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特許7605987両親媒性アルコキシル化ポリアミン及びそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】両親媒性アルコキシル化ポリアミン及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20241217BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20241217BHJP
   D06L 1/12 20060101ALI20241217BHJP
   C08G 63/685 20060101ALI20241217BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20241217BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D3/30
D06L1/12
C08G63/685 ZBP
C08L101/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023532520
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2021087021
(87)【国際公開番号】W WO2022136389
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】20216952.0
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20217099.9
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21176904.7
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21176906.2
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】エーベルト、ゾフィア
(72)【発明者】
【氏名】ニーベルレ、イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ベンラーマー、ウィダッド
(72)【発明者】
【氏名】ウォルムス、カタリーナ
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルト、スザンヌ・カリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデルメウレン、グイド
(72)【発明者】
【氏名】テュルク、ホルゲル
(72)【発明者】
【氏名】ヒェルスケッター、フランク
(72)【発明者】
【氏名】シ、ガン
(72)【発明者】
【氏名】ゴルチンスカ-コステロ、カタルジナ
(72)【発明者】
【氏名】サヴェイン、ピーター・ヤン・マリア
(72)【発明者】
【氏名】ステルジョプル、ナタリア
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/083680(WO,A1)
【文献】特表2002-513057(JP,A)
【文献】特開平07-025993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
D06L 1/12
C08G 63/685
C08L 101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程a)~c)及び任意の工程d)を含むプロセスによって得ることができる、最大6個のアミン基を含む、洗濯洗剤組成物又は食器洗浄洗剤組成物に使用するための、アルコキシル化ポリアミンであって、
a)i)第1の中間体(I1)を得るための、最大6のアミン基を含む少なくとも1つのポリアミンと、ii)少なくとも1つの第1のアルキレンオキシド(AO1)との反応であって、ポリアミンのNH官能基1mol当たり0.25~.0molのアルキレンオキシド(AO1)が用いられ、AO1はエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドである、反応、
b)第2の中間体(I2)を得るための、前記第1の中間体(I1)と、カプロラクトンとの反応であって、(工程a)で用いられた)ポリアミンのNH官能基1mol当たり0.25~molのカプロラクトンが用いられる、反応、
c)前記アルコキシル化ポリアミン、又は任意の工程d)が用いられる場合には、第3の中間体(I3)を得るための、前記第2の中間体(I2)と、少なくとも1つの第2のアルキレンオキシド(AO2)との反応であって、(工程a)で用いられた)ポリアミンのNH官能基1mol当たり1mol~14.5molのアルキレンオキシド(AO2)が用いられ、AO2は、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドである、反応、
d)前記アルコキシル化ポリアミンを得るための、前記第3の中間体(I3)と、少なくとも1つの第2のアルキレンオキシド(AO2)との任意の反応であって、(工程a)で用いられた)ポリアミンのNH官能基1mol当たり少なくとも1molのアルキレンオキシド(AO2)が用いられ、また、1つのみの第2のアルキレンオキシド(AO2)が工程d)で用いられる場合、この工程における前記第2のアルキレンオキシド(AO2)は、エチレンオキシドとは異なる、反応
前記アルキレンオキシドAO1及び/又はAO2は、アルキレンオキシドに由来する(すなわち、AO1及びAO2からの)前記アルコキシル化ポリアミン中の部分の総量の少なくとも10重量パーセントが、C3アルキレンオキシドから由来するように選択され、
用いられるアルキレンオキシドの総量が、ポリアミン(すなわち、工程aで用いた前記ポリアミン)のNH官能基1mol当たり、1~最大17molであり、
工程a)で用いられる前記少なくとも1つのポリアミンが、一般式(I)
【化1】
(式中、可変部分が、それぞれ以下の通り定義され、
yは、0~4範囲の値を有する整数であり、
Rは、同一であるか又は異なる、エチレン、プロピレン及びヘキサメチレンから選択されるC ~C -アルキレン基である、アルコキシル化ポリアミン。
【請求項2】
一般式(IIa)
【化2】
(式中、可変部分が、それぞれ以下の通り定義され、
は、C~C -(1,2-アルキレン)基を表し、
は、水素を表し、
は、直鎖状C アルキレン基を表し、
は、C~C -(1,2-アルキレン)基を表し、
は、1,2-エチレンを表し、
mは、少なくとも1及び最大10の値を有する整数であり、
nは、少なくとも1及び最大25の値を有する整数であり、
oは、0から最大25の値を有する整数であり、
pは、少なくとも1及び最大5の値を有する整数であり、
但し、n+o+pの合計が、多くとも25であり、
前記アルコキシル化ポリアミン中の残基R、Rの部分の総量の少なくとも50重量パーセントが、C3-アルキレンオキシドに由来し、
oが0でない場合、R及びRは、R及びRを含有する部分が異なる化学組成及び/又は異なる化学構造である(すなわち、2つ以上のアルキレンオキシドがR及びRについて選択され、選択された前記アルキレンオキシドが、R及びRの両方について同じである場合、前記アルキレンオキシドの配置が異なる)ように選択される)による残基を少なくとも1つ含有する、請求項1に記載のアルコキシル化ポリアミン。
【請求項3】
一般式(IIb)
【化3】
(式中、可変部分が、それぞれ以下の通り定義され、
は、C~C -(1,2-アルキレン)基を表し、
は、水素を表し、
は、直鎖状C アルキレン基を表し、
は、1,2-エチレンを表し、
mは、少なくとも1及び最大10の値を有する整数であり、
nは、少なくとも1及び最大25の値を有する整数であり、
oは、0から最大25の値を有する整数であり、
前記アルコキシル化ポリアミン中の残基R及び、前記式IIaの残基も存在する場合、R中の部分の総量の少なくとも50重量パーセントが、C3-アルキレンオキシドに由来し、
及びRは、R及びRを含有する部分が異なる化学組成及び/又は異なる化学構造である(すなわち、2つ以上のアルキレンオキシドがR及びRについて選択され、選択された前記アルキレンオキシドがR及びRの両方について同じである場合、前記アルキレンオキシドの配置が異なる)ように選択され、
但し、n+oの合計が、多くとも25である)による残基を少なくとも1つ含有する、請求項1又は2に記載のアルコキシル化ポリアミン。
【請求項4】
一般式(IIc)
【化4】
(式中、可変部分が、以下の通り定義され、
は、C~C -(1,2-アルキレン)基を表し、
は、水素を表し、
は、1,2-エチレンを表し、
nは、少なくとも5及び最大100の値を有する整数であり、
oは、少なくとも0から100の値を有する整数であり、
アルキレンオキシドに由来する前記アルコキシル化ポリアミン中の部分(すなわち、前記残基R1及び、式IIaの残基も存在する場合、R4も)の総量の少なくとも50重量パーセントが、C3-アルキレンオキシドに由来し、
但し、n+oの合計が、多くとも25である)による少なくとも1つの残基を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリアミン。
【請求項5】
工程a)が、水の存在下及び/又は塩基触媒の存在下で行われる、請求項1~のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリアミン。
【請求項6】
前記ポリアミン中のアミン基の数が、最大5個のアミン基である、請求項1~のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリアミン。
【請求項7】
yが、0~3の範囲の値を有する整数である、請求項~6のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリアミン。
【請求項8】
前記残基(IIa)が、工程a)で用いられる前記ポリアミンの前記アミノ基に結合した全ての残基(IIa)、(IIb)及び(IIc)の少なくとも80重量パーセントを占める、請求項1~のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリアミン。
【請求項9】
程c)において、前記第2のアルキレンオキシド(AO2)が、プロピレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物である、請求項1~のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリアミン。
【請求項10】
i)工程a)において、ポリアミンのNH官能基1mol当たり0.5~2molのアルキレンオキシド(AO1)が用いられ、かつ/又は
ii)工程b)において、(工程a)で用いられた)ポリアミンのNH官能基1mol当たり、0.5~3molのカプロラクトンが用いられ、かつ/又は
iii)工程c)において、(工程a)で用いられた)ポリアミンのNH官能基1mol当たり、5~14.5molのアルキレンオキシド(AO2)が用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリアミン。
【請求項11】
洗濯洗剤組成物又は食器洗浄洗剤組成物における、請求項1~10のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリアミンの使用。
【請求項12】
i)粘土(clay)除去、並びに/又は
ii)粒子状染みの汚れ除去、並びに/又は
iii)汚れの分散及び/若しくは乳化、並びに/又は
iv)後の再汚染の際の除去を改善するための処理表面の改質、並びに/又は
v)白色度の改善、
のための洗濯洗剤組成物又は食器洗浄洗剤組成物における請求項11に記載の使
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアルコキシル化ポリアミンを含む洗濯洗剤組成物。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアルコキシル化ポリアミンを含む食器洗浄洗剤組成物。
【請求項15】
i)粘土(clay)除去、並びに/又は
ii)粒子状染みの汚れ除去、並びに/又は
iii)汚れの分散及び/若しくは乳化、並びに/又は
iv)後の再汚染の際の除去を改善するための処理表面の改質、並びに/又は
v)白色度の改善
のための、請求項13に記載の洗濯洗剤組成物または請求項14に記載の食器洗浄洗剤組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工程a)~d)を含むプロセスによって得ることができ、両親媒性特性を有する新規アルコキシル化ポリアミンに関する。工程a)によって、ポリアミンそれ自体を、第1の中間体(I1)を得るために、第1のアルキレンオキシド(AO1)と反応させる。当該第1の中間体(I1)を、第2の中間体(I2)を得るために、工程b)においてラクトン及び/又はヒドロキシ炭素酸と反応させ、その後、工程c)で、第3の中間体(I3)を得るために、当該第2の中間体(I2)を、エチレンオキシドと反応させる。その後、当該第3の中間体(I3)を、本発明による新規アルコキシル化ポリアミンを得るために、任意に工程d)において第2のアルキレンオキシド(AO2)と反応させる。本発明は、更に、そのようなアルコキシル化ポリアミンを調製するためのプロセス自体、並びに、例えば、洗浄組成物内における及び/又は布地ケア製品やホームケア製品における、そのような化合物の使用に関する。更には、本発明はまた、それらの組成物又は製品自体にも関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動に起因して、今日のD&C産業の最も重要な目標の1つは、冷水条件を改善することによって、洗浄当たりのCO2排出量を大幅に低減することである。D&C産業の別の重要な目標は、洗濯配合物の持続可能性を改善し、生態系における非分解性ポリマーの蓄積を回避するための生分解性ポリマーの必要性である。冷水洗浄性能を改善するための技術的ハードルは非常に高いが、特に油性及び脂肪性の汚れのクラスに対して、両親媒性アルコキシル化ポリアミン、特にポリエチレンイミン(polyethyleneimines、PEI)のようなポリアルキレンイミンに基づくものは、そのような条件で油性/脂肪性の汚れ除去に寄与することができることは文献において既に知られている。しかしながら、これらの構造は生分解性ではない。
【0003】
国際公開第2020/187648号はまた、一般式(I)によるポリアルコキシル化ポリアルキレンイミン又はアルコキシル化ポリアミンにも関する。本明細書に説明される化合物は、例えば化粧品配合物内で利用され得る。しかしながら、国際公開第2020/187648号内で開示されている特定の化合物は、本発明のそれぞれの化合物とは異なる。国際公開第2020/187648号の置換基は、ラクトン及び/又はヒドロキシ炭素酸に基づくフラグメントを含んでいないためである。
【0004】
国際公開第95/32272号は、汚れ分散性能を高めるためのエトキシル化及び/又はプロポキシル化ポリアルキレンアミンポリマーを記載しており、当該ポリマーは、窒素当たり0.5~10の平均エトキシル化/プロポキシル化を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2020/187648号
【文献】国際公開第95/32272号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、ポリアミン骨格に基づく新規化合物を提供することである。更には、そうした新規化合物は、組成物内で利用される場合には、生分解性について有益な特性を有しなくてはならない。
【0007】
その目的は、以下の工程a)~c)及び任意の工程d):
a)i)第1の中間体(I1)を得るための、最大10個、好ましくは最大8、より好ましくは最大6、最も好ましくは最大5のアミン基を含む少なくとも1つのポリアミンと、ii)少なくとも1つの第1のアルキレンオキシド(AO1)との反応であって、ポリアミンのNH官能基1mol当たり0.25~7.0molのアルキレンオキシド(AO1)が用いられる、反応、
b)第2の中間体(I2)を得るための、第1の中間体(I1)と、少なくとも1つのラクトン及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ炭素酸との反応であって、ポリアミン(工程a)で用いられた)のNH官能基1mol当たり0.25~10molのラクトン及び/又はヒドロキシ炭素酸が用いられる、反応、
c)アルコキシル化ポリアミン、又は任意の工程d)が用いられる場合には、第3の中間体(I3)を得るための、第2の中間体(I2)と、少なくとも1つの第2のアルキレンオキシド(AO2)との反応であって、ポリアミン(工程a)で用いられた)のNH官能基1mol当たり少なくとも1molのアルキレンオキシド(AO2)が使用される、反応、
d)アルコキシル化ポリアミンを得るための、第3の中間体(I3)と、少なくとも1つの第2のアルキレンオキシド(AO2)との任意の反応であって、(工程a)で用いられた)ポリアミンのNH官能基1mol当たり少なくとも1molのアルキレンオキシド(AO2)が用いられ、また、1つのみの第2のアルキレンオキシド(AO2)が工程d)で用いられる場合、この工程における第2のアルキレンオキシド(AO2)は、エチレンオキシドとは異なる、反応、を含むプロセスによって得ることができる、最大10、好ましくは最大8個、より好ましくは最大6、最も好ましくは最大5、例えば、4、3又は2のアミン基を含むアルコキシル化ポリアミンによって達成され、
アルキレンオキシドAO1及び/又はAO2は、アルキレンオキシドに由来する(すなわち、AO1及びAO2からの)アルコキシル化ポリアミン中の部分の総量の少なくとも10、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50重量パーセントが、C3及び/又はC4-アルキレンオキシドから由来するように選択され、
用いられるアルキレンオキシドの総量は、ポリアミン(すなわち、工程aで用いられたポリアミン)のNH官能基1mol当たり、0,5~、好ましくは1~最大25、より好ましくは最大20、更により好ましくは最大17、最も好ましくは最大15molである。
【0008】
本発明によるアルコキシル化化合物は、洗浄組成物に使用されてもよい。これらにより、例えば、先行技術による対応するアルコキシル化化合物と比較すると、脂肪及び/又は油の除去については、少なくとも同等であり、好ましくは更に改善された当該組成物の洗浄性能がもたらされる。これに加えて、本発明によるアルコキシル化化合物により、例えば洗浄組成物などの組成物内で利用される場合、生分解性を改善させることができる。
【0009】
本発明によるアルコキシル化化合物の利点は、特に発明のプロセスの工程d)内でエチレンオキシドよりも高級なアルキレンオキシドを用いることに起因して、それらの両親媒性特性に認めることができる。本発明の化合物は、良好な生分解性特性と両親媒性特性とを併せ持つ。
【0010】
別の利点は、好ましくは洗濯配合物及び食器手洗い配合物に焦点を当て、主に液体洗濯及び液体食器手洗い配合物に焦点を当てて、そして、非常に具体的には、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、水及び発明の化合物を含有する液体洗濯配合物及び洗濯のための単回用量に焦点を当てることによって、発明の化合物を含有するそれぞれの洗剤配合物内において、例えば、少なくとも1つの界面活性剤及び発明の化合物を含有する液体及び固体(粉末)配合物において、認めることができる。
【0011】
本発明の目的のために、例えば、式(IIa)中のR基について、下で定義されるようなC~C22アルキルなどの定義は、この置換基(基)が1~22個の炭素原子を有するアルキル基であることを意味する。アルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状又は任意には環式のいずれかであり得る。環式成分及び直鎖成分の両方を有するアルキル基も、同様にこの定義の範囲となる。同様のことが、C~Cアルキル基などの他のアルキル基にも適用される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、sec-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、2-エチルヘキシル、tert-ブチル(tert-Bu/t-Bu)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、デシル又はドデシルが挙げられる。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「C~C22アルキレン」という用語は、2、3、4、5、6、10、12又は最大22個の炭素原子の飽和二価直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖を指し、例えば、エタン-1,2-ジイル(「エチレン」)、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、2-メチルプロパン-1,2-ジイル、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ブタン-1,3-ジイル(=1-メチル-プロパン-1,3ジイル)、ブタン-1,2-ジイル(「1,2-ブチレン」)、ブタン-2,3-ジイル、2-メチル-ブタン-1,3-ジイル、3-メチル-ブタン-1,3ジイル(=1,1-ジメチルプロパン-1,3-ジイル)、ペンタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル、ペンタン-2,5-ジイル、2-メチルペンタン-2,5-ジイル(=1,1-ジメチルブタン-1,3-ジイル)及びヘキサン-1,6-ジイルが挙げられる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「C~C10-シクロアルキレン」という用語は、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子の飽和二価炭化水素を指し、炭素原子のそれぞれの数の全て又は少なくとも一部は、環(リング)を形成する。それぞれの数の炭素原子の全てが環を形成するわけではない場合、そのような残りの炭素原子(すなわち、環を形成しない炭素原子)は、それぞれのC~C10-シクロアルキレン基のメタン-1,1-ジイル(「メチレン」)フラグメント又はエタン-1,2-ジイル(「エチレン」)フラグメントを形成する。当該それぞれのメチレン又はエチレンフラグメントの2つの原子価のうちの1つは、一般式(I)内の隣接する窒素原子に結合しているが、当該フラグメントの第2の原子価は、当該C~C10-シクロアルキレン基の環状フラグメントに結合している。
【0014】
換言すれば、C~C10-シクロアルキレン基は、その環状フラグメントに加えて、一般式(I)内において、隣接する窒素原子へのC~C10-シクロアルキレン基の環状フラグメントの架橋又はリンカーを構築するいくつかの非環状フラグメントも含み得る。そのような炭素リンカー原子の数は、通常は、3以下であり、好ましくは1又は2である。例えば、C-シクロアルキレン基は、1個のC-環及び1個のC-リンカーを含有し得る。
【0015】
それぞれの炭化水素環それ自体は、非置換であり得るか、又はC~C-アルキルによって少なくとも一置換され得る。それぞれのC~C-アルキル置換基の炭素原子は、C~C10-シクロアルキレン基の炭素原子数の決定のために考慮されないことに留意しなければならない。それとは対照的に、そのようなC~C10-シクロアルキレン基の炭素原子の数は、いずれの置換基も用いずに単独で決定されるが、環状フラグメント及び任意に炭素リンカー原子(メチレン又はエチレンフラグメント)の炭素原子の数によってのみ決定される。
【0016】
~C10-シクロアルキレンの例としては、シクロペンタン-1,2-ジイル、シクロヘキサン-1,2-ジイル、シクロヘキサン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル、3-(メタン-1,1-ジイル)-シクロヘキサン-1,3-ジイル、シクロヘプタン-1,3-ジイル又はシクロオクタン-1,4-ジイルが挙げられ、前述の基の各々は、C~C-アルキルで少なくとも一置換され得る。
【0017】
それぞれのC~C10-シクロアルキレン基は、同じリングサイズを有する2つ以上の個々のシクロアルキレン基の混合物として用いられることが好ましい。環の2位又は4位それぞれにおいてメチルで一置換されたシクロヘキサン-1,3-ジイルの混合物を用いることが特に好ましい。2つの化合物の比は、好ましくは95:5~75:25の範囲であり、最も好ましくは約85:15(4-メチル対2-メチル)である。
【0018】
3-(メタン-1,1-ジイル)-シクロヘキサン-1,3-ジイルは、その環状フラグメントに加えて非環状フラグメントを有するC~C10-シクロ-アルキレン基の好ましい例である。この特定の場合、非環状フラグメントはC-リンカーであり、環状フラグメントはC-環であり、C-シクロアルキレン基が得られる。3-(メタン-1,1-ジイル)-シクロヘキサン-1,3-ジイルはまた、少なくとも1個のC~C-アルキル、好ましくは3つのメチル基、特に3,5,5-トリメチルで置換もされ得る。後者は、イソホロンジアミンのフラグメントであり、一般式(I)を有する骨格として用いられ得る。
【0019】
本発明の目的のために、例えば、式(IIa)におけるR基の式について以下に定義される「アラルキル」という用語は、置換基(基)がアルキル置換基(「アルキル」)と組み合わされた芳香族(「ar」)であることを意味する。芳香族「ar」部分は単環式、二環式、又は任意に多環式芳香族であり得る。多環式芳香族の場合には、個々の環は任意には、完全に又は部分的に飽和され得る。アリールの好ましい例は、フェニル、ナフチル、又はアントラシルであり、特にフェニルである。
【0020】
本発明の文脈におけるポリアミンは、(主に、好ましくは唯一の)直鎖状化合物(任意のアルコキシル化を考慮せずにその主鎖に関して)であり、その骨格内に第一級及び/又は第二級アミノ部分を含有するが、第三級アミノ部分を含有しない。
【0021】
本発明の文脈の範囲内では、用語「ポリアミン骨格」は、アルコキシル化されていない、本発明のアルコキシル化ポリアミンのフラグメントに関する。ポリアミン骨格は、最初に、少なくとも1つの第1のアルキレンオキシド(AO1)と反応させる工程a)における遊離体として本発明内において使用し、続いて、少なくとも1つのラクトン又はヒドロキシ炭素酸と反応させ(工程b)において)、続いて、工程c)内においてエトキシル化し、次いで、発明のアルコキシル化ポリアミン(「アルコキシル化化合物」)を得るために、工程d)において少なくとも1つの第2のアルキレンオキシド(AO2)で再びアルコキシル化する。工程d)において、この工程における少なくとも1つの第2のアルキレンオキシド(AO2)は、工程c)において用いられるエチレンオキシドと異なっていなければならない。ポリアミンそれ自体(骨格又はアルコキシル化されていない化合物)は、当業者に既知である。
【0022】
本発明の文脈の範囲内では、用語「NH官能基」は、以下:(主に)直鎖状アミンの場合には、例えばN4アミン又はヘキサメチレンジアミンなどのジアミン及びオリゴアミンなど、構造それ自体が、第一級アミン、第二級アミン、及び第三級アミンの含有量についての情報を与えるものと定義されている。第一級アミノ基(-NH)は、2つのNH官能基を有し、第二級アミノ基は、1つのみのNH官能基を有し、第三級アミノ基は、結果的に、反応性NH官能基を有していない。第一級及び第二級(及び第三級)アミノ基の正確な分布は、Lukovkin G.M.,Pshezhetsky V.S.,Murtazaeva G.A.:Europ.Polymer Journal 1973,9,559-565、及びSt.Pierre T.,Geckle M.:ACS Polym.Prep.1981,22,128-129に説明されている通りに判定され得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、以下のようにより詳細に明記される。
本発明は、以下の工程a)~c)及び任意の工程d):
a)i)第1の中間体(I1)を得るための、最大10、好ましくは最大8、より好ましくは最大6、最も好ましくは最大5個のアミン基を含む少なくとも1つのポリアミンと、ii)少なくとも1つの第1のアルキレンオキシド(AO1)との反応であって、ポリアミンのNH官能基1mol当たり0.25~7.0molのアルキレンオキシド(AO1)が用いられる、反応、
b)第2の中間体(I2)を得るための、第1の中間体(I1)と、少なくとも1つのラクトン及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ炭素酸との反応であって、ポリアミン(工程a)で用いられた)のNH官能基1mol当たり0.25~10molのラクトン及び/又はヒドロキシ炭素酸が用いられる、反応、
c)アルコキシル化ポリアミン、又は任意の工程d)が用いられる場合には、第3の中間体(I3)を得るための、第2の中間体(I2)と、少なくとも1つの第2のアルキレンオキシド(AO2)との反応であって、ポリアミン(工程a)で用いられた)のNH官能基1mol当たり少なくとも1molのアルキレンオキシド(AO2)が使用される、反応、
d)アルコキシル化ポリアミンを得るための、第3の中間体(I3)と、少なくとも1つの第2のアルキレンオキシド(AO2)との任意の反応であって、(工程a)で用いられた)ポリアミンのNH官能基1mol当たり少なくとも1molのアルキレンオキシド(AO2)が用いられ、また、1つのみの第2のアルキレンオキシド(AO2)が工程d)で用いられる場合、この工程における第2のアルキレンオキシド(AO2)は、エチレンオキシドとは異なる、反応、を含むプロセスによって得ることができる、最大10、好ましくは最大8、より好ましくは最大6、最も好ましくは最大5個、例えば、4、3又は2個のアミン基を含むアルコキシル化ポリアミンに関し、
アルキレンオキシドAO1及び/又はAO2は、アルキレンオキシドに由来する(すなわち、AO1及びAO2からの)アルコキシル化ポリアミン中の部分の総量の少なくとも10、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも40、最も好ましくは少なくとも50重量パーセントが、C3及び/又はC4-アルキレンオキシドから由来するように選択され、
用いたアルキレンオキシドの総量は、ポリアミン(すなわち、工程aで用いたポリアミン)のNH官能基1mol当たり、0,5~、好ましくは1~最大25、より好ましくは最大20、更により好ましくは最大17、最も好ましくは最大15molである。
【0024】
工程a)で用いられるポリアミンは、当業者に既知の化合物のいずれかであり得る。工程a)で用いられる少なくとも1つのポリアミンは、一般式(I)
【0025】
【化1】
(式中、可変部分が、それぞれ以下の通り定義され、
Rは、同一であるか又は異なる
i)直鎖状又は分枝鎖状C~C12アルキレン基、又は
ii)以下の式(III):
【0026】
【化2】
(式中、可変部分が、それぞれ以下の通り定義され、
10、R11、R12が、同一若しくは異なる直鎖状若しくは分枝鎖状C~Cのアルキレン基を表し、
dは、0~50の範囲の値を有する整数である)のエーテルアルキル単位、
iii)少なくとも1つのC~Cアルキルで任意に置換されるC~C10シクロアルキレン基、を表し、
yは、0~8の範囲の値を有する、好ましくは最大6、より好ましくは最大4、更により好ましくは最大3、最も好ましくは最大2個の範囲の値を有する整数であり、
好ましくは、Rは、同一であるか又は異なる
ia)エチレン、プロピレン及びヘキサメチレンから選択されるC~C-アルキレン基、又は
iib)少なくとも1個のC~C-アルキルで任意に置換されるC~C10-シクロアルキレン基を表し、より好ましくは、Rは、少なくとも1個のメチル又はエチルで置換された少なくとも1個のC~C-シクロアルキレン基であり、
より好ましくは、Rは、前の群ia)からのみ選択され、更により好ましくは、Rは、エチレン及び/又はプロピレンから選択され、最も好ましくはエチレンである)に従って定義されることが好ましい。
【0027】
その好ましい実施形態では、アルコキシル化ポリアミンは、最大5個のアミノ基、例えば、4、3又は2個のアミノ基を含む。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、アルコキシル化ポリアミンは、一般式(IIa)
【0029】
【化3】
(式中、可変部分が、それぞれ以下の通り定義され、
が、C~C22-(1,2-アルキレン)基を表し、
は、水素及び/又はC~C22-アルキル及び/又はC~C22アラルキルを表し、
は、直鎖状又は分枝鎖状C~C22アルキレン基を表し、
は、C~C22-(1,2-アルキレン)基を表し、
は、1,2-エチレンを表し、
mは、少なくとも1及び最大10の値を有する整数であり、
nは、少なくとも1及び最大25、より好ましくは最大20、更により好ましくは最大15、例えば、5~15の値を有する整数であり、
oは、0から最大25、より好ましくは最大20、更により好ましくは最大15、最も好ましくは0の値を有する整数であり、
pは、少なくとも1及び最大5の値を有する整数であり、
但し、n+o+pの合計は、多くとも25、好ましくは多くとも20、更により好ましくは多くとも17、最も好ましくは多くとも15であり、
アルコキシル化ポリアミン中の残基R、Rの部分の総量の少なくとも50重量パーセントは、C3及び/又はC4-アルキレンオキシドに由来し、
oが0でない場合、R及びRは、R及びRを含有する部分が異なる化学組成及び/又は異なる化学構造である(すなわち、2つ以上のアルキレンオキシドが、R及びRについて選択され、選択されたアルキレンオキシドが、R及びRの両方について同じである場合、前記アルキレンオキシドの配置が異なる)ように選択される)による少なくとも1つの残基を含有する。
【0030】
本発明における「残基」は、ポリアミンの窒素原子上に存在する、すなわち、ラクトン又はヒドロキシ酸に由来する第1のアルキレンオキシド(構造IIa及びIIcにおけるような)又は第1のカルボニル基(IIbにおけるような)のいずれかである第1の単位の付加反応を介して化学的に結合される、構造IIa、IIb及びIIcによって定義されるような定義された化学的性質の置換基を意味する。
【0031】
上記の一般式(IIa)による少なくとも1つの残基の存在に加えて、アルコキシル化ポリアミンは、一般式(IIb)
【0032】
【化4】
(式中、可変部分が、それぞれ以下の通り定義され、
が、C~C22-(1,2-アルキレン)基を表し、
は、水素及び/又はC~C22-アルキル及び/又はC~C22アラルキルを表し、
は、直鎖状又は分枝鎖状C~C22アルキレン基を表し、
は、1,2-エチレンを表し、
mは、少なくとも1及び最大10の値を有する整数であり、
nは、少なくとも1及び最大25、好ましくは最大20、より好ましくは最大15、例えば、5~15の値を有する整数であり、
oは、0から最大25、好ましくは最大20、より好ましくは最大15、好ましくは0の値を有する整数であり、
アルコキシル化ポリアミン中の残基R及び、式IIaの残基も存在する場合、R中の部分の総量の少なくとも50重量パーセントは、C及び/又はC-アルキレンオキシドに由来し、
及びRは、R及びRを含有する部分が異なる化学組成及び/又は異なる化学構造である(すなわち、2つ以上のアルキレンオキシドが、R及びRについて選択され、選択されたアルキレンオキシドが、R及びRの両方について同じである場合、アルキレンオキシドの配置が異なる)ように選択され、
但し、n+oの合計は、多くとも25、好ましくは多くとも20、更により好ましくは多くとも17、最も好ましくは多くとも15である)による少なくとも1つの残基を含有することが好ましい。
【0033】
本発明の別の実施形態では、アルコキシル化ポリアミンは、一般式(IIc)
【0034】
【化5】
(式中、可変部分が、以下の通り定義され、
は、C~C22-(1,2-アルキレン)基を表し、
は、水素及び/又はC~C22-アルキルを表し、
は、1,2-エチレンを表し、
nは、少なくとも5、及び最大100、好ましくは最大25、より好ましくは最大20、更により好ましくは最大15の値を有する整数であり、
oは、少なくとも0から100、好ましくは最大25、より好ましくは最大20、更により好ましくは最大15の値を有する整数であり、
アルキレンオキシドに由来するアルコキシル化ポリアミン中の部分(すなわち、残基R1及び、式IIaの残基も存在する場合、R4も)の総量の少なくとも50重量パーセントは、C3及び/又はC4-アルキレンオキシドに由来し、
但し、n+oの合計は、多くとも25、好ましくは多くとも20、更により好ましくは多くとも17、最も好ましくは多くとも15である)による少なくとも1つの残基を含有することが好ましい。
【0035】
本発明の別の実施形態では、
i)工程a)が、水の存在下及び/若しくは塩基触媒の存在下で行われ、かつ/又は
ii)工程a)で用いられるポリアミンの重量平均分子量(Mw)が、50~2000g/molの範囲、好ましくは最大1000g/molの範囲、より好ましくは最大500g/molの範囲にあり、かつ/又は
iv)少なくとも2つの異なるアルキレンオキシドが、工程d)において第2のアルキレンオキシド(AO2)として連続した順序で用いられ、好ましくは、エチレンオキシド、続いてプロピレンオキシドが、工程d)において第2のアルキレンオキシド(AO2)として連続した順序で用いられ、かつ/又は
v)工程d)において、第2のアルキレンオキシド(AO2)が、>80質量%、好ましくは>90質量%のプロピレンオキシド及び/若しくは1,2-ブチレンオキシドを含み、かつ/又は
vi)一般式(IIc)による残基が、アルコキシル化ポリアルキレンイミン又はアルコキシル化ポリアミン上の全ての残基の>50%を占めない、ことが好ましい。
【0036】
当業者は、それぞれの重量平均分子量(M)を決定/測定する方法を知っている。これは、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、GPC)によって行うことができる。好ましくは、M値は、次の方法:すなわち、OECD TG 118(1996)によって決定され、その文献とは、詳しくは、
OECD(1996),Test No.118:Determination of the Number-Average Molecular Weight and the Molecular Weight Distribution of Polymers using Gel Permeation Chromatography,OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,Section 1,OECD Publishing,Parisを意味しており、また、例えば、https://doi.org/10.1787/9789264069848-enの下でインターネットにおいても利用可能である。
【0037】
本発明の別の実施形態は、上記のアルコキシル化ポリアミン(それ自体)のみに関するものであり、ポリアミンにおいて、
yが、0~3の範囲の値を有する整数であり、
Rが、同一であるか又は異なる直鎖状又は分枝鎖状C~C12アルキレン基又は式(III)によるエーテルアルキル単位を表し、
dが、1~10であり、
10、R11、R12が、直鎖状又は分枝鎖状C~Cアルキレン基から独立して選択されることが好ましい。
【0038】
別の実施形態では、残基(IIa)は、工程a)で用いられるポリアミンのアミノ基に結合した全ての残基(IIa)、(IIb)及び(IIc)の少なくとも80、より好ましくは少なくとも90、更により好ましくは少なくとも95重量%を占める。
【0039】
本発明の別の実施形態では、
i)工程b)において、ラクトンは、カプロラクトンであり、かつ/又は
ii)工程b)において、ヒドロキシ炭素酸は、乳酸若しくはグリコール酸であり、かつ/又は
iii)工程a)において、第1のアルキレンオキシド(AO1)は、少なくとも1つのC~C22-エポキシド、好ましくはエチレンオキシド及び/若しくはプロピレンオキシドであり、かつ/又は
iv)工程c)において、第2のアルキレンオキシド(AO2)は、少なくとも1つのC~C22-エポキシド、好ましくはプロピレンオキシド若しくはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物である、ことが好ましい。
【0040】
本発明の別の実施形態では、
i)工程a)において、ポリアミンのNH官能基1mol当たり0.5~2molのアルキレンオキシド(AO1)が用いられ、かつ/又は
ii)工程b)において、(工程a)で用いられた)ポリアミンのNH官能基1mol当たり、0.5~3molのラクトン及び/若しくはヒドロキシ炭素酸が用いられ、かつ/又は
iii)工程c)において、(工程a)で用いられた)ポリアミンのNH官能基1mol当たり、5~14,5molのアルキレンオキシド(AO2)が用いられる、ことが好ましい。
【0041】
一実施形態では、発明のアルコキシル化ポリアミンは四級化される。好適な四級化度は、100%まで、特に10~95%である。四級化は、C~C22アルキル基、C~Cアルキル基、及び/又はC~C22アラルキル基により導入されることにより好ましくは実施され、対応するアルキルハライド及びジアルキルサルフェートを反応させることによる慣用的な方式で行われてもよい。
【0042】
四級化は、アルコキシル化ポリアミンを、それらが使用される化粧品組成物などの特定の組成物へと調整し、製剤のより良好な相溶性及び/又は相安定性を達成するために有利であり得、例えば、親水性は、カチオン電荷によって増加し、したがってアニオン性表面との相互作用が増加する。
【0043】
アルコキシル化ポリアミンの四級化は、C~C22アルキル、C~Cアルキル基、及び/又はC~C22アラルキル基、アリール基又はアルキルアリール基を導入することにより好ましくは達成されてもよく、並びに、例えば国際公開第09/060059号に記載されているように、対応するアルキルハライド、アラルキルハライド及びジアルキルサルフェートを反応させることによる慣用的な方法で行われてもよい。
【0044】
四級化は、例えばアルコキシル化ポリアルキレンイミンと、C~C-アルキルハライドなどのアルキル化剤、例えば臭化メチル、塩化メチル、塩化エチル、ヨウ化メチル、臭化n-ブチル、臭化イソプロピル、又はアラルキルハライド、例えば塩化ベンジル、臭化ベンジルと、ジ-C~C22-アルキルサルフェート、特にジメチルサルフェート又はジエチルサルフェートとを、塩基の存在下で反応させることにより行われ得る。好適な塩基は、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0045】
アルキル化剤の量は、ポリマー中のアミノ基の四級化の量、すなわち四級化部分の量を決定する。
【0046】
四級化部分の量は、非四級化アミン及び四級化アミンにおけるアミン価の差から計算することができる。
【0047】
アミン価は、DIN16945に記載の方法に従って決定することができる。
【0048】
四級化は、溶媒なしで実施され得る。しかし、水、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどのような溶媒又は希釈剤を使用してもよい。反応温度は、通常、10℃~150℃の範囲であり、好ましくは、50℃~100℃である。
【0049】
上記のようなアルコキシル化ポリアミンは、以下に記載されるようなプロセスによって、調製され得、好ましくは調製される。以下において、工程a)~d)(アルコキシル化ポリアミンについて上記した通り)をより詳細に説明する。以下の情報はまた、それぞれのプロセスによって得ることができるような上述のポリマーそれ自体にも当てはまる。このプロセス内において、ポリアミン(それ自体)を、工程a)によって、最初に第1のアルキレンオキシド(AO1)と反応させ、続いて工程b)において、それぞれの中間体(I1)を、少なくとも1つのラクトン及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ炭素酸と反応させ、続いて工程c)においてエトキシル化し、次いで(工程d)で)、少なくとも1つの第2のアルキレンオキシド(AO2)と、((工程c)の)エチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのアルキレンオキシド)との反応が続いて、それぞれのアルコキシル化化合物が得られる。
【0050】
工程a)によってポリアミンを、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドと反応させるアルコキシル化プロセスそれ自体は、当業者には既知であることに留意しなければならない。同じ方法を、それぞれ工程c)内又は工程d)内で本発明に適用することができ、第1のアルキレンオキシドとの反応及びその後のラクトン又はヒドロキシル炭素酸との反応によって得られたそれぞれの中間体(I2)は、最初にエトキシル化プロセス(工程c))を受け、続いて工程d)において第2のアルコキシル化プロセスを受ける。
【0051】
それぞれの工程の転化率は、NMR分光法など、当業者に既知の方法により決定することができる。例えば、第1の反応工程、第2の反応工程及び/又は第3の反応工程の両方を、13C-NMR分光法及び/又はH-NMR分光法によって監視し得る。
【0052】
アルコキシル化ポリアミンを調製するためのプロセスの第2の工程b)に関連して、工程a)で得られたそれぞれの中間体(I1)を、少なくとも1つのラクトン及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ炭素酸と反応させる。この第2の反応工程それ自体は、当業者に既知である。
【0053】
しかしながら、この第2の反応工程b)内では、反応温度は50~200℃の範囲であり、より好ましくは70~180℃の範囲であり、最も好ましくは100~160℃の範囲であることが好ましい。
【0054】
この第2の反応工程b)は、少なくとも1つの溶媒及び/又は少なくとも1つの触媒の存在下で行ってもよい。しかしながら、第2の反応工程b)内では、それぞれの工程は、溶媒及び/又は触媒なしで行うことが好ましい。好適な溶媒は、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、メチル-tertブチルエーテル又はジエチルエーテルから好ましくは選択される。好ましい触媒は、KOMe又はNaOMeなどのアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルコキシドから選択される。
【0055】
上記したように、プロセスそれ自体の第1、第3及び/又は第4の反応工程(工程a)、c)及びd))(アルコキシル化、特にエトキシル化)は、当業者に既知である。アルコキシル化それ自体(本発明による方法の第1、第3及び第4の反応工程)は、互いに独立して、1工程反応として行ってもよく、又はアルコキシル化それ自体を2つ以上の個々の工程に分割してもよい。
【0056】
それぞれの工程(アルコキシル化)は、工程a)、c)及び/又はd)に関連して単一工程反応として行うことが好ましい。
【0057】
好ましい実施形態では、アルコキシル化工程(a)では、いかなる触媒も存在しないが、水の存在下で、単一工程反応として行う。
【0058】
別の実施形態では、アルコキシル化工程(a)は、少なくとも2つの工程で行い、第1の工程は、いかなる触媒も存在しないが、水の存在下で行い、第2(及び任意に更なる工程)工程では、触媒の存在下ではあるが水の非存在下で行う。
【0059】
水の非存在は、本発明によれば、<1重量%の水、好ましくは<0.5重量%の水、より好ましくは<0.25重量%の水の残留水レベルとして定義される。
【0060】
この好ましい実施形態内では、アルコキシル化工程(c)及び(d)は、少なくとも1つの触媒の存在下で、かつ/又は水の非存在下で、行われる。
【0061】
アルコキシル化工程(a)のこの少なくとも2つの工程の反応の変形例、並びにアルコキシル化工程((c)及び(d))のこれらの単一工程反応内では、触媒は、好ましくは塩基性触媒である。好適な触媒の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム、アルカリ金属アルコキシド、特に、ナトリウム及びカリウムのC~C-アルコキシド、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、及びカリウムtert-ブトキシド、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化物、例えば、水素化ナトリウム及び水素化カルシウム、並びにアルカリ金属カーボネート、例えば、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムである。アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドが好ましく、水酸化カリウム、カリウムメトキシド及びカリウムtert-ブトキシドが特に好ましい。塩基の典型的な使用量は、ポリアルキレンイミン又はポリアミン、ヒドロキシ炭素酸及びアルキレンオキシドの総量に基づいて、0.05~10重量%、特に0.5~2重量%である。
【0062】
アルコキシル化工程(a)を少なくとも2つの工程で行う場合、第1の工程は、触媒の非存在下であるが水の存在下で行う。この手順では、ポリアミンの最初の初期アルコキシル化を行う。工程a)のこの第1部分では、ポリアミンを、それぞれ、NH部分1mol当たり又はNH官能基1mol当たり約1molのアルキレンオキシドに対応する、使用されているアルキレンオキシドの総量の一部のみと反応させる。(工程a)の第1の部分の)この反応は、70~200℃、好ましくは80~160℃の水溶液中、触媒の非存在下で、最大10bar、特に、最大8barの圧力下で一般的に行う。工程a)のこの第1の部分における含水量は、>1重量%、好ましくは>5重量%、より好ましくは>10重量%である。
【0063】
アルコキシル反応の当該第2の部分(本発明による代替的な方法の工程a))は、典型的には、単一工程のアルコキシル化反応(工程(c)及び(d))について上記したものと同じタイプの触媒の存在下で行う。
【0064】
水の非存在下でのアルコキシル化の全ての触媒作用工程は、物質中で(変形例a))又は有機溶媒中で(変形例b))行い得る。以下に指定されるプロセス条件は、アルコキシル化反応の両方の工程のために使用され得る。
【0065】
変形例a)では、第1の工程で得られた最初にアルコキシル化されたポリアミンの水溶液は、触媒の添加後に先ず脱水される。この脱水は、80~150℃に加熱し、30mbar未満の減圧下で水を留去することによる単純な方式で行われ得る。アルキレンオキシドとのその後の反応は、70~200℃、好ましくは100~180℃で、かつ10barまで、特に8barまでの圧力にて典型的には行われ、各場合、約100~160℃、約0.5~4時間の連続撹拌時間及び一定の圧力に従う。
【0066】
変形例b)に好適な反応媒体は特に非極性及び極性の非プロトン性有機溶媒である。特に好適な非極性非プロトン性溶媒の例には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレンなどの脂肪族及び芳香族炭化水素が挙げられる。特に好適な極性非プロトン性溶媒の例は、エーテル、特に、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドなどのN,N-ジアルキルアミド、並びにN-メチルピロリドンなどのN-アルキルラクタムである。当然、これらの非プロトン性溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、キシレン及びトルエンである。
【0067】
変形例b)でもまた、第1工程で得られる溶液が、触媒及び溶媒の添加後、最初に脱水され、脱水は、120~180℃の温度で、好ましくは穏やかな窒素気流により支持されながら水を分離することにより有利には行われる。その後のアルキレンオキシドとの反応は、変形例a)と同様に行われてもよい。
【0068】
変形例a)では、アルコキシル化ポリアミンは、直接物質中で得られ、所望により、水溶液に変換されてもよい。変形例b)では、有機溶媒は典型的には除去されて、水と置き換えられる。当然、製品は、物質中で単離されてもよい。
【0069】
例えば、式(IIa)、式(IIb)及び/又は式(IIc)による残基の量は、利用される抽出物質の化学量論、個々の工程内での反応温度、利用される触媒及び/又は選択された溶媒の量及び/タイプなどのいくつかの因子によって制御することができる。本発明の好ましい実施形態では、一般式(IIc)による残基は、アルコキシル化ポリアミン上の全残基の>50%を占めない。
【0070】
本発明の別の主題、したがって本発明の実施形態は、布地ケア製品及びホームケア製品における上記のアルコキシル化ポリアミンの使用であり、特に、改善された油性及び脂肪性の汚れの除去のための洗浄組成物であり、その洗浄組成物は、好ましくは洗濯洗剤配合物及び/又は食器手洗い用洗剤配合物、より好ましくは液体洗濯洗剤配合物及び/又は液体手洗い用食器洗浄洗剤配合物である。
【0071】
本発明の別の主題、したがって本発明の実施形態は、上で定義したように、少なくとも1つのアルコキシル化ポリアミンを含む洗浄組成物、布地ケア製品及びホームケア製品、好ましくは洗浄組成物及び/又は布地ケア製品及びホームケア製品、より好ましくは洗濯配合物である。
【0072】
特に、それは、改善された油性及び脂肪性汚れの除去のための洗浄組成物、好ましくは洗濯洗剤配合物及び/又は手洗い用食器洗浄洗剤配合物、より好ましくは液体洗濯洗剤配合物及び/又は液体手洗い用食器洗浄洗剤配合物である。
【0073】
したがって、一実施形態では、アルコキシル化ポリアミンは、洗浄組成物において、並びに/又は布地ケア製品及びホームケア製品において、好ましくは
i)粘土(clay)除去、並びに/又は
ii)粒子状染みの汚れ除去、並びに/又は
iii)汚れの分散及び/若しくは乳化、並びに/又は
iv)後の再汚染の際の除去を改善するための処理表面の改質、並びに/又は
v)白色度の改善、のための洗浄組成物において使用され、
上記選択肢i)~v)の各々は、好ましくは洗濯ケア組成物において、より好ましくは洗濯洗剤組成物において使用するためのものである。
【0074】
本発明によって更に包含されるのは、本明細書で先に定義した洗浄組成物の使用であり、
i)粘土(clay)除去、並びに/又は
ii)粒子状染みの汚れ除去、並びに/又は
iii)汚れの分散及び/若しくは乳化、並びに/又は
iv)後の再汚染の際の除去を改善するための処理表面の改質、並びに/又は
v)白色度の改善、のための洗浄組成物の使用である。
【0075】
本明細書に記載される少なくとも1つのアルコキシル化ポリアミン(以下、「本発明ポリマー」又は「本発明のポリマー」とも称される)は、当該発明の洗浄組成物中に存在し、そのような組成物の総重量に対して、0.1~10、好ましくは約0.25%~5%、より好ましくは約0.5%~約3%、最も好ましくは約1%~約3%の濃度で使用され、そのような洗浄組成物は、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含んでもよく、好ましくは含む。
【0076】
同様に、先の実施形態で詳述した洗浄組成物及び/又は布地ケア製品及びホームケア製品は、少なくとも1つの本発明ポリマーを、そのような組成物の総重量に対して、0.1~10、好ましくは約0.25%~5%、より好ましくは約0.5%~約3%、最も好ましくは約1%~約3%の濃度で含む。
【0077】
好ましくは、発明の洗浄組成物は、布地ケア製品及びホームケア製品、好ましくは布地ケア製品及びホームケア製品、より好ましくは洗濯洗剤又は手洗い用食器洗浄洗剤であり、少なくとも1つの本発明のポリマーを含み、任意に、少なくとも1つの界面活性剤又は界面活性剤系を更に含み、汚れの改善された除去、汚れの分散及び/若しくは乳化、並びに/又は処理された表面の改質、及び/又は処理された表面の白色度維持を提供する。
【0078】
本発明の更なる主題は、上記の本発明のポリマーを含むグラフトポリマーを含む布地ケア製品及びホームケア製品である。製品は、上記した少なくとも1つのポリマーを含有する、洗濯洗剤、食器洗浄洗剤、洗浄組成物並びに/又は布地ケア製品及びホームケア製品であることができる。
【0079】
そのような洗濯洗剤、洗浄組成物、並びに/又は、布地ケア製品及びホームケア製品は、当業者にとって既知である。それぞれの使用に関連して、当業者に既知である任意の組成物などを、本発明の文脈において使用することができる。
【0080】
本発明による洗濯洗剤、洗浄組成物、並びに/又は、布地ケア製品及びホームケア製品が好ましく、少なくとも1つのポリマーは、そのような組成物又は製品の総重量に対して、約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の範囲の量で存在する。
【0081】
洗濯洗剤組成物:好適な洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤粉末組成物、洗濯洗剤液体組成物、洗濯洗剤ゲル組成物、及び水溶性洗濯洗剤組成物を含む。
【0082】
食器洗浄洗剤組成物:好適な食器洗浄洗剤組成物は、手洗い食器洗浄洗剤組成物及び自動食器洗浄洗剤組成物を含む。
【0083】
界面活性剤系:組成物は、所望の洗浄特性を与えるのに十分な量の界面活性剤系を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、当該組成物の約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を含む。他の実施形態では、液体組成物は、当該組成物の約2重量%~約60重量%の界面活性剤系を含む。更なる実施形態では、組成物は、当該組成物の約5重量%~約30重量%の界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される洗浄性界面活性剤を含んでもよい。当業者であれば、洗浄性界面活性剤は、汚れた材料に洗浄、染み除去、又は洗濯効果をもたらす、任意の界面活性剤又は界面活性剤混合物を包含することを理解するであろう。
【0084】
アニオン性界面活性剤:いくつかの例では、組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の重量で約1%~約70%の1つ以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。他の例では、組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の重量で約2%~約60%の1つ以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。更なる例では、組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の重量で約5%~約30%の1つ以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。更なる例では、界面活性剤系は、本質的に1種以上のアニオン性界面活性剤から構成されてもよく、又は更には1種以上のアニオン性界面活性剤から構成される。
【0085】
好適なアニオン性界面活性剤の具体的で非限定的な例としては、任意の従来のアニオン性界面活性剤が挙げられる。これは、例えばアルコキシル化及び/又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料用のサルフェート洗浄性界面活性剤、及び/又はスルホン酸系洗浄性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホネートを含んでもよい。
【0086】
その他の有用なアニオン性界面活性剤は、アルキル基が約9個~約15個の炭素原子を直鎖状(直鎖)又は分枝鎖状の構造で含有する、アルキルベンゼンスルホネートのアルカリ金属塩を含み得る。
【0087】
好適なアルキルベンゼンスルホネート(LAS)は、市販の直鎖アルキルベンゼン(LAB)をスルホン化することによって得ることができる。好適なLABとしては、商標名Isochem(登録商標)としてSasolによって供給されているもの又は商標名Petrelab(登録商標)としてPetresaによって供給されているものなどの低2-フェニルLABが挙げられ、他の好適なLABとしては、商標名Hyblene(登録商標)としてSasolによって供給されているものなどの高2-フェニルLABが挙げられる。好適なアニオン性洗浄性界面活性剤は、DETAL触媒プロセスによって得られるアルキルベンゼンスルホネートであるが、HFなどの他の合成経路が好適な場合もある。一態様では、LASのマグネシウム塩が用いられる。
【0088】
洗浄性界面活性剤は、中鎖分枝洗浄性界面活性剤、一態様では、中鎖分枝アニオン性洗浄性界面活性剤、一態様では、中鎖分枝アルキルサルフェート及び/又は中鎖分枝アルキルベンゼンスルホネート、例えば、中鎖分枝アルキルサルフェートであってもよい。一態様では、中鎖分枝は、C1~4アルキル基、通常、メチル及び/又はエチル基である。
【0089】
本明細書で有用な他のアニオン性界面活性剤は、約8~約24個(いくつかの例では、約12~18個)の炭素原子を含有するパラフィンスルホネート及び二級アルカンスルホネートの水溶性塩;アルキルグリセリルエーテルスルホネート、特にC8~18アルコール(例えば、獣脂及びココナッツ油由来のもの)のエーテルである。アルキルベンゼンスルホネートと、上述のパラフィンスルホネート、二級アルカンスルホネート及びアルキルグリセリルエーテルスルホネートとの混合物も有用である。更なる好適なアニオン性界面活性剤としては、メチルエステルスルホネート及びアルキルエーテルカルボキシレートが挙げられる。
【0090】
アニオン性界面活性剤は酸形態で存在してもよく、酸形態は中和されて界面活性剤塩を形成してもよい。典型的な中和剤としては、水酸化物、例えば、NaOH又はKOHなどの金属対イオン塩基が挙げられる。これらの酸形態のアニオン性界面活性剤を中和するための更なる好適な中和剤としては、アンモニア、アミン、又はアルカノールアミンが挙げられる。アルカノールアミンの非限定的な例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び当該技術分野において既知の他の直鎖状又は分枝鎖状アルカノールアミンが挙げられる。好適なアルカノールアミンとしては、2-アミノ-1-プロパノール、1-アミノプロパノール、モノイソプロパノールアミン、又は1-アミノ-3-プロパノールが挙げられる。アミン中和は完全又は部分的に行われてもよく、例えば、アニオン性界面活性剤混合物の一部はナトリウム又はカリウムにより中和されてもよく、またアニオン性界面活性剤混合物の一部はアミン又はアルカノールアミンにより中和されてもよい。
【0091】
非イオン性界面活性剤:組成物の界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を含んでもよい。いくつかの例では、界面活性剤系は、界面活性剤系の重量の最大約25重量%の1種以上の非イオン性界面活性剤を例えば共界面活性剤として含む。いくつかの例では、組成物は、界面活性剤系の重量の約0.1重量%~約15重量%の1種以上の非イオン性界面活性剤を含む。更なる例では、組成物は、界面活性剤系の重量の約0.3重量%~約10重量%の1種以上の非イオン性界面活性剤を含む。
【0092】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、任意の従来の非イオン性界面活性剤を含むことができる。これらには、例えば、アルコキシル化脂肪族アルコール、及びアミンオキシド界面活性剤が含まれ得る。
【0093】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の他の非限定例としては、C~C18アルキルエトキシレート(NEODOL(登録商標))非イオン性界面活性剤(Shell)など);C~C12アルキルフェノールアルコキシレート(アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの組み合わせとすることができる);C12~C18アルコール及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC~C12アルキルフェノール縮合物(Pluronic(登録商標))(BASF)など);C14~C22中鎖分枝アルコール(branched alcohol、BA);C14~C22中鎖分枝アルキルアルコキシレート、BAE(式中、xは1~30である);アルキル多糖類;具体的にはアルキルポリグリコシド;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びにエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0094】
好適な非イオン性洗浄性界面活性剤はまた、アルキルポリグルコシド及びアルキルアルコキシル化アルコールを含む。好適な非イオン性界面活性剤としては、商標名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものも挙げられる。
【0095】
アニオン性及び非イオン性組み合わせ:界面活性剤系は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤材料の組み合わせを含んでもよい。いくつかの例では、アニオン性界面活性剤対非イオン性界面活性剤の重量比は少なくとも約2:1である。他の例では、アニオン性界面活性剤:非イオン性界面活性剤の重量比は少なくとも約5:1である。更なる例では、アニオン性界面活性剤対非イオン性界面活性剤の重量比は少なくとも約10:1である。
【0096】
カチオン性界面活性剤:界面活性剤系は、カチオン性界面活性剤を含んでもよい。いくつかの態様では、界面活性剤系は、界面活性剤系の約0重量%~約7重量%、約0.1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約4重量%のカチオン性界面活性剤を、例えば共界面活性剤として含む。いくつかの態様では、本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤、及びpH7未満又はpH6未満でカチオン性となる界面活性剤を実質的に含まない。カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、これは26個以下の炭素原子を有し得、アルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;ジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;ポリアミンカチオン性界面活性剤;カチオン性エステル界面活性剤;及びアミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0097】
好適なカチオン性洗浄性界面活性剤としてはまた、アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0098】
両性イオン性界面活性剤:両性イオン性界面活性剤の例としては、二級及び三級アミン誘導体、複素環式二級及び三級アミン誘導体、又は四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインを含むベタイン、C~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド、並びにN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネートなどのスルホ及びヒドロキシベタインが挙げられる(ここで、アルキル基は、C~C18、特定の実施例ではC10~C14とすることができる)。
【0099】
両性界面活性剤:両性界面活性剤の例としては、二級又は三級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族基が直鎖状又は分枝鎖状であってよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つが少なくとも約8個の炭素原子、若しくは約8個~約18個の炭素原子を含有し、脂肪族置換基のうちの少なくとも1つがアニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有するヘテロ環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられる。この定義の範囲内に入る化合物の例は、ナトリウム3-(ドデシルアミノ)プロピオネート、ナトリウム3-(ドデシルアミノ)プロパン-1-スルホネート、ナトリウム2-(ドデシルアミノ)エチルサルフェート、ナトリウム2-(ジメチルアミノ)オクタデカノエート、ジナトリウム3-(N-カルボキシメチルドデシルアミノ)プロパン1-スルホネート、ジナトリウムオクタデシル-イミノジアセテート、ナトリウム1-カルボキシメチル-2-ウンデシルイミダゾール、及びナトリウムN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-スルファト-3-ドデコキシプロピルアミンである。好適な両性界面活性剤としては、サルコシネート、グリシナート、タウリネート、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0100】
分枝洗浄性界面活性剤:好適な分枝洗浄性界面活性剤としては、分枝サルフェート又は分枝スルホネート界面活性剤、例えば、分枝アルキルサルフェート、分枝アルキルアルコキシル化サルフェート、及び分枝アルキルベンゼンスルホネートから選択され、1つ以上のランダムアルキル分枝、例えば、C1~4アルキル基、典型的にはメチル及び/又はエチル基を含む、アニオン性分枝界面活性剤が挙げられる。
【0101】
分枝洗浄性界面活性剤は、中鎖分枝洗浄性界面活性剤、通常、中鎖分枝アニオン性洗浄性界面活性剤、例えば、中鎖分枝アルキルサルフェート及び/又は中鎖分枝アルキルベンゼンスルホネートであり得る。いくつかの態様では、洗浄性界面活性剤は、中鎖分枝アルキルサルフェートである。いくつかの態様では、中鎖分枝は、C1~4アルキル基、通常、メチル基及び/又はエチル基である。
【0102】
更に好適な分枝アニオン性洗浄性界面活性剤は、2-アルキル位置で分枝したアルコールに由来する界面活性剤を含み、それらは商品名Isalchem(登録商標)123、Isalchem(登録商標)125、Isalchem(登録商標)145、Isalchem(登録商標)167などで販売されており、オキソ法から誘導される。オキソ法に起因して、分枝は2-アルキル位に位置している。これらの2-アルキル分枝アルコールは、典型的には、長さC11~C14/C15の範囲であり、全て2-アルキル位置で分枝している構造異性体を含む。
【0103】
補助洗浄添加剤:本発明の組成物はまた、補助洗浄添加剤を含有してもよい。好適な補助洗浄添加剤は、ビルダー、構造化剤又は増粘剤、粘土(clay)汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー汚れ遊離剤、ポリマー分散剤、ポリマーグリース洗浄剤、酵素、酵素安定化系、漂白化合物、漂白剤、漂白活性剤、漂白触媒、増白剤、染料、色調剤、移染防止剤、キレート剤、抑泡剤、柔軟剤及び香料も含む。
【0104】
酵素:
プロテアーゼ:本発明の組成物は、本発明のプロテアーゼに加えてプロテアーゼを含むことができる。2つ以上のプロテアーゼの混合物は、特に再付着防止剤及び/又はスルホン化ポリマーとともに使用されるとき、より広い温度、サイクル持続時間及び/又は基質範囲にわたって洗浄の増強に貢献することができ、優れた光沢効果を提供することができる。
【0105】
本発明のバリアントプロテアーゼと組み合わせて使用するのに好適なプロテアーゼとしては、メタロプロテアーゼ、及び中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含むセリンプロテアーゼ、例えば、サブチリシン(EC3.4.21.62)が挙げられる。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物起源のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に修飾された変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼなどのセリンプロテアーゼであってよい。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、以下が挙げられる。
(a)サブチリシン(EC 3.4.21.62)、特に国際公開第2004/067737号、同第2007/131656号、同第2015/091990号、同第2015/024739号、同第2015/143360号、米国特許第6,312,936(B1)号、同第5,679,630号、同第4,760,025号、独国特許公開第102006022216(A1)号、同第102006022224(A1)号、国際公開第2015/089447号、同第2015/089441号、同第2016/066756号、同第2016/066757号、同第2016/069557号、同第2016/069563号、同第2016/069569号、同第2016/174234号、同第2017/215925号、同第2020/207944号及び同第2020/114968号に記載されている、バチルス属菌種(Bacillus)、B.レンタス(B.lentus)、B.アルカロフィラス(B.alkalophilus)、B.サブチリス(B.subtilis)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.プミルス(B.pumilus)、B.ギブソニイ(B.gibsonii)、及びB.アキバイ(B.Akibaii)などのバチルス属由来のものなどのバチルス属由来のもの。具体的には、変異S9R、A15T、V66A、A188P、V199I、Q239R、N255D(savinase付番システム)。
(b)国際公開第89/06270号に記載されているフサリウム(Fusarium)プロテアーゼ、並びに国際公開第05/052161号及び同第05/052146号に記載されているセルロモナス(Cellumonas)に由来するキモトリプシンプロテアーゼを含む、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源)などのトリプシン型又はキモトリプシン型のプロテアーゼ。
(c)メタロプロテアーゼ、特に国際公開第07/044993(A2)号に記載されているバチルス・アミロリケファシエンス由来のもの;国際公開第2014/194032号、同第2014/194054号及び同第2014/194117号に記載されているバチルス属、ブレビバチルス属(Brevibacillus)、サーモアクチノミセス属(Thermoactinomyces)、ゲオバチルス属(Geobacillus)、パエニバチルス属(Paenibacillus)、リシニバチルス属(Lysinibacillus)、又はスプレプトミセス属(Streptomyces)の種由来のもの;国際公開第2015/193488号に記載されるクリベラ・アルミノサ(Kribella alluminosa)、及び国際公開第2016/075078号に記載されるストレプトミセス(Streptomyces)及びリソバクター(Lysobacter)に由来するもの。
(d)国際公開第92/17577号(Novozymes A/S)に記載されているバチルス種TY145、NCIMB 40339由来のサブチラーゼに対して少なくとも90%の同一性を有するプロテアーゼ(国際公開第2015/024739号及び同第2016/066757号に記載されている、このバチルス種TY145サブチラーゼのバリアントを含む)。
【0106】
本発明の洗剤に特に好ましい追加のプロテアーゼは、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来の野生型酵素と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、とりわけ100%同一性を示し、以下の位置:S9R、A15T、V68A、N76D、N87S、S99D、S99SD、S99A、S101G、S101M、S103A、V104N/I、G118V、G118R、S128L、P129Q、S130A、Y167A、R170S、A194P、V205I、Q206L/D/E、Y209W、M222S、Q245R、及び/又はM222S(参照により本明細書に組み込まれる国際公開第00/37627号に例示されるBPN’付番システム及びアミノ酸略語を使用する)のうちの1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上に突然変異を含む、ポリペプチドである。
【0107】
最も好ましくは、追加のプロテアーゼは、PB92野生型(国際公開第08/010925号の配列番号2)又はサブチリシン309野生型(N87Sの自然変異を含む以外はPB92主鎖による配列)のいずれかに対して以下の変異(BPN付番システム)を含むプロテアーゼの群から選択される。
(i)G118V+S128L+P129Q+S130A
(ii)S101M+G118V+S128L+P129Q+S130A
(iii)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+N248R
(iv)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R
(v)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A
(vi)V68A+N87S+S101G+V104N
(vii)S99AD
(viii)S9R+A15T+V68A+N218D+Q245R
【0108】
好適な市販入手可能な追加のプロテアーゼ酵素としては、商品名Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Coronase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)及びEsperase(登録商標)としてNovozymes A/S(Denmark)によって販売されているもの、商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ultimase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)としてDupontによって販売されているもの、商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)としてSolvay Enzymesによって販売されているもの、並びにHenkel/Kemiraから入手可能なもの、すなわち、BLAP(配列は米国特許第5,352,604号の図29に示され、S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sの変異を有する、本明細書において以降BLAPと称する)、BLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、並びにKao製のKAP(変異A230V+S256G+S259Nを有するバチルス・アルカロフィラスのサブチリシン)が挙げられる。
【0109】
Properase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Excellase(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、BLAP及びBLAPバリアントからなる群から選択される市販のプロテアーゼは、本発明のバリアントプロテアーゼと組み合わせて本明細書に用いるのに特に好ましい。
【0110】
本発明の製品中のプロテアーゼの好ましい濃度としては、組成物1g当たり約0.05~約10mg、より好ましくは約0.5~約7mg、特に約1~約6mgの活性プロテアーゼが挙げられる。
【0111】
リパーゼ:酵素系は、好ましくはリパーゼを更に含む。油及び/又は脂の存在は、マンナン及び他の多糖類を含む染みの復元力を更に増大させ得る。したがって、酵素パッケージ中にリパーゼが存在すると、このような染みの除去を更に改善することができる。好適なリパーゼとしては、細菌由来、真菌由来、又は合成由来のもの、及びこれらのバリアントが挙げられる。化学的に改変された又はタンパク質操作された変異体も適している。好適なリパーゼの例としては、フミコーラ(Humicola)(同意語サーモマイセル(Thermomyces))由来、例えば、H.ラヌギノサ(H.lanuginosa)(T.ラヌギノサス(T.lanuginosus))由来のリパーゼが挙げられる。
【0112】
リパーゼは、例えば、国際公開第06/090335号及び同第13/116261号に記載されているものなどの「第1のサイクルリパーゼ」であってもよい。一態様では、リパーゼは、第1の洗浄用リパーゼであり、好ましくは、T231R及び/又はN233R変異を含む、サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)由来の野生型リパーゼのバリアントである。
【0113】
好ましいリパーゼとしては、Novozymes(Bagsvaerd,Denmark)によりLipex(登録商標)、Lipolex(登録商標)、及びLipoclean(登録商標)の商品名で販売されているリパーゼが挙げられる。
【0114】
他の好適なリパーゼとしては、例えば国際公開第2013/171241号に記載されているようなLiprl 139、例えば国際公開第2011/084412号及び同第2013/033318号に記載されているようなTfuLip2、例えば国際公開第2018/228880号に記載されているようなシュードモナス・スツッツェリ(Pseudomonas stutzeri)リパーゼ、例えば国際公開第2018/228881号に記載されているようなマイクロバルビファー・サーモトレランス(Microbulbifer thermotolerans)リパーゼ、例えば欧州特許第3299457号に記載されているようなスルホバチルス・アシドカルダリウス(Sulfobacillus acidocaldarius)リパーゼ、例えば国際公開第2018/209026号に記載されているようなLIP062リパーゼ、例えば国際公開第2017/036901号に記載されているようなPinLipリパーゼ、並びに例えば国際公開第2017/005798号に記載されているようなアブシディア属(Absidia)の種のリパーゼが挙げられる。
【0115】
好適なリパーゼは、
(a)置換T231R
並びに
(b)置換N233R又はN233C
並びに
(c)E1C、D27R、N33Q、G38A、F51V、G91Q、D96E、K98L、K98I、D111A、G163K、H198S、E210Q、Y220F、D254S、I255A、及びP256Tから選択される少なくとも3つの更なる置換、を含む配列番号1のバリアントであり、
位置は配列番号1の位置に対応し、当該リパーゼバリアントは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも90%であるが100%未満の配列同一性を有し、当該バリアントはリパーゼ活性を有する。
【0116】
1つの好ましいリパーゼは、T231R、N233R、D27R、G38A、D96E、D111A、G163K、D254S、及びP256Tの置換を含む配列番号1のバリアントである。
【0117】
1つの好ましいリパーゼは、T231R、N233R、N33Q、G91Q、E210Q、I255Aの置換を含む配列番号1のバリアントである。
【0118】
好適なリパーゼは、Novozymesから、例えば、Lipex Evity 100L、Lipex Evity 200L(いずれも液体原料)、及びLipex Evity 105T(顆粒)として市販されている。これらのリパーゼは、本発明の範囲外である製品Lipex 100L、Lipex 100T、及びLipex Evity 100Tとは異なる構造を有する。
【0119】
セルラーゼ:好適なセルラーゼとしては、細菌由来又は真菌由来のセルラーゼが挙げられる。化学修飾された又はタンパク質が遺伝子操作を受けた変異体が含まれる。好適なセルラーゼとしては、バチルス属、シュードモナス属、フミコーラ属、フサリウム属、チェラビア属(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)由来のセルラーゼ、例えば、米国特許第4,435,307号、同第5,648,263号、同第5,691,178号、同第5,776,757号、及び同第5,691,178号に開示されているフミコーラ・インソレンス、ミセリオフィソーラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、及びフサリウム・オキシスポラムから生成される真菌セルラーゼが挙げられる。
【0120】
一態様では、好ましい酵素としては、エンド-ベータ-1,4-グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を呈する微生物由来のエンドグルカナーゼが挙げられ、好ましくは、以下を含む群から選択される:
(a)米国特許第7,141,403(B2)号における配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、94%、97%、更には99%同一性の配列を有するバチルス属のメンバーに対して内因性の細菌ポリペプチドであって、好ましい置換が、配列番号2の成熟ポリペプチドの292、274、266、265、255、246、237、224、及び221位に対応する1つ以上の位置を含み、バリアントがセルラーゼ活性を有する、細菌ポリペプチド、
(b)キシログルカン及び非晶質セルロース基質の両方に対して酵素活性を有するグリコシルヒドロラーゼであって、GHファミリー5、7、12、16、44又は74から選択されるグリコシルヒドロラーゼ、
(c)国際公開第09/148983号の配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、94%、97%、及び更には99%同一性の配列を有するグリコシルヒドロラーゼ、
(d)国際公開第2017/106676号における配列番号5と少なくとも70%の同一性を示す変異体。好ましい置換は、4、20、23、29、32、36、44、51、77、80、87、90、97、98、99、102、112、116、135、136、142、153、154、157、161、163、192、194、204、208、210、212、216、217、221、222、225、227、及び232位に対応する1つ以上の位置を含む、
(e)並びにこれらの混合物。
【0121】
好適なエンドグルカナーゼは、商品名Celluclean(登録商標)及びWhitezyme(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))として販売されている。例としては、Celluclean(登録商標)5000L、Celluclean(登録商標)Classic 400L、Celluclean(登録商標)Classic 700T、Celluclean(登録商標)4500T、Whitezyme(登録商標)1.5T、Whitezyme(登録商標)2.0Lが挙げられる。
【0122】
他の市販のセルラーゼとしては、Celluzyme(登録商標)、Carezyme(登録商標)、Carezyme(登録商標)Premium(Novozymes A/S)、Clazinase(登録商標)、Puradax HA(登録商標)、Revitalenz(登録商標)1000、Revitalenz(登録商標)2000(Genencor International Inc.)、KAC-500(B)(登録商標)(Kao Corporation)、Biotouch(登録商標)FCL、Biotouch(登録商標)DCL、Biotouch(登録商標)DCC、Biotouch(登録商標)NCD、Biotouch(登録商標)FCC、Biotouch(登録商標)FLX1(AB Enzymes)が挙げられる。
【0123】
好適なグルカナーゼとしては、好ましくはE.C.クラス3.2.1.39由来のエンド-β-1,3-グルカナーゼが挙げられ、パエニバチルス属の種(Paenibacillus sp)、ゾベリア・ガラクタニボラン(Zobellia galactanivorans)、サーモトガ・ペトロフィラ(Thermotoga petrophila)、又はトリコデルマ属の種(Trichoderma sp)の微生物、好ましくはパエニバチルス属の種又はゾベリア・ガラクタニボラン、最も好ましくはパエニバチルス属の種から得られる。
【0124】
アミラーゼ:好ましくは、本発明の組成物は、アミラーゼを含む。好適なα-アミラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学的又は遺伝的に修飾された変異体(バリアント)が含まれる。好ましいアルカリ性アルファ-アミラーゼは、バチルス属の菌種、例えば、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ステアロサーモフィラス、バチルス・サブチリス、又は他のバチルス属の種、例えば、バチルス属の種NCBI12289、NCBI12512、NCBI12513、DSM9375(米国特許第7,153,818号)、DSM12368、DSMZ番号12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36、又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)に由来する。好ましいアミラーゼとしては、以下が挙げられる。
(a)米国特許第5,856,164号、並びに国際公開第99/23211号、同第96/23873号、同第00/60060号、同第06/002643号、及び同第2017/192657号に記載のバリアント、特に、国際公開第06/002643号において配列番号12として記載されているAA560酵素に対して以下の位置:
26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、202、214、231、246、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、461、471、482、484、に1つ以上の置換を有し、好ましくは、D183及びG184の欠失も含むバリアント。
(b)国際公開第06/002643号における配列番号4と少なくとも85%、好ましくは90%の同一性を示すバリアント、バチルス属SP722由来の野生型酵素、特に183及び184位が欠失しているバリアント、並びに国際公開第00/60060号、同第2011/100410号、及び同第2013/003659号に記載のバリアント、特に、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第06/002643号における配列番号4に対して以下の位置:
51、52、54、109、304、140、189、134、195、206、243、260、262、284、347、439、469、476、及び477、に1つ以上の置換を有するもの。
(c)バチルス属の種707(米国特許第6,093,562号における配列番号7)由来の野生型酵素と少なくとも90%の同一性を示すバリアント、特に以下の変異:M202、M208、S255、R172、及び/又はM261のうちの1つ以上を含むもの。好ましくは、当該アミラーゼは、M202L、M202V、M202S、M202T、M202I、M202Q、M202W、S255N及び/又はR172Qのうちの1つ以上を含む。M202L又はM202T変異を含むものが、特に好ましい。SP707骨格に基づく追加の関連変異/欠失は、W48、A51、V103、V104、A113、R118、N125、V131、T132、E134、T136、E138、R142、S154、V165、R182、G182、H183、E190、D192、T193、I206、M208、D209、E212、V213、V214、N214、L217、R218、N219、V222、T225、T227、G229、I235、K242、Y243、S244、F245、T246、I250、S255、A256、H286、V291、T316、V317、V318、N417、T418、A419、H420、P421、I428、M429、F440、R443、N444、K445、Q448、S451、A465、N470、S472を含む。
(d)国際公開第09/149130号に記載のバリアント、好ましくは同第09/149130号における配列番号1又は配列番号2、ゲオバチルス・ステアロファーモフィラス(Geobacillus Stearophermophilus)由来の野生型酵素、又はその切断バージョンと少なくとも90%の同一性を示すもの。
(e)国際公開第10/115021号に記載のバリアント、特に国際公開第10/115021号における配列番号2、バチルス属の種TS-23由来のアルファ-アミラーゼと少なくとも75%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を示すもの。
(f)国際公開第2016/091688号における配列番号1と少なくとも89%の同一性を示すバリアント、特にH183+G184位に欠失を含み、更に405、421、422、及び/又は428位に1つ以上の変異を含むもの。
(g)国際公開第2014/099523号に記載のバリアント、特にパエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)YK9由来の「PcuAmyl α-アミラーゼ」(国際公開第2014099523号における配列番号3)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示すもの。
(h)国際公開第2014/099523号に記載のバリアント、特にサイトファーガ属(Cytophaga)の種由来の「CspAmy2アミラーゼ」(国際公開第2014/164777号における配列番号1及び6と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示すもの。特に、国際公開第2014/164777号における配列番号1に基づく以下の欠失及び/又は変異のうちの1つ以上を含むもの:R178、G179、T38N、N88H、N126Y、T129I、N134M、F153W、L171R、T180D、E187P、I203Y、G476K、G477E、Y303D。
(i)バチルス・サブチリス(国際公開第2009/149271号における配列番号1)と少なくとも85%の同一性を示すバリアント。
(j)受託番号AB051102によるBacillus sp.KSM-K38由来の野生型アミラーゼと少なくとも90%の同一性を示すバリアント。
(k)国際公開第2016/180748号に記載のバリアント、特に、国際公開第2016/180748号における配列番号7のバチルス属の種由来のAAI10の成熟アミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を示すもの;国際公開第2016/180748号の配列番号8におけるアリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)の種のアミラーゼの成熟アミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を示すもの、及び国際公開第2016/180748号における配列番号13の成熟アミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を示すもの、特に、以下の変異H、N54S、V56T、K72R、G109A、F113Q、R116Q、W167F、Q172G、A174S、G184T、N195F、V206L、K391A、P473R、G476Kのうちの1つ以上を含むもの。
(l)国際公開第2018/060216号に記載のバリアント、特に、国際公開第2018/060216号における配列番号4の成熟アミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を示すバリアント、バチルス・アミロリケファシエンス及びバチルス・リケニフォルミスの融合分子。特に、H1、N54、V56、K72、G109、F113、R116、T134、W140、W159、W167、Q169、Q172、L173、A174、R181、G182、D183、G184、W189、E194、N195、V206、G255、N260、F262、A265、W284、F289、S304、G305、W347、K391、Q395、W439、W469、R444、F473、G476、及びG477位に1つ以上の置換を含むもの。
【0125】
好ましいアミラーゼは、漂白酸化しやすいアミノ酸の1つ以上が、酸化されにくいアミノ酸で置換された、遺伝子操作を受けた酵素である。具体的には、メチオニン残基は、任意の他のアミノ酸で置換されることが好ましい。具体的には、最も酸化しやすいメチオニンが置換されることが好ましい。好ましくは、配列番号11における202に相当する位置のメチオニンが置換される。好ましくは、この位置のメチオニンは、スレオニン又はロイシン、好ましくはロイシンで置換される。
【0126】
好適な市販のアルファ-アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、ATLANTIC(登録商標)、ACHIEVE ALPHA(登録商標)、AMPLIFY(登録商標)PRIME、INTENSA(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbH(Wehlistrasse 27b A-1200 Wien Austria))、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PREFERENZ S(登録商標)シリーズ(PREFERENZ S1000(登録商標)及びPREFERENZ S2000(登録商標)を含む)、並びにPURASTAR OXAM(登録商標)(DuPont.(Palo Alto,California))、並びにKAM(登録商標)(Kao(14-10 Nihonbashi Kayabacho,1-chome,Chuo-ku Tokyo 103-8210,Japan))が挙げられる。
【0127】
好ましくは、組成物は、組成物1g当たり少なくとも0.01mg、好ましくは約0.05~約10、より好ましくは約0.1~約6、特に約0.2~約5mgの活性アミラーゼを含む。
【0128】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、植物、細菌、又は真菌起源のものが挙げられる。化学修飾された又はタンパク質が遺伝子操作を受けた変異体が含まれる。有用なペルオキシダーゼの例としては、コプリナス(Coprinus)属のペルオキシダーゼ、例えば、国際公開第93/24618号、同第95/10602号、及び同第98/15257号に記載のようなC.サイネレウス(C.cinereus)及びそのバリアント由来のペルオキシダーゼが挙げられる。
【0129】
市販のペルオキシダーゼとしては、GUARDZYME(登録商標)(Novozymes A/S)が挙げられる。
【0130】
ペクチン酸リアーゼ:好適なペクチン酸リアーゼとしては、Pectawash(登録商標)、Pectaway(登録商標)、X-Pect(登録商標)、(全てNovozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))Preferenz(登録商標)F1000(DuPont Industrial Biosciences)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0131】
マンナナーゼ:組成物は、好ましくは、1つ以上の追加のマンナナーゼ酵素を含む。本明細書で使用するとき、「マンナナーゼ」又は「ガラクトマンナナーゼ」という用語は、マンナンエンド-1,4-ベータ-マンノシダーゼとして当該技術分野において既知のものに従って定義され、別名ベータ-マンナナーゼ及びエンド-1,4-マンナナーゼを有し、マンナン、ガラクトマンナン、グルコマンナン、及びガラクトグルコマンナンにおける1,4-ベータ-D-マンノシド連結の加水分解を触媒するマンナナーゼ酵素を意味する。マンナナーゼは、酵素命名法に従ってEC3.2.1.78として分類され、グリコシルヒドロラーゼファミリー5、26、及び113に属する。多くの好適なマンナナーゼは、グリコシルヒドロラーゼファミリー5に属する。市販のマンナナーゼとしては、Mannaway(登録商標)200L及びMannaway Evity4.0Tなど商品名Mannaway(登録商標)(Novozymes A/S)で販売されている全てのものが挙げられる。他の市販のマンナナーゼとしては、Effectenz(登録商標)M1000、Mannastar(登録商標)375、Preferenz M100、及びPurabrite(登録商標)(全てDuPont Industrial Biosciences)及びBiotouch M7(AB酵素)が挙げられる。他の好適なマンナナーゼは、国際公開第2018/191135号、同第2015/040159号、同第2017/021515号、同第2017/021516号、同第2017/021517号、及び同第2019/081515号に記載されているものなどグリコシルヒドロラーゼファミリー26に属する。マンナナーゼの好適な混合物としては、国際公開第2019/081515号に記載されているグリコシルヒドロラーゼファミリー5マンナナーゼ及びグリコシルヒドロラーゼファミリー26マンナナーゼの組み合わせが挙げられる。
【0132】
キサンタンガム分解酵素:組成物は、1つ以上のキサンタンガム分解酵素を含み得る。キサンタンガム系汚れの分解に好適な酵素としては、キサンタンエンドグルカナーゼが挙げられ、任意にキサンタンリアーゼと組み合わされる。本明細書で使用するとき、用語「キサンタンエンドグルカナーゼ」は、任意に好適なキサンタンリアーゼ酵素とともに、キサンタンガムの1,4-連結型β-D-グルコースポリマー骨格の加水分解を触媒することができるエンド-β-1,4-グルカナーゼ活性を示す酵素を意味する。好適なキサンタンエンドグルカナーゼは、国際公開第2013/167581号、同第2015/181299号、同第2015/181292号、同第2017/046232号、同第2017/046260号、同第2018/37062号、同第2018/37065号、同第2019/038059号、及び同第2019/162000号に記載されている。本明細書で使用するとき、用語「キサンタンリアーゼ」は、キサンタンガムのβ-D-マンノシル-β-D-1,4-グルクロノシル結合を切断する酵素を意味する。そのような酵素は、E.C.4.2.2.12に属する。好適なキサンタンリーゼは、国際公開第2015/001017号、同第2018/037061号、同第2018/37064号、同第2019/038060号、同第2019/162000号、及び同第2019/038057号に記載されている。
【0133】
ヌクレアーゼ:好ましくは、組成物は、RNase若しくはDNaseなどのヌクレアーゼ、又はこれらの混合物を含む。ヌクレアーゼ酵素は、核酸のヌクレオチドサブユニット間のホスホジエステル結合を切断することができる酵素である。本明細書におけるヌクレアーゼ酵素は、好ましくは、デオキシリボヌクレアーゼ若しくはリボヌクレアーゼ酵素又はこれらの機能的フラグメントである。機能的フラグメント又は部分とは、DNA骨格におけるホスホジエステル結合の切断を触媒するヌクレアーゼ酵素の部分を意味し、したがって、触媒活性を保持する当該ヌクレアーゼタンパク質の領域である。したがって、それは、その機能が維持されている酵素及び/又はバリアント及び/又は誘導体及び/又はホモログの、切頭されているが、機能的なバージョンを含む。
【0134】
好ましくは、ヌクレアーゼ酵素は、好ましくは、以下の分類のいずれかから選択されるデオキシリボヌクレアーゼである:E.C.3.1.21.x(式中、x=1、2、3、4、5、6、7、8又は9である)、E.C.3.1.22.y(式中、y=1、2、4又は5である)、E.C.3.1.30.z(式中、z=1又は2である)、E.C.3.1.31.1、及びこれらの混合物。
【0135】
DNase:好適なDNaseとしては、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2017/162836号(Novozymes)における配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、及び9によって定義されるDNaseの野生型及び変異体、並びに国際公開第2018/011277号(Novozymes)に記載されているものを含むバチルス・シビ(Bacillus cibi)DNaseの変異体が挙げられる。好ましいDNaseは、同時係属中の欧州特許出願第18202967号に特許請求されている通りである。
【0136】
RNase:好適なRNaseとしては、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/178061号(Novozymes)における配列番号3、6、9、12、15、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、72、及び73により定義されるDNaseの野生型及び変異体が挙げられる。
【0137】
ヘキソサミニダーゼ:組成物は1つ以上のヘキソサミニダーゼを含み得る。「ヘキソサミニダーゼ」という用語は、「分散剤」及び略語「Dsp」を含み、つまり、微生物起源の汚れに見られるN-アセチル-グルコサミンポリマーのβ-1,6-グリコシド結合の加水分解を触媒するヘキソサミニダーゼ活性を有するポリペプチド(EC3.2.1)を意味する。用語「ヘキソサミニダーゼ」は、N-アセチルグルコサミニダーゼ活性及びβ-N-アセチルグルコサミダーゼ活性を有するポリペプチドを含む。ヘキソサミニダーゼ活性は、国際公開第2018/184873号に記載のアッセイIIに従って判定され得る。好適なヘキソサミニダーゼとしては、国際公開第2017/186936号、同第2017/186937号、同第2017/186943号、同第2017/207770号、同第2018/184873号、同第2019/086520号、同第2019/086528号、同第2019/086530号、同第2019/086532号、同第2019/086521号、同第2019/086526号、同第2020/002604号、同第2020/002608号、同第2020/007863号、同第2020/007875号、同第2020/008024号、同第2020/070063号、同第2020/070249号、同第2020/088957号、同第2020/088958号、及び同第2020/207944号に開示されているものが挙げられる。国際公開第2020/207944号の配列番号1によって定義されるテリバシラス・サッカロフィルスヘキソサミニダーゼのバリアント、特に、当該公開に開示されている、改善された熱安定性を有するバリアントが好ましい場合がある。
【0138】
ガラクタナーゼ:好ましくは、組成物は、ガラクタナーゼ、すなわち、エンド-ベータ-1,6-ガラクタナーゼ酵素を含む細胞外ポリマー分解酵素を含む。用語「エンド-ベータ-1,6-ガラクタナーゼ」又は「エンド-ベータ-1,6-ガラクタナーゼ活性を有するポリペプチド」は、3よりも高い重合度(DP)を有する1,6-3-D-ガラクトオリゴ糖、及び4-O-メチルグルコシルウロネート又はグルコシルウロネート基を非還元末端に有するその酸性誘導体の加水分解性切断を触媒するグリコシドヒドロラーゼファミリー30由来のエンド-ベータ-1,6-ガラクタナーゼ活性(EC3.2.1.164)を意味する。本開示の目的のために、エンド-ベータ-1,6-ガラクタナーゼ活性は、アッセイIにおいて、国際公開第2015/185689号に記載の手順に従って求められる。分類EC3.2.1.164由来の好適な例は、国際公開第2015/185689号に記載されており、例えば、成熟ポリペプチド配列番号2である。
【0139】
追加の酵素は、追加の酵素を含有する別個の酵素添加剤、又は追加の酵素のうちの2つ若しくはいくつか若しくは全てを含む、混合酵素添加剤を添加することによって、洗剤組成物に包含され得る。そのような酵素添加剤は、顆粒、液体、又はスラリーの形態であり得、好ましくは追加的に酵素安定剤を更に含む。
【0140】
好ましくは、各追加の酵素は、組成物の重量に基づいて、少なくとも約0.0001~約0.1%重量パーセントの純粋活性酵素タンパク質、例えば、約0.0001%~約0.01%、約0.001%~約0.01%又は約0.001%~約0.01%の量の純粋活性酵素タンパク質で存在する。
【0141】
他の酵素
酵素系は、他の酵素を含むことができる。好適な酵素は、クリーニング性能及び/又は布地ケア効果をもたらす。他の好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リケニナーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ(malanases)、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及び既知のアミラーゼ、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい酵素系は、アミラーゼと組み合わせた、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼなどの従来の洗浄性酵素のカクテルを更に含むものである。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号により詳細に記載されている。
【0142】
酵素含有組成物:本明細書に記載されている酵素含有組成物は、任意に、組成物の約0.001重量%~約10重量%、いくつかの例では、約0.005重量%~約8重量%、及び別の例では、約0.01重量%~約6重量%の酵素安定化系を含んでもよい。酵素安定化系は、洗浄性酵素と適合性のある任意の安定化系であってよい。プロテアーゼを含む水性洗剤組成物の場合は、ボレート、4-ホルミルフェニルボロン酸、フェニルボロン酸、及びこれらの誘導体を含む、ホウ素化合物などの可逆的プロテアーゼ阻害剤、又はカルシウムホルメート、ナトリウムホルメート及び1,2-プロパンジオールなどの化合物を添加して、安定性を更に改善してもよい。
【0143】
ビルダー:本発明の組成物は、任意に、ビルダーを含んでもよい。ビルダー入り組成物は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%のビルダーを含む。液体組成物は、組成物の総重量の最大約10%、及びいくつかの例では、最大8%のビルダーを含み得る。顆粒組成物は、組成物の最大約30重量%のビルダー、及びいくつかの例では、最大5重量%のビルダーを含み得る。
【0144】
アルミノシリケート(例えば、ゼオライトA、ゼオライトP、及びゼオライトMAPなどのゼオライトビルダー)及びシリケートから選択されるビルダーは、洗浄水の鉱物質硬度、特にカルシウム及び/若しくはマグネシウムの制御、又は表面からの微粒子汚れの除去を補助する。好適なビルダーは、ポリリン酸塩(例えばトリ-ポリリン酸ナトリウム)、特にそのナトリウム塩などのリン酸塩;炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、及び炭酸ナトリウム又はセスキ炭酸塩以外の炭酸塩鉱物;有機モノ-、ジ-、トリ-、及びテトラカルボキシレート、特に、酸、ナトリウム、カリウム、又はアルカノールアンモニウム塩形態の水溶性非界面活性剤カルボキシレート、並びに脂肪族及び芳香族の種類を含むオリゴマー又は水溶性低分子量ポリマーカルボキシレート、並びにフィチン酸からなる群から選択され得る。これらは、例えば、pH緩衝化の目的のためのボレートによって、又は硫酸塩、特に硫酸ナトリウム、及び安定な界面活性剤及び/又はビルダー含有組成物の工学に重要となり得る任意の他の充填剤又はキャリアによって補完されてもよい。追加の好適なビルダーは、クエン酸、乳酸、脂肪酸、ポリカルボキシレートビルダー、例えば、アクリル酸のコポリマー、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマー、並びにアクリル酸及び/又はマレイン酸、並びに様々な種類の追加の官能基を有する他の好適なエチレン系モノマーのコポリマーから選択され得る。また、本明細書のビルダーとしての使用に好適なものは、鎖構造を有し、以下の一般的な無水物形態x(MO)・ySiO・zM’Oによって表される組成を有する、合成された結晶性イオン交換材料又はその水和物であり、式中、Mは、Na及び/又はKであり、M’は、Ca及び/又はMgであり、y/xは、0.5~2.0であり、z/xは、0.005~1.0である。
【0145】
あるいは、組成物はビルダーを実質的に含まなくてもよい。
【0146】
構造化剤/増粘剤:好適な構造化剤/増粘剤には、以下が含まれる。
i.ジ-ベンジリデンポリオールアセタール誘導体
ii.細菌セルロース
iii.コーティングされた細菌セルロース
iv.非細菌セルロース由来のセルロース繊維
v.非高分子結晶性ヒドロキシ官能性材料
vi.高分子構造化剤
vii.ジアミドゲル化剤
viii.上記の任意の組み合わせ。
【0147】
ポリマー分散剤:組成物は、1つ以上のポリマー分散剤を含んでもよい。例は、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピリジン-N-オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリアクリレートなどのポリカルボキシレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、及びメタクリル酸ラウリル/アクリル酸コポリマーである。
【0148】
本組成物は、次の一般構造:ビス((CO)(CO)n)(CH)-N-C2x-N-(CH)-ビス((CO)(CO)n)[式中、n=20~30であり、x=3~8である]を有する化合物、又はそのサルフェート化若しくはスルホネート化変異体などの、1つ以上の両親媒性洗浄ポリマーを含んでいてよい。
【0149】
組成物は、布地及び表面から脂粒子を除去するように、親水性と疎水性との特性が釣り合っている両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーを含んでもよい。本発明の両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーの具体的な実施形態は、コア構造及びそのコア構造に結合した複数のアルコキシレート基を含む。これらは、例えば内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有する、アルコキシル化ポリアルキレンイミンを含んでもよい。
【0150】
アルコキシル化ポリアミンは、グリース及び粒子の除去のために使用され得る。このような化合物としては、エトキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化ヘキサメチレンジアミン、及びこれらのサルフェート化体を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリプロポキシル化誘導体も挙げることができる。多種多様なアミン及びポリアルキレンイミンを様々な程度にアルコキシル化することができる。有用な例は、NH1個当たり20のEO基までエトキシル化されている600g/モルポリエチレンイミンコアであり、BASFから入手可能である。
【0151】
組成物は、例えば、不飽和C~Cカルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、グリセロールなどの飽和ポリアルコール、及びこれらの混合物などのモノマーを含む親水性主鎖と、例えば1つ以上のC~C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C~Cモノカルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC~Cアルキルエステル、及びこれらの混合物などの疎水性側鎖と、含むランダムグラフトポリマーを挙げることができる。ポリアルキレンオキシド及びビニルエステル、特に酢酸ビニルに基づくそのようなグラフトポリマーの具体的な例。これらのポリマーは、典型的には、ポリアルキレンオキシドの存在下でビニルエステルを重合することによって調製され、開始剤は、過酸化ジベンゾイル、ジラウロイルペルオキシド、又はジアセチルペルオキシドである。
【0152】
組成物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシドのブロックを含み得る。そのようなブロックポリマーの例としては、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーが挙げられ、コポリマーは、第1のEOブロック、第2のEOブロック、及びPOブロックを含み、第1のEOブロック及び第2のEOブロックが、POブロックに連結されている。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドのブロックはまた、(EO/PO)ジブロックコポリマー、(PO/EO/PO)トリブロックコポリマーなどの他の方法で配置され得る。ブロックポリマーはまた、追加のブチレンオキシド(BO)ブロックを含有し得る。
【0153】
カルボキシレートポリマー-本発明の組成物はまた、マレイン酸塩/アクリレートランダムコポリマー又はポリアクリレートホモポリマーなどの1つ以上のカルボキシレートポリマーを含んでいてもよい。一態様では、カルボキシレートポリマーは、4,000Da~9,000Da又は6,000Da~9,000Daの分子量を有するポリアクリレートホモポリマーである。
【0154】
汚れ放出ポリマー:本明細書に記載の組成物は、組成物の約0.01重量%~約10.0重量%、典型的には約0.1重量%~約5重量%、いくつかの態様では、約0.2重量%~約3.0重量%の汚れ放出ポリマー(ポリマー汚れ放出剤又は「SRA」としても知られる)を含み得る。
【0155】
汚れ放出ポリマーは、典型的には、ポリエステル及びナイロンなど疎水性繊維の表面を親水化するための親水性区分、並びに疎水性繊維上に堆積し、洗浄及びすすぎサイクルの完了までそこに付着し続け、それによって親水性区分のためのアンカーとしての機能を果たす疎水性区分を有する。これにより、後の洗浄手順において、汚れ放出剤による処理後に浮かび上がる汚れを、更に容易に洗浄可能にし得る。汚れの放出を促進することは、布地のウィッキング特性を改善する又は維持するのに役立つとも考えられる。
【0156】
汚れ放出ポリマーの構造及び電荷分布は、異なる種類の繊維又は生地への適用、及び異なる洗剤又は洗剤添加製品での配合に合わせて調整されてよい。汚れ放出ポリマーは、直鎖状、分枝鎖状、又は星形であってよい。
【0157】
汚れ放出ポリマーはまた、様々な帯電単位(例えば、アニオン性若しくはカチオン性単位)及び/又は非帯電(例えば、非イオン性)モノマー単位を含んでもよい。典型的には、SRPが、第四級アンモニウムエステル化合物などカチオン性布地コンディショニング活性物質と組み合わせて使用される場合、SRPとカチオン性活性物質との間の潜在的に負の相互作用を回避するために、非イオン性SRPが特に好ましいことがある。
【0158】
汚れ放出ポリマーは、ポリマーの分子量を制御する、又はポリマーの物理的特性若しくは表面活性特性を変化させるのに特に有効である末端キャッピング部分を含んでよい。
【0159】
好適な汚れ放出ポリマーの1つの好ましいクラスには、構造単位(I)及び/又は(II)を含むテレフタレート由来ポリエステルポリマーが挙げられ、
(I)-[(OCHR-CHR-O-OC-Ar-CO-]
(II)-[(OCHR-CHR-O-OC-sAr-CO-]
式中、
a、bは、1~200であり、
d、eは、1~50であり、
Arは、1,4-置換フェニレンであり、
sArは、5位がSOMで置換されている1,3-置換フェニレンであり、
Mは、Na、Li、K、Mg/2、Ca/2、Al/3、アンモニウム、モノ-、ジ-、トリ-、若しくはテトラ-アルキルアンモニウム(アルキル基は、C~C18アルキル又はC~C10ヒドロキシアルキルである)、又はこれらの混合物から選択される対イオンであり、
、R、R、Rは、独立して、H又はC~C18n-アルキル若しくはイソ-アルキルから選択され、
任意に、ポリマーは、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから誘導された1つ以上の末端基(III)を更に含み、好ましくは構造(IV-a)から選択され、
【0160】
【化6】
式中、
は、直鎖状若しくは分枝鎖状C1~30アルキル、C~C30アルケニル、又は5~9個の炭素原子を有するシクロアルキル基、又はC~C30アリール基、又はC~C30アリールアルキル基、好ましくは、C1~4アルキル、より好ましくはメチルであり、
c、d及びeは、モル平均に基づいて、0~200から独立して選択される数であり、c+d+eの合計は2~500であり、
末端気(IV-a)の[C-O]、[C-O]及び[C-O]基は、ブロックに、交互に、周期的に、及び/又は統計的に、好ましくはブロックに及び/又は統計的に配置していてよく、末端気(IV-a)の[C-O]、[C-O]及び[C-O]基のいずれかは、-R及び/又は-Oに連結し得る。
【0161】
任意に、ポリマーは、欧州特許第3222647号に記載されるように、1つ以上のアニオン性末端単位(IV)及び/又は(V)を更に含む。Mは、Na、Li、K、Mg/2、Ca/2、Al/3、アンモニウム、モノ-、ジ-、トリ-、若しくはテトラアルキルアンモニウムから選択される対イオンであり、アルキル基は、C~C18アルキル又はC~C10ヒドロキシアルキル、又はこれらの混合物である。
【0162】
【化7】
【0163】
任意に、ポリマーは、エステル化反応が可能な少なくとも3つの官能基を有する架橋多官能性構造単位を含み得る。官能基は、例えば、酸、アルコール、エステル、無水物、又はエポキシ基などであってよい。
【0164】
任意に、ポリマーは、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6、-ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ジフェノキシエタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカン-1,10-ジカルボン酸、フマル酸、コハク酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸、グルタル酸、アゼライン酸、又は、それらの塩若しくはそれらの(ジ)アルキルエステル、好ましくはそれらの(C~C)-(ジ)アルキルエステル、より好ましくはそれらの(ジ)メチルエステル、又はそれらの混合物などの、他のジ-又はポリカルボン酸を含み得るか、又は、それらの塩若しくはそれらの(ジ)アルキルエステルを、本発明のポリエステル中で使用できる。
【0165】
好ましくは、好適なテレフタレート由来汚れ放出ポリマーは、非イオン性であり、上記構造(II)を含まない。更に特定の好ましい非イオン性テレフタレート由来汚れ放出ポリマーは、以下の式による構造を有し、
【0166】
【化8】
式中、
及びRは、独立して、H又はCHから選択される。より好ましくは、R及びRのうちの一方はHであり、他方はCHである。
c、dは、モル平均に基づいて、0~200から独立して選択される数であり、c+dの合計は2~400であり、
より好ましくは、dは、0~50であり、cは、1~200であり、
より好ましくは、dは1~10であり、cは5~150であり、
は、C1~4アルキルであり、より好ましくはメチルであり、
nは、モル平均に基づいて、1~50である。
【0167】
最も好ましい上記好適なテレフタレート由来汚れ放出ポリマーの1つの例は、R及びRのうちの一方がHであり、他方がCHであり、dは、0であり、cは、5~100であり、Rは、メチルである。
【0168】
好適なテレフタレート由来汚れ放出ポリマーはまた、エンドキャップされたもの及びエンドキャップされていないものの両方の、スルホン化及び非スルホン化PET/POET(ポリエチレンテレフタレート/ポリオキシエチレンテレフタレート)ポリマーとして記載され得る。好適な汚れ放出ポリマーの例としては、Clariantより供給されているTexCare(登録商標)ポリマーが挙げられ、TexCare(登録商標)SRA-100、SRA-300、SRN-100、SRN-170、SRN-240、SRN-260、SRN-300、SRN UL50、及びSRN-325が挙げられる。
【0169】
他の好適なテレフタレート由来汚れ放出ポリマーは、国際公開第2014/019903号、同第2014/019658号、及び同第2014/019659号に記載されている。
【0170】
別のクラスの汚れ放出ポリマーとして、改質セルロースも挙げられる。好適な改質セルロースとして、セルロースアルキルエーテル及びセルロースヒドロキシアルキルエーテルなどの非イオン性改質セルロース誘導体を挙げることができる。そのようなセルロースアルキルエーテル及びセルロースヒドロキシアルキルエーテルの例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースが挙げられる。いくつかの実施形態では、改質セルロースは、C以上の炭化水素を含むことができ、アルキル基の好ましい長さは、C、C、C、C10、C12、C14、C16、C18であってよく、好適な修飾セルロースの例は、国際公開第2019/111948号及び同第2019/111949号に記載されている。いくつかの実施形態では、改質セルロースは、追加のカチオン性修飾を含み得、追加のカチオン性修飾を有する好適な修飾セルロースの例は、国際公開第2019/111946号及び同第2019/111947号に記載されている。
【0171】
市販の汚れ放出ポリマーの別の例は、Rhodiaにより供給されているREPEEL O-TEX(登録商標)ラインのポリマーであり、REPEEL O-TEX(登録商標)SF、SF-2、及びSRP6などである。他の好適な汚れ放出ポリマーは、Sasolより供給されているMarloquest(登録商標)ポリマーであり、Marloquest(登録商標)SL、HSCB、L235M、B、G82などである。異なる種類の更に好適な汚れ放出ポリマーとしては、市販の材料であるZELCON 5126(DuPont)及びMILEASE T(ICI)、Sorez 100(ISP)が挙げられる。
【0172】
セルロース系ポリマー:本明細書の組成物は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、典型的には、約0.5重量%~約7重量%、いくつかの態様では、約3重量%~約5重量%のセルロース系ポリマーを含んでよい。
【0173】
好適なセルロース系ポリマーとしてはアルキルセルロース、アルキルアルコキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、及びアルキルカルボキシアルキルセルロースが挙げられる。いくつかの態様では、セルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物から選択される。いくつかの態様では、セルロース系ポリマーは、約0.5~約0.9のカルボキシメチル置換度、及び約100,000Da~約300,000Daの分子量を有するカルボキシメチルセルロースである。
【0174】
カルボキシメチルセルロースポリマーとしては、Finnfix(登録商標)GDA(CP Kelkoによって販売)、例えば、商品名Finnfix(登録商標)SH1(CPKelko)として販売されているカルボキシメチルセルロースのアルキルケテン二量体誘導体、又は商品名Finnfix(登録商標)V(CP Kelkoによって販売)として販売されているブロック系カルボキシメチルセルロース等の、疎水変性カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0175】
追加アミン:本明細書で記載される組成物において、汚れた素材からのグリース及び粒子の除去を向上するために様々なアミンが使用され得る。本明細書に記述される組成物は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、いくつかの例では、約0.1重量%~約4重量%、他の例では、約0.1重量%~約2重量%の追加のアミンを含んでもよい。追加のアミンの非限定的な例としては、ポリアミン、オリゴアミン、トリアミン、ジアミン、ペンタミン、テトラアミン、又はこれらの組み合わせを挙げてもよいが、これらに限定されない。好適な追加のアミンの具体的な例としては、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0176】
例えば、アルコキシル化ポリアミンは、グリース及び粒子状除去のために使用され得る。このような化合物としては、エトキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化ヘキサメチレンジアミン、及びこれらのサルフェート化体を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリプロポキシル化誘導体も挙げることができる。多種多様なアミン及びポリアルキレンイミンを様々な程度にアルコキシル化することができる。有用な例は、NH1個当たり20のEO基までエトキシル化されている600g/モルポリエチレンイミンコアであり、BASFから入手可能である。本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、いくつかの例では、約0.1重量%~約8重量%、及び他の例では、約0.1重量%~約6重量%のアルコキシル化ポリアミンを含んでもよい。
【0177】
アルコキシル化ポリカルボキシレートも、グリースを除去するために本明細書の組成物中で使用され得る。化学的に、これら材料は、7~8つのアクリレート単位ごとに1つのエトキシ側鎖を有するポリアクリレートを含む。側鎖は、式-(CHCHO)(CHCH[式中、mは、2~3であり、nは、6~12である]のものである。側鎖は、ポリアクリレート「主鎖」にエステル結合され、「櫛形」ポリマー型の構造を提供する。分子量は、変動し得るが、約2000~約50,000の範囲内であってよい。本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、いくつかの例では、約0.25重量%~約5重量%、及び他の例では、約0.3重量%~約2重量%のアルコキシル化ポリカルボキシレートを含んでもよい。
【0178】
漂白化合物、漂白剤、漂白活性剤及び漂白触媒:本明細書に記載の組成物は、漂白剤、又は漂白剤及び1つ以上の漂白活性剤を含有する漂白組成物を含有してもよい。漂白剤は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約30重量%、及びいくつかの例では、約5重量%~約20重量%の濃度で存在してもよい。存在する場合、漂白活性剤の量は、漂白剤に加え漂白活性剤を含む漂白組成物の約0.1重量%~約60重量%、及びいくつかの例では、約0.5重量%~約40重量%であってもよい。
【0179】
漂白剤の例としては、酸素漂白剤、過ホウ酸塩漂白剤、過カルボン酸漂白剤、及びそれらの塩、過酸素漂白剤、過サルフェート漂白剤、過炭酸塩漂白剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0180】
いくつかの例では、組成物はまた、遷移金属漂白触媒を含み得る。
【0181】
酸素漂白剤以外の漂白剤もまた当該技術分野で既知であり、組成物において使用できる。それらは、例えば、光活性化漂白剤、又はペルオキシカルボン酸若しくはその塩などの予備形成有機過酸、又はペルオキシスルホン酸若しくはその塩を含む。好適な有機過酸は、フタロイルイミドペルオキシカプロン酸である。使用する場合、本明細書に記載の組成物は、典型的には、そのような漂白剤、及びいくつかの例では亜鉛フタロシアニンスルホネートを組成物の約0.025重量%~約1.25重量%を含有し得る。
【0182】
増白剤:蛍光増白剤若しくは他の増白剤、又は白化剤は、組成物の約0.01重量%~約1.2重量%の濃度で、本明細書に記載される組成物に組み込み得る。本明細書で使用され得る市販の光学増白剤は、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、ベンゾオキサゾール、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチフェン(dibenzothiphene)-5,5-ジオキシド、アゾール、5及び6員複素環、並びに他の様々な剤の誘導体が挙げられるが必ずしもこれらに限定されないサブグループに分類することができる。
【0183】
いくつかの例では、蛍光増白剤は、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(増白剤15、商標名Tinopal AMS-GXとしてCiba Geigy Corporationにより市販)、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ビス-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(商標名Tinopal UNPA-GXとしてCiba-Geigy Corporationにより市販)、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ヒドロキシエチル-N-メチルアミノ)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(商標名Tinopal 5BM-GXとしてCiba-Geigy Corporationにより市販)からなる群から選択される。より好ましくは、蛍光増白剤は、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウムである。
【0184】
増白剤は、粒子の形で又は好適な溶剤、例えば非イオン性界面活性剤、モノエタノールアミン、プロパンジオールとのプレミックスとして添加されてもよい。
【0185】
布地色相剤:本組成物は布地色相剤(シェーディング剤、青味剤又は増白剤と呼ばれることもある)を含み得る。典型的には、色相剤は、布地に青色又は青紫色の色合いをもたらす。色相剤は、単独又は組み合わせのいずれかで使用され、特定の色相の色合いを作り出し、かつ/又は異なる種類の布地に色合いを付けることができる。これは、例えば赤と緑-青の染料とを混合して青又は紫の色合いを生じさせることによりもたらされ得る。色相剤は、アクリジン、アントラキノン(多環式キノンを含む)、アジン、前金属化した(premetallized)アゾを含むアゾ(例えば、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ)、ベンゾジフラン及びベンゾジフラノン、カロテノイド、クマリン、シアニン、ジアザヘミシアニン、ジフェニルメタン、ホルマザン、ヘミシアニン、インジゴイド、メタン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロ及びニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、ピラゾール、スチルベン、スチリル、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、キサンテン、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない任意の既知の染料の化学分類から選択され得る。
【0186】
移染防止剤:組成物はまた、洗浄工程中に、ある布地から別の布地に染料が移るのを阻止するのに有効な1つ以上の物質を含んでもよい。概して、このような移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物を挙げることができる。使用する場合、これらの剤は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、いくつかの例では、組成物の約0.01重量%~約5重量%、他の例では、組成物の約0.05重量%~約2重量%の濃度で使用されてもよい。
【0187】
キレート剤:本明細書に記載の組成物はまた、1つ以上の金属イオンのキレート剤を含有し得る。好適な分子としては、銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤並びにこれらの混合物が挙げられる。このようなキレート剤は、ホスホネート、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、スクシネート、多官能的に置換された芳香族キレート剤、2-ピリジノール-Nーオキシド化合物、ヒドロキサム酸、カルボキシメチルイヌリン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。キレート剤は、酸の形態、又は、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びその置換アンモニウム塩、並びにこれらの混合物を含む、塩の形態で存在することができる。
【0188】
キレート剤は、組成物の約0.005重量%~約15重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3.0重量%、又は約0.2重量%~約0.7重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%で、本明細書に開示される組成物中に存在し得る。
【0189】
キレート剤として有用なアミノカルボキシレートとしては、エチレンジアミンテトラアセテート(ethylenediaminetetracetate、EDTA)、N-(ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリアセテート(ethylenediaminetriacetate、HEDTA)、ニトリロトリアセテート(nitrilotriacetate、NTA)、エチレンジアミンテトラプロプリオナート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミン-ペンタアセテート(diethylenetriamine-pentaacetate、DTPA)、メチルグリシン二酢酸(methylglycinediacetic acid、MGDA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、エタノールジグリシン、トリエチレンテトラアミン六酢酸(triethylenetetraaminehexaacetic acid、TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(N-hydroxyethyliminodiacetic acid、HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(dihydroxyethylglycine、DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(ethylenediaminetetrapropionic acid、EDTP)、及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
カプセル化剤:組成物はカプセル化剤を含み得る。いくつかの態様では、カプセル化剤は、コア、内表面及び外表面を有するシェルを含み、当該シェルはコアをカプセル封入する。
【0191】
特定の態様では、カプセル化剤はコアとシェルとを含み、コアは、香料、増白剤、染料、防虫剤、シリコーン、ワックス、着香剤、ビタミン、布地柔軟化剤、スキンケア剤、例えば、パラフィン、酵素、抗菌剤、漂白剤、感覚剤、又はこれらの混合物から選択される材料を含み、シェルは、ポリエチレン、ポリアミド、任意に他のコ-モノマーを含有するポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリオレフィン、多糖類、例えば、アルギネート及び/若しくはキトサン、ゼラチン、シェラック、エポキシ樹脂、ビニルポリマー、水不溶性無機材料、シリコーン、アミノ樹脂、又はこれらの混合物から選択される材料を含む。シェルがアミノプラストを含むいくつかの態様では、アミノプラストは、ポリ尿素、ポリウレタン及び/又はポリ尿素ウレタンを含む。ポリ尿素は、ポリオキシメチレン尿素及び/又はメラミンホルムアルデヒドを含み得る。
【0192】
布地及びホームケア製品は、典型的には、(a)完成した織物のケア、完成した織物の洗濯、完成した織物の衛生化、完成した織物の消毒、洗剤、染み除去剤、柔軟剤、布地向上剤、染み除去又は完成した織物の処理、予洗及び後洗処理、洗濯機の洗浄及びメンテナンス(完成した織物とは、衣類及び布製品を含むことを意図する)、(b)食器洗浄機、利用水の両方、及びその内容物のための洗剤、予備的後処理及び機器洗浄及びメンテナンス製品などの、自動食洗機における、皿、グラス、陶器、鍋、フライパン、台所用品、カトラリーなどのケア、又は、(c)食器手洗い用洗剤に好適である。
【0193】
布地及びホームケア製品は、典型的には、上記でより詳細に説明されるものなどの追加の布地及びホームケア成分を含む。
【0194】
液体洗濯洗剤組成物。布地及びホームケア製品は、液体洗濯洗剤組成物などの洗濯洗剤組成物であり得る。好適な液体洗濯洗剤組成物は、非石鹸界面活性剤を含み、当該非石鹸界面活性剤は、アニオン性非石鹸界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含んでよい。洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の10重量%~60重量%、又は20重量%~55重量%の非石鹸界面活性剤を含み得る。非石鹸アニオン性界面活性剤鯛非イオン性界面活性剤は、1:1~20:1、1.5:1~17.5:1、2:1~15:1、又は2.5:1~13:1である。好適な非石鹸アニオン性界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、又はそれらの混合物が挙げられる。直鎖アルキルベンゼンスルホネート対アルキルサルフェート重量比は、1:2~9:1、1:1~7:1、又は1:1~5:1、又は1:1~4:1であり得る。好適な直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、C10~C16アルキルベンゼンスルホン酸、又はC11~C14アルキルベンゼンスルホン酸である。好適なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルキルサルフェート、非アルコキシル化アルキルサルフェート、及びそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、HLAS界面活性剤は、50%超のC12、好ましくは60%超、好ましくは70%超のC12、より好ましくは75%超のC12を含む。好適なアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤として、エトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が挙げられる。好適なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤としては、1~5、1~3、又は2~3のモル平均エトキシル化度を有する、エトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が挙げられる。アルキルアルコキシル化サルフェートは、広いアルコキシ分布又はピークのあるアルコキシ分布を有し得る。AESのアルキル部分は、平均して、13.7~約16個、又は13.9~14.6個の炭素原子を含み得る。少なくとも約50%、又は少なくとも約60%のAES分子は、14個以上の炭素原子、好ましくは14~18個、又は14~17個、又は14~16個、又は14~15個の炭素原子を有するアルキル部分を含み得る。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非エトキシル化アルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェートを含み得、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均エトキシル化度は、1~5、1~3、又は2~3である。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル画分は、脂肪アルコール、オキソ合成アルコール、ゲルベアルコール、又はそれらの混合物から誘導され得る。好ましいアルキルサルフェートとしては、任意に、2-アルキル分枝一級アルコールサルフェート、特に2-分枝C12~15一級アルコールサルフェート、直鎖一級アルコールサルフェート、特に直鎖C12~14一級アルコールサルフェート、及びそれらの混合物を含む、エトキシル化アルコールサルフェートが挙げられる。洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の10重量%~50重量%、又は15重量%~45重量%、又は20重量%~40重量%、又は30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含み得る。
【0195】
好適な非イオン性界面活性剤は、広い又は狭い範囲のアルコキシレート度のアルコール、オキソ合成アルコールアルコキシレート、ゲルベアルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はそれらの混合物から選択され得る。洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.1重量%~6重量%、又は0.15重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0196】
洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の1.5重量%~20重量%、又は2重量%~15重量%、又は3重量%~10重量%、又は4重量%~8重量%の脂肪酸塩などの石鹸を含む。そのような石鹸は、例えば、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミンを使用して、アミン中和され得る。
【0197】
洗濯洗剤組成物は、クエン酸塩を含むビルダー、酵素、漂白剤、漂白触媒、染料、色相染料、ロイコ染料、増白剤、アルコキシル化ポリアミン及びポリエチレンイミン、両親媒性コポリマー、汚れ放出ポリマー、を含む洗浄ポリマー、界面活性剤、溶媒、移染防止剤、キレート剤、ジアミン、香料、カプセル化香料、ポリカルボキシレート、構造化剤、pH調整剤、酸化防止剤、抗菌剤、抗微生物剤、防腐剤、並びにそれらの混合物を含む群から選択される補助原料を含み得る。
【0198】
洗濯洗剤組成物は、2~11、又は6.5~8.9、又は7~8のpHを有し得、洗濯洗剤組成物のpHは、20℃の脱塩水中の10%製品濃度で測定される。
【0199】
液体洗濯洗剤組成物は、ニュートン性であっても、非ニュートン性であってもよく、好ましくは非ニュートン性であり得る。
【0200】
液体洗濯洗剤組成物において、組成物は、液体洗剤組成物の5重量%~99重量%、又は15重量%~90重量%、又は25重量%~80重量%の水を含み得る。
【0201】
本発明による洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物であり得る。以下は、例示的な液体洗濯洗剤配合物である。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、本発明による洗剤組成物の0.1重量%~4.0重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%、より好ましくは1重量%~2.5重量%の硫酸塩化エステルアミンを含む。
【0202】
【表1】
上付き番号の説明:
1 AESのアルキル部分が、約13.9~約14.6個の炭素原子を含む、C12~15のEO2.5Sアルキルエトキシサルフェート
2 BASFから入手可能なPE-20
3 ヌクレアーゼ酵素は、同時係属中の欧州特許出願19219568.3に特許請求されている通りである
4 酸化防止剤1は、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸、メチルエステル[6386-38-5]である
5 酸化防止剤2は、BASFから市販されているTinogard TSである
6 衛生剤は、BASFから市販されているTinosan HP100である
7 Dow Corningから供給された消泡剤ブレンド、80~92%のエチルメチル、メチル(2-フェニルプロピル)シロキサン、5~14%のステアリン酸オクチル中のMQ樹脂、3~7%の変性シリカ。
8 蛍光増白剤は、二ナトリウム4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホネート又は2,2’-([1,1’-ビフェニル]-4、4’-ジイルジ-2,1-エテンジイル)ビス-ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩である。
【0203】
水溶性単位用量物品
布地及びホームケア製品は、水溶性単位用量物品であり得る。水溶性単位用量物品は、少なくとも1つの単位用量内部区画を作成するように配向された少なくとも1つの水溶性フィルムを含み、少なくとも1つの単位用量内部区画は、洗剤組成物を含む。水溶性フィルムは、好ましくは、ポリビニルアルコールホモポリマー又はポリビニルアルコールコポリマー、例えば、ポリビニルアルコールホモポリマー及び/又はポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含み、例えば、スルホン化及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、特にカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーから選択されるコポリマー、例えば、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含む。いくつかの実施例では、水溶性フィルムは、Monosolによって商品参照番号M8630、M8900、M8779、M8310として供給されているものがある。洗剤製品は、洗剤組成物、より好ましくは洗濯洗剤組成物を含む。好ましくは、水溶性単位用量物品内に封入された洗濯洗剤組成物は、本発明の洗剤組成物の0.1重量%~8重量%、好ましくは0.5重量%~7重量%、より好ましくは1.0重量%~6.0重量%の硫酸塩化エステルアミンを含む。好ましくは、溶解性単位用量洗濯洗剤組成物は、非石鹸界面活性剤を含み、当該非石鹸界面活性剤は、アニオン性非石鹸界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む。より好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の10重量%~60重量%、又は20重量%~55重量%の非石鹸界面活性剤を含む。非石鹸アニオン性界面活性剤の非イオン性界面活性剤に対する重量比は、好ましくは、1:1~20:1、1.5:1~17.5:1、2:1~15:1、又は2.5:1~13:1である。非石鹸アニオン性界面活性剤は、好ましくは、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含む。直鎖アルキルベンゼンスルホネートのアルキルサルフェートに対する重量比は、好ましくは、1:2~9:1、1:1~7:1、1:1~5:1、又は1:1~4:1である。例示的な直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、C10~C16アルキルベンゼンスルホン酸又はC11~C14アルキルベンゼンスルホン酸である。「直鎖状」とは、本明細書では、アルキル基が直鎖状であることを意味する。例示的なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルキルサルフェート、若しくは非アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含んでもよい。例示的なアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、エトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。例示的なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、1~5、1~3、又は2~3のモル平均エトキシル化度を有する、エトキシ化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含んでもよい。例示的なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非エトキシル化アルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェートを含んでもよく、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均エトキシル化度は、1~5、1~3、又は2~3である。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の例示的なアルキル画分は、脂肪族アルコール、オキソ合成アルコール、ゲルベアルコール、又はこれらの混合物から誘導される。好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の10重量%~50重量%、15重量%~45重量%、又は20重量%~40重量%、又は30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施例では、非イオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、オキソ合成アルコールアルコキシレート、ゲルベアルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、又は0.1重量%~6重量%、又は0.15重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の1.5重量%~20重量%、2重量%~15重量%、3重量%~10重量%、又は4重量%~8重量%の石鹸、いくつかの例では、脂肪酸塩、いくつかの例では、アミン中和された脂肪酸塩を含み、いくつかの例では、アミンは、アルカノールアミン、好ましくはモノエタノールアミンである。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の15重量%未満、又は12重量%未満の水を含む。好ましくは、洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の10重量%~40重量%、又は15重量%~30重量%の、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、又はこれらの混合物から選択される非水性溶媒を含む。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、洗剤組成物の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~8重量%の更なる汚れ放出ポリマーを含み、好ましくは、ClariantからTexcareブランド名で市販されている非イオン性及び/又はアニオン変性ポリエステルテレフタレート汚れ放出ポリマー、ポリアルキレンオキシド及びビニルエステルに基づくものなどの両親媒性グラフトポリマー、ポリアルコキシル化ポリエチレンイミン、及びそれらの混合物の群から選択される。好ましくは、液体洗剤組成物は、0.1%~10%、好ましくは1%~5%のキレート剤を更に含む。いくつかの例では、洗濯洗剤組成物は、クエン酸塩、酵素、漂白剤、漂白触媒、染料、色相染料、増白剤、(両性イオン性)アルコキシル化ポリアミンを含む洗浄ポリマー、界面活性剤、溶媒、移染防止剤、香料、カプセル化香料、ポリカルボキシレート、構造化剤、pH調整剤、並びにこれらの混合物を含むビルダーを含む群から選択される補助成分を含む。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、6~10、6.5~8.9、又は7~8のpHを有し、液体洗濯洗剤組成物のpHは、20℃で脱塩水中の10%生成物濃度として測定される。液体の場合、洗濯洗剤組成物は、ニュートン性であっても、非ニュートン性であってもよく、好ましくは非ニュートン性であり得る。
【0204】
以下は、例示的な水溶性単位用量処方である。組成物は、単一チャンバ水溶性単位用量物品の一部であってもよく、又は複数の区画にわたって分割されて、以下の「区画全体が平均化された」全物品組成物をもたらし得る。組成物は、ポリビニルアルコール系水溶性体で封入され、ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールホモポリマーとアニオン性、例えばカルボキシル化ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む。
【0205】
【表2】
上付きの説明:
ヌクレアーゼ酵素は、同時係属中の欧州特許出願19219568.3に特許請求されている通りである。
**ポリエチレングリコール骨格(Pluriol E6000)と疎水性酢酸ビニル側鎖とを含むポリエチレングリコールグラフトポリマーであって、ポリエチレングリコール骨格ポリマーのポリマー系40重量%と、グラフトされている酢酸ビニル側鎖のポリマー系60重量%とを含む、ポリエチレングリコールグラフトポリマー
【0206】
食器手洗い用液体組成物
布地及びホームケア製品は、食器手洗い用洗剤組成物などの食器用洗剤組成物、より好ましくは液体食器手洗い用洗剤組成物であり得る。好ましくは、液体食器手洗い用洗剤組成物は、本発明の洗剤組成物の0.1重量%~5.0重量%、好ましくは0.5重量%~4重量%、より好ましくは1.0重量%~3.0重量%の硫酸塩化エステルアミンを含む。液体食器手洗い用洗剤組成物は、好ましくは、全組成物の50重量%~90重量%、好ましくは60重量%~75重量%の水を含む水性組成物である。好ましくは、20℃の脱塩水中で10%の製品濃度として測定される本発明の洗剤組成物のpHは、3~14、より好ましくは4~13、より好ましくは6~12、最も好ましくは8~10に調整される。本発明の組成物は、ニュートン流体又は非ニュートン流体であり得るが、好ましくはニュートン流体である。好ましくは、本組成物は、10mPa・s~10,000mPa・s、好ましくは100mPa・s~5,000mPa・s、より好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、又は最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・s、あるいはこれらの組み合わせの粘度を有する。粘度は、40%~60%のトルクを達成するように粘度計のRPMが調整されたスピンドル31を使用して、ブルックフィールドRT粘度計を用いて20℃で測定される。
【0207】
組成物は、組成物全体の5重量%~50重量%、好ましくは8重量%~45重量%、より好ましくは15重量%~40重量%の界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、好ましくは、界面活性剤系の60重量%~90重量%、より好ましくは70重量%~80重量%のアニオン性界面活性剤を含む。アルキル硫酸化アニオン性界面活性剤は、具体的には、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシサルフェート、好ましくはアルキルエトキシサルフェート、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものが好ましい。アルキル硫酸化アニオン性界面活性剤は、好ましくは8~18個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個、最も好ましくは12~13個の炭素原子の平均アルキル鎖長を有する。アルキル硫酸化アニオン性界面活性剤は、好ましくは、5未満、好ましくは3未満、より好ましくは0.5~2.0、最も好ましくは0.5~0.9の平均アルコキシル化度、好ましくはエトキシル化度を有する。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、好ましくは、10%超、好ましくは20%超、より好ましくは30%超、更により好ましくは30%~60%、最も好ましくは30%~50%の重量平均分枝度を有する。好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウムが挙げられるが、好ましくはナトリウムである。市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによって商品名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによって商品名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されているアルコールに由来するもの、又はProcter&Gamble Chemicals社によって生産された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。
【0208】
界面活性剤系は、好ましくは、液体食器手洗い用洗剤組成物の0.1重量%~20重量%、より好ましくは0.5重量%~15重量%、特に2重量%~10重量%の補助界面活性剤を含む。好ましい補助界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。アニオン性界面活性剤対補助界面活性剤の重量比は、1:1~8:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2.5:1~4:1であり得る。補助界面活性剤は、好ましくは両性界面活性剤、より好ましくはアミンオキシド界面活性剤である。好ましくは、アミンオキシド界面活性剤は、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはC12~C14アルキルジメチルアミンオキシドである。好適な双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン界面活性剤、好ましくはコカミドプロピルベタインが挙げられる。
【0209】
好ましくは、本発明の組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の1重量%~25重量%、好ましくは1.25重量%~20重量%、より好ましくは1.5重量%~15重量%、最も好ましくは1.5重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を更に含む。好適な非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、アルキルポリグルコシド(alkyl polyglucoside、APG)界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。好適なアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、直鎖又は分枝の一級又は二級アルキルアルコキシル化、好ましくはアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤であり、そのアルキル鎖に平均9~15個、好ましくは10~14個の炭素原子を含み、アルコール1モル当たり平均5~12単位、好ましくは6~10単位、最も好ましくは7~8単位のエチレンオキシドを含むものである。最も好ましくは、アルキルポリグリコシド界面活性剤は、10~16、好ましくは10~14、最も好ましくは12~14の平均アルキル炭素鎖長を有し、平均重合度は0.5~2.5、好ましくは1~2、最も好ましくは1.2~1.6である。C~C16アルキルポリグリコシドは、いくつかの供給元から市販されている(例えば、Seppic CorporationからのSimusol(登録商標)界面活性剤、並びにBASF CorporationからのGlucopon(登録商標)600 CSUP、Glucopon(登録商標)650 EC、Glucopon(登録商標)600 CSUP/MB、及びGlucopon(登録商標)650 EC/MB)。
【0210】
本明細書における液体手洗い用食器洗浄洗剤組成物は、任意に、ビルダー(例えば、好ましくはクエン酸塩)、キレート剤(例えば、好ましくはGLDA)、コンディショニングポリマー、ポリアルコキシル化ポリアルキレンイミンを含む洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、汚れ凝集ポリマー、EO-PO-EOトリブロックコポリマーを含む起泡ポリマー、環状ポリアミンを含むグリース洗浄ポリマー、構造化剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、皮膚若返り活性物質、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、漂白剤及び漂白活性剤、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、ビーズ、真珠光沢粒子、マイクロカプセル、有機溶媒、Ca/Mgイオンなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤(例えば、NaCl、並びに他の一価、二価、及び三価の塩などの塩)、並びにpH調整剤及び緩衝手段(例えば、クエン酸などのカルボン酸、HCl、NaOH、KOH、アルカノールアミン、リン酸及びスルホン酸、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、イミダゾールなど)などの多くの他の補助原料を含んでもよい。
【0211】
以下は、例示的な液体手洗い用食器洗浄洗剤配合物である。配合物は、個々の成分の標準的な混合によって作製することができる。
【0212】
【表3】
【0213】
固体自由流動性粒子状洗濯洗剤組成物
布地及びホームケア製品は、固体自由流動性粒子状洗濯洗剤組成物であり得る。以下は、例示的な固体自由流動性粒子状洗濯洗剤組成物である。
【0214】
【表4】
【0215】
使用方法
本発明は、標的表面を洗浄する方法を含む。本明細書で使用される場合、「標的表面」は、布地、皿、グラス、及び他の調理面、硬質表面、毛髪又は皮膚などのかかる表面を含み得る。本明細書で使用される場合、「硬質表面」は、硬質木材、タイル、セラミック、プラスチック、皮革、金属、ガラスなどの典型的な家庭に見られる硬質表面を含む。そのような方法は、修飾ポリオール化合物を含む組成物を、未希釈の形態で又は洗浄液中で希釈して、標的表面の少なくとも一部と接触させ、次いで、任意に、標的表面をすすぐ工程を含む。好ましくは、標的表面は、上記任意のすすぎ工程の前に、洗浄工程に供される。本発明の目的に関して、洗浄は、こすり洗い、拭き取り、及び機械的撹拌を含むが、これらに限定されない。
【0216】
当業者に理解されるように、本発明の洗浄組成物は理想的にはホームケア(硬質表面洗浄組成物)及び/又は洗濯用途に用いるのに適している。
【0217】
組成物溶液のpHは、約3~約11の広範囲のpHにわたって洗浄される標的表面に最も相補的であるように選択される。皮膚及び毛髪洗浄などのパーソナルケアにおいて、そのような組成物のpHは、好ましくは約5~約8のpHを有し、洗濯洗浄組成物のpHは約5~約11である。組成物は、好ましくは、溶液中約200ppm~約10,000ppmの濃度で用いられる。水温は、好ましくは、約5℃~約100℃の範囲である。
【0218】
洗濯洗浄組成物で使用するために、組成物は、好ましくは、溶液(又は洗浄液)中で約200ppm~約10000ppmの濃度で用いられる。水温は、好ましくは約5℃~約60℃の範囲である。水と布地との比は、好ましくは、約1:1~約20:1である。
【0219】
方法は、本発明の組成物の実施形態で含浸された不織布基材を接触させる工程を含み得る。本明細書において使用するとき、「不織布基材」は、好適な秤量、キャリパー(厚み)、吸収性、及び強度特性を有する従来式の任意の不織布シート又はウェブを含み得る。好適な市販の不織布基材の例としては、DuPontにより商品名SONTARA(登録商標)及びJames River Corp.により商品名POLYWEB(登録商標)として市販されているものが挙げられる。
【0220】
当業者に理解されるように、本発明の洗浄組成物は理想的には液体食器洗浄組成物で用いるのに適している。本発明の液体食器組成物(liquid dish composition)を使用するための方法は、汚れた皿を、有効量、典型的には約0.5mL~約20mL(処理される食器25個当たり)の、水で希釈された本発明の液体食器洗浄組成物に接触させる工程を含む。
【実施例
【0221】
合成例:
以下の実施例は、説明されている手順に従い、示されている得られた結果(表5も参照されたい)について実施される。
【0222】
(実施例1)
HMDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
(HMDA+1 PO/NH+0.25カプロラクトン/NH+8 PO/NH)
【0223】
実施例1a:HMDA+NH官能基1mol当たり1PO
2Lのオートクレーブに、245.0gのヘキサメチレンジアミン及び12.3gの水を充填した。反応器を、窒素で3回パージし、110℃に加熱した。489.8gのプロピレンオキシドを、10時間以内に添加した。反応を完了するために、その反応混合物を110℃で5時間、後反応させた。揮発性化合物を90℃で、真空で除去した。高粘度の黄色の油(730.0g)が得られた。CDClにおけるH-NMRは完全な転化を示唆した。
【0224】
実施例1b:HMDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン
撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器において、278.8gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO(実施例1a)を入れ、110℃に加熱した。91.3gのカプロラクトンを10分以内に添加した。反応混合物を、160℃まで加熱し、160℃で8時間撹拌した。370.0gの褐色の粘性油が得られた。MeODにおけるH-NMRは、カプロラクトンの完全な転化を示唆した。
【0225】
実施例1c:HMDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
2Lのオートクレーブ中で、185.1gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン(実施例1b)及び1.9gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。743.4gのプロピレンオキシドを12時間以内に少しずつ加えた。反応を完了するために、混合物を140℃で更に5時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で2時間真空で除去した。927.0gの淡褐色の油が得られた。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0226】
(実施例2)
HMDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
(HMDA+1PO/NH+0.5カプロラクトン/NH+8PO/NH)
【0227】
実施例2a:HMDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン
撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器において、139.4gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO(実施例1a)を入れ、70℃に加熱した。91.3gのカプロラクトンを15分以内に添加した。反応混合物を、160℃まで加熱し、160℃で8時間撹拌した。223.0gのオレンジ色の粘性油が得られる。MeODにおけるH-NMRは、カプロラクトンの完全な転化を示唆した。
【0228】
実施例2b:HMDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
2Lのオートクレーブ中で、115.4gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン(実施例2a)及び1.0gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。371.7gのプロピレンオキシドを6時間以内に少しずつ添加した。反応を完了するために、混合物を140℃で更に5時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で2時間真空で除去した。490.0gの淡褐色の油が得られた。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0229】
(実施例3)
EDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
(EDA+1PO/NH+0.25カプロラクトン/NH+8PO/NH)
【0230】
実施例3a:EDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン
撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器において、146.2gのエチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO(BASFから購入したQuadrol L)を入れ、40℃に加熱した。57.1gのカプロラクトンを5分以内に添加した。反応混合物を、160℃まで加熱し、160℃で8時間撹拌した。202.0gのオレンジ色の粘性油が得られた。MeODにおけるH-NMRは、カプロラクトンの98.5%の転化を示唆した。
【0231】
実施例3b:EDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
2Lのオートクレーブ中で、101.6gのエチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン(実施例3a)及び1.1gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。464.6gのプロピレンオキシドを、8時間以内に少しずつ添加した。反応を完了するために、その混合物を140℃で更に5時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で2時間真空で除去した。570.0gの淡褐色の油が得られた。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0232】
(実施例4)
HMDA+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
(HMDA+1EO/NH+0.25カプロラクトン/NH+8PO/NH)
【0233】
実施例4a:HMDA+NH官能基1mol当たり1EO
2Lのオートクレーブに、348.6gのヘキサメチレンジアミン及び17.4gの水を充填した。反応器を、窒素で3回パージし、90℃に加熱した。528.6gのエチレンオオキシドを、10時間以内に添加した。反応を完了するために、その反応混合物を90℃で5時間、後反応させた。揮発性化合物を90℃で真空で除去した。ベージュ色のワックス(875.0g)が得られた。CDClにおけるH-NMRは完全な転化を示唆した。
【0234】
実施例4b:HMDA+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン
撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器において、263.2gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1EO(実施例4a)を入れ、80℃に加熱した。102.7gのカプロラクトンを、80℃で一度に添加した。反応混合物を、160℃まで加熱し、160℃で13時間撹拌した。360.0gの褐色の油が得られた。MeODにおける1H-NMRは、カプロラクトンの93%の転化率を示唆した。
【0235】
実施例4c:HMDA+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
2Lのオートクレーブ中で、162.6gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン(実施例4b)及び1.9gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。743.4gのプロピレンオキシドを12時間以内に少しずつ添加した。反応を完了するために、その混合物を140℃で更に5時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で2時間真空で除去した。895.0gの淡褐色の油が得られた。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0236】
(実施例5)
HMDA+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
(HMDA+1EO/NH+0.5カプロラクトン/NH+8PO/NH)
【0237】
実施例5a:HMDA+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン
撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器において、131.6gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1EO(実施例4a)を入れ、70℃に加熱した。102.7gのカプロラクトンを、5分以内に添加した。その反応混合物を、160℃まで加熱し、160℃で8時間撹拌した。227.6gの暗褐色の油が得られた。MeODにおける1H-NMRは、カプロラクトンの94%の転化率を示唆した。
【0238】
実施例5b:HMDA+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
2Lのオートクレーブ中で、134.0gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン(実施例5a)及び1.2gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。478.3gのプロピレンオキシドを、8時間以内に少しずつ添加した。反応を完了するために、その混合物を140℃で更に5時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で2時間真空で除去した。610.0gの淡褐色の油が得られた。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0239】
(実施例6)
PDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
(PDA+1PO/NH+0.25カプロラクトン/NH+8PO/NH)
【0240】
実施例6a:PDA+NH官能基1mol当たり1PO
2Lのオートクレーブに、222.4gの1,3-プロパンジアミン及び11.2gの水を充填した。反応器を、窒素で3回パージし、110℃に加熱した。697.0gのプロピレンオキシドを、10時間以内に添加した。反応を完了するために、その反応混合物を110℃で5時間、後反応させた。揮発性化合物を90℃で真空で除去した。粘性の淡褐色油(919.0g)が得られた。CDClにおけるH-NMRは完全な転化を示唆した。
【0241】
実施例6b:PDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン
撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器において、306.4gの1,3-プロパンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO(実施例6a)を入れ、50℃に加熱した。114.1gのカプロラクトンを、50分以内に添加した。その反応混合物を、160℃まで加熱し、160℃で4時間撹拌した。420gの褐色の粘性油が得られた。MeODにおけるH-NMRは、カプロラクトンの完全な転化を示唆した。
【0242】
実施例6c:PDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
2Lのオートクレーブ中で、168.2gの1,3-プロパンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン(実施例6b)及び1.8gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。743.4gのプロピレンオキシドを、12時間以内に少しずつ添加した。反応を完了するために、その混合物を140℃で更に5時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で2時間真空で除去した。915.0gの淡褐色の油が得られた。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0243】
(実施例7)
N4アミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.33カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
(N4アミン+1PO/NH+0.33カプロラクトン/NH+10.7PO/NH)
【0244】
実施例7a:N4アミン+NH官能基1mol当たり1PO
2Lのオートクレーブに、261.4gのN4アミン(N,N-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン)及び13.0gの水を充填した。反応器を、窒素で3回パージし、110℃に加熱した。522.7gのプロピレンオキシドを、10時間以内に添加した。反応を完了するために、その反応混合物を110℃で5時間、後反応させた。揮発性化合物を90℃で真空で除去した。粘性の淡褐色油(784.0g)が得られた。CDClにおけるH-NMRは、完全な転化を示唆した。
【0245】
実施例7b:N4アミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.33カプロラクトン
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器に、200.0gのN4アミン+NH官能基1mol当たり1PO(実施例7a)を入れ、50℃に加熱した。87.4gのカプロラクトンを、50分以内に添加した。その反応混合物を、160℃まで加熱し、160℃で5時間撹拌した。420gの褐色の粘性油が得られた。MeODにおけるH-NMRは、カプロラクトンの96%の転化率を示唆した。
【0246】
実施例7c:N4アミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.33カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
2Lのオートクレーブ中で、150.2gのN4アミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.33カプロラクトン(実施例7b)及び1.0gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。743.4gのプロピレンオキシドを、12時間以内に少しずつ添加した。反応を完了するために、その混合物を140℃で更に5時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で真空で2時間除去した。900.0gの淡褐色の油が得られた。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0247】
(実施例8)
EDA+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
(EDA+1EO/NH+0.25カプロラクトン/NH+8PO/NH)
【0248】
実施例8a:EDA+NH官能基1mol当たり1EO
2Lのオートクレーブに、199.0gのエチレンジアミン及び9.9gの水を充填した。反応器を、窒素で3回パージし、110℃に加熱した。583.4gのエチレンオオキシドを、12時間以内に添加した。反応を完了するために、その反応混合物を110℃で5時間、後反応させた。揮発性化合物を90℃で真空で除去した。淡色の粘性油(780.0g)が得られた。CDClにおけるH-NMRは、完全な転化を示唆した。
【0249】
実施例8b:EDA+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン
撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器において、141.8gのエチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1EO(実施例8a)を入れ、80℃に加熱した。68.4gのカプロラクトンを、80℃で一度に添加した。その反応混合物を、160℃まで加熱し、160℃で8時間撹拌した。210.0gのオレンジ色の油を得た。MeODにおける1H-NMRは、カプロラクトンの99%の転化率を示唆した。
【0250】
実施例8c:EDA+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン+NH官能基1mol当たり8PO
2Lのオートクレーブ中で、106.9gのエチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1EO+NH官能基1mol当たり0.25カプロラクトン(実施例8b)及び1.4gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。567.4gのプロピレンオキシドを、12時間以内に少しずつ添加した。反応を完了するために、その混合物を140℃で更に5時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で真空で2時間除去した。670.0gの淡褐色の油が得られた。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0251】
(実施例9)
HMDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン+NH官能基1mol当たり2EO+NH官能基1mol当たり8PO
(HMDA+1PO/NH+0.5カプロラクトン/NH+2EO/NH+8PO/OH)
【0252】
2Lのオートクレーブ中で、151.0gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン(実施例2a)及び1.5gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。92.2gのエチレンオキシドを2時間以内に添加した。その反応混合物を、140℃で2時間撹拌し、次いで486.6gのプロピレンオキシドを、10時間以内に添加した。反応を完了させるために、その混合物を140℃で更に5時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で真空で2時間除去した。720.0gの淡褐色の油が得られる。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0253】
(実施例10)
EDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン+NH官能基1mol当たり2EO+NH官能基1mol当たり8PO()
(EDA+1PO/NH+0.5カプロラクトン/NH+2EO/NH+8PO/NH)
【0254】
実施例10a:EDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン
撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器に、251.4gのエチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO(Quadrol L、BASFから購入した)及び0.45gの2-エチルヘキサン酸スズ(II)を入れ、100℃に加熱した。196.3gのカプロラクトンを、5分以内に添加した。その反応混合物を、160℃まで加熱し、160℃で4時間撹拌した。377.0gのオレンジ色の粘性油が得られた。MeODにおけるH-NMRは、カプロラクトンの97.5%の転化率を示唆した。
【0255】
実施例10b:EDA+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン+NH官能基1mol当たり2EO+NH官能基1mol当たり8PO
2Lのオートクレーブ中で、156.2gのエチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO+NH官能基1mol当たり0.5カプロラクトン(実施例10a)及び1.6gのカリウムtertブトキシドを入れ、その混合物を140℃に加熱した。容器を窒素で3回パージした。105.7gのエチレンオキシドを、1.5時間以内に添加した。その反応混合物を、140℃で2時間撹拌し、次いで557.6gのプロピレンオキシドを、12時間以内に添加した。反応を完了させるために、その混合物を140℃で更に10時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で真空で2時間除去した。821.0gの淡褐色の油が得られる。同一性は、CDClにおけるH-NMRによって確認した。
【0256】
以下の比較例を実施し、記載した手順に従って、示した結果が得られた(表5も参照されたい)。
【0257】
比較例1
ポリエチレンイミン、分子量800g/mol、NH官能基1mol当たり20molのエチレンオキシドでエトキシル化
(PEI800+20EO/NH)、国際公開第9532272号に記載のように合成した。
【0258】
比較例1a
ポリエチレンイミン、分子量800g/mol、NH官能基1mol当たり1molのエチレンオキシドでエトキシル化した。
5Lのオートクレーブに、平均分子量800g/molのポリエチレンイミン1943,0g及び水97,0gを充填する。反応器を窒素で3回パージし、110℃に加熱する。1789,0gのエチレンオキシドを、14時間以内に添加する。反応を完了させるために、混合物を5時間後反応させる。水及び揮発性化合物を、90℃で真空で除去する。高粘性の黄色油(3688,0g、含水量:2.6%、pH:11,05(水中5%))が得られる。
【0259】
比較例1b
ポリエチレンイミン、分子量800g/mol、NH官能基1mol当たり20molのエチレンオキシドでエトキシル化
比較例1aと同様の生成物(144,6g、水中92,7%)及び4,34gの水酸化カリウム(水中50%)を、2Lのオートクレーブに入れる。その混合物を、真空(<10mbar)下、120℃まで加熱し、2時間撹拌して、水を除去する。反応器を窒素で3回パージし、混合物を140℃に加熱する。1470,7gのエチレンオキシドを、14時間以内に添加する。反応を完結させるために、混合物を5時間後反応させる。揮発性化合物を真空中で除去する。1615,0gのわずかに褐色の固体が得られた(融点:35,4℃)。
【0260】
比較例2
HMDA+NH官能基1mol当たり8PO
(HMDA+8PO/NH)
【0261】
5Lのオートクレーブに、672.9gのヘキサメチレンジアミン+NH官能基1mol当たり1PO(実施例1aと同様に調製した)及び16.0gの水酸化カリウム(水中50%)を入れた。容器を、窒素で3回パージし、120℃に加熱した。真空を適用し、混合物を、120℃及び<20mbarで2時間脱水した。真空を窒素で除去し、温度を140℃に上昇させた。3089.9gのプロピレンオキシドを35時間以内に添加した。反応を完了させるために、その混合物を140℃で更に10時間後反応させた。反応混合物を、窒素でストリッピングし、揮発性化合物を、90℃で真空で2時間除去した。3370.0gの淡褐色の油が得られた。同一性は、CDCl3において1H-NMRによって確認した。
【0262】
【表5】
【0263】
ある特定の本発明のポリマーの用途及び他の試験結果を示す以下の例では、「ポリマー実施例」及び数に言及するときはいつでも、最終製品、すなわち得られた「アルコキシル化ポリアミン」が利用されていることを意味する。
【0264】
ポリマー生分解性
OECD 301F manometric respirometry法を使用し、廃水中のポリマー生分解を3回試験した。30mg/mLの試験物質をMannheim Wastewater処理プラントから採取した廃水に接種し、密閉フラスコ内にて25℃で28日間にわたりインキュベートする。OxiTopC(WTW)を使用し、この期間中の酸素消費をフラスコ内部の圧力変化として測定する。NaOH溶液を使用し、放出されたCOを吸収する。ブランクを使用した補正後の、試験物質の生分解中の微生物集団により消費された酸素量を、ThOD(理論酸素要求量)の%として表す。
【0265】
OECD 301F試験の28日目での本発明のポリマーの生分解データを、表6に要約する。
【0266】
【表6】
【0267】
洗濯洗剤におけるポリマーの再付着防止性能
以下の液体洗濯洗剤組成物(表7)をベース洗剤として使用し、ポリマーの再付着防止性能を試験した。ポリマーの再付着防止性能を、以下の条件:
3000ppmの粘土(clay)、688ppmのベース洗剤/25℃/1mMの硬度/19.6ppmのポリマー、を使用して試験した。
【0268】
【表7】
蛍光増白剤は、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホネート、又は2,2’-([1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイルジ-2,1-エテンジイル)ビス-ベンゼンスルホン酸ジナトリウム塩である。
3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸メチルエステル[6386-38-5]
Dow Corningは、80-92%エチルメチル、メチル(2-フェニルプロピル)シロキサンの消泡剤ブレンドを供給し、5~14%のステアリン酸オクチル中のMQ樹脂、3~7%の変性シリカ。
【0269】
試験準備:
白色度の有益性試験のために以下の布地を提供する。
・NAポリエステル:Empirical Manufacturing Company(Cincinnati,OH)から入手可能なPW19、
・綿メリヤス1:試験布地、Inc 403綿両面編みニットチューブラ
CW120、Empirical Manufacturing Company(Cincinnati,OH,USA)から入手可能。
・ポリコットン
【0270】
「洗浄かつFE処理された」布地を以下の方法により調製した:400gの布地を、18.6gのAriel(商標)コンパクト粉末洗剤を使用し、60℃にて短期プログラム(45分の洗浄サイクル、続いて3回のすすぎサイクル、プログラム合計で90分間)を使用し、60℃で洗剤を使用せずに短期プログラムを使用して2回、続いて40℃で8.2gのLenor(商標)の濃縮液(柔軟剤)を使用し、各主洗浄に加えて3回、WE Miniwasher Electrolux EWC1350(3.5リットルの水)で洗浄する。次に、乾燥するまで過度に乾燥した状態の乾燥機を使用し、布地を乾燥させた。
【0271】
「洗浄された」布地を以下の方法により調製した:400gの布地を、18.6gのAriel(商標)コンパクト粉末洗剤を使用し、60℃にて短期プログラム(45分の洗浄サイクル、続いて3回のすすぎサイクル、プログラム合計で90分間)を使用し、60℃で洗剤を使用せずに短期プログラムを使用して2回、WE Miniwasher Electrolux EWC1350(3.5リットルの水)で洗浄する。次に、乾燥するまで過度に乾燥した状態の乾燥機を使用し、布地を乾燥させた。
【0272】
試験方法
4つの布地サンプル:洗浄したポリコットン、洗浄した綿メリヤス、洗浄かつFE処理したNAポリエステル、洗浄かつFE処理した綿メリヤス。
【0273】
磁気軸受を使用する洗浄システムを模した96ウェルプレートに各サンプルを入れ、以下の条件により典型的なフルスケールの洗濯機のかき混ぜをシミュレートする:750ppmの洗剤濃度、1ウェルあたり150μLの水、25℃、1.0mMの水硬度(Ca+2:Mg+2モル比が2:1)、8.3の洗浄pH、3000ppmのArizona試験用ダスト(PTIにより供給、Powder Technology Inc)。
【0274】
各布地を60分間洗浄し、周囲条件下で暗所にて乾燥させる。各洗浄条件について、2つの96ウェルプレート、及び96ウェルプレートあたり、8つの内部再現物(洗浄条件につき全部で16個の内部再現物)が存在する。
【0275】
サンプルが乾燥している場合、Spectrolino撮像システム(Gretag Macbeth,Spectro Scan3.273)を使用して、各96ウェルプレートスポットでL、a、b、及びCIE WIを測定する。各処理について、平均CIE WIを決定する。以下の表に報告されるようにデルタ CIE WIは、試験ポリマーなしの対照サンプルの平均CIE WIに対するサンプルの平均CIE WIの差である。
【0276】
白色度指数については、CIE白色度指数の式を使用し、デルタWIを以下の通り計算した:物質のデルタWI=WI技術-WI技術なし。
【0277】
結果を表8に示すが、本発明のポリマーは明確な再付着防止性能を提供することができる。
【0278】
【表8】
【0279】
洗濯洗剤のポリマー洗浄性能
洗濯洗剤のポリマー洗浄性能を、表7に記載の配合で実施し、単回洗浄サイクル性能の洗浄条件を以下のように要約することができる:
機械:Launder-o-meter
洗浄液 500mL
洗浄時間:30分
洗浄温度25℃
洗剤濃度0.688g/L
水硬度1mmol/L(Ca:Mg):HCO3(4:1):8
バラスト:白色の綿布地(CFT製の綿両面編みニットチューブラ)7×21cm
汚れた布地:CFTからのPC-S 94、WFK 20D、PC-S 132
1サイクル後、汚れた布地を2回水ですすぎ、続いて手短にスピン乾燥し、室温で12時間の期間にわたって乾燥させた。
【0280】
異なる汚れの一次洗浄力を評価するため、ASTM D4265による汚れ除去指数(soil removal index:SRI)式を使用して、洗浄前及び洗浄後のそれぞれの汚れた布地を判定した。Spectrolino撮像システム(GretagMacbeth,Spectro Scan 3.273)を使用した洗浄前及び洗浄後の両方のそれぞれの布地の反射率値を得るために、洗浄前及び洗浄後にそれぞれ、6つの異なる測定点の平均を取得した。より高いデルタ反射率値は、より良好な一次洗浄力を示す。
【0281】
ASTM D4265-14:家庭洗濯における染み除去性能の評価
染み除去指数=SRI
SRI=100×(((デルタE(洗浄前-汚れていない)-デルタE(洗浄後-汚れていない))/デルタE(洗浄前-汚れていない)))
デルタE=((デルタL+(デルタa+(デルタb1/2
平均デルタSRI=(合計デルタSRI全ての染み)/染みの数
【0282】
本発明のポリマーの洗浄性能を、表9に要約する。本発明のポリマーは、染み除去、特に皮脂を含有する染み(PCS94、WFK20D、及びPCS132)に関して明確な改善を提供することができる。
【0283】
【表9】
【0284】
ポリマー白色度性能
白色度保持とも呼ばれる白色度維持は、汚れの存在下で洗浄されたときに白色物品の白色度が失われるのを防ぐ洗剤の能力である。白い衣類は、汚れた衣類から汚れが除去され、洗浄水中に懸濁し、その後、これらの汚れが衣類に再付着し得るときに、経時的に汚れて/くすんで見える場合があるので、衣類は洗浄されるたびに白色が失われる。
【0285】
本開示のポリマーの白色度の利点は、洗濯配合試験について10ポットを有する自動ターゴトメータを使用して評価される。
【0286】
消費者の汚れレベル(身体汚れ、食物、汚物などの混合物)をシミュレートするために、WFK Testgewebe GmbHによって供給されるSBL2004試験汚れストリップを使用する。平均して、1つのSBL2004ストリップごとに8gの汚れをロードする。SBL2004試験汚れストリップを、試験で使用するために5×5cmの正方形に切断した。
【0287】
更に、Black Todd粘土(clay)を使用して系に更に応力を加える。洗浄溶液1L当たり0.25gの粘土(clay)を添加する。クレーは、Warwick Equest Ltd.によって供給される。
【0288】
WFK Testgewebe GmbHから購入した以下の表10の白色布地見本を白色度トレーサとして使用する。
【0289】
【表10】
【0290】
追加のバラスト(バックグラウンド布地見本)もまた、布の荷重をシミュレートし、実際の洗濯プロセス中の機械的エネルギーを提供するために使用される。バラスト負荷は、5×5cmのサイズで綿及びポリコットンニットの見本からなる。
【0291】
試験を完了するためには、4回の洗浄サイクルが必要である。
サイクル1:各ターゴトメータのポート内で1Lの水(規定の硬度)と混合することによって、所望の量の洗剤を完全に溶解させる。また、この時点で、0.25gのBlack Todd粘土(clay)を添加する。白色度トレーサを含む60グラムの布地(4種類、4回ずつ測定)、10ピースの5×5cmのSBL2004、及びバラストを、定義された条件下でターゴトメータのポット内で洗浄し、すすぐ。
水溶性単位用量組成物の試験では、洗浄濃度は2000ppmである。洗浄温度は30℃であり、水硬度は7gpgである。
サイクル2:次いで、サイクル1のプロセスの後、各ポットの白色度トレーサ及びバラストを新しいセットのSBL2004(5×5cm、10片)とともに再度洗浄し、すすぐ。全ての他の条件は、サイクル1と同じままである。
サイクル3:次いで、サイクル1のプロセスの後、各ポットの白色度トレーサ及びバラストを新しいセットのSBL2004(5×5cm、10片)とともに再度洗浄し、すすぐ。全ての他の条件は、サイクル1と同じままである。
サイクル4:次いで、サイクル1のプロセスの後、各ポートの白色度トレーサ及びバラストを、新しいセットのSBL2004(5×5cm、10ピース)とともに再度洗浄し、すすぐ。全ての他の条件は、サイクル1と同じままである。
【0292】
サイクル4の後、全ての白色度トレーサ及びバラストを、乾燥するまで、平干し乾燥させ、次いで、トレーサをコニカミノルタCM-3610D分光光度計を使用して測定する。白色度指数(WI(CIE))は、コニカミノルタのレポートの一部である。
【0293】
列挙した成分(表11)を混合することにより、当業者に既知の従来の手段によって以下の液体洗剤組成物E及びFを調製する。
【0294】
参照組成物Eと試験組成物Fの白色度性能を直接比較することでポリマーの白色度性能を評価する方法による、発明のポリマー及び比較ポリマーの白色度維持を評価する。組成物Eに対する組成物FのΔWI(CIE)を、ポリマー白色度性能の利点の指標として下の表11に報告する。本発明のポリマーは、白色度に関する明確な利点を提供することができる。
【0295】
【表11】
【0296】
【表12】
【0297】
食器手洗い洗剤におけるポリマー泡持続性性能
食器手洗い組成物の泡持続性を評価するために以下の方法を使用し、洗浄ポリマー泡持続性性能を評価した。
泡持続性指数試験の目的は、周期的な汚れ注入の影響下にある間の、指定の水硬度、溶液温度、及び配合物濃度における異なる試験配合物について発生した泡体積の経時的発達を比較することである。データを比較し、参照組成物に対する泡持続性指数として表す(参照組成物は泡持続性指数100を有する)。方法の工程は、以下の通りである。
1)標的とする組成物濃度(0.12重量%)に応じ、規定量の試験組成物を、4barの一定圧力で4Lまでシンクを満たしている水流(水硬度:2gpg、水温:35℃)へと、シンク底面(寸法:直径300mm及び高さ288mm)の上方37cmの高さで、0.67mL/秒の流量でプラスチック製ピペットを通して分注する。
2)発生した初期泡体積(平均泡高さ×シンクの表面積として測定し、cmで表す)を充填終了直後に記録する。
3)固定量(6mL)の汚れを、シンクの中央に直ちに注入する。
4)85RPMで20回回転する、45度の角度で気液界面においてシンクの中央に位置する金属ブレード(10cm×5cm)を用いて、得られた溶液を混合する。
5)合計泡体積の別の測定値を、ブレードの回転終了直後に記録する。
6)測定された合計泡体積が400cmの最低レベルに達するまで工程3~5を繰り返す。400cmのレベルに達するのに必要な汚れの添加量を、試験組成物の泡持続性とみなす。
7)各試験組成物を、試験条件(すなわち、水温、組成物濃度、水硬度、汚れの種類)につき4回試験する。
8)サンプルごとに4回繰り返した平均として、平均泡持続性を計算する。
9)参照組成物サンプルに対して試験組成物サンプルの平均持続性を比較することによって、泡持続性指数を計算する。計算は、以下の通りである:
【0298】
【数1】
【0299】
表13に記載した成分の標準的な混合によって、汚れ組成物を製造する。
【0300】
【表13】
【0301】
食器手洗い洗剤におけるポリマー性能
列挙する成分を混合することにより、当業者に既知の従来の手段によって以下の食器手洗い洗剤組成物を調製する。泡持続性(suds mileage)に対する本発明のポリマーの影響を、表14の配合物A(参照)及びB(本発明のポリマーを有する参照)の泡持続性を比較することで評価する。以下に記載した食器手洗い組成物の泡持続性を評価するための方法を使用し、泡持続性性能を評価し、泡持続性指数を表15に報告する。
【0302】
【表14】
22℃の脱塩水中の10w/w%生成物希釈として測定した。
【0303】
表15に示したように、本発明のポリマーは明確な泡持続性利点を提供することができる。
【0304】
【表15】