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特許7606852ダイシング装置の判定方法、及び、ダイシング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ダイシング装置の判定方法、及び、ダイシング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20241219BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20241219BHJP
   B24B 27/06 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
H01L21/78 C
B24B49/12
B24B27/06 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020187723
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077081
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】高乗 佑
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-106405(JP,A)
【文献】特開2020-178036(JP,A)
【文献】特開平06-232254(JP,A)
【文献】特開2016-146403(JP,A)
【文献】特開2020-136541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 49/12
B24B 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を回転自在に保持する保持テーブルと、
該保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、
該保持テーブルで保持された被加工物をダイシングするダイシングユニットと、
該ダイシングユニットと該保持テーブルとを加工送り方向に相対移動させるとともに該加工送り方向に直交する割り出し送り方向に相対移動させる移動機構と、
少なくとも該撮像ユニットと該ダイシングユニットと該移動機構とを制御するコントローラと、
を備えたダイシング装置で、ダイシング開始が適切か否かを判定するダイシング装置の判定方法であって、
撮像ユニットにより取得された撮像画像に基づいて該加工送り方向に対して平行なダイシング予定ラインを設定するとともに、該ダイシングユニットと該ダイシング予定ラインを位置合わせするアライメントステップと、
該アライメントステップ実施後、該コントローラが該移動機構と該撮像ユニットとを制御して被加工物を保持した該保持テーブルを該撮像ユニットに対して該割り出し送り方向に移動させた後、該保持テーブルを該撮像ユニットに対して該加工送り方向に移動させつつ該撮像ユニットで被加工物の表面を判定用の撮像用ラインに沿って撮像して判定用の撮像画像を形成し、該撮像画像をもとにダイシング開始が適切か否かを判定する判定ステップと、
を有するダイシング装置の判定方法。
【請求項2】
該ダイシング装置は、警告を発信する警告発信ユニットを更に有し、
該判定ステップで適切でないと判定された場合に、
該コントローラは該警告発信ユニットで警告を発信する警告発信ステップ、
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のダイシング装置の判定方法。
【請求項3】
該判定ステップでダイシング開始が適切と判定された場合に、
該保持テーブルを該ダイシングユニットに対して該加工送り方向に相対移動させ、該ダイシング予定ラインをダイシング加工する加工ステップ、を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイシング装置の判定方法。
【請求項4】
被加工物を回転自在に保持する保持テーブルと、
該保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、
該保持テーブルで保持された被加工物をダイシングするダイシングユニットと、
該ダイシングユニットと該保持テーブルとを加工送り方向に相対移動させるとともに該加工送り方向に直交する割り出し送り方向に相対移動させる移動機構と、
少なくとも該撮像ユニットと該ダイシングユニットと該移動機構とを制御するコントローラと、
を備えたダイシング装置であって、
撮像ユニットにより取得された撮像画像に基づいて該加工送り方向に対して平行なダイシング予定ラインを設定するとともに、該ダイシングユニットと該ダイシング予定ラインを位置合わせするアライメントステップと、
該アライメントステップ実施後、該コントローラが該移動機構と該撮像ユニットとを制御して被加工物を保持した該保持テーブルを該撮像ユニットに対して該割り出し送り方向に移動させた後、該保持テーブルを該撮像ユニットに対して該加工送り方向に移動させつつ該撮像ユニットで被加工物の表面を判定用の撮像用ラインに沿って撮像して判定用の撮像画像を形成し、該撮像画像をもとにダイシング開始が適切か否かを判定する判定ステップと、
を実施可能とするダイシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハなどの板状の被加工物をチップに個片化するために用いられるダイシング装置に関するものであり、より詳しくは、ダイシング予定ラインが正しく設定されたか否かを判定するための判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイス製造工程では、半導体ウェーハの上に複数のデバイスを形成し、このウェーハを個々の半導体デバイスチップへとダイシング(分割)がされる。このダイシングにおいては、半導体ウェーハに設定されたダイシング予定ライン(ストリート)に沿ったダイシング加工が行われるものであり、切削装置やレーザー加工装置等のダイシング装置が広く利用されている。
【0003】
切削装置は、高速回転する切削ブレードを有するダイシングユニットを備え、ダイシング予定ラインに沿った切削溝を形成する切削加工が行われるものである。レーザー加工装置は、レーザービームを生成するレーザー発振器と、レーザービームを半導体ウェーハに集光する集光レンズと、を有するダイシングユニットを備え、ダイシング予定ラインに沿ってレーザー加工溝を形成することや、半導体ウェーハの内部に改質層を形成するといったレーザー加工が行われるものである。
【0004】
これらのダイシング装置による加工に際しては、加工する半導体ウェーハのデバイスに存在する特徴的なキーパターンをターゲットパターンとしてダイシング装置に事前に登録することや、ダイシング装置に加工条件を登録することが行われる。ダイシング時にはダイシング装置に備えた撮像ユニットで半導体ウェーハを撮像し、撮像画像中に含まれるキーパターンと、事前に登録されたターゲットパターンとをパターンマッチングさせてダイシング加工位置となるダイシング予定ラインを特定する。次いで、このダイシング予定ラインと加工点の位置を一致するように、ダイシングユニットと半導体ウェーハとの位置を調整する所謂オートアライメントが実施される。このオートアライメントは、ダイシング装置の制御装置によって自動的に行われるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-050258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ウェーハの種類やパターン精度、また、汚れの付着や表面の局所的な損傷等により、オートアライメントが取れない場合が生じ得る。このような場合には、オペレータの操作によりダイシング予定ラインを設定するマニュアルアライメントが行われる。
【0007】
具体的には、まず、ウェーハの一端側が撮像され、撮像画像に現れるデバイス間のストリートの縁(例えば上側の縁(デバイス上のパターンでもよい))をオペレータが選択する。次いで、装置による自動制御によりウェーハを保持する保持テーブルがX軸方向に所定距離移動されるとともに、ウェーハの他端側が撮像され、撮像画像に現れるストリートの縁をオペレータが選択する。次いで、装置による自動制御により、オペレータが指定した2点を結ぶ仮想線がX軸方向と平行になるように保持テーブルを回転させるθ合わせが行われる。
【0008】
以上のθ合わせによりストリートをX軸方向(加工送り方向)と平行にした上で、オペレータは、複数のストリートの中から任意の一つのストリートを選択し、選択したストリートの中心の位置を指定される。このように指定されたストリートの中心の位置が、切削ブレードにより切削されるダイシング予定ラインとなる。その後、オペレータは、最初に加工をしたいストリートを「加工開始予定ライン」として選択し、加工開始予定ラインから加工が開始される。
【0009】
以上のようなマニュアルアライメントでは、オペレータの習熟度によって正しくダイシング予定ラインが設定されない場合がある。例えば、保持テーブルにセットしたウェーハのストリートの方向がX軸方向(加工送り方向)と平行でなかった場合には、離れた位置の撮像画像にそれぞれ別のストリートが写り込むことがある。そして、別のストリートの2点が結ばれた場合には、デバイスを横切る仮想線が設定されてしまうことになり、当該仮想線に基づいてθ合わせや、ダイシング予定ラインが設定されてしまうことになる。
【0010】
さらに、オートアライメントにおいても、例えば、ターゲットパターンと異なるパターンがパターンマッチングされてしまった場合や、角度がずれた状態でウェーハがセットされ別のストリートに対応するターゲットパターンを検出してしまった場合には、誤ったダイシング予定ラインが検出されることになる。
【0011】
本発明は、以上に鑑み、ダイシング予定ラインが誤って設定された際に、そのままダイシングが開始されてしまうことを防止するための新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0013】
本発明の一態様によれば、
被加工物を回転自在に保持する保持テーブルと、
保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、
保持テーブルで保持された被加工物をダイシングするダイシングユニットと、
ダイシングユニットと保持テーブルとを加工送り方向に相対移動させるとともに加工送り方向に直交する割り出し送り方向に相対移動させる移動機構と、
少なくとも撮像ユニットとダイシングユニットと移動機構とを制御するコントローラと、
を備えたダイシング装置で、ダイシング開始が適切か否かを判定するダイシング装置の判定方法であって、
撮像ユニットにより取得された撮像画像に基づいて加工送り方向に対して平行なダイシング予定ラインを設定するとともに、ダイシングユニットとダイシング予定ラインを位置合わせするアライメントステップと、
アライメントステップ実施後、コントローラーが移動機構と撮像ユニットとを制御して被加工物を保持した保持テーブルを撮像ユニットに対して加工送り方向に移動させつつ撮像ユニットで被加工物の表面を撮像して判定用の撮像画像を形成し、撮像画像をもとにダイシング開始が適切か否かを判定する判定ステップと、
を有するダイシング装置の判定方法とする。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、
ダイシング装置は、警告を発信する警告発信ユニットを更に有し、
判定ステップで適切でないと判定された場合に、
コントローラーは警告発信ユニットで警告を発信する警告発信ステップ、
を有する、こととする。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、
判定ステップでダイシング開始が適切と判定された場合に、
保持テーブルをダイシングユニットに対して加工送り方向に相対移動させ、ダイシング予定ラインをダイシング加工する加工ステップ、を有する、こととする。
【0016】
また、本発明の一態様によれば、
被加工物を回転自在に保持する保持テーブルと、
保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、
保持テーブルで保持された被加工物をダイシングするダイシングユニットと、
ダイシングユニットと保持テーブルとを加工送り方向に相対移動させるとともに加工送り方向に直交する割り出し送り方向に相対移動させる移動機構と、
少なくとも撮像ユニットとダイシングユニットと移動機構とを制御するコントローラと、
を備えたダイシング装置であって、
撮像ユニットにより取得された撮像画像に基づいて加工送り方向に対して平行なダイシング予定ラインを設定するとともに、ダイシングユニットとダイシング予定ラインを位置合わせするアライメントステップと、
アライメントステップ実施後、コントローラーが移動機構と撮像ユニットとを制御して被加工物を保持した保持テーブルを撮像ユニットに対して加工送り方向に移動させつつ撮像ユニットで被加工物の表面を撮像して判定用の撮像画像を形成し、撮像画像をもとにダイシング開始が適切か否かを判定する判定ステップと、
を実施可能とするダイシング装置とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、ダイシング開始が適切でないと判定された場合には、オペレータのマニュアル操作によって登録されたダイシング予定ラインが適切でなかったことなどを検出することができ、ダイシングが開始されてしまうことを防止することで、デバイスの箇所を加工して損傷させてしまうという不具合の発生を防止できる。
【0018】
また、本発明の一態様によれば、警告を発信することにより、オペレータに異常発生を認識させることができる。
【0019】
また、本発明の一態様によれば、ダイシング開始が適切と判定された場合のみ加工が実施され、オペレータのマニュアル操作によって登録されたダイシング予定ラインが適切でなかった場合に、ダイシングが開始されてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ダイシング装置としてのレーザー加工装置の構成例を示す斜視図。
図2】被加工物としてのウェーハの例について示す図。
図3】アライメントについて説明する図。
図4】加工送り方向とダイシング予定ラインに角度ずれがある場合について説明する図。
図5】実施例1の各ステップの流れについて示すフローチャート。
図6】(A)は第1の方向に延びるダイシング予定ラインの設定について示す図。(B)は第2の方向に延びるダイシング予定ラインの設定について示す図。(C)はアライメントステップ完了時の様子について説明する図。(D)は判定ステップの際の様子について説明する図。
図7】(A)は判定ステップにおける撮像画像の取得について説明する図。(B)は撮像用ラインに沿って撮像される判定用の撮像画像について説明する図。
図8】(A)は判定用ラインに基づく判定について説明する図。(B)は判定用ラインの方向が加工送り方向と一致する場合について説明する図。
図9】(A)はヘアラインと判定用ラインにずれが生じている様子について示す図。(B)はヘアラインと判定用ラインが一致する場合について示す図。(C)は撮像画像に切削溝が写り込んだ様子について説明する図。
図10】加工ステップについて説明する図。
図11】実施例2の各ステップの流れについて示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照し、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、ダイシング装置としてのレーザー加工装置2の構成例を示す斜視図である。なお、以下の説明では、ダイシング装置の例としてレーザービーム照射ユニットを備えるレーザー加工装置を用いて説明するが、ダイシング装置としては、レーザービーム照射ユニットを備える代わりに、高速回転する切削ブレードと、切削ブレードを回転させるスピンドルと、を有する切削ユニットを備える切削装置であってもよい。
【0022】
図1に示すように、レーザー加工装置2は、各構造を支持する基台4を備えている。基台4は、直方体状の基部6と、基部6の後端において上方に伸びる壁部8とを含む。基部6の上面には、テープ15を介してウェーハ(被加工物)11を吸引して保持する保持テーブル10が配置されている。保持テーブル10は、Y軸移動機構16とX軸移動機構26からなる移動機構によってX軸、Y軸方向に移動される。
【0023】
保持テーブル10の下方には、保持テーブル10をY軸方向(割り出し送り方向)に移動させるY軸移動機構16が設けられている。Y軸移動機構16は、基部6の上面に固定されY軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール18を備える。
【0024】
Y軸ガイドレール18には、Y軸移動テーブル20がスライド可能に設置されている。Y軸移動テーブル20の裏面側(下面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール18と平行なY軸ボールネジ22が回転可能な態様で結合されている。
【0025】
Y軸ボールネジ22の一端部には、Y軸パルスモータ24が連結されている。Y軸パルスモータ24でY軸ボールネジ22を回転させると、Y軸移動テーブル20が、Y軸ガイドレール18に沿ってY軸方向に移動する。
【0026】
Y軸移動テーブル20の表面側(上面側)には、保持テーブル10をY軸方向と直交するX軸方向(加工送り方向)に移動させるX軸移動機構26が設けられている。X軸移動機構26は、Y軸移動テーブル20の上面に固定されX軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール28を備える。
【0027】
X軸ガイドレール28には、X軸移動テーブル30がスライド可能に設置されている。X軸移動テーブル30の裏面側(下面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール28と平行なX軸ボールネジ32が回転可能な態様で結合されている。
【0028】
X軸ボールネジ32の一端部には、X軸パルスモータ34が連結されている。X軸パルスモータ34でX軸ボールネジ32を回転させると、X軸移動テーブル30が、X軸ガイドレール28に沿ってX軸方向に移動する。
【0029】
X軸移動テーブル30の表面側(上面側)には、支持台36が設けられている。支持台36の上部には、保持テーブル10が配置されている。保持テーブル10は、下方に設けられた回転駆動源(不図示)と連結されており、Z軸の周りに回転する。保持テーブル10の周囲には、ウェーハ11を支持する環状のフレーム17を四方から挟持固定する4個のクランプ38が設けられている。
【0030】
保持テーブル10の表面は、ウェーハユニット19のウェーハ11を吸引保持する保持面10aとして構成される。この保持面10aには、保持テーブル10の内部に形成された流路(不図示)を通じて吸引源(不図示)の負圧が作用し、テープ15を吸引する吸引力が発生する。
【0031】
壁部8の上部前面には、前方に向かって伸びる支持アーム40が設けられており、この支持アーム40の先端部には、レーザービーム照射ユニット12の加工ヘッド12aが設けられる。レーザービーム照射ユニット12は、図示せぬレーザー発振器を備えて構成されており、加工ヘッド12aは、レーザー発振器から発せられたレーザービームを保持テーブル10で保持されたウェーハ11に対して集光する図示せぬ集光レンズを備えて構成される。
【0032】
レーザービーム照射ユニット12において、加工ヘッド12aの側方には、撮像ユニット13が設けられる。この撮像ユニット13により、ウェーハ11の表面のダイシング予定ラインなどが撮像される。撮像画像は、コントローラ100により適宜モニター200に表示される。
【0033】
モニター200は、タッチパネルにて構成され、オペレータによる操作入力が可能に構成される。なお、操作入力のための入力機器をモニター200と別に設ける構成としてもよい。
【0034】
レーザー加工の際には、コントローラ100によるフルオート制御、あるいは、オペレータの操作によるマニュアル制御により、保持テーブル10は、レーザービーム照射ユニット12の加工ヘッド12aの下方に位置づけられ、撮像ユニット13による撮像画像に基づいて適宜アライメントが行われた後、加工ヘッド12aからレーザービームを照射するとともに、保持テーブル10を加工送りすることでレーザー加工が行われる。
【0035】
壁部8の上部前面において、支持アーム40の側方には、保持テーブル10上のウェーハユニット19を、洗浄装置50のスピンナテーブル52に搬送するための搬送装置60が設けられている。
【0036】
搬送装置60は、ウェーハユニット19のフレーム17の上面を吸引保持する複数の吸引部61aを有する保持アーム61と、保持アームを昇降させる昇降部62と、昇降部62が連結されX軸方向に水平移動する水平移動部63と、水平移動部63を移動させるためのX軸方向移動機構64と、を有して構成される。
【0037】
X軸方向移動機構64は、壁部8の前面に水平方向に設けられる一対のX軸ガイドレール64aと、X軸ガイドレール64aの間に配置されるX軸ボールネジ65と、X軸ボールネジ65の一端に設けられるX軸パルスモータ66と、を有して構成される。
【0038】
X軸ボールネジ65は、水平移動部63に設けたナット部(不図示)に挿通されており、X軸パルスモータ66でX軸ボールネジ65を回転させると、水平移動部63がX軸ガイドレール64aに沿ってX軸方向に移動し、これに伴って保持アーム61もX軸方向に移動する。
【0039】
図2は、被加工物としてのウェーハ11の例について示すものであり、テープ15に貼着されたウェーハ11を取り囲むように、金属製の環状のフレーム17がテープ15に貼着され、ウェーハ11、テープ15及びフレーム17が一体となったウェーハユニット19が構成される。
【0040】
ウェーハ11には、互いに直交する第1の方向F1と第2の方向F2に伸びて格子状に配置されるストリートSが設計され、各ストリートSで画成される領域内にデバイスDが形成される。
【0041】
後述するオートアライメントやマニュアルアライメントによってストリート中にダイシング予定ラインが設定され、ダイシング予定ラインLに沿ってレーザー加工が行われるとともに、その後分割されることで、デバイスチップに個片化される。なお、本明細書において、「ダイシング予定ラインの設定」の用語には、オートアライメントによるダイシング予定ラインの検出、及び、マニュアルアライメントによるダイシング予定ラインの設定、のいずれもが含まれるものである。
【0042】
図2及び図3に示すように、ウェーハ上には各デバイスDを構成する各種パターンが存在しており、ダイシング加工を施す前に、作業者がウェーハ上の特徴的なキーパターンPkを選択し、そのキーパターンPkをターゲットパターンPtとしてコントローラ100に登録する。
【0043】
キーパターンPkは、各デバイスDにおいて同一の位置に存在しており、同列に並ぶデバイスDに形成されるキーパターンPkを結んだ仮想線Kは、ダイシング予定ラインLと平行になることが想定されている。
【0044】
ターゲットパターンPtの登録の際には、キーパターンPkからダイシング予定ラインLまでの基準距離Lmも登録される。隣り合うダイシング予定ラインL,S間のインデックス距離Ln、ウェーハ11の直径、などのウェーハ11の各種の属性情報は、加工前に予め加工条件としてコントローラ100に登録される。
【0045】
コントローラ100に登録されたターゲットパターンPtを参照することで、オートアライメントが行われる。
【0046】
オートアライメントは以下のようにして行われる。
コントローラ100は、保持テーブル10を移動させ、ウェーハ11の複数箇所(図3の例ではウェーハ11のX軸方向の両端の二箇所)を撮像ユニット13にて撮像することでダイシング予定ラインLを検出する。具体的には、まずは、一箇所目の撮像画像G1を撮像し、撮像画像G1の中からターゲットパターンPtと一致するキーパターンPkをパターンマッチングにより検出するとともに、キーパターンPkの座標位置を検出する。次いで、保持テーブル10を加工送り方向(X軸方向)に移動させ、二箇所目の撮像画像G2を撮像し、同様に、撮像画像G2の中のキーパターンPkの座標位置を検出する。
【0047】
コントローラ100は、検出された2つのキーパターンPkの座標位置を結んだ仮想線Kを検出する。そして、仮想線Kから基準距離Lmずれた位置をダイシング予定ラインLとして検出する。ここで、仮想線Kの方向と、加工送り方向(X軸方向)がずれている場合には、保持テーブル10を回転させる角度調整が適宜行われ、調整角度が登録される(θ合わせ動作)。
【0048】
次いで、保持テーブル10を90度回転させ、同様にウェーハ11の第2の方向F2に伸びるダイシング予定ラインLも検出する。ここで、第2の方向F2についても仮想線の方向と、加工送り方向(X軸方向)がずれている場合には、保持テーブル10を回転させる角度調整が適宜行われ、調整角度が登録される(θ合わせ動作)。
【0049】
次いで、検出されたダイシング予定ラインをレーザービーム照射ユニット12でレーザー加工できるように、ソフトウエア上におけるダイシング予定ラインの位置とレーザービーム照射ユニット12の位置を合わせる。このようにして、ダイシング予定ラインとレーザー加工位置を合わせるオートアライメントが完了する。
【0050】
オートアライメント完了後の加工においては、例えば、レーザービーム照射ユニット12に対し、ウェーハ11の最も外側において第2の方向F2に伸びるダイシング予定ラインL2を位置づけて加工を開始し、インデックス送りをして第2の方向F2の全てのダイシング予定ラインについての加工を行う。次いで、同様に、ウェーハを90度回転させてウェーハ11の最も外側において第1の方向F1に伸びるダイシング予定ラインL1から加工を開始し、インデックス送りをして第1の方向F1の全てのダイシング予定ラインについての加工を行う。
【0051】
ここで、図3において、ウェーハ11が汚れている場合や、パターンが局所的に損傷している場合などでは、ターゲットパターンPtと一致するキーパターンPkが検出できず、ダイシング予定ラインLが検出できないという不具合が生じる。このような場合には、ウェーハ11の加工が開始されず、ウェーハ11を一度搬出して別の機会にマニュアルアライメントモードによりアライメントがされ、加工が実施される。また、例えば、加工中に切削ブレードが破損するなどして加工が停止された場合には、オペレータが切削ブレードを交換した後、ウェーハの未加工領域の加工を実施する。この加工の際にも、マニュアルアライメントモードによるアライメントが実施される。
【0052】
マニュアルアライメントは以下のように行われる。
マニュアルアライメントモードが選択され、実行開始されると、図3に示すように、コントローラ100により、ウェーハ11上における所定の領域の撮像画像G1が撮像され、オペレータは例えば撮像画像G1に現れるストリートSの上側の縁を第1点P1として選択する。この第1点P1の選択がされるとコントローラ100により、ウェーハ11(保持テーブル10)が加工送り方向であるX軸方向に所定の距離移動されるとともに、二箇所目の撮像画像G2が撮像される。オペレータは例えば撮像画像G2に現れるストリートSの上側の縁を第2点P2として選択する。
【0053】
コントローラ100は、オペレータにより選択された2つの点P1,P2を結んで仮想線K1を設定し、仮想線K1がX軸方向と一致しない場合には、ウェーハ11(保持テーブル10)を回転させて仮想線K1をX軸方向と一致させるθ合わせを行う。コントローラ100は、θ合わせを行った後、仮想線K1から予め登録された基準距離Lkだけ離れた位置をダイシング予定ラインとして設定する。このように、オペレータの操作に基づいて、コントローラ100によりダイシング予定ラインが設定される。
【0054】
ここで、図3において、オペレータの習熟度が低く、本来は撮像画像G2内で第二点P2を選択すべきところ、別の位置P3を選択してしまった場合には、ストリートSと平行でない仮想線Kzが設定されてしまい、誤ったダイシング予定ラインが設定されてしまうことになる。
【0055】
さらに、図4に示すように、ウェーハ11のストリートSが、加工送り方向であるX軸方向と平行でなく、角度θずれた状態でウェーハ11がセットされている状況では、各撮像画像G1,G2内に別の列のストリートS1,S2が含まれることが生じ得る。そして、各撮像画像G1,G2に現れるストリートS1,S2に基づいて仮想線K2が設定されると、本来ストリートが存在しない箇所にダイシング予定ラインL6を設定してしまうことになる。
【0056】
図3図4に示すように、誤ったダイシング予定ラインが設定されると、デバイスDを加工して損傷させてしまうことになる。このような不具合を防止するために、本発明では以下のようにしてダイシング予定ラインの検出方法、及び、判定方法が実施される。
【0057】
以下、本発明にかかるダイシング予定ラインの検出方法、及び、判定方法について説明する。
【実施例1】
【0058】
実施例1は、未加工のウェーハについてキーパターンが検出されない場合等において、マニュアルアライメントを実施し、ダイシング予定ラインの検出や、判定を行う例である。図5は実施例1を行う場合の各ステップの流れについて示すフローチャートである。
【0059】
<アライメントステップ>
図3において、マニュアルアライメントにより加工送り方向(X軸方向)に対して平行なダイシング予定ラインLを設定するとともに、ダイシングユニット(レーザービーム照射ユニット12)とダイシング予定ラインを位置合わせするステップである(図5ステップS1)。
【0060】
具体的には、図6(A)に示すように、ウェーハ11の第1の方向F1について、上述したように、オペレータにより選択された2つの点P1,P2に基づいて、コントローラは加工送り方向(X軸方向)と平行なダイシング予定ラインLを設定する。
【0061】
また、コントローラは、設定されたダイシング予定ラインをレーザービーム照射ユニット12でレーザー加工できるように、ソフトウエア上におけるダイシング予定ラインの位置とレーザービーム照射ユニット12の位置を合わせる。
【0062】
以上のようにして、ダイシング予定ラインの設定が行われるとともに、ダイシング予定ラインとレーザー加工位置を合わせるアライメントが実施される。
【0063】
<判定ステップ>
図6(D)、図7(A)(B)、及び、図8(A)に示すように、アライメントステップ実施後、ウェーハ11(保持テーブル10)を撮像ユニット13に対して加工送り方向に移動させつつウェーハ11の表面を撮像して複数の判定用の撮像画像Ga,Gb・・・を形成し、形成した撮像画像Ga,Gb・・・をもとにダイシング開始が適切か否かを判定するステップである。本実施例においては、まず、第1の方向F1に伸びるダイシング予定ラインについての判定ステップが行われる(図5ステップS2)。
【0064】
具体的には、ウェーハ11(保持テーブル10)をY軸方向に移動させ、撮像ユニット13のY軸方向の位置と、判定用の撮像画像Ga,Gb・・・が撮像される位置となる撮像用ラインL3のY軸方向の位置と、を合わせた後、ウェーハ11(保持テーブル10)をX軸方向(加工送り方向)に移動させ、撮像画像Ga,Gb・・・を取得する。
【0065】
なお、撮像用ラインL3のY軸方向の位置は、例えば、ダイシングを実施したい箇所としてオペレータにより任意で設定されることとするほか、ウェーハ11の属性情報に基づきコントローラが自動で設定することや、ダイシングが開始されるダイシング予定ラインから所定のライン数ずれた箇所とすることができる。図6(D)の例では、撮像用ラインL3に沿って判定用の撮像画像Ga,Gb・・・が撮像される例が示されている。
【0066】
また、図7(B)に示すように、判定用の撮像画像Ga,Gb・・・は、撮像用ラインL3が設定される位置の全てを撮像することとする他、間隔を開けて複数箇所だけ撮像することや、一箇所だけ撮像することとしてもよい。
【0067】
以上の判定用の撮像画像Ga,Gb・・・に基づき、コントローラでは、ダイシング開始が適切か否かを判定する。ダイシング開始が適切でないと判定された場合には、設定されたダイシング予定ラインが適切でなかったことなどを検出することができ、ダイシングが開始されてしまうことを防止することで、デバイスの箇所を加工して損傷させてしまうという不具合の発生を防止できる。
【0068】
判定内容としては、例えば、以下のものが考えられ、全てを判定することとする他、いずれか一つを判定することとしてもよい。
【0069】
<判定内容1>
設定されたダイシング予定ラインがX軸方向と平行であるか否かの判定である。
【0070】
例えば、図4のようにウェーハ11が傾いており、ダイシング予定ラインが傾いたまま誤って設定されてしまった場合には、図8(A)に示すように、判定用の撮像画像に現れるダイシング予定ラインも傾いた状態となる。
【0071】
この判定内容1の実施においては、まず、コントローラ100により判定用ラインL4が設定される。具体的には、コントローラ100がストリートSのエッジ(縁)Sfを画像処理で検出し、検出したエッジSfを結んで判定用ラインL4とする。なお、コントローラ100が各撮像画像中のキーパターンPkとターゲットパターンPt(図4)をパターンマッチングにより検出するとともに、各キーパターンPkから基準距離Lmだけ離れた各位置を結ぶことで判定用ラインL4を設定することとしてもよい。
【0072】
そして、コントローラ100は、判定用ラインL4が加工送り方向(X軸方向)と所定の角度以上ずれている場合には、ダイシング開始が不適切と判定する。図8(A)の例では、角度θずれているため、不適切と判定される。
【0073】
一方で、図8(B)に示すように、判定用ラインL4が加工送り方向(X軸方向)と方向が一致する場合には、ダイシング開始が適切と判定される。
【0074】
<判定内容2>
図9(A)に示すように、設定されたダイシング予定ラインがストリートのY軸方向の中央であるかの判定である。
【0075】
この判定内容2の実施においては、コントローラ100により判定用ラインL5が設定される。具体的には、コントローラがストリートのY方向に隣り合うデバイスDのエッジSfを画像処理で検出し、検出したエッジSfのY軸方向の中間位置を通るラインを判定用ラインL5として設定する。そして、この判定用ラインL5と撮像ユニット13に設定されるヘアラインHのY軸方向位置(加工予定位置)と、のずれの有無を検出する。
【0076】
撮像ユニット13は顕微鏡にて構成され、顕微鏡で撮像される画像の中心にはヘアラインHが設定されており、このヘアラインHのY軸方向位置と対応する位置に加工がされるようになっている。そして、上述のアライメントステップが完了した状態では、アライメントに問題がなければ、ヘアラインHのY軸方向位置と対応する位置に加工がされる。
【0077】
そして、コントローラ100は、例えば、上述した判定用ラインL5が、ヘアラインHの位置から所定の距離以上ずれている場合には、ダイシング開始が不適切と判定する。図9(A)の例では、ずれ量ΔYが所定の距離以上であるため、不適切と判定される。
【0078】
一方で、図9(B)に示すように、判定用ラインL5がヘアラインHの位置と一致する場合には、ダイシング開始が適切と判定される。なお、図9(B)の例では、判定用ラインL5とヘアラインHが一致する場合が示されている。
【0079】
なお、図9(A)(B)においては、ストリートSのY軸方向に隣り合うデバイスDの中間位置にて判定用ラインL5を設定し、判定用ラインL5とヘアラインHの相対位置を比較したが、ストリートSのY軸方向の片側にのみデバイスDが存在する場合には、複数の各キーパターンPkから基準距離Lmだけ離れた位置にヘアラインHが存在するか否かを検出することで、判定を行うこととしてもよい。
【0080】
<判定内容3>
図9(C)に示すように、ダイシング予定ラインがすでに加工済であるか否かの判定である。
【0081】
加工済であるラインについてダイシングを行うと、不具合が生じる場合がある。例えば、切削ブレードにて切削溝を形成する切削装置においては、先に形成されている切削溝Vを更に加工すると、切削ブレードを破損してしまう可能性がある。このような場合には、撮像画像に現れるダイシング予定ラインについてダイシングを実施することは適切ではない。
【0082】
図9(C)の例では、判定用の撮像画像に切削溝Vが写り込んでおり、コントローラ100は画像解析によってこの切削溝Vを認識し、ダイシング開始が不適切と判定する。一方で、切削溝Vが確認されない場合には、判定内容3については適切と判定する。
【0083】
<警告ステップ>
以上の判定ステップにおいて、ダイシング開始が不適切と判定された場合に、警告発信ユニットにて警告を発するステップである(図5ステップS3)。
【0084】
具体的には、図1に示す構成例において、コントローラ100は、モニター200、スピーカー201、警告灯202などの警告発信ユニットから、表示、音声、光などによる警告を発信させるものである。
【0085】
この警告ステップを実施する際には、コントローラ100はダイシング開始を中断する。なお、この警告ステップを省略し、警告を発信することなくダイシング開始を中断することとしてもよい。
【0086】
以上のように警告を発信することにより、オペレータに異常発生を認識させることができる。
【0087】
<加工ステップ>
以上の判定ステップにおいて、ダイシング開始が適切と判定された場合には、図10に示すように、保持テーブル10をダイシングユニットであるレーザービーム照射ユニット12(加工ヘッド12a)に対して加工送り方向に相対移動させ、レーザービームBを照射してダイシング予定ラインをダイシング加工するステップである(図5ステップS4)。
【0088】
加工ステップの前段階においては、上述した各判定内容の判定が行われていることにより、ダイシング加工を開始した場合の不具合の発生確率を低くすることができる。
【0089】
また、ダイシング開始が適切と判定された場合のみ加工が実施され、設定されたダイシング予定ラインが適切でなかった場合に、ダイシングが開始されてしまうことを防止できる。
【0090】
この加工ステップでは、図6(A)に示すように第1の方向F1に延びるダイシング予定ラインについて加工が行われる。第1の方向F1に延びるダイシング予定ラインについて加工ステップを完了した後は、ウェーハが90度回転され(図5ステップS5)、第2の方向F2について、アライメントステップ(図5ステップS6)、判定ステップ(図5ステップS7)、警告ステップ(図5ステップS8)、加工ステップ(図5ステップS9)が同様に行われる。
【0091】
なお、第2の方向F2についての判定ステップの際に、第1の方向F1に形成された切削溝が判定用の撮像画像に写り込み、上記判定内容3において誤判定がされる可能性があるため、判定用の撮像画像に切削溝を表示しないようにマスキングする画像処理を行うことが好ましい。
【0092】
また、第1の方向F1に延びるダイシング予定ラインについて判定ステップを実施した後、ウェーハを90度回転させ、第2の方向F2に延びるダイシング予定ラインについてアライメントステップ、判定ステップ、警告ステップを実施した後、第2の方向F2に延びるダイシング予定ラインについて加工ステップを行い、次いで、ウェーハを90度回転させて第1の方向F1に延びるダイシング予定ラインについて加工ステップを実施することとしてもよい。
【0093】
さらに、マニュアルアライメントによるアライメントステップをウェーハの第1の方向F1について行った後、ウェーハを90度回転させて、マニュアルアライメントによるアライメントステップをウェーハの第2の方向F2について行い、次いで、第2の方向F2について判定ステップ、警告ステップ、加工ステップを実施した後、ウェーハを90度回転させて、第1の方向F1について判定ステップ、警告ステップ、加工ステップを実施することとしてもよい。
【0094】
この場合、第1の方向F1についての判定ステップの際に、第2の方向F2に形成された切削溝が判定用の撮像画像に写り込み、上記判定内容3において誤判定がされる可能性があるため、判定用の撮像画像に切削溝を表示しないようにマスキングする画像処理を行うことが好ましい。
【実施例2】
【0095】
オートアライメントが行われる場合においても、上記と同様の判定を行うことができる。図11は実施例1を行う場合の各ステップの流れについて示すフローチャートである。
【0096】
まず、上述のアライメントステップと同様に、オートアライメントにより加工送り方向(X軸方向)に対して平行なダイシング予定ラインを設定するとともに、ダイシングユニット(レーザービーム照射ユニット12)とダイシング予定ラインを位置合わせする。
【0097】
このアライメントステップ、判定ステップ、警告ステップ、をウェーハの第1の方向F1(図6(A))について行った後、ウェーハを90度回転させ、ウェーハの第2の方向F2(図6(B))について、アライメントステップ、判定ステップ、警告ステップを同様に行う。
【0098】
警告が出されることなく進んだ場合には、そのまま第2の方向F2について加工ステップを実施した後、再びウェーハを90度回転させて第1の方向F1について加工ステップを実施する。
【0099】
また、以上の他に、オートアライメントによるアライメントステップ、判定ステップ、警告ステップ、加工ステップをウェーハの第1の方向F1について行い、次いで、ウェーハを90度回転させて、オートアライメントによるアライメントステップ、判定ステップ、警告ステップ、加工ステップをウェーハの第2の方向F2について行うこととしてもよい。
【0100】
この場合、第2の方向F2についての判定ステップの際に、第1の方向F1に形成された切削溝が判定用の撮像画像に写り込み、上記判定内容3において誤判定がされる可能性があるため、判定用の撮像画像に切削溝を表示しないようにマスキングする画像処理を行うことが好ましい。
【0101】
さらに、オートアライメントによるアライメントステップをウェーハの第1の方向F1について行った後、ウェーハを90度回転させて、オートアライメントによるアライメントステップをウェーハの第2の方向F2について行い、次いで、第2の方向F2について判定ステップ、警告ステップ、加工ステップを実施した後、ウェーハを90度回転させて、第1の方向F1について判定ステップ、警告ステップ、加工ステップを実施することとしてもよい。
【0102】
この場合、第1の方向F1についての判定ステップの際に、第2の方向F2に形成された切削溝が判定用の撮像画像に写り込み、上記判定内容3において誤判定がされる可能性があるため、判定用の撮像画像に切削溝を表示しないようにマスキングする画像処理を行うことが好ましい。
【符号の説明】
【0103】
2 レーザー加工装置
10 保持テーブル
10a 保持面
11 ウェーハ
12 レーザービーム照射ユニット
12a 加工ヘッド
13 撮像ユニット
15 テープ
17 フレーム
19 ウェーハユニット
100 コントローラ
200 モニター
201 スピーカー
202 警告灯
D デバイス
F1 第1の方向
F2 第2の方向
G1 撮像画像
G2 撮像画像
Ga 撮像画像
Gb 撮像画像
H ヘアライン
K 仮想線
Lk 基準距離
Lm 基準距離
Ln インデックス距離
M ストリート
M1 ストリート
M2 ストリート
Pk キーパターン
Pt ターゲットパターン
L ダイシング予定ライン
L2 ダイシング予定ライン
L3 撮像用ライン
L4 判定用ライン
L5 判定用ライン
V 切削溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11