(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】排水システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
F04D15/00 E
(21)【出願番号】P 2021060641
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
(72)【発明者】
【氏名】内田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】面川 一畝
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-104194(JP,A)
【文献】特開昭49-077201(JP,A)
【文献】特開2000-097189(JP,A)
【文献】実開昭59-019983(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0240405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00
F04D 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポンプと、
第2のポンプと、
第1のポンプの吐出管と第2のポンプの吸込部またはポンプケーシングを接続する接続管と、
第1のポンプの吐出管において、前記接続管との接続位置よりも前記第1のポンプの羽根車から遠い位置に設けられた第1の吐出弁と、
前記接続管に設けられた連通弁と、
前記第2のポンプの吸込管に設けられた吸込弁と、
を備え、
前記第1のポンプと前記第2のポンプが並列に運転する場合、前記連通弁が閉じられ、
前記第1の吐出弁と前記吸込弁は開かれており、
前記第1のポンプと前記第2のポンプが直列に運転する場合、前記連通弁が開かれ、前記第1の吐出弁と前記吸込弁は閉じられ
、
前記第1のポンプの回転軸と前記第2のポンプの回転軸が互いに平行に配置され、
前記第2のポンプの吸込部または吐出部は湾曲するように構成され、
前記第1のポンプの吐出管は、前記第1のポンプの回転軸と同方向に延び、
前記接続管が接続される前記第2のポンプの吸込部またはポンプケーシングの位置は、前記接続管が前記第1のポンプの吐出管と接続する位置よりも、前記第1のポンプの羽根車から前記第1のポンプの吐出管の吐出方向に向けて遠い位置に設けられた
排水システム。
【請求項2】
前記第2のポンプの吐出管に設けられた第2の吐出弁を備え、
前記第1のポンプと前記第2のポンプが直列または並列に運転する場合、前記第2の吐出弁は開かれている。
請求項1に記載の排水システム。
【請求項3】
請求項
2に記載の排水システムが並列運転から直列運転へ移行するための制御方法であって、
前記第1の吐出弁及び前記第2の吐出弁を閉める手順と、
前記連通弁を全
開にする手順と、
前記吸込弁を全閉にする手順と、
前記第2の吐出弁を全開にする手順と、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気候変動に伴い以前と比べ降雨量が増大し、雨水を排水する目的で設置された排水機場の排水能力を超え、雨水を排水しきれずに河川の氾濫や都市の浸水被害が発生することが増えてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排水能力を増強するためには、既存設備より大型の排水ポンプ設備を設置する必要があるが、使用条件・現地制約に合わせた排水ポンプ設備を設計、製作することとなり、膨大な費用と時間が必要となっている。また、大型ポンプを設置した場合、ポンプ設備の整備時や故障時に排水能力が著しく低下するため、危険分散の観点においても課題がある。この課題に対し、既存ポンプ設備より標準的に設計、製作が可能な小型ポンプ設備とし、台数を増やすことによる排水能力の増強、危険分散する方法が考えられる。しかし、既存排水機場の設置スペースに数多くの排水ポンプ設備を配置する場合、限られたスペースへの配置方法の課題が生じる。
【0005】
上述した背景において既存ポンプ設備に、性能が標準化された小型ポンプを使用することが考えられる。既存ポンプ設備において排水機能を増強させる場合には小型ポンプを並列運転することで対応可能であるが、吸込水位と吐出水位の水位差が大きい環境下の既存ポンプ設備においては、小型ポンプでは揚程が足りず必要な流量を吐き出せない場合がある。既存ポンプ設備において標準化された小型ポンプを設置する場合、ポンプ設備ごとに異なる流量範囲と吸込水位と吐出水位の水位差に対し、広く対応するための設備構成が必要である。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ポンプを複数設置する場合、限られたスペースに配置を可能とするとともにポンプ設備ごとに異なる流量範囲と吸込水位と吐出水位の水位差に応じた流量に調整することを可能とする排水システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る排水システムは、第1のポンプと第2のポンプと、第1のポンプの吐出管と第2のポンプの吸込部またはポンプケーシングを接続する接続管と、第1のポンプの吐出管において、前記接続管との接続位置よりも前記第1のポンプの羽根車から遠い位置に設けられた第1の吐出弁と、前記接続管に設けられた連通弁と、前記第2のポンプの吸込管に設けられた吸込弁と、を備え、前記第1のポンプと前記第2のポンプが並列に運転する場合、前記連通弁が閉じられ、前記第1の吐出弁と前記吸込弁は開かれており、前記第1のポンプと前記第2のポンプが直列に運転する場合、前記連通弁が開かれ、前記第1の吐出弁と前記吸込弁は閉じられる。
【0008】
この構成によれば、直列運転と並列運転を切り替えることで、標準化された小型ポンプを用いて広い流量範囲と吸込水位と吐出水位の水位差に対応することができる。更に第1のポンプと第2のポンプの配置を可変にすることができるので、限られたスペースに配置することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る排水システムは、第1の態様に係る排水システムであって、前記第2のポンプの吐出管に設けられた第2の吐出弁を備え、前記第1のポンプと前記第2のポンプが直列または並列に運転する場合、前記第2の吐出弁は開かれている。
【0010】
本発明の第3の態様に係る排水システムは、第1または2の態様に係る排水システムであって、前記第1のポンプの吸込管と前記第2のポンプの吸込管は吸込集合管に接続されている。
【0011】
本発明の第4の態様に係る制御方法は、第1から3のいずれかの態様に係る排水システムが並列運転から直列運転へ移行するための制御方法であって、前記第1の吐出弁及び前記第2の吐出弁を閉める手順と、前記連通弁を全閉にする手順と、前記吸込弁を全閉にする手順と、前記第2の吐出弁を全開にする手順と、を有する。
【0012】
この構成によれば、並列運転から直列運転に変更することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、直列運転と並列運転を切り替えることで、標準化された小型ポンプを用いて広い流量範囲と吸込水位と吐出水位の水位差に対応することができる。更に第1のポンプと第2のポンプの配置を可変にすることができるので、限られたスペースに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係る排水システムの平面図である。
【
図2A】各実施形態における並列運転時の系統図である。
【
図2B】各実施形態における直列運転時の系統図である。
【
図3】並列運転時の揚程と流量の関係を示すグラフの一例である。
【
図4】直列運転時の揚程と流量の関係を示すグラフの一例である。
【
図5】第1の実施形態の第1の変形例に係る排水システムの平面図である。
【
図6】第1の実施形態の第2の変形例に係る排水システムの平面図である。
【
図7】第1の実施形態の第3の変形例に係る排水システムの平面図である。
【
図8A】第2の実施形態に係る排水システムの平面図である。
【
図9A】既設の吸い込み水槽の利用時において吸込集合管を横から見た図である。
【
図9B】既設の吸込流入部の利用時において吸い込み集合管を横から見た図である。
【
図10】各実施形態において、並列運転から直列運転に変更する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
図1は、第1の実施形態に係る排水システムの平面図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る排水システム101は、第1のポンプ1と第2のポンプ2を備える。ここで第1のポンプ1は一例として、羽根車に連結された回転軸が吸込側にある(すなわち吸込管の軸貫通部が吸込側にある)横軸ポンプである。また第2のポンプ2は一例として、羽根車に連結された回転軸が吸込側にある(すなわち吸込管の軸貫通部が吸込側にある)横軸ポンプである。
【0017】
第1のポンプ1は、第1の原動機15の駆動軸16に第1の減速機17を介して接続される回転軸14を備える。第1の原動機15は、例えば電動機、ディーゼルエンジン、またはガスタービン等である。第1の減速機17は例えば平行軸歯車減速機であり、例えば駆動ギヤ171と被駆動ギヤ172とを有し、駆動ギヤ171は、被駆動ギヤ172に噛み合っている。
【0018】
第1の原動機15の駆動軸16は、第1の減速機17の駆動ギヤ171に接続されており、被駆動ギヤ172は回転軸14に接続されている。このような構成で、第1の原動機15からの動力は所定の減速比で回転軸14に伝達され、所望の回転速度で回転軸14を回転させることができる。
【0019】
第1のポンプ1は羽根車11を有し、羽根車11は、水平方向に延びる回転軸14に固定されており、この羽根車11は回転軸14の回転に伴って回転する。
第1のポンプ1は、羽根車11が収容されるポンプケーシング12と、ポンプケーシング12の一端に接続される吸込ケーシング131とを有する。吸込ケーシング131は一端がポンプケーシング12に接続されており、吸込曲管132は一端が吸込ケーシング131の他端に接続されており、他端が図示しない吸込水槽内の液体中に没している。また吸込ケーシング131と吸込曲管132で吸込部13を形成しており、この吸込部13は湾曲するように構成されている。
第1のポンプ1は、更に吐出管18を備え、この吐出管18の一端はポンプケーシング12の他端に接続され、他端は吐出水槽(不図示)に設けられている。
【0020】
同様にして第2のポンプ2は、第2の原動機25の駆動軸26に第2の減速機27を介して接続される回転軸24を備える。第2の原動機25は、例えば電動機、ディーゼルエンジン、またはガスタービン等である。第2の減速機27は例えば平行軸歯車減速機であり、例えば駆動ギヤ271と被駆動ギヤ272とを有し、駆動ギヤ271は、被駆動ギヤ272に噛み合っている。
【0021】
第2の原動機25の駆動軸26は、第2の減速機27の駆動ギヤ271に接続されており、被駆動ギヤ272は回転軸24に接続されている。このような構成で、第2の原動機25からの動力は所定の減速比で回転軸24に伝達され、所望の回転速度で回転軸24を回転させることができる。
【0022】
第2のポンプ2は羽根車21を有し、羽根車21は、水平方向に延びる回転軸24に固定されており、この羽根車21は回転軸24の回転に伴って回転する。第2のポンプ2は、羽根車21が収容されるポンプケーシング22と、ポンプケーシング22の一端に接続される吸込ケーシング231と、を有する。
【0023】
吸込ケーシング231は一端がポンプケーシング22に接続されており、吸込曲管232は一端が吸込ケーシング231の他端に接続されており、他端が吸込管29の一端に接続されている。この吸込管29の他端が図示しない吸込水槽に設けられている。また吸込ケーシング231と吸込曲管232で吸込部23を形成しており、この吸込部23は湾曲するように構成されている。
排水システム101は、第2のポンプ2の吸込管29に設けられた吸込弁V21を備える。更に第2のポンプ2は、ポンプケーシング22の他端に接続されている吐出管28を備え、この吐出管28に第2の吐出弁V22が設けられている。
【0024】
排水システム101は、第1のポンプのポンプケーシング12に連通する真空引き配管33と、真空引き配管33に設けられた吸気弁31とを備える。排水システム101は、この吸気弁31だけでなく、満水検知器及び真空破壊弁が真空引き配管33に設けられていてもよい。
【0025】
また排水システム101は、第2のポンプのポンプケーシング22に連通する真空引き配管34と、真空引き配管34に設けられた吸気弁32とを備える。排水システム101は、この吸気弁32だけでなく、満水検知器及び真空破壊弁が真空引き配管33に設けられていてもよい。
また排水システム101は、一端が真空引き配管33と真空引き配管34が連通する真空引き配管35と、この真空引き配管35の他端に連通する真空ポンプ36とを備える。
【0026】
排水システム101は、吐出管18と第2のポンプの吸込部23を接続する接続管30を更に備える。更に排水システム101は、この接続管30に設けられた連通弁V1を備える。更に排水システム101は、第1のポンプの吐出管18において、接続管30との接続位置よりも第1のポンプ1の羽根車11から遠い位置に設けられた第1の吐出弁V12を備える。
【0027】
<排水システムの系統図>
続いて各実施形態に係る排水システムの系統図について
図2A及び
図2Bを用いて説明する。
図2Aは、各実施形態における並列運転時の系統図である。
図2Bは、各実施形態における直列運転時の系統図である。
【0028】
図2Aに示すように、第1のポンプ1と第2のポンプ2が並列に運転する場合、連通弁V1が閉じられ、第1の吐出弁V12と吸込弁V21は開かれている。これにより、第1のポンプ1によって吸込水槽から液体が吸い込まれて吐出水槽へ吐き出され、それと並行して第2のポンプ2によって吸込水槽から液体が吸い込まれて吐出水槽へ吐き出される。これにより、第1のポンプ1と第2のポンプ2が並列に運転することができる。
【0029】
一方、
図2Bに示すように、第1のポンプ1と第2のポンプ2が直列に運転する場合、連通弁V1が開かれ、第1の吐出弁V12と吸込弁V21は閉じられる。これにより、第1のポンプによって吸込水槽から吸い込まれて吐き出された液体が、第2のポンプの吸込側に流入し、第2のポンプから吐出水槽へ吐き出される。なお、第2の吐出弁V22は並列運転時にも直列運転時にも開かれている。
【0030】
図3は並列運転時の揚程と流量の関係を示すグラフの一例である。
図3には、配管損失曲線W1と、既存ポンプ性能曲線W2、小型ポンプ1台性能曲線W3、小型ポンプ並列運転性能曲線W4が示されている。ここで既存ポンプ設備における吐出水位と吸込水位の差は
図3のHaであるものとする。
【0031】
ここで既存ポンプ設備は、配管損失曲線W1と既存ポンプ性能曲線W2と交点P1を運転点として運転するので、
図3に示すように吐出流量Q1となる。例えば既存ポンプ設備で、実際の運用で必要な吐出流量Q(≦Q1)が小型ポンプ1台の最大流量よりも多い場合、ポンプを並列に運転する。その場合、配管損失曲線W1と小型ポンプ並列運転性能曲線W4と交点P2を運転点として運転するので、
図3の吐出流量Q2(>Q1)となり、実際の運用で必要な吐出流量を満たすことができる。更に吐出流量Q2を、既存ポンプ設備の吐出流量Q1より増加させることができる。またそのときの揚程を、吐出水位と吸込水位の差Haより高くすることができる。
【0032】
図4は直列運転時の揚程と流量の関係を示すグラフの一例である。
図4には、配管損失曲線W11と、既存ポンプ性能曲線W12、小型ポンプ1台性能曲線W13、小型ポンプ直列運転性能曲線W14が示されている。ここで既存ポンプ設備における吐出水位と吸込水位の差は
図4のHaであるものとする。
【0033】
既存ポンプ設備では、配管損失曲線W11と既存ポンプ性能曲線W12と交点P3を運転点として運転するので
図4に示すように揚程H3となる。例えば既存ポンプ設備で、この既存ポンプ設備における吐出水位と吸込水位の差Haが小型ポンプ1台の最大揚程よりも高い場合、ポンプを直列に運転する。その場合、配管損失曲線W11と小型ポンプ直列運転性能曲線W14と交点P4を運転点として運転するので、揚程H4を、吐出水位と吸込水位の差Haより高くすることができ、吐出水槽に水を汲み上げることができる。更にこのときの揚程H4を既存ポンプ設備における揚程H3より高くすることができる。またそのときの吐出水量Q4を、既存ポンプ設備の吐出水量Q3より多くすることができる。
【0034】
第1の実施形態に係る排水システムは、羽根車に連結された回転軸が吸込側にある第1のポンプと、羽根車に連結された回転軸が吸込側にある第2のポンプと、第1のポンプの吐出管と第2のポンプの吸込管を接続する接続管と、第1のポンプの吐出管において、前記接続管との接続位置よりも前記第1のポンプの羽根車から遠い位置に設けられた第1の吐出弁と、前記接続管に設けられた連通弁と、前記第2のポンプの吸込管に設けられた吸込弁と、を備え、前記第1のポンプと前記第2のポンプが並列に運転する場合、前記連通弁が閉じられ、前記第1の吐出弁と前記吸込弁は開かれており、前記第1のポンプと前記第2のポンプが直列に運転する場合、前記連通弁が開かれ、前記第1の吐出弁と前記吸込弁は閉じられる。
【0035】
この構成によれば、直列運転と並列運転を切り替えることで、標準化された小型ポンプを用いて広い流量範囲と吸込水位と吐出水位の水位差に対応することができる。さらに回転軸貫通の位置が吸込側にあるポンプと吸込側にあるポンプを組み合わせて配置することで、限られたスペースに配置することができる。
【0036】
<第1の実施形態の第1の変形例>
図5は、第1の実施形態の第1の変形例に係る排水システムの平面図である。
図5の第1の実施形態の第1の変形例に係る排水システム102は、
図1に比べて、第1のポンプ1の吸込部13の配置態様が異なっており、羽根車11から吸込部13の軸貫通部を見た場合の吸込曲管132の配置が左側から右側に変更されている。更に第2のポンプ2から第2のポンプ2bに構成が変更されており、この第2のポンプ2bにおいて、ポンプケーシング22が吸込側に変更されて吸込配管29bに接続され、吸込部23が吐出側に設けられて吐出部23bに変更され、吸込管ではなく吐出管として機能し吐出管28に接続されている点が異なる。すなわち、羽根車21に連結された回転軸24が吐出側に位置するように変更されている。これに伴い、吸込ケーシング231が吐出ケーシング232bに、吸込曲管232が吐出曲管232bに変更されている。
【0037】
この構成でも同様に、直列運転と並列運転を切り替えることで、標準化された小型ポンプを用いて広い流量範囲と吸込水位と吐出水位の水位差に対応することができる。さらに回転軸貫通の位置が吸込側にあるポンプと吐出側にあるポンプを組み合わせて配置することで、限られたスペースに配置することができる。
【0038】
<第1の実施形態の第2の変形例>
図6は、第1の実施形態の第2の変形例に係る排水システムの平面図である。
図6の第1の実施形態の第2の変形例に係る排水システム103は、
図1に比べて、第1のポンプ1が紙面の上側に配置され、第2のポンプが紙面の下側に配置されている点が異なっている。
【0039】
この構成でも同様に、直列運転と並列運転を切り替えることで、標準化された小型ポンプを用いて広い流量範囲と吸込水位と吐出水位の水位差に対応することができる。さらに回転軸貫通の位置が吸込側にあるポンプと吸込側にあるポンプを組み合わせて配置することで、限られたスペースに配置することができる。
【0040】
<第1の実施形態の第3の変形例>
図7は、第1の実施形態の第3の変形例に係る排水システムの平面図である。
図7の第1の実施形態の第3の変形例に係る排水システム104は、
図1に比べて、第1のポンプ1が紙面の上側に配置され、第2のポンプが紙面の下側に配置されている点が異なっている。更に
図7の第1の実施形態の第3の変形例に係る排水システム104は、
図1に比べて、羽根車11から吸込部13の軸貫通部を見た場合の吸込部13の配置が左側から右側に変更されている。更に第2のポンプ2から第2のポンプ2cに構成が変更されており、この第2のポンプ2cにおいて吸込管29が水平方向に延長されて、接続管30が吸込部23ではなく吸込管29に接続されている点が異なっている。これにより、第2の原動機25と第2の減速機27を吐出管19、接続管30、吸込管29、吸込部23で囲まれた位置に配置することができる。
【0041】
この構成でも同様に、直列運転と並列運転を切り替えることで、標準化された小型ポンプを用いて広い流量範囲と吸込水位と吐出水位の水位差に対応することができる。更に第1のポンプと第2のポンプの配置を可変にすることができるので、限られたスペースに配置することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
続いて第2の実施形態について説明する。
図8Aは、第2の実施形態に係る排水システムの平面図である。
図8Bは、
図8AのA-A断面図である。
図8Aに示すように、第2の実施形態に係る排水システム105は、
図1の第2の実施形態に係る排水システム101と比べて、一端が吸込水槽の水に浸かる吸込集合管41と、この吸込集合管41に接続されている吸込集合管42とを更に備える点が異なっている。更に吸込管19の一端が、この吸込集合管42に接続され、吸込管29の一端が、この吸込集合管42に接続されている。また、
図8Aにおいて、
図1の接続管30が、形状が異なる接続管30bに変更されたものになっている。
図8Bに示すように、排水システム105が基礎51の上に設けられている。
【0043】
図9Aは、既設の吸込水槽の利用時において吸込集合管を横から見た図である。
図9Aに示すように、吸込集合管41の一端が吸込水槽の水面より下に浸かっている。
図9Bは、既設の吸込流入部の利用時において吸込集合管を横から見た図である。
図9Bに示すように、吸込集合管41の一端が吸込水槽の水面より下に浸かっている。
図9Bにおいて、基礎51の下に既設吸込水槽52が設けられている。なお、既設吸込水槽52は水槽ではなく地盤であってもよい。
【0044】
以上、第2の実施形態によれば、レイアウト案吸込集合管と前述したポンプ配置の組み合わせによっても各ポンプの吸込配管の本数を減らすことができ、更なる省スペース化が可能である。
【0045】
<並列運転から直列運転に変更する処理の流れ>
続いて各実施形態における並列運転から直列運転に変更する処理の流れの一例について
図10を用いて説明する。
図10は、各実施形態における並列運転から直列運転に変更する処理の流れの一例を示すフローチャートである。この並列運転から直列運転に変更する処理は、例えば、水位変動によって必要な揚程が閾値(例えば、1台のポンプの揚程以下の値で所望の設定値)より高くなった場合に行われてもよい。以下の説明において、制御主体が明示されず受動態で記載されている制御は、排水システムに設けられた制御装置(不図示)が行ってもよいし、オペレータが手動で行ってもよいものとする。
【0046】
(ステップS10)まず、初期条件として第1のポンプ1と第2のポンプ2が並列に運転されている。この並列運転状態において、第2のポンプ2の吸込弁V21が「全開」、連通弁V1が「全閉」、第1のポンプの第1の吐出弁V12が「全開」、第2のポンプ2の第2の吐出弁V22が「全開」である。
【0047】
(ステップS20)次に第1のポンプ1の第1の吐出弁V12及び第2のポンプ2の第2の吐出弁V22を閉める。このようにして、ポンプ締切運転を継続する。
【0048】
(ステップS30)次に連通弁V1を全開にする。
【0049】
(ステップS40)次に第2のポンプの吸込弁V21を全閉にする。
【0050】
(ステップS50)次に第2のポンプの第2の吐出弁V22を全開にする。
これにより、直列運転排水状態への移行が完了する。この直列運転では、第2のポンプの吸込弁V21が「全閉」、連通弁V1が「全開」、第1のポンプの第1の吐出弁V12が「全閉」、第2のポンプの第2の吐出弁V22が「全開」である。
【0051】
なお、上記のように並列運転から直列運転に切り替えずに、並列なら並列、直列なら直列の運転をしてもよい。もし並列から直列または直列から並列に移行する場合は、一度ポンプを停止させて再起動してもよい。
【0052】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 第1のポンプ
101、102、103、104、105 排水システム
11 羽根車
12 ポンプケーシング
13 吸込部
131 吸込ケーシング
132 吸込曲管
14 回転軸
15 第1の原動機
16 駆動軸
17 第1の減速機
171 駆動ギヤ
172 被駆動ギヤ
18 吐出管
19 吸込管
2、2b、2c 第2のポンプ
21 羽根車
22 ポンプケーシング
23 吸込部
23b 吐出部
231 吸込ケーシング
231b 吐出ケーシング
232 吸込曲管
232b 吐出曲管
24 回転軸
25 第2の原動機
26 駆動軸
27 第2の減速機
271 駆動ギヤ
272 被駆動ギヤ
28 吐出管
29 吸込管
29b 吸込配管
30、30b 接続管
31 吸気弁
32 吸気弁
33 真空引き配管
34 真空引き配管
35 真空引き配管
36 真空ポンプ
41、42 吸込集合管
51 基礎
52 既設吸込水槽
V12 第1の吐出弁
V21 吸込弁
V22 第2の吐出弁