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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】配線体の配索構造、及びレールユニット
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20241223BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241223BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20241223BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20241223BHJP
【FI】
H02G11/00
B60R16/02 620A
B60N2/06
B60N2/90
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021055910
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152943
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】川村 幸大
(72)【発明者】
【氏名】山村 円博
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-070136(JP,A)
【文献】特開2016-043902(JP,A)
【文献】特開2006-311700(JP,A)
【文献】特開2013-201877(JP,A)
【文献】特開2007-110819(JP,A)
【文献】特開2014-189190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0370389(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
B60R 16/02
B60N 2/06
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部が車体側電線と電気的に接続され、他方の端部がシート側電線と電気的に接続された配線体を配索して、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して、電気を供給する配線体の配索構造であって、
前記配線体を内部に収容するとともに、前記固定レールとは別体で設けられた収容ケースと、
該収容ケースの外部に引き出される前記配線体を保持する保持部材とが備えられ、
前記収容ケースは、
前記長手方向に沿って開口するとともに、前記収容ケースの内部から前記スライドシートに向かって引き出される前記配線体が通過する開口部が形成され、
前記保持部材は、
前記スライドシートの前記長手方向への進退に追従して、前記開口部を前記長手方向にスライド移動するとともに、前記開口部を介して引き出された前記配線体を保持可能に構成され、
前記収容ケースの前記開口部は、
前記収容ケースにおける水平方向から下方向までのいずれかの向きで開口され、
前記配線体は、
複数の導体が並列配置されるとともに、被覆材で被覆された帯状電線で構成され、
前記帯状電線は、
前記収容ケースの内部において、厚み方向が略鉛直方向となるように配置された
配線体の配索構造。
【請求項2】
前記収容ケースの内部において、金属製の板材が前記帯状電線に沿って配置された
請求項1に記載の配線体の配索構造。
【請求項3】
前記収容ケースの内部において、前記金属製の板材は、前記帯状電線に対して、前記開口部がある側に沿って配置された
請求項2に記載の配線体の配索構造。
【請求項4】
前記収容ケースの内部において、前記金属製の板材は、前記帯状電線に対して、前記開口部がある側と反対側に沿って配置された
請求項2または請求項3に記載の配線体の配索構造。
【請求項5】
前記帯状電線を囲繞する保護チューブが設けられた
請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の配線体の配索構造。
【請求項6】
前記保持部材は、
前記配線体における前記開口部を通過する通過部分を保護する保護部が設けられた
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載の配線体の配索構造。
【請求項7】
前記開口部に対する前記保護部のスライド移動をガイドするガイド機構部が設けられた
請求項6に記載の配線体の配索構造。
【請求項8】
前記保持部材は、
前記収容ケースの内部において、前記保護部に突設されるとともに、前記開口部からの前記保護部の抜け出しを防止する抜け防止部が設けられた
請求項6または請求項7に記載の配線体の配索構造。
【請求項9】
前記開口部は、前記収容ケースにおいて水平方向に開口された
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載の配線体の配索構造。
【請求項10】
前記開口部は、前記収容ケースにおいて下方向に開口された
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載の配線体の配索構造。
【請求項11】
前記配線体の余長部分を格納し、前記保持部材の前記長手方向へのスライド移動に追従して、前記収容ケースに対して前記配線体を繰り出しあるいは引き入れする余長格納部が設けられた
請求項1乃至請求項10のうちいずれかに記載の配線体の配索構造。
【請求項12】
車体に固定され、スライドシートを長手方向に沿って進退可能にスライド支持する固定レールと、
一方の端部が車体側電線と電気的に接続され、他方の端部がシート側電線と電気的に接続され、前記スライドシートに対して電気を供給する配線体と、
前記配線体を内部に収容するとともに、前記固定レールとは別体で設けられた収容ケースと、
該収容ケースの外部に引き出される前記配線体を保持する保持部材とが備えられ、
前記収容ケースは、
前記長手方向に沿って開口するとともに、前記収容ケースの内部から前記スライドシートに向かって引き出される前記配線体が通過する開口部が形成され、
前記保持部材は、
前記スライドシートの前記長手方向への進退に追従して、前記開口部を前記長手方向にスライド移動するとともに、前記開口部を介して引き出された前記配線体を保持可能に構成され、
前記収容ケースの前記開口部は、
前記収容ケースにおける水平方向から下方向までのいずれかの向きで開口され、
前記配線体は、
複数の導体が並列配置されるとともに、被覆材で被覆された帯状電線で構成され、
前記帯状電線は、
前記収容ケースの内部において、厚み方向が略鉛直方向となるように配置された
レールユニット。
【請求項13】
前記配線体の余長部分を格納し、前記保持部材の前記長手方向へのスライド移動に追従して、前記収容ケースに対して前記配線体を繰り出しあるいは引き入れする余長格納部が設けられた
請求項12に記載のレールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車などの車両において、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して配索して給電するフレキシブルフラットケーブルなどの配線体の配索構造、及びレールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、自動車などの車両は、例えばスライドシートの電動化や、スライドシートへの電装品の装着により、スライドシートに対して車体側から電気を供給している。
例えば、特許文献1には、車体に固定された固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシート側に設けたシート側電線と、車体側に設けた車体側電線とを、配線体(フレキシブルフラットケーブル)で接続した給電装置が開示されている。
【0003】
具体的には、特許文献1の配線体は、一端が固定レールの端部に固定され、他端がスライダに連結されたケーブル巻取り装置に固定されている。そして、特許文献1の配線体は、ケーブル巻取り装置の内部で螺旋状に巻き回した状態で収容され、スライドシートの進退に追従して、固定レールの内部へ引き出される、あるいはケーブル巻取り装置の内部に巻き取られている。
【0004】
ところで、固定レールのスリットは、スライダが進退可能な幅広に開口されているため、上方からの異物の侵入口となり易い。このため、特許文献1では、スライドシートが進退した際、固定レールの内部において、配線体が異物と摺動して損傷するおそれがあった。あるいは、配線体とともに、異物がケーブル巻取り装置の内部に巻き取られることで、ケーブル巻取り装置の内部で配線体が損傷するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2019/188811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑み、スライドシートの進退に伴う配線体の損傷を防止できる配線体の配索構造及びレールユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、一方の端部が車体側電線と電気的に接続され、他方の端部がシート側電線と電気的に接続された配線体を配索して、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して、電気を供給する配線体の配索構造であって、前記配線体を内部に収容するとともに、前記固定レールとは別体で設けられた収容ケースと、該収容ケースの外部に引き出される前記配線体を保持する保持部材とが備えられ、前記収容ケースは、前記長手方向に沿って開口するとともに、前記収容ケースの内部から前記スライドシートに向かって引き出される前記配線体が通過する開口部が形成され、前記保持部材は、前記スライドシートの前記長手方向への進退に追従して、前記開口部を前記長手方向にスライド移動するとともに、前記開口部を介して引き出された前記配線体を保持可能に構成され、前記収容ケースの前記開口部は、前記収容ケースにおける水平方向から下方向までのいずれかの向きで開口され、前記配線体は、複数の導体が並列配置されるとともに、被覆材で被覆された帯状電線で構成され、前記帯状電線は、前記収容ケースの内部において、厚み方向が略鉛直方向となるように配置されたことを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、車体に固定され、スライドシートを長手方向に沿って進退可能にスライド支持する固定レールと、一方の端部が車体側電線と電気的に接続され、他方の端部がシート側電線と電気的に接続され、前記スライドシートに対して電気を供給する配線体と、前記配線体を内部に収容するとともに、前記固定レールとは別体で設けられた収容ケースと、該収容ケースの外部に引き出される前記配線体を保持する保持部材とが備えられ、前記収容ケースは、前記長手方向に沿って開口するとともに、前記収容ケースの内部から前記スライドシートに向かって引き出される前記配線体が通過する開口部が形成され、前記保持部材は、前記スライドシートの前記長手方向への進退に追従して、前記開口部を前記長手方向にスライド移動するとともに、前記開口部を介して引き出された前記配線体を保持可能に構成され、前記収容ケースの前記開口部は、前記収容ケースにおける水平方向から下方向までのいずれかの向きで開口され、前記配線体は、複数の導体が並列配置されるとともに、被覆材で被覆された帯状電線で構成され、前記帯状電線は、前記収容ケースの内部において、厚み方向が略鉛直方向となるように配置されたレールユニットであることを特徴とする。
【0009】
上記配線体は、例えばフレキシブルフラットケーブルのような帯状電線、導体を絶縁被覆で被覆した電線、あるいは複数の電線で構成されたワイヤーハーネスなどのことをいう。
【0010】
上記帯状電線は、並置された複数の導体が絶縁シートで挟み込まれたフレキシブルフラットケーブル、あるいは断面丸形の被覆電線が複数並置されたフラットケーブルやリボンケーブルなどのことをいう。
【0011】
この発明によれば、配線体の配索構造及びレールユニットは、スライドシートの進退に伴う配線体の損傷を防止することができる。
具体的には、配線体が収容される収容ケースが固定レールとは別体で設けられているため、配線体の配索構造及びレールユニットは、スライドシートを支持するスライダ、及び保持部材がともにスライド移動する開口に比べて、収容ケースの開口部を幅狭にすることができる。
【0012】
さらに、収容ケースの開口部が、水平方向から下方向までのいずれかの向きで開口されているため、配線体の配索構造及びレールユニットは、例えば開口部が上方向へ向けて開口されている場合に比べて、上方からの収容ケースの内部への異物の侵入を抑制することができる。
これにより、配線体の配索構造及びレールユニットは、収容ケースの内部において、配線体と異物とが摺動することを抑えられるため、スライドシートの進退に伴う配線体の損傷を防止することができる。
【0013】
また、前記配線体は、複数の導体が並列配置されるとともに、被覆材で被覆された帯状電線で構成されている。
この構成によれば、配線体の配索構造は、例えば導体が同数となるように断面丸形の電線を束ねたワイヤーハーネスなどに比べて、厚み方向の屈曲性に優れた帯状電線で配線体を構成することができる。このため、配線体の配索構造は、ワイヤーハーネスなどに比べて小さい曲げ半径で帯状電線を曲げることができる。これにより、配線体の配索構造は、収容ケースの外部で帯状電線が曲げられる場合であっても、帯状電線を保持する保持部材をコンパクトにすることができる。
【0014】
さらにまた、前記帯状電線は、前記収容ケースの内部において、厚み方向が略鉛直方向となるように配置されている。
この構成によれば、配線体の配索構造は、鉛直方向における収容ケースの長さを抑えることができる。このため、配線体の配索構造は、複数の帯状電線を厚み方向に積層して収容ケースに収容する場合であっても、収容ケースの大型化を抑制することができる。
【0015】
この発明の態様として、前記保持部材は、前記配線体における前記開口部を通過する通過部分を保護する保護部が設けられてもよい。
この構成によれば、配線体の配索構造は、開口部の縁端と配線体との接触を保持部材の保護部によって阻止することができる。このため、配線体の配索構造は、保持部材がスライド移動した際、配線体と開口部の縁端とが摺動することによる配線体の損傷を防止することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記開口部に対する前記保護部のスライド移動をガイドするガイド機構部が設けられてもよい。
この構成によれば、配線体の配索構造は、長手方向に沿った保持部材のスライド移動をガイド機構部によって案内することができる。
【0017】
この際、開口部の開口方向に対して保持部材が傾きながらスライド移動することを、ガイド機構部によって抑制できるため、配線体の配索構造は、スライドシートの進退に追従して、保持部材をスムーズにスライド移動させることができる。
【0018】
これにより、配線体の配索構造は、収容ケースの内部において、例えば配線体の摺動が阻害され、配線体が意図せず折れ曲がることを防止できる。このため、配線体の配索構造は、スライドシートの進退に伴う配線体の損傷をより防止することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記保持部材は、前記収容ケースの内部において、前記保護部に突設されるとともに、前記開口部からの前記保護部の抜け出しを防止する抜け防止部が設けられてもよい。
【0020】
この構成によれば、配線体の配索構造は、収容ケースの開口部から保持部材が脱落することを、保護部に設けた抜け防止部によって阻止できる。このため、配線体の配索構造は、保持部材の脱落によって、配線体が折れ曲がるなどして損傷することを防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記開口部は、前記収容ケースにおいて水平方向に開口されてもよい。
この構成によれば、配線体の配索構造は、開口部を下方向に向けて開口した場合に比べて、収容ケースの内部からスライドシートへ向けて引き出される配線体の長さを短くすることができる。これにより、配線体の配索構造は、長手方向から見た保持部材の形状を簡素な形状にできるため、保持部材の大型化を抑制することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記開口部は、前記収容ケースにおいて下方向に開口されてもよい。
この構成によれば、配線体の配索構造は、上方からの収容ケースの内部への異物の侵入をより確実に防止することができる。
【0023】
さらに、収容ケースの内部に異物が侵入した場合であっても、配線体の配索構造は、開口部を介して、異物を収容ケースの外部へ排出することができる。
これにより、配線体の配索構造は、収容ケースの内部で配線体と異物とが摺動することを阻止できるため、スライドシートの進退に伴う配線体の損傷をより抑えることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記帯状電線は、前記収容ケースの内部において、厚み方向が略水平方向となるように配置されてもよい。
この構成によれば、配線体の配索構造は、水平方向における収容ケースの長さを抑えることができる。このため、配線体の配索構造は、複数の帯状電線を厚み方向に積層して収容ケースに収容する場合であっても、収容ケースの大型化を抑制することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記収容ケースの内部において、金属製の板材が前記帯状電線に沿って配置されてもよい。
上記金属製の板材は、例えばステンレス製のバネ鋼材を、帯状電線よりも薄い厚みで板状に形成した板材などのことをいう。
【0026】
この構成によれば、配線体の配索構造は、収容ケースの内部において、帯状電線を金属製の板材で保護できるため、異物との接触による帯状電線の損傷を防止することができる。
【0027】
さらに、配線体の配索構造は、収容ケースの内部において、帯状電線を金属製の板材で支持できるため、保持部材がスライド移動した際、保持部材からの押圧荷重で帯状電線が変形することを抑えられる。これにより、配線体の配索構造は、変形による帯状電線の損傷を防止することができる。
【0028】
加えて、例えば収容ケースに連結した格納部に、帯状電線の余長部分を湾曲した状態で格納した場合、配線体の配索構造は、余長部分の湾曲した部分に金属製の板材の反発力を付与することができる。
【0029】
このため、配線体の配索構造は、例えば余長部分を格納する格納部の内部において、保持部材のスライド移動に伴う荷重が帯状電線に加わった場合であっても、帯状電線の所望される配索状態を維持することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記収容ケースの内部において、前記金属製の板材は、前記帯状電線に対して、前記開口部がある側に沿って配置されてもよい。
この構成によれば、配線体の配索構造は、開口部を介して侵入した異物が、帯状電線に直接的に接触することを防止できる。さらに、収容ケースの内面と帯状電線との間に金属製の板材が介在するため、配線体の配索構造は、収容ケースの内面との摺動による帯状電線の損傷を防止することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記収容ケースの内部において、前記金属製の板材は、前記帯状電線に対して、前記開口部がある側と反対側に沿って配置されてもよい。
この構成によれば、収容ケースの内面と帯状電線との間に金属製の板材が介在するため、配線体の配索構造は、収容ケースの内面との摺動による帯状電線の損傷を防止することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記帯状電線を囲繞する保護チューブが設けられてもよい。
この構成によれば、配線体の配索構造は、帯状電線を保護チューブで保護することができる。このため、配線体の配索構造は、異物の接触による帯状電線の損傷を確実に防止することができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記配線体の余長部分を格納し、前記保持部材の前記長手方向へのスライド移動に追従して、前記収容ケースに対して前記配線体を繰り出しあるいは引き入れする余長格納部が設けられてもよい。
【0034】
この構成によれば、配線体の余長部分を収容するスペースを収容ケースの内部に設けることを不要にできるため、配線体の配索構造及びレールユニットは、収容ケースの小型化を図ることができる。
【0035】
さらに、配線体の配索構造及びレールユニットは、余長格納部に配線体の余長部分を収容できるため、配線体の余長部分が外部に露出することを防止できる。このため、配線体の配索構造及びレールユニットは、配線体の余長部分が異物との接触によって損傷することを防止できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明により、スライドシートの進退に伴う配線体の損傷を防止できる配線体の配索構造及びレールユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】レールユニットの概略を説明する説明図。
図2】レールユニットの外観を平面視で示す平面図。
図3図2中のA-A矢視断面図。
図4】前方上方視における給電装置の外観を示す外観斜視図。
図5】幅方向に沿った縦断面におけるケーブル配索体の断面を示す断面図。
図6】ケーブル配索体の引出部分の外観を示す外観斜視図。
図7図3中における要部の拡大断面を示す拡大断面図。
図8】実施例2における収容ケース及び保持部材の断面を示す断面図。
図9】別の実施例における収容ケース及び保持部材の概略を説明する説明図。
図10】別の実施例における給電装置の概略を説明する説明図。
図11】別の実施例における余長格納部の概略を平面視で説明する説明図。
図12】別の実施例における給電装置の概略を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0039】
実施例1は、自動車などの車両において、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して配索して給電するレールユニット1について、図1から図7を用いて説明する。
【0040】
なお、図1はレールユニット1の概略を説明する説明図を示し、図2はレールユニット1の平面図を示し、図3図2中のA-A矢視断面図を示し、図4は前方上方視における給電装置5の外観を示す外観斜視図を示している。
【0041】
さらに、図5は幅方向Yに沿った縦断面におけるケーブル配索体11の断面図を示し、図6はケーブル配索体11の引出部分11cの外観斜視図を示し、図7図3中における要部(B部)の拡大断面図を示している。
また、図示を明確にするため、図2及び図3中において、シート側電線接続部12の図示を省略している。
【0042】
また、図1中の上側を給電装置5の上方側、図1中の下側を給電装置5の下方側として、図中の矢印Xは固定レール2の長手方向となる前後方向(以降、前後方向Xと呼ぶ)を示し、矢印Yは前後方向Xに平面視直交する方向(以降、幅方向Yと呼ぶ)を示している。
【0043】
さらに、前後方向Xにおいて、図1中の右側から左側へ向かう方向を前方とし、図1中の左側から右側へ向かう方向を後方とする。加えて、幅方向Yから見た状態を側面視として説明する。
【0044】
まず、レールユニット1は、図1に示すように、前後方向Xに延びるとともに、車両の車体に固定された左右一対の固定レール2と、固定レール2を摺動する左右一対のスライダ3と、左右のスライダ3に支持されて前後方向Xに進退可能なスライドシート4とを備えている。
【0045】
さらに、レールユニット1は、図1に示すように、固定レール2の長手方向、すなわち前後方向Xに沿って進退可能にスライド支持されたスライドシート4に対して、電気を給電する給電装置5を備えている。
【0046】
具体的には、一対の固定レール2は、図1に示すように、幅方向Yに所定間隔を隔てて配置されるとともに、支持ブラケット(図示省略)を介して車両の車体に固定されている。
この固定レール2は、図2及び図3に示すように、幅方向Yに沿った縦断面において、断面略矩形の上面における幅方向Yの中央が開口した開断面形状に形成されている。
【0047】
より詳しくは、固定レール2は、図3に示すように、平板状の底面部2aと、幅方向Yにおける底面部2aの両端から上方へ立設した一対の外側面部2bとが一体形成されている。
さらに、固定レール2は、図3に示すように、幅方向Yの略中央近傍へ向けて外側面部2bの上端から延設した上面部2cと、上面部2cから下方へ垂設した内側面部2dとが一体形成されている。
【0048】
このような構成のため、固定レール2には、図3に示すように、幅方向Yの略中央に前後方向Xに延びるスリットが、一対の内側面部2dによって形成されている。
また、スライダ3は、前後方向Xに延びる固定レール2のスリットを、前後方向Xに沿って摺動可能に構成されている。
【0049】
また、スライドシート4は、スライダ3の上部に固定され、スライダ3と一体的に前後方向Xにスライド移動可能に配置されている。このスライドシート4には、例えば電気で操作するシートリフター機構及びリクライニング機構、あるいはシートヒータなどの電装機器が内蔵されている。
【0050】
また、給電装置5は、図1に示すように、一方の端部が車体側ワイヤーハーネス6と電気的に接続され、他方の端部がシート側ワイヤーハーネス7と電気的に接続され、スライダ3のスライド移動に追従しながらスライドシート4に対して電気を供給可能に構成されている。
【0051】
なお、車体側ワイヤーハーネス6及びシート側ワイヤーハーネス7は、車体側ワイヤーハーネス6が例えば車両のバッテリや制御装置に接続され、シート側ワイヤーハーネス7がスライドシート4に設けた電装機器に接続されている。
【0052】
詳述すると、給電装置5は、図2及び図4に示すように、車体側ワイヤーハーネス6をシート側ワイヤーハーネス7に接続する第1コネクタ8、第1ワイヤーハーネス9、車体側電線接続部10、ケーブル配索体11、シート側電線接続部12、第2ワイヤーハーネス13、及び第2コネクタ14を備えている。
【0053】
さらに、給電装置5は、図2及び図4に示すように、固定レール2とは別体で設けられるとともに、内部にケーブル配索体11を収容する余長格納部15及び収容ケース16と、ケーブル配索体11を保持するとともに、スライダ3に連結される保持部材17とを備えている。
【0054】
第1ワイヤーハーネス9は、図4に示すように、一端側が第1コネクタ8を介して、車体側ワイヤーハーネス6に接続され、他端側が車体側電線接続部10に接続されている。この第1ワイヤーハーネス9は、導体を絶縁被覆で被覆した断面丸型の被覆電線を複数本束ねて構成されている。
【0055】
また、車体側電線接続部10は、図4に示すように、余長格納部15の上面に保持固定され、余長格納部15の内部から引き出されたケーブル配索体11と第1ワイヤーハーネス9とを電気的に接続している。
【0056】
なお、詳細な図示を省略するが、車体側電線接続部10は、ケーブル配索体11を構成するフレキシブルフラットケーブル111に第1ワイヤーハーネス9を接続する複数の接続端子と、接続端子を収容保持する複数の端子ホルダと、余長格納部15に固定した端子ホルダを覆う接続部カバーとで構成されている。
【0057】
また、ケーブル配索体11は、一端が固定された車体側電線接続部10を介して第1ワイヤーハーネス9に接続され、他端がシート側電線接続部12を介して第2ワイヤーハーネス13に接続されている。
【0058】
このケーブル配索体11は、図2に示すように、前後方向Xへの保持部材17のスライド移動に追従できるように、余長格納部15から引き出されて収容ケース16の内部に配索される本体部分11aと、湾曲した状態で余長格納部15の内部に格納される余長部分11bとで構成されている。
【0059】
具合的には、ケーブル配索体11は、図5に示すように、複数のフレキシブルフラットケーブル111と、フレキシブルフラットケーブル111に沿って配置された2枚の金属製の薄板材112と、これらを囲繞するメッシュチューブ113とで構成されている。
【0060】
なお、複数のフレキシブルフラットケーブル111は、図5及び図6に示すように、例えば6枚一組で構成され、2枚の薄板材112とともに、フレキシブルフラットケーブル111の厚み方向に積層された状態で、粘着テープ114(図6参照)によって束ねられている。
【0061】
より詳しくは、フレキシブルフラットケーブル111は、所定方向に延びる断面略矩形の平角導体を並置するとともに、並置された複数の平角導体を絶縁シートであるラミネートシートで挟み込んで形成されている。
【0062】
このフレキシブルフラットケーブル111は、金属製の薄板材112及びメッシュチューブ113よりも長く、かつ収容ケース16からスライドシート4へ向けて引き出される引出部分11cを構成可能な長さに形成されている。
【0063】
金属製の薄板材112は、フレキシブルフラットケーブル111よりも硬く、かつ弾性を有する金属製板材、例えば錆びにくいステンレス製のバネ鋼材などで形成されている。この薄板材112は、フレキシブルフラットケーブル111の厚みよりも薄い帯状体に形成されている。
【0064】
そして、2枚の薄板材112は、図5に示すように、厚み方向に積層されたフレキシブルフラットケーブル111を挟むように厚み方向に対向配置されるとともに、粘着体(図示省略)を用いてフレキシブルフラットケーブル111に積層されている。
【0065】
メッシュチューブ113は、プラスチック繊維をメッシュ構造に編み込んで、伸縮性を有する筒状体に形成している。このメッシュチューブ113の内部には、厚み方向に積層されたフレキシブルフラットケーブル111及び薄板材112が挿通されている。
【0066】
このようなケーブル配索体11は、図5に示すように、フレキシブルフラットケーブル111の厚み方向が幅方向Yに一致するようにして、余長格納部15及び収容ケース16の内部に収容されている。
具体的には、ケーブル配索体11は、図5に示すように、収容ケース16の内部において、2枚の薄板材112がそれぞれ、収容ケース16の開口(後述する収容ケース16の開口部16a)側と、収容ケース16の開口とは逆側とに位置するように配索されている。
【0067】
さらに、ケーブル配索体11は、図2に示すように、車体側電線接続部10から後方へ向けて突出した平面視略U字状の状態で、後述する余長格納部15の内部に配索されている。
【0068】
より詳しくは、ケーブル配索体11は、図2に示すように、余長格納部15の内部において、車体側電線接続部10から後方へ向けて、前後方向Xに略平行に配索されたのち、幅方向Yの一方側へ曲げ返されて反転している。
【0069】
さらに、ケーブル配索体11は、図2に示すように、反転した部分から前方へ向けて前後方向Xに略平行に配索されたのち、余長格納部15の前部において、余長格納部15の内面に沿うように幅方向Yの他方側へ曲げ返されている。
【0070】
その後、ケーブル配索体11は、幅方向Yの他方側へ曲げ返された部分から後方へ向けて前後方向Xに略平行に配索するとともに、余長格納部15の内部から収容ケース16の内部へ導出されている。
【0071】
そして、ケーブル配索体11は、収容ケース16の内部から後述する開口部16aを介して、スライドシート4へ向けて引き出されて、シート側電線接続部12に接続されている。
この収容ケース16の内部からスライドシート4へ向けて引き出される引出部分11cは、図6に示すように、前後方向Xに沿って配索された本体部分11aに対して、幅方向Yから見て前後方向Xに直交する方向である下方側へ向けて、フレキシブルフラットケーブル111を折り曲げて形成している。
【0072】
また、シート側電線接続部12は、図4に示すように、保持部材17の上部に保持固定され、収容ケース16の内部から引き出されたケーブル配索体11と第2ワイヤーハーネス13とを電気的に接続している。
【0073】
なお、詳細な図示を省略するが、シート側電線接続部12は、ケーブル配索体11のフレキシブルフラットケーブル111に第1ワイヤーハーネス9を接続する複数の接続端子と、接続端子を収容保持する複数の端子ホルダと、保持部材17に固定した端子ホルダを覆う接続部カバーとで構成されている。
【0074】
また、第2ワイヤーハーネス13は、図4に示すように、一端側がシート側電線接続部12に接続され、他端側が第2コネクタ14を介してシート側ワイヤーハーネス7に接続されている。この第2ワイヤーハーネス13は、導体を絶縁被覆で被覆した断面丸型の被覆電線を複数本束ねて構成されている。
【0075】
また、余長格納部15は、図2に示すように、収容ケース16に収まらないケーブル配索体11の余長部分11bを格納し、保持部材17の前後方向Xへのスライド移動に追従して、収容ケース16に対してケーブル配索体11を繰り出す、あるいは引き入れ可能に構成されている。
【0076】
この余長格納部15は、図4に示すように、上下方向に厚みを有する内部中空の箱状であって、前後方向Xに長い平面視略長楕円形状に形成されている。さらに、余長格納部15は、固定レール2の幅方向Yの一方側に隣接して配置され、図示を省略した支持ブラケットを介して車体に固定されている。
【0077】
なお、詳細な図示を省略するが、余長格納部15は、厚み方向を幅方向Yに一致させたケーブル配索体11を平面視略U字状に配索した状態で収容するケースを備えている。さらに、余長格納部15は、ケース内部に、車体側電線接続部10近傍におけるケーブル配索体11の端部を保持する保持部と、収容ケース16へのケーブル配索体11の繰り出し及び引き入れを案内する案内部などを有している。
【0078】
また、収容ケース16は、図2に示すように、余長格納部15から導入されたケーブル配索体11を前後方向Xに沿って配索可能に形成されている。この収容ケース16は、図2から図4に示すように、固定レール2と余長格納部15との間に配置されるとともに、その前端が余長格納部15の前部に連結されている。なお、収容ケース16は、図示を省略した支持ブラケットを介して車体に固定されている。
【0079】
詳述すると、収容ケース16は、図2に示すように、前後方向Xに長い平面視略矩形の筒状体であって、余長格納部15から繰り出された、あるいは余長格納部15に引き入れられるケーブル配索体11を、前後方向Xに沿って収容可能に形成されている。
【0080】
この収容ケース16は、図3及び図4に示すように、固定レール2と余長格納部15との間において、前後方向Xに延びる開断面形状のケース本体161と、ケース本体161の後端の開口を閉塞する後端閉塞部材162とで構成されている。
【0081】
ケース本体161は、図3に示すように、幅方向Yに沿った縦断面において、上下方向で対向する底面部161a及び上面部161bと、余長格納部15に隣接する第1側壁部161cと、幅方向Yで第1側壁部161cに対向する第2側壁部161d及びガイド壁部161eとで、上下方向に長い断面略矩形に形成されている。
【0082】
さらに、ケース本体161には、図3に示すように、収容ケース16の内部からスライドシート4に向かって引き出されるケーブル配索体11の引出部分11cが通過する開口部16aが開口形成されている。
【0083】
具体的には、底面部161aは、図3に示すように、ケース本体161の底部となる部分であって、上下方向に厚みを有する略平坦な平板状に形成されている。この底面部161aは、図3に示すように、固定レール2の底面部2aに略同じ上下方向の位置に配置されている。
【0084】
上面部161bは、図3に示すように、ケース本体161の天板となる部分であって、上下方向に厚みを有する平板状に形成されている。この上面部161bは、図3に示すように、内部に収容されたフレキシブルフラットケーブル111の上下方向の長さ(フレキシブルフラットケーブル111の幅)よりも長い上下方向の間隔を隔てた位置に形成されている。
【0085】
第1側壁部161cは、図3に示すように、余長格納部15に隣接するケース本体161の側面となる部分であって、幅方向Yの一方側における底面部161aの縁端と上面部161bの縁端とを連結する平板状に形成されている。
【0086】
第2側壁部161d及びガイド壁部161eは、図3及び図7に示すように、固定レール2に隣接するケース本体161の側面となる部分である。この第2側壁部161d及びガイド壁部161eは、第2側壁部161dの下端とガイド壁部161eの上端とが、後述する保持部材17の保護部17aよりも僅かに長い上下方向の間隔を隔てるように形成されている。
【0087】
より詳しくは、第2側壁部161dは、図3に示すように、幅方向Yの他方側における上面部161bの縁端から下方へ向けて垂設された平板状に形成されている。なお、第2側壁部161dは、第1側壁部161cよりも短い上下方向の長さに形成されている。
【0088】
ガイド壁部161eは、図3及び図7に示すように、第2側壁部161dの下端に対して下方に所定間隔を隔てた位置に、上端が位置する上下方向の長さで、幅方向Yの他方側における底面部161aの縁端から上方へ向けて立設されている。
【0089】
このガイド壁部161eは、図7に示すように、後述する保持部材17のガイド溝部17dとで、保持部材17の前後方向Xへのスライド移動を案内するガイド機構部18を構成している。
【0090】
開口部16aは、図3及び図7に示すように、第2側壁部161dの下端とガイド壁部161eの上端との間で形成されている。換言すると、開口部16aは、固定レール2に隣接する第2側壁部161dの下部に、幅方向Y(水平方向)へ向けて開口形成されている。
なお、開口部16aは、ケース本体161の前端から後端に至る前後方向Xの長さで形成されている。
【0091】
一方、後端閉塞部材162は、図4に示すように、ケース本体161の後端における前後方向Xの開口を閉塞するように、ケース本体161の後端に装着されている。この後端閉塞部材162は、開口部16aを後方へ向けて移動する保持部材17の脱落を阻止するとともに、ケース本体161の後端からの異物の侵入を阻止している。
【0092】
また、保持部材17は、図3及び図4に示すように、スライドシート4の前後方向Xの進退に追従して、収容ケース16の開口部16aを前後方向Xにスライド移動するとともに、開口部16aを介して引き出したケーブル配索体11の引出部分11cを保持可能に形成されている。
【0093】
この保持部材17は、図3に示すように、収容ケース16の開口部16aを貫通する保護部17aと、固定レール2と収容ケース16との間を上下方向に延びる保持本体17bとで正面視略L字状に形成されている。
【0094】
具体的には、保護部17aは、図3及び図7に示すように、開口部16aを通過するケーブル配索体11の通過部分を保護する部分であって、収容ケース16の内部から開口部16aを通って幅方向Yの他方側に延びる内部中空の柱状体に形成されている。
なお、保護部17aは、固定レール2のスリットにおける幅方向Yの長さよりも短い上下方向の長さに形成されている。
【0095】
この保護部17aは、図3に示すように、収容ケース16の内部において、前後方向Xに沿って配索されたケーブル配索体11と、収容ケース16の第2側壁部161dとの間に幅方向Yの一端が位置するように配置されている。
【0096】
一方、保持本体17bは、図3に示すように、固定レール2と収容ケース16との間において、幅方向Yの他方側における保護部17aの端部から上方へ向けて延びるとともに、保護部17aの内部空間に連通する内部中空の柱状体に形成されている。
【0097】
この保護部17aの内部空間及び保持本体17bの内部空間は、開口部16aを通過してスライドシート4へ向かうケーブル配索体11の引出部分11cが配索される部分として形成されている。
そして、保持部材17は、内部に配索されたケーブル配索体11の引出部分11cを、適宜の手段で保持している。
【0098】
このような保持部材17には、図7に示すように、収容ケース16の開口部16aからの保護部17aの抜け出しを防止する抜け防止部17cと、収容ケース16のガイド壁部161eが遊嵌するガイド機構部18をなすガイド溝部17dとが設けられている。
【0099】
具体的には、抜け防止部17cは、図7に示すように、収容ケース16の内部において、保護部17aの上面から上方へ向けて立設された平板状に形成されている。この抜け防止部17cは、収容ケース16の内部において、第2側壁部161dに近接する位置に立設されている。
【0100】
ガイド溝部17dは、図7に示すように、保護部17aの下面を上方へ向けて凹設されるとともに、収容ケース16のガイド壁部161eが遊嵌可能な溝形状に形成されている。このガイド溝部17dは、収容ケース16のガイド壁部161eとで、保持部材17の前後方向Xへのスライド移動を案内するガイド機構部18を構成している。
【0101】
以上のように、実施例1におけるケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、車体に固定され、スライドシート4を長手方向に沿って進退可能にスライド支持する固定レール2を備えている。
【0102】
さらに、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、一方の端部が車体側ワイヤーハーネス6と電気的に接続され、他方の端部がシート側ワイヤーハーネス7と電気的に接続され、スライドシート4に対して電気を供給するケーブル配索体11を備えている。
【0103】
このケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、ケーブル配索体11を内部に収容するとともに、固定レール2とは別体で設けられた収容ケース16と、収容ケース16の外部に引き出されるケーブル配索体11を保持する保持部材17とが備えられている。
【0104】
さらに、収容ケース16は、長手方向に沿って開口するとともに、収容ケース16の内部からスライドシート4に向かって引き出されるケーブル配索体11が通過する開口部16aが形成されたものである。
【0105】
加えて、保持部材17は、スライドシート4の長手方向への進退に追従して、開口部16aを長手方向にスライド移動するとともに、開口部16aを介して引き出されたケーブル配索体11を保持可能に構成されたものである。
【0106】
そして、収容ケース16の開口部16aは、収容ケース16における水平方向から下方向までのいずれかの向きで開口されたものである。
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、スライドシート4の進退に伴うケーブル配索体11の損傷を防止することができる。
【0107】
具体的には、ケーブル配索体11が収容される収容ケース16が固定レール2とは別体で設けられているため、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、スライドシート4を支持するスライダ3、及び保持部材17がともにスライド移動する開口部に比べて、収容ケース16の開口部16aを幅狭にすることができる。
【0108】
さらに、収容ケース16の開口部16aが、水平方向から下方向までのいずれかの向きで開口されているため、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、例えば開口部16aが上方向へ向けて開口されている場合に比べて、上方からの収容ケース16の内部への異物の侵入を抑制することができる。
【0109】
これにより、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、収容ケース16の内部において、ケーブル配索体11と異物とが摺動することを抑えられるため、スライドシート4の進退に伴うケーブル配索体11の損傷を防止することができる。
【0110】
また、保持部材17は、ケーブル配索体11における開口部16aを通過する通過部分を保護する保護部17aが設けられたものである。
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造は、開口部16aの縁端とケーブル配索体11との接触を保持部材17の保護部17aによって阻止することができる。
【0111】
このため、ケーブル配索体11の配索構造は、保持部材17がスライド移動した際、ケーブル配索体11と開口部16aの縁端とが摺動することによるケーブル配索体11の損傷を防止することができる。
【0112】
また、ケーブル配索体11の配索構造は、開口部16aに対する保護部17aのスライド移動をガイドするガイド機構部18が設けられたものである。
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造は、長手方向に沿った保持部材17のスライド移動をガイド機構部18によって案内することができる。
【0113】
この際、開口部16aの開口方向に対して保持部材17が傾きながらスライド移動することを、ガイド機構部18によって抑制できるため、ケーブル配索体11の配索構造は、スライドシート4の進退に追従して、保持部材17をスムーズにスライド移動させることができる。
【0114】
これにより、ケーブル配索体11の配索構造は、収容ケース16の内部において、例えばケーブル配索体11の摺動が阻害され、ケーブル配索体11が意図せず折れ曲がることを防止できる。このため、ケーブル配索体11の配索構造は、スライドシート4の進退に伴うケーブル配索体11の損傷をより防止することができる。
【0115】
また、保持部材17は、収容ケース16の内部において、保護部17aに突設されるとともに、開口部16aからの保護部17aの抜け出しを防止する抜け防止部17cが設けられたものである。
【0116】
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造は、収容ケース16の開口部16aから保持部材17が脱落することを、保護部17aに設けた抜け防止部17cによって阻止できる。このため、ケーブル配索体11の配索構造は、保持部材17の脱落によって、ケーブル配索体11が折れ曲がるなどして損傷することを防止できる。
【0117】
また、開口部16aは、収容ケース16において水平方向に開口されたものである。
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造は、開口部16aを下方向に向けて開口した場合に比べて、収容ケース16の内部からスライドシート4へ向けて引き出されるケーブル配索体11の長さを短くすることができる。これにより、ケーブル配索体11の配索構造は、長手方向から見た保持部材17の形状を簡素な形状にできるため、保持部材17の大型化を抑制することができる。
【0118】
また、ケーブル配索体11は、複数の導体が並列配置されるとともに、被覆材で被覆されたフレキシブルフラットケーブル111で構成されたものである。
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造は、例えば導体が同数となるように断面丸形の電線を束ねたワイヤーハーネスなどに比べて、厚み方向の屈曲性に優れたフレキシブルフラットケーブル111でケーブル配索体11を構成することができる。
【0119】
このため、ケーブル配索体11の配索構造は、ワイヤーハーネスなどに比べて小さい曲げ半径でフレキシブルフラットケーブル111を曲げることができる。
これにより、ケーブル配索体11の配索構造は、収容ケース16の外部でフレキシブルフラットケーブル111が曲げられる場合であっても、フレキシブルフラットケーブル111を保持する保持部材17をコンパクトにすることができる。
【0120】
また、フレキシブルフラットケーブル111は、収容ケース16の内部において、厚み方向が略水平方向(幅方向Y)となるように配置されてもよい。
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造は、幅方向Yにおける収容ケース16の長さを抑えることができる。
【0121】
このため、ケーブル配索体11の配索構造は、複数のフレキシブルフラットケーブル111を厚み方向に積層して収容ケース16に収容する場合であっても、収容ケース16の大型化を抑制することができる。
【0122】
また、収容ケース16の内部において、金属製の薄板材112がフレキシブルフラットケーブル111に沿って配置されたものである。
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造は、収容ケース16の内部において、フレキシブルフラットケーブル111を金属製の薄板材112で保護できるため、異物との接触によるフレキシブルフラットケーブル111の損傷を防止することができる。
【0123】
さらに、ケーブル配索体11の配索構造は、収容ケース16の内部において、フレキシブルフラットケーブル111を薄板材112で支持できるため、保持部材17がスライド移動した際、保持部材17からの押圧荷重でフレキシブルフラットケーブル111が変形することを抑えられる。これにより、ケーブル配索体11の配索構造は、変形によるフレキシブルフラットケーブル111の損傷を防止することができる。
【0124】
加えて、収容ケース16に連結した余長格納部15に、フレキシブルフラットケーブル111の余長部分11bを湾曲した状態で格納した場合、ケーブル配索体11の配索構造は、余長部分11bの湾曲した部分に薄板材112の反発力を付与することができる。
【0125】
このため、ケーブル配索体11の配索構造は、余長格納部15の内部において、保持部材17のスライド移動に伴う荷重がフレキシブルフラットケーブル111に加わった場合であっても、フレキシブルフラットケーブル111の所望される配索状態を維持することができる。
【0126】
また、収容ケース16の内部において、金属製の薄板材112は、フレキシブルフラットケーブル111に対して、開口部16aがある側に沿って配置されたものである。
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造は、開口部16aを介して侵入した異物が、フレキシブルフラットケーブル111に直接的に接触することを防止できる。
【0127】
さらに、収容ケース16の内面とフレキシブルフラットケーブル111との間に金属製の薄板材112が介在するため、ケーブル配索体11の配索構造は、収容ケース16の内面との摺動によるフレキシブルフラットケーブル111の損傷を防止することができる。
【0128】
また、収容ケース16の内部において、金属製の薄板材112は、フレキシブルフラットケーブル111に対して、開口部16aがある側と反対側に沿って配置されたものである。
この構成によれば、収容ケース16の内面とフレキシブルフラットケーブル111との間に金属製の薄板材112が介在するため、ケーブル配索体11の配索構造は、収容ケース16の内面との摺動によるフレキシブルフラットケーブル111の損傷を防止することができる。
【0129】
また、ケーブル配索体11の配索構造は、フレキシブルフラットケーブル111を囲繞するメッシュチューブ113が設けられたものである。
この構成によれば、ケーブル配索体11の配索構造は、フレキシブルフラットケーブル111をメッシュチューブ113で保護することができる。このため、ケーブル配索体11の配索構造は、異物の接触によるフレキシブルフラットケーブル111の損傷を確実に防止することができる。
【0130】
また、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、ケーブル配索体11の余長部分11bを格納し、保持部材17の長手方向へのスライド移動に追従して、収容ケース16に対してケーブル配索体11を繰り出しあるいは引き入れする余長格納部15が設けられたものである。
【0131】
この構成によれば、ケーブル配索体11の余長部分11bを収容するスペースを収容ケース16の内部に設けることを不要にできるため、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、収容ケース16の小型化を図ることができる。
【0132】
さらに、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、余長格納部15にケーブル配索体11の余長部分11bを収容できるため、ケーブル配索体11の余長部分11bが外部に露出することを防止できる。このため、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、ケーブル配索体11の余長部分11bが異物との接触によって損傷することを防止できる。
【0133】
また、収容ケース16と余長格納部15とが別体で構成されているため、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、固定レール2周辺のスペースやスライドシート4のスライド量に応じて、適宜の余長格納部を収容ケース16に組み合わせることができる。このため、ケーブル配索体11の配索構造及びレールユニット1は、部品点数の低減を図ることができる。
【実施例2】
【0134】
実施例2のレールユニットは、上述の実施例1に対して開口部の開口方向が異なる収容ケース16を備えている。このような収容ケース16、及び収容ケース16の開口部をスライド移動する保持部材19について、実施例2における収容ケース16及び保持部材19の断面図を示す図8を用いて説明する。
なお、上述の実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0135】
実施例2の収容ケース16は、図8に示すように、幅方向Yに沿った縦断面において、前後方向Xに延びる開断面形状のケース本体163が、実施例1と同様に、上下方向に長い断面略矩形に形成されている。
【0136】
さらに、ケース本体163には、図8に示すように、収容ケース16の内部からスライドシート4に向かって引き出されるケーブル配索体11の引出部分11cが通過する開口部16bが、下方へ向けて開口形成されている。
【0137】
具体的には、収容ケース16のケース本体163は、図8に示すように、上面部163aと、上面部163aにおける幅方向Yの両端から垂設された第1側壁部163b及び第2側壁部163cと、上面部161bに対して下方で対向する底面部163d及びガイド壁部163eとで構成されている。
【0138】
上面部163a及び第1側壁部163bは、上述した実施例1の上面部161b及び第1側壁部161cと同様の構成のため、その詳細な説明を省略する。
また、第2側壁部163cは、図8に示すように、第1側壁部163bに同じ上下方向の長さで上面部163aから下方へ向けて延設されている。
【0139】
また、底面部163d及びガイド壁部163eは、図8に示すように、底面部163dの端部とガイド壁部161eの端部とが、保持部材19の保護部19aよりも僅かに長い幅方向Yの間隔を隔てるように形成されている。
より詳しくは、底面部163dは、図8に示すように、上面部163aよりも短い幅方向Yの長さで、第1側壁部163bの下端から第2側壁部163cへ向けて延設されている。
【0140】
また、ガイド壁部163eは、図8に示すように、幅方向Yの他方側における底面部163dの端部に対して、幅方向Yに所定間隔を隔てた位置に端部が位置する幅方向Yの長さで、第2側壁部163cの下端から第1側壁部163bへ向けて延設されている。
このガイド壁部163eは、後述する保持部材19のガイド溝部19eとで、保持部材19の前後方向Xへのスライド移動を案内するガイド機構部20を構成している。
【0141】
開口部16bは、図3に示すように、底面部163dの端部とガイド壁部163eの端部との間で形成されている。換言すると、開口部16bは、収容ケース16の下部に下方へ向けて開口形成されている。
【0142】
また、実施例2の保持部材19は、スライドシート4の前後方向Xの進退に追従して、収容ケース16の開口部16bを前後方向Xにスライド移動するとともに、開口部16bを介して引き出したケーブル配索体11の引出部分11cを保持可能に形成されている。
【0143】
この保持部材19は、図8に示すように、収容ケース16の開口部16bを貫通する保護部19aと、収容ケース16の下方を幅方向Yに延びる延設部19bと、固定レール2と収容ケース16との間を上下方向に延びる保持本体19cとで構成されている。
【0144】
なお、保持部材19は、実施例1の保持部材17と同様に、開口部16bを通過してスライドシート4へ向かうケーブル配索体11の引出部分11cを、内部に収容保持している。
具体的には、保護部19aは、図8に示すように、収容ケース16の内部から開口部16bを通って下方へ延びる内部中空の柱状体に形成されている。
【0145】
延設部19bは、図8に示すように、保護部19aの下端から幅方向Yの他方側へ向けて延設されるとともに、保護部19aの内部空間に連通する内部中空の柱状体に形成されている。
保持本体19cは、図8に示すように、幅方向Yの他方側における延設部19bの端部から上方へ向けて延びるとともに、延設部19bの内部空間に連通する内部中空の柱状体に形成されている。
【0146】
このような保持部材19には、図8に示すように、収容ケース16の開口部16bからの保護部19aの抜け出しを防止する抜け防止部19dと、収容ケース16のガイド壁部163eが遊嵌するガイド溝部19eとが設けられている。
【0147】
具体的には、抜け防止部19dは、図8に示すように、収容ケース16の内部において、保護部19aの上端から第1側壁部163bへ向けて延設された平板状に形成されている。この抜け防止部19dは、収容ケース16の内部において、底面部163dに近接する位置に立設されている。
【0148】
ガイド溝部19eは、図8に示すように、第1側壁部161cに対向する保護部19aの側面を第2側壁部163cへ向けて凹設するとともに、ガイド壁部163eが遊嵌可能な溝形状に形成されている。このガイド溝部19eは、収容ケース16のガイド壁部163eとで、保持部材19の前後方向Xへのスライド移動を案内するガイド機構部20を構成している。
【0149】
以上のように、実施例2のケーブル配索体11の配索構造、及びレールユニット1は、上方からの収容ケース16の内部への異物の侵入を抑制できるため、上述の実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0150】
さらに、開口部16bが、収容ケース16において下方向に開口されているため、ケーブル配索体11の配索構造は、上方からの収容ケース16の内部への異物の侵入をより確実に防止することができる。
【0151】
加えて、収容ケース16の内部に異物が侵入した場合であっても、ケーブル配索体11の配索構造は、開口部16bを介して、異物を収容ケース16の外部へ排出することができる。
これにより、ケーブル配索体11の配索構造は、収容ケース16の内部でケーブル配索体11と異物とが摺動することを阻止できるため、スライドシート4の進退に伴うケーブル配索体11の損傷をより抑えることができる。
【0152】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の車体側電線は、実施形態の車体側ワイヤーハーネス6に対応し、
以下同様に、
シート側電線は、シート側ワイヤーハーネス7に対応し、
配線体は、ケーブル配索体11に対応し、
長手方向は、前後方向Xに対応し、
帯状電線は、フレキシブルフラットケーブル111に対応し、
金属製の板材は、薄板材112に対応し、
保護チューブは、メッシュチューブ113に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0153】
例えば、上述した実施例において、一方の固定レール2に隣接して給電装置5を配置したが、これに限定せず、他方の固定レール2に隣接して給電装置5を配置してもよい。あるいは、左右の固定レール2にそれぞれ給電装置5を配置してもよい。
【0154】
また、第1ワイヤーハーネス9及び第2ワイヤーハーネス13を、複数の被覆電線で構成したが、これに限定せず、接続端子を介してケーブル配索体11と接続可能であれば、第1ワイヤーハーネスまたは/および第2ワイヤーハーネスをフレキシブルフラットケーブルなどで構成してもよい。
【0155】
また、車体側電線接続部10において、フレキシブルフラットケーブル111と第1ワイヤーハーネス9とを、接続端子を介して接続したが、これに限定しない。例えば、フレキシブルフラットケーブル111と第1ワイヤーハーネス9とをバスバーを介して接続してもよい。
同様に、シート側電線接続部12において、フレキシブルフラットケーブル111と第2ワイヤーハーネス13とを、バスバーを介して接続してもよい。
【0156】
また、複数のフレキシブルフラットケーブル111と2枚の薄板材112とメッシュチューブ113とで構成したケーブル配索体11としたが、これに限定せず、少なくとも1枚のフレキシブルフラットケーブル111で構成したケーブル配索体であってもよい。あるいは、少なくとも1枚のフレキシブルフラットケーブル111と1枚の薄板材112とで構成したケーブル配索体であってもよい。この場合、薄板材112は、収容ケース16の開口部16a側、または収容ケース16の開口部16aとは逆側のいずれかに配置する。
【0157】
また、フレキシブルフラットケーブル111を用いて説明したが、これに限定せず、帯状電線であれば、断面丸形の被覆電線を並置したリボンケーブル(フラットケーブルともいう)などであってもよい。
また、保持部材17がスライダ3に連結された給電装置5としたが、これに限定せず、保持部材がスライドシート4の下面に連結された給電装置であってもよい。
【0158】
また、収容ケース16の内部において、フレキシブルフラットケーブル111の厚み方向が略水平(幅方向Y)となるように、ケーブル配索体11を配置したが、これに限定しない。例えば、別の実施例における収容ケース及び保持部材の概略を説明する説明図を示す図9(a)のように、収容ケース21の内部において、フレキシブルフラットケーブルの厚み方向が略鉛直方向(上下方向)となるようにケーブル配索体11を配置してもよい。
【0159】
この場合、収容ケース21は、図9(a)に示すように、幅方向Yに沿った縦断面における断面形状が、幅方向Yに長い断面略矩形となるように形成する。
これにより、ケーブル配索体11の配索構造は、上下方向における収容ケース21の長さを抑えることができる。このため、ケーブル配索体11の配索構造は、複数のフレキシブルフラットケーブルを厚み方向に積層して収容ケース21に収容する場合であっても、収容ケース21の大型化を抑制することができる。
【0160】
また、実施例1において、幅方向Yへ向けて開口した開口部16aとし、実施例2において、下方へ向けて開口した開口部16bとしたが、これに限定せず、水平方向から下方のまでのいずれかの向きで開口された開口部であれば、適宜の開口方向であってもよい。
【0161】
また、実施例1において、上方に立設したケース本体161のガイド壁部161eと、上方へ凹設した保持部材17のガイド溝部17dとでガイド機構部18を構成したが、これに限定しない。
例えば、図9(a)に示すように、底面部211とで開口部21aをなす収容ケース21の第2側壁部212と、保持部材22の保護部22aの上面に凹設したガイド溝部22bとでガイド機構部23を構成してもよい。
【0162】
さらに、ガイド機構部23として、例えば図9(a)に示すように、収容ケース21の底面部211と、保持部材22の保護部22aとの間に低摩擦係数の滑り部材24を介在させてもよい。
【0163】
また、保持部材17がスライド移動する開口部16aに加えて、図9(b)に示すように、内部に侵入した異物を排出する排出口16cをケース本体161に備えた収容ケース16であってもよい。
【0164】
この場合、例えばケース本体161の底面部161aは、図9(b)に示すように、幅方向Yの一端に対して他端が下方に位置するように傾斜した傾斜面に形成する。これにより、収容ケース16は、仮に内部に異物が侵入した場合であっても、侵入した異物を効率よく、かつスムーズに排出することができる。
【0165】
また、余長格納部15と収容ケース16とを幅方向Yで並置するとともに、余長格納部15の前部に収容ケース16の前端を連結したが、ケーブル配索体が余長格納部と収容ケースとの間を往復動可能であれば、これに限定しない。
【0166】
例えば、別の実施例における給電装置の概略を説明する説明図を示す図10(a)のように、厚み方向を上下方向に一致させた余長格納部25に対して収容ケース16を後方に配置するとともに、余長格納部25の後端に収容ケース16の前端を連結してもよい。
【0167】
あるいは、図10(b)に示すように、厚み方向を幅方向Yに一致させた余長格納部15を、収容ケース21の下方に並置した構成としてもよい。
この場合、ケーブル配索体11は、厚み方向を上下方向に一致させた状態で、余長格納部15及び収容ケース21の内部に配索する。さらに、収容ケース21は、幅方向Yに沿った縦断面における断面形状が、幅方向Yに長い断面略矩形となるように形成する。
【0168】
また、平面視略U字状の状態で配索されたケーブル配索体11を格納する余長格納部15としたが、これに限定せず、収容ケース16に連結される余長格納部は、適宜の構成であってもよい。
【0169】
例えば、余長格納部26は、別の実施例における余長格納部の概略を平面視で説明する説明図を示す図11のように、平面視において、厚み方向を幅方向Yに一致させたケーブル配索体11の余長部分11bを、平面視螺旋状に巻き回した状態で格納する構成であってもよい。この場合、余長格納部26には、ケーブル配索体11の巻き取る螺旋バネなどが内部に設けられてもよい。
【0170】
そして、ケーブル配索体11を螺旋状に巻き回して格納する余長格納部26を、別の実施例における給電装置の概略を説明する説明図を示す図12(a)のように、ケーブル配索体11の厚み方向が幅方向Yとなるように配置するとともに、上下方向に長い断面略矩形の収容ケース16の前端に連結してもよい。
【0171】
あるいは、ケーブル配索体11を螺旋状に巻き回して格納する余長格納部26を、図12(b)に示すように、ケーブル配索体11の厚み方向が上下方向となるように配置するとともに、幅方向Yに長い断面略矩形の収容ケース21の前端に連結してもよい。
【符号の説明】
【0172】
1…レールユニット
2…固定レール
4…スライドシート
6…車体側ワイヤーハーネス
7…シート側ワイヤーハーネス
11…ケーブル配索体
11b…余長部分
15,25,26…余長格納部
16,21…収容ケース
16a,16b,21a…開口部
17,19,22…保持部材
17a,19a,22a…保護部
17c,19d…抜け防止部
18,20,23…ガイド機構部
111…フレキシブルフラットケーブル
112…薄板材
113…メッシュチューブ
X…前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図11
図12