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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物及び化合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/02 20060101AFI20241218BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20241218BHJP
   C09B 5/62 20060101ALI20241218BHJP
   C08K 5/3412 20060101ALI20241218BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
C08L101/02
C09B67/20 F CSP
C09B5/62
C08K5/3412
G02B5/20 101
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021036431
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136701
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱木 裕史
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/065802(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0098047(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
G02B 5/20- 5/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有し、着色剤が式(I)で表される化合物を含む着色樹脂組成物。
【化1】

[式(I)中、
1~R8は、互いに独立に、水素原子、-Ra1、-ORa1、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、-CO-O-Ra1、-O-CO-Ra1、-CO-Ra1、又はニトロ基を表し、R7とR8とは互いに結合して環を形成してもよい。
a1は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
1は、n価の連結基を表す。
nは、2を表す。]
【請求項2】
さらに重合性化合物及び重合開始剤を含有する請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項3に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【請求項5】
式(I-a)で表される化合物。
【化2】

[式(I-a)中、
1~R8は、互いに独立に、水素原子、-Ra1、-ORa1、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、-CO-O-Ra1、-O-CO-Ra1、-CO-Ra1、又はニトロ基を表し、R7とR8とは互いに結合して環を形成してもよい。
a1は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
xは、窒素原子を表す。
2は、芳香族環を含むn価の連結基を表し、該芳香族環を構成する炭素原子がNxと直接結合する。
nは、2を表す。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物及び化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置及びプラズマディスプレイ等の表示装置やCCDやCMOSセンサ等の固体撮像素子に使用されるカラーフィルタは、着色樹脂組成物から製造される。該カラーフィルタ形成のための着色樹脂組成物として、種々の着色剤が使用されている。
【0003】
例えば、下記式(x)で表されるペリレン化合物は、着色剤として使用できることが知られている(非特許文献1)。
【0004】
【化1】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】BASF社技報(Lumogen(登録商標)F)、BASF社、1997年11月、2-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のペリレン化合物は、着色樹脂組成物とした際に耐熱性が十分に満足できない場合があった。そこで本発明は、耐熱性に優れたカラーフィルタを形成可能な着色樹脂組成物及び化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 着色剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有し、着色剤が式(I)で表される化合物を含む着色樹脂組成物。
【化2】

[式(I)中、
1~R8は、互いに独立に、水素原子、-Ra1、-ORa1、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、-CO-O-Ra1、-O-CO-Ra1、-CO-Ra1、又はニトロ基を表し、R7とR8とは互いに結合して環を形成してもよい。
a1は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
1は、n価の連結基を表す。
nは、2~6の整数を表す。]
[2] さらに重合性化合物及び重合開始剤を含有する[1]に記載の着色樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]に記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[4] [3]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
[5] 式(I-a)で表される化合物。
【化3】

[式(I-a)中、
1~R8は、互いに独立に、水素原子、-Ra1、-ORa1、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、-CO-O-Ra1、-O-CO-Ra1、-CO-Ra1、又はニトロ基を表し、R7とR8とは互いに結合して環を形成してもよい。
a1は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
xは、窒素原子を表す。
2は、芳香族環を含むn価の連結基を表し、該芳香族環を構成する炭素原子がNxと直接結合する。
nは、2~6の整数を表す。]
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐熱性に優れたカラーフィルタを形成可能な着色樹脂組成物及び化合物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(以下、着色剤(A)という場合がある)及びアルカリ可溶性樹脂(以下、樹脂(B)という場合がある)を含有し、着色剤が式(I)で表される化合物を含む。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに重合性化合物(以下、重合性化合物(C)という場合がある)及び重合開始剤(以下、重合開始剤(D)という場合がある)を含んでいてもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに溶剤(以下、溶剤(E)という場合がある)を含んでいてもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに重合開始助剤(以下、重合開始助剤(D1)という場合がある)を含んでいてもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、さらにレベリング剤(以下、レベリング剤(F)という場合がある)を含んでいてもよい。
なお本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組み合わせて使用することができる。
【0010】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)という場合がある)を含む。着色剤として化合物(I)を含む着色樹脂組成物は耐熱性に優れる。
【0011】
<<化合物(I)>>
【化4】

[式(I)中、
1~R8は、互いに独立に、水素原子、-Ra1、-ORa1、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、-CO-O-Ra1、-O-CO-Ra1、-CO-Ra1、又はニトロ基を表し、R7とR8とは互いに結合して環を形成してもよい。
a1は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
1は、n価の連結基を表す。
nは、2~6の整数を表す。]
【0012】
a1で表される炭素数1~20の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和であってもよく、鎖状又は脂環式であってもよい。
【0013】
a1で表される飽和又は不飽和鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、(1-エチル)プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、(1-エチル)ブチル基、(2-エチル)ブチル基、(1-プロピル)ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、(2-メチル)ペンチル基、(1-エチル)ペンチル基、(3-エチル)ペンチル基、(1-プロピル)ペンチル基、(1-ブチル)ペンチル基、イソヘキシル基、(2-メチル)ヘキシル基、(5-メチル)ヘキシル基、(2-エチル)ヘキシル基、(1-ブチル)ヘキシル基、(1-ペンチル)ヘキシル基、(2-メチル)ヘプチル基、(2-エチル)ヘプチル基、(3-エチル)ヘプチル基、(1-ヘキシル)ヘプチル基、(2-メチル)オクチル基、(2-エチル)オクチル基、(1-ヘプチル)オクチル基、(2-エチル)ノニル基、(1-オクチル)ノニル基等の分枝鎖状アルキル基等;ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、(1-メチル)エテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、(1-(2-プロペニル))エテニル基、(1,2-ジメチル)プロペニル基、2-ペンテニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、1~18が好ましく、より好ましくは2~15、さらに好ましくは3~12である。また不飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、2~18が好ましく、より好ましくは2~15、さらに好ましくは3~12である。
【0014】
a1で表される飽和又は不飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基(例えばシクロヘキサ-2-エン、シクロヘキサ-3-エン)、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基等が挙げられる。飽和又は不飽和脂環式炭化水素基の炭素数は、3~15が好ましく、より好ましくは3~12である。
【0015】
a1で表される芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~15が好ましく、6~12がより好ましい。
【0016】
a1で表される炭化水素基は、炭素数の上限が20である限り、上記に挙げた鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせた基であってもよい。このような基は、例えば、芳香族炭化水素基と、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる基の少なくとも1つとを組み合わせた基であってよく、該組み合わせによる炭化水素基では、鎖状炭化水素基を、2価の基(例えば、アルカンジイル基)として組み合わせてもよい。上記組み合わせによる炭化水素基の例としては、ベンジル基、(2,4,5-トリメチルフェニル)メチル基、フェネチル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、(2,4,5-トリエチルフェニル)エチル基等のアラルキル基;フェニルエテニル基(フェニルビニル基)等のアリールアルケニル基;フェニルエチニル基等のアリールアルキニル基;o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,3,5,6,-テトラメチルフェニル基、o-イソプロピルフェニル基、m-イソプロピルフェニル基、p-イソプロピルフェニル基、2,3-ジイソプロピルフェニル基、2,4-ジイソプロピルフェニル基、2,5-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリイソプロピルフェニル基、4-ブチルフェニル基、o-tert-ブチルフェニル基、m-tert-ブチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジ(tert-ブチル)フェニル基、3,5-ジ(tert-ブチル)フェニル基、3,6-ジ(tert-ブチル)フェニル基、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルフェニル基、4-ペンチルフェニル基、4-オクチルフェニル基、4-(2,4,4-トリメチル-2-ペンチル)フェニル基、2-ドデシルフェニル基、3-ドデシルフェニル基、4-ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基;4-ビニルフェニル基等のアルケニルアリール基;2,3-ジヒドロ-4-インデニル基、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-4-s-インダセニル基、8-メチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-4-s-インダセニル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-1-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル基、3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル基、3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル基等のアルカンジイル基が結合したアリール基;ビフェニル基、ターフェニリル基等の1つ以上のアリール基が結合したアリール基;シクロヘキシルメチルフェニル基、ベンジルフェニル基、(ジメチル(フェニル)メチル)フェニル基等が挙げられる。また上記炭化水素基は、例えば、鎖状炭化水素基と脂環式炭化水素基との組み合わせによる炭化水素基であってよく、その例として、1-メチルシクロプロピル基、1-メチルシクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、1,2-ジメチルシクロヘキシル基、1,3-ジメチルシクロヘキシル基、1,4-ジメチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、2,4-ジメチルシクロヘキシル基、2,5-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、3,4-ジメチルシクロヘキシル基、3,5-ジメチルシクロヘキシル基、2,2-ジメチルシクロヘキシル基、3,3-ジメチルシクロヘキシル基、4,4-ジメチルシクロヘキシル基、2,4,6-トリメチルシクロヘキシル基、2,2,6,6-テトラメチルシクロヘキシル基、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル基、4-ペンチルシクロヘキシル基、4-オクチルシクロヘキシル基、4-シクロヘキシルシクロヘキシル基等の1以上のアルキル基又は脂環式炭化水素基が結合した脂環式炭化水素基;シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロブチルエチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、2-メチルシクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、アダマンチルメチル基等の1以上の脂環式炭化水素基が結合したアルキル基等が挙げられる。鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせた基の炭素数は、6~18が好ましく、6~15がより好ましい。
【0017】
a1で表される炭素数1~20の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子;ニトリル基;ニトロ基;アミノ基;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;フェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基等の炭素数6~20のアリールオキシ基;チオール基;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1~20のアルキルチオ基;アリルチオ基;フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基等の炭素数6~20のアリールチオ基;スルホキシ基;メチルスルホキシ基、エチルスルホキシ基等の炭素数1~20のアルキルスルホキシ基;フェニルスルホキシ基、1-ナフチルスルホキシ基、2-ナフチルスルホキシ基等の炭素数6~20のアリールスルホキシ基;シリル基;ボリル基;モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、トリメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリエチルアミノ基等の炭素数1~20のアルキルアミノ基;モノフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、トリフェニルアミノ基等の炭素数6~20のアリールアミノ基;ベンジルアミノ基等の炭素数7~20のアラルキルアミノ基;カルボキシ基;カルバモイル基;アセチル基、プロピオニル基等の炭素数2~20のアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、1-ナフチルカルボニル基、2-ナフチルカルボニル基等の炭素数7~20のアリールカルボニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2~20のアルコキシカルボニル基;フェニルオキシカルボニル基、1-ナフチルオキシカルボニル基、2-ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数7~20のアリールオキシカルボニル基;等が挙げられる。
【0018】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。合成の観点から、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
【0019】
a1としては、例えば、下記式(D-1)~式(D-47)、式(G-1)~式(G-22)で表される基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】
1~R8で表される-ORa1としては、上記のRa1を有するオキシ基が挙げられ、炭素数1~20のアルコキシ基、及び炭素数6~20のアリールオキシ基等が挙げられる。-ORa1としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0023】
1~R8としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。合成の観点から、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
【0024】
1~R8で表される-CO-O-Ra1としては、上記のRa1を有するオキシカルボニル基が挙げられ、炭素数2~21のアルコキシカルボニル基、及び炭素数7~21のアリールオキシカルボニル基等が挙げられる。-CO-O-Ra1が有するRa1としては、飽和鎖状炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基、脂環式炭化水素基と鎖状炭化水素基とを組み合わせた基、芳香族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基と鎖状炭化水素基とを組み合わせた基であることが好ましく、炭素数1~20の飽和鎖状炭化水素基、炭素数3~15の飽和脂環式炭化水素基、炭素数4~15の脂環式炭化水素基と鎖状炭化水素基とを組み合わせた基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、又は炭素数7~20の芳香族炭化水素基と鎖状炭化水素基とを組み合わせた基であることがより好ましく、炭素数3~18の飽和鎖状炭化水素基、炭素数4~10の脂環式炭化水素基と鎖状炭化水素基とを組み合わせた基、又は炭素数7~15の芳香族炭化水素基と鎖状炭化水素基とを組み合わせた基であることがさらに好ましい。-CO-O-Ra1としては、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、(1-エチル)ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、(2-エチル)ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、(1-ブチル)ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、(1-ヘプチル)オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、ウンデシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリデシルオキシカルボニル基、テトラデシルオキシカルボニル基、ペンタデシルオキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基、ヘプタデシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルメトキシカルボニル基、イコシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0025】
1~R8で表される-O-CO-Ra1としては、上記のRa1を有するカルボニルオキシ基が挙げられ、炭素数2~21のアルキルカルボニルオキシ基、及び炭素数7~21のアリールカルボニルオキシ基等が挙げられる。-O-CO-Ra1としては、具体的には、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、(2-エチル)ヘキシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
1~R8で表される-CO-Ra1としては、上記のRa1を有するカルボニル基が挙げられ、炭素数2~21のアルキルカルボニル基、及び炭素数7~21のアリールカルボニル基等が挙げられる。-CO-Ra1としては、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0027】
7とR8とが互いに結合して形成する環としては、例えば下記式(H-1)~式(H-4)で表される基が挙げられる。
【0028】
【化7】

[式(H-1)~式(H-4)中、
12~R24は、互いに独立に、水素原子、-Ra2、-ORa2、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、-CO-O-Ra2、-O-CO-Ra2、-CO-Ra2、又はニトロ基を表し、Ra2は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
*はR7が有する結合手を表し、**はR8が有する結合手を表す。]
【0029】
a2で表される置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基は、Ra1で表される置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基として説明した基と同様の基が挙げられ、その好ましい態様も同様である。
【0030】
12~R24としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。合成の観点から、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
【0031】
12~R24としての-ORa2、-CO-O-Ra2、-O-CO-Ra2、及び-CO-Ra2としては、R1~R8で表される-ORa1、-CO-O-Ra1、-O-CO-Ra1、及び-CO-Ra1として説明した基が挙げられる。
【0032】
12~R24としては、互いに独立に、水素原子、-Ra2、ハロゲン原子、又はヒドロキシ基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0033】
式(I)中、n個のR1は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、n個のR2は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、n個のR3は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、n個のR4は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、n個のR5は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、n個のR6は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、n個のR7は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、n個のR8は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0034】
1で表されるn価の連結基としては、n価の有機基であることが好ましく、置換基を有していてもよいn価の炭化水素基であることがより好ましい。n価の炭化水素基とは、炭化水素を構成するn個の水素原子が結合手に置き換わった基である。n個の結合手は、それぞれ異なる炭素原子に存在することが好ましい。なお、n価の炭化水素基において、該炭化水素を構成するメチレン基は、-O-、-C(=O)-などで置き換わっていてもよく、上記結合手を有するメチレン基が-O-、-C(=O)-などで置き換わっていてもよい。前記炭化水素の炭素数は1~20であることが好ましい。
【0035】
n価の炭化水素基としては、n価の鎖状炭化水素基、n価の脂環式炭化水素基、n価の芳香族炭化水素基、並びに、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせたn価の基が挙げられる。
【0036】
n価の鎖状炭化水素基としては、上述のRa1で表される1価の飽和又は不飽和鎖状炭化水素基が有するn-1個の水素原子が結合手に置き換わった基が挙げられる。n価の飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、1~15が好ましく、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~8である。またn価の不飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、2~15が好ましく、より好ましくは2~10、さらに好ましくは2~8である。
【0037】
n価の鎖状炭化水素基としては、n価の飽和鎖状炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等のアルカンジイル基がより好ましい。
【0038】
n価の脂環式炭化水素基としては、上述のRa1で表される1価の飽和又は不飽和脂環式炭化水素基が有するn-1個の水素原子が結合手に置き換わった基が挙げられる。n価の脂環式炭化水素基の炭素数は、3~15が好ましく、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~8である。
【0039】
n価の脂環式炭化水素基としては、n価の飽和脂環式炭化水素基が好ましく、シクロヘキシル-1,2-ジイル基、シクロヘキシル-1,4-ジイル基等の2価の飽和脂環式炭化水素基がより好ましい。
【0040】
n価の芳香族炭化水素基としては、上述のRa1で表される1価の芳香族炭化水素基が有するn-1個の水素原子が結合手に置き換わった基が挙げられる。n価の芳香族炭化水素基の炭素数は、6~15が好ましく、より好ましくは6~12である。
【0041】
n価の芳香族炭化水素基としては、1,2-フェニレン基、1,4-フェニレン基、ベンゼン-1,2,4,5-テトライル基等のn価のベンゼンが好ましく、フェニレン基がより好ましい。
【0042】
鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせたn価の基としては、上述のRa1で表される、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせた基が有するn-1個の水素原子が結合手に置き換わった基が挙げられる。鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせたn価の基の炭素数は、7~18が好ましく、7~15がより好ましい。
【0043】
鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせたn価の基としては、芳香族炭化水素基と、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる基の少なくとも1つとを組み合わせたn価の基であることが好ましく、芳香族炭化水素基と鎖状炭化水素基とを組み合わせたn価の基、又は芳香族炭化水素基と芳香族炭化水素基とを組み合わせたn価の基であることがより好ましい。鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基を2つ以上組み合わせたn価の基としては、具体的に、下記式で表される基等が挙げられる。
【0044】
【化8】

[上記式中、
p11~Rp14、Rp21~Rp22、Rp41~Rp44、Rp51~Rp52、Rq11~Rq14、Rq21~Rq28、及びRq31~Rq38は、それぞれ独立して、水素原子又は-Ra3を表す。但し、Rq11~Rq14のうち、少なくとも1つは-Ra3を表す。
a3は、炭素数1~20の炭化水素基を表し、該炭化水素基を構成するメチレン基は、-O-又は-C(=O)-で置き換わっていてもよい。
*は窒素原子との結合手を表す。]
【0045】
a3で表される炭素数1~20の炭化水素基は、Ra1で表される炭素数1~20の炭化水素基として説明した基と同様の基が挙げられる。Ra3としては、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることがより好ましく、炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることが更に好ましく、炭素数1~4の直鎖状アルキル基であることがより更に好ましい。
【0046】
炭化水素基を構成するメチレン基が-O-又は-C(=O)-で置き換わっている基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は結合手を表す。
【0047】
【化9】
【0048】
【化10】
【0049】
【化11】
【0050】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。合成の観点から、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
【0051】
p11~Rp14、Rp21~Rp22、Rp41~Rp44、Rp51~Rp52、Rq11~Rq14、Rq21~Rq28、及びRq31~Rq38は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~4の直鎖状アルキル基であることがより好ましい。
【0052】
n価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子;ニトリル基;ニトロ基;アミノ基;モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、トリメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリエチルアミノ基等の炭素数1~20のアルキルアミノ基;モノフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、トリフェニルアミノ基等の炭素数6~20のアリールアミノ基;ベンジルアミノ基等の炭素数7~20のアラルキルアミノ基;等が挙げられる。
【0053】
式(I)中、R1及びR2としては、互いに独立に、置換基を有していてもよい飽和鎖状炭化水素基;置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基;又は置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基と鎖状炭化水素基とを組み合わせた基であることが好ましい。化合物(I)の溶剤への溶解性向上の観点から、前記飽和鎖状炭化水素基は飽和分岐鎖状炭化水素基であることが好ましい。前記飽和鎖状炭化水素基(好ましくは飽和分岐鎖状炭化水素基)の炭素数は、1~15が好ましく、3~15がより好ましい。前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基が好ましい。前記芳香族炭化水素基と鎖状炭化水素基とを組み合わせた基としては、炭素数1~12(好ましくは1~10)の鎖状炭化水素基が結合したフェニル基であることが好ましく、炭素数1~4の鎖状炭化水素基が2~3つ結合したフェニル基であることがより好ましく、2つのオルト位に炭素数1~4の鎖状炭化水素基結合したフェニル基であることが更に好ましい。中でも、R1及びR2としては、互いに独立に、上記式(D-4)~式(D-14)、又は式(G-5)~式(G-22)で表される基であることがより好ましく、互いに独立に、式(D-4)~式(D-14)、式(G-5)、式(G-7)、式(G-8)、式(G-11)~式(G-13)、式(G-15)、式(G-16)、式(G-19)、式(G-21)、又は式(G-22)のいずれかで表される基であることがさらに好ましく、互いに独立に、式(D-4)~式(D-14)、式(G-7)、式(G-11)、式(G-13)、式(G-15)又は式(G-16)のいずれかで表される基であることが特に好ましい。
また、R1及びR2としては、同一の基であることが好ましい。
【0054】
式(I)中、R3~R8としては、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はヒドロキシ基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0055】
式(I)中、L1としては、置換基を有していてもよいアルカンジイル基、置換基を有していてもよいn価の飽和脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよいn価のベンゼン、置換基を有していてもよい上記式(Lp-1)~式(Lp-6)で表される基のいずれか、又は置換基を有していてもよい上記式(Lq-1)~式(Lq-3)で表される基のいずれかであることが好ましい。L1としては、少なくとも芳香族環を含む基であることがより好ましく、置換基を有していてもよいn価のベンゼン、置換基を有していてもよい上記式(Lp-1)~式(Lp-6)で表される基のいずれか、又は置換基を有していてもよい上記式(Lq-1)~式(Lq-3)で表される基のいずれかであることが更に好ましい。
【0056】
中でも、L1としては、芳香族環を含むn価の連結基であって、該芳香族環を構成する炭素原子が結合手を有していることが好ましく、すなわち、L1としては、芳香族環を含むn価の連結基であって、該芳香族環を構成する炭素原子が窒素原子と直接結合する基であることが好ましい。芳香族環を含むn価の連結基であって、該芳香族環を構成する炭素原子が窒素原子と直接結合する基としては、置換基を有していてもよいn価のベンゼン;置換基を有していてもよいアルキルアリール基において、芳香族環を構成する炭素原子に結合する水素原子のうち、n-1個の水素原子が取れて結合手となった基;又は置換基を有していてもよいn価のビフェニルが好ましい。芳香族環を含むn価の連結基であって、該芳香族環を構成する炭素原子が窒素原子と直接結合する基としては、具体的に、下記式(Lr-1)~式(Lr-6)で表される基等が挙げられ、式(Lr-1)、式(Lr-3)、式(Lr-4)、又は式(Lr-5)で表される基が好ましく、式(Lr-1)で表される基であることがより好ましい。
【0057】
【化12】

[上記式中、Rr11~Rr14、Rr21~Rr23、Rr31~Rr32、Rr41~Rr48、Rr51~Rr58、及びRr61~Rr66は、それぞれ独立して、水素原子、-Ra4、ハロゲン原子、又はニトロ基を表す。
a4は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、該炭化水素基を構成するメチレン基は、-O-又は-C(=O)-で置き換わっていてもよい。
*は窒素原子との結合手を表す。]
【0058】
a4で表される炭素数1~20の炭化水素基は、Ra3で表される炭素数1~20の炭化水素基として説明した基と同様の基が挙げられ、その好ましい態様も同様である。
【0059】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。合成の観点から、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
【0060】
r11~Rr14、Rr21~Rr23、Rr31~Rr32、Rr41~Rr48、Rr51~Rr58、及びRr61~Rr66は、それぞれ独立して、水素原子、-Ra4、又はハロゲン原子が好ましく、水素原子又は-Ra4がより好ましく、水素原子又は炭素数1~4の直鎖状アルキル基であることが更に好ましい。
【0061】
式(I)中、nとしては2~4の整数であることが好ましく、2又は4であることがより好ましい。
【0062】
化合物(I)としては、下記式(I-a)で表される化合物(以下、化合物(I-a)という場合がある)であることが好ましい。尚、化合物(I-a)も本発明に包含される。
【0063】
【化13】

[式(I-a)中、
1~R8、及びnは前記と同じ意味を表す。
xは、窒素原子を表す。
2は、芳香族環を含むn価の連結基を表し、該芳香族環を構成する炭素原子がNxと直接結合する。]
【0064】
2としては、前述のL1における、芳香族環を含むn価の連結基であって、該芳香族環を構成する炭素原子が窒素原子と直接結合する基として説明した基が挙げられ、その好ましい態様も同様である。
【0065】
化合物(I)の具体例としては、以下の表1に示す化合物(I-1)~(I-24)が挙げられる。
【0066】
【表1】
【0067】
表1中、Hは水素原子を表す。
D-6、D-13、G-7は、それぞれ、上記式(D-6)、式(D-13)、式(G-7)で表される基を意味する。
L-1~L-8は、それぞれ、下記式(L-1)~(L-8)で表される基を意味する。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。
【0068】
【化14】
【0069】
化合物(I)としては、化合物(I-17)~(I-24)であることが好ましく、化合物(I-17)~(I-19)であることがより好ましい。
【0070】
化合物(I)は、例えば、下記式(pt1)で表される化合物と無水マレイン酸とを脱水素剤存在下で反応させ、式(pt2)で表される化合物を製造し、得られた式(pt2)で表される化合物と式(MA1)で表される化合物とを反応させ、式(pt3)で表される化合物を製造し、次いで、得られた式(pt3)で表される化合物と式(pt2’)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0071】
【化15】

[式中、R1~R8、L1、及びnは、上述の定義と同一である。]
【0072】
式(pt1)で表される化合物としては、例えば、N1,N2-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド、N1,N2-ビス(5-ノニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド、N1,N2-ビス(6-ウンデシル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド、N1,N2-ビス(7-トリデシル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド等が挙げられる。
【0073】
無水マレイン酸の使用量は、式(pt1)で表される化合物1モルに対して、通常、1モル以上1,000モル以下であり、好ましくは1モル以上800モル以下であり、より好ましくは1モル以上600モル以下であり、さらに好ましくは1モル以上400モル以下である。
【0074】
前記脱水素剤とは、6員環化合物の水素を脱離させて、芳香族化させるものである。脱水素剤としては、クロラニル、p-ベンゾキノン、2,5-ジクロロ-p-キノン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン、テトラメチル-p-キノン、2,5-ジフェニル-p-キノン、ブロマニルが好ましく、クロラニル、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノンがより好ましい。
【0075】
脱水素剤の使用量は、式(pt1)で表される化合物1モルに対して、通常、1モル以上10モル以下であり、好ましくは1モル以上5モル以下である。
【0076】
式(pt1)で表される化合物と無水マレイン酸とを反応させる際の反応温度は、例えば、-100℃以上300℃以下である。
【0077】
式(pt3)で表される化合物は、式(pt2)で表される化合物と式(MA1)で表される化合物とを反応させることで製造できる。式(MA1)で表される化合物は、L1が有するn個の結合手にアミノ基が結合した化合物であり、例えば、1,4-フェニレンジアミン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0078】
式(pt2)で表される化合物の使用量は、nに応じて適宜調整すればよいが、式(MA1)で表される化合物1モルに対して、通常、0.1モル以上10モル以下であり、好ましくは0.2モル以上5モル以下である。
【0079】
式(pt2)で表される化合物と式(MA1)で表される化合物との反応は、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。酸触媒としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸等のカルボン酸が好ましい。
【0080】
酸触媒の使用量は、式(MA1)で表される化合物1モルに対して、通常、1モル以上1,000モル以下であり、好ましくは1モル以上800モル以下であり、より好ましくは1モル以上600モル以下であり、さらに好ましくは1モル以上400モル以下である。
【0081】
式(pt2)で表される化合物と式(MA1)で表される化合物とを反応させる際の反応温度は、例えば、-100℃以上300℃以下である。
【0082】
化合物(I)は、式(pt3)で表される化合物と式(pt2’)で表される化合物とを反応させることで製造できる。式(pt2’)で表される化合物は、上記で説明した式(pt2)で表される化合物と同様の方法にて製造すればよい。なお、式(pt2’)におけるR1と、式(pt3)におけるR1は、同一であってもよく、異なっていてもよい。式(pt2’)におけるR2~R8も同様に、式(pt3)におけるR2~R8と、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0083】
式(pt2’)で表される化合物の使用量は、nに応じて適宜調整すればよいが、式(pt3)で表される化合物1モルに対して、通常、1モル以上20モル以下であり、好ましくは1モル以上10モル以下、より好ましくは1モル以上5モル以下である。
【0084】
式(pt3)で表される化合物と式(pt2’)で表される化合物との反応は、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。酸触媒としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸等のカルボン酸が好ましい。
【0085】
酸触媒の使用量は、式(pt3)で表される化合物1モルに対して、通常、1モル以上1,000モル以下であり、好ましくは1モル以上800モル以下であり、より好ましくは1モル以上600モル以下であり、さらに好ましくは1モル以上400モル以下である。
【0086】
式(pt3)で表される化合物と式(pt2’)で表される化合物とを反応させる際の反応温度は、例えば、-100℃以上300℃以下である。
【0087】
反応終了後、化合物(I)を取り出す方法は特に限定されず、公知の種々の方法で取り出すことができる。取り出した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー又は再結晶等で精製してもよい。得られた化合物の化学構造は、公知の分析手法及びその条件により解析することができる。そのような分析手法としては、特に限定されないが、例えばX線結晶構造解析法、質量分析法(LC)、NMR分析法及び元素分析法等が挙げられる。
【0088】
化合物(I)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上30質量%以下である。
ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0089】
<<着色剤(A1)>>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)として、化合物(I)以外の染料(以下、染料(A1-1)という場合がある)及び/又は顔料(以下、顔料(A1-2)という場合がある)を含んでいてもよい。以下、染料(A1-1)及び顔料(A1-2)を合わせて着色剤(A1)という場合がある。これらは単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0090】
染料(A1-1)は、化合物(I)を包含しない限り、特に限定されず公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、及びフタロシアニン染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
【0091】
染料(A1-1)として、具体的には、
C.I.ソルベントイエロー4、14、15、23、24、25、38、62、63、68、79、81、82、83、89、94、98、99、117、162、163、167、189;
C.I.ソルベントレッド24、45、49、90,91、111、118、119、122、124、125、127、130、132、143、145、146、150、151、155、160、168、169、172、175、181、207、218、222、227、230、245、247;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、41、54、56、77、86、99;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー4、5、14、18、35、36、37、38、44、45、58、59、59:1、63、67、68、69、70、78、79、83、90、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35;等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、33、34、35、37、40、42、44、50、51、52、57、66、73、76、80、87、88、91、92、94、95、97、98、103、106、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、155、158、160、172、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、289、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、388、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、149、162、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、15、16、17、19、21、23、24、25、30、34、38、49、72、102;
C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、15、17、18、22、23、24、25、26、27、29、34、38、40、41、42、43、45、48、51、54、59、60、62、70、72、74、75、78、80、82、83、86、87、88、90、90:1、91、92、93、93:1、96、99、100、102、103、104、108、109、110、112、113、117、119、120、123、126、127、129、130、131、138、140、142、143、147、150、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、187、192、199、203、204、205、210、213、229、234、236、242、243、249、256、259、267、269、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109;等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、4、28、33、34、35、38、39、43、44、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、132、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー1、2、3、6、8、15、22、25、28、29、40、41、42、47、52、55、57、71、76、77、78、80、81、84、85、86、87、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、120、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、195、196、198、199、200、201、202、203、207、209、210、212、213、214、222、225、226、228、229、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、79、82;等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.ディスパースイエロー51、54、76;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、6;0等のC.I.ディスパース染料、
C.I.ベーシックレッド1、10;
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、21、22、24、25、26、28、29、40、41、45、47、54、58、59、60、64、65、66、67、68、81、83、88、89;
C.I.ベーシックバイオレット2;
C.I.ベーシックレッド9;
C.I.ベーシックグリーン1;等のC.I.ベーシック染料、
C.I.リアクティブイエロー2、76、116;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.リアクティブレッド36;等のC.I.リアクティブ染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、27、29、30、32、33、36、37、38、39、41、42、43、45、46、48、52、53、56、62、63、71、74、76、78、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、1:1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、27、28、30、31、32、33、36、37、39、40、41、44、45、47、48、49、53、58;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53;等のC.I.モーダント染料、
C.I.バットグリーン1;等のC.I.バット染料等のカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられる。
【0092】
顔料(A1-2)としては、化合物(I)を包含しない限り、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
ピグメントに分類されている顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214、231等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、144、166、168、176、177、180、190、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265、266、268、269、273等の赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25等のブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7等の黒色顔料;が挙げられる。
【0093】
着色剤(A1)としては、黄色、赤色又は緑色の染料及び顔料が好ましい。
【0094】
着色剤(A1)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による着色剤(A1)表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。着色剤(A1)の粒径は、略均一であることが好ましい。
【0095】
着色剤(A)が着色剤(A1)をさらに含む場合、化合物(I)の含有率は、着色剤(A)の総量に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは25質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。また、着色剤(A)が着色剤(A1)をさらに含む場合、化合物(I)の含有率は、着色剤(A)の総量に対して、例えば、100質量%未満である。
【0096】
着色樹脂組成物が、溶剤(E)を含む場合、予め着色剤(A)と溶剤(E)とを含む着色剤含有液(着色組成物と称する場合もある)を調製した後、該着色剤含有液を使用して着色樹脂組成物を調製してもよい。着色剤(A)が溶剤(E)に溶解しない場合、例えば着色剤(A)が顔料(A1-2)を含む場合等には、着色剤含有液は、着色剤(A)を溶剤(E)に分散させて混合することにより調製できる。着色剤含有液は、着色樹脂組成物に含有される溶剤(E)の一部又は全部を含んでいてもよい。
【0097】
着色剤含有液中の固形分の含有率は、着色剤含有液の総量に対して、好ましくは0.01質量%以上99.99質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上99.9質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上99質量%以下、さらにより好ましくは0.5質量%以上90質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以上50質量%以下である。
【0098】
着色剤(A)は、分散剤を含有させて分散処理を行うことで、着色剤(A)が溶液中で均一に分散した状態にしてもよい。着色剤(A)として2種以上を組み合わせて使用する場合は、それぞれを単独で分散処理してもよいし、複数種を混合して分散処理してもよい。
【0099】
分散剤としては、例えば、界面活性剤等が挙げられ、カチオン系、アニオン系、ノニオン系及び両性のいずれの界面活性剤であってもよい。具体的にはポリエステル系、ポリアミン系及びアクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの分散剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。分散剤としては、商品名で表すと、KP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(登録商標)(ゼネカ(株)製)、EFKA(登録商標)(BASF社製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)及びDisperbyk(登録商標)(ビックケミー(株)製)、BYK(登録商標)(ビックケミー(株)製)等が挙げられる。分散剤として、後述する樹脂(B)を使用してもよい。
【0100】
分散剤を用いる場合、該分散剤(固形分)の使用量は、着色剤(A)100質量部に対して、通常1質量部以上10000質量部以下であり、好ましくは5質量部以上5000質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上1000質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以上800質量部以下である。該分散剤の使用量が前記の範囲にあると、より均一な分散状態の着色剤含有液が得られる傾向がある。
【0101】
着色剤(A)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上30質量%以下である。着色剤(A)の含有率が前記の範囲にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中に樹脂(B)を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができることから好ましい。
【0102】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であり、カルボン酸を有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂(B)としてアルカリ可溶性樹脂が用いられた着色樹脂組成物は、フォトレジスト用途として好適に用いることができる。
【0103】
樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]~[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1];不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K2];(a)に由来する構造単位と(b)に由来する構造単位と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K3];(a)に由来する構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K4];(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K5];(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K6];(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体。
【0104】
単量体(a)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びo-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸及び1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及び5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物;
フマル酸及びメサコン酸を除く上記不飽和ジカルボン酸の無水物等のカルボン酸無水物;
こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕及びフタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類;等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸及び無水マレイン酸等が好ましい。
なお本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0105】
単量体(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環(オキソラン環)からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。単量体(b)は、炭素数2~4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。
【0106】
単量体(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0107】
単量体(b1)としては、例えば、不飽和脂肪族炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(以下、「単量体(b1-1)」という場合がある)、不飽和脂環式炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(以下、「単量体(b1-2)」という場合がある)が挙げられる。
【0108】
単量体(b1-1)としては、グリシジル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体が好ましい。単量体(b1-1)としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0109】
単量体(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド(登録商標)2000;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマー(登録商標)A400;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマー(登録商標)M100;(株)ダイセル製)、式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物等が挙げられる。
【0110】
【化16】
【0111】
[式(BI)及び式(BII)中、Ra及びRbは、互いに独立に、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
a及びXbは、互いに独立に、単結合、*-Rc-、*-Rc-O-、*-Rc-S-又は*-Rc-NH-を表す。
cは、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0112】
炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
【0113】
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
【0114】
a及びRbとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0115】
アルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等が挙げられる。
【0116】
a及びXbとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*-CH2-O-(*はOとの結合手を表す)基、*-CH2CH2-O-基が挙げられ、より好ましくは単結合、*-CH2CH2-O-基が挙げられる(*はOとの結合手を表す。)。
【0117】
式(BI)で表される化合物としては、式(BI-1)~式(BI-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BI-1)、式(BI-3)、式(BI-5)、式(BI-7)、式(BI-9)及び式(BI-11)~式(BI-15)で表される化合物が好ましく、式(BI-1)、式(BI-7)、式(BI-9)及び式(BI-15)で表される化合物がより好ましい。
【0118】
【化17】
【0119】
式(BII)で表される化合物としては、式(BII-1)~式(BII-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられ、中でも、式(BII-1)、式(BII-3)、式(BII-5)、式(BII-7)、式(BII-9)及び式(BII-11)~式(BII-15)で表される化合物が好ましく、式(BII-1)、式(BII-7)、式(BII-9)及び式(BII-15)で表される化合物がより好ましい。
【0120】
【化18】
【0121】
式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物は、それぞれ単独で用いても、式(BI)で表される化合物と式(BII)で表される化合物とを併用してもよい。これらを併用する場合、式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物の含有比率はモル基準で、好ましくは5:95~95:5であり、より好ましくは10:90~90:10であり、さらに好ましくは20:80~80:20である。
【0122】
オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。単量体(b2)としては、例えば、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0123】
テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。単量体(b3)としては、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0124】
単量体(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-9-イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル及びイタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及び5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート及びN-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体;
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン及びp-メトキシスチレン等のビニル基含有芳香族化合物;(メタ)アクリロニトリル等のビニル基含有ニトリル;塩化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン化炭化水素;(メタ)アクリルアミド等のビニル基含有アミド;酢酸ビニル等のエステル;1,3-ブタジエン、イソプレン及び2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等のジエン;等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-9-イル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及びベンジル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0125】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(b)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(b)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、及び得られるカラーフィルタの耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0126】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0127】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、撹拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、本発明の着色樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0128】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、本発明の着色樹脂組成物に含まれる溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま本発明の着色樹脂組成物の調製に使用することができるため、本発明の着色樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0129】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~45モル%
(b)に由来する構造単位;2~95モル%
(c)に由来する構造単位;1~65モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;5~40モル%
(b)に由来する構造単位;5~80モル%
(c)に由来する構造単位;5~60モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるカラーフィルタの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0130】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0131】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(c)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(c)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0132】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]で挙げたもの同じ比率であることが好ましい。
【0133】
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60~130℃で、1~10時間反応することにより、樹脂[K4]を製造することができる。
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5~80モルが好ましく、より好ましくは10~75モルである。この範囲にすることにより、着色樹脂組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K4]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1-1)が好ましい。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0134】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~90モル%
であることがより好ましい。
【0135】
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5~80モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1-1)が好ましい。
【0136】
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等が挙げられる。カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5~1モルが好ましい。
【0137】
具体的な樹脂(B)としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
【0138】
樹脂(B)は、樹脂[K1]及び樹脂[K2]であることがより好ましく、樹脂[K1]であることが特に好ましい。
【0139】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000以上100,000以下であり、より好ましくは2,000以上50,000以下であり、さらに好ましくは3,000以上30,000以下である。重量平均分子量が前記の範囲にあると、未露光部の現像液に対する溶解性が高く、得られるパターンの残膜率や硬度も高い傾向がある。
樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1以上6以下であり、より好ましくは1.001以上4以下であり、さらに好ましくは1.01以上4以下である。
【0140】
樹脂(B)の酸価(固形分換算値)は、好ましくは10mg-KOH/g以上300mg-KOH/g以下であり、より好ましくは20mg-KOH/g以上250mg-KOH/g以下であり、さらに好ましくは25mg-KOH/g以上200mg-KOH/g以下であり、さらにより好ましくは30mg-KOH/g以上150mg-KOH/g以下であり、特に好ましくは60mg-KOH/g以上135mg-KOH/g以下である。ここで酸価は樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0141】
樹脂(B)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分100質量%中、好ましくは5~50質量%であり、より好ましくは10~40質量%であり、さらに好ましくは15~30質量%である。樹脂(B)の含有量が、前記の範囲にあると、未露光部の現像液に対する溶解性が高い傾向がある。
【0142】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0143】
エチレン性不飽和結合を1つ有する重合性化合物としては、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドン等、並びに、上述の単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)が挙げられる。
【0144】
エチレン性不飽和結合を2つ有する重合性化合物としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル及び3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0145】
重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0146】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは50以上4,000以下であり、より好ましくは70以上3,500以下であり、さらに好ましくは100以上3,000以下であり、さらにより好ましくは150以上2,900以下であり、特に好ましくは250以上1,500以下である。
【0147】
重合性化合物(C)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、例えば1質量%以上99質量%以下であってよく、好ましくは5質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上70質量%以下である。
【0148】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
【0149】
重合開始剤(D)としては、O-アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物及びアシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
【0150】
O-アシルオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン等が挙げられる。また、O-アシルオキシム化合物として、イルガキュア(登録商標)OXE01、OXE02(以上、BASF社製)及びN-1919((株)ADEKA製)等の市販品を用いてもよい。中でも、O-アシルオキシム化合物としては、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミンがより好ましい。
【0151】
アルキルフェノン化合物としては、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン及び2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。アルキルフェノン化合物として、イルガキュア(登録商標)369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
アルキルフェノン化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン及びベンジルジメチルケタールも挙げられる。
【0152】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6-75372号公報、特開平6-75373号公報等参照)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照)及び4,4’,5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0153】
トリアジン化合物としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン及び2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0154】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0155】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン及びカンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル及びチタノセン化合物等が挙げられる。
これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン化合物)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0156】
重合開始剤(D)は、好ましくはアルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O-アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む重合開始剤であり、より好ましくはO-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤である。
【0157】
重合開始剤(D)の含有量は、着色樹脂組成物に含まれる樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0158】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤(D)によって重合が開始された重合性化合物(C)の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
【0159】
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0160】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、好ましくは4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。また、アミン化合物として、EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0161】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン及び2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0162】
チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン及び1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0163】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン及びナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0164】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、着色樹脂組成物に含まれる樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
【0165】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。
溶剤(E)は、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は、2種以上を併用してもよい。
【0166】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0167】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソール等が挙げられる。
【0168】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0169】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
【0170】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0171】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
【0172】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0173】
溶剤(E)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル及びシクロヘキサノンから選択される少なくとも1種を含む溶剤であることが好ましい。
【0174】
溶剤(E)の含有率は、着色樹脂組成物の総量に対して、通常99.99質量%以下であり、好ましくは40質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上95質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以上95質量%以下であり、さらにより好ましくは75質量%以上90質量%以下である。言い換えると、着色樹脂組成物の固形分の総量は、通常0.01質量%以上であり、好ましくは1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以上30質量%以下であり、さらにより好ましくは10質量%以上25質量%以下である。溶剤(E)の含有率が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0175】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0176】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0177】
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(AGC(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0178】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0179】
レベリング剤(F)を含有する場合、レベリング剤(F)の含有率は、着色樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.0005質量%以上1質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以上0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.005質量%以上0.1質量%以下である。なおこの含有量に、前記した分散剤の含有量は含まれない。レベリング剤(F)の含有率が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0180】
<その他の成分>
着色樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、クエンチャー、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0181】
<着色樹脂組成物の製造方法>
着色樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、並びに必要に応じて用いられる重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、レベリング剤(F)及びその他の成分を混合することにより調製できる。混合は公知又は慣用の装置や条件により行うことができる。
着色剤(A)は、予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミル等を用いて分散させた状態で用いてもよく、分散させた状態で用いることが好ましい。この際、必要に応じて前記分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。また、着色剤(A)は、予め溶剤(E)の一部又は全部に溶解させた状態で用いてもよい。このようにして得られた着色剤含有液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色樹脂組成物を調製できる。
【0182】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色樹脂組成物から、色変換層であってもよいカラーフィルタを形成することができる。着色パターンを形成する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色樹脂組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色樹脂組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色樹脂組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明のカラーフィルタである。
【0183】
作製するカラーフィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1μm以上30μm以下であり、好ましくは0.1μm以上20μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上6μm以下である。
【0184】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0185】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色樹脂組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間以上60分間以下であることが好ましく、30秒間以上30分間以下であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50Pa以上150Pa以下の圧力下、20℃以上25℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。
着色樹脂組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0186】
次に、着色樹脂組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。また、露光面全体に均一に平行光線を照射することや、フォトマスクと着色樹脂組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。着色塗膜を形成する場合には、フォトマスクを用いずに露光すればよい。
【0187】
露光に用いられる光源としては、250nm以上450nm以下の波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
【0188】
露光後の着色樹脂組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色樹脂組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後の基板は、水洗されることが好ましい。
【0189】
さらに、得られた着色パターン又は着色塗膜に、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、150℃以上250℃以下が好ましく、160℃以上240℃以下がより好ましい。ポストベーク時間は、1分間以上120分間以下が好ましく、10分間以上60分間以下がより好ましい。
【0190】
<表示装置>
前記カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして、中でも有機EL装置に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例
【0191】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0192】
以下の実施例において、化合物の構造は質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD6130型)で確認した。
【0193】
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置:HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSK-GELG2000HXL
カラム温度:40℃
溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
分析試料の固形分濃度:0.001~0.01質量%
注入量:50μL
検出器:RI
校正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分散度とした。
【0194】
[合成例1]
<化合物I-18-1の調製>
1,N2-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド(東京化成工業(株)製)20部、無水マレイン酸(東京化成工業(株)製)788部、及びp-クロラニル(東京化成工業(株)製)12部を混合し、170℃、25時間攪拌した。得られた混合物を70℃以下に保ちながら、予め調製した1mol/L塩酸(関東化学(株)製)800部とアセトン(関東化学(株)製)300部を加えたところ、黄色の沈殿物が生じた。この黄色の沈殿物を含む混合物をろ過し、ろ過後の残渣を水400部、メタノール200部で洗浄した。得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(I-18-1)で表されるN1,N2-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)ベンゾ[ghi]ペリレン-2,3,8,9,11,12-ヘキサンカルボン酸-2,3,8,9-ビスイミド-11,12-酸無水物(以下、化合物(I-18-1)という場合がある)を15部得た(収率75%)。
【化19】
【0195】
<化合物I-18-1の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 821
Exact Mass: 820
【0196】
[合成例2]
<化合物(I-18-2)の調製>
合成例1で得られた化合物(I-18-1)4.0部、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(東京化成工業(株)製)2.0部、及びプロピオン酸(東京化成工業(株)製)240部を混合し、140℃、6時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、メタノール5部を加えたところ、黄色の沈殿物が生じた。この黄色の沈殿物を含む混合物をろ過し、ろ過後の残渣をメタノール2部で洗浄した。得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、シリカゲルカラム精製(溶剤:クロロホルム)したところ、式(I-18-2)で表されるN1,N2-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-N3-(4-アミノ-2,3,5,6-テトラメチルフェニル)-ベンゾ[ghi]ペリレン-2,3,8,9,11,12-ヘキサンカルボン酸トリイミド(以下、化合物(I-18-2)という場合がある)を3.7部得た(収率77%)。
【化20】
【0197】
<化合物I-18-2の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 951
Exact Mass: 950
【0198】
[合成例3]
<化合物(I-18)の調製>
合成例1で得られた化合物(I-18-1)2.0部、合成例2で得られた化合物(I-18-2)2.4部、及びヘプタン酸(東京化成工業(株)製)120部を添加し、220℃、14時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、メタノール5部を加えたところ、黄色の沈殿物が生じた。この黄色の沈殿物を含む混合物をろ過し、ろ過後の残渣をメタノール2部で洗浄した。得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、シリカゲルカラム精製(溶剤:クロロホルム)したところ、式(I-18)で表される化合物(以下、化合物(I-18)という場合がある)を0.95部得た(収率22%)。
【0199】
<化合物I-18の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 1738
Exact Mass: 1737
【0200】
下記式(x)で表されるルモゲン(登録商標)F Yellow083は、特開昭60-203650号公報の記載に準じて合成を行った。
【化22】
【0201】
[合成例4]
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート280部を入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で1:1)289部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)33部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート235部に溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、固形分35.1%、B型粘度計(23℃)で測定した粘度125mPa・sの共重合体(樹脂B1)溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9.2×103、分散度2.08、固形分換算の酸価は77mg-KOH/gであった。樹脂B1は、以下の構造単位を有する。
【0202】
【化23】
【0203】
<実施例1>
(1) 着色樹脂組成物の調製
以下の割合で各成分を混合し、着色樹脂組成物1’を得た。
(A)着色剤:式(I-18)で表される化合物 2.6部
(B)樹脂:樹脂B1溶液 54部
(E)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 420部
【0204】
(2) 着色樹脂組成物の調製
次いで、以下の割合で各成分を混合して着色樹脂組成物1を得た。
着色樹脂組成物1’ 478部
(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(カヤラッド(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製) 40部
(D)重合開始剤:N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE 01;BASF社製) 2部
(F)レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400:東レ・ダウコーニング(株)製) 0.15部
【0205】
(3) 着色塗膜の作製
5cm角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、着色脂組成物1を、ポストベーク後の膜厚が1.7~2μmになるようにスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして、着色樹脂組成物層を形成した。放冷後、基板上に形成された着色樹脂組成物層に、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、80mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。光照射後、オーブン中、230℃で30分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。
【0206】
(4) λmaxの測定
得られた着色塗膜の吸光度を測色機(OSP-SP-200;OLYMPUS社製)を用いて測定した。380~780nmの吸光度の最も高くなる波長を、最大吸収波長(λmax)として算出した。
【0207】
(5) 耐熱性試験
得られた着色塗膜を、オーブン中、大気雰囲気下で、230℃で120分間加熱した。試験前後のxy色度座標(x、y)及びY測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差ΔE*abを計算した。色差ΔE*abはその小さいほど色変化が小さいことを意味し、ΔE*abが5以下であれば、その着色塗膜はカラーフィルタとして実用上問題ないといえる。また、着色塗膜の耐熱性が良好であれば、同じ着色樹脂組成物から作製された着色パターンも、耐熱性は良好であるといえる。結果を表2に示す。
【0208】
<比較例1>
2.6部の化合物(I-18)に代えて、2.6部のルモゲン(登録商標)F Yellow083を用いたこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。結果を表2に示す。
【0209】
【表2】