(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】ハンダボール搭載装置のスキージ及びハンダボール搭載装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20241223BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
H01L21/92 604E
H01L21/92 604H
H05K3/34 505Z
(21)【出願番号】P 2024120968
(22)【出願日】2024-07-26
【審査請求日】2024-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 量介
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 章雄
(72)【発明者】
【氏名】中野谷 隆人
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-105889(JP,A)
【文献】特開2013-152962(JP,A)
【文献】特開2009-267290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52-H01L 21/607
H05K 3/34-H05K 3/34
B41F 15/00-B41F 15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極が形成された基板の表面に、前記電極と対応した位置に開口を備えたマスクを介して、前記マスク上に供給したハンダボールを前記開口を通して前記ハンダボールを前記電極に搭載するハンダボール搭載装置のスキージにおいて、
薄板状に形成され、前記ハンダボールの搭載時の進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、
前記進行方向の両側端部には前記スリットにより分離される薄板を連結する連結部を備え、
前記連結部は、
前記連結部が前記進行方向に連続しないよう前記連結部に副スリットを交互に配置したことにより、少なくとも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とするハンダボール搭載装置のスキージ。
【請求項2】
請求項1に記載のハンダボール搭載装置のスキージにおいて、
前記スキージは、半円筒状に形成した状態で使用することを特徴とするハンダボール搭載装置のスキージ。
【請求項3】
請求項
1に記載のハンダボール搭載装置のスキージにおいて、
前記連結部は、端部で開放する副スリットと、端部で閉じる副スリットとを交互に配置したことにより、少なくとも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とするハンダボール搭載装置のスキージ。
【請求項4】
請求項1に記載のハンダボール搭載装置のスキージにおいて、
前記基板と対応する中央部において、隣り合う前記スリットにより形成した細帯状部材は、スリット連結部により隣り合う前記細帯状部材と連結することを特徴とするハンダボール搭載装置のスキージ。
【請求項5】
請求項1に記載のハンダボール搭載装置のスキージにおいて、
前記進行方向の両端部には、取付部を備え、当該取付部をスキージホルダに取付けることにより半円筒形状を成すことを特徴とするハンダボール搭載装置のスキージ。
【請求項6】
複数の電極が形成された基板の表面に、前記電極と対応した位置に開口を備えたマスクを介して、前記マスク上に供給したハンダボールを前記開口を通して前記ハンダボールを前記電極に搭載するハンダボール搭載装置のスキージにおいて、
薄板状に形成され、前記ハンダボールの搭載時の進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、
前記進行方向の両側端部には前記スリットにより分離される薄板を連結する連結部を備え、
前記連結部は弾性体で形成したことにより前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とするハンダボール搭載装置のスキージ。
【請求項7】
請求項
6に記載のハンダボール搭載装置のスキージにおいて、
前記弾性体は弾性力を備えた金属板で形成したことにより、少なくとも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とするハンダボール搭載装置のスキージ。
【請求項8】
複数の電極が形成され表面にフラックスが塗布された基板面に、前記電極と対応した位置に開口を備えたマスクを介して、薄板に複数のスリットを備えた形状で半円筒形状に形成したスキージにより、前記マスク上に供給したハンダボールを前記開口を通して前記電極に搭載するハンダボール搭載装置において、
前記スキージは、薄板状に形成され、
前記基板面と対応する中央部には、進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、
前記進行方向の両側端部には前記スリットにより分離される薄板を連結する連結部を備え、
前記連結部は
、前記スキージの前記連結部が前記進行方向に連続しないよう当該連結部に副スリットを交互に配置したことにより、少なくとも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とするハンダボール搭載装置。
【請求項9】
請求項
8に記載のハンダボール搭載装置において、
前記スキージの前記連結部は、端部で開放する副スリットと、端部で閉じる副スリットとを交互に配置したことにより、少なく
とも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とするハンダボール搭載装置。
【請求項10】
請求項
8に記載のハンダボール搭載装置において、
前記スキージの前記基板面と対応する中央部において、隣合う前記スリットにより形成した細帯状部材は、スリット連結部により隣合う前記細帯状部材と連結することを特徴とするハンダボール搭載装置。
【請求項11】
請求項
8に記載のハンダボール搭載装置において、
前記スキージの前記進行方向の両端部には、取付部を備え、前記取付部をスキージホルダに取付けることにより前記半円筒形状を成すことを特徴とするハンダボール搭載装置。
【請求項12】
請求項
8に記載のハンダボール搭載装置において、
前記半円筒形状の円筒部を前記マスクに押圧することにより、前記円筒部は変形し、前記マスクの表面に密着することを特徴とするハンダボール搭載装置。
【請求項13】
複数の電極が形成され表面にフラックスが塗布された基板面に、前記電極と対応した位置に開口を備えたマスクを介して、薄板に複数のスリットを備えた形状で半円筒形状に形成したスキージにより、前記マスク上に供給したハンダボールを前記開口を通して前記電極に搭載するハンダボール搭載装置において、
前記スキージは、薄板状に形成され、
前記基板面と対応する中央部には、進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、
前記進行方向の両側端部には前記スリットにより分離される薄板を連結する連結部を備え、
前記スキージの前記連結部は弾性体で形成したことにより、少なくとも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とするハンダボール搭載装置。
【請求項14】
請求項
13に記載のハンダボール搭載装置において、
前記スキージの前記連結部は弾性力を備えた金属板で形成したことにより、少なく
とも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とするハンダボール搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンダボール搭載装置のスキージ及びハンダボール搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンダボール搭載装置は、複数の電極が形成され表面にフラックスが塗布された基板面に、電極と対応した位置に開口を備えたマスクを配置し、薄板に複数のスリットを備えたスキージを備え、ハンダボールをマスクに備えた開口に振り込むものである。
【0003】
ハンダボール搭載装置として、特許文献1~3の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-105889号公報
【文献】特開2010-135457号公報
【文献】特開2016-154193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハンダボール搭載装置のスキージは、薄板に複数のスリットを形成した場合、隣合うスリットによって形成される細帯状部材がばらけないよう、その進行方向の両側端部には細帯状部材を一体に連結する連結部が必要となる。このスキージ(スリットを備えていることから以下スリットスキージと称する場合もある。)は半円筒状に形成され、その円筒部をマスク上に押圧して接触し、マスク上を進行する。このように構成したスキージを利用したハンダボール搭載装置はハンダボールの搭載率が高く、有用であることから、従来からこの分野で広く利用されてきた。これにより、より長期利用したいという要望が従来からなされてきた。
【0006】
すなわち、従来のスキージは、その中央部に押圧力が加わってもスリットが微妙に開き、この押圧力を吸収する。しかしながら、スキージの進行方向の両側端部には細帯状部材を一体に連結する連結部が存在する。そのため、この連結部は押圧力を吸収できず、応力が加わった状態となり、長期の使用に際し、この応力により連結部が破損してしまうという課題があった。このため従来技術(特許文献1~3の技術)では、スキージを例えば数百回~数千回等の連続使用後、定期的にスキージの取り換え作業が必要となっていた。
【0007】
本発明の目的は、スキージの両側端部に存在する連結部の破損をより長期に渡り未然に防止でき、長期使用に耐えるハンダボール搭載装置のスキージ及びハンダボール搭載装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のハンダボール搭載装置のスキージは、複数の電極が形成された基板の表面に、前記電極と対応した位置に開口を備えたマスクを介して、前記マスク上に供給したハンダボールを前記開口を通して前記ハンダボールを前記電極に搭載するハンダボール搭載装置のスキージにおいて、薄板状に形成され、前記ハンダボールの搭載時の進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、前記進行方向の両側端部には前記スリットにより分離される薄板を連結する連結部を備え、前記連結部は、前記連結部が前記進行方向に連続しないよう前記連結部に副スリットを交互に配置したことにより、少なくとも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とする。又は、本発明のハンダボール搭載装置のスキージは、複数の電極が形成された基板の表面に、前記電極と対応した位置に開口を備えたマスクを介して、前記マスク上に供給したハンダボールを前記開口を通して前記ハンダボールを前記電極に搭載するハンダボール搭載装置のスキージにおいて、薄板状に形成され、前記ハンダボールの搭載時の進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、前記進行方向の両側端部には前記スリットにより分離される薄板を連結する連結部を備え、前記連結部は弾性体で形成したことにより前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とする。
【0009】
本発明のハンダボール搭載装置は、複数の電極が形成され表面にフラックスが塗布された基板面に、前記電極と対応した位置に開口を備えたマスクを介して、薄板に複数のスリットを備えた形状で半円筒形状に形成したスキージにより、前記マスク上に供給したハンダボールを前記開口を通して前記電極に搭載するハンダボール搭載装置において、前記スキージは、薄板状に形成され、前記基板面と対応する中央部には、進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、前記進行方向の両側端部には前記スリットにより分離される薄板を連結する連結部を備え、前記連結部は、前記スキージの前記連結部が前記進行方向に連続しないよう当該連結部に副スリットを交互に配置したことにより、少なくとも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とする。又は、本発明のハンダボール搭載装置は、複数の電極が形成され表面にフラックスが塗布された基板面に、前記電極と対応した位置に開口を備えたマスクを介して、薄板に複数のスリットを備えた形状で半円筒形状に形成したスキージにより、前記マスク上に供給したハンダボールを前記開口を通して前記電極に搭載するハンダボール搭載装置において、前記スキージは、薄板状に形成され、前記基板面と対応する中央部には、進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、前記進行方向の両側端部には前記スリットにより分離される薄板を連結する連結部を備え、前記スキージの前記連結部は弾性体で形成したことにより、少なくとも前記進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スキージの両側端部に存在する連結部の破損をより長期に渡り未然に防止でき、長期使用に耐えるハンダボール搭載装置のスキージ及びハンダボール搭載装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ハンダボール搭載装置の概略全体構成図である。
【
図2】充填ヘッドを左方向に移動中の充填ヘッドとスウィーパヘッドの概略構成を示す。
【
図3】充填ヘッドを右方向に移動中の充填ヘッドとスウィーパヘッドの概略構成を示す。
【
図4】スウィーパヘッドが移動中の状態を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例に係るスリットスキージの全体図及び抜粋拡大図を示す。
【
図8】
図7に示すスリットスキージの応力に伴う連結部の伸縮状態を示す説明図である。
【
図9】
図7に示すスリットスキージの角部を拡大して示す斜視図、およびこのスリットスキージをスキージホルダに取付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】スリットスキージのスキージホルダへの取付け状態を示す斜視図である。
【
図11】充填ヘッド及びスウィーパヘッドの動作を説明する図である。
【
図12】充填ヘッド及びスウィーパヘッドの動作を説明する図の続きである。
【
図13】本発明におけるスリットスキージの他の実施例の平面図である。
【
図14】本発明におけるスリットスキージの更に他の実施例の平面図である。
【
図15】従来のスリットスキージを示す平面図、及び部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【実施例1】
【0013】
ハンダボールを電極部に印刷する方法は種々ある。特に、印刷対象のピッチが40μm~150μmと小さくなる傾向にあり、ハンダボールのサイズも、φ20~φ100μmと小さなサイズのものを使用するようになってきている。そこで、小さなハンダボールも確実に精度良く印刷できる技術が望まれている。
【0014】
以下、図面を参照し、本発明のハンダボール印刷装置(ハンダボール搭載装置)の好適な実施の形態について説明する。
【0015】
図1に、ハンダボールを印刷するためのハンダボール搭載装置の概略全体構成を示す。
図1(a)にはマスクと基板の位置合わせを行っている状態を、
図1(b)には基板上にハンダボールを印刷している状態を示している。
【0016】
ハンダボール搭載装置1には、上下に移動可能なように駆動部22を備えた印刷テーブル21が設けてある。なお、印刷テーブル21は、XYθ方向に移動できるように、XYθテーブルで構成されている。この印刷テーブル21に磁石33を敷き、その上に基板20を載置する。
また、ハンダボール搭載装置1側にマスク枠9を介して取り付けてあるマスク8の面と、基板20の面とをカメラ18(2視野カメラ)を用いてそれぞれに設けた位置合わせマークを撮像して、図示していない制御部にて、画像を処理してマークの位置ずれを求める。制御部では求めたずれ量を用いて、マーク位置が合うように基板20を載置した印刷テーブル21を水平方向(XYθ方向)に駆動制御して、位置合わせを行う。印刷テーブル21とマスク8の裏面側との間には、カメラ18を移動するためのカメラ移動フレーム24が設けてある。このカメラ移動フレーム24は、
図1の前後方向に移動可能に設けてある。
【0017】
カメラ18を用いて位置合わせを行った後、位置合わせ用のカメラ18を退避させ、
図1(b)に示すように、駆動部22を動作させて、基板20を載置した印刷テーブル21を上昇させ、上部に設けあるマスク8を基板20の面に接触させる。その後、ヘッド上下駆動機構5を駆動して、充填ヘッド2(又は振込ヘッドと称する場合もある)をマスク面側に降下させ、充填部3の充填部材を構成する複数の細帯状部材からなる充填部材(以下、スキージ或いはスリットスキージと称する場合もある)(
図2参照)をマスク面に所定の押し圧力で接触させる。
【0018】
なお、充填部材は印刷する基板の幅方向と等しいか大きく作られており、充填ヘッド2を水平方向(基板の長手方向)に1回移動することで、ハンダボールをマスク開口部に充填できる。実際には、充填ヘッドを、基板長手方向に1往復させて、確実にマスク開口部に充填させている。充填ヘッドを水平方向に移動時には、充填部3に設けてある駆動機構13(
図5参照)を動作させて、充填部3を回転させる。充填部3は毎秒1~5回転と比較的低速で回転させている。あまり高速で回転させるとスリットスキージ12を構成している細帯状部材が、充填するハンダボールを切断して体積不良の原因となり、またマスクに余計な振動を与えダブルボールの原因となる恐れがある。
【0019】
次に、ヘッド駆動部(モータ2g)を駆動することでボールネジ2bを回転させ、充填ヘッド2を水平方向に移動させる。なお、
図1に示すように、充填ヘッド2が移動しているときに、充填部3は、ハンダボール搭載時に、マスク面との接触部で充填ヘッド2の進行方向と同一方向に(ハンダボール11を掃き出すように)、所定の回転数で回転している。これにより、ハンダボールをマスク開口部に充填すると共に、周囲にハンダボール11がマスク面上に残留しないように、掻き集める。
【0020】
このように充填部材の回転軸がマスク面に対し平行の位置に配置して回転させることにより、スリットスキージ12のマスク面への押し圧力を小さくすることができ且つ回転軸に沿って広範囲に均一にボールの充填が可能である。
【0021】
また、充填部3の回転速度も低速で良く、回転に伴うハンダボール11の飛散も少なくできる。なお、充填部3の回転速度はハンダボール11のサイズ、量などにより変えられるように、可変速のモータにしておいた方が望ましい。さらに、本装置にはマスク裏面を清掃するための清掃機構25がカメラ移動フレーム24に設けてあり、カメラ18と同様、水平方向に移動できるように構成してある。また、充填ヘッド2の横にはスウィーパヘッド26が設けてある。このスウィーパヘッド26は充填ヘッド2が動作してハンダボール11の充填が終了した後に、マスク面上に僅かに残留するハンダボールを印刷領域外に清掃するためのものである。スウィーパヘッド26の詳細に関しては後述する。
【0022】
図2及び
図3に、充填ヘッドとスウィーパヘッドの全体構成の概略図を示す。
図2は充填ヘッドが左側に移動する状態を示している。また、
図3には充填ヘッドが右側に移動する状態を示している。
【0023】
図2に示すように、充填ヘッド2は、充填部3がカバー4内に収納され、シリンダ5aに設けられたピストン棒6aがカバー支持部材10に結合されており、シリンダ5aを駆動することでカバー4と一緒に上下に移動できるように構成されている。カバー支持部材10の端部側には、シリンダ5bに設けたピストン棒6aより短いピストン棒6bの受けが設けてあり、シリンダ5bを駆動してピストン棒6bの停止位置を規定することで、ハンダボールの充填部3を上側に持ち上げた場合に、充填ヘッド2の上昇高さを規定している。なお、カバー4は充填部3が回転することにより、充填されないハンダボール11がカバー4の外側に飛散することを防ぐためのものである。
【0024】
また、印刷状態のとき(充填部3がマスク面に接触しているとき)は、このカバー4とマスク8面間には隙間が開くように形成してある。また、カバー4の前後にはカバー下部からカバー内に空気を吹き込みカバーの外のマスク面上にハンダボールが残留しないようにカバーの下端部に空気吹き付ける空気供給口を備えた空気供給部4aが設けてある。空気供給部からカバー4内に吹き込まれた空気はカバー支持部材10に設けた排気口4nから排出される。この排気口4nにはメッシュ状のフィルタ4fが設けてあり、ハンダボール11がカバー4内から外部に飛散しないように構成してある。
【0025】
なお、
図2に示すように、充填ヘッド2を図の左側方向に移動するとき、充填部3は図に示すように時計回り方向に回転させる。また、
図3に示すように充填ヘッド2が図の右側方向に移動するときは、充填部3は反時計回りに回転するように構成してある。このように、移動方向に応じて充填部3の回転方向を、ハンダボール11が充填ヘッド2の進行側に掃き出されるように回転させること、及びカバーより空気を吹き込むことで、ハンダボール11の飛散の防止と、マスク開口部への充填量を確実に行い、且つ、マスク面への余剰ハンダボールの残留を極力低減することができる。また、カバー4内に空気の代わりに窒素などハンダボール11の酸化を遅らせる気体を吹き込むようにしても良い。
【0026】
充填部3はカバー4の長手方向の両端部に支持されている。カバー4はカバー支持部材10を介してヘッド取り付け枠7の上部に設けたシリンダ5aを構成するピストン棒6aに支持されている。このヘッド取り付け枠7は
図1で示したように印刷機本体に設けた、ボールネジ2bをモータ2gにより回転駆動することで図示していないリニアレール上を水平方向に往復移動する構成としてある。なお、ハンダボール搭載装置1本体側には複数の開口を設けたマスク8を取り付けたマスク枠9を保持するマスク保持部が設けてある。印刷対象物である基板20はハンダボール搭載装置本体側に設けてあるXYθ及びZ方向に移動可能な印刷テーブル21の上に載置されている磁石33の面上に保持されている。
【0027】
なお、この印刷テーブル上に設けた磁石33は基板20とマスク8を密着させるためのもので、マスク8はニッケル等の磁性体で形成されており、印刷テーブルを上昇させてマスク面に接触させたときに、磁力により基板20とマスク8との密着性が更に向上するものである。
【0028】
さらに、充填ヘッド2と並列に設けてあるスウィーパヘッド26が、図示されていないボールネジまたはタイミングベルトに取り付けられている。このスウィーパヘッド26は充填ヘッドと同様スウィーパ取り付け枠29に取り付けられている。スウィーパ取り付け枠29の上部にはスウィーパヘッド26のスウィーパ部27を上下に移動させる駆動源であるシリンダ5cが設けてある。スウィーパ部27はスウィーパ支持部材にスウィーパホルダ4sが取り付けられ、スウィーパホルダ4sの先端部にスウィーパ部材が取り付けてある。
【0029】
このスウィーパ部材は基本的に先に説明したハンダボールの充填ヘッドに用いている充填部材と略同じ構成のものであり、詳細は後述する。また、スウィーパヘッド26の駆動部には、充填ヘッド2と同様に、スウィーパヘッド26の上昇高さを規定するシリンダ5dとピストン軸6dを備えている。
【0030】
図4にスウィーパヘッドの動作中の状態を示す。スウィーパヘッド26は充填ヘッド2でマスク面の開口部にハンダボール11を充填し終わると、充填ヘッド2をマスク8の端部まで移動させる。次に、待機位置でマスク面上に待機しているスウィーパヘッド26を矢印方向(
図4の右方向)に移動させてマスク面上に残留するハンダボール11をマスク面の充填ヘッド2が待機している側に収集する。その後、スウィーパヘッドを下降させた状態で、かつ、印刷テーブルを降下させて、基板面からマスクを離間させるものである。詳細な印刷動作に関しては後述する。
【0031】
次に、充填部3の概略構造を説明する。
図5に充填部の正面図を、
図6に
図5のA-A断面図を示す。
図7に充填部材であるスリットスキージの取り付け前の平面図を、
図10にスリットスキージをスキージホルダに固定する状況を示す。
【0032】
図5及び
図6に示すように充填部3は、回転軸16に設けた8角形の固定部材15のそれぞれの辺に、充填部取り付け部材(以下、スキージホルダ14と称する場合もある)がボルト17締めで固定してある。また固定部材15は8角形に限定せず6角形~12角形の多角形でもよい。回転軸16の両端側はベアリングを介してカバー4に支持してある。この回転軸16の一方の端部には駆動機構13が設けてあり、駆動機構13を構成するモータを駆動することで所定の回転数で回転することができる。
図5に示すように、充填部3は充填ヘッド2の進行方向に対して直角方向(基板の幅方向)が長く形成されている。この長さはハンダボールを印刷する基板20の幅より長めに形成されている。
【0033】
これにより、基本的には、ハンダボールの充填ヘッド2を水平方向にマスク面上を1回移動させるだけで基板20の電極部の略全てにハンダボール11を充填できる。充填部材の長さは図のようにLjの長さとしてあり、マスクの幅LmはこのLjより大きく作られており、基板の幅Ltはマスク幅Lm、充填部材の幅Ljより小さく作られている。すなわち、Lm≧Lj≧Ltの関係に有る。
【0034】
図6に示すように、このスキージホルダ14には、
図7に示す複数の細帯状部材から構成されるスリットスキージ12が取り付けてある。スキージホルダ14の断面は図のように台形とし、長辺側を四角形とした形状としてある。そして台形の短辺側が中心軸を向くように取り付けて有る。断面形状を台形とすることでスリットスキージ12を半円筒状に効率よく取付けることができる。また、
図10に示すようにスキージホルダ14の四角形部分には長手方向に、所定の間隔を空けて磁石31が埋め込まれている。この磁石31は、スリットスキージ12をスキージホルダに固定するために用いられる。なお、磁石と磁石の間には、位置決め用の位置決めピン32が設けてあり、このピンがスリットスキージ12の幅方向の両端部に設けてある固定部12Pに設けた挿入孔12Hに合致するようになっている。
【0035】
スリットスキージ12は
図7に示すように、厚さ0.05~0.1mmの鋼板を用いて、主スリット12Sにより0.1mm~0.3mm間隔を設けて、線幅0.1mmでθ=5度~35度の傾斜で固定部12Pを除いてエッチング加工することで複数の線材を一括形成してある。この幅方向の両端部に設けた固定部12Pをスキージホルダ14の両側に固定する。なお、スリットスキージ12はエッチング加工に限らず、電鋳法を用いて形成してもよい。
【0036】
図15(a)は従来のスキージP12を展開して示した平面図であり、
図15(b)は
図15(a)の破線で囲ったB部を拡大して示した拡大図である。このスキージP12は、一例として、厚さ0.05~0.1mmの鋼板を用い、幅0.1mm~0.3mmのスリットP12Sを0.1mm~0.3mm間隔で、θ=5度~35度の傾斜をつけて設ける。これにより、隣合うスリットP12Sによって、幅0.1mm~0.3mmの細帯状部材P12Lを形成する。このスリットP12Sは、例えば、厚さ0.05~0.1mmの鋼板をエッチング加工することで形成する。なお、このスキージP12は幅方向の両端部に設けた固定部P12Pをスキージホルダ14の両側に固定され、半円筒状に取付けられ、矢印で示した進行方向Fに進行する。
【0037】
なお、鋼板にスリットP12Sを形成することで、進行方向Fに対し、その前後には固定部P12Pを備えているので、隣合うスリットP12Sによって形成された細帯状部材P12Lはばらけることはないが、進行方向Fの両側端部はばらけてしまう。そこで、この両側端部にはスリットP12Sの端部によって連続的に形成される細帯状部材P12Lによってこれらを連結する連結部P12Cが形成されている。
【0038】
上記したように、従来のスキージP12は、半円筒部をマスク8上に押圧して接触し、このマスク8上を進行することになるが、スキージP122の中央部はこの押圧力が加わってもスリットP12Sが微妙に開き、この押圧力を吸収する。しかしながら、スキージP12の進行方向Fの両側端部は細帯状部材P12Lを単に一体に連結する連結部P12Cが存在するため、この押圧力を吸収できず、応力が加わった状態になる。このため、長期の使用に際し、この応力により連結部が破損してしまうという課題があった。
【0039】
そこで、本発明の一実施例では、スリットスキージ12を
図7に示すように構成する。この図において、
図7(a)は本発明の一実施例を示す平面図、
図7(b)は
図7(a)の破線部Bで示した部分の部分拡大図、
図7(c)はスリットスキージ12の進行方向Fの側端部に構成した連結部41の拡大図である。なお、
図9(a)はスリットスキージ12の端部を拡大して示した斜視図であり、
図9(b)はスリットスキージ12をスキージホルダ14に取付けた端部の拡大斜視図である。
【0040】
このスリットスキージ12において、進行方向Fの中央部40には従来と同様、一例として、厚さ0.05~0.1mmの薄板鋼板を用い、幅0.1mm~0.3mmの主スリット12Sを0.1mm~0.3mm間隔で、θ=5度~35度の傾斜をつけて設ける。これにより、隣合う主スリット12Sによって、幅0.1mm~0.3mmの細帯状部材12Lを形成する。この主スリット12Sは、例えば、厚さ0.05~0.1mmの鋼板をエッチング加工することで形成する。従来と異なっているところは、主に連結部41の構成である。従来は単に連結部P12Cで、細帯状部材P12Lを連続して連結したのみであったが、この実施例によれば、連結部41に多数の副スリット42を交互配置し、この副スリット42により、スリットスキージ12の両側端部に配置された連結部41のスリットスキージ12の進行方向Fに対する連続性を遮断したものである。
【0041】
すなわち、この実施例においては、
図7(c)に拡大して示すように、連結部41のほぼ全域にわたって配置し、両端を閉じた形状の副スリット42aと、一端をスリットスキージ12の端部で開放し、他端を連結部41の中央部分まで延長した形状の副スリット42bと、この副スリット42bの中央部分の端部との間で連接部43aを形成する副スリット42cとを有する。副スリット42aを挟んでその両側に位置する副スリット42cは主スリット12S側で連通している。
【0042】
スリットスキージ12の中央部40に配置された隣合う主スリット12Sによって形成された細帯状部材12Lは、隣合う3本が端部で連接され、この連接部43bは更に前記した隣合う副スリット42cによって形成された細帯状部材43Lで連接部43aに連接した形状としてある。
【0043】
これら副スリット42a、42b、42cの配置により、連結部41は連接部43aで示すように、スリットスキージ12の進行方向Fに対し、その連続性(従来のスリットスキージ連結部P12Cの様な連続性)は切断され、スリットスキージ12の側端部は連接部43aと、副スリット42aによって形成される略菱形の副細帯状部材43mによって連結されることになる。この構成により、連結部41は略網目形状、あるいはパンタグラフ状となる。これにより、スリットスキージ12の半円筒部をマスク8上に押圧して接触し、このマスク8上を進行する際に、スリットスキージ12の両側端部に応力が加わっても、副スリット42aが微妙に開き、この応力を吸収することになる。特に連結部41がパンタグラフの様なシンメトリック形状もしくは略菱形とすることで、副スリット42aの左右もしくは上下の方向(矢印f)で、それぞれ略均一に伸縮が行われ、それぞれ伸縮する際の変位量が略均等となることで、かかる負荷が分散・軽減され応力集中が緩和されるため寿命が延びることに寄与できる。
【0044】
なお、連接部43cは隣合う主スリット12Sによって形成された細帯状部材12Lがばらけないよう適宜隣合う主スリット12Sを連接する。実施例の場合、連接部43cは全体的にみると千鳥状に配置されるが、これに限定はなく、主スリット12Sがばらけないよう適宜配置すればよい。
【0045】
図8は、本実施例のスリットスキージ12の理解を容易にするため、簡略して示した図であり、
図8(a)は
図7(c)と同様である。
図8(b)は
図8(a)のXで示した部分を抜き出して示した図であり、前記した各種スリットによって結果的に形成される細帯状部材を太線により強調して示した模式図である。
図8(c)、
図8(d)は、連結部41に加わる応力により変形する状態を説明するための図である。これらの図において、
図7に示した符号と同一符号は、同一部分を示す。
【0046】
すなわち、通常時は
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)に示すように、スリットスキージ12の形状は安定した状態にあるが、ハンダボール搭載動作時にスリットスキージ12がマスク8上に押圧されスリットスキージ12の両側端部に応力が加わると、
図8(d)に示すように、側端部の連結部41は図において上下に引っ張られる状態となる。これにより副スリット42aによって形成された略菱形の副細帯状部材43mには矢印fに示す方向に力が加わり、副スリット42aが開き、結果的にこの応力を吸収する。
【0047】
更に、言えば、スリットスキージ12の連結部41が、加わる応力に対して伸縮自在となり、結果的にこの応力を吸収する。
【0048】
次に、
図10を用いてスリットスキージ12をスキージホルダ14に取り付け方を説明する。
図10(a)には斜視図を、
図10(b)には断面図を示してある。
【0049】
スキージホルダ14には所定の間隔をあけて複数の位置決めピン32が設けてあり、位置決めピン32と位置決めピン32の間には磁石31が埋め込まれている。スリットスキージ12を各スキージホルダ14に取り付けるときは、スキージホルダ14の両側に設けた位置決めピン32にスリットスキージ12の挿入孔12Hにそれぞれ挿入する。その後、磁性材料で形成されたスキージの押え板30に設けた挿入孔30Hに位置決めピン32を挿入することで、押え板30に磁力が働き固定することができる。このように簡単に位置決めができ、簡単にスリットスキージ12の取り付け、取り外しができるように構成してある。
【0050】
また、このような構造にすることで固定スペースを小さくすることができるので、スキージホルダ14同士の間隔を小さくすることが可能である。スリットスキージ12を構成する細帯状部材12Lが、長手方向に対して所定方向に傾斜を有するように且つスキージホルダ14に対して空間を形成するように取り付けられている。すなわち、スリットスキージ12が、長手方向に半螺旋状の細帯状部材12Lで構成されたようになる。さらに、
図5に示すように、スリットスキージ12を構成する細帯状部材12Lの傾斜方向は、隣り合うスキージホルダ14毎に反対方向になるように取り付けてある。このように交互にスリットスキージ12の傾斜方向を変えることで、マスク開口部に充填されずにマスク面上に残留する余剰ハンダボールを効率よく充填部側に回収することができる。
【0051】
次に、ハンダボール印刷の一連の動作を
図11及び
図12を用いて説明する。
【0052】
まず電極部にフラックスの印刷された基板20がハンダボール搭載装置に搬入され印刷テーブル21上の磁石33上に載置される。印刷テーブル21及び磁石33には負圧を供給する吸着口が複数設けてあり、ここに負圧を供給することで基板20が磁石33上を移動しないように保持している。
【0053】
次に、基板20面に設けた位置合わせマークと、マスク8に設けてある位置合わせマークを、位置合わせ用のカメラ18を用いて撮像する。撮像したデータは図示していない制御部に送られ、そこで画像処理され、位置ずれ量が求められ、その結果に基づいて、印刷テーブル21が図示していない水平方向移動機構により、ずれを補正する方向に移動される。
【0054】
位置合わせが終了すると、印刷テーブル21の上昇機構である駆動部22を駆動して印刷テーブル21を上昇させてマスク8の裏面に接触させる。このとき印刷テーブル21上の磁石33によりマスク8を基板20に密着させることができる。
【0055】
次に、図示していないハンダボール供給装置によりマスク8の面の充填ヘッド2の初期位置(印刷開始位置)の進行方向前側部分にハンダボール11を供給する。その後、充填ヘッド2を印刷開始位置に水平移動し、マスク面まで降下させる。なおこの時、充填部3はマスク面に所定の押し付け力が作用する位置まで降下させている。
【0056】
次に、
図11の(1)(もしくは、
図6)に示すように充填部3を時計回りに回転させる。その後、ハンダボールの充填ヘッド2を、マスク面上を図の矢印の左方向に水平移動させる。このとき、空気供給部4aからスリットスキージのあるカバー4の内側へ向けて空気を吹き込みながら移動する。また、このように、充填部3を回転させることで、マスク開口部ではハンダボール11を開口部に押し込み、基板20上のフラックスに付着させ、開口部以外の部分では充填部3がハンダボール11をマスク面上の進行方向に移動させる。充填部3が基板端部に至ると、充填部3の回転を停止すると共に、空気供給部4aからの空気の供給を停止、充填部3を上昇させる。その後、図の(2)のように充填ヘッド2を左方向に移動させる。
このように、充填ヘッドを移動することで、次に充填するハンダボール11の位置に対して、充填ヘッド2が後ろ側に位置するようになる。移動が終了すると、再び充填部3をマスク面に所定の押し付け圧で接触する位置まで降下させる。そして、
図11の(3)に示すように空気供給部からカバー内への空気の供給を再開すると共に、充填部3を反時計回りに回転させ、充填ヘッド2を図の右側に移動させる。そして基板端部に近い位置に至ると、空気供給部からの空気の供給を停止し、
図11の(4)に示すように充填ヘッド2の充填部3を上昇させて、充填ヘッド2をさらに右側に移動させ
図11(5)に示すように充填部3を下降させ、残ったハンダボール11の位置が充填部3の左側に位置するようにする。その後、充填部をマスク面上に降下させた状態で待機状態とする。このように、本実施例では、充填ヘッド2を1往復させて、ハンダボールをマスク開口部に充填することで、確実に充填できるようにしている。
【0057】
図11の(1)~(4)の工程ではスウィーパヘッド26はマスク8面にスウィーパ部27を下降させた状態で待機している。次に、
図11(6)に示すように、スウィーパヘッド26を図の右側(充填ヘッド2の待機している側)に移動させる。充填ヘッド2の待機位置近傍まで移動させる。
図12の(7)に示すように、スウィーパヘッド26が充填ヘッド2近傍に至ると、スウィーパ部27を上昇させマスク面から離間させる。そして、スウィーパヘッド26を初期の待機位置まで戻す。
図12の(8)に示すように待機位置に戻ると、再びスウィーパ部27をマスク面上まで降下させ、所定の接触圧で接触させる。
図12の(9)に示すように再度マスク面上を充填ヘッド2の待機位置近傍まで移動させる。この移動により、マスク面上に残留するハンダボール11を完全に基板面から外れた位置に収集することができる。この清掃が完了すると充填ヘッド2及びスウィーパヘッド26がマスク面に接触している状態で、印刷テーブル21を降下させて基板20をマスク面から離間させる。
【0058】
なお、今回の説明では、スウィーパヘッド26を2回動作させることで説明したが、複数回動作させることで、確実にマスク面上の残留ハンダボールを基板位置から離れた部分に移動させることができる。
【0059】
さらにまた、今回の実施例では、充填ヘッド2でハンダボール11をマスク開口部に充填した後にスウィーパヘッド26を動作させて、マスク面上の残留するハンダボールを基板から離れたマスク面まで清掃するようにすることで説明したが、実施例の充填ヘッドを用いれば、マスク面に残留するハンダボールはほとんど無くなり、清掃が不要となることも考えられ、スウィーパヘッドを設ける必要がない場合もある。あるいは充填ヘッド2とスウィーパヘッド26を一体ヘッドにして用いることも可能である。
【0060】
また、
図11(6)~
図12(9)の工程で、充填ヘッド2が待機しているとき、空気供給部4aからカバー4の内側へ向けて空気または窒素を吹き付けてもよい。このようにすることで、ハンダボール11がカバーの外に洩れることを防止することが可能であり、ハンダボール11の酸化を遅らせることができる。
【0061】
次に、印刷された基板20の印刷状態をカメラにて撮像し欠陥の有無を調べる。欠陥の有無を調べ終わると、清掃機構25を駆動してマスク裏面の清掃を行う。なお、欠陥があればリペア部に基板20を搬送しそこで欠陥部を修復する。欠陥部修復後リフロー部に基板を搬送し、ハンダボールを溶融固着させる。
【0062】
以上、大まかなハンダボールの印刷の工程を述べたが、リペア部やリフロー部に関しては前述の装置とは別装置となるので、詳細な説明はしていない。
【0063】
この工程中で、本発明のハンダボール供給ヘッドを用いることで、微少径のハンダボールを確実にマスク開口部からフラックス上に供給することが出来る。
【実施例2】
【0064】
図13は本発明におけるスリットスキージの他の実施例を示す平面図である。実施例1はスリットスキージ12の進行方向Fの両側端部に形成した連結部41を副スリットの合理的な配置により、連結部41を進行方向Fに伸縮自在に構成したが、本実施例は連結部412を弾性体で構成し、連結部412を進行方向Fに伸縮自在に構成したものである。
【0065】
ここにおいて、スリットスキージ122は従来のスリットスキージP12を利用する。そして、スリットスキージ122の進行方向Fの両側端部には弾性体樹脂50を圧着する。引き続いて、この弾性体樹脂50を薄く、極力、スリットスキージP12を構成する薄鋼板と同一になるまで研磨し、その後、Y-Y線に沿って連結部P12Cを切断して連結部412をその弾性体の弾性力で、進行方向Fに対し伸縮自在な構成とする。その他、弾性体の接合例として、例えば、特開2006-294527号公報に示される事例も応用可能である。
【0066】
このようにすれば、このスリットスキージ122は上記と同様、半円筒部をマスク8上に押圧して接触し、このマスク8上を進行することになるが、中央部402はこの押圧力が加わっても主スリット12Sが微妙に開き、この押圧力を吸収する。そして、スリットスキージ122の進行方向Fの両側端部は弾性体で細帯状部材12Lが連結されるため、この押圧力で弾性体が伸縮し、応力を吸収する。したがって、スリットスキージ122の両側端部に存在する連結部412の破損をより長期に渡り未然に防止でき、長期使用に耐えるハンダボール搭載装置のスキージ及びハンダボール搭載装置を得ることができる。
【0067】
なお、このスリットスキージ122のスキージホルダ14への取り付け等に関しては、スリットスキージ12と同様である。
【実施例3】
【0068】
図14はスリットスキージの更に他の実施例を示す平面図である。実施例1はスリットスキージ12の進行方向Fの両側端部に形成した連結部41を副スリットの合理的な配置により、連結部41を進行方向Fに伸縮自在に構成したが、本実施例は連結部413を、弾性力を備えた金属板60で構成し、連結部413を進行方向Fに伸縮自在に構成したものである。
【0069】
ここにおいて、スリットスキージ123は実施例2と同様、従来のスリットスキージ12を利用する。そして、スリットスキージ123の進行方向Fの両側端部には弾性力を備えた金属板60を接合する。引き続いて、この弾性力を備えた金属板60を薄く、極力、スリットスキージ12を構成する薄鋼板と同一になるまで圧延・研磨し、その後、Y-Y線に沿って連結部P12Cを切断して連結部413をその弾性力を備えた金属板60の弾性力で、進行方向Fに対し伸縮自在な構成とする。その他、弾性力を備えた金属板やその接合例として、例えば、特願2007-546902号公報や、特開平02―107884に示される事例も応用可能である。
【0070】
このようにすれば、このスリットスキージ123は上記と同様、半円筒部をマスク8上に押圧して接触し、このマスク8上を進行することになるが、連結部413はこの押圧力が加わっても主スリット12Sが微妙に開き、この押圧力を吸収する。そして、スリットスキージ123の進行方向Fの両側端部は弾性力を備えた金属板60で細帯状部材12Lが連結されるため、この押圧力で弾性力を備えた金属板60が伸縮し、応力を吸収する。
【0071】
したがって、スリットスキージ123の両側端部に存在する連結部413の破損をより長期に渡り未然に防止でき、長期使用に耐えるハンダボール搭載装置のスキージ及びハンダボール搭載装置を得ることができる。
【0072】
なお、このスリットスキージ123のスキージホルダ14への取り付け等に関しては、スリットスキージ12と同様である。
【0073】
以上、実施例の説明からも明らかな通り、本発明によれば、スキージは、薄板状に形成され、ハンダボールの搭載時の進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、進行方向の両側端部には前記スリットにより分離される薄板を連結する連結部を有し、この連結部は少なくとも前記進行方向に対して伸縮自在に形成しているため、スキージをマスク上に押圧して接触し、このマスク上を進行する際に、スキージの両側端部に応力が加わっても、その伸縮性により、この応力が吸収される。したがって、スキージの両側端部に存在する連結部の破損をより長期に渡り未然に防止でき、長期使用に耐えるハンダボール搭載装置のスキージ及びハンダボール搭載装置を提供することができる。つまり、スキージの端部の破損による取替頻度を少なくすることができる。
【0074】
なお、実施例の説明の通り、スキージは、半円筒状に形成して、ハンダボール搭載時に使用することが望ましい。半円筒形状の円筒部をマスクに押圧することにより、前記円筒部は変形し、マスクの表面に密着する。このような構成により、スキージの長寿命化が図れ、機能向上も図れる。
【0075】
更に、実施例に示すように、連結部の伸縮自在の機能のため、連結部を弾性体や弾性力を備えた金属板で形成することが望ましい。この構成により、更に、長寿命化が図れる。
【0076】
なお、実施例において、副スリット交互配置の説明において、端部で開放する副スリットと、端部で閉じる副スリットとを交互に配置しているが、ここにおいて、交互配置とは、一つずつ交互に配置することは勿論、複数ごとに交互配置、あるいは1つ、次は2つ等、その組み合わせは必要に応じ選択することができる。
【0077】
また、本実施例のスキージは、基板面と対応する中央部において、隣り合う主スリットにより形成した細帯状部材は、主スリット連接部により隣り合う細帯状部材と適宜連接することが望ましい。
【0078】
また、進行方向のスキージの両端部には、取付部を備え、取付部をスキージホルダに取付けることにより半円筒形状を成すことにより、スキージの長寿命化が図れ、機能向上も図れる。
【符号の説明】
【0079】
1…ハンダボール搭載装置、2…充填ヘッド、3…充填部、4…カバー、5…ヘッド上下駆動機構、7…ヘッド取り付け枠、8…マスク、10…カバー支持部材、10a…スウィーパ支持部材、11…ハンダボール、12…スリットスキージ、14…スキージホルダ、16…回転軸、18…カメラ、20…基板、21…印刷テーブル、31…磁石、32…位置決めピン、33…磁石、40、402,403…スキージの中央部、41、412,413…スキージの連結部、42a…端部で閉じる副スリット、42b…端部で開放する副スリット、50…弾性体樹脂、60…弾性力を備えた金属板
【要約】
【課題】
本発明の目的は、スキージの端部連結部の破損をより長期に渡り未然に防止でき、長期使用に耐えるハンダボール搭載装置のスキージ及びハンダボール搭載装置を得ることにある。
【解決手段】
本発明のハンダボール搭載装置のスキージは、複数の電極が形成された基板の表面に、電極と対応した位置に開口を備えたマスクを介して、マスク上に供給したハンダボールを開口を通してハンダボールを電極に搭載するハンダボール搭載装置のスキージにおいて、薄板状に形成され、ハンダボールの搭載時の進行方向に対して所定の角度を有する複数のスリットを備え、進行方向の両側端部にはスリットにより分離される薄板を連結する連結部を備え、連結部は少なくとも進行方向に対して伸縮自在に形成したことを特徴とする。
【選択図】
図7