(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】環境計測装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20241219BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20241219BHJP
G01N 17/00 20060101ALI20241219BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H05K5/06 E
H05K5/06 D
H05K7/14 A
G01N17/00
H01R13/52 301H
(21)【出願番号】P 2021029682
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】勝山 悟朗
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-189215(JP,A)
【文献】特開2008-008210(JP,A)
【文献】特開2015-162567(JP,A)
【文献】特開2013-062334(JP,A)
【文献】特開2019-140141(JP,A)
【文献】特開2017-076758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/06
H05K 7/14
G01N 17/00
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に対して交差した面に、通気性防水膜を有する通気穴を備え、前記前面に対向する後面を開放してなる第1部材と、
前記第1部材の後面側に取り付けが可能で、環境計測部を備えた基板を保持する基板保持部を備える第2部材
と、
前記第1部材の前面側に貼り付けられた透明部材と
を有し、
前記第1部材および前記第2部材により前記基板を収容する筐体をなす環境計測装置であって、
前記基板は、太陽電池を備え、
前記第1部材の前面に、光を前記太陽電池へ導く開口を備え、
前記開口は、前記透明部材に備えられた採光窓と対応する位置に配置され、
前記筐体をなした状態において、前記基板が前記第1部材の前記交差した面の前後方向中央よりも前記前面側に位置するように前記基板保持部を設けることを特徴とする環境計測装置。
【請求項2】
前記第2部材は、前記第1部材と対向する面に、前記第1部材の外形に対応して環状に設けた防水部材を備え、前記防水部材よりも内側に前記基板保持部を備えることを特徴とする請求項1記載の環境計測装置。
【請求項3】
前記第2部材は、前記基板保持部を設けた面に、前記第1部材への取り付けに用いる取付部を備え、前記取付部を前記防水部材よりも内側で且つ前記基板保持部が保持した前記基板よりも外側となる位置に設けることを特徴とする請求項2記載の環境計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外気の湿度を計測する環境計測装置は、外気を取り入れるための通気穴を装置の一部に備えている。特許文献1は、外装1の一部に通気性のある防水シート3を用い、その下に湿度センサ7を配することで、湿度センサ7に対する通気性と防水性を両立した湿度センサ付き携帯機器を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1は、外装に対して防水シート押さえ板、防水シート、湿度センサ、湿度センサ保持部材、裏ブタおよびカバーなど積み重ねるように配置した上、湿度センサと防水シートとの間には空間を必要とする。そのため、奥行寸法が厚くなり装置の小型化が難しいという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、小型かつ簡潔な構成で防水性能を長期に維持することが可能な環境計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前面に対して交差した面に、通気性防水膜を有する通気穴を備え、前記前面に対向する後面を開放してなる第1部材と、前記第1部材の後面側に取り付けが可能で、環境計測部を備えた基板を保持する基板保持部を備える第2部材と、前記第1部材の前面側に貼り付けられた透明部材とを有し、前記第1部材および前記第2部材により前記基板を収容する筐体をなす環境計測装置であって、前記基板は、太陽電池を備え、前記第1部材の前面に、光を前記太陽電池へ導く開口を備え、前記開口は、前記透明部材に備えられた採光窓と対応する位置に配置され、前記筐体をなした状態において、前記基板が前記第1部材の前記交差した面の前後方向中央よりも前記前面側に位置するように前記基板保持部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、小型かつ簡潔な構成で防水性能を長期に維持することが可能な環境計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る環境計測装置の前側からの全体斜視図。
【
図2】本発明に係る環境計測装置の後側からの全体斜視図。
【
図3】本発明に係る環境計測装置の下側からの全体斜視図。
【
図4】本発明に係る環境計測装置の前側から見た分解図。
【
図5】本発明に係る環境計測装置の後側から見た分解図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【0009】
図1は、本発明の環境計測装置の一実施形態としての環境センサの全体図であり、環境センサの前側からの全体斜視図である。
【0010】
以降の説明では、図のZ方向正側を「前側」または「前面」、Z方向負側を「後側」または「後面」、Y方向正側を「上側」または「上面」、Y方向負側を「下側」または「下面」として述べることとする。また、図のX方向正側を「右側」または「右側面」、X方向負側を「左側」または「左側面」として述べることとする。
【0011】
環境センサ1は、第1の外装部材10と、第1の外装部材10の後側に取り付けた第2の外装部材20と、透明材シート30とを備え、第1の外装部材10および第2の外装部材20によって環境センサ1の筐体を形成している。ここで、第1の外装部材10は第1部材の一例であり、第2の外装部材20は第2部材の一例である。
【0012】
第1の外装部材10は、左右の側面部に半円形状の凹部11を備える。第2の外装部材20は、この凹部11と対応する位置に、環境センサ1を計測場所に取り付ける際に用いる装置取付穴21を備える。
【0013】
凹部11は、装置取付穴21を用いて環境センサ1をネジなどで留める際にドライバー等の工具によるネジへのアクセスを容易にする。また、ネジを使わずに装置取付穴21をフックに掛けて環境センサ1を設置する場合もあり、その場合、凹部11は装置取付穴21をにフックに掛けやすくする空間となる。
【0014】
また、凹部11を設けることで、第1の外装部材10の左右側面部分の強度が増し、第1の外装部材10の剛性を強化することができる。
【0015】
さらに、上記のように構成することで、装置取付穴21が第2の外装部材20の外に出張らないため、環境センサ1を設置した状態での他物品や人の手との接触をなくすことができる。また、環境センサ1の落下に伴う装置取付穴21の破損等を低減することもできる。
【0016】
第1の外装部材10の前面に貼り付けた透明材シート30は、第1の採光窓31と第2の採光窓32とを備える。透明材シート30は、透明な樹脂シートからなる。第1の採光窓31および第2の採光窓32は透明のままにしており、他の部分は透明材シート30の後側からロゴ印刷や着色が施してある。
【0017】
本実施形態において、環境センサ1は照度の計測が可能であり、透明材シート30の左右に設けた第1の採光窓31は、周囲の光を環境センサ1の内部に取り込む。また、環境センサ1は太陽電池による動作が可能であり、第1の採光窓31の間に設けた第2の採光窓32もまた周囲の光を環境センサ1の内部に取り込む。
【0018】
図2は、
図1に示した環境センサの後側からの全体斜視図である。
【0019】
環境センサ1は、第1の外装部材10と、第1の外装部材10の後側に取り付けた第2の外装部材20とを備え、第1の外装部材10および第2の外装部材20によって環境センサ1の筐体を形成する。凹部11および装置取付穴21は、
図1で説明したため同一符号を付しその説明は省略する。
【0020】
第2の外装部材20は、その四隅に第1の外装部材10との締結に用いる外装締結部22を備える。外装締結部22は例えばネジ穴を備えており、第1の外装部材10と第2の外装部材20とをネジで締結する。
【0021】
また、第2の外装部材20は、環境センサ1に収容する基板40(詳細は後述する)を保持するための基板保持部23を備える。基板保持部23は、第2の外装部材20の四隅に設けた外装締結部22よりも内側の領域に位置する。基板保持部23も外装締結部22と同様に例えばネジ穴を備えており、第2の外装部材20と基板40とをネジで締結する。
【0022】
さらに、第2の外装部材20は、後面に矩形状の貼付面26を備える。貼付面26は、製品名や製造番号などの情報を表記したシールや、環境センサ1の取り付けにネジを使用しない場合の両面テープを貼るために用いる。貼付面26は、その周囲の面よりもわずかに低く形成しており、貼付面26に貼ったシールや両面テープが容易に剥がれないようにしている。本例では、貼付面26をY方向に3つ設け、上下2つの貼付面26を両面テープ用、中央の貼付面26を製品に関するシール用としている。
【0023】
図3は、上述の環境センサの下側からの全体斜視図である。既に説明済みの部材は同一符号を付しその説明は省略する。
【0024】
第1の外装部材10は、その下面に通気穴12、通気性防水膜13およびキャップ14を備える。ここで、第1の外装部材10の下面は、「前面に対して交差した面」の一例である。
【0025】
本実施形態において、環境センサ1は上述の照度の計測に加え、湿度の計測が可能であり、第1の外装部材10の下面左右部に設けた通気穴12は、周囲の外気を環境センサ1の内部に取り込む。この通気穴12には、例えば不織布等の通気性を有する通気性防水膜13を設けている。
【0026】
キャップ14は、ゴム製のキャップ部材であり、第1の外装部材10の下面に設けた開口に対して開閉自在である。キャップ14を開いた場合は、図示のように電源スイッチ41、および電源スイッチ41のスイッチ位置の表示部24などが現れるようになっている。表示部24は、本実施形態ではスイッチ位置(OFF/ON)を印刷したデカルは貼った構成としているが、例えば刻印などデカル以外の手段で設けてもよい。
【0027】
図4は、上述の環境センサの前側から見た分解図である。
【0028】
環境センサ1は、第1の外装部材10と、第2の外装部材20と、透明材シート30と、基板40とを備える。
【0029】
第1の外装部材10は、上述した構成に加え、開口15、外装締結部16および採光穴17を備える。開口15は、透明材シート30に設けた第2の採光窓32と対応する位置にあり、開口15は、第2の採光窓32が取り込んだ光を、基板40に設けた太陽電池42(太陽電池の発電素子)へ導く。
【0030】
外装締結部16は、第2の外装部材20との締結に用いる部位であり、第2の外装部材20に設けた外装締結部22と対応する位置に配置している。外装締結部16は例えばネジ穴を備えており、第1の外装部材10と第2の外装部材20とをネジで締結する。
【0031】
採光穴17は、透明材シート30に設けた第1の採光窓31と対応する位置にあり、採光穴17は、第1の採光窓31が取り込んだ光を、基板40に設けた照度センサ43へ導く。ここで、照度センサ43は環境計測部の一例である。
【0032】
次に、第2の外装部材20について説明する。第2の外装部材20は、上述した構成に加え、環状防水パッキン25を備える。環状防水パッキン25は、第2の外装部材20の前面に、第1の外装部材10の外形に沿うようにして環状に設けている。外装締結部22、基板保持部23および表示部24は、この環状防水パッキン25よりも内側にそれぞれ配置している。ここで、環状防水パッキン25は防水部材の一例である。
【0033】
具体的には、環状防水パッキン25はシリコン製の部材である。第2の外装部材20の前面には、第1の外装部材10の外形に沿うように溝が設けてあり、環状防水パッキン25はこの溝に押し込むことで、第2の外装部材20と一体となる。
【0034】
外装締結部22は、例えばネジ穴を備えており、第1の外装部材10と第2の外装部材20とをネジで締結する。また、外装締結部22は、基板保持部23が基板40を保持した場合に基板40と干渉せずに、基板40の横(外側)を通って第1の外装部材10の外装締結部16に達するように第2の外装部材20の前面から突出している。ここで、外装締結部22は取付部の一例である。
【0035】
基板保持部23は、例えばネジ穴を備えており、第2の外装部材20と基板40とをネジで締結する。基板保持部23もまた第1の外装部材10側に向けて第2の外装部材20の前面から突出している。
【0036】
基板保持部23の突出長さは、第1の外装部材10と第2の外装部材20とを締結して筐体をなした状態において、基板保持部23に保持した基板40が、第1の外装部材10の前面側に位置するように規定している。すなわち、基板40が、第1の外装部材10下面の前後方向(奥行方向=Z方向)中央よりも前側に位置するようにしている(詳細は後述する)。
【0037】
表示部24は、第2の外装部材20の前面下部に配置した突出片からなり、この突出片の下面にスイッチ位置を印刷したデカルを貼ることで、
図3に示した表示部24をなしている。
【0038】
次に、透明材シート30について説明する。透明材シート30は第1の採光窓31および第2の採光窓32を備える。上述のように第1の採光窓31および第2の採光窓は、周囲の光を環境センサ1の内部に取り込む。
【0039】
透明材シート30は、第1の外装部材10の前面に貼り付けるための粘着部を備えている。なお、第1の外装部材10の前面は、透明材シート30を貼り付ける部位の面を、その周囲よりもわずかに低く形成し、透明材シート30が容易に剥がれないようにしている。
【0040】
次に、基板40について説明する。基板40は、太陽電池42、照度センサ43および基板取付穴44を備える。太陽電池42は、第1の外装部材10の開口15と対応する位置にあり、太陽電池42は、照度センサ43や後述する湿度センサ45および通信手段のための電源となる。
【0041】
照度センサ43は、第1の採光窓31および採光穴17を経て取り込んだ光をもとに照度を計測する。基板取付穴44は、第2の外装部材20の基板保持部23と対応する位置にあり、基板40を第2の外装部材20にネジで締結する際に用いる。
【0042】
図5は、上述の環境センサの後側から見た分解図である。既に説明済みの部材は同一符号を付しその説明は省略する。
【0043】
第1の外装部材10は、上述した構成に加え、防水用の凸状リブ18を備える。凸状リブ18は、
図4に示した第2の外装部材20の環状防水パッキン25に対応する位置にある。凸状リブ18は、第1の外装部材10と第2の外装部材20とを締結して筐体をなした際に、環状防水パッキン25に当接し、第1の外装部材10と第2の外装部材20との合わせ部分の防水ならびに防塵を確実にする。
【0044】
第1の外装部材10は、図のごとく前面に対向する後面が開放した形状となっている。第1の外装部材10の外装締結部16は、第2の外装部材20の外装締結部22と対応する位置にあり、外装締結部22に向けて後側に突出している。
【0045】
第1の外装部材10においては、外装締結部16の突出長さを小さくすることが好ましい。理由の1つとして、通気性防水膜13は、通気穴12の裏側(第1の外装部材10の内側)から貼り付けており、外装締結部16の突出長さが小さいほうが通気性防水膜13を貼りやすくなるためである。
【0046】
基板40は、上述した構成に加え、その後面に電源スイッチ41、湿度センサ45、二次電池46およびアンテナ47を備える。
【0047】
電源スイッチ41は、環境センサ1の電源のオン/オフを切り替えるスイッチであり、
図3に示したように第1の外装部材10のキャップ14を開いた場合に外部に現れ、操作できるようになっている。
【0048】
湿度センサ45は、通気穴12および通気性防水膜13を経て取り込んだ外気をもとに湿度を計測する。
【0049】
二次電池46は、夜間などに照度センサ43、湿度センサ45および通信手段のための電源となる。
【0050】
アンテナ47は、前述の通信手段の一例であり、環境センサ1のデータをPC(Personal Computer)などの情報管理装置へ送信する。
【0051】
上記の構成において、環境センサ1を組み立てる場合は、第2の外装部材20に環状防水パッキン25を装着する。次に、第2の外装部材20の基板保持部23に基板40の基板取付穴44を合わせ、基板40側から第2の外装部材20へネジを入れて、基板40を第2の外装部材20に固定する。
【0052】
次に、第1の外装部材10の外装締結部16と第2の外装部材20の外装締結部22とを合わせ、第1の外装部材10側から第2の外装部材20へネジを入れて、第1の外装部材10を第2の外装部材20に固定する。
【0053】
このように、第2の外装部材20に対して、環状防水パッキン25、基板40、第1の外装部材10を順に組み付けて行けばよいので、途中で部材を裏返すなど向きを変える必要なく、組み易い環境センサを提供することができる。
【0054】
そして最後に第1の外装部材10の前面に透明材シート30を貼り、組み付けが完了する。
【0055】
なお、本実施形態においては、部材間の締結をネジで行う構成を前提に説明したが、締結方法はこれに限るものではない。例えば、超音波溶着や接着による締結であってもよい。部材間の締結を超音波溶着や接着で行う構成とした場合は、締結用のネジや防水パッキンを不要にすることが可能になり、部品点数をさらに削減することができる。
【0056】
また、本実施形態では照度と湿度を計測可能な環境センサを例示したが、計測対象はこれに限るものではない。例えば、紫外線、赤外線、温度、CO2(二酸化炭素)濃度等、用途に応じて適宜選択してよい。
【0057】
図6は、筐体と基板の位置関係を示した概略断面図である。上述した第1の外装部材10と第2の外装部材20と基板40との位置関係について、図を用いて補足する。
【0058】
第1の外装部材10と第2の外装部材20とを締結して筐体をなした状態において、第1の外装部材10、第2の外装部材20および基板40の位置関係は図のようになる。
【0059】
図6において、符号D1は第1の外装部材10の下面の奥行長さ、符号D2は第2の外装部材20の下面の奥行長さ、符号D1/2は第1の外装部材10下面の奥行中央までの長さであり、奥行中央位置を一点鎖線で示している。
【0060】
また、
図6において、符号L1は第1の外装部材10の外装締結部16の突出長さ、符号L2は第2の外装部材20の外装締結部22および基板保持部23の突出長さを示している。
【0061】
そして、外装締結部16と外装締結部22とを突き当てて締結し筐体をなした状態において、基板保持部23に保持した基板40は、第1の外装部材10下面の奥行中央位置(D1/2)よりも前側(Z方向正側)に位置する。好ましくは、基板40は第1の外装部材10の下面に設けた通気穴12よりも前側に位置する。
【0062】
また、筐体をなした状態においては、外装締結部22の先端部も第1の外装部材10下面の奥行中央位置よりも前側に位置する。これにより、第1の外装部材10の外装締結部16の突出長さL1を小さくすることが可能になり、通気穴12に通気性防水膜を取り付ける際に、外装締結部16が邪魔にならない。
【0063】
また、外装締結部22および基板保持部23においては、突出長さL2を大きく取ることが可能となり、ネジの噛み込み長さを十分に稼ぐことができる。
【0064】
また、基板40を通気穴12よりも前側に配置することで、基板40の前面側と後面側とで計測対象を分けることも可能になる。
【0065】
すなわち、基板40の前面側には、第1の外装部材10に設けた採光穴(図示省略)が取り込む光に対して計測を行う光系のセンサを集約することが可能になる。また、基板40の後面側には、第1の外装部材10に設けた通気穴12が取り込む外気に対して計測を行う外気系のセンサを集約することが可能になる。
【0066】
上述のように、本実施形態は、前面に対して交差した面となる下面に、通気性防水膜13を有する通気穴12を備え、前記前面に対向する後面を開放してなる第1の外装部材10と、第1の外装部材10の後面側に取り付けが可能で、照度センサ43および湿度センサ45等を備えた基板40を保持する基板保持部23を備える第2の外装部材20とを有し、第1の外装部材10および第2の外装部材20により基板40を収容する筐体をなす環境センサ1であって、前記筐体をなした状態において、基板40が第1の外装部材10の下面の前後方向(奥行方向)中央よりも前面側(Z方向正側)に位置するように基板保持部23を設ける。
【0067】
これにより、第2の外装部材20を奥行の小さい(薄い)部材として設けた場合であっても、基板保持部23および基板保持部23に保持した基板40を介して第2の外装部材20の剛性を高くすることができる。第2の外装部材20の剛性が高くなることで、第1の外装部材10との密閉性もよくなり、結果、小型かつ簡潔な構成で防水性能を長期に維持することが可能な環境センサを提供することができる。
【0068】
また、上述のように、第2の外装部材20は、第1の外装部材10と対向する面に、第1の外装部材10の外形に対応して設けた環状防水パッキン25を備え、環状防水パッキン25よりも内側に基板保持部23を備える。
【0069】
これにより、より防水性を向上することができる。
【0070】
また、上述のように、第2の外装部材20は、基板保持部23を設けた面に、第1の外装部材10への取り付けに用いる外装締結部16を備え、外装締結部16を環状防水パッキン25よりも内側で且つ基板保持部23が保持した基板40よりも外側となる位置に設ける。
【0071】
これにより、筐体の剛性を高くすることができ、構成の簡素化および部品点数の削減に寄与できる。
【0072】
図7は、基板の一例を示した説明図であり、
図7(a)は基板の前面図、
図7(b)は基板の後面図である。
【0073】
基板40は、その前面に太陽電池42、照度センサ43および基板取付穴44を備える。なお、基板取付穴44は貫通穴である。また、基板40は、その後面に電源スイッチ41、湿度センサ45、二次電池46およびアンテナ47を備える。
【0074】
太陽電池42は、照度センサ43、湿度センサ45およびアンテナ47のための電源となる。照度センサ43は、第1の採光窓31および採光穴17と対向する位置に配置し、第1の採光窓31および採光穴17を経て取り込んだ光をもとに照度を計測する。
【0075】
湿度センサ45は、第1の外装部材10の通気穴12に近い位置に配置し、通気穴12および通気性防水膜13を経て取り込んだ外気をもとに湿度を計測する。二次電池46は、夜間などに照度センサ43、湿度センサ45およびアンテナ47のための電源となる。アンテナ47は、環境センサ1のデータをPCなどの情報管理装置へ送信する。
【0076】
なお、ここでは照度と湿度を計測可能な環境センサを例示したが、計測対象はこれに限るものではない。例えば、基板40の前面側には照度以外に紫外線や赤外線などの計測が可能なセンサを備えてもよい。また、基板40の後面側には湿度以外に温度やCO2(二酸化炭素)濃度などの計測が可能なセンサを備えてもよい。
【0077】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0078】
[第1態様]
第1態様は、前面に対して交差した面(例えば下面)に、通気性防水膜(例えば通気性防水膜13)を有する通気穴(例えば通気穴12)を備え、前記前面に対向する後面を開放してなる第1部材(例えば第1の外装部材10)と、前記第1部材の後面側に取り付けが可能で、環境計測部(例えば照度センサ43、湿度センサ45)を備えた基板(例えば基板40)を保持する基板保持部(例えば基板保持部23)を備える第2部材(例えば第2の外装部材20)とを有し、前記第1部材および前記第2部材により前記基板を収容する筐体をなす環境計測装置(例えば環境センサ1)であって、前記筐体をなした状態において、前記基板が前記第1部材の前記交差した面の前後方向中央(例えば奥行中央位置D1/2)よりも前記前面側に位置するように前記基板保持部を設けることを特徴とするものである。
【0079】
第1態様によれば、小型かつ簡潔な構成で防水性能を長期に維持することが可能な環境計測装置を提供することができる。
【0080】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記第2部材(例えば第2の外装部材20)は、前記第1部材(例えば第1の外装部材10)と対向する面に、前記第1部材の外形に対応して環状に設けた防水部材(例えば環状防水パッキン25)を備え、前記防水部材よりも内側に前記基板保持部(例えば基板保持部23)を備えることを特徴とするものである。
【0081】
第2態様によれば、より防水性が向上した環境計測装置を提供することができる。
【0082】
[第3態様]
第3態様は、第1態様または第2態様において、前記第2部材(例えば第2の外装部材)は、前記基板保持部(例えば基板保持部23)を設けた面に、前記第1部材(例えば第1の外装部材)への取り付けに用いる取付部(例えば外装締結部22)を備え、前記取付部を前記防水部材(例えば環状防水パッキン25)よりも内側で且つ前記基板保持部が保持した前記基板(例えば基板40)よりも外側となる位置に設けることを特徴とするものである。
【0083】
第3態様によれば、筐体の剛性を高くすることができ、構成の簡素化および部品点数の削減に寄与できる。
【符号の説明】
【0084】
1 環境センサ
10 第1の外装部材
12 通気穴
16 第1の外装部材の外装締結部
20 第2の外装部材
22 第2の外装部材の外装締結部
23 基板保持部
40 基板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】