(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】めっき装置、およびめっき方法
(51)【国際特許分類】
C25D 21/12 20060101AFI20241220BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20241220BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
C25D21/12 A
C25D17/06 C
C25D7/12
(21)【出願番号】P 2024549548
(86)(22)【出願日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2024015514
【審査請求日】2024-08-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 良輔
(72)【発明者】
【氏名】下山 正
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 直人
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/118431(WO,A1)
【文献】特開2016-127069(JP,A)
【文献】国際公開第2023/145049(WO,A1)
【文献】米国特許第6027631(US,A)
【文献】特開2023-166684(JP,A)
【文献】特開2021-138995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0362809(US,A1)
【文献】国際公開第2023/228398(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-21/22
C25D 5/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき液を収容するように構成されためっき槽と、
前記めっき槽内に配置されたアノードと、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するように構成された基板ホルダと、
前記アノードと前記基板ホルダとの間に配置され、前記アノード側と前記基板ホルダ側とを貫通する複数の孔を有する、抵抗体と、
前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、
前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、
前記アノードと前記基板との間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材と、
前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の基準位置、前記基準位置よりも電場遮蔽面積が大きくなる遮蔽位置、および前記アノードと前記基板との間から退避した退避位置、の間で切り替えて配置するように構成された遮蔽機構と、
を含
み、
前記抵抗体は、前記遮蔽位置に配置された前記遮蔽部材と重複する動的遮蔽領域において、第1の遮蔽率を有する第1の領域と、前記第1の領域から離間した内側に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きい第2の遮蔽率を有する第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きく前記第2の遮蔽率よりも小さい第3の遮蔽率を有する第3の領域と、を含む、
めっき装置。
【請求項2】
前記遮蔽機構は、前記基板の周縁部に形成されるめっき膜厚の分布応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、
請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記基板の周縁部のめっき膜厚を計測するように構成された膜厚センサをさらに含み、
前記遮蔽機構は、前記膜厚センサによって計測された前記基板の周縁部のめっき膜厚の
分布に応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、
請求項1に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記遮蔽機構は、第1のめっき膜厚が形成される前記基板の第1の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記基準位置に配置し、前記第1のめっき膜厚よりも厚い第2のめっき膜厚が形成される前記基板の第2の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配置し、前記第1のめっき膜厚よりも薄い第3のめっき膜厚が形成される前記基板の第3の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記退避位置に配置するように構成される、
請求項2または3に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記遮蔽機構は、前記基板ホルダに保持される基板の種類に応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、
請求項1に記載のめっき装置。
【請求項6】
めっき液を収容するように構成されためっき槽と、
前記めっき槽内に配置されたアノードと、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するように構成された基板ホルダと、
前記アノードと前記基板ホルダとの間に配置され、前記アノード側と前記基板ホルダ側とを貫通する複数の孔を有する、抵抗体と、
前記アノードと前記基板との間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材と、
を有するめっき装置を用いためっき方法であって、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持する
前記基板ホルダを
前記めっき槽内に降下させる降下ステップと、
前記基板ホルダを回転させる回転ステップと、
前記めっき槽内に降下された基板の前記被めっき面にめっき処理を施すめっきステップと、
前記めっき槽内に配置されたアノードと基板との間に形成される電場を遮蔽可能な
前記遮蔽部材を、前記アノードと基板との間の基準位置、前記基準位置よりも電場遮蔽面積が大きくなる遮蔽位置、および前記アノードと前記基板との間から退避した退避位置、の間で切り替えて配置する遮蔽ステップと、
を含
み、
前記抵抗体は、前記遮蔽位置に配置された前記遮蔽部材と重複する動的遮蔽領域において、第1の遮蔽率を有する第1の領域と、前記第1の領域から離間した内側に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きい第2の遮蔽率を有する第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きく前記第2の遮蔽率よりも小さい第3の遮蔽率を有する第3の領域と、を含む、
めっき方法。
【請求項7】
前記遮蔽ステップは、前記基板の周縁部に形成されるめっき膜厚の分布応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、
請求項6に記載のめっき方法。
【請求項8】
前記基板の周縁部のめっき膜厚を計測する計測ステップをさらに含み、
前記遮蔽ステップは、前記計測ステップによって計測された前記基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、
請求項6に記載のめっき方法。
【請求項9】
前記遮蔽ステップは、第1のめっき膜厚が形成される前記基板の第1の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記基準位置に配置する第1の配置ステップと、前記第1のめっき膜厚よりも厚い第2のめっき膜厚が形成される前記基板の第2の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配置する第2の配置ステップと、前記第1のめっき膜厚よりも薄い第3のめっき膜厚が形成される前記基板の第3の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記退避位置に配置する第3の配置ステップと、を含む、
請求項7または8に記載のめっき方法。
【請求項10】
前記基板ホルダに保持される基板の種類を判定する判定ステップをさらに含み、
前記遮蔽ステップは、前記判定ステップで判定された基板の種類に応じて、前記遮蔽部材を、前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、
請求項6に記載のめっき方法。
【請求項11】
めっき液を収容するように構成されためっき槽と、
前記めっき槽内に配置されたアノードと、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するように構成された基板ホルダと、
前記アノードと前記基板ホルダとの間に配置され、局所遮蔽領域を備えた抵抗体と、
前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、
前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、
前記アノードと前記基板との間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材と、
前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から退避した退避位置、との間に配置するように構成された遮蔽機構と、
を含み、
前記回転機構は、基板の選択された方位角位置にある第1の部分が、前記第1の部分と異なる方位角位置にあり前記第1の部分と同じ弧長および半径位置を有する基板の第2の部分とは異なる時間、前記遮蔽部材が前記遮蔽位置に配置されたときに前記抵抗体と前記遮蔽部材とが重複する動的遮蔽領域に位置するように前記基板ホルダを回転させるように構成され
、
前記抵抗体は、前記遮蔽位置に配置された前記遮蔽部材と重複する前記動的遮蔽領域において、第1の遮蔽率を有する第1の領域と、前記第1の領域から離間した内側に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きい第2の遮蔽率を有する第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きく前記第2の遮蔽率よりも小さい第3の遮蔽率を有する第3の領域と、を含む、
めっき装置。
【請求項12】
前記回転機構は、前記基板の前記第1の部分が前記動的遮蔽領域に位置するときに前記基板ホルダの回転速度を上げる、下げる、または、前記基板ホルダの回転方向を反転させることによって、前記基板の前記第1の部分を前記基板の第2の部分とは異なる時間前記動的遮蔽領域に位置させるように構成される、
請求項11に記載のめっき装置。
【請求項13】
前記基板の第1の部分は、前記基板の前記第2の部分よりもめっき膜厚が厚い部分または薄い部分を含む、
請求項12に記載のめっき装置。
【請求項14】
前記基板の第1の部分が、前記基板の前記第2の部分よりもめっき膜厚が厚い部分を含む場合、
前記遮蔽機構は、前記基板の前記第1の部分が前記動的遮蔽領域に位置しているときに
前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配置するように構成される、
請求項13に記載のめっき装置。
【請求項15】
前記基板の第1の部分が、前記基板の前記第2の部分よりもめっき膜厚が薄い部分を含む場合、
前記遮蔽機構は、前記基板の前記第1の部分が前記動的遮蔽領域に位置しているときに前記遮蔽部材を前記退避位置に配置するように構成される、
請求項13に記載のめっき装置。
【請求項16】
前記動的遮蔽領域は、前記基板の第1の部分が前記動的遮蔽領域に滞在するときに、前記基板の第2の部分が前記動的遮蔽領域に滞在するときと比べて、遮蔽率が変化する、
請求項15に記載のめっき装置。
【請求項17】
めっき液を収容するように構成されためっき槽と、
前記めっき槽内に配置されたアノードと、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するように構成された基板ホルダと、
前記アノードと前記基板ホルダとの間に配置され、前記アノード側と前記基板ホルダ側とを貫通する複数の孔を有する、抵抗体と、
前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、
前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、
前記アノードと前記基板との間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材と、
前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から退避した退避位置、との間に配置するように構成された遮蔽機構と、
を含み、
前記抵抗体は、前記遮蔽位置に配置された前記遮蔽部材と重複する動的遮蔽領域において、第1の遮蔽率を有する第1の領域と、前記第1の領域から離間した内側に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きい第2の遮蔽率を有する第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きく前記第2の遮蔽率よりも小さい第3の遮蔽率を有する第3の領域と、を含み、前記第3の領域は、前記動的遮蔽領域を超えて周方向に沿って延伸し、延伸した領域において均一に前記第3の遮蔽率を有し、
前記抵抗体は、前記第2の領域よりも内側および前記第2の領域の周方向の他の部分に配置され、前記第2の遮蔽率よりも小さく前記第3の遮蔽率と同一の第4の遮蔽率を有する第4の領域を含む、
めっき装置。
【請求項18】
前記抵抗体は、前記第1の領域の周方向の他の部分および前記第3の領域の周方向の他の部分に配置され前記孔よりも大きい開口を有する第5の領域をさらに含む、
請求項17に記載のめっき装置。
【請求項19】
前記抵抗体は、前記第1の領域および前記第5の領域の周方向の他の部分に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きい第6の遮蔽率を有する第6の領域をさらに含む、
請求項18に記載のめっき装置。
【請求項20】
前記第1の領域は、前記基板ホルダに保持された基板に対向する前記抵抗体の総面積の0.35%未満の面積を有する、
請求項17から19のいずれか一項に記載のめっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、めっき装置、およびめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
めっき装置の一例としてカップ式の電解めっき装置が知られている。カップ式の電解めっき装置は、被めっき面を下方に向けて基板ホルダに保持された基板(例えば半導体ウェハ)をめっき液に浸漬させ、基板とアノードとの間に電圧を印加することによって、基板の表面に導電膜を析出させる。
【0003】
カップ式の電解めっき装置では、遮蔽部材を用いてアノードと基板との間に形成される電場を遮蔽することが知られている。例えば特許文献1には、基板の特定の部位が所定の回転角度の範囲内に回転したときに、遮蔽部材を基板の特定の部位とアノードとの間に移動させることによって、所望のタイミングでのみ基板の特定の部位を遮蔽する電解めっき装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の電解めっき装置は、基板の周縁部のめっき膜厚の乱れを是正して被めっき面全体のめっき膜厚の均一化を向上させることについて改善の余地がある。
【0006】
すなわち、基板の被めっき面の周縁部のめっき膜厚は、基板ホルダに設けられたコンタクトの給電不均一、シード厚不均一、パターン形状など様々な影響により、局所的に乱れることがある。例えば、基板の周縁部において、めっき膜厚が標準的な部分、標準的な部分より厚くなる部分、および標準的な部分より薄くなる部分が混在する場合がある。また、基板の周縁部の全体のめっき膜厚が、標準的な基板に比べて厚くなったり薄くなったりする場合もある。
【0007】
そこで、本願は、基板の周縁部のめっき膜厚の乱れを是正して被めっき面全体のめっき膜厚の均一化を向上させることを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、めっき液を収容するように構成されためっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するように構成された基板ホルダと、前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、前記アノードと前記基板との間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材と、前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の基準位置、前記基準位置よりも電場遮蔽面積が大きくなる遮蔽位置、および前記アノードと前記基板との間から退避した退避位置、の間で切り替えて配置するように構成された遮蔽機構と、を含む、めっき装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が基準位置に移動した状態を示している。
【
図4】
図4は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が遮蔽位置に移動した状態を示している。
【
図5】
図5は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が退避位置に移動した状態を示している。
【
図6】
図6は、遮蔽部材を退避位置、基準位置、および遮蔽位置に配置した状態を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【
図9】
図9は、基板の種類に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【
図11】
図11は、一実施形態の抵抗体に含まれる複数の領域を示す平面図である。
【
図12】
図12は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を調整した場合のめっき膜厚の例を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、一実施形態の抵抗体に含まれる複数の領域を示す平面図である。
【
図14】
図14は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
【
図15】
図15は、基板の第1の部分Wf-eを遮蔽するタイミングと基板ホルダの回転速度との関係を示す図である。
【
図16】
図16は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
【
図17】
図17は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
【
図18】
図18は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
【
図19】
図19は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
【
図20】
図20は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0011】
<めっき装置の全体構成>
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図1、2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、および、制御モジュール800を備える。
【0012】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収納された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数および配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、プリウェットモジュール200およびスピンリンスドライヤ600の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110および搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、図示していない仮置き台を介して基板の受け渡しを行うことができる。
【0013】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数および配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数および配置は任意である。
【0014】
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数および配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数および配置は任意である。
【0015】
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数および配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤが上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤの数および配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0016】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収納された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板をプリウェットモジュール200へ受け渡す。
【0017】
プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
【0018】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送ロボット110は、スピンリンスドライヤ600から基板を受け取り、乾燥処理を施した基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収納したカセットが搬出される。
【0019】
<めっきモジュールの構成>
次に、めっきモジュール400の構成を説明する。本実施形態における24台のめっきモジュール400は同一の構成であるので、1台のめっきモジュール400のみを説明する。
図3は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が基準位置に移動した状態を示している。
図4は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が遮蔽位置に移動した状態を示している。
図5は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が退避位置に移動した状態を示している。
【0020】
図3~
図5に示すように、めっきモジュール400は、めっき液を収容するためのめっき槽410を備える。めっきモジュール400は、めっき槽410の内部を上下方向に隔てるメンブレン420を備える。めっき槽410の内部はメンブレン420によってカソード領域422とアノード領域424に仕切られる。
【0021】
カソード領域422とアノード領域424にはそれぞれめっき液が充填される。めっきモジュール400は、カソード領域422に向けて開口したノズル426と、ノズル426を介してカソード領域422にめっき液を供給するための供給源428と、を備える。めっきモジュール400は、アノード領域424についても同様に、アノード領域424にめっき液を供給するための機構を備えるが図示を省略する。アノード領域424のめっき槽410の底面にはアノード430が設けられる。カソード領域422にはメンブレン420に対向して抵抗体450が配置され、この抵抗体450はめっき槽410に直接または間接的に取り付けられる。抵抗体450は、基板Wfの被めっき面Wf-aにおけるめっき処理の均一化を図るための部材であり、多数の孔が形成された板状部材によって構成される。
【0022】
また、めっきモジュール400は、被めっき面Wf-aを下方に向けた状態で基板Wfを保持するための基板ホルダ440を備える。基板ホルダ440は、図示していない電源から基板Wfに給電するための給電接点(給電コンタクト)を備える。基板ホルダ440は、基板Wfの被めっき面Wf-aの外縁部を支持するためのシールリングホルダ442と、シールリングホルダ442を図示していない基板ホルダ本体に保持するためのフレーム446と、を備える。また、基板ホルダ440は、基板Wfの被めっき面Wf-aの裏面を押圧するためのバックプレート444と、バックプレート444の基板押圧面の裏面に取り付けられたシャフト448と、を備える。
【0023】
めっきモジュール400は、基板ホルダ440を昇降させるための昇降機構443と、シャフト448の仮想軸(被めっき面Wf-aの中央を垂直に伸びる仮想的な回転軸)の周りに基板Wfが回転するように基板ホルダ440を回転させるための回転機構447と、を備える。昇降機構443および回転機構447は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。めっきモジュール400は、昇降機構443を用いて基板Wfをカソード領域422のめっき液に浸漬し、アノード430と基板Wfとの間に電圧を印加することによって、基板Wfの被めっき面Wf-aにめっき処理を施すように構成される。
【0024】
めっきモジュール400は、基板Wfの周縁部のめっき膜厚を計測するように構成された膜厚センサ490を含む。膜厚センサ490は、本実施形態では、基板Wfの周縁部に対向するように抵抗体450に取り付けられる。膜厚センサ490は、めっき処理中に、光学、電場、磁場、電位など任意の手法を用いて、対向する基板Wfの周縁部におけるめっき膜厚を計測するように構成される。めっき処理中に基板は回転するので、膜厚センサ490は、基板の周縁部の周方向に沿っためっき膜厚分布を計測することができる。
【0025】
めっきモジュール400は、アノード430と基板Wfとの間に配置されたときにアノード430と基板Wfとの間に形成される電場を遮蔽するための遮蔽部材481を備える。遮蔽部材481は例えば板状に形成された遮蔽板であってもよい。また、めっきモジュール400は、遮蔽部材481を移動させるための遮蔽機構485を備える。遮蔽機構485は、遮蔽部材481の位置を切り替えて配置できるように構成されている。以下、遮蔽機構485の具体例を説明する。
【0026】
図6は、遮蔽部材を退避位置、基準位置、および遮蔽位置に配置した状態を模式的に示す平面図である。
図6(A)は遮蔽部材481が基準位置に配置された状態を示し、
図6(B)は遮蔽部材481が遮蔽位置に配置された状態を示し、
図6(C)は遮蔽部材481が退避位置に配置された状態を示している。
【0027】
図3~5、および
図6に示すように、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を、アノード430と基板Wfとの間の基準位置、基準位置よりも電場遮蔽面積が大きくなる遮蔽位置、およびアノード430と基板Wfとの間から退避した退避位置、の間で切り替えて配置するように構成される。
図6(A)から
図6(C)に示すように、基準位置は、遮蔽部材481と基板Wfが平面視で重なり合う位置であり、遮蔽位置は、遮蔽部材481と基板Wfが平面視で基準位置よりも大きく重なり合う位置であり、退避位置は、遮蔽部材481と基板Wfが平面視で重なり合わない位置である。このように、遮蔽部材481を基準位置、遮蔽位置、退避位置、の3個の位置の間で切り替えることで、電場遮蔽面積を変化させ、基板Wfの周縁部のめっき膜厚を変化させる。
【0028】
例えば、遮蔽機構485は、膜厚センサ490によって計測された基板Wfの周縁部のめっき膜厚の分布に応じて、遮蔽部材481を基準位置、遮蔽位置、および退避位置の間で切り替えて配置するように構成されてもよい。なお、本実施形態では、遮蔽機構485が遮蔽部材481を3個の位置の間で切り替えて配置する例を示すが、これに限らず、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を4個以上の位置の間で切り替えて配置することもできる。また、本明細書において、遮蔽機構485が遮蔽部材481を所定の位置に配置するというのは、単に遮蔽部材481を移動させる過程で所定の位置を通過させるということではなく、遮蔽部材481を所定の位置に停止させることを意味する。
【0029】
図7は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
図7(A)から
図7(D)は、基板Wfの回転に伴って遮蔽部材の配置位置を切り替える様子を示している。
図7(A)から
図7(D)に示すように、基板Wfが回転すると遮蔽部材481に対して基板Wfの周縁部が順次近接する。
図7の例では、基板Wfの周縁部に、第1のめっき膜厚(基準膜厚)、第1のめっき膜厚よりも厚い第2のめっき膜厚、および、第1のめっき膜厚よりも薄い第3のめっき膜厚が形成されており、基板Wfの周縁部にめっき膜厚の乱れが生じているものとする。めっき膜厚の乱れは、基板ホルダ440に設けられたコンタクトの給電不均一、基板Wfの被めっき面におけるシード厚不均一、基板Wfの被めっき面におけるパターン形状など様々な要因によって生じ得る。
【0030】
図7(A)に示すように、遮蔽機構485は、第1のめっき膜厚が形成される基板Wfの第1の周縁部Wf-bに対して遮蔽部材481を基準位置に配置するように構成される。具体的には、基板Wfの第1の周縁部Wf-bが遮蔽部材481に近接すると、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を基準位置に配置する。また、
図7(B)に示すように、遮蔽機構485は、第2のめっき膜厚が形成される基板Wfの第2の周縁部Wf-cに対して遮蔽部材481を遮蔽位置に配置するように構成される。具体的には、基板Wfが回転して基板Wfの第2の周縁部Wf-cが遮蔽部材481に近接すると、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を遮蔽位置に配置する。また、
図7(C)に示すように、基板Wfがさらに回転して再び第1の周縁部Wf-bが遮蔽部材481に近接すると、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を基準位置に配置する。また、
図7(D)に示すように、遮蔽機構485は、第3のめっき膜厚が形成される基板Wfの第3の周縁部Wf-dに対して遮蔽部材481を退避位置に配置するように構成される。具体的には、基板Wfがさらに回転して基板Wfの第3の周縁部Wf-dが遮蔽部材481に近接すると、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を退避位置に配置する。なお、
図7(A)(C)では基板ホルダ440に保持された基板Wfを一方向に一定の速度で回転させ、
図7(B)(D)では基板ホルダ440に保持された基板Wfを一方向に一定の速度で回転させる例を示したが、これに限定されない。
【0031】
本実施形態によれば、第2の周縁部Wf-cに対して遮蔽部材481を遮蔽位置に配置することによって、第2の周縁部Wf-cに対するめっき膜厚形成を抑制することができるので、第2の周縁部Wf-cのめっき膜厚を基準膜厚に近づけることができる。一方、第3の周縁部Wf-dに対して遮蔽部材481を退避位置に配置することによって、第3の周縁部Wf-dに対するめっき膜厚形成を促進することができるので、第3の周縁部Wf-dめっき膜厚を基準膜厚に近づけることができる。その結果、本実施形態によれば、基板の周縁部のめっき膜厚の乱れを是正して被めっき面全体のめっき膜厚の均一化を向上させることができる。
【0032】
なお、本実施形態では、膜厚センサ490によって計測された基板Wfの周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材481の配置位置を決定する例を示したが、これに限定されない。すなわち、めっきモジュール400は、膜厚センサ490を含んでいなくてもよい。この場合、遮蔽機構485は、あらかじめ実験などにより取得された基板Wfのめっき膜厚の分布に基づいて、同種の基板Wfに対して同様のめっき膜厚分布が形成されると予測することができる。そこで、遮蔽機構485は、基板Wfの周縁部に形成されるめっき膜厚の分布に応じて、遮蔽部材481を基準位置、遮蔽位置、および退避位置の間で切り替えて配置するように構成されてもよい。
【0033】
次に、本実施形態のめっきモジュール400を用いためっき方法について説明する。
図8は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【0034】
めっき方法は、基板ホルダ440に基板Wfを設置する(ステップ102)。ステップ102は、例えば被めっき面Wf-aを下方に向けた状態の基板Wfを図示していないロボットハンドなどによってシールリングホルダ442に置き、バックプレート444によって基板Wfの裏面を押圧することによって実行することができる。
【0035】
続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440をめっき槽410内に降下させる(降下ステップ104)。続いて、めっき方法は、回転機構447によって基板ホルダ440を回転させる(回転ステップ106)。
【0036】
続いて、めっき方法は、めっき槽410内に配置されたアノード430と基板ホルダ440に保持された基板Wfとの間に電圧を印加することによって被めっき面Wf-aにめっき処理を施す(めっきステップ108)。なお、ステップ106、108は順序が入れ替わってもよいし同時に実行されてもよい。
【0037】
続いて、めっき方法は、膜厚センサ490を用いて基板Wfの周縁部のめっき膜厚を計測する(計測ステップ110)。続いて、めっき方法は、計測ステップ110によって計測された基板Wfの周縁部のめっき膜厚の分布に応じて、遮蔽部材481を基準位置、遮蔽位置、および退避位置の間で切り替えて配置する(遮蔽ステップ112)。
【0038】
遮蔽ステップ112は、具体的には、遮蔽部材481に近接する基板Wfの周縁部の種類を判定するステップ112-aを含む。遮蔽ステップ112は、基板Wfの第1の周縁部Wf-bが遮蔽部材481に近接していると判定した場合には、第1の周縁部Wf-bに対して遮蔽部材481を基準位置に配置する第1の配置ステップ112-bを含む。遮蔽ステップ112は、基板Wfの第2の周縁部Wf-cが遮蔽部材481に近接していると判定した場合には、第2の周縁部Wf-cに対して遮蔽部材481を遮蔽位置に配置する第2の配置ステップ112-cを含む。遮蔽ステップ112は、基板Wfの第3の周縁部Wf-dが遮蔽部材481に近接していると判定した場合には、第3の周縁部Wf-dに対して遮蔽部材481を退避位置に配置する第3の配置ステップ112-dを含む。これにより、基板の周縁部のめっき膜厚の乱れを是正して被めっき面全体のめっき膜厚の均一化を向上させることができる。
【0039】
続いて、めっき方法は、めっき処理を終了すべきか否かを判定する(ステップ114)。めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過していないことによりめっき処理を終了すべきではないと判定した場合には(ステップ114,No)、ステップ110に戻って処理を継続する。
【0040】
一方、めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過したことによりめっき処理を終了すべきと判定した場合には(ステップ114,Yes)、アノード430と基板Wfとの間の電圧印加を停止することによってめっき処理を停止する(ステップ116)。続いて、めっき方法は、回転機構447による基板ホルダ440の回転を停止する(ステップ118)。続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440を上昇させる(ステップ120)。これにより、一連のめっき処理は終了する。
【0041】
次に、他の実施形態のめっきモジュール400について説明する。上記の実施形態では、遮蔽機構485は、基板Wfの周縁部のめっき膜厚の分布に応じて、遮蔽部材481を基準位置、遮蔽位置、および退避位置の間で切り替えて配置するように構成されたが、これに限定されない。遮蔽機構485は、基板ホルダ440に保持される基板Wfの種類に応じて、遮蔽部材481を基準位置、遮蔽位置、および退避位置の間で切り替えて配置するように構成されてもよい。以下、この点について説明する。
【0042】
図9は、基板の種類に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
図9(A)は、異なる3種類の基板に対して、遮蔽部材481を基準位置に配置してめっき処理を行ったときのそれぞれのめっき膜厚分布を示している。
図9(B)は、3種類の基板に対して遮蔽部材481を基準位置、遮蔽位置、退避位置に配置している状態を示している。
図9(C)は、
図9(B)のように遮蔽部材481を配置した結果、基板に形成されるめっき膜厚分布を示している。
【0043】
図9(A)に示すように、基板Wfの被めっき面におけるシード厚不均一、基板Wfの被めっき面におけるパターン形状など様々な要因によって、基板の周縁部のめっき膜厚には乱れが生じ得る。例えば
図9(A)上段に示すように、遮蔽部材481を基準位置に配置した状態でめっき処理した結果、基板全体で均一のめっき膜厚分布が得られたとする。この場合、遮蔽機構485は、同種の基板に対しては
図9(B)上段に示すように、遮蔽部材481を基準位置に配置する。その結果、
図9(C)上段に示すように、被めっき面全体のめっき膜厚の均一化が得られる。
【0044】
一方、例えば、例えば
図9(A)中段に示すように、遮蔽部材481を基準位置に配置した状態でめっき処理した結果、基板の周縁部のめっき膜厚が中央部に比べて厚くなったとする。この場合、遮蔽機構485は、同種の基板に対しては
図9(B)中段に示すように、遮蔽部材481を遮蔽位置に配置する。その結果、基板Wfの周縁部に対するめっき膜厚形成を抑制することができるので、
図9(C)中段に示すように、被めっき面全体のめっき膜厚の均一化を向上させることができる。
【0045】
また、例えば、例えば
図9(A)下段に示すように、遮蔽部材481を基準位置に配置した状態でめっき処理した結果、基板の周縁部のめっき膜厚が中央部に比べて薄くなったとする。この場合、遮蔽機構485は、同種の基板に対しては
図9(B)下段に示すように、遮蔽部材481を退避位置に配置する。その結果、基板Wfの周縁部に対するめっき膜厚形成を促進することができるので、
図9(C)下段に示すように、被めっき面全体のめっき膜厚の均一化を向上させることができる。以上により、本実施形態によれば、基板の周縁部のめっき膜厚の乱れを是正して被めっき面全体のめっき膜厚の均一化を向上させることができる。
【0046】
次に、本実施形態のめっきモジュール400を用いためっき方法について説明する。
図10は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【0047】
めっき方法は、基板ホルダ440に保持される基板の種類を判定する(判定ステップ201)。判定ステップ201は、例えば、あらかじめ実験などにより取得された同種の基板Wfのめっき膜厚の分布に基づいて、基板の種類を判定することができる。続いて、めっき方法は、基板ホルダ440に基板Wfを設置する(ステップ202)。ステップ202は、例えば被めっき面Wf-aを下方に向けた状態の基板Wfを図示していないロボットハンドなどによってシールリングホルダ442に置き、バックプレート444によって基板Wfの裏面を押圧することによって実行することができる。
【0048】
続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440をめっき槽410内に降下させる(降下ステップ204)。続いて、めっき方法は、回転機構447によって基板ホルダ440を回転させる(回転ステップ206)。
【0049】
続いて、めっき方法は、めっき槽410内に配置されたアノード430と基板ホルダ440に保持された基板Wfとの間に電圧を印加することによって被めっき面Wf-aにめっき処理を施す(めっきステップ208)。
【0050】
続いて、めっき方法は、判定ステップ201で判定された基板の種類に応じて、遮蔽部材481を、基準位置、遮蔽位置、および退避位置の間で切り替えて配置する(遮蔽ステップ210)。具体的には、遮蔽ステップは、
図9(A)(B)を用いて説明したように、基板の周縁部に形成されるめっき膜厚が中央部に比べて同等か、厚いか、または薄いかに応じて遮蔽部材481を基準位置、遮蔽位置、または退避位置に切り替えて配置する。これにより、
図9(C)に示すように、基板の周縁部のめっき膜厚の乱れを是正して被めっき面全体のめっき膜厚の均一化を向上させることができる。なお、ステップ206、208、210は順序が入れ替わってもよいし同時に実行されてもよい。
【0051】
続いて、めっき方法は、めっき処理を終了すべきか否かを判定する(ステップ212)。めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過していないことによりめっき処理を終了すべきではないと判定した場合には(ステップ212,No)、ステップ212に戻って処理を継続する。
【0052】
一方、めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過したことによりめっき処理を終了すべきと判定した場合には(ステップ212,Yes)、アノード430と基板Wfとの間の電圧印加を停止することによってめっき処理を停止する(ステップ214)。続いて、めっき方法は、回転機構447による基板ホルダ440の回転を停止する(ステップ216)。続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440を上昇させる(ステップ218)。これにより、一連のめっき処理は終了する。
【0053】
次に、本実施形態のめっき装置1000の別の態様について説明する。上記の実施形態では、めっき装置1000に含まれる抵抗体450は、円板部材の周方向に沿って多数の孔が均等間隔に形成される例を示したが、これに限定されない。以下、この点について説明する。
【0054】
図11は、一実施形態の抵抗体に含まれる複数の領域を示す平面図である。抵抗体450は、円板部材451に多数の孔452が形成されて構成される。なお、
図11では、円板部材451に形成される多数の孔452のうちの一部のみを図示しているが、実際には破線455内に全体的に孔452が形成される。破線455は基板の被めっき面を示し、抵抗体の金属イオンが透過する領域(イオン透過領域)は、この基板の被めっき面と略同一もしくは若干小さく設定されており、抵抗体による遮蔽領域とは、後述する開口454(S5領域)を除いた領域を指す。この設定により、基板Wfの被めっき面に対して、抵抗体450が適切に機能し、めっき液の流れと基板上の金属のめっき分布の細かい調整が可能になる。円板部材451には多数の孔452が形成されるが、円板部材451の周方向に沿って非均等に孔452が形成される部分がある。より具体的には、
図11に示すように、抵抗体450は、遮蔽部材481が遮蔽位置に配置されたときに抵抗体450と遮蔽部材481とが重複する動的遮蔽領域DAを有する。抵抗体450は、動的遮蔽領域DAにおいて、第1の遮蔽率を有する第1の領域S1を含む。第1の遮蔽率とは、抵抗体450が領域S1において金属イオンの透過を遮蔽する割合のことであり、第1の遮蔽率=1-領域S1内の孔の総面積/領域S1の面積となる。後述する他の領域の遮蔽率についても同様である。なお、各総面積は隣接する他の領域の孔までを境界として算出している。第1の領域S1は、基板ホルダ440に保持された基板に対向する抵抗体450の総面積の0.35%未満の面積を有する。
【0055】
また、抵抗体450は、動的遮蔽領域DAにおいて、第1の領域S1から離間した内側に配置され、第1の遮蔽率よりも大きい第2の遮蔽率を有する第2の領域S2を含む。また、抵抗体450は、動的遮蔽領域DAにおいて、第1の領域S1と第2の領域S2との間に配置され、第1の遮蔽率よりも大きく第2の遮蔽率よりも小さい第3の遮蔽率を有する第3の領域S3を含む。動的遮蔽領域DA内に第1の領域S1、第2の領域S2および第3の領域S3が配置されることにより、動的遮蔽領域DA内において、遮蔽率が動的に変化する。第3の領域S3は、動的遮蔽領域DAを超えて周方向に沿って延伸し、延伸した領域において均一に第3の遮蔽率を有する。本実施形態では、第3の領域S3は、抵抗体450の所定の半径位置(43列目)において全周にわたって延伸し、全周にわたって均一に第3の遮蔽率を有する。なお、第1の領域S1は、抵抗体450の遮蔽領域の周縁部において周方向の全体に対して局所的な遮蔽率を有する領域であるので、本明細書では、第1の領域S1を「局所遮蔽領域」という。
【0056】
また、抵抗体450は、第2の領域S2よりも内側および第2の領域S2の周方向の他の部分に配置され、第2の遮蔽率よりも小さい第4の遮蔽率を有する第4の領域S4をさらに含む。また、抵抗体450は、第1の領域S1の周方向の他の部分(具体的には第1の領域S1に対して90度ずれた部分)に配置され、孔452よりも大きい開口454を有する第5の領域S5をさらに含む。第5の領域S5の遮蔽率は0であり、抵抗体の遮蔽領域は、特定の領域(第1の領域、第2の領域、第3の領域、第4の領域、第6の領域)を指し、これらは基板が異なる方位位置にある時に異なる遮蔽率によって特徴づけられる。また、抵抗体450は、第1の領域S1および第5の領域S5の周方向の他の部分に配置され、第1の遮蔽率よりも大きい第6の遮蔽率を有する第6の領域S6をさらに含む。
【0057】
図11に示す例の一態様では、第4の領域S4は、円板部材の中心(0列目)から40列目の全周、および41列目と42列目の一部に配置され、第4の遮蔽率は72%となる。また、第2の領域S2は、41列目および42列目の一部に配置され、第2の遮蔽率は84%となる。また、第3の領域S3は、43列目に配置され、第3の遮蔽率は66%となる。また、第1の領域S1は、44列目および45列目の一部に配置され、第1の遮蔽率は48%となる。また、第6の領域S6は、44列目の一部に配置され、第6の遮蔽率は86%となる。
【0058】
図11に示す例の別の態様では、第4の領域S4は、円板部材の中心(0列目)から40列目までの全周、および41列目の一部に配置され、第4の遮蔽率は72%となる。また、第2の領域S2は、41列目の一部に配置され、第2の遮蔽率は86%となる。また、第3の領域S3は、42列目および43列目に配置され、第3の遮蔽率は42列目が72%、43列目が66%となる。また、第1の領域S1は、44列目および45列目の一部に配置され、第1の遮蔽率は48%となる。第6の領域S6は、44列目の一部に配置され、第6の遮蔽率は、86%となる。
【0059】
図12は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を調整した場合のめっき膜厚の例を模式的に示す図である。
図12の上段に示すように、基板の周縁部のめっき膜厚が厚い部分に対して、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を遮蔽位置に配置する。これにより、当該部分のめっき膜厚形成を抑制することができるので、当該部分のめっき膜厚を基準膜厚(正常膜厚)に近づけることができる。
【0060】
また、
図12の中段に示すように、基板の周縁部のめっき膜厚が正常な部分に対して、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を基準位置に配置する。これにより、当該部分のめっき膜厚形成を正常膜厚に保つことができる。また、
図12の下段に示すように、基板の周縁部のめっき膜厚が薄い部分に対して、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を退避位置に配置する。これにより、当該部分のめっき膜厚形成を促進することができるので、当該部分のめっき膜厚を基準膜厚(正常膜厚)に近づけることができる。
【0061】
本実施形態によれば、抵抗体450は、第3の領域S3が動的遮蔽領域DAを超えて周方向に沿って延伸し、延伸した領域において均一に第3の遮蔽率を有している。したがって、本実施形態の抵抗体450は従来技術の抵抗体と比べて利点が存在する。すなわち、めっき膜厚が正常な箇所に対して、遮蔽部材481は抵抗体450の42列目が露出するような基準位置に配置されてめっき処理が行われる。従来技術の抵抗体は、41列目から43列目の遮蔽率がその他の周方向の遮蔽率より高いため、めっき膜厚は薄くなる傾向となる。一方、本実施形態の抵抗体450の43列目(または42列目と43列目)は、その他の周方向の遮蔽率と同じで孔が均一に配列されるため、その他の周方向の遮蔽率の異なる41列目および42列目(または41列目)の電流密度分布の影響を緩和し、膜厚が正常な箇所に対して膜厚均一性または共平面性に対して影響を受けにくくなる。その結果、本実施形態によれば、遮蔽部材481を基準位置に配置した状態において、基板の周縁部のめっき膜厚を正常膜厚に保つことができる。
【0062】
図11に示す例の一態様では、第4の領域S4は、円板部材の中心(0列目)から42列目まで配置され、第4の遮蔽率は72%となる。また、第3の領域S3は、43列目に配置され、第3の遮蔽率は66%となる。また、第5の領域S5は、44列目および45列目の一部に配置される。第5の領域S5は、孔より大きな開口454が形成されているので、遮蔽率は0%となる。第6の領域S6は、44列目の一部に配置され、第6の遮蔽率は86%となる。
【0063】
なお、上記の実施形態では、第3の領域S3が、例えば
図11に示すように円板部材451の全周にわたって延伸する例を示したが、これに限定されない。
図13は、一実施形態の抵抗体に含まれる複数の領域を示す平面図である。
【0064】
抵抗体450は、上記実施形態と同様に、動的遮蔽領域DAにおいて、第1の遮蔽率を有する第1の領域S1と、第1の領域S1から離間した内側に配置され、第1の遮蔽率よりも大きい第2の遮蔽率を有する第2の領域S2と、を含む。また、抵抗体450は、動的遮蔽領域DAにおいて、第1の領域S1と第2の領域S2との間に配置され、第1の遮蔽率よりも大きく第2の遮蔽率よりも小さい第3の遮蔽率を有する第3の領域S3を含む。第3の領域S3は、動的遮蔽領域DAを超えて周方向に沿って延伸し、延伸した領域において均一に第3の遮蔽率を有する。
【0065】
図13に示す例では、第3の領域S3は、円板部材451の全周にわたって延伸していない。すなわち、本実施形態では、第5の領域S5は、第1の領域S1の周方向の他の部分に加えて第3の領域S3の周方向の他の部分にも配置されている。言い換えると、第5の領域S5は、抵抗体450の44列目および45列目のみならず、43列目まで拡張している。これにより、抵抗体450の43列目の一部には第5の領域S5が存在するが、43列目の大部分には第3の領域S3が抵抗体450の周方向に沿って延伸している。
【0066】
また、抵抗体450は、第2の領域S2よりも内側および第2の領域S2の周方向の他の部分に配置され、第2の遮蔽率よりも小さく第3の遮蔽率と同一の第4の遮蔽率と、第1の領域S1および第5の領域S5の周方向の他の部分に配置され、第1の遮蔽率よりも大きい第6の遮蔽率を有する第6の領域S6と、を含む。
図13に示す例では、第4の領域S4は、円板部材の中心(0列目)から40列目の全周、および41列目と42列目の一部に配置され、第4の遮蔽率は72%となる。また、第2の領域S2は、41列目および42列目の一部に配置され、第2の遮蔽率は84%となる。また、第3の領域S3は、43列目に配置され、第3の遮蔽率は72%となり、第4の遮蔽率と同一になる点で上記の実施例とは異なる。また、第1の領域S1は、44列目および45列目の一部に配置され、第1の遮蔽率は48%となる。また、第6の領域S6は、44列目の一部に配置され、第6の遮蔽率は86%となる。
【0067】
本実施形態によれば、均一な遮蔽率を有する第3の領域S3が抵抗体450の43列目の大部分において抵抗体450の周方向に沿って延伸している。したがって、本実施形態の抵抗体450は従来技術の抵抗体と比べて利点が存在する。すなわち、めっき膜厚が正常な箇所に対して、遮蔽部材481は抵抗体450の42列目が露出するような基準位置に配置されてめっき処理が行われる。従来技術の抵抗体は、41列目から43列目の遮蔽率がその他の周方向の遮蔽率より高いため、めっき膜厚は薄くなる傾向となる。一方、本実施形態の抵抗体450の43列目の大部分は、その他の周方向の遮蔽率と同じで均一に配列されるため、その他の周方向の遮蔽率の異なる41列目および42列目の電流密度分布の影響を緩和し、膜厚が正常な箇所に対して膜厚均一性または共平面性に対して影響を受けにくくなる。その結果、本実施形態によれば、遮蔽部材481を基準位置に配置した状態において、基板の周縁部のめっき膜厚を正常膜厚に保つことができる。
【0068】
次に、本実施形態のめっき装置1000の別の態様について説明する。
図14は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
【0069】
上記の実施形態では、遮蔽機構485が、遮蔽部材481を、基準位置、遮蔽位置、および退避位置、の間で切り替えて配置するように構成される例を示したが、これに限定されない。遮蔽機構485は、遮蔽部材481を、アノード430と基板Wfとの間の遮蔽位置と、アノード430と基板Wfとの間から退避した退避位置、との間に配置するように構成されてもよい。
図14は、遮蔽機構485が、遮蔽部材481を、遮蔽位置と退避位置との間で切り替えて配置する例を示している。また、
図14は、抵抗体450の多数の孔が円板部材の周方向に沿って均等間隔に形成されている場合の遮蔽部材の配置位置の切り替えを示している。
【0070】
また、上記の実施形態では、回転機構447が、基板ホルダ440を一方向に一定の速度で回転させる例を示したが、これに限定されない。回転機構447は、基板Wfの選択された方位角位置にある第1の部分Wf-eが、第1の部分と異なる方位角位置にあり第1の部分と同じ弧長および半径位置を有する基板の第2の部分Wf-fとは異なる時間、抵抗体450および遮蔽部材481によって規定される動的遮蔽領域DAに位置するように基板ホルダ440を回転させるように構成されていてもよい。動的遮蔽領域DAは、基板の第1の部分Wf-eが動的遮蔽領域DAに滞在するときに、基板の第2の部分Wf-fが動的遮蔽領域DAに滞在するときと比べて、遮蔽率が変化する領域である。
【0071】
図14に示すように、基板の第1の部分Wf-eが、基板の第2の部分Wf-fよりもめっき膜厚が厚い部分を含む場合、遮蔽機構485は、基板の第1の部分Wf-eが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を遮蔽位置に配置するように構成される。また、遮蔽機構485は、基板の第2の部分Wf-fが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を退避位置に配置するように構成される。
【0072】
また、回転機構447は、基板Wfの第1の部分Wf-e(膜厚が厚い部分)が、第2の部分Wf-f(正常膜厚の部分)よりも長い時間、動的遮蔽領域DAに位置するように基板ホルダ440を回転させるように構成される。
【0073】
図15は、基板の第1の部分Wf-eを遮蔽するタイミングと基板ホルダの回転速度との関係を示す図である。
図15のグラフの横軸は、基板Wfの第1の部分Wf-eの回転位置を示しており、縦軸は、遮蔽部材の位置(遮蔽位置または退避位置)、および基板ホルダ440の回転速度(回転方向)を示している。本例では、
図15に示すように、基板の特定の位置(例えば基板のノッチ)を基準(θ=0)とした場合に、θ=θ1からθ=θ2の範囲内の周縁部にめっきの堆積速度を抑制したい第1の部分Wf-eが存在しているものとする。
【0074】
図15は、基板Wfの第1の部分Wf-eにおけるめっきの堆積速度の追加の抑制を1回実行した(基板ホルダの回転方向を2回切り替えた)場合の遮蔽部材の位置と基板ホルダの回転速度とを示している。
図15に示すように、回転機構447は、まず、
図15中に矢印Aで示すように、基板ホルダ440を所定の速度で第1の方向に回転させる。続いて、遮蔽機構485は、基板Wfのθ1の位置が遮蔽部材481の中心にきたときに、遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出す。続いて、回転機構447は、基板Wfのθ2の位置が遮蔽部材481の中心にきたときに、基板ホルダ440の回転方向を切り替えて第2の方向に回転させる。続いて、回転機構447は、基板Wfのθ1の位置が遮蔽部材481の中心にきたときに、基板ホルダ440の回転方向を切り替えて第1の方向に回転させる。
【0075】
回転機構447は、遮蔽部材481が遮蔽位置に配置されている間に基板ホルダ440の回転方向を切り替える(基板ホルダ440を往復回転させる)ことにより、
図15に示すように、基板ホルダ440を第1の方向に一定速度で回転させる場合に比べて約3倍の期間、遮蔽部材481を遮蔽位置に配置することができる。したがって、本実施形態によれば、基板Wfの第1の部分Wf-eにおけるめっき膜厚の形成を強く抑制することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、基板の第1の部分Wf-eが動的遮蔽領域DAに位置するときに基板ホルダ440の回転方向を反転させる(基板ホルダ440を往復回転させる)例を示したが、これに限定されない。回転機構は、基板の第1の部分Wf-eが動的遮蔽領域DAに位置するときに基板ホルダ440の回転速度を上げる(速くする)または下げる(遅くする)ことによって、基板の第1の部分Wf-eを基板の第2の部分Wf-fとは異なる時間動的遮蔽領域DAに位置させるように構成されてもよい。
【0077】
図16は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
図16は、遮蔽機構485が、遮蔽部材481を、基準位置と遮蔽位置との間で切り替えて配置する例を示している。また、
図16は、抵抗体450の多数の孔が円板部材の周方向に沿って均等間隔に形成されている場合の遮蔽部材の配置位置の切り替えを示している。
【0078】
図16に示すように、基板の第1の部分Wf-eが、基板の第2の部分Wf-fよりもめっき膜厚が厚い部分を含む場合、遮蔽機構485は、基板の第1の部分Wf-eが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を遮蔽位置に配置するように構成される。また、遮蔽機構485は、基板の第2の部分Wf-fが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を基準位置に配置するように構成される。
【0079】
また、回転機構447は、
図15において説明したのと同様に、基板ホルダ440の回転方向を切り替えることにより、基板Wfの第1の部分Wf-eが、第2の部分Wf-fよりも長い時間、動的遮蔽領域DAに位置するように基板ホルダ440を回転させるように構成される。したがって、本実施形態によれば、基板Wfの第1の部分Wf-eにおけるめっき膜厚の形成を強く抑制することができる。
【0080】
図17は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
図17は、遮蔽機構485が、遮蔽部材481を、退避位置と遮蔽位置との間で切り替えて配置する例を示している。また、
図17は、例えば
図11から
図13に示した実施形態のように抵抗体450の多数の孔が円板部材の周方向に沿って非均等に形成されている場合の遮蔽部材の配置位置の切り替えを示している。
【0081】
図17に示すように、基板の第1の部分Wf-eが、基板の第2の部分Wf-fよりもめっき膜厚が厚い部分を含む場合、遮蔽機構485は、基板の第1の部分Wf-eが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を遮蔽位置に配置するように構成される。また、遮蔽機構485は、基板の第2の部分Wf-fが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を退避位置に配置するように構成される。
【0082】
また、回転機構447は、
図15において説明したのと同様に、基板Wfの第1の部分Wf-e(膜厚が厚い部分)が、第2の部分Wf-f(正常膜厚の部分)よりも長い時間、動的遮蔽領域DAに位置するように基板ホルダ440を回転させるように構成される。したがって、本実施形態によれば、基板Wfの第1の部分Wf-eにおけるめっき膜厚の形成を強く抑制することができる。
【0083】
図18は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
図18は、遮蔽機構485が、遮蔽部材481を、基準位置と遮蔽位置との間で切り替えて配置する例を示している。また、
図18は、例えば
図11から
図13に示した実施形態のように抵抗体450の多数の孔が円板部材の周方向に沿って非均等に形成されている場合の遮蔽部材の配置位置の切り替えを示している。
【0084】
図18に示すように、基板の第1の部分Wf-eが、基板の第2の部分Wf-fよりもめっき膜厚が厚い部分を含む場合、遮蔽機構485は、基板の第1の部分Wf-eが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を遮蔽位置に配置するように構成される。また、遮蔽機構485は、基板の第2の部分Wf-fが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を基準位置に配置するように構成される。
【0085】
また、回転機構447は、
図15において説明したのと同様に、基板Wfの第1の部分Wf-e(膜厚が厚い部分)が、第2の部分Wf-f(正常膜厚の部分)よりも長い時間、動的遮蔽領域DAに位置するように基板ホルダ440を回転させるように構成される。したがって、本実施形態によれば、基板Wfの第1の部分Wf-eにおけるめっき膜厚の形成を強く抑制することができる。
【0086】
図19は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
図19は、遮蔽機構485が、遮蔽部材481を、遮蔽位置と退避位置との間で切り替えて配置する例を示している。また、
図19は、例えば
図11から
図13に示した実施形態のように抵抗体450の多数の孔が円板部材の周方向に沿って非均等に形成されている場合の遮蔽部材の配置位置の切り替えを示している。
【0087】
図19に示すように、基板の第1の部分Wf-eが、基板の第2の部分Wf-fよりもめっき膜厚が薄い部分を含む場合、遮蔽機構485は、基板の第1の部分Wf-eが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を退避位置に配置するように構成される。また、遮蔽機構485は、基板の第2の部分Wf-fが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を遮蔽位置に配置するように構成される。
【0088】
また、回転機構447は、
図15において説明したのと同様に、基板Wfの第1の部分Wf-e(膜厚が薄い部分)が、第2の部分Wf-f(正常膜厚の部分)よりも長い時間、動的遮蔽領域DAに位置するように基板ホルダ440を回転させるように構成される。したがって、本実施形態によれば、基板Wfの第1の部分Wf-eにおけるめっき膜厚の形成を強く促進することができる。
【0089】
図20は、基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて遮蔽部材の配置位置を切り替える例を模式的に示す平面図である。
図20は、遮蔽機構485が、遮蔽部材481を、基準位置、遮蔽位置、および退避位置の間で切り替えて配置する例を示している。また、
図20は、例えば
図11から
図13に示した実施形態のように抵抗体450の多数の孔が円板部材の周方向に沿って非均等に形成されている場合の遮蔽部材の配置位置の切り替えを示している。
【0090】
図20に示すように、基板の第1の部分Wf-e1が、基板の第2の部分Wf-fよりもめっき膜厚が厚い部分を含む場合、遮蔽機構485は、基板の第1の部分Wf-e1が動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を遮蔽位置に配置するように構成される。また、基板の第1の部分Wf-e2が、基板の第2の部分Wf-fよりもめっき膜厚が薄い部分を含む場合、遮蔽機構485は、基板の第1の部分Wf-e2が動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を退避位置に配置するように構成される。また、遮蔽機構485は、基板の第2の部分Wf-fが動的遮蔽領域DAに位置しているときに遮蔽部材481を基準位置に配置するように構成される。
【0091】
また、回転機構447は、
図15において説明したのと同様に、基板Wfの第1の部分Wf-e1(膜厚が厚い部分),e2(膜厚が薄い)が、第2の部分Wf-f(正常膜厚の部分)よりも長い時間、動的遮蔽領域DAに位置するように基板ホルダ440を回転させるように構成される。したがって、本実施形態によれば、基板Wfの第1の部分Wf-e1におけるめっき膜厚の形成を強く抑制するとともに、基板Wfの第1の部分Wf-e2におけるめっき膜厚の形成を強く促進することができる。
【0092】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0093】
本願は、一実施形態として、めっき液を収容するように構成されためっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するように構成された基板ホルダと、前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、前記アノードと前記基板との間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材と、前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の基準位置、前記基準位置よりも電場遮蔽面積が大きくなる遮蔽位置、および前記アノードと前記基板との間から退避した退避位置、の間で切り替えて配置するように構成された遮蔽機構と、を含む、めっき装置を開示する。
【0094】
また、本願は、一実施形態として、前記遮蔽機構は、前記基板の周縁部に形成されるめっき膜厚の分布応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、めっき装置を開示する。
【0095】
また、本願は、一実施形態として、前記基板の周縁部のめっき膜厚を計測するように構成された膜厚センサをさらに含み、前記遮蔽機構は、前記膜厚センサによって計測された前記基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、めっき装置を開示する。
【0096】
また、本願は、一実施形態として、前記遮蔽機構は、第1のめっき膜厚が形成される前記基板の第1の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記基準位置に配置し、前記第1のめっき膜厚よりも厚い第2のめっき膜厚が形成される前記基板の第2の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配置し、前記第1のめっき膜厚よりも薄い第3のめっき膜厚が形成される前記基板の第3の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記退避位置に配置するように構成される、めっき装置を開示する。
【0097】
また、本願は、一実施形態として、前記遮蔽機構は、前記基板ホルダに保持される基板の種類に応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、めっき装置を開示する。
【0098】
また、本願は、一実施形態として、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持する基板ホルダをめっき槽内に降下させる降下ステップと、前記基板ホルダを回転させる回転ステップと、前記めっき槽内に降下された基板の前記被めっき面にめっき処理を施すめっきステップと、前記めっき槽内に配置されたアノードと基板との間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材を、前記アノードと基板との間の基準位置、前記基準位置よりも電場遮蔽面積が大きくなる遮蔽位置、および前記アノードと前記基板との間から退避した退避位置、の間で切り替えて配置する遮蔽ステップと、を含む、めっき方法を開示する。
【0099】
また、本願は、一実施形態として、前記遮蔽ステップは、前記基板の周縁部に形成されるめっき膜厚の分布応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、めっき方法を開示する。
【0100】
また、本願は、一実施形態として、前記基板の周縁部のめっき膜厚を計測する計測ステップをさらに含み、前記遮蔽ステップは、前記計測ステップによって計測された前記基板の周縁部のめっき膜厚の分布に応じて、前記遮蔽部材を前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、めっき方法を開示する。
【0101】
また、本願は、一実施形態として、前記遮蔽ステップは、第1のめっき膜厚が形成される前記基板の第1の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記基準位置に配置する第1の配置ステップと、前記第1のめっき膜厚よりも厚い第2のめっき膜厚が形成される前記基板の第2の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配置する第2の配置ステップと、前記第1のめっき膜厚よりも薄い第3のめっき膜厚が形成される前記基板の第3の周縁部に対して前記遮蔽部材を前記退避位置に配置する第3の配置ステップと、を含む、めっき方法を開示する。
【0102】
また、本願は、一実施形態として、前記基板ホルダに保持される基板の種類を判定する判定ステップをさらに含み、前記遮蔽ステップは、前記判定ステップで判定された基板の種類に応じて、前記遮蔽部材を、前記基準位置、前記遮蔽位置、および前記退避位置の間で切り替えて配置するように構成される、めっき方法を開示する。
【0103】
また、本願は、一実施形態として、めっき液を収容するように構成されためっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するように構成された基板ホルダと、前記アノードと前記基板ホルダとの間に配置され、局所遮蔽領域を備えた抵抗体と、前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、前記アノードと前記基板との間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材と、前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から退避した退避位置、との間に配置するように構成された遮蔽機構と、を含み、前記回転機構は、基板の選択された方位角位置にある第1の部分が、前記第1の部分と異なる方位角位置にあり前記第1の部分と同じ弧長および半径位置を有する基板の第2の部分とは異なる時間、前記遮蔽部材が前記遮蔽位置に配置されたときに前記抵抗体と前記遮蔽部材とが重複する動的遮蔽領域に位置するように前記基板ホルダを回転させるように構成される、めっき装置を開示する。
【0104】
また、本願は、一実施形態として、前記回転機構は、前記基板の前記第1の部分が前記動的遮蔽領域に位置するときに前記基板ホルダの回転速度を上げる、下げる、または、前記基板ホルダの回転方向を反転させることによって、前記基板の前記第1の部分を前記基板の第2の部分とは異なる時間前記動的遮蔽領域に位置させるように構成される、めっき装置を開示する。
【0105】
また、本願は、一実施形態として、前記基板の第1の部分は、前記基板の前記第2の部分よりもめっき膜厚が厚い部分または薄い部分を含む、めっき装置を開示する。
【0106】
また、本願は、一実施形態として、前記基板の第1の部分が、前記基板の前記第2の部分よりもめっき膜厚が厚い部分を含む場合、前記遮蔽機構は、前記基板の前記第1の部分が前記動的遮蔽領域に位置しているときに前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配置するように構成される、めっき装置を開示する。
【0107】
また、本願は、一実施形態として、前記基板の第1の部分が、前記基板の前記第2の部分よりもめっき膜厚が薄い部分を含む場合、前記遮蔽機構は、前記基板の前記第1の部分が前記動的遮蔽領域に位置しているときに前記遮蔽部材を前記退避位置に配置するように構成される、めっき装置を開示する。
【0108】
また、本願は、一実施形態として、前記動的遮蔽領域は、前記基板の第1の部分が前記動的遮蔽領域に滞在するときに、前記基板の第2の部分が前記動的遮蔽領域に滞在するときと比べて、遮蔽率が変化する、めっき装置を開示する。
【0109】
また、本願は、一実施形態として、めっき液を収容するように構成されためっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するように構成された基板ホルダと、前記アノードと前記基板ホルダとの間に配置され、前記アノード側と前記基板ホルダ側とを貫通する複数の孔を有する、抵抗体と、前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、前記アノードと前記基板との間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材と、前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から退避した退避位置、との間に配置するように構成された遮蔽機構と、を含み、前記抵抗体は、前記遮蔽位置に配置された前記遮蔽部材と重複する動的遮蔽領域において、第1の遮蔽率を有する第1の領域と、前記第1の領域から離間した内側に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きい第2の遮蔽率を有する第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きく前記第2の遮蔽率よりも小さい第3の遮蔽率を有する第3の領域と、を含み、前記第3の領域は、前記動的遮蔽領域を超えて周方向に沿って延伸し、延伸した領域において均一に前記第3の遮蔽率を有し、前記抵抗体は、前記第2の領域よりも内側および前記第2の領域の周方向の他の部分に配置され、前記第2の遮蔽率よりも小さく前記第3の遮蔽率と同一の第4の遮蔽率を有する第4の領域を含む、めっき装置を開示する。
【0110】
また、本願は、一実施形態として、前記抵抗体は、前記第1の領域の周方向の他の部分および前記第3の領域の周方向の他の部分に配置され前記孔よりも大きい開口を有する第5の領域をさらに含む、めっき装置を開示する。
【0111】
また、本願は、一実施形態として、前記抵抗体は、前記第1の領域および前記第5の領域の周方向の他の部分に配置され前記第1の遮蔽率よりも大きい第6の遮蔽率を有する第6の領域をさらに含む、めっき装置を開示する。
【0112】
また、本願は、一実施形態として、前記第1の領域は、前記基板ホルダに保持された基板に対向する前記抵抗体の総面積の0.35%未満の面積を有する、めっき装置を開示する。
【符号の説明】
【0113】
400 めっきモジュール
410 めっき槽
430 アノード
440 基板ホルダ
443 昇降機構
447 回転機構
450 抵抗体
452 孔
454 開口
481 遮蔽部材
485 遮蔽機構
490 膜厚センサ
1000 めっき装置
Wf 基板
Wf-a 被めっき面
Wf-b 第1の周縁部
Wf-c 第2の周縁部
Wf-d 第3の周縁部
Wf-e 第1の部分
Wf-f 第2の部分
DA 動的遮蔽領域
S1 第1の領域
S2 第2の領域
S3 第3の領域
S4 第4の領域
S5 第5の領域
S6 第6の領域
【要約】
基板の周縁部のめっき膜厚の乱れを是正して被めっき面全体のめっき膜厚の均一化を向上させる。
めっきモジュール400は、めっき液を収容するように構成されためっき槽410と、めっき槽410内に配置されたアノード430と、被めっき面Wf-aを下方に向けた状態で基板Wfを保持するように構成された基板ホルダ440と、基板ホルダ440を昇降させるように構成された昇降機構443と、基板ホルダ440を回転させるように構成された回転機構447と、アノード430と基板Wfとの間に形成される電場を遮蔽可能な遮蔽部材481と、遮蔽部材481を、アノード430と基板Wfとの間の基準位置、基準位置よりも電場遮蔽面積が大きくなる遮蔽位置、およびアノード430と基板Wfとの間から退避した退避位置、の間で切り替えて配置するように構成された遮蔽機構485と、を含む。