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特許7606134中継装置、光アクセスシステム及び中継方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】中継装置、光アクセスシステム及び中継方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 3/00 20060101AFI20241218BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20241218BHJP
   H04B 10/291 20130101ALI20241218BHJP
【FI】
H04J3/00 Q
H04B10/272
H04B10/291
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023512630
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2021015037
(87)【国際公開番号】W WO2022215257
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 由美子
(72)【発明者】
【氏名】原 一貴
(72)【発明者】
【氏名】金子 慎
(72)【発明者】
【氏名】胡間 遼
(72)【発明者】
【氏名】本田 一暁
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/167797(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108259118(CN,A)
【文献】特開2009-100063(JP,A)
【文献】特開2009-021874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 3/00
H04B 10/272
H04B 10/291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも時分割多重方式を用いて通信を行う複数の光通信装置間で中継を行う中継装置であって、
光通信装置から送信された上り信号を用いて、前記上り信号のデータ長の情報を取得するデータ長取得部と、
管理及び制御のために用いられる管理制御信号を生成する管理制御信号生成部と、
前記データ長取得部によって取得された前記上り信号のデータ長の情報に基づいて、生成された前記管理制御信号を分割する管理制御信号分割部と、
前記上り信号に、分割された前記管理制御信号を重畳して他の光通信装置に転送する管理制御信号重畳部と、
を備える中継装置。
【請求項2】
前記管理制御信号分割部は、前記上り信号のデータ長の情報で示されるデータ長を超えない大きさに前記管理制御信号を分割する、請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記光通信装置から送信された上り信号を分岐する分岐部をさらに備え、
前記管理制御信号重畳部は、分岐された1つの経路上で遅延が与えられた前記上り信号に、分割された前記管理制御信号を重畳する、請求項1又は2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記管理制御信号生成部は、光通信装置毎に備えられ、
前記上り信号の送信元を示す送信元情報を前記上り信号から取得するユーザ情報取得部をさらに備え、
前記管理制御信号分割部は、前記ユーザ情報取得部によって取得された前記送信元情報で示される送信元の光通信装置に関連する管理制御信号生成部が生成した前記管理制御信号を、前記上り信号のデータ長の情報に基づいて分割する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の中継装置。
【請求項5】
少なくとも時分割多重方式を用いて通信を行う第1の光通信装置と、第2の光通信装置と、前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置との間で中継を行う中継装置とを備える光アクセスシステムであって、
前記中継装置は、
前記第1の光通信装置から送信された上り信号を用いて、前記上り信号のデータ長の情報を取得するデータ長取得部と、
管理及び制御のために用いられる管理制御信号を生成する管理制御信号生成部と、
前記データ長取得部によって取得された前記上り信号のデータ長の情報に基づいて、生成された前記管理制御信号を分割する管理制御信号分割部と、
前記上り信号に、分割された前記管理制御信号を重畳して他の光通信装置に転送する管理制御信号重畳部と、
を備え、
前記中継装置から転送された前記上り信号に重畳された、分割された前記管理制御信号を抽出する信号抽出部と、
分割された前記管理制御信号を統合して管理制御信号を復元する統合部と、
を備える光アクセスシステム。
【請求項6】
前記第1の光通信装置の管理及び制御を行う管理制御装置を備え、
前記管理制御装置は、前記中継装置から転送された前記上り信号を受信する受信部と、
前記信号抽出部と、
前記統合部と、
を備える、請求項5に記載の光アクセスシステム。
【請求項7】
少なくとも時分割多重方式を用いて通信を行う複数の光通信装置間で中継を行う中継装置が行う中継方法であって、
光通信装置から送信された上り信号を用いて、前記上り信号のデータ長の情報を取得し、
管理及び制御のために用いられる管理制御信号を生成し、
取得された前記上り信号のデータ長の情報に基づいて、生成された前記管理制御信号を分割し、
前記上り信号に、分割された前記管理制御信号を重畳して他の光通信装置に転送する光通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置、光アクセスシステム及び中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FTTH(Fiber To The Home)の普及が世界的に進んでおり、FTTHの大部分は、経済性に優れたTDM-PON(Time Division Multiplexing-Passive Optical Network)方式により提供されている。TDM-PON方式では、1台のOLT(Optical Line Terminal:加入者線端局装置)が、時分割多重(TDM)により複数の加入者線端局装置(ONU: Optical Network Unit)を収容する。
【0003】
図10は、従来のTDM-PONシステムの構成を示す。図10に示すように、従来のTDM-PONシステム500は、1台のOLT510と、複数のONU520とを備える。OLT510と、複数のONU520との間は、1以上の光スプリッタ530,540,550と光ファイバで接続される。図10では、OLT510に光スプリッタ530が光ファイバで接続され、光スプリッタ530に光スプリッタ540及び550がそれぞれ光ファイバで接続され、光スプリッタ540及び550にそれぞれ2台ずつのONU520が光ファイバで接続されている構成を示している。複数のONU520は、OLT510から割り当てられた送信タイミングでデータを送信する。
【0004】
OLT510は、光合分波部511、光送信部512、光受信部513及びメディアアクセス制御部514を備える。光合分波部511は、上り信号と下り信号とを分離する。光送信部512は、送信対象となる電気信号のデータを光信号に変換する。光受信部513は、光合分波部511から出力された光信号を電気信号に変換する。メディアアクセス制御部514は、複数のONU520間で光ファイバを共有するために、ONU520毎の送信量及び送信タイミングをスケジューリングし、ゲートフレームを生成する。光送信部512は、生成されたゲートフレームをONU520に送信する。
【0005】
ONU520は、光合分波部521、光送信部522、光受信部523及びメディアアクセス制御部524を備える。光合分波部521は、上り信号と下り信号とを分離する。光送信部522は、送信対象となる電気信号のデータを光信号に変換する。光受信部523は、光合分波部521から出力された光信号を電気信号に変換する。メディアアクセス制御部524は、OLT510から送信されたゲートフレームの処理及びOLT510に帯域要求するためのレポートフレームの生成を行う。ONU520は、ゲートフレームに含まれる送信タイミングの情報によりデータの送信タイミングを把握し、割り当てられた送信タイミングでデータを送信する。
【0006】
一方、ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization sector) G.989.2勧告では、PtP WDM-PON(Point to Point Wavelength Division Multiplexing-PON)と呼ばれる、波長多重を行うPONシステムが規定されている(例えば、非特許文献1参照)。PtP WDM-PONシステムでは、ONUからOLTへ向かう方向である上り方向とOLTからONUへ向かう方向である下り方向とにおいて、ONU毎に異なる波長を用いて通信を行う。
【0007】
非特許文献1に記載されているように、PtP WDM-PONシステムでは、OLTとONUとの間で用いられる管理及び制御のための信号としてAMCC(Auxiliary Management and Control Channel)と呼ばれる管理制御信号が用いられる。AMCC信号は、送信される情報があらかじめ定められた方式で変調された後、主信号に重畳されて伝送される信号である。AMCC信号が主信号に重畳されて伝送されることにより、ONUは、主信号で用いる波長の波長域内で管理及び制御のための信号を伝送することができる。すなわち、管理及び制御のために専用の波長域が用いられることなく、管理及び制御を実現することができる。管理及び制御のためにAMCC信号が用いられる場合、PtP WDM-PONシステムにおいて、上り波長及び下り波長が決定される波長決定プロセスは、AMCC信号を用いて実施される。
【0008】
非特許文献1によれば、AMCC信号の重畳方法は2種類ある。1つ目の方式“baseband modulation”は、送信器(例えば、ONU)側において、AMCC信号をベースバンド信号として主信号へと重畳する方法である。“baseband modulation”の重畳方法では、受信器(例えば、OLT)側でLPF(Low-Pass Filter)等のフィルタによってAMCC信号を分離する。
2つ目の方式“low-frequency pilot tone”は、送信器側において、AMCC信号をある搬送波周波数にアップコンバートして主信号へと重畳する方法である。“low-frequency pilot tone”の重畳方法では、受信器側で信号処理等により復調することでAMCC信号を取得する。
【0009】
図11は、“low-frequency pilot tone”を用いた、PtP WDM-PONシステムの構成を示す。図11に示すように、従来のPtP WDM-PONシステム600は、複数のOLT610と、複数のONU620とを備える。複数のOLT610と、複数のONU620との間は、波長分波部630及び光スプリッタ640と光ファイバで接続される。図11では、OLT610に波長分波部630が光ファイバで接続され、波長分波部630に光スプリッタ640が光ファイバで接続され、光スプリッタ640にONU520が光ファイバで接続されている構成を示している。複数のOLT610は、上述したように、上り方向と下り方向とにおいて、ONU620毎に異なる波長を用いて通信を行う。
【0010】
各OLT610は、異なるONU620を収容しており、波長分波部630により分波されて入力された光信号を処理する。OLT610は、光合分波部611、光送信部612、管理制御部613及び光受信部614を備える。光合分波部611は、上り信号と下り信号とを分離する。光送信部612は、送信対象となる電気信号のデータを光信号に変換する。管理制御部613は、電気段でAMCC信号を主信号に重畳又は電気段でAMCC信号を取得する。光受信部614は、光合分波部611から出力された光信号を電気信号に変換する。
【0011】
ONU620は、光合分波部621、光送信部622、管理制御部623及び光受信部624を備える。光合分波部621は、上り信号と下り信号とを分離する。光送信部622は、送信対象となる電気信号のデータを光信号に変換する。管理制御部623は、電気段でAMCC信号を主信号に重畳又は電気段でAMCC信号を取得する。光受信部624は、光合分波部621から出力された光信号を電気信号に変換する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【文献】“ITU-T G.989.2 Recommendation, “40-Gigabit-capable-passive optical networks (NG-PON2): Physical media dependent (PMD) layer specification,” Feb. 2019.
【文献】Y. Luo, H. Roberts, K. Grobe, M. Valvo, D. Nesset, K.Asaka, H. Rohde, J. Smith, J. S. Wey, and F. Effenberger,“Physical Layer Aspects of G-PON2 Standards-Part 2:System Design and Technology Feasibility,” J. Opt. Com-mun. Netw., 8(1), pp.43-52, Jan. 2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
AMCC信号をTDM-PONに使用することができれば、主信号で用いる波長の波長域内で管理及び制御のための信号を伝送することができるため専用の光波長域を用いる必要がない。さらに主信号中に管理及び制御のための信号を埋め込む必要がなく、主信号の伝送効率を高めることができる。AMCC信号は、kb/s(kilo bit/sec)オーダーの低速信号である(例えば、非特許文献2参照)。一方で、TDM-PONの信号はGb/s(Giga bit/sec)オーダーの高速信号である。TDM-PONの上り方向では、各ONUからのフレームが衝突しないよう送信タイミングを制御するバースト信号がOLT-ONU間でやりとりされる。
【0014】
低速なAMCC信号のフレーム長は、高速なバースト信号のフレーム長に比べて大幅に長くなると見込まれ、バースト信号へ管理制御信号であるAMCC信号を重畳することが困難であった。そのため、TDM-PONにおいて管理制御信号を用いることができないという問題があった。このような問題は、TDM-PONに限らず、少なくとも時分割多重が行われるシステム全般に共通する問題である。
【0015】
上記事情に鑑み、本発明は、時分割多重が行われるシステムに管理制御信号を用いることができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、少なくとも時分割多重方式を用いて通信を行う複数の光通信装置間で中継を行う中継装置であって、光通信装置から送信された上り信号を用いて、前記上り信号のデータ長の情報を取得するデータ長取得部と、管理及び制御のために用いられる管理制御信号を生成する管理制御信号生成部と、前記データ長取得部によって取得された前記上り信号のデータ長の情報に基づいて、生成された前記管理制御信号を分割する管理制御信号分割部と、前記上り信号に、分割された前記管理制御信号を重畳して他の光通信装置に転送する管理制御信号重畳部と、を備える中継装置である。
【0017】
本発明の一態様は、少なくとも時分割多重方式を用いて通信を行う第1の光通信装置と、第2の光通信装置と、前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置との間で中継を行う中継装置とを備える光アクセスシステムであって、前記中継装置は、前記第1の光通信装置から送信された上り信号を用いて、前記上り信号のデータ長の情報を取得するデータ長取得部と、管理及び制御のために用いられる管理制御信号を生成する管理制御信号生成部と、前記データ長取得部によって取得された前記上り信号のデータ長の情報に基づいて、生成された前記管理制御信号を分割する管理制御信号分割部と、前記上り信号に、分割された前記管理制御信号を重畳して他の光通信装置に転送する管理制御信号重畳部と、を備え、前記中継装置から転送された前記上り信号に重畳された、分割された前記管理制御信号を抽出する信号抽出部と、分割された前記管理制御信号を統合して管理制御信号を復元する統合部と、を備える光アクセスシステムである。
【0018】
本発明の一態様は、少なくとも時分割多重方式を用いて通信を行う複数の光通信装置間で中継を行う中継装置が行う中継方法であって、光通信装置から送信された上り信号を用いて、前記上り信号のデータ長の情報を取得し、管理及び制御のために用いられる管理制御信号を生成し、取得された前記上り信号のデータ長の情報に基づいて、生成された前記管理制御信号を分割し、前記上り信号に、分割された前記管理制御信号を重畳して他の光通信装置に転送する光通信方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、時分割多重が行われるシステムに管理制御信号を用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態における光アクセスシステムの構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態における中継装置の構成を示す図である。
図3】第1の実施形態におけるOLTの構成を示す図である。
図4】第1の実施形態におけるAMCC信号を送信するための処理を説明するための図である。
図5】第1の実施形態における光アクセスシステムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図6】第2の実施形態における中継装置の構成を示す図である。
図7】第2の実施形態におけるAMCC信号を送信するための処理を説明するための図である。
図8】第2の実施形態における光アクセスシステムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図9】変形例における光アクセスシステムの構成例を示す図である。
図10】従来のTDM-PONシステムの構成を示す図である。
図11】従来のPtP WDM-PONシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(概要)
本発明における光アクセスシステムでは、ONUとOLTとの通信を中継する中継装置においてAMCC信号を生成し、生成したAMCC信号をONUから送信された上りバースト信号に基づいて分割した後に、分割したAMCC信号を上りバースト信号に重畳する。これにより、上りバースト信号へAMCC信号を重畳することができる。その結果、TDM-PONにおいて、AMCC信号を用いることが可能になる。
以下、詳細について説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における光アクセスシステム1の構成例を示す図である。
光アクセスシステム1は、OLT10、1以上のONU20及び中継装置60を備える。OLT10と、中継装置60との間は、光ファイバで接続される。ONU20と、中継装置60との間は、1以上の光カプラ30,40,50と光ファイバで接続される。図1では、中継装置60に光カプラ30が光ファイバで接続され、光カプラ30に光カプラ40及び50がそれぞれ光ファイバで接続され、光カプラ40及び50にそれぞれ2台ずつのONU20が光ファイバで接続されている構成を示している。以下、OLT10からONU20に向かう方向を下り方向、ONU20からOLT10に向かう方向を上り方向とする。
【0023】
図1に示す構成は、一例であり、光アクセスシステム1が備えるONU10、ONU20及び光カプラの数は、特に限定されない。光アクセスシステム1では、TDM-PON方式により、OLT10とONU20との間で通信が行われるものとして説明する。光アクセスシステム1では、AMCC信号をベースバンド信号として主信号へと重畳する方法である“baseband modulation”を用いるものとする。
【0024】
OLT10は、ONU20に対して帯域割当を行う。具体的には、OLT10は、データの送信タイミング及び送信量をONU20毎に割り当てる。データの送信タイミングは、ONU20において主信号の送信を開始するタイミングを表す。送信量は、ONU20が、一度の送信で送信可能なデータ量を表す。
【0025】
ONU20は、OLT10から割り当てられた送信タイミング及び送信量に基づいて、OLT10に対して上りバースト信号を送信する。ONU20の構成は、従来と同じである。例えば、ONU20は、図10と同様の構成を備える。
【0026】
光カプラ40または光カプラ50は、ONU20から送信された光信号を合波して光カプラ30に出力する。光カプラ30は、光カプラ40及び50から出力された光信号を合波して光ファイバに出力する。光カプラ30によって出力された光信号は、光ファイバを介して中継装置60に入力される。
【0027】
中継装置60は、ONU20から送信された上りバースト信号に、AMCC信号を重畳してOLT10に転送する。具体的には、中継装置60は、OLT10に送信するAMCC信号を生成し、生成したAMCC信号を分割して、主信号である上りバースト信号に重畳する。例えば、中継装置60は、上りバースト信号に重畳できる範囲でAMCC信号を分割し、分割したAMCC信号を上りバースト信号に重畳して送信データを生成する。AMCC信号を分割するとは、1つのAMCC信号を複数の信号に分けることを意味する。例えば、AMCC信号を、先頭から順番に、上りバースト信号に重畳できる大きさの信号に分けることを意味する。以下の説明では、分割後のAMCC信号を分割AMCC信号と記載する。
【0028】
図2は、第1の実施形態における中継装置60の構成を示す図である。
中継装置60は、光合分波部61、分岐器62、光受信部63、バースト長取得部64、AMCC信号生成部65、AMCC信号分割部66、遅延部67、AMCC信号重畳部68及び光合分波器69を備える。
【0029】
光合分波部61は、上り信号と下り信号を分離する。例えば、光合分波部61は、上り信号を分岐器62に出力し、下り信号を光カプラ30に出力する。光合分波器69は、上り信号をOLT10に出力し、下り信号を光合分波部61に出力する。
【0030】
分岐器62は、光合分波部61によって分離された上り信号(例えば、上りバースト信号)を分岐して第1の経路及び第2の経路に出力する。分岐器62として、例えば、光スプリッタが考えられる。分岐比が1:9の光スプリッタを用いて、1割の強度の光信号を光受信部63へ出力し、9割の強度の光信号を遅延部67へ出力する構成としてもよい。第1の経路は、光受信部63を経由する経路であり、第2の経路は、遅延部67を経由する経路である。
【0031】
光受信部63は、内部にフォトディテクタ等のO/E(Optical/Electrical)変換器を備える。光受信部63は、分岐器62によって分岐された上り信号を受信し、受信した上り信号をO/E変換器により電気信号に変換してバースト長取得部64に出力する。光受信部63は、例えばONU20から送信された上りバースト信号を受信する。
【0032】
バースト長取得部64は、光受信部63によって受信された上り信号のバースト長情報を取得する。バースト長情報は、上り信号における送信量を表す情報である。例えば、バースト長取得部64は、受信された上り信号のヘッダに記載されたバースト長情報からバースト長の情報を取得してもよいし、バースト信号の光強度を測定することでバースト長の情報を取得してもよい。バースト長取得部64は、取得したバースト長情報をAMCC信号分割部66に出力するとともに、AMCC信号生成部65に対してAMCC信号の生成を指示する。バースト長取得部64は、データ長取得部の一態様である。
【0033】
AMCC信号生成部65は、バースト長取得部64の指示に従って、管理及び制御のために用いるAMCC信号を生成する。AMCC信号で管理制御する項目は、ITU-T G.989.2勧告で規定されている、送信波長の制御情報や監視情報等でもいいし、その他の情報を含んでも良い。AMCC信号生成部65は、管理制御信号生成部の一態様である。
【0034】
AMCC信号分割部66は、バースト長取得部64から出力されるバースト長情報を取得する。AMCC信号分割部66は、バースト長情報に基づいて、バースト長情報で示されるバースト長を超えない範囲で、AMCC信号生成部65によって生成されたAMCC信号を分割する。例えば、AMCC信号分割部66は、AMCC信号分割部66は、バースト長と同じ長さになるようにAMCC信号を分割する。AMCC信号分割部66は、上記の方法により分割AMCC信号を生成する。AMCC信号分割部66は、管理制御信号分割部の一態様である。
【0035】
AMCC信号分割部66は、分割AMCC信号毎に、分割識別情報を含む識別情報を付与する。分割識別情報を付与する位置は、分割AMCC信号の先頭であってもよいし、末尾であってもよい。分割識別情報は、AMCC信号が分割されていることを示す識別情報である。例えば、分割識別情報として、分割中を示す識別情報と、分割終了を示す分割識別情報とが分けられていてもよいし、送信の順番を示す情報が含まれていてもよい。なお、AMCC信号分割部66は、分割識別情報を用いなくてもよい。
【0036】
遅延部67は、分岐器62で分岐した上り信号に遅延を与える。具体的には、遅延部67は、第1の経路を介して上り信号がAMCC信号重畳部68に到達するまでに要する処理時間と同じ時間となるような遅延を与える。例えば、遅延部67は、遅延線であってもよいし、遅延を与えることができればその他の構成であってもよい。
【0037】
AMCC信号重畳部68は、遅延部67により遅延が与えられた上り信号(主信号)に、分割AMCC信号を重畳する。AMCC信号重畳部68は、例えば、VOA(Variable Optical Attenuator)を用いて、分割AMCC信号を主信号に重畳する。AMCC信号重畳部68は、分割AMCC信号が重畳された上り信号を光合分波器69に出力する。光合分波器69に出力された分割AMCC信号が重畳された上り信号は、光合分波器69によってOLT10へ出力される。AMCC信号重畳部68は、管理制御信号重畳部の一態様である。
【0038】
図3は、第1の実施形態におけるOLT10の構成を示す図である。
OLT10は、光合分波部11、光送信部12、メディアアクセス制御部13、光受信部14及び管理制御部15を備える。光合分波部11は、上り信号と下り信号を分離する。光送信部12は、送信対象となる電気信号のデータを光信号に変換して中継装置60に送信する。
【0039】
メディアアクセス制御部13は、OLT10毎に送信タイミング及び送信量のスケジューリングを行う。
【0040】
光受信部14は、内部にフォトディテクタ等のO/E変換器を備える。光受信部14は、光合分波部11を介して光信号を受信し、受信した光信号をO/E変換器により電気信号に変換してメディアアクセス制御部13及び管理制御部15に出力する。光受信部14は、例えば中継装置60から送信された分割AMCC信号が重畳された上り信号(光信号)を受信する。
【0041】
管理制御部15は、AMCC信号の取得に関する処理を行う。管理制御部15は、AMCC信号抽出部151、AMCC信号統合部152及びAMCC信号受信部153を備える。
【0042】
AMCC信号抽出部151は、信号処理等により、電気信号に重畳されている分割AMCC信号を抽出する。例えば、AMCC信号抽出部151は、LPFを用いて、電気信号に重畳されている分割AMCC信号を抽出する。
【0043】
AMCC信号統合部152は、AMCC信号抽出部151により抽出された分割AMCC信号を統合する。分割AMCC信号を統合するとは、複数の分割AMCC信号を組み合わせることによって1つのAMCC信号を復元することを意味する。
【0044】
なお、分割AMCC信号に分割識別情報が含まれている場合、AMCC信号統合部152は分割AMCC信号を順番に並べることによってAMCC信号を復元する。分割AMCC信号に分割識別情報が含まれていない場合、AMCC信号統合部152は分割AMCC信号を取得した順番に並べることによってAMCC信号を復元する。
【0045】
AMCC信号受信部153は、復元したAMCC信号に基づいて、管理及び制御を実施する。
【0046】
図4は、第1の実施形態におけるAMCC信号を送信するための処理を説明するための図である。
図4では、中継装置60においてAMCC信号が分割され、分割AMCC信号が上り信号のユーザデータに重畳されている状況を示している。中継装置60は、上り信号に基づいて得られるバースト長の情報に基づいてAMCC信号を分割する。これにより、AMCC信号は、分割AMCC信号55-1及び55-2に分割される。図4の例では分割AMCC信号55-1及び55-2には、識別情報57-1及び57-2が付与される。
【0047】
中継装置60は、最初に得られた上り信号のユーザデータに分割AMCC信号55-1を重畳する。中継装置60は、分割AMCC信号55-1を重畳した上り信号をOLT10に転送する。その後、中継装置60は、次に受信した上り信号のユーザデータに分割AMCC信号55-2を重畳する。なお、次に受信した上り信号のバースト長の範囲内に、分割AMCC信号55-2が収まらない場合には、中継装置60は分割AMCC信号55-2をバースト長の範囲内に収まるように分割する。中継装置60は、分割AMCC信号55-2を重畳した上り信号をOLT10に転送する。
【0048】
上記のように、第1の実施形態における中継装置60では、AMCC信号には、ONU20に寄らず共通の情報が含まれる。そのため、中継装置60は、受信した上り信号に分割AMCC信号を順番に重畳すればよい。
【0049】
図5は、第1の実施形態における光アクセスシステム1の処理の流れを示すシーケンス図である。
ONU20は、OLT10に割り当てられた送信タイミングになると、上り信号(光信号)を生成して光ファイバに送出する(ステップS101)。ONU20から送出された光信号は、中継装置60に入力される。
【0050】
中継装置60の光合分波部61は、光ファイバを介して入力された上り信号を分岐器62に出力する(ステップS102)。分岐器62に入力された上り信号は、第1の経路及び第2の経路に分岐して出力される(ステップS103)。第1の経路に出力された上り信号は、光受信部63に入力される。第2の経路に出力された上り信号は、遅延部67により遅延が与えられる。
【0051】
光受信部63は、上り信号を電気信号に変換してバースト長取得部64に出力する。バースト長取得部64は、光受信部63によって変換された電気信号に基づいて、バースト長情報を取得する(ステップS104)。バースト長取得部64は、取得したバースト長情報をAMCC信号分割部66に出力するとともに、AMCC信号生成部65に対してAMCC信号の生成を指示する。
【0052】
AMCC信号生成部65は、バースト長取得部64の指示に従って、AMCC信号を生成する(ステップS105)。AMCC信号生成部65は、生成したAMCC信号をAMCC信号分割部66に出力する。AMCC信号分割部66は、AMCC信号生成部65から出力されたAMCC信号を、バースト長取得部64から通知されたバースト長に応じて分割する(ステップS106)。
【0053】
具体的には、AMCC信号分割部66は、バースト長を超えない大きさの信号となるようにAMCC信号を分割する。これにより、AMCC信号分割部66は、分割AMCC信号を生成する。AMCC信号分割部66は、生成した分割AMCC信号に識別情報を付与する。AMCC信号分割部66は、分割AMCC信号をAMCC信号重畳部68に出力する。
【0054】
なお、AMCC信号分割部66は、分割AMCC信号をまとめて出力するのではなく、バースト長取得部64からバースト長情報が得られる度に出力してもよい。これにより、1つの上りデータの転送タイミングで複数の分割AMCC信号が出力されることがなくなる。
【0055】
AMCC信号重畳部68は、AMCC信号分割部66から出力された分割AMCC信号を、遅延部67により遅延が与えられた上り信号に重畳する(ステップS107)。具体的には、AMCC信号重畳部68は、VOAを用いて、分割AMCC信号を、遅延が与えられた上り信号に重畳する。分割AMCC信号が重畳された上り信号は、光合分波器69に入力される。光合分波器69は、入力された分割AMCC信号が重畳された上り信号をOLT10に出力する(ステップS107)。
【0056】
ONU20の光合分波部11は、光ファイバを介して入力された上り信号を光受信部14に出力する。光受信部14は、光合分波部11を介して入力した上り信号を電気信号に変換する。AMCC信号抽出部151は、光受信部14によって変換された電気信号から分割AMCC信号を抽出する(ステップS109)。AMCC信号抽出部151は、抽出した分割AMCC信号をAMCC信号統合部152に出力する。現時点では、分割AMCC信号が1つしかない。この場合、AMCC信号統合部152においてAMCC信号を復元することができない。
【0057】
ステップS102からステップS108までの処理は、中継装置60において上り信号が得られる度に繰り返し実行される。例えば、ステップS102からステップS108までの処理は、中継装置60が、分割AMCC信号を送信し終わるまで繰り返し実行される。
【0058】
AMCC信号統合部152は、分割AMCC信号が全て揃うまで待機する(ステップS110)。例えば、分割AMCC信号に分割識別情報が付与されている場合には、AMCC信号統合部152は分割終了を示す分割識別情報が付与された分割AMCC信号が取得されるまで処理を待機する。分割AMCC信号に分割識別情報が付与されていない場合には、AMCC信号統合部152は所定期間分の分割AMCC信号が取得されるまで処理を待機する。所定期間は、予め設定されていてもよい。
【0059】
AMCC信号統合部152は、分割AMCC信号を全て取得すると、取得した複数の分割AMCC信号を統合する(ステップS111)。これにより、AMCC信号が復元される。AMCC信号統合部152は、復元したAMCC信号をAMCC信号受信部153に出力する。AMCC信号受信部153は、復元されたAMCC信号を受信する(ステップS112)。その後、AMCC信号受信部153は、受信したAMCC信号に基づいて、管理及び制御を実施する。
【0060】
以上のように構成された第1の実施形態における光アクセスシステム1によれば、TDM-PONにおいて、AMCC信号を用いることが可能になる。具体的には、中継装置60は、ONU20から送信された上り信号におけるバースト長情報に従って、AMCC信号を分割する。中継装置60は、分割AMCC信号を、受信した上り信号に重畳する。これにより、ONU20から送信されるバースト信号へAMCC信号を重畳することができる。そのため、TDM-PONにおいて、AMCC信号を用いることが可能になる。
【0061】
さらに、光アクセスシステム1では、AMCC信号を、OLT10とONU20との間で重畳することで、AMCC信号をネットワークの中継点から挿入することができる。そのため、ユーザ端末を介さずにAMCC信号の送信が可能となる。
【0062】
さらに、光アクセスシステム1では、AMCC信号を分割することで、高速なバースト信号へ低速なAMCC信号を重畳することができる。そのため、TDM-PONにおいても、主信号中に管理および制御のための信号を埋め込む必要がなく、主信号の伝送効率を高めることができる。
【0063】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、中継装置が、上り信号の送信元のONUによらず、ONUから上り信号が得られる度に分割AMCC信号を重畳する構成を示した。第2の実施形態では、中継装置60においてONU毎のAMCC信号を生成して、各ONUに対応するAMCC信号を分割して上り信号に重畳する構成について説明する。
【0064】
第2の実施形態において、基本的なシステム構成は、第1の実施形態と同等である。第1の実施形態と異なる点は、中継装置の構成である。そこで、以下では、中継装置について説明する。
【0065】
図6は、第2の実施形態における中継装置60aの構成を示す図である。
中継装置60aは、光合分波部61、分岐器62、光受信部63、バースト長取得部64、AMCC信号生成部65-1~65-n、遅延部67、AMCC信号重畳部68a、光合分波器69、管理制御部70、AMCC信号取り出し部71及びユーザ情報取得部72を備える。nは2以上の整数である。例えば、AMCC信号生成部65-1~65-nは、中継装置60aが収容するONU20と同数備えられる。
【0066】
中継装置60aは、AMCC信号生成部65及びAMCC信号重畳部68に代えて複数のAMCC信号生成部65-1~65-n及びAMCC信号重畳部68aを備える点、管理制御部70、AMCC信号取り出し部71及びユーザ情報取得部72を新たに備える点で中継装置60と構成が異なる。中継装置60aは、他の構成については中継装置60と同様である。そのため、中継装置60a全体の説明は省略し、AMCC信号生成部65-1~65-n、AMCC信号重畳部68a、管理制御部70、AMCC信号取り出し部71及びユーザ情報取得部72について説明する。
【0067】
ユーザ情報取得部72は、光受信部63で受信された上り信号に含まれる情報から送信元情報を取得する。例えば、ユーザ情報取得部72は、送信元のONU20を識別するための情報を取得する。
【0068】
管理制御部70は、各ONU20を管理及び制御するための情報を保持する。管理及び制御するための情報とは、AMCC信号に含められる情報であって、ONU20の管理及び制御に用いられる情報である。なお、管理制御部70は、中継装置60外部に設けられてもよい。
【0069】
AMCC信号生成部65-1~65-nは、管理制御部70で保持するONU20を管理及び制御するための情報から、ONU20毎のAMCC信号を生成する。例えば、AMCC信号生成部65-1は、ONU20-1用のAMCC信号を生成する。このように、AMCC信号生成部65-1~65-nは、管理制御部70で保持する情報に関連するONU20用のAMCC信号を生成する。すなわち、AMCC信号生成部65-1~65-nでは、管理制御部70で保持する管理及び制御するための情報があるONU20用の情報を含むAMCC信号が生成される。
【0070】
AMCC信号取り出し部71は、ユーザ情報取得部72で取得された送信元情報と、バースト長取得部64で取得されたバースト長情報とに基づいてAMCC信号を取り出す。具体的には、AMCC信号取り出し部71は、送信元情報で特定されるONU20用のAMCC信号を、バースト長情報で示される送信量を超えない範囲で分割して取り出す。このように、AMCC信号取り出し部71は、AMCC信号生成部65-1~65-nによって生成されたONU毎のAMCC信号のうち、送信元情報で特定されるONU20用のAMCC信号を分割して取り出す機能を備える。AMCC信号取り出し部71は、管理制御信号分割部の一態様である。
【0071】
AMCC信号重畳部68aは、遅延部67により遅延が与えられた上り信号(主信号)に、抽出された分割AMCC信号を重畳する。AMCC信号重畳部68aは、管理制御信号重畳部の一態様である。
【0072】
図7は、第2の実施形態におけるAMCC信号を送信するための処理を説明するための図である。
図7では、中継装置60aにおいてONU20毎のAMCC信号が分割され、分割AMCC信号が上り信号のユーザデータに重畳されている状況を示している。中継装置60aは、図7に示すようにまずONU20-1から送出された上り信号が受信したとする。この場合、ONU20-1に対応するAMCC信号生成部65-1は管理制御部70から得られた情報に基づいてONU20-1用のAMCC信号を生成する。AMCC信号取り出し部71は、上り信号に基づいて得られるバースト長の情報に基づいてONU20-1用のAMCC信号を分割する。これにより、ONU20-1用のAMCC信号は、分割AMCC信号55-1及び55-2に分割される。図7の例では分割AMCC信号55-1には、識別情報57-1が付与される。ここで付与される識別情報として、ONU20-1を特定するための情報と、AMCC信号が分割されていることを示す識別情報が含まれていることが望ましい。
【0073】
中継装置60aは、ONU20-1から送出された上り信号のユーザデータに分割AMCC信号55-1を重畳する。中継装置60aは、分割AMCC信号55-1を重畳した上り信号をOLT10に転送する。なお、ONU20-1用のAMCC信号から分割された分割AMCC信号55-2は、ONU20-1から送出された上り信号が得られるまで送信待ちとなる。送信待ちとなった分割AMCC信号は、不図示のメモリに保存されてもよい。
【0074】
次に中継装置60aは、ONU20-2から送出された上り信号を受信したとする。この場合、ONU20-2に対応するAMCC信号生成部65-2は管理制御部70から得られた情報に基づいてONU20-2用のAMCC信号を生成する。AMCC信号取り出し部71は、上り信号に基づいて得られるバースト長の情報に基づいてONU20-2用のAMCC信号を分割する。これにより、ONU20-2用のAMCC信号は、分割AMCC信号56-1及び56-2に分割される。
【0075】
中継装置60aは、ONU20-2から送出された上り信号のユーザデータに分割AMCC信号56-1を重畳する。中継装置60aは、分割AMCC信号56-1を重畳した上り信号をOLT10に転送する。なお、ONU20-2用のAMCC信号から分割された分割AMCC信号56-2は、ONU20-2から送出された上り信号が得られるまで送信待ちとなる。
【0076】
上記のように、第2の実施形態における中継装置60aでは、ONU20毎に異なるAMCC信号を生成する。これにより、ONU20毎に異なるAMCC信号を重畳することができる。
【0077】
図8は、第2の実施形態における光アクセスシステム1の処理の流れを示すシーケンス図である。図8の処理では、複数のONU20のうち、ONU20-1が上り信号を送信するものとして説明する。
【0078】
ONU20-1は、OLT10に割り当てられた送信タイミングになると、上り信号(光信号)を生成して光伝送路に送出する(ステップS201)。ONU20-1から送出された光信号は、中継装置60aに入力される。
【0079】
中継装置60aの光合分波部61は、光ファイバを介して入力された上り信号を分岐器62に出力する(ステップS202)。分岐器62に入力された上り信号は、第1の経路及び第2の経路に分岐して出力される(ステップS203)。第1の経路に出力された上り信号は、光受信部63に入力される。第2の経路に出力された上り信号は、遅延部67により遅延が与えられる。
【0080】
光受信部63は、上り信号を電気信号に変換して、ユーザ情報取得部72に出力する。ユーザ情報取得部72は、光受信部63によって受信された電気信号に基づいて、送信元情報を取得する(ステップS204)。例えば、ユーザ情報取得部72は、送信元情報としてONU20-1を特定するための情報を電気信号から取得する。ユーザ情報取得部72は、取得した送信元情報をAMCC信号取り出し部71に出力する。ユーザ情報取得部72は、光受信部63によって受信された電気信号をバースト長取得部64に出力する。
【0081】
バースト長取得部64は、ユーザ情報取得部72から出力された電気信号に基づいて、バースト長情報を取得する(ステップS205)。バースト長取得部64は、取得したバースト長情報をAMCC信号取り出し部71に出力する。
【0082】
AMCC信号生成部65-1~65-nは、管理制御部70に情報が保存されているか否かを確認する。ここでは、ONU20-1に対応する情報が管理制御部70に保存されているものとする。ONU20-1に対応するAMCC信号生成部65-1は、管理制御部70に保存されている情報を用いてAMCC信号を生成する(ステップS206)。具体的には、AMCC信号生成部65-1は、管理制御部70に保存されている、ONU20-1用の情報を含むAMCC信号を生成する。
【0083】
AMCC信号取り出し部71は、ユーザ情報取得部72から取得した送信元情報を元に、送信元のONU20に対応するAMCC信号生成部65-1~65-nを特定する。ユーザ情報取得部72から取得した送信元情報にはONU20-1を特定するための情報が含まれているため、AMCC信号取り出し部71はONU20-1に対応するAMCC信号生成部65-1を特定する。
【0084】
次に、AMCC信号取り出し部71は、バースト長取得部64から取得したバースト長情報に基づいて、特定したAMCC信号生成部65-1が生成したAMCC信号を分割する。具体的には、AMCC信号取り出し部71は、バースト長を超えない大きさの信号となるように、AMCC信号生成部65-1が生成したAMCC信号を分割する。これにより、AMCC信号取り出し部71は、ONU20-1用の分割AMCC信号を取り出す(ステップS207)。AMCC信号取り出し部71は、取り出した分割AMCC信号に識別情報を付与する。AMCC信号取り出し部71は、分割AMCC信号をAMCC信号重畳部68aに出力する。
【0085】
なお、AMCC信号取り出し部71は、分割AMCC信号をまとめて出力するのではなく、バースト長取得部64からバースト長情報が得られる度に出力してもよい。これにより、1つの上りデータの転送タイミングで複数の分割AMCC信号が出力されることがなくなる。
【0086】
AMCC信号重畳部68aは、AMCC信号取り出し部71から出力された分割AMCC信号を、遅延部67により遅延が与えられた上り信号に重畳する(ステップS208)。分割AMCC信号が重畳された上り信号は、光合分波器69に入力される。光合分波器69は、入力された分割AMCC信号が重畳された上り信号をOLT10に出力する(ステップS209)。
【0087】
ONU20の光合分波部11は、光ファイバを介して入力された上り信号を光受信部14に出力する。光受信部14は、光合分波部11を介して入力した上り信号を電気信号に変換する。AMCC信号抽出部151は、光受信部14によって変換された電気信号から分割AMCC信号を抽出する(ステップS210)。AMCC信号抽出部151は、抽出した分割AMCC信号をAMCC信号統合部152に出力する。現時点では、ONU20-1用の分割AMCC信号が1つしかない。この場合、AMCC信号統合部152においてAMCC信号を復元することができない。
【0088】
ステップS202からステップS209までの処理は、中継装置60aにおいて上り信号が得られる度に繰り返し実行される。例えば、ステップS202からステップS209までの処理は、中継装置60aが、分割AMCC信号を送信し終わるまで繰り返し実行される。
【0089】
例えば、再度ONU20-1から送出された上り信号が中継装置60aに受信されたとする。この場合、AMCC信号取り出し部71は、前回分割して送信されていないONU20-1用の分割AMCC信号がある場合には、送信されていないONU20-1用の分割AMCC信号を、新たに得られたバースト長情報に基づいて分割する。なお、送信されていないONU20-1用の分割AMCC信号が、新たに得られたバースト長情報で示されるバースト長よりも小さい場合にはAMCC信号取り出し部71は分割しなくてもよい。そして、AMCC信号取り出し部71は、得られたONU20-1用の分割AMCC信号をAMCC信号重畳部68aに出力する。これにより、残りのONU20-1用の分割AMCC信号がOLT10に送信される。
【0090】
AMCC信号統合部152は、分割AMCC信号が全て揃うまで待機する(ステップS110)。例えば、分割AMCC信号に分割識別情報が付与されている場合には、AMCC信号統合部152は分割終了を示す分割識別情報が付与された分割AMCC信号が取得されるまで処理を待機する。分割AMCC信号に分割識別情報が付与されていない場合には、AMCC信号統合部152は所定期間分の分割AMCC信号が取得されるまで処理を待機する。所定期間は、予め設定されていてもよい。
【0091】
なお、第2の実施形態では、ONU20毎に異なるAMCC信号が生成されているため、AMCC信号統合部152は分割AMCC信号をONU20毎に分類して、全てが揃うまで待機する。例えば、AMCC信号統合部152は、1つのONU20に対する分割AMCC信号が揃った時点で分割AMCC信号を統合する処理を行ってもよい。
【0092】
AMCC信号統合部152は、あるONU20(例えば、ONU20-1)に対応する分割AMCC信号を全て取得すると、取得した複数の分割AMCC信号を統合する(ステップS111)。これにより、ONU20-1用のAMCC信号が復元される。AMCC信号統合部152は、復元したAMCC信号をAMCC信号受信部153に出力する。AMCC信号受信部153は、復元されたAMCC信号を受信する(ステップS112)。その後、AMCC信号受信部153は、受信したAMCC信号に基づいて、ONU20-1の管理及び制御を実施する。
【0093】
以上のように構成された第2の実施形態における光アクセスシステム1では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
さらに、第2の実施形態における光アクセスシステム1では、AMCC信号がONU20毎に生成されるため、ONU20毎に異なるAMCC信号を主信号に重畳することができる。
【0095】
第1の実施形態及び第2の実施形態の変形例について説明する。
第1の実施形態及び第2の実施形態におけるOLT10とONU20とのトポロジーは、パッシブダブルスターに限定されず、バス型やリング型でもよい。
第1の実施形態及び第2の実施形態において、TDM-PON方式によりOLT10とONU20との間で通信が行われるものとして説明したが、TDM-PONに限らず、波長分割多重、符号分割多重、周波数分割多重等の各種分割多重技術をTDMに組み合わせた構成としてもよい。
【0096】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、OLT10内でAMCC信号の抽出を行う構成を示したが、図9に示すように、OLT10と中継装置60との間で分割AMCC信号を抽出するように構成されてもよい。このように構成される場合、OLT10と中継装置60との間において、上り信号を分岐させる機構(例えば、光スプリッタやスイッチ)が備えられればよい。
【0097】
図9は、変形例における光アクセスシステム1bの構成例を示す図である。
光アクセスシステム1bは、OLT10、1以上のONU20、中継装置60及び管理制御装置80を備える。中継装置60と、OLT10との間において、上り信号が分岐されて管理制御装置80に入力されてAMCC信号が抽出される点と、OLT10が管理制御部15を備えない点が、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる。
【0098】
管理制御装置80は、OLT10と中継装置60との間に設けられ、上り信号に重畳された分割AMCC信号を抽出する。管理制御装置80は、光受信部81、AMCC信号抽出部82、AMCC信号統合部83及びAMCC信号受信部84を備える。
【0099】
光受信部81は、内部にフォトディテクタ等のO/E変換器を備える。光受信部81は、中継装置60から転送された上り信号を受信し、受信した上り信号をO/E変換器により電気信号に変換してAMCC信号抽出部82に出力する。光受信部81は、例えばOLT10と中継装置60との間に設けられている光スプリッタから分岐した上り信号を受信してもよい。
【0100】
AMCC信号抽出部82は、AMCC信号抽出部151と同様の処理を行う。
AMCC信号統合部83は、AMCC信号統合部152と同様の処理を行う。
AMCC信号受信部84は、AMCC信号受信部153と同様の処理を行う。
【0101】
光アクセスシステム1bは、中継装置60に代えて中継装置60aを備えてもよい。このように構成される場合、管理制御装置80が備える各機能部は、第2の実施形態におけるOLT10が備える同名の機能部と同様の処理を行う。
【0102】
上述した実施形態におけるOLT10、ONU20、中継装置60,60a及び管理制御装置80の一部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0103】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0104】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、少なくとも時分割多重を行う光アクセスシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0106】
10…OLT(光通信装置), 11…光合分波部, 12…光送信部, 13…メディアアクセス制御部, 14…光受信部, 15…管理制御部, 20…ONU(光通信装置), 60、60a…中継装置, 61、69…光合分波部, 62…分岐器, 63、81…光受信部, 64…バースト長取得部, 65、65-1~65-n…AMCC信号生成部, 66…AMCC信号分割部, 67…遅延部, 68、68a…AMCC信号重畳部, 69…光合分波器, 70…管理制御部, 71…AMCC信号取り出し部, 72…ユーザ情報取得部, 80…管理制御装置(光通信装置), 82、151…AMCC信号抽出部, 83、152…AMCC信号統合部, 84、153…AMCC信号受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11