(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】遠隔操作型水中移動体、及び、遠隔操作型水中移動体に搭載された投影装置の冷却方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/00 20060101AFI20241218BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20241218BHJP
G03B 21/16 20060101ALI20241218BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20241218BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20241218BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G03B21/00 D
G03B21/14 A
G03B21/16
H04N5/74 D
H04N5/74 Z
B63C11/00 B
B63C11/48 D
(21)【出願番号】P 2021048063
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹室 岳
【審査官】武田 知晋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0078409(US,A1)
【文献】特開2019-009762(JP,A)
【文献】特開昭62-019914(JP,A)
【文献】特開2011-203597(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103424964(CN,A)
【文献】特開2010-143238(JP,A)
【文献】国際公開第2014/060564(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0367770(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109104597(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00
G03B 21/14
G03B 21/16
H04N 5/74
B63C 11/00
B63C 11/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影映像を外部の投影面に表示する投影装置と、前記投影映像を補正する投影映像補正部と、前記投影装置に使用する光源と、前記光源の熱を放熱させる放熱機構と、前記光源を冷却するための流水管と、を内蔵し、前記流水管を貫通させた防水機能を備えるフレーム体を有し、
前記投影映像補正部は、前記フレーム体が前記流水管の管軸方向の移動により前記投影映像が拡大若しくは縮小、又は、変形する場合において、前記投影装置から前記投影面までの距離及び前記投影面と当該投影面に照射する光の光軸との角度に応じて、前記投影面で所定の大きさ及び形状となるように前記投影映像を補正する遠隔操作型水中移動体。
【請求項2】
投影映像を外部の投影面に表示する投影装置と、前記投影装置に使用する光源と、前記光源の熱を放熱させる放熱機構と、前記光源を冷却するための流水管と、を内蔵し、前記流水管を貫通させた防水機能を備えるフレーム体と、
前記投影面に表示された投影映像を撮影映像として撮影する撮影カメラと、
前記投影装置の所定個所の温度を測定する温度センサと、
前記投影装置から前記投影面までの距離を測定する距離センサと、
前記温度センサで測定した温度が所定の閾値を越えたときに、前記流水管の管軸の前後方向に沿って交互に推力を発生させる移動制御部と、
前記距離センサで測定した距離に基づいて、前記投影映像が前記投影面に合焦するように前記投影装置を制御するフォーカス制御部と、
前記撮影カメラで撮影された撮影映像のサイズ及びアスペクト比が所望の値となるように、前記投影映像を補正する投影映像補正部と、
を備える遠隔操作型水中移動体。
【請求項3】
前記投影映像補正部は、移動時に撮影された台形状の撮影映像のうち、水平状態で撮影された四角形状の撮影映像に重なる最大矩形領域を求め、前記四角形状の撮影映像で前記最大矩形領域以外の余剰領域を求め、前記余剰領域が前記投影映像から除去され、かつ、除去後の当該投影映像が前記四角形状の撮影映像のサイズに応じてズームするように前記投影映像を補正する請求項2に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項4】
前記光源が発光する光に含まれる青色光を分光する分光手段を備え、
前記距離センサは、前記分光手段で分光された青色光を投射面に発光して前記投影装置から前記投射面までの距離を検出する請求項2又は請求項3に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項5】
前記フレーム体は、水中用スクリュー及び前記水中用スクリューを支持する支持アームを外周部に備える請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項6】
前記水中用スクリューは、当該遠隔操作型水中移動体の前進、後進又は左右回転を行う第1駆動スクリューと、当該遠隔操作型水中移動体の上下方向の移動を行う第2駆動スクリューとを備える請求項5に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項7】
前記支持アームは、前記水中用スクリューの回転軸を、当該回転軸に対して垂直な軸で回転させる回転機構を備える請求項5に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項8】
前記投影装置は、前記光源から送られてくる光を映像となるように変調する空間光変調器と、前記空間光変調器からの光を前記投影面に送る投射レンズとを備え、
前記フレーム体は、水中用スクリュー及び前記水中用スクリューを支持する支持アームを外周部に設けると共に、前記投影装置と前記光源と前記放熱機構とを内部に備え、
前記流水管は、前記投影装置の投影方向に前記フレーム体を貫通して前記光源を冷却するように形成され、
前記放熱機構は、前記光源からの光を前記空間光変調器に送るロッドレンズを備える請求項2に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項9】
前記投影装置は、前記放熱機構の中央を貫通するように設けられ前記光源からの光を送るロッドレンズと、前記ロッドレンズからの光を変調する空間光変調器と、前記空間光変調器で変調され前記投影映像となる光を投影面に送る投射レンズと、前記投射レンズの位置を光軸に沿って移動させてフォーカスを調整するレンズ調整機構とを備える請求項1又は請求項2に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項10】
前記空間光変調器は、反射鏡を整列させてその反射鏡の角度を映像に合わせて制御するデジタルマイクロミラーディバイスである請求項9に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項11】
前記空間光変調器は、反射型又は透過型液晶素子である請求項9に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項12】
前記フレーム体は、左右方向の中心を基準として、左右いずれか一方に前後方向に貫通した前記流水管を有し、他方に前後方向に貫通した第2の流水管を有する請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の遠隔操作型水中移動体。
【請求項13】
投影映像を外部の投影面に表示する投影装置と、前記投影映像を補正する投影映像補正部と、前記投影装置に使用する光源と、前記光源の熱を放熱させる放熱機構と、前記光源を冷却するための流水管とをフレーム体に内蔵し、前記流水管が前記フレーム体に貫通して設けられ、前記投影面に表示された投影映像を撮影映像として撮影する撮影カメラと、前記光源の温度を測定する温度センサと、前記投影面までの距離を測定する距離センサと、を備える防水機能を有する遠隔操作型水中移動体に搭載された投影装置の冷却方法であって、
移動制御部が、前記温度センサで測定した温度が所定の閾値を越えたときに、前記流水管の管軸方向に沿って前記遠隔操作型水中移動体を移動させ、
フォーカス制御部が、前記距離センサで測定した距離に基づいて、前記投影映像が前記投影面に合焦するように前記投影装置を制御し、
前記投影映像補正部が、前記撮影カメラで撮影された撮影映像のサイズ及びアスペクト比が所望の値となるように、前記投影映像を補正する遠隔操作型水中移動体に搭載された投影装置の冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔操作型水中移動体、及び、遠隔操作型水中移動体に搭載された投影装置の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水中で映像を壁面等に映写する水中プロジェクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この水中プロジェクタは、プロジェクタ本体を防水筐体内に配置し、プロジェクタ本体の外面に沿って配置した、内部に冷却水路を形成した熱交換器と、冷却水路と水中プロジェクタ外部との間で水を循環させるウォーターポンプとを備える構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記した水中プロジェクタは、熱交換器とウォーターポンプとを備えるため、装置全体が大きくなるとともに、重くなってしまうおそれがある。
そこで、本開示に係る実施形態は、水中移動において遠隔操作で投影装置の正確な投影が可能な遠隔操作型水中移動体、および、遠隔操作型水中移動体に搭載された投影装置の冷却方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る遠隔操作型水中移動体は、投影映像を外部の投影面に表示する投影装置と、前記投影映像を補正する投影映像補正部と、前記投影装置に使用する光源と、前記光源の熱を放熱させる放熱機構と、前記光源を冷却するための流水管と、を内蔵し、前記流水管を貫通させた防水機能を備えるフレーム体を有し、前記投影映像補正部は、前記フレーム体が前記流水管の管軸方向の移動により前記投影映像が拡大若しくは縮小、又は、変形する場合において、前記投影装置から前記投影面までの距離及び前記投影面と当該投影面に照射する光の光軸との角度に応じて、前記投影面で所定の大きさ及び形状となるように前記投影映像を補正するように構成した。
【0006】
また、本発明の一実施形態に係る遠隔操作型水中移動体は、投影映像を外部の投影面に表示する投影装置と、前記投影装置に使用する光源と、前記光源の熱を放熱させる放熱機構と、前記光源を冷却するための流水管と、を内蔵し、前記流水管を貫通させた防水機能を備えるフレーム体と、前記投影面に表示された投影映像を撮影映像として撮影する撮影カメラと、前記投影装置の所定個所の温度を測定する温度センサと、前記投影装置から前記投影面までの距離を測定する距離センサと、前記温度センサで測定した温度が所定の閾値を越えたときに、前記流水管の管軸の前後方向に沿って交互に推力を発生させる移動制御部と、前記距離センサで測定した距離に基づいて、前記投影映像が前記投影面に合焦するように前記投影装置を制御するフォーカス制御部と、前記撮影カメラで撮影された撮影映像のサイズ及びアスペクト比が所望の値となるように、前記投影映像を補正する投影映像補正部と、を備える構成とした。
【0007】
また、本発明の一実施形態に係る遠隔操作型水中移動体に搭載された投影装置の冷却方法は、投影映像を外部の投影面に表示する投影装置と、前記投影映像を補正する投影映像補正部と、前記投影装置に使用する光源と、前記光源の熱を放熱させる放熱機構と、前記光源を冷却するための流水管とをフレーム体に内蔵し、前記流水管が前記フレーム体に貫通して設けられ、前記投影面に表示された投影映像を撮影映像として撮影する撮影カメラと、前記光源の温度を測定する温度センサと、前記投影面までの距離を測定する距離センサと、を備える防水機能を有する遠隔操作型水中移動体に搭載された投影装置の冷却方法であって、移動制御部が、前記温度センサで測定した温度が所定の閾値を越えたときに、前記流水管の管軸方向に沿って前記遠隔操作型水中移動体を移動させ、フォーカス制御部が、前記距離センサで測定した距離に基づいて、前記投影映像が前記投影面に合焦するように前記投影装置を制御し、前記投影映像補正部が、前記撮影カメラで撮影された撮影映像のサイズ及びアスペクト比が所望の値となるように、前記投影映像を補正する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係る遠隔操作型水中移動体、及び、遠隔操作型水中移動体に搭載された投影装置の冷却方法によれば、水中の所望の位置で映像を投射するとともに、投影装置を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る水中ドローン(遠隔操作型水中移動体)のフレーム体を透視した斜視図である。
【
図2】
図1の水中ドローンの流水管を貫通させた光源及び放熱機構の断面図である。
【
図3】
図1の水中ドローンの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1の水中ドローンで水槽内の壁面に映像を投影する様子を説明する説明図である。
【
図5】
図4で投影した映像を水槽外で観察する様子を説明する説明図である。
【
図6】水中ドローンが水平のときの投影映像を説明する説明図である。
【
図7】水中ドローンが前傾しているときの投影映像を説明する説明図である。
【
図8】水中ドローンの姿勢と、投影前の投影映像と、投影後の投影映像と、撮影カメラの撮影映像との関係を説明する説明図である。
【
図9A】歪みのない投影映像が含まれる撮影映像を説明する説明図である。
【
図9B】歪みのある投影映像が含まれる撮影映像を説明する説明図である。
【
図9D】投影映像のズームを説明する説明図である。
【
図10】水中ドローンが前傾しているときの補正後の投影映像の説明図である。
【
図11】水中ドローンが投影装置を冷却する動作を示すフローチャートである。
【
図12】水中ドローンが投影映像を補正する動作を示すフローチャートである。
【
図13】本開示の他の実施形態に係る水中ドローンのフレーム体を透視した斜視図である。
【
図14A】本開示の他の実施形態に係る水中ドローンの水中スクリューの上面図である。
【
図14B】本開示の他の実施形態に係る水中ドローンの水中スクリューの側面図である。
【
図14C】本開示の他の実施形態に係る水中ドローンの水中スクリューの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0011】
なお、以下の説明では、
図1の投影装置20の投影方向を水中ドローン1の前進方向とし、この前進方向の反対方向を水中ドローン1の後退方向とする。
図1は、本開示の実施形態に係る水中ドローン(遠隔操作型水中移動体)のフレーム体を透視した斜視図である。
図2は、
図1の水中ドローンの流水管を貫通させた光源及び放熱機構の断面図である。
図3は、
図1の水中ドローンの機能構成を示すブロック図である。
図4は、
図1の水中ドローンで水槽内の壁面に映像を投影する様子を説明する説明図である。
図5は、
図4で投影した映像を水槽外で観察する様子を説明する説明図である。
【0012】
<水中ドローンの構造>
図1乃至
図3に示すように、水中ドローン(遠隔操作型水中移動体)1は、投影映像を外部の投影面に表示する投影装置20と、投影映像を補正する投影映像補正部150と、投影装置20に使用する光源30と、光源30の熱を放熱させる放熱機構40と、光源30を冷却するための流水管50と、を内蔵し、流水管50を貫通させた防水機能を備えるフレーム体10を有し、投影映像補正部150は、フレーム体10が流水管50の管軸方向の移動により投影映像が拡大若しくは縮小、又は、変形する場合において、投影装置20から投影面までの距離及び投影面と当該投影面に照射する光の光軸との角度に応じて、投影面で所定の大きさ及び形状となるように投影映像を補正するものである。
【0013】
つまり、水中ドローン1は、投影装置20で映像を投影する水中で遠隔操作により移動可能なドローンである。水中ドローン1は、投影装置20で使用する光源30が所定温度まで昇温した場合、流水管50に水の流れを作るために、例えば前進方向及び後退方向に移動(往復)する。さらに、水中ドローン1は、移動時において、投影映像が台形に歪まないように投影映像を補正する。
例えば、水中ドローン1は、
図4に示すように、水槽200の中で水中を移動し、水槽200の壁面Wに投影映像Pを投影することで、外部の観察者Hが投影映像Pを視認する。
図5に示すように、
図4に示されている外部の観察者Hが視認する、水槽200の壁面Wに投影された投影映像Pを示す。本実施例では、投影映像Pは魚が遊泳している映像の例を示している。このように、水中ドローン1は、水槽200内に任意の映像を表示することができる。これによって、水中ドローン1は、観察者Hに対して、あたかも水槽200内で魚が遊泳しているかのような映像を提示することができる。
【0014】
ここで、水中ドローン1は、主として、投影装置20と、光源30と、放熱機構40と、距離センサ60と、温度センサ70と、撮影カメラ80と、制御部100とを内部に備えたフレーム体10と、スクリュー90とを備える。
投影装置20は、光源30から送られてくる光を映像となるように変調する空間光変調器21と、空間光変調器21からの光を投影面に送る投射レンズ22と、を備えていてもよい。フレーム体10は、水中用スクリュー90及び水中用スクリュー90を支持する支持アーム91を外周部に設けると共に、投影装置20と光源30と放熱機構40とを内部に備えていてもよい。流水管50は、投影装置20の投影方向にフレーム体10を貫通して光源30を冷却するように形成される。放熱機構40は、光源30からの光を空間光変調器21に送るロッドレンズ43を備えていてもよい。これにより、水中ドローン1は、水中の所望の位置で映像を投射すると共に、投影装置20を冷却することができる。
【0015】
フレーム体10は、水中ドローン1の骨格となる部材であり、例えば、カーボン、ナイロン、あるいは、アルミニウム等の金属、ポリウレタン、デルリン等の樹脂等の素材によって防水機能を有する。
フレーム体10は、水中ドローン1の進行方向(前進方向又は後退方向)と管軸の向きとが同じになるように、流水管50が内部を貫通している。フレーム体10は、水中ドローン1の前進方向に向けて距離センサ60及び撮影カメラ80が配置されている。なお、
図1では、フレーム体10の内側が見えるように天井板(天板)13を二点鎖線で図示した。
フレーム体10は、スクリュー(水中用スクリュー)90及びスクリューを支持する支持アーム91を外周部に備える。
【0016】
スクリュー90は、フレーム体10の左右に、水中ドローン1の前進、後進又は左右回転を行う第1駆動スクリュー90R1,90L1と、水中ドローン1の上下方向の移動を行う第2駆動スクリュー90R2,90L2とを備える。スクリュー90は、フレーム体10内部の制御部100からの駆動信号によって駆動する。スクリュー90は、駆動信号で指示される回転方向に応じて水中ドローン1に推力を発生させる。スクリュー90は、正回転と逆回転とで推力の方向が反転する。
【0017】
第1駆動スクリュー90R1,90L1は、水中ドローン1に対して、前進方向、後進方向又は左右回転方向の推力を発生させるものである。ここでは、第1駆動スクリュー90R1,90L1は、フレーム体10の左右に1組備えられている。
第1駆動スクリュー90R1,90L1は、共に正回転を行うことで前進方向の推力を発生させる。これによって、水中ドローン1は、前進方向に移動する。また、第1駆動スクリュー90R1,90L1は、共に逆回転を行うことで後進方向の推力を発生させる。これによって、水中ドローン1は、後進方向に移動する。
また、第1駆動スクリュー90R1,90L1は、それぞれ異なる方向に回転することで左右回転方向の推力を発生させる。例えば、第1駆動スクリュー90R1が正回転、第1駆動スクリュー90L1が逆回転を行うこと左回転方向の推力を発生させる。これによって、水中ドローン1は、左方向に回転する。また、第1駆動スクリュー90R1が逆回転、第1駆動スクリュー90L1が正回転を行うこと右回転方向の推力を発生させる。これによって、水中ドローン1は、右方向に回転する。
【0018】
第2駆動スクリュー90R2,90L2は、水中ドローン1に対して、上下方向の推力を発生させるものである。ここでは、第2駆動スクリュー90R2,90L2は、フレーム体10の左右に2組備えられている。
第2駆動スクリュー90R2,90L2は、共に正回転を行うことで上方向の推力を発生させる。これによって、水中ドローン1は、上方向に移動する。また、第2駆動スクリュー90R2,90L2は、共に逆回転を行うことで下方向の推力を発生させる。これによって、水中ドローン1は、下方向に移動する。また、第2駆動スクリュー90R2,90L2は、左右で異なる方向に回転を行うことで、左右の傾きを発生させたり、傾きを補正したりすることができる。
なお、第1駆動スクリュー90R1,90L1と第2駆動スクリュー90R2,90L2とでは、水の流れの影響を抑えるため、支持アーム91の長さが異なることが好ましい。
【0019】
投影装置20は、映像を投影するものである。投影装置20は、光源30から送られてくる光を映像となるように変調する空間光変調器21と、空間光変調器21からの光を投影面に投射する投射レンズ22と、レンズ調整機構23とを備える。
空間光変調器21は、光源30から送られてくる光を映像となるように変調するものであり、例えば、デジタルマイクロミラーディバイス(DMD:Digital Micromirror Device)である。このDMDは、可動式の微小な反射鏡が2次元方向に整列しており、制御部100からの制御信号に基づいての反射鏡の角度を映像に合わせて駆動する。
なお、空間光変調器21は、反射型又は透過型のいずれの液晶素子で構成することもできる。空間光変調器21として反射型液晶素子を用いる場合、光源30から送られてくる光を、ビームスプリッタを介して空間光変調器21に照射し、空間光変調器21の映像光を、出射すればよい。また、空間光変調器21として透過型液晶素子を用いる場合、光源30の光路上に空間光変調器21の背面から光を照射させ、空間光変調器21から映像光を出射させればよい。
【0020】
投射レンズ22は、空間光変調器21からの光を投影面に送る(投射する)ものであり、例えば、単レンズ又はレンズ群である。また、投射レンズ22は、対物レンズ面の一部をフレーム体10から露出させるように設置している。
レンズ調整機構23は、投射レンズ22の位置を光軸に沿って移動させてフォーカスを調整すると共に、映像のズームを調整するものである。
【0021】
光源30は、投影装置20が映像を投影するための光を発光するものである。例えば、光源30は、投影装置20に光を出射する半導体レーザ31をパッケージ化したレーザ光源モジュールである。この光源30は、LEDを用いたLED光源モジュールであってもよい。
【0022】
放熱機構40は、流水管50と直交するように左右方向に設置されている。
また、放熱機構40は、光源30から伝わった熱を放熱できるように、一端が光源30に接着している。例えば、放熱機構40は、2本のヒートパイプ41と、ヒートシンク42とを備える。
【0023】
ヒートパイプ41は、左右方向に所定長さで形成された棒状部材を中央で折り返してU字状に形成されている。ヒートパイプ41は、U字状の直線部分がヒートシンク42に接触し、中央の部分が光源30の裏面側に接触しており、光源30の熱をヒートシンク42に伝える。
【0024】
ヒートシンク42は、ヒートパイプ41から伝わる光源30の熱を放熱する部材であり、上下2段に形成されている。そして、ヒートシンク42は、上段側の凹部及び下段側の凹部のそれぞれにヒートパイプ41が配置されている。例えば、ヒートシンク42は、表面積を広くして効率よく放熱できるように、一定間隔で配列された薄板で構成されている。ヒートパイプ41及びヒートシンク42には、アルミニウム、銅といった熱伝導率が高い素材を用いることが好ましい。
【0025】
さらに、放熱機構40には、光源30(半導体レーザ31)からの光を空間光変調器21に到達させるため、ロッドレンズ43が設置されている。
ロッドレンズ43は、光源30からの不均一な輝度分布を持った光を、均一な輝度分布の照明とするガラスロッドレンズである。
【0026】
流水管50は、水中ドローン1の前進方向又は後退方向の移動に伴って、管軸方向に水の流れを発生させるように、前方から後方にフレーム体10を貫通して形成されている。
さらに、流水管50は、管中の流水によって光源30を冷却するため、光源30の発光個所に接するように、配置される。例えば、
図2に示すように、流水管50は、光源30と放熱機構40とが接する個所を貫通するように形成することができる。流水管50には、流水によって熱を冷ますため、アルミニウム、銅といった熱伝導率が高い素材を用いることが好ましい。
【0027】
流水管50は、水中ドローン1が前進方向に移動することで、管内に前方から後方の水の流れαが発生し、光源30の熱を放出させる。また、流水管50は、水中ドローン1が後退方向に移動することで、管内に後方から前方への水の流れ(αと逆)が発生し、光源30の熱を放出させる。
なお、流水管50は、効率よく光源30を冷却するため、半導体レーザ31をパッケージ化したレーザ光源モジュールを貫通して形成されている。
流水管50は、フレーム体10を貫通させて構成することで、光源30を冷却するとともに、放熱機構40から発する熱を冷ます機能も有する。
【0028】
距離センサ60は、水中ドローン1から投影面(例えば、壁面)までの距離を測定し、測定した距離を制御部100に出力するものである。例えば、距離センサ60は、LiDAR(Light Detection And Ranging)方式により距離を測定する。
ここでは、距離センサ60は、分光手段61、光路変更手段62、ハーフミラー63及び光検出部64を備えている。
【0029】
分光手段61は、光源30が発光する光に含まれる青色光(青色レーザ光)を分光するものである。分光手段61は、例えば、ダイクロビームスプリッタを用いることができる。分光手段61は、光源30が発光する光の光路上に配置され、青色光を分岐させる。分光手段61は、分岐した青色光を光路変更手段62に照射する。
【0030】
光路変更手段62は、分光手段61で分岐された青色光の光路を水中ドローン1の前方方向に変更するものである。光路変更手段62は、一般的なミラー等で構成することができる。光路変更手段62は、前方方向に配置されたハーフミラー63に青色光を照射する。
【0031】
ハーフミラー63は、一方の面に入射した光を反射し、他方の面に入射した光を透過するものである。ハーフミラー63は、光路変更手段62から照射された青色光を、開口窓65を介して、水中ドローン1の前方方向に照射する。また、ハーフミラー63は、前方方向に照射した青色光の反射光を、開口窓65を介して受光し、光検出部64の方向に反射する。なお、開口窓65はガラス等の透明部材で構成されている。
【0032】
光検出部64は、光を検出するものである。例えば、光検出部64は、フォトダイオードを備えて構成することができる。
光検出部64は、光源30から発光する光と検出される光の時間差により距離を測定する。光検出部64は、定期的に光源30から光を発光させて距離を測定する。光検出部64は、測定した距離を制御部100に出力する。
【0033】
温度センサ70は、光源30の温度を測定し、測定した温度を制御部100に出力するものである。また、温度センサ70は、光源30(レーザ光源モジュール)の予め定めた温度検出ポイントに配置されている。例えば、温度センサ70としては、サーミスタ、熱電対又は白金測温抵抗体がある。
【0034】
撮影カメラ80は、投影装置20により投影面に表示された投影映像を撮影映像として撮影し、撮影映像を制御部100に出力するものである。また、撮影カメラ80は、投影装置20の投影映像の全範囲が撮影映像に収まるように、撮影画角が投影装置20の投影画角よりも十分に広くなっている。例えば、撮影カメラ80としては、小型のCCD(Charged Coupled Devices)カメラがある。
【0035】
(制御部の構成)
図3を参照し、制御部100の構成を詳細に説明する。
図3に示すように、制御部100は、メモリ110と、操作信号受信部120と、移動制御部130と、フォーカス制御部140と、投影映像補正部150とを備える。
【0036】
メモリ110は、水中ドローン1が必要とする各種情報を記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置である。例えば、メモリ110は、水中ドローン1が外部に投影する投影映像を記憶する。このメモリ110は、後記する移動制御部130、フォーカス制御部140及び投影映像補正部150によって参照される。
【0037】
操作信号受信部120は、無線通信により、水中ドローン1を移動させる操作信号を送信機(不図示)から受信し、受信した操作信号を移動制御部130に出力するものである。例えば、水中ドローン1の移動操作としては、水中ドローン1を上昇又は下降させるスロットル、水中ドローン1を前進又は後退させるエレベータ、水中ドローン1を左右に移動させるエルロン、及び、水中ドローン1を時計回り又は反時計回りに回転させるラダーがある。
また、操作信号受信部120は、無線通信により、投影装置20を操作する操作信号を送信機から受信し、受信した操作信号をフォーカス制御部140に出力する。例えば、投影装置20の操作としては、撮影の開始及び終了がある。
【0038】
移動制御部130は、操作信号受信部120から入力された操作信号に基づいて、水中ドローン1の移動を制御するものである。水中ドローン1は、各スクリュー90の回転数の差や回転方向によりその姿勢が変化して前後、上下、左右に移動する。従って、移動制御部130は、操作信号に応じて水中ドローン1が移動するように、各スクリュー90の回転数および回転方向を制御する。また、移動制御部130は、ジャイロセンサ170の姿勢情報により水中ドローン1の姿勢を安定させてもよい。このように、移動制御部130は、一般的なドローンのフライトコントローラと同様の機能を有する。
【0039】
また、移動制御部130は、温度センサ70から光源30の温度が入力され、入力された温度を閾値判定する。そして、移動制御部130は、温度センサ70で測定された温度が閾値を超えている間、流水管50の管軸の方向に沿って水中ドローン1を前後に移動させる。なお、移動制御部130では、この閾値を任意に設定でき、例えば、光源30の耐熱特性以下に閾値を設定する。また、移動制御部130では、水中ドローン1を往復させる距離も任意に設定できる。このようにして、移動制御部130は、水中ドローン1を前後に移動させて、光源30の過熱を抑制することができる。この移動制御部130に入力される温度は、光源30の温度と相関のある温度であればよく、光源30の温度そのものである必要はない。
なお、移動制御部130は、水中ドローン1を前後に移動させている最中、操作信号受信部120から操作信号が入力された場合、操作信号を優先してもよい。
【0040】
また、水中ドローン1が自律移動を行う場合、操作信号受信部120は、操作信号を受信する必要はない。この場合、メモリ110には、水中ドローン1の移動経路を示す経路情報を予め記憶させておく。そして、移動制御部130は、メモリ110の経路情報及びGPS160の位置情報を参照し、その移動経路に沿って水中ドローン1を移動させる。
【0041】
フォーカス制御部140は、距離センサ60から距離が入力され、入力された距離に基づいて、投影映像が投影面に合焦するように投影装置20を制御するものである。つまり、フォーカス制御部140は、投影装置20が投影面にフォーカスするようにレンズ調整機構23を制御する。また、フォーカス制御部140は、操作信号受信部120から操作信号を受信した場合、その信号に応じて投影装置20を制御して、投影映像を合焦させている。
【0042】
投影映像補正部150は、撮影カメラ80で撮影された撮影映像のサイズ及びアスペクト比が所望の値となるように、投影映像を補正するものである。すなわち、投影映像補正部150は、水中ドローン1の移動により投影映像が拡大若しくは縮小、又は、変形する場合において、水中ドローン1から投影面までの距離及び投影面に対する角度に応じて、投影面で所定の大きさ及び形状となるように投影映像を補正する。そして、投影映像補正部150は、補正した投影映像を投影装置20に出力する。
なお、投影映像補正部150は、ジャイロセンサ170の姿勢情報から水中ドローン1が傾斜しているか否かを判定し、水中ドローン1が傾斜していない場合、投影映像を補正せずともよい。
【0043】
<フォーカスの調整、投影映像の補正>
図6乃至
図10を参照し、フォーカスの調整及び投影映像の補正を詳細に説明する。
図6は、水中ドローンが水平のときの投影映像を説明する説明図である。
図7は、水中ドローンが前傾しているときの投影映像を説明する説明図である。
図8は、水中ドローンの姿勢と、投影前の投影映像と、投影後の投影映像と、撮影カメラの撮影映像との関係を説明する説明図である。
図9Aは、歪みのない投影映像が含まれる撮影映像を説明する説明図である。
図9Bは、歪みのある投影映像が含まれる撮影映像を説明する説明図である。
図9Cは、最大矩形領域を説明する説明図である。
図9Dは、投影映像のズームを説明する説明図である。
図9Eは、投影映像の補正を説明する説明図である。
図10は、水中ドローンが前傾しているときの補正後の投影映像を説明する説明図である。なお、
図6では、投影映像Pの投影範囲を破線で図示し、撮影カメラ80の撮影映像を符号Cで表した。
【0044】
水中ドローン1は、静止時には水平姿勢を保っている。距離センサ60が水中ドローン1から壁面Wまでの距離L1を測定しており、フォーカス制御部140が投影装置20のフォーカスを壁面Wに合わせる。ここでは、水中ドローン1が傾斜していないので、投影装置20は、歪みがない矩形状の投影映像P0を壁面Wに投影する。
撮影映像Cには、壁面Wに投影された投影映像Pの全範囲が収まっている。
【0045】
図7に示すように、水中ドローン1は、前進時には前傾姿勢となる場合がある。
図6の静止時と同様、距離センサ60は、水中ドローン1から壁面Wまでの距離L1を測定している。このとき、フォーカス制御部140は、ジャイロセンサ170で測定された水中ドローン1の傾斜角θに応じて、距離センサ60が測定した距離L1を三角関数により補正してもよい。なお、
図7では、補正後の距離を符号L2で図示した。また、水中ドローン1が前傾しているので、投影装置20は、台形状に歪んだ投影映像P1を壁面Wに投影することになる。
【0046】
図8上段には、水中ドローン1の水平時において、投影前の投影映像Pと、投影後の投影映像P0と、撮影カメラ80の撮影映像Cとを図示した。また、
図8下段には、水中ドローン1の前傾時において、投影前の投影映像Pと、投影後の投影映像P1と、撮影カメラ80の撮影映像Cとを図示した。
【0047】
図8に示すように、壁面Wに投影される前の投影映像Pは、水中ドローン1の姿勢に関わらず歪んでいない。水中ドローン1の水平時、実際に壁面Wに投影された投影映像P0は歪んでいないが、水中ドローン1の前傾時には、壁面Wに投影された投影映像P1が台形状に歪んでしまう。従って、水中ドローン1の撮影カメラ80は、水中ドローン1の水平時には歪みのない投影映像P0を撮影する一方、水中ドローン1の前傾時には歪みがある投影映像P1を撮影する。そこで、以下で説明するように、水中ドローン1は、撮影映像Cを用いて投影映像P1の歪みを補正する。
【0048】
図9Aには、水中ドローン1の水平時において、歪みのない投影映像P0が含まれる撮影映像Cを図示した。また、
図9Bには、水中ドローン1の前傾時において、歪みのある投影映像P1が含まれる撮影映像Cを図示した。ここで、歪みのない投影映像P0と歪みのある投影映像P1とを比べると、投影映像P1が投影映像P0よりも下側に表示されており、面積が狭くなる。
【0049】
まず、投影映像補正部150は、
図9Cに示すように、水中ドローン1の前進時に撮影された台形状の投影映像P1のうち、水中ドローン1の水平時に撮影された四角形状の投影映像P0に重なる最大矩形領域Mを求める。なお、最大矩形領域Mは、投影映像P0,P1が重なる領域に内接する最大の矩形領域のことである。例えば、投影映像補正部150は、水中ドローン1が水平時の撮影映像Cから投影映像P0を表す四角形領域を検出し、水中ドローン1が前進時の撮影映像Cから投影映像P1を表す台形領域を検出する。そして、投影映像補正部150は、検出した四角形領域と台形領域とが重なる領域に内接する最大矩形領域Mを求める。
次に、投影映像補正部150は、投影映像P0のうち、最大矩形領域M以外の余剰領域Dを求める。なお、
図9Cでは、余剰領域Dをハッチングで図示した。
【0050】
次に、投影映像補正部150は、余剰領域Dが投影映像Pから除去され、かつ、除去後の投影映像Pが四角形状の投影映像P0のサイズに応じてズームするように投影映像Pを補正する。例えば、投影映像補正部150は、メモリ110の投影映像Pから余剰領域Dをトリミングする。そして、投影映像補正部150は、
図9Dに示すように、トリミング後の投影映像Pから、投影映像P0のサイズ及びアスペクト比(例えば、16:9、4:3)に一致するようにズームした投影映像P2を生成する。このとき、投影映像補正部150は、投影映像Pを補間拡大する電子ズーム、又は、レンズ調整機構23による光学ズームの何れを行ってもよい。さらに、投影映像補正部150は、
図9Eに示すように、水中ドローン1の前進時には投影映像P1が台形状に歪むことを考慮して、投影映像P2を逆台形状に補正(射影変換)する。なお、
図9において、投影映像Pの投影位置は上下に多少ずれても構わない。
【0051】
以上より、水中ドローン1は、
図10に示すように、投影映像Pの補正を移動時に行うので、基準位置から移動する前進時においても、歪みのない四角形状の投影映像P0を表示することができる。
なお、
図7乃至
図10では、水中ドローン1が前進(前傾)することとして説明したが、水中ドローン1が後退(後傾)する場合も、同様に映像を補正すればよい。
【0052】
<水中ドローンの動作:投影装置の冷却>
図11を参照し、水中ドローン1が投影装置20を冷却する動作を説明する。
図11は、水中ドローンが投影装置を冷却する動作を示すフローチャートである。
ステップS1において、水中ドローン1は、光源30を点灯させる。
ステップS2において、温度センサ70は、光源30の温度を測定する。
ステップS3において、移動制御部130は、ステップS2で測定した光源30の温度が閾値を越えたか否かを判定する。
【0053】
光源30の温度が閾値を越えた場合(ステップS3でYes)、移動制御部130は、水中ドローン1を、予め設定された基準位置から前後に移動させると判定する(ステップS4)。
光源30の温度が閾値を越えない場合(ステップS3でNo)、移動制御部130は、水中ドローン1を基準位置に待機させると判定する(ステップS5)。
ステップS6において、移動制御部130は、ステップS4又はステップS5の判定結果に応じた制御信号をスクリュー90に出力する。
【0054】
<ドローンの動作:投影映像の補正>
図12を参照し、水中ドローン1が投影映像を補正する動作を説明する。
図12は、水中ドローンが投影映像を補正する動作を示すフローチャートである。
ステップS10において、投影装置20は、映像を投影する。
ステップS11において、距離センサ60は、水中ドローン1から投影面までの距離を測定する。
【0055】
ステップS12において、フォーカス制御部140は、ステップS11で測定した距離に基づいて、投影映像が投影面に合焦するように投影装置20のフォーカスを制御する。
ステップS13において、撮影カメラ80は、投影面に投影された映像を撮影する。
ステップS14において、投影映像補正部150は、ステップS13で撮影された撮影映像のサイズ及びアスペクト比が所望の値となるように、投影映像を補正する。
【0056】
以上のように、水中ドローン1は、光源30が所定の温度を超えた場合、前後に移動するので、光源30の過熱を抑制し、安定した映像を投影することができる。このとき、水中ドローン1は、前傾又は後傾している場合であっても、台形に歪んだ投影映像を補正するので、観察者が見やすい映像を投影できる。
【0057】
(変形例)
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施することが可能である。
ここでは、第1駆動スクリュー90R1,90L1を、水中ドローン1のフレーム体の後方に一対備える構成としたが、中央部、前方部のいずれかに備えることとしてもよい。その場合、第1駆動スクリュー90R1,90L1は、第2駆動スクリュー90R2,90L2の水流の妨げとならないように、第2駆動スクリュー90R2,90L2の回転軸からずれた位置に配置することが好ましい。第2駆動スクリュー90R2,90L2を、水中ドローン1のフレーム体の左右に二対備える構成としたが、三対以上であっても構わない。
【0058】
また、ここでは、水中ドローン1は、光源30を冷却するための流水管50を、フレーム体10を貫通させて1つ備える構成とした。しかし、フレーム体10は、左右方向の中心を基準として、左右いずれか一方に前後方向に貫通した流水管50を有し、他方に前後方向に貫通した第2の流水管50を有する構成としてもよい。
図13に、フレーム体10に、流水管50を2つ(50R,50L)貫通させた例を示す。この場合、流水管50Lは、水中ドローン1の前進方向又は後退方向の移動に伴う管軸方向の水の流れαによって、光源30を冷却する機能を有することになる。
一方、流水管50Rは、フレーム体10の左右方向において流水管50Lと略対称となる位置で、フレーム体10を貫通させることが好ましい。この2つの流水管50R,50Lによって、水中ドローン1は、移動時における左右のバランスを安定させることができる。
【0059】
また、ここでは、水中ドローン1は、回転軸が固定した状態でスクリュー90が支持アーム91に支持された構成とした。しかし、水中ドローン1のスクリュー90は、回転軸が可変に構成されていてもよい。
例えば、
図14Aの上面図、
図14Bの側面図、
図14Cの正面図に示すように、支持アーム91は、スクリュー90の回転軸を、当該回転軸に対して垂直な軸で回転させる回転機構91aを備えるように構成してもよい。
これによって、第2駆動スクリュー90R2,90L2は、単に水中ドローン1を上下方向に移動させるだけでなく、斜め方向の含む左右方向に移動させることもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 水中ドローン(遠隔操作型水中移動体)
10 フレーム体
20 投影装置
21 空間光変調器
22 投射レンズ
23 レンズ調整機構
30 光源
31 半導体レーザ
40 放熱機構
41 ヒートパイプ
42 ヒートシンク
43 ロッドレンズ
50 流水管
60 距離センサ
61 分光手段
62 光路変更手段
63 ハーフミラー
64 光検出部
70 温度センサ
80 撮影カメラ
90 スクリュー(水中用スクリュー)
91 支持アーム
91a 回転機構
100 制御部
110 メモリ
120 操作信号受信部
130 移動制御部
140 フォーカス制御部
150 投影映像補正部
160 GPS
170 ジャイロセンサ