(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】基板処理システムのための高精度エッジリングのセンタリング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241223BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241223BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/302 101G
H05H1/46 R
H05H1/46 M
(21)【出願番号】P 2022557694
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(86)【国際出願番号】 US2020024326
(87)【国際公開番号】W WO2021194468
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン・フイ・リン
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラン・シーサーマン
(72)【発明者】
【氏名】エストーク・マーク
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-010992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0138069(US,A1)
【文献】特開2019-149423(JP,A)
【文献】国際公開第2020/036613(WO,A1)
【文献】特開2007-200965(JP,A)
【文献】国際公開第2007/126016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムのためのエッジリングのセンタリングシステムであって、
基板支持体およびR個のエッジリング・リフトピンを含む処理チャンバと、Rは3以上の整数であり、
底面に位置するP個の溝を含むエッジリングと、PはR以上の整数であり、
エンドエフェクタを含むロボットアームと、
光センサと、
エッジリングに対する較正された中心位置を決定するために初期較正を行うように構成されているコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記初期較正を行った後に、センタリングプロセスのM回の反復を行うように構成され、Mは2以上の整数であり、前記M回の反復の各々は、
前記光センサに、前記エンドエフェクタ上の前
記エッジリングの第1の位置を検知させ、
前記ロボットアームに、前記R個のエッジリング・リフトピン上の前記較正された第1の中心位置および最後の調整された中心位置の少なくともいずれかに、前記エッジリングを送出させ、
前記R個
のエッジリング・リフトピンから前
記エッジリングを取り出し、
前記光センサに、前記エンドエフェクタ上の前
記エッジリングの第2の位置を検知させ、
前記第1の位置および前記第2の位置に基づいてオフセットを決定し、
前記較正された中心位置および前記最後の調整された中心位置の前記少なくともいずれかに基づいて、前記オフセットを、前記オフセットと反対の方向に前記ロボットアームに加えて、前
記エッジリングの現在の位置を調整された中心位置に調整する
ことを含む、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、前記較正された中心位置と前記オフセットとに基づいて、前
記エッジリングに対する前記調整された中心位置を生成するように構成されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、さらに、
前記ロボットアームに、前記調整された中心位置に基づいて、前記R個のエッジリング・リフトピン上に、前
記エッジリングを送出させ、
前記R個のエッジリング・リフトピンから、前
記エッジリングを取り出し、
前記光センサに、前記ロボットアーム上の前
記エッジリングの前記第2の位置を検知させるように
構成されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、前記センタリングプロセスの前記
M回の反復の1回の間、前記第1の位置と前記第2の位置との差に基づいて、前記オフセットを更新するように構成されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、前記センタリングプロセスの前の反復中に決定された前記調整された中心位置と前記更新されたオフセットとに基づいて、前記センタリングプロセスの前記反復の前記1回の間に前記調整された中心位置を生成するように構成されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、さらに、前記センタリングプロセスの前記M回の反復を行った後に結果として生じたオフセットを、所定のオフセットと比較するように構成されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、さらに、前記比較に基づいて、前
記エッジリングがセンタリングされているか否かを判定するように構成されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記P個の溝は、「V」字型である、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記P個の溝は、前記エッジリングの前記底面の周りに、360°/Pの間隔で配置されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記P個の溝は、「V」字型であり、前記P個の溝の最低部分は、半径方向に延びる、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、前記ロボットアームに、前記M回の反復の最初の反復に対して前記較正された中心位置に、および、前記M回の反復のその後の反復に対して前記最後の調整された中心位置に、前
記エッジリングを送出させる、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、
前記M回目の反復に対する前記オフセットが所定の閾値より小さいか否かを決定し、
前記M回目の反復に対する前記オフセットが前記所定の閾値より小さいことに応答して、前
記エッジリングがセンタリングされていることを決定し、
前記M回目の反復に対する前記オフセットが前記所定の閾値以上であることに応答して、前
記エッジリングをセンタリングすることによりエラーが生じることを決定する
ように構成されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、前
記エッジリングの前記較正された中心位置に基づいて、交換エッジリングに対して前記センタリングプロセスを行うように構成されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のエッジリングのセンタリングシステムであって、前記コントローラは、
前
記エッジリングが前記R個のエッジリング・リフトピン上に設置されるまで前
記エッジリングを持ち上げることを避け、
前
記エッジリングが前記R個のエッジリング・リフトピン上に設置された後に、前記ロボットアームに、前記R個のエッジリング・リフトピンから前
記エッジリングを取り出させる
ように構成されている、エッジリングのセンタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理システムのためのエッジリングのセンタリングに関し、より詳細にはプラズマ処理システムのための除去可能なエッジリングの高精度センタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
ここに述べられる背景の説明は、本開示の関連において一般的に述べるためのものである。本明細書で名前が挙げられる発明者らの活動は、この「背景技術」の項で述べられる範囲において、および出願の時点においてそうでなければ従来技術とされ得ない本説明の態様は、明示的にも暗黙的にも、本開示に対して従来技術として認められない。
【0003】
基板処理システムは、半導体ウェハなどの基板を処理するために用いられ得る。基板に対して行うことができる例示のプロセスは、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、導体エッチング、および/または他のエッチング、堆積、もしくは洗浄処理を含むが、それらに限定されない。基板は、基板処理システムの処理チャンバ内のペデスタル、静電チャック(ESC)などの、基板支持体上に配置され得る。エッチングの間、1つまたは複数の前駆体を含むガス混合物が処理チャンバ内に導入され得、化学反応を起こさせるためにプラズマが用いられ得る。
【0004】
基板支持体は、基板を支持するように配置されたセラミック層を含み得る。例えば、基板は、処理の間にセラミック層に静電的に固定され得る。基板支持体は、基板支持体の外側部分(例えば、周辺部の外側および/またはそれに隣接した)の周りに配置されたエッジリングを含み得る。エッジリングは、基板の上に位置するプラズマを閉じ込めるおよび/または成形するため、ならびにエッチング均一性を改善するために提供され得る。
【発明の概要】
【0005】
プラズマ処理システムのためのエッジリングのセンタリングシステムは、基板支持体およびR個のエッジリング・リフトピンを含む処理チャンバを含み、Rは3以上の整数である。エッジリングは、底面に位置するP個の溝を含み、PはR以上の整数である。ロボットアームは、エンドエフェクタを含む。コントローラは、光センサに、エンドエフェクタ上のエッジリングの第1の位置を検知させ、ロボットアームに、エッジリング・リフトピンリフトピン上の第1の中心位置に、エッジリングを送出させ、エッジリング・リフトピンからエッジリングを取り出し、光センサに、エンドエフェクタ上のエッジリングの第2の位置を検知させるように構成されている。
【0006】
他の特徴において、コントローラは、さらに、第2の位置と第1の位置との差に基づいて、第1のオフセットを生成するように構成されている。コントローラは、さらに、第1の中心位置と第1のオフセットとに基づいて、エッジリングに対する第1の調整された中心位置を生成するように構成されている。
【0007】
他の特徴において、コントローラは、さらに、ロボットアームに、第1の調整された中心位置に基づいて、エッジリング・リフトピン上に、エッジリングを送出させ、エッジリング・リフトピンから、エッジリングを取り出し、光センサに、ロボットアーム上のエッジリングの第3の位置を検知させるようにさらに構成されている。
【0008】
他の特徴において、コントローラは、さらに、第3の位置と第2の位置との差に基づいて、第2のオフセットを生成するように構成されている。コントローラは、さらに、第1の調整された中心位置と第2のオフセットとに基づいて、第2の調整された中心位置を生成するように構成されている。
【0009】
他の特徴において、コントローラは、さらに、ロボットアームに、第2の調整された中心位置に基づいて、エッジリング・リフトピン上に、エッジリングを送出させ、エッジリング・リフトピンから、エッジリングを取り出し、光センサに、ロボットアーム上のエッジリングの第4の位置を検知させるように構成されている。コントローラは、さらに、第4の位置と第3の位置との差に基づいて、第3のオフセットを生成するように構成されている。コントローラは、さらに、第3のオフセットを、所定のオフセットと比較するように構成されている。
【0010】
他の特徴において、コントローラは、さらに、比較に基づいて、エッジリングがセンタリングされているかどうかを決定するように構成されている。P個の溝は、「V」字型である。P個の溝は、エッジリングの底面の周りに、360°/Pの間隔で配置されている。P個の溝は、「V」字型である。P個の溝の最低部分は、半径方向に延びる。
【0011】
本開示の適用性のさらなる領域は、「発明を実施するための形態」、「特許請求の範囲」、および図面から明らかになるであろう。「発明を実施するための形態」および特定の例は、例示のためのものにすぎず、本開示の範囲を限定するためのものではない。
【0012】
本開示は、「発明を実施するための形態」、および添付の図面から、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示によるプラズマ処理システムの例の機能ブロック図である。
【0014】
【
図2】本開示による処理チャンバ、エンドエフェクタを含むロボットアーム、およびエッジリングの例の斜視図である。
【0015】
【
図3】本開示による基板支持体、およびリフトピンによって支持されるエッジリングの例の断面図である。
【0016】
【
図4】本開示による溝を含むエッジリングの例の底面図である。
【0017】
【
図5】本開示によるエッジリングをセンタリングする方法の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面において、参照番号は、同様なおよび/または同一の要素を識別するために再使用され得る。
【0019】
いくつかの基板システムにおいて、エッジリングは、プラズマを成形するため、およびエッチング均一性を増加させるために用いられ得る。エッジリングが腐食するにつれて、腐食に関わらずエッチング均一性を維持するために、エッジリングの高さは、エッジリング・リフトピンによって調整され得る。複数の基板を処理した後、エッジリングはプラズマによって十分に摩耗される。
【0020】
いくつかの基板処理システムは、通常は基板を処理チャンバに送出しおよび処理チャンバ除去するために用いられるロボットアームを用いて、真空を破らずにエッジリングを交換することができる。本開示によるシステムおよび方法は、基板支持体に対してエッジリングを正確にセンタリングするために用いられ得る。
【0021】
次に
図1を参照すると、例示の基板処理システム100が示される。例示的な基板処理システム100は、RFプラズマを用いたエッチング、および/または他のタイプの基板処理を行うために用いられ得る。基板処理システム100は、基板処理システム100の他の構成要素を囲みRFプラズマを封じ込める処理チャンバ102を含む。処理チャンバ102は、上部電極104と、静電チャック(ESC)などの基板支持体106とを含む。動作中、基板108は、基板支持体106上に配置される。特定の基板処理システム100および処理チャンバ102が例示されているが、本開示の原理は、リモート・プラズマ生成および送出(例えば、プラズマ管、マイクロ波管を用いた)を用いる基板処理システムなど、エッジリングを用いた他のタイプの基板処理システムおよびチャンバに適用され得る。
【0022】
例示的な上部電極104は、プロセス・ガスを導入および分配するシャワーヘッド109などの、ガス分配装置を含み得る。シャワーヘッド109は、処理チャンバの上面に接続されている一方の端部を含むステム部分を含み得る。ベース部は、一般に円筒形であり、処理チャンバの上面から離間した位置において、ステム部分の反対端から半径方向に外側に延びる。基板に面する表面、またはシャワーヘッドのベース部の面板は、プロセス・ガスまたはパージ・ガスがそれを通って流れる複数の穴を含む。あるいは、上部電極104は、導電性板を含むことができ、プロセス・ガスは別のやり方で導入され得る。
【0023】
基板支持体106は、導電性であり下部電極として作用するベースプレート110を含む。ベースプレート110は、セラミック層112を支持する。いくつかの例において、セラミック層112は、抵抗ヒータ、RF電極、および/または静電電極(すべて図示せず)を組み込み得る。接着層114は、セラミック層112とベースプレート110との間に配置することができ、熱抵抗層として作用し得る。ベースプレート110は、ベースプレート110を通して冷却剤を流すための、1つまたは複数の冷却剤流路116を含み得る。
【0024】
RF生成システム120は、RF電圧を発生させ、上部電極104および下部電極(例えば、基板支持体106のベースプレート110)の一方に出力する。上部電極104およびベースプレート110の他方は、DC接地、AC接地、またはフローティングされ得る。例示的なRF生成システム120は、RF電圧を発生させるRF電圧発生器122を含むことができ、RF電圧は、整合および分配ネットワーク124によって、上部電極104またはベースプレート110に送出される。RF生成システム120は、容量結合型プラズマ(CCP)システムに対応するが、本開示の原理はまた、例えば、変圧器結合型プラズマ(TCP)システム、誘導結合型プラズマ(ICP)、CCP陰極システム、リモート・マイクロ波プラズマ生成および送出システムなど、他の適切なシステムにおいて実施され得る。
【0025】
ガス送出システム130は、1つまたは複数のガス源132-1、132-2、・・・、132-N(まとめてガス源132)を含み、Nはゼロより大きい整数である。ガス源132は、1つまたは複数のプロセス・ガス、不活性ガス、パージ・ガス、エッチング・ガス、前駆体、および/または他のそれらのガス混合物を供給する。気化した前駆体も用いられ得る。ガス源132は、マニホールド140に、バルブ134-1、134-2、・・・、および134-N(まとめてバルブ134)、ならびにマス・フロー・コントローラ136-1、136-2、・・・、および136-N(まとめてマス・フロー・コントローラ136)によって接続される。マニホールド140の出力は、処理チャンバ102に送り込まれる。例のみとして、マニホールド140の出力は、シャワーヘッド109に送り込まれる。
【0026】
温度コントローラ142は、セラミック層112内に配置された熱制御要素(TCE)などの、複数の発熱体144に接続され得る。例えば、発熱体144は、マルチ・ゾーン加熱板におけるそれぞれのゾーンに対応するマクロ発熱体、および/またはマルチ・ゾーン加熱板の複数のゾーンにわたって配置されたマイクロ発熱体のアレイを含み得るが、それらに限定されない。温度コントローラ142は、基板支持体106および基板108の温度を制御するように、複数の発熱体144を制御するために用いられ得る。
【0027】
温度コントローラ142は、冷却剤流路116を通る冷却剤の流れを制御するために、冷却剤アセンブリ146と通信し得る。例えば、冷却剤アセンブリ146は、冷却剤ポンプと貯蔵器とを含み得る。温度コントローラ142は、基板支持体106を冷却するために、冷却剤流路116を通して冷却剤を選択的に流すように、冷却剤アセンブリ146を動作させる。
【0028】
バルブ150およびポンプ152は、処理チャンバ102から反応物質を排出するために用いられ得る。システム・コントローラ160は、基板処理システム100の構成要素を制御するために用いられ得る。ロボット170は、基板支持体106上に基板を送出し、それから基板を除去するために用いられ得る。例えば、ロボット170は、基板支持体106とロード・ロック172との間で、基板を移送し得る。別個のコントローラとして示されるが、温度コントローラ142は、システム・コントローラ160内に実装され得る。いくつかの例において、セラミック層112とベースプレート110との間の接着層114の周辺部の周りに、保護シール176が設けられ得る。
【0029】
エッジリング180は、処理の間、基板支持体106を取り囲む。エッジリング180は、基板支持体106に対して可動(例えば、垂直方向において上向きおよび下向きに可動)である。例えば、エッジリング180は、以下でより詳しく述べられるように、コントローラ160に応答して、アクチュエータおよびエッジリング・リフトピンによって制御され得る(例えば、
図3を参照)。光センサ182は、ロボット170のアーム/エンドエフェクタに対する、エッジリング180の位置を測定するために用いられ得る。
【0030】
基板支持体に対する、エッジリングの較正された中心位置は、任意の適切な方法を用いて最初に決定され得る。較正プロセスの適切な例は、本出願の譲受人に譲渡され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、「Edge Ring Centering Method Using Ring Dynamic Alignment Data」という名称で2020年1月20日に発行された、米国特許第10,541,768号において示され、述べられている。
【0031】
米国特許第10,541,768号で述べられている較正プロセスにおいて、エッジリングは、傾斜面を含み、下部エッジリングは、相補的な傾斜面を含む。傾斜面が重なり合ったとき、エッジリングは、基板表面上に平らに設置されるまで移動するまたは滑らかに動く傾向を有する。エッジリングが傾斜面のために移動するとき、位置の変化またはオフセットを測定するために光センサが用いられ得る。エッジリングが十分に整列しないときは、所定の閾値より大きなゼロでないオフセット値が生じる。
【0032】
較正プロセスは、ロボットがエッジリングを基板支持体にわたって4つの直交方向に移動するという点で、反復プロセスである。光センサは、エッジリングの各送出および除去の前後で、ロボットアームのエンドエフェクタ上のエッジリングの位置を測定する。コントローラは、配置の前後の位置の変化を用いてオフセットを計算し、かなりの数の反復の後に、較正された中心位置を最終的に決定する。理解されるように、較正プロセスは通常、収束するのに12時間より長い期間がかかる。さらに、較正プロセスは、エッジリングが交換されるたびに繰り返され、これは動作時間および効率を低下させる。
【0033】
いくつかの例において、修正された較正プロセスが用いられる。本開示による初期較正プロセスの間、エッジリングはエッジリング・リフトピン上に配置され、中間エッジリングまたは底面エッジリングなど、1つまたは複数の周囲の構成要素に対して、エッジリングを最初にセンタリングするための、1つまたは複数のシムが用いられる。次いで、シムは除去される。エッジリングを除去するためにロボットのエンドエフェクタが用いられ、光センサによってエッジリングの位置が決定される。従って、エッジリングは、中心位置の周りに直交方向に送出され、位置が測定され、オフセットが計算される。最終的に、動きとオフセットとに基づいて、較正された中心位置が決定される。従って、以下で述べられる(限られた数の送出および除去の反復を用いた)、ずっと短い較正プロセスが用いられ得る。いくつかの例において、交換エッジリングは複数回、送出されおよび除去され得(例えば、3~5回)、エッジリングは、15分未満で(これは12時間よりかなり短い)、較正された中心位置の30μm以内にセンタリングされ得る。
【0034】
次に
図2を参照すると、処理チャンバ102は、上面、側面、および底面を含む筺体210を含む。チャンバ・ポート214は、基板がそれを通して送出されおよび除去される扉または開口218を含む。より具体的には、エンドエフェクタ232を有するロボットアーム234は、基板処理の前に、開口218を通して基板を基板支持体上に送出し、基板処理の後に、基板を基板支持体から除去する。いくつかの例において、ロボットアーム234は、真空で動作する基板移送モジュールの一部となり得る。
【0035】
ロボットアーム234はまた、チャンバ・ポート214を通して処理チャンバから摩耗したエッジリング220を除去した後、新たなエッジリング220を処理チャンバに送出するために用いられ得る。ロボットアーム234は、1つまたは複数のエンドエフェクタ232を含む(エンドエフェクタ232-1および232-2が示される)。
図2において、エッジリング220は、エンドエフェクタ232-1上に配置される。いくつかの例において、光センサ240は、エンドエフェクタ上のエッジリングの位置を検知するために、チャンバ・ポート214の開口218に隣接して配置されるが、チャンバの内側または外側の他の位置が用いられ得る。
【0036】
以下でさらに述べられるように、ロボットアーム234は最初に、較正された中心位置および/または前の中心位置を用いて、エッジリング220をエッジリング・リフトピン上に置く(例えば、
図4を参照)。エッジリング220は、エッジリング・リフトピンに整列する溝を含む(
図3および4を参照)。いくつかの例において、溝の数は、エッジリング・リフトピンの数以上である。エッジリング220は、ロボットアームがエッジリング220をエッジリング・リフトピン上に送出した後、配置位置から移動し得る。言い換えれば、エッジリング220は、エッジリング220がエッジリング・リフトピン上に設置されるにつれて、配置位置から移動し得る。
【0037】
エッジリング220が設置された後、ロボットアーム234は、エッジリング220を持ち上げ、光センサを用いてロボットアーム234上のエッジリング220の新たな位置を測定する。コントローラは、オフセット(エッジリングの前の位置と、エッジリングの新たな位置の差)を計算する。
【0038】
エッジリングのセンタリングされた位置は、オフセットおよび前の中心位置に基づいて調整される(オフセットを除去するために)。言い換えれば、中心位置は、オフセットを取り除くために、オフセットと反対の方向に調整される。新たな中心位置を用いて(前の中心位置およびオフセットに基づいて)、ロボットアーム234は、エッジリング220の溝を、エッジリング・リフトピン上に置く。いくつかの例において、プロセスは、Q回繰り返され、Qは整数である。いくつかの例において、比較的小さな数の反復が行われ得る。いくつかの例において、Q<10である。他の例において、Q=3またはQ=5である。
【0039】
Q回の反復の後、最終オフセット値が決定され、オフセット閾値と比較される。最終オフセット値が、中心位置に対応するオフセット閾値以下の場合は、エッジリングは、適切にセンタリングされたと見なされ、基板処理チャンバは基板処理を進めることができる。
【0040】
最終オフセット値が閾値より大きい場合は、エッジリングは、適切にセンタリングされたとは見なされない。オフセットが閾値より大きい場合は、光センサは較正外である場合があり、および/またはエッジリングの底面の溝の1つまたは複数が、対応するエッジリング・リフトピンの1つまたは複数と適切に接触していない場合がある。
【0041】
次に
図3を参照すると、基板支持体320は、第1の層330と、接着層332と、ベースプレート334とを含むことが示される。いくつかの例において、第1の層330は、セラミックから作られ、静電電極、RF電極、および/または発熱体を含む。下部エッジリング336は、ベースプレート334の半径方向外側に、およびエッジリング220の少なくとも部分的に半径方向外側に配置される。エッジリング220は、エッジリング220の底面に位置する溝350内に延びる、エッジリング・リフトピン340上に配置される。エッジリング・リフトピン340は、エッジリング220を支持し、溝350によって受け入れられる。
【0042】
次に
図4を参照すると、エッジリング220は、環状体410と、エッジリング220の底面に位置する複数の溝350-1、350-2、・・・、および350-P(Pは3以上の整数)とを含む。いくつかの例において、溝350は、「V」字型を有する空洞を画定する。いくつかの例において、エッジリング220は、方位的に360°/Pの間隔が空けられたP個の溝350を含む。いくつかの例において、複数の溝350-1、350-2、・・・、および350-Pの最低部分またはスロットは、エッジリングの環状体が基板支持体の上部表面に平行に置かれているとき、概して基板支持体の上部表面に平行に延びる。複数の溝350-1、350-2、・・・、および350-Pの最低部分は、エッジリングの中心に対して半径方向に延びる。
【0043】
次に
図5を参照すると、エッジリングをセンタリングする方法500が示されている。510において、エッジリング中心位置が較正される。いくつかの例において、上述の較正方法が用いられるが、他のタイプの較正も用いられ得る。512において、Qはゼロに等しく設定される。514において、ロボットのエンドエフェクタ上で、エッジリング位置が測定される。516において、エッジリングは、ロボットアームのエンドエフェクタを用いて、エッジリング・リフトピン上に配置される(エッジリング・リフトピンが溝内にある状態に)。ロボットアームは、エッジリングを解放し、エッジリングは、それ自体をエッジリング・リフトピン上に設置することが可能になる。
【0044】
518において、エッジリングは、ロボットを用いて除去される。522において、光センサを用いてエッジリングの位置が決定され、較正されたエッジリング中心位置または前のエッジリング中心位置からのオフセットが計算される。526において、オフセットが中心位置に適用される。言い換えれば、中心位置を調整するため、およびオフセットを取り除くために、ロボットアームは、オフセットと反対の方向に移動される。530において、Qは、Q+1に等しく設定される。
【0045】
534において、方法は、Q=Mであるか否かを判定し、QおよびMは整数である。いくつかの例において、Mは2以上(例えば、3、5など)である。534において、偽であると判定された場合、方法は514に戻り、繰り返す。534において、真であると判定された場合、方法は538に移行し、最後のオフセット値(Offsetlast)が、オフセット閾値(OffsetTH)以下であるか否かを判定する。538において、真であると判定された場合、オフセットは所定の閾値以内であるので、544において、エッジリングはセンタリングされていると見なされる。538において、偽であると判定された場合、オフセットは所定の閾値より大きいので、542においてエラーが生じ、エッジリングはセンタリングされていると見なされない。いくつかの例において、基板処理システムは、エッジリングのセンタリング問題のさらなる診断を可能にするために、動作を停止され得る。
【0046】
理解されるように、本明細書で述べられるエッジリングのセンタリングシステムは、比較的短い期間内に高い精度で、エッジリングをエッジリング・リフトピン上に繰り返し配置することが可能である。いくつかの例において、エッジリングのセンタリングシステムは、基板移送モジュール・アームごとに、チャンバごとに15分以内に、30μm以内(および15μmの3シグマ)で、エッジリングを配置することが可能である。
【0047】
上記の説明は、本質的に単に例示的なものであり、本開示、その応用例、または使用を限定するものでは全くない。本開示の広範な教示は、多様な形で実施され得る。従って、図面、仕様書、および添付の「特許請求の範囲」を考察することから、他の変形形態は明らかとなるので、本開示は特定の例を含むが本開示の真の範囲はそのように限定されない。方法における1つまたは複数のステップは、本開示の原理を変えずに、異なる順序で(または並行して)実行され得ることが理解されるべきである。さらに、実施形態のそれぞれは一定の特徴を有するものとして上述されているが、本開示のいずれかの実施形態に関して述べられるそれらの特徴の任意の1つまたは複数は、他の実施形態の任意のものの特徴において実施され得、および/またはその組み合わせが明示的に述べられなくてもそれらと組み合わされ得る。言い換えれば、述べられる実施形態は相互に排他的ではなく、1つまたは複数の実施形態の互いの置換は本開示の範囲内のままである。
【0048】
要素の間(例えば、モジュール、回路要素、半導体層などの間)の空間的および機能的関係は、「接続された(connected)」、「係合された(engaged)」、「結合された(coupled)」、「隣接した(adjacent)」、「の隣(next to)」、「の上部(on top of)」、「の上(above)」、「の下(below)」、および「配置された(disposed)」を含む、様々な用語を用いて述べられる。「直接」であることが明示的に述べられない限り、上記の開示において第1および第2の要素の間の関係が述べられるとき、関係は、第1および第2の要素の間に他の介在する要素がない直接の関係とすることができるが、第1および第2の要素の間に1つまたは複数の介在する要素が存在する(空間的または機能的に)間接的関係であってもよい。本明細書で用いられる、A、B、およびCの少なくとも1つという語句は、非排他的論理ORを用いて、論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つを意味すると解釈されるべきではない。
【0049】
いくつかの実装形態において、コントローラはシステムの一部であり、これは上述の例の一部となり得る。このようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、処理のための1つまたは複数のプラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(基板ペデスタル、ガス流システムなど)を含む、半導体処理装置を備えることができる。これらのシステムは、半導体基板または基板の処理の前、その間、およびその後の、それらの動作を制御するための電子機器と統合され得る。電子機器は「コントローラ」と呼ぶことができ、これは1つまたは複数のシステムの様々な構成要素またはサブパーツを制御し得る。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書で開示されるプロセスの任意のものを制御するようにプログラミングされてよく、プロセスは、処理ガスの送出、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、パワー設定、無線周波数(RF)生成器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送出設定、位置的および作業設定、特定のシステムに接続されたまたはインターフェースされたツールおよび他の移送ツールおよび/またはロード・ロック内へのおよびそれらからの基板移送を含む。
【0050】
大まかに言えば、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄作業を可能にする、エンドポイント測定を可能にするなどの、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義され得る。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形でのチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つまたは複数のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含み得る。プログラム命令は、様々な個別の設定(またはプログラム・ファイル)の形でコントローラに通信される命令とすることができ、半導体基板に対してもしくはそのためにまたはシステムに対して、特定のプロセスを遂行するための作業パラメータを定義する。作業パラメータは、いくつかの実施形態において、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または基板のダイの製造の間に、1つまたは複数の処理ステップを達成するために、プロセス・エンジニアによって定義されるレシピの一部とすることができる。
【0051】
コントローラは、いくつかの実装形態において、システムに統合された、システムに結合された、他の形でシステムにネットワーク化された、またはそれらの組み合わせのコンピュータの一部とすることができ、またはそれに結合され得る。例えば、コントローラは、「クラウド」、または製造工場ホスト・コンピュータシステムのすべてもしくは一部内に存在してよく、これは基板処理のリモート・アクセスを可能にすることができる。コンピュータは、製造作業の現在の進行を監視する、過去の製造作業の履歴を調べる、複数の製造作業から傾向もしくは性能メトリクスを調べる、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に続く処理ステップを設定する、または新たなプロセスを開始するために、システムへのリモート・アクセスを可能にすることができる。いくつかの例において、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通してシステムにプロセスレシピをもたらすことができ、ネットワークはローカルネットワークまたはインターネットを含み得る。リモートコンピュータはユーザインターフェースを含むことができ、ユーザインターフェースはパラメータおよび/または設定の入力もしくはプログラミングを可能にし、次いでそれらはリモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、1つまたは複数の作業の間に行われることになる処理ステップのそれぞれに対するパラメータを指定する、データの形で命令を受信する。パラメータは、行われることになるプロセスのタイプと、コントローラがそれとインターフェースするまたはそれを制御するように構成されているツールのタイプとに、固有とすることができることが理解されるべきである。従って上述されたように、コントローラは、本明細書で述べられるプロセスおよび制御など、一緒にネットワーク化され共通の目的に向かって働く、1つまたは複数の個別のコントローラを備えることなどによって、分散され得る。このような目的のために分散されたコントローラの例は、一緒になってチャンバ上のプロセスを制御する、遠隔に配置された1つまたは複数の集積回路(プラットフォーム・レベルで、またはリモートコンピュータの一部としてなど)と通信するチャンバ上の1つまたは複数の集積回路であろう。
【0052】
限定せずに、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキ・チャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、および半導体基板の製造および/または生産に関連したもしくはそこで使用することができる任意の他の半導体処理システムを含み得る。
【0053】
上述のように、ツールによって行われることになる1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近傍のツール、工場全体にわたって位置するツール、メインコンピュータ、他のコントローラ、または半導体生産工場内のツール位置および/またはロードポートにまたはそれらから基板の容器を運ぶ材料輸送において用いられるツールの、1つまたは複数と通信し得る。