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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】分析装置及び分析装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/60 20060101AFI20241217BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G01N30/60 P
G01N30/02 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023516295
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2022004255
(87)【国際公開番号】W WO2022224540
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2021073538
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯島 夢生
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】山村 周平
(72)【発明者】
【氏名】原田 裕至
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-116244(JP,A)
【文献】特開2007-78436(JP,A)
【文献】国際公開第18/116432(WO,A1)
【文献】特開平07-244034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 ー 30/96
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続され、取り外し可能な複数の分離カラムと、
前記複数の分離カラムのそれぞれに接続され、前記複数の分離カラムのそれぞれに試料を流通させる複数の分析流路と、
取り外しの対象となる前記分離カラム以外の前記分離カラムの取り外しを制限するロック機構と、
前記ロック機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記分離カラムでの分析終了の検知をトリガーとして前記ロック機構による前記制限を解除する
ことを特徴とする分析装置。
【請求項3】
前記分離カラムを加熱する加熱装置を備え、
前記制御装置は、前記分離カラムの温度が所定値以下となったときに、前記ロック機構による前記制限を解除する
ことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記分析流路又は前記分離カラムの少なくとも一方の内圧が所定値以下となったときに、前記ロック機構による前記制限を解除する
ことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
並列に接続され、取り外し可能な複数の分離カラムと、
前記複数の分離カラムのそれぞれに接続され、前記複数の分離カラムのそれぞれに試料を流通させる複数の分析流路と、
取り外しの対象となる前記分離カラム以外の前記分離カラムの取り外しを制限するロック機構と、
前記ロック機構を制御する制御装置と、を備え、
前記ロック機構の解除により、前記分離カラムと前記分析流路との接続が解除され、
前記分離カラムの一端及び他端にはそれぞれ前記分析流路が接続され、
前記一端側への前記分析流路の接続を検知する第1センサと、
前記他端側への前記分析流路の非接続を検知する第2センサと、を備え、
前記制御装置は、前記第1センサ又は前記第2センサの何れかのセンサの検知時に前記ロック機構による前記制限を行う
ことを特徴とする分析装置。
【請求項7】
前記分離カラム又は前記分析流路である構造物のうち、載置された一方の前記構造物に対する他方の前記構造物のスライドにより、前記分離カラムと前記分析流路とを接続するスライド機構を備え、
前記ロック機構は、前記他方の構造物のスライドを制限する
ことを特徴とする請求項6に記載の分析装置。
【請求項8】
更に、前記ロック機構は、前記分離カラムと前記分析流路との接続を解除した状態で、前記他方の構造物の前記スライドを制限する
ことを特徴とする請求項7に記載の分析装置。
【請求項9】
更に、前記制御装置に接続され、前記分離カラムが載置された状態で操作されることで前記スライドの制限を解除させる入力装置を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の分析装置。
【請求項10】
前記スライド機構は、
前記他方の構造物をスライドさせ、
前記他方の構造物に接続されたモータを備える
ことを特徴とする請求項7に記載の分析装置。
【請求項11】
前記モータは、
回転駆動軸を回転させるモータ本体と、
前記ロック機構として、前記モータ本体への非通電時に前記回転駆動軸を固定する軸固定機構と、を備える
ことを特徴とする請求項10に記載の分析装置。
【請求項12】
前記スライド機構は、
前記他方の構造物をスライドさせ、
使用者の操作により前記他方の構造物をスライドさせるレバーを備える
ことを特徴とする請求項7に記載の分析装置。
【請求項13】
前記複数の分離カラムのうち取り外し可能な分離カラムを報知する報知装置を備える
ことを特徴とする請求項1、3、4の何れか1項に記載の分析装置。
【請求項14】
設置された分離カラムを識別する情報を含む媒体に記録された情報を読み取る読取装置を備える
ことを特徴とする請求項1、3、4の何れか1項に記載の分析装置。
【請求項15】
並列に接続され、取り外し可能な複数の分離カラムのうち、取り外しの対象となる前記分離カラム以外の前記分離カラムの取り外しをロック機構によって制限するロック工程を含み、
前記分離カラムでの分析終了の検知をトリガーとして前記ロック機構による前記制限を解除する
ことを特徴とする分析装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分析装置及び分析装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ等の分析装置では、固定相と呼ばれる充填剤を詰めた分離カラムを用いて、夾雑成分から分析対象物の単離、又は複数の分析対象物の相互分離が行われる。相互分離において、試料は分析装置内の移動相と呼ばれる液体の流れに注入され、分離カラム内の固定相(充填剤)の中を移動する。固定相中を移動する間に、試料内物質群と固定相との相互作用の強さの相違によって、分析対象物が分離される。
【0003】
分析装置は、例えば、移動相を送液する送液ポンプ、移動相中の溶存空気を除去する脱気部、試料を移動相に注入する試料注入部、分離の場である分離カラム、分離カラムの温調を行うカラムオーブン、カラム溶出液中の成分を検出する検出器を備える。検出器として、分析目的、試料等に応じて光度計、質量分析計等が適宜選択される。更に、分析装置は、例えば、検出部で検出した結果を分析する制御装置を備える。
【0004】
分析装置では、スループットの向上のため、複数の分離カラムが備えられることがある。この場合、使用する分離カラムをバルブで切替えて選択することで、一部の分離カラムの洗浄及び平衡化中に、残部の分離カラムで分析が行われる。これにより、連続的に分析できる。
【0005】
特許文献1には、「分離カラムを保持するカラムホルダと、前記分離カラムの上流側のシール部と連結するシール部を備え上流側の配管が接続された第1のフィッティングを搭載する第1のフィッティングホルダと、前記分離カラムの下流側のシール部と連結するシール部を備え下流側の配管が接続された第2のフィッティングを搭載する第2のフィッティングホルダと、前記第1のフィッティングホルダと前記第2のフィッティングホルダのいずれか一方が固定された本体部材と、前記本体部材に固定されていない前記第1のフィッティングホルダ又は前記第2のフィッティングホルダと、前記カラムホルダとを前記本体部材に対して移動させる駆動部と、前記カラムホルダを前記駆動部による移動方向に案内するガイドと、前記カラムホルダと前記第2のフィッティングホルダとの間に設けられた弾性体と、を有する分離カラム接続装置。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6611398号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、運転中、複数の分離カラム(図25)のうち、取り外しの対象となる一部の分離カラム以外の残部の分離カラムが使用者によって意図せず取り外されてしまうことがある。これにより、試料が分析流路から漏出する可能性がある。
本開示が解決しようとする課題は、意図しない分離カラムの取り外しを抑制可能な分析装置及び分析装置の制御方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の分析装置は、並列に接続され、取り外し可能な複数の分離カラムと、取り外しの対象となる前記分離カラム以外の前記分離カラムの取り外しを制限するロック機構とを少なくとも備え、前記制御装置は、前記分離カラムでの分析終了の検知をトリガーとして前記ロック機構による前記制限を解除する。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、意図しない分離カラムの取り外しを抑制可能な分析装置及び分析装置の制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の液体クロマトグラフの系統図である。
図2】分離カラムの取り外し時を説明する図であり、分析流路と分離カラムとを接続した状態である。
図3】スライド機構のブロック図である。
図4】分離カラムを識別する媒体を説明する図である。
図5】分離カラムの取り外し時を説明する図であり、ロック機構の解除により、分析流路をスライドさせている状態である。
図6】分離カラムの取り外し時を説明する図であり、ロックを解除した状態で分析流路をロックした状態である。
図7】分離カラムの取り外し方法を説明するフローチャートである。
図8】LEDスイッチの発光パターンを説明する図である。
図9】分離カラムの取り外し時において、ステップ毎のLEDスイッチの発光パターンを説明する図である。
図10】分離カラムの取り付け方法を説明するフローチャートである。
図11】分離カラムの取り付け時において、ステップ毎のLEDスイッチの発光パターンを説明する図である。
図12】第2実施形態の液体クロマトグラフの系統図である。
図13】第3実施形態の液体クロマトグラフにおいて、分離カラムの取り外し時を説明する図であり、分析流路と分離カラムとを接続した状態である。
図14】第3実施形態の液体クロマトグラフにおいて、分離カラムの取り外し時を説明する図であり、レバーの引き上げにより、分析流路をスライドさせている状態である。
図15】第3実施形態の液体クロマトグラフにおいて、分離カラムの取り外し時を説明する図であり、接続を解除した状態で分析流路をロックした状態である。
図16】第3実施形態の液体クロマトグラフにおいて、分離カラムの取り外し方法を説明するフローチャートである。
図17】第3実施形態の液体クロマトグラフにおいて、分離カラムの取り付け方法を説明するフローチャートである。
図18】第4実施形態の液体クロマトグラフにおいて、分離カラムの取り外し時を説明する図であり、分析流路と分離カラムとを接続した状態である
図19】第4実施形態の液体クロマトグラフにおいて、ロックを解除した状態で分離カラムの取り外し時を説明する図であり、分析流路をスライドさせている状態である。
図20】第4実施形態の液体クロマトグラフにおいて、分離カラムの取り外し時を説明する図であり、接続を解除した状態で分析流路をロックした状態である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の一の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。
【0012】
図1は、第1実施形態の液体クロマトグラフ100の系統図である。以下の例では、分析装置として液体クロマトグラフを例示するが、分析装置は、ガスクロマトグラフ、超高速液体クロマトグラフ、分離カラムを備える臨床検査装置等でもよい。
【0013】
液体クロマトグラフ100は、並列に接続された複数の分離部103,104,105を備え、分離部103,104,105はそれぞれストリーム1,2,3と定義される。分離部103,104,105は、流路切替バルブ(流路切替部)118により、1つの質量分析計(検出器)119に接続される。なお、検出器は質量分析計119に限定されず、例えば可視光紫外光吸光度検出器、フォトダイオードアレイ検出器、蛍光検出器等でもよい。
【0014】
分離部103,104,105は、それぞれ、取り外し可能な分離カラム115,116,117を備える。従って、液体クロマトグラフ100は、並列に接続され、取り外し可能な複数の分離カラム115,116,117を備える。液体クロマトグラフ100は、複数の分析流路120,121,122,123,124,125を備える。分析流路120,121,122,123,124,125は、複数の分離カラム115,116,117のそれぞれに接続され、複数の分離カラム115,116,117のそれぞれに試料を流通させる。
【0015】
分離部103は、送液ポンプ106(送液部)と試料注入バルブ109(試料注入部)と接続部112と分析流路120,123とLEDスイッチ201とを備える。送液ポンプ106は、複数の異なる溶媒の濃度を変えながら送液する。試料注入バルブ109は、試料を分析流路120に導入する。接続部112には、分離カラム115が設置される。分析流路120,123は、分離カラム115に接続され、分離カラム115に試料を流通させる。
【0016】
分離部104は、送液ポンプ107(送液部)と試料注入バルブ110(試料注入部)と接続部113と分析流路121,124とLEDスイッチ202とを備える。送液ポンプ107は、複数の異なる溶媒の濃度を変えながら送液する。試料注入バルブ110は、試料を分析流路121に導入する。接続部113には、分離カラム116が設置される。分析流路121,124は、分離カラム116に接続され、分離カラム116に試料を流通させる。
【0017】
分離部105は、送液ポンプ108(送液部)と試料注入バルブ111(試料注入部)と接続部114と分析流路122,125とLEDスイッチ203とを備える。送液ポンプ108は、複数の異なる溶媒の濃度を変えながら送液する。試料注入バルブ111は、試料を分析流路122に導入する。接続部114には、分離カラム117が設置される。分析流路122,125は、分離カラム117に接続され、分離カラム117に試料を流通させる。
【0018】
LEDスイッチ201,202,203(報知装置の一例)は、液体クロマトグラフ100に備えられ、複数の分離カラム115,116,117のうち取り外し可能な分離カラム115,116,117を報知する。LEDスイッチ201,202,203を備えることで、報知された使用者が取り外すべき分離カラム115,116,117を容易に把握できる。
【0019】
LEDスイッチ201,202,203は、LEDランプ及びスイッチ機能を有するものであり、取り外し可能な分離カラム115,116,117の報知の他、接続部112,113,114の状態に応じて発光状態が変化する。LEDスイッチ201,202,203は、例えばLEDランプの点灯、明滅、色調変化等による報知を行う。LEDスイッチ201,202,203は、電気信号線(不図示)により制御装置101に接続され、分離カラム115,116,117の付近に配置される。
【0020】
なお、報知装置は、LEDスイッチ201,202,203に限られず、LEDランプ以外の光源、音を発するスピーカ等でもよい。
【0021】
液体クロマトグラフ100は制御装置101を備え、制御装置101は、分離部103,104,105、流路切替バルブ118及び質量分析計119の動作を制御する。更に、制御装置101は、詳細は後記するが、ロック機構200(図3)を制御する。制御装置101は、何れも図示はしないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、RA
M(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えて構成される。制御装置101は、ROMに格納されている所定の制御プログラムがRAMに展開され、CPUによって実行されることにより具現化される。
【0022】
液体クロマトグラフ100は、制御装置101に接続された表示装置102(報知装置の一例)を備え、表示装置102は、分析結果、分析の進行状況に関係する情報等の各情報を表示する。また、表示装置102は、上記のLEDスイッチ201,202,203とともに、複数の分離カラム115,116,117のうち取り外し可能な分離カラム115,116,117を報知する。
【0023】
液体クロマトグラフ100は、制御装置101に接続され、分離カラム115,116,117が載置された状態で操作されることで、ロック機構200(図3)によるスライドの制限を解除させる入力装置1021を備える。入力装置1021を備えることで、詳細は後記するが、使用者が入力装置1021を操作することでスライド制限を解除できるため、分離カラム115,116,117と分析流路123,124,125とを接続できる。
【0024】
図2は、分離カラム115の取り外し時を説明する図であり、分析流路120,123と分離カラム115とを接続した状態である。図2は接続部112を図示するが、分離カラム115に代えて分離カラム116,117を備えること以外は接続部113,114も同じ構造を有する。分離カラム116,117についても図2図5及び図6と同様に取り外し及び取り付けできるため、分離カラム116,117の取り外し及び取り付けの説明は省略する。また、本明細書では、スライド機構700により分析流路123がスライドされるが、分離カラム115をスライドさせるスライド機構(不図示)を備えるようにしてもよい。
【0025】
試料は、分析流路120,123の内部を矢印300の方向に移動し、分析流路120を通じて分離カラム115に入り、分析流路123を通じて分離カラム115から出る。従って、分離カラム115の一端(入口)及び他端(出口)にはそれぞれ分析流路120,123が接続される。
【0026】
液体クロマトグラフ100は、接続部112に、ステージ301と、ヒートブロック302と、カラムヒートブロック303と、カラムカートリッジ304と、フィッティングホルダ305,307と、圧縮ばね306と、加熱装置309と、温度センサ310と、スライド機構700と、開放検知センサ312と、接続検知センサ313と、読取装置314と、支持台318とを備える。
【0027】
カラムヒートブロック303は、カラムカートリッジ304に形成された開口部(不図示)に配置され、ヒートブロック302と接触する。つまり、ヒートブロック302はカラムカートリッジ304に形成された開口部(不図示)に配置されたカラムヒートブロック303を介して分離カラム115に接触する。加熱装置309は、分離カラム115を加熱する。温度センサ310は分離カラム115の温度を測定する。温度センサ310はヒートブロック302の温度を測定するが、ヒートブロック302、カラムヒートブロック303、分離カラム115のいずれかを測定してもよい。
【0028】
図3は、スライド機構700のブロック図である。スライド機構700は、分離カラム115又は分析流路123である構造物のうち、載置された分離カラム115(一方の構造物)に対する分析流路123(他方の前記構造物)のスライドにより、分離カラム115と分析流路123とを接続するものである。スライド機構700を備えることで、分離カラム115又は分析流路123の少なくとも一方のスライドにより、これらを接続できる。図示の例では、スライド機構700は、分析流路123をスライドさせる。
【0029】
スライド機構700は、モータ701と、クランクアーム315と、直動ガイド308とを備える。モータ701は、屈曲するクランクアーム315を介して分析流路123に接続され、クランクアーム315により、モータ701の回転駆動力が分析流路123の分離カラム115への方向に推進力に変換される。モータ701を備えることで、モータ701を用いて分析流路123をスライドでき、使用者への負担を軽減できる。
【0030】
モータ701の例えば回転速度、トルク、回転のタイミング等は、制御装置101により制御される。また、モータ701を小型化(省力化)したい場合には、モータ701とクランクアーム315との間に減速機構(不図示)を設置することで、小さなモータ701でも大きな力を得ることができる。
【0031】
モータ701は、回転駆動軸(不図示)を回転させるモータ本体702と、ロック機構200として、モータ本体702への非通電時に回転駆動軸を固定する軸固定機構703と、を備える。モータ本体702への非通電時においても回転駆動軸が回転し得るが、軸固定機構703を備えることで、非通電時に回転駆動軸を固定でき、分析流路123のスライドを制限できる。第1実施形態では、軸固定機構703によって、分離カラム116,117に接続されたモータ本体702の回転駆動軸が固定される。これにより、分離カラム116,117と分析流路123との接続を維持し、分離カラム116,117の意図しない取り外しを抑制できる。
【0032】
ロック機構200は、取り外しの対象となる分離カラム115以外の分離カラム116,117(図1)の取り外しを制限するものである。分離カラム115の交換作業時、ロック機構200により、取り外しの対象となる分離カラム115は取り外すことができる一方で、取り外しの対象以外の分離カラム116,117はロックされている。これにより、分離カラム116,117の意図しない取り外しを抑制できる。
【0033】
ロック機構200は、スライド機構700による分析流路123のスライドを制限する。これにより、ロック機構200によるロック時には、分離カラム115と分析流路123との接続解除を抑制でき、意図しない分離カラム115の取り外しを抑制できる。
【0034】
図4は、分離カラム115を識別する媒体601を説明する図である。液体クロマトグラフ100は、設置された分離カラム115を識別する情報を含む媒体601に記録された情報を読み取る読取装置314(図2)を備える。読取装置314を備えることで、分離カラム115を識別できるため、設置誤り等を抑制できる。なお、図示はしないが、分離カラム116,117も同様に、媒体(不図示)を有する。
【0035】
媒体601は、図示の例では、分離カラム115を収容したカラムカートリッジ304の側面に付されているが、分離カラム115に直接付されてもよい。媒体601は、例えば、一次元コード、二次元コード、記号、RFIDタグ等でもよいし、例えば媒体601に記録された固有の番号と、制御装置101(図1)に記憶された番号と識別情報との関係を示したデータベース(不図示)とに基づき、分離カラム115を識別してもよい。
【0036】
媒体601は、図示の例では、識別子であるRFIDタグである。媒体601は、分離カラム115を載置した状態で読み取られる。分離カラム115の交換時、読取装置314は、媒体601を付した分離カラム115の種類、製造番号、どの接続部112,113,114(図1)に設置されているか等の各情報を読み取る。制御装置101は、分離カラム115の使用回数を計上し、表示装置102により交換時期を知らせる。分離カラム115の交換の際、交換される分離カラム115に付された媒体601には使用済みの記録が書き込まれることで、再利用を抑制できる。
【0037】
開放検知センサ312(第2センサ)は、分離カラム115の他端側である下流側への分析流路123の非接続を検知する。接続検知センサ313(第1センサ)は、分離カラム115の一端側である上流側への分析流路120の接続を検知する。開放検知センサ312及び接続検知センサ313は、いずれも具体的構成は任意であるが、例えば、下方から上方に照射した光の遮蔽、反射等によって構造物を検出可能な光センサを使用できる。
【0038】
開放検知センサ312は、分析流路123と一体に構成されたフィッティングホルダ307を検知する。図示の例では、開放検知センサ312の上方にフィッティングホルダ307が存在していないので、開放検知センサ312は非検知である。一方で、詳細は、図6を参照して後記するが、開放検知センサ312は、フィッティングホルダ307を分離カラム115から最も離れた位置に配置したときに、フィッティングホルダ307を検知する。この検知により、分離カラム115と分析流路123との接続解除が検知される。
【0039】
接続検知センサ313は、分離カラム115の紙面左方への移動により支持台318の側方に突出したシャフト317を検知する。図示の例では、分離カラム115と分析流路123とが同軸上に配置される。このため、分離カラム115の側方に配置されたシャフト317は圧縮ばね306を押し込んで支持台318の側方に突出する。この結果、接続検知センサ313はシャフト317を検知し、分離カラム115と分析流路123との接続が検知される。
【0040】
制御装置101(図1)は、開放検知センサ312又は接続検知センサ313の何れかのセンサの検知時にロック機構200による制限を行う。このようにすることで、非接続及び接続のいずれにおいてもスライドが制限される。これにより、非接続状態では分離カラム115を取り外し易くでき、接続状態においては分離カラム115の意図しない取り外しを抑制できる。図示の例では、開放検知センサ312が非検知であり、接続検知センサ313が検知であるから、ロック機構200によりロックされる。
【0041】
図5は、分離カラ115ムの取り外し時を説明する図であり、ロック機構200の解除により、分析流路123をスライドさせている状態である。この状態では、開放検知センサ312の上方にはフィッティングホルダ307が存在せず、開放検知センサ312は非検知である。一方で、圧縮ばね306の復元力によりシャフト317は支持台318の左方には突出せず、接続検知センサ313は非検知である。従って、接続検知センサ313及び開放検知センサ312の双方とも非検知であるため、ロック機構200による制限が行われない。ロック機構200によるロック解除により、モータ本体702(図3)の回転駆動軸が回転可能になる。
【0042】
ロック機構200(図3)を解除した状態でモータ本体702(図3)を通電することで、分離カラム115と分析流路123との接続が解除される。これにより、分離カラム115と分析流路123とを分離し、詳細は図7を参照して後記するが、分離カラム115を液体クロマトグラフ100から取り外すことができる。図示の例では、モータ本体702(図3)への通電により、分析流路123が分離カラム115から遠ざかる方向にスライドする。これにより、分離カラム115と分析流路123との接続が解除される。
【0043】
図6は、分離カラム115の取り外し時を説明する図であり、ロックを解除した状態で分析流路123をロックした状態である。分析流路123を分離カラム115から遠ざかる方向にスライドさせると、やがて直動ガイド308はスライド可能な最も遠い場所に至る。これとともに、スライド機構700によるスライドが停止する。また、開放検知センサ312は直動ガイド308を検知し、非接続が検知される。一方で、接続検知センサ313は、上記の図5を参照した場合と同様に非検知である。従って、開放検知センサ312が検知されているから、ロック機構200によるスライドの制限が行われる。これにより、分析流路123が分離カラム115から最も離れた位置でロックされるため、分析流路123の影響を受けずに、分離カラム115を取り外すことができる。
【0044】
このように、更に、ロック機構200(図3)は、分離カラム115と分析流路123との接続を解除した状態で、図6に示すように分析流路123のスライドを制限する。分離カラム115と分析流路123との接続を解除した状態で分析流路123のスライドが制限されているので、分離カラム115を容易に取り外すことができる。
【0045】
なお、分離カラム115の取り付け時には、以上の処理とは反対の処理が行われる。即ち、図6に示す状態で、使用者が分離カラム115を交換し、新しい分離カラム115の一端側が分析流路120に押し付けられる。次いで、スライド機構700により、図6図5及び図2の順で、分析流路123が分離カラム115に近づける方向にスライドされる。これにより、分離カラム115と分析流路123とを接続できる。
【0046】
図7は、分離カラム115の取り外し方法(分析装置の制御方法)を説明するフローチャートである。分離カラム116,117(図1)についても、図7と同様にして取り外すことができる。図7の説明は、適宜図1を参照して行う。分離カラム115の取り外し方法は、ステップS1~S12を含む。
【0047】
制御装置101は、分離カラム115の有効使用回数、有効期限超過等により、分離カラム115の交換をすべき旨を表示装置102に表示する(ステップS1)。又は、使用者が入力装置1021を指示することで、制御装置101に対して分離カラム115の交換を指示する(ステップS1)。制御装置101は、接続部112を示すLEDスイッチ201又は表示装置102の少なくとも一方を通じ、取り外し対象となる分離カラム115を使用者に報知する(ステップS2)。
【0048】
次いで、制御装置101は、分離カラム115での分析終了の検知をトリガーとしてロック機構200(図3)による取り外しの制限を解除する。このようにすることで、分析終了により分離カラム115が取り外し可能な状態となるため、分析終了の検知により、分離カラム115の取り外しの時期を把握できる。
【0049】
具体的には、制御装置101は、分離カラム115の温度、又は、分析流路120又は分離カラム115の少なくとも一方の内圧、の少なくとも一方が所定値以下のときに、ロック機構200(図3)による取り外しの制限を解除する(ステップS3)。温度は、例えば温度センサ310(図2)による測定値を採用できる。
【0050】
制御装置101は、分離カラム115の温度が所定値以下となったときに、ロック機構200(図3)による取り外しの制限を解除する(ステップS3の前半)。これにより、運転中には加熱装置309(図3)によって昇温した分離カラム115が分析終了による加熱停止によって降温した場合に、分離カラム115の温度に基づいて分析終了を把握できる。これにより、取り外しを適切な時期に実行できる。また、例えば作業員が触れ易い温度等の所定値以下の状態で制限を解除することで、作業員による取り外しを容易に実行できる。
【0051】
更には、例えば、制御装置101は、分析流路120又は分離カラム115の少なくとも一方の内圧が所定値以下となったときに、ロック機構200による取り外しの制限を解除する(ステップS3の後半)。これにより、運転中には高圧となる分析流路120又は分離カラム115の少なくとも一方の内圧が分析終了によって降圧した場合に、圧力に基づいて分析終了を把握することで、取り外しを適切な時期に実行できる。例えば大気圧に近い状態を示す所定値以下の状態で制限を解除することで、分析流路120又は分離カラム115のうちの少なくとも一方からの意図しない試料の漏出を十分に抑制できる。分析流路120又は分離カラム115の少なくとも一方の内圧は、図示の例えば、送液ポンプ106の圧力として測定できる。
【0052】
ステップS3において、所定値を超えることで「異常」と判断された場合、分離カラム115の交換作業は中止となり、制御装置101は、システムアラームとして、LEDスイッチ201又は表示装置102の少なくとも一方により報知する(ステップS4)。一方で、ステップS3において、所定値以下で「正常」と判断された場合、制御装置101は、LEDスイッチ201又は表示装置102の少なくとも一方を用いて使用者に報知する(ステップS5)。これにより、使用者は、交換対象となる分離カラム115を把握できる。
【0053】
使用者は、LEDスイッチ201の押下又は表示装置102でのボタンを押下する(ステップS6)。これにより、制御装置101は、ロック機構200(図3)である軸固定機構703(図3)を解除する(ステップS7)。制御装置101は、モータ本体702(図3)に電気信号を送ることで通電し、分離カラム115と分析流路123との接続を解除する(ステップS8)。接続解除後、制御装置101は、開放状態が正しいか否かを判断する(ステップS9)。具体的には、制御装置101は、図6に示すように、開放検知センサ312が分析流路123の非接続を検知したときに、開放状態が正しいと判断する。正しくない場合(No)、上記のステップS4と同様に、分離カラム115の交換作業は中止となる(ステップS10)。
【0054】
一方で、開放状態が正しい場合(Yes)、制御装置101は、ロック機構200(図3)である軸固定機構703を駆動させる(ステップS11。ロック工程)。これにより、モータ本体702(図3)の回転駆動軸が固定され、スライドが制限される。ステップS11は、並列に接続され、取り外し可能な複数の分離カラム115,116,117のうち、取り外しの対象となる分離カラム115以外の分離カラム116,117の取り外しをロック機構200によって制限するステップである。そして、接続解除が完了し、使用者が分離カラム115を取り外すことができる(ステップS12)。
【0055】
図8は、LEDスイッチ201の発光パターンを説明する図である。ステップS1~S12(図7)では、適宜、図8に示す発光パターンA~Eの何れか1つが選択されて発光する。発光パターンAは、消灯である。発光パターンAは、接続した分離カラム115を使用中に使用される。発光パターンBは、例えば緑色(LEDスイッチ201の色は緑に限定されない。以下同じ)の点滅である。発光パターンBは、分離カラム115の交換時に、使用者がLEDスイッチ201を押す迄の作業待ちの場合に使用される。
【0056】
発光パターンCは、例えば緑色の2連点滅(2回続けて点滅した後に消灯する)である。発光パターンCは、分離カラム115の取り外し及び取り付け作業時(後記)において、使用者が交換作業中に使用される。発光パターンDは、例えば緑色の高速点滅である。発光パターンDは、システムアラームが発行されるときに使用される。発光パターンEは、緑の点灯である。発光パターンEは、分離カラム115の交換作業において液体クロマトグラフ100(図1)が稼働中の場合に使用される。
【0057】
図9は、分離カラム115の取り外し時において、ステップS1~S12毎のLEDスイッチ201の発光パターンを説明する図である。ステップS1,S12では、発光パターンAが使用される。ステップS5では、発光パターンBが使用される。ステップS11では、発光パターンCが使用される、ステップS4,S10では、発光パターンDが使用される。ステップS2,S7,S8では、発光パターンEが使用される。
【0058】
なお、ステップS3では、ステップS2での発光パターンEが継続して使用される。ステップS6では、ステップS5での発光パターンBが継続して使用される。ステップS9では、ステップS8での発光パターンEが継続して使用される。
【0059】
図10は、分離カラム115の取り付け方法を説明するフローチャートである。分離カラム116,117(図1)についても、図10と同様にして取り付けることができる。図10の説明は、適宜図1を参照して行う。分離カラム115の取り付け方法は、ステップS21~S32を含む。
【0060】
制御装置101は、対応するLEDスイッチ201又は表示装置102の少なくとも一方により、取り付ける対象となる分離カラム115を使用者に報知する(ステップS21)。この時点では、接続部112に分離カラム115は取り付けられていない。また、軸固定機構703(図3)は、スライド機構700(図2)によるスライドを制限している。使用者が、交換対象の接続部112に分離カラム115を設置する(ステップS22)。設置完了後、使用者は、LEDスイッチ201の押下、又は、表示装置102のボタン(不図示)の押下の少なくとも一方を行う(ステップS23)。これにより、制御装置101は、軸固定機構703(図3)による固定を解除する(ステップS24)これとともに、制御装置101は、モータ本体702(図3)への電気信号の送信による通電により、分析流路123の分離カラム115に向けたスライドを開始させる(ステップS25)。
【0061】
制御装置101は、接続状態が正しいか否かを判断する(ステップS26)。具体的には、制御装置101は、接続検知センサ313(図2)が分析流路123の接続を検知したときに、接続状態が正しいと判断する。正しくない場合(No)、上記のステップS4と同様に、分離カラム115の交換作業は中止となる(ステップS27)。一方で、正しい場合(Yes)、制御装置101は、分離カラム115の媒体601(図3)の読み取りが正常か否かを判断する(ステップS28)。例えば既定された検知状態でない場合、媒体601を正常に読み取れない場合等、読み取りが正常ではない場合(No)、上記のステップS4と同様に、分離カラム115の交換作業は中止となる(ステップS29)。一方で、正しい場合(Yes)、制御装置101は、軸固定機構703(図3)による固定を行い、接続を固定する(ステップS30)。これにより、分離カラム115と分析流路123との接続が完了する。
【0062】
次いで、制御装置101は、加熱装置309(図2)及び送液ポンプ106(図1)の動作を開始し(ステップS31)、分離カラム115の平衡化を開始する(ステップS32)。
【0063】
図11は、分離カラム115の取り付け時において、ステップS21~S32(図10)毎のLEDスイッチ201の発光パターンを説明する図である。図11に示す発光パターンA~Eは、上記の図8に示す発光パターンA~Eと同じである。
【0064】
ステップS32では、発光パターンAが使用される。ステップS22では、発光パターンBが使用される。ステップS21では、発光パターンCが使用される、ステップS27では、発光パターンDが使用される。ステップS24,S25,S30,S31,S32では、発光パターンEが使用される。
【0065】
なお、ステップS23では、ステップS22での発光パターンBが継続して使用される。ステップS26では、ステップS25での発光パターンEが継続して使用される。ステップS28では、ステップS25,S26での発光パターンDが継続して使用される。ステップS29では、ステップS27,S28での発光パターンDが継続して使用される。
【0066】
上記の特許文献1の図11に示すモータは、非通電時に回転駆動軸が回転し得る。しかし、第1実施形態の液体クロマトグラフ100によれば、分離カラム115,116,117の取り付け後、モータ701(図3)に備えられる軸固定機構703(ロック機構200)を用いて、取り付けた分離カラム115,116,117を固定できる。これにより、モータ本体702の意図しない駆動を抑制でき、意図しない分離カラム115,116,117の取り外しを抑制できる。
【0067】
図12は、第2実施形態の液体クロマトグラフ1001の系統図である。液体クロマトグラフ1001は、LEDスイッチ201,202,203(図1)を備えないこと以外は、液体クロマトグラフ100(図1)と同じである。液体クロマトグラフ1001は、報知装置としての表示装置102を備え、上記の図8を参照して説明した内容と同じ内容が、表示装置102に表示される。
【0068】
上記の特許文献1に記載の技術では、例えば取り外しの状態を表示することについて記載されていない。しかし、第2実施形態の液体クロマトグラフ1001によれば、使用者が表示装置102に表示された内容を把握して作業できるため、容易に作業できる。また、表示装置102を通じて使用者に情報を伝達できるため、表示装置102に表示される情報量を増やすことで、使用者の作業に関する理解をサポートできる。また、部品点数を削減できる。
【0069】
図13は、第3実施形態の液体クロマトグラフ1002において、分離カラム115の取り外し時を説明する図であり、分析流路123と分離カラム115とを接続した状態である。なお、取り付けは、後記する図15図14図13の順で行うことができる。
【0070】
液体クロマトグラフ1002は、ロック機構200として、軸固定機構703(図3)に代えてソレノイドロック311を備える。また、液体クロマトグラフ1002に備えられるスライド機構700は、更に、使用者の操作により分析流路123(他方の構造物)をスライドさせるレバー316を備える。液体クロマトグラフ1002におけるこれらの点以外は、液体クロマトグラフ100(図1)と同じである。
【0071】
ソレノイドロック311は、分析流路123と一体に構成された直動ガイド308の分離カラム115側に配置される。ソレノイドロック311は、非通電時に直動ガイド308の側端側(分離カラム115とは反対側)に突出する。これにより、スライド機構700のスライドが制限される。一方で、ソレノイドロック311は、詳細は後記するが、通電時に直動ガイド308の他端側で下方に引っ込み、分析流路123のスライド制限が解除される。従って、ソレノイドロック311により、通電の有無によって分析流路123のスライドの可否を制御できる。
【0072】
図14は、第3実施形態の液体クロマトグラフ1002において、分離カラム115の取り外し時を説明する図であり、レバー316の引き上げにより、分析流路123をスライドさせている状態である。レバー316は、クランクアーム315と一体に構成される。レバー316の引き上げにより、回動軸331,332,333の回動によって力の方向が変更され、分析流路123が分離カラム115から遠ざかる方向にスライドする。レバー316により、簡易な構造で使用者が分析流路123をスライドできる。
【0073】
ソレノイドロック311の通電により、上記のように、分析流路123のスライド制限が解除される。この状態で使用者がレバー316を引き上げると、図14に示すように、分析流路123が分離カラム115から遠ざかる方向にスライドする。このとき、開放検知センサ312は非検知であり、接続検知センサ313も非検知である。
【0074】
図15は、第3実施形態の液体クロマトグラフ1002において、分離カラム115の取り外し時を説明する図であり、接続を解除した状態で分析流路123をロックした状態である。使用者がレバー316を完全に押し上げると、開放検知センサ312がフィッティングホルダ307を検知する。これにより、ソレノイドロック311が突出し、直動ガイド308の分離カラム115側で直動ガイド308を固定する。一方で、シャフト317は、圧縮ばね306の復元力により、支持台318の外側には突出しない。これにより、接続検知センサ313は非検知となる。
【0075】
図16は、第3実施形態の液体クロマトグラフ1002において、分離カラム115の取り外し方法(分析装置の制御方法)を説明するフローチャートである。図16において、上記図7と同じステップについては同じステップ番号を付し、説明を省略する。
【0076】
ステップS1~S6が行われた後、制御装置101(図1)は、接続部112のソレノイドロック311を通電状態にすることで、ロック機構200(図13)によるロックを解除する(ステップS37。ステップS7(図7)に相当)。次いで、使用者は、レバー316を引き上げることで、分析流路123と分離カラム115との接続が解除される(ステップS38。ステップS8(図7)に相当)。そして、ステップS9,S10が行われた後、制御装置101(図1)は、接続部112のソレノイドロック311を非通電状態にすることで、ロック機構200によるロックを行う(ステップS41。ステップS11(図7)に相当)。これにより、分離カラム115の取り外し作業中に分析流路123の意図しないスライドを抑制できる。最後に、ステップS12が行われる。
【0077】
図17は、第3実施形態の液体クロマトグラフ1002において、分離カラム115の取り付け方法を説明するフローチャートである。図17において、上記図10と同じステップについては同じステップ番号を付し、説明を省略する。
【0078】
ステップS21~S23が行われた後、制御装置101(図1)は、接続部112のソレノイドロック311を通電状態にすることで、ロック機構200(図13)によるロックを解除する(ステップS44。ステップS24(図10)に相当)。次いで、使用者は、レバー316を押し下げることで、分析流路123と分離カラム115との接続を行う(ステップS45。ステップS25(図10)に相当)。そして、ステップS26~S29が行われた後、制御装置101(図1)は、接続部112のソレノイドロック311を非通電状態にすることで、ロック機構200によるロックを行う(ステップS50。ステップS30(図10)に相当)。これにより、分析流路123と分離カラム115との接続が固定され、意図しない分離カラム115の取り外しを抑制できる。そして、ステップS31,S32が行われる。
【0079】
上記の特許文献1に記載の技術では、分離カラムの取り外しの具体的方法について記載されていない。しかし、第3実施形態の液体クロマトグラフ1002によれば、ソレノイドロック311をロック機構200として使用することで、レバー316を用いた意図しない分離カラム115の取り外しを抑止できる。また、非通電状態でロック状態となるソレノイドロック311を使用することで、フェイルセーフ機能を発揮できる。更には、レバー316を用いたスライドにより、装置構成を簡便化できる。
【0080】
図18は、第4実施形態の液体クロマトグラフ1003において、分離カラム115の取り外し時を説明する図であり、分析流路123と分離カラム115とを接続した状態である。なお、取り付けは、後記する図20図19図18の順で行うことができる。
【0081】
液体クロマトグラフ1003は、ロック機構200として、軸固定機構703(図3)に代えてソレノイドロック311を備えること以外は、液体クロマトグラフ100(図1)と同じである。液体クロマトグラフ1003のモータ701に備えられるモータ本体702の回転駆動軸(不図示)は、軸固定機構703を備えないため、非通電時においても回転し得る。そこで、ソレノイドロック311により、分析流路123と一体に構成された直動ガイド308をロックすることで、スライドを抑制できる。これにより、意図しない接続解除を抑制して、分離カラム115の意図しない取り外しを抑制できる。
【0082】
ソレノイドロック311の駆動は、上記の第3実施形態と同様に行われる。例えば、ソレノイドロック311が直動ガイド308の分離カラム115の側に突出することで、分析流路123の分離カラム115の方向へのスライドが抑制される。
【0083】
図19は、第4実施形態の液体クロマトグラフ1003において、分離カラム115の取り外し時を説明する図であり、ロックを解除した状態で分析流路123をスライドさせている状態である。ロック機構200のロック解除時、モータ本体702への通電により回転駆動軸(不図示)が回転し、直動ガイド308と一体になった分析流路123が分離カラム115の方向にスライドする。
【0084】
図20は、第4実施形態の液体クロマトグラ1003において、分離カラム115の取り外し時を説明する図であり、接続を解除した状態で分析流路123をロックした状態である。ソレノイドロック311が直動ガイド308の分離カラム115側で突出することで、直動ガイド308の分離カラム115の方向へのスライドが抑制される。
【0085】
上記の特許文献1の図11に示すモータは、非通電時に回転駆動軸が回転し得る。しかし、第4実施形態の液体クロマトグラフ1003によれば、ソレノイドロック311を使用してモータのスライドを制限し、ロックできる。
【0086】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1,2,3 ストリーム
100,1001,1002,1003 液体クロマトグラフ(分析装置)
101 制御装置
102 表示装置(報知装置)
1021 入力装置
103,104,105 分離部
106,107,108 送液ポンプ
109,110,111 試料注入バルブ
112,113,114 接続部
115,116,117 分離カラム
118 流路切替バルブ
119 質量分析計
120,121,122,123,124,125 分析流路
200 ロック機構
201,202,203 LEDスイッチ(報知装置)
301 ステージ
302 ヒートブロック
303 カラムヒートブロック
304 カラムカートリッジ
305,307 フィッティングホルダ
306 圧縮ばね
308 直動ガイド
309 加熱装置
310 温度センサ
311 ソレノイドロック(ロック機構)
312 開放検知センサ(第2センサ)
313 接続検知センサ(第1センサ)
314 読取装置
315 クランクアーム
316 レバー
317 シャフト
318 支持台
331,332,333 回動軸
601 媒体
700 スライド機構
701 モータ
702 モータ本体
703 軸固定機構(ロック機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20