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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスのためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20241220BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20241220BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20241220BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20241220BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20241220BHJP
   A61M 5/50 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/20 510
A61M5/32 500
A61M5/172
A61M5/168 540
A61M5/50
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021558925
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2020059265
(87)【国際公開番号】W WO2020201358
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】19305441.8
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ユーグル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ブランケ
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0312457(US,A1)
【文献】国際公開第2014/133053(WO,A1)
【文献】特開2004-135780(JP,A)
【文献】特開2019-038556(JP,A)
【文献】特表2019-505333(JP,A)
【文献】特表2017-513669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/50
A61M 5/20
A61M 5/31
A61M 5/32
A61M 5/172
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスのためのアセンブリ(1)であって:
リザーバと、投薬動作中にリザーバから液体薬物内容物を投薬するように構成された投薬機構とを受けるハウジングを含む、ハウジングユニット(2)と、
該ハウジングユニット(2)に解放可能に連結されたキャップ(3)であって、ハウジングユニット(2)に連結されているときはアセンブリ(1)の遠位投薬端を少なくとも部分的に覆い、キャップ(3)がハウジングユニットから外れているときは覆われていない、キャップ(3)と、
コード化された第1の内容を有する第1の情報機能(4)であって、該第1の情報機能(4)から第1の内容を読み出すように機械可読である、第1の情報機能(4)と、
第2の情報機能(5)と
を含み、ここで、
第1の情報機能(4)は、キャップ(3)がハウジングユニット(2)に連結されているときは、見えており、かつ/または、第1の情報機能(4)は、機械可読であり、そして、ハウジングユニット(2)からキャップ(3)とともに取り外すことができ;または、第1の情報機能(4)は、キャップ(3)がハウジングユニット(2)から外れているときは、読み取り不能になり、投薬機構は、該投薬機構が投薬準備完了状態にある第1の状態と、投薬機構が投薬済み状態にある第2の状態との2つの異なる状態を有し、第2の情報機能(5)は、第1の状態では見えておらず、第2の状態では見え、アセンブリ(1)は、さらに、
可動部材を含み、ここで、第2の情報機能(5)は、可動部材に配置されており、可動部材は、投薬機構が第1の状態にあるときに第1の位置にあり、可動部材は、投薬機構が第2の状態にあるときに第2の位置にあり、可動部材は、投薬動作中および/または投薬動作の完了後に第1の位置から第2の位置に移動するように構成され、そして、可動部材は、起動されると、投薬動作をトリガするトリガ部材である、前記アセンブリ(1)。
【請求項2】
第1の情報機能(4)のコード化された第1の内容は、投薬機構の第1の状態を示し、第2の情報機能(5)は、投薬機構の第2の状態を示す、請求項1に記載のアセンブリ(1)。
【請求項3】
第2の情報機能(5)は、コード化された第2の内容を有し、第2の情報機能(5)から第2の内容を読み出すように機械可読である、請求項1に記載のアセンブリ(1)。
【請求項4】
第1の情報機能(4)のコード化された第1の内容は、投薬機構の第1の状態を示し、第2の情報機能(5)のコード化された第2の内容は、投薬機構の第2の状態を示す、請求項3に記載のアセンブリ(1)。
【請求項5】
可動部材は、アセンブリ(1)の針(9)を覆うように配置された針カバー(6)である、請求項1~4のいずれか1項に記載のアセンブリ(1)。
【請求項6】
キャップ(3)を取り外すと、第1の情報機能(4)は恒久的に変化し、その結果、キャップ(3)を取り外した後、コード化された第1の内容が、変化した第1の情報機能からもはや読み取れない、請求項1~5のいずれか1項に記載のアセンブリ(1)。
【請求項7】
キャップ(3)および/またはハウジングユニット(2)に連結された情報キャリアを含み、ここで、第1の情報機能(4)は情報キャリア上に配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のアセンブリ(1)。
【請求項8】
情報キャリアは、キャップがハウジングユニットに連結されたときに、キャップとハウジングユニットとの間の接触面を封止するように機能する、請求項7に記載のアセンブリ(1)。
【請求項9】
第1の情報機能(4)および第2の情報機能(5)のうちの少なくとも一方は、2次元バーコードである、請求項1~8のいずれか1項に記載のアセンブリ(1)。
【請求項10】
第1の情報機能(4)および第2の情報機能(5)のうちの少なくとも一方は、QRコード(登録商標)である、請求項1~9のいずれか1項に記載のアセンブリ(1)。
【請求項11】
リザーバを含む自己注射器であり、リザーバは液体薬物を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のアセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば薬物送達デバイスのためのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型または機内持ち込み用の薬物送達デバイスは、患者に保存(saving)量の薬物を投与する時間がほとんどなない緊急事態にしばしば使用される。頻繁に行われる代替用途は、患者、例えば、医学的な訓練を受けていない患者による自己投与である。そのため、使用済みの薬物送達デバイスを意図せずに使用すると、患者の健康に破滅的な結果をもたらす可能性がある。したがって、その外観上、使用済みと未使用の状態を明確に区別可能な薬物送達デバイスを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
薬物送達デバイスは先行技術で知られており、そのデバイスが使用済みであるかどうかは、外観を徹底的に調査することによって判断できる。時として、調査員は、デバイスが使用済みかどうかを確認するために、遠隔にあるデバイスまたは小さな機能を目視検査しなければならない。しかし、このような薬物送達デバイスであっても、安全性をほとんど提供していない。このような薬物送達デバイスの判定には、特に薬物送達デバイスの数が多くなると時間がかかるため、調査によって、判定を委託された調査員はすぐに疲れてしまう可能性があり、これによって、当然ながら、調査員による誤った判定のリスクが決定的に高まる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、薬物送達デバイスのための改良されたアセンブリを提供することである。好ましくは、デバイスが使用されたおそれがあるかどうかの判定を容易にするアセンブリが提供されるべきである。
【0005】
本発明によると、薬物送達デバイスのためのアセンブリであって、ハウジングユニットと、ハウジングユニットに解放可能に連結されたキャップとを含み、ハウジングユニットは、リザーバを受けるハウジングと、投薬動作中にリザーバから液体薬物内容物を投薬するように構成された投薬機構とを含み、キャップは、ハウジングユニットに連結されているときはアセンブリの遠位投薬端を少なくとも部分的に覆い、キャップがハウジングユニットから外れているときは覆われていない、アセンブリが提供される。キャップは、例えば、スナップ機能によって、ハウジングユニットのハウジングに連結される。アセンブリは、コード化された第1の内容を有する第1の情報機能をさらに含み、第1の情報機能は、第1の情報機能から第1の内容を読み出すように機械可読である。アセンブリは、例えば機械可読の第2の情報機能を含むことができる。第1の情報機能は、キャップがハウジングユニットに連結されているときは見えており、かつ/または機械可読であり、ハウジングユニットからキャップとともに取り外すことができ、またはキャップがハウジングユニットから外れているときは、読み取り不能になる。投薬機構は、投薬機構が投薬準備完了状態にある第1の状態と、投薬機構が投薬済み状態にある第2の状態との2つの異なる状態を有することができる。第2の情報機能は、第1の状態では見えておらず、第2の状態では見える。アセンブリは、薬物送達デバイスであることができる。リザーバがハウジング内に配置されている場合、アセンブリは、デバイスからリザーバの内容物を投薬する準備が完了した薬物送達デバイスであることができる。アセンブリにおいて、リザーバは、ハウジングで受けることも、受けないこともできる。リザーバは、シリンジ、例えば、充填済みシリンジであることができる。
【0006】
本開示の文脈において、「遠位投薬端」という用語は、投薬動作中に、例えば患者の皮膚部分などの標的表面に向けられるか、またはそれに当接するように設計されたアセンブリの端領域を意味することができる。「投薬動作」という用語は、便宜的に投薬機構の動作により、アセンブリのリザーバから薬物を投薬するために、投薬機構が実行するプロセスを意味することができる。薬物は、例えば、針を介して、患者の皮下領域に投与される。投薬機構は、ばね駆動される。薬物送達デバイスは、リザーバが空になった後に廃棄される使い捨てデバイスであることができる。デバイスは、1回量を投薬する1回だけの投薬動作を行った後に廃棄される、単回使用デバイスであることができる。
【0007】
本開示の文脈において、「投薬準備完了状態」という用語は、投薬動作が開始される(commenced or initiated)前のアセンブリの状態を意味することができる。この状態では、リザーバは、ハウジング内に配置されても、配置されないこともできる。後者の場合、投薬機構は、投薬動作に必要な運動を行うが、液体薬物をデバイスから投薬しない。
【0008】
本開示の文脈において、「投薬済み状態」という用語は、投薬動作後の状態、好ましくは、複数の動作が可能な場合に投薬機構が実行するように設計されている最初または最後の投薬動作が行われた後の状態を意味することができる。アセンブリは、単回の投薬動作または複数回の投薬動作を行うように構成される。
【0009】
本開示の文脈において、機械可読という用語は、情報、好ましくはコード化された情報を伝える構造または機能を意味することができる。情報を読み出すために、構造は、好ましくはリーダデバイスを使用して、読み取り手順の対象とされる。例えば、構造は、リーダデバイスによってスキャンされる。リーダデバイスは、光学式リーダであってもよく、例えば、スキャン手順のために、好ましくは半導体ベースの、LEDまたは半導体レーザなどの単色光源などの光源を利用するものである。光は、可視光であることができ、かつ/または特定の色、例えば赤色を有することができる。構造から情報を読み出すために、復号化手順が必要になることがある。言い換えれば、復号化手順がなければ、情報を読み出すことはできない。復号化手順は、リーダデバイス、またはリーダデバイスに動作可能に接続されたプロセッサデバイス、例えば、ワークステーション、サーバ、またはPCのいずれかで実行される。復号された情報は、ディスプレイ上で使用者に表示される。
【0010】
さらに上述したアセンブリにより、例えば、第2の情報機能および/または第1の情報機能の視認性または非視認性により、投薬準備完了状態と投薬済み状態とを明確かつ迅速に検出および/または区別することを可能にする薬物送達デバイスのためのアセンブリが提供される。第1の情報機能はキャップに連結されているため、キャップが取り外されたときでも区別が可能である。第1の情報機能および好ましくは第2の情報機能がさらに機械可読であるため、大量の薬物送達デバイスであっても迅速かつ確実に確認することができる。これにより、投薬済み状態のアセンブリを使用または再使用しようとする危険性が大幅に低減される。
【0011】
好ましい実施形態では、第1の情報機能のコード化された第1の内容は、投薬機構の第1の状態を示すことができる。
【0012】
好ましい実施形態では、第2の情報機能は、投薬機構の第2の状態を示すことができる。
【0013】
したがって、情報機能の情報内容に基づいて、例えば、アセンブリが使用済みであるかどうかを判断することができる。
【0014】
好ましい実施形態では、第2の情報機能は、コード化された第2の内容を有することができ、好ましくは、第2の情報機能から第2の内容を読み出すように機械可読である。
【0015】
第2の情報機能が機械可読であるため、大量の薬物送達デバイスであっても迅速かつ確実に確認することができる。これにより、投薬済み状態の薬物送達デバイスを使用する危険性が大幅に低下する。
【0016】
好ましい実施形態では、第1の情報機能のコード化された第1の内容は、投薬機構の第1の状態を示すことができ、かつ/または第2の情報機能のコード化された第2の内容は、投薬機構の第2の状態を示すことができる。
【0017】
したがって、情報機能の情報内容に基づいて、アセンブリが使用済みであるかどうかを判断することができる。しかし、それぞれの情報を得るためには、復号化手順を実行する必要があり得る。
【0018】
好ましい実施形態では、アセンブリは可動部材を含むことができる。第2の情報機能は、可動部材に配置される。可動部材は、投薬機構が第1の状態にあるとき、例えばハウジングに対して第1の位置にあることができる。可動部材は、投薬機構が第2の状態にあるとき、例えばハウジングに対して第2の位置にあることができる。第1の位置は第2の位置とは異なり得る。可動部材は、投薬動作においてリザーバからの液体薬剤内容物が投薬されるとき、および/または、投薬動作が完了した後に、第1の位置から第2の位置に移動するように構成されるか、または移動できる。可動部材は、投薬動作中に移動する投薬機構の部材、および/または投薬動作が完了した後に移動する部材であることができる。可動部材の第1の位置において、第2の情報機能は、好ましくは不透明なハウジングによって覆われる。第2の位置では、例えば、ハウジングから突出しているため、またはハウジングに設けられた窓または窓部分と位置合わせされているため、可動部材は見える。
【0019】
例えば、第2の情報機能を可動部材に取り付けることによって、第2の情報機能を部材に設けることにより、第2の情報機能は、投薬動作が完了済みであるときにのみ見えることを保証することができる。
【0020】
好ましい実施形態では、可動部材は、投薬動作中にリザーバから液体薬物内容物をアセンブリの遠位投薬端に押し出すように構成されるかまたは押し出すプランジャであることができる。プランジャの移動によって、液体薬物を投薬端から押し出すことができる。ハウジングは、窓部分を含むことができる。第2の情報機能および/またはプランジャは、投薬機構の第2の状態では窓部分を介して見ることができ、投薬機構の第1の状態では窓部分を介して見ることができない。プランジャは、投薬機構の一部であることができる。
【0021】
第2の情報機能がプランジャに配置されている場合、使用者が容易に見ることができ、かつ/または第2の状態で確実に読み取ることができる。
【0022】
好ましい実施形態では、可動部材は針カバーである。針カバーは、好ましくは投薬動作が完了した後に、アセンブリの針を覆うように配置される。針カバーは、ハウジングに可動であるように連結され、かつ/またはハウジングユニットの一部であることができる。第1の状態では、針カバーは、ハウジングから突出することができる。針カバーがハウジングに向かって移動することにより、投薬動作を開始させることができる。針カバーは、投薬動作が完了した後、ハウジングに対して、および/または第2の位置に、例えば、ばねによって移動するように構成される。投薬中、針は、ハウジングに対して変位できる。好ましくは、針カバーは、少なくとも投薬動作が完了して、アセンブリが使用者から外された後に、針を覆う。この位置では、針カバーは、注射が開始される前よりもハウジングからさらに突出することができる。
【0023】
針カバーの利点の1つは、針を損傷から、使用者を不意に針に触れることによる怪我から保護することの両方である。好ましくは、針カバーは、投薬準備完了状態および/または投薬済み状態でこの機能を果たす。第2の情報機能を針カバーに取り付けることによって、2つの効果を組み合わせることができる。一方では、例えば、動作が完了した後、針カバーが第1の状態よりもハウジングからさらに突出することにより、アセンブリが投薬済み状態にある第2の状態においてのみ、第2の情報機能が見えることが実現される。他方で、第2の状態では、使用者が針刺しおよび/または針刺しによる怪我から保護されることが保証される。針カバーは、アセンブリが標的表面(例えば、皮膚部分)から持ち上げられるまで、第2の位置に移動しないことが好ましい。
【0024】
好ましい実施形態では、可動部材は、シリンジまたはカートリッジであることができる。シリンジは、針を備えることができる。シリンジは、充填済みシリンジであることができる。カートリッジは、針がなく、投薬動作中に針と流体連通するように移動できる。
【0025】
好ましい実施形態では、可動部材は、投薬動作をトリガまたは開始するために起動するように構成されたトリガ部材であることができる。投薬動作をトリガするために、トリガ部材は、初期位置から離れた例えば第1の位置へとハウジングに対して移動できる。トリガ部材にかかる圧力が解除されると、トリガ部材は、例えばトリガ部材のばねによって、例えば初期位置に戻り、好ましくは初期位置を超えて、第2の位置に移動することができる。第2の位置では、トリガ部材は、初期位置よりもハウジングからさらに突出することができる。ハウジングによってもはや覆われていないため、ここでは覆われていないトリガ部材のその領域に第2の情報機能が配置される。トリガ部材は、トリガボタンであることができる。
【0026】
好ましい実施形態では、針カバーはトリガ部材として機能することができる。
【0027】
好ましい実施形態では、キャップを取り外すときに、例えばキャップをハウジングから取り外すことによって、第1の情報機能は恒久的に変化する。したがって、キャップを取り外した後、コード化された第1の内容は、好ましくは、キャップがハウジングに再び取り付けられたとしても、変化した第1の情報機能からもはや読み出すことができない。
【0028】
投薬動作の後にキャップをハウジングに再び取り付けると、アセンブリが依然として投薬準備完了状態にあるという印象を誤って与え得る。第1の情報機能を恒久的に変化させることにより、例えば、キャップを取り外すときに、例えば、機能が載っているラベルを引き裂くことによって、第1の情報機能を少なくとも部分的に、または完全に破壊することによって、デバイスの現在の状態に関する誤った判定を回避することができる。読み取れないことにより、アセンブリの状態を示す(追加の)指標であることができる。
【0029】
好ましい実施形態では、アセンブリは、キャップおよび/またはハウジングユニットに連結された情報キャリアを含むことができ、第1の情報機能は、好ましくは少なくとも部分的または完全に情報キャリアに配置されている。例えば、リング状に構成された情報キャリアは、キャップとハウジングとの間の連結を確立することができる。このように、情報キャリアは、コネクタとして機能できる。
【0030】
第1の情報機能を情報キャリアに取り付けることは、例えば、第1の情報機能をキャップおよび/またはハウジングユニットの表面に彫刻またはエッチングすることよりも安価である。
【0031】
好ましい実施形態では、情報キャリアは封止であることができる。
【0032】
情報キャリアは、キャップがハウジングユニットに連結されたときに、キャップとハウジングユニットとの間の接触面を封止するためにこのように機能することができる。
【0033】
好ましい実施形態では、第1の情報機能および第2の情報機能のうちの少なくとも一方、または両方の情報機能は、2次元バーコードを含むことができるか、または2次元バーコードであることができる。
【0034】
バーコードは、情報読み出し中のヒューマンエラーの可能性を排除することを手助けできる。バーコードのスキャンは迅速で確実である。さらに、バーコードシステムを使用することにより、薬物送達デバイスの確認を担当する人の訓練時間が減少する。
【0035】
好ましい実施形態では、第1の情報機能および第2の情報機能のうちの少なくとも一方、または両方の情報機能は、QRコード(登録商標)を含むことができるか、またはQRコード(登録商標)であることができる。
【0036】
QRコード(登録商標)は、スマートフォンまたはスキャン機能を有する任意の他の電話でスキャンすることができる。QRコード(登録商標)は汎用性が高く、数字、アルファベット、特殊文字およびバイナリなど、ほぼすべての種類のデータをエンコードできる。さらに、QRコード(登録商標)は極めて迅速にスキャンでき、このことは、大量の薬物送達デバイスをスキャンする必要があるときに特に有益である。
【0037】
好ましい実施形態では、アセンブリは自己注射器であることができる。自己注射器は、プランジャをハウジングに対して移動させるなど、投薬機構の一部であることができる駆動ばねを含むことができる。自己注射器は、単回投与用注射器、すなわち、単回用量を送達するために1回だけ使用されるデバイスであることができる。ここでは、機構の現在の状態に関する情報が特に有利である。
【0038】
自己注射器は使いやすく、患者による自己投与または訓練されていない人による投与に良く適している。
【0039】
ここで添付の図面を参照して、単なる例として実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1A】本発明の第1の実施形態による自己注射器のハウジングユニットにキャップが取り付けられた自己注射器の概略側面図である。
図1B】キャップがハウジングユニットから取り外された図1Aの自己注射器の概略側面図である。
図2A】本発明の第2の実施形態による自己注射器のハウジングユニットにキャップが取り付けられた自己注射器の概略側面図である。
図2B】キャップがハウジングユニットから取り外された図2Aの自己注射器の概略側面図である。
図3A】投薬準備完了状態の本発明の第3の実施形態による自己注射器のハウジングユニットの概略側面図である。
図3B】投薬済み状態の図3Aのハウジングユニットの概略側面図である。
図4A】投薬準備完了状態の本発明の第4の実施形態による自己注射器のハウジングユニットの概略側面図である。
図4B】投薬済み状態の図4Aのハウジングユニットの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書に記載の薬物送達デバイスは、患者に薬剤を注射するように構成されている。例えば、送達は、皮下、筋肉内、または静脈内であり得る。このようなデバイスは、患者または看護師もしくは医師のような治療奉仕者によって操作することができ、様々なタイプの安全シリンジ、ペン型注射器、または自己注射器を挙げることができる。
【0042】
自己注射器は、プランジャをハウジングに対して移動させるなど、投薬機構の一部であることができる駆動ばねを含むことができる。自己注射器は、単回投与用注射器、例えば、単回用量を送達するために1回だけ使用されるデバイスであることができる。
【0043】
このデバイスは、使用前に封止されたアンプルを穿孔することを必要とするカートリッジベースのシステムを挙げることができる。これらの様々なデバイスを用いて送達される薬剤の量は、約0.5ml~約2mlの範囲であり得る。さらに別のデバイスとしては、ある期間(例えば、約5分、約15分、約30分、約60分、または約120分)患者の皮膚に付着させて、(通常、約2ml~約10mlの)「大」量の薬剤を送達するように構成された大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプを挙げることができる。
【0044】
本明細書に記載されたデバイスは、特定の薬剤と組み合わせて、要求される仕様の範囲内で動作するようにカスタマイズすることもできる。例えば、デバイスは、ある期間内(例えば、自己注射器については約3~約20秒、LVDについては約10分~約60分)に薬剤を注射するようにカスタマイズすることができる。他の仕様としては、低レベルもしくは最小限のレベルの不快感、または人的要因、貯蔵寿命、有効期限、生体適合性、環境上の考慮事項などに関連する特定の条件を挙げることができる。そのような変量は、例えば約3cP~約50cPの粘度範囲にある薬物のように各種要因に起因し得る。結果として、薬物送達デバイスは、約25ゲージ~約31ゲージの範囲のサイズの中空ニードルを含むことが多い。一般的なサイズは27および29ゲージである。
【0045】
本明細書に記載の送達デバイスは、1つまたはそれ以上の自動化機能を含むこともできる。例えば、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源によって、1つまたはそれ以上の自動化ステップのためのエネルギーが提供される。エネルギー源としては、例えば、機械的エネルギー、空気圧エネルギー、化学的エネルギー、または電気的エネルギーを挙げることができる。例えば、機械的エネルギー源としては、ばね、てこ、エラストマー、またはエネルギーを貯蔵もしくは放出するための他の機械的機構を挙げることができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を単一のデバイスへと組み込むことができる。デバイスとしてはさらに、歯車、弁、またはエネルギーをデバイスの1つもしくはそれ以上の部品の運動に変換する他の機構を挙げることができる。
【0046】
自己注射器の1つまたはそれ以上の自動化機能は、それぞれ起動機構を介して起動される。このような起動機構としては、ボタン、レバー、針スリーブ、または他の起動部品のうちの1つまたはそれ以上を挙げることができる。自動化機能の起動は、1段階または多段階プロセスであり得る。すなわち、使用者は、自動化機能を引き起こすために、1つまたはそれ以上の起動部品を起動する必要がある場合がある。例えば、1段階プロセスでは、使用者は、薬剤の注射を引き起こすために、針スリーブまたはカバーを使用者の身体に対して押し下げることができる。他のデバイスは、自動化機能の多段階起動を必要とし得る。例えば、使用者は、注射を引き起こすためにボタンを押し下げてニードルシールドを後退させることが要求される。
【0047】
さらに、ある自動化機能の起動は、1つまたはそれ以上の後続の自動化機能を起動し、それによって起動シーケンスを形成することができる。例えば、第1の自動化機能の起動により、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの少なくとも2つを起動できる。また、いくつかのデバイスは、1つまたはそれ以上の自動化機能を実行させるために、特定の一連のステップを必要とする場合もある。他のデバイスは、一連の独立したステップで動作できる。
【0048】
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン型注射器、または自己注射器のうちの1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。例えば、送達デバイスは、(自己注射器に典型的に見られるような)薬剤を自動で注射するように構成された機械的エネルギー源と、(ペン型注射器に典型的に見られるような)用量設定機構とを含むことができる。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態によれば、薬物送達デバイスのための例示的アセンブリ1が図1A図1B図2A図2B図3A図3B図4Aおよび図4Bに示されている。例示的アセンブリ1の各々は、それぞれ患者の体内に薬剤を注射するように構成されている。図1A図1B図2A図2B図3A図3B図4Aおよび図4Bに示すアセンブリ1は、典型的にはリザーバと、投薬動作中にリザーバから液体薬物内容物を投薬するように構成された投薬機構ならびに/またはプランジャおよび/もしくはばねなど投薬機構の要素とを受けるハウジングを含むハウジングユニット2と、解放可能にハウジング2に連結され、ハウジングユニット2に連結されているときはアセンブリ1の遠位投薬端を少なくとも部分的に覆い、キャップ3がハウジングから外れているときは覆われていないキャップ3(図3A図3B図4Aおよび図4Bには示されていない)と、コード化された第1の内容を有し、第1の情報機能4から第1の内容を読み出すように機械可読であり、第1の情報機能4のコード化された第1の内容は、投薬機構が投薬準備完了状態である投薬機構の第1の状態を示す、第1の情報機能4(図3A図3B図4Aおよび図4Bには示されていない)と、投薬機構が投薬済み状態である投薬機構の第2の状態を示す第2の情報機能(図1A図1B図2Aおよび図2Bには示されていない)5とを含む。さらに、第2の情報機能5は、コード化された第2の内容を有し、第2の情報機能5から第2の内容を読み出すように機械可読であり、コード化された第2の内容は、投薬機構が投薬済み状態である投薬機構の第2の状態を示すことが可能である。これに加えて、図示されるアセンブリ1のハウジングユニット2は、窓部分7を含む。また、図3Aおよび図3Bの実施形態を除いて、窓部分7はなしで済ませることもできる。
【0050】
それぞれの機械可読情報機能から情報または内容を読み出すために、構造は、好ましくはリーダデバイスを使用した読み取り手順の対象となることができ、またはそうならなければならない。例えば、構造は、リーダデバイスによってスキャンされる。リーダデバイスは、光学式リーダであってもよく、例えば、スキャン手順のために、好ましくは半導体ベースの、LEDまたは半導体レーザなどの単色光源などの光源を利用するものである。光は、可視光であることができ、かつ/または特定の色、例えば赤色を有することができる。構造から情報を読み出すために、復号化手順が必要になることがある。言い換えれば、復号化手順がなければ、情報を読み出すことはできない。復号化手順は、リーダデバイス、またはリーダデバイスに動作可能に接続されたプロセッサデバイス、例えば、ワークステーション、サーバ、またはPCのいずれかで実行される。復号された情報は、ディスプレイ上で使用者に表示される。
【0051】
図1A図1B図2Aおよび図2Bの図示されている実施例では、第1の情報機能4はQRコード(登録商標)であり、これは情報キャリア上に配置されている。この情報機能は、情報キャリアに取り付けられるラベルまたはステッカーに設けられるか、または情報キャリアに組み込まれる。情報キャリアは、剛性部材であるか、またはキャップおよび/もしくはハウジングユニットの外面に適合可能であることができる。しかし、他のデータ表現、例えば、好ましくは多次元、例えば2次元のバーコードの他の変形が、情報機能に適し得る。
例えば、リング状に構成された情報キャリアは、キャップ3とハウジング2との連結を確立することができる。このように、情報キャリアは、コネクタとして機能できる。代替的にまたは加えて、情報キャリアは封止であることができる。この場合、情報キャリアは、キャップ3がハウジングユニット2に連結されたときに、キャップ3とハウジングユニット2との間の接触面を封止するように機能できる。
【0052】
図1Aおよび図1Bは、本発明の第1の実施形態によるアセンブリ1の概略側面図を示し、第1の情報機能4は、キャップ3の表面に配置されている。図1Aでは、キャップ3はハウジングユニット2に取り付けられており、したがって、第1の情報機能4が見え、第1の状態を示している。図1Bでは、キャップ3はハウジングユニット2から取り外されている。キャップ3が使用者によって外されると、アセンブリ1の残りの部品は、アセンブリ1の投薬機構が第1の状態にあるといういかなる情報も、もはや含まない。
【0053】
図2Aおよび図2Bは、本発明の第2の実施形態によるアセンブリ1の概略側面図を示し、第1の情報機能4は、キャップ3の表面およびハウジングユニット2の表面に部分的に配置されている。図2Aでは、キャップ3はハウジングユニット2に取り付けられており、したがって、第1の情報機能4が見え、第1の状態を示している。図2Bでは、キャップ3はハウジングユニット2から取り外されている。ハウジングユニット2からキャップ3を取り外すことにより、第1の情報機能4は恒久的に破壊されるため、キャップ3を取り外した後、コード化された第1の内容は、破壊された第1の情報機能4からもはや読み出せない。情報キャリアが、キャップとハウジングユニットとの間の中間領域に沿って、例えば円周方向に(明示的には示されていない)延びる場合、キャップとハウジングユニットとの間の接触面の封止が改善される。
【0054】
前述の実施形態では、情報キャリアは、キャップおよび/またはハウジングユニットに適用される適合性要素、好ましくはステッカーまたはラベルであることが好ましい。
【0055】
別の図示されていない実施形態では、情報キャリアは、剛性部材、例えばスリーブ、または弾性部材、例えばゴム製の封止体であることができる。情報キャリアは、キャップがハウジングまたはハウジングユニットに直接連結されているとき、キャップとハウジングまたはハウジングユニットとの間に配置される、例えば、クランプされる。情報キャリアは、例えばスナップ嵌めなどの正の連結を介してキャップに連結され、例えばスナップ嵌めなどの正の連結を介してハウジングユニットにも連結される。情報キャリアとハウジングユニットとの間、およびキャップと情報キャリアとの間の連結は、両立しないように設計される。すなわち、好ましくは、キャップは、中間情報キャリアなしにハウジングユニットに直接取り付けることはできない。デバイスの操作性を実現するために、情報キャリアはハウジングユニットから取り外さなければならない。情報キャリアとハウジングとの間、および/またはキャップと情報キャリアとの間の連結は、接続を確立するために互いに係合する連結機能のうちの少なくとも1つを変更することによってのみ解除できるように設計されるため、連結が解除された後は再び連結を確立できない。このように、情報キャリアおよび/または情報機能は、リザーバに含まれる薬物を示すためのものであることができる。ラベルまたはステッカーは情報機能を備え、情報機能は、好ましくは排他的に、情報キャリアに配置され、かつ/または連結されている。
【0056】
図3Aおよび図3Bは、本発明の第3実施形態によるハウジングユニット2の概略側面図を示す。図4Aおよび図4Bに示す本発明の第4の実施形態のように、第3の実施形態のハウジングユニット2は、投薬動作においてリザーバから液体薬物内容物を送達するための針9と、針9を保護するように囲む針カバー6と、投薬動作中にリザーバから液体薬物内容物をアセンブリ1の遠位投薬端に押し出すプランジャ8とを含む。プランジャは、投薬機構の一部である。
【0057】
図3Aは、投薬機構の第1の状態における第3の実施形態を示しており、ここでは、投薬機構は投薬準備完了状態にある。図4Aに示す、投薬機構の第1の状態における第4の実施形態のように、第2の情報機能5は、第1の状態、すなわち投薬動作が実行および/または開始されていないときは見えない。しかし、第2の状態の第2の情報機能5は、図3Bに示す第3の実施形態と、図4Bに示す第4の実施形態とでは見える。その結果、第2の機能5は、投薬機構が投薬動作後の投薬済み状態にあるときにのみ見える。
【0058】
図3A図3B図4Aおよび図4Bに示す実施形態では、第2の情報機能5は、可動部材6、8に配置されており、可動部材6、8は、投薬機構が第1の状態にあるときに、例えばハウジングに対して第1の位置にあり(図3Aおよび図4Aに示すように)、可動部材6、8は、投薬機構が第2の状態にあるときに、例えばハウジングに対して第2の位置にあり(図3Bおよび図4Bに示すように)、可動部材6、8は、リザーバからの液体薬物内容物が投薬動作で投薬されるか、またはリザーバから投薬されたときに、第1の位置から第2の位置に移動する。
【0059】
図3Aおよび図3Bに示す第3の実施形態では、可動部材はプランジャ8である。図3Bに示すように、第2の情報機能5およびプランジャ8は、投薬機構の第2の状態では窓部分7を介して見ることができ、図3Aに示すように、投薬機構の第1の状態では窓部分7を介して見ることができない。この場合、リザーバ、例えばシリンジまたはカートリッジは、ハウジングユニットに確実に保持され、プランジャをリザーバに対して移動させる投薬動作の間、移動できない。あるいは、可動部材は、シリンジまたはカートリッジなどのリザーバであることができ、これは、その内容物を投薬するために、例えば、静止しているプランジャに対して移動する。シリンジは、針9を備えることができる。シリンジは、充填済みシリンジであることができる。カートリッジは、針がなく、投薬動作中に針9と流体連通するように移動できる。
【0060】
図4Aおよび図4Bに示す第4の実施形態では、可動部材は針カバー6であり、この針カバー6は、投薬動作が完了した後および/または開始される前に、アセンブリ1の針9(図4Aおよび図4Bでは見えない)を覆うように配置されている。針カバー6は、ハウジングに可動であるように連結され、かつ/またはハウジングユニット2の一部である。
【0061】
例えばトリガ部材を介した投薬機構の起動後、投薬機構の動作により液体薬物内容物の投薬が行われる。投薬動作が完了した後、および/またはアセンブリが標的表面(例えば、皮膚部分)から持ち上げられた後、針カバー6は、第2の情報機能が見えない図4Aに示すような第1の位置から、第2の情報機能5が針カバー6上に見える図4Bに示すような第2の位置まで、例えばばねによって遠位に移動する。例えば、針カバー6がトリガ部材として機能することができる。この場合、針カバー6が標的表面に押し付けられ、ハウジングユニットが針カバーに対して移動すると、投薬動作がトリガされる。この移動により、投薬機構を起動して、投薬動作を行うことができる。ここで、針カバー6は、第1の状態では、ハウジングから突出することができる。針カバー6がハウジングに向かって移動することにより、投薬動作が開始され、および/または針が標的組織もしくは皮膚に貫入することができる。針カバー6は、投薬動作が完了した後、ハウジングに対して、および/または第2の位置に、例えば、ばねによって移動するように構成される。投薬中、針9は、ハウジングに対して変位しても、または静止していてもよい。図4Bに示すように、針カバー6は、少なくとも投薬動作が完了してアセンブリが使用者から外された後に、針9を覆う。この位置では、針カバー6は、注射が開始される前よりもハウジングからさらに突出し、それによって第2の情報機能が現れる。
【0062】
しかし、針カバーは、上述したように、投薬動作を開始するためのトリガ部材として機能する必要はない。むしろ、アセンブリ/デバイスは、投薬動作をトリガするために、使用者によってハウジングユニットに対して移動可能な、例えば押し下げ可能な、別個のトリガ部材、例えばトリガボタンを含むことができる。投薬動作をトリガするために、トリガ部材は、初期位置から例えば第1の位置へとハウジングに対して移動できる。例えば使用者によって、トリガ部材にかかる圧力が解除されると、トリガ部材は、例えばトリガ部材のばねによって、初期位置に戻り、好ましくは初期位置を超えて、第2の位置に移動することができる。第2の位置では、トリガ部材は、初期位置よりもハウジングからさらに突出することができる。ここでは覆われていないその領域に、第2の情報機能5が配置される(図示せず)。したがって、トリガ部材は、第2の情報機能(図示せず)を有する可動部材として機能することができる。トリガ部材は、針カバーに加えて、または針カバーの代わりに、情報機能を備える。したがって、アセンブリが投薬済み状態にあることを示すために、投薬動作の開始後、投薬動作の間および/または完了後に移動する要素に、1つだけ、または複数の「第2」の情報機能があってもよい。
【0063】
上記実施形態では、第2の情報機能5は、QRコード(登録商標)であることができる。しかし、第2の情報機能5は、他の種類の、好ましくは機械可読の、データの表現、例えば多次元、例えば2次元のバーコードの他の変形も含むことができる。
【0064】
図3Aおよび図3Bに示す第3の実施形態、特に第2の情報機能5の配置は、図1A図1B図2Cおよび図2Bに示す第1の実施形態および第2の実施形態の両方、特に第1の情報機能4の配置と組み合わせることができることに留意すべきである。図4Aおよび図4Bに示すように、第4の実施形態についても同様である。さらに、図4Aおよび図4Bに示すように、第4の実施形態のプランジャ8に、第3の実施形態のような追加の第2の情報機能5を追加することも可能である。また、当然ながら、図面と併せて実施形態を説明する前の導入セクションで開示された構成は、図面に示す例示的実施形態と併せて記載された構成と組み合わせることができる。
【0065】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0066】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含み得る。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸例えばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0067】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、例えば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(例えば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルであり得る。例えば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(例えば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(例えば、約20℃)または冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(例えば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジであり得るか、またはそれを含み得る。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。例えば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(例えば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0068】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、例えば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症例えば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害例えば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(例えば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0069】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造例えばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかであり得る。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、例えば、1つまたはそれ以上の有機置換基(例えば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0070】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0071】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0072】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、例えば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標)、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0073】
オリゴヌクレオチドの例は、例えば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0074】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0075】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0076】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖例えばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0077】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(例えばネズミ)抗体、または一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。例えば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、例えば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体であり得る。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0078】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(例えば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、例えば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、例えば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0079】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0080】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0081】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0082】
当業者であれば、本明細書に記載のAPI、公式、装置、方法、システムおよび実施形態の様々な部品の改変(追加および/または削除)が、そのような改変およびあらゆる均等物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなくなされることを理解するであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B