(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】改良されたポリマー-銅接着のための方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/38 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H05K3/38 E
(21)【出願番号】P 2023513134
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 US2021047923
(87)【国際公開番号】W WO2022047141
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-04-19
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティ, タパシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァハヴェルベク, スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ハンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ブッフ, チンタン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーラディア, プレルナ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ギバク
(72)【発明者】
【氏名】チョ, キュイル
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0174009(US,A1)
【文献】特表2011-515542(JP,A)
【文献】特開2019-181337(JP,A)
【文献】国際公開第2019/017363(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/092452(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/10 - 3/28
H05K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を形成する方法であって、
第1の材料の第1の基板表面及び
第2の材料の第2の基板表面を有する基板を二官能性有機化合物に曝露して、前記第1の基板表面上に接着層を形成することと、
前記接着層、前記第1の基板表面及び前記第2の基板表面上に樹脂層を堆積させることと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の
基板表面が銅パッドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の
基板表面が誘電体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接着層が単層以下の前記二官能性有機化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記二官能性有機化合物が2つの異なる官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記官能基の一方が銅と反応し、前記官能基の他方が銅と反応しない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記官能基の一方が前記樹脂層と反応し、前記官能基の他方が前記樹脂層と反応しない、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記二官能性有機化合物が、
、又はカルボン酸基(-COOH)が-CO
X基で置換されている類似化合物(式中、Xはハロゲン又はNR
3であり、各Rは、独立して、C
1-C
6アルキル、アルケニル又はアルキニル基である)のうちの1つ又は複数を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記基板を前記二官能性有機化合物に曝露することが、前記二官能性有機化合物を含む溶液に前記基板を浸漬することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記樹脂層がシリカ充填ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記樹脂層が味の素ビルドアップフィルム(Ajinomoto Build-up Film;ABF)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記二官能性有機化合物の前記官能基の一方が、前記樹脂層中のエポキシ基と反応する、請求項
5に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の材料の上の前記樹脂層の一部分を除去して前記第1の材料を露出させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の材料が銅を含み、銅パッドが前記樹脂層を通して露出する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記樹脂層の一部分を除去することが、レーザアブレーションを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記樹脂層を硬化させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
回路基板を形成する方法であって、
銅パッドと誘電体表面とを有する基板を二官能性有機化合物に曝露して、前記銅パッド上に単層以下の前記二官能性有機化合物を含む接着層を形成することであって、前記二官能性有機化合物が2つの異なる官能基を有し、前記官能基の一方が前記銅パッドと反応性であり、前記官能基の他方が前記銅パッドと反応性でない、前記基板を前記二官能性有機化合物に曝露することと、
前記接着層、前記銅パッド及び前記誘電体表面上に樹脂層を堆積させることと、
レーザアブレーションによって前記銅パッドの上の前記樹脂層の一部分を除去して、前記樹脂層を通して前記銅パッドを露出させることと、
前記樹脂層を硬化させることと
を含む方法。
【請求項18】
前記接着層が、単層以下の前記二官能性有機化合物を含み、前記二官能性有機化合物が、
、又はカルボン酸基(-COOH)が-CO
X基(式中、Xはハロゲン又はNR
3であり、各Rは、独立して、C
1-C
6アルキル、アルケニル又はアルキニル基である)で置換されている類似化合物のうちの1つ又は複数を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
銅パッドの表面であって、誘電体材料が前記表面を囲んでいる、前記表面と、
二官能性有機化合物を含む、前記銅パッド上の接着層であって、前記二官能性有機化合物が2つの異なる官能基を有し、前記官能基の一方が前記銅パッドと反応性であり、前記官能基の他方が前記銅パッドと反応性でない、前記接着層と、
前記接着層及び前記誘電体材料上の樹脂層であって、前記樹脂層を通して形成された開口部が前記銅パッドの一部分を露出させる、前記樹脂層と
を含む回路基板。
【請求項20】
前記接着層が単層以下の前記二官能性有機化合物を含み、前記二官能性有機化合物が、
、又はカルボン酸基(-COOH)が-CO
X基(式中、Xはハロゲン又はNR
3であり、各Rは、独立して、C
1-C
6アルキル、アルケニル又はアルキニル基である)で置換されている類似化合物のうちの1つ又は複数を含む、請求項19に記載の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、ポリマーフィルムと金属との相互接続間の接着を改善するための方法に関する。特に、本開示の実施態様は、電子デバイスにおける銅線とのポリマーフィルムの接着を改善するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
シングルプリント回路基板(PCB)の電子部品の高密度クラスタリングは、少なくとも部分的に小型化に起因して、ますます複雑になっている。多層配線構造は、個々の配線層の間に、導電線を接続するビアを伴ってそれら配線層を分離する絶縁フィルムを使用する。ビア形成は、異なる正確性、精度及び孔密度を有する多数のプロセスによって行うことができる。例えば、レーザアブレーションを使用するフォトリソグラフィを使用してビアを生成することができる。
【0003】
絶縁層の形成の後、配線パターンが絶縁層内に形成される。このプロセスを繰り返して、より複雑な電子トレースの形成を可能にし、回路部品の数を増加させる、複数層を有する装置を形成することができる。
【0004】
現行の電子デバイスのパッケージングプロセスは、ポリマー材料を金属コンタクトに結合する。いくつかの現在のプロセスでは、ポリマー材料(例えば、味の素ビルドアップフィルム(Ajinomoto Buildup Film;ABF))が、銅相互接続上に形成される。しばしば、ポリマー材料の金属コンタクトに対する接着が不十分であると、金属からのポリマーの層剥離が生じる。これにより、2つの材料を含む単位プロセスの信頼性の問題が生じる。
【0005】
不十分な接着の問題を解決し、ABFと銅との間の結合を改善する現行技術の手法は、銅の表面粗さを増大させることによるものである。これは、シグナル帯域幅の損失に繋がる。
【0006】
したがって、本技術分野には、デバイス形成のための銅パッドとポリマー材料との間の接着を改善する方法に対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の1つ又は複数の実施形態は、回路基板を形成する方法を対象とする。第1の基板表面及び第2の基板表面を有する基板は、二官能性有機化合物に曝露されて、第1の基板表面上に接着層を形成する。樹脂層が、接着層、第1の基板表面及び第2の基板表面上に堆積される。
【0008】
本開示の追加の実施形態は、回路基板を形成する方法を対象とする。銅パッド及び誘電体表面を有する基板は、二官能性有機化合物に曝露されて、銅パッド上に接着層を形成する。接着層は、単層以下の二官能性有機化合物を含む。二官能性有機化合物は、2つの異なる官能基を有し、官能基の一方は銅パッドと反応性であり、官能基の他方は銅パッドと反応性でない。樹脂層が、接着層、銅パッド及び誘電体表面上に堆積される。銅パッドの上の樹脂層の一部分がレーザアブレーションによって除去されて、樹脂層を通る銅パッドが硬化され、次いで樹脂層が硬化される。
【0009】
本開示のさらなる実施形態は、表面を囲む誘電体材料を有する銅パッド表面を含む回路基板を対象とする。接着層は銅パッド上にある。接着層は、2つの異なる官能基を有する二官能性有機化合物を含み、官能基の一方は銅パッドと反応性であり、官能基の他方は銅パッドと反応性でない。樹脂層は、接着層及び誘電体材料上にある。開口部が樹脂層を通して形成され、銅パッドの一部分を露出させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の上述の特徴を詳しく理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、実施形態のいくつかは添付図面に示される。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付図面は本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【0011】
【
図1】A~Eは、本開示の一つ又は複数の実施形態による処理方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を記載する前に、本開示は以下の記載に示される構成又はプロセスステップの詳細に限定されるわけではないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、種々の方法で実践又は実行することができる。
【0013】
この明細書及び特許請求において使用される用語「基板」は、プロセスが作用する表面又は表面の一部分を指す。また、基板への言及は、文脈が別途明確に示さない限り、基板の一部分のみを指すことができることが当業者には理解されるであろう。加えて、基板上への堆積に対して言及がなされるとき、それは、ベア基板と、1つ若しくは複数のフィルム又はフィーチャが上に堆積又は形成された基板との両方を意味し得る。
【0014】
本明細書で使用される「基板」は、製造プロセス中にフィルム処理が実施される、任意の基板又は基板上に形成された任意の材料面を指す。例えば、処理を実施することのできる基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアといった材料、並びに金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料といった他の任意の材料を含む。基板は半導体ウエハを含むが、これに限定されない。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、eビーム硬化、及び/又はベークするために、前処理プロセスに曝露されてもよい。基板自体の表面上で直接フィルム処理することに加えて、本開示では、開示されるフィルム処理ステップのいずれもが、以下でより詳細に開示されるように、基板上に形成される下層の上で実行されてもよく、「基板表面」という用語は、文脈が示すように、そのような下層を含むことが意図される。したがって、例えば、フィルム/層又は部分的なフィルム/層が基板表面上に堆積している場合、新たに堆積されたフィルム/層の露出面が基板表面となる。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「前駆体」、「反応物質」、「反応性ガス」などの用語は、交換可能に使用され、基板表面と、又は基板表面上に形成されたフィルムと反応し得る任意のガス種を指す。
【0016】
本開示の1つ又は複数の実施形態は、ポリマー様フィルム(例えば、味の素ビルドアップフィルム(ABF))と銅との間の接着を改善するためのプロセスを対象とする。本開示の実施形態は、銅又は導電面の化学的処理によって接着を改善する。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムと銅との間の接着は、銅の表面粗さを増大させることなく改善される。
【0017】
いくつかの実施形態では、銅は、二官能性小有機分子を用いて処理される。当業者であれば、官能基が、化学反応に関与する分子内の特異的な置換基又は部分であることを理解するであろう。各官能基は、異なる特性及び反応性を有している。官能基には、限定されないが、アルケン、アルキン、環状基、アルコール、カルボン酸、ホスフィン、ケトン、エーテル、アミン、アミド、アルキルハロゲン化物、チオール、スルフィド、ジスルフィド、無水物、ニトロ、酸クロリド、エポキシド、イミン及びアルデヒドが含まれる。したがって、二官能性分子は、2つの官能基を含む分子である。
【0018】
「小」有機分子は、本明細書で使用される場合、最大50個の原子を含む。いくつかの実施形態では、小有機分子は、最大40、30、25又は20個の原子を含む。いくつかの実施形態では、小有機分子は、5から50個の範囲の原子、又は6から40個の範囲の原子、又は7から35個の範囲の原子、又は8から30個の範囲の原子、又は9から25個の範囲の原子、又は10から20個の範囲の原子を含む。
【0019】
いくつかの実施形態の二官能性小有機分子は、分子の一端が銅と結合し、他端がポリマーフィルムと結合するように選択される。いくつかの実施形態では、二官能性小有機分子は、2つの異なる官能基を含む。いくつかの実施形態では、官能基の一方は、銅と反応性であり、かつポリマーフィルムと反応性でない。いくつかの実施形態では、官能基の他方は、ポリマーフィルムと反応性であり、かつ銅と反応性でない。
【0020】
二官能性小有機分子を用いた銅の処理は、液相又は蒸気相で行うことができる。液相では、分子の極めて薄い溶液が、接着促進層を形成するために十分である。小有機分子は、典型的に、比較的高い蒸気圧を有し、蒸気相にも使用することができる。
【0021】
図1A~1Eに示すように、本開示の1つ又は複数の実施形態は、回路基板を形成する方法を対象とする。第1の表面111及び第2の表面112を有する基板110は、二官能性有機化合物に曝露される。
図1Aでは、第1の表面111は第1の材料121の表面であり、第2の表面112は第2の材料122の表面である。いくつかの実施形態の第1の材料121は銅を含む。いくつかの実施形態では、第1の材料121は本質的に銅からなる。このように使用される場合、「本質的に銅からなる」という表現は、表面原子の約95%、98%、99%又は99.5%以上が、言及された種であることを意味する。いくつかの実施形態では、第1の材料121は、本質的に酸化銅からなる。このように使用される場合、「本質的に酸化銅からなる」という表現は、表面原子の約95%、98%、99%又は99.5%以上が銅又は酸素であることを意味する。いくつかの実施形態では、第1の材料121は銅合金を含む。いくつかの実施形態の第2の材料122は誘電体材料を含む。いくつかの実施形態では、第1の材料121は誘電体材料内の導電線又はビアであり、第1の表面は銅パッドを含む。
【0022】
いくつかの実施形態の基板110は、二官能性有機化合物に曝露されて、
図1Bに示されるように、第1の材料121の第1の基板表面111上に接着層130を形成する。いくつかの実施形態では、二官能性有機化合物は、第2の材料122に対して第1の材料121上に選択的に接着層130を形成する。いくつかの実施形態では、第1の材料121上での接着層130の選択的形成は、第2の材料122に対して30:1以上である。
【0023】
基板110は、当業者に既知の任意の適切な技法により二官能性有機化合物に曝露することができる。いくつかの実施形態では、基板110は、二官能性有機化合物を含む流体に浸漬される。いくつかの実施形態では、流体は、一定量の二官能性有機化合物を含む液体を含む。いくつかの実施形態では、流体は、二官能性有機化合物を含む蒸気相材料を含む。
【0024】
接着層130の形成後、樹脂層140は、第1の基板表面111及び第2の基板表面112上に堆積される。いくつかの実施形態では、
図1Cに示されるように、樹脂層140が第1の材料121に接しないように、接着層130は第1の基板表面111と樹脂層140との間にある。
【0025】
いくつかの実施形態では、樹脂層140は、流動性であるか又は積層の準備ができており、樹脂層140は、
図1Dに示されるように、硬化プロセスに曝露されて硬化樹脂層145を形成する。硬化プロセスは、当業者に既知の任意の適切なプロセスとすることができ、樹脂種又は二官能性有機化合物のうちの1つ又は複数に応じたものであってよい。
【0026】
樹脂層130は、当業者に既知の任意の適切な材料とすることができる。いくつかの実施形態の樹脂層130は、例えば、反り、接着、熱膨張係数の整合、機械的強度及び/又は電気特性といった材料特性に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、樹脂層はエポキシ樹脂を含む。いくつかの実施形態では、硬化樹脂層は、硬化樹脂層の構造全体にアルコールヒドロキシル基(-OH)を含む。いくつかの実施形態では、樹脂層はシリカ充填ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、樹脂層は味の素ビルドアップフィルム(ABF)を含む。いくつかの実施形態では、樹脂層140は、ABFを含み、75℃から250℃の範囲の温度で15分から90分の範囲の時間にわたって硬化されて硬化樹脂層145を形成する。いくつかの実施形態では、樹脂層140は、ABFを含み、90℃から110℃の範囲の温度で50分から70分の範囲の時間にわたって 、又は170℃から190℃の範囲の温度で25分から35分の範囲の時間にわたって、硬化されて硬化樹脂層145を形成する。
【0027】
いくつかの実施形態では、
図1Eに示されるように、樹脂層140を硬化させて硬化樹脂層145を形成した後、第1の材料121の上の樹脂層145の部分150を除去して第1の材料表面111を露出させる。除去される硬化樹脂層145の部分150は、第1の材料121の幅より小さくても、第1の材料121の幅と等しくても、又は第1の材料121の幅より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、除去される部分150は、その部分の位置合わせのためのいくらかの緩衝域が存在するように、第1の材料表面111の幅より小さい。例えば、その後の相互接続メタライゼーションのための銅パッド開口部を有するブラインドビアの形成。硬化樹脂層145と第1の材料121との間には、銅パッドの開口後にしばしば接着の問題が生じる。本開示のいくつかの実施形態は、硬化樹脂層145と第1の材料121との間にボイド形成又は層剥離を防止するための接着層を適用する。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1の材料は銅を含み、硬化樹脂層145の部分150は、硬化樹脂層145を通して銅パッドを露出させる。
【0029】
樹脂層のこの部分は、当業者に既知の任意の適切な技法により除去することができる。いくつかの実施形態では、硬化樹脂層145の部分150は、レーザアブレーションにより除去される。
【0030】
いくつかの実施形態では、接着層は、単層以下の二官能性有機化合物を含む。いくつかの実施形態では、二官能性有機化合物は第1の材料の表面に化学吸着し、第1の材料表面上で利用可能な活性部位のすべてが有機化合物によって占有されると、接着層を形成する処理は停止する。接着層は、自己組織化単分子膜(SAM)とも呼ばれ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、二官能性有機化合物は2つの異なる官能基を含む。いくつかの実施形態では、官能基の一方は、リン酸(-PO3H2)又はスルホン酸(-SO3H)のうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、第1の材料は銅を含み、二官能性有機化合物のリン酸基又はスルホン酸基のうちの1つ又は複数は銅表面に結合する。
【0032】
いくつかの実施形態では、官能基の一方は第1の材料(例えば、銅)と反応又は結合し、官能基の他方は第1の材料と反応又は結合しない。いくつかの実施形態では、官能基の一方は樹脂層と反応又は結合し、官能基の他方は樹脂層と反応又は結合しない。いくつかの実施形態では、二官能性有機化合物の官能基の一方が、樹脂層中のエポキシ基と反応又は結合する。
【0033】
いくつかの実施形態では、二官能性有機分子の第1の官能基は、リン酸基、スルホン酸基又はカルボン酸基(-COOH)のうちの1つを分子の一端に含む。第1の官能基は、銅パッドと結合する。いくつかの実施形態では、二官能性有機分子の第2の官能基は、エポキシポリマー鎖又は表面上の豊富なヒドロキシル基と反応することができ、強力な接着プロモーターとして作用することができるカルボン酸基又はアルデヒド(-CHO)のうちの1つを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、二官能性小有機分子は極性分子を含む。二官能性の極性小有機分子は水溶性であり、いくつかの実施形態では、アルカリ/酸触媒の使用は、カルボン酸基又はアルデヒド基のエポキシ上の-OHへの結合を促進する。いくつかの実施形態では、二官能性有機化合物は、C1-C3直鎖又は芳香族骨格を有する化合物の一端に、リン酸基、スルホン酸基又はカルボン酸基のうちの1つを含み、他端に、カルボン酸基、アルデヒド基又はケトン(-COX、ここで、Xはハロゲン又はNR3であり、各RはC1-C6直鎖又は芳香族基である)のうちの1つを含む。
【0035】
いくつかの実施形態の二官能性有機化合物は、
、又はカルボン酸基(-COOH)が-CO
X基で置換されている類似化合物(式中、Xはハロゲン又はNR
3であり、各Rは、独立して、C
1-C
6アルキル、アルケニル又はアルキニル基である)のうちの1つ又は複数を含む。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態は、表面を囲む誘電体材料を有する銅パッドの表面を含む回路基板を対象とする。接着層は、銅パッド上にあり、2つの異なる官能基を有する二官能性有機化合物を含み、官能基の一方は銅パッドと反応性であり(結合する)、官能基の他方は銅パッドと反応性でない(結合しない)。樹脂層は、接着層と、樹脂層を通して形成されて銅パッドの一部分を露出させる開口部を有する誘電体材料との上にある。
【0037】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「一部の実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」、又は、「実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体の様々な箇所における「1つ又は複数の実施形態では」、「一部の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「実施形態では」といった表現の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、任意の最適な方法で組み合わせることができる。
【0038】
本明細書の開示は、具体的な実施形態を参照して記載されたが、当業者には、記載された実施形態が本開示の原理及び用途の例示にすぎないことが分かるであろう。本開示の思想及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な改良及び変更を行うことが可能であることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物に含まれる改良例及び変形例を含むことができる。