(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】太陽光発電システム、その制御方法、プログラム、記録媒体および蓄電制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20241220BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
H02J7/35 G
H02J3/38 130
H02J7/35 K
(21)【出願番号】P 2020203407
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2023-11-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、環境省、令和2年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業(「ナノハイブリッドキャパシタ」を用いた太陽光発電の利用率向上と自立化を支援するシステムの開発)委託業務、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504358517
【氏名又は名称】有限会社ケー・アンド・ダブル
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】直井 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】直井 和子
(72)【発明者】
【氏名】玉光 賢次
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩規
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-118207(JP,A)
【文献】特開2013-138530(JP,A)
【文献】特開2015-186427(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081116(WO,A1)
【文献】特開2018-129980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/35
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも日射を受けて発電する発電装置と、
蓄電装置と、
気象情報により閾値を切り替える閾値切り替え部と、
前記発電装置の発電
電力が前記閾値以下であるかを判定する発電電力判定部と、
前記閾値以下の前記発電電力を前記蓄電装置に蓄電させる蓄電制御部と、
を備える、太陽光発電システム。
【請求項2】
さらに、前記気象情報が少なくとも雨天情報または曇天情報を含み、前記雨天情報または前記曇天情報を取得したとき、晴天時より高レベルの閾値を選定する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
さらに、前記気象情報が少なくとも日射量レベルを含み、前記日射量レベルが低いときに選定される閾値は、前記日射量レベルが高いときに選定される閾値よりも高レベルの閾値である、請求項1または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
さらに、日射量情報を取得し、この日射量情報から日射量傾向を表す日射量パターン情報を生成し、この日射量パターン情報から気象種別を判定する気象判定部と、
前記気象種別に対応した前記閾値を生成する閾値生成部と、
を備える、請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
さらに、前記蓄電装置の蓄電電力が電力
量閾値を超えたとき、該蓄電電力を出力させる蓄電電力出力部を備える、請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
太陽光発電システムの制御方法であって、
気象情報により閾値を切り替える工程と、
発電電力が前記閾値以下であるかを判定する工程と、
前記閾値以下の前記発電電力を蓄電装置に蓄電させる工程と、
を含む、太陽光発電システムの制御方法。
【請求項7】
太陽光発電システムに用いられるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
閾値を生成する機能と、
気象情報により前記閾値を切り替える機能と、
発電電力が前記閾値以下であるかを判定する機能と、
前記閾値以下の前記発電電力を蓄電装置に蓄電させる機能と、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
さらに、前記気象情報が日射量情報を含み、この日射量情報から日射量傾向を表す日射量パターン情報を取得する機能と、
前記日射量パターン情報から気象種別を判定する機能と、
前記閾値を生成する機能と、
前記気象種別に応じて閾値を切り替える機能と、
を前記コンピュータに実行させるための請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のプログラム、日射量パターン情報または閾値情報の何れかまたは二以上を格納した記録媒体。
【請求項10】
少なくとも日射を受けて発電する発電装置と、該発電装置の発電
電力の少なくとも微弱電流レベルの電力を蓄電する蓄電装置とを備える、太陽光発電システムに用いられる蓄電制御装置であって、
気象情報により閾値を切り替え、前記発電装置の
前記発電
電力が該閾値以下であるかを判定する発電電力判定部と、
前記閾値以下の前記発電電力を前記蓄電装置に蓄電させる蓄電制御部と、
を備える、太陽光発電システムの蓄電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽光発電システムの発電電力の蓄電制御に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、太陽光を受けて発電する太陽光発電パネルを発電装置に用いている。斯かる発電装置には日射量レベルに応じた発電出力が得られる。つまり、発電出力が日射量の影響を受け、曇天や雨天など、太陽光発電パネルが受ける日射量の低下や変動が発電出力に影響する。微弱電流域で得られる発電出力をパワーコンディショナに供給しても、パワーコンディショナの内部回路での消費電力により実用に耐える給電出力が得られない。
このような太陽光発電システムに関し、太陽光パネルの発電量が所定値以下の場合には、発電出力をキャパシタに蓄電し、このキャパシタから二次電池に充電して出力するシステムが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽光発電パネルが出力する微弱電流をキャパシタに蓄電し、その蓄電電力をDC-DCコンバータで電圧変換した後、二次電池に充電するシステム(たとえば、特許文献1)では、キャパシタと別個に二次電池を設置することはシステム構成を複雑化し、しかも、微弱電流域の発電電力をパワーコンディショナで電力変換する場合と同様に、DC-DCコンバータの電圧変換などで生じる消費電力が微弱電流の回収率を低下させるという課題がある。
また、太陽光発電パネルの発電電力をパワーコンディショナに供給する出力モードと、発電電力をキャパシタに蓄電する蓄電モードとを切り替える場合には、両者を切り替えるための閾値の設定が不可欠である。この閾値を高レベル化すれば、蓄電電力が増大するものの、パワーコンディショナに向ける発電電力は減少するし、蓄電装置を構成する蓄電キャパシタの負担が増大する。
閾値を低レベル化すれば、曇天や雨天など、太陽光発電パネルが受ける日射量が不安定になる微弱電流域でモード切り替えが頻発し、このモード切り替えによる消費電力が増大するという課題もある。
【0005】
本件発明者らは、太陽光発電パネルから得られる微弱電流域の発電電力の回収(蓄電)には、晴天、曇天、雨天などの気象種別によって閾値の切替えが有効であるとの知見を得た。
【0006】
そこで、本開示の目的は、太陽光発電パネルなどの発電装置の発電電力の回収率ないし利用率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの一側面によれば、少なくとも日射を受けて発電する発電装置と、蓄電装置と、気象情報により閾値を切り替える閾値切り替え部と、前記発電装置の発電電力が前記閾値以下であるかを判定する発電電力判定部と、前記閾値以下の前記発電電力を前記蓄電装置に蓄電させる蓄電制御部とを備える。
この太陽光発電システムにおいて、さらに、前記気象情報が少なくとも雨天情報または曇天情報を含み、前記雨天情報または前記曇天情報を取得したとき、晴天時より高レベルの閾値を選定してもよい。
この太陽光発電システムにおいて、さらに、前記気象情報が少なくとも日射量レベルを含み、前記日射量レベルが低いときに選定される閾値は、前記日射量レベルが高いときに選定される閾値よりも高レベルの閾値であってよい。
この太陽光発電システムにおいて、さらに、日射量情報を取得し、この日射量情報から日射量傾向を表す日射量パターン情報を生成し、この日射量パターン情報から気象種別を判定する気象判定部と、前記気象種別に対応した前記閾値を生成する閾値生成部とを備えてもよい。
この太陽光発電システムにおいて、さらに、前記蓄電装置の蓄電電力が電力量閾値を超えたとき、該蓄電電力を出力させる蓄電電力出力部を備えてもよい。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの制御方法の一側面によれば、太陽光発電システムの制御方法であって、気象情報により閾値を切り替える工程と、発電電力が前記閾値以下であるかを判定する工程と、前記閾値以下の前記発電電力を蓄電装置に蓄電させる工程とを含む。
【0009】
上記目的を達成するため、本開示のプログラムの一側面によれば、太陽光発電システムに用いられるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、閾値を生成する機能と、気象情報により前記閾値を切り替える機能と、発電電力が前記閾値以下であるかを判定する機能と、前記閾値以下の前記発電電力を蓄電装置に蓄電させる機能とを前記コンピュータに実行させる。
【0010】
このプログラムにおいて、さらに、前記気象情報が日射量情報を含み、この日射量情報から日射量傾向を表す日射量パターン情報を取得する機能と、前記日射量パターン情報から気象種別を判定する機能と、前記閾値を生成する機能と、前記気象種別に応じて閾値を切り替える機能とを前記コンピュータに実行させてよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本開示の記録媒体の一側面によれば、前記プログラム、日射量パターン情報または閾値情報の何れかまたは二以上を格納した記録媒体である。
【0012】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの蓄電制御装置の一側面によれば、少なくとも日射を受けて発電する発電装置と、該発電装置の発電電力の少なくとも微弱電流レベルの電力を蓄電する蓄電装置とを備える、太陽光発電システムに用いられる蓄電制御装置であって、気象情報により閾値を切り替え、前記発電装置の前記発電電力が該閾値以下であるかを判定する発電電力判定部と、前記閾値以下の前記発電電力を前記蓄電装置に蓄電させる蓄電制御部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 日射量レベルに対応した複数の閾値を設定し、これら閾値を気象情報により切り替えるので、日射量レベルが低い場合の発電電力を蓄電装置に蓄電でき、該発電電力の回収率を高めることができる。
(2) 微弱電流による発電電力が蓄電に向けられるので、システム内消費の低減とともに、該発電電力の利用率を高めることができる。
(3) 結果として、微弱電流域以下の発電電力を閾値とするので、晴天時には発電電力に閾値以下の微弱電流域が占める割合が低く、パワーコンディショナからの電力出力を妨げることはない。
(4) 曇天や雨天など、日射量レベルが変動しても、この変動に対応した閾値を設定できるので、給電出力と蓄電出力の切替えを頻発させることはなく、安定した給電システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施の形態に係る太陽光発電システムを示す図である。
【
図4】日射量パターン・閾値テーブルを示す図である。
【
図5】日射量情報、日射量パターン情報および発電電力の推移、閾値の切替えを示す図である。
【
図7】太陽光発電システムのハードウェアの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<太陽光発電システム2>
図1は、一実施の形態に係る太陽光発電システム2を示している。
図1に示す構成は一例であるから、斯かる構成に本開示は限定されない。
この太陽光発電システム2は、発電装置4、発電電力検出部6、出力切替え部8、蓄電装置10、パワーコンディショナ12、蓄電電力量監視部14、蓄電電力出力部15、情報入力部16、情報提示部17、システム制御部18などを備える。
【0016】
発電装置4は太陽光発電パネルを含み、少なくとも太陽光を受けて発電する。この発電装置4には太陽光発電パネルが受ける日射量に応じた発電電力が得られる。
発電電力検出部6はシステム制御部18の制御により、発電装置4の発電電力Psを検出し、発電電力情報をシステム制御部18に提供する。このシステム制御部18は本開示の蓄電制御装置の一例である。
出力切替え部8はシステム制御部18から出力切替え情報を受け、発電装置4の発電電力Psの出力先を蓄電装置10またはパワーコンディショナ12に切り替える。つまり、発電装置4の発電電力Psが閾値Pth以下であれば、発電電力Psが蓄電装置10の蓄電に向けられ、また、発電電力Psが閾値Pthを超えていれば、パワーコンディショナ12に向けられる。
【0017】
蓄電装置10はたとえば、蓄電デバイスで構成し、主として閾値Pth以下の発電電力Psを受けて蓄電する。
蓄電電力量監視部14は蓄電装置10の蓄電電力量Pcmを監視し、この蓄電電力量情報をシステム制御部18に提供する。
蓄電電力出力部15はDC-DCコンバータやインバータなどを含み、システム制御部18の制御により、蓄電装置10の蓄電電力Pcを受け、蓄電電力量Pcmが電力量閾値Pcmth以上であれば、蓄電電力を商用交流と同様の交流出力に変換し、負荷20に提供する。
【0018】
パワーコンディショナ12は、発電装置4の発電電力Psを直流から交流に変換するインバータ機能や、該インバータ出力を商用交流と同様の交流出力に変換するコンバータ機能などを備える。パワーコンディショナ12の出力は、負荷20に提供される。
情報入力部16は、発電装置4の定格発電電力情報、蓄電装置10の定格蓄電電力情報など、各種情報の入力に用いられる。
情報提示部17は、気象情報(気象予報情報を含む)、日射量パターン情報、閾値情報、発電電力情報、出力情報、蓄電電力情報、その他の制御情報などを含む提示情報をタイムリーに提示する。
【0019】
システム制御部18はたとえば、通信機能を備えるコンピュータで構成され、情報処理により実現される機能部として、気象情報取得部21、気象情報加工部22、気象判定部23、閾値生成・切り替え部24、発電電力情報取得部25、発電電力判定部26、出力制御部28、情報提示制御部29、蓄電電力出力制御部30などを構成する。
気象情報取得部21は、気象衛星などの気象情報源31から気象情報を取得し、この気象情報に含まれる日射量情報32(
図2)を取得する。
気象情報加工部22は日射量情報32の加工として、たとえば、気象情報から日射量パターンを表す日射量パターン情報33(
図3)を抽出し、日射量パターン情報33の単純化などの情報処理を行う。
気象判定部23は、日射量パターン情報33を取得し、日射量レベルから晴天、曇天、雨天などの気象種別を判定し、この気象種別を表す気象種別情報を生成する。
【0020】
閾値生成・切り替え部24は、日射量情報および発電電力Psを表す発電電力情報を参照し、気象種別に対応した複数の閾値Pthを生成し、その閾値Pthを切り替える。日射量情報は、気象情報取得部21で取得した気象情報に含まれる。発電電力情報は発電電力情報取得部25で取得された電力情報である。つまり、閾値生成・切り替え部24は閾値の生成部であるとともに閾値切り替え部の一例であり、発電電力Psの微弱電流域Psmzを表す閾値Pthを生成し、この閾値Pthの値を日射量レベルに応じて切り替える。
気象情報において、晴天、曇天、雨天などの気象種別を次のように定義する。
晴天: 雲がほとんど無い快晴、雲が存在しても日射量に大幅な変動を来さない晴天であり、充分な日射量が得られる気象状態を表す。つまり、発電電力Psの微弱電流域Psmzの占める割合は小さい。
曇天: 雲が支配的であり、雲が流れるなど、雲間から得られる日射量が不安定であるなど、不安定な気象状態を表す。つまり、発電電力Psに対して微弱電流域Psmzの占める割合は大きく、発電電力Psに対して微弱電流域Psmzが支配的である。
雨天: 間断なく降雨があり、日射量レベルが低い状態を表す。つまり、発電電力Psに対して微弱電流域Psmzがほとんどであり、発電電力Ps=微弱電流域Psmzである。
【0021】
そして、閾値生成・切り替え部24は、晴天、曇天、雨天を表す日射量パターン情報33を生成し、日射量パターン情報33ごとにレベルの異なるたとえば、閾値Pthとして晴天に対応する閾値Pth1、曇天に対応する閾値Pth2、雨天に対応する閾値Pth3を生成する。
そして、各閾値Pth1、Pth2、Pth3のレベルは、発電電力Psの微弱電流域Psmzの回収率を高めるため、Pth1<Pth2<Pth3に設定される。つまり、微弱電流域Psmzが支配的となる気象情報に対応し、閾値Pth1のレベルに対し、閾値Pth2、Pth3は高レベルに設定されている。
これら閾値Pth1、Pth2、Pth3は、取得した気象情報に基づき、晴天情報を取得すれば、閾値Pth1が選定され、曇天情報を取得すれば、閾値Pth2が選定され、雨天情報を取得すれば、閾値Pth3が選定される。
【0022】
発電電力情報取得部25は、発電電力検出部6の検出出力を取得し、稼働中の発電装置4の発電電力を表す発電電力情報を取得する。
発電電力判定部26は、発電電力情報取得部25から発電電力情報を受けるとともに、閾値生成・切り替え部24から閾値情報を取得する。発電電力判定部26は、稼働中の発電装置4の発電電力Psと、現時点で設定されている閾値Pth(=Pth1、Pth2またはPth3)とを対比し、現時点の発電電力Psが閾値Pth以下であるか否かを判定し、その判定結果を表す判定情報を生成する。
出力制御部28は、発電電力判定部26から判定情報を取得し、この判定情報に基づき出力切替え情報を生成する。この出力切替え情報は、出力切替え部8に提供される。この出力切替え情報を受けた、出力切替え部8は出力の切替えを行う。つまり、発電電力Psが、Ps≦Pth1、Ps≦Pth2またはPs≦Pth3であれば、蓄電装置10に向けられ、Ps>Pth1、Ps>Pth2またはPs>Pth3であれば、パワーコンディショナ12に向けられる。
【0023】
情報提示制御部29は、気象情報取得部21から気象情報、気象情報加工部22から日射量パターン情報33、閾値生成・切り替え部24から閾値情報、発電電力情報取得部25から発電電力情報、発電電力判定部26から判定情報、出力制御部28から出力情報、蓄電電力出力制御部30から蓄電電力出力情報を取得し、またはその他の制御情報を取得して提示情報を生成し、この提示情報を情報提示部17に出力する。
蓄電電力出力制御部30は、蓄電電力量監視部14から監視情報を取得し、この監視情報を用いて蓄電装置10の蓄電電力量Pcmが電力量閾値Pcmthに到達したか否かを監視し、その結果により出力制御情報を生成する。この出力制御情報を受けた蓄電電力出力部15では、蓄電装置10の蓄電電力量Pcmが電力量閾値Pcmth以上に到達していれば(Pcm≧Pcmth)、蓄電装置10の蓄電電力Pcを通過させ、負荷20に給電する。
【0024】
<システム制御部18の制御プロセス>
システム制御部18は既述の気象情報取得部21、気象情報加工部22、気象判定部23、閾値生成・切り替え部24、発電電力情報取得部25、発電電力判定部26、出力制御部28、情報提示制御部29、蓄電電力出力制御部30を備えて複数の制御プロセスを実行する。この制御プロセスには、
(1) 閾値Pthの生成
(2) 発電電力Psの出力切替え制御
(3) 蓄電電力Pcの出力制御
(4) 気象情報の取得
(5) 気象情報の加工
(6) 制御情報のデータベース化
などの処理が含まれる。
【0025】
<閾値Pthの生成プロセス>
閾値Pthの生成プロセスは、本開示の太陽光発電システムの制御方法またはそのプログラムの一例である。この閾値Pthの生成プロセスには発電電力情報の取得(S101)、気象情報の取得(S102)、気象情報の加工(S103)、閾値Pthの算定(S104)、閾値Pthの設定または改定(S105)、情報の提示(S106)などが含まれる。
発電電力情報の取得(S101): システム制御部18を起動すると、システム制御部18の初期化を経て情報入力部16から発電装置4の発電電力Psを表す発電電力情報を取得する。
【0026】
気象情報の取得(S102): システム制御部18が起動の後、気象情報源31と有線または無線で接続し、気象情報源31から気象情報取得部21が気象情報を取得する。
気象情報の加工(S103): 気象情報加工部22は気象情報から日射量情報Sを取得し、この日射量情報Sを加工して日射量パターン情報Sgを加工し、日射量パターン情報Sgの単純化などの処理を行う。
【0027】
閾値Pthの算定(S104): 晴天、曇天または雨天の各気象状態で得られる日射量に基づき発電装置4に得られる発電電力Psから微弱電流電力Pmz(
図5)を抽出し、この電力を以て閾値Pthの大きさを算定する。この閾値Pthは晴天、曇天または雨天でレベルを異ならせて微弱電流電力Pmzを回収するために、晴天の場合:閾値Pth1、曇天の場合:閾値Pth2、雨天の場合:閾値Pth3を算定する(
図5)。
【0028】
閾値Pthの設定または改定(S105): カレンダ情報とともに取得した少なくとも前日に取得した翌日の気象情報に基づき、閾値Pth1、Pth2、Pth3の何れかが発電電力判定部26に設定され、または設定されている閾値Pth1、Pth2またはPth3が気象情報に基づき、閾値Pth1、Pth2、Pth3の何れかに改定される。この場合、気象情報が予測する気象種別が同一であれば、同一の閾値Pthが維持される。
【0029】
情報の提示(S106): 情報提示制御部29は、気象情報、気象情報の加工情報(日射量パターン情報、その単純化情報)、閾値情報、その設定または改定を表す情報から提示情報を生成し、情報提示部17に出力する。
【0030】
<発電電力Psの出力切替えプロセス>
発電電力Psの出力切替え制御は、本開示の太陽光発電システムの制御方法またはそのプログラムの一例である。この出力切替え制御プロセスは、発電電力Psを蓄電装置10による蓄電に向けるか、パワーコンディショナ12による電力利用に向けるかの選択を行う。この出力切替え制御には、発電装置4の稼働監視(S201)、発電装置4の稼働判定(S202)、発電電力情報の取得(S203)、発電電力Psの判定(S204)、発電電力Psと閾値Pth(=Pth1、Pth2またはPth3)との対比(S205)、蓄電装置10の蓄電(S206)、パワーコンディショナ12に供給(S207)、情報の提示(S208)などが含まれる。つまり、本開示の蓄電制御には、S201、S202、S203、S204、S205、S206、S208の処理が含まれる。
【0031】
発電装置4の稼働監視(S201): システム制御部18は、発電電力検出部6の検出出力を受け、この検出出力から発電電力情報取得部25が発電装置4の稼働情報を取得し、発電装置4の稼働を監視する。
発電装置4の稼働判定(S202): システム制御部18は、発電電力検出部6の検出出力に基づき、発電装置4が稼働しているか否かを判定する。発電装置4が稼働していなければ、発電電力Psの蓄電制御を停止する。
発電電力情報の取得(S203): 発電装置4が稼働していれば、発電電力情報取得部25が発電装置4の現時点の発電電力Psを表す発電電力情報を取得する。
【0032】
発電電力Psの判定(S204): 発電電力判定部26は、発電電力情報取得部25から発電電力情報を取得し、現時点の発電電力Psを判定する。
発電電力Psと閾値Pth(=Pth1、Pth2またはPth3)との対比(S205): この発電電力Psの判定には現時点の発電電力Psと閾値Pthが用いられ、つまり、閾値Pthには閾値Pth1、Pth2またはPth3の何れかが用いられる。
【0033】
蓄電装置10への蓄電(S206): 発電電力Psが閾値Pth1以下であれば、発電電力Psが微弱電流域Psmz1であり、発電電力Psが閾値Pth2以下であれば、発電電力Psが微弱電流域Psmz2であり、発電電力Psが閾値Pth3以下であれば、発電電力Psが微弱電流域Psmz3であるから、発電電力Ps=Psmz1,Psmz2またはPsmz3が蓄電装置10の蓄電に向けられる。
パワーコンディショナ12に供給(S207): 発電電力Psが閾値Pth1、閾値Pth2または閾値Pth3を超えていれば、斯かる発電電力Psはパワーコンディショナ12による電力出力に向けられる。
【0034】
情報の提示(S208): 情報提示制御部29は、発電装置4の稼働情報、発電電力情報、判定情報、出力情報などを取得し、提示情報を生成して情報提示部17に提供し、これらの情報を提示する。
【0035】
<蓄電電力量Pcmの監視、蓄電電力Pcの出力制御プロセス>
蓄電電力Pcの出力制御プロセスは、本開示の太陽光発電システムの制御方法またはそのプログラムの一例である。この蓄電電力Pcの出力制御プロセスは、蓄電電力量Pcmの監視、利用時期などの制御である。この出力制御には、蓄電電力量Pcmの監視(S301)、蓄電電力量情報の取得(S302)、蓄電電力量Pcmの判定(S303)、蓄電電力量Pcmと電力量閾値Pcmthとの対比(S304)、蓄電電力Pcの送出(S305)、情報の提示(S306)などが含まれる。
蓄電電力量Pcmの監視(S301): システム制御部18は、蓄電電力量監視部14および蓄電電力出力制御部30により蓄電装置10の蓄電電力量Pcmを監視する。
蓄電電力量情報の取得(S302): 蓄電電力出力制御部30は蓄電電力量監視部14から蓄電電力量Pcmの推移情報を連続または不連続に取得する。
【0036】
蓄電電力量Pcmの判定(S303): 蓄電電力出力制御部30は蓄電電力量Pcmを出力可能か蓄電の継続かを判定する。
蓄電電力量Pcmと電力量閾値Pcmthとの対比(S304): 蓄電電力出力制御部30は現時点の蓄電電力量Pcmと電力量閾値Pcmthとを対比し、Pcm≧Pcmthか、Pcm<Pcmthかを判定する。
蓄電電力Pcの送出(S305): Pcm≧Pcmthであれば、蓄電電力出力部15を稼働させる。蓄電電力出力部15は蓄電装置10から蓄電電力Pcを受け、たとえば、商用交流と同様の交流出力に変換して出力する。
情報の提示(S306): 情報提示制御部29は、蓄電電力出力制御部30から蓄電電力情報、出力制御情報などを受け、蓄電電力Pcの推移やその利用などを表す提示情報を生成し、情報提示部17に提示する。
【0037】
<気象情報の取得>
図2は、横軸に時刻、縦軸に日射量〔MJ/m
2〕を取り、時間経過による日射量推移を表す日射量情報32を示している。この日射量情報32はたとえば、気象衛星など、公的な気象情報源31から提供される電子情報である。
この日射量情報32(S)は気象情報の一例であり、たとえば、東京地方の12カ月の日射量情報Sを示し、複数の日射量カーブS1、S2、・・・、SNが含まれる。各日射量カーブS1、S2、・・・、SNは月ごとの一例である予報日射量の推移を示している。中途のプロット点は時刻ごとに日射量情報32が設定され、解析プログラム上で情報提示部17に展開することができる。日射量カーブS1、S2、・・・、SNのプロット点をクリックすれば、選択時刻の日射量情報32を展開し、その情報の提供が受けられる。
図示の日射量カーブS1、S2、・・・、SNは気象予測を表す情報であり、晴天、曇天または雨天では日射量レベルが低下し、日射量カーブS1、S2、・・・、SNのたとえば、午前12時の最高レベルが変化する。
このような日射量カーブS1、S2、・・・、SNによって変化する日射量に対し、発電装置4には日射量に応じたレベルを持つ発電電力Psが得られる。つまり、晴天であれば日射量が高く、発電電力Psが増大する。これに対し、曇天であれば日射量の低下や変動があり、発電電力Psが減少し、微弱電流域Psmzが支配的となる。また、雨天であれば、日射量がより低下して発電電力Psは微弱電流域Psmzに減衰する。
【0038】
<気象情報の加工>
図3は、日射量情報S(32)、日射量パターン情報Sg(33)およびそのグループ化を示している。
日射量情報32(
図2)から抽出した日射量カーブS1、S2、・・・、S12において、この例では午前12時の日射量を最高点pmaxとし、日の出時刻および日の入り時刻の日射量の各最低点Pminとを直線で結ぶと、時間軸を底辺とする三角形が形成される。つまり、日射量カーブS1、S2、・・・、S12の特徴を表す三角形を以てパターン化され、日射量パターン情報Sg1、Sg2、・・・、Sg12を取得することができる。
1年間の日射量カーブS1に対して日射量パターン情報Sg1、Sg2、・・・、Sg12を重ね合わせると、
図3に示すように、日射量が高い3月~9月の高日射量グループGh(=Sg3、Sg4、Sg5、Sg6、Sg7、Sg8、Sg9)と、10月~2月の低日射量グループGs(=Sg10、Sg11、Sg12、Sg1、Sg2)の集合体にパターン化できる。つまり、日射量パターン情報33(Sg)が2グループに区分けされ、日射量パターン情報33が特徴的な日射量情報として単純化される。日射量パターン情報33(Sg)の特徴事項には、三角形の日射量の高さh、面積、角度などの特徴量が含まれる。
これら、日射量情報32(S)の取得、日射量パターン情報33(Sg)の取得および単純化処理はシステム制御部18の情報処理で実現される。
【0039】
<日射量パターン・閾値テーブル34>
図4は、日射量情報S、日射量パターン情報Sg、気象種別情報および閾値Pth1、Pth2、Pth3の関係を表す日射量パターン・閾値テーブル34を示している。
この日射量パターン・閾値テーブル34にはグループ情報部36、日射量情報部38、気象種別情報部40、閾値情報部42が設定される。
グループ情報部36は、既述の高日射量グループGhを表すグループ情報G1、低日射量グループGsを表すグループ情報G2が格納されて提示されている。
日射量情報部38には、グループ情報G1、G2ごとに日射量情報S11、S21として晴天時の日射量パターン情報Sg1L、Sg2L、曇天時の日射量パターン情報Sg1N、Sg2N、雨天時の日射量パターン情報Sg1S、Sg2Sが提示されている。
【0040】
グループ情報G1において、晴天時では日射量が高いので、日射量パターン情報Sg1Lは日射量を反映した日射量レベルを示している。曇天では日射量が不安定でかつ低いので、日射量パターン情報Sg1N、雨天では日射量が低く、反映した日射量パターン情報Sg1Sとなっている。
グループ情報G2ではグループ情報G1に比較して日射量が低いが、グループ情報G1と同様に晴天時では日射量が高いので、日射量パターン情報Sg2Lは日射量を反映した日射量レベルを示している。曇天では日射量が不安定でかつ低いので、日射量パターン情報Sg2N、雨天では日射量が低く、反映した日射量パターン情報Sg2Sとなっている。
気象種別情報部40には気象種別として晴天、曇天、雨天を表す気象種別情報が提示されている。
そして、閾値情報部42には各日射量パターン情報Sg1L、Sg2L、Sg1N、Sg2N、Sg1S、Sg2Sごとの閾値情報として閾値Pth1、Pth2、Pth3が提示されている。
【0041】
<日射量情報S、日射量パターン情報Sgおよび発電電力Psの推移、閾値Pth1、Pth2、Pth3の切替え>
【0042】
<晴天時>
晴天時、閾値Pthは最も低レベルの閾値Pth1に切替えられる。
図5のAは、グループ情報G1の日射量情報から晴天時の日射量カーブS1を抽出し、これに対応した日射量パターン情報SgL、発電電力Ps1および閾値Pth1を示している。
日射量カーブS1は、晴天時における日の出から日の入りまでの日射量の推移を示している。
日射量パターン情報SgLは、日射量の推移を直線近似した日射量のパターンを表すパターン情報である。
【0043】
発電電力Ps1は、発電装置4の発電電力Psの推移を示す発電電力情報である。この発電電力Ps1は日射量レベルに応じたレベルの電力が得られている。この発電電力Ps1において、時刻t1ないしt2の時間は発電電力Psの微弱電流域Psmz1、時刻t2~t3の時間は発電電力Psの高電流域Ph1、時刻t3ないしt4の時間は発電電力Psの微弱電流域Psmz1となっている。
閾値Pth1は微弱電流域Psmz1を高電流域Ph1と峻別するためのレベルに設定されており、晴天時には高電流域Ph1が支配的であるため、閾値Pth1は低レベルに設定されている。
そして、グループ情報G2から晴天時の日射量情報を抽出しても同様のことが言える。
【0044】
<曇天時>
曇天時、不安定な発電電力Psを回収するため、閾値Pthは中レベルの閾値Pth2に切替えられる。
図5のBは、グループ情報G1の日射量情報から曇天時の日射量カーブS2を抽出し、これに対応した日射量パターン情報SgN、発電電力Ps2および閾値Pth2を示している。
日射量カーブS2は、曇天時における日の出から日の入りまでの日射量の推移を示している。
日射量パターン情報SgNは、曇天における日射量の推移を直線近似した日射量のパターンを表すパターン情報である。
発電電力Ps2は、発電装置4の発電電力Psの推移を示す発電電力情報である。この発電電力Ps2は曇天時の日射量レベルに応じたレベルの電力が得られている。この発電電力Ps2において、日の出から日の入りまでに得られる発電電力Psは、微弱電流域Psmz2が支配的であり、時刻t5ないし時刻t6=午前12時前後の時間帯で高電流域Ph2は断続的である。
閾値Pth2は微弱電流域Psmz2を高電流域Ph2と峻別するためのレベルに設定されており、曇天時には微弱電流域Psmz2が支配的であるため、閾値Pth2のレベルは閾値Pth1より高く設定されている。
そして、グループ情報G2から曇天時の日射量情報を抽出しても同様のことが言える。
【0045】
<雨天時>
雨天時、微弱電流域の発電電力Psを回収するため、閾値Pthは最も高レベルの閾値Pth3に切替えられる。
図5のCは、グループ情報G1の日射量情報から雨天時の日射量カーブS3を抽出し、これに対応した日射量パターン情報SgS、発電電力Ps3および閾値Pth3を示している。
日射量カーブS3は、雨天時における日の出から日の入りまでの日射量の推移を示している。
日射量パターン情報SgSは、雨天における日射量の推移を直線近似した日射量のパターンを表すパターン情報である。
発電電力Ps3は、発電装置4の発電電力Psの推移を示す発電電力情報である。この発電電力Ps3は雨天時の日射量レベルに応じたレベルの電力が得られている。この発電電力Ps3において、日の出から日の入りまでに得られる発電電力Ps3は、微弱電流域Psmz3が全てであり、高電流域Phが存在しない。
閾値Pth3は微弱電流域Psmz3を捉えるためのレベルに設定されており、雨天時には微弱電流域Psmz3に対し、閾値Pth3のレベルは閾値Pth2より高く設定されている。
そして、グループ情報G2から曇天時の日射量情報を抽出しても同様のことが言える。
【0046】
<制御情報データベース44>
図6は、制御情報データベース(DB)44の一例を示している。この制御情報DB44は、発電装置4の発電電力Psの主として蓄電制御に用いられる制御情報を格納している。この制御情報DB44には制御情報ファイル46が含まれる。
この制御情報ファイル46には気象情報部48、日射量パターン情報部50、発電電力情報部52、閾値情報部54、蓄電電力量情報部56、電力量閾値情報部58、履歴情報部60が含まれる。
【0047】
気象情報部48には気象情報源31から取得した気象情報が格納される。この気象情報部48には日時情報部48-1、日照時間情報部48-2、日射量情報部48-3、気象種別情報部48-4が設定される。
日時情報部48-1には気象予報に係る日時を表す日時情報が格納される。日照時間情報部48-2には日の出時刻、日の入り時刻、日照時間など、日照に関する情報が格納される。日射量情報部48-3には日射量を表す日射量情報が格納される。気象種別情報部48-4には晴天、曇天、雨天、台風、日照変動などの気象種別を表す種別情報が格納される。
【0048】
日射量パターン情報部50には、日射量情報部48-3から取得した日射量情報に直線近似を施した日射量パターンを表す日射量パターン情報が格納される。
発電電力情報部52には、発電装置4の発電電力Psを表す発電電力情報が格納される。この発電電力情報部52には定格部52-1、稼働部52-2が設定されている。定格部52-1には、発電装置4の発電電力Psの定格発電電力を表す電力情報が格納される。稼働部52-2には、発電装置4の稼働中の発電電力Psを表す電力情報が格納される。
閾値情報部54には、閾値生成・切り替え部24が生成した閾値Pth1、Pth2、Pth3などを表す閾値情報が気象種別ごとに格納される。
蓄電電力量情報部56には、蓄電装置10の蓄電電力量を表す蓄電電力情報が格納される。
電力量閾値情報部58には、蓄電装置10の蓄電電力量を出力させるか否かの判断基準となる電力量閾値を表す電力量閾値情報が格納される。
履歴情報部60には、情報の格納履歴、蓄電電力の蓄電ないし出力履歴などの履歴情報が格納される。
【0049】
<太陽光発電システム2のハードウェア>
図7は、太陽光発電システム2のハードウェアの一例を示している。このハードウェアは本開示の一例であり、斯かる開示に本開示が限定されるものではない。
図7において、
図1に示す太陽光発電システム2と共通部分には同一符号を付してある。
太陽光発電パネル62は発電装置4の一例である。太陽光発電パネル62の発電電力Psはルータ64を通してパワコン系回路66-1および蓄電系回路66-2に供給される。ルータ64は既述の発電電力検出部6の機能を備え、たとえば、発電電力Psが微弱電流域か否かを1秒間隔で判定し、その判定情報をコントローラ68に提供する。コントローラ68は、既述のシステム制御部18の一例である。
【0050】
パワコン系回路66-1にはパワーコンディショナ12が設置され、このパワーコンディショナ12とルータ64との間にスイッチ70-1が設置されている。スイッチ70-1の開閉がコントローラ68によって制御され、発電電力Psが微弱電流域になければ、発電電力Psがパワーコンディショナ12に向けられる。パワーコンディショナ12はこの発電電力Psを受け、直流電力の安定化、直流の交流変換などの処理を行い、商用交流と同様の交流出力が出力部72を通して出力され、負荷20-1、20-2などに供給する。
蓄電系回路66-2には蓄電装置10が設置され、この蓄電装置10とルータ64との間にスイッチ70-2が設置されている。スイッチ70-2の開閉がコントローラ68によって制御され、発電電力Psが微弱電流域であれば、発電電力Psが蓄電装置10に向けられて蓄電される。
【0051】
蓄電装置10の蓄電電力量Pcmは蓄電電力量監視部14によって監視される。蓄電電力量監視部14は蓄電電力の検出、時間経過、蓄電電力量の算出などを実行し、この蓄電電力量が蓄電電力量閾値以上に到達したとき、この監視情報がコントローラ68に提供される。スイッチ70-3の開閉がコントローラ68によって制御され、蓄電電力が蓄電電力出力部15を通して出力される。
蓄電電力出力部15にはDC-DCコンバータ74およびインバータ76が設置されている。DC-DCコンバータ74は蓄電装置10の直流出力の電圧変換や安定化を行い、インバータ76は直流出力を交流出力に変換し、商用交流と同様の交流出力を負荷20-1、20-2などに供給する。
【0052】
コントローラ68は、通信機能やカレンダ機能を備えるコンピュータで構成される。このコントローラ68にはプロセッサ78、記憶部80、入出力部(I/O)82、タイマー84、通信部86、スイッチ駆動部88-1、88-2、88-3などを備える。
プロセッサ78は、記憶部80に格納されているOS(Operating System)や太陽光発電出力制御プログラム、蓄電制御プログラムなどを実行し、各種の情報処理の他、スイッチ70-1、70-2、70-3の開閉制御や機能部の駆動制御を実行する。
記憶部80は本開示のプログラムや情報を格納した記録媒体の一例である。この記憶部80はROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子で構成され、プロセッサ78の制御によりOS、プログラム、日射量・閾値テーブル34、制御情報DB44などの情報が格納される。
【0053】
I/O82はプロセッサ78の制御により、ルータ64からの微弱電流検出情報、蓄電電力量の監視情報などの入力情報を受け、スイッチ70-1、70-2、70-3の制御情報を出力する。
タイマー84はプロセッサ78の制御により、クロスックパルスや時間情報を生成する。この時間情報は、ルータ64の微弱電流の検出タイミングや、スイッチ70-1、70-2の開閉間隔時間などの基礎となる時間情報などに利用できる。
通信部86はプロセッサ78の制御により、24時間間隔など一定の周期で気象情報源31と通信し、気象情報を取得する。
【0054】
情報入力部16は、プロセッサ78の制御により、太陽光発電パネル62の定格電力などの制御に必要な情報の入力に用いられる。この情報入力部16にはキーボードの他、たとえば、情報提示部17の提示画面に設置されるタッチパネルなどのユーザインタフェイスを用いてもよい。
情報提示部17はLCD(Liquid Crystal Display)パネルを利用し、既述した提示情報を提示する。
【0055】
<一実施の形態の効果>
以上説明した一実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) この一実施の形態によれば、気象情報源31から気象情報を取得し、日射量パターン情報Sgを取得し、その形態から気象予報情報として晴天、曇天、雨天などの気象種別を判定することができ、これを閾値の切替えに利用できる。
(2) この一実施の形態によれば、日射量パターン情報Sgと発電電力Psを表す電力情報を用いて、発電電力の微弱電流域を回収するためのレベルを持つ閾値を生成し、この閾値を設定することができる。
(3) 閾値Pthのレベルを晴天時に低レベル、曇天時に中レベル、雨天時に高レベルに設定し、これらを気象情報に基づいて切替えるので、蓄電装置10による蓄電によって発電電力の回収率を高めることができる。
(4) 閾値のレベルが晴天時より雨天時や曇天時に高く設定されるので、パワーコンディショナ12による給電と蓄電装置10による蓄電の切替え頻度を低減でき、システム内の電力消費を抑制できるので、電力の回収率および利用率を高めることができる。
(5) 蓄電装置10の蓄電電力量Pcmを監視し、蓄電電力量Pcmが電力量閾値Pcmthを超えたときに、取り出されるので、蓄電電力Pcの利用率を高めることができる。
(6) この太陽光発電システム2において、制御途上または制御結果を表す各種の情報が情報提示部17にタイムリーに提示されるので、ユーザは容易に制御状態や取得した情報を認識できる。
(7) 太陽光発電パネル62の発電電力の取出しや蓄電を高精度に行うことができるので、太陽光エネルギーなどの利用機能をより高めることができる。
【0056】
〔他の実施の形態〕
(1) 閾値Pthのレベル設定
前記実施の形態では気象種別の晴天、曇天、雨天に対応した3段階の閾値レベルを設定しているが、晴天などの安定した気象状態と、曇天、雨天などの不安定な気象状態を表す2段階のレベルを設定し、切り替えてもよい。
(2) 閾値Pthの切替え
気象情報に連動し、気象情報の取得タイミングや日単位で閾値Pthを切替えればよいが、予想当日の気象種別に連動して閾値を切り替えてもよい。また、閾値Pthは連続的なレベル調整であってもよい。
(3) 発電電力Psの判定タイミング
発電電力情報を取得し、秒単位など一定周期で発電電力Psを監視し、給電か蓄電かを判断しているが、この判定タイミンは晴天時には給電優先、曇天または雨天時には蓄電優先など、気象種別によって切り替えてもよい。
【0057】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施形態について説明した。本開示は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または本開示を実施するための形態に開示された本開示の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示によれば、日射量レベルに対応した複数の閾値を気象情報により切り替え、太陽光発電パネルを含む発電装置の発電出力が該閾値以下であるかを判定し、閾値以下の発電電力を蓄電装置に蓄電させるので、太陽光発電パネルなどの発電装置の発電電力の回収率ないし利用率を高めることができる。
【符号の説明】
【0059】
2 太陽光発電システム
4 発電装置
6 発電出力検出部
8 出力切替え部
10 蓄電装置
12 パワーコンディショナ
14 蓄電電力量監視部
15 蓄電電力出力部
16 情報入力部
17 情報提示部
18 システム制御部
20、20-1、20-2 負荷
21 気象情報取得部
22 気象情報加工部
23 気象判定部
24 閾値生成・切り替え部
25 発電電力情報取得部
26 発電電力判定部
28 出力制御部
29 情報提示制御部
30 蓄電電力出力制御部
31 気象情報源
32 日射量情報
33、Sg 日射量パターン情報
34 日射量パターン・閾値テーブル
36 グループ情報部
38 日射量情報部
40 気象種別情報部
42 閾値情報部
44 制御情報データベース
46 制御情報ファイル
48 気象情報部
48-1 日時情報部
48-2 日照時間情報部
48-3 日射量情報部
48-4 気象種別情報部
50 日射量パターン情報部
52 発電電力情報部
52-1 定格部
52-2 稼働部
54 閾値情報部
56 蓄電電力量情報部
58 電力量閾値情報部
60 履歴情報部
62 太陽光発電パネル
64 ルータ
66-1 パワコン系回路
66-2 蓄電系回路
68 コントローラ
70-1、70-2、70-3 スイッチ
72 出力部
74 DC-DCコンバータ
76 インバータ
78 プロセッサ
80 記憶部
82 入出力部(I/O)
84 タイマー
86 通信部
88-1、88-2、88-3 スイッチ駆動部