(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】オートサンプラの制御装置及びそれを含む自動測定システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20241223BHJP
G01N 30/24 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
G01N35/00 A
G01N30/24 A
(21)【出願番号】P 2023195090
(22)【出願日】2023-11-16
(62)【分割の表示】P 2019183504の分割
【原出願日】2019-10-04
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】503460323
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】福田 真人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正人
(72)【発明者】
【氏名】松下 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 誠
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513023(JP,A)
【文献】特開2010-190779(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111310(WO,A1)
【文献】特開平09-325096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0319329(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
G01N 30/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試料を並べて保持する試料保持部と、前記複数の試料を1つずつ測定装置に導入する試料導入部と、を備えたオートサンプラに用いられ、制御部と記憶部とを有するオートサンプラの制御装置であって、
前記制御部は、所定の表示部に、前記複数の試料の前記試料保持部への保持位置を表す保持位置情報を表示させ、
前記保持位置情報は、
前記試料保持部内の前記試料の並び順であるシーケンス番号と、測定予約の有無を示す測定選択情報とを有し、
前記制御部は、現在の測定が終了した時点で前記測定選択情報が測定予約有の状態を示している場合に、前記試料導入部を制御して、前記測定選択情報が測定予約有の状態を示している前記試料を、前記シーケンス番号の
早い順に前記測定装置に導入させる、ことを特徴とするオートサンプラの制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記測定選択情報が測定予約有の状態を示している試料であって前記シーケンス番号の順に従って、次に前記測定装置に導入される前記試料の種類に応じた測定条件を当該測定装置側に送信する、請求項1に記載のオートサンプラの制御装置。
【請求項3】
前記保持位置情報上でユーザにより前記試料が選択された場合、
前記制御部は、前記試料に関する対応する情報を表示させる請求項
1又は2に記載のオートサンプラの制御装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のオートサンプラの制御装置と、
前記オートサンプラと、
前記測定装置と、を含む自動測定システム。
【請求項5】
液体クロマトグラフ測定システムである請求項4に記載の自動測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフ装置等の測定装置に備えらえたオートサンプラの制御装置及びそれを含む自動測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体クロマトグラフ(HPLC)装置等の測定においては、試料の装置への導入を自動化するため、オートサンプラが用いられている。このオートサンプラは、複数の試料を並べて保持するラック等の試料保持部と、複数の試料を1つずつ測定装置に導入する試料導入部とを備えている。ここで、例えば試料保持部から試料を導入する順番として、シーケンス番号が割り当てられている。
従来、オートサンプラによる試料の測定順(導入順)の設定は、装置の画面上の予約表にて、試料保持部のシーケンス番号毎に、試料の位置や測定条件等を入力するようになっている。
しかしながら、表形式の入力の場合、操作が煩雑であり、試料保持部への試料の実際の設置位置が表での入力時に感覚的に把握し難く、入力エラーが発生しやすい。
そこで、試料保持部への試料の配置状態を画面上に表示させ、その表示画面を確認しながら試料の測定順や測定条件等を表形式で設定できるようにした技術が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、
図12に示すように、特許文献1記載の方法では、表示画面に、分析予約入力表500と、実際の試料の配置(保持)状態を示す試料保持
図600のウィンドウがそれぞれ表示される。この場合、シーケンスNoが1である試料保持部の2-2(2列2行目)の位置の試料を最初に測定し、以下、シーケンスNoが2,3である試料保持部の1-1(1列1行目)、4-2(4列2行目)の位置の試料を順に測定する。
しかしながら、このように、試料保持
図600上の試料の並び順と、シーケンスNoによる試料の測定順が異なると、次の測定試料がどこの位置かが把握し難く、例えば次測定に入る前にその試料に不備があるので交換したり、緊急に他の試料を割り込み測定する等の変更がしずらいという問題がある。
又、測定順を変更する場合も、分析予約入力表500に戻って先に測定したい試料の位置を入力しなければならず、作業が煩雑で間違え易い。
特に病院等での血液検査等の場合、緊急の患者の検査が割り込む等の非定常作業が多く、上述の問題が起きやすいとともに、検体の取り違え等のミスがあると重大な問題となる。
【0005】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、実際の試料の保持位置を示す保持位置情報上で、次に測定される試料がどの位置にあるかを容易に把握できるオートサンプラの制御装置及びそれを含む自動測定システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明のオートサンプラの制御装置は、複数の試料を並べて保持する試料保持部と、前記複数の試料を1つずつ測定装置に導入する試料導入部と、を備えたオートサンプラに用いられ、制御部と記憶部とを有するオートサンプラの制御装置であって、前記制御部は、所定の表示部に、前記複数の試料の前記試料保持部への保持位置を表す保持位置情報を表示させ、前記保持位置情報は、前記試料保持部内の前記試料の並び順であるシーケンス番号と、測定予約の有無を示す測定選択情報とを有し、前記制御部は、現在の測定が終了した時点で前記測定選択情報が測定予約有の状態を示している場合に、前記試料導入部を制御して、前記測定選択情報が測定予約有の状態を示している前記試料を、前記シーケンス番号の早い順に前記測定装置に導入させる、ことを特徴とする。
【0007】
このオートサンプラの制御装置によれば、実際の各試料の並び順(測定順)を反映した保持位置を示す保持位置情報上で、次に測定される試料がどの位置にあるかを容易に把握できる。
【0008】
本発明のオートサンプラの制御装置において、前記制御部は、前記測定選択情報が測定予約有の状態を示している試料であって前記シーケンス番号の順に従って次に前記測定装置に導入される前記試料の種類に応じた測定条件を、当該測定装置側に送信してもよい。
【0009】
本発明のオートサンプラの制御装置において、前記保持位置情報上でユーザにより前記試料が選択された場合、前記制御部は、前記試料に関する対応する情報を表示させてもよい。
【0023】
本発明の自動測定システムは、前記オートサンプラの制御装置と、前記オートサンプラと、前記測定装置と、を含む。
【0024】
本発明の自動測定システムは、液体クロマトグラフ測定システムであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、実際の試料の保持位置を示す保持位置情報上で、試料の測定状態を容易に設定及び変更でき、かつ測定状態を容易に把握できるオートサンプラの制御装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動測定システム(液体クロマトグラフ装置)の構成を示す図である。
【
図3】表示部に表示される保持位置情報を示す図である。
【
図4】保持位置情報上で、ユーザにより所定の試料の測定ステータスのうちの1つが指定された場合を示す図である。
【
図5】情報設定ステータスがユーザにより指定された場合に、ユーザに試料の種類の設定を促す情報設定ウィンドウを示す図である。
【
図6】ユーザが測定予約ステータスを指定した場合を示す図である。
【
図7】ユーザが測定予約ステータスを解除した場合を示す図である。
【
図8】記憶部に記憶されたテーブルを示す図である。
【
図9】保持位置情報上で、ユーザが所定の試料を選択した場合に、測定結果を表示させた場合を示す図である。
【
図10】試料保持部及びそれを表す保持位置情報の別の例を示す図である。
【
図11】試料保持部に保持された検量線の作成用の希釈試料と、希釈用の容器とを示す模式図である。
【
図12】従来のオートサンプラにおいて、試料の測定順を指定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る自動測定システム(液体クロマトグラフ装置)100の構成を示す図である。
液体クロマトグラフ装置100は所定の測定対象を定性又は定量分析するものであり、全体を制御するデータ処理装置(制御部)7、移動相(溶離液と溶媒の混合溶液)1、移動相1を送液するポンプ2、試料を注入するオートサンプラ3、成分を分離するカラム4、カラム4を恒温にするカラムオーブン5、分離された成分を検出する検出器6、表示部10を備える。
データ処理装置7は、分析を実行し分析結果を解析する制御部(CPU)9、分析結果または解析結果を保存する記憶部(ハードディスク等)8を有するコンピュータから構成される。表示部(モニタ)10は、分析結果や解析結果を表示すると共にタッチパネルとなっていて、ユーザUがキーボード等の代わりに表示部10上で各種入力、選択、設定等を行える。
【0028】
検出器6が特許請求の範囲の「測定装置」に相当する。データ処理装置7が特許請求の範囲の「オートサンプラの制御装置」に相当する。つまり、本発明の実施形態に係るオートサンプラの制御装置は、あらゆる測定装置に後付けで適用可能である。
又、液体クロマトグラフ装置100が特許請求の範囲の「自動測定システム」に相当する。
【0029】
検出器6は信号強度を検出する素子を有し、時間に対する信号強度を検出する。検出器として、検出素子を複数有し、複数波長において同時に取得可能な3次元検出器を用いることも可能である。
試料は、オートサンプラ3のインジェクタ(図示せず)から注入され、ポンプ2から送液される移動相1とともにカラム4を通過し、試料中の種々の成分に分離される。
成分に分離された試料は、検出器6で検出される。検出器6の信号はデータ処理装置7に送られてデータ処理が行われる。
カラム4は、移動相1中に存在する試料の成分を分離する分離部として一般的に使用される装置である。カラム4としては、充填型カラムやモノリスカラム等がある。カラム4のカラム充填剤としては、吸着型、分配型、イオン交換型等の種々のタイプのものを使用することができる。カラム4を恒温に保ち、再現性よく試料の分離ができるように、カラム4は、カラムオーブン5内に設置されていることが望ましい。
【0030】
記憶部8は、試料の種類毎の測定条件や、検量線データ等を記憶する。又、
図8に示すように、記憶部8は、以下の試料の保持位置(シーケンス番号)毎に、測定ステータスと試料の種類とをテーブル8tに記憶している。
【0031】
図2に示すように、オートサンプラ3は、複数の試料(バイアル)201a、201bを並べて保持する試料保持部3aと、複数の試料を1つずつ測定装置に導入する試料導入部3bと、を備えている。
ここで、試料保持部3aは試料201a,201b・・を保持する保持孔3hを一列に10個有するホルダであって、保持孔3hの連続した並び順(シーケンス)のうち、
図2の左側から順に測定するようになっている。
試料導入部3bは、アーム3tと、アーム3tの下面に設置されて複数の試料を1つずつ測定装置(検出器6)に導入するニードル付きヘッド3sと、アーム3tを平面方向及び垂直方向に移動させる移動機構(図示しないが公知のアクチュエータ)とを備えている。
【0032】
本例では、試料は液体であって、バイアル(容器)内に入れられて上蓋で封止されている。そして、ニードル付きヘッド3sをバイアルの上蓋に突き刺して、バイアル内部の試料を吸引し、インジェクタへ導入するようになっている。
なお、試料は固体や粉末であってもよく、この場合にはターレット等の試料保持部に直接載置された試料を、試料導入部に設けた把持部で掴んで、測定装置に搬入すればよい。
従って、本発明において「導入」とは、試料保持部に保持された容器を移動させずに容器内部の液体等の試料を測定装置の測定部位に移動させる場合と、試料を直接測定装置の測定部位に移動させる場合とを含む。
又、測定装置は、検出器6の他、蛍光X線分析装置等を例示できるがこれらに限られない。
【0033】
次に、
図3~
図9を参照し、ユーザが表示部10の表示画面を見ながら行う操作等に応じ、制御部9が行う動作について説明する。
図3は、制御部9の制御によって表示部10に表示された、複数の試料の試料保持部3aへの保持位置を表す保持位置情報300を示す。
図3の例では、オートサンプラ3にはそれぞれ試料(バイアル)を10個一列に並べて保持する試料保持部3aを2つ設置することができ、そのうち保持位置情報300の上段300xに対応する実際の試料保持部3aは、Blank(ブランク)、Std(標準物質)等の予め決められた種類の試料を保持している。一方、下段300yに対応する実際の試料保持部3aは、UNK(未知試料)を保持し、そのうちいくつかの保持孔3hには試料(バイアル)が入っていないものとする。
【0034】
ここで、保持位置情報300の下段300yを例にすると、各試料の保持位置302が丸囲みで表示され、丸囲みの内側には連続した並び順(シーケンス番号)が表示されている。試料の測定順(検出器6への導入順)はシーケンス番号の早い順に行われ、本例では、保持位置情報300の上段300xの左側(ブランク)から順に右に向かって1~10まで測定した後、下段300yの左側から順に右に向かって11~20まで測定する。
さらに、保持位置302の上部に試料の種類(ブランク、CBZ、UNK等)306が表示され、保持位置302の下部に、後述する測定選択情報(チェックボックス)304が表示されている。
【0035】
図4は、保持位置情報300上で、ユーザUにより所定の試料(シーケンス番号15)の測定ステータスのうちの1つが指定された場合を示す。
測定ステータスとは、複数の測定状態のいずれか1つを示し、本例では、未設定ステータス310(
図4で、各試料に対し白抜きの丸囲み)、情報設定ステータス312(
図4で、各試料に対しグレーハッチングの丸囲み)、及び後述する測定予約ステータス、測定中ステータス、測定済ステータスが割当てられている。
【0036】
未設定ステータス310、測定中ステータス、測定済ステータスはユーザUが指定しなくても制御部9が自動的に割り当てる。
未設定ステータス310は、測定中ステータス、測定済ステータスを除き、測定ステータスが設定されていないステータスである。
測定中である旨は、例えば測定予約ステータス314が指定された試料を検出器6に導入した後、検出器6側から測定中の信号等を制御部9が受信することで認識できる。
測定済である旨は、例えば検出器6側から測定済の信号(又は測定結果のデータ)等を制御部9が受信することで認識できる。
【0037】
図4において、例えばユーザUにより試料(シーケンス番号15)がクリックされると、制御部は
図5の情報設定ウィンドウ312Wを保持位置情報300に重ねて表示部10に表示させる。
【0038】
図5の情報設定ウィンドウ312Wの入力ボックス312Waにて、ユーザUは試料の種類の設定を促され、適宜入力ボックス312Waに入力するか、予め種類の候補が決められている場合は、選択バー等で種類を選択し、設定ボタン312Wbをクリックして選択を決定する。
図5では、カルバマゼピン(Carbamazepine:略称CBZ)が選択されている。設定ボタン312Wbがクリックされると、初めて情報設定ステータス312が確定する。
これにより、制御部9は、この試料の位置(シーケンス番号15)と、情報設定ステータス312と、試料の種類(カルバマゼピン)とを関連付けて記憶部8に記憶させる。又、制御部9は、保持位置情報300上で、情報設定ステータス312が指定された試料(シーケンス番号15)を色分け表示又は強調表示させる。本例では、試料(シーケンス番号15)はグレーハッチングで色分け表示されている。
このようにして、
図4では、連続した3つの試料(シーケンス番号13~15)が情報設定ステータス312である旨の色分け表示される。
【0039】
以上のように、本実施形態では、実際の各試料の並び順(測定順)を反映した保持位置302を示す保持位置情報300上で、試料を選択することで、各試料の測定ステータスを試料の並び順と対応させて視覚的に容易に設定及び変更できる。
又、指定した各試料の測定ステータスを色分け表示又は強調表示させるので、試料の並び順とその測定ステータスを視覚的に容易に把握できる。
その結果、測定ステータスを見ながら、測定の前に試料の交換や、他の試料の割り込み測定等をし易くなる。
【0040】
次に、
図6を参照し、測定予約ステータスについて説明する。本例では、ユーザUは試料(シーケンス番号15)に対し、測定選択情報(チェックボックス)304をチェックして測定予約ステータス314を指定する。
制御部9は、測定予約ステータス314が指定された試料(シーケンス番号15)を斜めハッチングで色分け表示させ、試料の位置(シーケンス番号15)と、測定予約ステータス314とを関連付けて記憶部8に記憶させる。
又、制御部9は、現在の測定(シーケンス番号12の試料)が終了した時点で、試料導入部3bを制御し、測定予約ステータス314が指定された試料(シーケンス番号13,15)を検出器6に導入させる。
これにより、シーケンス番号13,15の試料が順に測定されることになる。
なお、測定に当たり、制御部9は、記憶部8を参照し、測定対象試料(シーケンス番号15)の種類(カルバマゼピン)に応じた測定条件を検出器6側に送信し、検出器6はその条件に沿って測定する。
【0041】
ここで、現在測定中の試料(シーケンス番号12)は、測定中ステータス316が自動で割り当てられ、水平ハッチングで色分け表示されている。
又、測定済の試料(シーケンス番号11)は、測定済ステータス318が自動で割り当てられ、クロスハッチングで色分け表示されている。
【0042】
なお、
図6に示すように、情報設定ステータス312が指定されていない(つまり、未設定ステータス310である)試料(例えばシーケンス番号19)に対し、ユーザUが測定予約ステータス314を指定した場合に、制御部9は、その指定を無効とする。
これにより、測定条件に関わる試料の種類等が特定されていない試料を誤って測定することを防止できる。
【0043】
ここで、
図6に示すように、測定予約ステータス314が指定された試料が複数(シーケンス番号13,15)存在する場合、制御部9は、予め決められた試料の試料保持部3aへの連続した並び(シーケンス)のうち最も早いシーケンス番号に対応する位置の試料から順に検出器6に導入させる。つまり、シーケンス番号13,15の順に測定が行われる。
【0044】
一方、
図7に示すように、ユーザUは、チェックボックス304のチェックを外して測定予約ステータス314を解除する(取消す)こともできる。
図7では、シーケンス番号13の試料の測定予約ステータス314が解除され、制御部9は、シーケンス番号13の試料の位置と、測定予約ステータスとの情報を記憶部8から削除するとともに、シーケンス番号13の測定予約ステータス314としての試料の色分け表示又は強調表示を終了させる。チェックを外すと、ステータスは前の状態表示に戻る。
これにより、シーケンス番号13の試料の測定が中止され、次に早いシーケンス番号であるシーケンス番号15の試料の測定が行われる。
【0045】
以上のように、本実施形態では、測定ステータスとして次の測定を示す測定予約ステータスを用いることで、実際の各試料の並び順(測定順)を反映した保持位置情報300上で、次に測定される試料を視覚的に容易に設定及び変更できる。さらに、次に測定される試料がどの位置にあるかを容易に把握できる。
又、複数の試料に対して測定予約ステータスを指定でき、その測定順は実際の各試料の並び順になるので、この点でも次に測定される試料がどの位置にあるかを容易に把握できるとともに、複数の試料を測定予約できるので、測定し忘れを防止できる。
又、測定選択情報(チェックボックス)304をチェックして測定予約ステータスを指定したり取り消すことができるので、指定や取り消しが容易かつ視覚的に把握しやすくなる。
【0046】
次に、
図5に戻り、検量線の測定について説明する。
図5の情報設定ウィンドウ312Wにて、ユーザUが検量線作成のチェックボタン(検量線情報)312Wdをチェックすると、制御部9は、情報設定ウィンドウ312Wで指定された試料の種類(カルバマゼピン)の検量線を自動作成する。
まず、
図4の保持位置情報300の上段300xの試料(シーケンス番号3)に示すように、実際の試料保持部3aの所定の位置には、試料の種類(カルバマゼピン:CBZ)に対応した検量線作成用の標準試料が予め保持されており、記憶部8は、この標準試料の位置を予め記憶している。
制御部9は、記憶部8を参照し、試料導入部3bを制御して実際の試料保持部3aから、シーケンス番号3のCBZの標準試料を検出器6に導入させ、検量線測定を行わせる。
【0047】
ここで、検量線を作成するためには、複数の濃度の標準試料が必要となるが、各濃度の複数の標準試料を予め試料保持部に保持するのはスペース上困難な場合がある。そこで、1つの濃度の標準試料(シーケンス番号3のCBZの標準試料)から、検量線を作成する都度、希釈した複数の濃度の標準試料を調製するようにしてもよい。
図11は、試料保持部3aに保持された検量線の作成用の希釈試料(希釈液)201cと、希釈用の空の容器201dとを示す。希釈試料(バイアル)201cには、希釈液201sが入っている。
図11において、希釈試料201c、空の容器201dがそれぞれ
図3のシーケンス番号9,10に相当するものとする。
又、記憶部8は、希釈試料201cと容器201dの位置を予め記憶している。
【0048】
そして、ユーザUが検量線作成のチェックボタン(検量線情報)312Wdをチェックすると、制御部9は、記憶部8を参照し、試料導入部3bを制御して実際の試料保持部3aから、シーケンス番号3のCBZの標準試料を取り出して容器201d内で混合させ、希釈した複数の濃度の標準試料を調製させる。その後、制御部9は、シーケンス番号10の容器201dに入った希釈された標準試料を検出器6に導入させ、検量線測定を行わせる。
【0049】
なお、試料保持部3aの所定の位置(シーケンス番号9,10)に希釈試料201c、空の容器201dが保持されていない場合がある。
そこで、制御部9は、この状態を検知すると、保持位置情報300上で、希釈試料201cと容器201dの保持位置(シーケンス番号9,10)を表示する。又、情報設定ステータスには、シーケンス番号9,10がそれぞれ「希釈試料」、「空の容器」である旨が設定されている。
従って、制御部9は、情報設定ステータスに設定された情報に基づいて各保持位置の試料が希釈試料と容器である旨を報知し、ユーザに希釈試料201c及び空の容器201dの設置を促す。
【0050】
この報知は特に限定されず、保持位置情報300上で、希釈試料201cと容器201dの保持位置(シーケンス番号9,10)で、それぞれ「希釈試料」、「空の容器」を表示してもよく、この表示は色分け表示や、点滅等の強調表示でもよい。
又、表示部10の表示画面上で、保持位置情報300とは別のバナーやテロップ等で保持位置(シーケンス番号9,10)に、それぞれ「希釈試料」、「空の容器」を設置するよう表示してもよい。又、音声で報知してもよい。
【0051】
以上のように、保持位置情報300上で試料を選択することで、検量線を作成する旨をユーザが容易に選択することができ、試料の種類に応じて検量線を自動作成するので、検量線作成のための設定が不要となり、間違った検量線を作成する等のミスを防止できる。
【0052】
なお、本例では、
図4の保持位置情報300の上段300xの試料はいずれも予め試料の種類が決められており、その種類を誤って変更することを防止している。
つまり、
図6に示すように、ユーザUが上段300xの試料(例えばシーケンス番号3)に情報設定ステータスを指定しても、制御部9はこの指定を無効とする。
【0053】
また、本例では、
図4の保持位置情報300の上段300xでは、試料の種類(ブランク、CBZ等)306が表示されるようになっている。
一方、下段300yでは、試料の種類306としてUNKが一律に表示されるようになっている。但し、下段300yにて情報設定ステータス312が指定された試料の種類(例えばCBZ)を表示させるようにしてもよい。
以上のように、試料の種類306を表示することで、保持位置302にある試料の種類を保持位置情報300上で一括して視覚的に把握できる。
【0054】
又、本例では、保持位置情報300上で、測定中ステータス316を除くすべての測定ステータスの試料に対し、いずれかの測定ステータスの再設定が可能である。
例えば、
図7において、測定済の試料(シーケンス番号11)や、測定予約ステータス314を解除した試料(シーケンス番号13)に対し、情報設定ステータス312又は新たな測定予約ステータス314を指定できる。未設定ステータス310の試料には当然に情報設定ステータス312又は測定予約ステータス314を指定できる。
又、
図5の情報設定ウィンドウ312Wにて、ユーザUが「サンプル情報クリア」ボタン312Wcをクリックすると、情報設定ステータス312で設定された試料の種類がクリア(消去)される。そして、本例では、白丸の未設定ステータス310になるようにデフォルト設定されている。
【0055】
以上のように、保持位置情報300上で、測定中ステータス316を除くすべての測定ステータスの試料に対し、いずれかの測定ステータスの再設定が可能であるので、例えば測定終了した試料の位置に、緊急で新しい試料を割り込ませて測定する等の設定変更が容易となる。
【0056】
また、本例では、保持位置情報300上でユーザUにより所定の試料を選択すると、制御部9が試料に関する対応する情報を表示させるようにしてもよい。
例えば、選択された試料が情報設定ステータス312又は測定予約ステータス314であれば、試料の種類を表示させることができる。
又、
図9に示すように、選択された試料が測定済ステータス318であれば、測定結果を表示させることができる。
【0057】
以上のように、保持位置情報300上で選択された試料に関する対応する情報を表示させることで、これらの情報を容易に取得できるとともに、他の試料の情報を誤って取得することを防止できる。
【0058】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
試料保持部及びそれを表す保持位置情報の形態は限定されず、例えば
図10に示すように、円形の試料保持部の周方向に沿って試料を並べて保持する形態でもよい。
各測定ステータスは、色分け表示に限らず、点滅等の強調表示をさせてもよい。
試料保持部及びそれを表す保持位置情報は、
図3のような1列の並びに限らず、例えば
図10に示すように、円形の試料保持部の周方向に沿って各試料を保持する形態でもよい。
【符号の説明】
【0059】
3 オートサンプラ
3a 試料保持部
3b 試料導入部
6 検出器(測定装置)
7 データ処理装置(オートサンプラの制御装置)
8 記憶部
9 制御部
10 表示部
100 液体クロマトグラフ(自動測定システム)
201a~201c バイアル(試料)
201d 希釈用の容器(空容器)
300 保持位置情報
302 保持位置
304 チェックボックス(測定選択情報)
306 試料の種類
312 情報設定ステータス
312Wd チェックボタン(検量線情報)
314 測定予約ステータス
316 測定中ステータス
318 測定済ステータス
U ユーザの入力