(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-18
(45)【発行日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ポリカーボネートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 64/20 20060101AFI20241219BHJP
C08G 64/06 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C08G64/20
C08G64/06
(21)【出願番号】P 2023539185
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 KR2022000316
(87)【国際公開番号】W WO2022164072
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0011646
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ハンビット
(72)【発明者】
【氏名】イム、ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ホヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チョル-チュン
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-241318(JP,A)
【文献】特開2002-212275(JP,A)
【文献】特開昭64-069627(JP,A)
【文献】特開2018-188661(JP,A)
【文献】特開2017-115155(JP,A)
【文献】特表2015-512962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 64/06
C08G 64/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネートの製造方法であって、
前記ポリカーボネートは、下記化学式1で表される単位を含み、重量平均分子量は、40,000g/mol~60,000g/molであり、
下記化学式11の化合物およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含
むポリカーボネートの製造方法:
【化1】
前記化学式1において、
Aは、置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、および置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つまたはこれらの中から2つ以上が連結された基であり、
R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれハロゲン、アルキルまたはアルコキシであり、
o、p、q、およびrは、それぞれ1~4の整数であり、
nおよびmは、それぞれ0~50の整数であり、
oが2以上である場合、R11は、互いに同一または異なり、
pまたはnが2以上である場合、R12は、互いに同一または異なり、
qまたはmが2以上である場合、R13は、互いに同一または異なり、
rが2以上である場合、R14は、互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式1の単位は、互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味し、
【化2】
前記化学式11において、各置換基の定義は化学式1のとおりである。
【請求項2】
前記ポリカーボネートは、前記化学式1で表される単位をポリカーボネートの総重量に対して3重量%以上の量で含むものである、請求項1に記載のポリカーボネート
の製造方法。
【請求項3】
Aは、下記構造式の中から選択されるものである、請求項1または2に記載のポリカーボネート
の製造方法:
【化3】
前記構造式において、
Z1~Z6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、またはシクロアルキレンであり、
R15~R20は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
s、tおよびwは、それぞれ0~4の整数であり、
u、vおよびxは、それぞれ0~10の整数であり、
sが2以上である場合、R15は、互いに同一または異なり、
tが2以上である場合、R16は、互いに同一または異なり、
uが2以上である場合、R17は、互いに同一または異なり、
vが2以上である場合、R18は、互いに同一または異なり、
wが2以上である場合、R19は、互いに同一または異なり、
xが2以上である場合、R20は、互いに同一または異なる。
【請求項4】
前記化学式1は、下記化学式1-Aまたは1-Bで表されるものである、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のポリカーボネート
の製造方法:
【化4】
【化5】
前記化学式1-Aおよび1-Bにおいて、
R111、R112、R141およびR142は、互いに同一または異なり、それぞれハロゲン、アルキルまたはアルコキシであり、
残りの置換基は、化学式1で定義したとおりである。
【請求項5】
前記ポリカーボネートは、下記化学式2の単位をさらに含むものである、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のポリカーボネート
の製造方法:
【化6】
前記化学式2において、
X1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO
2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO
2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO
2またはCOである場合、k2は1であり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式2の単位は、互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項6】
前記化学式2は、下記化学式3~6のいずれか1つで表されるものである、請求項5に記載のポリカーボネート
の製造方法:
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
前記化学式3~6において、
Y1およびY2は、それぞれ置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、O、S、SO、SO
2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~10の整数であり、
c、およびeは、それぞれ1~10の整数であり、
dおよびfは、それぞれ、1であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式3~6の単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項7】
前記カーボネート前駆体は、下記化学式12で表されるものである、請求項
1~6のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化11】
前記化学式12において、
R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、あるいは置換または非置換のヘテロアリールである。
【請求項8】
前記組成物は、下記化学式21の化合物をさらに含むものである、請求項
1~7のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化12】
前記化学式21において、
X1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO
2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO
2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO
2またはCOである場合、k2は1である。
【請求項9】
前記化学式21は、下記化学式31、41、51または61で表されるものである、請求項
8に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
前記化学式31、41、51および61において、
Y1およびY2は、それぞれ置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、O、S、SO、SO
2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~10の整数であり、
c、およびeは、それぞれ1~10の整数であり、
dおよびfは、それぞれ1であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネートおよびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、高い硬度および/または耐熱性を有するポリカーボネートおよびその製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2021年1月27日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0011646号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
ポリカーボネート樹脂は、電気電子製品の外装材、自動車部品、建築素材、光学部品などの分野に多様に使用されている高分子素材である。
【0004】
ポリカーボネートは、ビスフェノールA石油から抽出された物質であって、硬度を高めるためには、ハードコートのような追加工程および費用が必要であり、耐久性が低下する問題がある。
【0005】
それで、ポリカーボネートそのものの優れた物性を維持しつつ、耐久性が改善されたポリカーボネートの開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施態様は、新規な構造のポリカーボネートおよびその製造方法を提供しようとする。
【0007】
本発明の他の一実施態様は、新規な構造のポリカーボネートを含む組成物およびこの組成物から製造される成形品を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される単位を含むポリカーボネートを提供する。
【0009】
【0010】
前記化学式1において、
Aは、置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、および置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つまたはこれらの中から2つ以上が連結された基であり、
R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれハロゲン、アルキルまたはアルコキシであり、
o、p、q、およびrは、それぞれ1~4の整数であり、
nおよびmは、それぞれ0~50の整数であり、
oが2以上である場合、R11は、互いに同一または異なり、
pまたはnが2以上である場合、R12は、互いに同一または異なり、
qまたはmが2以上である場合、R13は、互いに同一または異なり、
rが2以上である場合、R14は、互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式1の単位は、互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【0011】
本発明の他の一実施態様は、下記化学式11の化合物およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む前記化学式1で表される単位を含むポリカーボネートの製造方法を提供する。
【0012】
【0013】
前記化学式11において、各置換基の定義は化学式1のとおりである。
【0014】
本発明の他の一実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネートを含む組成物を提供する。
【0015】
本発明の他の一実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネートを含む組成物から製造される成形品を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のいくつかの実施態様によるポリカーボネートは、高い硬度を有する。 本発明のいくつかの実施態様によるポリカーボネートは、優れた耐熱性を有する。
【0017】
従って、高い硬度または優れた耐熱性を有するポリカーボネートを使用することによって、優れた機械的強度または耐熱性が必要なレンズ、ガラス、光学用部品、車両用部品などの幅広い分野で活用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施態様についてより詳しく説明する。
【0019】
本明細書において、シクロアルキレンは、単環式または多環式シクロアルキレンであってもよい。具体的に、シクロアルキレンは、炭素数3~20のシクロアルキレン;炭素数6~18の単環式または多環式シクロアルキレン;または炭素数6~12の単環式または多環式シクロアルキレンであってもよい。さらに具体的に、シクロアルキレンは、単環式シクロアルキレンとして、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、またはシクロへプチレンなどの脂環族炭化水素由来の2価基などであってもよく、多環式シクロアルキレンとして、アダマンタン-ジイル、ノルボルナン-ジイルなどであってもよい。ただし、これらに限定されるものではない。また前記シクロアルキレンは、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ、またはハロゲンで1以上置換されるかまたは置換されなくもよい。
【0020】
本明細書において、シクロアルキルは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、シクロアルキレンに関する説明が適用されてもよい。
【0021】
本明細書において、ヘテロシクロアルキレンは、ヘテロ原子として、O、S、SeまたはNを含む単環式または多環式ヘテロシクロアルキレン基であってもよい。具体的に、ヘテロシクロアルキレンは、炭素数1~20のヘテロシクロアルキレン;炭素数2~18の単環式または多環式ヘテロシクロアルキレン;あるいは炭素数2~12の単環式または多環式ヘテロシクロアルキレンであってもよい。より具体的に、ヘテロシクロアルキレンは、ジオキサニレン、ジチアニレンなどがある。
【0022】
本明細書において、ヘテロシクロアルキルは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、ヘテロシクロアルキレンに関する説明が適用されてもよい。
【0023】
本明細書において、直鎖または分岐鎖のアルキレンは、炭素数1~10、または炭素数1~5の脂肪族炭化水素由来の2価基であって、直鎖または分岐鎖のアルキレンであってもよい。分岐鎖のアルキレンである場合、炭素数は2~10、または炭素数2~5であってもよい。アルキレンの具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、n-プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、sec-ブチレン、1-メチル-ブチレン、1-エチル-ブチレン、ペンチレン、n-ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、tert-ペンチレン、へキシレン、n-へキシレン、1-メチルペンチレン、2-メチルペンチレン、4-メチル-2-ペンチレン、3,3-ジメチルブチレン、2-エチルブチレン、へプチレン、n-へプチレン、1-メチルへキシレン、オクチレン、n-オクチレン、tert-オクチレン、1-メチルへプチレン、2-エチルへキシレン、2-プロピルペンチレン、n-ノニレン、2,2-ジメチルへプチレン、1-エチル-プロピレン、1,1-ジメチル-プロピレン、イソへキシレン、2-メチルペンチレン、4-メチルへキシレン、5-メチルへキシレンなどがあるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において、直鎖または分岐鎖のアルキルは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、直鎖または分岐鎖のアルキレンに関する説明が適用されてもよい。
【0025】
本明細書において、特に限定がない限り、アルキルは、直鎖アルキルおよび分岐鎖アルキルを含む。
【0026】
本明細書において、アリーレンは、単環式または多環式アリーレンであってもよく、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましく、炭素数6~20であってもよい。具体的に、単環式アリーレンとしては、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレンなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。前記アリーレンが多環式アリーレンである場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10~30であることが好ましく、炭素数10~20であってもよい。具体的に、多環式アリーレンとしては、ナフチレン、アントラセニレン、フェナントレニレン、トリフェニレニレン、ピレニレン、フェナレニレン、ぺリレニレン、クリセニレン、フルオレニレンなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、アリールは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、アリーレンに関する説明が適用されてもよい。
【0028】
本明細書において、ヘテロアリーレンは、炭素ではない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的に、前記異種原子は、O、N、SeおよびSなどからなる群から選択される原子を1以上含む。前記ヘテロアリーレンの炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましく、炭素数1~20であってもよい。前記ヘテロアリーレンは、単環式または多環式であってもよい。ヘテロアリーレンの例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジン基、ピリダジン基、ピラジン基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、フタラジン基、ピリドピリミジン基、ピリドピラジン基、ピラジノピラジン基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、ヘテロアリールは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、ヘテロアリーレンに関する説明が適用されてもよい。
【0030】
本明細書において、2価の脂肪族炭化水素基は、前述した直鎖または分岐鎖のアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレンなどを意味する。
【0031】
本明細書において、アルコキシは、炭素数1~10、または炭素数1~5のアルコキシであってもよい。アルコキシの具体例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、1-メチル-ブトキシ、1-エチル-ブトキシ、またはペントキシなどがあるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書において、ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード基である。
【0033】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
【0034】
本明細書において、「置換または非置換の」という用語は、ハロゲン;アルキル;シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アルコキシ;アリール;およびヘテロアリールからなる群から選択される1以上の置換基で置換されるか、または前記例示した置換基の中から2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、またはいかなる置換基も有しないことを意味する。
【0035】
本明細書において、*は、他の構造との結合部位を意味する。
【0036】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される単位を含むポリカーボネートを提供する。
【0037】
【0038】
前記化学式1において、各置換基の定義は前述したとおりである。
【0039】
前記化学式1の構造がエステル構造を含み、フェニル基がハロゲン基、アルキル基またはアルコキシ基で置換されていることによって、フェニル基が置換されていないポリカーボネートに比べて高い硬度と耐熱性を有することができる。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートが前記化学式1の単位を2以上含む場合、複数の化学式1の単位は互いに同一または異なる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートは、前記化学式1で表される単位をポリカーボネート総重量に対して3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上含み、20重量%以下、17重量%以下、15重量%以下で含んでもよい。
【0042】
前記ポリカーボネートが前記範囲内で化学式1で表される単位を含む場合、適宜の重合度と高い硬度を得ることができる。
【0043】
本発明において、ポリカーボネート内に含まれている構造の含有量は、ポリカーボネートに対する核磁気共鳴(NMR)分析後、その結果から通常の方法に従って計算することができる。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のAは、置換または非置換のシクロアルキレンであってもよい。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のAは、置換または非置換のアリーレンであってもよい。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のAは、置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、および置換または非置換のアリーレンの中から2以上が連結された基であってもよい。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のAは、置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンと1以上の置換または非置換のシクロアルキレンが連結された基であってもよい。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のAは、置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンと1以上の置換または非置換のアリーレンが連結された基であってもよい。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のAは、1以上の置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンと置換または非置換のシクロアルキレンが連結された基であってもよい。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のAは、置換または非置換のシクロアルキレンと1以上の置換または非置換のアリーレンが連結された基であってもよい。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のAは、下記構造式の中から選択されてもよい。
【0052】
【0053】
前記構造式において、
Z1~Z6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、またはシクロアルキレンであり、
R15~R20は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
s、tおよびwは、それぞれ0~4の整数であり、
u、vおよびxは、それぞれ0~10の整数であり、
sが2以上である場合、R15は、互いに同一または異なり、
tが2以上である場合、R16は、互いに同一または異なり、
uが2以上である場合、R17は、互いに同一または異なり、
vが2以上である場合、R18は、互いに同一または異なり、
wが2以上である場合、R19は、互いに同一または異なり、
xが2以上である場合、R20は、互いに同一または異なる。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のAは、下記構造式の中から選択されてもよい。
【0055】
【0056】
前記構造式において、Z1~Z6、R15~R20、s、t、u、v、wおよびxは前述したとおりである。
【0057】
一例によれば、Z1およびZ2は、それぞれ直接結合、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、または炭素数3~20のシクロアルキレンであってもよい。
【0058】
一例によれば、Z1およびZ2は、それぞれ直接結合、メチレン、プロピレン、またはシクロへキシレンであってもよい。
【0059】
一例によれば、Z1およびZ2は、それぞれ直接結合、メチレン、*-C(CH
3)
2-*、または
【化6】
であってもよい。
【0060】
一例によれば、Z3~Z6は、互いに同一または異なり、それぞれ直接結合、または炭素数1~6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンであってもよい。
【0061】
一例によれば、Z3~Z6は、互いに同一または異なり、それぞれ直接結合、メチレン、エチレン、またはプロピレンであってもよい。
【0062】
一例によれば、Z3~Z6は、互いに同一または異なり、それぞれ直接結合、またはメチレンであってもよい。
【0063】
一例によれば、R15~R20は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、または炭素数1~6のアルキルである。
【0064】
一例によれば、R15~R20は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、またはメチルである。
【0065】
一例によれば、s、t、u、v、wおよびxは、それぞれ0、1、または2である。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、nおよびmは、それぞれ1~10であってもよい。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、nとmの合計は、2~20、2~15であってもよい。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のo、p、q、およびrは、それぞれ1または2である。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれハロゲン、アルキル、またはアルコキシである。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれ炭素数1~6のアルキル、または炭素数1~6のアルコキシである。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれメチル、またはメトキシである。
【0072】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1は下記化学式1-Aまたは1-Bで表されることができる。
【0073】
【0074】
【0075】
前記化学式1-Aおよび1-Bにおいて、
R111、R112、R141およびR142は、互いに同一または異なり、それぞれハロゲン、アルキル、またはアルコキシであり、
残りの置換基は、化学式1で定義したとおりである。
【0076】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1は下記化学式1-A-1または1-B-1で表されることができる。
【0077】
【0078】
【0079】
前記化学式1-A-1および1-B-1において、
R111、R112、R141およびR142は、互いに同一または異なり、それぞれハロゲン、アルキルまたはアルコキシであり、
残りの置換基は、化学式1で定義したとおりである。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1において、
【化11】
と
【化12】
は同一であってもよい。
【0081】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1において、
【化13】
と
【化14】
は同一であってもよい。
【0082】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1は下記化学式1-1で表されることができる。
【0083】
【0084】
前記化学式1-1において、
R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれハロゲン、アルキル、またはアルコキシであり、
p1およびq1は、それぞれ1~4の整数であり、
n1およびm1は、それぞれ1~50の整数であり、
p1またはn1が2以上である場合、R21は、互いに同一または異なり、
q1またはm1が2以上である場合、R22は、互いに同一または異なり、
残りの置換基の定義は化学式1で定義したとおりである。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1-1のn1とm1の合計は、5~20であってもよい。
【0086】
また、発明の一実施態様によるポリカーボネートは、目的と用途に合わせて重量平均分子量(Mw)を適宜に調節することができ、透明性および衝撃強度などポリカーボネートそのものの優れた特性を維持しつつ、改善された耐候性を示すことができることを考慮すると、前記ポリカーボネートの重量平均分子量は、30,000g/mol以上、または40,000g/mol以上、または45,000g/mol以上、または48,000g/mol以上であり、また、60,000g/mol以下、または55,000g/mol以下、または50,000g/mol以下であってもよい。
【0087】
一方、本発明において、ポリカーボネートおよびその製造に用いられるオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、Agilent 1200 seriesを使用して、ポリスチレン標準(PS standard)を利用したゲル透過クロマトグラフィー(gel permeatiоn chromatograph;GPC)で測定することができる。具体的には、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを使用してAgilent 1200 series機器を使用して測定することができ、この際、測定温度は160℃であり、使用溶媒は1,2,4-トリクロロベンゼンであり、流速は1mL/minである。ポリカーボネートまたはオリゴマーのサンプルは、それぞれ10mg/10mLの濃度で調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を利用して形成された検定曲線を利用してMw値を導く。この際、ポリスチレン標準品の分子量(g/mol)は、2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を使用する。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートは、下記化学式2の単位をさらに含む。
【0089】
【0090】
前記化学式2において、
X1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価のイソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価のイソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k2は1であり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式2の単位は、互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートが前記化学式2の単位を2以上含む場合、複数の化学式2の単位は、互いに同一または異なる。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2のX1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のヘテロシクロアルキレン、あるいは置換または非置換のアリーレンであってもよい。
【0093】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2のX1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~30のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数6~30のアリーレンであってもよい。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2のX1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数6~15のアリーレンであってもよい。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2のX1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数6~15のアリーレンであってもよい。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2のX2は、置換または非置換のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のヘテロシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2またはCOであってもよい。
【0097】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2のX2は、置換または非置換の炭素数1~30のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6~30のアリーレン、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2またはCOであってもよい。
【0098】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2のX2は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6~15のアリーレン、またはOであってもよい。
【0099】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2のX2は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン、2価のヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン、置換または非置換の炭素数6~15のアリーレン、またはOであってもよい。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートは、前記化学式2で表される単位を、ポリカーボネート総重量に対して30重量%以上、好ましくは50重量%以上の量で含み、80重量%以下、70重量%以下で含んでもよい。
【0101】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2は下記化学式3~6のいずれか1つで表されることができる。
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
前記化学式3~6において、
Y1およびY2は、それぞれ置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価のイソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~10の整数であり、
c、d、eおよびfは、それぞれ1~10の整数であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式3~6の単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【0107】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートが前記化学式3~6の単位をそれぞれ2以上含む場合、複数の化学式3~6の単位は、それぞれ互いに同一または異なる。
【0108】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3のY1は、置換または非置換のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、あるいは置換または非置換のヘテロシクロアルキレンであってもよい。
【0109】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3のY1は、置換または非置換の炭素数1~30のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキレンであってもよい。
【0110】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3のY1は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルキレンであってもよい。
【0111】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3のY1は、置換または非置換のメチレン、置換または非置換のシクロへキシレン、あるいは置換または非置換の2価のヘキサヒドロフロ[3,2-b]フランであってもよい。
【0112】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式4のY2は、置換または非置換のシクロアルキレン、あるいは置換または非置換のヘテロシクロアルキレンであってもよい。
【0113】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式4のY2は、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルキレンであってもよい。
【0114】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式4のY2は、置換または非置換のシクロへキシレン、あるいは置換または非置換の2価のヘキサヒドロフロ[3,2-b]フランであってもよい。
【0115】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5のY3は、置換または非置換のアルキレン、あるいは置換または非置換のシクロアルキレンであってもよい。
【0116】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5のY3は、置換または非置換の炭素数1~30のアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数2~30のシクロアルキレンであってもよい。
【0117】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5のY3は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数2~15のシクロアルキレンであってもよい。
【0118】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5のY3は、置換または非置換の炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、あるいは置換または非置換のシクロへキシレンであってもよい。
【0119】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6のY4は、置換または非置換のアルキレンであってもよい。
【0120】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6のY4は、置換または非置換の炭素数1~30のアルキレンであってもよい。
【0121】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6のY4は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレンであってもよい。
【0122】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6のY4は、置換または非置換の炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンであってもよい。
【0123】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5および6のR1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の炭素数1~10のアルキルであってもよい。
【0124】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5および6のR1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の炭素数1~5のアルキルであってもよい。
【0125】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5および6のR1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換のメチルであってもよい。
【0126】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3は下記構造のいずれか1つで表されることができる。
【0127】
【0128】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式4は下記構造のいずれか1つで表されることができる。
【0129】
【0130】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5は下記構造のいずれか1つで表されることができる。
【0131】
【0132】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6は下記構造のいずれか1つで表されることができる。
【0133】
【0134】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートは、アルコール、カーボネートおよびフェノールの中から選択される末端基を有してもよい。
【0135】
本発明の一実施態様によるポリカーボネートは、従来のポリカーボネートに比べて高い硬度と優れた耐熱性を有する。
【0136】
本発明の一実施態様によれば、温度23℃で、ASTM D256(1/8inch、Notched Izod)に基づき、前記ポリカーボネートの衝撃強度を測定した際、衝撃強度は、250J/m以上、270J/m以上、300J/m以上であってもよい。衝撃強度の上限は特に限定しないが、例えば、500J/m以下、450J/m以下であってもよい。
【0137】
具体的に、アイゾッド(Izod)衝撃強度測定法は、一定の重さの振り子(Pendulum)を用いる方法で、試片に振り子を打撃して回転時に戻る高さから得られる吸収エネルギーを試片のノッチ部の断面積に与えて衝撃強度を得る。
【0138】
本発明の一実施態様によれば、温度23℃で、鉛筆硬度計(Cometech)を用いて、ASTM D3363に基づき、50gの荷重で、45度の角度で、前記ポリカーボネートの鉛筆硬度を測定した際、鉛筆硬度はB以上、HB以上であってもよい。
【0139】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートの鉛筆硬度はBまたはHBであってもよい。
【0140】
本発明の他の一実施態様は、下記化学式11の化合物およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む前述した化学式1で表される単位を含むポリカーボネートの製造方法を提供する。
【0141】
【0142】
前記化学式11において、各置換基の定義は化学式1のとおりである。
【0143】
前記化学式11の置換基の好ましい例示は、前述した化学式1に係る説明と同一である。
【0144】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式11は下記化学式11-1で表されることができる。
【0145】
【0146】
前記化学式11-1において、
R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれハロゲン、アルキルまたはアルコキシであり、
p1およびq1は、それぞれ1~4の整数であり、
n1およびm1は、それぞれ1~50の整数であり、
p1またはn1が2以上である場合、R21は、互いに同一または異なり、
q1またはm1が2以上である場合、R22は、互いに同一または異なり、
残りの置換基の定義は化学式1で定義したとおりである。
【0147】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式11の化合物は下記の構造で表されることができる。
【0148】
【0149】
前記構造式において、n1およびm1は、それぞれ1~50の整数である。
【0150】
前記化学式11の化合物は、下記反応式によって製造することができる。
【0151】
【0152】
前記反応式において、A、R11~R14、m、n、o、p、q、およびrは、前記化学式1の定義と同一であり、R1はハロゲン、アルキルまたはアルコキシであり、r1は0~4の整数であり、r1が2以上である場合、R1は互いに同一または異なる。
【0153】
ジオール化合物、カルボン酸化合物およびピリジンをジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)に入れて攪拌した後、チオニルクロリド(SOCl2)を低温でゆっくり滴加する。常温で10時間以上攪拌した後、反応を終結して、化学式11の化合物を収得する。
【0154】
本発明の一実施態様によれば、前記カーボネート前駆体は下記化学式12で表されることができる。
【0155】
【0156】
前記化学式12において、
R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、あるいは置換または非置換のヘテロアリールである。
【0157】
前記カーボネート前駆体は、前記化学式11の化合物、および必要に応じて追加の共単量体を連結する役割を果たすものであり、その具体例としては、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、ブロモホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネートまたはビスハロホルメートが挙げられ、これらのいずれか1つまたは2つ以上の混合物を用いてもよい。
【0158】
本発明の一実施態様によれば、前記カーボネート前駆体は、トリホスゲンであってもよい。
【0159】
前記化学式11の化合物と前記化学式12のカーボネート前駆体を重合することによって、前述した化学式1の単位を形成することができる。
【0160】
前記化学式11の化合物は、前記化学式12のカーボネート前駆体100重量部に対して8重量部~40重量部、12重量部~30重量部で用いてもよい。
【0161】
本発明の一実施態様によれば、前記重合段階で用いられる前記組成物は、下記化学式21の化合物をさらに含んでもよい。
【0162】
【0163】
前記化学式21において、
X1およびX3は、それぞれ置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価のイソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価のイソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k2は1である。
【0164】
前記化学式21の化合物は、重合によって、前述した化学式2の単位を形成することができる。前記化学式21の化合物は、前記化学式12のカーボネート前駆体100モル部に対して100モル部~400モル部、例えば200モル部~300モル部で用いてもよい。
【0165】
前記化学式21の化合物は、前記化学式12のカーボネート前駆体100重量部に対して100重量部~350重量部、例えば、150重量部~250重量部で用いてもよい。
【0166】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式21は下記化学式31、41、51または61で表されることができる。
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
前記化学式31、41、51および61において、
Y1およびY2は、それぞれ置換または非置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価のイソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~10の整数であり、
c、d、eおよびfは、それぞれ1~10の整数であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0172】
前記化学式31、41、51および61の置換基の好ましい例示は、前述した化学式3~6に係る説明と同一である。
【0173】
重合は、当技術分野において周知の方法を利用することができる。
【0174】
前記重合は、界面重合により行われることが好ましく、界面重合時、常圧と低い温度で重合反応が可能で、分子量の調節が容易である。
【0175】
また、前記重合温度は0℃~40℃、反応時間は10分~5時間が好ましい。また、反応中のpHは9以上または11以上に維持することが好ましい。
【0176】
また、前記重合に使用できる溶媒としては、当業界でポリカーボネートの重合に使用される溶媒であれば特に制限されず、一例として、ジクロロメタン(DCM)、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素を用いてもよい。
【0177】
また、前記重合は酸結合剤の存在下で行うことが好ましく、前記酸結合剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物を用いてもよい。
【0178】
また、前記重合時のポリカーボネートの分子量調節のために、分子量調節剤の存在下で重合することが好ましい。前記分子量調節剤として、炭素数1~20のアルキルフェノールを用いることができ、その具体例としては、p-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールまたはトリアコンチルフェノールが挙げられる。前記分子量調節剤は、重合開始の前、重合開始中または重合開始の後に投入され得る。前記分子量調節剤は、前記化学式11で表される化合物100重量部に対して10重量部~40重量部の量で使用することができる。
【0179】
前記化学式21で表される化合物もともに含まれる場合、前記化学式11で表される化合物と前記化学式21で表される化合物の総100重量部に対して0.01~10重量部、好ましくは0.1~6重量部を使用することができ、この範囲内で所望の分子量を得ることができる。
【0180】
また、前記重合反応を促すために、トリエチルアミン、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロミドなどの三級アミン化合物、四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物などのような反応促進剤をさらに使用してもよい。
【0181】
本発明の一実施態様によれば、前記重合段階で使用される前記組成物は、カップリング剤として、トリエチルアミンをさらに含んでもよい。
【0182】
本発明の他の一実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネートを含む組成物を提供する。
【0183】
前記一具現例のポリカーボネート樹脂組成物は、樹脂成形品の分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤をさらに含んでもよい。
【0184】
前記熱安定剤の例としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルなどが挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルポスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルトキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’-ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルまたはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0185】
前記熱安定剤は、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001重量部~1重量部、0.01重量部~0.1重量部の含有量で使用してもよい。前記含有量で安定剤を使用することによって、添加剤のブリードなどを起こすことなく樹脂の分子量低下や変色を防止することができる。
【0186】
他の一例によれば、前記ポリカーボネートを含む組成物は一般的に知られている酸化防止剤をさらに含んでもよい。
【0187】
前記酸化防止剤の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール-3-ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート-ジエチルエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンまたはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0188】
前記酸化防止剤は、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001重量部~1重量部、0.001重量部~0.5重量部の含有量で用いてもよい。
【0189】
他の一例によれば、前記ポリカーボネートを含む組成物は、滑剤をさらに含んでもよく、例えば、ペンタエリスリトールテトラステアレートを含んでもよい。
【0190】
前記滑剤は、前記ポリカーボネート100重量部に対して0.0001重量部~1重量部、0.005重量部~0.5重量部、0.01重量部~0.2重量部の含有量で用いてもよい。
【0191】
本発明の他の一実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネートを含む組成物から製造される成形品を提供する。先に説明したとおり、前記化学式1で表される単位を含むポリカーボネートは、硬度または耐熱性が優れているので、従来使用されていたポリカーボネートから製造される成形品に比べて応用分野が広い。また、前記ポリカーボネートが前記化学式2で表される繰り返し単位をさらに含む場合、前記化学式1および2で表される単位の重量比の調節を通じて所望の物性を具現することができるので、応用分野がさらに広くなる。
【0192】
前記組成物または成形品は、前記のポリカーボネートの他に、必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料および染料からなる群から選択された1種以上をさらに含んでもよい。
【0193】
前記成形品の製造方法の一例として、前記のポリカーボネートと他の添加剤とをミキサーを用いてよく混合した後、押出機で押出成形してペレットに製造し、前記ペレットを乾燥させた後、射出成形機にて射出する段階を含んでもよい。
【実施例】
【0194】
(実験例1.ポリカーボネートの製造)
(実施例1.)
(1)オリゴマー1の製造
【0195】
【0196】
ビスフェノールA(Bisphenol A、BPA)(1 equiv)、4-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸(4-hydroxy-3-methylbenzoic acid)(4.0 equiv)、ピリジン(12.0 equiv)をDCMに溶かした後、低温(-40℃~-20℃)で、チオニルクロリド(4.4 equiv)をゆっくり滴加した。常温(20℃~25℃)で10時間以上反応を進行して終結した後、HClとK2CO3水溶液を用いてピリジン塩(pyridine salt)および副反応物を除去した。その後、有機層を分離した後、溶媒を減圧して除去し、生成物をテトラヒドロフラン(Tetrahydrofurane、THF)に完全に溶かした後、メタノール(Methanol、MeOH)を用いてオリゴマー1を得た。(オリゴマー1の重量平均分子量:1,450g/mol)
(2)ポリカーボネート1の製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレータ(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に、水620g、BPA112.61g、オリゴマー1 11.27g(BPA総重量に対して10wt%)、40重量%NaOH水溶液102.5g、DCM200mlを投入して、数分間攪拌した。
【0197】
窒素パージングを止めて、1L丸底フラスコに、トリホスゲン62g(0.209mol)とDCM120gを入れて、トリホスゲンを溶解させた後、溶解されたトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよびオリゴマー1溶液が溶けているメイン反応器に投入し、投入が完了すると、PTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66g(0.177mol)を入れて約10分間攪拌した。攪拌が完了した後、40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてトリエチルアミン(Triethylamine、TEA)1.16gを投入した。この際、反応pHは11~13を維持した。
【0198】
十分反応が行われるように時間をおいてから、反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。そして、攪拌を中止し、ポリマー層と水層を分離した後、水層は除去し、純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5回繰り返して行った。
【0199】
水洗が完全に行われると、ポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再浸法でポリマー結晶体を収得した。この際、製造されたポリカーボネート1は、重量平均分子量が45,000g/molであった。
【0200】
NMR分析結果から、オリゴマー1由来の繰り返し単位は、ポリカーボネート1の全繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0201】
(実施例2.オリゴマー2およびポリカーボネート2の製造)
【0202】
【0203】
実施例1において、4-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸に代えてバニリン酸(vanillic acid)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でオリゴマー2を製造し、オリゴマー1に代えてオリゴマー2を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネート2を製造した。この際、製造されたオリゴマー2の重量平均分子量は1,700g/molであり、ポリカーボネート2の重量平均分子量は41,000g/molであった。
【0204】
NMR分析結果から、オリゴマー2由来の繰り返し単位は、ポリカーボネート2の全繰り返し単位の重量に対して8重量%で含まれていることを確認した。
【0205】
(実施例3.オリゴマー3およびポリカーボネート3の製造)
【0206】
【0207】
実施例1において、BPAに代えて2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロへキシル)プロパン(2,2-bis(4-hydroxycyclohexyl)propane)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でオリゴマー3を製造し、オリゴマー1に代えてオリゴマー3を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネート3を製造した。この際、製造されたオリゴマー3の重量平均分子量は1,800g/molであり、ポリカーボネート3の重量平均分子量は40,000g/molであった。
【0208】
NMR分析結果から、オリゴマー3由来の繰り返し単位は、ポリカーボネート3の全繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0209】
(実施例4.オリゴマー4およびポリカーボネート4の製造)
【0210】
【0211】
実施例1において、BPAに代えてメチルヒドロキノン(methylhydroquinone)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でオリゴマー4を製造し、オリゴマー1に代えてオリゴマー4を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネート4を製造した。この際、製造されたオリゴマー4の重量平均分子量は1,600g/molであり、ポリカーボネート4の重量平均分子量は43,000g/molであった。
【0212】
NMR分析結果から、オリゴマー4由来の繰り返し単位は、ポリカーボネート4の全繰り返し単位の重量に対して9重量%で含まれていることを確認した。
【0213】
(実施例5.オリゴマー5およびポリカーボネート5の製造)
【0214】
【0215】
実施例1において、BPAに代えて1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(1,1-bis(4-hydroxyphenyl)cyclohexane)、4-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸に代えて4-ヒドロキシ-3,5-ジメチル安息香酸(4-hydroxy-3,5-dimethylbenzoic acid)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でオリゴマー5を製造し、オリゴマー1に代えてオリゴマー5を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネート5を製造した。この際、製造されたオリゴマー5の重量平均分子量は1,200g/molであり、ポリカーボネート5の重量平均分子量は45,000g/molであった。
【0216】
NMR分析結果から、オリゴマー5由来の繰り返し単位は、ポリカーボネート5の全繰り返し単位の重量に対して5重量%で含まれていることを確認した。
【0217】
(実施例6.オリゴマー6およびポリカーボネート6の製造)
【0218】
【0219】
実施例1において、BPAに代えて1,4-シクロヘキサンジオール(1,4-cyclohexanediol)、4-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸に代えてバニリン酸を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でオリゴマー6を製造し、オリゴマー1に代えてオリゴマー6を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネート6を製造した。この際、製造されたオリゴマー6の重量平均分子量は1,200g/molであり、ポリカーボネート6の重量平均分子量が49,000g/molであった。
【0220】
NMR分析結果から、オリゴマー6由来の繰り返し単位は、ポリカーボネート6の全繰り返し単位の重量に対して8重量%で含まれていることを確認した。
【0221】
(比較例1.)
(1)オリゴマーAの製造
【0222】
【0223】
レゾルシノール(Resorcinol)(2.2 equiv)、TEA(3.0 equiv)をDCMに溶かした後、テレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride)(1.0 equiv)をDCMに溶かして低温でゆっくり滴加した。常温で10時間以上攪拌して反応を終結した後、HClとK2CO3水溶液を入れて、TEA saltおよび副反応物を除去した。前記のように合成されたオリゴマーAは、別の分離作業をせずポリカーボネート製造工程に投入された。
【0224】
(2)ポリカーボネートAの製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレータ(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に、水620g、BPA115.077g、オリゴマーA 11.51g(BPA総重量に対して10wt%)、40重量%NaOH水溶液102.5g、DCM200mlを投入して、数分間攪拌した。
【0225】
窒素パージングを止めて、1L丸底フラスコに、トリホスゲン62gとDCM120gを入れて、トリホスゲンを溶解させた後、溶解されたトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよびオリゴマーA溶液が溶けているメイン反応器に投入し、投入が完了すると、PTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて約10分間攪拌した。攪拌が完了すると、40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA1.16gを投入した。この際、反応pHは11~13を維持した。十分反応が行われるように時間をおいてから、反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に落とした。そして、攪拌を中止し、ポリマー層と水層を分離した後、水層は除去し、純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5回繰り返して行った。
【0226】
水洗が完全に行われると、ポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再浸法でポリマー結晶体を収得した。この際、製造されたポリカーボネートAの重量平均分子量は46,000g/molであった。
【0227】
NMR分析結果から、オリゴマーA由来の繰り返し単位は、ポリカーボネートAの全繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0228】
(比較例2.オリゴマーBおよびポリカーボネートBの製造)
【0229】
【0230】
実施例1において、BPAに代えてジエチレングリコール(diethylene glycol)、4-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸に代えて4-ヒドロキシ安息香酸(4-hydroxybenzoic acid)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でオリゴマーBを製造し、オリゴマー1に代えてオリゴマーBを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネートBを製造した。この際、製造されたオリゴマーBの重量平均分子量は1,400g/molであり、ポリカーボネートBの重量平均分子量は38,000g/molであった。
【0231】
NMR分析結果から、オリゴマーB由来の繰り返し単位は、ポリカーボネートBの全繰り返し単位の重量に対して7重量%で含まれていることを確認した。
【0232】
(比較例3.オリゴマーCおよびポリカーボネートCの製造)
【0233】
【0234】
実施例1において、BPAに代えてレゾルシノール、4-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸に代えて3-ヒドロキシ安息香酸(3-hydroxybenzoic acid)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でオリゴマーCを製造し、オリゴマー1に代えてオリゴマーCを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネートCを製造した。この際、製造されたオリゴマーCの重量平均分子量は2,300g/molであり、ポリカーボネートCの重量平均分子量は46,000g/molであった。
【0235】
NMR分析結果から、オリゴマーC由来の繰り返し単位は、ポリカーボネートCの全繰り返し単位の重量に対して8重量%で含まれていることを確認した。
【0236】
(比較例4.オリゴマーDおよびポリカーボネートDの製造)
【0237】
【0238】
実施例1において、4-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸に代えて4-ヒドロキシ安息香酸(4-hydroxybenzoic acid)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でオリゴマーDを製造し、オリゴマー1に代えてオリゴマーDを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネートDを製造した。この際、製造されたオリゴマーDの重量平均分子量は1,800g/molであり、ポリカーボネートDの重量平均分子量は45,000g/molであった。
【0239】
NMR分析結果から、オリゴマーD由来の繰り返し単位は、ポリカーボネートDの全繰り返し単位の重量に対して9重量%で含まれていることを確認した。
【0240】
(比較例5.オリゴマーEおよびポリカーボネートEの製造)
【0241】
【0242】
実施例1において、BPAに代えて1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(1,1-bis(4-hydroxyphenyl)cyclohexane)、4-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸に代えて4-ヒドロキシ安息香酸(4-hydroxybenzoic acid)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でオリゴマーEを製造し、オリゴマー1に代えてオリゴマーEを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネートEを製造した。この際、製造されたオリゴマーEの重量平均分子量は2,000g/molであり、ポリカーボネートEの重量平均分子量は48,000g/molであった。
【0243】
NMR分析結果から、オリゴマーE由来の繰り返し単位は、ポリカーボネートEの全繰り返し単位の重量に対して7重量%で含まれていることを確認した。
【0244】
(実験例2.ポリカーボネートの物性評価)
前記実施例および比較例で製造したそれぞれのポリカーボネート樹脂100重量部に対して、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト0.050重量部、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.010重量部、ペンタエリスリトールテトラステアレート0.030重量部を添加し、ベント付きHAAKE MiniCTWを用いてペレット化した後、HAAKE Minijet射出成形機を使用してシリンダー温度300℃、金型温度120℃で射出成形して試片を製造した。
【0245】
このような射出試片またはポリカーボネートの特性を下記の方法で測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0246】
1)重量平均分子量(g/mol):Agilent 1200 seriesを用いて、PC standardで検量して測定した。
【0247】
2)流動性(MI):ASTM D1238(300℃、1.2kg条件)に基づいて測定した。
【0248】
3)Izod常温衝撃強度(J/m):ASTM D256(1/8inch、Notched Izod)に基づいて23℃で測定した。
【0249】
4)鉛筆硬度:23℃で、鉛筆硬度計(Cometech)を用いて、ASTM D3363に基づき、50gの荷重で、45度の角度で、2B、B、HB強度の鉛筆で測定した。
【0250】
【0251】
前記表1を参考すると、実施例のポリカーボネートは、比較例に比べて高い衝撃強度と高硬度を示すことを確認した。具体的に、フェニル基がハロゲン基、アルキル基またはアルコキシ基で置換されている本発明のポリカーボネートは、フェニル基が置換されていないポリカーボネートに比べて衝撃強度と鉛筆硬度が高いことが分かる。
【0252】
特に、比較例4のポリカーボネートは、実施例1および2のポリカーボネートとフェニル基置換有無のみに差があるもので、比較例4のポリカーボネートの衝撃強度および鉛筆硬度が実施例1および2に比べて低いことを確認することができる。
【0253】
また、比較例5のポリカーボネートは、実施例5のポリカーボネートとフェニル基置換有無のみに差があるもので、実施例5のポリカーボネートより比較例5のポリカーボネートの衝撃強度が低く、鉛筆硬度も低いことが分かる。
【0254】
よって、本発明の化学式1の繰り返し単位を含むポリカーボネートは、向上された耐衝撃性および高硬度をともに達成できることを確認することができる。