方向一方側端面201Aより幅Wzが軸方向に沿って一定である。幅広部分31Bは、一定幅部分31Aの軸方向他方X2側に連接され、軸方向他方X2側に向かうに従って幅Wzが大きくなる。
【0080】
すなわち、端部側切欠き31は、幅Wzが軸方向他方X2側へ向かうに従って大きくなる幅広部分31Bを有する。端部側切欠き31を大きく切欠くことにより、筒状体20の軸方向一方側端部201をより広がりやすくできる。また、第1導体40の筒状体20に対する傾きを抑制できる。
【0081】
また、図18に示すように、孔部32は、周方向の幅Wzが軸方向他方X2側へ向かうに従って小さくなる幅狭部分32Aを有する。これにより、孔部32の形状を傾斜部421の形状とフィットさせることができる。
【0082】
<3-3.第2導体の筒状体への固定構造> 次に、本実施形態に係る接触端子2における第2導体50を筒状体20へ固定する固定構造について説明する。図22および図23は、第2導体50を筒状体20へ固定する前の分解状態を示す図である。図22は、筒状体20の端部側切欠き202B側から視た図を示し、図23は、筒状体20の孔部202C側から視た図を示す。
【0083】
筒状体20の軸方向他方側端部202に、端部側切欠き202Bと、孔部202Cと、が設けられる。
【0084】
端部側切欠き202Bは、軸方向他方側端部202の軸方向他方側端面202Aより軸方向に沿って切欠かれた形状に形成される。孔部202Cは、軸方向他方側端部202に開口する。端部側切欠き202Bと孔部202Cは、軸方向に垂直な方向(径方向)に対向する。
【0085】
すなわち、筒状体20は、筒状体20の軸方向他方側端部202において、軸方向他方側端面202Aより軸方向一方X1側に向かって切欠かれた形状に設けられる端部側切欠き202Bと、軸方向他方側端部202に開口する孔部202Cと、を有する。
【0086】
第2導体50は、筒状体20より軸方向他方X2側に突出する第2突出部51と、第2突出部51の軸方向一方X1側に連接されて筒状体20内部に配置される第2挿入部52と、を有する。第2突出部51は、軸方向一方X1側に鍔部512を有する。
【0087】
第2挿入部52は、傾斜部521と、第3ストレート部522と、窄み部523と、第4ストレート部524と、を有する。傾斜部521は、軸方向他方X2側へ向かうに従って外径が大きくなる。第3ストレート部522は、傾斜部521の軸方向他方X2側に連接され、軸方向に沿って外径が一定である。
【0088】
すなわち、第2挿入部52は、軸方向他方X2側へ向かうに従って外径が大きくなる傾斜部521と、傾斜部521の軸方向他方X2側に連接されて軸方向に沿って外径が一定である第3ストレート部522と、を有する。
【0089】
第3ストレート部522の外径は、筒状体20の内径より大きい。
【0090】
窄み部523は、第3ストレート部522の軸方向他方X2側に連接されるとともに、鍔部512の軸方向一方X1側に連接される。窄み部523の外径は、第3ストレート部522の外径より小さい。
【0091】
第4ストレート部524は、傾斜部521の軸方向一方X1側に連接され、軸方向に沿って外径が一定である。
【0092】
第2導体50を筒状体20に組み付ける際には、第4ストレート部524を軸方向他方側端面202Aより筒状体20内部に挿入する。挿入を進めると、傾斜部521が軸方向他方側端面202Aの内周に当たる。そのまま第2導体50を押し込むと、軸方向他方側端部202が拡がり、第3ストレート部522が筒状体20内部に挿入される。
【0093】
そのまま挿入を進めると、鍔部512が軸方向他方側端面202Aと接触することにより、第2導体50の挿入は制限される。図22および図23において、第2導体50を筒状体20に押し込んで鍔部512が軸方向他方側端面202Aと接触した状態を図24および図25に示す。
【0094】
図24および図25に示す状態において、第3ストレート部522は、筒状体20の有する一対の腕部202D,202Eにより軸方向に垂直な方向に両側から挟まれる。腕部202D,202Eは、端部側切欠き202Bと孔部202Cとによって挟まれる。
【0095】
第3ストレート部522の外径は、筒状体20の内径より大きいので、第3ストレート部522は、一対の腕部202D,202Eによって押圧される。すなわち、第3ストレート部522は、腕部202D,202Eと接触する。これにより、第2導体50は、筒状体20に固定される。
【0096】
筒状体20に端部側切欠き202Bと孔部202Cを設けるので、軸方向他方側端部202が拡がりやすくなり、第2導体50を押し込みやすくなり、第2導体50の組み付けが容易となる。
【0097】
また、第3ストレート部522と窄み部523との間の段差には、壁面部525が形成される(図22)。ここで、図25に示すように、壁面部525と鍔部512との間の距離は、孔部202Cと軸方向他方側端面202Aとの間の距離より長い。これにより、図25の状態において、窄み部523は、孔部202Cと軸方向他方側端面202Aとの間に嵌合する。そして、壁面部525は孔部202Cと接触可能である。
【0098】
すなわち、第3ストレート部522の軸方向他方側端に配置される壁面部525は、孔部202Cと接触可能である。これにより、筒状体20に組み付けた第2導体50は筒状体20から抜けにくくなる。
【0099】
このように、第2導体50の筒状体20への固定構造は、先述した第1導体40の固定構造と同様の構成により、同様の効果を奏することができる。
【0100】
なお、第4ストレート部524は、筒状体20内部に挿入されて第1胴部21(図3)に接触可能に軸方向に延びるので、第4ストレート部524の軸方向長さが長く、第2導体50の筒状体20に対する傾きを抑制する効果を大きくする。
【0101】
また、軸方向他方側端部202の構成は、図26に示すようにしてもよい。図26では、孔部202Cの正面視において、孔部202Cは、筒状体20の中心軸に対して線対称に形成される。孔部202Cは、軸方向一方X1側に凹部202C1を有し、軸方向他方X2側に突出縁部202C2を有する。凹部202C1は、軸方向一方X1側に凹む。軸方向他方側端部202は、軸方向一方X1側に突出する突出部202Fを有する。突出縁部202C2は、突出部202Fの縁部である。
【0102】
<4.その他> 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【0103】
例えば、先述した導体の固定構造は、軸方向両側に配置される導体が挿入される筒状体の中間位置における胴部において、上記導体と上記胴部とで2個の摺動接点を形成する接触端子に適用することも可能である。また、1本のみの導体を筒状体に固定して構成される接触端子に上記固定構造を適用してもよい。
【0104】
本発明は、例えば各種検査対象の電気的検査に利用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1・・・プローブヘッド
2・・・接触端子
2A・・・一端部
2B・・・他端部
20、20X・・・筒状体
201・・・軸方向一方側端部
201A・・・軸方向一方側端面
201B・・・軸方向突出部
201C、201D・・・周方向突出部
202・・・軸方向他方側端部
202A・・・軸方向他方側端面
202B・・・端部側切欠き
202C・・・孔部
202C1・・・凹部
202C2・・・突出縁部
202D、202E・・・腕部
202F・・・突出部
21・・・第1胴部
211、212・・・腕部
22・・・第1ばね部
23・・・第2ばね部
24・・・第2胴部
3・・・支持部材
301・・・上側支持体
301A・・・支持孔
302・・・中間支持体
302A・・・支持孔
303・・・下側支持体
303A・・・支持孔
303B・・・上面
31・・・端部側切欠き
31A・・・一定幅部分
31B・・・幅広部分
311・・・一定幅部分
32・・・孔部
32A・・・幅狭部分
321・・・軸方向突出縁部
322、323・・・周方向突出縁部
40・・・第1導体
41・・・第1突出部
411・・・棒状本体部
411A・・・先端部
412・・・鍔部
42・・・第1挿入部
421・・・傾斜部
422・・・第1ストレート部
422A・・・軸方向一方側端
422B・・・軸方向他方側端
423・・・窄み部
424・・・第2ストレート部
425・・・壁面部
50・・・第2導体
51・・・第2突出部
511・・・先端部
512・・・鍔部
52・・・第2挿入部
521・・・傾斜部
522・・・第3ストレート部
523・・・窄み部
524・・・第4ストレート部
525・・・壁面部
6・・・ピッチ変換ユニット
61・・・第1電極
7・・・接続プレート
8・・・検査治具
9・・・検査処理部
10・・・検査装置
100・・・検査対象
100A・・・検査点
CP・・・摺動接点
D1・・・内径
D2、D3・・・外径
J・・・中心軸
L1、L2・・・距離
S20・・・端部側切欠き
Wz・・・幅
X1・・・軸方向一方側
X2・・・軸方向他方側
Y1・・・第1方向一方側
Y2・・・第1方向他方側
Z1・・・第2方向一方側
Z2・・・第2方向他方側
θ・・・角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図26