(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241219BHJP
B65H 85/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B41J2/01 123
B41J2/01 305
B65H85/00
(21)【出願番号】P 2020181642
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】松島 功
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-075515(JP,A)
【文献】特開2011-098572(JP,A)
【文献】特開2019-048406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B65H 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が積載された記録媒体積載部と、
前記記録媒体に処理液を塗布する塗布手段と、
前記塗布手段よりも前記記録媒体の搬送方向下流に配置され、前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置において、
前記画像形成手段を通過した前記記録媒体を反転させて、前記塗布手段へ再搬送するための反転搬送路を有し、
前記反転搬送路は、塗布手段と画像形成手段との間の搬送路に合流する分岐路を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記記録媒体積載部から給送された前記記録媒体を前記塗布手段へ搬送する塗布搬送路と、
前記塗布手段を経由しない塗布無し搬送路とを有し、
前記反転搬送路は、前記塗布搬送路と前記塗布無し搬送路とに分岐する分岐部よりも前記記録媒体の搬送方向上流側の搬送路に合流することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記記録媒体積載部を複数有し、
前記反転搬送路は、各記録媒体積載部から給送された前記記録媒体が合流する合流部よりも前記記録媒体の搬送方向下流側の搬送路に合流することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記記録媒体積載部を複数備え
各記録媒体積載部に対応して設けられた複数の給送路を有し、
前記反転搬送路は、複数の給送路のいずれか一つに合流することを特徴とする画像形成装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体が積載された記録媒体積載部と、記録媒体に処理液を塗布する塗布手段と、塗布手段よりも記録媒体の搬送方向下流に配置され、記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置として、片面に処理液が塗布された記録媒体を反転させて再度、塗布手段へ搬送するための塗布反転搬送路と、片面に画像が形成された記録媒体を反転させて再度、画像形成手段へ搬送するための画像反転搬送路とを有するものが記載されている。記録媒体の両面に画像を形成するときは、記録媒体の両面に処理液を塗布した後、記録媒体の両面に画像を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、記録媒体の第一面に塗布された処理液の効果と、第二面に塗布された処理液の効果とが互いに異なる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、記録媒体が積載された記録媒体積載部と、前記記録媒体に処理液を塗布する塗布手段と、前記塗布手段よりも前記記録媒体の搬送方向下流に配置され、前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置において、前記画像形成手段を通過した前記記録媒体を反転させて、前記塗布手段へ再搬送するための反転搬送路を有し、前記反転搬送路は、塗布手段と画像形成手段との間の搬送路に合流する分岐路を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第一面と第二面との間で処理液の効果をほぼ同一にできる
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態における画像形成システムの概略構成を示す模式図。
【
図5】変形例1における合流搬送路付近の概略拡大図。
【
図7】反転搬送路の再送路を、塗布搬送路の塗布部の配置位置よりも搬送方向上流側で合流させた例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0009】
図1は、本実施形態における画像形成システム1の概略構成を示す模式図である。
本実施形態の画像形成システム1は、主に、給紙ユニット100、塗布ユニット200、画像形成ユニット300および排紙ユニット400から構成されている。画像形成システムは、給紙ユニット100から給紙される記録媒体である用紙Pに対し、塗布ユニット200で処理液を塗布した後、画像形成ユニット300で画像形成用の液体であるインクにより画像を形成し、排紙ユニット400で用紙を排紙する。
【0010】
[給紙ユニット]
給紙ユニット100は、複数の用紙Pが積載される記録媒体積載部たる上段給紙トレイ110aと,下段給紙トレイ110bとを備えている。また、給紙ユニット100は、上段給紙トレイ110aに積載された用紙を一枚ずつ分離して送り出す上段給紙部120aと、上段給紙トレイ110aに積載された用紙を一枚ずつ分離して送り出す下段給紙部120bとを有している。
【0011】
[塗布ユニット]
塗布ユニット200は、給紙ユニット100と画像形成ユニット300との間に配置されている。塗布ユニット200は、用紙Pに処理液を塗布する塗布手段たる塗布部210を備えている。
【0012】
[画像形成ユニット]
画像形成ユニット300は、塗布ユニット200と排紙ユニット400との間に配置されている。画像形成ユニット300は、画像形成手段であり液体吐出ユニットであるインクジェット記録部301を備えており、液体を吐出する「液体を吐出する装置」である。
インクジェット記録部301は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを吐出して画像を形成するものであり、インクごとに個別の液体吐出ヘッドを有している。
【0013】
インクジェット記録部301などの「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構、液体循環装置の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0014】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0015】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0016】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0017】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0018】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0019】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0020】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0021】
画像形成ユニット300などの「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。
【0022】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0023】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するものも含まれる。
【0024】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0025】
インクジェット記録部301の各液体吐出ヘッドは、画像情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。「液体が付着可能なもの」としての用紙Pがインクジェット記録部301との対向領域を通過する際に、各液体吐出ヘッドから各色インクが吐出され、当該画像情報に応じた画像が形成される。
【0026】
用紙などの「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品などの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0027】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0028】
[排紙ユニット]
排紙ユニット400は、排紙路137と反転搬送路140とに分岐する排紙分岐部401を有している。画像形成ユニット300から画像が形成された用紙Pを受け取り、用紙Pの両面に画像を形成するときは、排紙分岐部401に設けられた切り替え爪402により用紙Pを反転搬送路140へ案内する。一方、用紙Pを排紙するときは、切り替え爪402により用紙Pを排紙路137へ搬送し排紙する。
【0029】
画像形成システム1は、上段給紙トレイ110aから給送された用紙Pが搬送される上段給送路131aと、下段給紙トレイ110bから給送された用紙Pが搬送される下段給送路131bとを有している。また、画像形成システム1は、用紙Pを塗布部210へ搬送する塗布搬送路132と、塗布部210を経由しない塗布無し搬送路133とを有している。また、画像形成システムは、塗布搬送路132と塗布無し搬送路133とが合流し、用紙をインクジェット記録部301へ向けて搬送する中継搬送路134を有している。また、画像形成システム1は、画像形成後の用紙を排紙分岐部401まで搬送する出力後搬送路310を有している。また、画像形成システム1は、上記した排紙路137および反転搬送路140とを有している。反転搬送路140は、スイッチバック経路135と、再送路136とを有している。
【0030】
塗布搬送路132は、塗布搬送路132と塗布無し搬送路133とに分岐する塗布分岐部C(
図3参照)から、塗布部210を経由し塗布無し搬送路133が合流する塗布合流部Eに到るまでの搬送路である。塗布無し搬送路133は、上記塗布分岐部Cから、塗布部210を経由せずに上記塗布合流部Eに到るまでの搬送路である。塗布搬送路132および塗布無し搬送路133は、給紙ユニット100と塗布ユニット200とに跨って形成されている。
【0031】
中継搬送路134は、上記塗布合流部Eからインクジェット記録部301により用紙に画像を形成する画像形成位置(インク吐出位置)Fまでの搬送路であり、塗布ユニット200と画像形成ユニット300とに跨って形成されている。出力後搬送路310は、画像形成位置Fから排紙分岐部401までの搬送路であり、画像形成ユニット300と排紙ユニット400とに跨って形成されている。反転搬送路140の再送路136は、スイッチバック経路135から分岐し、後述する合流搬送路138(
図3参照)に合流する再送合流部Bに到る搬送路である。再送路136は、排紙ユニット400、画像形成ユニット300、塗布ユニット200および給紙ユニット100に跨って形成されている。
【0032】
図2は、塗布部210の概略構成を示す模式図である。
塗布部210は、供給パン216と、スクイーズローラ211と、塗布ローラ212と、加圧ローラ213と、押さえローラ214とを備えている。供給パン216は処理液217を貯留している。スクイーズローラ211は、一部が供給パン内の処理液217に浸漬し、供給パン216内の処理液217を汲み上げる。塗布ローラ212は、スクイーズローラ211から処理液が受け渡され用紙Pに処理液を塗布する。加圧ローラ213は、塗布ローラ212に当接し、塗布ニップを形成する。押さえローラ214は、加圧ローラ213を押さえ、加圧ローラ213が長手方向に撓むのを防止する。
【0033】
処理液217としては、例えば、用紙Pの表面に塗布することで用紙の表面を改質する改質材が挙げられる。改質材としては、例えば、予め用紙にムラなく処理液を塗布することで、インクの水分を速やかに用紙に浸透させ、色成分を増粘させ、更には乾燥も早めて滲み(フェザリング、ブリーディング等)や裏抜けを防止するように用紙表面を改質するものが挙げられる。処理液として、このような改質材を塗布することで、生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)を上げることができる。
【0034】
処理液217は、組成的には、例えば界面活性剤に対して、水分の浸透を促進するセルロース類とタルク微粉体のような基剤を加えた溶液等を用いることができる。更に微粒子を含有することもできる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれか、若しくはこれらを2種類以上混合させたものを挙げることができる。セルロース類としては、ヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。
【0035】
スクイーズローラ211により汲み上げられた処理液217は、塗布ローラ212に受け渡される。そして、塗布ニップへ搬送されてきた用紙Pの片面に、塗布ローラ212により処理液217が塗布される。
【0036】
図1に示すように、塗布ユニット200内における塗布搬送路132は、S字状になっており、塗布搬送路132の用紙の上下面が反転する搬送路上に塗布部210を配置している。給紙カセット内で上面となっている用紙の第一面は、下面となって塗布部210へ搬送される。これにより、用紙の第一面の下側に塗布ローラ212、その下に供給パン216を配置でき、供給パン216から用紙に処理液が垂れ落ちたり、塗布ローラから用紙に処理液が垂れ落ちたりするのを防止できる。そして、塗布部210を抜けると、用紙の上下面が再び反転し、処理液が塗布された第一面が再び上面となって、中継搬送路134へ搬送される。その結果、用紙の第一面の上側にインクジェットを配置でき、上面となった第一面にインクを吐出して画像を形成することができる。
【0037】
図3は、
図1のA付近の概略拡大図である。
図3に示すように、給紙ユニット100は、合流搬送路138を有している。この合流搬送路138は、上段給送路131aと下段給送路131bとが合流する給送合流部Aから、塗布搬送路132と塗布無し搬送路133とに分岐する塗布分岐部Cまでの搬送路である。反転搬送路140の再送路136は、この合流搬送路138に合流している。
【0038】
本実施形態においては、所定枚数以上、両面に処理液を塗布して両面に画像を形成する(以下、塗布有り両面印刷という)場合は、インターリーフ搬送制御を行う。
インターリーフ搬送制御は、まず、2つの給紙トレイ110a,110bのいずれか一方から、所定の間隔で用紙Pを連続搬送する。このとき、塗布分岐部Cに配置された給送切り替え爪112は、用紙を塗布搬送路132へ案内する姿勢を取っており、給送された用紙は、合流搬送路138を経た後、塗布搬送路132へ搬送される。次に、塗布部210により用紙の第一面に塗布液が順次塗布された後、中継搬送路134へ順次搬送される。次に、インクジェット記録部301により順次用紙の第一面に画像を形成した後、用紙は順次反転搬送路140へ搬送される。そして、用紙は、スイッチバック経路135でスイッチバックされて再送路136へと順次搬送される。
【0039】
一枚目の用紙が再送路136の合流搬送路138に合流する再送合流部Bの手前に到達したら、用紙の搬送を一時停止する。搬送再開時は、上段給送路131aまたは下段給送路131bから合流搬送路138への搬送を一時停止し、再送路136の一枚目の用紙を合流搬送路138へ搬送する。その後は、上段給送路131aまたは下段給送路131bから合流搬送路138への搬送と、再送路136から合流搬送路138への搬送が交互に行わる。その結果、片面に画像が形成された用紙と、両面に画像が形成されていない用紙とが交互に塗布搬送路132へ搬送され塗布部210により処理液が塗布される。その後、中継搬送路134へ搬送され、インクジェット記録部301により画像が形成される。そして、切り替え爪402を紙間で切り替えて、両面に画像が形成された用紙は、排紙路137へ搬送され、第一面にのみ画像が形成されている用紙は、反転搬送路140へ搬送される。
【0040】
なお、用紙に処理液を塗布しないで用紙の両面に画像を形成する(以下、塗布無し両面印刷という)ときは、用紙を塗布無し搬送路133を経由して中継搬送路134へ搬送する以外は、上述と同様のインターリーフ搬送制御で用紙を搬送する。
【0041】
図4は、従来の画像形成システムの一例を示す図である。
図4に示す従来例においては、塗布ユニット200は塗布反転搬送路203を有している。また、反転搬送路303の再送路303aは、画像形成ユニット内における塗布ユニット200から用紙を受け取る受け取り部Dからインクジェット記録部301までの間の搬送路に合流している。
【0042】
塗布有り両面印刷のときは、用紙の第一面に塗布部210で処理液を塗布した後、塗布反転搬送路203へ搬送する。そして、用紙は、塗布反転搬送路203でスイッチバック搬送され、再度、塗布部210へ搬送され、用紙の第二面に処理液が塗布される。そして、用紙の第二面に画像が形成された後、反転搬送路303へ用紙を搬送し、再度、インクジェット記録部301へ搬送して用紙の第一面に画像が形成される。
【0043】
このように、従来の画像形成システムは、塗布ユニット200で用紙の両面に処理液を塗布した後、画像形成ユニットで用紙の両面に画像を形成する。そのため、用紙の第一面に処理液が塗布されてから用紙の第一面に画像が形成されるまでの時間と、用紙の第二面に処理液が塗布されてから用紙の第二面に画像が形成されるまでの時間とが互いに異なる。その結果、用紙の第一面に画像を形成するときの第一面に塗布された処理液の乾燥状態と、用紙の第二面に画像を形成するときの第二面に塗布された処理液の乾燥状態とが互いに異なる。その結果、処理液の効果が第一面と第二面とで互いに異なり、第一面と第二面とで画質が互いに異なるおそれがある。
【0044】
これに対し、本実施形態の画像形成システムは、反転搬送路140の再送路136を合流搬送路138に合流させて、次のようにして塗布有り両面印刷を行うようにした。すなわち、用紙の第一面に処理液を塗布した後に第一面に画像を形成し、反転搬送路140、合流搬送路138および塗布搬送路132を経由して用紙の第二面に処理液を塗布した後、第二面に画像を形成する。
【0045】
用紙の第一面に処理液が塗布されてから用紙の第一面に画像が形成されるまでの用紙搬送経路と、用紙の第二面に処理液が塗布されてから用紙の第二面に画像が形成されるまでの用紙搬送経路は同一である。また、用紙搬送速度もほぼ同一である。従って、用紙の第一面に処理液が塗布されてから用紙の第一面に画像が形成されるまでの時間と、用紙の第二面に処理液が塗布されてから用紙の第二面に画像が形成されるまでの時間とをほぼ同一できる。その結果、インクジェット記録部301で画像を形成するときの処理液の乾燥状態を第一面と第二面とでほぼ同じにでき、第一面と第二面との間で処理液の効果をほぼ同一にできる。よって、第一面と第二面との画質をほぼ同一にできる。
【0046】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0047】
[変形例1]
図5は、変形例1における合流搬送路138付近の概略拡大図である。
この変形例1では、再送路136が、下段給送路131bに合流するものである。かかる構成としても、用紙の第一面に処理液を塗布した後に第一面に画像を形成し、反転搬送路140、合流搬送路138および塗布搬送路132を経由して用紙の第二面に処理液を塗布した後、第二面に画像を形成することができる。
この変形例1の構成は、合流搬送路138を極力短くでき、画像形成システムの全長を短くすることができる。
また、かかる構成においては、インターリーフ搬送制御時に、再送路136から搬送されてきた第一面に画像が形成された用紙を、上段給送路131aと下段給送路131bとが合流する給送合流部Aの手前で一時停止させてもよい。
【0048】
[変形例2]
図6は、変形例2の画像形成システムの概略構成図である。
この変形例2は、反転搬送路140に中継搬送路134に合流する分岐搬送路139を設けたものである。分岐搬送路139は、合流搬送路138または下段給送路131bに合流する再送路136の途中で分岐して、中継搬送路134に合流している。
図6に示す構成では、分岐搬送路139は、塗布ユニット200に設けられた中継搬送路134に合流しているが、画像形成ユニット300に設けられた中継搬送路134に合流させてもよい。
【0049】
塗布無し両面印刷のときは、再送路136の分岐搬送路139との分岐部Gに配置された切り替え爪220が用紙を分岐搬送路139へ案内する姿勢を取り、第一面に画像が形成された用紙を中継搬送路134へ再搬送する。そして、用紙は、インクジェット記録部301により第二面に画像を形成された後、機外へ排出される。
【0050】
塗布無し両面印刷におけるインターリーフ搬送制御は、第一面に画像が形成された用紙を分岐搬送路139の中継搬送路134との合流部Hの手前で一時停止させる。そして、塗布無し搬送路133経由で中継搬送路134へ搬送されてきた両面に画像が形成されていない用紙と、第一面に画像が形成された用紙とを交互にインクジェット記録部301へ向けて搬送する。
【0051】
この変形例2では、塗布無し両面印刷ときの第一面に画像が形成された用紙を、インクジェット記録部301まで搬送するまでの搬送経路を、分岐搬送路139がない場合に比べて短くできる。これにより、塗布無し両面印刷時の生産性の低下を抑制することができる。また、塗布無し両面印刷のインターリーフ搬送制御を行うための必要用紙枚数を少なくできる。
【0052】
また、
図7に示すように反転搬送路140の再送路136を、塗布搬送路132の塗布部210の配置位置よりも搬送方向上流側で合流させてもよい。かかる構成でも、第一面に画像が形成された用紙を塗布部に210に搬送して用紙の第二面に処理液を塗布した後、第二面に画像を形成することができる。また、塗布有り両面印刷のときの第一面に画像が形成された用紙を、インクジェット記録部301まで再送するまでの搬送経路を短くできる。これにより、処理液を塗布して用紙の両面に画像を形成するときの生産性の低下を抑制することができる。また、インターリーフ搬送制御を行うための必要用紙枚数を少なくできる。
【0053】
また、この
図7に示す構成は、変形例2と同様に分岐搬送路139を設けている。よって、塗布無し両面印刷のときは、第一面に画像が形成された用紙を中継搬送路134へ再搬送し、インクジェット記録部301により用紙の第二面に画像を形成することができる。
【0054】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
用紙Pなどの記録媒体が積載された給紙トレイ110a,110bなどの記録媒体積載部と、記録媒体に処理液を塗布する塗布部210などの塗布手段と、塗布手段よりも記録媒体の搬送方向下流に配置され、記録媒体に画像を形成するインクジェット記録部301などの画像形成手段とを備えた画像形成システム1などの画像形成装置において、画像形成手段によって片面に画像が形成された記録媒体を反転させて、塗布手段へ再搬送するための反転搬送路140を有する。
上記特許文献1では、記録媒体の両面に処理液を塗布した後記録媒体の両面に画像を形成する。そのため、処理液が塗布されてから画像が形成するまでの時間が、第一面と第二面とで異なる。その結果、第一面に画像を形成するときの第一面上の処理液の乾燥状態と、第二面に画像を形成するときの第二面上の処理液の乾燥状態とが互いに異なってしまう。これにより、第一面と第二面との間で処理液の効果が互いに異なってしまう。
これに対し、態様1では、画像形成手段を通過した記録媒体を反転させて塗布手段へ再搬送するための反転搬送路を設けている。これにより、記録媒体の第一面に処理液を塗布した後にこの第一面に画像を形成する。そして、反転搬送路により再度、塗布手段へ記録媒体を搬送し、記録媒体の第二面に処理液を塗布した後、第二面に画像を形成することができる。これにより、第一面に処理液を塗布してから第一面に画像が形成されるまでの時間と、第二面に処理液を塗布してから第二面に画像が形成されるまでの時間とをほぼ同一にできる。その結果、画像を形成するときの処理液の乾燥状態を第一面と第二面とでほぼ同じにでき、第一面と第二面との間で処理液の効果をほぼ同一にできる。
【0055】
(態様2)
態様1において、給紙トレイ110a,110bなどの記録媒体積載部から給送された記録媒体を塗布部210などの塗布手段へ搬送する塗布搬送路132と、塗布手段を経由しない塗布無し搬送路133とを有し、反転搬送路140は、塗布搬送路132と塗布無し搬送路133とに分岐する塗布分岐部Cなどの分岐部よりも記録媒体の搬送方向上流側の搬送路に合流する。
これによれば、実施形態で説明したように、用紙Pなどの記録媒体に処理液を塗布して両面に画像を形成するときは、第一面に画像が形成された記録媒体を塗布搬送路132へ搬送できる。これにより、記録媒体の第二面に処理液を塗布した後、第二面に画像を形成することができる。一方、記録媒体に処理液を塗布せずに両面に画像を形成するときは、第一面に画像が形成された記録媒体を塗布無し搬送路133へ搬送することができる。これにより、塗布部210などの塗布手段を経由せずに、インクジェット記録部301などの画像形成手段へ搬送することができる。これにより、記録媒体に処理液を塗布せずに両面に画像を形成するときの生産性を向上することができる。
【0056】
(態様3)
態様1または2において、給紙トレイなどの記録媒体積載部を複数有し、反転搬送路は、各記録媒体積載部から給送された記録媒体が合流する給送合流部Aなどの合流部よりも用紙などの記録媒体の搬送方向下流側の搬送路に合流する。
これによれば、反転搬送路140を給紙トレイなどの各記録媒体積載部に対応して設けられた複数の給送路131のいずれかに合流させた場合に比べて反転搬送路を短くすることが可能となる。
【0057】
(態様4)
態様1または2において、給紙トレイなどの記録媒体積載部を複数備え、各記録媒体積載部に対応して設けられた複数の給送路131a,131bを有し、反転搬送路140は、複数の給送路のいずれか一つに合流する。
これによれば、変形例1で説明したように、画像形成システムの全長を短くすることが可能となる。
【0058】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、反転搬送路140は、塗布部210などの塗布手段とインクジェット記録部301などの画像形成手段との間の搬送路(本実施形態では、中継搬送路134)に合流する分岐搬送路139などの分岐路を有する。
これによれば、変形例2で説明したように、処理液を塗布しないで用紙などの記録媒体の両面に画像を形成するときの第一面に画像が形成された記録媒体を、インクジェット記録部301などの画像形成手段へ搬送するまでの搬送経路を、分岐搬送路139がない場合に比べて短くできる。これにより、処理液を塗布しないで用紙の両面に画像を形成するときの生産性の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 :画像形成システム
100 :給紙ユニット
110a :上段給紙トレイ
110b :下段給紙トレイ
112 :給送切り替え爪
120a :上段給紙部
120b :下段給紙部
131a :上段給送路
131b :下段給送路
132 :塗布搬送路
133 :塗布無し搬送路
134 :中継搬送路
135 :スイッチバック経路
136 :再送路
137 :排紙路
138 :合流搬送路
139 :分岐搬送路
140 :反転搬送路
200 :塗布ユニット
203 :塗布反転搬送路
210 :塗布部
211 :スクイーズローラ
212 :塗布ローラ
213 :加圧ローラ
214 :押さえローラ
216 :供給パン
217 :処理液
220 :切り替え爪
300 :画像形成ユニット
301 :インクジェット記録部
303 :反転搬送路
303a :再送路
310 :出力後搬送路
400 :排紙ユニット
401 :排紙分岐部
402 :切り替え爪
A :給送合流部
B :再送合流部
C :塗布分岐部
E :塗布合流部
F :画像形成位置
G :再送路の分岐搬送路への分岐部
H :分岐搬送路の中継搬送路との合流部
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】