(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/024 20060101AFI20241223BHJP
【FI】
H01S5/024
(21)【出願番号】P 2020017450
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-11-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】長島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 敦
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-046144(JP,A)
【文献】特開平02-058855(JP,A)
【文献】特開平02-130986(JP,A)
【文献】特開平05-063309(JP,A)
【文献】特開2013-057719(JP,A)
【文献】特表2002-534813(JP,A)
【文献】特開2015-185436(JP,A)
【文献】特開平04-264785(JP,A)
【文献】特表2004-517371(JP,A)
【文献】特開2001-356246(JP,A)
【文献】特開平06-334269(JP,A)
【文献】米国特許第06898219(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向を向いた第一面と、当該第一面の反対側で前記第一方向の反対方向を向いた第二面と、を有し、前記第一面および前記第二面のうち一方の面が吸熱面となり他方の面が放熱面となる温調装置と、
前記第一面上に設けられた光学部品と、
前記第一面上に位置され前記光学部品を覆い当該光学部品が受光または送光する光を透過する光透過性の合成樹脂材料で作られたカバーと、
を備えた光学装置であって、
前記カバーは、前記第一面を部分的に覆い、
前記光学部品は、電気的に駆動可能な光電部品を含み、
前記第一面の前記カバーから外れた部位には、前記光電部品と電気的に接続されるとともに前記カバーから露出した導体が設けられ、
前記導体は、前記光学装置とは異なる外部機器または外部装置の導体と電気的に接続され
、
前記温調装置は、前記第一面を有した第一基板と、前記第二面を有した第二基板と、前記第一基板と前記第二基板との間に位置された熱電素子と、を有し、
前記カバーは、前記第二基板および前記熱電素子に接することなく前記第一面の一部を覆い、
前記カバーで覆われ、その検出温度が前記光学部品の温度を調整するための前記温調装置の制御に用いられる温度センサを備えた、光学装置。
【請求項2】
前記カバーの外表面は、無機材料の被膜で覆われた、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記被膜は、金属膜である、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
第一方向を向いた第一面と、当該第一面の反対側で前記第一方向の反対方向を向いた第二面と、を有し、前記第一面および前記第二面のうち一方の面が吸熱面となり他方の面が放熱面となる温調装置と、
前記第一面上に設けられた光学部品と、
前記第一面上に位置され前記光学部品を覆い当該光学部品が受光または送光する光を透過する光透過性の合成樹脂材料で作られたカバーと、
を備え、
前記カバーの外表面は、ガスバリヤ性を有する非金属材料で作られた被膜で覆われ
、
前記温調装置は、前記第一面を有した第一基板と、前記第二面を有した第二基板と、前記第一基板と前記第二基板との間に位置された熱電素子と、を有し、
前記カバーは、前記第二基板および前記熱電素子に接することなく前記第一面の一部を覆い、
前記カバーで覆われ、その検出温度が前記光学部品の温度を調整するための前記温調装置の制御に用いられる温度センサを備えた、光学装置。
【請求項5】
前記光学部品は、電気的に駆動可能な光電部品を含み、
前記第一面の前記カバーから外れた部位には、前記光電部品と電気的に接続されるとともに前記カバーから露出した導体が設けられた、請求項
4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記合成樹脂材料は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびシリコーン樹脂のうちいずれか一つである、請求項1~
5のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項7】
前記光学部品は、半導体レーザモジュールである、請求項1~
6のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項8】
前記カバーに挿入され前記光学部品と光学的に結合される光ファイバを備えた、請求項1~
7のうちいずれか一つに記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジング内に光学部品が収容された光学装置が知られている(特許文献1および特許文献2)。特許文献1では、ハウジングは金属材料で作られ、特許文献2では、ハウジングはセラミックで作られている。なお、特許文献1では、ハウジング内には、光学部品とともに温調装置も収容されている。
【0003】
特許文献1や特許文献2のように、金属材料やセラミックで作られたハウジングを備えた光学装置においては、例えば、ハウジングの製造コストが高く、ひいては光学装置の製造コストおよび価格が高くなるという問題があった。
【0004】
他方、光学部品を合成樹脂材料で覆った光学装置が知られている(特許文献3)。この場合、ハウジングが金属材料やセラミックで作られた場合に比べて、光学装置の製造コストおよび価格をより低くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-111115号公報
【文献】特開平4-167583号公報
【文献】特開2004-319555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、光学装置が温調装置を備える場合、当該温調装置を合成樹脂材料によって全体的に覆ってしまうと、温調装置の高温部位と低温部位との間で合成樹脂材料を介して熱が伝達されるため、当該高温部位と低温部位との間の温度差が小さくなり、所要の温度調整機能が得られなくなる虞がある。
【0007】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、より安価に構成することができるとともに、所要の温調性能を確保することが可能な光学装置を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学装置は、例えば、第一方向を向いた第一面と、当該第一面の反対側で前記第一方向の反対方向を向いた第二面と、を有し、前記第一面および前記第二面のうち一方の面が吸熱面となり他方の面が放熱面となる温調装置と、前記第一面上に設けられた光学部品と、前記第一面上に位置され前記光学部品を覆い当該光学部品が受光または送光する光を透過する光透過性の合成樹脂材料で作られたカバーと、を備える。
【0009】
また、前記光学装置では、例えば、前記温調装置は、前記第一面を有した第一基板と、前記第二面を有した第二基板と、前記第一基板と前記第二基板との間に位置された熱電素子と、を有し、前記カバーは、前記第一基板、前記第二基板、および前記熱電素子のうち前記第一基板のみに接する。
【0010】
また、前記光学装置では、例えば、前記カバーは、前記第一面を部分的に覆う。
【0011】
また、前記光学部品は、前記光学部品は、電気的に駆動可能な光電部品を含み、前記第一面の前記カバーから外れた部位には、前記光電部品と電気的に接続されるとともに前記カバーから露出した導体が設けられる。
【0012】
また、前記光学装置は、例えば、前記カバーで覆われた温度センサを備える。
【0013】
また、前記光学装置では、例えば、前記カバーの外表面は、無機材料の被膜で覆われる。
【0014】
また、前記光学装置では、例えば、前記被膜は、金属膜である。
【0015】
また、前記光学装置では、例えば、前記合成樹脂材料は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびシリコーン樹脂のうちいずれか一つである。
【0016】
また、前記光学装置は、例えば、前記光学部品は、半導体レーザモジュールである。
【0017】
また、前記光学装置は、例えば、前記カバーに挿入され前記光学部品と光学的に結合される光ファイバを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、より安価に構成することができるとともに、所要の温調性能を確保することが可能な光学装置を、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な側面図であって、
図1のII-IIにおけるカバーの断面を含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0021】
本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0022】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。なお、X方向は、長手方向あるいは延び方向とも称され、Y方向は、短手方向あるいは幅方向とも称され、Z方向は、高さ方向あるいは厚さ方向とも称されうる。
【0023】
[実施形態]
図1は、実施形態の光学装置1の斜視図である。また、
図2は、光学装置1の側面図であって、
図1のII-IIにおけるカバー10の断面を含む図である。
【0024】
図1,2に示されるように、光学装置1は、カバー10と、温調装置20と、発光素子31と、レンズ32と、光ファイバ33と、キャリア34と、支持部品35と、温度センサ36と、を備えている。
【0025】
図1,2に示されるように、温調装置20は、上側基板21Uと、下側基板21Lと、複数の熱電素子22とを有している。熱電素子22は、それぞれ、上側基板21Uと下側基板21Lとの間に介在している。
【0026】
上側基板21Uは、Z方向と交差して広がっている。本実施形態では、上側基板21Uは、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向と直交している。上側基板21Uは、Z方向を向く上面20aと当該上面20aの裏側の下面21bとを有している。上側基板21Uは、例えばセラミックのような熱伝導性が高い絶縁性の材料により作られうる。上側基板21Uは、第一基板の一例であり、上面20aは、第一面の一例である。Z方向は、第一方向の一例である。
【0027】
発光素子31や、レンズ32、光ファイバ33のような光学部品は、上面20a上に、直接的にあるいは他の部品を介して間接的に、取り付けられている。上側基板21Uは、実装基板とも称され、上面20aは、実装面とも称されうる。
【0028】
下側基板21Lは、上側基板21Uとは反対側で、Z方向と交差して広がっている。本実施形態では、下側基板21Lは、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向と直交している。下側基板21Lは、上面21aと当該上面21aの裏側でZ方向の反対方向を向く下面20bとを有している。下側基板21Lは、例えばセラミックのような熱伝導性が高い絶縁性の材料により作られうる。下側基板21Lは、第二基板の一例であり、取付基板とも称されうる。また、下面20bは、第二面の一例であり、被取付面とも称されうる。
【0029】
熱電素子22は、例えば、ビスマステルル系の半導体のような、P型半導体またはN型半導体によって、作られうる。
【0030】
上側基板21Uの下面21bおよび下側基板21Lの上面21aには配線パターン(不図示)が設けられている。熱電素子22は、それぞれ、これら二つの配線パターンの間に介在している。配線パターンは、例えば、銅系金属のような、導電性の高い金属材料によって、作られうる。
【0031】
上側基板21Uおよび下側基板21Lの一般部分(絶縁部分)は、例えば、low temperature co-fired ceramics(LTCC)や、セラミックで作られうる。
【0032】
複数の熱電素子22は、配線パターンを介してPN接合を構成するよう、直列に接続されている。複数の熱電素子22は、配線パターンを介した温調装置20外からの電力の供給により、発熱または吸熱する。熱電素子22における発熱と吸熱とは、複数の熱電素子22に流れる電流の向きにより、切り替わる。配線パターンは、導体あるいは導体層とも称されうる。
【0033】
温調装置20では、上面20aおよび下面20bのうち一方が吸熱面となり他方が放熱面となる。すなわち、温調装置20では、電流の向きにより、上面20aが吸熱面となり下面20bが放熱面となる状態と、上面20aが放熱面となり下面20bが吸熱面となる状態とが、切り替わる。
【0034】
このように、温調装置20は、光学部品の土台として機能するとともに、光学部品を加熱したり冷却したりすることにより、当該光学部品の温度調整を行う。温調装置20は、ペルチェモジュールや、熱電モジュールとも称されうる。
【0035】
光機能素子である発光素子31は、例えば、半導体レーザモジュールであり、一例としては、波長可変レーザ素子である。発光素子31は、キャリア34を介して温調装置20の上面20a上に実装されている。また、発光素子31は、電気信号によって駆動される光電部品の一例である。
【0036】
キャリア34は、熱伝導性が高い絶縁性の材料によって作られ、発光素子31が発生する熱を温調装置20に伝達する。キャリア34は、サブマウントとも称されうる。
【0037】
発光素子31は、レーザ光をレンズ32に向けて出力する。レーザ光の波長は、例えば、光通信の波長として好適な900nm以上1650nm以下である。発光素子31は、レーザ光を出力している間は素子温度が上昇し、発熱体として機能する。
【0038】
レンズ32は、発光素子31からのレーザ光に、屈折率による作用を及ぼしてコリメートする。レンズ32から出力されたレーザ光は、支持部品35に支持された光ファイバ33の端部に入力される。光ファイバ33は、発光素子31およびレンズ32と、光学的に結合される。
【0039】
温度センサ36は、所定部位の温度を検出する。温度センサ36は、例えばサーミスタである。温度センサ36は、例えば、発光素子31の周囲温度を検出する。この場合、検出された温度は、発光素子31の温度を調整するための温調装置20の制御に用いられる。
【0040】
図1,2に示されるように、カバー10は、上側基板21Uの上面20aを部分的に覆っている。カバー10は、例えば、エポキシ樹脂や、アクリル樹脂、シリコーン樹脂のような、合成樹脂材料である。カバー10は、例えば、型にセットされた温調装置20の上側基板21Uの上面20a上に流動性を有した状態で流し込まれ、冷却、加熱、または紫外光照射により固化される。
【0041】
カバー10は、上側基板21U、下側基板21L、および熱電素子22のうち、上側基板21Uのみに接している。本実施形態では、カバー10は、上側基板21Uの上面20aに対して、Z方向に位置されている。
【0042】
図2に示されるように、上面20a上に盛られたカバー10は、当該上面20a上に設けられた部品、すなわち本実施形態では、発光素子31、レンズ32、光ファイバ33、キャリア34、支持部品35、および温度センサ36を、全体的に覆っている。これら部品は、カバー10内に埋められ、当該カバー10によって物理的に保護されている。光ファイバ33は、カバー10内に挿入されている。カバー10は、封止樹脂や、モールド樹脂とも称されうる。
【0043】
カバー10は、発光素子31が送光する光を透過する光透過性を有した合成樹脂材料で作られる。なお、光学装置1が、光学部品として受光素子を有する場合、カバー10は、当該受光素子が受光する光を透過する光透過性を有した合成樹脂材料で作られる。
【0044】
上面20aのカバー10から外れた部位、すなわちカバー10によって覆われずに露出した部位には、導体21cが露出している。言い換えると、上面20a上は、カバー10から露出した導体21cが設けられている。
【0045】
導体21cは、上側基板21Uに設けられた接続導体、例えば、上面20a上や上側基板21U内に設けられた接続導体(不図示)と、電気的に接続されている。さらに、当該接続導体は、光電部品としての発光素子31(の内部導体)や、温度センサ36(の内部導体)と電気的に接続されている。すなわち、導体21cには、接続導体を介して光電部品としての発光素子31と電気的に接続された導体21cと、接続導体を介して温度センサ36と電気的に接続された導体21cとが、含まれている。導体21cは、光学装置1とは異なる外部機器や外部装置の導体との間の電気的な接続に利用される。導体21cは、例えば、パッドであり、電極や、端子とも称されうる。また、接続導体は、例えば、配線パターンや、ビア、ボンディングワイヤ等であり、配線とも称されうる。温度センサ36は、電気部品や熱電部品とも称されうる。なお、下側基板21Lにも、導体21cと同様に接続導体と電気的に接続された導体21dが設けられてもよい。
【0046】
導体21cや、接続導体、配線パターンのような、上側基板21Uや下側基板21Lに設けられる導体部分は、例えば、銅系材料のような、導電性の高い金属材料で作られる。
【0047】
上述した構造により、カバー10は、上面20a上に位置する部品、すなわち、本実施形態では、発光素子31、レンズ32、光ファイバ33、キャリア34、支持部品35、および温度センサ36に、液体が作用するのを防止している。
【0048】
また、カバー10の外表面10aは、無機材料の被膜40で覆われている。被膜40は、例えば、アルミニウム、酸化アルミニウムや、アルミニウム合金のような、アルミニウム系の金属材料で作られうる。また、被膜40は、例えば、ダイヤモンドライクカーボンのような、非金属材料で作られてもよい。被膜40は、上面20a上に位置する部品、すなわち、本実施形態では、発光素子31、レンズ32、光ファイバ33、キャリア34、支持部品35、および温度センサ36に、気体が作用するのを防止している。
【0049】
発明者らは、鋭意研究により、被膜40が金属材料かあるいはダイヤモンドライクカーボンである場合、当該被膜40の厚さが0.1[μm]以上であれば、所定圧力のヘリウムガスがリークしないようなガスバリヤ性、すなわち、光学部品の信頼性を確保できるガスバリヤ性を、保証できることを確認した。
【0050】
以上、説明したように、本実施形態では、光学装置1は、温調装置20と、当該温調装置20の上面20a(第一面)上に設けられた発光素子31のような光学部品を含む部品と、当該部品を覆うカバー10と、を備えている。カバー10は、光学部品が受光または送光する光を透過する光透過性の合成樹脂材料で作られている。
【0051】
このような構成によれば、例えば、合成樹脂材料で作られたカバー10を備え、金属材料やセラミックで作られたハウジングを備えないため、光学装置1をより安価に製造することができる。また、カバー10は、光透過性の合成樹脂材料で作られているため、複数の光学部品の間にカバー10が介在した場合にあっても、それら複数の光学部品間の光学結合を確保することができる。
【0052】
また、本実施形態では、例えば、カバー10は、温調装置20の、上側基板21U(第一基板)、下側基板21L(第二基板)、および熱電素子22のうち、上側基板21Uのみに接している。
【0053】
このような構成によれば、例えば、カバー10が上側基板21Uと下側基板21Lとの間で跨り、当該跨った部位によって上側基板21Uと下側基板21Lとの間で熱が伝達され、ひいては、温調装置20の温調性能が確保し難くなるのを回避できる。よって、このような構成によれば、温調装置20による所要の温調性能をより確実に得ることができる。また、光学部品と上側基板21Uとの間にカバー10が介在した場合、光学部品からカバー10を介した上側基板21Uのみへの熱の伝達経路を確保することができる。
【0054】
また、本実施形態では、例えば、カバー10は、上面20a(第一面)を部分的に覆っている。
【0055】
このような構成によれば、例えば、カバー10が上面20aの全体を覆う場合に比べて、カバー10の量を減らすことができ、光学装置1をより安価に製造できたり、より軽量に製造できたりといった利点が得られる。
【0056】
また、本実施形態では、例えば、上面20aのカバー10から外れた部位には、当該カバー10から露出した導体21cが設けられ、当該導体21cが、発光素子31のような光電部品と電気的に接続されている。
【0057】
このような構成によれば、例えば、導体21cを、光学装置1とは異なる外部機器や外部装置と光電部品とを電気的に接続可能な構成を、比較的簡素な構成によって実現することができる。
【0058】
また、本実施形態では、例えば、光学装置1は、カバー10によって覆われた温度センサ36を備える。
【0059】
このような構成によれば、例えば、カバー10内の各部の温度を検知することができる。
【0060】
また、本実施形態では、例えば、カバー10の外表面10aが、無機材料の被膜40で覆われている。
【0061】
このような構成によれば、例えば、合成樹脂材料で作られたカバー10において、ガスバリヤ性を確保し難い構成にあっても、被膜40により所要のガスバリヤ性を確保することができる。すなわち、より安価に部品を物理的に保護しながら、液体や気体から保護する構成を、比較的安価でありかつ簡素な構成によって実現することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0063】
例えば、光学装置は、カバーに覆われた他の部品や、他の光学部品、他の光電部品を備えてもよい。また、光学装置は、他の半導体レーザモジュール以外の装置であってもよい。また、それら部品のレイアウトは、上記実施形態には限定されない。
【0064】
例えば、第一被膜、第二被膜、および第三被膜は、それぞれ、複数の膜が積層された所謂多層膜であってもよいし、この場合、例えば、ダイヤモンドライクカーボン膜やアルミニウム膜のような材質が異なる膜(層)を含んでもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…光学装置
10…カバー
10a…外表面
20…温調装置
20a…上面(第一面)
20b…下面
21a…上面
21b…下面
21c…導体
21d…導体
21U…上側基板(第一基板)
21L…下側基板(第二基板)
22…熱電素子
31…発光素子(光学部品、光電部品)
32…レンズ(光学部品)
33…光ファイバ(光学部品)
34…キャリア
35…支持部品
36…温度センサ
40…被膜
X…方向
Y…方向
Z…方向(第一方向)