(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】ポンプケーシング
(51)【国際特許分類】
F04D 29/66 20060101AFI20241223BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20241223BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
F04D29/66 D
F04D29/42 A
F04D29/62 A
(21)【出願番号】P 2021095054
(22)【出願日】2021-06-07
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】小川 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬太郎
(72)【発明者】
【氏名】ラナ エプシャ
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-168199(JP,A)
【文献】特開2020-020336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/66
F04D 29/42
F04D 29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を移送するための
ツインポンプに使用され
、全体として1つの吸込口及び1つの吐出口を有するポンプケーシングであって、
第1のポンプ用ケーシングと、
前記第1のポンプ用ケーシングに接続する第1の吸込流路部と、
前記第1のポンプ用ケーシングに接続する第1の吐出流路部と、
第2のポンプ用ケーシングと、
前記第2のポンプ用ケーシングに接続する第2の吸込流路部と、
前記第2のポンプ用ケーシングに接続する第2の吐出流路部と、
前記吸込口を有し、前記第1の吸込流路部
の開始端部および前記第2の吸込流路部
の開始端部を含む吸込分岐部と、
前記吐出口を有し、前記第1の吐出流路部の
終端部および前記第2の吐出流路部
の終端部を含む吐出合流部と、
前記吸込分岐部に設けられた第1の脚部と、
前記吐出合流部に設けられた第2の脚部と、を有することを特徴とするポンプケーシング。
【請求項2】
前記第1の脚部および前記第2の脚部のうちの少なくとも1つは、ねじ穴を有することを特徴とする請求項1記載のポンプケーシング。
【請求項3】
前記第1の脚部および前記第2の脚部のうちの少なくとも1つはベース部を有する、ことを特徴とする請求項1または2記載のポンプケーシング。
【請求項4】
前記第1のポンプ用ケーシングおよび前記第2のポンプ用ケーシングのうちの少なくとも1つに設けられた第3の脚部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポンプケーシング。
【請求項5】
前記第1の吐出流路部、および前記第2の吐出流路部のうちの少なくとも1つに設けら
れた第4の脚部を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポンプケーシング。
【請求項6】
前記第1の吸込流路部、および前記第2の吸込流路部のうちの少なくとも1つに設けられた第5の脚部を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポンプケーシング。
【請求項7】
第1の電動機と、
前記第1の電動機に連結された第1の回転軸と、
前記第1の回転軸に固定され、かつ前記第1のポンプ用ケーシング内に収容される第1の羽根車と、
第2の電動機と、
前記第2の電動機に連結された第2の回転軸と
前記第2の回転軸に固定され、かつ前記第2のポンプ用ケーシング内に収容される第2の羽根車と、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポンプケーシングを備えた
ツインポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプケーシングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からポンプ装置は、各種住宅や工場等の各現場で様々な用途で使用されている。例えば、ポンプ部とモータ部とを一体とし、ポンプの吸込口・吐出口を同一線上に配置したインラインポンプは、配管の途中に簡単に取り付け可能であるため広く用いられている。建築設備にインラインポンプをインストールする場合、1台のインラインポンプが故障したとき又は1台を定期点検するときに送液停止を避けることが望まれる。
【0003】
送液停止を避けるために、1台が他の1台をバックアップできるように、2台のインラインポンプを並列にインストールするケースが欧州の市場で見られる。このときに2台のインラインポンプが並列に並び、1個の吸込口と1個の吐出口が2台のインラインポンプに接続されて、2台のインラインポンプが1個の吸込口と1個の吐出口を共用しているツインポンプと呼ばれる製品がある。なお、以下では、2台のインラインポンプが1個の吸込口と1個の吐出口を共用していない場合、すなわち、2台のインラインポンプがそれぞれ1個の吸込口と1個の吐出口を有する場合、これらのポンプをシングルポンプと呼ぶ。
【0004】
ツインポンプを設置する事により、片方のポンプでトラブルが発生した場合等において、トラブルが発生したポンプのケーシング以外の部分を取り外し、閉止フランジでケーシングの上部を覆う。ケーシング以外の部分とは、例えば、ケーシングの上部に配置される電動機と、電動機に連結された回転軸と、回転軸に固定され、かつケーシング内に収容される羽根車である。ツインポンプでは、ポンプのメンテナンス期間あるいは、故障したポンプのスペアパーツを待っている期間も他方のポンプにより運転を継続することができる。
【0005】
省スペースと長寿命は、商品に対する要求として存在しており、ポンプメーカーは、この要求に答えるために自社開発を行っている。この要求に対して、2台のシングルポンプを並列に設置する場合と比較して、ツインポンプの場合、配管を2台のシングルポンプに分岐させるまたは合流させるためのヘッダパイプの長さが低減する。また、逆流防止用のチェッキバルブ等のバルブを、ツインポンプを構成する2台のポンプ間で共通化することにより省スペース化を計ることができる。これらのことにより、ツインポンプメーカーは顧客からの省スペース要求に応じることができる。またツインポンプを構成する2台のポンプを交互運転することによりポンプ寿命を単純に2倍にすることができる。
【0006】
ポンプの製造に関しては、シングルポンプの場合、すなわち2台のインラインポンプを並列にインストールするポンプの場合は、ポンプが床に接触する部分、例えばポンプ底面部や脚部底面部は、1台ごとに水平面の加工を行えば良い。更に、シングルポンプをインストールする場合も1台ごとに、床面とポンプの隙間や、ポンプの水平度の調整を行えば良い。
【0007】
しかしながらツインポンプの場合、2台分のポンプケーシングが一体となって製造されるため、2台分相当の床面接触部も一体となって製造される。このため、各々1台分の床面接触部が水平であることが製造時や設置時に要求されると同時に、2台相互間で水平であることが製造時や設置時に要求される。床面接触部の配置や加工精度は、ポンプの設置時に自立することが可能であるかどうかや、ポンプ運転時に騒音・振動の発生をどこまで抑制できるかどうかについて影響をおよぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一形態は、このような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、設置されたポンプの安定性を改善したポンプケーシングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第1の形態では、液体を移送するためのポンプ装置に使用されるポンプケーシングであって、第1のポンプ用ケーシングと、前記第1のポンプ用ケーシングに接続する第1の吸込流路部と、前記第1のポンプ用ケーシングに接続する第1の吐出流路部と、第2のポンプ用ケーシングと、前記第2のポンプ用ケーシングに接続する第2の吸込流路部と、前記第2のポンプ用ケーシングに接続する第2の吐出流路部と、前記第1の吸込流路部および前記第2の吸込流路部と接続する吸込分岐部と、前記第1の吐出流路部および前記第2の吐出流路部と接続する吐出合流部と、前記吸込分岐部に設けられた第1の脚部と、前記吐出合流部に設けられた第2の脚部と、を有することを特徴とするポンプケーシングという構成を採っている。
【0011】
本実施形態では、吸込分岐部に設けられた第1の脚部と、吐出合流部に設けられた第2の脚部とを有する。吸込分岐部と吐出合流部に脚部が設けられているため、ポンプケーシングの安定性が増す。ポンプ運転時に騒音・振動の発生が従来よりも抑制できるため、設置されたポンプの安定性を改善したポンプケーシングを提供できる。
【0012】
第2の形態では、前記第1の脚部および前記第2の脚部のうちの少なくとも1つは、ねじ穴を有することを特徴とする第1の形態のポンプケーシングという構成を採っている。
【0013】
第3の形態では、前記第1の脚部および前記第2の脚部のうちの少なくとも1つはベース部を有する、ことを特徴とする第1、または第2の形態のポンプケーシングという構成を採っている。
【0014】
第4の形態では、前記第1のポンプ用ケーシングおよび前記第2のポンプ用ケーシングのうちの少なくとも1つに設けられた第3の脚部を有することを特徴とする第1ないし第3のいずれか1つの形態のポンプケーシングという構成を採っている。
【0015】
第5の形態では、前記第1の吐出流路部、および前記第2の吐出流路部のうちの少なくとも1つに設けられた第4の脚部を有することを特徴とする第1ないし第4のいずれか1つの形態のポンプケーシングという構成を採っている。
【0016】
第6の形態では、前記第1の吸込流路部、および前記第2の吸込流路部のうちの少なくとも1つに設けられた第5の脚部を有することを特徴とする第1ないし第5のいずれか1つの形態のポンプケーシングという構成を採っている。
【0017】
第7の形態では、第1の電動機と、前記第1の電動機に連結された第1の回転軸と、前記第1の回転軸に固定され、かつ前記第1のポンプ用ケーシング内に収容される第1の羽根車と、第2の電動機と、前記第2の電動機に連結された第2の回転軸と、前記第2の回転軸に固定され、かつ前記第2のポンプ用ケーシング内に収容される第2の羽根車と、 第1ないし第6のいずれか1つの形態のポンプケーシングを備えたポンプ装置という構成
を採っている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ポンプケーシングの一実施形態を示す概略図である。
【
図2】第1のポンプ装置の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0020】
図1は、本発明のポンプケーシング18の一実施形態を示す概略図である。ポンプケーシング18は、液体を移送するためのポンプ装置16に使用される。1個のポンプケーシング18が、第1のポンプ用ケーシング181と、第1のポンプ用ケーシング181に接続する第1の吸込流路部201と、第1のポンプ用ケーシング181に接続する第1の吐出流路部221を有する。さらにポンプケーシング18は、第2のポンプ用ケーシング182と、第2のポンプ用ケーシング182に接続する第2の吸込流路部202と、第2のポンプ用ケーシング182に接続する第2の吐出流路部222を有する。
【0021】
またポンプケーシング18は、第1の吸込流路部201および第2の吸込流路部202と接続する吸込分岐部24と、第1の吐出流路部221および第2の吐出流路部222と接続する吐出合流部26を有する。第1のポンプ用ケーシング181と、第1の吸込流路部201と、第1の吐出流路部221と、第2のポンプ用ケーシング182と、第2の吸込流路部202と、第2の吐出流路部222と、吸込分岐部24と、吐出合流部26は、一体化した鋳物である。なお、これらのうちの一部、例えば、第1の吐出流路部221、第2の吐出流路部222、吐出合流部26等をそれ以外の部分とは別の鋳物として製造してもよい。
【0022】
吸込分岐部24は、吸込口20から、第1の吸込流路部201と第2の吸込流路部202に分岐するところまでの区間を言う。具体的には吸込口20から第1の吸込流路部201の開始端部58までの区間と、吸込口20から第2の吸込流路部202の開始端部60までの区間を言う。吐出合流部26は、第1の吐出流路部221と第2の吐出流路部222が合流するところから吐出口22までの区間を言う。具体的には第1の吐出流路部221の終端部281から吐出口22までの区間と、第2の吐出流路部222の終端部282から吐出口22までの区間を言う。ポンプ装置16の吸込口20とは、ポンプ装置16の吸込み側におけるポンプ装置16と配管(図示しない)の接続部である。ポンプ装置16の吐出口22とは、ポンプ装置16の吐出側におけるポンプ装置16と配管(図示しない)の接続部である。
【0023】
ポンプ装置16は、第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162を有する。第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162の構成は同一であっても、また異なっていてもよい。本実施形態では、第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162は実質的に同一構成である。すなわち第1の羽根車51、第1のポンプ用ケーシング181、第1の吐出流路部221はそれぞれ、第2の羽根車52、第2のポンプ用ケーシング182、第2の吐出流路部222と同一寸法形状である。第1の羽根車51の回転方向54は、第2の羽根車52の回転方向56と同一である。一方、第1の吸込流路部201と、第2の
吸込流路部202の寸法形状は若干異なる。
【0024】
本実施形態では、第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162は渦巻ポンプであるが、第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162は渦巻ポンプに限られず、非容積型ポンプであればよい。すなわち、第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162は、タービンポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプでもよい。
【0025】
第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162は実質的に同一構成であるため、第1のポンプ装置161の構成について、
図2により説明する。
図2は、第1のポンプ装置161の一実施形態を示す概略図である。第1のポンプ装置161は、第1の電動機101と、第1の電動機101に連結された第1の回転軸121と、第1の回転軸121に固定され、かつ第1のポンプ用ケーシング181内に収容される第1の羽根車51を有する。
【0026】
図示しないが、第2のポンプ装置162も第1のポンプ装置161と同様に、第2の電動機と、第2の電動機に連結された第2の回転軸と、第2の回転軸に固定され、かつ第2のポンプ用ケーシング182内に収容される第2の羽根車52を有する。
【0027】
第1のポンプ装置161において、第1の羽根車51は、遠心羽根車である。回転軸121は、軸受(図示せず)に回転可能に支持されている。回転軸121と第1の羽根車51は一体に回転可能となっている。回転軸121および第1の羽根車51は、電動機101によって回転される。第1の羽根車51の流体入口51aの周囲にはライナーリング102が配置されている。ライナーリング102は、ポンプケーシング181に固定されている。
【0028】
電動機101とポンプケーシング181との間にはケーシングカバー122が配置されている。ポンプケーシング181上部の開口は、ケーシングカバー122によって塞がれている。電動機101は、ケーシングカバー122に固定されている。ポンプケーシング181およびケーシングカバー122は、鋳物である。第1の羽根車51の裏側には、回転軸121とケーシングカバー122との間の隙間を封止する軸封装置15が配置されている。軸封装置15はケーシングカバー122に保持されている。軸封装置15の例としては、メカニカルシールが挙げられる。既述の閉止フランジ(図示しない)は、メンテナンス等のときにケーシングカバー122の位置に設置される。ケーシングカバー122を取り付ける円周状に配置されたネジ穴62(
図3参照)を利用して取り付けられる。閉止フランジはディスク状のものであり、閉止フランジの外縁部の、ネジ穴62に対応した位置に取付用の穴を円周状に有する。
【0029】
ポンプケーシング18は、吸込口20を有する吸込分岐部24と、吐出口22を有する吐出合流部26を備えている。第1の羽根車51は、第1のポンプ用ケーシング181内に配置されている。吸込口20および吐出口22は、一直線上に並んでいる。吸込口20および吐出口22が一直線上に並んだポンプ装置16は、インラインポンプ装置と呼ばれる。本実施形態では、2台のインラインポンプが並列に並び、1個の吸込口と1個の吐出口が2台のインラインポンプに接続されて、2台のインラインポンプが1個の吸込口と1個の吐出口を共用している。2台のインラインポンプが1個の吸込口と1個の吐出口を共用しているとき、これらのポンプは全体として1台のツインポンプを構成する。ポンプケーシング18は、吸込分岐部24に設けられた第1の脚部38と、吐出合流部26に設けられた第2の脚部40を有する。
【0030】
ここで、ツインポンプである1台のインラインポンプと、並列に配置された2台のインラインポンプ(2台のシングルポンプ)との違いについて説明する。並列に配置された2
台のシングルポンプでは吐出側において、それぞれのシングルポンプの吐出口がそれぞれ配管に接続され、その後、下流側において2本の配管が合流して1本の配管になる。また吸込み側において1本の配管が2本の配管に分岐後、それぞれの配管が、それぞれのシングルポンプの吸込口に接続する。一方、ツインポンプでは吐出側において2つの吐出流路部が吐出合流部26において合流してからツインポンプの吐出口22において配管に接続する。またツインポンプの吸込み側において、配管がポンプの吸込口20に接続した後に、吸込分岐部24を経て2つの吸込流路部に分岐する。
【0031】
電動機101が第1の羽根車51を回転させると、液体は、吸込口20からポンプケーシング18内に流れ込む。より具体的には、液体は、吸込口20から第1の吸込流路部201に流入し、第1の吸込流路部201を通じて第1の羽根車51の流体入口51aに流入する。回転する第1の羽根車51は液体に速度エネルギーを付与し、第1のポンプ用ケーシング181を流れる液体の速度エネルギーは圧力に変換される。昇圧された液体は、吐出口22を通ってポンプケーシング18から吐き出される。
【0032】
第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162の運転方法は、種々可能である。第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162の一方のみを運転し、他方は休止させる運転方法や、第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162の両方を同時に運転する運転方法が可能である。吐出合流部26には、
図1に示すように開閉弁28が設けられている。開閉弁28は、第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162の運転状態に応じて、停止しているポンプ装置に接続している吐出流路部を閉鎖する。
【0033】
例えば、第1のポンプ装置161が運転していて、第2のポンプ装置162が停止しているときは、開閉弁28は、第1の吐出流路部221からの水圧により、点線で示す位置282に移動させられて、第2の吐出流路部222を閉鎖する。第2のポンプ装置162が運転していて、第1のポンプ装置161が停止しているときは、開閉弁28は、第2の吐出流路部222からの水圧により、点線で示す位置281に移動させられて、第1の吐出流路部221を閉鎖する。第1のポンプ装置161と第2のポンプ装置162の両方を同時に運転しているときは、開閉弁28は、第1の吐出流路部221と第2の吐出流路部222からの水圧により、実線で示す中間の位置283に移動させられる。
【0034】
図3~5にポンプケーシング18単体の構成を示す。
図3は、ポンプケーシング18の上面図である。
図4は、ポンプケーシング18の斜視図である。
図5は、ポンプケーシング18の底面図である。
図3~5においては、ポンプ装置16からポンプケーシング18以外の構成要素、すなわち第1の電動機101と、第1の回転軸121と、第1の羽根車51と、第2の電動機と、第2の回転軸と、第2の羽根車52等を外した状態のポンプケーシング18を示す。吸込口20が吸込フランジ34に設けられている。吸込フランジ34は、ポンプケーシング18を配管に接続するためのものである。吐出口22が吐出フランジ36に設けられている。吐出フランジ36は、配管にポンプケーシング18を接続するためのものである。
【0035】
ポンプケーシング18は、
図5に示すように吸込分岐部24に設けられた第1の脚部38と、吐出合流部26に設けられた第2の脚部40を有する。従来、吸込分岐部24や吐出合流部26には脚部が設けられていなかった。従来の脚部は、第1のポンプ用ケーシング181や第2のポンプ用ケーシング182に設けられていた。その理由は、第1のポンプ用ケーシング181や第2のポンプ用ケーシング182の底部は、
図2に示すように、ポンプ装置16において一番、低い位置にあるためである。
【0036】
第1の脚部38や第2の脚部40により、ポンプ装置16の振動や騒音が低減することが以下の理由から期待できる。ツインポンプは一台のポンプ装置のみを運転する場合でも
、他方のポンプ装置に必ず振動が伝わる。従って、振動や騒音の抑制のための設置条件は、ツインポンプではないシングルポンプより難易度が高い。シングルポンプのときは、1台のポンプ装置についてのみ振動や騒音の抑制をすればよい。しかし、ツインポンプでは、他方のポンプ装置からの振動や騒音の影響もあるため、振動や騒音の状況が複雑になる。吸込分岐部24や吐出合流部26は、振動や騒音の発生源の1つである。吸込分岐部24や吐出合流部26に第1の脚部38や第2の脚部40を追加することにより、ポンプ装置16の振動や騒音を、従来よりも低減することができる。
【0037】
図5に示す第1の脚部38および第2の脚部40のうちの少なくとも1つは、ねじ穴を有することが好ましい。本実施形態では、第2の脚部40がネジ穴42を有する。ネジ穴42の目的は種々ある。1つは、ポンプ装置16を設置するためである。他の目的は、ポンプケーシング18の製造時にポンプケーシング18を加工用治具に乗せたときに、ポンプケーシング18の天地が逆になる(治具にポンプケーシング18がぶら下がる)ことがあるからである。
【0038】
第1の脚部38および第2の脚部40のうちの少なくとも1つはベース部を有することが好ましい。本実施形態では、第2の脚部40がベース部44を有する。ベース部44は、フランジでもよい。ベース部44を設ける理由は、ポンプ装置16を設置したとき、またはポンプケーシング18の製造時に、ポンプ装置16の取付状態の安定性が増すからである。
【0039】
第1のポンプ用ケーシング181および第2のポンプ用ケーシング182のうちの少なくとも1つに設けられた第3の脚部を有することが好ましい。本実施形態では、
図5に示すように、第1のポンプ用ケーシング181に2個の脚部46を設け、第2のポンプ用ケーシング182に2個の脚部48を設けている。
【0040】
第1の吐出流路部221、および第2の吐出流路部222のうちの少なくとも1つに設けられた第4の脚部を有することとしてもよい。第1の吸込流路部201、および第2の吸込流路部202のうちの少なくとも1つに設けられた第5の脚部を有することとしてもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態の例について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0042】
16…ポンプ装置
18…ポンプケーシング
20…吸込口
22…吐出口
24…吸込分岐部
26…吐出合流部
28…開閉弁
34…吸込フランジ
36…吐出フランジ
38…第1の脚部
40…第2の脚部
42…ネジ穴
44…ベース部
46…脚部
48…脚部
51…第1の羽根車
52…第2の羽根車
101…電動機
101…第1の電動機
121…回転軸
121…第1の回転軸
161…第1のポンプ装置
162…第2のポンプ装置
181…ポンプケーシング
181…第1のポンプ用ケーシング
182…第2のポンプ用ケーシング
201…第1の吸込流路部
202…第2の吸込流路部
221…第1の吐出流路部
222…第2の吐出流路部