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特許7605970多段階回転調節クロスフローを含むプラズマチャンバ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】多段階回転調節クロスフローを含むプラズマチャンバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241217BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241217BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20241217BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H01L21/02 Z
H05H1/46 A
H01L21/302 101C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023517350
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 US2021046262
(87)【国際公開番号】W WO2022060509
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】17/023,186
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, ケネス エス.
(72)【発明者】
【氏名】ライス, マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】カルドゥッチ, ジェームズ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ラーマスワーミ, カーティク
(72)【発明者】
【氏名】バラクリシュナ, アジト
(72)【発明者】
【氏名】ラウフ, シャヒッド
(72)【発明者】
【氏名】ケニー, ジェイソン
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-110728(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0110390(US,A1)
【文献】特表2002-517086(JP,A)
【文献】特表2019-537240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/00-21/02
H01L 21/04-21/16
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
H05H 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバであって、
1つ以上の側壁と、
ワークピースを保持するための、前記1つ以上の側壁内の支持表面と、
第1の方向に、前記ワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入するための、前記1つ以上の側壁に沿って配置された第1のガスインジェクタであって、該第1のガスインジェクタの垂直方向の位置が、前記支持表面よりも上である、第1のガスインジェクタと、
前記第1のガス流を排出するための、前記第1のガスインジェクタの概ね反対側の前記1つ以上の側壁に沿って配置された第1のポンプポートであって、該第1のポンプポートの垂直方向の位置が、前記第1のガスインジェクタの前記垂直方向の位置から下方にずれている、第1のポンプポートと、
前記第1の方向とは異なる第2の方向に、前記ワークピースの前記表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入するための、前記1つ以上の側壁に沿って配置された第2のガスインジェクタであって、該第2のガスインジェクタの垂直方向の位置が、前記支持表面よりも上である、第2のガスインジェクタと、
前記第2のガス流を排出するための、前記第2のガスインジェクタの概ね反対側の前記1つ以上の側壁に沿って配置された第2のポンプポートであって、該第2のポンプポートの垂直方向の位置が、前記第2のガスインジェクタの前記垂直方向の位置から下方にずれている、第2のポンプポートと、
を備えた、プラズマ処理チャンバ。
【請求項2】
前記プラズマ処理チャンバが、前記第1のガスインジェクタ及び前記第2のガスインジェクタと、前記第1のポンプポート及び前記第2のポンプポートと、を使用して、前記1つ以上の側壁から横方向に前記ワークピースに亘って前記第1のガス流及び前記第2のガス流を回転させて、多段階回転クロスフロー動作を提供するよう構成され、前記多段階回転クロスフロー動作が少なくとも2段階サイクルを含む、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項3】
前記第1のガスインジェクタ及び前記第2のガスインジェクタが、前記1つ以上の側壁の開口内に位置する、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項4】
前記第1のポンプポート及び前記第2のポンプポートの前記垂直方向の位置が、前記支持表面と前記プラズマ処理チャンバの底面との間の位置である、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項5】
前記第1のガス流と前記第2のガス流とをオン/オフして切り替えて、ガス流の回転を制御する、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項6】
前記第1のガス流及び前記第2のガス流の少なくとも一方の流量に対して適用される又は前記第1のポンプポート及び前記第2のポンプポートの少なくとも一方によって生じる出口コンダクタンスに対して適用される調節機能をさらに含む、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項7】
前記プラズマ処理チャンバが、第3のガスインジェクタと、対向する第3のポンプポートと、をさらに備え、第3のインジェクタ・ポンプポートの対、及び3段階回転クロスフロー動作を提供する、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項8】
前記第1のガスインジェクタ及び前記第2のガスインジェクタの少なくとも一方が、前記1つ以上の側壁における単一のベントを含む、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項9】
前記第1のガスインジェクタ及び前記第2のガスインジェクタが、個別ガスインジェクタのガスインジェクタアレイを含む、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項10】
プラズマ処理チャンバ内で回転ガスクロスフローを実施する方法であって、前記方法が、
第1の段階の間に、プラズマ処理チャンバの1つ以上の側壁に沿った第1の位置の第1のガスインジェクタによって、第1の方向に、デバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入すること、及び、前記第1のガスインジェクタに概ね対向し、かつ垂直方向において前記第1の位置よりも下方にずらされた、前記1つ以上の側壁に沿った第2の位置の第1のポンプポートによって、前記プラズマ処理チャンバから前記第1のガス流を排出することと、
第2の段階の間に、前記1つ以上の側壁に沿った第3の位置の第2のガスインジェクタによって、前記第1の方向とは異なる第2の方向に、前記デバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入すること、及び、前記第2のガスインジェクタに概ね対向し、かつ垂直方向において前記第3の位置よりも下方にずらされた、前記1つ以上の側壁に沿った第4の位置の第2のポンプポートによって、前記プラズマ処理チャンバから前記第2のガス流を排出することと、
を含む、方法。
【請求項11】
機械学習(ML:machine learning)モデルにクエリして、前記第1のガス流及び前記第2のガス流のタイミングを制御することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1つ以上のデバイスアウトカムを選択することと、
前記MLモデルにクエリして、前記回転ガスクロスフローを含む前記プラズマ処理チャンバによって処理されたときに前記デバイスアウトカムを得るために適したプロセスレシピの推奨を取得することと、
によって、前記デバイスのための半導体製造プロセスレシピを策定することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ウエハのセットに対して実験計画(DoE:design of experiment)を実行して、前記MLモデルによって推奨された前記プロセスレシピを検証することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセスレシピとして、温度、RF源電力、バイアス電力、ガス圧力(mTorr)、ガス流ランプ開時間(msec)、ガス流時間(msec)、ガス流ランプ閉時間(msec)、様々なガスインジェクタにおけるガス流量の割合、様々なインジェクタにおけるガス組成、様々なインジェクタにいくガス流量の割合、ガス流回転周波数、ガス流組成周波数、ガス流量レート/速度(圧力勾配)、ガス流方向、ガス回転段階、電子/プラズマ密度、プラズマ密度勾配、電子温度、イオン流密度、プラズマ電位、シース電場電位、シース電場傾斜角、シース電場z成分、原子Oの質量分率、Oフラックス、及びワークピースに対するイオン流密度、のうちの任意の組み合わせを受け取ることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
プラズマ処理チャンバであって、
1つ以上の側壁と、
ワークピースを保持するための、前記1つ以上の側壁内の支持表面と、
前記1つ以上の側壁に沿った第1の位置であって、垂直方向において前記支持表面よりも上の第1の位置に配された、第1のガスインジェクタと、
前記第1のガスインジェクタに概ね対向し、かつ垂直方向において前記第1の位置よりも下方にずらされた、前記1つ以上の側壁に沿った第2の位置の第1のポンプポートと、
前記1つ以上の側壁に沿った第3の位置であって、垂直方向において前記支持表面よりも上の第3の位置に配された、第2のガスインジェクタと、
前記第2のガスインジェクタに概ね対向し、かつ垂直方向において前記第3の位置よりも下方にずらされた、前記1つ以上の側壁に沿った第4の位置の第2のポンプポートと、
前記プラズマ処理チャンバに接続されたコントローラと
を備え、
前記コントローラが、多段階回転クロスフロー動作であって、
前記第1のガスインジェクタによって、第1の方向に前記ワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入すること、及び前記第1のポンプポートによって前記第1のガス流を排出することを含む第1の段階、並びに、
前記第2のガスインジェクタによって、前記第1の方向とは異なる第2の方向に、前記ワークピースの前記表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入すること、及び前記第2のポンプポートによって前記第2のガス流を排出することを含む第2の段階
を少なくとも含む多段階回転クロスフロー動作を行うように構成されている、プラズマ処理チャンバ。
【請求項16】
前記第1のガスインジェクタに接続された第1のガス注入弁、前記第2のガスインジェクタに接続された第2のガス注入弁、前記第1のポンプポートに接続された第1の圧力制御弁、及び前記第2のポンプポートに接続された第2の圧力制御弁をさらに含む、請求項15に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項17】
プラズマ処理チャンバであって、
1つ以上の側壁と、
ワークピースを保持するための、前記1つ以上の側壁内の支持表面と、
前記1つ以上の側壁に沿った第1の位置の第1のガスインジェクタと、
前記第1のガスインジェクタに概ね対向している、前記1つ以上の側壁に沿った第2の位置の第1のポンプポートと、
前記1つ以上の側壁に沿った第3の位置の第2のガスインジェクタと、
前記第2のガスインジェクタに概ね対向している、前記1つ以上の側壁に沿った第4の位置の第2のポンプポートと、
前記第1のガスインジェクタに接続された第1のガス注入弁、前記第2のガスインジェクタに接続された第2のガス注入弁、前記第1のポンプポートに接続された第1の圧力制御弁、及び前記第2のポンプポートに接続された第2の圧力制御弁と、
前記プラズマ処理チャンバに接続されたコントローラと
を備え、
前記コントローラが、多段階回転クロスフロー動作であって、
前記第1のガス注入弁を完全に開きかつ前記第2のガス注入弁を部分的に開くことで、第1の方向に前記ワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入すること、及び、前記第1の圧力制御弁を開き、かつ前記第2の圧力制御弁を閉じることで、前記第1のポンプポートによって前記第1のガス流を排出することを含む第1の段階、並びに、
少なくとも前記第2のガスインジェクタによって、前記第1の方向とは異なる第2の方向に、前記ワークピースの前記表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入すること、及び前記第2のポンプポートによって前記第2のガス流を排出することを含む第2の段階
を少なくとも含む多段階回転クロスフロー動作を行うように構成されている、プラズマ処理チャンバ。
【請求項18】
前記コントローラが、
前記第1の段階と前記第2の段階との間の移行部付近で前記第1のガス注入弁を閉じ始め、第2の段階を開始するために前記第2のガス注入弁を完全に開きかつ前記第1のガス注入弁を部分的に開くことで、ガス流の方向を回転させることと、
前記第2の圧力制御弁を開き、かつ前記第1の圧力制御弁を閉じることと、
を行うようさらに構成される、請求項17に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項19】
ソフトウェア命令が格納された非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行されると、以下のステップ、即ち、
第1の段階の間に、プラズマ処理チャンバの1つ以上の側壁に沿った第1の位置の第1のガスインジェクタによって、第1の方向にデバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入すること、及び、前記第1のガスインジェクタに概ね対向し、かつ垂直方向において前記第1の位置よりも下方にずらされた、前記1つ以上の側壁に沿った第2の位置の第1のポンプポートによって、前記プラズマ処理チャンバから前記第1のガス流を排出することと、
第2の段階の間に、前記1つ以上の側壁に沿った第3の位置の第2のガスインジェクタによって、第2の方向に、前記デバイスの前記表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入すること、及び、前記第2のガスインジェクタに概ね対向し、かつ垂直方向において前記第3の位置よりも下方にずらされた、前記1つ以上の側壁に沿った第4の位置の第2のポンプポートによって、前記プラズマ処理チャンバから前記第2のガス流を排出することと、
を含むステップを実行することによって、前記プロセッサに、プラズマ処理チャンバ内のガスクロスフローを回転させるようにする、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
機械学習(ML:machine learning)モデルにクエリして、前記第1のガス流及び前記第2のガス流のタイミングを制御することをさらに含む、請求項19に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2020年9月16日に出願された米国特許非仮出願第17/023,186号の優先権を主張し、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は、半導体処理の分野に関し、特に、回転する調節されたクロスフローを含むプラズマチャンバに関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマエッチング中、堆積中、又は他の処理プロセス中には、半導体ウエハといったワークピースが、密閉されたプラズマリアクタチャンバに挿入され、ガスが、ウエハの上のチャンバ内に注入され、その後チャンバから排出される。プラズマチャンバはしばしば、(1)平行平板型容量結合プラズマ(CCP:capacitively coupled plasma)源であって、1の電極が、プラズマに面した自身の表面上にワークピースを有し、他の電極がプラズマに面した表面上にガス注入孔のアレイ(シャワーヘッド)を有する、平行平板型容量結合プラズマ(CCP:capacitively coupled plasma)源、又は、(2)誘導結合プラズマ(ICP)若しくはマイクロ波源であって、ワークピースに概ね対向し当該ワークピースに面する高周波(RF:radio-frequency)ウィンドウと、当該ウィンドウ内若しくは当該ウィンドウの近くのガス注入孔のアレイと、を含む、誘導結合プラズマ(ICP)若しくはマイクロ波源を備える。
【0004】
先に記載の軸対称的なガス流のアプローチでは、圧力勾配及び濃度勾配によって、ワークピースの中心と端とで処理に差が発生する。加えて、高密度プラズマへの接近又は高電界による破壊に起因して、ガス注入孔内で外来プラズマが発生して、経時的に変化する不均一性が生じる恐れがある。より具体的には、ガス注入孔は典型的に、ケイ素又は炭化ケイ素といった材料から成る平板において形成されている。当該孔の端にエネルギーイオンが衝突すると、当該孔を経時的に変形させ又は削る可能性がある。変形した孔によって、結果的に、平板を破壊する高強度のプラズマが引き起こされ、或る程度の時間(例えば600時間)後にシャワーヘッドを変えることが必要になる。用途によっては、半導体ウエハのコストのうち約15ドルがシャワーヘッドのコストに割り当てられる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、1つ以上の側壁を備えたプラズマ処理チャンバを含む。1つ以上の側壁の内部の支持表面が、ワークピースを保持する。1つ以上の側壁に沿った第1のガスインジェクタが、第1の方向にワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って、第1のガス流を注入し、
第1のガスインジェクタの概ね反対側の1つ以上の側壁に沿った第1のポンプポートが、第1のガス流を排出する。1つ以上の側壁に沿った第2のガスインジェクタが、第2の方向に、ワークピースの表面に対して略平行に当該表面に亘って第2のガス流を注入し、第2のガスインジェクタに概ね対向している1つ以上の側壁に沿った第2のポンプポートが、第2のガス流を排出する。
【0006】
本明細書に開示される実施形態は、プラズマ処理チャンバ内で回転ガスクロスフローを実施する方法と、ソフトウェア命令が格納された非一過性コンピュータ可読媒体であって、ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行されると、
以下のステップを実行することによって、プロセッサに、プラズマ処理チャンバ内のガスクロスフローを回転させるようにする、非一過性コンピュータ可読媒体と、を含む。第1の段階の間に、上記ステップは、プラズマ処理チャンバの1つ以上の側壁に沿った第1の位置の第1のガスインジェクタによって、第1の方向にデバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入すること、及び、第1のガスインジェクタに概ね対向している、1つ以上の側壁に沿った第2の位置の第1のポンプポートによって、プラズマ処理チャンバから第1のガス流を排出することを含む。第2の段階の間に、上記ステップは、1つ以上の側壁に沿った第3の位置の第2のガスインジェクタによって、第2の方向に、デバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入すること、及び、第2のガスインジェクタに概ね対向している、1つ以上の側壁に沿った第4の位置の第2のポンプポートによって、プラズマ処理チャンバから第2のガス流を排出することを含む。
【0007】
本明細書に開示される実施形態は、1つ以上の側壁を備えたプラズマ処理チャンバを含む。ワークピースを保持するための、1つ以上の側壁の内部の支持体。第1のガスインジェクタが、1つ以上の側壁に沿った第1の位置に存在し、第1のポンプポートが、第1のガスインジェクタに概ね対向している1つ以上の側壁に沿った第2の位置に存在する。第2のガスインジェクタが、1つ以上の側壁に沿った第3の位置に存在し、第2のポンプポートが、第2のガスインジェクタに概ね対向している1つ以上の側壁に沿った第4の位置に存在する。多段階回転クロスフロー動作が、少なくとも第1の段階及び第2の段階を含む。第1の段階は、第1のガスインジェクタによって、第1の方向にワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入すること、及び、第1のポンプポートによって第1のガス流を排出することを含む。第2の段階は、第2のガスインジェクタによって、第2の方向にワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入すること、及び、第2のポンプポートによって第2のガス流を排出することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】一実施形態に係る多段階回転クロスフロー動作を有するプラズマ処理チャンバの上面図である。
図1B】一実施形態に係るプラズマ処理チャンバの断面図である。
図1C】一実施形態に係るプラズマ処理チャンバの断面図である。
図2A】一実施形態に係る3段階回転クロスフロープラズマ処理チャンバの概略的な半透視斜視図である。
図2B】他の実施形態に係る3段階回転クロスフロープラズマ処理チャンバの概略的な上面図である。
図2C】プラズマ処理チャンバによって実施される3段階回転クロスフロー動作のタイミング図を示す。
図2D】一実施形態に係る、チャンバリッドの上部の斜視図を示し、上記のガス伝達システムを示している。
図2E】一実施形態に係るプラズマチャンバの斜めから見た断面図を示す。
図2F】一実施形態に係るポンプポートが形成された真空チャンバの斜視図である。
図2G】一実施形態に係るポンプポートが形成された真空チャンバの斜視図である。
図2H】一実施形態に係るポンプポートが形成された真空チャンバの断面図である。
図2I】一実施形態に係る3段階回転クロスフローを有する例示的な誘導結合プラズマ(ICP)チャンバの半透視斜視図である。
図2J】一実施形態に係る3段階回転クロスフローを有する例示的な誘導結合プラズマ(ICP)チャンバの半透視斜視図である。
図2K】一実施形態に係る3段階回転クロスフローを有する例示的な誘導結合プラズマ(ICP)チャンバの半透視斜視図である。
図3A】一実施形態に係る4段階回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバの上面図である。
図3B】一実施形態に係る4段階回転クロスフロー動作を説明した図である。
図3C】開示された実施形態のさらなる態様に係る、4段階回転クロスフロー動作を説明した図であり、ここでは、中心と端で意図的に不均一にガスが注入され、反対側のポートで排出が行われる。
図3D】開示された実施形態のさらなる態様に係る、4段階回転クロスフロー動作を説明した図であり、ここでは、中心と端で意図的に不均一にガスが注入され、反対側のポートで排出が行われる。
図3E】一実施形態に係る、多段階回転クロスフロー動作の一段階を示す図であり、ここでは、ガス流の少なくとも一部分が、ワークピースを横切る100%のクロスフローというよりは、ワークピースのサイドへと向けられている。
図3F】一実施形態に係る、多段階サイクルの一段階を示す図であり、ここでは、ガス流が、より幅が狭いポンプポイントを使用してワークピースを横切るよう方向付けられる。
図4A】一実施形態に係る、3段階回転クロスフローにおける回転するガス流を、60°毎に時間的にプロットした上面図である。
図4B】一実施形態に係る、3段階回転クロスフローにおける回転するガス流を、60°毎に時間的にプロットした上面図である。
図4C】一実施形態に係る、3段階回転クロスフローにおける回転するガス流を、60°毎に時間的にプロットした上面図である。
図5】一実施形態に係る、回転ガスクロスフローを含むプラズマ処理チャンバによって処理されうる積層メモリデバイスを含むウエハの一部分の断面図を示す。
図6】ここで図6を参照すると、一実施形態に係る、機械学習(ML)モデルを利用する処理ツールのブロック図が示されている。
図7A】一実施形態に係る、MLモデルを生成するためのプロセスを示すフロー図である。
図7B】一実施形態に係る、MLモデルを生成するためのプロセスを示すフロー図である。
図8】一実施形態に係る、MLモデルを使用してプロセスレシピを策定するためのプロセスを示すフロー図を示す。
図9】一実施形態に係る、処理ツールをベースライニングするための工程を示すフロー図を示す。
図10】一実施形態に係る、コンピュータシステムの例示的形態によるマシンの概略図を示し、コンピュータシステム内では、上記マシンに本明細書に記載の任意の1つ以上の方法を実行させるための命令のセットが実行されうる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示される実施形態は、回転する調節されたクロスフローを有するプラズマチャンバに関する。以下の記載では、本開示の実施形態の網羅的な理解を提供するために数多くの具体的な詳細事項が説明される。本開示の実施形態がこれらの具体的な詳細事項がなくとも実施されうることが当業者には明らかであろう。他の事例では、本開示の実施形態が不必要に分かりにくくならないように、集積回路の製造といった良く知られた観点については詳細に説明していない。更に、図に示す様々な実施形態は例示のためのものであり、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを理解されたい。
【0010】
従来のプラズマチャンバ(すなわち、CCP又はICP)は、典型的に、ワークピースの真上又はその外周に対称的に配置されたガス注入孔から、ワークピースの上に軸対称的にガスを注入する。上述したように、軸対称的なガス流によって、結果的に、圧力勾配及び濃度勾配が生じる可能性があり、ガス孔の入口が破壊されて、ワークピースにおいて不均一性が生じる恐れがある。換言すると、高密度高電界(|E|)プラズマ領域内に存在する領域内にあるガス孔内で摩耗が発生するにつれて、孔の外形が変化し、プラズマが浸透するにつれて、当該孔が、自身の近傍の局所的なプラズマ特性を変える恐れがある。加えて、外形的変化の結果、局所的なガス流量及び速度が変わる恐れがある。従って、シャワーヘッドを比較的頻繁に交換する必要があり、ワークピースのコストが増大する。
【0011】
これに対応して、本明細書で開示される実施形態は、エッチング、堆積、又は他の材料処理のための多段階回転調節ガスクロスフローが設けられたプラズマチャンバ(例えば、CCP又はICP)に関する。プラズマ処理チャンバは、側壁に沿って2つ以上のガスインジェクタ及び2つ以上のポンプポートを含む。第1の段階において、ガスインジェクタのうちの1つが、1の方向に、ワークピース又はデバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘ってガス流を強制的に発生され、ガスがその後、ポンプポートを介して排出される。第2の段階において、ガス流が、他のガスインジェクタを使用して回転させられ、ガス流が異なる方向に、ワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って強制的に発生させられ、ガスがその後、他のポンプポートを介して排出される。他の実施形態において、ガスインジェクタに接続されたガス注入弁及び/又はポンプポートに接続された絞り弁が、回転するガス流を調節するために使用されうる。
【0012】
回転する調節されたガスクロスフローが設けられたプラズマ処理チャンバでは、高密度高電界(|E|)プラズマ領域内にあるシャワーヘッド(及びガス注入孔)に対するニーズがなくなり、従って、プラズマの不均一性の原因が回避される。開示される実施形態は、高密度プラズマへの接近又は高電界によるブレークダウン(breakdown)に起因してガス注入孔内でプラズマが形成され、経時的に変化する不均一性及びプラズマ特性が生じることを防止する。開示される実施形態では、中心と端とで処理の差を生じさせる中心と端との高い圧力勾配及び濃度勾配が回避される。プラズマの不均一性を最小に抑えるために、圧力分布が、プラズマ空間に亘って調整されうる。加えて、開示される実施形態では、均一な反応物物質及び副産物の除去のために、流れの悪い低ガス速度領域(すなわち、ワークピースの中心部)を無くされる。
【0013】
図1A図1Cは、多段階回転クロスフロー動作を有するプラズマリアクタのプラズマ処理チャンバの実施形態を説明する図である。図1Aは、一実施形態に係る多段階回転クロスフロー動作を有するプラズマ処理チャンバの上面図である。図1B及び図1Cは、異なる実施形態におけるプラズマ処理チャンバの断面図を示す。
【0014】
図1A及び図1Bの両方を参照すると、プラズマ処理チャンバ100Aは、1つ以上のチャンバ側壁112と、処理のためのワークピース116(例えば、半導体ウエハ)を保持するための支持表面114と、を有する。プラズマ処理チャンバ100は、当該チャンバの内部でガスを分散させることで、ワークピース116に対してエッチング、堆積、表面処理又は材料変形といった様々な処理を実施するために使用されうる。例えば、プラズマ処理チャンバ100Aは、プラズマエッチングチャンバ、プラズマ強化化学気相堆積チャンバ、物理的気相堆積チャンバ、イオン注入チャンバ、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)チャンバ、原子層エッチング(ALE:atomic layer etch)チャンバ、又は様々なデバイスを作製するのに適した他の真空処理チャンバを含みうるが、これらに限定されない。
【0015】
図示される一実施形態において、1つ以上の側壁112が、ワークピース116(例えば、ウエハ又は基板)が処理される処理領域110を取り囲んでいる。図示される例では、プラズマ処理チャンバ100Aは、単一の円筒状の側壁112をもたらす軸対称的な形状(例えば、円筒形)を備えた状態で示されている。しかしながら、他の実施形態において、プラズマ処理チャンバ100Aは、楕円形といった、同じく単一の側壁112をもたらす任意の他の形状を有してよく、又は、方形若しくは矩形としての形状を有してよく、この場合はプラズマ処理チャンバ100Aは4つの側壁を有することになる。
【0016】
開示された実施形態によれば、プラズマ処理チャンバ100は、概ね側壁(複数可)112に沿って位置する少なくとも2つのガスインジェクタ118A及び118B(ガスインジェクタ118と総称する)並びに少なくとも2つのポンプポート120A及び120B(ポンプポート120と称する)を含む。一実施形態において、ガスインジェクタが、側壁112のライナを貫通する開口内に形成される。プラズマ処理チャンバ100Aは、ガスインジェクタ118及びポンプポート120を使用して、ガス流124を横方向にワークピース116に亘って回転させて多段階回転クロスフロー動作を提供するよう構成されうる。一実施形態において、多段階回転クロスフロー動作は、少なくとも2段階サイクルを含み、さらに、3段階サイクル、4段階サイクル…を含むことができ、ここで各段階のガスが、プラズマ処理チャンバ100Aの1の側から注入されて、概ね反対側から排出される。本明細書では、「側壁(複数可)に沿って概ね位置する(located generally along the sidewall(s))」という表現では、ガスインジェクタ118及び/又はポンプポート120のうちの任意のものが、側壁内に位置しうる、又は、側壁に水平方向に接触若しくは隣接しうる、又は、チャンバ上部の外周領域内若しくはチャンバ底部の外周領域内に位置しうると説明することが意図されている。
【0017】
横方向にワークピース116亘ってガス流を回転させると、結果的にガス速度及び圧力勾配の制御が改善され、ウエハ全体及びウエハ間でより良好なプロセス均一性がもたらされうる。
【0018】
図1Bを参照すると、プラズマ処理チャンバ100Aは、側壁112の上にチャンバリッド104をさらに含む。支持ペデスタル108が、ワークピース116が載置される支持表面114を含みうる。実施形態では、支持ペデスタル108及び支持表面114は固定されていて回転可能ではなく、支持表面114に固定されたワークワーク116は、処理中に回転しない。一実施形態において、ワークピース116は、支持表面114に静電的に固定されている。他の実施形態において、支持表面114が、プラズマ間隙の調整又はウエハ移送のために軸方向に移動可能である。プラズマ処理チャンバ100A内の処理領域110は、チャンバリッド104と、支持ペデスタル108(及び支持表面114)と、側壁112と、の間の領域によって画定されている。チャンバフロア106は側壁112より下方に存在し、チャンバフロア106は処理領域110の下に存在する。支持ペデスタル108は、チャンバリッド104より下方に、かつチャンバフロア106より上方に存在し、側壁112によって取り囲まれている。実施形態では、チャンバリッド104と支持表面114とは、約50mm~90mmの距離だけ離されうる。一実施形態において、プラズマ処理チャンバ100Aは、平行平板型容量結合プラズマ(CCP)プロセスチャンバであり、ここでは、第1の電極105がワークピース116の上方に存在する。第2の電極が、支持表面114の下の支持ペデスタル108の位置113内に含まれている。一実施形態において、第1の電極105は、200~10000ワットの範囲内の電力を有し40~200MHzの範囲内の周波数を有するRF源に接続されている。一実施形態において、第2の電極が、接地に接続されている。プラズマが、ウエハの上方でかつ2つの電極間で生成される。一実施形態において、ワークピース116が、支持表面114の内部又は支持表面114の下の1つ以上のクランプ電極によって、支持表面114に静電的にクランプされる。実施形態では、ワークピース116は、処理中の追加的なプラズマ制御のために、バイアス電極に(例えば、0.1~20MHzの範囲内の低いRF周波数で)結合される。処理中に、第1の電極105への電力をパルス状にすることで、生成されたプラズマをパルス状にすることができる。
【0019】
一実施形態において、ワークピース116が、半導体製造環境において一般的に使用される任意の基板を含みうる。例えば、ワークピースは半導体ウエハを含みうる。一実施形態において、半導体材料がケイ素又はIII-V族半導体材料を含みうるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、半導体ウエハはSOI(Semiconductor-On-Insulator)基板とすることができる。典型的に、半導体ウエハは標準的な寸法(例えば、200mm、300mm、450mmなど)を有する。しかしながら、ワークピース116は任意の寸法を有しうると理解されたい。実施形態は、ガラスやセラミック材料といった非半導体材料を含むワークピースも含みうる。一実施形態において、ワークピース116が、半導体処理機器を使用して製造された回路又は他の構造を含みうる。さらに別の実施形態において、ワークピース116が、レチクル又は他のリソグラフィマスクオブジェクトを含みうる。
【0020】
図1A及び図1Bは、2段階サイクル回転クロスフロー動作の例を示している。第1の段階において、ガスインジェクタ118Aが、第1の方向にワークピース116の表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って、第1のガス流124Aを注入し、ガス流124Aを排出するための、第1のガスインジェクタ118Aの概ね反対側の1つ以上の側壁112に沿った対向するポンプポート120Aを有する。第2の段階において、ガスインジェクタ118Bが、第2の方向にワークピース116の表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って、第2のガス流124Bを注入し、ガス流124Bを排出するための、ガスインジェクタ118Bの概ね反対側の1つ以上の側壁112に沿った対向するポンプポート120Bを有する。実施形態では、第2のガス流124Bの方向は、第1のガス流124Aの方向とは異なっている。一実施形態において、略平行とは、約0°~15°の範囲内を意味し、概ね反対側とは、約0°~30°の範囲内を意味している。
【0021】
したがって、ガスインジェクタ118Aと、対向するポンプポート120Aとが、1つのガスインジェクタ・ポンプポート対を形成し、ガスインジェクタ118Bと、対向するポンプポート120Bとが、第2のガスインジェクタ・ポンプポート対を形成する。一実施形態において、ガスインジェクタ118A及び118Bのそれぞれが、図1Aに示すような、個別ガスインジェクタのアレイを含みうる。代替的な実施形態において、ガスインジェクタ118A及び118Bのそれぞれが、単一のベントガスインジェクタのみ含む。幾つかの実施形態において、ガスインジェクタ118Aが個別ガスインジェクタのアレイを含み、ガスインジェクタ118Bが単一のベントガスインジェクタであり、又はその逆も然りである。
【0022】
図1Aに示すように、ワークピース116の向きと概平行な水平方向の平面に沿って、各ガスインジェクタ・ポンプポート対(すなわち、ガスインジェクタ、及び対向するポンプポート)が、プラズマ処理チャンバ100Aの側壁112に沿って対称的に位置している。任意の数のガスインジェクタ118及びポンプポート120が設けられうる。ガスの均等な分配を保証するために、おおまかに、1のガスインジェクタ・ポンプポート対が、隣りのインジェクタ・ポンプポート対の位置から、合計360度をインジェクタ・ポンプポート対の数で割ったものと等しい角度だけ、ずれている。例えば、インジェクタ・ポンプポート対が2つある場合には、インジェクタ・ポンプポート対は互いに180°(360°/2)ずれている。インジェクタ・ポンプのポート対が3つある場合には、インジェクタ・ポンプのポート対は120°ずれている(図2A及び図2B)…、といった具合である。幾つかの実施形態において、図示されるように、ガスインジェクタのスパン(span)が、対応するポンプポートのスパンよりも小さい。他の実施形態において、ガスインジェクタのスパンが、対応するポンプポートのスパンと同じである。他の実施形態において、ガスインジェクタのスパンが、対応するポンプポートのスパンよりも大きい。ガスは、孔、スロットといった様々な外形のガスインジェクタ開口から注入することができ、様々なガスインジェクタが、同じ又は様々な外形及び大きさを持しうる。
【0023】
幾つかの実施形態において、ガスインジェクタ118とポンプポート120の数が等しく、他の実施形態において、ガスインジェクタ118とポンプポート120の数が異なっていてよい。幾つかの実施形態において、1つのポンプポートが、図示されるように、対応するガスインジェクタと関連付けられる。他の実施形態において、ポンプポートのアレイが、対応するガスインジェクタと関連付けられる。
【0024】
図1Bに示されるように、ガスインジェクタ118が、処理領域110内の側壁112の開口内に位置している。例えば、開口は、側壁112のライナ内に位置しうる。一実施形態において、側壁112の開口が、チャンバリッド104と基板支持ペデスタル108との間の垂直方向の位置にある。図示の実施形態では、側壁112の開口は、チャンバリッド104の底部に隣接している。
【0025】
一実施形態において、支持ペデスタル108の配向に対して略平行な垂直方向の平面に沿って、ポンプポート120の位置が、ガスインジェクタ118の位置から、チャンバリッド104の底部と支持ペデスタル108の上部との間の距離にほぼ等しい距離だけ、垂直方向にずらされうる。本実施形態では、ポンプポート120は、側壁112と支持ペデスタル108との間の、チャンバフロア106より上方のキャビティ内に位置しうる。他の実施形態において、ポンプポート120は、チャンバリッド104とチャンバフロア106との間のどこかの、側壁112の追加の開口内に位置しうる。他の実施形態において、ガスは、チャンバ上部の外周領域から注入し及び/又はチャンバ底部の外周領域から排出することができ、さらに、ワークピース処理領域の上を、依然としてワークピースに対して実質的に平行に流過することができる。
【0026】
上述したように、開示される実施形態のプラズマ処理チャンバ100Aは、ワークピース116に対して略平行に、ワークピース116に亘ってガスを注入する。このことは、CCP源リアクタにおける「シャワーヘッド」電極からの典型的に軸対称的なトップダウン型ガス流注入、及び、ICP源又はマイクロ波源リアクタにおける中心軸の近くのノズルアレイからの放射状の外向き/下向きガス注入とは対照的である。加えて、ワークピースの外周の周りに軸対称的に位置するポンプポート又はポンププレナムの代わりに、実施形態では、ガスが、注入側と概ね反対側のワークピースの側から優先的に排出される。
【0027】
実施形態では、各クロスフロー段階のガス流124をオン/オフして切り替えて、ガス流の回転を制御することが可能である。他の実施形態において、ガス流124をオン/オフして切り替える代わりに、ガスインジェクタ118からのガス流124の流量及び/又はポンプポート120によって生じる出口コンダクタンス(又は圧力)に対して調節機能を適用して、開状態/閉状態に近づけ又は正弦関数といった変調関数を使用して状態間でランプする(ramp)ことができる。図1Bに示すように、第1のガス流124Aと第2のガス流124Bの一方又は両方の流量が、それぞれガスインジェクタ118A及び118Bに接続された1つ以上のガス注入弁122A及び122B(例えば、圧電弁)を使用して、調節されうる。実施形態では、ガス注入弁122A及び122Bが1つ以上のガス源126に接続されており、これにより、各回転段階の間に、単一種のガス、又は様々な種類のガスの混合物が処理領域110内に注入されうる。一実施形態において、一定の総ガス流をガスインジェクタ118によって適用して、完全なサイクルでワークピース116の異なるサイドを横切るガス流を円滑に連続的に注入することができ、このことが、必要に応じて繰り返されうる。
【0028】
加えて、幾つかの実施形態において、1つ以上のポンプポート120が調節されうる。例えば、ポンプポートのコンダクタンス(圧力)は、ポンプポート120A及び120Bの個別の圧力制御弁127A及び127Bを使用して調節されうる。また、ポンプポート120A及び120Bが、ガスを逃がすために1つ以上のポンプ132に結合されている様子が示されている。図示の例では、ポンプポート120Aの圧力制御弁127Aが閉位置にあり、圧力制御弁127Bは、第1のガス流124Aを排出するために開位置にあることが示されている。圧力制御弁127A及び127Bは、コンダクタンス又は圧力の2つの状態の間で滑らかに操作され、このことは、ガスインジェクタ118A及び118Bと同様の順序で繰り変えられる。一実施形態において、圧力制御弁127A及び127Bが絞り弁を含む。
【0029】
プラズマチャンバ100Aは、様々な種類のプロセスガスを注入することができる。例示的なプロセスガスは、以下のものを含むことができ、即ち、i)C、C、C、CH、Cのうちの1つ以上を含む誘電体エッチガス、ii)CH、Cのうちの1つ以上を含む堆積ガス、iii)Ar、N、O、He、Kr、Xe、COSのうちの1つ以上を含む、エッチング又は堆積のための並行流(co-flow)のための追加のガス、iv)SiCl、SiCHClのうちの1つ以上を含む半導体材料エッチング堆積ガス、v)BH、AlH、GaH、NHのうちの1つ以上を含むヒドリド系堆積ガス、vi)SiCl、SiCHCl、Oのうちの1つ以上を含む酸化物材料エッチング堆積ガス、及びvii)NH、N、Arのうちの1つ以上を含むアニーリングガスを含むことができる。
【0030】
幾つかの実施形態において、プラズマ処理チャンバ100Aは、ガス流、速度、圧力、温度などを含むプロセスチャンバ条件を、高感度でかつリアルタイム測定して監視するためのセンサ131及びシステムをさらに含みうる。特定の実施形態は、セラミック基板又はガラス基板若しくはケイ素基板若しくはフレキシブル基板といった基板上の容量性壁センサ、オンチップ若しくはオフチップ熱センサ、圧力センサ、及び/又は、集積化センサ(容量性センサ及び熱センサ)を含みうる。幾つかの実施形態において、チャンバ全体にセンサを分散させて、様々な位置でチャンバ状態を監視することができ、このチャンバ状態は、その後、エッチングレート、エッチング不均一性、粒子の発生、プロセスドリフト、圧力均一性といったプロセス全体の性能と相関させることができる。一実施形態において、複数の圧力センサ又圧力センサのアレイをチャンバ全体に分散させて、処理中のガス流に関するデータ(例えば、回転率、均一性、速度)を提供することができる。
【0031】
図1Bはさらに、プラズマ処理チャンバ100Aをコントローラ140に接続することができ、コントローラ140自体は、ユーザインタフェース142に接続することができることを示している。幾つかの実施形態において、プラズマ処理チャンバ100Aの動作を制御するために、コントローラが、ガス注入弁122、圧力制御弁127、ガス源126、ポンプ132、及びセンサ131に接続されうる。ユーザは、ユーザインタフェース142からコントローラ140を介して、プロセスパラメータを設定し、プラズマ処理チャンバ100Aの動作を監視することができる。
【0032】
プラズマ処理チャンバの多段階構造によって、様々な構成オプションが可能となる。例えば、図1Cは、サイドからサイドへのガス流を提供するガスインジェクタ118とポンプポート120との1つ以上の対に加えて、トップダウン型ガス流を含む実施形態におけるプラズマ処理チャンバ100Bの断面図を示している。本実施形態では、チャンバリッド104が、シャワーヘッドプレート128を備えて構成されうる(簡略化のため、図1Bのコントローラ及びUIは示していない)。シャワーヘッドプレート128は、ガスインジェクタ118A及び118Bによって分配されるガスと共に、処理領域110内へとガスを分配するための、中央マニホールド129及び1つ以上の外側マニホールド130を有しうる。シャワーヘッドプレート128を使用して、垂直方向の速度成分を有する追加のガスをチャンバ内に導入することができるが、ガスインジェクタ118Aによる1の側からのガスの注入と、ポンプポート120Bによるワークピース116の他の側での排出により、ワークピース116の大部分に亘るガス速度の水平方向の成分が得られる。同様に、ポンプポート120は、側壁112、又はチャンバの上面若しくは下面に位置しうるが、ポンプポート120は、注入側のほぼ真向いに存在する。従って、垂直方向に出るガスの速度の成分が存在しうるが、ガスの速度は、ワークピース116の上の領域内ではおおむね水平方向であり、ワークピース116に対して平行である。
【0033】
図2A図2Cは、一実施形態に係る3段階回転クロスフロー動作を有するプラズマリアクタのプラズマ処理チャンバを示す図である。図2Aは、3段階回転クロスフロープラズマ処理チャンバの概略的な半透過斜視図である。図2Bは、他の実施形態に係る3段階回転クロスフロープラズマ処理チャンバの概略的な上面図である。
【0034】
図2Aを参照すると、3段階回転クロスフロー動作を有するプラズマ処理チャンバ200Aは、チャンバ200がワークピース216を取り囲む側壁212を含むという点で、図1A図1Cに関して示された実施形態と同様である。しかしながら、2つのガスインジェクタ218A及び218B、並びに対向する2つのポンプポート220A及び220Bに加えて、プラズマ処理チャンバ200は、ガスインジェクタ218Cと、ガス流を排出するための、側壁212の概ね反対側に位置する対向するポンプポート220Cと、をさらに含む。ガスインジェクタ218Aと対向するポンプポート220Aとが、1つのガスインジェクタ・ポンプポート対を形成し、ガスインジェクタ218Bと対向ポンプポート220Bとが、第2のガスインジェクタ・ポンプポート対を形成し、ガスインジェクタ218Cと対向ポンプポート220Cとが、第3のガスインジェクタ・ポンプポート対を形成する。(ガスインジェクタ218A~218Cをガスインジェクタ218と総称し、ポンプポート220A~220Cをポンプポート220と総称する)。
【0035】
本実施形態では、ガスインジェクタ218はそれぞれ、図示されるように、側壁212に設けられた単一のベントを含んでいる。一実施形態において、図示されるように、ガスインジェクタ218が、プラズマ処理チャンバ200の中心軸の周りに対称的に配置されており、ポンプポート220が、プラズマ処理チャンバ200の中心軸の周りに対称的に配置されている。3つのインジェクタ・ポンプポート対を含む3段階回転クロスフローの実施形態では、インジェクタ・ポンプポート対は、互いに120°(360°/3)ずつずれている。より具体的には、ガスインジェクタ218は、互いに約120°離れた位置にあり、ポンプポート220は、互いに120°離れた位置にある。間隔をあけて配置されたガスインジェクタ218間に横方向に分散されたポンプポート220も同様に、ガスインジェクタ218から垂直方向にずれている。
【0036】
図2Bは、ガスインジェクタアレイ218Dと呼ばれる個別のガスインジェクタのアレイを含むプラズマ処理チャンバ200Bの上面図しており、ここでは、個別のガスインジェクタが、側壁212の外周の周りに分散されている。また、3つのガス注入弁122A~122C、及び3つの圧力制御弁127A~127Cが(ポンプポート120ごとに1つずつ)示されている(図1Bを参照)。ガスインジェクタアレイ218内のより小さなガスインジェクタのセット(図示するように、4つのインジェクタなど)は、ガス注入弁122A~122Cのちの1つによって、ワークピース216を横切る様々な方向のガス流を生成するよう調節することができる。ガス流はその後、調節するガス注入弁122A~122Cとは概ね反対側の圧力制御弁127A~127Cの対応する圧力制御弁により制御されたポンプポートのうちの1つによって排出される。この場合、一実施形態において、ガスインジェクタのスパンは対応するポンプポートのスパンよりも大きく、結果的に、比較的狭いポンプポートへのやや収束した流れ(例えば、流れ299)が得られる。
【0037】
図2Cは、プラズマ処理チャンバ200Bによって実施される3段階回転クロスフロー動作のタイミング図をさらに詳細に示している。タイミング図では、3つのガス注入弁122(GV1、GV2、GV3)が存在し、かつ3つの圧力制御弁127(PV1、PV2、PV3)が存在することを前提としている。X軸が時間を表し、Y軸が、i)下段では、ガス弁の開度、中段では、ポンプポートの閉度、上段では、バラトロン(圧力計)で測定されたチャンバ圧力を表している。
【0038】
コントローラが、プラズマ処理チャンバ200に接続可能であり、ガス注入弁122A~122C及び圧力制御弁127A~127Cを制御するよう構成されうる。コントローラは、GV1を100%に全開にし、かつGV2及びGV3を部分的に、例えば約2~5%に開くことで、第1の段階を開始する。第1の段階の間には、PV1が開けられ、PV2とPV3が閉じられ、チャンバ圧力は1mTと500mTとの間である。
【0039】
第1段階と第2段階の移行部付近で、GV1が閉じ始め、GV2を100%まで全開にすることでガス流れの方向を回転させ、第2段階を開始する。GV1、GV3は、部分的に、約2~5%開いている。第2段階の間には、コントローラがPV2を開き、PV1及びPV3を閉じたままにする。チャンバ圧力は、幾つかの実施形態では、1mTと500mTとの間に留まり得、又は、他の実施形態では、10mTと200mTとの間に留まりうる。
【0040】
第2段階と第3段階の移行部付近では、GV2がランプダウンされ、GV3を100%まで開くことでガス流の方向を回転させ、第3段階を開始する。GV1、GV2は、部分的に、約2~5%開いている。第3段階では、コントローラはPV3を開き、PV1とPV2を閉じたままにする。これで3段階のサイクルが完了し、当該サイクルは必要に応じて繰り返すことができる。図示されるように、3つのガス流の段階の間比較的一定のチャンバ圧力が維持される。一実施形態において、GV1、GV2、GV3を連続的に開閉することで、ウエハの回転を模倣しうる回転的なガス流が、効率良く生成されうる。一実施形態において、ガス流の1回のフル回転は、およそ100msから10secまでの範囲内のレートで実行される。
【0041】
ガス流の段階と、サイクルと、の間には複数の異なるバリエーションが生じうる。換言すると、プラズマ処理チャンバの動作を制御する各パラメータは、段階及びサイクル間で異なりうる。例えば、フルサイクルを完了する時間が同じであってよく、又は、異なるサイクル間で異っていてよい。或る段階を完了する時間は、1サイクル内で同じであっても異なっていてもよく、異なるサイクル間で同じであっても異なっていてもよい。ガス流回転の方向(例えば、時計回り、反時計回り)は、サイクルの段階内で同じであっても異なっていてもよく、非連続的であってもよく、サイクル間で同じであっても異なっていてもよい。ガス流の速度は、サイクルの段階内で同じであっても異なっていてもよく、又は、サイクル間で同じてあっても異なっていてもよい。ガス弁の開度、及びガス弁が開いている時間は、サイクルの段階内で同じであっても異なっていてもよく、又は、サイクル間で同じであっても異なっていてもよい。圧力制御弁の開度、圧力制御弁が開いている時間は、サイクルの段階内で同じであっても異なっていてもよく、又は、サイクル間で同じであっても異なっていてもよい。例えば、一実施形態において、回転が、プロセスの第1の部分について1のレートで実行され、次いで、プロセスの第2の部分について第2のレートに減速される。一実施形態において、回転が、プロセスの第1の部分について1のレートで実行され、次いで、プロセスの第2の部分について第2のレートまで加速される。一実施形態において、回転が、1つの回転サイクルの第1の部分については速く、回転の第2の部分については遅い。一実施形態において、回転が、1つの回転サイクルの第1の部分については遅く、回転の第2の部分については加速される。1サイクル内で又はサイクルごとに回転速度を変えることで、プロセスの不均一性を補償することができる。他の実施形態において、サイクル内に、サイクル間に、又はサイクルのセットの間で、方向が時計回りと反時計回りの間で変更される。同様に、実施形態において、第1の段階と、第2の段階と、第3の段階との間のガス流量が、サイクル内で、サイクル間で、又はサイクルのセット間に変えられうる。
【0042】
図2Dは、チャンバリッド104の上部の斜視図であり、上記のガス伝達システムを示している。一実施形態において、ガス伝達システム225がガス注入弁122のアレイを含み、ここでは、ガス注入弁122のそれぞれが、チャンバリッド104の上方に位置し、チャンバリッド104の外周の周りに対称的に配置されている。図示の実施形態では、ガス伝達システム225は6つのガス注入弁122を含むが、具体的な数は、例えば2つ以上など、異なってもよい。各ガス注入弁122の上側は、スポーク及びハブの形成により配置されたガスラインアセンブリ250に接続することができ、ここで、ハブは、図1B及び図1Cに示したガス源126に接続されている。ガス注入弁122の下側は、循環的ガスライン252の各セットに接続されうる。循環的ガスライン252の各セットが、1つ以上のガスインジェクタ118に接続されうる。図示される具体的な実施形態では、その4つの入口がそれぞれガスインジェクタ118に接続された循環的ガスライン252が6セット存在し、合計24個の入口がある。
【0043】
実施形態では、ガス注入弁122は、ガス点火又はアーク放電を引き起こし又はRFマッチ制御の追従を困難にする過度の圧力スパイクを伴うことなく高速の応答を可能とするアナログ可変コンダクタンス高速ガス弁を含みうる。ガス注入弁の具体例には、市販のスウェージロック(Swagelok)社のeDE弁及びフジキン社のピエゾ弁が含まれる。スウェージロック社のeDE弁は、開閉時間が15~20msecで、大気/真空のシールに適して良好であり、寿命が40Mサイクルありうる。フジキン社のピエゾ弁は、比例流量、10msecの開閉時間を有し、使用状況に従って寿命が40Mサイクル以上ありうる。双方とも、上流圧力400Tで、最大2.5slmのガス流を供給することができる。
【0044】
図2Eは、プラズマチャンバの斜めから見た断面図を示している。本図は、循環的ガスライン252とガスインジェクタ118との接続を示している。また、一実施形態として、側壁112が、外側側壁112A及び内側側壁112B(又はライナ)を含むことができ、ガスインジェクタが、外側側壁112Aと内側側壁112Bとの間の空間内に形成されており、ガスが、循環的ガスライン252から内側側壁112Bの開口を介して注入される。
【0045】
図2F図2Gは、ポンプポート120がその内部に形成された真空チャンバの斜視図であり、図2Hは、ポンプポート120がその内部に形成された真空チャンバの断面図である。実施形態では、真空チャンバ275は、ポンプ132(図1B及び図1C)によって制御される動的真空下にある。一実施形態において、真空圧が1mTから500mTまでの範囲でありうる。一実施形態において、チャンバフロア106が、上方チャンバフロア106A及び下方チャンバフロア106Bを含み、ポンプポート120は、上方チャンバフロア106Aと下方チャンバフロア106Bとの間の真空チャンバ275内のキャビティ内に形成される。ポンプポート120は、支持ペデスタル108の周りに対称的に配置されていることも示されている。
【0046】
ポンプポート120のそれぞれを制御するために、アクチュエータ277が圧力制御弁127に接続されている。図2Hは、アクチュエータ277のうちの1つが各ポンプポート120のキャビティ内で対応する圧力制御弁229を昇降させることにより、ポンプポート120が開閉されることを示している。図2Fは、1の実施形態において、圧力制御弁229が、関連付けられたポートをシールするための単一の一体型ボディを含みうることを示し、図2Gは、他の実施形態において、圧力制御弁229が、1つ以上の隣接区分(本ケースでは2つ)に分けられており、それぞれが対応するアクチュエータ277によって制御されることを示す。一実施形態において、図2Hを参照すると、左側の圧力制御弁127は下がっており(開弁)、右側の圧力制御弁127が上がっている(閉弁)。図2F及び図2Gでは、全ての圧力制御弁が閉位置で示されている。
【0047】
図2I図2Kは、一実施形態に係る3段階回転クロスフローを有する例示的な誘導結合プラズマ(ICP)チャンバを示す図である。図2Iに示すように、ICPチャンバ280は、チャンバリッド(図示せず)に隣接する平面的なマルチスパイラルコイルの形態による電極282を含む。電極282は、RF駆動されるポスト286を含み、最大半径に沿って3つの接地端284を含みうる。図2Jは、チャンバ上部の外周の周りに対称的に配置されたガスインジェクタ288を示している。一実施形態において、ガスインジェクタ288は60°幅のインレットを有することができ、当該インレット間には60°幅の空間がある。図2Kは、チャンバ底部の外周に対称的に配置されたポンプポート290を示し、ポンプポート290はそれぞれ、ガスインジェクタ288のうちの1つに直接的に180°対向する位置に存在している。
【0048】
図3A図3Fは、一実施形態に係る4段階回転クロスフロー動作を有するプラズマ処理チャンバの上面図である。図3Aは、4つの側壁312を有する方形の形状でありうるプラズマ処理チャンバ300を説明した図である。4つの側壁312のそれぞれは、4つのガスインジェクタアレイ318A~318Dのうちの1つと、4つの対向するポンプポート320A~320Dのうちの1つと、を含む。
【0049】
図3Bは、4段階回転クロスフロー動作を説明した図である。4段階のサイクルを通して、ガスが、4つの側壁312のそれぞれから注入されて、反対側から排出される。各ポンプポート320A~320Dのコンダクタンスは、高速の個別の絞り弁を用いて調節されうる。段階1は、左から右への第1のガス流を示す。段階2は、上から下への第2のガス流に対する時計回りの回転を示す。段階3は、右から左への第3のガス流に対する時計回りの回転を示す。そして、段階4は、下から上への第4のガス流に対する時計回りの回転を示す。一実施形態において、各段階は、用途に従って約0.5秒~2秒続きうる。
【0050】
図3C及び図3Dは、開示された実施形態のさらなる態様に係る、4相回転クロスフロー動作を説明した図であり、ここでは、中心と端で意図的に不均一にガスが注入され、反対側のポートで排出が行われる。本実施形態では、ガスインジェクタアレイ318A~318Dのそれぞれにおける個別のガスインジェクタは、ガスインジェクタ弁122によってオン/オフして切り替えることができ、又は、ガスインジェクタ弁122によって調節された流量を有しうる。図3Cは、中心-端のガス流(center-to-edge gas flow)の4段階の例を示し、ここでは、各段階において、ガスインジェクタアレイ318A~318Dのそれぞれにおける個別ガスインジェクタのうちの中心のガスインジェクタから注入されるガス流が、ガスインジェクタアレイ318A~318D内の端のガスインジェクタに対してより大きな流量を有する。図3Dは、端-中心のガス流(edge-to-center gas flow)の4段階の例を示し、ガスインジェクタアレイ318A~318Dのそれぞれにおける個別ガスインジェクタのうちの端のガスインジェクタから注入されるガス流が、ガスインジェクタアレイ318A~318Dの中央のガスインジェクタに対してより大きな流量を有する。開示された実施形態のこのような不均一な中心及び端でのガス注入は、意図的に変更して経時的に制御することができ、ワークピースのプロセスの均一性を制御する。一実施形態において、1サイクル中に、サイクル間で、又はサイクルのセット間で、1つ以上のガスインジェクタの相対的な中心及び端での流れが変えられる。
【0051】
図3Eは、多段階(例えば、4段階)回転クロスフロー動作の一段階を示す図であり、ここでは、ガス流の少なくとも一部分が、ワークピースを横切る100%のクロスフローではなく、ワークピースの側方へと向けられる。この極端なケースでは、対向するポンプポートは閉じているが、側方のポンプポートは開いており、ワークの中心を横切るガス流量及び速度が最小に抑えられる。このプロセスは、均一性を制御するために使用することができる。実施形態では、図3Eに示すような分流したガス流が、プロセス全体のため、又はサイクルの一部分にのみ、又はプロセススキームにおけるサイクルの1セット若しくはより小さいセットのために使用される。実施形態では、分流したガス流が、1サイクル又は複数サイクルの間チャンバの周りで回転させられる。
【0052】
図3Fは、多段階サイクルの一段階を示す図であり、ここではガス流が、幅がより狭いポンプポイントを使用して、ワークピースを横切るよう方向付けられる。図3Cにおけるように、各ガスインジェクタアレイ内の個別ガスインジェクタのうちの中央のガスインジェクタからのガス流は、ガスインジェクタアレイ内の端のガスインジェクタに対してより大きな流量を有し、対向するポンプポートが開いており、他のポンプポートは閉じている。さらなる実施形態において、上述の実施形態と比べて幅がより狭いポンプポートが、ワークピースの中央領域を横切るガス流を強制的に発生させる。本実施形態において、典型的な300mmウエハチャンバの場合、より小さいポンプポートは、3.5インチ幅×(1/複数)×(14インチ)長の中心線ラジアル円弧長の寸法を有することができ、より大きな単一ポンプポートは、3.5インチ幅×14インチ長の中心線ラジアル円弧長の寸法を有することができる。概して、ポンプポートは、プロセス用途のフローコンダクタンスに適した寸法又はサイズであるべきであり、チャンバのガス注入側からポンプポート側まで、ウエハの上の均一な「クロスフロー(cross flow)」を促進するのに十分狭いポート幅の開口が必要である。
【0053】
図4A図4Cは、3段階回転クロスフローにおける回転するガス流を、60°毎に時間的にプロットした上面図である。
矢印は、速度の大きさを示すベクトルを表し、等高線は、圧力勾配を表している。0°、60°、120°、180°、240°、300°でのガス流のスナップショットが示されている。図4Cのグラフは、経時的なガスインジェクタ及びポンプポートの圧力が、3段階にわたって比較的安定していることを示している。
【0054】
図4A図4Cに示す例示的な動作は、プロセスの均一性を最大化するために、反復的なサイクルに亘って個別に、又はより可能性が高いが組み合わせて、使用することができる。外形的な非連続性(ガス注入孔)を導入することなく、高密度プラズマ領域の周辺境界でのガス注入及び/又は高密度プラズマ領域の外へのガス排出を制御入力として使用するこのチューニング機能によって、均一なプラズマの形成が可能となり、ここでは、プラズマに面する露出表面、すなわちガス孔及びガスノズルを含む電極/シャワーヘッドへのエッチング、摩耗、又はコーティングに起因した、ドリフト又は経時的な変化が最小となる。回転する調節されたクロスフローを使用することで、チャンバの周辺境界からのプロセス均一性制御が可能となりうる。
【0055】
反応性イオンエッチング
例示的な適用として、プラズマ処理チャンバは、半導体の製造中に正確な反応性イオンエッチングを行うために使用することができる。
【0056】
図5は、一実施形態に係る、回転ガスクロスフローを有するプラズマ処理チャンバによって処理されうる積層メモリデバイスを含むウエハの一部分の断面図を示している。一実施形態において、作製中の積層メモリデバイスの中間構造が示される。一実施形態において、中間構造400は、3D-NAND構造を含み、基板402、基板402上の交互層スタック404、交互層スタック404上の層間誘電体(ILD:inter layer dielectric)層406、及びILD層406上のマスク層408を含む。交互層スタック404は、挿入された絶縁層404A及び404B(例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素など)を含みうる。ILD層406の例には、スピンオンガラス(SOG:spin-on-glass)、SOC、及びSiONが含まれうる。
【0057】
マスク層408は、後続のパターニングステップでの材料の堆積又はウエハからの材料の除去を案内するためのパターンを用いて、集積回路のパターンを決めることができる。本例では、反応性イオンエッチングが、マスク層408内の幾つかの開口の間の材料を除去して、ILD層406及び交互層スタック404を通って基板402に至る開口410を形成するために、プラズマ処理チャンバによって実施され、ここで、開口410と金属層404aとの交点が最終的にメモリセルを形成しうる。(上述のように)プラズマ処理チャンバによって注入されるガス流は、開口410のエッチング深さの均一性及びアスペクト比(深さ対幅)の均一性を制御するためにカスタマイズすることができる。一実施形態において、1つ以上の開口410が、ILD層406を通る第1のアスペクト比及び交互層スタック404を通る第2のアスペクト比を有するよう、エッチングされうる。実施形態では、1つ以上の開口410が、図示されるように交互層スタック404を通じて、ボーイング(bowing)と称される可変的なアスペクト比を有しうる。一実施形態において、開口410が、8:1、9:1又は10:1を超える高アスペクト比を有するようエッチングされうる。実施形態では、1つ以上の開口410はまた、可変的なエッチング深さを有しうる。
【0058】
実施形態において、3D-NANDイオンエッチング用途は、上述のようなピラーエッチ、スリットエッチング、ペリ・コンタクト・エッチング、階段状コンタクトエッチング、及びセルコンタクト-1(cell contact-1)エッチングを含みうる。実施形態において、アスペクト比、エッチング深さ、及びボーイング特性を、以下に記載するように、機械学習モデルによって監視されるパラメータとすることができる。
【0059】
多段階回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバを制御するための機械学習(ML:MACHINE LEARNING)モデルの使用
ワークピース(例えば、ウエハ)上で所望のアウトカム(成果、outcome)を提供するために上述のプラズマ処理チャンバを設定するには、個別に制御可能な複数の異なる処理パラメータ(すなわち、ノブ(knob))の複雑な組み合わせを含むプロセスレシピが必要である。例には、総ガス流量混合物、ガス圧力(mTorr)、ガス流ランプ開時間(msec)、ガス流時間(msec)、ガス流ランプ閉時間(msec)等が挙げられる。
【0060】
大量生産(HVM:high volume manufacturing)のためのプロセスレシピを策定するために、プロセスエンジニアは、経験と専門知識に頼って、ウエハ上の望ましいアウトカムの概算を提供しうるベースラインレシピ(baseline recipe)を特定する。その後で、ノブ同士がどのように作用するかを確認するために、1セットのウエハ(又はクーポン)の処理に依拠する実験計画(DoE:design of experiment)が、ベースラインレシピの付近で作成される。プロセスエンジニアは、DoEの結果を解釈して、ベースラインレシピをさらに改良することができる。また、ウエハ上の所望のアウトカムに収めるために、追加のDoEが実行されうる。このような反復作業は、時間とリソースが掛かる。
【0061】
加えて、最終的な処理レシピが一旦策定されてしまうと、様々なウエハのための処理を複数回反復する間のチャンバドリフトによって、結果的に、ウエハ上のアウトカムに変更が加えられる恐れがある。チャンバドリフトは、チャンバの消耗部分の侵食、部品(センサ、ランプなど)の劣化、表面の上への副産物膜の堆積といったものの結果でありうる。これに対応して、大規模なレシピ策定プロセスの後でさえも、追加のチューニングが必要となる。
【0062】
従って、レシピ策定及びチャンバベースライニング(baselining)には、時間及びリソースが掛かる。特に、所与のプロセスをチューニングして最適化するために利用可能なプロセス空間は非常に大きく、合理的な時間枠内でプロセス空間全体を経験的に探索することは実質的に不可能である。さらに、処理パラメータ間の相互作用及びそれらがプロセス性能に与える影響に起因して、複数の処理パラメータを同時に変更する複合的な効果を、一度に1つの処理パラメータを手動で走査することで予測することは極めて困難である。
【0063】
開示された実施形態の第2の観点は、多段階回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバを制御するために1つ以上の機械学習(ML)モデルを利用する半導体製造ツールを含む。MLモデルはまた、プロセスレシピの策定及び/又はデバイス及びワークピースの処理のために使用することができる。MLモデルは、入力された処理パラメータをデバイスの出力に結びつけることができる。
【0064】
一実施形態において、処理を制御する方法が、ガス流の回転のタイミングを制御するためにMLモデルにクエリすることを含む。一実施形態において、半導体製造プロセスレシピを策定する方法は、1つ以上のデバイスアウトカムを選択することと、MLモデルにクエリして、多段階回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバによって処理されたときにデバイスアウトカムを得るために適したプロセスレシピ推奨を取得することと、を含む。このことは、フィードフォワード(feed forward)プロセス調整と称されうる。一実施形態において、本方法は、ウエハのセットに対して実験計画(DoE:design of experiment)を実行して、MLモデルによって推奨されるプロセスレシピを検証することをさらに含みうる。DoEの測定を、フィードバックプロセス調整のため、将来のウエハのプロセスレシピを変更するために行って使用することができる。
【0065】
加えて、MLモデルはチャンバ内のウエハの処理中に、オンツール(on-tool)性能が利用可能になると更新することができ、その後、プロセス推奨を更新し又は積極的にレシピを変更することができる。このことは、「オンザフライ(on the fly)」又はリアルタイムプロセル調整と称されうる。
【0066】
レシピの変更は、ステップ内でレシピを修正することを含むことができ、例えば、ウエハの上部をエッチングするときにガス流の回転周波数を上げ、ガスが下方へと達するにつれて回転周波数を下げること、又はその逆を含むことができる。他の例は、更新された機械学習モデルが1回の回転中に入力パラメータを修正すること、例えば、図5の積層メモリデバイスを処理するときに、ガス流回転の開始と終わりでエッチング深さを若干変えることなどである。更新されたMLモデルによって、チャンバドリフトを正確に追跡することができ、物理的ウエハの大規模なDoEを行うことなく又はプロセスエンジニアの経験や知識だけに頼ることなく、プロセスレシピへの修正を行うことが可能となる。
【0067】
これに対応して、本明細書で開示される実施形態は、MLモデルの使用を活用して、プロセス空間全体を照会することができ、その際に、大規模な実験計画(DoE)で物理的ウエハを処理する必要はない。従って、レシピ策定に掛かる時間及びリソースを大幅に削減することが可能である。
【0068】
MLモデルは、統計モデルと物理モデルとの組み合わせから生成されたプロセス空間のモデルでありうる。本明細書では、「プロセス空間(process space)」は、処理パラメータをウエハ上の1つ以上のデバイスアウトカムに対応付ける多次元プロセス空間を指しうる。処理パラメータは、時にノブ(knob)と呼ばれ、プロセスを制御するよう制御することが可能な変数である。例えば、ノブ又は処理パラメータは、温度、RF源電力、バイアス電力、ガス圧力(mTorr)、ガス流ランプ開時間(msec)、ガス流時間(msec)、ガス流ランプ閉時間(msec)、様々なガスインジェクタにおけるガス流量の割合、様々なインジェクタにおけるガス組成、様々なインジェクタにいくガス流量の割合、ガス流回転周波数、ガス流組成周波数、ガス流量レート/速度(圧力勾配)、ガス流方向、ガス回転段階、電子/プラズマ密度、プラズマ密度勾配、電子温度、イオン流密度、プラズマ電位、シース電場電位、シース電場傾斜角、シース電場z成分、質量分率、フラックス、及びワークピースに対するイオン流密度、のうちの任意の組み合わせを含みうるが、これらに限定されない。
【0069】
デバイスアウトカム(device outcome)は、処理後のウエハ上のフィーチャ(feature)の測定可能な特性を指しうる。例えば、選択されたデバイスアウトカムは、フィーチャのプロファイル、層の厚さ、厚さ均一性、層の材料組成、組成均一性、多孔性、膜応力、設備内のチャンバ間のプロセス均一性(例えば、チャンバマッチング)、ウエハ間の均一性、異なるウエハロット間の均一性、のうちの任意の組み合わせを含みうる。エッチングプロセス中に、選択されたデバイスアウトカムは、エッチングレート、中心と端とでのエッチング又は均一性、エッチングレートの周方向の均一性、エッチングフィーチャの均一性(上部対底部の限界寸法(CD)によって一般的に表される)、傾斜、ボー(bow、反り)、及びマスク残存、のうち任意の組み合わせをさらに含みうる。即ち、デバイスアウトカムは、1つのウエハでのアウトカムに限定されない。プロセス空間内の各ポイントは、処理パラメータ値のセットと、当該処理パラメータのセットにより生成される得られたデバイスアウトカム(又はアウトカム)と、を表したものでありうる。
【0070】
一実施形態において、MLモデルの統計モデルが、実際のウエハのDoEを使用して、プロセス空間の一部を入力するために構築されうる。その後、アルゴリズムを使ってプロセス空間の残りを外挿することができる。物理モデルは、処理チャンバ内で発生する現実世界の物理的及び化学的相互作用に基づいている。さまざまな処理パラメータの範囲にわたる処理チャンバ内の物理的及び化学的相互作用のシミュレーションを使用して、物理モデルを生成することができる。一実施形態において、物理モデルが統計モデルと統合されて、MLモデルを提供する。例えば、物理モデルは、統計モデルにおけるギャップを埋めるため、及び/又は、外挿されたデータポイントを検証するために使用されうる。
【0071】
ここで図6を参照すると、一実施形態に係る、機械学習MLモデルを利用する処理ツール600のブロック図が示されている。処理ツール600は、上述したプラズマ処理チャンバに対応するツールハードウェア640と、機械学習モデルサーバ620と、フロントエンドサーバ660と、制御サーバ650と、を含む。
【0072】
一実施形態において、MLモデルサーバ620は、統計モデル625及び物理モデル627を含みうる。統計モデル625及び物理モデル627は、当該統計モデル625及び物理モデル627を構築及び/又は更新するために使用される入力データ(例えば、センサデータ、モデルデータ、計測データなど)を格納するためのデータベース630に通信可能に接続することができる。
【0073】
一実施形態において、統計モデル625が、物理的DoEから生成され、拡張されたプロセス空間モデルを提供するために内挿を使用する。処理された物理的ウエハをして、処理パラメータと特定のデバイスアウトカムとの対応付けを提供することができる。物理的なDoEはまた、様々な処理パラメータ間の相互作用を特定するためにも使用されうる。物理的なウエハのデータ(計測データ、センサデータ、プロセスパラメータデータなど)が提供された後で、プロセス空間のギャップを埋めるために内挿が使用される。一実施形態において、計測データといったデータが、データリンク(例えば、有線又は無線のデータリンク)によってMLモデルサーバ620に通信可能に接続された外部ツールを使用して、取得されうる。内挿は、任意の適切なアルゴリズムを用いて行われうる。アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、深層学習、又は、回帰分析に使用される任意の他の知られた技術(例えば、線形回帰、部分的最小二乗回帰、ガウシアン、多項式、回帰用の畳み込みニューラルネットワーク、回帰木、及びその他)を含みうるが、これらに限定されない。
【0074】
一実施形態において、統計モデル625は、処理ツールと共に使用するために販売又はライセンス供与されるモジュールとして提供されうる。即ち、統計モデル625のための物理的DoEは、処理ツールの製造者によって実行されうる。他の実施形態において、統計モデル625が、現場で物理的DoEを実行することで生成されうる。さらに別の実施形態において、汎用の統計モデル625が、ツールの製造業者によって提供され得、後続の物理的DoEが、調査されている特定の処理ツールをより厳密にモデル化するため統計モデル625の較正を提供するために、現場で実行されうる。
【0075】
一実施形態において、物理モデル627が、現実世界の物理及び化学的な関係を使用して生成されうる。例えば、処理チャンバ内の様々な相互作用についての物理及び化学反応式が、物理モデルを構築するために使用されうる。物理モデル627はまた、物理モデル627の精度を向上させるために、チャンバの外形又は他のチャンバ設定を利用することもできる。物理モデル627は、複数の様々な処理パラメータにわたる処理ツール内での物理的及び化学的相互作用のシミュレーションの結果でありうる。物理モデル627は、処理ツールと共に使用するために販売又はライセンス供与されるモジュールでありうる。
【0076】
一実施形態において、物理モデル627及び統計モデル625は、(矢印で示すように)互いに参照できるとすることができる。2つのモデル627と625の間で相互参照することで、各モデルを検証すること、及び個々のモデルにおけるギャップを埋めることができる。一実施形態において、物理モデル627と統計モデル625とを組み合わせて、より堅牢なMLモデルを提供することができる。
【0077】
図示されるように、MLモデルサーバ620が、処理ツール600と統合されうる。例えば、MLモデルサーバ620は、矢印で示すように、ネットワーク接続によってフロントエンドサーバ660に通信可能に接続されうる。他の実施形態において、MLモデルサーバ620が、処理ツール600の外部にありうる。例えば、MLモデルサーバ620は、外部ネットワーク等を介して処理ツール600と通信可能に接続されうる。
【0078】
一実施形態において、フロントエンドサーバ660が、MLモデルサーバ620のためのユーザインタフェース665を含みうる。ユーザインタフェース665は、プロセスエンジニアが、以下でより詳細に説明するような、レシピ策定又はチャンバのベースライニング(baselining)といった様々な工程を実行するためにMLモデリングを利用するためのインタフェースを提供する。一実施形態において、ユーザインタフェース665は、図1Bのユーザインタフェース142に対応しうる。
【0079】
制御サーバ650は、スマート監視及び制御ブロック655を含みうる。スマート監視及び制御ブロック655は、処理ツール600の診断及び他の監視を提供するためのモジュールを含みうる。モジュールは、ヘルスチェック、センサドリフト、故障回復、及び漏れ検知を含むが、これらに限定されない。スマート監視及び制御ブロック655は、ツールハードウェア640に実装された様々なセンサからのデータを入力として受信することができる。センサが、ツール600の動作を可能とするために半導体製造ツール600内に一般的に存在する標準センサ647を含みうる。センサはまた、ツール600に追加されたモデリングセンサ645も含みうる。モデリングセンサ645は、高度に詳細なMLモデルを構築するために必要な追加情報を提供する。例えば、モデリングセンサは、仮想センサ及び/又は目撃センサ(witness sensor)を含みうる。仮想センサは、2つ以上の物理センサから取得されたデータを利用して、物理センサからは取得できない追加のセンサデータを提供するために、内挿及び/又は外挿を実施することができる。特定の例において、仮想センサが、ガスカートリッジといった処理ツールの一部分を流過する流量を計算するために、上流の圧力センサ及び下流の圧力センサを利用することができる。概して、モデリングセンサは、圧力センサ、温度センサ、ガス濃度センサといった任意の種類のセンサを含みうるが、これらに限定されない。一実施形態において、スマート監視及び制御ブロック655が、MLモデルサーバ620によって使用されるデータを提供しうる。他の実施形態において、様々なモデリングセンサ645からの出力データが、MLモデルサーバ620に直接的に提供されうる。一実施形態において、制御サーバ650が、図1Bのコントローラ140に対応しうる。
【0080】
ここで、図7Aを参照すると、一実施形態に係る、MLモデルを生成するためのプロセスを示すフロー図が示されている。一実施形態において、モデリングDoE715からの入力が、統計モデルエンジン724に入力される。モデリングDoE715は、幾つかの物理的ウエハの処理を含みうる。上記DoE715は、統計モデルエンジン724に供給される様々なデータソースを含みうる。例えば、ウエハの処理中又は処理後に取得された計測データ716が、統計モデルエンジン724に提供されうる。加えて、処理ツール内のセンサからのセンサデータ217が、統計モデルエンジン724に提供されうる。プロセスパラメータデータ718(すなわち、ウエハの処理中の様々なプロセスパラメータの値)も、統計モデルエンジン724に提供されうる。
【0081】
一実施形態において、統計モデルエンジン724が、様々なデータソースを解析して統計モデル725を出力するのに適したハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装されうる。統計モデルエンジン724は、ニューラルネットワークに基づく機械学習、又は回帰分析に用いられる他の任意の知られた技術(例えば、線形回帰、部分最小二乗回帰、ガウシアン、多項式、回帰用の畳み込みニューラルネットワーク、回帰木、及びその他)を利用して、物理的DoEデータのみから得られるよりも大きなプロセス空間を補間することができる。
【0082】
一実施形態において、物理モデルエンジン726が物理モデル727を生成するために使用される。一実施形態において、物理モデルエンジン726は、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装されうる。物理モデルエンジン726は、入力として、チャンバ設定、並びに現実世界の物理及び化学反応式を受信する。物理モデルエンジン726は、物理モデル727を構築するために、複数の異なる処理パラメータにわたって処理ツール内の物理的及び化学的相互作用のシミュレーションを実施することができる。このように、処理ツール内の物理的及び/又は化学的な反応を修正する処理パラメータへの変更が、予期されるデバイスアウトカムに対応づけられうる。
【0083】
一実施形態において、統計モデル725及び物理モデル727が、MLモデル728生成のための入力として使用される。例えば、統計モデル725及び物理モデル727は、MLモデルエンジン729のための入力となりうる。MLモデルエンジン729が、物理モデル727及び統計モデル725を処理して、MLモデル728を出力する。幾つかの実施形態において、物理モデル727を使用して、測定できない幾つかの物理的測定値を導出することができ、物理モデル727の出力が、統計モデルへの追加の入力と見做されうる。このような状況において、MLモデルエンジン729は、物理モデル727からの情報を統計モデル725に追加して、MLモデル728を提供する。したがって、MLモデル728は、2つのモデル725及び727を使用してロセス空間内の個々の点の検証することを可能とし、所定の処理ツールに個別に合わせることができるより完全なプロセス空間を提供する。しかしながら、幾つかの実施形態において、物理モデル727及び統計モデル725は、出力に従ってスタンドアロンのモデルとすることができる。すなわち、幾つかの実施形態において、統計モデル725及び物理モデル727が統合されてMLモデルとならなくてよい。
【0084】
一実施形態において、MLモデルはまた、統計モデル725の他のインスタンスとして見做されうる。例えば、図7Bでは、物理モデルエンジン726が出力した物理モデル727を、統計モデルエンジン724の入力として使用することができる。したがって、統計モデルエンジン724は、物理モデル727からの情報を含む統計モデル725を生成するために、追加の入力を有している。特に、統計モデルエンジン724は、物理モデル727からのデータを既に含むことができ、MLモデルを生成するためのMLモデルエンジンの使用は、すべての実施形態で必要でなくてよい。
【0085】
次に図8を参照すると、一実施形態に係る、MLモデルを使用してプロセスレシピを策定するためのプロセス870を示すフロー図が示されている。目標とするプロセスレシピは、ウエハ上で所望のデバイスアウトカムをもたらすプロセスパラメータのセットを有するプロセスレシピである。一実施形態において、プロセス870は、所望のデバイスアウトカムを決定することを含む動作871で開始されうる。一実施形態において、デバイスアウトカムは、ウエハデバイスの寸法、材料組成などでありうる。例えば、デバイスアウトカムは、図5に示す積層メモリデバイスの層の厚さ、ウエハ全体の厚さの均一性、層の材料組成、又は材料組成の均一性を含みうる。
【0086】
一実施形態において、プロセス870は、MLモデルにクエリして、処理パラメータのセットを選択することを含む動作872で継続することができる。一実施形態において、MLモデルは、統計モデルと物理モデルとの組み合わせから生成されたプロセス空間のモデルとすることができる。統計モデルは、上述のように実際のウエハのDoEを用いて生成することができる。物理モデルは、現実世界の物理及び化学反応式に基づきうる。たとえば、物理モデルは、複数の異なる処理パラメータにわたる処理ツール内での物理的及び化学的相互作用のシミュレーションから生成されうる。一実施形態において、MLモデルは、処理ツールが利用できるプロセス空間全体をカバーしうる。
【0087】
MLモデルは、プロセスエンジニアの経験及び知識だけに頼ることなく、安定したプロセスレシピを特定することを可能とする。それどころか、目標とするデバイスアウトカムに厳密に一致するデバイスアウトカムを生成することが予期されるベースラインレシピを、MLモデルのプロセス空間から選択することができる。
【0088】
一実施形態において、プロセス870は、小さなDoEを実行してモデル推奨を検証することを含む動作873で継続することができる。MLモデルの精度が高いため、小さなDoE(例えば、20個以下のウエハ)が、モデル推奨を検証するため必要となる全てとすることができる。一実施形態において、DoEはプロセスエンジニアによって設計されうる。他の実施形態において、DoEはMLモデルを用いて設計されうる。
【0089】
一実施形態において、プロセス870は、1つ以上の計測ツールを用いてDoEウエハの結果を測定することを含む動作874で継続することができる。計測データは、目標とするデバイスアウトカムがウエハ上で達成されていることを検証するために使用することができる。
【0090】
一実施形態において、プロセス870は、所望のデバイスアウトカムが実現されたかどうかを判定することを含む動作875で継続することができる。所望のデバイスアウトカムが達成されている場合には、プロセスは動作876にそって進み、プロセスが完了する。所望のデバイスアウトカムが達成されていない場合には、プロセスは、動作872に戻り又はフィードバックされうる。一実施形態において、MLモデルを更新するために、小さなDoEからのデータがMLモデルにフィードバックされうる。例えば、プロセスが反復的に動作872に戻る場合には、動作873で実行されるDoEが、(例えば、特定のプロセス又はプラズマチャンバについて)MLモデルで欠けているところの知識に基づいて、以前のサイクルで実行されたDoEから学習された追加の知識に基づいて、設計されうる。その後、更新されたMLモデルにクエリして、第2のベースラインレシピを提供することができる。このように、最初の反復が成功していないときにも、プロセスは依然として適切なレシピに迅速に収めることができ、その際に、大規模なDoEを必要ではなく、リソースが無駄になることもない。
【0091】
ここで図9を参照すると、一実施形態に係る、処理ツールをベースライニングするためのプロセス980を示すフロー図が示されている。一実施形態において、ベースラインプロセスは、処理ツール内のウエハの処理中にチャンバドリフトを考慮するために有益でありうる。一実施形態において、ベースライニングプロセスが、任意の所望の頻度で実施されうる。例えば、プロセス980は、ロットごと、計画された保守(PM:planned maintenance)イベントごと、又は処理されたウエハが指定範囲外のデバイスアウトカムを有するときに、実施されうる。
【0092】
一実施形態において、プロセス980は、外部での計測を用いてウエハの限定的なDoEを実行して、チャンバ性能をベースライニングすることを含む動作981で開始されうる。一実施形態において、限定的なDoEは、20枚以下のウエハを含みうる。限定的なDoEは、ベースラインとして、記録のプロセスレシピを利用することができる。外部での計測は、処理されたウエハのデバイスアウトカムを決定するのに適した任意の計測を含みうる。例えば、酸化プロセスの場合には、エリプソメトリを使用して、ウエハ全体の膜厚及び膜厚均一性を調査することができる。
【0093】
一実施形態において、プロセス980は、デバイスアウトカム及び他の計測データをMLモデルに追加することを含む動作982で継続することができる。MLモデルに追加される追加のデータは、較正データセットと称されうる。較正データセットは、MLモデルが処理ツールの現状をより正確に反映するようにMLモデルを更新するために使用される。例えば、プロセス580は、特定のチャンバ条件を考慮するためにモデル予測値を調整することを含む動作583を含みうる。即ち、MLモデルのプロセス空間が、調査されている処理ツールの条件に厳密に一致するよう更新される。
【0094】
一実施形態において、MLモデルは、統計モデルと物理モデルとの組み合わせから生成されたプロセス空間のモデルとすることができる。統計モデルは、上述のように実際のウエハのDoEを用いて生成することができる。物理モデルは、現実世界の物理及び化学反応式に基づきうる。例えば、物理モデルは、複数の異なる処理パラメータにわたって、回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバといった処理ツール内での、物理的及び化学的相互作用のシミュレーションから生成されうる。一実施形態において、MLモデルは、処理ツールが利用できるプロセス空間全体をカバーしうる。
【0095】
一実施形態において、プロセス980は、チャンバ内で連続的に処理されるウエハの所望のウエハアウトカムを達成するために、最適化されたプロセスパラメータを予測することを含む動作984で継続することができる。最適化されたプロセスパラメータは、較正データセットを含むようMLモデルが更新された後で選択されうる。これに対応して、新しいプロセスレシピは、チャンバ条件の変更にもかかわらず、目標とされる値により厳密に一致したウエハアウトカムをもたらすウエハパラメータを提供する。このように、チャンバのドリフトが、厳しいプロセスウィンドウを維持し、均一性、再現性、及び歩留まりを向上させるために監視され考慮されうる。これに対応して、チャンバのドリフトを考慮するために処理レシピを正確に調整できるため、予定外のツールの停止時間が削減される。さらに、PMが行われるときには、プロセス980を実施することで、より短い回復時間を提供することができ、これにより、ツールの使用率が向上する。
【0096】
一実施形態において、MLモデルはさらに、チャンバドリフトを考慮するために処理レシピの連続的(又はほぼ連続的)な修正を提供するために使用されうる。例えば、デバイスウエハの処理中に得られたウエハデータ及びプロセスデータが、MLモデルを更新するために利用されうる。即ち、較正データセットを提供するのに専用のDoEが必要とならなくてよい。デバイスウエハからのウエハデータが、全ウエハについて、又は処理中のウエハのサブセットについて取得されうる。
【0097】
このような実施形態は、処理ツールのMLモデルを提供することを含みうる。MLモデルは、上述したMLモデルと同様の統計モデル及び物理モデルを含みうる。一実施形態において、プロセスは、レシピが第1のウエハを処理するために処理ツール内で実行されることで開始されうる。第1のウエハを処理した後で、第1のウエハからのウエハデータと、レシピの実行に関する処理ツールからのプロセスデータと、が取得されうる。一実施形態において、ウエハデータは、厚さ、厚さ均一性、及びプロファイルといった計測データを含みうるが、これらに限定されない。一実施形態において、プロセスデータは、処理ツール内のセンサから得られたデータ及び/又はツール設定情報を含みうる。一実施形態において、ウエハデータ及びプロセスデータがMLモデルに提供され、更新されたMLモデルが生成される。一実施形態において、更新されたMLモデルが、処理ツール内のチャンバドリフトを考慮するため修正されたレシピを生成するために使用される。その後、実施形態は、第2のウエハを処理するために、修正されたレシピを処理ツール内で実行することを含みうる。単一の第1のウエハの処理について先に記載したが、更新されたMLモデルが生成される前に、複数の第1のウエハを処理できることが理解されよう。このような実施形態では、複数のウエハデータ及びプロセスデータのセットを使用して、更新されたMLモデルを生成することができる。
【0098】
図10は、コンピュータシステム1000の例示的形態によるマシンの概略図を示し、コンピュータシステム1000内では、上記マシンに本明細書に記載の任意の1つ以上の方法を実行させるための命令のセットが実行されうる。代替的な実施形態では、マシンは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、インターネットで他のマシンに接続されうる(例えば、ネットワーク化されうる)。マシンは、クライアント・サーバネットワーク環境において、サーバ若しくはクライアントマシンマシンの役割で、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境において、ピアマシンとして動作しうる。マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、ウェブアライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はそのマシンによって行われるアクションを指定する(連続的又は別様の)命令セットを実行することができるいかなるマシンであってもよい。さらに、単一のマシンが示されているが、「マシン(machine)」という用語はまた、本明細書に記載される1つ以上の任意の方法を実施するために、命令セット(又は複数の命令セット)を個別に、又は連携的に実行するマシン(例えば、コンピュータ)の任意の集合を含むと理解されたい。
【0099】
例示的なコンピュータシステム1000は、プロセッサ1002、メインメモリ1004(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)又はランバスDRAM(RDRAM)といったダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、スタティックメモリ1006(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)、及び、二次メモリ1018(データ記憶デバイスなど)を、含み、これらは、バス1030を介して互いに通信する。
【0100】
プロセッサ1002は、マイクロプロセッサ、中央処理装置等といった、1つ以上の汎用処理デバイスを表わしている。より具体的には、プロセッサ1002は、複合命令セット演算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実施するプロセッサ、又は、命令セットの組み合わせを実施するプロセッサでありうる。プロセッサ1002はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等の1つ以上の特殊用途処理装置であってもよい。プロセッサ1002は、本明細書に記載の工程を実施するための、処理ロジック1026を実行するよう構成されている。
【0101】
コンピュータシステム1000は、ネットワークインタフェースデバイス1008をさらに含みうる。コンピュータシステム1000はまた、ビデオディスプレイ装置1010(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又は陰極線管(CRT))、英数字入力装置1012(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス1014(例えば、マウス)、及び信号生成装置1016(例えば、スピーカ)を含みうる。
【0102】
二次メモリ1018は、本明細書に記載される任意の1つ以上の方法又は機能を具現化する、1つ以上の命令セット(例えばソフトウェア1022)が格納されたマシンアクセス可能記憶媒体(又は、より具体的にはコンピュータ可読記憶媒体)1032を含みうる。このソフトウェア1022はまた、コンピュータシステム1000によって実行される間、完全に又は少なくとも部分的にメインメモリ1004内、及び/又はプロセッサ1002内に存在してもよく、メインメモリ1004とプロセッサ1002はまた、マシン可読記憶媒体を構成する。ソフトウェア1022はさらに、ネットワークインタフェースデバイス1008を介して、ネットワーク1020上で送信又は受信されうる。
【0103】
例示的な一実施形態において、マシンアクセス可能な記憶媒体1032を単一の媒体として示しているが、「マシン可読記憶媒体(machine-readable storage medium)」という用語は、1つ以上の命令セットが格納された単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース若しくは分散データベース、及び/又は、関連するキャッシュ及びサーバ)を含むものと解釈すべきである。「マシン可読記憶媒体」という用語は、マシンによって実行される一式の命令であって、本開示の方法のうちの任意の1つ以上をマシンに実行させる命令を格納又は符号化することが可能なあらゆる媒体を含むとも解釈すべきである。従って、「マシン可読記憶媒体」という用語は、固体メモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むがこれらに限定されないと解釈すべきである。
【0104】
本開示の一実施形態に従って、マシンアクセス可能記憶媒体には、MLモデルからの見識を用いてウエハを処理する方法、及び/又はMLモデルを更新若しくは構築する方法をデータ処理システムに実施させる命令が格納されている。
【0105】
回転する調節されたクロスフローを有するプラズマチャンバの実施形態が開示されている。
【0106】
例示的な実施形態1:プラズマ処理チャンバが、1つ以上の側壁を含む。1つ以上の側壁の内部の支持表面が、ワークピースを保持する。1つ以上の側壁に沿った第1のガスインジェクタが、第1の方向にワークピースの表面に対して略平行に当該表面に亘って、第1のガス流を注入する。第1のガスインジェクタの概ね反対側の、1つ以上の側壁に沿った第1のポンプポートが、第1のガス流を排出する。1つ以上の側壁に沿った第2のガスインジェクタが、第2の方向にワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って、第2のガス流を注入する。第2のガスインジェクタの概ね反対側の1つ以上の側壁に沿った第2のポンプポートが、第2のガス流を排出する。
【0107】
例示的な実施形態2:プラズマ処理チャンバが、第1のガスインジェクタ及び第2のガスインジェクタと、第1のポンプポート及び第2のポンプポートと、を使用して、1つ以上の側壁から横方向にワークピースに亘って第1のガス流及び第2のガス流を回転させて、多段階回転クロスフロー動作を提供するよう構成され、多段階回転クロスフロー動作が、少なくとも2段階サイクルを含む、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0108】
例示的な実施形態3:1つ以上の側壁の形状が、円筒形、楕円形、方形又は矩形である、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0109】
例示的な実施形態4:第1のガスインジェクタ及び第2のガスインジェクタが、1つ以上の側壁の開口内に位置する、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0110】
例示的な実施形態5:1つ以上の側壁の上のチャンバリッドと、
支持表面を含む支持ペデスタルであって、チャンバリッドより下方かつチャンバフロアより上方にあり、1つ以上の側壁によって囲まれている支持ペデスタルと、
チャンバリッドと、支持ペデスタルと、1つ以上の側壁と、の間の領域によって画定された処理領域と、
を更に含む、実施形態4に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0111】
例示的な実施形態6:第1のガスインジェクタ及び第2のガスインジェクタが、チャンバリッドと前記ペデスタルとの間の1つ以上の側壁内に位置する、実施形態5に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0112】
例示的な実施形態7:第1のポンプポート及び第2のポンプポートの位置が、第1のガスインジェクタ及び第2のガスインジェクタの位置から、チャンバリッドの底面と支持ペデスタルとの間の距離にほぼ等しい距離だけ垂直方向にずれている、実施形態5に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0113】
例示的な実施形態8:第1のポンプポート及び第2のポンプポートが、1つ以上の側壁と支持ペデスタルとの間にありかつチャンバフロアより上方のキャビティ内に存在する、実施形態5に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0114】
例示的な実施形態9:第1のポンプポート及び第2のポンプポートが、チャンバリッドとチャンバフロアとの間の1つ以上の側壁の追加の開口内に位置する、実施形態5に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0115】
例示的な実施形態10:第1のガス流と第2のガス流とをオン/オフして切り替えて、ガス流の回転を制御する、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0116】
例示的な実施形態11:第1のガス流及び第2のガス流の少なくとも一方の流量に対して適用される又は第1のポンプポート及び第2のポンプポートの少なくとも一方によって生じる出口コンダクタンスに対して適用される調節機能をさらに含む、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0117】
例示的な実施形態12:調節機能が、第1のガス流及び第2のガス流の少なくとも一方の流量を調節するための1つ以上のガス注入弁を含む、実施形態11に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0118】
例示的な実施形態13:1つ以上のガス注入弁は、単一種のガス、又は様々な種類のガスの混合物が各回転段階の間に処理領域内に注入されるように、1つ以上のガス源に結合されている、実施形態12に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0119】
例示的な実施形態14:第1のガスインジェクタ及び第2のガスインジェクタは一定の総ガス流を適用して、ガス流を完全なサイクル内に、ワークピースの異なるサイドを横切って円滑かつ連続的に注入する、実施形態12に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0120】
例示的な実施形態15:第1のポンプポート及び第2のポンプポートの少なくとも一方のポンプポートコンダクタンス又は圧力を調節するための1つ以上の絞り弁をさらに備える、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0121】
例示的な実施形態16:1つ以上の絞り弁は、コンダクタンス又は圧力の2つの状態の間で滑らかに動作し、当該動作が、第1のガスインジェクタ及び第2のガスインジェクタと同様の順序で繰り返される、実施形態15に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0122】
例示的な実施形態17:トップダウン式のガス流をさらに含む、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0123】
例示的な実施形態18:第1のガスインジェクタと第1のポンプポートとが、第1のインジェクタ・ポンプポート対を含み、第2のガスインジェクタと第2のポンプポートとが、第2のガスインジェクタ・ポンプポート対を含み、ワークピースの向きに対して略平行の平面に沿って、第1のインジェクタ・ポンプポート対の位置が、第2のインジェクタ・ポンプポート対の位置から180°ずれている、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0124】
例示的な実施形態19:トップダウン式のガス流をさらに含む、実施形態18に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0125】
例示的な実施形態20:プラズマ処理チャンバが、第3のガスインジェクタと、対向する第3のポンプポートと、をさらに備え、第3のインジェクタ・ポンプポート対及び、3段階回転クロスフロー動作を提供する、実施形態18に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0126】
例示的な実施形態21:第1のインジェクタ・ポンプポート対と、第2のインジェクタ・ポンプポート対と、第3のインジェクタ・ポンプポート対とは、互いに120°ずれている、実施形態20に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0127】
例示的な実施形態22:第1のガスインジェクタと、第2のガスインジェクタと、第3のガスインジェクタとが互いに約120°離れた位置にあり、第1のポンプポートと、第2のポンプポートと、第3のポンプポートとが互いに120°離れた位置にあり、第1のポンプポートと、第2のポンプポートと、第3のポンプポートとが、第1のガスインジェクタと、第2のガスインジェクタと、第3のガスインジェクタと、の間に横方向に分散している、実施形態20のプラズマ処理チャンバ。
【0128】
例示的な実施形態23:第4のガスインジェクタと、対向する第4のポンプポートと、をさらに備え、第4のインジェクタ・ポンプポート対及び4段階回転クロスフロー動作を提供する、実施形態20に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0129】
例示的な実施形態24:環状の側壁に沿った各ガスインジェクタ・ポンプポート対の位置は、隣りのインジェクタ・ポンプポート対の位置から、合計360度をインジェクタ・ポンプポート対の数で割ったものに等しい角度だけずれている、実施形態23に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0130】
例示的な実施形態25:第1のガスインジェクタ及び第2のガスインジェクタの少なくとも一方が、1つ以上の側壁における単一のベントを含む、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0131】
例示的な実施形態26:第1のガスインジェクタ及び第2のガスインジェクタが、個別ガスインジェクタのガスインジェクタアレイを含む、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0132】
例示的な実施形態27:個別ガスインジェクタが、1つ以上の側壁の外周の周りに分散されており、個別ガスインジェクタのセットが、ワークピースに亘る様々な方向のガス流を生成するよう、1つ以上のガス注入弁によって調節される、実施形態26に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0133】
例示的な実施形態28:第1のガスインジェクタ及び第2のガスインジェクタの少なくとも一方が、個別ガスインジェクタのガスインジェクタアレイを含む、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0134】
例示的な実施形態29:中心-端のガス流をさらに含み、ガスインジェクタアレイ内の個別ガスインジェクタのうち中心のガスインジェクタから注入される少なくとも第1のガス流又は第2のガス流は、ガスインジェクタアレイ内の端のガスインジェクタに対して流量がより大きい、実施形態28に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0135】
例示的な実施形態30:端-中心のガス流をさらに含み、ガスインジェクタアレイ内の個別ガスインジェクタのうち端のガスインジェクタから注入される少なくとも第1のガス流又は第2のガス流は、ガスインジェクタアレイ内の中央のガスインジェクタに対して流量がより大きい、実施形態28に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0136】
例示的な実施形態31:少なくとも4つのガスインジェクタアレイ、及び対向するポンプポートをさらに備え、対向するポンプポートを閉じ、ポンプポートのうち側方のポンプポートを開くことで、少なくとも第1のガス流又は第2のガス流が、ワークピースを横切ってではなくて、ワークピースの側方に方向付けられる、実施形態28に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0137】
例示的な実施形態32:プラズマ処理チャンバが、半導体製造中に反応性イオンエッチングを実施するために使用される、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0138】
例示的な実施形態33:プラズマ処理チャンバ内で回転ガスクロスフローを実施する方法。第1の段階の間に、ステップは、プラズマ処理チャンバの1つ以上の側壁に沿った第1の位置の第1のガスインジェクタによって、第1の方向にデバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入すること、及び、第1のガスインジェクタに概ね対向している、1つ以上の側壁に沿った第2の位置の第1のポンプポートによって、プラズマ処理チャンバから第1のガス流を排出することを含む。第2の段階の間に、ステップは、1つ以上の側壁に沿った第3の位置の第2のガスインジェクタによって、第2の方向にデバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入すること、及び、第2のガスインジェクタに概ね対向している、1つ以上の側壁に沿った第4の位置の第2のポンプポートによって、プラズマ処理チャンバから第2のガス流を排出することを含む。
【0139】
例示的な実施形態34:機械学習(ML:machine learning)モデルにクエリして、第1のガス流及び第2のガス流のタイミングを制御することをさらに含む、実施形態33に記載の方法。
【0140】
例示的な実施形態35:1つ以上のデバイスアウトカムを選択することと、MLモデルにクエリして、回転ガスクロスフローを含むプラズマ処理チャンバによって処理されたときにデバイスアウトカムを得るために適したプロセスレシピの推奨を取得することと、によって、デバイスのための半導体製造プロセスレシピを策定することをさらに含む、実施形態34の方法。
【0141】
例示的な実施形態36:ウエハのセットに対して実験計画(DoE:design of experiment)を実行して、MLモデルによって推奨されたプロセスレシピを検証することをさらに含む、実施形態35に記載の方法。
【0142】
例示的な実施形態37:プロセスレシピとして、温度、RF源電力、バイアス電力、ガス圧力(mTorr)、ガス流ランプ開時間(msec)、ガス流時間(msec)、ガス流ランプ閉時間(msec)、様々なガスインジェクタにおけるガス流量の割合、様々なインジェクタにおけるガス組成、様々なインジェクタにいくガス流量の割合、ガス流回転周波数、ガス流組成周波数、ガス流量レート/速度(圧力勾配)、ガス流方向、ガス回転段階、電子/プラズマ密度、プラズマ密度勾配、電子温度、イオン流密度、プラズマ電位、シース電場電位、シース電場傾斜角、シース電場z成分、原子Oの質量分率、Oフラックス、及びワークピースに対するイオン流密度、のうちの任意の組み合わせを受け取ることをさらに含む、実施形態35に記載の方法。
【0143】
例示的な実施形態38:デバイスアウトカムとして、フィーチャのプロファイル、層の厚さ、厚さ均一性、層の材料組成、組成均一性、多孔性、膜応力、設備内のチャンバ間のプロセス均一性、ウエハ間の均一性、及び異なるウエハロット間の均一性、のうちの任意の組み合わせを選択することをさらに含む、実施形態35に記載の方法。
【0144】
例示的な実施形態39:エッチングプロセス中のデバイスアウトカムとして、エッチングレート、中心と端とでのエッチング又は均一性、エッチングレートの周方向の均一性、エッチングフィーチャの均一性、傾斜、ボー、及びマスク残存、のうちの任意の組み合わせを選択することをさらに含む、実施形態38の方法。
【0145】
例示的な実施形態40:外部の計測を用いてウエハの限定的な実験計画(DoE:design of experiment)を実行して、チャンバ性能をベースライニングすることで、プラズマ処理チャンバをベースライニングすることをさらに含む、実施形態33に記載の方法。ウエハのアウトカム、及び限定的なDoEからの計測データが、較正データセットとしてMLモデルに追加され、MLモデルは、統計モデル及び物理モデルを含む。限定的なDoEによって特定された特定のチャンバ条件及び/又はウエハ条件を考慮するために、モデル予測値を調整する。最適化されたプロセスパラメータが、プラズマ処理チャンバ内で処理されるウエハの所望のウエハアウトカムを実現するために、予測される。
【0146】
例示的な実施形態41:本明細書に開示される実施形態は、1つ以上の側壁を備えたプラズマ処理チャンバを含む。ワークピースを保持するための、1つ以上の側壁の内部の支持体。第1のガスインジェクタが、1つ以上の側壁に沿った第1の位置に存在し、第1のポンプポートが、第1のガスインジェクタに概ね対向している1つ以上の側壁に沿った第2の位置に存在する。第2のガスインジェクタが、1つ以上の側壁に沿った第3の位置に存在し、第2のポンプポートが、第2のガスインジェクタに概ね対向している1つ以上の側壁に沿った第4の位置に存在する。多相回転クロスフロー動作が、少なくとも第1の位相及び第2の段階を含む。第1の段階は、第1のガスインジェクタによって、第1の方向にワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入すること、及び、第1のポンプポートによって第1のガス流を排出することを含む。第2の段階は、第2のガスインジェクタによって、第2の方向にワークピースの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入すること、及び、第2のポンプポートによって第2のガス流を排出することを含む。
【0147】
例示的な実施形態42:第1のガスインジェクタに接続された第1のガス注入弁、第2のガスインジェクタに接続された第2のガス注入弁、第1のポンプポートに接続された第1の圧力制御弁、及び第2のポンプポートに接続された第2の圧力制御弁をさらに含む、実施形態41に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0148】
例示的な実施形態43:プラズマ処理チャンバに接続されたコントローラをさらに含み、コントローラが、第1の段階の間に、第1のガス注入弁を完全に開きかつ第2のガス注入弁を部分的に開くことで、第1のガス流を開始することと、第1の圧力制御弁を開き、かつ第2の圧力制御弁を閉じることと、を行うよう構成される、実施形態42に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0149】
例示的な実施形態44:コントローラが、第1の段階と第2の段階との間の移行の付近で第1のガス注入弁を閉じ始め、第2の段階を開始するために前記第2のガス注入弁を完全に開きかつ前記第1のガス注入弁を部分的に開くことで、ガス流の方向を回転させることと、第2の圧力制御弁を開き、かつ第1の圧力制御弁を閉じることと、を行うようさらに構成される、実施形態43に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0150】
例示的な実施形態44:ソフトウェア命令が格納された非一過性コンピュータ可読媒体であって、ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行されると、以下のステップを実行することによって、プロセッサに、プラズマ処理チャンバ内のガスクロスフローを回転させるようにする、非一過性コンピュータ可読媒体。第1の段階の間に、上記ステップは、プラズマ処理チャンバの1つ以上の側壁に沿った第1の位置の第1のガスインジェクタによって、第1の方向にデバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第1のガス流を注入すること、及び、第1のガスインジェクタに概ね対向している、1つ以上の側壁に沿った第2の位置の第1のポンプポートによって、プラズマ処理チャンバから第1のガス流を排出することを含む。第2の段階の間に、上記ステップは、1つ以上の側壁に沿った第3の位置の第2のガスインジェクタによって、第2の方向にデバイスの表面に対して略平行にかつ当該表面に亘って第2のガス流を注入すること、及び、第2のガスインジェクタに概ね対向している、1つ以上の側壁に沿った第4の位置の第2のポンプポートによって、プラズマ処理チャンバから第2のガス流を排出することを含む。
【0151】
例示的な実施形態46:機械学習(ML:machine learning)モデルにクエリして、第1のガス流及び第2のガス流のタイミングを制御することをさらに含む、実施形態45に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【0152】
例示的な実施形態47:1つ以上のデバイスアウトカムを選択することと、MLモデルにクエリして、回転ガスクロスフローを含むプラズマ処理チャンバによって処理されたときにデバイスアウトカムを得るために適したプロセスレシピの推奨を取得することと、によって、デバイスのための半導体製造プロセスレシピを策定することをさらに含む、実施形態46の非一過性コンピュータ可読媒体。
【0153】
例示的な実施形態48:ウエハのセットに対して実験計画(DoE:design of experiment)を実行して、MLモデルによって推奨されたプロセスレシピを検証することをさらに含む、実施形態47に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【0154】
例示的な実施形態49:プロセスレシピとして、温度、RF源電力、バイアス電力、ガス圧力(mTorr)、ガス流ランプ開時間(msec)、ガス流時間(msec)、ガス流ランプ閉時間(msec)、様々なガスインジェクタにおけるガス流量の割合、様々なインジェクタにおけるガス組成、様々なインジェクタにいくガス流量の割合、ガス流回転周波数、ガス流組成周波数、ガス流量レート/速度(圧力勾配)、ガス流方向、ガス回転段階、電子/プラズマ密度、プラズマ密度勾配、電子温度、イオン流密度、プラズマ電位、シース電場電位、シース電場傾斜角、シース電場z成分、原子Oの質量分率、Oフラックス、及びワークピースに対するイオン流密度、のうちの任意の組み合わせを受け取ることをさらに含む、実施形態47に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【0155】
例示的な実施形態50:デバイスアウトカムとして、フィーチャのプロファイル、層の厚さ、厚さ均一性、層の材料組成、組成均一性、多孔性、膜応力、設備内のチャンバ間のプロセス均一性、ウエハ間の均一性、及び異なるウエハロット間の均一性、のうちの任意の組み合わせを選択することをさらに含む、実施形態47に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【0156】
例示的な実施形態51:エッチングプロセス中のデバイスアウトカムとして、エッチングレート、中心と端とでのエッチング又は均一性、エッチングレートの周方向の均一性、エッチングフィーチャの均一性、傾き、ボー、及びマスク残存、のうちの任意の組み合わせを選択することをさらに含む、実施形態50に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【0157】
例示的な実施形態52:外部の計測を用いてウエハの限定的な実験計画(DoE:design of experiment)を実行して、チャンバ性能をベースライニングすることで、プラズマ処理チャンバをベースライニングすることをさらに含む、実施形態45に記載の非一過性のコンピュータ可読媒体。ウエハのアウトカム、及び限定的なDoEからの計測データが、較正データセットとしてMLモデルに追加され、MLモデルは、統計モデル及び物理モデルを含む。モデル予測値が、限定的なDoEによって特定された特定のチャンバ条件及び/又はウエハ条件を考慮するために調整される。最適化されたプロセスパラメータが、プラズマ処理チャンバ内で処理されたウエハの所望のアウトカムを実現するために、予測される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10