(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】レジスト膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241220BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20241220BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20241220BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
H01L21/30 566
B05D3/02 Z
B05D3/00 D
B05D3/12 A
(21)【出願番号】P 2021101157
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 梢
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-114330(JP,A)
【文献】特開平07-246361(JP,A)
【文献】特開2007-207969(JP,A)
【文献】特開2010-179234(JP,A)
【文献】特開2019-060958(JP,A)
【文献】特開2020-152857(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0277687(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B05D 3/02
B05D 3/00
B05D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、23℃における粘度が1000mPa・s~30000mPa・sであるレジストを付与し、前記レジストの膜を形成する工程Aと、
前記レジストの膜に対し、熱処理を行う工程Bと、含み、
前記工程Bは、前記レジストの膜の温度を段階的に又は連続的に上げることにより、前記レジストの粘度を下げる工程B-1、及び、粘度が5000mPa・s以下である前記レジストの膜を真空環境下で加熱する工程B-2を含むレジスト膜の形成方法。
【請求項2】
前記工程Bは、工程B-2を経た前記レジストの膜を、大気圧下で更に加熱する工程B-3を含む請求項1に記載のレジスト膜の形成方法。
【請求項3】
前記工程Bを経た前記レジストの膜の温度を、段階的に又は連続的に下げる工程Cを含む請求項1又は請求項2に記載のレジスト膜の形成方法。
【請求項4】
前記工程Cでは、前記工程Bを経た前記レジストの膜の温度を、降温速度を5℃/分以下として降温する請求項3に記載のレジスト膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レジスト膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、常温で高い粘度を有し、かつ、加熱により粘度が低下するレジストを用いてレジスト膜を形成することが行われている。
例えば、特許文献1には、基板上に、ガラス転移温度が40℃~50℃であり、僅かな加熱で柔らかくなるレジストの溶液をスピンコート法により塗布し、塗布膜を形成すること、上記塗布膜を加熱することにより溶媒を除去し、レジストの膜を得ること、上記基板の周囲に、必要なレジスト膜厚と同じ厚さのスペーサを配置した後、上記レジストの膜を再度加熱すること、及び、加熱により柔らかくなったレジスト膜に対し、ガラス基板を用いてプレスを行うことを含む、レジスト膜の形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高粘度のレジストでは、一度レジスト中に気泡が混入すると、気泡が抜けにくい。また、加熱により粘度が低下する高粘度のレジストの温度を、高粘度の状態から急激に上げると、気泡が発生しやすい。このような事情から、常温で高い粘度を有し、かつ、加熱により上記粘度が低下するレジストを用いて形成されたレジスト膜では、気泡が比較的多く確認される傾向がある。レジスト膜中に気泡が存在すると、例えば、レジストがフォトレジストである場合には、レジスト膜を露光する際に光が散乱するという問題が生じ得る。
【0005】
上述の点に関し、特許文献1では、レジスト膜を形成するに際し、常温で高い粘度を有し、かつ、加熱により粘度が低下するレジストを用いているものの、気泡の問題については、何ら着目していない。
【0006】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、常温で高い粘度を有し、かつ、加熱により上記粘度が低下するレジストを用いたレジスト膜の形成方法であって、気泡が低減されたレジスト膜を形成できるレジスト膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
[1] 基板上に、23℃における粘度が1000mPa・s~30000mPa・sであるレジストを付与し、上記レジストの膜を形成する工程Aと、
上記レジストの膜に対し、熱処理を行う工程Bと、含み、
上記工程Bは、上記レジストの膜の温度を段階的に又は連続的に上げることにより、上記レジストの粘度を下げる工程B-1、及び、粘度が5000mPa・s以下である上記レジストの膜を真空環境下で加熱する工程B-2を含むレジスト膜の形成方法。
[2] 上記工程Bは、工程B-2を経た上記レジストの膜を、大気圧下で更に加熱する工程B-3を含む[1]に記載のレジスト膜の形成方法。
[3] 上記工程Bを経た上記レジストの膜の温度を、段階的に又は連続的に下げる工程Cを含む請求項1又は請求項2に記載のレジスト膜の形成方法。
[4] 上記工程Cでは、上記工程Bを経た上記レジストの膜の温度を、降温速度を5℃/分以下として降温する[3]に記載のレジスト膜の形成方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態によれば、常温で高い粘度を有し、かつ、加熱により上記粘度が低下するレジストを用いたレジスト膜の形成方法であって、気泡が低減されたレジスト膜を形成できるレジスト膜の形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】実施例1の方法により形成されたレジスト膜を示す写真である。
【
図1B】比較例1の方法により形成されたレジスト膜を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のレジスト膜の形成方法について詳細に説明する。以下に記載する要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
【0011】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0013】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0014】
本開示にて示す各図面における各要素は必ずしも正確な縮尺ではなく、本開示の原理を明確に示すことに主眼が置かれており、強調がなされている箇所もある。
各図面において、同一機能を有する構成要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
本開示において、「常温」とは、23℃を意味する。
本開示において、「高い粘度」とは、1000mPa・s以上の粘度を意味する。
【0016】
[レジスト膜の形成方法]
本開示のレジスト膜の形成方法は、基板上に、23℃における粘度が1000mPa・s~30000mPa・sであるレジストを付与し、上記レジストの膜を形成する工程Aと、上記レジストの膜に対し、熱処理を行う工程Bと、含み、上記工程Bは、上記レジストの膜の温度を段階的に又は連続的に上げることにより、上記レジストの粘度を下げる工程B-1、及び、粘度が5000mPa・s以下である上記レジストの膜を真空環境下で加熱する工程B-2を含む。
本開示のレジスト膜の形成方法によれば、常温で高い粘度を有し、かつ、加熱により粘度が低下するレジストを用いて、気泡が低減されたレジスト膜を形成できる。
本開示のレジスト膜の形成方法がこのような効果を奏し得る理由については明らかでないが、本発明者は以下のように推測している。但し、以下の推測は、本開示のレジスト膜の形成方法を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
【0017】
本開示のレジスト膜の形成方法では、常温で高い粘度を有し、かつ、加熱により粘度が低下するレジストを用いる。高粘度のレジストでは、一度レジスト中に気泡が混入すると、気泡が抜けにくい。また、加熱により粘度が低下する高粘度のレジストの温度を、高粘度の状態から急激に上げると、気泡が発生しやすい。
本開示のレジスト膜の形成方法では、レジストの膜に対して熱処理(例えば、溶媒を除去するための熱処理)を行う際に、レジストの膜の温度を段階的に又は連続的に上げるため、レジストの急激な温度上昇に起因する膜中での気泡の発生が抑制され、かつ、特定の粘度以下のレジストの膜を真空環境下で加熱するため、膜中の空気及び気泡が効率的に除去される。
以上により、本開示のレジスト膜の形成方法によれば、気泡が低減されたレジスト膜を形成できると推測される。
【0018】
以下、本開示のレジスト膜の形成方法について、詳細に説明する。
【0019】
〔工程A〕
工程Aは、基板上に、23℃における粘度が1000mPa・s~30000mPa・sであるレジストを付与し、上記レジストの膜を形成する工程である。
本開示では、「23℃における粘度が1000mPa・s~30000mPa・sであるレジスト」を「特定レジスト」ともいう。
【0020】
基板の材質は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択できる。
基板としては、例えば、ガラス基板、樹脂基板〔例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板、ポリカーボネート(PC)基板、ポリイミド(PI)基板、及びトリアセチルセルロース(TAC)基板〕、金属基板〔例えば、アルミ基板及びステンレス基板〕、及び半導体基板〔例えば、シリコン基板〕が挙げられる。
基板の形状及び厚さは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択できる。
【0021】
工程Aでは、基板上に、23℃における粘度が1000mPa・s~30000mPa・sであるレジスト(即ち、特定レジスト)を付与する。
本開示における特定レジストは、23℃における粘度が1000mPa・s~30000mPa・sであり、かつ、加熱により粘度が低下する性質を有するものであれば、特に限定されない。
特定レジストとしては、例えば、日本化薬(株)製のSU-8 3050〔商品名、23℃における粘度:12000mPa・s〕及びKMPR-1035〔商品名、23℃における粘度:8300mPa・s〕が挙げられる。これらの市販品は、特定レジストとして、そのまま使用できる。
これらの市販品は、23℃における粘度が1000mPa・s~30000mPa・sであり、かつ、加熱により粘度が低下する性質を損なわない範囲において、溶媒を用いて希釈して、及び/又は、各種添加剤を加えて、特定レジストとして使用してもよい。
【0022】
23℃における特定レジストの粘度は、例えば、5000mPa・s~30000mPa・sであることが好ましく、8000mPa・s~25000mPa・sであることがより好ましく、10000mPa・s~20000mPa・sであることが更に好ましい。
【0023】
本開示において、23℃におけるレジストの粘度は、粘度計(レオメータを含む。以下、同じ。)を用いて測定される値である。例えば、23℃におけるレジストの粘度は、レジストを23℃に調温し、粘度計を用いて測定される。粘度計としては、例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製のレオメータ(商品名:HAAKE RheoStress 6000)を用いることができる。但し、粘度計は、これに限定されない。
【0024】
基板上への特定レジストの付与は、基板の表面への直接付与に限定されない。
特定レジストは、例えば、基板上に配置されたフィルム基材上に付与されてもよい。
基板上にフィルム基材を配置する場合、フィルム基材は、基板上に固定されていることが好ましい。基板上にフィルム基材を固定する手段は、特に限定されないが、フィルム基材の固定が不要となった時点で、基板上からフィルム基材を取り除くことができる手段であることが好ましい。このような観点から、基板上にフィルム基材を固定する手段としては、例えば、粘着剤、両面粘着シート等の剥離可能な固定手段が挙げられる。
基板上にフィルム基材を固定する際には、基板とフィルム基材との間に気泡が入り込まないように、基板とフィルム基材とを貼り合わせることが好ましい。
フィルム基材の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)等の樹脂が挙げられる。
これらの中でも、フィルム基材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
【0025】
フィルム基材の膜厚は、特に限定されないが、例えば、100μm~500μmであることが好ましく、150μm~400μmであることがより好ましく、200μm~300μmであることが更に好ましい。
フィルム基材の膜厚が上記範囲内であると、例えば、最終的にフィルム基材からレジスト膜を剥離する際に、レジスト膜を損傷させることなく剥離できる傾向がある。
【0026】
本開示において、フィルム基材の膜厚は、フィルム基材の平均膜厚を意味する。
フィルム基材の平均膜厚は、以下の方法により求められる値である。
フィルム基材の厚み方向において、無作為に選択した10箇所で測定されるフィルム基材の膜厚の算術平均値を求め、得られた値をフィルム基材の平均膜厚とする。フィルム基材の膜厚の測定には、マイクロメータを用いる。マイクロメータとしては、例えば、(株)ミツトヨ製のマイクロメータ(商品名:クリンプハイトマイクロメータ)が挙げられる。但し、マイクロメータは、これに限定されない。
【0027】
基板上への特定レジストの付与方法は、特に限定されない。
基板上への特定レジストの付与方法としては、例えば、塗布法(例えば、スリット塗布、スピン塗布、及びカーテン塗布)、及びインクジェット法が挙げられる。
また、例えば、特定レジストを滴下により基板上に付与してもよい。
【0028】
特定レジストの付与量は、特に限定されず、例えば、目的とするレジスト膜の厚さに応じて適宜設定される。
【0029】
〔工程B〕
工程Bは、工程Aにおいて形成した特定レジストの膜に対し、熱処理を行う工程である。工程Bは、工程Aにおいて形成した特定レジストの膜の温度を段階的に又は連続的に上げることにより、特定レジストの粘度を下げる工程B-1、及び、粘度が5000mPa・s以下である特定レジストの膜を真空環境下で加熱する工程B-2を含む。
工程Bは、工程B-2を経た特定レジストの膜を、大気圧下で更に加熱する工程B-3を含むことが好ましい。
【0030】
工程Bにおける熱処理では、特定レジストの膜中の空気及び気泡に加えて、溶媒も除去できる。
熱処理の手段は、特に限定されない。
熱処理の手段としては、例えば、ホットプレート、コンベクションオーブン(所謂、熱風循環式乾燥機)が挙げられる。また、工程B-2における熱処理の手段としては、例えば、真空加熱乾燥機が挙げられる。
【0031】
(工程B-1)
工程B-1は、工程Aにおいて形成した特定レジストの膜の温度を段階的に又は連続的に上げることにより、特定レジストの粘度を下げる工程である。
特定レジストは、加熱により粘度が低下する性質を有する。特定レジストの温度を高粘度の状態から急激に上げると、膜中において気泡が発生しやすい。工程B-1では、特定レジストの膜の温度を段階的に又は連続的に上げるため、レジストの急激な温度上昇に起因する膜中での気泡の発生が抑制される。また、工程B-1では、特定レジストの粘度を下げるため、後述の工程B-2において、特定レジストの膜を真空環境下で加熱した際に、膜中の気泡がより抜けやすくなる。
【0032】
23℃における特定レジストの粘度が5000mPa・s以下である場合、工程B-1において、特定レジストの膜の温度は、特定レジストの粘度が下がる温度まで上げる。
23℃における特定レジストの粘度が5000mPa・sを超える場合、工程B-1において、特定レジストの膜の温度は、特定レジストの粘度が5000mPa・s以下に下がる温度まで上げる。
【0033】
本開示において、膜を形成しているレジストの粘度は、以下の(1)~(3)の手順に従って求める。
(1)事前に、工程Aにおいて基板上に付与するレジストの温度と粘度との関係を示す校正曲線(「温度-粘度曲線」ともいう。)を作成する。具体的には、レジストの温度を23℃から153℃まで、10℃ずつ段階的に変化させながら、各段階の温度におけるレジストの粘度を、粘度計を用いて測定し、得られた値に基づいて、温度-粘度曲線を作成する。
(2)レジストの膜の温度を、放射温度計を用いて測定する。
(3)測定したレジストの膜の温度を、事前に作成した上記温度-粘度曲線にあてはめることにより、レジストの膜の粘度を求める。
【0034】
上記(1)における粘度計としては、例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製のレオメータ(商品名:HAAKE RheoStress 6000)を用いることができる。但し、粘度計は、これに限定されない。
【0035】
特定レジストの膜の温度は、段階的に上げてもよく、連続的に上げてもよいが、段階的に上げることがより好ましい。
特定レジストの膜の温度を段階的に上げる場合、段階数は、2段階以上であれば、特に限定されない。例えば、操作の煩雑さを低減する観点から、段階数は、5段階以下であることが好ましく、2段階であることが特に好ましい。
特定レジストの膜の温度を段階的に上げる場合、例えば、特定レジストの膜の温度を50℃~70℃に上げた後、90℃~130℃に上げる態様が好ましく、特定レジストの膜の温度を55℃~70℃に上げた後、90℃~120℃に上げる態様がより好ましく、特定レジストの膜の温度を60℃~70℃に上げた後、90℃~110℃に上げる態様が更に好ましい。
各段階での加熱時間は、特に限定されないが、最終段階での加熱時間が最も長いことが好ましい。
【0036】
特定レジストの膜の温度を連続的に上げる場合、昇温速度は、特に限定されないが、例えば、70℃/分以下であることが好ましく、50℃/分以下であることがより好ましく、30℃/分以下であることが更に好ましい。
昇温速度の下限は、例えば、5℃/分以上であることが好ましい。
【0037】
本開示において、レジストの膜の温度は、放射温度計を用いて測定されるレジストの膜面の温度をいう。放射温度計としては、例えば、アズワン(株)製の放射温度計(型番:IT-314)を用いることができる。但し、放射温度計は、これに限定されない。
【0038】
工程B-1において、特定レジストの膜に対して熱処理を行う時間(即ち、特定レジストの膜を加熱する時間)は、特に限定されず、例えば、特定レジストの種類及び加熱温度に応じて適宜設定される。
特定レジストの膜を加熱する時間は、例えば、0.5時間~3時間であることが好ましく、0.5時間~2.5時間であることがより好ましく、0.5時間~2.0時間であることが更に好ましく、0.5時間~1.5時間であることが特に好ましい。
工程B-1において、特定レジストの膜を加熱する時間は、特定レジストの膜の温度を段階的に上げる場合には、各段階で特定レジスト膜を加熱する時間の合計を意味する。
【0039】
(工程B-2)
工程B-2は、粘度が5000mPa・s以下である特定レジストの膜を真空環境下で加熱する工程である。
本開示において、「真空」とは、真空度が0.1MPa以下である状態をいう。
高粘度のレジストの膜では、一度膜中に気泡が混入すると、気泡が抜け難い傾向がある。工程B-2では、粘度が5000mPa・s以下である特定レジストの膜を真空環境下で加熱するため、膜中の気泡が効率的に除去される。真空環境下で加熱する際の特定レジストの粘度が5000mPa・s以下であると、膜中の気泡が移動しやすくなるため、膜から抜けやすくなる。また、真空環境下で特定レジストの膜を加熱すると、気泡の体積が増えて膨張し、気泡の浮力が増加するため、大気圧下で特定レジストの膜を加熱するよりも気泡が膜から抜けやすくなる。
【0040】
工程B-2は、例えば、特定レジストの膜中の気泡をより効果的に除去する観点から、好ましくは4000mPa・s以下、より好ましくは3000mPa・s以下、更に好ましくは2000mPa・s以下、特に好ましくは1000mPa・s以下である特定レジストの膜を真空環境下で加熱することが望ましい。
【0041】
特定レジストの膜を真空環境下で加熱する際の加熱温度は、特定レジストの粘度を5000mPa・s以下に保持できる温度であれば、特に限定されない。
特定レジストの膜を真空環境下で加熱する際の加熱温度は、例えば、70℃~130℃であることが好ましく、90℃~130℃であることがより好ましく、90℃~120℃であることが更に好ましく、90℃~110℃であることが特に好ましい。
【0042】
工程B-2において、特定レジストの膜に対して熱処理を行う時間(即ち、特定レジストの膜を真空環境下で加熱する時間)は、特に限定されないが、例えば、1分以上であることが好ましく、2分以上であることがより好ましく、3分以上であることが更に好ましく、4分以上であることが特に好ましい。
上限は、例えば、10分以下であることが好ましい。
【0043】
(工程B-3)
工程Bは、工程B-2を経た特定レジストの膜を、大気圧下で更に加熱する工程B-3を含むことが好ましい。
本開示において、「大気圧下」とは、0.1MPaを超えて0.12MPa以下の範囲を意味する。
特定レジストの膜を真空環境下で加熱すると、気泡が抜ける際にはじけることにより生じた痕が、膜の表面に残ったままの状態になることがある。真空環境下で加熱した特定レジストの膜を大気圧下で更に加熱すると、膜の表面がレベリングされるため、形成されるレジスト膜の表面を平坦化させることができる。
また、真空環境下で加熱した特定レジストの膜を大気圧下で更に加熱することで、特定レジストの膜中の残留溶媒を除去することもできる。
【0044】
特定レジストの膜を大気圧下で更に加熱する際の加熱温度は、特に限定されないが、例えば、70℃~130℃であることが好ましく、90℃~130℃であることがより好ましく、90℃~120℃であることが更に好ましく、90℃~110℃であることが特に好ましい。
特定レジストの膜を大気圧下で更に加熱する際の加熱温度は、例えば、特定レジストの膜を真空環境下で加熱する際の加熱温度以上であることが好ましく、特定レジストの膜を真空環境下で加熱する際の加熱温度と同じであることがより好ましい。
【0045】
工程B-3において、特定レジストの膜に対して熱処理を行う時間(即ち、特定レジストの膜を大気圧下で更に加熱する時間)は、特に限定されないが、例えば、3時間以上であることが好ましく、3時間~8時間であることがより好ましく、4時間~7時間であることが更に好ましく、4時間~6時間であることが特に好ましい。
【0046】
〔工程C〕
本開示のレジスト膜の形成方法は、工程Bを経た特定レジストの膜の温度を、段階的に又は連続的に下げる工程Cを含むことが好ましい。
加熱後の特定レジストの膜の温度を急激に下げると、特定レジストの膜の内部に応力が発生し、レジスト膜の面内の膜厚変動に影響が生じ得る。加熱後の特定レジストの膜の温度を、段階的に又は連続的に低下(所謂、徐冷)させると、特定レジストの膜の温度が急激に下がることに起因して、特定レジストの膜の内部に応力が発生することが抑制される。
【0047】
工程Cでは、工程Bを経た特定レジストの膜の温度を、段階的に下げてもよく、連続的に下げてもよいが、連続的に下げることがより好ましい。
工程Cにおいて、工程Bを経た特定レジストの膜の温度を段階的に下げる場合、降温速度は、特に限定されない。
工程Cでは、例えば、特定レジストの膜の温度を、降温速度を5℃/分以下として降温することが好ましい。特定レジストの膜の温度を、降温速度を5℃/分以下として降温すると、特定レジストの膜の温度が急激に下がることに起因して、特定レジストの膜の内部に応力が発生することがより抑制される。
降温速度は、好ましくは4℃/分以下であり、より好ましくは3℃/分以下である。
降温速度の下限は、特に限定されないが、例えば、0.1℃/分以上であることが好ましい。
【0048】
冷却後の特定レジストの膜の温度は、特に限定されないが、例えば、5℃~30℃であることが好ましく、10℃~25℃であることがより好ましく、15℃~23℃であることが更に好ましい。
【0049】
〔その他の工程〕
本開示のレジスト膜の形成方法は、本開示の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述の工程、即ち、必須の工程である工程A及び工程B、並びに、任意の工程である工程C以外の工程(所謂、その他の工程)を含んでいてもよい。
例えば、特定レジストが光硬化性である場合には、その他の工程としては、冷却工程後の特定レジストの膜に対し、光照射する工程(所謂、露光工程)が挙げられる。
光源の具体例としては、各種レーザ、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
露光量(所謂、積算光量)は、特に限定されず、例えば、特定レジストの種類に応じて適宜設定できる。
また、その他の工程としては、例えば、現像工程、ポストベーク工程等の工程が挙げられる。
【0050】
-レジスト膜の膜厚-
本開示のレジスト膜の形成方法により形成されるレジスト膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば、50μm~1000μmとすることができる。
本開示において、レジスト膜の膜厚は、レジスト膜の平均膜厚を意味する。
レジスト膜の平均膜厚は、以下の方法により求められる値である。
レジスト膜の厚み方向において、無作為に選択した10箇所で測定されるレジスト膜の膜厚の算術平均値を求め、得られた値をレジスト膜の平均膜厚とする。レジスト膜の膜厚の測定には、レーザ変位計を用いる。レーザ変位計としては、例えば、(株)キーエンス製の分光干渉レーザ変位計(型式:SI-F10)が挙げられる。但し、レーザ変位計は、これに限定されない。
【実施例】
【0051】
以下、本開示のレジスト膜の形成方法を実施例により更に具体的に説明する。但し、本開示のレジスト膜の形成方法は、その主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
以下の実施例において、レジスト膜の膜厚は、既述の方法により求めた。なお、測定装置には、(株)キーエンス製の分光干渉レーザ変位計(型式:SI-F10)を用いた。
【0053】
レジストの粘度は、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製のレオメータ(商品名:HAAKE RheoStress 6000)を用いて測定した。
【0054】
レジストの膜の温度は、アズワン(株)製の放射温度計(型番:IT-314)を用いて測定した。
膜を形成しているレジストの粘度は、既述の方法により求めた。すなわち、以下の実施例で使用するレジストの温度と粘度との関係を示す校正曲線(即ち、温度-粘度曲線)をあらかじめ作成し、上記放射温度計を用いて測定したレジストの膜の温度を、作成した温度-粘度曲線にあてはめることにより、膜を形成しているレジストの粘度を求めた。
【0055】
[レジスト膜の形成]
〔実施例1〕
<工程A>
基板〔商品名:SMS6025E2、サイズ:6025(大きさ:152mm×152mm、厚さ:6.35mm)、材質:合成石英ガラス、信越化学工業(株)製〕の一方の面上に、基材としてのPETシート(大きさ:110mm×80mm、膜厚:250μm)を、両面粘着シートを用いて貼り付けた。次いで、上記PETシートの面上に、特定レジストとしてのSU-8 3050〔商品名、23℃における粘度:12000mPa・s、日本化薬(株)製〕をスリット塗布し、特定レジストの膜を形成した。特定レジストの塗布量は、最終的に形成されるレジスト膜の膜厚が300μm±15μmとなるような量とした。
【0056】
<工程B>
次に、工程Aにて形成した特定レジストの膜に対して熱処理を行った。具体的には、以下の操作を行った。
【0057】
<<工程B-1>>
特定レジストの膜が形成されたPETシートを備えるガラス基板(以下、「PETシート付き基板」ともいう。)を、加熱温度を70℃に設定したホットプレートの上に置き、30秒間加熱(所謂、第1段階目の加熱)した後、加熱温度を100℃に設定したホットプレートの上に移動させて、更に1時間加熱(所謂、第2段階目の加熱)することにより、特定レジストの膜の温度を段階的に昇温させた。
なお、第1段階目の加熱後の特定レジストの膜の温度は65℃であり、第2段階目の加熱後の特定レジストの膜の温度は95℃であり、第2段階目の加熱後の特定レジストの粘度は、4000mPa・sであった。
【0058】
<<工程B-2>>
次いで、粘度が4000mPa・sである特定レジストの膜を備えるPETシート付き基板を、庫内の温度を100℃に設定した真空乾燥機〔商品名:ETTAS 真空乾燥機、型番:AVO-200NS-D、アズワン(株)製〕に入れ、5分間真空加熱した。なお、庫内の真空度は、0.1MPaであった。
【0059】
<<工程B-3>>
次いで、PETシート付き基板を真空乾燥機から取り出し、加熱温度を100℃に設定したホットプレートの上に置き、大気圧下で更に5時間加熱した。
なお、加熱後の特定レジストの膜の温度は95℃であった。
【0060】
<工程C>
次に、ホットプレートからPETシート付き基板Xを取り出し、特定レジストの膜を、6時間かけて23℃まで冷却した。なお、降温速度は、0.2℃/分である。
以上のようにして、レジスト膜を形成した。
なお、形成されたレジスト膜の膜厚は、300μmであった。
【0061】
〔実施例2〕
<工程A>
基板〔商品名:SMS6025E2、サイズ:6025(大きさ:152mm×152mm、厚さ:6.35mm)、材質:合成石英ガラス、信越化学工業(株)製〕の一方の面上に、基材としてのPETシート(大きさ:110mm×80mm、膜厚:250μm)を、両面粘着シートを用いて貼り付けた。次いで、上記PETシートの面上に、特定レジストとしてのKMPR-1035〔商品名、23℃における粘度:8300mPa・s、日本化薬(株)製〕をスリット塗布し、特定レジストの膜を形成した。特定レジストの塗布量は、最終的に形成されるレジスト膜の膜厚が300μm±15μmとなるような量とした。
【0062】
<工程B>
次に、工程Aにて形成した特定レジストの膜に対して熱処理を行った。具体的には、以下の操作を行った。
【0063】
<<工程B-1>>
特定レジストの膜が形成されたPETシートを備えるガラス基板(以下、「PETシート付き基板」ともいう。)を、加熱温度を70℃に設定したホットプレートの上に置き、30秒間加熱(所謂、第1段階目の加熱)した後、加熱温度を100℃に設定したホットプレートの上に移動させて、更に1時間加熱(所謂、第2段階目の加熱)することにより、特定レジストの膜の温度を段階的に昇温させた。
なお、第1段階目の加熱後の特定レジストの膜の温度は65℃であり、第2段階目の加熱後の特定レジストの膜の温度は95℃であり、第2段階目の加熱後の特定レジストの粘度は、4000mPa・sであった。
【0064】
<<工程B-2>>
次いで、粘度が4000mPa・sである特定レジストの膜を備えるPETシート付き基板を、庫内の温度を100℃に設定した真空乾燥機〔商品名:ETTAS 真空乾燥機、型番:AVO-200NS-D、アズワン(株)製〕に入れ、5分間真空加熱した。なお、庫内の真空度は、0.1MPaであった。
【0065】
<<工程B-3>>
次いで、PETシート付き基板を真空乾燥機から取り出し、加熱温度を100℃に設定したホットプレートの上に置き、大気圧下で更に5時間加熱した。
なお、加熱後の特定レジストの膜の温度は95℃であった。
【0066】
<工程C>
次に、ホットプレートからPETシート付き基板Xを取り出し、特定レジストの膜を、6時間かけて23℃まで冷却した。なお、降温速度は、0.2℃/分である。
以上のようにして、レジスト膜を形成した。
なお、形成されたレジスト膜の膜厚は、300μmであった。
【0067】
〔実施例3〕
実施例1において、工程B-1を以下のように変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、レジスト膜を形成した。
なお、形成されたレジスト膜の膜厚は、300μmであった。
「<<工程B-1>>
特定レジストの膜が形成されたPETシートを備えるガラス基板(以下、「PETシート付き基板」ともいう。)を、熱風循環式乾燥機に入れ、昇温速度を25℃/分として、特定レジストの膜の温度が95℃になるまで加熱した。」
膜の温度が95℃である上記特定レジストの粘度は、4000mPa・sであった。
【0068】
〔比較例1〕
実施例1において、工程B-2及び工程B-3を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、レジスト膜を形成した。具体的には、以下の操作を行った。
基板〔商品名:SMS6025E2、サイズ:6025(大きさ:152mm×152mm、厚さ:6.35mm)、材質:合成石英ガラス、信越化学工業(株)製〕の一方の面上に、基材としてのPETシート(大きさ:110mm×80mm、膜厚:250μm)を、両面粘着シートを用いて貼り付けた。次いで、上記PETシートの面上に、特定レジストとしてのSU-8 3050〔商品名、23℃における粘度:12000mPa・s、日本化薬(株)製〕をスリット塗布し、特定レジストの膜を形成した。特定レジストの塗布量は、最終的に形成されるレジスト膜の膜厚が300μm±15μmとなるような量とした。
次いで、特定レジストの膜が形成されたPETシートを備えるガラス基板(以下、「PETシート付き基板」ともいう。)を、加熱温度を70℃に設定したホットプレートの上に置き、30秒間加熱(所謂、第1段階目の加熱)した後、加熱温度を100℃に設定したホットプレートの上に移動させて、更に1時間加熱(所謂、第2段階目の加熱)することにより、特定レジストの膜の温度を段階的に昇温させた。
なお、第1段階目の加熱後の特定レジストの膜の温度は65℃であり、第2段階目の加熱後の特定レジストの膜の温度は95℃であり、第2段階目の加熱後の特定レジストの粘度は、4000mPa・sであった。
次いで、ホットプレートからPETシート付き基板を取り出し、特定レジストの膜の温度を、6時間かけて23℃まで冷却した。なお、降温速度は、0.2℃/分である。
以上のようにして、レジスト膜を形成した。
なお、形成されたレジスト膜の膜厚は、300μmであった。
【0069】
〔比較例2〕
基板〔商品名:SMS6025E2、サイズ:6025(大きさ:152mm×152mm、厚さ:6.35mm)、材質:合成石英ガラス、信越化学工業(株)製〕の一方の面上に、基材としてのPETシート(大きさ:110mm×80mm、膜厚:250μm)を、両面粘着シートを用いて貼り付けた。次いで、上記PETシートの面上に、特定レジストとしてのSU-8 3050〔商品名、23℃における粘度:12000mPa・s、日本化薬(株)製〕をスリット塗布し、特定レジストの膜を形成した。特定レジストの塗布量は、最終的に形成されるレジスト膜の膜厚が300μm±15μmとなるような量とした。
【0070】
次いで、特定レジストの膜が形成されたPETシートを備えるガラス基板(所謂、PETシート付き基板)を、加熱温度を30℃に設定したホットプレートの上に置き、30秒間加熱(所謂、第1段階目の加熱)した後、加熱温度を45℃に設定したホットプレートの上に移動させて、更に1時間加熱(所謂、第2段階目の加熱)することにより、特定レジストの膜の温度を段階的に昇温させた。
なお、第1段階目の加熱後の特定レジストの膜の温度は25℃であり、第2段階目の加熱後の特定レジストの膜の温度は40℃であり、第2段階目の加熱後の特定レジストの粘度は、6000mPa・sであった。
次いで、粘度が6000mPa・sである特定レジストの膜を備えるPETシート付き基板を、庫内の温度を45℃に設定した真空乾燥機〔商品名:ETTAS 真空乾燥機、型番:AVO-200NS-D、アズワン(株)製〕に入れ、5分間真空加熱した。なお、庫内の真空度は、0.1MPaであった。
次いで、PETシート付き基板を真空乾燥機から取り出し、加熱温度を45℃に設定したホットプレートの上に置き、大気圧下で更に5時間加熱した。
なお、加熱後の特定レジストの膜の温度は40℃であった。
次いで、ホットプレートからPETシート付き基板を取り出し、特定レジストの膜の温度を、110分間かけて23℃まで冷却した。なお、降温速度は、0.2℃/分である。
以上のようにして、レジスト膜を形成した。
なお、形成されたレジスト膜の膜厚は、300μmであった。
【0071】
〔比較例3〕
実施例1において、工程B-1を以下のように変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、レジスト膜を形成した。
なお、形成されたレジスト膜の膜厚は、300μmであった。
「<<工程B-1>>
特定レジストの膜が形成されたPETシートを備えるガラス基板(以下、「PETシート付き基板」ともいう。)を、加熱温度を100℃に設定したホットプレートの上に置き、1時間加熱した。
なお、加熱後の特定レジストの膜の温度は95℃であり、加熱後の特定レジストの粘度は、4000mPa・sであった。」
【0072】
実施例1、実施例2、及び実施例3の方法により形成されたレジスト膜を目視にて観察したところ、いずれの膜においても気泡が確認されなかった。
実施例1の方法により形成されたレジスト膜の写真を
図1Aに示す。
【0073】
一方、比較例1、比較例2、及び比較例3の方法により形成されたレジスト膜を目視にて観察したところ、気泡が顕著に確認された。
比較例2の方法により形成されたレジスト膜において、気泡が顕著に確認された理由としては、レジストの粘度が高いため、膜中の気泡が移動し難く、真空環境下で加熱を行っても、膜から気泡が抜け難いことが考えられる。
比較例3の方法により形成されたレジスト膜において、気泡が顕著に確認された理由としては、レジストの温度を急激に上げたため、膜中において気泡が多数発生し、真空環境下で加熱を行っても、膜から気泡が抜けきらないことが考えられる。
比較例1の方法により形成されたレジスト膜の写真を
図1Bに示す。