(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】注射の状態の決定
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20241217BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
A61M5/315 550J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101321
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2020534546の分割
【原出願日】2018-12-18
【審査請求日】2023-06-21
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008031795(DE,A1)
【文献】特開昭47-28850(JP,A)
【文献】特開2010-88564(JP,A)
【文献】実開昭57-39314(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイス(102)であって:
ハウジング(203)と;
ハウジング(203)に対して回転するように構成され、複数のウィーガントワイヤ(224、226)を含む、回転可能な構成要素(212)
であって、複数のウィーガントワイヤ(224、226)が、回転可能な構成要素(212)の周辺部の周囲に等距離に配置されている、回転可能な構成要素(212)と;
回転可能な構成要素(212)の複数のウィーガントワイヤ(224、226)がハウジング(203)に対して回転するとき
に電圧パルスを発生するように構成されているコイル(406a、406b)を含むウィーガントセンサ(304、306)
であって、ウィーガントセンサ(304、306)が電圧パルスを発生するときにハウジングに対して動かず、電圧パルスはハウジング(203)に対する回転可能な構成要素(212)の回転位置の増分を示す、ウィーガントセンサと;
を含む前記医療用デバイス。
【請求項2】
医療用デバイスはポンプである、請求項1に記載の医療用デバイス(102)。
【請求項3】
回転可能な構成要素(212)はハウジング(203)に回転可能に取付けられている、請求項1または2に記載の医療用デバイス(102)。
【請求項4】
ウィーガントセンサ(304、306)は、ウィーガントセンサ(304、306)のコイル(406a、406b)内の電圧の変化を感知することにより電圧パルスを検出するように構成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の医療用デバイス(102)。
【請求項5】
ウィーガントセンサ(304、306)は、コイル(406a、406b)がウィーガントセンサ(304、306)の1つ以上の磁石(402a、404a)により発生する磁場にさらされている間に電圧パルスを発生するように構成されている、請求項
4に記載の医療用デバイス(102)。
【請求項6】
ウィーガントセンサ(304、306)は、回転可能な構成要素(212)がウィーガントセンサ(304、306)の第1の磁石に近い第1の位置からウィーガントセンサ(304、306)の第2の磁石に近い第2の位置まで回転するときに、電圧パルスを発生するように構成されている、請求項1~
4のいずれか1項に記載の医療用デバイス(102)。
【請求項7】
回転可能な構成要素(212)の回転位置を電圧パルスに基づいて判定するように構成されているプロセッサ(308)をさらに含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の医療用デバイス(102)。
【請求項8】
プロセッサ(308)は、電圧パルスのシグナルをプロセッサ(308)が受信した時間に基づいて、回転可能な構成要素(212)の回転位置を判定するように構成されている、請求項
7に記載の医療用デバイス(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注射の状態を決定することに関し、より詳細には、注射デバイスによって投与された薬剤の注射の状態を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射によってさまざまな疾患を治療することができる。かかる注射は、注射デバイスを使用して実行することができ、注射デバイスは、医療従事者によってまたは患者自身によって適用される。一例として、患者自身によるインスリン用量の注射によって、たとえば、1日1回または数回の注射によって、I型およびII型糖尿病を治療することができる。たとえば、使い捨ての充填済みインスリンペンまたは自動注射器を注射デバイスとして使用することができる。あるいは、再使用可能なペンまたは自動注射器を使用することもできる。使い捨てのまたは再使用可能なペンまたは自動注射器では、空の薬剤カートリッジを新しい薬剤カートリッジに取り換えることができる。いずれのタイプのペンまたは自動注射器にも、使用する毎に事前に取り換える使い捨ての一組の針が付属している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様において、電子デバイスは、注射デバイスに取り付けるためのハウジングと、第1のセンサアセンブリとを含む。第1のセンサアセンブリは、第1のコイルおよび反対の極性の2つの磁石を含む。第1のコイルは、第1のセンサアセンブリの一方の磁石に近い第1の位置から第1のセンサアセンブリの他方の磁石に近い第2の位置に注射デバイスの第1のウィーガントワイヤが移動したときに第1の電圧パルスを提供するように構成されている。この電子デバイスはさらに、第1のコイルから第1の電圧パルスを受信した後にスリープ状態から使用可能状態に入るように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサを含む。
【0004】
実施態様は、以下の構成のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0005】
いくつかの実施態様において、1つまたはそれ以上のプロセッサは、1つまたはそれ以上のプロセッサがスリープ状態にあるときに電力を消費しない。
【0006】
いくつかの実施態様において、1つまたはそれ以上のプロセッサは、1つまたはそれ以上のプロセッサが使用可能状態にあるときにデータを処理するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施態様において、1つまたはそれ以上のプロセッサは、第1のコイルから第1の電圧パルスを受信するように構成されている。第1の電圧パルスの受信時刻は、注射デバイスによる薬剤の注射の開始時刻を示す。
【0008】
いくつかの実施態様において、この電子デバイスは、第2のコイルおよび反対の極性の2つの磁石を含む第2のセンサアセンブリを含む。第2のコイルは、第2のセンサアセンブリの一方の磁石に近い第1の位置から第2のセンサアセンブリの他方の磁石に向かう第2の位置に注射デバイスの第2のウィーガントワイヤが移動したときに、第2の電圧パルスを提供するように構成されている。1つまたはそれ以上のプロセッサは、第2のコイルから第2の電圧パルスを受信するように構成されている。第2の電圧パルスの受信時刻は注射の終了時刻を示す。
【0009】
いくつかの実施態様において、第1のウィーガントワイヤおよび第2のウィーガントワイヤはそれぞれ外殻および内核を含む。外殻の保磁力は内核の保磁力よりも大きい。
【0010】
いくつかの実施態様において、第1の電圧パルスおよび第2の電圧パルスはそれぞれ、所定のしきい値を満たす大きさを有する。
【0011】
いくつかの実施態様において、第1のウィーガントワイヤは、注射デバイスのニードルシールドに固定されており、第2のウィーガントワイヤは、注射デバイスの駆動機構に固定されている。
【0012】
いくつかの実施態様において、第1のセンサアセンブリは、ニードルシールドの近くに位置し、第2のセンサアセンブリは、駆動機構の近くに位置する。
【0013】
いくつかの実施態様において、第1の電圧パルスは、ニードルシールドが伸長位置から後退位置に移動するときに提供され、第2の電圧パルスは、駆動機構が実質的に伸長したときに提供される。
【0014】
いくつかの実施態様において、第1の電圧パルスの受信時刻と第2の電圧パルスの受信時刻のうちの一方または両方の受信時刻は、1つまたはそれ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶される。
【0015】
いくつかの実施態様において、1つまたはそれ以上の非一時的コンピュータ可読媒体は、連続電源なしでデータを記憶するように構成された不揮発性メモリを含む。
【0016】
いくつかの実施態様において、メモリは、強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM)である。
【0017】
いくつかの実施態様において、1つまたはそれ以上のプロセッサは、第1の電圧パルスの受信時刻と第2の電圧パルスの受信時刻のうちの一方または両方の受信時刻をコンピューティングデバイスに送信するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施態様において、第1の信号の受信時刻と第2の信号の受信時刻のうちの一方または両方の受信時刻は、無線で送信される。
【0019】
いくつかの実施態様において、第1の信号の受信時刻と第2の信号の受信時刻のうちの一方または両方の受信時刻は、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェースを介して送信される。
【0020】
いくつかの実施態様において、ハウジングは、スリーブ形であり、注射デバイスの外ハウジングを取り囲んで取外し可能に取り付けるように構成されている。
【0021】
別の態様において、システムは、ニードルシールドを含む注射デバイスを含む。ニードルシールドにウィーガントワイヤが固定されている。このシステムはさらに、注射デバイスに取り付けるための電子デバイスを含む。電子デバイスは、コイルおよび反対の極性の2つの磁石を含むセンサアセンブリを含む。コイルは、一方の磁石に近い第1の位置から他方の磁石に近い第2の位置にウィーガントワイヤが移動したときに電圧パルスを提供するように構成されている。電子デバイスはさらに、コイルから電圧パルスを受信した後にスリープ状態から使用可能状態に入るように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサを含む。
【0022】
別の態様において、システムは、投薬量ノブと、投薬量ノブの周辺部の周囲に位置する複数のウィーガントワイヤとを含む可変用量注射デバイスを含む。それぞれのウィーガントワイヤは、可変用量注射デバイスによって注射される薬剤の投薬量の増分に対応する。このシステムはさらに、可変用量注射デバイスに取り付けるように構成された電子デバイスを含む。電子デバイスは、コイルおよび反対の極性の2つの磁石を含むセンサアセンブリを含む。コイルは、一方の磁石に近い第1の位置から他方の磁石に近い第2の位置に移動する複数のそれぞれのウィーガントワイヤに関して電圧パルスを提供するように構成されている。電子デバイスはさらに、電圧パルスを受信し、電圧パルスを受信するたびにカウンタを増分させるように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサを含む。カウンタによって記憶された値は、可変用量注射デバイスによって注射される薬剤の投薬量に対応する。
【0023】
別の態様において、方法は、注射デバイスのウィーガントワイヤが第1の位置から第2の位置に移動したときに、注射デバイスに取り付けるように構成された電子デバイスによって、センサアセンブリのコイルから電圧パルスを受信することを含む。第1の位置は、センサアセンブリに対応する1つの磁石の近くにあり、第2の位置は、センサアセンブリに対応する別の磁石の近くにある。これらの磁石は反対の極性を有する。この方法はさらに、コイルから電圧パルスを受信した後に、電子デバイスによって、スリープ状態から使用可能状態に入ることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】注射デバイスを起動させるためおよび/または薬剤の注射の状態を決定するためのシステムの例を示す図である。
【
図3】
図1および2のアドオンデバイスの例を示す図である。
【
図4】アドオンデバイスの第1のセンサアセンブリおよび第2のセンサアセンブリのブロック図の例を示す図である。
【
図5】
図5A~Dは、第1のセンサアセンブリに対する注射デバイスの第1のウィーガントワイヤのさまざまな位置を示す図である。
【
図6】
図6A~Cは、第2のセンサアセンブリに対する注射デバイスの第2のウィーガントワイヤのさまざまな位置を示す図である。
【
図7】薬剤の注射の状態を決定する例示的なプロセスの流れ図である。
【
図8】例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
各種図面の同様の参照符号は同様の要素を指示する。
【0026】
本明細書には、とりわけ注射の開始時刻、注射の終了時刻および注射の保持時刻などの、薬剤注射に関係した事象を識別するように構成された薬物送達デバイスが記載されている。この薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの構成要素に固定され、かつ/または薬物送達デバイスの構成要素に組み込まれたウィーガントワイヤとの相互作用に基づいて、かかる事象を識別するように構成されたさまざまな構成要素および電子回路を含むアドオンデバイスを含むことができる。ウィーガントワイヤは、外殻および内核を含み、外殻の保磁力が内核の保磁力よりも大きい(たとえば、かなり大きい)ようなワイヤである。ウィーガントワイヤは、磁気しきい値に達したとき(たとえば、アドオンデバイスの磁石に対する特定の位置にウィーガントワイヤが位置するとき)にアドオンデバイスのコイル内に電圧パルス/スパイクを発生させる比較的に大きな磁気ヒステリシスを示す。
【0027】
いくつかの実施態様では、この電圧パルスが、アドオンデバイスをウェイクアップさせる(たとえば、スリープ状態から「ウェイクアップさせて」使用可能状態にする)ことが
できる。たとえば、最初は、アドオンデバイスを、アドオンデバイスがほとんどまたは全く電力を消費しないスリープ状態に置くことができる。電圧パルスを受信した後、アドオンデバイスは、1つまたはそれ以上の電気構成要素(たとえば、アドオンデバイスのセンサ、別個のセンサなど)からのデータおよび/または信号を電子回路が処理することができる状態にアドオンデバイスの電子回路が入るように、ウェイクアップすることができる。
【0028】
いくつかの実施態様では、薬物送達デバイスのニードルシールドが第1のウィーガントワイヤを含むことができ、さまざまな時点において第1のウィーガントワイヤの位置(したがってニードルシールドの位置)を決定するように、アドオンデバイスを構成することができる。第1の時刻におけるニードルシールドの決定された位置を使用して、注射の開始時刻を決定することができ、第2の時刻におけるニードルシールドの決定された位置を使用して、注射の保持時刻を決定することができる。同様に、薬物送達デバイスの駆動機構は第2のウィーガントワイヤを含むことができ、さまざまな時点において第2のウィーガントワイヤの位置(したがって駆動機構の位置)を決定するように、アドオンデバイスを構成することができる。第3の時点における駆動機構の決定された位置を使用して、注射の終了時刻を決定することができる。
【0029】
本明細書に記載された主題は主に、使い捨てのまたは再使用可能な注射デバイスなどの注射デバイス(たとえば、インスリン注射デバイス)のような薬物送達デバイスに関して説明される。しかしながら、本明細書に記載されたシステムおよび技法は、かかる用途だけに限定されるものではなく、他の薬剤を放出する注射デバイスまたは他のタイプの医療用デバイス(たとえば、ポンプ)とともに等しく都合よく展開することができる。言い換えると、本明細書に記載されたシステムおよび技法を使用して、他のデバイスの電子回路を使用可能にすること、および/または他のデバイスによる注射に関する情報が記録されるようにすることができる。
【0030】
「薬物送達デバイス」という用語は、ヒトまたは動物の体に1つの体積の薬物を投薬するように構成された任意のタイプのデバイスまたはシステムを包含する。この体積は通常、約0.5mlから約10mlの範囲とすることができる。限定はされないが、薬物送達デバイスとしては、シリンジ、針安全システム、ペン注射器、自動注射器、大容積デバイス(LVD)、ポンプ、灌流システム、または薬物の皮下、筋肉内もしくは血管内送達のために構成された他のデバイスを挙げることができる。かかるデバイスはしばしば針を含み、針は、(たとえば、約24ゲージよりも大きな、27、29または31ゲージを含む)小ゲージ針を含むことができる。
【0031】
特定の薬物との組合せにおいて、ここで説明しているデバイスを、必要なパラメータ内で動作するように、たとえば、ある期間(たとえば、注射器については約3から約20秒、LVDについては約5分から約60分)内で、または低レベルもしくは最低レベルの不快感で、または人的要因、貯蔵寿命、期間満了、生体適合性、環境考慮事項などに関係するある種の条件の範囲内で動作するように、カスタマイズすることもできる。かかる変動は、たとえば、薬物が約3cPから約50cPの範囲の粘度を有することなど、さまざまな因子に起因しうる。
【0032】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスとともに使用するように適用された1次パッケージまたは「薬物容器」に収容することができる。薬物容器は、たとえば、薬学的に活性な1つまたはそれ以上の化合物を貯蔵(たとえば、短期または長期貯蔵)するための適当なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバまたは他の容器とすることができる。たとえば、いくつかの事例では、少なくとも1日(たとえば、1日から少なくとも30日)の間、薬物を貯蔵するように、チャンバを設計することができる
。いくつかの事例では、1ヵ月から約2年の間、薬物を貯蔵するように、チャンバを設計することができる。貯蔵は、室温(たとえば、約20℃)または冷温(たとえば、約-4℃から約4℃)で行うことができる。いくつかの事例では、薬物容器を、薬物製剤の2つ以上の成分(たとえば、薬物と希釈剤または2つの異なるタイプの薬物)をそれぞれのチャンバに1つずつ別々に貯蔵するように構成された2チャンバカートリッジとすることができ、または薬物容器がかかる2チャンバカートリッジを含むことができる。かかる事例では、ヒトまたは動物の体への投薬前および/または投薬中に薬物または薬剤の2つ以上の成分を混合することを可能にするように、2チャンバカートリッジの2つのチャンバを構成することができる。たとえば、2つのチャンバが(たとえば、2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通するように、および投薬前の使用者が希望しているときに2つの成分を混合することを可能にするように、2つのチャンバを構成することができる。その代わりに、またはそれに加えて、ヒトまたは動物の体に成分が投薬されているときに混合することを可能にするように、2つのチャンバを構成することもできる。
【0033】
図1は、注射デバイスをウェイクアップさせるためおよび/または薬剤の注射の状態を決定するためのシステム100の例である。システム100は、注射デバイス102と、注射デバイス102に取外し可能に取り付けることができるアドオンデバイス104とを含む。注射デバイス102は、薬剤を保持し、薬剤を患者に投薬するように構成された、使い捨てのまたは再使用可能な充填済み注射ペンとすることができる。アドオンデバイス104は電子デバイス(たとえば、コンピューティングデバイス)とすることができる。システム100は、たとえば、注射デバイス102によって投与されたインスリン注射の状態を、アドオンデバイス104を使用して決定する目的に使用することができる。状態情報は、注射の開始時刻、注射の終了時刻、注射の保持時刻などを含むことができる。この開始時刻、終了時刻および/また保持時刻に基づいて、とりわけ注射の継続時間などの追加の状態情報を決定することができる。かかる状態情報を使用して、注射デバイス102によって提供された1つまたはそれ以上の注射の履歴を記録することができる。
【0034】
一般に、注射デバイス102は、薬剤の選択された投薬量の選択および患者への投薬を可能にする。注射デバイス102にアドオンデバイス104が取り付けられた状態で、薬剤の投薬量を投与することができる。アドオンデバイス104は、アドオンデバイス104の構成要素と注射デバイス102の構成要素との間の相互作用に基づいて、注射デバイス102のさまざまな事象および/または状態ならびにそれらの事象/状態が生じた対応する時刻を識別するように構成されている。たとえば、注射デバイス102のニードルシールド(
図2の220)が後退した時刻を識別することによって注射の開始時刻を決定するように、アドオンデバイス104を構成することができ(ニードルシールドの後退は、たとえば、注射デバイス102が患者の皮膚に押し当てられたことまたは押し当てられている最中であることを意味する);注射デバイス102の駆動機構(
図2の206)が実質的に伸ばされた時刻を識別することによって注射の終了時刻を決定するように、アドオンデバイス104を構成することができ(駆動機構が実質的に伸ばされたことは、たとえば、薬剤が実質的に放出されたことを意味する);注射デバイス102のニードルシールド220が伸長する時刻を識別することによって注射の保持時刻を決定するように、アドオンデバイス104を構成することができる(ニードルシールドの伸長は、たとえば、患者の皮膚から注射デバイス102が除去されたことまたは除去されている最中であることを意味する)。
【0035】
図2は、
図1の注射デバイス102の例の分解図である。注射デバイス102は、使い捨てのまたは再使用可能な充填済み注射ペンとすることができ。注射デバイス102はハウジング203およびカートリッジ204を含む。カートリッジ204は、(たとえば、流体の形態の)1つの体積の薬剤を保持するように構成されている。いくつかの実施態様では、カートリッジ204が、インスリン容器などの薬剤容器である。いくつかの実施態
様では、カートリッジ204の一部分が、注射デバイス102のハウジング203内および/またはカートリッジハウジング205内に位置することができ、したがって直には見えないことがある。
【0036】
注射デバイス102は、カートリッジ204から薬剤を放出させるように構成された駆動機構206を含む。駆動機構206は、カートリッジ204およびピストン208(たとえば、プランジャアーム)の中に移動可能に配置されたストッパ(stopper)207を含む。ピストン208は、カートリッジ204の遠位端からカートリッジ204の近位端に向かってストッパ207を移動させ、それによりカートリッジ204の近位端を通して流体が投薬されるようにするように構成されている。注射デバイス102はさらに、カートリッジ204の近位端に配置されたニードルアセンブリ215を含む。ニードルアセンブリ215は、そこを通して流体が投薬される開口部を含む。投薬されるときに流体が開口部および針209を通って移動するように、ニードルアセンブリ215の開口部の近くに針209を固定することができる。ニードルアセンブリ215に針209を螺着することができるように、いくつかの実施態様では、ニードルアセンブリ215および/または針209にねじが切られている。カートリッジ204にニードルアセンブリ215を螺着することができるように、いくつかの実施態様では、カートリッジ204にねじが切られている。
【0037】
不注意による針209との接触を防ぐニードルシールド220によって針209を保護することができる。ニードルシールド220は、注射デバイス102の長さに沿ってハウジング203内に位置する管形の構造体である。伸長位置と後退位置との間で移動するようにニードルシールド220を構成することができる。
図2に示された例では、ニードルシールド220が、不注意による針209との接触を最小限に抑えかつ/または防ぐための伸長位置にある。ニードルシールド220は通常、デフォルトで(たとえば、ニードルシールド220に圧力が加えられていない状態で)、伸長位置に留まるように構成されている。ニードルシールド220は、注射デバイス102(および、たとえば、特にニードルシールド220)が患者の皮膚に押し当てられ、患者の皮膚に向かって圧力が加えられたときに、伸長位置から後退位置に向かって移動し、それにより針209を患者の皮膚に挿入させるように構成されている。いくつかの実施態様では、圧力が加えられたときに注射デバイス102のハウジング203の中へニードルシールド220が後退することを可能にする伸縮自在の構成を、ニードルシールド220が有することができる。
【0038】
投薬量ノブ212を回すことにより、注射デバイス102から放出される(たとえば、インスリン用量などの)薬剤用量を選択することができ、投薬量窓213により、選択した用量を表示することができる。いくつかの例では、投薬量窓213が、電子式表示装置などの表示装置である。いくつかの例では、選択した用量を国際単位(IU)の倍数で表示することができ、1IUは、純粋な結晶インスリンなどの薬剤、約45.5マイクログラム(たとえば、1/22mg)の生物学的当量である。投薬量窓213に表示される選択した用量の例は、
図2に示されているように、たとえば、30IUとすることができる。いくつかの例では、選択した用量を、異なる方式で、たとえば、非電子式表示装置によって表示することができる。いくつかの例では、投薬量窓213が、選択した投薬量をそこを通してまたはその上で見ることができる注射デバイス102のセクションに関係する。
【0039】
投薬量ノブ212を回すと、使用者への音響フィードバックを提供する機械的クリック音が鳴るようにすることができる。投薬量窓213に表示される数字は、ハウジング203に含まれるスリーブ上に印刷されており、スリーブは、駆動機構206と機械的に相互作用する。患者の皮膚部分に針209が挿入され、次いで注射ボタン211が押されると、注射デバイス102から薬剤が放出される。用量の放出によっても機械的クリック音が
鳴るようにすることができる。かかる機械的クリック音は、投薬量ノブ212が回されたときに生じる音とは異なる音とすることができる。
【0040】
カートリッジ204が空になるまで、または注射デバイス102の使用期限(たとえば、最初に使用してから28日)に達するまで、注射デバイス102を使用して、複数回の注射プロセスを実行することができる。いくつかの例では、注射デバイス102を最初に使用する前に、カートリッジ204および針209から空気を除くため、たとえば、2単位の薬剤を選択し、針209を上に向けて注射デバイス102を保持したまま注射ボタン311を押すことによって、「プライムショット」を実行する必要があることがある。
【0041】
注射デバイス102は、アドオンデバイス104と相互作用するように構成された注射デバイス102の対応するそれぞれの構成要素に固定され、かつ/または組み込まれた、1つまたはそれ以上の構成要素を含むことができる。たとえば、アドオンデバイス104と無線通信するように、および/またはアドオンデバイス104に無線信号を提供するように、この1つまたはそれ以上の構成要素を構成することができ、また、スリープ状態からウェイクアップして使用可能状態になるように、および/または無線信号の特性に基づいて注射デバイス102の対応するそれぞれの構成要素の位置を決定するように、アドオンデバイス104を構成することができる。
【0042】
図2に示された例では、第1のウィーガントワイヤ224が、ニードルシールド220上に提供されており(たとえば、ニードルシールド220に固定されており)、第2のウィーガントワイヤ226が、駆動機構206、特に駆動機構のピストン208上に提供されている(たとえば、駆動機構206、特に駆動機構のピストン208に固定されている)。ウィーガントワイヤ224、226はそれぞれ外殻および内核を含む。外殻の保磁力は、内核の保磁力よりも大きい(たとえば、かなり大きい)。そのため、ウィーガントワイヤ224、226は比較的に大きな磁気ヒステリシスを示す。ウィーガントワイヤ224、226に磁石を近づけると、特定の磁気しきい値に達するまで、高保磁力の外殻は、低保磁力の内核からの磁場をかなり排除する。磁気しきい値に達すると、ウィーガントワイヤ224、226の全体の磁化極性が急速に切り換わる。この現象はときにウィーガント効果と呼ばれる。
【0043】
内核の磁化極性が切り換わり、一方で、外殻の磁化極性が同じままであるときには、近くのコイル(たとえば、センサコイル)内に電圧スパイク(たとえば、いくつかの例では比較的に大きな電圧スパイク)が誘導される。誘導される電圧の大きさは切り換わり速度に比例する。ウィーガントワイヤ224、226の切り換わり速度は、比較的に小さい磁気ヒステリシスを有するワイヤで得られるであろう切り換わり速度に比べて比較的に高速(たとえば、数マイクロ秒)であるため、誘導される電圧スパイクは比較的に大きくなり、電子的により簡単に検出することができる。ウィーガントワイヤ224、226の全体(たとえば、内核と外殻の両方)の磁化極性が切り換わると、(たとえば、磁気しきい値を満たす反対極性の磁場を導入することによって)ウィーガントワイヤ224、226が反対方向に切り換えられるまで、ウィーガントワイヤ224、226はその極性を保持する。内核の磁化極性が再び切り換わると、近くのコイルに第2の電圧スパイクが誘導される。第2の電圧スパイクは、第1の電圧スパイクの極性とは反対の極性を有しうる。
【0044】
図2に示された例では、ウィーガントワイヤ224、226がそれぞれ、注射デバイス102の可動構成要素上に位置する。注射デバイス102の対応する構成要素の移動により、対応するそれぞれのウィーガントワイヤ224、226が第1の極性の磁場から第2の極性の磁場に移行し、それにより対応するコイル内に電圧スパイクを誘導するように、それぞれのウィーガントワイヤ224、226について、センサコイルおよび反対の極性の磁石を、対応するそれぞれのウィーガントワイヤ224、226に対して固定された位
置に配置することができる。そのため、電圧スパイクが発生した時刻に基づいて、注射デバイスの対応する構成要素の位置を推測することができる。これについては後により詳細に説明する。いくつかの実施態様では、このセンサコイルおよび磁石を、アドオンデバイス104に組み込むことができる。
【0045】
図3は、
図1および2のアドオンデバイス104の例を示す。アドオンデバイス104は、注射デバイス102に取り付ける(たとえば、取外し可能に取り付ける)ように構成されたハウジング302を含む。いくつかの実施態様では、アドオンデバイス104が、注射デバイス102の長さに沿って摺動し、注射デバイス102のハウジング203を取り囲んで所定の位置に固定されるように構成されたスリーブの形状(たとえば、円筒の形状)を有する。
【0046】
アドオンデバイス104は、第1のセンサアセンブリ304、第2のセンサアセンブリ306およびマイクロコントローラ308を含み、マイクロコントローラ308は、1つまたはそれ以上のプロセッサおよび1つまたはそれ以上のメモリデバイスを含むことができる。いくつかの実施態様では、1つまたはそれ以上のメモリデバイスが、1つまたはそれ以上のプロセッサに演算を実行させるように機能可能な命令を記憶した1つまたはそれ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を含む。第1のセンサアセンブリ304は、アドオンデバイス104が注射デバイスに取り付けられたときに、第1のセンサアセンブリ304が、注射デバイス102のニードルシールド220の第1のウィーガントワイヤ224の近くに位置するように配置されており、第2のセンサアセンブリ306は、アドオンデバイス104が注射デバイスに取り付けられたときに、第2のセンサアセンブリ306が、注射デバイス102の駆動機構206の第2のウィーガントワイヤ226の近くに位置するように配置されている。これについては後により詳細に説明する。マイクロコントローラ308の1つまたはそれ以上のプロセッサは、第1のセンサアセンブリ304および第2のセンサアセンブリ306から信号を受信するように構成されている。
【0047】
場合により、アドオンデバイス104は、日付/時刻情報などの情報、および/または患者が注射デバイス102を操作するのを支援するための指示を提示するように構成された表示装置310を含む。たとえば、現在の日付/時刻、注射が投与された日付/時刻、ならびに患者が注射を開始、保持および/または完了するのを支援する指示などを提示するように、表示装置310を構成することができる。
【0048】
アドオンデバイス104は、バッテリ312などの電源、たとえば、コイン電池型バッテリを含むことができる。アドオンデバイス104からのデータを1つまたはそれ以上の他のコンピューティングデバイスに転送するために、アドオンデバイスはさらに、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェースなどのデータ通信インタフェース314を含むことができる。いくつかの実施態様では、短距離無線プロトコル(たとえば、Bluetooth)などの他の手段によって1つまたはそれ以上の他のコンピューティングデバイスと無線通信するように、アドオンデバイスを構成することができる。
【0049】
図4は、
図3の第1のセンサアセンブリ304および第2のセンサアセンブリ306のブロック図の例を示す。センサアセンブリ304、306はそれぞれ、第1の極性を有する第1の磁石402a、402bおよび第2の(たとえば、反対の)極性を有する第2の磁石404a、404bを含む。いくつかの実施態様では、第1の磁石402a、402bがN極性(North polarity)を有し、第2の磁石404a、404bがS極性(South polarity)を有する。それぞれのセンサアセンブリ304、306はさらにコイル406a、406b(たとえば、センサコイル)を含む。磁場の変化に応答して、コイル406a、406b内に、(たとえば、対応するそれぞれのウィーガントワイヤ324、326が一方の磁石の近くの第1の位置から他方の磁石の近くの
第2の位置に移動したときに、対応するそれぞれのウィーガントワイヤ324、326が第1の極性の磁場から第2の極性の磁場に移行することによって生じた)電圧パルス/スパイクを誘導することができる。
【0050】
図5A~Dは、第1のセンサアセンブリ304に対する
図2の第1のウィーガントワイヤ224のさまざまな位置を示す。これらの図には注射デバイス102の正面図が示されている。明瞭さを考慮して、システム100のこの付随する説明に関連する部分に焦点を合わせるために、これらの図は一定の倍率では描かれていない。さらに、これらの図では、アドオンデバイス104のハウジング302および他の構成要素が省かれている。
【0051】
図5Aでは、ニードルシールド220が伸長位置にある。不注意による針209との接触を防ぐため、デフォルトで(たとえば、ニードルシールド220に圧力が加えられていない状態で)、ニードルシールド220を伸長位置に置くことができる。
図5Aに示された注射デバイス102の状態は、薬剤の注射が始まる前の時刻に対応しうる。ニードルシールド220が伸長位置にあるとき、ニードルシールド220の第1のウィーガントワイヤ224は、第1のセンサアセンブリ304の第1の磁石402aと実質的に一直線上にある。図示の位置では、第1のウィーガントワイヤ224が、第1の極性(たとえば、N極性)を有する磁場で飽和されている。すなわち、第1のウィーガントワイヤ224が図示の位置に位置するときに第1の磁石402aによって提供される磁場は、第1のウィーガントワイヤ224の外殻と内核の極性を同じ方向に向ける磁気しきい値を満たしている。外殻と内核の極性が同じ方向に向けられたままであるとき(たとえば、第1のウィーガントワイヤ224内で磁化極性の切り換わり(switching)が起こらないとき)、コイル406a内に電圧スパイクは誘導されない。
【0052】
図5Bでは、ニードルシールド220が、伸長位置から後退位置に移動し始めている。
図5Bに示された注射デバイス102の状態は、患者が自分の皮膚に針209を押し込み始めた時刻に対応しうる。かかる時刻は、薬剤の注射の開始時刻を示しうる。ニードルシールド220が後退すると、第1のウィーガントワイヤ224は、第2の磁石404aによって提供される反対の第2の極性(たとえば、S極性)を有する磁場に導入される。ニードルシールド220が後退し続け、第1のウィーガントワイヤ224が第2の磁石404aのより近くに移動すると、S極性磁場の強度が増大し、ついには、内核の磁化極性が切り換わる磁気しきい値に達する。かかる切り換わりはコイル406a内に電圧スパイクを誘導する。コイル406aは、(たとえば、電圧スパイクを含む)信号をアドオンデバイス104のマイクロコントローラ308に提供することができる。いくつかの実施態様では、この信号がアナログ-ディジタル(A/D)変換器に提供され、このA/D変換器がマイクロコントローラ308にディジタル信号を提供する。この信号の受信時刻は注射の開始時刻を示す。電圧スパイクが所定のしきい値を満たしている場合に、この受信時刻を記録することができる。
【0053】
いくつかの実施態様では、注射が始まる前、アドオンデバイス104をスリープ状態に置くことができる。たとえば、(たとえば、マイクロコントローラ308を含む)アドオンデバイス104を、アドオンデバイス104がほとんどまたは全く電力を消費しない状態に置くことができる。上述のとおり、ニードルシールド220が伸長位置から後退位置に移動し始めたとき、(たとえば、
図5Bに示された)注射デバイス102の状態は、患者が自分の皮膚に針209を押し込み始めた時刻に対応しうる。かかる時刻に、アドオンデバイス104が「ウェイクアップする」(たとえば、スリープ状態から使用可能状態に入る)ことが望ましいことがある。ウェイクアップするとすぐに、アドオンデバイス104の電子回路は、1つまたはそれ以上の電気構成要素からのデータおよび/または信号を電子回路が処理することができる状態に入ることができる。
【0054】
コイル406a内に誘導された電圧スパイクによって、アドオンデバイス104は使用可能状態に入ることができる。具体的には、コイル406aは、この電圧スパイクをマイクロコントローラ308に提供することができ、これによってマイクロコントローラ308は使用可能状態に入る。いくつかの実施態様では、この電圧スパイクをスイッチング回路(たとえば、インターバルスイッチ回路)に提供することができ、スイッチング回路は、マイクロコントローラ308が使用可能状態に入るようにすることができる。いくつかの実施態様では、この電圧スパイクを、電圧整流器を介してインターバルスイッチに提供することができる。インターバルスイッチ回路は、電子式継電器(electronic
relay)と同様に動作することができる。いくつかの実施態様では、インターバルスイッチ回路をトランジスタベースエミッタスイッチとすることができる。
【0055】
この電圧スパイクによって、マイクロコントローラ308(および、たとえば、アドオンデバイス104)は、所定の時間、使用可能状態に入ることができる。たとえば、注射が完了することを可能にするため、および注射に関する情報を記憶することを可能にするために、マイクロコントローラ308は、10~15秒の間、使用可能状態に留まることができる。これについては後により詳細に説明する。マイクロコントローラ308が使用可能状態にある間、データ処理は電源(たとえば、バッテリ312)によってサポートされる。いくつかの実施態様では、(たとえば、注射の終わりに対応する)第2の電圧パルスがマイクロコントローラ308で受信されるまで、マイクロコントローラ308が使用可能状態に留まることができる。これについては後により詳細に説明する。
【0056】
図5Cでは、ニードルシールド220が、さらなる後退位置に移動し続けている。
図5Cに示された注射デバイス102の状態は、患者が自分の皮膚に対して注射デバイス102を保持している(たとえば、その間に注射を完了させる)時間に対応しうる。ニードルシールド220が後退し続けると、第1のウィーガントワイヤ224は第2の磁石404aと実質的に一直線に並ぶ。後退し続けている間、S極性磁場の強度は増大し、ついには、外殻の磁化極性が内核の磁化極性と同じ磁化極性に切り換わる磁気しきい値に達する。かかる切り換わりはコイル406a内に電圧スパイクを誘導する。かかる電圧スパイクを、
図5Bに示された配置で発生する電圧スパイクよりもかなり小さくすることができる。コイル406aは、(たとえば、電圧スパイクを含む)信号を(たとえば、A/D変換器を介して)マイクロコントローラ308に提供することができる。しかしながら、いくつかの実施態様では、この電圧スパイクの大きさが所定のしきい値を満たしていない場合には信号を無視するように、マイクロコントローラ308を構成することができる。
【0057】
図5Dでは、ニードルシールド220が後退位置から伸長位置に向かって移動し始めている。
図5Dに示された注射デバイス102の状態は、患者が自分の皮膚から注射デバイス102を除去し始めた時刻に対応しうる。かかる時刻は、ホールディング時刻(たとえば、保持の終わり)を示しうる。ホールディング時刻は、注射が完了し、薬剤が注射された後に注射部位において(たとえば、皮膚に対して)患者が注射デバイス102を保持し続けるべき時間などのドウェル時間を表しうる。かかるホールディング時刻は、全ての薬剤が注射されたことを保証することができる。ニードルシールド220が伸長すると、第1のウィーガントワイヤ224は、第1の磁石402aによって提供される第1の極性(たとえば、N極性)を有する磁場に再導入される。ニードルシールド220が伸長し続け、第1のウィーガントワイヤ224が第1の磁石402aのより近くに移動すると、N極性磁場の強度は増大し、ついには、内核の磁化極性が切り換わる磁気しきい値に達する。かかる切り換わりはコイル406a内に電圧スパイクを誘導する。この電圧スパイクは、
図5Bに示された配置で発生する電圧スパイクと同様の大きさおよび反対の極性を有しうる。コイル406aは、(たとえば、電圧スパイクを含む)信号を(たとえば、A/D変換器を介して)マイクロコントローラ308に提供することができる。この信号の受信時刻はホールディング時刻を示す。電圧スパイクが所定のしきい値を満たしている場合に、
この受信時刻を記録することができる。
【0058】
図6A~Cは、第2のセンサアセンブリ306に対する
図2の第2のウィーガントワイヤ226のさまざまな位置を示す。これらの図には注射デバイス102の側面図が示されている。明瞭さを考慮して、システム100のこの付随する説明に関連する部分に焦点を合わせるために、これらの図は一定の倍率では描かれていない。さらに、これらの図では、アドオンデバイス104のハウジング302および他の構成要素が省かれている。
【0059】
図6Aでは、駆動機構206が、実質的に後退した位置にある。
図6Aに示された注射デバイス102の状態は、注射が開始される前の時刻に対応しうる。たとえば、カートリッジ204に薬剤が含まれている状態で、カートリッジ204の遠位端に駆動機構206のストッパ207を配置することができる。駆動機構206が後退位置にあるとき、ピストン208上に位置する第2のウィーガントワイヤ226は、第2のセンサアセンブリ306の第2の磁石404bと実質的に一直線上にある。図示の位置では、第2のウィーガントワイヤ226が、第2の極性(たとえば、S極性)を有する磁場で飽和されている。すなわち、第2のウィーガントワイヤ226が図示の位置に位置するときに第2の磁石404bによって提供される磁場は、第2のウィーガントワイヤ226の外殻と内核の極性を同じ方向に向ける磁気しきい値を満たしている。外殻と内核の極性が同じ方向に向けられたままであるとき(たとえば、第2のウィーガントワイヤ226内で磁化極性の切り換わりが起こらないとき)、コイル406b内に電圧スパイクは誘導されない。
【0060】
図6Bでは、駆動機構206が、実質的に伸ばされた位置にある。
図6Bに示された注射デバイス102の状態は、注射が完了した時刻(たとえば、注射の終了時刻)に対応しうる。たとえば、注射デバイス102の針209が患者の皮膚に挿入された後(これは、たとえば、
図5Cに示された位置に対応する)、患者は、注射ボタン211を押して、それによりピストン208が、カートリッジ204の近位端に向かってストッパ207を押し、それにより薬剤を放出させるようにすることができる。ピストン208が実質的に伸ばされたとき、第2のウィーガントワイヤ226は、第1の磁石402bによって提供された(たとえば、N極性を有する)第1の磁気磁場に導入される。ピストン208が伸びると、N極性磁場の強度は増大し、ついには、内核の磁化極性が切り換わる磁気しきい値に達する。かかる切り換わりはコイル406b内に電圧スパイクを誘導する。コイル406bは、(たとえば、電圧スパイクを含む)信号を(たとえば、A/D変換器を介して)アドオンデバイス104のマイクロコントローラ308に提供することができる。この信号の受信時刻は注射の終了時刻を示す。電圧スパイクが所定のしきい値を満たしている場合に、この受信時刻を記録することができる。
【0061】
コイル406b内に誘導された電圧スパイクによって、アドオンデバイス104はスリープ状態に入ることができる。具体的には、コイル406bは、この電圧スパイクをマイクロコントローラ308に提供することができ、これによって、マイクロコントローラ308は、使用可能状態から再びスリープ状態に入る。上述のとおり、いくつかの実施態様では、この電圧スパイクをスイッチング回路に提供することができる。いくつかの実施態様では、電圧スパイクを受信した後、再びスリープ状態に入る前に、マイクロコントローラ308は、特定の時間(たとえば、5~10秒)の間、使用可能状態に留まることができる。かかる時延は、注射が完了すること、および注射に関する情報が記憶されることを可能にする。
【0062】
図6Cでは、駆動機構206が、実質的に後退した位置に戻っている。
図6Cに示された注射デバイス102の状態は、後続の注射のために薬剤の別の用量を収容する準備がなされている注射デバイス102に対応しうる。たとえば、いくつかの実施態様では、カートリッジ204を再充填することができ、別の注射に備えて、ストッパ207を、カート
リッジ204の遠位端に戻すことができる。いくつかの実施態様では、カートリッジ204を新しいカートリッジと交換することができ、別の注射に備えて新しいカートリッジの遠位端にストッパ207を配置することができる。駆動機構206が後退位置に戻されたとき、第2のウィーガントワイヤ226は、第2のセンサアセンブリ306の第2の磁石404bと実質的に一直線に並んでいる。図示の位置では、第2のウィーガントワイヤ226がS極性磁場で再び飽和されており、それによって第2のウィーガントワイヤ226の外殻と内核の極性は再び同じ方向を向く。このようにすると、第2のウィーガントワイヤ226は、後続の注射のために駆動機構206が伸ばされたときに内核の磁化極性が再び切り換わることができ、それにより後続の注射の終了時刻を記録することができる状態に置かれる。
【0063】
システム100(たとえば、アドオンデバイス104)は、
図5A~Dおよび6A~Cに関して上で説明した信号の受信時刻に基づいて薬剤の注射の状態を決定するように構成されている。たとえば、
図5Bに関して説明した信号の受信時刻を、注射の開始時刻として識別および/または記録することができ;
図5Dに関して説明した信号の受信時刻を、注射の保持時刻(たとえば、保持の終わり)として識別および/または記録することができ;
図6Bに関して説明した信号の受信時刻を、注射の終了として識別および/または記録することができる。この開始時刻、終了時刻および/また保持時刻に基づいて、とりわけ注射の継続時間などの追加の状態情報を決定することができる。たとえば、開始時刻と終了時刻の間の経過時間は注射の継続時間に対応しうる。この状態情報を使用して、注射デバイス102によって提供された1つまたはそれ以上の注射の履歴を記録することができる。かかる状態情報を使用して、処方された薬剤投与計画を患者が遵守していることを保証すること、および/または患者の健康状態を記録された注射時刻と相関させることができる。
【0064】
いくつかの実施態様では、マイクロコントローラ308によって状態情報の一部または全部を記憶することができる。たとえば、マイクロコントローラ308の1つまたはそれ以上のメモリデバイスに状態情報を記憶することができる。いくつかの実施態様では、1つまたはそれ以上のメモリデバイスが、データを記憶するのに連続電源を必要としない、強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM)などの不揮発性メモリを含む。言い換えると、連続電源なしでデータを記憶するように、不揮発性メモリを構成することができる。かかるメモリは、アドオンデバイス104が電力を保存し、それにより長期の使用を容易にするのを支援することができる。上述のマイクロコントローラ308上の目覚まし機構の使用に加えて、FRAMを使用することは、長期使用のために最小限のバッテリ容量を必要とするアドオンデバイス104に対する低電力解決策を提供することができる。
【0065】
いくつかの実施態様では、状態情報の一部または全部を、アドオンデバイス104によって、別個のデバイス(たとえば、別個のコンピューティングデバイス)に提供することができる。いくつかの実施態様では、データ通信インタフェース(たとえば、USBインタフェース)を介してアドオンデバイス104に接続されたスマートフォン、ラップトップなどの接続されたコンピューティングデバイスに、状態情報を送信することができる。いくつかの実施態様では、アドオンデバイス104が、サーバ(たとえば、クラウドサーバ)などの遠隔コンピューティングデバイスに状態情報を(たとえば、無線で)送信するように構成されたトランシーバを含むことができる。いくつかの実施態様では、状態情報を、医療用サーバに送信すること、および/または医療専門家に直接送信することができる。このようにすると、分析および/またはさらなる治療推奨のために、注射に関する状態情報を、遠隔医療実体に提供することができる。
【0066】
図7は、
図1、2、5A~Dおよび6A~Cの注射デバイス102などの注射デバイスからの薬剤の注射の状態を決定する例示的なプロセス700の流れ図である。プロセス7
00は、
図1、3、5A~Dおよび6A~Cのアドオンデバイス104などの電子デバイスの構成要素によって実行することができる。
【0067】
ステップ702で、注射デバイス102の第1のウィーガントワイヤ224が第1の位置から第2の位置に移動したときに、第1の信号を受信する。たとえば、第1の信号は、注射デバイス102に取り付けるように構成された電子デバイスによって受信することができる。第1の信号は、1つの磁石(たとえば、第1の磁石402a)の近くの第1の位置から、第1の磁石402aとは反対の極性を有する別の磁石(たとえば、第2の磁石404a)の近くの第2の位置に第1のウィーガントワイヤ224が移動したときに、第1のセンサアセンブリ304のコイル406aから受信することができる。第1のウィーガントワイヤ224は、注射デバイス102のニードルシールド220に固定することができる。
【0068】
ステップ704で、第1の信号の受信時刻に基づいて薬剤の注射の開始時刻を決定する。たとえば、この第1のウィーガントワイヤ224の移動は、伸長位置から後退位置に移動している注射デバイス102のニードルシールド220に対応しうる。ニードルシールド220のかかる移動は、患者が自分の皮膚に針209を押し込み始めた時刻に対応しうる。
【0069】
ステップ706で、注射デバイス102の第2のウィーガントワイヤ226が第1の位置から第2の位置に移動したときに、第2信号を受信する。たとえば、第2の信号は、1つ磁石(たとえば、第2の磁石404b)の近くの第1の位置から、この磁石および第2の磁石404bとは反対の極性を有する別の磁石(たとえば、第1の磁石402b)の近くの第2の位置に第2のウィーガントワイヤ226が移動したときに、第2のセンサアセンブリ306のコイル406bから、電子デバイスによって受信することができる。いくつかの実施態様では、第2の位置が、第2の磁石404bの方よりも第1の磁石402bの方に近い。第2のウィーガントワイヤ226は、注射デバイス102の駆動機構206に固定することができる。
【0070】
ステップ708で、第2の信号の受信時刻に基づいて注射の終了時刻を決定する。たとえば、第2のウィーガントワイヤ226の移動は、実質的に伸長した位置にある注射デバイス102の駆動機構206に対応しうる。駆動機構206のかかる移動は、薬剤がカートリッジ204から完全に放出された時刻に対応しうる。
【0071】
いくつかの実施態様では、第1のウィーガントワイヤ224が第2の位置から第1の位置に向かって移動するときに、第3の信号を受信する。たとえば、第3の信号は、第1のセンサアセンブリ304のコイル406aから受信することができる。第3の信号の受信時刻に基づいて注射のホールディング時刻を決定する。
【0072】
いくつかの実施態様では、これらの信号がそれぞれ、所定のしきい値を満たした大きさの電圧スパイクを含む。いくつかの実施態様では、第1の信号の電圧スパイクの符号が、第2の信号の電圧スパイクの符号とは反対である。
【0073】
本明細書ではいくつかの実施態様を説明したが、他の実施態様も可能である。
【0074】
センサアセンブリが2つの磁石を含むものとして説明してきたが、いくつかの実施態様では、システムの他の部分に磁石を配置することができる。たとえば、いくつかの実施態様では、注射デバイス上および/またはシステムの別個の構成要素に磁石を配置することができる。磁石は、対応するウィーガントワイヤに対して、
図5A~Dおよび6A~Cに関して説明したように、ウィーガントワイヤが、対応するセンサアセンブリのコイルに信
号(たとえば、電圧スパイク)を提供することができるように配置することができる。いくつかの実施態様では、これらの磁石のうちの1つまたはそれ以上の磁石を注射デバイスのハウジングに組み込むことができる。たとえば、注射デバイスのハウジング内の、1つのウィーガントワイヤの開始位置(たとえば、デフォルト位置)の近くの位置に第1の磁石を組み込み、それにより第1の極性の磁場でウィーガントワイヤを飽和させることができる。注射デバイスのハウジング内の、1つのウィーガントワイヤの標的位置(たとえば、注射の開始時刻、終了時刻ならびに/またはホールディング時刻に対応する位置)の近くの位置に第2の磁石は組み込むことができる。このようにすると、ウィーガントワイヤは、ウィーガントワイヤが標的位置に到達したときに、対応するコイル内に電圧スパイクを発生させることができる。
【0075】
いくつかの実施態様では、カートリッジの遠位端からカートリッジの近位端に向かってピストンが移動し始めた時刻が記録されるように、ウィーガントワイヤまたは磁石をピストン上に配置することができる。ピストンのかかる移動の検出は、上述のセンサアセンブリによってまたは別個のセンサアセンブリによって実行することができる。
【0076】
センサアセンブリが磁石を含むものとして説明し、注射デバイスがウィーガントワイヤを含むものとして説明してきたが、いくつかの実施態様では、注射デバイスに磁石を配置し、センサアセンブリ(たとえば、アドオンデバイス)にウィーガントワイヤを配置することができる。たとえば、ニードルシールドおよび/またはピストンに1つまたはそれ以上の磁石を組み込み、対応するそれぞれのセンサアセンブリのコイルの隣にまたはコイル内に、対応するウィーガントワイヤを配置することができる。かかる構成は、ニードルシールドおよびピストンにウィーガントワイヤが組み込まれた(たとえば、3.5V未満の電圧スパイクを発生させることができる)構成に比べて、比較的に大きな電圧スパイク(たとえば、3.5~5V)を発生させることができる。
【0077】
電圧スパイクが主にアドオンデバイスを「ウェイクアップさせる」(たとえば、使用可能状態に入れる)ために使用される実施態様に対しては、比較的に小さな電圧スパイク(たとえば、3.5V未満)を発生させる構成で十分なことがある。たとえば、電圧スパイクが、アドオンデバイスを使用可能状態に入れるために使用される(たとえば、注射に関する情報が記憶されるようにする目的には使用されない)ときには、ニードルシールドおよびピストンにウィーガントワイヤが組み込まれており、アドオンデバイスに磁石が組み込まれている実施態様で十分なことがある。かかる実施態様に対してかかる構成が望ましいことがあるのは、注射デバイスにウィーガントワイヤを組み込むほうが、注射デバイスに磁石を組み込むよりも簡単(かつ、たとえば、安価)となることがあるためである。他方、注射に関する情報が記憶されるようにするために電圧スパイクが使用される実施態様に対しては、比較的に大きな電圧スパイク(たとえば、3.5~5V)を発生させる構成が望ましいことがある。これは、かかる大きな電圧スパイク(たとえば、大きな出力信号)は、注射デバイスの対応する状態の検出可能性を向上させることができるためである。
【0078】
センサアセンブリまたは注射デバイスが1つまたはそれ以上の磁石を含むものとして説明してきたが、いくつかの実施態様では、それに加えてまたはその代わりに、他の磁性材料を使用することもできる。たとえば、いくつかの実施態様では、ニードルシールドおよび/またはピストンに磁石を組み込むのではなく、ニードルシールド自体および/またはピストン自体の一部分を磁性体にすることもできる。いくつかの実施態様では、ニードルシールドおよび/またはピストンが、N極性磁石およびS極性磁石に関して上で説明した作用と同様の作用を示す磁化されたプラスチック材料を含むことができる。このようにすると、対応するコイルの近くに磁化されたプラスチック材料が移動したときに、そのコイル内に電圧スパイクを誘導することができる。
【0079】
いくつかの実施態様では、可変用量注射デバイス(たとえば、Sanofi(登録商標)によって製造されているSoloSTAR(登録商標) Pen)を、上述のセンサアセンブリ(たとえば、センサアセンブリ304)と同様のセンサアセンブリと相互作用するように構成することができる。この可変用量注射デバイスは、上述の注射デバイス102と同様のものとすることができる。たとえば、このセンサアセンブリを使用して、可変用量注射デバイスによって注射するための選択された用量を検出および/または記録することができる。いくつかの実施態様では、可変用量注射デバイスの投薬量ノブの近くに位置する別個のデバイス(たとえば、別個のアドオンデバイス)に、センサアセンブリを組み込むことができる。この別個のアドオンデバイスは、可変用量注射デバイスの適当な部分への取付けを容易にするためにハウジングにいくつかの変更が加えられた、上述のアドオンデバイス104と実質的に同様のものとすることができる。たとえば、投薬量ノブは、投薬量ノブの周辺部の周囲にそれぞれが位置する複数のウィーガントワイヤを含むことができる。ウィーガントワイヤは、それぞれのウィーガントワイヤが、投薬量ノブ上に示された投薬量の増分に対応するように、互いから等距離のところに配置することができる。それぞれのウィーガントワイヤは、投薬量ノブを回転させたときにその位置で「クリック音が鳴る」投薬量ノブ上の位置に配置することができる。このようにすると、それぞれのクリック音が投薬量の増分に対応しうる。いくつかの例では、国際単位(IU)の単一の増分を単位として投薬量ノブが回転する。したがって、投薬量ノブを回転させたときのクリック音のたびに、別個のウィーガントワイヤがセンサアセンブリに近くに回転する。センサアセンブリの近くにウィーガントワイヤが回転するたびに(たとえば、ウィーガントワイヤが一方の磁石の近くの第1の位置から他方の磁石の近くの第2の位置に移動したときに)、コイル内に電圧パルスが生成される。それぞれの電圧パルスは、カウンタによって記憶された値がダイヤル設定された投薬量のIUの数に対応するように、センサアセンブリのカウンタを増分させることができる。かかる投薬量情報を、注射の開始、終了およびホールディング時刻と一緒に記憶することができる。
【0080】
図8は、例示的なコンピュータシステム800のブロック図である。たとえば、
図1および3のアドオンデバイス104は、コンピュータシステム800の例となりうる。いくつかの実施態様では、
図1および2の注射デバイス102にコンピュータシステム800を組み込むことができ、かつ/または別個のコンピュータシステム800と相互作用するように、注射デバイス102を構成することができる。システム800は、プロセッサ810、メモリ820、記憶デバイス830および入力/出力デバイス840を含む。たとえば、システムバス850を使用して、それぞれの構成要素810、820、830および840を相互接続することができる。プロセッサ810は、システム800内で実行するための命令を処理することができる。プロセッサ810は、シングルスレッドプロセッサ、マルチスレッドプロセッサまたは量子コンピュータとすることができる。プロセッサ810は、メモリ820または記憶デバイス830に記憶された命令を処理することができる。プロセッサ810は、上述のプロセス(たとえば、
図7のプロセス700)に従ってアドオンデバイス104に薬剤の注射の状態を決定させるための演算を実行することができる。
【0081】
メモリ820は、システム800内の情報を記憶する。いくつかの実施態様では、メモリ820がコンピュータ可読媒体である。メモリ820はたとえば、揮発性メモリユニットまたは不揮発性メモリユニットとすることができる。いくつかの実施態様では、メモリ820が、注射の開始時刻、注射の終了時刻、注射のホールディング時刻、注射の継続時間などを示す時間データなど、薬剤の注射の状態に関する情報を記憶する。
【0082】
記憶デバイス830は、大容量記憶域をシステム800に提供することができる。いくつかの実施態様では、記憶デバイス830が非一時的コンピュータ可読媒体である。記憶デバイス830は、たとえば、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、ソリッド
ステートドライブ、フラッシュドライブ、磁気テープまたは他のある大容量記憶デバイスを含むことができる。あるいは、記憶デバイス830を、クラウド記憶デバイスとすること、たとえば、ネットワークを使用してアクセスされる、ネットワーク上に分散した多数の物理記憶デバイスを含む論理記憶デバイスとすることもできる。いくつかの実施態様では、メモリ820上に記憶された情報を、記憶デバイス830上にも記憶すること、または、メモリ820の代わりに記憶デバイス830上に記憶することもできる。
【0083】
入力/出力デバイス840は、入力/出力動作をシステム800に提供する。いくつかの実施態様では、入力/出力デバイス840が、ネットワークインタフェースデバイス(たとえば、Ethernetカード)、シリアル通信デバイス(たとえば、RS-232ポート)および/または無線インタフェースデバイス(たとえば、短距離無線通信デバイス、802.11カード、3G無線モデムもしくは4G無線モデム)のうちの1つまたはそれ以上を含む。いくつかの実施態様では、入力/出力デバイス840が、入力データを受信し、他の入力/出力デバイス、たとえば、キーボード、プリンタおよび表示デバイスに出力データを送信するドライバデバイスを含む。いくつかの実施態様では、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイスおよび他のデバイスが使用される。
【0084】
いくつかの実施態様では、システム800がマイクロコントローラである。マイクロコントローラは、コンピュータシステムの多数の要素を単一の電子回路パッケージとして含むデバイスである。たとえば、単一の電子回路パッケージは、プロセッサ810、メモリ820、記憶デバイス830および入力/出力デバイス840を含むことができる。
【0085】
図8では例示的な処理システムを説明したが、上で説明した主題および機能的動作の実施態様は、他のタイプのディジタル電子回路内、または本明細書に開示された構造およびそれらの構造等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェア内、またはこれらのうちの1つもしくはそれ以上の組合せ内に実装することができる。本明細書に記載された主題の実施態様は、1つまたはそれ以上のコンピュータプログラム製品として実装することができ、たとえば、処理システムによる実行のためまたは処理システムの動作の制御のために有形のプログラム担体上、たとえばコンピュータ可読媒体上にコード化されたコンピュータプログラム命令の1つまたはそれ以上のモジュールとして実装することができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝搬信号を生成する組成物、またはこれらのうちの1つもしくはそれ以上の組合せとすることができる。
【0086】
「コンピュータシステム」という用語は、例としてプログラム可能プロセッサ、コンピュータまたは多数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するための全ての装置、デバイスおよび機械を包含しうる。処理システムは、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を生み出すコード、たとえば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステムまたはこれらのうちの1つもしくはそれ以上の組合せを構成するコードを含むことができる。
【0087】
(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、実行可能論理またはコードとしても知られている)コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語もしくはインタプリタ型言語または宣言型言語もしくは手続き型言語を含むあらゆる形態のプログラミング言語で書くことができ、独立型プログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットを含む、あらゆる形態で展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに必ずしも対応しない。別のプログラムもしくはデータ(たとえば、マーク付け言語文書に記憶された1つもしくはそれ以上のスクリプト)を保持して
いるファイルの一部分、当該プログラム専用の単一のファイル、または協調した多数のファイル(たとえば、1つもしくはそれ以上のモジュール、サブプログラムもしくはコード部分を記憶した複数ファイル)に、プログラムが記憶されていることもありうる。1つのコンピュータ上で実行されるように、または通信ネットワークによって相互接続された、1つのサイトに位置する多数のコンピュータ上もしくは多数のサイトにわたって分散した多数のコンピュータ上で実行されるように、コンピュータプログラムを展開することができる。
【0088】
コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、例として、半導体メモリデバイス、たとえば、EPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、たとえば、内蔵ハードディスクまたは取外し可能なディスクもしくは磁気テープ;光磁気ディスク;ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、全ての形態の不揮発性または揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補うことができ、または専用論理回路に組み込むことができる。システムの構成要素は、ディジタルデータ通信の任意の形態または媒体、たとえば、通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、たとえば、インターネットが挙げられる。
【0089】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を記述するために使用される。以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つの低分子もしくは高分子またはそれらの組合せを含みうる。例示的な薬学的に活性な化合物としては、低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、ならびにオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物も企図される。
【0090】
本発明に記載の薬物送達デバイスおよび薬物は、多くの異なるタイプの障害の治療および/または予防のために使用可能である。例示的な障害としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。
【0091】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のための例示的な薬物としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、もしくはそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、もしくはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「誘導体」という用語は、元の物質と実質的に同様の機能性または活性(たとえば、治療効果)を有するように、構造的に十分同様である任意の物質を指す。
【0092】
例示的なインスリンアナログは、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒ
トインスリン;位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0093】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストは、たとえば、リキシセナチド/AVE0010/ZP10/リキスミア、エキセナチド/エキセンジン-4/バイエッタ/ビデュリオン/ITCA650/AC-2993(ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド/ビクトーザ、セマグルチド、タスポグルチド、シンクリア/アルビグルチド、デュラグルチド、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0094】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセン/キナムロである。
【0095】
例示的なDPP4阻害剤は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0096】
例示的なホルモンとしては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0097】
例示的な多糖としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20/シンビスク、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0098】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結
合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施態様では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施態様では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。
【0099】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0100】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0101】
例示的な抗体は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0102】
本明細書に記載の化合物は、(a)化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および(b)薬学的に許容可能な担体を含む医薬製剤に使用可能である。化合物は、1つもしくはそれ以上の他の活性医薬成分を含む医薬製剤、または本化合物もしくはそれらの薬学的に許容可能な塩が唯一の活性成分である医薬製剤にも使用可能である。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書に記載の化合物と薬学的に許容可能な担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0103】
本明細書に記載のいずれの薬物の薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえば、Na+、もしくはK+、またはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)、(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1~C6-アルキル基、場合により置
換されたC2~C6-アルケニル基、場合により置換されたC6~C10-アリール基、または場合により置換されたC6~C10-ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容可能な塩のさらなる例は当業者には公知である。
【0104】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラートもしくはエタノラートなどのアルカノラートである。
【0105】
本発明の発想の全体範囲および趣旨を逸脱することなく、本明細書に記載された物質、製剤、装置、方法、システム、デバイスおよび実施態様のさまざまな構成要素の(たとえば、調整、追加または除去などの)変更を実施することができることを当業者は理解するであろう。本発明の発想の全体範囲および趣旨は、かかる変更およびそれらのあらゆる等価物を包含する
【0106】
本明細書に記載されたシステムおよび技法のいくつかの実施態様を提示した。それでもなお、かかるシステムおよび技法の趣旨および範囲を逸脱することなく、さまざまな変更を実施することができる。したがって、以下の特許請求の範囲には他の実施態様が含まれている。