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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】光学デバイスおよび光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/125 20060101AFI20241223BHJP
   G02B 6/12 20060101ALN20241223BHJP
【FI】
G02B6/125 301
G02B6/12 361
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020216323
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022101929
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 匡廣
(72)【発明者】
【氏名】寺田 陽祐
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06603893(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0248760(US,A1)
【文献】特開2011-175109(JP,A)
【文献】特開2004-361952(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0202312(US,A1)
【文献】特開2003-084327(JP,A)
【文献】米国特許第06882764(US,B1)
【文献】特開2021-190645(JP,A)
【文献】TAKEDA et al,Single Mode and Dynamic All-Optical Flip-Flop Operation of Multimode Interference Bistable Laser Diodes with Distributed Bragg Reflectors,2006 European Conference on Optical Communications,2006年09月24日,pp. 1-2
【文献】TAKENAKA et al.,Multimode Interference Bistable Laser Diode,IEEE Photonics Technology Letters,2003年08月,Vol. 15, No. 8,pp. 1035-1037
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向の第一端部であって、光が入力される第一入力ポートと、当該第一入力ポートから前記第一方向と交差した第二方向に離れ光が入力される第二入力ポートと、当該第二入力ポートから前記第二方向に離れ光が出力される第一出力ポートと、当該第一出力ポートから前記第二方向に離れ光が出力される第二出力ポートと、が設けられた第一端部と、
光を前記第一方向に入力する第一ポートと、当該第一ポートに対して前記第一方向に離れ光を前記第一方向の反対方向に入力する第二ポートと、当該第二ポートから前記第二方向に離れ光を前記第一方向に出力する第三ポートと、前記第一ポートから前記第二方向に離れ光を前記第一方向の反対方向に出力する第四ポートと、前記第一ポートから前記第三ポートへ光を導波するとともに前記第二ポートから前記第四ポートへ光を導波する多モード干渉導波路と、を有しハイメサ構造を有したカプラと、
前記第一ポートと隣接するとともに光学的に接続され前記第一方向の反対方向に凸の湾曲部を有し、前記第一入力ポートから入力され前記第一ポートを介して前記カプラへ入力される光を導波するハイメサ構造を有した第一導波路と、
前記第二ポートと隣接するとともに光学的に接続され前記第二入力ポートから入力され前記第二ポートを介して前記カプラへ入力される光を導波するハイメサ構造を有した第二導波路と、
前記第三ポートと隣接するとともに光学的に接続され前記第三ポートを介して前記カプラから出力され前記第一出力ポートから出力される光を導波するハイメサ構造を有した第三導波路と、
前記第四ポートと隣接するとともに光学的に接続され前記第一方向の反対方向に凸の湾曲部を有し、前記第四ポートを介して前記カプラから出力され前記第二出力ポートから出力される光を導波するハイメサ構造を有した第四導波路と
備え
前記第一導波路、前記多モード干渉導波路、および前記第三導波路で導波される光の第一光路長と、前記第二導波路、前記多モード干渉導波路、および前記第四導波路で導波される光の第二光路長と、が略同じである、光学デバイス。
【請求項2】
前記多モード干渉導波路の前記第一方向の長さをL、前記多モード干渉導波路の前記第二方向の幅をW、前記多モード干渉導波路の実効屈折率をn、前記多モード干渉導波路で伝播される光の波長をλ、1以上の自然数をm、としたとき、次の式(1)
L≦4・n・W・(2m-1)/λ ・・・(1)
が成り立つ、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記多モード干渉導波路は、前記第一導波路からの光の80[%]以上を前記第三導波路に導波し、かつ前記第二導波路からの光の80[%]以上を前記第四導波路に導波する、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記多モード干渉導波路の温度を調整する温度調整機構を備えた、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記温度調整機構は、電熱ヒータである、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記第一導波路、前記多モード干渉導波路、および前記第三導波路を含む第一信号導波路、ならびに前記第二導波路、前記多モード干渉導波路、および前記第四導波路を含む第二信号導波路は、それぞれ、変調信号の互いに位相が異なる成分を導波する、請求項1~のうちいずれか一つに記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記第一導波路、前記第二導波路、前記第三導波路、および前記第四導波路のうち少なくともいずれか一つにおいて、光を増幅する増幅部を備え、
前記多モード干渉導波路は、前記増幅部からは外れて設けられた、請求項1~のうちいずれか一つに記載の光学デバイス。
【請求項8】
請求項1~のうちいずれか一つに記載の光学デバイスと、
前記光学デバイスと光学的に接続された光学部品と、
を備えた、光学装置。
【請求項9】
前記光学部品として、変調器を備えた、請求項に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学デバイスおよび光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導波路が構成された光学デバイスとして、多モード干渉レンズを有した光学デバイスが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、多モード干渉レンズは、二つの導波路が交差する部位に設けられている。当該二つの導波路の交差角度は、伝送品質の点から、80°~100°に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許公開2005/0036737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、上述したように、二つの導波路の交差角度が80°~100°と比較的大きいため、光学デバイスを小型化し難くなる虞がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、より小さく構成することができるような、より改善された新規な光学デバイスおよび光学装置を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学デバイスは、例えば、第一ポートと、当該第一ポートに対して第一方向に離れた第二ポートと、当該第二ポートから前記第一方向と交差した第二方向に離れた第三ポートと、前記第一ポートから前記第二方向に離れた第四ポートと、前記第一ポートから入力された光を前記第三ポートに導波するとともに前記第二ポートから入力された光を前記第四ポートに導波する多モード干渉導波路と、を有したカプラと、前記第一ポートと光学的に接続され当該第一ポートを介して前記カプラへ入力される光を導波する第一導波路と、前記第二ポートと光学的に接続され当該第二ポートを介して前記カプラへ入力される光を導波する第二導波路と、前記第三ポートと光学的に接続され当該第三ポートを介して前記カプラから出力される光を導波する第三導波路と、前記第四ポートと光学的に接続され当該第四ポートを介して前記カプラから出力される光を導波する第四導波路と、を備える。
【0007】
前記光学デバイスにあっては、前記多モード干渉導波路の前記第一方向の長さをL、前記多モード干渉導波路の前記第二方向の幅をW、前記多モード干渉導波路の実効屈折率をn、前記多モード干渉導波路で伝播される光の波長をλ、1以上の自然数をm、としたとき、次の式(1)
L≦4・n・W・(2m-1)/λ ・・・(1)
が成り立ってもよい。
【0008】
前記光学デバイスにあっては、前記多モード干渉導波路は、前記第一導波路からの光の80[%]以上を前記第三導波路に導波し、かつ前記第二導波路からの光の80[%]以上を前記第四導波路に導波してもよい。
【0009】
前記光学デバイスは、前記多モード干渉導波路の温度を調整する温度調整機構を備えてもよい。
【0010】
前記光学デバイスにあっては、前記温度調整機構は、電熱ヒータであってもよい。
【0011】
前記光学デバイスは、前記第一方向の第一端部と、前記第一方向の反対方向の第二端部と、を備え、前記第一導波路は、前記第二端部と前記第一ポートとの間で延び、前記第二導波路は、前記第一端部と前記第二ポートとの間で延び、前記第三導波路は、前記第一端部と前記第三ポートとの間で延び、前記第四導波路は、前記第二端部と前記第四ポートとの間で延びてもよい。
【0012】
前記光学デバイスは、前記第一方向の第一端部を備え、前記第一導波路は、略U字状に曲がる第一湾曲部を有し、前記第一端部と前記第一ポートとの間で延び、前記第二導波路は、前記第一端部と前記第二ポートとの間で延び、前記第三導波路は、前記第一端部と前記第三ポートとの間で延び、前記第四導波路は、略U字状に曲がる第二湾曲部を有し、前記第一端部と前記第四ポートとの間で延びてもよい。
【0013】
前記光学デバイスにあっては、前記第一導波路、前記多モード干渉導波路、および前記第三導波路で導波される光の第一光路長と、前記第二導波路、前記多モード干渉導波路、および前記第四導波路で導波される光の第二光路長と、が略同じであってもよい。
【0014】
前記光学デバイスにあっては、前記第一導波路、前記多モード干渉導波路、および前記第三導波路を含む第一信号導波路、ならびに前記第二導波路、前記多モード干渉導波路、および前記第四導波路を含む第二信号導波路は、それぞれ、変調信号の互いに位相が異なる成分を導波してもよい。
【0015】
前記光学デバイスにあっては、前記多モード干渉導波路は、半導体メサにより構成されてもよい。
【0016】
前記光学デバイスにあっては、前記第一導波路、前記第二導波路、前記第三導波路、および前記第四導波路のうち少なくともいずれか一つにおいて、光を増幅する増幅部を備え、前記多モード干渉導波路は、前記増幅部からは外れて設けられてもよい。
【0017】
本発明の光学装置は、例えば、前記光学デバイスと、前記光学デバイスと光学的に接続された光学部品と、を備える。
【0018】
前記光学装置にあっては、前記光学部品として、変調器を備えてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より改善された新規な光学デバイスおよび光学装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1実施形態の光学デバイスの例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、第1実施形態の光学デバイスに含まれる多モード干渉導波路の例示的かつ模式的な平面図である。
図3図3は、第2実施形態の光学デバイスの例示的かつ模式的な平面図である。
図4図4は、第3実施形態の多モード干渉導波路の例示的かつ模式的な平面図である。
図5図5は、第4実施形態の多モード干渉導波路の例示的かつ模式的な平面図である。
図6図6は、第5実施形態の光学デバイスの例示的かつ模式的な平面図である。
図7図7は、第6実施形態の光学装置の例示的かつ模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0022】
以下に示される複数の実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0023】
本明細書において、序数は、部位や、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0024】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。
【0025】
[第1実施形態]
[光学デバイスの全体構成]
図1は、第1実施形態の光学デバイス100A(100)の平面図である。光学デバイス100Aは、半導体基板上に、公知の半導体プロセスによって構成されている。半導体基板は、例えば、III-V族半導体材料を主たる構成材料として構成されうる。
【0026】
光学デバイス100Aは、一例としては、図1に示されるように、平面視、すなわちZ方向の反対方向に見た場合において、X方向の長さがY方向の長さ(幅)よりも長い長方形状の外観を呈している。また、光学デバイス100Aは、Z方向に所定の厚さを有し、全体的には扁平な直方体状の形状を有している。
【0027】
また、光学デバイス100Aは、信号を伝送する伝送経路として、二つの伝送経路20(20I,20Q)を備えている。伝送経路20Iは、光信号であるI信号を伝送し、伝送経路20Qは、光信号であるQ信号を伝送する。二つの伝送経路20は、光学デバイス100A内のZ方向の所定位置において、Z方向と交差した仮想平面に略沿って設けられている。二つの伝送経路20I,20Qは、カプラ10A(10)において、交差している。言い換えると、カプラ10Aは、二つの伝送経路20I,20Qにおいて共用されている。
【0028】
I信号およびQ信号は、位相が互いに異なる信号の一例である。I信号とQ信号との位相差は、90°である。また、I信号は、複素変調信号の同相成分であり、Q信号は、複素変調信号の直交成分である。
【0029】
伝送経路20Iは、入力ポート21iから出力ポート21oまでの経路であり、導波路21a,21b,21c,21d、カプラ10A、および導波路21e,21fを有している。導波路21a~21fは、それぞれ、伝送経路20Iを構成する区間である。入力ポート21iは、第一入力ポートの一例であり、出力ポート21oは、第一出力ポートの一例である。
【0030】
また、伝送経路20Qは、入力ポート22iから出力ポート22oまでの経路であり、導波路22a,22b,22c,22d、カプラ10A、および導波路22e,22fを有している。導波路22a~22fは、それぞれ、導波経路を構成する区間である。入力ポート22iは、第二入力ポートの一例であり、出力ポート22oは、第二出力ポートの一例である。なお、伝送経路20I,20Qの配置は、図1の例には限定されず、例えば、伝送経路20Iが図1の伝送経路20Qの位置に設けられ、伝送経路20Qが図1の伝送経路20Iの位置に設けられてもよい。
【0031】
導波路21a,22a,21f,22fは、能動型の導波路であって、不図示の活性層を有した埋込導波路構造を備えている。活性層は、例えば、GaInAsP系半導体材料、またはAlGaInAs系半導体材料で作られた、多重量子井戸(MQW)構造を有している。
【0032】
導波路21a,22a,21f,22fのそれぞれに対応して、電極23が設けられている。電極23に他の電極(不図示)に対する所定の電位差を与え、活性層の活性領域(不図示)に電流を注入することにより、光増幅作用が生じ、これにより、導波路21a,22a,21f,22fを伝送されるI信号またはQ信号が増幅される。すなわち、本実施形態では、電極23および活性層は、光増幅部を構成している。すなわち、光学デバイス100Aは、半導体光増幅器の一例であり、アレイ型半導体光増幅素子とも称されうる。
【0033】
また、導波路21a,22a,21f,22fは、それぞれ、X方向の端面100aの近傍において、X方向に向かうにつれてY方向の反対方向に向かうように湾曲している。これにより、入力ポート21i,22iおよび出力ポート21o,22o、すなわち光学デバイス100Aの端面100aにおいて反射した光が伝送経路を戻るのが、抑制されている。また、端面100aには、反射を防止するための反射防止(AR)コーティングが施されている。端面100a近傍の湾曲部位を除き、導波路21a,22a,21f,22fは、それぞれ、X方向に略沿って直線状に延びており、互いに略平行である。導波路21a,22a,21f,22fは、それぞれ、Y方向に所定の間隔、例えば一定の間隔をあけて、Y方向に並んでいる。
【0034】
他方、導波路21b,21c,21d,21e,22b,22c,22d,22eは、受動型の導波路であって、不図示のクラッド層と光導波路とを有したハイメサ型の導波路構造、すなわち半導体メサ構造を備えている。導波路のクラッド層は、例えば、n型InPまたはi型InPで作られ、コア層は、例えば、バンドギャップ波長が1300[nm]のi型GaInAsP系半導体材料で作られる。なお、ハイメサ型の導波路構造は、ディープリッジ導波路構造とも称されうる。
【0035】
導波路21b,22b,21e,22eは、それぞれ、X方向に略沿って延びている。また、導波路21b,22b,21e,22eは、それぞれ、Y方向に所定の間隔、例えば一定の間隔をあけて、Y方向に並んでいる。
【0036】
導波路21d,22cは、それぞれ、X方向に略沿って延びている。また、導波路21d,22cは、それぞれ、Y方向に所定の間隔、例えば一定の間隔をあけて、Y方向に並んでいる。
【0037】
導波路21d,22bは、X方向に間隔をあけて、X方向に並んでいる。また、導波路22c,21eは、X方向に間隔をあけて、X方向に並んでいる。
【0038】
導波路21cは、直線状の導波路21b,21dのX方向の反対方向の端部間を接続し、円弧状またはU字状に湾曲している。導波路21b,21c,21dにより、略U字状に湾曲した導波路が構成されている。
【0039】
導波路22dは、直線状の導波路22c,22eのX方向の反対方向の端部間を接続し、円弧状またはU字状に湾曲している。導波路22c,22d,22eにより、略U字状に湾曲した導波路が構成されている。
【0040】
能動型の導波路21a,22a,21f,22fと受動型の導波路21b,22b,21e,22eとは、それぞれ、例えば、バットジョイント接続などによって光学的に接続されている。なお、能動型の導波路21a,22a,21f,22fと受動型の導波路21b,22b,21e,22eとの間には、異なる構造の導波路を低損失で光学的に接続するための変換領域が設けられていてもよい。
【0041】
[カプラ]
図2は、カプラ10Aの平面図である。図2に示されるように、カプラ10Aは、多モード干渉導波路11と、四つのポート12a~12dと、を有している。
【0042】
多モード干渉導波路11は、平面視で四角形状の形状、本実施形態では、Y方向の幅WよりもX方向の長さLが大きい長方形状の、外観を呈している。また、多モード干渉導波路11は、Z方向に略一定の厚さを有し、全体的には扁平な直方体状の形状を有している。
【0043】
ポート12a~12dは、平面視において、多モード干渉導波路11の四隅に光学的に接続されている。ポート12aは、多モード干渉導波路11のX方向の反対方向およびY方向の反対方向の端部に位置する角部に接続されている。ポート12bは、多モード干渉導波路11のX方向およびY方向の反対方向の端部に位置する角部に接続されている。ポート12cは、多モード干渉導波路11のX方向およびY方向の端部に位置する角部に接続されている。また、ポート12dは、多モード干渉導波路11のX方向の反対方向およびY方向の端部に位置する角部に接続されている。ポート12bは、ポート12aに対してX方向に離れ、ポート12cは、ポート12bに対してY方向に離れ、ポート12dは、ポート12aに対してY方向に離れている。ポート12a,12bは、X方向に並び、ポート12c,12dは、X方向に並んでいる。また、ポート12b,12cは、Y方向に並び、ポート12a,12dは、Y方向に並んでいる。また、ポート12a,12bのX方向の間隔と、ポート12c,12dのX方向の間隔とは、略同じであり、ポート12b,12cのY方向の間隔と、ポート12a,12dのY方向の間隔とは略同じである。これらポート12a~12dは、略同じ形状を有するとともに、いずれも、Y方向の幅Wpを有してX方向に延びている。また、Y方向に隣り合うポート12b,12c間の隙間Wgと、ポート12a,12d間の隙間とは、略同じである。ポート12aは、第一ポートの一例であり、ポート12bは、第二ポートの一例であり、ポート12cは、第三ポートの一例であり、ポート12dは、第四ポートの一例である。
【0044】
図2に示される形態の多モード干渉導波路11においては、次の式(2)が成り立つ場合に、ポート12aからのI信号をポート12cへ導波するとともに、ポート12bからのQ信号をポート12dへ導波できることが判明している。
L=4・n・W・(2m-1)/λ ・・・(2)
ここに、nは、多モード干渉導波路11の実効屈折率であり、mは、1以上の自然数である。
【0045】
なお、各部のスペックの設定あるいは調整により、多モード干渉導波路11の、ポート12aからのI信号をポート12cへ導波する比率、およびポート12bからのQ信号をポート12dへ導波する比率を、50[%]以上の所期の値に変更することができる。本実施形態では、当該比率は100[%]に近いことが望ましく、例えば80[%]以上であり、好ましくは95[%]以上である。
【0046】
一例として、λ=1.55[μm]、n=3.2の場合において、W=2.9[μm]、Wp=1.2[μm]、Wg=0.5[μm]、およびL=70[μm]のスペックにて、式(2)を満たすことが確認されている。
【0047】
ここで、図1に示されるように、カプラ10Aのポート12aには、I信号の伝送経路20Iにおいてカプラ10Aよりも前段となる導波路21a~21dが、光学的に接続されている。すなわち、導波路21a~21dは、入力ポート21iに入力されたI信号であって、ポート12aを介してカプラ10Aへ入力されるI信号を、導波する。なお、本実施形態では、ポート12aの直前の導波路21dは、ポート12aに対してX方向の反対方向に隣接するとともにX方向に延びており、I信号をX方向に導波している。導波路21a~21dは、第一導波路の一例である。また、導波路21cまたは導波路21b,21c,21dは、第一湾曲部の一例である。
【0048】
カプラ10Aのポート12bには、Q信号の伝送経路20Qにおいてカプラ10Aよりも前段となる導波路22a,22bが、光学的に接続されている。すなわち、導波路22a,22bは、入力ポート22iに入力されたQ信号であって、ポート12bを介してカプラ10Aへ入力されるQ信号を、導波する。なお、本実施形態では、ポート12bの直前の導波路22bは、ポート12bに対してX方向に隣接するとともにX方向に延びており、Q信号をX方向の反対方向に導波している。導波路22a,22bは、第二導波路の一例である。
【0049】
カプラ10Aのポート12cには、I信号の伝送経路20Iにおいてカプラ10Aよりも後段となる導波路21e,21fが、光学的に接続されている。導波路21e,21fは、ポート12cと出力ポート21oとの間で、I信号を導波する。すなわち、導波路21e,21fは、ポート12cを介してカプラ10Aから出力されたI信号であって、出力ポート21oから出力されるI信号を、導波する。なお、本実施形態では、ポート12cの直後の導波路21eは、ポート12cに対してX方向に隣接するとともにX方向に延びており、I信号をX方向に導波している。導波路21e,21fは、第三導波路の一例である。
【0050】
カプラ10Aのポート12dには、Q信号の伝送経路20Qにおいてカプラ10Aよりも後段となる導波路22c~22fが、光学的に接続されている。すなわち、導波路22c~22fは、ポート12dを介してカプラ10Aから出力されたQ信号であって、出力ポート22oから出力されるQ信号を、導波する。なお、本実施形態では、ポート12dの直後の導波路22cは、ポート12dに対してX方向の反対方向に隣接するとともにX方向に延びており、Q信号をX方向の反対方向に導波している。導波路22c~22fは、第四導波路の一例である。また、導波路22dまたは導波路22c,22d,22eは、第二湾曲部の一例である。
【0051】
以上、説明したように、本実施形態では、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Aが設けられている。ここで、仮に、カプラ10Aが、多モード干渉導波路11ではなく、従来技術のような多モード干渉レンズを有していた場合、ポート12a,12c間を結ぶ仮想線とポート12b,12d間を結ぶ仮想線との角度を80°~100°に設定することが必要となり、その分、カプラ10AがY方向に大型化してしまう。この点、本実施形態では、カプラ10Aは、多モード干渉導波路11を有しており、多モード干渉レンズに比べて、ポート12a,12d間、およびポート12b,12c間の間隔、すなわち多モード干渉導波路11(カプラ10A)のY方向の幅Wを、より狭くすることができる。したがって、本実施形態によれば、カプラ10Aひいては光学デバイス100Aをより小さく構成することができる。
【0052】
また、カプラ10Aが、多モード干渉導波路11ではなく、方向性結合器を有した場合、方向性結合器は、多モード干渉導波路11に比べて波長依存性が大きいため、使用可能な波長帯域が制限されてしまう虞がある。また、方向性結合器は、多モード干渉導波路11に比べて入出力の導波路間のギャップを小さくする必要があるため、製造するのが困難になったり、製造方法が制限されたりする虞がある。したがって、本実施形態によれば、波長依存性がより少なくかつより容易に製造することが可能なカプラ10Aひいては光学デバイス100Aを得ることができる。
【0053】
また、本実施形態では、光学デバイス100A内で、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Aにおいて、伝送経路20Iと伝送経路20Qとが互いに交差するため、異なる複数の伝送経路20I,20Qの入力ポート21i,22iを隣り合わせに纏めて配置するとともに、異なる複数の伝送経路20I,20Qの出力ポート21o,22oを隣り合わせに纏めて配置することができる。よって、入力ポート21i,22iと光学デバイス100Aとは別の光学部品とを光学的に接続する伝送経路(以下、外部の入力伝送経路と称する)と、出力ポート21o,22oと光学デバイス100Aとはさらに別の光学部品とを接続する伝送経路(以下、外部の出力伝送経路と称する)とを、光学デバイス100A外で、互いに立体的に交差させることなく、配置することができる。
【0054】
ここで、仮に、カプラ10Aが無く、平面視でU字状の伝送経路20Iと同じくU字状の伝送経路20Qとが、光学デバイス100内で互いに交差することなく、Y方向に並んでいる構成を想定する。この場合には、伝送経路20Iの入力ポート21iと出力ポート21oとが隣り合わせに纏めて配置されるとともに、その隣に、伝送経路20Qの入力ポート22iと出力ポート22oとが隣り合わせに纏めて配置されることになる。このようなレイアウトでは、光学デバイス100A外で、入力ポート21i,22iのうち一方に繋がる外部の入力伝送経路と、出力ポート21o,22oのうち一方に繋がる外部の出力伝送経路とが、互いに立体的に交差せざるを得ない場合が起こりうる。この場合、光学デバイス100Aと外部の入力伝送経路および出力伝送経路とを含む光学装置の構成が、より複雑化する虞がある。
【0055】
この点、本実施形態によれば、上述したように、異なる伝送経路20の入力ポート21i,22iを隣り合わせに纏めて配置することができるとともに、異なる伝送経路20の出力ポート21o,22oを隣り合わせに纏めて配置することができる。したがって、本実施形態によれば、例えば、光学デバイス100Aひいては当該光学デバイス100Aを備えた光学装置において、入力ポート21i,22iを別の光学部品と光学的に接続しやすくなるとともに、出力ポート21o,22oを別の光学部品と光学的に接続しやすくなる。
【0056】
また、本実施形態では、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Aを備えることにより、入力ポート21i,22iと出力ポート21o,22oとがそれぞれ纏めて配置された異なる複数の伝送経路20I,20Qについて、それら伝送経路20I,20Qの光路長を略同じに設定することができる。したがって、本実施形態によれば、例えば、複数の伝送経路20I,20Q間の光路長の差に応じて、I信号とQ信号との間で損失の差すなわち振幅や強度の差が大きくなったり、I信号とQ信号との間の位相差が設定値からずれたりするのを、抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Aは、ハイメサ(半導体メサ)として構成されている部位に設けられるとともに、電極23および活性層を含む増幅部からは外れて設けられている。仮に、多モード干渉導波路11が、増幅部が設けられた埋込型構造の能動型の導波路21a,22a,21f,22fに設けられたとすると、ハイメサとして構成された受動型の導波路構造に比べて、光閉じ込め性が低くなる。このため、信号間干渉を防止するために多モード干渉導波路11に接続される導波路間のY方向の間隔をより広げる必要が生じ、その結果、カプラ10AのY方向の幅Wがより大きくなり、これに伴ってカプラ10AのX方向の長さLもより大きくなり、ひいては、光学デバイス100AがX方向およびY方向に大きくなってしまう。この点、本実施形態のように、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Aを、ハイメサにおいて設けるとともに、電極23および活性層を含む増幅部からは外れて設けることにより、例えば、カプラ10Aひいては光学デバイス100Aの大型化を抑制しながら、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Aを設けたことによる上述した種々の効果を得ることができる。
【0058】
また、本実施形態では、光学デバイス100AのX方向(第一方向)の端面100aに、入力ポート21i、入力ポート22i、出力ポート21o、および出力ポート22oが、設けられている。このような構成によれば、例えば、劈開精度の高い端面100aを複数設ける必要が無く、その分、光学デバイス100Aをより安価に製造できるという利点が得られる。
【0059】
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態の光学デバイス100B(100)の平面図である。本実施形態の光学デバイス100Bは、多モード干渉導波路11(カプラ10A)の温度を調整する温度調整機構24を備えている点で、上記第1実施形態の光学デバイス100Aと相違している。この点を除き、光学デバイス100Bは、光学デバイス100Aと同様の構成を備えている。
【0060】
温度調整機構24は、例えば、多モード干渉導波路11に対してZ方向に重なるように配置されたヒータであり、例えば、配線24a,24bを介して供給された電力に対する電気抵抗によって発熱する電熱ヒータである。この場合、温度調整機構24のヒータは、例えば、ニッケルクロム合金等で作られる。配線24a,24bは、例えば、チタンや、白金、金、またはそれらを含む合金等で作られる。また、多モード干渉導波路11と温度調整機構24のヒータおよび配線24a,24bとの間は、保護膜が介在している。保護膜は、例えば、窒化ケイ素のような、多モード干渉導波路11のコアおよびクラッドよりも屈折率の低い材料で作られる。
【0061】
本実施形態によれば、温度調整機構24によって多モード干渉導波路11の温度を変化させることにより、当該多モード干渉導波路11の実効屈折率nを変化させ、これにより、多モード干渉導波路11の導波特性や分岐特性を変化させることができる。多モード干渉導波路11にあっては、製造ばらつきにより多モード干渉導波路11の幅Wや長さLの誤差が生じたり、温度変化に応じて多モード干渉導波路11の実効屈折率nが変化したりすることによって、所期の導波特性や分岐特性が得られない虞がある。このような場合においても、本実施形態によれば、温度調整機構24によって、導波特性および分岐特性を所期の特性に近づくよう補正することができる。したがって、本実施形態によれば、温度調整機構24が無い構成に比べて、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Aの所期の導波特性および分岐特性が得られやすくなり、ひいては光(信号)の伝送品質をより向上することができる。なお、温度調整機構24は、電熱ヒータには限定されず、例えば、熱電素子(ペルチェ素子)を有した熱電クーラ等であってもよい。この場合、熱電クーラは、光学デバイス100Bの温度を全体的に調整してもよいし、多モード干渉導波路11の温度を局所的に調整してもよい。
【0062】
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態のカプラ10C(10)の平面図である。本実施形態のカプラ10Cは、平面視において異なる形状の多モード干渉導波路11を有している点で、上記第1実施形態のカプラ10Aと相違している。
【0063】
図4に示されるように、本実施形態では、多モード干渉導波路11は、テーパ部11t1,11t2と、等幅部11sとを有している。
【0064】
テーパ部11t1は、ポート12b,12c側に位置し、平面視で略等脚台形状の形状を有している。すなわち、テーパ部11t1のY方向の幅は、X方向の反対方向に向かうにつれて、すなわち、ポート12a,12dに近づくにつれて、漸減している。
【0065】
等幅部11sは、テーパ部11t1に対してX方向の反対側に位置し、すなわち、ポート12a,12d側に隣接している。また、等幅部11sは、平面視において四角形状の形状を有している。すなわち、等幅部11sのY方向の幅は一定である。
【0066】
テーパ部11t2は、ポート12a,12d側に位置し、平面視で略等脚台形状の形状を有している。すなわち、テーパ部11t2のY方向の幅は、X方向に向かうにつれて、すなわち、ポート12b,12dに近づくにつれて、漸減している。
【0067】
等幅部11sの幅と、テーパ部11t1,11t2の最も狭い部分の幅(最小幅)とは略同一である。また、テーパ部11t1,11t2のX方向の長さLt1,Lt2は略同一である。なお、等幅部11sのX方向の長さを、Lsとする。
【0068】
テーパ部11t1,11t2および等幅部11sは、X方向の端部11e1,11e2での幅よりも平均的な幅が狭い狭幅部である。また、多モード干渉導波路11の幅Wと最小幅との差をAとする。この場合、等幅部11sのX方向およびX方向の反対方向の端部、すなわち幅方向の端部の位置は、最大幅の部位の幅方向の端部の位置から、A/2だけ内側に位置している。この場合、テーパ部11t1,11t2の平均的なY方向の幅は(W-A/2)である。
【0069】
等幅部11sの幅(W-A)は、例えばWの25[%]以上かつ100[%]未満である。また、等幅部11sの長さLsは、例えば多モード干渉導波路11の長さLの10[%]以上かつ100[%]未満である。
【0070】
このような形状を有することにより、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Cは、光学特性の設計の自由度が高く、かつ過剰損失が低減されたものとなる。
【0071】
発明者らの鋭意研究により、BPM(beam propagation method)解析等を用いた多モード干渉導波路11の形状の適宜な調整により、図4の形状において、次の式(3)
L<4・n・W・(2m-1)/λ ・・・(3)
を満たす構成とする場合において、ポート12aからのI信号を少なくとも50[%]以上の比率でポート12cへ導波できるとともに、ポート12bからのQ信号を少なくとも50[%]以上の比率でポート12dへ導波できることが判明している。
【0072】
これは、第1実施形態において述べた式(2)と比較すれば明らかとなるように、多モード干渉導波路11のX方向の長さをより短くすることが可能であることを意味している。
【0073】
すなわち、本実施形態によれば、式(3)を満たす構成の多モード干渉導波路11により、当該多モード干渉導波路11を有したカプラ10C、ひいては当該カプラ10Cを備えた光学デバイス100を、より小さく構成することができる。
【0074】
なお、本実施形態においても、各部のスペックの設定あるいは調整により、多モード干渉導波路11の、ポート12aからのI信号をポート12cへ導波する比率、およびポート12bからのQ信号をポート12dへ導波する比率を、50[%]以上の所期の値に変更することができる。また、本実施形態でも、当該比率は100[%]に近いことが望ましく、例えば80[%]以上であり、好ましくは95[%]以上である。
【0075】
また、上記第1実施形態および第3実施形態から、式(2)と式(3)とを合わせた次の式(1)
L≦4・n・W・(2m-1)/λ ・・・(1)
を満たすような構成により、ポート12aからのI信号を少なくとも50[%]以上の比率でポート12cへ導波できるとともに、ポート12bからのQ信号を少なくとも50[%]以上の比率でポート12dへ導波できることが、明らかである。
【0076】
[第4実施形態]
図5は、第4実施形態のカプラ10D(10)の平面図である。本実施形態のカプラ10Dは、平面視において異なる形状の多モード干渉導波路11を有している点で、上記第1実施形態のカプラ10Aや上記第3実施形態のカプラ10Cと相違している。
【0077】
図5に示されるように、本実施形態では、多モード干渉導波路11のY方向両側の側縁11aに、凹部および凸部のうち少なくとも一方を含む凹凸形状が設けられている。第3実施形態と同様に、BPM解析を用いた側縁11aの凹凸形状の適宜な調整、すなわちトポロジー最適化法を用いた設計により、多モード干渉導波路11の、ポート12aからのI信号をポート12cへ導波する比率、およびポート12bからのQ信号をポート12dへ導波する比率を、50[%]以上の所期の値に変更することができる。なお、本実施形態でも、当該比率は100[%]に近いことが望ましく、例えば80[%]以上であり、好ましくは95[%]以上である。なお、図5は、Y方向をX方向よりも拡大して示している。図5は、L=90[μm]、W=3.1[μm]、Wp=1.2[μm]、Wg=0.7[μm]の場合の構成例である。
【0078】
本実施形態によれば、側縁11aに凹部および凸部のうち少なくとも一つを含む凹凸形状を有した多モード干渉導波路11により、当該多モード干渉導波路、11を有したカプラ10C、ひいては当該カプラ10Cを備えた光学デバイス100を、より小さく構成することができる。また、トポロジー最適化法により設計されたカプラ10Dにおいて、過剰損失を小さく抑えられるという利点が得られる。
【0079】
[第5実施形態]
図6は、第5実施形態の光学デバイス100E(100)の平面図である。本実施形態の光学デバイス100Eは、I信号の伝送経路20IおよびQ信号の伝送経路20Qがいずれも、湾曲部を有していない点で、上記第1実施形態の光学デバイス100Aと相違している。
【0080】
図6に示されるように、本実施形態では、伝送経路20Iの入力ポート21iは、光学デバイス100EのX方向の反対側の端面100bに設けられている。そして、入力ポート21iと受動型の導波路21dとの間の能動型の導波路21aは、導波路21dに対してX方向の反対方向に隣接して位置している。
【0081】
また、伝送経路20Qの出力ポート22oも、端面100bに設けられている。そして、出力ポート22oと受動型の導波路22cとの間の能動型の導波路22fは、導波路22cに対してX方向の反対方向に隣接して位置している。
【0082】
導波路21a,22fは、それぞれ、端面100bの近傍において、X方向の反対方向に向かうにつれてY方向に向かうように湾曲している。これにより、入力ポート21i,22i、すなわち光学デバイス100Aの端面100bにおいて反射した光が伝送経路を戻るのが、抑制されている。また、端面100bには、反射を防止するための反射防止(AR)コーティングが施されている。端面100b近傍の湾曲部位を除き、導波路21a,22fは、それぞれ、X方向に略沿って直線状に延びており、互いに略平行である。導波路21a,22fは、それぞれ、Y方向に所定の間隔、例えば一定の間隔をあけて、Y方向に並んでいる。また、導波路21aの直線部位は、導波路21dとX方向に並び、導波路22fの直線部位は、導波路22cとX方向に並んでいる。
【0083】
また、導波路21a,22fのそれぞれに対応して、電極23が設けられている。本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、電極23と、不図示の活性層とによって、光増幅部が構成されている。
【0084】
本実施形態の光学デバイス100Eも、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Aを有している。よって、本実施形態によっても、多モード干渉導波路11を有したカプラ10Aを有することによる上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
また、本実施形態によれば、U字状の導波路を有していない分、光学デバイス100EのY方向の幅をより狭くすることができる。
【0086】
[第6実施形態]
図7は、第6実施形態の光学装置1000の平面図である。本実施形態の光学装置1000は、光源200と、変調器300と、光学デバイス100F(100)と、光学デバイス100A(100)と、を備えている。
【0087】
光源200は、連続波C1,C2を出力する。光源200は、例えば、波長可変レーザである。光源200から出力された連続波C1,C2は、それぞれ、光学デバイス100Fの伝送経路20C1,20C2(20)を経由して、変調器300へ入力される。光学デバイス100Fは、光学デバイス100Aと同様の構成を有している。伝送経路20C1,20C2の実質的な光路長は、約4200[μm]である。
【0088】
変調器300は、例えば、DP-IQ(dual polarization In-phase Quadrature)変調器である。また、変調器300は、InP変調器でもある。変調器300は、連続波C1,C2を変調してIQ信号を出力する。変調器300から出力されたIQ信号は、それぞれ、光学デバイス100Aの伝送経路20I,20Q(20)を経由して、光学装置1000の出力ポート1000oから出力される。伝送経路20I,20Qの実質的な光路長は、約3200[μm]である。
【0089】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、光学デバイス100A,100Fと変調器300との間のI信号、Q信号、および連続波C1,C2の伝送経路、光源200と光学デバイス100Fとの間の連続波C1,C2の伝送経路、並びに光学デバイス100Aと出力ポート1000oとの間の伝送経路を、互いに立体的に交差させることなく、配置することができる。また、光学デバイス100A内で、I信号の伝送経路20Iの光路長と、Q信号の伝送経路20Qの光路長と、を略同じに設定することができるとともに、光学デバイス100F内で、連続波C1の伝送経路20C1の光路長と、連続波C2の伝送経路20C2の光路長と、を略同じに設定することができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0091】
10,10A,10C,10D…カプラ
11…多モード干渉導波路
11a…側縁
11e1,11e2…端部
11s…等幅部
11t1,11t2…テーパ部
12a…ポート(第一ポート)
12b…ポート(第二ポート)
12c…ポート(第三ポート)
12d…ポート(第四ポート)
20,20C1,20C2,20I,20Q…伝送経路
21a…導波路(第一導波路)
21b~21d…導波路(第一導波路、第一湾曲部)
21e,21f…導波路(第三導波路)
21i…入力ポート(第一入力ポート)
21o…出力ポート(第一出力ポート)
22a,22b…導波路(第二導波路)
22f…導波路(第四導波路)
22c~22e…導波路(第四導波路、第二湾曲部)
22i…入力ポート(第二入力ポート)
22o…出力ポート(第二出力ポート)
23…電極
24…温度調整機構
24a,24b…配線
100,100A,100B,100E,100F…光学デバイス
100a…端面(第一端部)
100b…端面(第二端部)
200…光源
300…変調器
1000…光学装置
1000o…出力ポート
C1,C2…連続波
I…信号
Q…信号
X…方向(第一方向)
Y…方向(第二方向)
Z…方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7