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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20241217BHJP
   B23Q 1/52 20060101ALI20241217BHJP
   B23Q 1/01 20060101ALI20241217BHJP
   B24B 7/04 20060101ALN20241217BHJP
【FI】
B24B41/06 L
B23Q1/52
B23Q1/01 T
B24B7/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020195922
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084209
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑名 一孝
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-162665(JP,A)
【文献】実開昭58-160749(JP,U)
【文献】特開2007-229904(JP,A)
【文献】特開2018-083252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 41/06
B23Q 1/52
B23Q 1/01
B24B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する加工手段と、被加工物を保持するチャックテーブルを複数配置したターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させ該チャックテーブルを該加工手段の加工位置に位置づける位置づけ手段と、を備える加工装置であって、
加工装置の基台の上面に配置し該ターンテーブルの回転をガイドするガイド部を備え、
該ターンテーブルは、該チャックテーブルを支持する板状の支持テーブルと、隣接する該支持テーブルと該支持テーブルとを連結する連結具と、を備え、
該ガイド部は、環状のガイドレールであって、
該位置づけ手段は、該ターンテーブルに配置される従動プーリと、回転駆動源のモータと、該モータの回転軸に配置する主動プーリと、該主動プーリと該従動プーリとに巻回される無端ベルトと、を備え、
該従動プーリは、該連結具に配置される第1プーリと、該支持テーブルに配置される第2プーリとからなる、
加工装置。
【請求項2】
被加工物を加工する加工手段と、被加工物を保持するチャックテーブルを複数配置したターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させ該チャックテーブルを該加工手段の加工位置に位置づける位置づけ手段と、を備える加工装置であって、
加工装置の基台の上面に配置し該ターンテーブルの回転をガイドするガイド部を備え、
該ターンテーブルは、該チャックテーブルを支持する板状の支持テーブルと、隣接する該支持テーブルと該支持テーブルとを連結する連結具と、を備え
該ガイド部は、環状のガイドレールであって、
該位置づけ手段は、該ターンテーブルに配置される従動ギアと、該従動ギアに噛み合う主動ギアと、該主動ギアを回転させるモータと、を備え、
該従動ギアは、該連結具に配置される第1ギアと、該支持テーブルに配置される第2ギアとからなる、
加工装置。
【請求項3】
被加工物を加工する加工手段と、被加工物を保持するチャックテーブルを複数配置したターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させ該チャックテーブルを該加工手段の加工位置に位置づける位置づけ手段と、を備える加工装置であって、
該ターンテーブルの回転をガイドするガイド部を備え、
該ターンテーブルは、該チャックテーブルを支持する板状の支持テーブルと、隣接する該支持テーブルと該支持テーブルとを連結する連結具と、を備え、
該ターンテーブルは、中央に貫通口を備え、
該ガイド部は、加工装置の基台に配置し該貫通口に進入可能なシャフトと、該シャフトの外壁面と該貫通口の内壁面との間に配置され該ターンテーブルを回転可能に支持するベアリングと、該ターンテーブルの下面を支持する支持部とからなる、
加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に開示のように、被加工物を保持する複数のチャックテーブルが配置されたターンテーブルと、研削砥石を用いて被加工物を研削加工する研削手段とを備える研削装置は、ターンテーブルを回転させることによって、研削砥石が被加工物を研削する研削位置にチャックテーブルを位置づけている。
例えば、特許文献3に開示のような研削装置は、4つの研削手段を配置し、5つのチャックテーブルを配置したターンテーブルを回転させることによって、各々の研削手段の研削位置にチャックテーブルを位置づけている。
ターンテーブルは1枚の円板で形成されており、上記文献に挙げられるような5つのチャックテーブルが配置されるターンテーブルは大きな円板であるためターンテーブルの回転およびその停止動作に大きな回転動力源が必要となる。
【0003】
また、ターンテーブルは基台に配置した少なくとも3つの板状の支持パッドからエアを噴射させ、支持パッドの上面とターンテーブルの下面との間にエア層を形成させることによって非接触で支持パッドがターンテーブルを支持し、回転駆動源がターンテーブルを中心を軸に回転させ、研削手段の研削位置に位置づけることを可能にしている。
そして、研削位置にチャックテーブルが位置づけられたら、支持パッドからのエアの噴出を停止させ、支持パッドの上面にターンテーブルの下面を接触させて支持パッドにターンテーブルを着座させることにより、研削加工による荷重を受けたチャックテーブルの傾きが変化しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-229904号公報
【文献】特開2015-199158号公報
【文献】特開2012-081556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、ターンテーブルが大きくなることによって、回転駆動源が大きくなるとともに、支持パッドの上面に対しターンテーブルの下面の平坦度の精度が作りにくくなるという問題が有る。
したがって、ターンテーブルを回転させることによって研削砥石などの加工具によって被加工物を加工する加工位置にチャックテーブルを位置づける加工装置は、ターンテーブルを軽量化すること、及びターンテーブル及びその支持機構の構成を容易にしてターンテーブルの下面の平坦度の精度の調整を簡便に行うことという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加工装置は、被加工物を加工する加工手段と、被加工物を保持するチャックテーブルを複数配置したターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させ該チャックテーブルを該加工手段の加工位置に位置づける位置づけ手段と、を備える加工装置であって、加工装置の基台の上面に配置し該ターンテーブルの回転をガイドするガイド部を備え、該ターンテーブルは、該チャックテーブルを支持する板状の支持テーブルと、隣接する該支持テーブルと該支持テーブルとを連結する連結具と、を備え、該ガイド部は、環状のガイドレールであって、該位置づけ手段は、該ターンテーブルに配置される従動プーリと、回転駆動源のモータと、該モータの回転軸に配置する主動プーリと、該主動プーリと該従動プーリとに巻回される無端ベルトと、を備え、該従動プーリは、該連結具に配置される第1プーリと、該支持テーブルに配置される第2プーリとからなる。
本発明の他の加工装置は、被加工物を加工する加工手段と、被加工物を保持するチャックテーブルを複数配置したターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させ該チャックテーブルを該加工手段の加工位置に位置づける位置づけ手段と、を備える加工装置であって、加工装置の基台の上面に配置し該ターンテーブルの回転をガイドするガイド部を備え、該ターンテーブルは、該チャックテーブルを支持する板状の支持テーブルと、隣接する該支持テーブルと該支持テーブルとを連結する連結具と、を備え、該ガイド部は、環状のガイドレールであって、該位置づけ手段は、該ターンテーブルに配置される従動ギアと、該従動ギアに噛み合う主動ギアと、該主動ギアを回転させるモータと、を備え、該従動ギアは、該連結具に配置される第1ギアと、該支持テーブルに配置される第2ギアとからなる。
本発明のさらに他の加工装置は、被加工物を加工する加工手段と、被加工物を保持するチャックテーブルを複数配置したターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させ該チャックテーブルを該加工手段の加工位置に位置づける位置づけ手段と、を備える加工装置であって、該ターンテーブルの回転をガイドするガイド部を備え、該ターンテーブルは、該チャックテーブルを支持する板状の支持テーブルと、隣接する該支持テーブルと該支持テーブルとを連結する連結具と、を備え、該ターンテーブルは、中央に貫通口を備え、該ガイド部は、加工装置の基台に配置し該貫通口に進入可能なシャフトと、該シャフトの外壁面と該貫通口の内壁面との間に配置され該ターンテーブルを回転可能に支持するベアリングと、該ターンテーブルの下面を支持する支持部とからなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加工装置では、用いるべきチャックテーブルの個数に応じて支持テーブルの個数や連結具の形状等を変化させて支持テーブルと連結具とを組み合わせることにより、多様な構成のターンテーブルを組み立てることができる。
従って、チャックテーブルの数が多くなるような構成であっても、連結具を用いて支持テーブルを連結してターンテーブルの回転をガイド部によって案内し加工手段の加工位置に位置づけることができるため、ターンテーブルを安価に製造することが可能になる。
また、外周連結具を軽くすることが可能となるため、ターンテーブルの軽量化を図ることができる。
さらには、加工装置の基台がガイド部を備えているため、エアを用いたターンテーブルの回転支持機構を要さず、加工装置を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】加工装置の全体を表す斜視図である。
図2】ターンテーブルの第1例を表す分解斜視図である。
図3】ターンテーブルの第1例を表す斜視図である。
図4】基台の斜視図である。
図5】ターンテーブルの第2例を表す斜視図である。
図6】ターンテーブルの第3例を表す分解斜視図である。
図7】ターンテーブルの第3例を表す斜視図である。
図8】第2基台の斜視図である。
図9】ターンテーブルの第4例を表す分解斜視図である。
図10】ターンテーブルの第4例を表す斜視図である。
図11】第2基台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 加工装置の構成
図1に示す加工装置1は、加工手段3を用いて被加工物17を加工する加工装置である。図1に示すように被加工物17の下面には例えば保護テープ172が貼着されている。保護テープ172は、貼着されていなくてもよい。以下、加工装置1の構成について説明する。
【0010】
加工装置1は、Y軸方向に延設されたベース10とベース10の+Y方向側に立設されたコラム11とを備えている。
ベース10の-Y方向側かつ+X方向側には第1カセット121が載置されており、第1カセット121の-X方向側には第2カセット122が載置されている。
第1カセット121は被加工物17を収納する図示しない複数の棚を備えており、第1カセット121には例えば加工前の複数の被加工物17が収納されている。第2カセット122は、第1カセット121と同様に被加工物17を収納する図示しない複数の棚を備えており、第2カセット122には例えば加工後の被加工物17が収納されることとなる。
【0011】
第1カセット121の+Y方向側には、ロボット129が配設されている。ロボット129の可動域における+X方向側には加工前の被加工物17が仮置きされる仮置き領域124が設けられており、ロボット129の可動域における-X方向側には、加工後の被加工物17を洗浄する洗浄領域128が設けられている。
ロボット129を用いて第1カセット121に収納されている被加工物17を引き出して仮置き領域124に搬送することができる。
また、ロボット129は加工後にスピンナテーブル127に保持されている被加工物17を第2カセット122に収納することもできる。
【0012】
仮置き領域124には位置合わせ手段123が配設されている。第1カセット121から搬出されて仮置き領域124に載置された被加工物17は、位置合わせ手段123によって所定の位置に位置合わせされることとなる。
【0013】
洗浄領域128には、スピンナ洗浄手段126が配設されている。スピンナ洗浄手段126は、被加工物17が保持されるスピンナテーブル127や、スピンナテーブル127に保持された被加工物17に向けて洗浄水を噴出する図示しない洗浄水供給ノズル等を備えている。
例えば、スピンナテーブル127の上面に加工後の被加工物17が保持されている状態で、スピンナテーブル127を回転させながら該洗浄水供給ノズルから洗浄水を供給することにより被加工物17を洗浄することができる。
【0014】
仮置き領域124及び洗浄領域128の+Y方向側には、ターンテーブル5が配設されている。ターンテーブル5は、複数のチャックテーブル2を自転可能に支持しており、また、自身が回転することによりチャックテーブル2を公転させることができる。チャックテーブル2は、吸引部20と、吸引部20を支持する枠体21とを備えている。吸引部20の上面は被加工物17を保持する保持面200である。保持面200には図示しない吸引源が接続されており、該吸引源を作動させることによって生み出された吸引力が保持面200に伝達されることとなる。例えば、保持面200に被加工物17が載置されている状態で該吸引源を作動させることにより、保持面200に被加工物17を吸引保持することができる。
【0015】
仮置き領域124に隣接する位置には搬入出手段125が設けられている。搬入出手段125は、仮置き領域124にて位置合わせ手段123を用いて位置合わせされた被加工物17を2つのチャックテーブル2のうちのいずれかに搬入したり、加工後の被加工物17をチャックテーブル2から搬出したりする機能を有している。
【0016】
コラム11の-Y方向側の側面には、加工手段3を昇降可能に支持する加工送り手段4が配設されている。加工送り手段4は、Z軸方向の回転軸45を有するボールネジ40と、コラム11とボールネジ40とを連結する留め具49と、ボールネジ40に対して平行に配設された一対のガイドレール41と、回転軸45を軸にしてボールネジ40を回転させるZ軸モータ42と、内部のナットがボールネジ40に螺合し側部がガイドレール41に摺接する昇降板43と、昇降板43に連結され加工手段3を支持するホルダ44とを備えている。
【0017】
Z軸モータ42によってボールネジ40が駆動されてボールネジ40が回転軸45を軸にして回転すると、これに伴って昇降板43がガイドレール41に案内されながらZ軸方向に昇降移動するとともに、加工手段3がZ軸方向に昇降移動する構成となっている。
【0018】
加工手段3は、例えばZ軸方向の回転軸35を有するスピンドル30と、回転軸35を軸にしてスピンドル30を回転駆動するスピンドルモータ32と、スピンドル30の下端に接続されたマウント33と、マウント33の下面に着脱可能に装着された研削ホイール34とを備える研削手段である。研削ホイール34は、ホイール基台341とホイール基台341の下面に環状に配列された略直方体状の複数の研削砥石340とを備えている。研削砥石340の下面342は被加工物17の上面170に接触する研削面である。
【0019】
スピンドルモータ32を用いて回転軸35を軸にしてスピンドル30を回転させることにより、スピンドル30に接続されたマウント33及びマウント33の下面に装着された研削ホイール34が一体的に回転することとなる。
【0020】
ターンテーブル5は、図2に示すように、例えば略扇形に形成された板状の3つの支持テーブル50と、隣接する2つの支持テーブル50同士を連結する3つの外周連結具52と、中央連結具54とを備えている。
【0021】
各々の外周連結具52は略円弧状を有しており、薄肉部521の両端に、当該円弧の中心側に向けて突出した厚肉部522が形成された形状となっている。そして、厚肉部522には、上下方向に貫通する一対の外周貫通孔524が形成されている。
【0022】
中央連結具54は例えば環状を有しており、その中央には厚さ方向に貫通する貫通口548が形成されている。
中央連結具54の上面540には、2つの中央ねじ穴542が対になって同一円周上に等しい間隔(図示の例では120度)を空けて3箇所に形成されている。また、中央ねじ穴542は雌ねじを有している。
中央連結具54の下面には、当該下面から上方に向けて円環上に窪んだ形状の中央摺動溝546が形成されている。
【0023】
各々の支持テーブル50の上面500には、円板状のチャックテーブル2が配設されている。なお、図2においては、図1に示した枠体21の図示を省略している。
【0024】
支持テーブル50は、扇型の頂点側の一部が円弧状に切りかかれた内周面を有し、頂点側には、上部が下部よりも頂点側に向けて突出した凸状部分501が形成されており、凸状部分501には厚さ方向に貫通する一対の中央貫通孔502が形成されている。支持テーブル50の中央貫通孔502は例えば中央連結具54の中央ねじ穴542と略同径に形成されている。
【0025】
支持テーブル50の略扇形状の外周部分の周方向両端は部分的に凹んだ、凹状部分503が形成されている。各々の凹状部分503には一対の外周ねじ穴504が形成されている。支持テーブル50の外周ねじ穴504は、例えば外周連結具52の外周貫通孔524と略同径に形成されており、雌ねじを有している。
【0026】
支持テーブル50の下面には、当該下面から上方に向けて円環上に窪んだ形状の外周摺動溝506が形成されている。
【0027】
図3には、支持テーブル50、外周連結具52及び中央連結具54が組み合わされて一体となった様子が示されている。
図3においては、図2に示した支持テーブル50の外周ねじ穴504と外周連結具52の外周貫通孔524とが合致するような水平位置関係で支持テーブル50の凹状部分503の上に外周連結具52の厚肉部522が載置されている状態で、外周ボルト57が外周貫通孔524を貫通して外周ねじ穴504に螺合しており、これによって支持テーブル50と外周連結具52とが連結されている。また、図2に示した中央連結具54の中央ねじ穴542と支持テーブル50の中央貫通孔502とが合致するような水平位置関係で中央連結具54の上に支持テーブル50の凸状部分501が載置されている状態で、中央ボルト58が中央貫通孔502に貫通して中央ねじ穴542に螺合しており、これによって支持テーブル50と中央連結具54とが連結されている。
このようにして支持テーブル50、外周連結具52及び中央連結具54が一体となってターンテーブル5が構成されている。この状態では、外周連結具52の薄肉部521と中央連結部54の外側面との間に空洞部523が形成される。ターンテーブル5の組み立て時には、凹状部分503の上に外周連結部52の厚肉部522を載置し、その状態で外周ボルト57によって支持テーブル50と外周連結具52とが連結されるため、組立が容易である。
【0028】
なお、ターンテーブル5は、3つの支持テーブル50及び3つの外周連結具52を有する構成に限定されない。例えば、2つのチャックテーブル2を備える加工装置1を構成したい場合には、2つの支持テーブル50が2つの外周連結具52によって連結される構成であってもよい。
【0029】
加工装置1においては、被加工物17の加工に際して用いるべきチャックテーブル2の個数に応じて支持テーブル50の数を変えつつ、連結される支持テーブル50の数に応じた形状を有する外周連結具52を用いることにより、多様なターンテーブル5を構成することが可能である。すなわち、支持テーブル50に変形等を加えることなく、外周連結具52のみを交換するだけで、チャックテーブル2の数が異なるターンテーブルを構成することができる。
【0030】
加工装置1は、ターンテーブル5を回転させてチャックテーブル2を加工手段3の下方の水平位置である加工位置に位置づける位置づけ手段としてのプーリ機構60を備えている。
プーリ機構60は、ターンテーブル5に配置される従動プーリ61を備えている。従動プーリ61は、外周連結具52の外側面に円周状に形成された溝である第1プーリ611と支持テーブル50の外側面に円周状に形成された溝である第2プーリ610とから構成されている。
【0031】
また、プーリ機構60は、回転駆動源としてのモータ62と、モータ62に連結された回転軸620と、回転軸620の上端に配置された主動プーリ63と、主動プーリ63と従動プーリ61とに巻回するように設けられた無端ベルト64とを備えている。
【0032】
モータ62を用いて回転軸620を回転させると主動プーリ63が回転するとともに、主動プーリ63の回転力が無端ベルト64によって従動プーリ61に伝達されて従動プーリ61が回転し、これによってターンテーブル5及びターンテーブル5の上に配設されているチャックテーブル2が回転する構成となっている。
【0033】
加工装置1は基台7を備えている。基台7は、中空円筒状の外周基台70と外周基台70に囲繞されるように配置された中央基台72とを備えている。
【0034】
外周基台70の上面には環状の外周ガイドレール71が形成されている。また、中央基台72の上面には環状の中央ガイドレール73が形成されている。外周ガイドレール71と中央ガイドレール73とはターンテーブル5の回転をガイドするガイド部を構成している。
【0035】
加工装置1においては、外周ガイドレール71に図2に示した支持テーブル50の下面に形成された外周摺動溝506が係合するように外周基台70の上に支持テーブル50が載置されるとともに、中央ガイドレール73に中央連結具54の下面に形成された中央摺動溝546が係合するように中央基台72の上に中央連結具54が載置される。これにより、基台7にターンテーブル5が支持された状態となる。この状態で、プーリ機構60を用いてターンテーブル5を回転させることにより、ターンテーブル5は外周ガイドレール71及び中央ガイドレール73にガイドされながら回転することとなる。
なお、ブロックに溝を形成し外周ガイドレールおよび中央ガイドレールに溝が係合するようにしてもよい。つまり、中央連結具の下面にブロックを配置するとともに、支持テーブルの下面にブロックを配置してもよい。
【0036】
図1に示した加工装置1を用いて被加工物17を加工する際の加工装置1の動作について説明する。以下、図1に示すようにターンテーブル5が2つの支持テーブル50を有するものとする。
まずロボット129を用いて第1カセット121に収納された複数の被加工物17のうちの1枚を引き出して仮置き領域124に載置し、位置合わせ手段123を用いて位置合わせを行う。
【0037】
また、プーリ機構60を用いてターンテーブル5を回転させてターンテーブル5に配設されている2つのチャックテーブル2のうちの1つを被加工物17の搬入位置に位置づけておく。
2つのチャックテーブル2のうちの1つが搬入位置に位置づけている状態で、搬入出手段125を用いて仮置き領域124に載置されている被加工物17を搬入位置に位置づけられているチャックテーブル2の保持面200の上に搬入する。次いで保持面200に被加工物17が載置された状態で図示しない吸引源を作動させることにより、生み出された吸引力が保持面200に伝達され、保持面200に被加工物17が吸引保持される。
【0038】
次に、ターンテーブル5を例えば反時計回りに適宜の角度(例えば180度)だけ回転させて、保持面200に被加工物17が保持されているチャックテーブル2を加工手段3の下方に移動させる。これにより、保持面200に被加工物17が保持されているチャックテーブル2が加工位置に位置づけられる。
【0039】
また、チャックテーブル2に接続された図示しない回転手段を用いてチャックテーブル2の保持面200に保持された被加工物17を回転させるとともにスピンドルモータ32を用いて研削砥石340を回転させておく。
【0040】
保持面200に保持された被加工物17と研削砥石340とが回転している状態で、加工送り手段4を用いて研削砥石340を-Z方向に下降させる。これにより、研削砥石340の下面342が被加工物17の上面170に接触する。
研削砥石340の下面342が被加工物17の上面170に接触している状態で、加工送り手段4を用いて研削砥石340をさらに-Z方向に下降させていくことにより、被加工物17が研削加工される。
被加工物17の研削加工中には、図示しない厚み測定手段を用いた被加工物17の厚みの測定が行われる。被加工物17が所定の厚みに研削加工されたら、被加工物17の研削加工を終了する。
【0041】
被加工物17の研削加工の終了後、加工送り手段4を用いて研削砥石340を+Z方向に上昇させて研削砥石340を被加工物17の上面170から離間させる。
【0042】
そして、ターンテーブル5を例えば反時計回りに180度だけ回転させて研削加工後の被加工物17が保持されたチャックテーブル2を搬出領域(搬入領域と同じ)に位置づける。
【0043】
研削加工後の被加工物17が保持されたチャックテーブル2が搬出領域に位置づけられている状態で、搬入出手段125を用いて保持面200からスピンナテーブル127の上に被加工物17を搬出する。
【0044】
そして、被加工物17がスピンナテーブル127に保持されている状態で、スピンナテーブル127を回転させながら図示しない洗浄水供給ノズルから洗浄水を噴射することにより、被加工物17の上面170を流水洗浄する。
【0045】
被加工物17の上面170の流水洗浄後、ロボット129を用いて被加工物17を第2カセット122に収納する。
【0046】
従来の加工装置においてはエアを用いてターンテーブルを非接触で支持していたが、エアによる支持では、ターンテーブルが水平面に対して平坦になるような調整を行うのが容易ではなかった。
これに対して、加工装置1においては、図3に示した基台7が外周ガイドレール71と中央ガイドレール73とを備えており、各々のガイドレールにターンテーブル5を支持させることができるため、ターンテーブル5の平坦度の調整を、支持テーブル50、外周連結具52及び中央連結具54を組み合わせてターンテーブル5を構成する際に行うことができ好適である。
また、ターンテーブル5の回転をガイド部によって案内し被加工物17が保持されたチャックテーブル2を加工手段3の加工位置に位置づけることができるため、ターンテーブル5を安価に製造することが可能である。
【0047】
また、図2に示した外周連結具52が円弧状を有しており、外周連結具52の薄肉部521と中央連結部54の外側面との間に空洞部523が形成されるため、ターンテーブル5の軽量化を図ることができる。
【0048】
加工装置1は、位置づけ手段として図3に示したプーリ機構60にかえて図5に示すようなギア機構65を備えていてもよい。
ギア機構65はターンテーブル5に配置される従動ギア66を備えており、従動ギア66は外周連結具52の外側面に配置された第1ギア661と支持テーブル50の外側面に配置された第2ギア660とからなっている。
また、ギア機構65は、従動ギア66に噛み合う主動ギア68と、主動ギア68に連結された回転軸670と、回転軸670に連結され主動ギア68を回転させるモータ67と、を備えている。
ギア機構65においては、モータ67を用いて主動ギア68を回転させることにより、主動ギア68に噛み合っている従動ギア66が回転し、これによってターンテーブル5を回転することとなる。
【0049】
ギア機構65はプーリ機構60に比べて組み立てが容易であるというメリットがある。その一方で、プーリ機構60を用いれば、ギア機構65を用いる場合に生じるバックラッシュにより停止位置の修正の時間を要さないため回転動作開始から停止するまでの時間短縮を図ることができる。
【0050】
上記のガイド部は、図4に示したような外周基台70の上面に形成された外周ガイドレール71と中央基台72の上面に形成された中央ガイドレール73とを備えるものに代えて、図6に示すような中心部に表裏を貫通する貫通孔841を備えた環状のベアリング84を備えるものであってもよい。
ベアリング84は、図7に示すように中央連結具54の中央に形成された貫通口548の内壁面に沿うように配置される。この構成においては、加工装置1は図4に示した基台7にかえて図8に示すような第2基台8を備える。ここで、第2基台8はターンテーブル5の下面を支持する支持部としての役割を有している。
第2基台8は中空円筒状の外周基台80と外周基台80に囲繞された中央基台82とを有しており、中央基台82には例えば円柱状のシャフト88が立設されている。シャフト88は、図7に示されているベアリング84の貫通孔841に嵌合可能な外径を有している。
【0051】
図8に示したシャフト88が図7に示したベアリング84の貫通孔841を貫通するような水平位置関係でターンテーブル5を第2基台8の上に載置することにより、シャフト88の外壁面884と中央連結具54の貫通口548の内壁面との間にベアリング84が配置される。これにより、第2基台8の上にてベアリング84にターンテーブル5を回転可能に支持させることができる。
【0052】
また、この構成におけるターンテーブル5は、図2に示した中央連結具54にかえて図9に示すような円筒連結具86を備えるものであってもよい。円筒連結具86は中空円筒状を有しており、その上面860には、2つの中央ねじ穴862が対になって同一円周上に等しい間隔(図示の例では120度)を空けて3箇所に形成されている。また、中央ねじ穴862は雌ねじを有している。
【0053】
図10においては、図9に示した各々の中央ねじ穴862と支持テーブル50の中央貫通孔502とが合致している状態で中央ボルト58が中央貫通孔502を貫通して中央ねじ穴862に螺合することにより、支持テーブル50と円筒連結具86とが連結されている様子が示されている。
【0054】
また、図11に示すように円筒連結具86の外側面の下端には円周状の溝が形成されており、円筒連結具86の外側面の下部は従動プーリ864を構成している。そして、第2基台8の外部には主動プーリ93と、主動プーリ93の上部に連結された回転軸920と、回転軸920に連結された回転駆動源としてのモータ92とが配設されている。さらに、主動プーリ93と従動プーリ864とを巻回する無端ベルト94が、第2基台8の外周基台80に形成された連絡窓809を通じて外周基台80の内外に跨るようにして配設されており、主動プーリ93と従動プーリ864とを連結している。
【0055】
さらに、円筒連結具86の中央には図9に示すように貫通口868が形成されている。貫通口868の内壁面には、図10に示すようにベアリング84が配置され、図11に示すように、例えば円柱状のシャフト88がベアリング84の貫通孔841を貫通している。すなわち、ベアリング84はシャフト88の外壁面884と貫通口868の内壁面との間に配置されている。
シャフト88、ベアリング84及び円筒連結具86が一体となっている状態で、支持テーブル50、外周連結具52及び円筒連結具86を連結させることにより、第2基台8の上にてターンテーブル5をベアリング84に回転可能に支持させることができる。
【0056】
なお、図2に示した支持テーブル50の外側面は円弧状ではなく直線状に形成されており、支持テーブル50が矩形状であってもよい。この構成では例えば外周連結具52の外側面のみが無端ベルト64に接触して従動プーリとして機能し、主動プーリ63の回転力を受けることとなる。
【0057】
また、外周連結具52と中央連結具54との間に空洞部523が形成されていることは必須ではなく、例えば外周連結具52が底板又は上板を有し、隣り合う外周連結具52の間が塞がれる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:加工装置 10:ベース 11:コラム
17:被加工物170:上面172:保護テープ
2:チャックテーブル 20:吸引部 200:保持面 21:枠体
3:加工手段30:スピンドル
32:スピンドルモータ 33:マウント 34:研削ホイール
35:回転軸 340:研削砥石 341:ホイール基台 342:下面
35:回転軸
4:加工送り手段 40:ボールネジ 41:ガイドレール 42:Z軸モータ
43:昇降板 44:ホルダ 45:回転軸 49:留め具
5:ターンテーブル 50:支持テーブル 52:外周連結具 54:中央連結具
57:外周ボルト 58:中央ボルト 500:上面
501:凸状部分 502:中央貫通孔 503:凹状部分 504:外周ねじ穴
506:外周摺動溝 521:薄肉部 522:厚肉部 523:空洞部
524:外周貫通孔 540:上面 542:中央ねじ穴
546:中央摺動溝 548:貫通口
60:プーリ機構 61:従動プーリ 62:モータ 63:主動プーリ
64:無端ベルト 65:ギア機構 66:従動ギア 67:モータ 68:主動ギア
610:第1プーリ 611:第2プーリ 620:回転軸 660:第2ギア
661:第1ギア 670:回転軸
7:基台 70:外周基台 71:外周ガイドレール 72:中央基台
73:中央ガイドレール 74:搬入出手段
8:第2基台 80:外周基台 82:中央基台 84:ベアリング 841:貫通孔
86:円筒連結具 88:シャフト 809:連絡窓 860:上面
862:中央ねじ穴 864:従動プーリ 868:貫通口 884:外壁面
92:モータ 93:主動プーリ 94:無端ベルト 920:回転軸
121:第1カセット 122:第2カセット 123:位置合わせ手段
124:仮置き領域 126:スピンナ洗浄手段 127:スピンナテーブル
128:洗浄領域 129:ロボット
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11