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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】分岐部保護構造、及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241223BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
H02G3/04 068
F16L57/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021040464
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139896
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】空 正平
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-140140(JP,A)
【文献】特開2011-036012(JP,A)
【文献】特開2019-017200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる幹線から分岐して枝線が前記長手方向に交差する交差方向に延びる分岐部を有するワイヤーハーネスの分岐部保護構造であって、
前記幹線における前記分岐部の前記長手方向の両側のそれぞれを内部に挿通する筒状の一対の外装体と、
一対の前記外装体同士の間の前記分岐部に外装する分岐部外装体とが備えられ、
前記分岐部外装体は、前記外装体の筒状断面における一部分と一致あるいは相似する断面形状であり、
前記分岐部外装体の前記長手方向の両端部は、前記分岐部の前記長手方向の両側に配置された前記外装体の端部と、前記長手方向の所定長さで重なり合い、
前記分岐部より前記長手方向の一方側の前記外装体は他方側の前記外装体より小さな筒状断面形状であり、
前記分岐部外装体の両端部のうち一方側の端部は、前記外装体の端部の外面に沿って配置され、
前記分岐部外装体の両端部のうち他方側の端部は、前記外装体の端部の内面に沿って配置された
分岐部保護構造。
【請求項2】
前記分岐部外装体は、一方側の前記外装体の筒状断面における一部分より大きな相似形断面且つ他方側の前記外装体の筒状断面における一部分より小さな相似形断面で形成された
請求項1に記載の分岐部保護構造。
【請求項3】
前記外装体は、断面円形状であり、
前記分岐部外装体は、円弧状断面である
請求項1又は請求項2に記載の分岐部保護構造。
【請求項4】
前記分岐部外装体は、前記幹線の周方向に複数設けられ、
断面方向において隣り合う前記分岐部外装体同士が前記周方向に一部重なり合う
請求項3に記載の分岐部保護構造。
【請求項5】
前記分岐部に、断面方向において異なる方向に延びる複数の枝線が設けられ、
前記分岐部外装体は、複数設けられ、断面方向において異なる方向に延びる複数の枝線同士の間に配置された
請求項3に記載の分岐部保護構造。
【請求項6】
前記分岐部外装体は、前記長手方向に複数設けられ、
前記長手方向において隣り合う前記分岐部外装体同士が前記長手方向に一部重なり合う
請求項3に記載の分岐部保護構造。
【請求項7】
前記分岐部外装体は、
前記長手方向に沿って断面円弧状の弧長が徐々に変化する
請求項3乃至請求項6のうちいずれかに記載の分岐部保護構造。
【請求項8】
長手方向に延びる幹線と、
前記長手方向に交差する交差方向に延びる枝線とを有するワイヤーハーネスであって、
請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載の分岐部保護構造を備え、
前記幹線から前記枝線が分岐する分岐部が前記分岐部保護構造で保護された
ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、幹線から枝線が分岐する分岐部を保護する分岐部保護構造及びワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されている電気機器同士を電気的に接続している長尺状のワイヤーハーネスは、自動車の車両の凹凸形状に合わせて直線部分と湾曲部分とを組み合わせた2次元的、又は、3次元的に複雑な配索経路で配索されている。
【0003】
このワイヤーハーネスは、可撓性を有するとともに、長尺状に構成された中空状のコルゲートチューブなどの外装体に挿通させて保護していることがある。しかしながら、ワイヤーハーネスの幹線から枝線が分岐する分岐部では、枝線がコルゲートチューブと干渉するため、コルゲートチューブを外装することができない。
【0004】
このような幹線と枝線との分岐部を保護するため、例えば、コルゲートチューブの端部に周方向の一部を切り欠いて開口を設け、開口から枝線を延出させるワイヤーハーネスの分岐構造が特許文献1に開示されている。
【0005】
詳述すると、コルゲートチューブの端部から長手方向に沿って所定の領域で周方向の一部を切除して形成された開口から枝線を延出するとともに、コルゲートチューブの端部に他のコルゲートチューブを組み付けることで、分岐部をコルゲートチューブで覆うことができ、分岐部を保護できるとされている。
しかしながら、特許文献1のワイヤーハーネスの分岐構造では、幹線を挿通する外装体における外面における周方向の一部を切除する必要があり、構造が複雑となるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-240062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題に鑑み、簡易な構造で分岐部を保護することができる分岐部保護構造及びワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、長手方向に延びる幹線から分岐して枝線が前記長手方向に交差する交差方向に延びる分岐部を有するワイヤーハーネスの分岐部保護構造であって、前記幹線における前記分岐部の前記長手方向の両側のそれぞれを内部に挿通する筒状の一対の外装体と、一対の前記外装体同士の間の前記分岐部に外装する分岐部外装体とが備えられ、前記分岐部外装体は、前記外装体の筒状断面における一部分と一致あるいは相似する断面形状であり、前記分岐部外装体の前記長手方向の両端部は、前記分岐部の前記長手方向の両側に配置された前記外装体の端部と、前記長手方向の所定長さで重なり合い、前記分岐部より前記長手方向の一方側の前記外装体は他方側の前記外装体より小さな筒状断面形状であり、前記分岐部外装体の両端部のうち一方側の端部は、前記外装体の端部の外面に沿って配置され、前記分岐部外装体の両端部のうち他方側の端部は、前記外装体の端部の内面に沿って配置されたことを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、長手方向に延びる幹線と、前記長手方向に交差する交差方向に延びる枝線とを有するワイヤーハーネスであって、上述の分岐部保護構造を備え、前記幹線から前記枝線が分岐する分岐部が前記分岐部保護構造で保護されたことを特徴とする。
【0010】
前記分岐部外装体は、一又は複数の場合を含む。
また、前記分岐部外装体は、前記外装体と同素材又は異なる素材で構成された場合を含む。
【0011】
さらにまた、前記分岐部外装体は、前記幹線を挿通させる前記外装体と断面形状が同形状あるいは相似形状の外装体を加工して構成された場合を含む。例えば、前記外装体が可撓性を有する断面円形状の筒状体である場合において、前記分岐部外装体は、断面円形状の外装体を長手方向に沿って複数に分割して構成されてもよい。
【0012】
この発明により、簡易な構造で分岐部を保護することができる。
詳述すると、分岐部外装体の断面形状が、外装体の筒状断面における一部分と一致あるいは相似しているため、容易に長手方向の所定長さで外装体の端部に重なり合うように、分岐部外装体を配置することができる。このため、一対の外装体の端部を加工する必要なく、外装体同士の間に配置される分岐部に分岐部外装体を取り付け、分岐部を保護することができる。
【0013】
また、前記分岐部より前記長手方向の一方側の前記外装体は他方側の前記外装体より小さな筒状断面形状であり、前記分岐部外装体の両端部のうち一方側の端部は、前記外装体の端部の外面に沿って配置され、前記分岐部外装体の両端部のうち他方側の端部は、前記外装体の端部の内面に沿って配置されている。
【0014】
この構成により、分岐部の長手方向の一方側に配置された外装体と他方側に配置された外装体との内径及び外径が異なる場合であっても、それぞれの外装体に対して容易に分岐部外装体を配置することができる。これにより、様々な幹線の配索経路に対応することができ、設計の自由度が向上する。
【0015】
この発明の態様として、前記分岐部外装体の端部は、前記外装体の端部の外面に沿って配置されてもよい。
この発明により、幹線に対して外装体が装着された状態で、後から分岐部外装体を外装体に配置することができる。したがって、より容易に分岐部外装体を外装体の外面に沿って配置しつつ、分岐部を保護することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記分岐部外装体は、前記外装体の筒状断面における一部分より大きな相似形断面で形成されてもよい。
この発明により、外装体の外面と断面相似形状で形成された分岐部外装体を、外装体の外面に対して容易に沿わして配置することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記分岐部外装体の端部は、前記外装体に対して固定されてもよい。
この発明により、分岐部外装体が外装体から離脱することを防止できるため、より確実に分岐部を保護することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記分岐部外装体の端部は、前記外装体の端部の内面に沿って配置されてもよい。
この発明によると、一対の外装体の内面に沿うように、分岐部外装体が筒状の外装体の内部に挿入されるため、簡易な構造で、分岐部外装体が不用意に外装体から離脱することなく、分岐部を確実に保護することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記分岐部外装体は、前記外装体の筒状断面における一部分より小さな相似形断面で形成されてもよい。
この発明により、外装体の内面と断面相似形状で形成された分岐部外装体を、外装体の内面に対して容易に沿わして配置することができる。また、分岐部外装体を容易に外装体に挿通させることができるため、取付作業における作業効率を向上させることができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記分岐部外装体は、一方側の前記外装体の筒状断面における一部分より大きな相似形断面且つ他方側の前記外装体の筒状断面における一部分より小さな相似形断面で形成されてもよい。
【0021】
この発明により、分岐部外装体における一方側を、長手方向の一方側の外装体の外面に対して容易に沿わして配置することができるとともに、分岐部外装体における他方側を、長手方向の他方側の外装体の内面に対して容易に沿わして配置することができる。これにより、容易に分岐部外装体を一対の外装体に対して長手方向に重なり合うように配置することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記外装体は、断面円形状であり、前記分岐部外装体は、円弧状断面であってもよい。
この発明により、断面円弧状の分岐部外装体における開放部分を枝線の延びる交差方向に配置することで、断面円形状の一対の外装体に挟まれた分岐部を、断面円弧状の分岐部外装体で保護することができる。
【0023】
また、断面円形状の外装体に対して、分岐部外装体の断面形状を円弧状とすることにより、断面における周方向の所望の方向に対して円弧状の分岐部外装体を配置できる。このため、分岐部外装体の開放部分を、枝線の延びる交差方向に対応するように適宜配置することができる。したがって、様々な分岐部外装体を準備する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記分岐部外装体は、前記幹線の周方向に複数設けられ、断面方向において隣り合う前記分岐部外装体同士が前記周方向に一部重なり合ってもよい。
この発明により、複数の分岐部外装体の一部を重なり合わせて、分岐部外装体同士の隙間をなくすことができるため、複数の分岐部外装体を用いて、分岐部を確実に保護することができる。
【0025】
また、複数の分岐部外装体を重ね合わせることで、隣り合う分岐部外装体同士の隙間の大きさを調整することができる。これにより、隣り合う分岐部外装体同士の間の隙間を枝線の外径に合わせた大きさに調整することができる。
【0026】
さらにまた、弧長の異なる分岐部外装体を準備することなく、枝線を挿通する開口を設けつつ、分岐部を確実に保護することができる。すなわち、弧長が等しい分岐部外装体のみで分岐部を保護することができるため、部品点数を削減することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記分岐部に、断面方向において異なる方向に延びる複数の枝線が設けられ、前記分岐部外装体は、複数設けられ、断面方向において異なる方向に延びる複数の枝線同士の間に配置されてもよい。
この発明により、分岐部における異なる方向に延びる複数の枝線の間も保護することができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記分岐部外装体は、前記長手方向に複数設けられ、前記長手方向において隣り合う前記分岐部外装体同士が前記長手方向に一部重なり合ってもよい。
この発明により、枝線が異なる交差方向に延びる分岐部を保護することができる。
【0029】
詳述すると、円弧の開放部分をそれぞれ枝線の延びる交差方向となるように、断面における周方向の所望の位置に複数の分岐部外装体を配置し、分岐部外装体に幹線を挿通しつつ、開放部分から枝線を引き出すことで、重なり合った分岐部外装体で分岐部を保護しつつ、開放部分から枝線をそれぞれ延出できる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記分岐部外装体は、前記長手方向に沿って断面円弧状の弧長が徐々に変化してもよい。
上述の前記長手方向に沿って断面円弧状の弧長が徐々に変化とは、前記長手方向に沿って断面円弧状の弧長が長くなる場合や、短くなる場合を含む。また、断面円弧状の弧長が前記分岐部に対応する箇所からそれぞれの前記外装体に向かうに伴い徐々に短くなるあるいは長くなる場合も含む。
【0031】
この発明により、様々な分岐部を保護することができる。
例えば、一対の外装体の中央付近において枝線が交差方向に延びている場合、断面円弧状の弧長が前記長手方向に沿って徐々に短くなる分岐部外装体を用いることで、枝線が延びる方向を確実に開放しつつ、一対の外装体の端部周辺における幹線の外周をより保護することができる。
【0032】
また、一対の外装体におけるそれぞれの端部付近において、枝線が交差方向に延びている場合、断面円弧状の弧長が前記外装体に向かうに伴い徐々に短くなる分岐部外装体を用いることで、一対の外装体の端部周辺において、枝線が延びる方向を開放しつつ、枝線同士の間における幹線の外周を保護することができる。
【0033】
このように、幹線から枝線が延びる様々な分岐部に対応して、幹線を保護しつつ、枝線の延びる方向を開放することができる。これにより、幹線を保護しつつ、枝線が分岐部外装体と干渉して損傷することを防止できる。
【発明の効果】
【0034】
この発明により、簡易な構造で分岐部を保護することができる分岐部保護構造、及びワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】分岐部保護構造の概略斜視図。
図2】分岐部保護構造の概略分解斜視図。
図3】分岐部外装体の概略斜視図。
図4】分岐部保護構造の平面図及び側面図。
図5】分岐部保護構造の断面図。
図6】分岐部保護構造の他の使用方法の説明図。
図7】他の実施形態における分岐部保護構造の概略斜視図。
図8】他の実施形態における分岐部保護構造の概略分解斜視図。
図9】他の実施形態における分岐部保護構造の側面図及び断面図。
図10】他の実施形態における分岐部保護構造の説明図。
図11】他の実施形態における分岐部保護構造の平面図。
図12】他の実施形態における分岐部保護構造の概略斜視図。
図13】他の実施形態における分岐部保護構造の側面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、枝線が幹線から分岐した分岐部を有するワイヤーハーネスにおいて、分岐部を保護する分岐部保護構造である。以下、本発明の一実施態を以下図1乃至図6とともに説明する。
【0037】
(第1実施形態)
図1は分岐部保護構造1の概略斜視図を示し、図2は分岐部保護構造1の概略分解斜視図を示し、図3は第1分岐部外装体50の製造方法を説明する概略斜視図を示す。図4は分岐部保護構造1の平面図及び側面図を示し、図5は分岐部保護構造1の断面図を示し、図6は分岐部保護構造1の他の使用方法の説明図を示す。
【0038】
図3乃至図6について詳述する。図3(a)は第1分岐部外装体50を製造する前の外装体50Aの概略斜視図を示し、図3(a)は外装体50Aを2分割して構成された第1分岐部外装体50の概略斜視図を示す。
【0039】
図4(a)は分岐部保護構造1の平面図を示し、図4(b)は分岐部保護構造1を枝線12の延びる方向から視た側面図を示す。図5(a)は図4(a)におけるA-A矢視断面図を示し、図5(b)は図4(b)におけるB-B矢視断面図を示す。
【0040】
図6(a)は枝線12が2方向に延びる分岐部13を保護する分岐部保護構造1の概略斜視図を示し、図6(b)は交差方向Wに向けて延びる枝線12の延びる方向から視た分岐部保護構造1の側面図を示す。
【0041】
なお、全体構造を理解しやすくするため、図1乃至図13の一部を除き、隆起部と溝部とで凹凸形状を繰り返すコルゲートチューブの隆起部(凸形状)と溝部(凹形状)の図示を省略し、コルゲートチューブを円筒で図示する。
【0042】
ここで、便宜上、図1における幹線11の長手方向を長手方向Lとし、幹線11に対して枝線12の延びる方向を交差方向Wとする。また、長手方向Lと交差方向Wは互いに直交しているものとし、図1中の上側及び下側を上方及び下方とする。さらに、図1中において、長手方向Lに沿って右側を先端側Lf、左側を基端側Lbとする。
なお、これらの方向は、図2乃至図13でも同様とする。
【0043】
分岐部保護構造1は、図1に示すように、車両に配索されたワイヤーハーネス10において幹線11と枝線12とが分岐する分岐部13を保護する構造であり、ワイヤーハーネス10と、幹線11における分岐部13の長手方向Lの両側のそれぞれを内部に挿通する一対の円筒状のメイン外装体20,20と、幹線11から分岐された枝線12を内部に挿通して保護するサブ外装体30と、メイン外装体20,20の間の分岐部13に外装する分岐部外装体40とで構成されている。
【0044】
ワイヤーハーネス10を構成する幹線11は、導線を絶縁被覆で被覆した被覆電線の束であり、例えばバッテリなどと接続されている。
枝線12は幹線11から交差方向Wに引き出した被覆電線であり、例えば、車両に搭載される電子機器類と接続されている。なお、幹線11から枝線12を引き出した分岐部分を分岐部13とする。
【0045】
メイン外装体20,20は、内部に幹線11を挿通できる、円筒状に構成された樹脂製のコルゲートチューブであり、分岐部13の長手方向Lの両端側に設けられている。このメイン外装体20は、主隆起部21と主溝部22とが長手方向Lに沿って交互に配置された蛇腹構造で構成されている(図5(b)参照)。このように蛇腹構造で構成されたメイン外装体20は、可撓性を有する。
【0046】
サブ外装体30は、交差方向Wに延びる枝線12を内部に挿通できる、円筒状に構成された樹脂製のコルゲートチューブである。このサブ外装体30は、メイン外装体20と同じ構成をしているため、説明を省略する。
【0047】
分岐部外装体40は、図1及び図2に示すように、分岐部13を保護している。この分岐部外装体40は、分岐部13を挟んで配置されたメイン外装体20,20を連結するように配置された第1分岐部外装体50と第2分岐部外装体60とで構成されている。
【0048】
第1分岐部外装体50は、半円筒に構成された樹脂製のコルゲートチューブであり、第1分岐隆起部51と第1分岐溝部52とが長手方向Lに沿って交互に配置された蛇腹構造で構成されている(図5(b)参照)。
【0049】
この第1分岐部外装体50は、メイン外装体20の断面形状における一部分と相似形状をしており、内径がメイン外装体20の外径と等しくなるように構成されている。また、第1分岐隆起部51と第1分岐溝部52のピッチが主隆起部21と主溝部22のピッチに対応するように構成され、長手方向Lに沿った長さが分岐部13を挟んで配置されたメイン外装体20,20の間隔よりも長くなるように構成されている。
【0050】
なお、図3に示すように、第1分岐部外装体50は円筒状に構成された樹脂製のコルゲートチューブである外装体50Aを、長手方向Lに沿って2分割することにより製造される。すなわち、外装体50Aからは、同形状の第1分岐部外装体50が2つ製造される。
【0051】
第2分岐部外装体60は、第1分岐部外装体50と同様に、半円筒に構成された樹脂製のコルゲートチューブであり、第2分岐隆起部61と第2分岐溝部62とが長手方向Lに沿って交互に配置された蛇腹構造で構成されている(図5(b)参照)。
【0052】
この第2分岐部外装体60は、メイン外装体20の断面形状における一部分と相似形状をしており、内径が第1分岐部外装体50の外径と等しくなるように構成されている。また、第2分岐隆起部61と第2分岐溝部62のピッチが第1分岐隆起部51と第1分岐溝部52のピッチに対応するように構成され、長手方向Lに沿った長さが、第1分岐部外装体50と同じく、分岐部13を挟んで配置されたメイン外装体20,20の間隔よりも長くなるように構成されている。
なお、第2分岐部外装体60は、第1分岐部外装体50と同様に、円筒状に構成された樹脂製のコルゲートチューブを2分割することにより製造される(図示省略)。
【0053】
このように構成された第1分岐部外装体50と第2分岐部外装体60は、図1図4及び図5に示すように、少なくとも分岐部13における枝線12が延びる方向と反対方向を覆うことで、分岐部13を保護している。
【0054】
詳述すると、図2及び図5(a)に示すように、正面視において、第1分岐部外装体50は反時計回りに45度回転させた状態でメイン外装体20の外周面に沿うように配置している。ここで、第1分岐部外装体50の長手方向Lの長さは、一対のメイン外装体20,20の間隔よりも長くなるように構成されているため、第1分岐部外装体50の長手方向Lの両端部は、分岐部13の長手方向Lの両側に配置されたメイン外装体20,20の端部と、長手方向Lに沿って所定の長さで重なり合っている。
【0055】
このようにメイン外装体20,20の端部において重なり合うように配置された第1分岐部外装体50は、図5(b)に示すように、第1分岐隆起部51が主溝部22と、第1分岐溝部52が主隆起部21とそれぞれ嵌合している。このため、メイン外装体20に対する第1分岐部外装体50の長手方向Lの移動を抑制することができる。
なお、第1分岐部外装体50はメイン外装体20に対してテープB1を用いて、固定されている(図1参照)。
【0056】
同様に、正面視において、第2分岐部外装体60は時計回りに45度回転させた状態でメイン外装体20の外周面に沿うように配置している。すなわち、第2分岐部外装体60は、分岐部13における枝線12の延びる方向と反対側において、断面方向において隣り合う第1分岐部外装体50と、周方向において部分的に重なり合うこととなる。
【0057】
また、第2分岐部外装体60の内径は第1分岐部外装体50の外径と等しくなるように構成されるとともに、第2分岐部外装体60の長手方向Lの長さが一対のメイン外装体20,20の間隔よりも長くなるように構成されている。このため、第2分岐部外装体60は長手方向Lに沿って第1分岐部外装体50と周方向において部分的に重なり合うとともに、第2分岐部外装体60の長手方向Lの両端部が、分岐部13の長手方向Lの両側に配置されたメイン外装体20,20の端部と、長手方向Lに沿って所定の長さで重なり合っている。
【0058】
このように周方向において第1分岐部外装体50と重なり合った第2分岐部外装体60は、図5(b)に示すように、第2分岐隆起部61が第1分岐溝部52と、第2分岐溝部62が第2分岐隆起部61とそれぞれ嵌合している。このため、第1分岐部外装体50に対する第2分岐部外装体60の長手方向Lの移動を抑制することができる。
なお、第2分岐部外装体60はメイン外装体20に対してテープB2を用いて、固定されている(図1参照)。
【0059】
このように第1分岐部外装体50は、分岐部13の上方側を覆うように配置され、第2分岐部外装体60は分岐部13の下方側を覆うように配置されている。これにより、少なくとも分岐部13における枝線12が延びる方向と反対方向を分岐部外装体40で覆うことができるとともに、第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60の開放部分で形成される開口から枝線12を延出しつつ、開口が過度に広がらないようにすることができる(図4(b)及び図5(a)参照)。
【0060】
また、第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60をメイン外装体20の外面に配置できるため、ワイヤーハーネス10を配索した後に第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60を容易にメイン外装体20に対して取付けることができる。
【0061】
また例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、幹線11から長手方向Lに沿って複数の枝線12が分岐している場合には、メイン外装体20,20の一方のみに沿うように第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60をそれぞれ配置することで、複数の枝線12が分岐した分岐部13を保護することもできる。
【0062】
以下、簡単に説明する。
ここで、図6(a)に示すように、交差方向Wに沿って分岐する2つの枝線12のうちの先端側Lfの枝線12を第1枝線121とし、基端側Lbの枝線12を第2枝線122とする。
【0063】
この場合、第1分岐部外装体50を、開放部分が第1枝線121の延びる方向を向くとともに、先端側Lfのメイン外装体20の外面に沿うように配置し、第2分岐部外装体60の開放部分が第2枝線122の延びる方向である下方を向くとともに、基端側Lbのメイン外装体20の外面及び第1分岐部外装体50の基端側Lbの外面に沿うように第2分岐部外装体60を配置する。
【0064】
これにより、少なくとも分岐部13における第1枝線121及び第2枝線122の延びる方向と反対方向を第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60で保護することができる。また、第1分岐部外装体50で分岐部13における先端側Lfの幅方向の一方側を、第2分岐部外装体60で分岐部13における基端側Lbの上方を保護することができる。
【0065】
このように構成された分岐部保護構造1は、長手方向Lに延びる幹線11から分岐して枝線12が長手方向Lに交差する交差方向Wに延びる分岐部13を有するワイヤーハーネス10において、幹線11における分岐部13の長手方向Lの両側のそれぞれを内部に挿通する筒状の一対のメイン外装体20,20と、一対のメイン外装体20,20同士の間の分岐部13に外装する分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)とが備えられている。第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60は、メイン外装体20,20の筒状断面における一部分と相似形状である。また、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)の長手方向Lの両端部は、分岐部13の長手方向Lの両側に配置されたメイン外装体20,20の端部と、長手方向Lの所定長さで重なり合う。
【0066】
このため、容易に長手方向Lの所定長さでメイン外装体20,20の端部に重なり合うように、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)を配置することができる。これにより、一対のメイン外装体20,20の端部を加工する必要なく、メイン外装体20,20同士の間に配置される分岐部13に分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)を取り付け、分岐部13を保護することができる。
【0067】
また、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)の端部は、メイン外装体20,20の端部の外面に沿って配置されていることにより、幹線11に対してメイン外装体20,20が装着された状態で、後から分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)をメイン外装体20,20に配置することができる。したがって、より容易に分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)をメイン外装体20,20の外面に沿って配置しつつ、分岐部13を保護することができる。
【0068】
さらにまた、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)は、メイン外装体20,20の筒状断面における一部分より大きな相似形断面で形成されていることにより、メイン外装体20,20の外面と断面相似形状で形成された分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)を、メイン外装体20,20の外面に対して容易に沿わして配置することができる。
【0069】
また、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)の端部は、メイン外装体20,20に対して固定されていることにより、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)がメイン外装体20,20から離脱することを防止できるため、より確実に分岐部13を保護することができる。
【0070】
さらにまた、メイン外装体20,20は、断面円形状であり、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)は、円弧状断面であることにより、断面円弧状の分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)における開放部分を枝線12の延びる交差方向Wに配置することで、断面円形状の一対のメイン外装体20,20に挟まれた分岐部13を、断面円弧状の分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)で保護することができる。
【0071】
また、断面円形状のメイン外装体20,20に対して、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)の断面形状を円弧状とすることにより、断面における周方向の所望の方向に対して円弧状の分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)を配置できる。このため、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)の開放部分を、枝線12の延びる交差方向Wに対応するように適宜配置することができる。したがって、様々な分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)を準備する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0072】
また、幹線11の周方向に複数設けられた第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60を、断面方向において隣り合う第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60が周方向に一部重なり合っていることにより、第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60の隙間をなくすことができるため、分岐部13を確実に保護することができる。
【0073】
また、第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60を重ね合わせることで、隣り合う第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60の隙間の大きさを調整することができる。これにより、隣り合う第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60同士の間の隙間を枝線12の外径に合わせた大きさに調整することができる。
【0074】
さらにまた、弧長の異なる第1分岐部外装体50や第2分岐部外装体60を準備することなく、枝線12を挿通する開口を設けつつ、分岐部13を確実に保護することができる。すなわち、弧長が等しい第1分岐部外装体50や第2分岐部外装体60のみで分岐部13を保護することができるため、部品点数を削減することができる。
【0075】
また、長手方向Lに沿って設けられた第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60が、長手方向Lにおいて隣り合う第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60と長手方向Lに一部重なり合っていることにより、枝線12が異なる方向に延びる分岐部13を保護することができる。
【0076】
詳述すると、図6に示すように、円弧の開放部分をそれぞれ枝線12の延びる方向となるように、断面における周方向の所望の位置に第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60を配置し、第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60に幹線11を挿通しつつ、開放部分から枝線12を引き出すことで、重なり合った第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60で幹線11を保護しつつ、第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60の開放部分から枝線12をそれぞれ伸ばすことができる。
【0077】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
長手方向は、長手方向Lに対応し、
幹線は、幹線11に対応し、
枝線は、枝線12に対応し、
交差方向は、交差方向Wに対応し、
分岐部は、分岐部13に対応し、
ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネス10に対応し、
分岐部保護構造は、分岐部保護構造1に対応し、
外装体は、メイン外装体20に対応し、
分岐部外装体は、分岐部外装体40(第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60)に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0078】
なお、以下に記載の他の実施形態において、実施形態1と同じ構成については同一の番号を付しその説明を省略する。また、本明細書における各実施形態に記載の内容は、それぞれの実施形態にのみ実施できるものではなく、効果を奏する限り適宜組み合わせを変更することができる。
【0079】
例えば、本実施形態において、第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60は半円筒で構成されており、メイン外装体20の外面に沿って配置されているが、必ずしも半円筒である必要はなく、また必ずしもメイン外装体20の外面に沿う必要もない。
【0080】
具体的には、図7に示す分岐部保護構造1wに示すように、四半円筒で構成された一対の第3分岐部外装体50w,50wで構成された分岐部外装体40wを、メイン外装体20の内面に沿わせてもよい。以下、分岐部保護構造1wについて図7乃至図9に基づいて簡単に説明する。
【0081】
ここで、図7は分岐部保護構造1wの概略斜視図を示し、図8は分岐部保護構造1wの概略分解斜視図を示し、図9は分岐部保護構造1wの側面図及び断面図を示す。図9(a)は分岐部保護構造1wの側面図を示し、図9(b)は図9(a)におけるC-C矢視断面図を示す。
【0082】
分岐部保護構造1wは、図7に示すように、幹線11に対して2方向に枝線12,12が延びるワイヤーハーネス10と、幹線11における分岐部13の長手方向Lの両側のそれぞれを内部に挿通する一対の円筒状のメイン外装体20,20と、幹線11から分岐された枝線12,12を内部に挿通する保護するサブ外装体30,30と、メイン外装体20,20の間の分岐部13に外装する分岐部外装体40w(一対の第3分岐部外装体50w,50w)とで構成されている。
【0083】
第3分岐部外装体50wは、図8及び図9に示すように、四半円筒に構成された樹脂製のコルゲートチューブであり、第1分岐部外装体50と同様に、第1分岐隆起部51と第1分岐溝部52とが長手方向Lに沿って交互に配置された蛇腹構造で構成されている。
【0084】
この第3分岐部外装体50wは、メイン外装体20の断面形状と相似形状をしており、外径がメイン外装体20の内径と等しくなるように構成されている。また、第1分岐隆起部51と第1分岐溝部52のピッチが主隆起部21と主溝部22のピッチに対応するように構成され、長手方向Lに沿った長さが分岐部13を挟んで配置されたメイン外装体20,20の間隔よりも長くなるように構成されている。
【0085】
なお、第3分岐部外装体50wは円筒状に構成された樹脂製のコルゲートチューブである外装体50Aを、長手方向Lに沿って4分割することにより製造される。すなわち、外装体50Aからは、同形状の第3分岐部外装体50wが4つ製造される(図示省略)。
【0086】
このように一対の第3分岐部外装体50w,50wで構成された分岐部外装体40wは、図7乃至図9に示すように、幹線11に対して枝線12が2方向に分岐されるような分岐部13の上方及び下方を保護することができる。
【0087】
詳述すると、図9(a)及び図9(b)に示すように、第3分岐部外装体50wはメイン外装体20の内周面に沿うようにメイン外装体20の上方及び下方に配置されている。ここで、第3分岐部外装体50wの長手方向Lの長さは、一対のメイン外装体20,20の間隔よりも長くなるように構成されているため、第3分岐部外装体50wの長手方向Lの両端部は、分岐部13の長手方向Lの両側に配置されたメイン外装体20,20の端部と、長手方向Lに沿って所定の長さで重なり合っている。
【0088】
またメイン外装体20,20の端部において重なり合うように配置された第3分岐部外装体50w,50wは、第1分岐隆起部51が主溝部22と、第1分岐溝部52が主隆起部21とそれぞれ嵌合している。このため、メイン外装体20,20に対する第3分岐部外装体50w,50wの長手方向Lの移動を抑制することができる。
【0089】
このように分岐部外装体40w(第3分岐部外装体50w,50w)の端部は、メイン外装体20,20の端部の内面に沿って配置されている。これにより、一対のメイン外装体20,20の内面に沿うように、第3分岐部外装体50w,50wが筒状のメイン外装体20,20の内部に挿入されるため、簡易な構造で、第3分岐部外装体50w,50wがメイン外装体20,20から不用意に離脱することなく、分岐部13を保護することができる。
【0090】
また、第3分岐部外装体50wは、メイン外装体20,20の筒状断面における一部分より小さな相似形断面で形成されている。これにより、メイン外装体20,20の内面と断面相似形状で形成された第3分岐部外装体50wを、メイン外装体20,20の内面に対して容易に沿わして配置することができる。また、第3分岐部外装体50wを容易にメイン外装体20,20に挿通させることができるため、取付作業における作業効率を向上させることができる。
【0091】
また、分岐部13に、断面方向において異なる方向に延びる複数の枝線12が設けられ、第3分岐部外装体50wは、複数設けられ、断面方向において異なる方向に延びる複数の枝線12同士の間に配置されている。これにより、分岐部13における異なる方向に延びる複数の枝線12の間も保護することができる。
【0092】
また、実施形態1では、半円筒で構成された第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60で構成された分岐部外装体40により分岐部13を保護しているが、例えば一つの第1分岐部外装体50のみで分岐部13を保護してもよい。さらには、図10に示すように、長手方向Lに沿って断面円弧状の弧長が徐々に変化する分岐部外装体40xで分岐部13を保護してもよい。
ここで、図10(a)は分岐部外装体40xで分岐部13を保護する分岐部保護構造1xの概略斜視図を示し、図10(b)は分岐部保護構造1xの平面図を示す。
【0093】
詳述すると、分岐部外装体40xは、断面円弧状に構成された樹脂製のコルゲートチューブであり、両端部分において、弧長が同一半径で構成される円の周長の4分の3の長さを有し、両端から長手方向Lに沿って分岐部13に近づくに伴い断面円弧状の弧長が徐々に短くなるように構成されている。なお、分岐部外装体40xの中央部分での弧長は円の周長の半分の長さを有する。
【0094】
このように構成された分岐部外装体40xは、開放部分が枝線12の延びる方向を向くとともに、両端が一対のメイン外装体20,20の外面に沿うように配置される。これにより、メイン外装体20,20に端部における幹線11をより確実に保護しつつ、枝線12が分岐する分岐部13を保護することができる。
【0095】
また、図11に示すように、長手方向Lに沿って断面円弧状の弧長が長くなる第4分岐部外装体50y及び第5分岐部外装体60yで構成された分岐部外装体40yを用いることで、長手方向Lに沿って並んだ枝線12が交差方向Wの両側に向けて延びる分岐部13を保護してもよい。
なお、図11は分岐部外装体40yで分岐部13を保護する分岐部保護構造1yの概略斜視図を示す。
【0096】
詳述すると、分岐部外装体40yを構成する第4分岐部外装体50yは、長手方向Lの一方側(先端側Lf)の弧長が、メイン外装体20の外径と同じ半径で構成される円の周長の半分の長さを有し、先端側Lfから長手方向Lに沿って基端側Lbに近づくに伴い断面円弧状の弧長が徐々に長くなるように構成されている。なお、第4分岐部外装体50yにおける基端側Lbの端部の弧長は同一半径で構成される円の周長の4分の3の長さを有し、メイン外装体20の外径と同じ内径を有する。
【0097】
また、分岐部外装体40yを構成する第5分岐部外装体60yは、長手方向Lの他方側(基端側Lb)の弧長が第1分岐部外装体50の外径と同じ内径で構成される円の周長の半分の長さを有し、基端側Lbから長手方向Lに沿って先端側Lfに近づくに伴い断面円弧状の弧長が徐々に長くなるように構成されている。第5分岐部外装体60yにおける基端側Lbの端部の弧長は同一半径で構成される円の周長の4分の3の長さを有する。
【0098】
このように構成された第4分岐部外装体50yを、開放部分が先端側Lfで分岐する枝線12の延びる方向に向くとともに、メイン外装体20の外面と一部分が重なり合うように配置する。また、第4分岐部外装体50yと同様に、開放部分が基端側Lbで分岐する枝線12の延びる方向に向くとともに、基端側Lbが第4分岐部外装体50yの外面と先端側Lfがメイン外装体20の外面と一部分が重なり合うように第5分岐部外装体60yを配置する。これにより、第4分岐部外装体50y及び第5分岐部外装体60yの開放部分から枝線12を延出しつつ、分岐部13を保護することができる。
【0099】
この分岐部外装体40x、40yのように、長手方向Lに沿って断面円弧状の弧長が徐々に変化することにより、様々な分岐部13を保護することができる。
すなわち、図10に示すように、一対のメイン外装体20,20の中央付近において枝線12が交差方向Wに延びている場合、分岐部13に向かうに伴い断面円弧状の弧長が長手方向Lに沿って徐々に短くなる分岐部外装体40xを用いることで、枝線12が延びる方向を確実に開放しつつ、一対のメイン外装体20,20の端部周辺における幹線11の外周をより保護することができる。
【0100】
また、図11に示すように、一対のメイン外装体20,20におけるそれぞれの端部付近において、枝線12が交差方向W及び沿って複数に延びている場合、断面円弧状の弧長がメイン外装体20,20に向かうに伴い徐々に短くなる第4分岐部外装体50yと第5分岐部外装体60yを組み合わせて用いることで、一対のメイン外装体20,20の端部周辺において、枝線12が延びる方向を確実に開放しつつ、枝線12同士の間における幹線11の外周を保護することができる。
【0101】
このように、幹線11から枝線12が延びる様々な場合に対応して、枝線12の延びる方向を開放しつつ、幹線11を保護することができる。これにより、幹線11を保護しつつ、枝線12が分岐部外装体40xや分岐部外装体40yと干渉して損傷することを防止できる。
【0102】
さらにまた、図12及び図13に示すように、分岐部外装体40xの代わりに分岐部外装体40zを用いることで、内径が互いに異なるメイン外装体20とメイン外装体20zとの間の分岐部13を保護することができる。
【0103】
ここで、図12は、メイン外装体20zを用いて分岐部13を保護する分岐部保護構造1zの概略斜視図を示す。図13(a)は枝線12の延びる方向から視た分岐部保護構造1zの側面図を示し、図13(b)は図13(a)におけるD-D矢視断面図を示す。
【0104】
詳述すると、図12及び図13に示すように、前記分岐部の前記長手方向の両側の分岐部13の長手方向Lの両側の幹線11を挿通させる一対のメイン外装体20,20zは、先端側Lfに配置されるメイン外装体20zが、メイン外装体20に比べて縮径している。
【0105】
メイン外装体20、20zの間において分岐部13に外装される分岐部外装体40zは、基本構造は第1分岐部外装体50と同じである。この分岐部外装体40zは、内径がメイン外装体20zの外径と等しく、外径がメイン外装体20の内径と等しい円の一部分を長手方向Lに沿って切り欠いて構成された断面円弧状の筒状体である。
【0106】
このように構成された分岐部外装体40zは、図13(a)及び図13(b)に示すように、メイン外装体20、20zの間に配置することにより、基端側Lbがメイン外装体20の内面に沿って配置され、先端側Lfがメイン外装体20zの外面に沿って配置されることとなる。
【0107】
また、分岐部13より長手方向Lの一方側のメイン外装体20,20は他方側のメイン外装体20,20より小さな筒状断面形状であり、分岐部外装体40zの両端部のうち一方側の端部は、メイン外装体20,20の端部の外面に沿って配置され、分岐部外装体40zの両端部のうち他方側の端部は、メイン外装体20,20の端部の内面に沿って配置されている。
【0108】
これにより、分岐部13の長手方向Lの一方側に配置されたメイン外装体20,20と他方側に配置されたメイン外装体20,20との内径及び外径が異なる場合であっても、それぞれのメイン外装体20,20に対して容易に分岐部外装体40zを配置できる。これにより、様々な幹線11の配索経路に対応することができ、設計の自由度が向上する。
【0109】
また、分岐部外装体40zは、一方側のメイン外装体20,20の筒状断面における一部分より大きな相似形断面且つ他方側のメイン外装体20,20の筒状断面における一部分より小さな相似形断面で形成されている。
【0110】
このため、分岐部外装体40zにおける一方側を、長手方向Lの一方側のメイン外装体20,20の外面に対して容易に沿わして配置することができるとともに、分岐部外装体40zにおける他方側を、長手方向Lの他方側のメイン外装体20,20の外面に対して容易に沿わして配置することができる。これにより、容易に分岐部外装体40zを一対のメイン外装体20,20に対して長手方向Lに重なり合うように配置することができる。
【0111】
また、本実施形態において、メイン外装体20,20、第1分岐部外装体50及び第2分岐部外装体60などは樹脂製のコルゲートチューブとしているが、可撓性を有する樹脂チューブなど、他の部材としてもよい。
【0112】
さらにまた、メイン外装体20,20を断面円形状としているが、メイン外装体20,20は断面多角形状としてもよい。
また、第1分岐部外装体50や第2分岐部外装体60をメイン外装体20,20の断面形状と相似形状としているが、メイン外装体20,20の断面形状の一部分と一致する形状としてもよい。この場合、例えば第1分岐部外装体50をメイン外装体20に対して嵌め込むこととなる。
【符号の説明】
【0113】
1,1w,1x,1y,1z 分岐部保護構造
10 ワイヤーハーネス
11 幹線
12 枝線
13 分岐部
20,20z メイン外装体
40,40w,40x,40y,40z 分岐部外装体
50 第1分岐部外装体
50w 第3分岐部外装体
50y 第4分岐部外装体
60 第2分岐部外装体
60y 第5分岐部外装体
L 長手方向
W 交差方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13