(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20241223BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20241223BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20241223BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20241223BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
G01S7/03 240
G01S13/931
B60R11/02 Z
H01Q1/22 E
H01Q1/32 Z
(21)【出願番号】P 2020205095
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】長田 真幸
(72)【発明者】
【氏名】石川 隆之
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112528(JP,A)
【文献】特開2017-044527(JP,A)
【文献】特開2020-186975(JP,A)
【文献】特許第6254183(JP,B2)
【文献】特開2015-063196(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0208248(US,A1)
【文献】国際公開第2010/109517(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
B60R 11/02
H01Q 1/22
H01Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右両側に配置され、レーダ装置を支持する構造体であって、
前記車両の車体フレームに沿って配置される板状部材である基部と、
前記基部に形成され、前
記車体フレームに固定されるフレーム固定部と、
前記基部に形成され、前記車体フレームの外側の少なくとも一部を覆う外装体を当該車体フレームに対して固定する外装体固定部と、
前記基部から延出し、水平面及び前記車両の前後方向に対して垂直方向の平面視において前記レーダ装置の視野中心が前記車両の前後方向に対して斜めに向くように当該レーダ装置を支持するレーダ装置支持部と、を備える構造体。
【請求項2】
前記レーダ装置支持部は、水平面内における前記レーダ装置の視野角の範囲内に前記車両の側方及び後方を含むように当該レーダ装置を支持する請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記レーダ装置支持部は、
前記垂直方向の平面視において前記レーダ装置の視野中心の向きが前記車両の前後方向に対して30度以上60度以下の範囲になるように当該レーダ装置を支持する請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
前記レーダ装置支持部は、送信アンテナの上方または下方に受信アンテナが配置された前記レーダ装置を支持する請求項1から3のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項5】
前記レーダ装置支持部は、水平面内における前記レーダ装置の視野角の範囲外に前記車体フレームが位置するように当該レーダ装置を支持する請求項1から4のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
前記レーダ装置支持部に前記レーダ装置が締結される位置が、当該レーダ装置の送信アンテナおよび受信アンテナよりも上側及び下側の位置である請求項1から5のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
前記レーダ装置支持部は、外部端子と電気的に接続される前記レーダ装置のコネクタを配置可能なコネクタ配置部を有し、
前記コネクタ配置部は、前記レーダ装置支持部の下部又は前記レーダ装置が支持される面に設けられる請求項1から6のいずれか1項に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置を支持する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に配置され、車両の周囲の物標を検出するレーダ装置を支持する構造体が知られている。この種の技術が記載されているものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、電波の送受信を行うレーダ本体と、車両本体に固定される固定部及びレーダ本体がはめ込まれる窪んだ形状のレーダ設置部を有するフェイシアリテーナと、を備える構造体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の側方とともに車両の前方又は後方を含むレーダ装置の視野角を確保するためには、レーダ装置の視野中心が車両の前後方向に対して斜めに向くようにレーダ装置を車両に取り付ける必要がある。しかし、車両によっては車体フレームとバンパの間の間隔が狭いため、車体フレームに対して斜めに傾けてレーダ装置を取り付けることが困難な場合がある。特許文献1の構造体は、車体フレームとバンパの間の間隔が狭い場合であってもレーダ装置を取り付けることができる構造であるが、レーダ装置が車両の側部に沿って取り付けられており、車両の前方又は後方までレーダ装置の視野角を広げるという観点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、車体フレームとバンパの間の間隔が狭い場合であっても、車両の左右方向及び前後方向におけるレーダ装置の検出範囲を容易に確保できるようにレーダ装置を支持できる構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の左右両側に配置され、レーダ装置を支持する構造体であって、前記車両の車体フレームに固定されるフレーム固定部と、前記車体フレームの外側の少なくとも一部を覆う外装体を当該車体フレームに対して固定する外装体固定部と、平面視において前記レーダ装置の視野中心が前記車両の前後方向に対して斜めに向くように当該レーダ装置を支持するレーダ装置支持部と、を備える構造体に関する。
【0007】
前記レーダ装置支持部は、水平面内における前記レーダ装置の視野角の範囲内に前記車両の側方及び後方を含むように当該レーダ装置を支持してもよい。
【0008】
前記レーダ装置支持部は、平面視において前記レーダ装置の視野中心の向きが前記車両の前後方向に対して30度以上60度以下の範囲になるように当該レーダ装置を支持してもよい。
【0009】
前記レーダ装置支持部は、送信アンテナの上方または下方に受信アンテナが配置された前記レーダ装置を支持してもよい。
【0010】
前記レーダ装置支持部は、水平面内における前記レーダ装置の視野角の範囲外に前記車体フレームが位置するように当該レーダ装置を支持してもよい。
【0011】
前記レーダ装置支持部に前記レーダ装置が締結される位置が、当該レーダ装置の送信アンテナおよび受信アンテナよりも上側及び下側の位置であってもよい。
【0012】
前記レーダ装置支持部は、外部端子と電気的に接続される前記レーダ装置のコネクタを配置可能なコネクタ配置部を有し、前記コネクタ配置部は、前記レーダ装置支持部の下部又は前記レーダ装置が支持される面に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車体フレームとバンパの間の間隔が狭い場合であっても、車両の左右方向及び前後方向におけるレーダ装置の検出範囲を容易に確保できるようにレーダ装置を支持できる構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る構造体が取り付けられた車両を示す概略図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る構造体が取り付けられた車両の後部右側を示す平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る構造体を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る構造体によって支持されたレーダ装置の送信アンテナ及び受信アンテナの配置を示す概略図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る構造体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る構造体1を取り付けられた車両100を斜め後方から見た概略図である。
図2は、構造体1が取り付けられた車両100の後部右側を示す平面図である。
【0016】
まず、構造体1が取り付けられる車両100について
図1及び
図2を参照しながら説明する。車両100は、軽自動車やコンパクトカー等の小型の自動四輪車である。
図1及び
図2に示すように、車両100は、車体フレーム110と、バンパ120を備える。
【0017】
車体フレーム110は、車両100の骨格であり、金属部材によって構成される。
【0018】
バンパ120は、車体フレーム110の外側を覆う外装体であり、樹脂部材によって構成される。バンパ120は、構造体1を介して車体フレーム110の前部や後部に固定される。
図2に示すように、車体フレーム110とバンパ120の間には空間Sが形成される。空間Sは、車両100の後部に位置し、車体フレーム110の外表面とバンパ120の内表面によって囲まれた空間である。車両100は、小型の自動四輪車であるため、車体フレーム110とバンパ120の間隔Lが比較的小さい。
【0019】
次に、第1実施形態に係る構造体1について説明する。構造体1は、電波により物標を検出するレーダ装置30を支持する。
図1に示すように、構造体1は車両100の後部の左右両側に配置される。本実施形態では、構造体1が車両100の後部右側に配置される場合を例に説明する。
【0020】
図3は、構造体1のレーダ装置支持部20及びその近傍を示す斜視図である。
図2に示すように、構造体1は空間S内に配置される。構造体1は、フレーム固定部11と、バンパ固定部12(外装体固定部)と、レーダ装置支持部20と、を備える。
【0021】
フレーム固定部11とバンパ固定部12は、構造体1の基部10に形成される。基部10は、車両100の車体フレーム110に沿って配置される板状部材である。
図2及び
図3に示すように、基部10は、車両100の後部右端において車体フレーム110の下側から上方に延びた後に、車両100の後部中央側に向かって左右方向に延びるように形成される。
【0022】
フレーム固定部11は、車体フレーム110に固定される部位である。フレーム固定部11は、基部10の車体フレーム110側の面に形成される。フレーム固定部11は、車両100の後部の車体フレーム110に沿って固定可能に形成される。本実施形態では、基部10は車両100の左右方向に対して略平行に車体フレーム110に固定される。
【0023】
バンパ固定部12は、バンパ120が取り付けられる部位である。バンパ固定部12は、基部10におけるフレーム固定部11が形成される面とは反対側の面に形成される。バンパ固定部12によって、バンパ120が車体フレーム110に固定される。
【0024】
レーダ装置支持部20は、レーダ装置30を支持する部位である。
図2に示すように、レーダ装置支持部20は、基部10から車両100の斜め後方に延出するように形成される。具体的には、レーダ装置支持部20は、平面視において基部10のバンパ固定部12側の面から車両100の左右方向の中心部の後方に向かうように斜めに延出する。
【0025】
レーダ装置支持部20は、支持部本体21と、延出片221,222,223と、コネクタ配置部25と、を有する。
【0026】
支持部本体21は、上下方向に長い略矩形平板状であり、レーダ装置30の後述する本体部31が取り付けられる。
【0027】
延出片221~223は、支持部本体21よりも上側又は下側に形成される。具体的には、延出片221は、支持部本体21の上端の幅方向中央部から上方に延出する。延出片222は支持部本体21の下側の幅方向一側から下方に延出し、延出片223は支持部本体21の下側の幅方向他側から下方に延出する。延出片221~223のそれぞれには、その厚み方向に延びる締結孔23が形成される。
【0028】
コネクタ配置部25は、支持部本体21の下方に形成される空間である。具体的には、コネクタ配置部25は、支持部本体21の下方のおける延出片222と延出片223の間に形成される。コネクタ配置部25は、支持部本体21のレーダ装置30に接触する面に形成される、支持部本体21の厚み方向に貫通する貫通孔であってもよい。
【0029】
次に、レーダ装置支持部20に支持されるレーダ装置30について説明する。レーダ装置30は、車両100の後方や側方に向かって電波を送信し、後続車両等の物標によって反射された反射波を受信する。この受信した信号に基づいて物標に関する距離、角度、速度等の情報が検出される。
【0030】
レーダ装置30は、本体部31と、複数の送信アンテナ32である送信アンテナ32-1,32-2と、複数の受信アンテナ33である受信アンテナ33-1,33-2,33-3,33-4と、延出片341,342,343と、コネクタ37と、を有する。
【0031】
本体部31は、上下方向に長い略直方体形状である。本体部31には、基板(図示省略)と、基板の表面に形成される複数の送信アンテナ32及び複数の受信アンテナ33が内蔵される。
図4は、レーダ装置30の本体部31に内蔵された送信アンテナ32及び受信アンテナ33を示す概略図である。
【0032】
送信アンテナ32は、電波を物標に向けて送信する。
図4に示すように、送信アンテナ32-1,32-2は、それぞれ4つのアンテナ素子(パッチアンテナ)を有するアレイアンテナによって構成される。送信アンテナ32-1,32-2のそれぞれの4つのアンテナ素子は、上下方向であるY方向に間隔を空けて直線状に配置されるとともに、上下方向であるY方向に間隔を空けて互いに電気的に接続される。
【0033】
受信アンテナ33は、送信アンテナ32から送信され、物標で反射された電波を受信する。受信アンテナ33-1~33-4は、それぞれ8つのアンテナ素子(パッチアンテナ)を有するアレイアンテナによって構成される。
図4に示すように、受信アンテナ33-1~33-4のそれぞれの8つのアンテナ素子は、上下方向であるY方向に間隔を空けて直線状に配置されるとともに、上下方向であるY方向に間隔を空けて互いに電気的に接続される。
【0034】
図4に示すように、送信アンテナ32及び受信アンテナ33は、本体部31内に上下方向に並ぶように配置される。具体的には、本体部31の上側に受信アンテナ17-1から17-4が水平方向であるX方向に間隔を空けて並べられ、本体部31の下側に送信アンテナ32-1,32-2が水平方向であるX方向に間隔を空けて並べられる。これにより、本体部31内の送信アンテナ32及び受信アンテナ33が上下方向に並ぶように配置されているので、レーダ装置30の本体部31の水平方向の幅を狭めることができる。また、複数の受信アンテナ33が水平方向に並列に配置されるので、広い範囲に高い分解能が要求される水平面におけるレーダ装置30の分解能を向上させることができる。尚、受信アンテナ33の上側に送信アンテナ32を配置するようにしてもよい。
【0035】
図3に示すように、送信アンテナ32及び受信アンテナ33によって、レーダ装置30の本体部31の一側面に電波を送受信する送受信面35が形成される。レーダ装置30は、レーダ装置支持部20によって送受信面35がバンパ120に対向するように支持される。
【0036】
延出片341~343は、本体部31から上方又は下方に延出する。具体的には、延出片341は、本体部31の上端の幅方向中央部から上方に延出する。延出片342は本体部31の下側の幅方向一側から下方に延出し、延出片343は本体部31の下側の幅方向他側から下方に延出する。
【0037】
延出片341~343のそれぞれには、その厚み方向に貫通する貫通孔36が形成される。レーダ装置支持部20によってレーダ装置30が支持された状態で、レーダ装置支持部20の締結孔23は、貫通孔36に重なり合うように形成される。具体的には、延出片221の締結孔23と延出片341の貫通孔36が重なり合い、延出片222の締結孔23と延出片342の貫通孔36が重なり合い、延出片223の締結孔23と延出片343の貫通孔36が重なり合う。この状態で締結部材であるボルト24が貫通孔36及び締結孔23に締結されることによってレーダ装置30がレーダ装置支持部20に取り付けられる。
【0038】
コネクタ37は、外部端子と電気的に接続される接続部である。本体部31は、コネクタ37を介してバッテリ等の電源から電力を供給する電源線(図示省略)やECU等の通信線(図示省略)に接続可能である。
図3に示すように、本実施形態では、コネクタ37は、本体部31の下部に形成されるが、本体部31の送受信面35とは反対側の面に形成してもよい。レーダ装置30が構造体1によって支持された状態で、コネクタ37はレーダ装置支持部20のコネクタ配置部25に配置される。
【0039】
次に、構造体1によって支持されたレーダ装置30による物標の検出範囲について説明する。
【0040】
構造体1によって支持されたレーダ装置30は、平面視において、レーダ装置30の視野中心が車両100の前後方向に対して斜めに向く。例えば、
図2に示すように、レーダ装置30は、車両100の中心Oを通り、前後方向に平行な中心線Bとレーダ装置30の視野中心方向Aが交わる角度Cが約45度になるように構造体1によって支持される。角度Cは、30度以上60度以下の範囲であることが好ましく、40度以上50度以下であることがより好ましい。角度Cが30度以上60度以下の範囲になるようにレーダ装置30を支持することにより、車両100の左右方向及び前後方向のより広いレーダ装置30の検出範囲の確保が容易になる。本実施形態では、
図2に示すようにレーダ装置30は、水平面内における視野角D内に車両100の側方及び後方、より具体的には、車両100の後方において、中心線Bを含み、車両100の側方において、車両100の中心Oを通り、平面視で中心線Bに垂直な中心線B’を含むようにレーダ装置支持部20に支持される。
【0041】
これに対して、レーダ装置30が車両100の左右方向に略平行に車体フレーム110に取り付けられる場合、レーダ装置30の視野中心が車両100の真後を向くことになる。このため、車両100の側方は水平面内におけるレーダ装置30の視野角Dの範囲外となってしまう。
【0042】
ここで、レーダ装置30の視野角Dの範囲内に車体フレーム110やボルト24、車両100の意匠部材(図示省略)等の金属部材が入ると、レーダ装置30から送受信される電波が金属部材の干渉を受け、レーダ特性が低下する。このため、レーダ装置支持部20は、水平面内におけるレーダ装置30の視野角Dの範囲外に車体フレーム110が位置するように支持可能に構成されることが好ましい。尚、視野角Dとは、レーダ装置30が受信した反射波に基づいて物標の存在有無を検出する角度範囲である。
【0043】
本実施形態では、
図2に示すようにレーダ装置30は、車体フレーム110が水平面内における視野角Dの範囲外に位置するようにレーダ装置支持部20に支持される。また、レーダ装置支持部20の締結孔23がレーダ装置30の送受信面35よりも上側及び下側の位置に形成されており、ボルト24が送受信面35の左右両側に位置していない。即ち、レーダ装置30は、車体フレーム110やボルト24により、レーダ装置30の電波が干渉されない位置にレーダ装置支持部20によって支持される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の構造体1は、車両100の左右両側に配置され、レーダ装置30を支持する構造体1であって、車両100の車体フレーム110に固定されるフレーム固定部11と、車体フレーム110の外側の少なくとも一部を覆うバンパ120を車体フレーム110に対して固定するバンパ固定部12と、平面視においてレーダ装置30の視野中心が車両100の前後方向に対して斜めに向くようにレーダ装置30を支持するレーダ装置支持部20と、を備える。
【0045】
これにより、車体フレーム110とバンパ120とレーダ装置30が1つの構造体1を介して接続されるので、ブラケット等を用いずにレーダ装置30を車両100に取り付けることができる。このため、レーダ装置30を取り付けた構造体1をより小型化できる。また、構造体1によってレーダ装置30の視野中心が、車両100の前後方向に対して斜めに向くようにレーダ装置30が支持され、車両100の側方と前方又は後方の検出範囲の確保が容易になる。よって、車体フレーム110とバンパ120の間の間隔Lが狭い場合であっても、車両100の前後方向及び左右方向におけるレーダ装置30の検出範囲を容易に確保できるようにレーダ装置30を支持できる。
【0046】
本実施形態のレーダ装置支持部20は、水平面内におけるレーダ装置30の視野角Dの範囲内に車両100の側方及び後方を含むようにレーダ装置30を支持する。
【0047】
これにより、車両100の側方及び後方のレーダ装置30の検出範囲をより確実に確保できる。
【0048】
本実施形態のレーダ装置支持部20は、平面視においてレーダ装置30の視野中心の向きが車両の前後方向に対して30度以上60度以下の範囲になるようにレーダ装置30を支持する。
【0049】
これにより、車両100の側方と前方又は後方のより広い検出範囲を確保することが容易になる。
【0050】
本実施形態のレーダ装置支持部20は、送信アンテナ32の上方または下方に受信アンテナ33が配置されたレーダ装置30を支持する。
【0051】
これにより、送信アンテナ32と受信アンテナ33が上下方向に並ぶので、レーダ装置30の横幅の小さくでき、レーダ装置30を支持するレーダ装置支持部20の横幅をより小さくすることができる。よって、車体フレーム110とバンパ120の間隔Lが狭い車両100にレーダ装置30を斜めに傾けて配置することがより容易になる。送信アンテナ32が受信アンテナ33の上側に配置される場合においても同様である。
【0052】
本実施形態のレーダ装置支持部20は、水平面内におけるレーダ装置30の視野角Dの範囲外に車体フレーム110が位置するようにレーダ装置30を支持する。
【0053】
これにより、車体フレーム110が視野角D内に入らないようにレーダ装置30が配置されているので、車体フレーム110によって電波が干渉を受けてレーダ特性が低下することを防止できる。
【0054】
本実施形態のレーダ装置支持部20にレーダ装置30が締結される位置が、レーダ装置30の送信アンテナ32および受信アンテナ33よりも上側及び下側の位置である。即ち、レーダ装置支持部20にレーダ装置30が締結される位置が、レーダ装置30の送受信面35よりも上側及び下側の位置である。
【0055】
これにより、レーダ装置30の締結位置がレーダ装置30の送受信面35よりも上側及び下側に位置するので、レーダ装置30の締結に用いられるボルト24等の締結部材が水平面内における視野角Dの範囲内に配置されない。このため、レーダ装置30から送受信される電波に対するボルト24による干渉を避けることができる。さらに、ボルト24が送受信面35の左右両側に位置していない。ボルト24が送受信面35の左右両側に位置する場合、当該ボルト24がレーダ30の視野角Dの範囲外であったとしても、当該ボルト24からの反射波を受信することで、物標の水平方向の角度検出時のノイズ源となってしまう虞がある。すなわち、本実施形態の様に、レーダ装置支持部20にレーダ装置30が締結される位置が、レーダ装置30の送受信面35よりも上側及び下側の位置となるように構成することで、物標が存在する角度の検出精度が低下する虞を低減できるため好ましい。また、レーダ装置30の上側及び下側が締結位置になるので、レーダ装置30の中心から締結位置を離してもレーダ装置支持部20や延出片341~343が上下方向に延びるが、水平方向には広がらない。即ち、レーダ装置30の横幅を広げずに、視野中心からより離れた距離にボルト24を取り付けることができる。よって、レーダ装置30の横幅を広げずに、車両100からレーダ装置30に伝わる振動の抑制効果を高めることができる。
【0056】
本実施形態のレーダ装置支持部20は、外部端子と電気的に接続されるレーダ装置30のコネクタ37を配置可能なコネクタ配置部25を有し、コネクタ配置部25は、レーダ装置支持部20の下部又はレーダ装置30が支持される面に設けられる。
【0057】
これにより、コネクタ配置部25がレーダ装置支持部20の下部又は車体フレーム110側に設けられるので、レーダ装置30の横幅方向やバンパ側のスペースが狭くてもレーダ装置30の設置が容易になる。また、外部からコネクタ37への水が侵入を防止でき、レーダ装置30の防水性が向上する。尚、送信アンテナの数と受信アンテナの数との数が異なる場合、本実施形態の様に送信アンテナおよび受信アンテナのうち、より数が少ない一方を、送信アンテナおよび受信アンテナの他方より下側となるように設けることで、レーダ装置30に内蔵される、コネクタ37を設けるための構造や回路を効率よくコネクタ配置部25近傍に設けることができるため、省スペースの観点でより好ましい。本実施形態の場合、送信アンテナ32-1および32-2の間の裏面に、コネクタ37を設けるための構造や回路を設けることができる。
【0058】
<第2実施形態>
【0059】
次に、上記第1実施形態の説明を援用しつつ、本発明の第2実施形態に係る構造体1Aを説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
【0060】
図5は、第2実施形態に係る構造体1Aのレーダ装置支持部20A及びその近傍を示す斜視図である。構造体1Aは、フレーム固定部11と、バンパ固定部12と、レーダ装置支持部20Aと、を備え、レーダ装置30Aを支持する。第2実施形態に係る構造体1Aは、レーダ装置支持部20Aの構造が構造体1と主に異なる。また、構造体1Aによって支持されるレーダ装置30Aは、延出片341~343を有していない点がレーダ装置30と主に異なる。
【0061】
レーダ装置支持部20Aは、支持部本体21と、コネクタ配置部25Aと、保持枠26と、爪部27,28と、を有する。
【0062】
保持枠26は、支持部本体21の上側の縁部に形成され、支持部本体21のレーダ装置30が支持される面からバンパ120側に立ち上がる枠である。保持枠26は、レーダ装置30Aの本体部31の形状に合わせて形成される。
【0063】
爪部27,28は、弾性を有し、支持部本体21の下部の左右両側からバンパ120側に向かって突出するとともに、本体部31の中心側に向かって張り出す。
【0064】
レーダ装置30Aは、その上部を保持枠26に接触させ、その下側の縁部を爪部27,28で挟むことでレーダ装置支持部20Aに支持される。
【0065】
コネクタ配置部25Aは、支持部本体21の下方に形成され、レーダ装置30Aのコネクタ37が配置される空間である。具体的には、コネクタ配置部25Aは、支持部本体21の下方のおける爪部27と爪部28の間に形成される。コネクタ配置部25Aは、支持部本体21のレーダ装置30に接触する面に形成され、支持部本体21の厚み方向に貫通する貫通孔であってもよい。
【0066】
本実施形態のレーダ装置支持部20Aは、その上部にレーダ装置30Aの形状に合わせて形成された保持枠26と、その下部に弾性を有し、レーダ装置30Aの中心側に向かって張り出す爪部27,28を有する。
【0067】
これにより、レーダ装置30Aの形状に合わせた構成によってレーダ装置30Aを支持できるので、レーダ装置支持部20Aをより小型化できる。また、ボルト等の締結部材を用いずにレーダ装置30Aを支持できるので、レーダ特性に及ぼす影響を低減できる。
【0068】
本発明は、上記実施形態に制限されることはなく、適宜変更が可能である。
【0069】
上記実施形態では、構造体1は車両100の後部の左右両側に配置されていたが、構造体1を車両100の前部の左右両側や車両100の側部の前側や後側に配置してもよい。
【0070】
上記実施形態では、レーダ装置支持部20,20Aは水平面内におけるレーダ装置30,30Aの視野角Dの範囲外に車体フレーム110が位置するように支持可能に構成されたが、レーダ装置支持部20,20Aが垂直面内における視野角Dの範囲外に車体フレーム110が位置するように支持可能に構成されていてもよい。
【0071】
上記実施形態では、構造体1によって支持されるレーダ装置30,30Aは、2つの送信アンテナ32と4つの受信アンテナ33を備えていたが、送信アンテナ32と受信アンテナ33の個数は特に限定されない。例えば、送信アンテナ32が1つであっても3つ以上であってもよく、受信アンテナ33が3つ以下であっても5つ以上であってもよい。
【0072】
上記実施形態では、構造体1によって支持されるレーダ装置30,30Aは、送信アンテナ32及び受信アンテナ33が上下方向に並ぶ構成であったが、送信アンテナ32及び受信アンテナ33の並びは特に限定されない。例えば、構造体1によって支持されるレーダ装置30,30Aは、送信アンテナ32及び受信アンテナ33が左右方向に並ぶ構成であってもよい。
【0073】
上記実施形態では、構造体1によって支持されるレーダ装置30,30Aは、送信アンテナ32毎に4つのアンテナ素子を備え、受信アンテナ33毎に8つのアンテナ素子を備えていたが、アンテナ素子の個数は特に限定されない。例えば、1つの送信アンテナ32が備えるアンテナ素子が3つ以下であっても5つ以上であってもよく、1つの受信アンテナ33が備えるアンテナ素子が7つ以下であっても9つ以上であってもよい。
【0074】
上記実施形態では、構造体1によって支持されるレーダ装置30,30Aは、各送信アンテナ32のアンテナ素子と各受信アンテナ33のアンテナ素子が上下方向に間隔を空けて配置されていたが、送信アンテナ32及び受信アンテナ33のアンテナ素子の並びは特に限定されない。例えば、各送信アンテナ32のアンテナ素子や各受信アンテナ33のアンテナ素子が左右方向に並ぶ構成であってもよい。
【0075】
上記実施形態では、レーダ装置30,30Aのコネクタ37の位置及びコネクタ配置部25の位置はレーダ装置支持部20の下部又はレーダ装置30が支持される面に設けられていたが、コネクタ37及びコネクタ配置部25の位置は特に限定されない。例えば、コネクタ37及びコネクタ配置部25の位置がレーダ装置支持部20の上部や側部側であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 構造体
11 フレーム固定部
12 バンパ固定部(外装体固定部)
20 レーダ装置支持部
30 レーダ装置
100 車両
110 車体フレーム
120 バンパ(外装体)