(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】伝送装置、パス設定方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 47/70 20220101AFI20241218BHJP
【FI】
H04L47/70
(21)【出願番号】P 2023515947
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 JP2021016153
(87)【国際公開番号】W WO2022224373
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新宅 健吾
(72)【発明者】
【氏名】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 史一
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】東森 一晃
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-165334(JP,A)
【文献】特開2012-209839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 47/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送する転送部と、
を備え、
各ユーザ装置から送信された前記制御信号をモニタする制御信号モニタ部をさらに備え、
前記制御信号モニタ部は、前記伝送装置を制御する監視制御装置にモニタ結果を通知し、
前記設定部は、前記監視制御装置により決定された前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する
、
伝送装置。
【請求項2】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送する転送部と、
を備え、
各ユーザ装置から送信された前記制御信号をモニタする制御信号モニタ部をさらに備え、
前記設定部は、前記制御信号モニタ部により得られるモニタ結果を用いて、前記クライアント信号を収容するための帯域を決定し、決定した前記帯域を有するパスを設定する
、
伝送装置。
【請求項3】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送する転送部と、
を備え、
前記設定部は、前記ネゴシエーションのために仮のパスを設定し、前記制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを再度設定する
、
伝送装置。
【請求項4】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送する転送部と、
を備え、
前記転送部は、レーン識別子を伝送路符号内に重畳することによって、クライアント信号をマッピングして転送する
、
伝送装置。
【請求項5】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送する転送部と、
を備え、
前記設定部は、収容する前記クライアント信号の速度に合わせてODUflex及びTS(Tributary Slot)の数を設定する
、
伝送装置。
【請求項6】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置における設定方法であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定
し、
設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送し、
各ユーザ装置から送信された前記制御信号をモニタし、
前記伝送装置を制御する監視制御装置にモニタ結果を通知し、
前記監視制御装置により決定された前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する、
パス設定方法。
【請求項7】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置における設定方法であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定し、
設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送
し、
各ユーザ装置から送信された前記制御信号をモニタし、
モニタ結果を用いて、前記クライアント信号を収容するための帯域を決定し、決定した前記帯域を有するパスを設定する、
パス設定方法。
【請求項8】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置における設定方法であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定し、
設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送
し、
前記ネゴシエーションのために仮のパスを設定し、前記制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを再度設定する、
パス設定方法。
【請求項9】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置における設定方法であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定し、
設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送
し、
レーン識別子を伝送路符号内に重畳することによって、クライアント信号をマッピングして転送する、
パス設定方法。
【請求項10】
ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置における設定方法であって、
前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定し、
設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送
し、
収容する前記クライアント信号の速度に合わせてODUflex及びTS(Tributary Slot)の数を設定する、
パス設定方法。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか一項に記載の伝送装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置、パス設定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長距離かつ大容量の光通信を実現するために、OTN(Optical Transport Network)と呼ばれる光伝送規格が提案される(例えば、非特許文献1参照)。一般的に光伝送網を構成する伝送装置間の光パス(ODU(Optical Data Unit)パス)は予め伝送容量が一意に設定されている必要がある。一方で、USB(Universal Serial Bus)や映像信号(例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)/DisplayPort等)(HDMIは登録商標、以下同様)には、ソース装置とシンク装置との間のネゴシエーションの結果に基づいて、伝送レートが決定される種別がある。例えば、パーソナルコンピュータと表示装置とを接続すると、パーソナルコンピュータと表示装置との両方が対応している解像度(≒伝送レート)がネゴシエーションに基づいて決定される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Kengo Shintaku, et al, “Trends in Standardization of Mapping and Multiplexing Technologies for Optical Transport Networks,” NTT Technical Review, Vol. 18 No. 12, Dec. 2020,<URL: https://www.ntt-review.jp/archive/ntttechnical.php?contents=ntr202012gls.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような信号をODUパスに収容した場合、伝送装置間のODUパスの伝送容量が適切ではなく、過剰又は不足する場合がある。伝送容量が不足していると、例えば映像信号の場合にはシンク装置(例えば、表示装置)において映像が映らない結果となる。その結果、通信事業者による伝送装置のODUパスの設定変更が必要になり、速やかな信号疎通が阻害されてしまうという問題があった。このような問題は、ソース装置とシンク装置との間のネゴシエーションの結果に基づいて、伝送レートが決定される信号種別において生じる問題である。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、通信事業者による伝送装置の設定変更に要する労力を軽減して速やかな信号疎通が可能になる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置であって、前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する設定部と、前記設定部により設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送する転送部と、を備える伝送装置である。
【0007】
本発明の一態様は、ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置における設定方法であって、前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定し、設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送する、パス設定方法である。
【0008】
本発明の一態様は、ユーザ装置間に備えられ、前記ユーザ装置が送信するクライアント信号を光伝送網で伝送する伝送装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、前記ユーザ装置間のネゴシエーション時に送受信される制御信号のモニタ結果により得られる前記クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する設定ステップと、前記設定ステップにより設定された前記パスを利用して前記クライアント信号を転送する転送ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、通信事業者による伝送装置の設定変更に要する労力を軽減して速やかな信号疎通が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態における伝送システムの構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態におけるNW監視制御装置の構成を示す図である。
【
図3】ITU-T勧告G.709のODUフレームに収容される設定値等の配置の第1例を示す図である。
【
図4】ITU-T勧告G.709のODUフレームに収容される設定値等の配置の第2例を示す図である。
【
図5】マッピング方法(1.1)の処理を説明するための図である。
【
図6】マッピング方法(1.2)の処理を説明するための図である。
【
図7】マッピング方法(1.2)の処理を説明するための図である。
【
図8】マッピング方法(1.3)の処理を説明するための図である。
【
図9】マッピング方法(2.1)の処理を説明するための図である。
【
図10】マッピング方法(2.2)の処理を説明するための図である。
【
図11】第1の実施形態における伝送システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図12】第1の実施形態における伝送システムの処理の流れを示すシーケンス図(その1)である。
【
図13】第1の実施形態における伝送システムの処理の流れを示すシーケンス図(その2)である。
【
図14】第2の実施形態における伝送システムの構成を示す図である。
【
図15】第2の実施形態における伝送システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図16】第2の実施形態における伝送システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(概要)
本発明における伝送システムでは、クライアント装置間でネゴシエーションのために送信される制御信号を、クライアント装置間に備えられる2以上の伝送装置の一部又は全てでモニタする。そして、クライアント装置間に備えられる2以上の伝送装置は、モニタ結果に基づいて得られるODUパスの伝送レートを設定する。すなわち、クライアント装置間に備えられる2以上の伝送装置は、クライアント信号を収容するための帯域を有するパスを設定する。このように、クライアント装置が伝送装置に接続されると、自動で信号疎通に適切なODUパスの帯域を設定することができる。したがって、通信事業者による伝送装置のODUパスの設定変更が不要になり、速やかな信号疎通が可能になる。
以下、上記の処理を実現するための具体的な構成について説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における伝送システム100の構成を示す図である。伝送システム100は、ユーザ装置10、ユーザ装置20、伝送装置30、伝送装置40、伝送装置50及びNW監視制御装置60を備える。ユーザ装置10とユーザ装置20との間には、複数の伝送装置30、40及び50が備えられる。伝送装置30、40及び50は、OTNを構成する。伝送装置30、40及び50の間は、光ファイバで接続される。
【0013】
なお、
図1では、伝送システム100が3台の伝送装置30、40及び50を備える構成を示しているが、伝送システム100は少なくとも2台の伝送装置が備えられればよく、4台以上の伝送装置を備えていてもよい。
【0014】
図1において実線71は、ユーザ装置10からユーザ装置20宛に伝送される制御信号の流れを示す。
図1において点線は、ユーザ装置20からユーザ装置10宛に伝送される制御信号の流れを示す。制御信号は、ユーザ装置10とユーザ装置20との間のネゴシエーションのために用いられる信号である。
【0015】
ユーザ装置10とユーザ装置20のインタフェースは、USB又はHDMIのいずれであってもよく、他のインタフェースでもよい。以下の説明では、クライアント信号として、USBやHDMIにより伝送される信号を例に説明するが、クライアント信号はそれらに限らず、ユーザ装置10とユーザ装置20との間のネゴシエーションの結果に基づいて伝送レートが決定される信号種別であればどのような信号であってもよい。
【0016】
以下では、一例として、ユーザ装置10がパーソナルコンピュータであり、ユーザ装置20が表示装置であるとする。この場合、ユーザ装置10は、クライアント信号として映像信号を送信する。
【0017】
ユーザ装置10は、信号生成部11及び信号受信部12を備える。信号生成部11は、クライアント信号及び制御信号を生成する。信号受信部12は、ユーザ装置20から送信された信号(例えば、クライアント信号又は制御信号)であって、伝送装置30、40及び50を介して伝送された信号を受信する。
【0018】
ユーザ装置20は、信号生成部21及び信号受信部22を備える。信号生成部21は、クライアント信号を生成する。信号受信部22は、ユーザ装置10から送信された信号(例えば、クライアント信号又は制御信号)であって、伝送装置30、40及び50を介して伝送された信号を受信する。
【0019】
伝送装置30、40及び50は、ユーザ装置10とユーザ装置20との間で送信される信号を伝送する。伝送装置30は、ユーザ装置10と物理的な線を介して直接接続される。伝送装置50は、ユーザ装置20と物理的な線を介して直接接続される。伝送装置30及び50はそれぞれ、ユーザ装置10又は20から送信された制御信号をモニタし、モニタ結果をNW監視制御装置60に通知する。伝送装置40は、例えば伝送装置30と伝送装置50との間に備えられ、伝送装置30又は伝送装置50から伝送された信号を他の伝送装置に伝送する。
【0020】
NW監視制御装置60は、伝送装置30、40及び50を制御する。例えば、NW監視制御装置60は、伝送装置30、40及び50に対してパスの設定要求を送信して伝送装置30、40及び50においてパスを設定させる。例えば、NW監視制御装置60は、伝送装置30及び50から送信されるモニタ結果に基づいて、伝送装置30、40及び50の伝送レート及び伝送方式を決定する。NW監視制御装置60は、決定した伝送レート及び伝送方式に変更させるための変更要求を伝送装置30、40及び50に送信することによって、伝送装置30、40及び50の伝送レートを制御する。
【0021】
伝送装置30は、Client信号受信部301、ODUflexMap部302、Mux部303、ライン信号送信部304、ライン信号受信部305、De-Mux部306、ODUflexDe-Map部307、Client信号送信部308及び装置監視制御部309を備える。
【0022】
Client信号受信部301は、ユーザ装置10から送信された信号(例えば、制御信号又はクライアント信号)を受信する。
【0023】
ODUflexMap部302は、Client信号受信部301によって受信された信号をG.709に規定されるODUflexに収容する。
【0024】
Mux部303は、1つ以上のODUflexをより高速なODUに時分割多重する。Mux部303が行う処理は、G.709に規定されている。
【0025】
ライン信号送信部304は、Mux部303により時分割多重されたODUを光信号に変換して送信する。
【0026】
ライン信号受信部305は、他の伝送装置(例えば、伝送装置40)から送信されたODUを受信する。
【0027】
De-Mux部306は、ライン信号受信部305により受信されたODUから1つ以上のODUflexを分離する。
【0028】
ODUflexDe-Map部307は、De-Mux部306により分離されたODUflexから信号(制御信号又はクライアント信号)を取り出す。
【0029】
Client信号送信部308は、ODUflexDe-Map部307により取り出されたクライアント信号又は装置監視制御部309から出力された制御信号をユーザ装置10に送信する。
【0030】
装置監視制御部309は、NW監視制御装置60からのコマンドをハンドリングし、伝送装置30の制御を行う。装置監視制御部309は、伝送装置30内の各機能の状態を管理及び監視し、異常があった場合はNW監視制御装置60に通知する。
【0031】
装置監視制御部309は、制御信号モニタ部310及び設定部311を備える。制御信号モニタ部310は、伝送装置30内で伝送される制御信号をモニタする。例えば、制御信号モニタ部310は、Client信号受信部301によって受信された信号をモニタリングし、制御信号を取得する。例えば、制御信号モニタ部310は、ODUflexDe-Map部307によって取り出された信号をモニタリングし、制御信号を取得する。
【0032】
設定部311は、NW監視制御装置60から指示に応じて、Client信号受信部301、ODUflexMap部302、Mux部303、De-Mux部306、ODUflexDe-Map部307及びClient信号送信部308のパラメータの設定を行う。例えば、設定部311は、NW監視制御装置60によりクライアント信号の伝送レートが決定された後、下記のいずれかの方法でODUの帯域を調整する。ここで調整の対象となるのは、クライアント信号の符号化方式や、クライアント信号の帯域、クライアント信号を収容したODUflexの帯域と、高速なODUフレームへ時分割多重される際に用いるTS(Tributary Slot)の数である。TS数は、ODUflexの帯域の情報と、ライン信号の伝送速度とに基づいて算出される。TS数の算出には、ITU-T G.709に記載の既存の手法が用いられる。
【0033】
ODUの帯域を調整する方法としては、以下の2つの方法が挙げられる。
方法1)ODUflex、TS数ともに伝送装置の設定を一旦削除し、再設定する。
方法2)ITU-T G.7044で規定されるHitless adjustment of ODUflex(GFP)を用いる。
【0034】
上記のいずれかの方法により、設定部311は、Client信号受信部301及びClient信号送信部308に対しクライアント信号の符号化方式や、クライアント信号の帯域を設定し、ODUflexMap部302及びODUflexDe-Map部307に対して、ODUflexレートの設定を行う。また、設定部311は、Mux部303及びDe-Mux部306に対して、TS数の設定を行う。
【0035】
伝送装置40は、ライン信号受信部401、De-Mux部402、ODU-XC部403、Mux部404、ライン信号送信部405、ライン信号受信部406、De-Mux部407、ODU-XC部408、Mux部409、ライン信号送信部410及び装置監視制御部411を備える。
【0036】
ライン信号受信部401は、他の伝送装置(例えば、伝送装置30)から送信されたODUを受信する。
【0037】
De-Mux部402は、ライン信号受信部401により受信されたODUから1つ以上のODUflexを分離する。
【0038】
ODU-XC部403は、De-Mux部402により分離された1つ以上のODUflexのクロスコネクト(スイッチング)を行う。
【0039】
Mux部404は、1つ以上のODUflexをより高速なODUに時分割多重する。Mux部404が行う処理は、G.709に規定されている。
【0040】
ライン信号送信部405は、Mux部404により時分割多重されたODUを伝送装置50に送信する。
【0041】
ライン信号受信部406は、他の伝送装置(例えば、伝送装置50)から送信されたODUを受信する。
【0042】
De-Mux部407は、ライン信号受信部406により受信されたODUから1つ以上のODUflexを分離する。
【0043】
ODU-XC部408は、De-Mux部407により分離された1つ以上のODUflexのODUのクロスコネクト(スイッチング)を行う。
【0044】
Mux部409は、1つ以上のODUflexをより高速なODUに時分割多重する。Mux部409が行う処理は、G.709に規定されている。
【0045】
ライン信号送信部410は、Mux部409により時分割多重されたODUを伝送装置30に送信する。
【0046】
装置監視制御部411は、NW監視制御装置60からのコマンドをハンドリングし、伝送装置40の制御を行う。装置監視制御部411は、伝送装置40内の各機能の状態を管理及び監視し、異常があった場合はNW監視制御装置60に通知する。
【0047】
装置監視制御部411は、設定部412を備える。設定部412は、NW監視制御装置60から指示に応じて、De-Mux部402、ODU-XC部403、Mux部404、De-Mux部407、ODU-XC部408及びMux部409のパラメータの設定を行う。例えば、設定部412は、NW監視制御装置60によりクライアント信号の伝送レートが決定された後、上記に示した方法1又は2によりODUの帯域を調整する。
【0048】
上記に示した方法1又は2により、設定部412は、ODU-XC部403及びODU-XC部408に対して、ODUflexレートの設定を行う。例えば、設定部412は、De-Mux部402、Mux部404、De-Mux部407及びMux部409に対して、TS数の設定を行う。
【0049】
伝送装置50は、ライン信号受信部501、De-Mux部502、ODUflexDe-Map部503、Client信号送信部504、Client信号受信部505、ODUflexMap部506、Mux部507、ライン信号送信部508及び装置監視制御部509を備える。
【0050】
ライン信号受信部501は、他の伝送装置(例えば、伝送装置40)から送信されたODUを受信する。
【0051】
De-Mux部502は、ライン信号受信部501により受信されたODUから1つ以上のODUflexを分離する。
【0052】
ODUflexDe-Map部503は、De-Mux部502により分離されたODUflexから信号(制御信号又はクライアント信号)を取り出す。
【0053】
Client信号送信部504は、ODUflexDe-Map部503により取り出されたクライアント信号又は装置監視制御部509から出力された制御信号をユーザ装置20に送信する。
【0054】
Client信号受信部505は、ユーザ装置20から送信された信号(例えば、制御信号又はクライアント信号)を受信する。
【0055】
ODUflexMap部506は、Client信号受信部505によって受信された信号をG.709に規定されるODUflexに収容する。
【0056】
Mux部507は、1つ以上のODUflexをより高速なODUに時分割多重する。Mux部507が行う処理は、G.709に規定されている。
【0057】
ライン信号送信部508は、Mux部507により時分割多重されたODUを光信号に変換して送信する。
【0058】
装置監視制御部509は、NW監視制御装置60からのコマンドをハンドリングし、伝送装置50の制御を行う。装置監視制御部509は、伝送装置50内の各機能の状態を管理及び監視し、異常があった場合はNW監視制御装置60に通知する。
【0059】
装置監視制御部509は、制御信号モニタ部510及び設定部511を備える。制御信号モニタ部510は、伝送装置50内で伝送される制御信号をモニタする。例えば、制御信号モニタ部510は、Client信号受信部505によって受信された信号をモニタリングし、制御信号を取得する。例えば、制御信号モニタ部510は、ODUflexDe-Map部503によって取り出された信号をモニタリングし、制御信号を取得する。
【0060】
設定部511は、NW監視制御装置60から指示に応じて、De-Mux部502、ODUflexDe-Map部503、Client信号送信部504、Client信号受信部505、ODUflexMap部506及びMux部507のパラメータの設定を行う。例えば、設定部511は、NW監視制御装置60によりクライアント信号の伝送レートが決定された後、上記の方法1又は2によりODUの帯域を調整する。
【0061】
上記の方法1又は2により、設定部511は、Client信号送信部504及びClient信号受信部505に対しクライアント信号の符号化方式や、クライアント信号の帯域を設定し、ODUflexDe-Map部503及びODUflexMap部506に対して、ODUflexレートの設定を行う。例えば、設定部511は、De-Mux部502及びMux部507に対して、TS数の設定を行う。
【0062】
図2は、第1の実施形態におけるNW監視制御装置60の構成を示す図である。 NW監視制御装置60は、通信部61、制御部62及び記憶部63を備える。
【0063】
通信部61は、NW監視制御装置60を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部61は、有線により伝送装置30、40及び50と通信する。例えば、通信部61は、伝送装置30及び50からモニタ結果を受信する。
【0064】
制御部62は、NW監視制御装置60全体を制御する。制御部62は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部62は、プログラムを実行することによって、設定要求部621及び決定部622の機能を実現する。
【0065】
設定要求部621は、伝送装置30、40及び50に対してパスの設定を要求する。
【0066】
決定部622は、通信部61により受信されたモニタ結果に基づいて、伝送装置30、40及び50に対して設定させる伝送レート及び伝送方式を決定する。
【0067】
記憶部63は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部63には、制御テーブルが記憶される。制御テーブルには、モニタ結果と、伝送レート及び伝送方式とが対応付けられている。
【0068】
次に、制御信号の転送方法について説明する。制御信号は、IP(Internet Protocol)パケット(RFC2460)、MAC(Media Access Control)フレーム(IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3)、又は、PPP(Point-to-Point Protocol)(RFC(Request For Comments)1661)のGFP(Generic Framing Procedure)フレーム(ITU-T G.7041)等にカプセル化されてから多重されてもよい。伝送装置30及び50は、制御信号を、以下の手法1~3いずれかの手法により転送する。なお、制御信号を手法3で転送する場合には、伝送装置30及び50は、当該領域に直接ビットマッピングしてもよい。
【0069】
(制御信号の転送手法1)
・仮ODUパスをあらかじめ張っておき、ODUフレームに収容する。
ここで、仮ODUパスとは、ユーザ装置10とユーザ装置20との間で行われるネゴシエーションの前に、伝送装置30、40及び50間で設定されるパスである。仮ODUパスの帯域は、NW監視制御装置60からの要求の中の1パラメータとして設定されるが、全ての伝送装置30、40及び50に同じ帯域が設定されるのであれば、どの帯域であってもよい。一例として、HDMI2.1の映像信号を伝送させたいので48Gbpsのパスを設定するといったように、信号種別を想定して設定される。
【0070】
ODUフレームに収容する場合、伝送装置30及び50は、
図3又は
図4にハッチで示す領域に制御信号を収容して転送する。
図3は、ITU-T勧告G.709(OTUk(Optical Transport Unit k),OTUc(Optical Transport Unit c))のODUフレームに収容される設定値等の配置の第1例を示す図である。例えば、ODUフレームの定義においてメッシュで示されたビット領域に、設定値等が収容される。ここで、「Payload」は、ペイロード領域を表す。
【0071】
図4は、ITU-T勧告G.709.1(FlexO)のODUフレームに収容される設定値等の配置の第2例を示す図である。例えば、
図3に示されたODUフレームの定義においてメッシュで示されたビット領域に、設定値等が収容される。ここで、「OH」は、オーバヘッド領域を表す。「FS」は、「Fixed Stuff」領域(固定のスタッフィング領域)を表す。
【0072】
(制御信号の転送手法2)
・監視制御網を経由
図1では示していないが、伝送装置30及び50を他のネットワーク(監視制御網)で接続し、伝送装置30及び50は、他のネットワーク経由で制御信号を転送する。この場合、伝送装置30は、他のネットワーク経由で制御信号を伝送装置50に転送し、伝送装置50は、他のネットワーク経由で制御信号を伝送装置30に転送する。
【0073】
(制御信号の転送手法3)
・G.709で規定されるOSC(Optical Supervisory Channel)などの別波長の信号を用いて転送
【0074】
次に、伝送装置30及び50におけるクライアント信号のマッピング方法について説明する。クライアント信号をODUflexにマッピングするにあたり、下記を考慮する必要がある。
・クライアント信号は一般的に伝送路符号化されている。
・複数の物理信号線を並列に用いて伝送するマルチレーン伝送を用いている場合がある。シリアルな信号であるODUflexへ収容する際には、送信端でシリアル化、受信端でマルチレーン化する必要がある。
【0075】
上記に対応するために、クライアント信号の収容は下記のいずれかの方法を用いる。なお、下記に示す(1.2)以外はEthenet信号等のOTNの収容で実施されている。
1.クライアント信号をG.709記載のCBR(Constant Bit Rate)信号とみなし、ODUflexへGMP(General Mapping Procedure)もしくは、BMP(Bit-synchronous Mapping Procedure)を用いて収容する。この場合、手法として、(1.1)~(1.3)の3つの手法がある。
(1.1):レーン識別子を付与しながらシリアル化する(トランスコード)
(1.2):レーン識別子を伝送路符号内に重畳する
(1.3):レーン識別子を付与せず、全パタンのLane re-orderを試行(総当たりでdecode可能かどうかを確認)
【0076】
2.Non-CBR信号としてカプセル化する。この場合、手法として、(2.1)~(2.2)の2つの手法がある。
(2.1):伝送路符号を一旦解いてカプセル化
(2.2):伝送路符号を解かずにカプセル化
なお、カプセル化の手法としては、GFP-f、MACフレーム、IPパケットがある。
【0077】
上記に示した手法について、
図5~
図10を用いて具体的に説明する。なお、
図5~
図10では、マルチレーンの構成を示しているが、シングルレーンにも適用可能である。
【0078】
(マッピング方法(1.1))
図5は、マッピング方法(1.1)の処理を説明するための図である。
図5に示す例では、一例としてUSB3.2(128b/132b、10G×2レーン)をトランスコードする場合を示している。
図5に示すように、レーンを識別するための識別子を付与してシリアル化することによって受信端の伝送装置で容易にパラレル化することができる。
【0079】
(マッピング方法(1.2))
図6及び7は、マッピング方法(1.2)の処理を説明するための図である。
図6では、一例としてUSB3.2(128b/132b、10G×2レーン)の132b符号内のブロックヘッダを利用する場合を示している。128b/132b符号化として、8bit×16Symbolに4bitのBlock Headerを付与。Block Headerはデータブロックか、コントロールブロックかを識別する。1bitの誤り耐性を有しており、例えば“0100”というブロックヘッダを受信した場合においても、受信端で“1100(データブロック)”として処理する。
【0080】
図7では一例としてUSB3.2(128b/132b、10G×2レーン)の132b符号内のブロックヘッダを利用する場合を示している。この手法では、4bitのブロックヘッダをレーン識別に利用する。送信端はブロックヘッダを付け替える。例えば、“0001”をLane0のコントロールブロック、“1011”をLane1のコントロールブロック、“0100”をLane0のデータブロック、“1110”をLane1のデータブロックとして付け替える。
【0081】
(マッピング方法(1.3))
図8は、マッピング方法(1.3)の処理を説明するための図である。
図8に示す例では、マッピング方法(1.1)と異なり、レーンを識別するための識別子を付与せずにシリアル化する。そして、受信端の伝送装置では、信号が疎通できるまで総当たりでマルチレーン化の試行を行う。
【0082】
(マッピング方法(2.1))
図9は、マッピング方法(2.1)の処理を説明するための図である。
図9に示す例では、送信端の伝送装置は、一度伝送路符号をデコードした後にカプセル化する。カプセル化にはIPパケット(RFC2460)やMACフレーム(IEEE802.3)、GFPフレーム(ITU-T G.7041)などを用いることができる。このように、送信端の伝送装置は、クライアント信号をマッピングして送信する。
【0083】
(マッピング方法(2.2))
図10は、マッピング方法(2.2)の処理を説明するための図である。
図10に示す例では、送信端の伝送装置は、伝送路符号をデコードせずにカプセル化する。カプセル化にはIPパケット(RFC2460)やMACフレーム(IEEE802.3)、GFPフレーム(ITU-T G.7041)などを用いることができる。このように、送信端の伝送装置は、クライアント信号をマッピングして送信する。
【0084】
図11及び12は、第1の実施形態における伝送システム100の処理の流れを示すシーケンス図(その1)である。
図11及び12では、ユーザ装置10及び20が、伝送装置30,40,50において仮ODUパスが設定された後に伝送装置30及び50に接続される構成について説明する。
【0085】
NW監視制御装置60の設定要求部621は、仮ODUパスの設定要求を伝送装置30、40及び50に送信する(ステップS101)。仮ODUパスの設定要求には、ODUflexの帯域の情報が含まれる。伝送装置30、40及び50は、NW監視制御装置60から送信された設定要求を受信する。伝送装置30、40及び50は、受信した設定要求に従って、仮のODUパスを設定する(ステップS102、S103、S104)。
【0086】
伝送装置30、40及び50の設定部311、412及び511は、仮ODUパスの設定要求に含まれるODUflexの帯域の情報に基づいて、ODUflexの伝送レートを設定する。さらに、設定部311、412及び511は、仮ODUパスの設定要求に含まれるODUflexの帯域の情報と、ライン信号の伝送速度とに基づいてTS数を算出する。設定部311、412及び511は、算出したTS数の値を設定する。
【0087】
その後、ユーザ装置10が伝送装置30に配線により物理的に接続され(ステップS105)、ユーザ装置20が伝送装置50に配線により物理的に接続されたとする(ステップS106)。ユーザ装置10の信号生成部11は、制御信号を生成する。信号生成部11は、生成した制御信号を伝送装置30に送信する(ステップS107)。
【0088】
伝送装置30のClient信号受信部301は、ユーザ装置10から送信された制御信号を受信する。制御信号モニタ部310は、Client信号受信部301により受信された制御信号をモニタする(ステップS108)。
【0089】
制御信号モニタ部310は、Client信号受信部301から得られた制御信号をODUflexMap部302に出力する。その後、伝送装置30は、上記に示した手法1~3のいずれかの転送手法で制御信号を転送する(ステップS109)。
図11及び
図12に示す例では、仮ODUパスが設定されているため、伝送装置30は、(制御信号の転送手法1)により制御信号を伝送装置40に転送する。制御信号は、伝送装置40を介して伝送装置50に転送される。
【0090】
ステップS101の処理に示すような仮ODUパスの設定要求がない場合には、各伝送装置30、40及び50間には仮ODUパスが設定されない。このような場合、伝送装置30は、制御信号の転送手法2又は制御信号の転送手法3のいずれかの手法により制御信号を転送してもよいし、
図13に示すように仮ODUパスが設定された後に、伝送装置30,50が、ユーザ装置10,20へ制御信号送信の要求を行うことで、ネゴシエーションの開始をうながしてもよい。この場合、
図11に代えて
図13に示す処理が実行される。
図13に示す処理については後述する。
【0091】
伝送装置50のライン信号受信部501は、伝送装置40から伝送された制御信号を受信する。伝送装置50のODUflexDe-Map部503は、制御信号を取り出す。制御信号モニタ部510は、ODUflexDe-Map部503により取り出された制御信号をモニタする(ステップS110)。制御信号モニタ部510は、ODUflexDe-Map部503から得られた制御信号をClient信号送信部504に出力する。Client信号送信部504は、制御信号をユーザ装置20に送信する(ステップS111)。
【0092】
ユーザ装置20の信号生成部21は、制御信号を生成する。信号生成部21は、生成した制御信号を伝送装置50に送信する(ステップS112)。伝送装置50のClient信号受信部505は、ユーザ装置20から送信された制御信号を受信する。制御信号モニタ部510は、Client信号受信部505により受信された制御信号をモニタする(ステップS113)。
【0093】
制御信号モニタ部510は、Client信号受信部505から得られた制御信号をODUflexMap部506に出力する。伝送装置50は、制御信号の転送処理を行う(ステップS114)。
図11及び
図12に示す例では、仮ODUパスが設定されているため、伝送装置50は、(制御信号の転送手法1)により制御信号を転送する。
【0094】
伝送装置30のライン信号受信部305は、伝送装置40から伝送された信号を受信する。伝送装置30のODUflexDe-Map部307は、制御信号を取り出す。制御信号モニタ部310は、ODUflexDe-Map部307により取り出された制御信号をモニタする(ステップS115)。制御信号モニタ部310は、ODUflexDe-Map部307から得られた制御信号をClient信号送信部308に出力する。Client信号送信部308は、制御信号をユーザ装置10に送信する(ステップS116)。
【0095】
伝送装置30の制御信号モニタ部310は、モニタ結果をNW監視制御装置60に通知する(ステップS117)。具体的には、制御信号モニタ部310は、ユーザ装置10から送信された制御信号と、ユーザ装置20から送信された制御信号とのハンドシェイクの結果であるモニタ結果をNW監視制御装置60に通知する。
【0096】
伝送装置50の制御信号モニタ部510は、モニタ結果をNW監視制御装置60に通知する(ステップS118)。具体的には、制御信号モニタ部510は、ユーザ装置10から送信された制御信号と、ユーザ装置20から送信された制御信号とのハンドシェイクの結果であるモニタ結果をNW監視制御装置60に通知する。
【0097】
ステップS117及びS118の処理により、NW監視制御装置60の通信部61は、2つの伝送装置30,50それぞれからモニタ結果を受信する。決定部622は、受信したモニタ結果と、記憶部63に記憶されている制御テーブルとを用いて伝送レート及び伝送方式を決定する(ステップS119)。通信部61は、決定された伝送レート及び伝送方式の情報を含む変更要求を各伝送装置30、40及び50に送信する(ステップS120)。
【0098】
伝送装置30、40及び50は、NW監視制御装置60から送信された変更要求を受信する。伝送装置30、40及び50の設定部311、412及び511は、変更要求に従ってODUパスを設定する(ステップS121、S122及びS123)。その後、ユーザ装置10とユーザ装置20との間では、クライアント信号の送受信が行われる。
【0099】
次に、
図13を用いて、仮ODUパスが設定された後に、伝送装置30,50が、ユーザ装置10,20へ制御信号送信の要求を行うことで、ネゴシエーションの開始を促す構成について説明する。
図13は、第1の実施形態における伝送システム100の処理の流れを示すシーケンス図(その2)である。なお、
図13において
図11と同様の処理については
図11と同様の符号を付して説明を省略する。
【0100】
ユーザ装置10が伝送装置30に配線により物理的に接続され(ステップS150)、ユーザ装置20が伝送装置50に配線により物理的に接続されたとする(ステップS151)。その後、NW監視制御装置60の設定要求部621は、仮ODUパスの設定要求を伝送装置30、40及び50に送信する(ステップS152)。伝送装置30、40及び50は、NW監視制御装置60から送信された設定要求を受信する。伝送装置30、40及び50は、受信した設定要求に従って、仮のODUパスを設定する(ステップS153、S154、S155)。
【0101】
伝送装置30は、仮ODUパスが張られた後に、制御信号の送信要求をユーザ装置10に送信する(ステップS156)。ユーザ装置10は、伝送装置30から送信された制御信号の送信要求を受信する。伝送装置50は、仮ODUパスが張られた後に、制御信号の送信要求をユーザ装置20に送信する(ステップS157)。ユーザ装置20は、伝送装置50から送信された制御信号の送信要求を受信する。
【0102】
ユーザ装置10の信号生成部11は、伝送装置30から送信された制御信号の送信要求の受信に応じて制御信号を生成する。信号生成部11は、生成した制御信号を伝送装置30に送信する(ステップS158)。その後、ステップS108からステップS111までの処理が実行される。
【0103】
ユーザ装置20の信号生成部21は、伝送装置50から送信された制御信号の送信要求の受信に応じて制御信号を生成する。信号生成部21は、生成した制御信号を伝送装置50に送信する(ステップS159)。なお、
図13では、説明の都合上、ユーザ装置20が制御信号を送信するタイミングが、ユーザ装置10から送信された制御信号を受信した後、かつ、伝送装置50から送信された制御信号の送信要求の受信後となっているが、ユーザ装置20は伝送装置50から送信された制御信号の送信要求の受信後であればどのタイミングで制御信号を送信してもよい。例えば、ユーザ装置20は、伝送装置50から送信された制御信号の送信要求の受信後のステップS108の処理の前に、制御信号を送信してもよい。
【0104】
以上のように構成された伝送システム100によれば、ユーザ装置10とユーザ装置20との間でネゴシエーションのために送信される制御信号を、伝送装置30及び50でモニタする。そして、伝送装置30、40及び50は、モニタ結果に基づいて得られるODUパスの伝送レートを設定する。これにより、ユーザ装置10とユーザ装置20とを伝送装置に接続するだけで、自動で信号疎通に適切なODUパスの帯域を設定することができる。そのため、通信事業者による伝送装置のODUパスの設定変更が不要になり、速やかな信号疎通が可能になる。
【0105】
なお、説明の都合により、
図12ではユーザ装置10とユーザ装置20との間の制御信号は一往復分しかやり取りされていないが、複数回の制御信号の往復によるネゴシエーションでもよい。このように構成される場合、NW監視制御装置60は、複数回分の制御信号に基づいて、伝送装置30、40及び50の伝送レート及び伝送方式を決定してもよい。また
図12のようにユーザ装置10とユーザ装置20との間の制御信号をシーケンシャルに送りあうだけでなく、ユーザ装置10からユーザ装置20への制御信号と、ユーザ装置20からユーザ装置10への制御信号とが同時に送受信されていてもよい。
【0106】
(第1の実施形態における変形例)
図12のステップS120の処理では、NW監視制御装置60の通信部61が、決定された伝送レート及び伝送方式の情報を含む変更要求を全ての伝送装置30、40及び50に送信する構成を示したが、これに限られない。例えば、通信部61は、変更要求を伝送装置30及び50に送信し、伝送装置30又は50のいずれかが伝送装置40に通知するように構成されてもよい。
【0107】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、一部の伝送装置が制御信号をモニタし、NW監視制御装置が全ての伝送装置の伝送レート及び伝送方式を決定する構成を示した。第2の実施形態では、全ての伝送装置が制御信号をモニタし、各伝送装置において伝送レート及び伝送方式を決定する構成について説明する。
【0108】
図14は、第2の実施形態における伝送システム100aの構成を示す図である。伝送システム100aは、ユーザ装置10、ユーザ装置20、伝送装置30a、伝送装置40a、伝送装置50a及びNW監視制御装置60aを備える。伝送システム100aは、伝送装置30a、伝送装置40a、伝送装置50a及びNW監視制御装置60aの構成が異なる点で伝送システム100と相違する。以下、相違点について説明する。
【0109】
NW監視制御装置60aは、第1の実施形態におけるNW監視制御装置60と異なりモニタ結果に基づく伝送レートの決定を行わない。すなわち、NW監視制御装置60aは、決定部622及び記憶部63を備えない。それ以外の構成については、NW監視制御装置60aはNW監視制御装置60と同様の処理を行う。
【0110】
第2の実施形態における伝送システム100aでは、全ての伝送装置30a、40a及び50aが、制御信号をモニタするための制御信号モニタ部を備える。各伝送装置30a、40a及び50aが備える制御信号モニタ部310、413及び510は、モニタ結果をNW監視制御装置60aに送信しない。
【0111】
さらに、伝送装置30a、40a及び50aが備える設定部311a、412a及び511aが、第1の実施形態における処理に加えて、決定部622の機能を備える。すなわち、設定部311a、412a及び511aは、モニタ結果に基づいて伝送レート及び伝送方式を決定する。設定部311a、412a及び511aは、決定した伝送レート及び伝送レートに基づくTS数を設定する。
【0112】
図15及び16は、第2の実施形態における伝送システム100aの処理の流れを示すシーケンス図である。
図15及び16において、
図11及び12と同様の処理については
図11及び12と同様の符号を付して説明を省略する。
ステップS101からステップS107までの処理が行われると、伝送装置30aのClient信号受信部301は、ユーザ装置10から送信された制御信号を受信する。制御信号モニタ部310は、Client信号受信部301により受信された制御信号をモニタする(ステップS201)。制御信号モニタ部310は、モニタ結果を設定部311aに出力する。
【0113】
制御信号モニタ部310は、Client信号受信部301から得られた制御信号をODUflexMap部302に出力する。その後、伝送装置30aは、上記に示した手法1~3のいずれかの転送手法で制御信号を転送する(ステップS202)。
図15及び
図16に示す例では、仮ODUパスが設定されているため、伝送装置30aは、(制御信号の転送手法1)により制御信号を伝送装置40aに転送する。
【0114】
伝送装置40aのライン信号受信部401は、伝送装置30aから伝送された制御信号を受信する。De-Mux部402は、ライン信号受信部401により受信されたODUから1つ以上のODUflexを分離する。これにより、制御信号が分離される。制御信号モニタ部413は、De-Mux部402により分離された制御信号をモニタする(ステップS203)。制御信号モニタ部413は、モニタ結果を設定部412aに出力する。その後、伝送装置40aは、上記に示した手法1~3のいずれかの転送手法で制御信号を伝送装置50aに転送する(ステップS204)。
【0115】
伝送装置50aのライン信号受信部501は、伝送装置40aから伝送された制御信号を受信する。伝送装置50aのODUflexDe-Map部503は、制御信号を取り出す。制御信号モニタ部510は、ODUflexDe-Map部503により取り出された制御信号をモニタする(ステップS205)。制御信号モニタ部510は、モニタ結果を設定部511aに出力する。制御信号モニタ部510は、ODUflexDe-Map部503から得られた制御信号をClient信号送信部504に出力する。Client信号送信部504は、制御信号をユーザ装置20に送信する(ステップS111)。
【0116】
ユーザ装置20の信号生成部21は、制御信号を生成する。信号生成部21は、生成した制御信号を伝送装置50aに送信する(ステップS112)。伝送装置50aのClient信号受信部505は、ユーザ装置20から送信された制御信号を受信する。制御信号モニタ部510は、Client信号受信部505により受信された制御信号をモニタする(ステップS206)。制御信号モニタ部510は、モニタ結果を設定部511aに出力する。
【0117】
制御信号モニタ部510は、Client信号受信部505から得られた制御信号をODUflexMap部506に出力する。伝送装置50aは、制御信号の転送処理を行う(ステップS207)。
図11及び
図12に示す例では、仮ODUパスが設定されているため、伝送装置50aは、(制御信号の転送手法1)により制御信号を伝送装置40aに転送する。
【0118】
伝送装置40aのライン信号受信部406は、伝送装置50aから伝送された制御信号を受信する。De-Mux部407は、ライン信号受信部406により受信されたODUから1つ以上のODUflexを分離する。これにより、制御信号が分離される。制御信号モニタ部413は、De-Mux部407により分離された制御信号をモニタする(ステップS208)。制御信号モニタ部413は、モニタ結果を設定部412aに出力する。その後、伝送装置40aは、上記に示した手法1~3のいずれかの転送手法で制御信号を伝送装置30aに転送する(ステップS209)。
【0119】
伝送装置30aのライン信号受信部305は、伝送装置40aから伝送された制御信号を受信する。伝送装置30aのODUflexDe-Map部307は、制御信号を取り出す。制御信号モニタ部310は、ODUflexDe-Map部307により取り出された制御信号をモニタする(ステップS210)。制御信号モニタ部310は、モニタ結果を設定部311aに出力する。制御信号モニタ部310は、ODUflexDe-Map部307から得られた制御信号をClient信号送信部308に出力する。Client信号送信部308は、制御信号をユーザ装置10に送信する(ステップS116)。
【0120】
伝送装置30aの設定部311aは、得られた複数のモニタ結果と、制御テーブルとを用いて伝送レート及び伝送方式を決定する(ステップS211)。伝送装置40aの設定部412aは、得られた複数のモニタ結果と、制御テーブルとを用いて伝送レート及び伝送方式を決定する(ステップS212)。伝送装置50aの設定部511aは、得られた複数のモニタ結果と、制御テーブルとを用いて伝送レート及び伝送方式を決定する(ステップS213)。
【0121】
設定部311a、412a及び511aは、決定した伝送レートに基づいてODUパスを設定する(ステップS214、S215及びS216)。その後、ユーザ装置10とユーザ装置20との間では、クライアント信号の送受信が行われる。
【0122】
以上のように構成された伝送システム100aによれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0123】
伝送システム100aでは、最初の仮ODUパスの設定のみNW監視制御装置60aで行い、その後の各伝送装置30a、40a及び50aの設定は自律的に行われる。これにより、ユーザ装置10とユーザ装置20とを伝送装置に接続するだけで、自動で信号疎通に適切なODUパスの帯域を設定することができる。そのため、通信事業者による伝送装置のODUパスの設定変更が不要になり、速やかな信号疎通が可能になる。
【0124】
(第2の実施形態における変形例)
伝送システム100aでは、第1の実施形態と同様に、仮ODUパスが設定された後に、伝送装置30a,50aが、ユーザ装置10,20へ制御信号送信の要求を行うことで、ネゴシエーションの開始を促すように構成されてもよい。
【0125】
なお、説明の都合により、
図16ではユーザ装置10とユーザ装置20との間の制御信号は一往復分しかやり取りされていないが、複数回の制御信号の往復によるネゴシエーションでもよい。このように構成される場合、各伝送装置30a、40a及び50aは、複数回分の制御信号に基づいて、伝送装置30a、40a及び50aの伝送レート及び伝送方式を決定してもよい。また
図16のようにユーザ装置10とユーザ装置20との間の制御信号をシーケンシャルに送りあうだけでなく、ユーザ装置10からユーザ装置20への制御信号と、ユーザ装置20からユーザ装置10への制御信号とが同時に送受信されていてもよい。
【0126】
上述した実施形態における伝送装置30、30a、40、40a、50、50aの一部の機能部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0127】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0128】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、光伝送網の多重収容技術に適用できる。
【符号の説明】
【0130】
10、20…ユーザ装置, 11、21…信号生成部, 12、22…信号受信部, 30、30a、40、40a、50、50a…伝送装置, 60、60a…NW監視制御装置, 61…通信部, 62…制御部, 63…記憶部, 301、505…Client信号受信部, 302、506…ODUflexMap部, 303、404、409、507…Mux部, 304、405、410、508…ライン信号送信部, 305、401、406、501…ライン信号受信部, 306、402、407、502…De-Mux部, 307、503…ODUflexDe-Map部, 308、504…Client信号送信部, 309、411、509…装置監視制御部, 310、510…制御信号モニタ部, 311、312a、412、412a、511、511a…設定部, 403、408…ODU-XC部, 621…設定要求部, 62…制御部