(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】改善されたダイ・アタッチを有するトランジスタ・パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20241220BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20241220BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20241220BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20241220BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20241220BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20241220BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20241220BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20241220BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20241220BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
H01L21/88 R
H01L29/80 H
H01L29/80 U
H01L21/88 J
H01L21/28 301R
H01L29/78 652L
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
(21)【出願番号】P 2023526238
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021056598
(87)【国際公開番号】W WO2022093783
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-06-16
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プン、アーサー
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144082(JP,A)
【文献】特開2000-353709(JP,A)
【文献】特開2016-046306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 21/338
H01L 21/28
H01L 29/78
H01L 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブマウントと、
前記サブマウント上のトランジスタ・ダイと、
前記サブマウントと前記トランジスタ・ダイとの間の金属結合層であって、金属結合積層体が前記サブマウントへの前記トランジスタ・ダイの機械的なアタッチメントを提供する、金属結合層と、
を含む、トランジスタ・デバイス構造であって、
前記金属結合層は、金、スズ及びニッケルを含み、前記金属結合層におけるニッケルとスズとの組み合わせの重量パーセンテージは、50パーセントよりも大きく、前記金属結合層における金の重量パーセンテージは25パーセントよりも小さ
く、
前記トランジスタ・ダイは、少なくとも1つの端子を含み、
前記金属結合層は、前記少なくとも1つの端子を前記サブマウントに電気的に接続する、トランジスタ・デバイス構造。
【請求項2】
前記金属結合層における金の前記重量パーセンテージは、10パーセントよりも小さい、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項3】
前記金属結合層における金の前記重量パーセンテージは、5パーセントよりも小さい、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項4】
前記金属結合層は、前記金属結合層のうちスズを含む部分と前記トランジスタ・ダイとの間にバリア層をさらに含む、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項5】
前記バリア層は白金を含む、請求項4に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項6】
前記金属結合層は、第1の方向において前記サブマウントと前記トランジスタ・ダイとの間にあり、
前記第1の方向に対して垂直である第2の方向における、前記金属結合層の最長寸法は、3.5mmを超える、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項7】
前記金属結合層と前記トランジスタ・ダイとの間に基板コンタクト層をさらに含む、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項8】
前記基板コンタクト層は、2μm~8μmの間の厚さを有する金層を含む、請求項7に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項9】
前記トランジスタ・ダイは、
基板と、
前記基板上のチャネル層と、
前記チャネル層上のバリア層と、
前記基板、前記チャネル層、及び前記バリア層を貫通するビアと、
を含み、
前記金属結合層の第1の部分が前記基板と前記サブマウントとの間にあり、
前記金属結合層の第2の部分が前記ビアの側壁にある、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項10】
前記金属結合層の前記第1の部分の組成は、前記金属結合層の前記第2の部分の組成とは異なる、請求項9に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項11】
前記基板は炭化ケイ素を含む、請求項9に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項12】
前記
少なくとも1つの端子は、ゲート端子及びドレイン端子を含み、
前記金属結合層は、前記ゲート端子を前記サブマウントに電気的に接続する、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項13】
前記トランジスタ・デバイス構造の動作周波数は、500MHz~75GHzの間である、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項14】
前記トランジスタ・デバイス構造の電力出力は、50W~200Wの間である、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項15】
サブマウントと、
前記サブマウント上のトランジスタ・ダイと、
第1の方向において前記サブマウントと前記トランジスタ・ダイとの間の金属結合層であって、前記サブマウントへの前記トランジスタ・ダイの機械的なアタッチメントを提供する、金属結合層と、
を含む、トランジスタ・デバイス構造であって、
前記金属結合層の組成は主に、ニッケル及びスズを含み、
前記金属結合層の最長寸法は、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向において3.5mmを超え
、
前記金属結合層と前記トランジスタ・ダイとの境界面には、未反応のスズが実質的に存在しない、トランジスタ・デバイス構造。
【請求項16】
前記金属結合層におけるニッケルとスズとの組み合わせの重量パーセンテージは、50パーセントよりも大きい、請求項15に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項17】
前記金属結合層は、金をさらに含み、
前記金属結合層における金の重量パーセンテージは、10パーセントよりも小さい、請求項16に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項18】
前記金属結合層は、前記金属結合層のスズ部分と前記トランジスタ・ダイとの間にバリア層をさらに含む、請求項15に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項19】
前記バリア層は白金を含む、請求項18に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項20】
前記サブマウントと前記金属結合層との間にコンタクト層をさらに含む、請求項15に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項21】
前記コンタクト層は、2μm~8μmの間の厚さを有する金層を含む、請求項20に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項22】
前記トランジスタ・ダイは、
基板と、
前記基板上のチャネル層と、
前記チャネル層上のバリア層と、
前記基板、前記チャネル層、及び前記バリア層を貫通するビアと、
を含み、
前記金属結合層の第1の部分が前記基板と前記サブマウントとの間にあり、
前記金属結合層の第2の部分が前記ビアの側壁にある、請求項15に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項23】
前記金属結合層の前記第1の部分の組成は、前記金属結合層の前記第2の部分の組成とは異なる、請求項22に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項24】
前記トランジスタ・デバイス構造の動作周波数は、500MHz~75GHzの間である、請求項15に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項25】
半導体基板、バリア層及びチャネル層を含む半導体構造を有するトランジスタ・ダイと、
前記半導体構造上のソース・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトに電気的に接続されるように前記半導体基板、前記バリア層、及び前記チャネル層を貫通するビアと、
前記ビア内に第1の部分を含む金属結合層と、
前記金属結合層上のサブマウント
であって、前記金属結合層は、前記ビアの外側にあるとともに前記半導体基板と前記サブマウントとの間にある第2の部分をさらに含む、前記サブマウントと、
を含む、トランジスタ・デバイス構造であって、
前記金属結合層は、スズとニッケルとの合金を含み、
前記金属結合層の前記第1の部分の組成は、前記金属結合層の前記第2の部分の組成とは異なる、トランジスタ・デバイス構造。
【請求項26】
前記金属結合層は、金をさらに含み、前記金属結合層におけるニッケルとスズとの組み合わせの重量パーセンテージは、約50パーセントよりも大きく、前記金属結合層における金の重量パーセンテージは、約25パーセントよりも小さい、請求項25に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項27】
前記金属結合層の前記第1の部分は、前記チャネル層の一部と同じレベルに配置される、請求項25に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項28】
前記金属結合層は、前記金属結合層のスズ部分と前記トランジスタ・ダイとの間にバリア層をさらに含む、請求項25に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項29】
前記バリア層は白金を含む、請求項
28に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項30】
前記金属結合層は、第1の方向において前記トランジスタ・ダイから隔てられ、
前記第1の方向に対して垂直である第2の方向における、前記金属結合層の最長寸法は、3.5mmを超える、請求項25に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項31】
前記トランジスタ・デバイス構造の動作周波数は、500MHz~75GHzの間である、請求項25に記載のトランジスタ・デバイス構造。
【請求項32】
サブマウントを準備することと、
金属結合積層体をトランジスタ・ダイに形成することと、
前記金属結合積層体が前記トランジスタ・ダイと前記サブマウントとの間にあるように、前記金属結合積層体を設けた前記トランジスタ・ダイを前記サブマウント上に配置すること
であって、前記金属結合積層体のそれぞれの部分が、前記トランジスタ・ダイのそれぞれの端子と前記サブマウントとの間に存在する、前記配置することと、
前記サブマウントへの前記トランジスタ・ダイの機械的なアタッチメントを提供するように、前記トランジスタ・ダイ及び前記金属結合積層体に熱及び/又は圧力を印加することと、
を含む、トランジスタ・デバイス構造を形成する方法であって、
前記金属結合積層体は、ニッケル層に隣接するスズ層を含む、方法。
【請求項33】
前記金属結合積層体は、金をさらに含み、前記金属結合積層体におけるニッケルとスズとの組み合わせの重量パーセンテージは、50パーセントよりも大きく、前記金属結合積層体における金の重量パーセンテージは、25パーセントよりも小さい、請求項
32に記載の方法。
【請求項34】
前記金属結合積層体における金の前記重量パーセンテージは、10パーセントよりも小さい、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
前記金属結合積層体は、前記金属結合積層体の前記スズ層と前記トランジスタ・ダイとの間にバリア層をさらに含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項36】
前記バリア層は白金を含む、請求項
35に記載の方法。
【請求項37】
前記金属結合積層体は、第1の方向において前記トランジスタ・ダイに積層され、
前記第1の方向に対して垂直である第2の方向における、前記金属結合積層体の最長寸法は、3.5mmを超える、請求項
32に記載の方法。
【請求項38】
前記方法は、基板コンタクト層を前記トランジスタ・ダイに形成することをさらに含み、
前記金属結合積層体は、前記基板コンタクト層に形成される、請求項
32に記載の方法。
【請求項39】
前記基板コンタクト層は、2μm~8μmの間の厚さを有する金層を含む、請求項
38に記載の方法。
【請求項40】
前記トランジスタ・ダイは、
基板と、
前記基板上のチャネル層と、
前記チャネル層上のバリア層と、
を含み、
前記方法は、前記基板、前記チャネル層、及び前記バリア層を貫通するビアを形成することをさらに含み、
前記金属結合積層体を前記トランジスタ・ダイに形成することは、前記金属結合積層体の第1の部分を前記基板の下面に、及び、前記金属結合積層体の第2の部分を前記ビアの側壁に形成することを含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項41】
前記基板は炭化ケイ素を含む、請求項
40に記載の方法。
【請求項42】
前記金属結合積層体を
前記それぞれの部分
にパターニングすることをさらに含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項43】
前記トランジスタ・デバイス構造の動作周波数は、500MHz~75GHzの間である、請求項
32に記載の方法。
【請求項44】
前記トランジスタ・デバイス構造の電力出力は、50W~200Wの間である、請求項
32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許商標庁に2020年10月30日に出願された米国特許出願シリアル番号第17/085,386号に対する優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、マイクロ電子デバイスに関し、より詳細には、高出力、高周波トランジスタ及び関連するデバイス・パッケージに関する。
【背景技術】
【0003】
高い電力処理能力を必要とする、及び/又は、Rバンド(0.5~1GHz)、Sバンド(3GHz)及びXバンド(10GHz)などの高周波で動作する電気回路が、近年ますます普及してきている。特に、高周波(マイクロ波を含む)においてRF信号を増幅するために使用される高周波(RF)トランジスタ増幅器に対する高い需要があるであろう。これらのRFトランジスタ増幅器は、高い信頼性、良好な線形性を示すとともに高い出力電力レベルを処理する必要がある場合がある。RFドメインを超えても、直流(DC)バイアス・トランジスタ増幅器及び高出力トランジスタ・スイッチを含む、他のタイプのトランジスタ・デバイスは、高出力電力レベルを処理する必要がある場合がある。
【0004】
トランジスタ・デバイスは、シリコンで、又は、炭化ケイ素(「SiC」)及びIII族窒化物材料などのワイド・バンドギャップ半導体材料(すなわち、1.40eVを上回るバンドギャップを有する)を使用して実装され得る。本明細書において使用される場合、「III族窒化物」という用語は、窒素と、周期表のIII族における元素、通常はアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及び/又はインジウム(In)との間で形成される半導体化合物を指す。この用語は、AlGaN及びAlInGaNなどの、三元化合物及び四元化合物も指す。これらの化合物は、1モルの窒素が合計1モルのIII族元素と組み合わされる実験式を有する。
【0005】
シリコンベースのトランジスタ・デバイスは典型的に、横方向拡散金属酸化膜半導体(「LDMOS:laterally diffused metal oxide semiconductor」)トランジスタを用いて実装される。シリコンLDMOSトランジスタ・デバイスは、高レベルの線形性を示すことができ、製造が比較的安価であり得る。III族窒化物ベースのトランジスタ・デバイスは典型的に、高電子移動度トランジスタ(「HEMT:High Electron Mobility Transistors」)を使用して実装され、主に、LDMOSトランジスタ・デバイスが固有の性能限界を有する場合がある高出力及び/又は高周波動作を必要とする用途において用いられる。
【0006】
トランジスタ増幅器は、1つ又は複数の増幅段を含み得、各段が典型的にトランジスタ増幅器として実装される。出力電力及び電流処理能力を高めるために、トランジスタ増幅器は典型的には、多数の個々の「単位セル」トランジスタが電気的に並列して配置される「単位セル」構成で実装される。トランジスタ増幅器は、単一の集積回路チップ若しくは「ダイ」として実装されてもよく、又は複数のダイを含んでもよい。ダイ又はチップは、半導体材料の小さいブロック又は電子回路要素が作製される他の基板の小さいブロックを指し得る。複数のトランジスタ増幅器ダイが使用される場合、それらダイは直列及び/又は並列に接続されてもよい。
【0007】
トランジスタ増幅器は多くの場合、基本動作周波数における信号に対して能動トランジスタ・ダイ(例えば、金属酸化物半導体電解効果トランジスタ(MOSFET:metal-oxide semiconductor field effect transistor)、HEMT、LDMOSなどを含む)とそれに接続された伝送線路との間のインピーダンス整合を改善するように設計されたインピーダンス整合回路などの整合回路と、2次高調波及び3次高調波などの、デバイス動作中に生成され得る高調波を少なくとも部分的に終端するように設計された高調波終端回路と、を含む。高調波の終端はまた、相互変調歪み積の生成に影響を及ぼす。
【0008】
トランジスタ増幅器ダイ(複数可)並びにインピーダンス整合及び/又は高調波終端回路は、集積回路デバイス・パッケージ内に封入され得る。集積回路パッケージ化は、ダイを物理的な損傷及び/又は腐食から保護するとともに外部回路への接続のための電気接点を支持する支持ケース又はパッケージ内に1つ又は複数のダイを封入することを指し得る。集積回路デバイス・パッケージ内における入力及び出力インピーダンス整合回路は典型的に、能動トランジスタ・ダイのインピーダンスを固定値に整合させるように構成されるインピーダンス整合回路の少なくとも一部を提供するLCネットワークを含む。パッケージは典型的に、ダイが取り付けられるアタッチメント表面すなわち「サブマウント」と、ダイを湿気及び塵粒子から密封及び保護する、プラスチック又はセラミックなどの電気的絶縁封入剤材料と、を含む。導電性リード(本明細書においてパッケージ・リードとも呼ばれる)が、パッケージから延びていてもよく、トランジスタ増幅器を入力及び出力伝送線路並びにバイアス電圧源などの外部回路素子に電気的に接続するために使用される。
【0009】
上述したように、III族窒化物ベースのトランジスタ増幅器は多くの場合、高出力及び/又は高周波用途において使用される。典型的には、高レベルの熱が動作中にIII族窒化物ベースの増幅器ダイ(複数可)内に生成される。トランジスタ増幅器ダイ(複数可)が高温過ぎれば、トランジスタ増幅器の性能(例えば、出力電力、効率、線形性、ゲインなど)は低下しかねず、及び/又は、トランジスタ増幅器ダイ(複数可)は損傷を受けかねない。したがって、III族窒化物ベースのトランジスタ増幅器は典型的に、熱除去のために最適化され得るパッケージ内に取り付けられる。
【0010】
いくつかのパッケージ設計において、パッケージのサブマウントは、「ヒート・スラグ」又は「ヒート・シンク」とも呼ばれることもある熱伝導性基板を含む。パッケージ・レベル・ヒート・スラグは、集積回路から熱を発散させるとともに外部ヒート・シンクへ熱を引き寄せるように設計される。典型的には、ヒート・スラグは、熱伝導性材料(例えば、金属)から形成される。いくつかのパッケージ構成では、ヒート・スラグはまた、取り付けられているダイに基準電位(例えば、アース)を提供する電気端子として働く。例えば、サブマウントは、ダイのためのアタッチメント面及びヒート・スラグの両方を提供する、CPC(銅、銅-モリブデン、銅積層構造)又は銅フランジであり得る。
【0011】
一半導体パッケージ設計は、(典型的にはセラミック)蓋が金属ヒート・スラグの上に配置される「オープン・エア・キャビティ」又は「オープン・キャビティ」パッケージである。セラミック蓋は、トランジスタ増幅器ダイ及び/又は他の集積回路及び関連する電気接続部を含むオープン・エア・キャビティを密封する。オープン・エア・キャビティ・セラミック・パッケージのパッケージ・リードは、高温ろう付けプロセスを用いてヒート・スラグに取着され得る。
【0012】
別の半導体パッケージ設計は、プラスチック又は他の非導電性材料が(例えば、射出成形又はトランスファー成形によって)ヒート・スラグに直接成形されて、トランジスタ増幅器ダイ及び/又は他の集積回路及び関連する電気接続部並びにヒート・スラグに直接接触するとともにそれらを封入する固体構造を形成する成形設計(又は「オーバーモールド・パッケージ」)である。成形プラスチック・パッケージのパッケージ・リードは、パッケージ・リードを含む外側フレームがヒート・スラグの周りに配置されるリード・フレームを使用してヒート・スラグに取着され得る。ダイ・アタッチ及びワイヤ・ボンディングの後、プラスチック封入剤材料がヒート・スラグ及びパッケージ・リードの周りに成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許出願シリアル番号第17/018,762号
【文献】米国特許出願シリアル番号第17/018,721号
【文献】米国再発行特許第34,861号
【文献】米国特許第4,946,547号
【文献】米国特許第5,200,022号
【文献】米国特許第6,218,680号
【文献】米国特許第5,210,051号
【文献】米国特許第5,393,993号
【文献】米国特許第5,523,589号
【文献】米国特許第5,192,987号
【文献】米国特許第5,296,395号
【文献】米国特許第6,316,793号
【文献】米国特許第6,548,333号
【文献】米国特許第7,544,963号
【文献】米国特許第7,548,112号
【文献】米国特許第7,592,211号
【文献】米国特許第7,615,774号
【文献】米国特許第7,709,269号
【文献】米国特許第7,030,428号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示のいくつかの実施例によれば、トランジスタ・デバイス構造は、サブマウント上のトランジスタ・ダイと、サブマウントとトランジスタ・ダイとの間の金属結合層であって、金属結合積層体がサブマウントへのトランジスタ・ダイの機械的なアタッチメントを提供する、金属結合層と、を含む。金属結合層は、金、スズ及びニッケルを含み、金属結合層におけるニッケルとスズとの組み合わせの重量パーセンテージは、50パーセントよりも大きく、金属結合層における金の重量パーセンテージは25パーセントよりも小さい。
【0015】
いくつかの実施例では、金属結合層における金の重量パーセンテージは、10パーセントよりも小さい。
【0016】
いくつかの実施例では、金属結合層における金の重量パーセンテージは、5パーセントよりも小さい。
【0017】
いくつかの実施例では、金属結合層は、金属結合層のうちスズを含む部分とトランジスタ・ダイとの間にバリア層をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施例では、バリア層は白金を含む。
【0019】
いくつかの実施例では、金属結合層は、第1の方向においてサブマウントとトランジスタ・ダイとの間にあり、第1の方向に対して垂直である第2の方向における、金属結合層の最長寸法は、3.5mmを超える。
【0020】
いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイス構造は、金属結合層とトランジスタ・ダイとの間に基板コンタクト層をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施例では、基板コンタクト層は、2μm~8μmの間の厚さを有する金層を含む。
【0022】
いくつかの実施例では、トランジスタ・ダイは、基板と、基板上のチャネル層と、チャネル層上のバリア層と、基板、チャネル層、及びバリア層を貫通するビアと、を含む。金属結合層の第1の部分が基板とサブマウントとの間にあり、金属結合層の第2の部分がビアの側壁にある。
【0023】
いくつかの実施例では、金属結合層の第1の部分の組成は、金属結合層の第2の部分の組成とは異なる。
【0024】
いくつかの実施例では、基板は炭化ケイ素を含む。
【0025】
いくつかの実施例では、トランジスタ・ダイは、ゲート端子及びドレイン端子を含み、金属結合層は、ゲート端子をサブマウントに電気的に接続する。
【0026】
いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイス構造の動作周波数は、500MHz~75GHzの間である。
【0027】
いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイス構造の電力出力は、50W~200Wの間である。
【0028】
本開示のいくつかの実施例によれば、トランジスタ・デバイス構造は、サブマウントと、サブマウント上のトランジスタ・ダイと、第1の方向においてサブマウントとトランジスタ・ダイとの間の金属結合層であって、サブマウントへのトランジスタ・ダイの機械的なアタッチメントを提供する、金属結合層と、を含む。金属結合層の組成は主に、ニッケル及びスズを含み、金属結合層の最長寸法は、第1の方向に対して垂直である第2の方向において3.5mmを超える。
【0029】
いくつかの実施例では、金属結合層におけるニッケルとスズとの組み合わせの重量パーセンテージは、50パーセントよりも大きい。
【0030】
いくつかの実施例では、金属結合層は、金をさらに含み、金属結合層における金の重量パーセンテージは、10パーセントよりも小さい。
【0031】
いくつかの実施例では、金属結合層は、金属結合層のスズ部分とトランジスタ・ダイとの間にバリア層をさらに含む。
【0032】
いくつかの実施例では、バリア層は白金を含む。
【0033】
いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイス構造は、サブマウントと金属結合層との間にコンタクト層をさらに含む。
【0034】
いくつかの実施例では、コンタクト層は、2μm~8μmの間の厚さを有する金層を含む。
【0035】
いくつかの実施例では、トランジスタ・ダイは、基板と、基板上のチャネル層と、チャネル層上のバリア層と、基板、チャネル層、及びバリア層を貫通するビアと、を含む。金属結合層の第1の部分が基板とサブマウントとの間にあり、金属結合層の第2の部分がビアの側壁にある。
【0036】
いくつかの実施例では、金属結合層の第1の部分の組成は、金属結合層の第2の部分の組成とは異なる。
【0037】
いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイス構造の動作周波数は、500MHz~75GHzの間である。
【0038】
本開示のいくつかの実施例によれば、トランジスタ・デバイス構造は、半導体基板、バリア層及びチャネル層を含む半導体構造を有するトランジスタ・ダイと、半導体構造上のソース・コンタクトと、ソース・コンタクトに電気的に接続されるように半導体基板、バリア層、及びチャネル層を貫通するビアと、ビア内に第1の部分を含む金属結合層と、金属結合層上のサブマウントと、を含む。金属結合層は、スズとニッケルとの合金を含む。
【0039】
いくつかの実施例では、金属結合層は、金をさらに含み、金属結合層におけるニッケルとスズとの組み合わせの重量パーセンテージは、約50パーセントよりも大きく、金属結合層における金の重量パーセンテージは、約25パーセントよりも小さい。
【0040】
いくつかの実施例では、金属結合層は、ビアの外側にあるとともに半導体基板とサブマウントとの間にある第2の部分をさらに含む。
【0041】
いくつかの実施例では、金属結合層の第1の部分の組成は、金属結合層の第2の部分の組成とは異なる。
【0042】
いくつかの実施例では、金属結合層の前記第1の部分は、チャネル層の一部と同じレベルに配置される。
【0043】
いくつかの実施例では、金属結合層は、金属結合層のスズ部分とトランジスタ・ダイとの間にバリア層をさらに含む。
【0044】
いくつかの実施例では、バリア層は白金を含む。
【0045】
いくつかの実施例では、金属結合層は、第1の方向において前記トランジスタ・ダイから隔てられ、第1の方向に対して垂直である第2の方向における、金属結合層の最長寸法は、3.5mmを超える。
【0046】
いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイス構造の動作周波数は、500MHz~75GHzの間である。
【0047】
本開示のいくつかの実施例によれば、トランジスタ・デバイス構造を形成する方法は、サブマウントを準備することと、金属結合積層体をトランジスタ・ダイに形成することと、金属結合積層体がトランジスタ・ダイとサブマウントとの間にあるように、金属結合積層体を設けたトランジスタ・ダイをサブマウント上に配置することと、サブマウントへのトランジスタ・ダイの機械的なアタッチメントを提供するように、トランジスタ・ダイ及び金属結合積層体に熱及び/又は圧力を印加することと、を含む。金属結合積層体は、ニッケル層に隣接するスズ層を含む。
【0048】
いくつかの実施例では、金属結合積層体は、金をさらに含み、金属結合積層体におけるニッケルとスズとの組み合わせの重量パーセンテージは、50パーセントよりも大きく、金属結合積層体における金の重量パーセンテージは、25パーセントよりも小さい。
【0049】
いくつかの実施例では、金属結合積層体における金の重量パーセンテージは、10パーセントよりも小さい。
【0050】
いくつかの実施例では、金属結合積層体は、金属結合積層体のスズ層とトランジスタ・ダイとの間にバリア層をさらに含む。
【0051】
いくつかの実施例では、バリア層は白金を含む。
【0052】
いくつかの実施例では、金属結合積層体は、第1の方向においてトランジスタ・ダイに積層される。
【0053】
いくつかの実施例では、第1の方向に対して垂直である第2の方向における、金属結合積層体の最長寸法は、3.5mmを超える。
【0054】
いくつかの実施例では、方法は、基板コンタクト層をトランジスタ・ダイに形成することをさらに含み、金属結合積層体は、基板コンタクト層に形成される。
【0055】
いくつかの実施例では、基板コンタクト層は、2μm~8μmの間の厚さを有する金層を含む。
【0056】
いくつかの実施例では、トランジスタ・ダイは、基板と、基板上のチャネル層と、チャネル層上のバリア層と、を含む。方法は、基板、チャネル層、及びバリア層を貫通するビアを形成することをさらに含み、金属結合積層体をトランジスタ・ダイに形成することは、金属結合積層体の第1の部分を基板の下面に、及び、金属結合積層体の第2の部分をビアの側壁に形成することを含む。
【0057】
いくつかの実施例では、基板は炭化ケイ素を含む。
【0058】
いくつかの実施例では、方法は、金属結合積層体を複数の部分にするようにパターニングすることをさらに含む。
【0059】
いくつかの実施例では、方法は、金属結合積層体の複数の部分がそれぞれトランジスタ・ダイの複数の端子とサブマウントとの間にあるようにトランジスタ・ダイを金属結合積層体とともにサブマウント上に配置することをさらに含む。
【0060】
いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイス構造の動作周波数は、500MHz~75GHzの間である。
【0061】
いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイス構造の電力出力は、50W~200Wの間である。
【0062】
いくつかの実施例による他のデバイス、装置、及び/又は方法は、以下の図面及び詳細な説明を検討すると当業者に明らかになるであろう。上記の実施例のいずれか及びすべての組み合わせに加え、すべてのそのようなさらなる実施例は、本明細書内に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1A】本開示の様々な実施例によるパッケージ化されたIII族窒化物ベースのトランジスタ増幅器の概略側面図である。
【
図1B】
図1AのB-B’の線に沿って断面がとられた、本開示の様々な実施例によるトランジスタ増幅器ダイの概略水平断面図である。
【
図1C】
図1BのC-C’の線に沿って断面がとられた、本開示の様々な実施例によるトランジスタ増幅器ダイ単位セルの概略断面図である。
【
図1E】本開示の様々な実施例による別のパッケージ化されたIII族窒化物ベースのトランジスタ増幅器の概略側面図である。
【
図2A】本開示の様々な実施例による例示的な金属結合積層体の概略断面図である。
【
図2B】本開示の様々な実施例による例示的な金属結合積層体の概略断面図である。
【
図3A】本開示の様々な実施例による縦型MOSFETデバイスの単位セルの概略断面図である。
【
図4A】本開示の様々な実施例によるトランジスタ増幅器ダイ単位セルの概略断面図である。
【
図5A】本開示の様々な実施例による例示的な金属結合積層体の概略断面図である。
【
図5B】本開示の様々な実施例による例示的な金属結合積層体の概略断面図である。
【
図6A】本開示の様々な実施例による、フリップ・チップ構成におけるHEMTデバイスの単位セルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
トランジスタ・ダイをサブマウントに接合する以前のやり方は、はんだ付け又はろう付けと同じ又は類似のいずれかのやり方で様々な金属層を使用することを含む。多くの情況において、接合すべきそれぞれの表面上にチタン(Ti)層が形成又は堆積され、次いで、金属を結合するさらなる層が付加されて、接合すべきそれぞれの表面を有する第1の基板及び/又は第2の基板(ドナー基板及びアクセプタ基板と呼ばれる場合がある)上に結合金属構造を形成する。
【0065】
多くの理由から、これらの結合金属層において金(Au)がこれまで主な元素であった。金は、酸化及び他の化学反応に耐えるため、その耐腐食性のために、すなわち、その周囲との不所望な反応を回避するために魅力的でもある。金が(純金に対して)比較的低い融点の合金又は化合物を形成することができることは、金をはんだ付けのために望ましいものにする。
【0066】
それにもかかわらず、金の消費は、極少量が個々の半導体デバイスに使用されるとしても、個々のトランジスタ・デバイスの数百万倍ともなればかなりのものとなる。本明細書において使用される場合、「トランジスタ・デバイス」とは、RFドメインで動作するトランジスタ増幅器デバイスを含め、パワー・トランジスタ・スイッチング・デバイス及びトランジスタ増幅器デバイスの両方を含む。別の要因として、ウェハを互いにはんだ付けすることは熱のいくらかの印加を必要とする。したがって、トランジスタ・ダイをサブマウントに接合するために用いられるはんだ付けステップは、トランジスタ・ダイをある程度加熱する。当業者によって十分に理解されるように、半導体エピタキシャル層の温度が上がるにつれ、エピタキシャル層に欠陥が生じる可能性が増す。典型的に、金-スズ・ベースのはんだ付け(結合、ろう付け)系は、約300℃超の温度を必要とする。例えばIII族窒化物材料のエピタキシャル層は理論上、そのような温度に耐えることができるが、実際には、これらの温度により、結合ステップが目立った欠陥を生じる可能性が著しく増す。
【0067】
なおもさらなる要因として、個々のトランジスタ・ダイは、ウェハから分離され、パッケージ(例えば、
図1Aのパッケージ170)内に取り付けられると、典型的には、他のはんだ付け及び/又は結合作業を受ける。したがって、これらのさらなるはんだ付け及び/又は結合作業が行われ得る温度は、ダイ-サブマウント結合部が溶融することなく耐えることができる温度によって限定される。別の言い方をすると、ダイ-サブマウント結合冶金の熱特性は、行うことができるはんだ付け及び/又は結合作業のタイプを不利に限定する可能性がある。
【0068】
同様に、上述したように、トランジスタ・デバイスは多くの場合、動作時に高レベルの熱を生成する高出力及び/又は高周波用途に使用される。例えば、GaNベースの増幅器は、250~275℃の範囲内の接合温度で動作し得る。いくつかの実施例では、パワー・トランジスタ・ダイは、同様の温度を生成し得る、50W超(例えば、50W~200Wの間)の出力電力を有し得る。この温度は、いくつかの結合系の再溶融温度に近づく可能性があるため、AuSnなどの特定タイプの金属を金属結合系として使用することによってダイ-サブマウント結合部が悪影響を受ける可能性がある。
【0069】
いくつかの場合では、金-スズの使用に対する代替物が開発されている。一実例として、トランジスタ・デバイスは、金-スズの不利点のうちのいくつかを回避するために焼結銀をダイ・アタッチ材料として使用することがある。焼結銀は、パッケージ化プロセスの一部として半導体ダイを基板に結合する多孔質銀材料である。しかしながら、焼結銀材料の特性は、焼結銀がパッケージ・レベル処理時に主として用いられる代わりにウェハ・レベル処理時に用いられることができることに限定しかねない。これにより、トランジスタ・デバイスの製造プロセス時のその使用の複雑性が増す可能性がある。
【0070】
トランジスタ・デバイスは多くの場合、直面し得る動作環境に耐えるその能力をシミュレートするために、熱衝撃及び熱サイクル試験に付される。熱衝撃試験において、トランジスタ・デバイスは急速に大きな温度変化に付される。熱サイクル試験において、トランジスタ・デバイスは、高温と低温とが繰り返されるサイクルに供される。これらの試験は、特定のトランジスタ・デバイス(例えば、トランジスタ増幅器及び/又はトランジスタ・スイッチ)の脆弱性がトランジスタ・デバイスの最長寸法(例えば、対角線、長さ、又は幅)に応じて決まり得ることを示した。トランジスタ・デバイスは、発光デバイスなどの他のデバイスよりも大きいことがあり、3.5mmを超える最長寸法を有し得る。したがって、トランジスタ・デバイスの大きなサイズは、動作時のトランジスタ・デバイスの高温と結びつくと、トランジスタ・デバイスを金属結合系に使用される材料のタイプに対して特に脆弱なものにする可能性がある。
【0071】
本明細書における実施例は、主にニッケル及びスズである金属結合系の金属結合積層体を説明する。金属結合積層体として提供されるニッケル及びスズの使用により、以前のトランジスタ・デバイスにおいて使用される従来の金属結合系よりも高い再溶融温度を有するニッケル-スズ合金を比較的低温でつくり出すことが可能となる。結合積層体のAu含量を減らすことによって、より高い動作温度からのダイ-サブマウント結合部に対する影響を減らすことができると同時に、積層体全体のコストも減らすことができる。
【0072】
図1A及び
図1Bは、パッケージ化されたIII族窒化物ベースのトランジスタ・デバイスを示す。詳細には、
図1Aは、パッケージ化されたIII族窒化物ベースのトランジスタ・デバイス100の概略側面図であり、
図1Bは、
図1AのB-B’の線に沿って断面がとられた、パッケージ化されたIII族窒化物ベースのトランジスタ・デバイス100に含まれるトランジスタ・ダイ110の概略水平断面図である。
図1Cは、
図1BのC-C’の線に沿って断面がとられた、トランジスタ・ダイ110の単位セル116の概略断面図である。
図1Dは、
図1CのエリアDの詳細を示す概略断面である。いくつかの実施例では、パッケージ化されたIII族窒化物ベースのトランジスタ・デバイス100は、トランジスタ増幅器であり、いくつかの実施例では、RFドメインで動作するように構成され得る。しかしながら、本開示はそれらに限定されない。本発明の実施例は、パワー・スイッチング・デバイスを含め、他のトランジスタ・デバイスとともに用いられ得ることが理解されるであろう。
図1A~
図1D(及びいくつかの他の図)は非常に単純化された図であること、及び、実際のトランジスタ・デバイスは本明細書における単純化された図に示されない、より多くの単位セル並びに様々な回路及び要素を含み得ることが認識されるであろう。より包括的には、本明細書における図は、識別及び説明のために構造を表すことを意図しており、構造を物理的なスケールで表すことを意図していない。
【0073】
図1Aに示すように、III族窒化物ベースのトランジスタ・デバイス100は、本明細書において、パッケージ化されたトランジスタ・デバイスとも呼ばれる、パッケージ170内に取り付けられるトランジスタ・ダイ110を含む。いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイス100は、RF範囲における入力信号で動作するように構成されたRFトランジスタ増幅器デバイス100であり得るが、本開示の実施例はそれに限定されない。パッケージ170は、1つ又は複数の電気伝導性パッケージ・リード、例えば、1つ又は複数の入力(例えば、ゲート)リード172及び1つ又は複数の出力(例えば、ドレイン)リード174を上に有するサブマウント(本明細書においてベース又はフランジとも呼ばれる)176を含む。トランジスタ・ダイ110は、サブマウント176の上面に取り付けられる。サブマウント176は、電気伝導性アタッチメント面、例えば、熱伝導性ヒート・シンクとして働く金属基板(又は「スラグ」)であってもよく又はそれを含んでもよい。いくつかの実施例では、サブマウント176は付加的又は代替的に、半導体処理技術を用いて作製された導電性層、金属トレースを有するプリント回路基板、及び/又は、導電性ビア及び/又はパッドを含むセラミック基板を含む再配線層(RDL:redistribution layer)積層構造を含む。いくつかの実施例では、金属リード・フレームが形成され、次いで処理されて、金属サブマウント176及び/又はパッケージ・リード(例えば、ゲート・リード及びドレイン・リード)172及び174を提供し得る。トランジスタ・デバイス100はまた、トランジスタ・ダイ110と、パッケージ・リード172、174と、金属サブマウント176とを少なくとも部分的に囲むハウジング178(例えば、プラスチック・オーバーモールド)を含む。
【0074】
トランジスタ・ダイ110は、上側112及び下側114を有する。トランジスタ・ダイ110は、順次に積層される、下側(「裏」側とも呼ばれる)メタライゼーション構造120、半導体層構造130、及び上側メタライゼーション構造140を含む。裏側メタライゼーション構造120は、金属ソース端子126を含む。トランジスタ・デバイス100は、HEMTベースのトランジスタ・デバイスであり得、その場合、半導体層構造130は、典型的には基板322(下記で詳細に論じられる
図1Cを参照)上に形成される少なくともチャネル層324及びバリア層326を含み得る。基板322は、半導体又は絶縁性成長基板(SiC又はサファイア基板など)であってもよい。成長基板は、非半導体材料から形成される場合であっても、半導体層構造130の一部であるとみなされ得る。本明細書において、「半導体層構造」という用語は、1つ又は複数の半導体層、例えば、半導体基板及び/又は半導体エピタキシャル層を含む構造を指す。上側メタライゼーション構造140は、とりわけ、金属ゲート端子142及び金属ドレイン端子144を含む。
【0075】
入力整合回路190及び/又は出力整合回路192もまた、パッケージ170内に取り付けられ得る。整合回路190、192は、トランジスタ・デバイス100への信号入力又はトランジスタ・デバイス100からの信号出力の基本成分のインピーダンスをトランジスタ・ダイ110の入力又は出力それぞれにおけるインピーダンスに整合させるインピーダンス整合回路、及び/又は、2次高調波又は3次高調波などの、トランジスタ・ダイ110の入力又は出力に存在し得る信号の基本周波数の高調波を接地短絡するように構成される高調波終端回路であり得る。
図1Aに概略的に示されるように、入力及び出力整合回路190、192は、金属サブマウント176に取り付けられ得る。ゲート・リード172が、1つ又は複数の第1のボンド・ワイヤ182によって入力整合回路190に接続され得、入力整合回路190は、1つ又は複数の第2のボンド・ワイヤ183によってトランジスタ・ダイ110のゲート端子142に接続され得る。同様に、ドレイン・リード174は、1つ又は複数の第4のボンド・ワイヤ185によって出力整合回路192に接続され得、出力整合回路192は、1つ又は複数の第3のボンド・ワイヤ184によってトランジスタ・ダイ110のドレイン端子144に接続され得る。トランジスタ・ダイ110のソース端子126は、金属サブマウント176に直接取り付けられ得る。金属サブマウント176は、ソース端子126に電気的接続を提供し得、放熱構造としても役目を果たし得る。第1のボンド・ワイヤ182~第4のボンド・ワイヤ185は、入力整合回路及び/又は出力整合回路の一部を形成し得る。ゲート・リード172及びドレイン・リード174は、ハウジング178を通って延び得る。
【0076】
図1Aはプラスチック・オーバーモールド178を組み込んでいるパッケージ170を示しているが、本開示の実施例はそのようなパッケージ構成に限定されない。
図1Eは、
図1Aを参照しながら上述したトランジスタ・デバイス100と同様である、別の実例のパッケージ化されたIII族窒化物ベースのトランジスタ・デバイス100’の概略側面図である。トランジスタ・デバイス100’は、異なるパッケージ170’を含むという点で
図1Aのトランジスタ・デバイス100とは異なる。パッケージ170’は、金属サブマウント176(金属ヒート・シンクとして働き、金属スラグとして実施することができる)、並びにゲート・リード172’及びドレイン・リード174’を含む。いくつかの実施例では、金属リード・フレームが形成され得、次いで、この金属リード・フレームが処理されて金属サブマウント176、及び/又は、ゲート・リード172’及びドレイン・リード174’を提供し得る。トランジスタ・デバイス100’もまた、トランジスタ・ダイ110と、リード172’、174’と、金属サブマウント176とを少なくとも部分的に囲むハウジング178’を含む。ハウジング178’は、いくつかの実施例ではセラミック・ハウジングを含み得、ゲート・リード172’及びドレイン・リード174’は、ハウジング178’を通って延び得る。いくつかの実施例では、ハウジング178’は、プラスチック及び/又はプリント回路基板を含み得る。ハウジング178’は、側壁の下部を形成するとともにゲート・リード172’及びドレイン・リード174’を支持するフレーム並びにフレームの上に配置される蓋など、複数の部片を含み得る。デバイスの内部は、空気で満たされたキャビティを含み得る。
図1Eのハウジング178’の側壁及び蓋は、
図1Aに示されたトランジスタ・デバイス100に含まれるプラスチック・オーバーモールド178の代わりとなる。
【0077】
ボンド・ワイヤ配置を含め、トランジスタ・ダイ110、入力整合回路190、及び出力整合回路192の
図1A及び
図1Eにおける配置は、単に実例にすぎず、本開示を限定することを意図しない。実施例に応じて、パッケージ化されたトランジスタ・デバイス100は例えば、トランジスタ・デバイス110としてモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC:monolithic microwave integrated circuit)を含むことができ、その場合、トランジスタ・ダイ110は、複数の個別デバイスを組み込む。トランジスタ・ダイ110がMMIC実装である場合、入力整合回路190及び/又は出力整合回路192は、(それらが代わりにトランジスタ・ダイ110内に実装され得るため)省かれてもよく、ボンド・ワイヤ182及び/又は185は、ゲート・リード172及びドレイン・リード174からゲート端子142及びドレイン端子144へ直接延びてもよい。いくつかの実施例では、パッケージ化されたトランジスタ・デバイス100、100’は、直列に接続されて多段トランジスタ・デバイスを形成する複数のトランジスタ・ダイを含むことができ、及び/又は、複数の増幅器経路(例えば、並列)で配置されて、二重経路ドライバ増幅器及び/又はドハティ増幅器構成においてなど、複数のトランジスタ・ダイ及び複数の経路を有するトランジスタ・デバイスを形成する、複数のトランジスタ・ダイを含み得る。
【0078】
いくつかの実施例では、入力整合回路190及び/又は出力整合回路192は省かれてもよい。いくつかの実施例では、ボンド・ワイヤ182~185は省かれてもよい。例えば、いくつかの実施例では、入力整合回路190及び/又は出力整合回路192は、2020年9月11日に出願された「RF AMPLIFIER DEVICES AND METHODS OF MANUFACTURING」と題する米国特許出願シリアル番号第17/018,762号、及び、2020年9月11日に出願された「PACKAGING FOR RF TRANSISTOR AMPLIFIERS」と題する米国特許出願シリアル番号第17/018,721号に記載されたもののような相互接続回路及び/又は回路モジュールを使用して組み込まれ得、それら米国特許出願の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
図1Bは、上側メタライゼーション構造140の一部を通してとられたトランジスタ・ダイ110の概略水平断面図である。上側メタライゼーション構造140の様々な導電性要素を互いから絶縁する誘電体層は、図面を簡単にするために
図1Bには示されていない。
【0080】
図1Bに示すように、トランジスタ・ダイ110は実例として、ゲート・フィンガ152、ドレイン・フィンガ154及びソース・フィンガ156をそれぞれが含む複数の単位セル・トランジスタ116を有するIII族窒化物ベースのHEMTトランジスタ・デバイスとして示されている。しかしながら、トランジスタ・ダイ110は、例えば、シリコンLDMOSトランジスタなど、異なる技術で実装され得ることが認識されるであろう。ゲート・フィンガ152は、共通ゲート・バス147に電気的に接続され、ドレイン・フィンガ154は、共通ドレイン・バス148に電気的に接続される。ゲート・バス147は、ゲート・ボンド・パッドとして実装されるゲート端子142(
図1Aを参照))に(例えば、金属などの堆積された導電性材料を介して)電気的に接続され、ドレイン・バス148は、ドレイン・ボンド・パッドとして実装されるドレイン端子144(
図1Aを参照)に(例えば、金属などの堆積された導電性材料を介して)電気的に接続される。ソース・フィンガ156は、半導体層構造130を通って延びる複数の導電性ソース・ビア166を介してソース端子126に電気的に接続される。導電性ソース・ビア166は、半導体層構造130を完全に通って延びる金属めっきされたビアであり得る。
図1Bに示されるゲート・フィンガ152、ドレイン・フィンガ154、及びソース・フィンガ156の数は、単に実例にすぎず、トランジスタ・ダイ110に存在するゲート・フィンガ152、ドレイン・フィンガ154、及びソース・フィンガ156の総数は、
図1Bに示した数よりも多くても少なくてもよい。
【0081】
トランジスタ・ダイ110に組み込まれる単位セル・トランジスタ116の数により、トランジスタ・ダイ110は、最長寸法Wを有し得る。
図1Bにおいて、最長寸法Wは、対角線方向(例えば、平面図内において第1の下部左隅から第2の上部右隅)にあるものとして示されているが、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施例では、トランジスタ・ダイ110の最長寸法Wは3.5mm超であり得る。いくつかの実施例では、トランジスタ・ダイの最長寸法Wは5mm超であり得る。いくつかの実施例では、トランジスタ・デバイスの最長寸法Wは4mm~10mmの間であり得る。トランジスタ・ダイ110の最長寸法は他のタイプのデバイスの最長寸法よりも大きいものであり得るため、トランジスタ・ダイ110をサブマウント176に結合するために使用される材料は、熱衝撃/熱サイクル動作に存在するもののような、急激な温度変化に対して特に脆弱であり得る。
【0082】
図1Cを参照すると、III族窒化物半導体HEMTのための半導体構造などの半導体層構造130は、炭化ケイ素SiC基板又はサファイア基板などの基板322上に形成され得る。基板322は、例えば4Hポリタイプの炭化ケイ素(SiC)であってもよい半絶縁性炭化ケイ素基板であり得る。他の炭化ケイ素候補ポリタイプとして、3C、6H、及び15Rポリタイプが挙げられ得る。基板は、Cree,Inc.から入手可能な高純度半絶縁性(HPSI:High Purity Semi-Insulating)基板であってもよい。「半絶縁性」という用語は、絶対的な意味ではなく、本明細書において説明的に使用される。
【0083】
本発明のいくつかの実施例では、基板322の炭化ケイ素バルク結晶は、室温で約1x105オーム-cm以上の抵抗率を有し得る。本発明のいくつかの実施例において使用され得る例示的なSiC基板は、例えば、本発明の譲受人である、ノースカロライナ州ダラムのCree,Inc.によって製造され、そのような基板を製造する方法は、例えば、米国再発行特許第34,861号、米国特許第4,946,547号、米国特許第5,200,022号、及び米国特許第6,218,680号において記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。炭化ケイ素は基板材料として使用され得るが、本出願の実施例は、サファイア(Al2O3)、窒化アルミニウム(AIN)、窒化アルミニウム・ガリウム(AlGaN)、窒化ガリウム(GaN)、シリコン(Si)、GaAs、LGO、酸化亜鉛(ZnO)、LAO、リン化インジウム(InP)などのような任意の適切な基板を用い得る。基板322は、炭化ケイ素ウェハであってもよく、トランジスタ・ダイ110は、少なくとも部分的に、ウェハ・レベル処理を介して形成されてもよく、次いで、ウェハは、複数のトランジスタ・ダイ110を提供するためにダイシングされてもよい。
【0084】
基板322は、下面322A及び上面322Bを有し得る。いくつかの実施例では、トランジスタ・ダイ110の基板322は、薄型基板322であり得る。いくつかの実施例では、基板322の厚さ(例えば、
図1Cにおける垂直Z方向における)は、150μm以下であり得る。いくつかの実施例では、基板322の厚さは、100μm以下であり得る。いくつかの実施例では、基板322の厚さは、75μm以下であり得る。いくつかの実施例では、基板322の厚さは、50μm以下であり得る。
【0085】
チャネル層324が基板322の上面322Bに(又は本明細書においてさらに説明される任意選択の層上に)形成され、バリア層326がチャネル層324の上面に形成される。チャネル層324及びバリア層326はそれぞれ、いくつかの実施例ではエピタキシャル成長によって形成され得る。III族窒化物のエピタキシャル成長のための技法は、例えば、米国特許第5,210,051号、米国特許第5,393,993号、及び米国特許第5,523,589号において記載されており、これらの開示もまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。チャネル層324は、バリア層326のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有し得、チャネル層324はまた、バリア層326よりも大きい電子親和力も有し得る。チャネル層324及びバリア層326は、III族窒化物ベースの材料を含み得る。
【0086】
いくつかの実施例では、チャネル層324は、チャネル層324の伝導帯縁のエネルギーがチャネル層324とバリア層326との間の境界面におけるバリア層326の伝導帯縁のエネルギーよりも小さいという条件で、AlxGa1-xN、0≦x<1のような、III族窒化物であり得る。本発明の特定の実施例では、x=0であり、チャネル層324がGaNであることを示す。チャネル層324はまた、InGaN、AllnGaNなどのような他のIII族窒化物であり得る。チャネル層324は、ドープされなくて(「意図せずにドープされて」)もよく、約0.002μm超の厚さまで成長させてもよい。チャネル層324はまた、超格子又はGaN、AlGaNなどの組み合わせのような、多層構造であってもよい。チャネル層324は、いくつかの実施例では圧縮歪みを受けていてもよい。
【0087】
いくつかの実施例では、バリア層326は、AlN、AlInN、AlGaN若しくはAlInGaN、又はそれらの層の組み合わせである。バリア層326は、単層を含んでもよく、又は多層構造であってもよい。本発明の特定の実施例では、バリア層326は、バリア層326がオーミック・コンタクト金属の下に埋め込まれる場合、分極効果によりチャネル層324とバリア層326との間の境界面に著しいキャリア濃度を誘導するのに十分に厚さがあり得るとともに十分に高いアルミニウム(AI)組成及びドーピングを有し得る。バリア層326は例えば、約0.1nm~約30nmの厚さであり得るが、内部に亀裂又はかなりの欠陥形成を生じさせるほど厚くはない。15~30nmの範囲のバリア層厚さが一般的である。特定の実施例では、バリア層326は、ドープされないか、又は、n型ドーパントで約1019cm-3未満の濃度までドープされる。本発明のいくつかの実施例では、バリア層326はAlxGa1-xNであり、0<x<1である。特定の実施例では、アルミニウム濃度は約25%である。しかしながら、本発明の他の実施例では、バリア層326は、約5%~約100%未満の間のアルミニウム濃度を有するAlGaNを含む。本発明の特定の実施例では、アルミニウム濃度は約10%超である。チャネル層324及び/又はバリア層326は、例えば、有機金属化学気相成長法(MOCVD:metal-organic chemical vapor deposition)、分子線エピタキシ法(MBE:molecular beam epitaxy)、又は水素化物気相エピタキシ法(HVPE:hydride vapor phase epitaxy)によって堆積され得る。2DEG層が、チャネル層324とバリア層326との間の接合部においてチャネル層324内に誘導される。2DEG層は、ソース・フィンガ156とドレイン・フィンガ154それぞれの下にある、デバイスのソース領域とドレイン領域との間の導電を可能にする高導電層として働く。チャネル層324及びバリア層326は、半導体層構造130の一部を形成する。
【0088】
半導体層構造130は、説明のため、チャネル層324及びバリア層326とともに示されているが、半導体層構造130は、チャネル層324と基板322との間にバッファ層及び/又は核形成層(複数可)、及び/又は、バリア層326上のキャップ層などの、さらなる層/構造/要素を含み得る。基板、チャネル層、バリア層、及び他の層を含むHEMT構造は、実例として、米国特許第5,192,987号、米国特許第5,296,395号、米国特許第6,316,793号、米国特許第6,548,333号、米国特許第7,544,963号、米国特許第7,548,112号、米国特許第7,592,211号、米国特許第7,615,774号、米国特許第7,548,112号、及び米国特許第7,709,269号において記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、AlNバッファ層が、基板322の上面322Bに形成されて、基板322と半導体層構造130の残りの部分との間に適切な結晶構造転移をもたらし得る。さらに、歪み平衡転移層(複数可)が同様に及び/又は代替的に、例えば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,030,428号に記載されているように提供されてもよく、この開示は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。任意選択のバッファ層/核形成層/転移層は、MOCVD、MBE、及び/又はHVPEによって堆積され得る。
【0089】
ソース・フィンガ156は、例えば接地電圧などの基準信号に結合され得る。基準信号への結合は、基板322の下面322Aから基板322を通ってバリア層の上面326Aに延びるビア166によって提供され得る。ビア166は、ソース・フィンガ156の底面を露出し得るが、本開示はそれに限定されない。バックメタル層136が、基板322の下面322A及びビア166の側壁に形成され得る。バックメタル層136は、ソース・フィンガ156に電気的に接続され得る。
【0090】
図1A及び
図1Dを参照すると、金属サブマウント176は、トランジスタ・ダイ110内に生成される熱を放散するヒート・シンクとして働き得る。熱は主として、比較的高い電流密度が例えば単位セル・トランジスタ116のチャネル領域内に生成される、トランジスタ・ダイ110の上部内に生成される。この熱は、(例えば、半導体層構造130を介して)金属サブマウント176に移動され得る。
【0091】
バックメタル層136は、サブマウント176上のサブマウント・コンタクト層146に接続され得る。いくつかの実施例では、バックメタル層136及びサブマウント・コンタクト層146は、ソース端子126のいくつかの部分を形成し得る。バックメタル層136は、基板コンタクト層134及び金属結合層135を含み得る。金属結合層135は、基板コンタクト層134とサブマウント・コンタクト層146との間に結合部を形成するために用いられ得る。いくつかの実施例では、基板コンタクト層134とサブマウント・コンタクト層146との間の結合部は、熱伝導性及び/又は電気伝導性であり得る。いくつかの実施例では、基板コンタクト層134及び/又はサブマウント・コンタクト層146は任意選択であってもよく、存在しなくてもよい。
【0092】
いくつかの実施例では、基板コンタクト層134は、Ti、TiW、及び/又はAuを含み得るが、本開示の実施例はそれらに限定されない。いくつかの実施例では、基板コンタクト層134は、Ti、TiW、及び/又はAu以外の材料を含有してもよく、又はそれらの他に材料を含有してもよい。いくつかの実施例では、基板コンタクト層134は、それぞれ3000~6000Å厚さであるTi層及び/又はTiW層を含み得る。いくつかの実施例では、Auの層(例えば、2μm~8μmの間)が、基板コンタクト層134におけるTi層及び/又はTiW層上にあってもよい。いくつかの実施例では、サブマウント・コンタクト層146は、基板コンタクト層134と同様に形成されてもよい(例えば、2μm~8μmのAu層を含んでもよい)が、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施例では、Au層は、存在しなくてもよく、又は本明細書において説明されるものとは異なる厚さを有してもよい。いくつかの実施例では、本発明の範囲から逸脱することなく、基板コンタクト層134及び/又はサブマウント・コンタクト層146は、説明されるものよりも多くの又は少ない層を含んでもよく、異なる材料又は材料組成の層を含んでもよく、層は、説明されるものとは異なる順序にあってもよく、及び/又は説明されるものとは異なる厚さを有してもよい。
【0093】
図1Dを参照すると、金属結合層135は、基板コンタクト層134とサブマウント・コンタクト層146との間に形成され得る。いくつかの実施例では、金属結合層135は、ビア166内にある、基板コンタクト層134のいくつかの部分にあり得る。したがって、金属結合層135のいくつかの部分は、サブマウント176よりも上の、基板322、チャネル層324、及び/又はバリア層326のいくつかの部分と同じ高さ及び/又はレベルにあり得る。
【0094】
金属結合層135は、重量でニッケル(Ni)及びスズ(Sn)が主である。詳細には、金属結合層135は、50重量パーセントよりも多いニッケル及びスズ、いくつかの実施例では75重量パーセントよりも多いニッケル及びスズ、いくつかの実施例では85重量パーセントよりも多いニッケル及びスズを含む。いくつかの実施例では、金属結合層135は、ニッケル-スズ合金を含み得る。
【0095】
金属結合層135は、半導体ウェハを互いに結合する方法を提供する。この態様では、金属結合層135をつくり出す方法は、2つの半導体ウェハ間の多層金属構造を加熱するステップを含む。複数の層は、隣接する第1の金属層及び第2の金属層(例えば、Sn及びNi)を含み、第1の金属層(Sn)が第2の金属層(Ni)よりも低い融点を有する(例えば、232℃でのSnの融点vs.1455℃でのNiの融点)。金属構造は、加熱ステップ時に第2の層(Ni)単独と反応することによって消費される量よりも多いが2つの結合されたウェハ間の機能過剰な第1の金属(Sn)を提供する量よりも少ない、相対量の第1の金属層(Sn)を有する。加熱ステップは、第1の層(Sn)が第2の層(Ni)及び隣接するウェハの表面と略完全に反応するまで第1の層(Sn)の融点と第2の層(Ni)の融点との間の温度で実行される。
【0096】
本明細書において使用される場合、「機能反応過剰」とは、低い方の融点に近づく又は近い温度で結合部の機能に悪影響を及ぼす、融点の低い方の金属の量を指す。第2のニッケル層(融点1455℃)に隣接する第1のスズ層(融点232℃)に関して実例として述べると、十分な量の未反応のスズが加熱ステップ後に残っているとする場合、温度がまさに232℃を超えると、スズが溶融し、結合系の目的が果たせなくなる。したがって、金属の相対量は、融点の低い方の金属の少量又は小領域が反応後に残り得るが結合部をそのような不所望な低温度で溶融させるには不十分であるように選択される。これは、結合された構造の機械的完全性を妥協する。すなわち、金属結合層135の反応後融点は、低い方の融点を有する金属層の融点よりも高い。したがって、従来の実施は、高出力、高温の印加なしに、Snの使用を回避したこともある。しかしながら、2つの結合されたウェハ間に機能過剰をもたらす量よりも少ない量でSnを使用することにより、過剰なSnが高温動作下での問題に対して脆弱な構造となるリスクが減る。
【0097】
詳細には、2つの層の情況では、金属構造が最初に第1のウェハ上に配置され、融点の高い方の(第2の)金属が第1のウェハと融点の低い方の(第1の)金属層との間に配置される、すなわち、融点の低い方の層は「露出させ」られる。その結果、融点の低い方の金属は、溶融すると、第2の金属及び第2のウェハの両方と接触することになる。別の言い方をすれば、Ni-Snの実施例では、融点の低い方の金属(Sn)は、温度の高い方の金属(Ni)及び第2の基板の両方を濡らすように所定位置にあり得る。
【0098】
加熱ステップはまた典型的に、結合/アタッチメント・プロセスの加熱ステップ中に金属層間に形成する合金又は化合物の融点よりも低い温度で実行される。「加熱ステップ中」という語句は、特許請求の範囲において記載される相対量及びこれら相対量が反応するやり方が、金属が接触し得るかもしれない経時的な何らかの他の持続時間に関してではなく、サブマウントへのアタッチメントをもたらす加熱ステップに関してのものであると理解されることをはっきりさせるために使用される。
【0099】
ニッケル-スズ系が本発明の目的に例示的且つ有用である(特に以前の金-スズ系よりも高い処理量及びより低いコストを含む)が、温度の低い方の金属はまた、有用な代替物として、ビスマス又はその組み合わせを有する、スズ以外であるように選択されてもよい。同様に、融点温度の高い方の金属は、例としてニッケルが提示されているが、ニッケル、コバルト、鉄、銅及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0100】
部分的に、第1の金属層と第2の金属層との間の機能反応に起因して、金属結合層135は、構成成分である第1の金属層と第2の金属層との合金(例えば、NiSn合金)を含み得る。金属が化合物を形成するため、加熱ステップは典型的に、約250℃以上の温度で実行することができる。金属単独に関して、加熱ステップについての上限は、結合系における金属によって形成される合金の融点によって定められる。そのような理論上の上限界は典型的に、比較的高く、すなわち、約30~70重量パーセントのスズに及ぶNi-Sn化合物の融点はすべて750℃超である。したがって、実際的な上限は通常、基板の熱特性又は基板におけるデバイスの熱特性に基づいて選択される。これらは概して、はるかに低く、例えば、本明細書において記載されているように、III族窒化物層は好ましくは、他のプロセス・ステップ中、約300℃未満に維持される。2つの金属の合金の融点が、融点の低い方の金属(例えば、スズ)の融点よりもはるかに高いため、金属結合層135を形成するために用いられる温度は、結果として得られる合金の再溶融温度よりもはるかに低いものであり得る。結果として、ニッケルとスズとの合金から形成される金属結合層135は、構成成分である金属層(例えば、Snなどの第1の金属層)のうちの1つ又は複数よりも高い処理温度及び/又は動作温度に耐えることができるものであり得る。それに対し、従来のAuSn合金は、存在するSnの量に応じて、280~320℃の間などの、NiSn合金の温度よりもはるかに低い温度で再溶融し得る。したがって、金属結合層135は、形成されると、好都合には従来のデバイスよりも高い温度で処理及び/又は動作を行い得る。
【0101】
いくつかの実施例では、金属結合層135は、第1の部分135A及び第2の部分135Bを含み得る。金属結合層135の第1の部分135Aは、(例えば、
図1Dにおける垂直方向すなわちZ方向に)基板322とサブマウント176との間に位置付けられ得る。金属結合層135の第2の部分135Bは、ビア166の側壁に位置付けられ得る。いくつかの実施例では、金属結合層135の第1の部分135Aの組成及び/又は物理的特性は、金属結合層135の第2の部分135Bの組成及び/又は物理的特性とは異なり得る。例えば、金属結合層135を形成するプロセスの一部として、圧力(例えば、下向きの圧力)がトランジスタ・ダイ110に印加されて、サブマウント176との接触を容易にし得る。トランジスタ・ダイ110とサブマウント176との間の金属結合層135の第1の部分135Aの位置に起因して、第1の部分135Aは、第2の部分135Bよりも(例えば垂直Z方向に)薄いものであり得る。また、金属結合層135の第1の部分135Aとサブマウント176のコンタクト層146との間の接触に起因して、金属結合層135の第1の部分135Aの組成は、相互混入に起因してコンタクト層146からの成分を含み得る。金属結合層135の第2の部分135bは、そのような成分がないものであり得る。さらに、いくつかの実施例では、第1の部分135Aへの圧力の印加により、第1の部分135Aにおける第1の金属層と第2の金属層との合金(例えば、NiSn合金)の組成を第2の部分135Bの組成とは異なるものにし得る。例えば、金属結合層135の形成時における熱(例えば、基板176を介して)及び/又は圧力の印加中、異なる量の第1の金属層(例えば、Sn)が第2の金属層(例えば、Ni)と反応し得る。例えば、いくつかの実施例では、金属結合層135の第2の部分135Bは、第1の部分135Aよりも大量の未反応部分の第1の金属又は第2の金属を含有し得る。
【0102】
金属結合層135は、第1の方向(例えば、
図1Dにおける垂直方向)にトランジスタ・ダイ110から隔たれ得る。金属結合層135は、第1の方向に対して垂直である第2の方向(例えば、
図1B及び
図1Dにおける水平方向)にトランジスタ・ダイ110の最長寸法Wを有し得る。例えば、金属結合層135は、3.5mmを超える少なくとも1つの最長寸法を有してもよい。
【0103】
図1Dは金属結合層135が単一のコレクティブ層であることを示しているが、本開示はそれに限定されないことが理解されるであろう。いくつかの実施例では、金属結合層135は、複数の層を含有し得る。例えば、いくつかの実施例では、金属結合層135は、第1の金属(例えば、Sn)の1つ又は複数の層、第2の金属(例えば、Ni)の1つ又は複数の層、さらなる金属(例えば、Au、Ti)の1つ又は複数の層、結合バリア金属(例えば、白金Pt)の1つ又は複数の層、及び/又は、前述の金属のうちの少なくとも2つの合金の1つ又は複数の層を含み得る。
【0104】
上述したように、金属結合層135は、金属結合積層体の複数の層に熱及び/又は圧力を印加することによって形成され得る。
図2A及び
図2Bは、本開示の様々な実施例による例示的な金属結合積層体の概略断面図である。
図2A及び
図2Bは、トランジスタ・ダイ110をサブマウント176に結合する金属結合層135の形成前の、
図1D(例えば、
図1CのエリアD)に示されたものと同様である、トランジスタ・ダイ110のエリアを表す。
【0105】
図2Aを参照すると、金属結合積層体435が、基板コンタクト層134に形成され得、この基板コンタクト層がさらに、トランジスタ・ダイ110の基板322に形成され得る。基板コンタクト層134は、Ti、TiW、及び/又はAuの1つ又は複数の層を含み得るが、本発明はそれらに限定されない。いくつかの実施例では、基板コンタクト層134は、Ti、TiW、及び/又はAu以外の材料を含有してもよく、又はそれらの他に材料を含有してもよい。いくつかの実施例では、Ti及び/又はTiWは、基板322にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、Ti層及び/又はTiW層のそれぞれは、3000~6000Å厚さであり得る。いくつかの実施例では、Auの層(例えば、1000~3000Å)がTi及び/又はTiWにスパッタリングされ得、その後、スパッタリングされたAuにめっき(例えば、2μm超)することによってAuのより厚い層が形成されて、基板コンタクト層134を形成し得る。いくつかの実施例では、Au層は存在しなくてもよく、又は、本明細書において説明されるものとは異なる厚さを有してもよい。いくつかの実施例では、本発明の範囲から逸脱することなく、基板コンタクト層134は、説明されるものよりも多くの又は少ない層を含んでもよく、異なる材料又は材料組成の層を含んでもよく、層は、説明されるものとは異なる順序にあってもよく、及び/又は説明されるものとは異なる厚さを有してもよい。
【0106】
金属結合積層体435は、順次に積層される層を含み得る。金属結合積層体435は、例えば、基板コンタクト層134の最も近くから、基板コンタクト層134から最も遠くにかけての順に、接着層402(例えば、Ti)、結合バリア層404(例えば、Pt)、ニッケル層406、スズ層408、及び金層410を含有し得る。
【0107】
接着層402は、基板コンタクト層134にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、接着層402は、Tiから形成され得る。いくつかの実施例では、接着層402は、250~750Åの間の厚さを有するように形成され得る。接着層402は、金属結合積層体435のさらなる層を基板コンタクト層134に取着することを補助し得る。
【0108】
結合バリア層404は、接着層402にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、結合バリア層404は、Ptから形成され得る。いくつかの実施例では、結合バリア層404は、1200~1800Åの間の厚さを有するように形成され得る。結合バリア層404は、スズがスズ層408からニッケル層406を通って接着層402に移動することを低減及び/又は防止し得る。結合バリア層404は、すべての実施例において存在しなくてもよい。
【0109】
ニッケル層406は、結合バリア層404にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、ニッケル層406は、4500~7500Åの間の厚さを有するように形成され得る。スズ層408は、ニッケル層406にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、スズ層408は、1.5μm~4.5μmの間の厚さを有するように形成され得る。例示的な値がニッケル層406及びスズ層408の厚さについて示されているが、本開示はこれらの厚さに限定されない。一般的に述べると、ニッケル層406及びスズ層408の相対的な厚さは、隣接するニッケル層と反応して所望のNi-Sn組成をもたらしつつ、なおも、さらなるスズを提供して他の隣接する金属層を濡らすとともにそれら金属層と反応する量のスズを提供するのに十分であるように選択され得る。
【0110】
金層410は、スズ層408にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、金層410は、150~450Åの間の厚さを有するように形成され得る。金層410は、ボンディング接続を高めるために使用され得るが、以前に使用されたよりもはるかに少ない量で設けられてもよい。
【0111】
金属結合積層体435は、基板322の下部及びビア166の側壁に形成され得る。金属結合積層体435を設けたトランジスタ・ダイ110が、サブマウント・コンタクト層146及びサブマウント176に配置され得る。いくつかの実施例では、金属結合積層体435は、サブマウント・コンタクト層146又はサブマウント176に直接接触する少なくとも一部を有するように配置され得るが、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施例では、サブマウント結合積層体は、金属結合積層体435とサブマウント176との間にあるようにサブマウント・コンタクト層146又はサブマウント176にさらに存在してもよい。サブマウント結合積層体は、存在する場合、金属結合積層体435と同様であり得る。すなわち、サブマウント結合積層体は、金属結合積層体435に対して同様の量でNi及びSnを含み得る。しかしながら、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施例では、基板コンタクト層134及び/又はサブマウント・コンタクト層146は任意選択であってもよく、存在しなくてもよい。いくつかの実施例では、本発明の範囲から逸脱することなく、基板コンタクト層134及び/又はサブマウント・コンタクト層146は、説明されるものよりも多くの又は少ない層を含んでもよく、異なる材料又は材料組成の層を含んでもよく、層は、説明されるものとは異なる順序にあってもよく、及び/又は説明されるものとは異なる厚さを有してもよい。
【0112】
金属結合積層体435がサブマウント・コンタクト層146又はサブマウント176に隣接して配置されると、熱及び/又は圧力がトランジスタ・ダイ110とサブマウント176とを組み合わせたものに印加されて、金属結合層135を形成し得る(
図1Dを参照)。
【0113】
図2Bは、本開示のいくつかの実施例による、別の例の金属結合積層体535の概略断面図である。例えば、金属結合積層体535は、選択的に積層される層を含み得る。金属結合積層体535は、例えば、基板コンタクト層134の最も近くから、基板コンタクト層134から最も遠くにかけての順に、接着層402(例えば、Ti)、結合バリア層404(例えば、Pt)、第1のニッケル層506、第1のスズ層508、第1の金層510、第2のニッケル層512、第2のスズ層514、及び第2の金層516を含有し得る。
【0114】
図2Bの基板コンタクト層134、接着層402、及び結合バリア層404の形成及び構造は、
図2Aに関して説明した基板コンタクト層134、接着層402、及び結合バリア層404と同様であり得、したがって、その重複する説明は省く。
【0115】
第1のニッケル層506は、結合バリア層404にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、第1のニッケル層506は、4000~6500Åの間の厚さを有するように形成され得る。第1のスズ層508は、第1のニッケル層506にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、第1のスズ層508は、1.25μm~2.0μmの間の厚さを有するように形成され得る。第1の金層510は、第1のスズ層508にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、第1の金層510は、140~180Åの間の厚さを有するように形成され得る。いくつかの実施例では、第1の金層510は存在しなくてもよい。第2のニッケル層512は、第1の金層510(存在する場合)又は第1のスズ層508にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、第2のニッケル層512は、6800~7750Åの間の厚さを有するように形成され得る。第2のスズ層514は、第2のニッケル層512にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、第2のスズ層514は、1.25μm~2.0μmの間の厚さを有するように形成され得る。第2の金層516は、第2のスズ層514にスパッタリングされ得る。いくつかの実施例では、第2の金層516は、300~380Åの間の厚さを有するように形成され得る。
【0116】
例示的な値が第1のニッケル層506、第1のスズ層508、第2のニッケル層512、及び第2のスズ層514の厚さについて示されているが、本開示はこれらの厚さに限定されない。一般的に述べると、第1のニッケル層506、第1のスズ層508、第2のニッケル層512、及び第2のスズ層514の相対的な厚さは、隣接するニッケル層と反応して所望のNi-Sn組成をもたらしつつ、なおも、さらなるスズを提供して他の隣接する金属層を濡らすとともにそれら金属層と反応する量のスズを提供するのに十分であるように選択され得る。複数のニッケル層及びスズ層の使用により、一緒に反応するニッケル及びスズの量が増加するとともに、結果として得られる金属結合層135に残っている未反応スズの量が低減し得る。
【0117】
図2Aの金属結合積層体435の場合のように、
図2Bの金属結合積層体535は、基板322の下部及びビア166の側壁に形成され得る。金属結合積層体535を設けたトランジスタ・ダイ110が、サブマウント・コンタクト層146及びサブマウント176に配置され得る。いくつかの実施例では、金属結合積層体535の少なくとも一部は、サブマウント・コンタクト層146又はサブマウント176と直接接触するように配置され得るが、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施例では、サブマウント結合積層体がさらに、金属結合積層体535とサブマウント176との間にあるようにサブマウント・コンタクト層146又はサブマウント176に存在し得る。サブマウント結合積層体は、存在する場合、金属結合積層体535及び/又は
図2Aに関して説明した金属結合積層体435と同様であり得る。すなわち、サブマウント結合積層体は、金属結合積層体435又は金属結合積層体535と同様の量でNi及びSnを含み得る。いくつかの実施例では、基板コンタクト層134及び/又はサブマウント・コンタクト層146は任意選択であってもよく、存在しなくてもよい。いくつかの実施例では、本発明の範囲から逸脱することなく、基板コンタクト層134及び/又はサブマウント・コンタクト層146は、説明されるものよりも多くの又は少ない層を含んでもよく、異なる材料又は材料組成の層を含んでもよく、層は、説明されるものとは異なる順序にあってもよく、及び/又は説明されるものとは異なる厚さを有してもよい。
【0118】
図2Bの金属結合積層体535の実施例は、さらなる第2のニッケル層512、第2のスズ層514、第2の金層516が、第1のニッケル層、第1のスズ層、及び第1の金層に形成されるという点で、
図2Aの金属結合積層体435とは異なり得る。さらなる層は、より高いダイ剪断をもたらし得、熱応力に対してより堅牢性をもたらし得る。例えば、金属結合積層体535内におけるさらなるニッケル及び/又は金は、結果として得られる金属結合層における未反応スズの面積を低減させ得る。
【0119】
図1A~
図2Bは、HEMTとして組み込まれるトランジスタ・デバイスにおいて金属結合層を提供するために金属結合積層体を用いることを示しているが、本開示はそれに限定されない。
図3A及び
図3Bは、縦型金属酸化物半導体電解効果トランジスタ(MOSFET)の本開示の実施例の用途を示す。本明細書において説明されるNiSnダイ・アタッチ系は、HEMTデバイス及びMOSFETデバイスの両方とともに、また、増幅器及び/又はパワー・スイッチング構造において、等しく十分に機能し得る。
図3Aは、本開示の様々な実施例による、縦型MOSFETデバイスの単位セル316の概略断面図である。
図3Bは、
図3AのエリアEの詳細を示す概略断面である。
【0120】
図3Aは、トランジスタ・ダイ610において形成される第1の広いバンドギャップ・パワーMOSFET単位セル616の概略断面図である。MOSFET単位セル616は、増幅器又はパワー・スイッチング・デバイスの一部であり得るが、本開示はそれに限定されない。
図3Aに示すように、パワーMOSFET単位セル616は、高濃度にドープされた(n
+)n型基板622(例えば、炭化ケイ素)を含む。低濃度にドープされた(n
-)ドリフト領域620が基板622に設けられる。中濃度にドープされたp型ウェル層670がn型ドリフト領域620の上面に形成される。中濃度にドープされたp型ウェル層670は、例えばエピタキシャル成長によって形成され得る。この中濃度にドープされたp型ウェル層670は、単位セル616についてpウェル672を提供し得る。高濃度にドープされたn
+ソース領域660は、p型ウェル層670の上領域に形成され得る。高濃度にドープされたn
+ソース領域660は、例えばイオン注入によって形成され得る。
【0121】
基板622、ドリフト領域620、中濃度にドープされたp型ウェル層670、及び高濃度にドープされたn+ソース領域660は、形成される様々な領域/パターンに加え、MOSFET単位セル616の半導体層構造606を含む。
【0122】
ゲート・トレンチ680が半導体層構造606内に形成される。ゲート・トレンチ680は、高濃度にドープされたn+ソース領域660及び中濃度にドープされたp型ウェル層670を通ってドリフト領域620に延び得る。ゲート絶縁層686は、各ゲート・トレンチ680の下面及び側壁に形成され得る。ゲート電極684が、それぞれのゲート・トレンチ680を満たすように各ゲート絶縁層686に形成され得る。
【0123】
ソース・コンタクト(図示せず)が、高濃度にドープされたn型ソース領域660に形成され得る。ゲート・コンタクト(図示せず)が、ゲート電極684に形成され得る。ドレイン・コンタクト626が、基板622の下面に形成され得る。パッケージ化されたデバイスにおいて、ドレイン・コンタクト626は、サブマウント176に接続され得る。
【0124】
図3AはMOSFETがゲート・トレンチ構成を用いる実施例を示しているが、これは単に一実例にすぎず、本開示を限定することを意図していないことが理解されるであろう。いくつかの実施例では、本開示の範囲から逸脱することなく、プレーナ・ゲート構成が用いられ得る。
【0125】
図3A及び
図3Bを参照すると、サブマウント176は、トランジスタ・ダイ610において生成される熱を放散するヒート・シンクとして働き得る。サブマウント176はまた、ドレイン・コンタクト626への接続を提供し得る。ドレイン・コンタクト626は、サブマウント176におけるサブマウント・コンタクト層146に電気的に接続される基板コンタクト層634を含み得る。基板コンタクト層634は、本明細書において説明される基板コンタクト層134と同様に形成され得る。例えば、基板コンタクト層634は、Ti、TiW、及び/又はAuを含み得るが、本開示の実施例はそれらに限定されない。いくつかの実施例では、基板コンタクト層634は、Ti、TiW、及び/又はAu以外の材料を含有してもよく、又はそれらの他に材料を含有してもよい。基板コンタクト層634は、金属結合層635によってサブマウント・コンタクト層146に結合され得る。いくつかの実施例では、基板コンタクト層634とサブマウント・コンタクト層146との間の金属結合層635によって提供される結合部は、熱伝導性及び/又は電気伝導性であり得る。いくつかの実施例では、基板コンタクト層634及び/又はサブマウント・コンタクト層146は任意選択であってもよく、存在しなくてもよい。いくつかの実施例では、本発明の範囲から逸脱することなく、基板コンタクト層634及び/又はサブマウント・コンタクト層146は、説明されるものよりも多くの又は少ない層を含んでもよく、異なる材料又は材料組成の層を含んでもよく、層は、説明されるものとは異なる順序にあってもよく、及び/又は説明されるものとは異なる厚さを有してもよい。
【0126】
図3Bを参照すると、金属結合層635は、基板コンタクト層634とサブマウント・コンタクト層146との間に形成され得る。金属結合層635は、重量でニッケル(Ni)及びスズ(Sn)が主である。金属結合層635は、NiSn合金を含み得る。詳細には、金属結合層635は、50重量パーセントよりも多いニッケル及びスズ、いくつかの場合では75重量パーセントよりも多いニッケル及びスズ、いくつかの実施例では85重量パーセントよりも多いニッケル及びスズを含む。
図3Bの金属結合層635は、トランジスタ・ダイ610が基板622内においてビア(例えば、
図1Cのビア166)を組み込んでいなくてもよいという点で、
図1Dの金属結合層135とは異なり得る。したがって、
図3Bの金属結合層635は、デバイスのビア内に配置されなくてもよい。金属結合層635は、
図2Aの金属結合積層体435又は
図2Bの金属結合積層体535と略同様である金属結合積層体を用いて形成され得る。したがって、その重複する説明は省く。
【0127】
前に説明した図は、電気的接続をサブマウントに提供するために金属結合層を用いる実施例を含めていた。しかしながら、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施例では、熱的接続をサブマウントに提供するために金属結合層を用い得る。例えば、
図4Aは、本開示の様々な実施例によるトランジスタ・ダイ110’のトランジスタ・ダイ単位セル116’の概略断面図である。トランジスタ・ダイ単位セル116’は、増幅器又はパワー・スイッチング・デバイスの一部であり得るが、本開示はそれに限定されない。
図4Bは、
図4AのエリアFの詳細を示す概略断面である。
図1Cの類似との
図4Aの類似を考えると、同様又は同一の特徴の説明は省き、説明は主として2つの実施例間の相違に焦点を当てる。
【0128】
図4Aのトランジスタ・ダイ単位セル116’は、ビア166が設けられていないという点で
図1Cのトランジスタ・ダイ単位セル116とは異なる。例えば、ソース接続が、基板322中のビアによるのではなくソース・フィンガ156への信号の印加によって(例えば、金属接触によって)提供され得る。結果として、ダイ単位セル116’は、基板322の下面にソース端子を必要としなくてもよい。したがって、金属結合層135’は、基板及び/又はサブマウント・コンタクト層の使用なしに基板322をサブマウント176に接続し得る。
【0129】
いくつかの実施例では、トランジスタ・ダイ110’とサブマウント176との間に熱層446が設けられてもよい。熱層446は、基板322からサブマウント176への熱伝達を促進させ得る、金属層などの熱伝導性材料であってもよい。熱層446は、いくつかの実施例では省かれてもよい。
【0130】
図4Bを参照すると、金属結合層135’は、NiSn合金を含み得、基板322とサブマウント176及び/又は熱層446との間に形成され得る。金属結合層135’は、重量でニッケル(Ni)及びスズ(Sn)が主である。詳細には、金属結合層135’は、50重量パーセントよりも多いニッケル及びスズ、いくつかの場合では75重量パーセントよりも多いニッケル及びスズ、いくつかの実施例では85重量パーセントよりも多いニッケル及びスズを含む。
【0131】
金属結合層135’を形成するために用いられる金属結合積層体は、金属結合積層体と基板322との間にコンタクト層(例えば、
図1Dの基板コンタクト層134)がないこと以外、
図1Dの金属結合層135を形成するために用いられる金属結合積層体と同様であり得る。
図5A及び
図5Bは、本開示の様々な実施例による例示的な金属結合積層体の概略断面図である。
図5A及び
図5Bは、金属結合層135’の形成前の、
図4Bに示されたエリア(例えば、
図4AのエリアF)と同様である、トランジスタ・ダイ110’のエリアを表す。
【0132】
例えば、
図5Aは、本開示のいくつかの実施例による例示的な金属結合積層体435の概略断面図である。
図5Aを参照すると、金属結合積層体435は、トランジスタ・ダイ110’の基板322に形成され得る。
【0133】
金属結合積層体435は、選択的に積層される層を含み得る。金属結合積層体435は、例えば、基板322の最も近くから、基板322から最も遠くにかけての順に、接着層402(例えば、Ti)、結合バリア層404(例えば、Pt)、ニッケル層406、スズ層408、及び金層410を含有し得る。接着層402、結合バリア層404、ニッケル層406、スズ層408、及び金層410の形成及び構造は、
図2Aに関して本明細書において論じたものと同様であり得、したがって、その重複する説明は省く。
【0134】
金属結合積層体435は、基板322の下部に形成され得る。金属結合積層体435を設けたトランジスタ・ダイ110’が、熱層446(存在する場合)及びサブマウント176に配置され得る。いくつかの実施例では、金属結合積層体435は、熱層446(存在する場合)又はサブマウント176と直接接触するように配置され得るが、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施例では、サブマウント結合積層体がさらに、金属結合積層体435とサブマウント176との間にあるように熱層446(存在する場合)又はサブマウント176に存在し得る。サブマウント結合積層体は、存在する場合、金属結合積層体435と同様であり得る。すなわち、サブマウント結合積層体は、金属結合積層体435と同様の量でNi及びSnを含み得る。しかしながら、本開示はそれらに限定されない。
【0135】
金属結合積層体435が熱層446又はサブマウント176に隣接して配置されると、熱及び/又は圧力がトランジスタ・ダイ110’とサブマウント176とを組み合わせたものに印加されて、金属結合層135’を形成し得る(
図4Bを参照)。
【0136】
コンタクト層が存在しない実施例も同様に、
図2Bに関して前述した金属結合積層体を用い得る。
図5Bは、本開示のいくつかの実施例による、コンタクト層が存在しない別の例示的な金属結合積層体535の概略断面図である。
【0137】
例えば、金属結合積層体535は、選択的に積層される層を含み得る。金属結合積層体535は、例えば、基板322の最も近くから、基板コンタクト層134から最も遠くにかけての順に、接着層402(例えば、Ti)、結合バリア層404(例えば、Pt)、第1のニッケル層506、第1のスズ層508、第1の金層510、第2のニッケル層512、第2のスズ層514、及び第2の金層516を含有し得る。接着層402、結合バリア層404、第1のニッケル層506、第1のスズ層508、第1の金層510、第2のニッケル層512、第2のスズ層514、及び第2の金層516の形成及び構造は、
図2Bに関して本明細書において論じたものと同様であり、したがって、その重複する説明は省く。
【0138】
前の図はデバイスの基板とサブマウントとの間に金属結合層を提供するために金属結合積層体を用いることを示しているが、本開示はそれに限定されない。
図6A及び
図6Bは、フリップ・チップ構成における本開示の実施例の用途を示す。
図6Aは、本開示の様々な実施例による、フリップ・チップ構成におけるHEMTデバイスの単位セル716の概略断面図である。単位セル716は、増幅器又はパワー・スイッチング・デバイスの一部であり得るが、本開示はそれに限定されない。
図6Bは、
図6AのエリアGの詳細を示す概略断面図である。
図1C及び
図4Aの類似との
図6Aの類似を考えると、同様又は同一の特徴の説明は省き、説明は主として2つの実施例間の相違に焦点を当てることになる。フリップ・チップ構成において、半導体層構造130は、基板322が単位セル716の上層であるように「フリップされる」。
図1C及び
図4Aの実施例とは対照的に、ゲート端子152、ドレイン端子154、及びソース端子156は、ゲート・コンタクト752、ドレイン・コンタクト754、及びソース・コンタクト756をそれぞれ用いて、サブマウント176に電気的に接続され得る。
【0139】
図6A及び
図6Bを参照すると、サブマウント176は、ゲート・コンタクト752、ドレイン・コンタクト754、及びソース・コンタクト756をそれぞれ通って単位セル716の端子に電気的接続を提供し得る。ゲート端子152、ドレイン端子154、及びソース端子156のそれぞれが互いから電気的に絶縁され得るため、ゲート端子152、ドレイン端子154、及びソース端子156のそれぞれは、サブマウント・コンタクト層146のいくつかの部分を分離するように電気的に接続され得る。例えば、サブマウント・コンタクト層146は、第1の部分146A、第2の部分146B、及び第3の部分(図示せず)に分離され得る。同様に、ゲート端子152、ドレイン端子154、及びソース端子156をサブマウント・コンタクト層146のいくつかの部分に接続する接触部は、端子コンタクト層734及び金属結合層735のいくつかの部分を含み得る。端子コンタクト層734は、本明細書において説明される基板コンタクト層134と同様に形成され得る。例えば、端子コンタクト層734は、Ti、TiW、及び/又はAuを含み得るが、本開示の実施例はそれに限定されない。いくつかの実施例では、端子コンタクト層734は、Ti、TiW、及び/又はAu以外の材料を含有してもよく、又はそれらの他に材料を含有してもよい。端子コンタクト層734は、第1の部分734A、第2の部分734B、及び第3の部分(図示せず)に分離され得る。金属結合層735は、第1の部分735A、第2の部分735B、及び第3の部分(図示せず)に分離され得る。いくつかの実施例では、基板コンタクト層734及び/又はサブマウント・コンタクト層146は任意選択であってもよく、存在しなくてもよい。いくつかの実施例では、本発明の範囲から逸脱することなく、基板コンタクト層734及び/又はサブマウント・コンタクト層146は、説明されるものよりも多くの又は少ない層を含んでもよく、異なる材料又は材料組成の層を含んでもよく、層は、説明されるものとは異なる順序にあってもよく、及び/又は説明されるものとは異なる厚さを有してもよい。
【0140】
ソース・コンタクト756は、サブマウント176におけるサブマウント・コンタクト層の第1の部分146Aに電気的に接続される、端子コンタクト層の第1の部分734Aを含み得る。端子コンタクト層の第1の部分734Aは、金属結合層の第1の部分735Aによってサブマウント・コンタクト層の第1の部分146Aに接続され得る。いくつかの実施例では、端子コンタクト層の第1の部分734Aとサブマウント・コンタクト層の第1の部分146Aとの間の金属結合層の第1の部分735Aによって提供される結合部は、熱伝導性及び/又は電気伝導性であり得る。
【0141】
ゲート・コンタクト752は、サブマウント176におけるサブマウント・コンタクト層の第2の部分146Bに電気的に接続される、端子コンタクト層の第2の部分734Bを含み得る。端子コンタクト層の第2の部分734Bは、金属結合層の第2の部分735Bによってサブマウント・コンタクト層の第2の部分146Bに結合され得る。いくつかの実施例では、端子コンタクト層の第2の部分734Bとサブマウント・コンタクト層の第2の部分146Bとの間の金属結合層の第2の部分735Bによって提供される結合部は、熱伝導性及び/又は電気伝導性であり得る。
【0142】
図6Bは、ドレイン・コンタクト754を明示していないが、その構造は、ゲート・コンタクト752及びソース・コンタクト756の構造と同様であることが理解されるであろう。いくつかの実施例では、例えば、ドレイン・コンタクト754は、サブマウント176におけるサブマウント・コンタクト層の第3の部分に電気的に接続される、端子コンタクト層の第3の部分を含み得る。端子コンタクト層の第3の部分は、金属結合層の第3の部分によってサブマウント・コンタクト層の第3の部分に結合され得る。いくつかの実施例では、端子コンタクト層の第3の部分とサブマウント・コンタクト層の第3の部分との間の金属結合層の第3の部分によって提供される結合部は、熱伝導性及び/又は電気伝導性であり得る。
【0143】
いくつかの実施例では、絶縁層726が、ゲート端子152、ドレイン端子154、及びソース端子156のそれぞれの端子間、及び/又はゲート・コンタクト752、ドレイン・コンタクト754、及びソース・コンタクト756のそれぞれのコンタクト間に配置され得るが、本開示の実施例はそれに限定されない。いくつかの実施例では、ゲート端子152、ドレイン端子154、及びソース端子156のそれぞれの端子、及び/又はゲート・コンタクト752、ドレイン・コンタクト754、及びソース・コンタクト756のそれぞれのコンタクトは代替的又は付加的に、空隙786によって分離されてもよい。
図6A及び
図6Bは、間に空隙786を有する、サブマウント176まで延びていない絶縁層726を示しているが、本開示の実施例はそれに限定されない。いくつかの実施例では、絶縁層726は、サブマウント176まで延びていてもよい。いくつかの実施例では、絶縁層726は省かれてもよく、空隙786は、サブマウント176から半導体層構造130の上面まで延びていてもよい。
【0144】
図6Bを参照すると、金属結合層735の第1の部分735A、第2の部分735B、及び第3の部分は、端子コンタクト層734のそれぞれの第1の部分、第2の部分及び第3の部分とサブマウント・コンタクト層146との間に形成され得る。端子コンタクト層734は、
図1A~
図1Eに関して述べた基板コンタクト層134と同様であり得る。詳細には、いくつかの実施例では、端子コンタクト層734及び/又はサブマウント・コンタクト層146は、Auの層(例えば、2μm~8μmの間)を含み得るが、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施例では、サブマウント・コンタクト層146は省かれてもよい。
【0145】
金属結合層735は、重量でニッケル(Ni)及びスズ(Sn)が主である。金属結合層735は、NiSn合金を含み得る。詳細には、金属結合層735は、50重量パーセントよりも多いニッケル及びスズ、いくつかの場合では75重量パーセントよりも多いニッケル及びスズ、いくつかの実施例では85重量パーセントよりも多いニッケル及びスズを含む。
図6Bの金属結合層735は、金属結合層735が、第1の部分735A、第2の部分735B、及び第3の部分に分離され、それら部分のそれぞれの間に間隙を有し得るという点で、
図1Dの金属結合層135とは異なり得る。金属結合層735は、
図2Aの金属結合積層体435又は
図2Bの金属結合積層体535と略同様である金属結合積層体を用いて形成され得る。したがって、その重複する説明は省く。いくつかの実施例では、金属結合積層体はまず堆積され、次いでパターニングされて、第1の部分、第2の部分、及び第3の部分を形成し得、これら部分がその後、ゲート端子152、ドレイン端子154、及びソース端子156をサブマウント176に取着する際の熱及び/又は圧力の印加により金属結合層735の第1の部分、第2の部分、及び第3の部分に変えられる。
【0146】
図6Aは、
図1Cのソース・ビア166などのソース・ビアが存在しない実施例を示しているが、これは単に一実例にすぎず、本開示を限定することを意図していないことが理解されるであろう。いくつかの実施例では、ソース・ビアは、本開示の範囲から逸脱することなく用いられ得る。ソース・ビアが存在する実施例では、ソース端子156(並びにそれに関連するコンタクト層及び結合層)は、デバイスの設計及びその関連する相互接続に応じて、存在してもよく又は存在しなくてもよい。
【0147】
トランジスタ構成の様々な実施例を、例として特定の伝導型(すなわち、n型及びp型)の領域を参照しながら本明細書において説明し示してきたが、示した例のいずれかにおける領域の伝導型は、本開示の実施例に従って逆(すなわち、p型及びn型)にされてもよいことが理解されるであろう。したがって、本発明は、各異なるデバイス構造についてnチャネル・デバイス及びpチャネル・デバイスの両方をカバーすることが認識されるであろう。
【0148】
多くの異なる実施例を上記説明及び図面に関して本明細書において開示してきた。これらの実施例のあらゆる組み合わせ及び下位の組み合わせを、逐語的に記載及び示すことは過度に繰り返しが多く分かりにくいであろうことが理解されるであろう。したがって、すべての実施例は、いかなるやり方及び/又は組み合わせでも組み合わせることができ、図面を含め、本明細書は、本明細書において説明される実施例のすべての組み合わせ及び下位の組み合わせの、並びにそれらを作製及び使用する様式並びにプロセスの、書面による完全な説明を構成すると解釈されるものとし、いかなるそのような組み合わせ又は下位の組み合わせに対しても特許請求の範囲をサポートするものとする。
【0149】
本開示の図面のいくつかは概略断面図であり、比例的及び全くの正確さではなく例示のためにサイズ決めされていることが理解されるであろう。本明細書において説明されるように、示した層のうちのいくつかは実際、厚さが互いとは複数桁異なり、そのように逐語的に示すことを試みることは、本明細書の明確性を増すのではなく減らすことになるであろう。
【0150】
様々な実施例を、例示的な実施例が示されている添付の図面を参照しながら本明細書において説明してきた。しかしながら、これら実施例は、異なる形態で具現されてもよく、本明細書において記載される実施例に限定されるものと解釈されるべきではない。そうではなく、これら実施例は、本開示が徹底的及び完全であり、当業者に発明的概念を十分に伝えるように提示される。本明細書において説明される例示的な実施例及び包括的な原理並びに特徴に対する様々な変更は容易に明らかである。図面において、層及び領域のサイズ及び相対的サイズは一定の縮尺で示されておらず、いくつかの例では、明瞭にするために誇張されることがある。
【0151】
様々な要素を説明するために「第1の」、「第2の」などの用語が本明細書において使用され得るが、それらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用されているにすぎない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の要素が第2の要素と呼ばれることがあり、同様に、第2の要素が第1の要素と呼ばれることがある。本明細書において使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙した事項のうちの1つ又は複数のいずれか及びすべての組み合わせを含む。
【0152】
本明細書において使用される術語は、特定の実施例を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)及び「その(the)」は、文脈が明らかに別段に指示していない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書において使用される場合の用語「備える、含む(comprises)、「備える、含む(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含む(including)」は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないこともさらに理解されるであろう。
【0153】
別段に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において使用される用語は、本明細書の文脈及び関連する技術におけるその意味と矛盾しない意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書において明確にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されるであろう。
【0154】
層、領域、若しくは基板などのある要素が別の要素「上に(on)」ある、「取着される(attached)」又は「上へ(on to)」延びると言及される場合、その要素は、その別の要素上に直接あるものとすることができるか、又は介在要素が存在することもあることが理解されるであろう。それに対し、ある要素が別の要素「上に直接(directly on)」ある又は「直接取着される(directly attached)」又は別の要素「上へ直接(directly onto)」延びると言及される場合、介在要素は存在しない。また、ある要素が別の要素に「接続される(connected)」又は「結合される(coupled)」と言及される場合、その要素は、その別の要素に直接接続又は結合されることがあり、或いは介在要素が存在してもよいことも理解されるであろう。それに対し、ある要素が別の要素に「直接接続される」又は「直接結合される」と言及される場合、介在要素は存在しない。
【0155】
「よりも下(below)」又は「よりも上(above)」又は「上(upper)又は「下(lower)」又は「水平(horizontal)」又は「横方向(lateral)」又は「垂直(vertical)」などの相対的な用語は、図に示されている1つの要素、層又は領域と別の要素、層又は領域との関係を説明するために本明細書において使用され得る。これらの用語は、図に描かれた向きに加え、デバイスの種々の向きを包含することを意図していることが理解されるであろう。
【0156】
本発明の実施例が、本発明の理想化された実施例(及び中間構造)の概略説明図である断面説明図を参照しながら本明細書において説明される。図面における層及び領域の厚さは、明瞭にするために誇張されることがある。さらに、例えば、製造技法及び/又は許容差の結果として、説明図の形状からの変化が予想されるべきである。したがって、本発明の実施例は、本明細書において例示される領域の特定の形状に限定されるものと解釈されるべきではなく、例えば、製造から生じる形状の偏差を含むものである。点線によって示された要素は、示された実施例では任意選択であってもよい。
【0157】
同様の番号は全体を通して同様の要素を指す。したがって、同じ又は同様の番号は、対応する図面において言及も記載もされていない場合であっても他の図面を参照すると記載されていることがある。また、参照符号によって示されていない要素は他の図面を参照すると記載されていることがある。
【0158】
図面及び明細書において、本発明の典型的な実施例が開示され、特定の用語が採用されているが、それらの用語は、限定のためではなく一般的な説明的意味でのみ使用されており、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載される。