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特許7605567搬送装置のティーチング方法及び搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】搬送装置のティーチング方法及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241217BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20241217BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20241217BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 G
B65G49/07 C
B25J9/22 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021065772
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022161170
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】杉本 貴史
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-053417(JP,A)
【文献】特開2014-175608(JP,A)
【文献】特開2020-065003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/68
B65G 49/07
B25J 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するピックと、マッピングセンサと、を有する搬送装置のティーチング方法であって、
参照用基板が収容された参照用収容容器において、前記マッピングセンサを用いて前記参照用基板の高さ位置を検出し、高さ方向の基準位置を設定するステップと、
基板処理装置で処理が施される生産用基板が収容された収容容器において、前記マッピングセンサを用いて前記生産用基板の高さ位置を検出し、高さ位置の情報を記憶するステップと、
記憶された複数の前記収容容器における前記情報に基づいて、前記基準位置を補正するステップと、を有し、
前記情報は、前記高さ位置の情報と、前記収容容器の型式の情報と、を含みを有し、
前記基準位置を補正するステップは、前記型式ごとの前記基準位置を補正する、
搬送装置のティーチング方法。
【請求項2】
検出した前記生産用基板の前記高さ位置が前記基準位置に対応する上下限閾値の範囲内であるか否かを判定するステップを更に有する、
請求項1に記載の搬送装置のティーチング方法。
【請求項3】
前記基準位置を補正するステップは、
前記高さ位置の正規分布の中心を前記基準位置とするように補正する、
請求項1または請求項に記載の搬送装置のティーチング方法。
【請求項4】
前記基準位置を補正するステップは、
前記高さ位置の平均値を前記基準位置とするように補正する、
請求項1または請求項に記載の搬送装置のティーチング方法。
【請求項5】
前記基準位置を補正するステップは、
前記高さ位置の最大値と最小値との中間値を前記基準位置とするように補正する、
請求項1または請求項に記載の搬送装置のティーチング方法。
【請求項6】
基板を保持するピック及びマッピングセンサを有する搬送装置と、
制御部と、を有する搬送システムであって、
前記制御部は、
前記搬送装置を制御して、参照用基板が収容された参照用収容容器において、前記マッピングセンサを用いて前記参照用基板の高さ位置を検出し、高さ方向の基準位置を設定するように構成され、
基板処理装置で処理が施される生産用基板が収容された収容容器において、前記マッピングセンサを用いて前記生産用基板の高さ位置を検出し、高さ位置の情報を記憶するように構成され、
記憶された複数の前記収容容器における前記情報に基づいて、前記基準位置を補正するように構成され
前記情報は、前記高さ位置の情報と、前記収容容器の型式の情報と、を有し、
前記基準位置を補正するステップは、前記型式ごとの前記基準位置を補正する、
搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置のティーチング方法及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板を搬送する搬送装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、ウェーハ搬送室に隣接して設けられ、当該ウェーハ搬送室とともにEFEMを構成し、搬送されてきたFOUPを受け取り当該FOUP内に格納されているウェーハを前記ウェーハ搬送室内と前記FOUP内との間で出し入れする際に用いられるロードポートであって、ウェーハに対してマッピングを行うマッピング装置と、ウェーハを前記FOUP内と前記ウェーハ搬送室内との間で移送する移送装置とを具備していることを特徴とするロードポートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-49382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一の側面では、本開示は、搬送装置のティーチング方法及び搬送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板を保持するピックと、マッピングセンサと、を有する搬送装置のティーチング方法であって、参照用基板が収容された参照用収容容器において、前記マッピングセンサを用いて前記参照用基板の高さ位置を検出し、高さ方向の基準位置を設定するステップと、基板処理装置で処理が施される生産用基板が収容された収容容器において、前記マッピングセンサを用いて前記生産用基板の高さ位置を検出し、高さ位置の情報を記憶するステップと、記憶された複数の前記収容容器における前記情報に基づいて、前記基準位置を補正するステップと、を有し、前記情報は、前記高さ位置の情報と、前記収容容器の型式の情報と、を有し、前記基準位置を補正するステップは、前記型式ごとの前記基準位置を補正する、搬送装置のティーチング方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、搬送装置のティーチング方法及び搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る基板処理装置の一例を示す構成図。
図2】大気搬送装置のピック及びウエハの一例を示す平面図。
図3】マッピング動作を説明する斜視図の一例。
図4】大気搬送アームのティーチング動作の一例を説明するフローチャート。
図5】第1実施形態におけるウエハの高さ位置の検出結果、基準位置、上下限閾値の一例を示すグラフ。
図6】第2実施形態におけるウエハの高さ位置の検出結果、基準位置、上下限閾値の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
<基板処理装置100>
一実施形態に係る基板処理装置100について、図1を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る基板処理装置100の一例を示す構成図である。
【0011】
基板処理装置100は、真空に保持され、基板の一例であるウエハWを搬送するための真空搬送室1と、真空搬送室1の周囲にて各々気密に接続され、ウエハWに対して所定の処理を行う複数の処理モジュールとを有する。この例では、処理モジュールは例えば4つ設けられているが、1つ以上設けられていればよい。以下では、4つの処理モジュールを処理室PM1、PM2、PM3、PM4といい、総称して処理室PMという。4つの処理室PM1~PM4及び2つのロードロック室2は、6角形の真空搬送室1の各辺にそれぞれ接続されている。
【0012】
処理室PM1~PM4では、所定温度に加熱された状態でウエハWに所定の処理が実行される。例えば、処理室PM1~PM4はCOR(Chemical Oxide Removal)処理室であってもよく、PHT(Post Heat Treatment)処理室であってもよい。また、例えば、処理室PM1~PM4で行われる処理としては、プラズマを用いたドライエッチング処理、アッシング処理であってもよい。その他の処理としては、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)やALD(Atomic Layer Deposition)による成膜処理、アニール処理であってもよい。また、ウエハWに含まれる水分を除去するためにウエハWを例えば200℃程度に加熱する水分除去処理であってもよい。処理室PM1及び処理室PM4は、ウエハWを載置する載置台、室内に処理ガスを供給するガス供給路及び室内を真空排気する排気管等を有している。
【0013】
真空搬送室1の内部には、基板搬送装置10が配置されている。基板搬送装置10は、第1の搬送アーム11と第2の搬送アーム12の2本のアームを有し、2本のアームの一方又は両方の上にウエハWを保持して搬送する。
【0014】
第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12は、真空搬送室1の底面に設けられた回転機構13により同軸回りに回転自在及び昇降自在に構成されている。第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12の先端部は、各々例えばU字型に形成されてウエハWを保持するピック14、15をなし、処理室PM1~処理室PM4及び2つのロードロック室2に対して水平方向に各々独立して進退自在に構成されている。
【0015】
第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12は、例えば回転機構13から伸び出すときの進行方向が互いに逆向きとなるように回転機構13に各々接続されている。第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12の進退及び昇降と、各処理室PM内のウエハWを置く載置台に設けられた昇降ピンの昇降との協働作用により各処理室PM及びロードロック室2の間にてウエハWの受け渡しが行われる。
【0016】
ロードロック室2は、真空搬送室1に気密に接続され、内部の雰囲気を真空雰囲気と大気雰囲気との間において切り替える。本実施形態では、ロードロック室2は2つ設けられているが、これに限られない。
【0017】
2つのロードロック室2には、大気雰囲気においてウエハWを搬送するための共通の大気搬送室3が気密に接続されている。大気搬送室3には、例えば25枚のウエハWが収納されたFOUP5を載置するためのロードポート4の載置台が複数箇所に設けられている。本実施形態では、載置台は4箇所に設けられるが、これに限られない。押圧機構41は、載置台の上のFOUP5を大気搬送室3側に押しつけるように機能する。
【0018】
また、FOUP5には、識別子52が設けられている。識別子52は、例えばバーコード、ICタグ等であって、FOUP5を個別に識別するための識別情報を有する。また、識別情報には、FOUP5の型式の情報が含まれていてもよい。また、ロードポート4には、ロードポート4に取り付けられたFOUP5の識別子52から情報を検出する検出部42を有する。
【0019】
大気搬送室3の内部には、ロードロック室2とFOUP5との間においてウエハWの受け渡しを行うための大気搬送装置30が設けられている。大気搬送装置30は、鉛直方向に昇降可能かつ鉛直軸回りに回転自在なアームを有する大気搬送アームと、ロードポート4の並びに沿って平行に移動自在に構成されたスライド機構(図示せず)と、を備える。2つのロードロック室2の間には、ウエハWの位置合わせを行うアライメント装置6が設置されている。なお、以下の説明において、大気搬送装置30及び制御部7を搬送システムともいう。
【0020】
真空搬送室1と処理室PM1~PM4の間、真空搬送室1とロードロック室2の間にはそれぞれゲートバルブGVが設けられ、ロードロック室2と大気搬送室3の間にはドアバルブDVが設けられ、ゲートバルブGV、ドアバルブDVの開閉によりウエハWを気密に搬送する。
【0021】
かかる構成の基板処理装置100は、たとえばコンピュータで構成される制御部7を有する。制御部7は、基板処理装置100の全体を制御する。制御部7は、メモリ及びCPUを有し、メモリには各処理室PMにて処理を行うために使用されるプログラム及びレシピが記憶されている。プログラムには、処理パラメータの入力操作や表示に関するプログラムが含まれる。レシピには、処理室PMが加熱される温度等のプロセス条件や処理手順、ウエハWの搬送経路が設定されている。
【0022】
CPUは、メモリに記憶されたプログラム及びレシピに従い、FOUP5から取り出したウエハWを大気搬送装置30、第1の搬送アーム11及び第2の搬送アーム12を用いて所定の経路で複数の処理室PMに搬送する。そして、CPUは、レシピに設定されたプロセス条件に基づき各処理室PMにて所定の処理を実行する。プログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)などの記憶部に格納されて制御部7にインストールされてもよいし、通信機能を使用してダウンロードしてもよい。
【0023】
FOUP5から搬出された未処理のウエハWは、大気搬送装置30によりロードロック室2へ搬送される。次に、未処理のウエハWは、第1の搬送アーム11又は第2の搬送アーム12により処理室PMに搬送される。処理室PMにてウエハWに所望の処理(例えば、成膜処理等)が施される。処理室PMにて処理が施されたウエハWは、第1の搬送アーム11又は第2の搬送アーム12により他の処理室PMに搬送され、更に処理が施されてもよい。処理が施されたウエハWはロードロック室2を介してFOUP5に戻される。
【0024】
<大気搬送装置30>
次に、大気搬送装置30について、更に説明する。図2は、大気搬送装置30のピック31及びウエハWの一例を示す平面図である。ピック31には、マッピングセンサ32が設けられている。マッピングセンサ32は、発光部33及び受光部34を有し、発光部33から照射されたビーム35を受光部34で検知することで、ビーム35の進路途中の遮光物(ウエハW)の有無を検出する。
【0025】
図3は、マッピング動作を説明する斜視図の一例である。発光部33及び受光部34を上昇(矢印36)させることで、FOUP5に収容されたウエハWの高さ方向位置を検出(マッピング)することができる。
【0026】
<大気搬送装置30のティーチング動作及び基板処理装置100の基板処理>
次に、大気搬送装置30のティーチング動作について、図4から図6を用いて説明する。ここでは、FOUP5に収容される各スロットのウエハWの基準位置を大気搬送装置30にティーチングする動作について説明する。
【0027】
図4は、大気搬送装置30のティーチング動作及び基板処理装置100の基板処理の一例を説明するフローチャートである。
【0028】
ステップS101において、作業者は、ロードポート4にティーチング用のFOUP(参照用収容容器)5を設置する。ここで、ステップS101において設置されるティーチング用のFOUP5とは、FOUP5の各スロットの基準位置及び上下限閾値を設定(後述するステップS103)するために用いるFOUP5である。ここで、FOUP5の各スロットの基準位置とは、各スロットに収容されたウエハWの高さ位置の基準値である。また、FOUP5の各スロットの上下限閾値とは、各スロットのウエハWの高さ位置における許容される範囲を示す値である。スロットに収容されたウエハWの高さ位置が、そのスロットの上下限閾値の範囲内である場合、ウエハWが正常にそのスロットに収納されていると判定する。ティーチング用のFOUP5は、ウエハWを収納するため複数(例えば25)のスロットを有している。また、ティーチング用のFOUP5のスロット(例えば、第1及び第25スロット)には、ティーチング用のウエハ(参照用基板)Wが収納されている。
【0029】
ステップS102において、制御部7は、ティーチング用のFOUP5に収容されたティーチング用のウエハWをマッピングする。ここでは、制御部7は、ピック31に設けられたマッピングセンサ32を用いて、ティーチング用のFOUP5に収容されたティーチング用のウエハWの高さ位置を検出(マッピング)する(図2,3参照)。制御部7は、大気搬送装置30を制御して、ピック31を所定のマッピング位置に移動させ、Z方向に上昇させることにより、マッピングを行う。
【0030】
ステップS103において、制御部7は、ティーチング用のFOUP5のマッピングデータに基づいて、FOUP5の各スロットの基準位置及び上下限閾値を設定する。例えば、最下段の第1スロット及び最上段の第25スロットに収容されたティーチング用のウエハWの高さ位置をマッピングセンサ32で検出し、それぞれ、第1スロットの基準位置及び第25スロットの基準位置とする。第2~24スロットは、第1スロットの基準位置と第25スロットの基準位置との間隔を等分して、第2~24スロットの基準位置とする。また、各スロットにおいて、基準位置に基づいて、上下限閾値(下限閾値及び上限閾値)を設定する。ここで、各スロットの上限閾値は、例えば各スロットの基準位置から所定の加算値を加算した高さ位置とする。また、各スロットの下限閾値は、例えば各スロットの基準位置から所定の減算値を減算した高さ位置とする。また、加算値及び減算値は、FOUP5の規格、及び、大気搬送装置30がFOUP5からウエハWを取り出す際に隣接するスロットのウエハWと干渉することなくウエハWを取り出せる高さ位置に基づいて予め設定されている値である。
【0031】
ステップS104において、制御部7は、半導体製品の生産を開始する。即ち、制御部7は、以下のステップS105~S107を繰り返して、基板処理装置100(処理室PM1~PM4)で生産用のウエハWに所定の処理を実行し、半導体製品(図示せず)を生産する。
【0032】
ステップS105において、ロードポート4に取り付けられているFOUP5を取り外し、ロードポート4に新たな生産用のFOUP(収容容器)5を設置する。なお、生産用のFOUP5は、OHT(Overhead Hoist Transport;天井走行式無人搬送車)により、ロードポート4に取り付け及び取り外しされる。ここで、ステップS105において設置される生産用のFOUP5とは、生産用のウエハ(生産用基板)Wが収容されているFOUP5である。生産用のウエハWとは、基板処理装置100(処理室PM1~PM4)で所定の処理が施されることにより、半導体製品(図示せず)が生産されるウエハである。生産用のFOUP5は、ウエハWを収納するため複数(例えば25)のスロットを有している。また、生産用のFOUP5の各スロットには、ウエハWが収納されている。
【0033】
ステップS106において、制御部7は、生産用のFOUP5に収容されたウエハWをマッピングする。ここでは、制御部7は、ピック31に設けられたマッピングセンサ32を用いて、生産用のFOUP5に収容されたウエハWの高さ位置を検出(マッピング)する(図2,3参照)。制御部7は、大気搬送装置30を制御して、ピック31を所定のマッピング位置に移動させ、Z方向に上昇させることにより、マッピングを行う。
【0034】
ステップS107において、制御部7は、ステップS106で検出したマッピングデータを制御部7の記憶部(図示せず)に記憶する。また、マッピングデータは、検出部42で検出した生産用のFOUP5の識別情報と対応付けして記憶されてもよい。
【0035】
ステップS108において、制御部7は、各スロットごとに、ステップS106で検出したウエハWの高さ位置が、ステップS103で設定した各スロットの上下限閾値の範囲内であるか否かを判定する。
【0036】
ウエハWの高さ位置が上下限閾値の範囲内でない場合(S108・No)、制御部7の処理は、ステップS109に進む。ステップS109において、制御部7は、エラーと判定し、FOUP5の処理をスキップする。換言すれば、制御部7は、大気搬送装置30で生産用のFOUP5のスロットからウエハWを正常に取り出すことができないおそれがあると判定し、そのFOUP5の処理(FOUP5に収容されたウエハWの搬送及び処理)をスキップする。また、制御部7は、ウエハWの状態等の確認を促す警告を表示装置(図示せず)に表示させてもよい。これにより、作業者にエラーの発生を報知することができる。また、制御部7は、基板処理装置100を管理するホストコンピュータにエラー発生を通知してもよい。その後、制御部7の処理は、ステップS111に進む。
【0037】
ウエハWの高さ位置が上下限閾値の範囲内である場合(S108・Yes)、制御部7の処理は、ステップS110に進む。ステップS110において、制御部7は、生産用のFOUP5から処理室PMにウエハWを搬送し、処理室PMでウエハWに所定の処理を実行する。
【0038】
制御部7は、生産用のFOUP5のスロットにウエハWが正しく収容されていると判定する。換言すれば、制御部7は、大気搬送装置30で生産用のFOUP5のスロットからウエハWを正常に取り出し搬送することが可能であると判定する。その後、制御部7は、大気搬送装置30によって生産用のFOUP5のスロットからロードロック室2へとウエハWを搬送し、更に基板搬送装置10によってロードロック室2から処理室PMに搬送され、処理室PMでウエハWに所望の処理が施される。処理済のウエハWは、基板搬送装置10及び大気搬送装置30によってFOUP5に戻される。その後、制御部7の処理は、ステップS111に進む。
【0039】
ステップS111において、制御部7は、基準位置及び上下限閾値の再設定条件を満たしたか否かを判定する。ここで、再設定条件とは、基準位置及び上下限閾値の再設定を実行するタイミングを判定するための条件である。例えば、任意の数の生産用FOUP5に対してマッピングデータを記録(S107参照)した後、作業者が再設定を実行する操作を行った場合、制御部7は、再設定条件を満たしたと判定してもよい。また、制御部7は、マッピングデータの記録数が所定の回数に到達した場合、再設定条件を満たしたと判定してもよい。
【0040】
再設定条件を満たしていない場合(S111・No)、制御部7の処理はステップS105に戻り、次の生産用のFOUP5についてもマッピングを行い、マッピングデータを記憶し、生産用のFOUP5に収容されたウエハWに所定の処理を実行する。
【0041】
再設定条件を満たした場合(S111・Yes)、制御部7の処理は、ステップS112に進む。ステップS112において、制御部7は、記憶された複数のFOUP5のマッピングデータに基づいて、FOUP5の各スロットの基準位置及び上下限閾値を再設定(補正)する。
【0042】
以降、制御部7は、ステップS112で再設定(補正)した各スロットの基準位置及び上下限閾値の範囲を用いて、エラー判定(ウエハWが正常に取り出し可能か否かの判定。S110参照)を行い、半導体製品の生産(S105~S110参照)を継続する。なお、ステップS112で基準位置等を再設定(補正)した後、制御部7の処理は、ステップS105に戻ってもよい。これにより、再び再設定条件を満たした場合、基準位置等を再度設定(補正)することができる。
【0043】
<第1実施形態における基準位置、上下限位置の補正方法>
次に、ステップS112における基準位置及び上下限位置の補正方法について、図5を用いて説明する。図5は、第1実施形態におけるFOUP5の所定のスロット(例えば、第13スロット)のウエハWの高さ位置の検出結果、基準位置、上下限閾値の一例を示すグラフである。
【0044】
図5(a)は、所定のスロット(例えば、第13スロット)における、ティーチング用のFOUP5を用いて設定された基準位置510と、基準位置510に対する生産用のFOUP5のウエハWの高さ位置との関係を示すグラフである。図5(a)において、横軸は、ステップS106で検出した所定のスロットのウエハWの高さ位置と、ステップS103の所定のスロットの基準位置とのズレ量を示す。縦軸は、カウント数を示す。ステップS103の所定のスロットの基準位置510を二点鎖線で示し、ステップS103の所定のスロットの下限閾値511及び上限閾値512を一点鎖線で示す。
【0045】
ここで、FOUP5のスロットの高さ位置は、FOUP5の規格の範囲内で相違する。ステップS101~S103におけるティーチング時に使用したFOUP5は、複数のFOUP5の1個体であるため、ティーチング時に使用したFOUP5が標準的な高さ寸法から規格の範囲内で一方(図5(a)の例では、高さ位置の低い側)にズレていた場合、他方側のエラー判定までのマージン531が少なくなる。このため、生産用のFOUP5において、エラーの発生頻度が高くなるおそれがある。例えば、規格の範囲内で一方側にずれたティーチング用のFOUP5を用いてティーチングを行ったことにより、他方側にずれた生産用のFOUP5のスロットに収容されたウエハWでは、エラーと判定されるおそれがある。
【0046】
これに対し、ステップS112において、制御部7は、複数の異なる個体のFOUP5のマッピングデータに基づいて、各スロットの基準位置520を再設定する。換言すれば、ティーチング用のFOUP5の基準位置510と複数の異なる個体の生産用のFOUP5から求めた基準位置520との差分に基づいて、各スロットの基準位置を補正する。また、各スロットにおいて、新たな基準位置520に基づいて、上下限閾値(下限閾値及び上限閾値)を再設定する。
【0047】
例えば、複数の異なる個体のFOUP5に対してマッピングデータを検出することにより、FOUP5の所定のスロットの高さ位置が正規分布を示す場合、制御部7は、正規分布の中心を新たな基準位置520としてもよい。
【0048】
なお、基準位置520の補正方法は、これに限られるものではない。例えば、制御部7は、ステップS106で検出したウエハWの高さ位置の平均値から基準位置520を求めてもよい。これにより、FOUP5の検出数が少ない場合でも、複数のマッピングデータに基づいて基準位置を再設定(補正)することができる。
【0049】
また、制御部7は、ステップS106で検出した複数のウエハWの高さ位置のうち、最大値と最小値との中間値から基準位置520求めてもよい。これにより、エラーの発生頻度を更に改善することができる。
【0050】
図5(b)は、所定のスロット(例えば、第13スロット)における、再設定された基準位置520と、基準位置520に対する生産用のFOUP5のウエハWの高さ位置との関係を示すグラフである。図5(b)において、横軸は、ステップS106で検出した所定のスロットのウエハWの高さ位置と、ステップS112の所定のスロットの基準位置520とのズレ量を示す。縦軸は、カウント数を示す。ステップS112の所定のスロットの基準位置520を二点鎖線で示し、ステップS112の所定のスロットの下限閾値521及び上限閾値522を一点鎖線で示す。
【0051】
これにより、他方側のエラー判定までのマージン532を確保することができ、エラーの発生頻度を改善することができる。
【0052】
なお、図5では、所定のスロット(例えば、第13スロット)における基準位置、上下限閾値の再設定について説明したが、他のスロット(例えば、第1~12,14~25スロット)についても同様に、基準位置、上下限閾値を再設定することができる。
【0053】
<第2実施形態における基準位置、上下限位置の補正方法>
次に、ステップS112における基準位置及び上下限位置の他の補正方法について、図6を用いて説明する。図6は、第2実施形態におけるFOUP5の所定のスロット(例えば、第13スロット)のウエハWの高さ位置の検出結果、基準位置、上下限閾値の一例を示すグラフである。
【0054】
図6(a)は、所定のスロット(例えば、第13スロット)における、ティーチング用のFOUP5を用いて設定された基準位置550と、基準位置550に対する生産用のFOUP5のウエハWの高さ位置との関係を示すグラフである。図6(a)において、横軸は、ステップS106で検出した所定のスロットのウエハWの高さ位置と、ステップS103の所定のスロットの基準位置とのズレ量を示す。縦軸は、カウント数を示す。ステップS103の所定のスロットの基準位置550を二点鎖線で示し、ステップS103の所定のスロットの下限閾値551及び上限閾値552を一点鎖線で示し、上下限閾値の範囲553を矢印で示す。
【0055】
ここで、ロードポート4には、型式Aの生産用のFOUP5と、型式Bの生産用のFOUP5と、が取り付けられる。図6において、型式Aの生産用のFOUP5のカウント数を実線で示し、型式Bの生産用のFOUP5のカウント数を点線で示す。また、型式の相違によって、ウエハWの高さ位置の傾向が異なっていることがある。このため、図6(a)の例において、上限閾値552を超える範囲581の型式Bの生産用のFOUP5のスロットに収容されたウエハWでは、エラーと判定される。
【0056】
これに対し、ステップS112において、制御部7は、型式ごとに複数の異なる個体のFOUP5のマッピングデータに基づいて、各スロットの基準位置560,570を再設定する。ここで、ステップS107において、制御部7は、検出部42で検出したFOUP5の型式情報を含む識別情報と、ステップS106で検出したマッピングデータと、を対応付けして記憶部(図示せず)に記憶する。制御部7は、型式Aの複数の異なる個体のFOUP5のマッピングデータに基づいて、基準位置560を設定する。また、制御部7は、型式Bの複数の異なる個体のFOUP5のマッピングデータに基づいて、基準位置570を設定する。
【0057】
図6(b)は、所定のスロット(例えば、第13スロット)における、再設定された基準位置560,570と、基準位置550に対する生産用のFOUP5のウエハWの高さ位置との関係を示すグラフである。図6(b)において、横軸は、ステップS106で検出した所定のスロットのウエハWの高さ位置と、ステップS103の所定のスロットの基準位置とのズレ量を示す。縦軸は、カウント数を示す。ステップS112で再設定(補正)した型式AのFOUP5の所定のスロットの基準位置560を二点鎖線で示し、ステップS112で再設定(補正)した型式AのFOUP5の所定のスロットの下限閾値561及び上限閾値562を一点鎖線で示し、型式AのFOUP5の所定のスロットの上下限閾値の範囲563を矢印で示す。また、ステップS112で再設定(補正)した型式BのFOUP5の所定のスロットの基準位置570を二点鎖線で示し、ステップS112で再設定(補正)した型式BのFOUP5の所定のスロットの下限閾値571及び上限閾値572を一点鎖線で示し、型式BのFOUP5の所定のスロットの上下限閾値の範囲573を矢印で示す。
【0058】
そして、ステップS112の以降の半導体製品の生産において、制御部7は、ロードポート4に取り付けられたFOUP5の識別子52を検出部42で読み取り型式を特定し、その型式に対応する各スロットの上下限閾値の範囲(範囲563または範囲573)を用いて、エラー判定(ウエハWが正常に取り出し可能か否かの判定。S110参照)を行う。
【0059】
これにより、図6(b)の例において、範囲582の型式BのFOUP5は、型式Bの上下限閾値の範囲573内となり、エラーと判定されることを回避することができる。これにより、エラーの発生頻度を改善することができる。
【0060】
なお、図6では、所定のスロット(例えば、第13スロット)における基準位置、上下限閾値の再設定について説明したが、他のスロット(例えば、第1~12,14~25スロット)についても同様に、基準位置、上下限閾値を再設定することができる。
【0061】
以上、一実施形態に係る基板処理装置について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0062】
ステップS111において、再設定条件は、前述したものに限られるものではない。例えば、任意のタイミングで作業者が再設定を実行する操作を行った場合、制御部7は、再設定条件を満たしたと判定してもよい。
【0063】
また、制御部7は、例えば、基準位置等を設定(S103,S112)してから所定回数のFOUP5を処理した後に、基準位置等の補正を促す警告を表示装置(図示せず)に表示させてもよい。また、制御部7は、例えば、基準位置等を設定(S103,S112)してから所定時間経過後に、警告を表示装置(図示せず)に表示させてもよい。また、制御部7は、例えば、取得したマッピングデータに基づいて基準位置を算出し、設定(S103,S112)した基準位置とマッピングデータに基づいて算出した基準位置との乖離量が所定の閾値を超えた場合、警告を表示装置(図示せず)に表示させてもよい。そして、警告表示を確認した作業者が再設定を実行する操作を行った場合、制御部7は、再設定条件を満たしたと判定してもよい。これにより、作業者に基準位置等の再設定を促すことができ、エラーの発生を抑制することができる。
【0064】
また、制御部7は、例えば、基準位置等を設定(S103,S112)してから所定回数のFOUP5を処理した後、再設定条件を満たしたと判定してもよい。また、制御部7は、例えば、基準位置等を設定(S103,S112)してから所定時間経過後、再設定条件を満たしたと判定してもよい。また、制御部7は、例えば、設定(S103,S112)した基準位置とマッピングデータに基づいて算出した基準位置との乖離量が所定の閾値を超えた場合、再設定条件を満たしたと判定してもよい。これにより、自動で基準位置等の再設定を行うことができ、エラーの発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
W ウエハ(基板)
100 基板処理装置
1 真空搬送室
3 大気搬送室
4 ロードポート
5 FOUP(収容容器)
7 制御部
30 大気搬送装置
31 ピック
32 マッピングセンサ
33 発光部
34 受光部
35 ビーム
36 矢印
41 押圧機構
42 検出部
52 識別子
図1
図2
図3
図4
図5
図6