(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】アルカリ性基材のための硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 75/04 20060101AFI20241223BHJP
C08L 101/02 20060101ALI20241223BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20241223BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20241223BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20241223BHJP
C09D 201/02 20060101ALI20241223BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20241223BHJP
C09J 201/02 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
C08L75/04
C08L101/02
C08L71/02
C08K3/26
C09D175/04
C09D201/02
C09J175/04
C09J201/02
(21)【出願番号】P 2021520391
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2019080850
(87)【国際公開番号】W WO2020099309
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-01
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ウルシュ ブルクハルト
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-344035(JP,A)
【文献】特開2018-062827(JP,A)
【文献】特表2014-507503(JP,A)
【文献】特表2009-532541(JP,A)
【文献】特開2014-227522(JP,A)
【文献】特開2015-137359(JP,A)
【文献】国際公開第2011/132551(WO,A1)
【文献】特開2010-001707(JP,A)
【文献】特開2002-070249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C09D 1/00- 10/00
101/00-201/10
C09J 1/00- 5/10
9/00-201/10
B32B 1/00- 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水で濡らすと少なくとも10のpHを有する少なくとも一つのアルカリ性基材上での、可塑剤としてのブロックされたヒドロキシル基を有する少なくとも一つのポリエーテルを含む硬化性組成物の使用であり、
前記アルカリ性基材は、フレッシュコンクリート、フレッシュセメントモルタル、フレッシュ石灰モルタル若しくはフレッシュ石灰、又はケイ酸塩塗料であること、
前記ブロックされたヒドロキシル基は
、エステル基
及びアセトエステル
基からなる群から選択されること、並びに、
前記硬化性組成物は、イソシアネート基及び/又はシラン基を含有する少なくとも一つのポリマーを含むこと
を特徴とする、使用。
【請求項2】
前記ポリエーテル中の繰り返し単位の70重量%~100重量%が1,2-プロピレンオキシ基からなり、かつ前記ポリエーテル中の繰り返し単位の0重量%~30重量%が1,2-エチレンオキシ基からなることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、移動相としてのテトラヒドロフラン、屈折率検出器、及び200g/molからの評価を用いて、標準としてのポリスチレンに対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、600~10000g/molの範囲の平均分子量M
nを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、以下のものからなる群から選択される少なくとも一つのヒドロキシ官能性ポリエーテル由来であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用:
- アルコールを出発物質とする、特にn-ブタノールを出発物質とする、25~90mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリオキシプロピレンモノオール、
- 12~155mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリオキシプロピレンジオール、
- トリメチロールプロパン又は特にグリセロールを出発物質とする、任意選択的にエチレンオキシド末端の、2.2~3の範囲の平均OH官能基数と22~230mg KOH/gの範囲のOH価とを有するポリオキシプロピレントリオール、及び
- 糖アルコールを出発物質とする、特に、トレイトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール又はソルビトールを出発分子とする、3~6の範囲の平均OH官能基数を有するポリオキシプロピレンポリオール。
【請求項5】
前記硬化性組成物は、イソシアネート基を含有する少なくとも一つのポリマーと、少なくとも一つの潜在性硬化剤とを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記硬化性組成物は、炭酸カルシウムに基づく少なくとも一つの充填剤を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記硬化性組成物は、以下のものを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用:
- 10重量%~50重量%の、イソシアネート基及び/又はシラン基を含有するポリマー、
- 20~60重量%の充填剤、及び
- 10重量%~40重量%の、ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテル。
【請求項8】
前記硬化性組成物は、一成分型湿気硬化性組成物であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
下記の工程を含む、接着、シーリング、又はコーティングの方法:
(i)請求項1~8のいずれか一項に記載の硬化性組成物を提供すること、
(ii)請求項1に記載の少なくとも一つのアルカリ性基材を提供すること、
(iii)前記硬化性組成物を前記アルカリ性基材と接触させること、
(iv)前記組成物を硬化させること。
【請求項10】
請求項9に記載の方法から得られる物品。
【請求項11】
コンクリート又はセメントモルタルのスクリードに接着されている寄木張りの床であることを特徴とする、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の使用又は請求項9に記載の方法から得られる接着接合であって、前記硬化された組成物と、前記組成物に接着する少なくとも一つの基材とを含み、前記基材の表面は、前記組成物と接触した時点でアルカリ性であり、かつ水で濡らすと少なくとも10のpHを有していた、接着接合。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にフレッシュ(グリーン)コンクリート又はセメントモルタルなどのアルカリ性基材における、特に接着剤、シーラント又はコーティングとしての使用に適している、ポリウレタン又はSMPに基づく硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン又はシラン変性ポリマー(SMP)に基づく硬化性組成物は、建設分野における接着剤、シーラント又はコーティングとして多くの場合に使用されている。このような製品の用途のための典型的な基材は、コンクリート又はセメントモルタルなどのセメント、石灰又はケイ酸塩に結合した建築材料由来である。これらの建築材料が処理されたばかりであり、そのため基礎、壁、スクリード、下塗りなどの形態の基材が依然としてフレッシュな状態である場合、それらの中に存在する水酸化物は、依然として炭酸化されていないため、それらは、10以上のpH値の著しくアルカリ性の表面を有する。フレッシュコンクリートは、「若材齢」、又は「グリーン」、又は「ウェット」とも呼ばれる。硬化性組成物をアルカリ性表面との接触から保護するために、これは、組成物の塗布前に十分に熟成させることができるか、又は例えばフルオロケイ酸塩などのフッ化物による例えば中和若しくはプライマーによりシーリングすることにより、例えばエポキシ樹脂コーティングにより前処理することができる。しかしながら、実際には、時間及び費用を節約するために、これは、行われないことが多い。境界層では、硬化性組成物の成分の加水分解反応がアルカリ性条件下で起こる可能性があり、これは、厄介な臭気の放出を引き起こす可能性がある。反応しやすい化合物の中でも、特にこの種のほとんどの組成物中に存在する可塑剤が挙げられ、これらは、典型的には、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(DINCH)又はジ(2-エチルヘキシル)アジペート(DOA)などの脂肪族アルコールジカルボン酸エステルである。これらの加水分解は、脂肪族アルコールを放出させ、この脂肪族アルコールは、非常に不快な臭いを有し、基材の細孔構造に移動し、そこから蒸発するか又は環境中に洗い流され、長期間にわたってカビ臭を引き起こす。このような長く続く臭気の不快感は、特に弾性ポリウレタン又はSMP接着剤によってフレッシュセメントスクリードに寄木張りを接着する場合に観察される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、建設分野における接着剤、シーラント又はコーティングとして適切であり、且つ従来技術の欠点を克服する、アルカリ性基材において使用するための硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の硬化性組成物によって達成される。硬化性組成物は、ブロックされたヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリエーテルを可塑剤として含む。後者は、単純な方法で容易に入手できる商品から調製可能であり、組成物中で良好な相溶性を有し、高い弾性化作用を有し、またアルカリ性基材上で加水分解反応が生じた場合に無臭の親化合物であるヒドロキシ官能性ポリエーテルを放出し、他の問題となる影響を及ぼさない。ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、硬化性組成物の良好な貯蔵安定性及び加工性を促進し、移行又は分離する傾向を有さない。すなわち、これは、基材上で粘着性の表面又は染みの形成を生じない。硬化性組成物は、貯蔵安定性を有し、取り扱いが容易であり、硬化後の弾性が大きく、且つ分離又は移行する傾向を示さない。これは、可塑剤の加水分解によって引き起こされる厄介な臭気を発生させることなく、特にフレッシュ又はグリーンコンクリート又はセメントモルタルなどのアルカリ性基材の弾性接着、シーリング又はコーティングを可能にする。
【0005】
したがって、本発明を使用することにより、高アルカリ性の表面を有する基材を確実且つ恒久的に接着、又はシーリング、又はコーティングすることもでき、その場合、得られる接着剤接合は、厄介な臭気の放出を引き起こさず、移行作用に対して非常に耐性を有する。
【0006】
本発明の追加の態様は、別の独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、水で濡らすと少なくとも10のpHを有する少なくとも一つのアルカリ性基材上での、可塑剤としてのブロックされたヒドロキシル基を有する少なくとも一つのポリエーテルを含む硬化性組成物の使用を提供する。
【0008】
「硬化性組成物」は、重合可能な高分子を含む組成物を指し、これは、その反応性基の架橋反応を通して硬化することができるか、又は機械的強度が上昇した状態を得ることができる。
【0009】
「ポリエーテル」は、主にアルキレンオキシ繰り返し単位からなる分子又はオリゴマー状及び/若しくはポリマー状の分子の基を指す。
【0010】
「ブロックされたヒドロキシル基」は、化学反応により、イソシアネート基に対して非反応性の基に変換されたヒドロキシル基を指す。
【0011】
「可塑剤」は、硬化の過程でポリマー中に化学的に組み込まれず、且つ硬化されたポリマーに対して可塑化効果を発揮する不揮発性物質を指す。
【0012】
「シラン基」は、有機基に結合しており、且つケイ素原子上に1~3つ、特に2つ又は3つの加水分解性アルコキシ基を有するシリル基を指す。
【0013】
「シラン」は、各シラン基上に1~3つの有機置換基を有するオルガノアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの両方を指す。有機基上のシラン基に加えて、1つ以上のヒドロキシル、イソシアナト、アミノ又はメルカプト基を有するシランは、それぞれ「ヒドロキシシラン」、「イソシアナトシラン」、「アミノシラン」及び「メルカプトシラン」と呼ばれる。
【0014】
ポリアミン、ポリオール又はポリイソシアネートなどの「ポリ」で始まる物質名は、形式的な意味において、1つの分子当たりでその名称中に現れる2つ以上の官能基を含有する物質を指す。
【0015】
「分子量」は、分子又は分子残基のモル質量(g/mol)を指す。「平均分子量」は、オリゴマー状若しくはポリマー状の分子又は分子残基の多分散混合物の数平均分子量(Mn)を指す。これは、典型的には、標準としてのポリスチレンに対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0016】
「貯蔵安定性」又は「貯蔵可能」と呼ばれる硬化性組成物は、適切な容器内で室温において長期間、典型的には少なくとも3ヶ月~6ヶ月以上にわたり、この貯蔵によってその使用に関連する範囲でその用途又は使用特性が変更されることなく貯蔵可能なものである。
【0017】
「室温」は、23℃の温度を指す。
【0018】
より具体的には、水で濡らしたアルカリ性基材のpHは、pH試験紙を用いて決定される。
【0019】
アルカリ性基材は、好ましくは、セメント、石灰(水酸化カルシウム)及び/又はケイ酸塩(水ガラス)を主体とする、フレッシュであり、依然として不完全にのみ炭酸化されている基材である。
【0020】
より好ましくは、アルカリ性基材は、フレッシュコンクリート、フレッシュセメントモルタル、フレッシュ石灰モルタル又はフレッシュ石灰若しくはケイ酸塩塗料である。
【0021】
コンクリートは、pHが10以上のアルカリ反応を起こす限り、「フレッシュ」であると呼ばれる。コンクリートがフレッシュなままである期間は、その凝結時間及び周囲温度に依存する。期間は、典型的には1日~10日の範囲内で変動する。フレッシュコンクリートは、「若材齢」、又は「グリーン」、又は「ウェット」とも呼ばれる。
【0022】
硬化性組成物は、ブロックされたヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリエーテルを可塑剤として含む。
【0023】
ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、本質的にブロックされていないヒドロキシル基を含まない。本明細書において、「本質的に含まない」とは、存在するヒドロキシル基の95%、好ましくは99%、特に99.9%、最も好ましくは100%がブロックされていることを意味する。
【0024】
ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、硬化性組成物中に可塑剤として存在する。したがって、これは、好ましくは、水分又は組成物中に存在する成分との架橋反応に関与する反応性基を含まない。これは、特にイソシアネート基及びシラン基を含まない。
【0025】
ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、特に室温で液体である。
【0026】
ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、好ましくは、20℃で30~5000mPa・s、より好ましくは40~2000mPa・s、特に好ましくは50~1000mPas、特に50~500mPasの範囲の粘度を有する。本明細書では、粘度は、コーン径25mm、コーン角1°、コーンチップ-プレート間距離0.05mm、せん断速度10s-1のコーン-プレート粘度計を用いて決定される。そのようなポリエーテルは、取り扱いが容易であり、高い弾性を有する組成物を可能にする。
【0027】
ブロックされたヒドロキシル基は、好ましくは、アセタール基、エステル基、アセトエステル基、カーボネート基及びウレタン基からなる群から選択される。
【0028】
これらのアセタール基、エステル基、アセトエステル基、カーボネート基及びウレタン基は、好ましくは、1~15の炭素原子を有する。
【0029】
エステル基又はウレタン基が特に優先される。ヒドロキシル基は、特に簡単な方法でこれらの基に変換することができる。
【0030】
エステル基、特に1~8つの炭素原子を有するエステル基が特に優先される。
【0031】
最も好ましいものは、アセテート基である。アセテート基の形態でブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、低粘度であり、非常に簡単な方法で得ることができ、特に安価である。これがアルカリ性基材上で加水分解される場合、臭気がないヒドロキシ官能性ポリエーテル及びアセテートが放出され、後者は、アルカリ性媒体中で不揮発性であり、有意な臭気を有さない。
【0032】
同様に好ましいものは、ウレタン基、特にフェニルウレタン基又はp-トルエンスルホニルウレタン基である。そのようなブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、扱いやすい粘度を有し、特に簡単な方法で調製可能である。
【0033】
好ましいアセタール基は、1-(イソブトキシ)エトキシ、又はテトラヒドロピラン-2-オキシ、又はテトラヒドロフラン-2-オキシ基、特に1-(イソブトキシ)エトキシ基である。
【0034】
好ましいアセトエステル基は、アセトアセテート基である。
【0035】
好ましいカーボネート基は、メチルカーボネート基である。
【0036】
これらは、低粘度であり、安価な原材料から得られる。
【0037】
ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテル中に存在する繰り返し単位は、好ましくは、1,2-エチレンオキシ、1,2-プロピレンオキシ、1,3-プロピレンオキシ、1,2-ブチレンオキシ又は1,4-ブチレンオキシ基、特に1,2-プロピレンオキシ基である。
【0038】
好ましくは、繰り返し単位の70重量%~100重量%、特に80重量%~100重量%は、1,2-プロピレンオキシ基からなり、及び繰り返し単位の0重量%~30重量%、特に0重量%~20重量%は、1,2-エチレンオキシ基からなる。
【0039】
より好ましくは、繰り返し単位は、完全に1,2-プロピレンオキシ基からなる。
【0040】
そのようなポリエーテルは、容易に入手可能であり、疎水性であり、そのため、低い吸水性及び良好な安定性を有する硬化性組成物の成分として特に適している。
【0041】
ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、好ましくは、移動相としてのテトラヒドロフラン、屈折率検出器及び200g/molからの評価を用いて、標準としてのポリスチレンに対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、600~10000g/mol、より好ましくは700~5000g/mol、特に800~2500g/molの範囲の平均分子量Mnを有する。
【0042】
ブロックされたヒドロキシル基を有するそのようなポリエーテルは、取り扱いが容易であるような、且つ硬化性組成物において移行作用、放出又は臭気を生じないような粘度を有する。
【0043】
ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、好ましくは、
- アルコールを出発物質とする、特にn-ブタノールを出発物質とする25~90mg KOH/g、好ましくは50~80mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリオキシプロピレンモノオール、
- 12~155mg KOH/g、好ましくは22~125mg KOH/g、特に45~125mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリオキシプロピレンジオール、
- トリメチロールプロパン又は特にグリセロールを出発物質とする、任意選択的にエチレンオキシド末端の、2.2~3の範囲の平均OH官能基数と22~230mg KOH/g、好ましくは56~165mg KOH/gの範囲のOH価とを有するポリオキシプロピレントリオール、及び
- 糖アルコールを出発物質とする、特に、トレイトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール又はソルビトールを出発分子(開始剤分子)とする、3~6の範囲の平均OH官能基数を有するポリオキシプロピレンポリオール
からなる群から選択される少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリエーテル由来である。ブロックされたヒドロキシル基を有するこのようなポリエーテルは、Sanflex(登録商標)SPX-80(Sanyo Chem.Ind.より)として市販されている。
【0044】
これらの中では、アルコールを出発物質とする、特にn-ブタノールを出発物質とするポリオキシプロピレンモノオール又はポリオキシプロピレンジオールが優先される。
【0045】
ポリオキシプロピレンジオールが特に優先される。これらは、特に安価である。
【0046】
ブロックされたヒドロキシル基を有する好ましいポリエーテルは、容易に入手可能な商品から単純な方法で調製可能であり、低粘度であり、移行作用、放出又は臭気の傾向なしに、良好な貯蔵安定性、取り扱い容易性及び高い選択性並びに硬化状態における弾性を有する硬化性組成物を可能にする。
【0047】
ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、特に、少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリエーテルを、ヒドロキシル基のための少なくとも1つの適切なブロック化剤と反応させることによって得られる。
【0048】
反応のために、ブロック化剤は、ヒドロキシル基に対して少なくとも化学量論量で使用され、その結果、ヒドロキシル基は、本質的に完全にブロックされ、したがって、得られるポリエーテルは、本質的にヒドロキシル基を含まない。ブロック化のためにそれぞれの反応性基について慣例的な方法が使用され、任意選択的に触媒又は溶媒が追加で使用される。ブロック化反応が脱離生成物を形成する場合、これらは、適切な方法、特に蒸留によって反応混合物から除去される。
【0049】
適切なブロック化剤は、ヒドロキシル基との付加反応又は置換反応を行う求核性化合物である。
【0050】
特に適切なものは、ビニルエーテル、カルボン酸、塩化カルボニル、カルボン酸エステル又はカルボン酸無水物、ジケテン、2,2,5-トリメチル-4H-1,3-ジオキシン-4-オン、アセト酢酸アルキル、炭酸ジアルキル、モノイソシアネート、(メタ)アクリルアミド、メチレンマロネート又はシアノアクリレートである。
【0051】
特に、アセタール基の形態でブロックされたヒドロキシル基の形成を伴う、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソプロペニルメチルエーテル、イソプロペニルエチルエーテル、2,3-ジヒドロフラン又は3,4-ジヒドロ-2H-ピラン、より好ましくはイソブチルビニルエーテル、2,3-ジヒドロフラン又は3,4-ジヒドロ-2H-ピランなどのビニルエーテルが優先される。反応は、好ましくは、任意選択的に酸性イオン交換樹脂の形態であり得る触媒としての酸、特に塩酸、硫酸、リン酸又はスルホン酸の存在下で行われる。
【0052】
エステル基の形態でブロックされたヒドロキシル基の形成を伴うカルボン酸、塩化カルボニル、カルボン酸エステル又はカルボン酸無水物が優先される。これらの中でも、カルボン酸無水物又はカルボン酸エステル、特に無水酢酸が優先される。
【0053】
ブロック化剤としての無水酢酸の場合、反応により酢酸が放出され、アセテート基の形態でブロックされたヒドロキシル基が形成される。
【0054】
ブロック化剤としての酢酸イソプロペニルの場合、反応によりアセトンが放出され、同様にアセテート基の形態でブロックされたヒドロキシル基が形成される。
【0055】
更に、アセトエステル基の形態のブロック化されたヒドロキシル基の形成を伴うジケテン、2,2,5-トリメチル-4H-1,3-ジオキシン-4-オン又は特にアセト酢酸tert-ブチルなどの立体障害のあるアセト酢酸アルキルが優先される。
【0056】
更に、カーボネート基、特にメチルカーボネート基の形態でブロック化されたヒドロキシル基の形成を伴う炭酸ジアルキル、特に炭酸ジメチルが優先される。
【0057】
ウレタン基の形態でブロックされたヒドロキシル基の形成を伴うモノイソシアネートが更に優先される。フェニルイソシアネート又はp-トルエンスルホニルイソシアナートが優先される。
【0058】
適切なヒドロキシ官能化ポリエーテルは、特に、1~6の範囲の平均OH官能基数と、500~10000g/mol、より好ましくは600~5000g/mol、特に700~2500g/molの範囲の平均分子量とを有するものである。
【0059】
25~90mg KOH/g、好ましくは50~80mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリオキシプロピレンモノオール、特にアルコールを出発物質とするポリオキシプロピレンモノオール、特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール又はフェノールを出発物質とするものが優先される。これらの中でも、アルキルアルコールを出発物質とする、特にメタノール、エタノール又はn-ブタノールを出発物質とするポリオキシプロピレンモノオールが優先される。650~2000g/mol、特に700~1500g/molの範囲の平均分子量を有する、n-ブタノールを出発物質とするポリオキシプロピレンモノオールが特に優先される。n-ブタノールを出発物質とするポリオキシプロピレンモノオールは、例えば、Synalox(登録商標)100-20B、Synalox(登録商標)100-40B又はSynalox(登録商標)100-85B(全てDowDuPont Inc.より)として市販されている。
【0060】
12~155mg KOH/g、好ましくは22~125mg KOH/g、特に45~125mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリオキシプロピレンジオールが更に優先される。
【0061】
更に、平均OH官能基数が2.2~3の範囲であり、22~230mg KOH/g、好ましくは56~165mg KOH/gの範囲のOH価を有する、トリメチロールプロパン又は特にグリセロールを出発物質とする、任意選択的にエチレンオキシドを末端とするポリオキシプロピレントリオールが優先される。
【0062】
更に、平均OH官能基数が少なくとも3、特に少なくとも3~6の範囲である、糖アルコールを出発物質とするポリオキシプロピレンポリオール、特にトレイトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール又はソルビトールを出発分子(開始剤分子)とするものが優先される。
【0063】
硬化性組成物は、好ましくは、ポリエーテル構造単位、特に主にポリオキシプロピレン構造単位のフラクションを有する少なくとも1つの硬化性ポリマーを含む。ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、そのような硬化性組成物中で特に相溶性を有し、分離又は移行する傾向をほとんど示さない。
【0064】
硬化性組成物は、好ましくは、イソシアネート及び/又はシラン基を含有する少なくとも1つのポリマーを含む。
【0065】
イソシアネート及び/又はシラン基を含有するポリマーは、好ましくは、1000~30000g/mol、特に2000~20000g/molの範囲の平均分子量を有する。
【0066】
これは、好ましくは、室温で液体である。
【0067】
好ましい実施形態では、組成物は、イソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリマーを含有する。そのような組成物は、「ポリウレタン組成物」とも呼ばれる。
【0068】
イソシアネート基を含有する適切なポリマーは、特に、少なくとも1つのポリオールと、化学量論量より多い少なくとも1つのジイソシアネートとの反応から得られる。反応は、好ましくは、20~160℃、特に40~140℃の範囲の温度において、水分を排除して、任意選択的に適切な触媒の存在下で行われる。
【0069】
NCO/OH比は、好ましくは、1.3/1~10/1の範囲である。OH基の反応後に反応混合物中に残存しているモノマー状のジイソシアネートは、除去することができ、特に蒸留によって除去することができる。
【0070】
過剰のモノマー状ジイソシアネートが蒸留により除去される場合、反応中のNCO/OH比は、好ましくは、4/1~7/1の範囲であり、得られるイソシアネート基含有ポリマーは、蒸留後、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下のモノマー状ジイソシアネートを含有する。モノマー状ジイソシアネートは、特に減圧下でのショートパス蒸留によって除去される。
【0071】
過剰のモノマー状ジイソシアネートがポリマーから除去されない場合、反応におけるNCO/OH比は、好ましくは、1.3/1~2.5/1の範囲である。
【0072】
得られたポリマーは、好ましくは、0.5重量%~10重量%、特に1重量%~5重量%、より好ましくは1重量%~3重量%の範囲のイソシアネート基の含有量及び1500~20000g/mol、特に2000~15000g/molの範囲の平均分子量を有する。
【0073】
ポリマーは、任意選択的に、可塑剤又は溶媒を追加で使用して調製され、この場合、使用される可塑剤又は溶媒は、イソシアネートに対して反応性のある基を含有しない。
【0074】
脂肪族、脂環式又は芳香族のジイソシアネート、特にヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、ペルヒドロ(ジフェニルメタン2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート)(H12MDI)、ジフェニルメタン2,4’-及び/若しくは2,2’-ジイソシアネートのフラクションあり若しくはなしのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)又はトリレン2,4-ジイソシアネート若しくはそれとトリレン2,6-ジイソシアネートとの混合物(TDI)が優先される。
【0075】
特に、HDI、IPDI、MDI若しくはTDI又はこれらの混合物が優先される。
【0076】
適切なポリオールは、市販のポリオール又はそれらの混合物であり、特に以下のものである:
- ポリエーテルポリオール、特にポリオキシアルキレンジオール及び/又はポリオキシアルキレントリオール、特にエチレンオキシド、又は1,2-プロピレンオキシド、又は1,2-若しくは2,3-ブチレンオキシド、又はオキセタン、又はテトラヒドロフラン或いはこれらの混合物の重合生成物であり、これらは、2つ又は3つの活性水素原子を有する出発分子(開始剤分子)、特に水、アンモニア又は複数のOH若しくはNH基を有する化合物、例えばエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-若しくは-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体ジプロピレングリコール若しくはトリプロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、シクロヘキサン-1,3-若しくは-1,4-ジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール又はアニリン或いは前述した化合物の混合物などの出発分子(開始剤分子)を用いて重合され得る。同様に適切なものは、ポリマー粒子がその中に分散しているポリエーテルポリオール、特にスチレン/アクリロニトリル(SAN)粒子又はポリ尿素若しくはポリヒドラゾジカーボンアミド(PHD)粒子を含むものである。
【0077】
好ましいポリエーテルポリオールは、ポリオキシプロピレンジオール若しくはポリオキシプロピレントリオール又はいわゆるエチレンオキシド末端(EOでキャップされているかEOが先端の)ポリオキシプロピレンジオール若しくはトリオールである。後者は、混合ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンポリオールであり、これらは、特に、ポリプロポキシル化反応の結果として、ポリオキシプロピレンジオール又はトリオールがエチレンオキシドで更にアルコキシル化され、結果として一級ヒドロキシル基を有することで得られる。
【0078】
好ましいポリエーテルポリオールは、0.02meq/g未満、特に0.01meq/g未満の不飽和レベルを有する。
- 公知のプロセス、特にヒドロキシカルボン酸若しくはラクトンの重縮合又は脂肪族及び/若しくは芳香族ポリカルボン酸と二価若しくは多価アルコールとの重縮合によって調製される、オリゴエステロールとも呼ばれるポリエステルポリオール。特に、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン若しくは前述したアルコールの混合物などの二価アルコールと、有機ジカルボン酸又はその無水物若しくはエステル、例えば特にコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸若しくはシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸或いは前述した酸の混合物との反応からのポリエステルジオール又は特にε-カプロラクトンなどのラクトンから形成されるポリエステルポリオールが優先される。特に、アジピン酸又はセバシン酸又はドデカンジカルボン酸とヘキサンジオール又はネオペンチルグリコールとから形成されるポリエステルポリオールが優先される。
- 例えば、ポリエステルポリオールを形成するために使用される上述したアルコールと、炭酸ジアルキル、炭酸ジアリール又はホスゲンとの反応により得られるポリカーボネートポリオール。
- 少なくとも2つのOH基を有し、上述したタイプのポリエーテル、ポリエステル及び/又はポリカーボネート構造を有する少なくとも2つの異なるブロックを有するブロックコポリマー、特にポリエーテルポリエステルポリオール。
- ポリアクリレート又はポリメタクリレートポリオール。
- ポリヒドロキシ官能性油脂、例えば天然油脂、特にヒマシ油;又は天然油脂の化学変性によって得られるポリオール(オレオケミカルポリオールと呼ばれる)、例えば不飽和油のエポキシ化と、それに続くカルボン酸若しくはアルコールによる開環とによって得られるエポキシポリエステル若しくはエポキシポリエーテル又は不飽和油のヒドロホルミル化及び水素化によって得られるポリオール;又はアルコール分解若しくはオゾン分解及びそれに続く例えばこのようにして得た分解生成物若しくはその誘導体のエステル交換若しくは二量化による化学結合などの分解プロセスによる、天然油脂から得られるポリオール。天然の油脂の適切な分解生成物は、特に脂肪酸及び脂肪族アルコール並びに脂肪酸エステル、特に例えばヒドロホルミル化及び水素化によってヒドロキシ脂肪酸エステルに誘導体化することができるメチルエステル(FAME)である。
- 特にポリヒドロキシ官能性ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソプレンなど、オリゴヒドロカルボノール(oligohydrocarbonol)とも呼ばれるポリ炭化水素ポリオール;例えばKraton Polymersにより製造されているような、ポリヒドロキシ官能性エチレン/プロピレン、エチレン/ブチレン又はエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー;特にアニオン重合により調製することも可能である、ジエン、特に1,3-ブタジエンのポリヒドロキシ官能性ポリマー;1,3-ブタジエン又はジエン混合物などのジエンと、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレン又はイソプレンなどのビニルモノマーとのポリヒドロキシ官能性コポリマー、特に具体的にはエポキシド又はアミノアルコールとカルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーとから調製することができるポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(例えば、Emerald Performance MaterialsからHypro(登録商標)CTBN又はCTBNX又はETBNという名称で市販);又はジエンの水素化ポリヒドロキシ官能性ポリマー又はコポリマー。
【0079】
また、ポリオールの混合物も特に適している。
【0080】
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオール又はポリブタジエンポリオールが優先される。
【0081】
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、特に脂肪族ポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオール、特に脂肪族ポリカーボネートポリオールが特に優先される。
【0082】
特に好ましいものは、ポリエーテルポリオール、特にポリオキシアルキレンポリオールである。
【0083】
最も好ましいものは、ポリオキシプロピレンジ-若しくはトリオール又はエチレンオキシド末端ポリオキシプロピレンジ-若しくはトリオールである。
【0084】
平均分子量が400~20000g/mol、好ましくは1000~15000g/molの範囲であるポリオールが優先される。
【0085】
1.6~3の範囲の平均OH官能基数を有するポリオールが優先される。
【0086】
室温で液体であるポリオールが優先される。
【0087】
イソシアネート基を含有するポリマーの調製において、二官能性又は多官能性アルコールのフラクション、特にエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2-メチロールプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,3-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヘキサン-1,2-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,2-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,3-若しくは-1,4-ジメタノール、エトキシル化ビスフェノールA、プロポキシル化ビスフェノールA、シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、二量体脂肪酸アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール(特にキシリトール、ソルビトール若しくはマンニトールなど)又は糖(特にスクロースなど)或いは言及したアルコールのアルコキシル化誘導体又は言及したアルコールの混合物を更に使用することも可能である。
【0088】
イソシアネート基を含有するポリマーは、好ましくは、1500~20000g/mol、特に2000~15000g/molの範囲の平均分子量を有する。
【0089】
イソシアネート基を含有するポリマーに加えて、組成物は、少なくとも1つのオリゴマー状イソシアネート又は室温で液体であるMDIの形態を含み得る。
【0090】
適切なオリゴマー状イソシアネートは、特に、Desmodur(登録商標)N100若しくはN3200(Covestro AGより)、Tolonate(登録商標)HDB若しくはHDB-LV(Vencorex Holding SASより)又はDuranate(登録商標)24A-100(旭化成より)などのHDIビウレット;Desmodur(登録商標)N3300、N3600若しくはN3790 BA(全てCovestro AGより)、Tolonate(登録商標)HDT、HDT-LV又はHDT-LV2(Vencorex Holding SASより)、Duranate(登録商標)TPA-100若しくはTHA-100(旭化成株式会社より)又はCoronate(登録商標)HX(東ソー株式会社より)などのHDIイソシアヌレート;Desmodur(登録商標)N3400(Covestro AGより)などのHDIウレトジオン;Desmodur(登録商標)XP2410(Covestro AGより)などのHDIイミノオキサジアジンジオン;Desmodur(登録商標)VP LS 2102(Covestro AGより)などのHDIアロファネート;例えばDesmodur(登録商標)Z4470(Covestro AGより)のような溶液中の又はVestanat(登録商標)T1890/100(Evonik Industries AGより)のような固体形態の、IPDIイソシアヌレート;Desmodur(登録商標)IL(Covestro AGより)などのTDIオリゴマー;又はDesmodur(登録商標)HL(Covestro AGより)などのTDI/HDIに基づく混合イソシアヌレートである。
【0091】
室温で液体であるMDIの形態は、部分的な化学修飾(特にカルボジイミド化、又はウレトンイミン形成、又はポリオールとの付加物形成)によって液化された4,4’-MDIであるか、又はこれは、4,4’-MDIと、ブレンドすることにより選択的に得たものであるか若しくは製造プロセスにより得たものである他のMDI異性体(2,4’-MDI及び/又は2,2’-MDI)、及び/又はMDIオリゴマー、及び/又はMDI類似体(ポリメリックMDI又はPMDI)との混合物である。
【0092】
本発明の好ましい実施形態では、硬化性組成物は、イソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリマーに加えて、少なくとも1つの潜在性硬化剤を含む。このようなポリウレタン組成物は、特に硬化中に膨れが発生しにくい。
【0093】
好ましい潜在性硬化剤は、ケチミン、アルジミン又はオキサゾリジンであり、特にオキサゾリジン又はアルジミンであり、最も好ましくはアルジミンである。
【0094】
式
【化1】
のアルジミンが優先され、式中、yは、2又は3であり、Aは、2~23の炭素原子を有する有機基であり、及びBは、6~30の炭素原子を有する有機基である。
【0095】
Aは、好ましくは、環状成分を任意選択的に有し得るアルキレン基又は5~15の炭素原子を有する二価若しくは三価のポリオキシアルキレン基、特に1,6-ヘキシレン、170~300g/molの範囲の平均分子量を有する(1,5,5-トリメチルシクロヘキサン-1-イル)メタン-1,3若しくはα,ω-ポリオキシプロピレン又は330~500g/molの範囲の平均分子量を有するトリメチロールプロパンを出発物質とするトリス(ω-ポリオキシプロピレン)である。
【0096】
Bは、好ましくは、7~22の炭素原子を有する有機基、特に2,2-ジメチル-3-アセトキシプロピリデン、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン、2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロピリデン、ベンジリデン又はアルキル置換ベンジリデン、特に4-デシルベンジリデン、4-ウンデシルベンジリデン、4-ドデシルベンジリデン、4-トリデシルベンジリデン又は4-テトラデシルベンジリデンであり、これらの中の4-アルキル基が主に分岐している。
【0097】
より好ましくは、Bは、少なくとも15の炭素原子を有する基、特に2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン又はアルキル置換ベンジリデンである。そのようなアルジミンは、無臭である。
【0098】
式
【化2】
のアルジミンは、特に、縮合の水を除去しながら、式A-(NH
2)
yのアミンを式O=Bのアルデヒドと反応させることによって得られる。
【0099】
好ましいアミンA-(NH2)yは、脂肪族又は脂環式の一級ジアミン又はトリアミン、特にヘキサメチレン-1,6-ジアミン、イソホロンジアミン、200~350g/molの範囲の平均分子量を有するα,ω-ポリオキシプロピレンジアミン、特にJeffamine(登録商標)D-230(Huntsman Corp.より)又はトリメチロールプロパンを出発物質とするトリス(ω-ポリオキシプロピレンアミン)、特にJeffamine(登録商標)T-403(Huntsman Corp.より)である。
【0100】
好ましいアルデヒドO=Bは、カルボン酸のアルドールエステル、特に2,2-ジメチル-3-アセトキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシロキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナール、ベンズアルデヒド又はアルキル基で置換されたベンズアルデヒド、特に4-アルキル基が主に分岐している4-デシルベンズアルデヒド、4-ウンデシルベンズアルデヒド、4-ドデシルベンズアルデヒド、4-トリデシルベンズアルデヒド又は4-テトラデシルベンズアルデヒド及びアルキル基によって置換されたこれらのベンズアルデヒドの混合物である。
【0101】
水分に触れると、潜在性硬化剤は、アミノ基と、場合によりヒドロキシル基とを放出し、これらは、イソシアネートと反応し、架橋剤として機能する。これにより、アルデヒド又はケトンが放出される。
【0102】
Bが、長鎖基、特に15以上の炭素原子を有する基である式O=Bの好ましいアルデヒドの場合、これは、臭気の問題を生じず、硬化後に組成物中に残り、これは、優れた相溶性を有し、更なる可塑剤として機能する。
【0103】
水とイソシアネートとの直接反応と比較して、潜在性硬化剤による架橋は、CO2が放出されないという利点を有し、硬化の過程で膨れが形成される傾向が大幅に減少する。
【0104】
追加の好ましい実施形態では、硬化性組成物は、シラン基を含有する少なくとも1つの有機ポリマーを含有する。そのようなポリマーは、「シラン変性ポリマー」(SMP)とも呼ばれ、そのため、そのような組成物は、SMP組成物とも呼ばれる。
【0105】
シラン基を含有する有機ポリマーは、好ましくは、式
【化3】
のシラン基を有し、式中、
R
aは、1~5つの炭素原子を有する直鎖又は分岐の一価ヒドロカルビル基、特にメチル又はエチルであり、
R
bは、1~8つの炭素原子を有する直鎖又は分岐の一価ヒドロカルビル基、特にメチルであり、
xは、0又は1又は2、好ましくは0又は1、特に0の値を有する。
【0106】
メトキシシラン基は、ここで、これらが特に反応性であるという利点を有する。エトキシシラン基は、毒物学的に有利であり、特に貯蔵安定性があるという利点を有する。
【0107】
トリメトキシシラン基、ジメトキシメチルシラン基又はトリエトキシシラン基が特に優先される。
【0108】
最も好ましいものは、トリメトキシシラン基又はトリエトキシシラン基である。
【0109】
シラン基を含有する好ましい有機ポリマーは、ポリオレフィン、若しくはポリエステル、若しくはポリアミド、若しくはポリ(メタ)アクリレート、若しくはポリエーテル又はこれらのポリマーの混合形態である。シラン基は、鎖のペンダント位置又は末端の位置にあり得、また炭素原子を介して有機ポリマーに結合している。
【0110】
より好ましくは、シラン基を含有する有機ポリマーは、シラン基を含有するポリエーテルである。
【0111】
「シラン基を含有するポリエーテル」は、少なくとも1つのシラン基を含有する有機ポリマーを指し、ポリマー鎖は、主にポリエーテル単位、特に1,2-オキシプロピレン単位を有する。ポリエーテル単位と同様に、ウレタン基、尿素基、チオウレタン基、エステル基又はアミド基が存在することも特に可能である。
【0112】
シラン基を含有するポリエーテルは、好ましくは、少なくとも50重量%、特に少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の1,2-オキシプロピレン単位を含有する。
【0113】
シラン基を含有する適切なポリエーテルを調製するためのプロセスは、当業者に公知である。
【0114】
好ましいプロセスでは、シラン基を含有するポリエーテルは、アリル基を含有するポリエーテルのヒドロシランとの反応から得られ、任意選択的に例えばジイソシアネートを使用した鎖の延長を伴い得る。
【0115】
更に好ましいプロセスでは、シラン基を含有するポリエーテルは、アルキレンオキシドとエポキシシランとの共重合から得られ、任意選択的に例えばジイソシアネートを使用した鎖の延長を伴い得る。
【0116】
更に好ましいプロセスでは、シラン基を含有するポリエーテルは、ポリエーテルポリオールとイソシアナトシランとの反応から得られ、任意選択的にジイソシアネートを使用した鎖の延長を伴い得る。
【0117】
更に好ましいプロセスでは、シラン基を含有するポリエーテルは、イソシアネート基を含有するポリエーテルとアミノシラン、ヒドロキシシラン又はメルカプトシランとの反応から得られる。このプロセスからのシラン基を含有するポリエーテルが特に好ましい。このプロセスにより、様々なポリマー特性、特に高い伸展性、高い強度、低い弾性率、低いガラス転移温度又は高い耐候性が得られる、市場で容易に入手可能な多数の安価な出発材料を使用することができる。
【0118】
より好ましくは、シラン基を含有するポリエーテルは、イソシアネート基を含有するポリエーテルとアミノシラン、及び/又はヒドロキシシラン、及び/又はメルカプトシランとの反応から得られる。
【0119】
イソシアネート基を含有する適切なポリエーテルは、ポリエーテルポリオール、特にポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、好ましくはポリオキシプロピレンジオール又はポリオキシプロピレントリオールと、化学量論量より多い量のジイソシアネートとの反応から特に得られる。
【0120】
ジイソシアネートとポリエーテルポリオールとの間の反応は、50℃~160℃の温度において、任意選択的に適切な触媒の存在下で水分を排除して行われ、そのイソシアネート基は、ポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論量より過剰に存在するようにジイソシアネートが添加されていることが好ましい。特に、過剰のジイソシアネートは、全てのヒドロキシル基の反応後、ポリマー全体を基準として0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~4重量%、より好ましくは0.3重量%~3重量%の遊離イソシアネート基の含有量を残すように選択される。
【0121】
好ましいジイソシアネートは、既に上で述べたものである。IPDI又はTDIが特に優先される。最も好ましいものは、IPDIである。これにより、特に優れた耐光性を有するシラン基含有ポリエーテルが得られる。
【0122】
ポリエーテルポリオールとして特に適切なものは、不飽和度が0.02meq/g未満、特に0.01meq/g未満であり、平均分子量が400~25000g/mol、特に1000~20000g/molの範囲であるポリオキシプロピレンジオールである。
【0123】
ポリエーテルポリオールに加えて、一定の割合の他のポリオール、特にポリアクリレートポリオール及び低分子量ジオール又はトリオールを使用することも可能である。
【0124】
イソシアネート基を含有するポリエーテルとの反応に適したアミノシランは、一級、特に二級アミノシランである。3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3-メチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、一級アミノシラン(3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン又はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランなど)とマイケル受容体(アクリロニトリル、(メタ)アクリルエステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸若しくはフマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル又はイタコン酸ジエステルなど)とから形成される付加体、特にジメチル又はジエチルN-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミノスクシネートが優先される。同様に適切なものは、ケイ素上のメトキシ基の代わりにエトキシ基を有する列挙されたアミノシランの類似体である。
【0125】
イソシアネート基を含有するポリエーテルとの反応に適したヒドロキシシランは、ラクトン又は環状カーボネート又はラクチドへのアミノシランの付加から特に得られる。
【0126】
このようにして得られる好ましいヒドロキシシランは、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-2-ヒドロキシプロパンアミド、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-2-ヒドロキシプロパンアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシペンタンアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシオクタンアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-5-ヒドロキシデカンアミド又はN-(3-トリエトキシシリルプロピル)-2-ヒドロキシプロピルカルバメートである。
【0127】
更に適切なヒドロキシシランは、エポキシドへのアミノシランの付加又はエポキシシランへのアミンの付加から得られる。
【0128】
このようにして得られる好ましいヒドロキシシランは、2-モルホリノ-4(5)-(2-トリメトキシシリルエチル)シクロヘキサン-1-オール、2-モルホリノ-4(5)-(2-トリエトキシシリルエチル)シクロヘキサン-1-オール又は1-モルホリノ-3-(3-(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン-2-オールである。
【0129】
イソシアネート基を含有するポリエーテルとの反応に適したメルカプトシランは、特に3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン又は3-メルカプトプロピルトリエトキシシランである。
【0130】
シラン基を含有する更に適切なポリエーテルは、市販の製品、特に以下のものである:MS Polymer(商標)(株式会社カネカより;特にS203H、S303H、S227、S810、MA903及びS943製品);MS Polymer(商標)又はSilyl(商標)(株式会社カネカより;特にSAT010、SAT030、SAT200、SAX350、SAX400、SAX725、MAX450、MAX951製品);Excestar(登録商標)(旭硝子株式会社より;特にS2410、S2420、S3430、S3630製品);SPUR+*(Momentive Performance Materials Inc.より;特に1010LM、1015LM、1050MM製品);Vorasil(商標)(DowDuPont Inc.より;特に602及び604製品);Desmoseal(登録商標)(Covestro AGより;特にS XP 2458、S XP 2636、S XP 2749、S XP 2774及びS XP 2821製品)、TEGOPAC(登録商標)(Evonik Industries AGより;特にSeal100、Bond150、Bond250製品)、Polymer ST(Hanse Chemie AG/Evonik Industries AGより;特に47、48、61、61LV、77、80、81製品);Geniosil(登録商標)STP(Wacker Chemie AGより;特にE10、E15、E30、E35製品)。
【0131】
より好ましくは、シラン基を含有するポリエーテルは、イソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリエーテルと、少なくとも1つのアミノシラン、及び/又はヒドロキシシラン、及び/又はメルカプトシランとの反応から得られる。
【0132】
好ましくは、ここで、アミノシラン及び/又はヒドロキシシラン及び/又はメルカプトシランは、ジメチルN-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミノスクシネート、ジエチルN-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミノスクシネート、ジメチルN-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノスクシネート、ジエチルN-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノスクシネート、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-2-ヒドロキシプロパンアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-2-ヒドロキシプロパンアミド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0133】
シラン基を含有する有機ポリマーの好ましい実施形態は、良好な貯蔵安定性、迅速な硬化及び特に良好な機械的特性、特に良好な強度及び高い熱安定性と組み合わされた高い弾性及び伸展性を有する組成物を可能にする。
【0134】
硬化性組成物は、好ましくは、特に充填剤、接着促進剤、乾燥剤、増粘剤及び触媒からなる群から選択される1つ以上の更なる成分を更に含む。
【0135】
適切な充填剤は、特に、任意選択的に脂肪酸(特にステアリン酸エステル)でコーティングされ得る粉砕若しくは沈降炭酸カルシウム、重晶石、石英粉、石英砂、ドロマイト、ウォラストナイト、焼成カオリン、マイカ若しくはタルクなどの層状ケイ酸塩、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ(熱分解プロセスからの微粉化されたシリカを含む)、セメント、石膏、フライアッシュ、工業的に製造されたカーボンブラック、黒鉛、金属粉末、例えばアルミニウム、銅、鉄、銀若しくは鋼、PVC粉末又は中空ビーズである。
【0136】
任意選択的に脂肪酸(特にステアリン酸エステル)でコーティングされ得る炭酸カルシウム、焼成カオリン又は工業的に製造されたカーボンブラックが優先される。
【0137】
好ましい実施形態では、組成物は、炭酸カルシウムに基づく少なくとも1つの充填剤を含む。これは、特に酢酸などの加水分解によってそこから放出される酸が炭酸カルシウムによって結合され、結果として臭気の放出を引き起こさないため、特にアセテート基などのエステル基の形態でブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルの場合に特に有利である。
【0138】
組成物は、好ましくは、5重量%~50重量%、特に10重量%~40重量%の、炭酸カルシウムに基づく充填剤を含有する。
【0139】
適切な接着促進剤は、特に、アミノシラン、例えば具体的には3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(2-アミノエチル)-N’-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン若しくはメトキシ基の代わりにエトキシを有するその類似体並びにN-フェニル-、N-シクロヘキシル-若しくはN-アルキルアミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリロイルシラン、アンヒドリドシラン、カルバマトシラン、アルキルシラン又はイミノシラン、これらのシランのオリゴマー形態、一級アミノシランとエポキシシラン若しくは(メタ)アクリロイルシラン若しくはアンヒドリドシランとから形成された付加物、アミノ官能性アルキルシルセスキオキサン、特にアミノ官能性メチルシルセスキオキサン若しくはアミノ官能性プロピルシルセスキオキサン又はチタネートである。
【0140】
イソシアネート基を含有する組成物のための接着促進剤として特に適しているものは、特に、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又は3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン、(メタ)アクリロイルシラン、アンヒドリドシラン、カルバマトシラン、アルキルシラン若しくはイミノシラン又はこれらのシランのオリゴマー形態である。
【0141】
シラン基を含有するポリマーを含む組成物に適した乾燥剤は、特にテトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン又はシラン基に対してα位に官能基を有するオルガノアルコキシシラン、特にN-(メチルジメトキシシリルメチル)-O-メチルカルバメート、(メタクリロイルオキシメチル)シラン、メトキシメチルシラン、オルトギ酸エステル、酸化カルシウム又はモレキュラーシーブ粉末である。
【0142】
イソシアネート基を含有する組成物に適した乾燥剤は、特にモレキュラーシーブ粉末、酸化カルシウム、p-トシルイソシアネートなどの高反応性イソシアネート、モノマー状ジイソシアネート又はオルトギ酸エステルである。
【0143】
適切な増粘剤は、特に尿素、ベントナイトなどの層状ケイ酸塩、ヒマシ油の誘導体、水添ヒマシ油、ポリアミド、ポリウレタン又はヒュームドシリカである。
【0144】
好ましい増粘剤は、室温で塗り広げ可能であり、且つ10重量%~25重量%の尿素化合物と、75重量%~90重量%の、上述したブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルとを含有するペーストである。そのようなペーストは、特に、ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテル中において、ジイソシアネート、特にジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートとモノアミン、特にn-ブチルアミンとを反応させることによって製造される。
【0145】
適切な触媒は、シラン基の架橋のための触媒、特に具体的にはスズ、チタン、ジルコニウム、アルミニウム若しくは亜鉛の化合物などの金属触媒及び/又は窒素化合物である。特に、ジブチルスズ(IV)ジアセテート、ジブチルスズ(IV)ジラウレート、ジブチルスズ(IV)ジネオデカノエート、ジブチルスズ(IV)ビス(アセチルアセトネート)又はジオクチルスズ(IV)ジラウレートなどのジオルガノスズ(IV)化合物;特にアルコキシ、カルボキシレート、1,3-ジケトネート、1,3-ケトエステレート又は1,3-ケトアミデート配位子とのチタン(IV)又はジルコニウム(IV)又はアルミニウム(III)又は亜鉛(II)錯体、特にオルガノチタネート;並びに特に1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン5-エン(DBN)、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン、N,N’-ジ-n-ヘキシルアセトアミジン(DHA)、2-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、2,5,5-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-2-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、1-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン又はその反応生成物などのアミン、アミジン;又は特に1-ブチルグアニジン、1,1-ジメチルグアニジン、1,3-ジメチルグアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、2-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-(3-(メチルジメトキシシリル)プロピル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン(TBD)、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン、7-シクロヘキシル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン(OTG)、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ(o-トリル)グアニジン、2-グアニジノベンズイミダゾール又はモノアミン、ポリアミン若しくはアミノシランとカルボジイミド、特にジシクロヘキシルカルボジイミド若しくはジイソプロピルカルボジイミドとの反応からのグアニジン;並びにビグアニド又はイミダゾールが優先される。
【0146】
オルガノチタネート、特にビス(エチルアセトアセタト)ジイソブトキシチタン(IV)(例えば、Dorf KetalからTysor(登録商標)IBAYとして市販)、ビス(エチルアセトアセタト)ジイソプロポキシチタン(IV)(例えば、Dorf KetalからTyzor(登録商標)DCとして市販)、ビス(アセチルアセトナト)ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(アセチルアセトナト)ジイソブトキシチタン(IV)、トリス(オキシエチル)アミンイソプロポキシチタン(IV)、ビス[トリス(オキシエチル)アミン]ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(2-エチルヘキサン-1,3-ジオキシ)チタン(IV)、トリス[2-((2-アミノエチル)アミノ)エトキシ]エトキシチタン(IV)、ビス(ネオペンチル(ジアリル)オキシ)ジエトキシチタン(IV)、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n-ブトキシ)チタネート、テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)チタネート又はポリブチルチタネート、特にビス(エチルアセトアセタト)ジイソブトキシチタン(IV)又はビス(エチルアセトアセタト)ジイソプロポキシチタン(IV)が優先される。
【0147】
更に、アミジン又はグアニジン、特にDBU、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-2-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、1-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン若しくはその反応生成物又はモノアミン、ポリアミン若しくはアミノシランとジシクロヘキシルカルボジイミド若しくはジイソプロピルカルボジイミドとの反応からのグアニジンが優先される。
【0148】
これらの触媒の組み合わせ、特に少なくとも1つのオルガノチタネートと少なくとも1つのアミジン又はグアニジンとの組み合わせが更に優先される。
【0149】
適切な触媒は、イソシアネート基の反応を加速するための触媒でもあり、特にジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジメチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート又はジオクチルスズジアセチルアセトネートなどの有機スズ(IV)化合物;ビスマス(III)又はジルコニウム(IV)の、特にアルコキシド、カルボキシレート、1,3-ジケトネート、オキシネート、1,3-ケトエステレート及び1,3-ケトアミデートから選択される配位子を有する錯体;又は特に2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)などの三級アミノ基を含有する化合物である。
【0150】
適切な触媒は、潜在性硬化剤の加水分解のための触媒でもあり、特に2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ネオデカン酸、安息香酸、サリチル酸又は2-ニトロ安息香酸などのカルボン酸、有機カルボン酸無水物、カルボン酸のシリルエステル、有機スルホン酸、スルホン酸エステル、他の有機酸若しくは無機酸又は上記酸若しくはエステルの混合物である。安息香酸、2-ニトロ安息香酸又は特にサリチル酸などの芳香族カルボン酸が優先される。
【0151】
硬化性組成物は、特に以下の更なる添加剤を含有し得る:
- 無機若しくは有機顔料、特に二酸化チタン、酸化クロム又は酸化鉄;
- 追加の可塑剤;
- 繊維、特にガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、ポリマー繊維(ポリアミド繊維若しくはポリエチレン繊維など)又は天然繊維(ウール、セルロース、麻若しくはサイザルなど);
- グラフェン又はカーボンナノチューブなどのナノフィラー;
- 染料;
- イソシアネート基及び/又はシラン基の反応を促進する追加の触媒、特にスズ(II)、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジオキソモリブデン又はカリウムの塩、石鹸又は錯体、特に乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム又は酢酸カリウム;三級アミノ基を含有する化合物、特にN-エチルジイソプロピルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルアルキレンジアミン、ペンタメチルアルキレントリアミン及びそれらのより高次の類似体、ビス(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、N-アルキルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン;4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾール又は1,2-ジメチルイミダゾールなどの芳香族窒素化合物;ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド又はアルコキシル化三級アミンなどの有機アンモニウム化合物;及び公知の金属又はアミン触媒の変性物である、いわゆる「遅延作用」触媒;
- 溶媒、特にアセトン、酢酸メチル、酢酸tert-ブチル、酢酸1-メトキシ-2-プロピル、3-エトキシプロピオン酸エチル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、アセタール(プロピラール、ブチラール、2-エチルヘキシラール、ジオキソラン、グリセロールホルマール又は2,5,7,10-テトラオキサウンデカン(TOU)など)、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、ナフサ、ホワイトスピリット、石油エーテル若しくはガソリン、特にSolvessoTMグレード(ExxonMobil Chemical Co.より)及びプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、p-クロロベンゾトリフルオリド又はベンゾトリフルオリド;
- ロジン、シェラック、亜麻仁油、ヒマシ油又は大豆油などの天然樹脂、油脂;
- 非反応性ポリマー、特に不飽和モノマーのホモポリマー又はコポリマー、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル又はアルキル(メタ)アクリレートを含む群から選択されるもの、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)又はアタクチックポリ-α-オレフィン(APAO);
- 難燃性物質、特に前述した水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム充填剤並びに特にトリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(クロロイソプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、イソプロピル化トリフェニルホスフェート、様々なイソプロピル化度のモノ-、ビス-若しくはトリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)又はアンモニウムポリホスフェートなどの特に有機リン酸エステル;
- 添加剤、特に湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、脱気剤、酸化、熱、光若しくは紫外線に対する安定剤又は殺生物剤;又は
硬化性組成物で一般的に使用される更なる物質。
【0152】
特定の物質を組成物中に混合する前にそれらを化学的又は物理的に乾燥させることが望ましい場合がある。
【0153】
硬化性組成物は、好ましくは、脂肪族アルコールエステル含有可塑剤をほとんど含まない。これは、特にフタル酸エステルをほとんど含まない。これは、好ましくは、2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、特に0.5重量%未満のフタル酸エステルを含有する。
【0154】
硬化性組成物は、好ましくは、10重量%~40重量%の、ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルを含有する。
【0155】
好ましい硬化性組成物は、
- 10重量%~50重量%の、イソシアネート及び/又はシラン基を含有するポリマー、
- 20重量%~60重量%の充填剤、及び
- 10重量%~40重量%の、ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテル
を含む。
【0156】
硬化性組成物は、特に水分を排除して製造され、防湿容器内に周囲温度で保管される。適切な防湿容器は、特に任意選択的にコーティングされた金属及び/又はプラスチックからなり、特にドラム、輸送ボックス、ペール缶、バケツ、キャニスター、缶、バッグ、管状バッグ、カートリッジ又はチューブである。
【0157】
硬化性組成物は、一液型(一成分型)組成物の形態であり得るか、又は多液型(多成分型)、特に二液型(二成分型)の組成物であり得る。
【0158】
「一液型(一成分型)」組成物と呼ばれる組成物は、組成物の全ての成分が同じ容器内にあり、それ自体が貯蔵安定性を有し、水分で硬化可能であるものである。
【0159】
「二液型(二成分型)」組成物と呼ばれる組成物は、組成物の成分が別々の容器内で保管され、組成物の塗布の直前又は塗布中まで互いに混合されない2つの異なる成分であるものである。
【0160】
硬化性組成物は、好ましくは、一液型湿気硬化性組成物である。適切に包装及び貯蔵すると、これは、貯蔵安定性を有し、典型的には数か月~最大1年以上にわたって安定である。
【0161】
本発明の使用において、硬化性組成物は、少なくとも1つのアルカリ性基材に塗布される。基材は、特に洗浄方法又は活性化剤若しくはプライマーの塗布により、塗布前に前処理され得、その場合、塗布された活性化剤又はプライマーは、典型的には基材の表面を完全にシーリングせず、その結果、これは、少なくとも一部において依然としてアルカリ反応を与える。
【0162】
組成物を塗布すると、硬化プロセスが開始する。これにより、硬化された組成物が得られる。
【0163】
一液型湿気硬化性組成物の場合、それは、そのまま塗布され、その後、湿気又は水の影響下で硬化を開始する。硬化を促進するために、水及び/若しくは触媒を含有若しくは放出する促進剤成分を塗布時に組成物中に混合することができるか、又は組成物をその塗布後にそのような促進剤成分と接触させることができる。
【0164】
二液型組成物の場合、二成分の混合後に塗布され、内部反応により硬化し始め、硬化は、外的な水分の作用により完了することができる。2つの成分は、動的ミキサー又は静的ミキサーを用いて、連続的に又はバッチ形式で混合することができる。
【0165】
硬化の過程において、存在するイソシアネート基は、水分の影響下で互いに且つ/又は組成物中に存在する任意の追加の反応性基、特にヒドロキシル基又はアミノ基と反応する。更に、存在するイソシアネート基は、存在する任意の潜在性硬化剤の加水分解反応性基と反応する。存在するシラン基は、硬化の過程で水分の影響下で互いに反応する。これらは、水分と接触すると加水分解されて、シラノール基(Si-OH基)を与えることができる。存在するシラン基は、存在するシラノール基と縮合してシロキサン基(Si-O-Si基)を与えることができる。
【0166】
湿気硬化型組成物の硬化に必要な水分は、好ましくは、空気からの拡散(空気の湿気)によって組成物中に入る。その過程において、空気と接触する組成物の表面に、硬化された組成物の固体層(スキン)が形成される。硬化は、外側から内側への拡散の方向に継続し、スキンは、一層厚くなり、最終的に塗布された組成物全体を取り囲む。水分は、組成物が塗布された1つ以上の基材から追加的若しくは完全に組成物中に入ることもでき、且つ/又は塗布時に組成物中に混合されるか、或いは例えば塗装又は噴霧によって塗布した後にそれと接触する促進剤成分からもたらされる場合がある。
【0167】
硬化性組成物は、好ましくは、周囲温度、特に約-10~50℃の範囲、好ましくは-5~45℃の範囲、特に0~40℃で塗布される。
【0168】
組成物は、好ましくは、周囲温度で同様に硬化される。
【0169】
硬化性組成物は、特に接着剤又はシーラントとして使用するために、高い降伏点を有し、ペースト状の稠度を有するように配合することができる。そのような組成物は、スパチュラ又は適切な装置により、例えばカートリッジガン、又はドラムポンプ、又は塗布ロボットによって圧力下で塗布することができ、組成物は、本質的に円形又は三角形の断面積を有するビードの形態で特に放出される。塗布される組成物の層の厚さは、特に0.5~50mm、好ましくは1~30mmの範囲である。
【0170】
硬化性組成物は、特にシーリングコンパウンド又はコーティングとして使用するために、流動性且つ「セルフレベリング性」又はわずかのみチキソトロピー性を有するように配合することもできる。そのような組成物は、それを流し入れること又はスパチュラによって塗布することができる。その後、これは、コーティングの形態において、例えばローラー、ドクターブレード、クシメ鏝又はゴム製スクイージーにより、望みの層厚さを得るために領域全体に分配することができる。1回の作業では、典型的には0.5~5mm、特に1~3mmの範囲の層の厚さが塗布される。
【0171】
硬化性組成物は、貯蔵安定性を有し、取り扱いが容易であり、硬化後の弾性が大きく、且つ分離又は移行する傾向を示さない。これは、可塑剤の加水分解によって引き起こされる厄介な臭気を発生させることなく、特にフレッシュ又はグリーンコンクリート又はセメントモルタルなどのアルカリ性基材の弾性接着、シーリング又はコーティングを可能にする。
【0172】
本発明は、接着、又はシーリング、又はコーティングの方法であって、
(i)上述した硬化性組成物を提供する工程、
(ii)上述した少なくとも1つのアルカリ性基材を提供する工程、
(iii)硬化性組成物をアルカリ性基材と接触させる工程、
(iv)組成物を硬化させる工程
を含む方法を更に提供する。
【0173】
二液型又は多液型組成物の場合、成分は、工程(iii)前に混合される。
【0174】
工程(iii)は、硬化性組成物をアルカリ性基材に塗布することによって行うことができる。
【0175】
更に、工程(iii)は、硬化性組成物を任意の基材に塗布し、次いで塗布された組成物をアルカリ性基材と接触させることによって行うことができる。
【0176】
組成物は、2つ以上の基材間に塗布することができるか、又は第1の基材に塗布した後に別の基材と接触させることができる。この場合、塗布された組成物が接触している基材の少なくとも1つは、上述したアルカリ性基材である。
【0177】
組成物と接触させることができる追加の基材は、特に、
- ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、セメントスクリード、繊維セメント、特に繊維セメント板、レンガ、タイル、石膏、特に石膏板又は無水スクリード又は花崗岩若しくは大理石などの天然石;
- PCC(ポリマー変性セメントモルタル)又はECC(エポキシ樹脂変性セメントモルタル)に基づく補修又はレベリング用コンパウンド;
- 亜鉛メッキ金属又はクロムメッキ金属などの表面仕上げされた金属又は合金を含む、アルミニウム、銅、鉄、鋼、非鉄金属などの金属又は合金;
- アスファルト又はビチューメン;
- 皮革、繊維製品、紙、木、樹脂(フェノール樹脂、メラミン樹脂又はエポキシ樹脂など)と接着された木材、樹脂/繊維製品複合材料又はポリマー複合材料と呼ばれる更なる材料;
- 硬質及び軟質のPVC、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、PMMA、ABS、SAN、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、PUR、POM、TPO、PE、PP、EPM又はEPDMなどのプラスチック、いずれの場合も未処理であるか、又は例えばプラズマ、コロナ若しくは炎により表面処理されたもの;
- 炭素繊維強化プラスチック(CFP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFP)及びシート成形コンパウンド(SMC)などの繊維強化プラスチック;
- 断熱発泡材、特にEPS、XPS、PUR、PIR、ロックウール、グラスウール又は発泡ガラス製のもの;
- コーティング又は塗装された基材、特に塗装されたタイル、コーティングされたコンクリート、粉体塗装された金属若しくは合金又は塗装された金属板
である。
【0178】
必要に応じて、特に物理的及び/若しくは化学的洗浄方法又は活性化剤若しくはプライマーの塗布により、塗布前に基材を前処理することができる。
【0179】
同一の又は異なる基材を接着及び/又はシーリングすることが可能である。
【0180】
複数の基材間への塗布は、特に接合用のシーラントの場合に典型的である一方、第1の基材への塗布とその後の第2の基材との接触は、接着剤に典型的である。そのような接着剤もシーリング機能を有し得る。
【0181】
コーティングは、典型的には1つの基材にのみ塗布されるが、コーティングが別の基材と例えばエッジ領域において接触する場合も考えられる。
【0182】
硬化性組成物は、その用途に応じて、好ましくは接着剤、又はシーラント、又はコーティングである。
【0183】
硬化された接着剤、又はシーラント、又はコーティングは、好ましくは、弾性を有する。
【0184】
組成物は、接着剤として、アルカリ性基材への建設業界における接着及びシーリング用途、特にフレッシュセメントスクリードへの寄木張りの接着又はフレッシュコンクリートへの構成要素の接着に特に適している。
【0185】
組成物は、シーラントとして、構造物中のアルカリ性基材の接合部、継ぎ目又は空洞のシーリング、特に構成要素間の伸縮継手又は接合継手のシーリングに特に適している。
【0186】
組成物は、コーティングとして、アルカリ性基材、特に床若しくは壁の保護、特にバルコニー、テラス、オープンスペース、橋、駐車場のコーティングとして、又は屋根、特に平坦な屋根、若しくはわずかに傾斜した屋根の領域、若しくはルーフガーデンのシーリングために、又は防水のために建物の内装において、例えば配管ユニット、若しくは台所の床タイル、若しくはセラミックプレートにおいて、又は台所、工業建築物若しくは製造スペースにおける床材として、又は回収タンク、チャネル、シャフト、サイロ、タンク若しくは廃水処理プラントのシーリングとして特に適している。
【0187】
接着、又はシーリング、又はコーティングの方法により、物品が得られる。
【0188】
したがって、本発明は、上述した組成物で接着、又はシーリング、又はコーティングされた物品を更に提供する。
【0189】
この物品は、特に地上若しくは地下又はその一部の建築構造、特に橋、屋根、階段、床若しくはファサード又はそれらの取り付け可能な構成要素であり得る。
【0190】
より好ましくは、物品は、フレッシュなままの、したがってアルカリ性のスクリードに接着されている、コンクリート又はセメントモルタルのスクリードに接着された寄木張りの床である。接着剤が比較的広い領域にわたって屋内で塗布される、すなわち発生する臭気の放出が特に強く、持続的であり、厄介であることから、アルカリ性媒体中で強い臭気の開裂生成物を放出しない接着剤の使用は、ここで、特に重要である。
【0191】
接着、又はシーリング、又はコーティングの方法により、接着剤接合が得られる。
【0192】
したがって、本発明は、接着剤接合であって、上述した硬化された組成物と、組成物に接着する少なくとも1つの基材とを含み、少なくとも1つの基材の表面は、上述したように組成物と接触する時点でアルカリ性であったものである、接着剤接合を更に提供する。
【0193】
硬化された組成物は、好ましくは、
- 10重量%~50重量%の硬化されたポリマー、
- 20重量%~60重量%の充填剤、及び
- 10重量%~40重量%の、ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテル
を含む。
【0194】
本発明の接着剤接合における硬化された組成物は、好ましくは、0.5~50mm、好ましくは1~30mmの範囲の層厚さを有する。
【0195】
接着剤接合は、組成物を用いて接着、シーリング又はコーティングされた物品の一部である。
【0196】
本発明の使用により、DIDP又はDINCHなどの一般的な可塑剤の場合に典型的に生じるような可塑剤の加水分解によって引き起こされる厄介な臭気を発生させることなく、特にフレッシュ又はグリーンコンクリート又はセメントモルタルなどのアルカリ性基材の弾性接着、シーリング又はコーティングが可能になる。
【実施例】
【0197】
以降では、記載された本発明を明らかにすることを目的とした実施例を提示する。当然のことながら、本発明は、これらの記載されている実施例に限定されない。
【0198】
「標準気候条件」(「SCC」)は、23±1℃の温度且つ50±5%の空気の相対湿度を指す。
【0199】
別段の記載がない限り、使用した化学物質は、Sigma-Aldrich Chemie GmbHからのものであった。
【0200】
ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルの調製:
粘度は、サーモスタット付きRheotec RC30コーンプレート粘度計(コーン径25mm、コーン角1°、コーンチップ-プレート距離0.05mm、せん断速度10s-1)で測定した。
【0201】
赤外線スペクトル(FT-IR)は、ダイヤモンド結晶を有する水平ATR測定ユニットを備えたThermo ScientificのNicolet iS5 FT-IR装置で未希釈フィルムとして測定した。吸収帯は、波数(cm-1)で報告されている。
【0202】
1H NMRスペクトルは、Bruker Ascend400タイプの分光計で400.14MHzにおいて測定した。ケミカルシフトδは、テトラメチルシラン(TMS)に対するppmで報告されている。真のカップリングパターンと疑似カップリングパターンとは、区別されなかった。
【0203】
ポリエーテル-1:n-ブタノールを出発物質とする平均分子量が約800g/molのアセチル化PPGモノオール
120.00gのn-ブタノールを出発物質とするたポリオキシプロピレンモノオール(Synalox(登録商標)100-20B、平均分子量約750g/mol;DowDuPont Inc.より)及び18.74gの無水酢酸を、窒素雰囲気下、蒸留アタッチメントを備えた丸底フラスコ内に最初に入れた。次いで、酢酸を蒸留物として回収しながら、130℃で穏やかな窒素流下で反応混合物を撹拌した。続いて、揮発性成分を80℃及び10mbarの減圧下で反応混合物から除去した。20℃で75mPa・sの粘度を有する無色透明の液体が得られた。
【0204】
FT-IR:2970,2931,2867,1738,1454,1372,1345,1296,1241,1098,1014,959,925,866,827。
【0205】
1H NMR(CDCl3):5.02(hept.,1H,CH2(CH3)CH-OAc),3.75-3.34(2xm,約39H,OCH2CH(CH3)O),3.33-3.28(m,2H,CH3CH2CH2CH2O),2.04(s,3H,O(CO)CH3),1.55(quint.,2H,CH3CH2CH2CH2O),1.36(sext.,2H,CH3CH2CH2CH2O),1.22(d,3H,CH2(CH3)CH-OAc),1.17-1.10(m,約36H,OCH2CH(CH3)O),0.91(t,3H,CH3CH2CH2CH2O)。
【0206】
ポリエーテル-2:平均分子量が約1100g/molのジアセチル化PPGジオール
80.00gのポリオキシプロピレンジオール(Voranol(登録商標)P1010、OH価110mg KOH/g;DowDuPont Inc.より)及び18.74gの無水酢酸を、ポリエーテル-1について説明した通りに変換した。20℃で145mPa・sの粘度を有する無色透明の液体が得られた。
【0207】
ポリエーテル-3:平均分子量が約2100g/molのジアセチル化PPGジオール
160.00gのポリオキシプロピレンジオール(Voranol(登録商標)P2000L、OH価56mg KOH/g;DowDuPont Inc.より)及び18.74gの無水酢酸を、ポリエーテル-1について説明した通りに変換した。20℃で400mPa・sの粘度を有する無色透明の液体が得られた。
【0208】
更なる出発材料の調製:
ポリマーP1:
3080gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200、Covestro AGより;OH価28.5mg KOH/g)、1540gのポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオール(Caradol(登録商標)MD34-02、Shell Chemicals Co.より;OH価35.0mg KOH/g)及び385gのトリレンジイソシアネート(Desmodur(登録商標)T80P、Covestro AG)を公知の方法で80℃において反応させることで、室温で液体であり、遊離イソシアネート基の含有量が1.50重量%であるNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0209】
アルジミン-1:N,N’-ビス(2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン
598g(2.1mol)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを最初に窒素雰囲気下で丸底フラスコ内に入れた。次いで、170.3g(1mol)の3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(Vestamin(登録商標)IPD、Evonik Industries AGより)をよく撹拌しながら添加し、次いで揮発性成分を80℃及び10mbarの減圧下で除去した。アミン含有量が2.73mmol N/gである732gの無色の液体が得られ、これは、367g/molの計算されたアルジミン当量に相当する。
【0210】
チキソトロピー剤T-1:
真空ミキサーに最初に300gのポリエーテル-1と48gのメチレンジフェニル4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44MCL、Covestro AGより)を入れ、わずかに加熱した後、激しく撹拌しながら27gのn-ブチルアミンをゆっくりと滴下した。得られたペーストを冷却しながら減圧下で更に1時間撹拌した。白色の微粉化された均質な塗り広げ可能なペーストが得られた。
【0211】
チキソトロピー剤T-2:
ポリエーテル-1の代わりに300gのポリエーテル-2を使用したことを除いて、チキソトロピー剤T-1について説明した通りに調製した。白色の微粉化された均質な塗り広げ可能なペーストが得られた。
【0212】
チキソトロピー剤T-3:
ポリエーテル-1の代わりに300gのフタル酸ジイソデシル(Palatinol(登録商標)10-P、BASF SEより)を使用したことを除いて、チキソトロピー剤T-1について説明した通りに調製した。白色の微粉化された均質な塗り広げ可能なペーストが得られた。
【0213】
チキソトロピー剤T-4:
ポリエーテル-1の代わりに300gのジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(Hexamoll(登録商標)DINCH、BASF SEより)を使用したことを除いて、チキソトロピー剤T-1について説明した通りに調製した。白色の微粉化された均質な塗り広げ可能なペーストが得られた。
【0214】
モルタル角柱の製造:
1300重量部(PW)の0~1mmのけい砂、200PWの粉砕石灰石(未焼成)及び900PWのCEMI42.5Nポルトランドセメントを用いてドライミックスを製造した。別途、400PWの水を6.3PWのSika(登録商標)ViscoCrete(登録商標)-3082(遅延剤/可塑剤;Sika Schweiz AGより)と混合し、この混合物をメカニカルミキサー内でドライミックスと3分間よく混合した。得られたモルタルを複数の80×40×40mmのモールド内に流し入れ、プラスチックフィルムで覆い、標準気候条件下で保管した。
【0215】
24時間後、プラスチックフィルムを剥がして硬化させたが、依然としてフレッシュなままであるモルタル角柱をモールドから取り出し、外側をスチールブラシでブラッシングし、ほこりを除去した。このようにして製造したフレッシュ(グリーン)モルタル角柱に、以下で説明する硬化性組成物を直ちに塗布した。
【0216】
硬化性(一液型)組成物の製造:
組成物Z1~Z5
各組成物について、表1で指定した成分を、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.)を使用して、水分を排除しながら3000rpmで1分間指定された量(重量部)で混合した。
【0217】
各組成物は、以下の通りに試験した:オープンタイムの尺度としてスキンタイム(ST)を決定した。この目的のために、数グラムの組成物を約2mmの層厚さで段ボールに塗布し、標準気候条件下、組成物の表面を穏やかに叩くために使用されるLDPEピペット上に残留物がもう残らない最初の時間を決定した。
【0218】
ショアA硬度は、標準気候条件下で14日間硬化した試験片でDIN53505により決定した。
【0219】
機械的特性を決定するために、組成物を、PTFEコーティングされたフィルムに塗布して厚さ2mmのフィルムを得てから、このフィルムを標準気候条件下で14日間保管し、30mmのバー長さ及び4mmのバー幅を有する長さ75mmのいくつかのダンベルをフィルムから打ち抜き、これらを引張強さ(破断荷重)、破断点伸び、弾性率5%(0.5%~5%の伸び)及び弾性率25%(0.5%~25%の伸び)について200mm/minのひずみ速度でDIN EN53504に従って試験した。
【0220】
製造したフィルムの外観を視覚的に評価した。「よい」は、膨れのない非粘着性のフィルムを表すために使用した。
【0221】
臭気は、製造したてのフィルムから2cmの距離において鼻で匂いを嗅ぐことによって評価した。「なし」は、臭いが知覚されなかったことを意味する。
【0222】
結果を表1に報告する。
【0223】
「(Ref.)」と表示された組成物は、ブロックされたヒドロキシル基を有する本発明のポリエーテルを含有しない。
【0224】
【0225】
フレッシュモルタル上での硬化性組成物の使用:
実施例1~5
上述した通りに製造した組成物Z1~Z5のそれぞれを、30×80mmの領域にわたって2mmの層厚さで上述した通りに製造した2つのフレッシュ(グリーン)モルタル角柱に塗布した。この方法でコーティングした最初の角柱を、80℃の空気循環式オーブン内の密閉されたアルミニウム缶内に24時間保管し、その後、臭気の発生を試験した。これらの結果は、「(1d80℃)」と示されている。2番目のコーティングされた角柱は、標準気候条件下で密閉されたアルミニウム缶内に7日間保管し、その後、同様に臭気の発生を試験した。これらの結果は、「(7dSCC)」と示されている。臭気の発生は、標準気候条件下でアルミニウム缶を慎重に開け、アルミニウム缶及び組成物のヘッドスペースの臭いを鼻で嗅ぐことによって臭気を直ちに感知することによって決定した。「なし」は、臭気が感じられなかったことを意味する。「弱い」は、固有の臭いとしての温かい状態の組成物に典型的なわずかな臭気を指す。「明らか」は、明らかに知覚できるカビ臭を指す。「強い」は、強いカビ臭を指す。
【0226】
結果を表2に報告する。
【0227】
(Ref.)と示されている実施例は、比較例である。
【0228】
【表2】
本開示に係る発明は、下記の態様を含む:
<態様1>
水で濡らすと少なくとも10のpHを有する少なくとも一つのアルカリ性基材上での、可塑剤としてのブロックされたヒドロキシル基を有する少なくとも一つのポリエーテルを含む硬化性組成物の使用。
<態様2>
前記アルカリ性基材は、フレッシュコンクリート、フレッシュセメントモルタル、フレッシュ石灰モルタル若しくはフレッシュ石灰、又はケイ酸塩塗料であることを特徴とする、態様1に記載の使用。
<態様3>
前記ブロックされたヒドロキシル基は、アセタール基、エステル基、アセトエステル基、カーボネート基及びウレタン基からなる群から選択されることを特徴とする、態様1又は2に記載の使用。
<態様4>
前記ポリエーテル中の繰り返し単位の70重量%~100重量%が1,2-プロピレンオキシ基からなり、かつ前記ポリエーテル中の繰り返し単位の0重量%~30重量%が1,2-エチレンオキシ基からなることを特徴とする、態様1~3のいずれか一項に記載の使用。
<態様5>
前記ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、移動相としてのテトラヒドロフラン、屈折率検出器、及び200g/molからの評価を用いて、標準としてのポリスチレンに対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、600~10000g/molの範囲の平均分子量M
n
を有することを特徴とする、態様1~4のいずれか一項に記載の使用。
<態様6>
前記ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテルは、以下のものからなる群から選択される少なくとも一つのヒドロキシ官能性ポリエーテル由来であることを特徴とする、態様1~5のいずれか一項に記載の使用:
- アルコールを出発物質とする、特にn-ブタノールを出発物質とする、25~90mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリオキシプロピレンモノオール、
- 12~155mg KOH/gの範囲のOH価を有するポリオキシプロピレンジオール、
- トリメチロールプロパン又は特にグリセロールを出発物質とする、任意選択的にエチレンオキシド末端の、2.2~3の範囲の平均OH官能基数と22~230mg KOH/gの範囲のOH価とを有するポリオキシプロピレントリオール、及び
- 糖アルコールを出発物質とする、特に、トレイトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール又はソルビトールを出発分子とする、3~6の範囲の平均OH官能基数を有するポリオキシプロピレンポリオール。
<態様7>
前記硬化性組成物は、イソシアネート基及び/又はシラン基を含有する少なくとも一つのポリマーを含むことを特徴とする、態様1~6のいずれか一項に記載の使用。
<態様8>
前記硬化性組成物は、イソシアネート基を含有する少なくとも一つのポリマーと、少なくとも一つの潜在性硬化剤とを含むことを特徴とする、態様1~7のいずれか一項に記載の使用。
<態様9>
前記硬化性組成物は、炭酸カルシウムに基づく少なくとも一つの充填剤を含むことを特徴とする、態様1~8のいずれか一項に記載の使用。
<態様10>
前記硬化性組成物は、以下のものを含むことを特徴とする、態様1~9のいずれか一項に記載の使用:
- 10重量%~50重量%の、イソシアネート基及び/又はシラン基を含有するポリマー、
- 20~60重量%の充填剤、及び
- 10重量%~40重量%の、ブロックされたヒドロキシル基を有するポリエーテル。
<態様11>
前記硬化性組成物は、一成分型湿気硬化性組成物であることを特徴とする、態様1~10のいずれか一項に記載の使用。
<態様12>
下記の工程を含む、接着、シーリング、又はコーティングの方法:
(i)態様1及び3~11のいずれか一項に記載の硬化性組成物を提供すること、
(ii)態様1又は2に記載の少なくとも一つのアルカリ性基材を提供すること、
(iii)前記硬化性組成物を前記アルカリ性基材と接触させること、
(iv)前記組成物を硬化させること。
<態様13>
態様12に記載の方法から得られる物品。
<態様14>
コンクリート又はセメントモルタルのスクリードに接着されている寄木張りの床であることを特徴とする、態様13に記載の物品。
<態様15>
態様1~11のいずれか一項に記載の使用又は態様12に記載の方法から得られる接着接合であって、前記硬化された組成物と、前記組成物に接着する少なくとも一つの基材とを含み、前記基材の表面は、前記組成物と接触した時点でアルカリ性であり、かつ水で濡らすと少なくとも10のpHを有していた、接着接合。