(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】ウェハクランプの硬いバールの製造および改修
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2022539240
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2020085107
(87)【国際公開番号】W WO2021130015
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-12-08
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】リプソン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】アクバス、メフメト、アリ
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテルディユク、タムモ
(72)【発明者】
【氏名】ザオ、フェイ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-507367(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1586426(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を製造する方法であって、
第1表面を備える第1層を設けることと、
前記第1層の前記第1表面の上に複数のバールを形成することと、を備え、
前記複数のバールを形成することは、
前記複数のバールの上に複数の導電性バール頂部を配置することと、
前記複数の導電性バール頂部の間の前記第1表面の上に電気的接続を形成することと、
前記複数のバールの一部を約6.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成すること
と、を備える、方法。
【請求項2】
前記第1層を設けることは、ガラス基板を設けることを備え、
前記複数のバールを形成することは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の前記複数のバールを形成することを備え、
前記複数のバールを形成することは、少なくとも約3万個のバールを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のバールを形成することは、前記複数のバールを約2.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のバールを形成することは、前記複数のバールを約5.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のバールを形成することは、前記複数のバールを約10.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のバールを形成することは、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、または窒化クロム(CrN)からなる群から選択される材料で前記複数のバールを形成することを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のバールの前記一部を形成することは、前記複数のバールの前記一部を約10.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成することを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のバールの前記一部を形成することは、前記複数のバールの前記一部を約15.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成することを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のバールの前記一部を形成することは、前記複数のバールの前記一部を約20.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成することを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のバールを形成することは、
第2表面と、前記第2表面とは反対側の第3表面とを備える第2層を形成することであって、前記第2層の前記第3表面が前記第1層の前記第1表面上に配置されることと、
第4表面と、前記第4表面とは反対側の第5表面とを備える第3層を形成することであって、前記第3層の前記第5表面が前記第2層の前記第2表面上に配置されることと、を備え、
前記複数のバールを形成することは、前記第3層をパターニングして前記複数のバールを形成することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2層を形成することは、接着層を形成することを備え、
前記接着層を形成することは、クロム(Cr)またはアルミニウム(Al)からなる群から選択される少なくとも一つの材料で前記接着層を形成することを備え、
前記第3層を形成することは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)で前記第3層を形成することを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
装置を製造する方法であって、
第1表面を備える第1層と、前記第1層の前記第1表面の上に配置される第1の複数のバールとを備えるウェハクランプを受け取ることと、
前記第1の複数のバールを除去することと、
前記第1層の前記第1表面の上に第2の複数のバールを形成することと、を備え、
前記第2の複数のバールを形成することは、
前記第2の複数のバールの上に複数の導電性バール頂部を配置することと、
前記複数の導電性バール頂部の間の前記第1表面の上に電気的接続を形成することと、
前記第2の複数のバールの一部を約6.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成すること
と、を備える、方法。
【請求項13】
前記第2の複数のバールを形成することは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、または窒化クロム(CrN)からなる群から選択される少なくとも一つの材料で前記第2の複数のバールを形成することを備え、
前記第2の複数のバールを形成することは、前記第2の複数のバールを約2.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1表面を備える第1層と、
前記第1層の前記第1表面の上に配置される複数のバールと、
前記複数のバールの上に配置される複数の導電性バール頂部と、
前記複数の導電性バール頂部の間の前記第1表面の上に形成される電気的接続と、を備え、
前記複数のバールの一部の硬度は、約6.0ギガパスカル(GPa)より大きい装置。
【請求項15】
前記複数のバールは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、または窒化クロム(CrN)からなる群から選択される少なくとも一つの材料を備える、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2019年12月26日に出願された米国仮特許出願第62/953,730号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、基板テーブルに関し、基板テーブル表面上にバールおよびナノ構造を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に、通常基板のターゲット部分に付与する装置である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に用いることができる。この場合、パターニングデバイス(代わりにマスクまたはレチクルとも呼ばれる)は、ICの個々の層に形成されるべき回路パターンを生成するために使用できる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェハ)上の(例えばダイの一部、一つのダイまたはいくつかのダイを備える)ターゲット部分に転写されることができる。パターンの転写は、典型的に基板上に設けられる放射感受性材料(レジスト)の層への結像を介する。一般に、単一の基板は、連続的にパターニングされる隣接するターゲット部分のネットワークを含むであろう。典型的なリソグラフィ装置は、ターゲット部分にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分が照射されるいわゆるステッパと、放射ビームを通じてパターンを所定の方向(「走査」方向)に走査しながらこの方向と平行または反平行に基板を同期走査して各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。また、パターンを基板上にインプリントすることによって、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
極端紫外(EUV)光、例えば、約50ナノメートル(nm)以下の波長を有する電磁放射(しばしば軟X線とも呼ばれる)、および約13nmの波長の光を含む電磁放射は、基板、例えば、シリコンウェハに極めて小さなフィーチャを生成するためにリソグラフィ装置で使用することができる。EUV光を生成する方法は、例えば、キセノン(Xe)、リチウム(Li)、スズ(Sn)などのEUV領域の輝線を有する元素をプラズマ状態に変換することを含むが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)と呼ばれるそのような方法の一つでは、例えば、材料の液滴、プレート、テープ、ストリーム(流れ)またはクラスタの形態で、ターゲット材料(LPP源の文脈では同義で燃料とも呼ばれる)に増幅光ビーム(駆動レーザと呼ぶことができる)を照射することによってプラズマを生成できる。このプロセスのため、プラズマは、典型的に密閉容器、例えば真空チャンバ内で生成され、様々なタイプの計測機器を用いてモニタされる。
【0005】
別のリソグラフィシステムは、パターニングデバイスが存在しない干渉リソグラフィシステムである。正確には、干渉リソグラフィシステムは、光ビームを二つのビームに分割し、反射システムの使用を通じて、基板のターゲット部分で二つのビームの干渉を生じさせる。干渉は、基板のターゲット部分で形成されるべきラインを生じさせる。
【0006】
リソグラフィ工程の間、異なる処理ステップで、基板上に異なる層を順次形成することが必要かもしれない。したがって、基板上に形成された前のパターンに対して、基板を高い精度で位置決めすることが必要になる場合がある。一般に、アライメントマークは、アライメントされる基板上に配置され、第2の物体を基準として位置決めされる。リソグラフィ装置は、マスクからの正確な露光を確保するために、アライメントマークの位置を検出し、アライメントマークを用いて基板をアライメントするためのアライメント装置を使用しうる。二つの異なる層でのアライメントマーク間の位置ずれ(ミスアライメント)は、オーバーレイエラーとして測定される。
【0007】
リソグラフィプロセスをモニタするために、パターニングされた基板のパラメータが測定される。パラメータは、例えば、パターニングされた基板内または基板上に形成された連続する層の間のオーバーレイエラーと、現像された感光性レジストの臨界線幅とを含みうる。この測定は、製品基板、専用の計測ターゲット、またはその両方に対して実行できる。リソグラフィプロセスで形成される微細構造を測定するための様々な技術があり、走査型電子顕微鏡や様々な専用ツールを用いることが含まれる。専用検査ツールの高速かつ非侵襲な形態は、散乱計であり、基板の表面上のターゲットに放射ビームが照射され、散乱ビームまたは反射ビームの特性が測定される。基板で反射または散乱される前と後のビームの特性を比較することによって、基板の特性を決定することができる。これは、例えば、反射ビームを、既知の基板特性に関連する既知の測定値のライブラリに格納されたデータと比較することによって実行できる。分光散乱計は、広帯域の放射ビームを基板に向けて、特定の狭い角度範囲に散乱された放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。対照的に、角度分解散乱計は、単色の放射ビームを使用し、散乱された放射の強度を角度の関数として測定する。
【0008】
このような光学散乱計は、現像された感光性レジストの臨界寸法や、パターニングされた基板内または基板上に形成された二つの層の間のオーバーレイエラーといったパラメータを測定するために使用できる。基板の特性は、照明ビームが基板で反射または散乱される前と後の特性を比較することによって、決定できる。
【0009】
基板テーブルの表面上のトライボロジ特性(例えば、摩擦、硬度、摩耗)を規定し、維持することが望ましい。ある実施例では、ウェハクランプが基板テーブルの表面上に配置されてもよい。基板テーブル、またはそれに取り付けられたウェハクランプは、リソグラフィプロセスおよび計測プロセスの精度要件のために、満たすことが困難となる可能性のある表面レベル公差を有する。ウェハ(例えば、半導体基板)は、その表面積の幅(例えば、100mm幅より大きい)に比べて比較的薄い(例えば、1ミリメートル(mm)厚より小さい)ため、基板テーブルの凹凸に特に敏感である。加えて、接触する超平滑面は、互いにくっつくかもしれず、基板を基板テーブルから離脱しなければならないときに問題となるかもしれない。ウェハとの界面である表面の平滑性を低下させるために、基板テーブルまたはウェハクランプの表面は、ガラス基板のパターニングやエッチングによって形成されたガラスバールを含みうる。しかし、これらガラスバールは、約6.0ギガパスカル(GPa)の硬度しかなく、その結果、リソグラフィ装置の動作中にクラックが生じ、クランプされたウェハによってガラスバールに無理に押し込まれる粒子によって押し潰される可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、硬いバールを含む基板テーブルおよびウェハクランプのためのシステム、装置、および方法の様々な態様を説明する。硬いバールは、約6.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度を有するバールであることができ、いくつかの態様では、約20.0GPaより大きい。これらの硬いバールは、耐摩耗性および摩擦特性を増加させ、リソグラフィ装置の動作中にクラックを生じさせることなく基板を係止および解放させることに貢献する。
【0011】
いくつかの態様において、本開示は、装置を製造する方法を説明する。この方法は、第1表面を含む第1層を設けることを含むことができる。この方法は、第1層の第1表面の上に複数のバールを形成することをさらに含むことができる。複数のバールを形成することは、複数のバールの一部を約6.0GPaより大きい硬度に形成することを含むことができる。
【0012】
いくつかの態様において、本開示は、装置を製造する別の方法を説明する。この方法は、ウェハクランプを受け取ることを含むことができる。ウェハクランプは、第1表面を含む第1層と、第1層の第1表面の上に配置される第1の複数のバールとを含むことができる。この方法は、第1の複数のバールを除去することをさらに含むことができる。この方法は、第1層の第1表面の上に第2の複数のバールを形成することをさらに含むことができる。第2の複数のバールを形成することは、第2の複数のバールの一部を約6.0GPaより大きい硬度に形成することを含むことができる。
【0013】
いくつかの態様において、本開示は、装置を説明する。この装置は、第1表面を含む第1層を含むことができる。この装置は、第1層の第1表面の上に配置される複数のバールを含むことができ、複数のバールの一部の硬度は、約6.0GPaより大きい。
【0014】
さらなる特徴は、様々な態様の構造および動作とともに、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。本開示は、本書に記載される特定の態様に限定されないことに留意されたい。そのような態様は、例示のみを目的として本書に提示される。追加の態様は、本書に含まれる教示に基づけば、関連する技術における当業者とって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本書に組み込まれて本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示を例示し、詳細な説明とともに、本開示の態様の原理を説明し、関連する技術における当業者が本開示の態様の実施を可能にするためにさらに役立つものである。
【0016】
【
図1A】本開示のいくつかの態様に係る反射型リソグラフィ装置の例を模式的に示す。
【0017】
【
図1B】本開示のいくつかの態様に係る透過型リソグラフィ装置の例を模式的に示す。
【0018】
【
図2】本開示のいくつかの態様に係る
図1Aに示される反射型リソグラフィ装置のより詳細を模式的に示す。
【0019】
【
図3】本開示のいくつかの態様に係る例示的なリソグラフィセルを模式的に示す図である。
【0020】
【
図4】本開示のいくつかの態様に係る例示的な基板ステージを模式的に示す。
【0021】
【
図5】本開示のいくつかの態様に係る例示的なクランプのある領域の断面を示す。
【0022】
【
図6】本開示のいくつかの態様に係る別の例示的なクランプのある領域の断面を示す。
【0023】
【
図7】本開示のいくつかの態様に係る装置を製造する例示的な方法またはその部分を示す。
【0024】
【
図8】本開示のいくつかの態様に係る装置を製造する別の例示的な方法またはその部分を示す。
【0025】
本開示の特徴および利点は、全体を通して同様の参照符号が対応する要素を識別する図面と併せて解釈される場合に、以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。図面において、同様の参照符号は、たいていの場合、同一の、機能的に類似の、および/または構造的に類似の要素を示す。さらに、たいていの場合、参照符号の左端の数字は、参照符号が最初に現れる図面を特定する。特に明記されない限り、本開示の全体を通して提示される図面は、縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書は、本開示の特徴を包含する一以上の実施形態を開示する。開示される実施形態は、本開示を例示するにすぎない。本開示の範囲は、開示される実施形態に限定されない。本開示の幅および範囲は、本書に添付される請求項およびその等価物によって定義される。
【0027】
説明される実施形態、および本明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「ある例示的な実施形態」等への言及は、説明された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができるが、必ずしも全ての実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含まなくてもよいことを示すものである。さらに、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性がある実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かによらず、他の実施形態に関連するそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは、当業者の知識の範囲内であると理解される。
【0028】
空間的に相対的な用語、例えば、「下方」、「下」、「下側」、「上方」、「上」、「上側」などは、図面に例示される一つの要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係性を記述する説明を分かりやすくするために本書で使用されうる。空間的に相対的な用語は、図面に描かれた向きに加えて、使用または動作における装置の異なる向きを包含することが意図される。装置は、その他の向き(90度回転または他の向き)となることができ、本書で使用される空間的に相対的な記述語は、状況に応じて同じように解釈されてもよい。
【0029】
本書で使用される「約」の用語は、特定の技術に基づいて変化することのできる所定量の値を示す。特定の技術に基づいて、「約」の用語は、例えば、値の10~30%(例えば、値の±10%、±20%、または±30%)の範囲内で変化する所定量の値を示すことができる。
【0030】
概要
【0031】
EUV放射源を使用する従来のリソグラフィ装置は、典型的に、リソグラフィ工程の間、EUV放射ビーム経路またはその少なくとも実質的な部分を真空に保つことが必要である。リソグラフィ装置のそのような真空領域において、静電クランプは、パターニングデバイス(例えば、マスクもしくはレチクル)または基板(例えば、ウェハ)といった物体を、それぞれパターニングデバイステーブルまたは基板テーブルといったリソグラフィ装置の構造にクランプするために使用できる。従来の静電クランプは、クランプの一方の表面に電極を含むことができ、クランプの反対側の表面上に複数のバールを配置できる。クランプが通電され(例えば、クランプ電圧を用いて)、レチクルまたはウェハをバールに接触させて引っ張ると、導電性バールの頂部は、レチクルまたはウェハの裏面とは異なる電位になることができる。接触の瞬間、この電位差は、二つの電位が等しくなるように放電メカニズムを生じさせる。この放電メカニズムは、物質の移動や粒子の発生を生じさせる可能性があり、最終的にレチクルやウェハ、クランプ、またはそれらの組み合わせにダメージを与える可能性がある。さらに、従来のウェハクランプは、ガラス基板のパターニングおよびエッチングによって形成されたガラスバールを典型的に含む。これらガラスバールは、約6.0GPaの硬度しかなく、その結果、リソグラフィ装置の動作中にクラックが生じ、クランプされたウェハによってガラスバールに無理に押し込まれる粒子によって押し潰される可能性がある。
【0032】
これらの従来のシステムとは対照的に、本開示は、硬いバールを含むウェハクランプ、または静電クランプを製造する方法を提供する。硬いバールは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、または窒化クロム(CrN)といった材料で製造することができる。硬いバールは、約6.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度を有することができ、いくつかの態様では、約20.0GPaより大きい。さらに、本開示は、壊れたガラスバールを有する現場から戻ってきたウェハクランプまたは静電クランプを再加工するための方法を提供する。この方法は、ガラスバールを除去することと、ウェハクランプまたは静電クランプの表面上に硬いバールの層を作製することとを含む。
【0033】
いくつかの態様において、本開示は、とりわけ、以下の三つの工程を含む、クランプを製造する方法を提供する。
【0034】
1.最初に、クランプが有する誘電体層(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸塩)を約100マイクロメータ(ミクロン)の最終厚さまで薄くする。クランプが現場から戻ってくる場合のいくつかの態様において、この工程は、ガラスバールを研削し、研磨することを含むことができる。誘電体層を約100ミクロン未満の厚さまで薄くするいくつかの態様において、この工程は、プラズマ化学気相成長(PECVD)などの気相成長法を介して二酸化シリコン(SiO2)の層(例えば、約5.0ミクロン)を堆積することを含むことができる。
【0035】
2.DLC、Cr、CrN、SiNまたはAlNなどの硬いエッチング可能な材料を約10.0ミクロン堆積し、堆積した層をパターニングおよびエッチングして硬いバールを形成する。例えば、誘電体層をCrで薄く被覆(フラッシュ)して接着層を形成し、Cr接着層上にDLCを10.0ミクロン堆積し、DLC層をCrで被覆し、硬いバールのためのバールパターン(例えば、Cr上のバール形状のパターンレジスト)を作成し、Crをパターニングする。その後、ドライエッチプロセスを用いてDLCをパターニングしてから、最終のウェットケミカルエッチングを用いてCr接着層をパターニングし、硬いバールの頂部からCrを除去する。あるいは、等方性酸素エッチング(例えば酸素プラズマアッシング)を実行し、Crエッチングを実行して硬いバールを形成する。いくつかの態様において、硬いバールがCrN、AlNまたは他の適切な材料で形成される場合、同様のプロセスを利用してもよい。
【0036】
3.硬いバールをCrNで被覆し、被覆された硬いバールをパターニングおよびエッチングして導電性のバール頂部を作成し、場合によっては、そのバール頂部の間の構造の表面に沿って電気的接続を作成する。
【0037】
本書に開示されるクランプには、多くの利点および利益がある。例えば、本開示は、約6.0ギガパスカル(GPa)より大きい、いくつかの態様では約20.0GPaより大きい硬度を有する硬いバールを含むウェハクランプおよび静電クランプを提供する。これらの硬いバールは、従来のガラスバールを上回る増加した耐摩耗性を提供し、リソグラフィ装置の動作中に、クラックまたは破損を生じさせずに、基板またはパターニングデバイスを係止および解放させることに貢献する摩擦特性を提供する。さらに、本開示は、現場から戻される壊れたバールを有するクランプの再加工を支援する。本開示に記載の技術の結果、関連するリソグラフィ装置は、以前の技術よりも速く、安く、かつ確実にサービスに戻されることができる。いくつかの態様において、本開示は、リソグラフィ工程中に簡単には破損しないであろう、はるかに硬いバールを有する再加工されたクランプを現場に戻すことを支援する。
【0038】
しかしながら、このような態様をより詳細に説明する前に、本開示の態様を実装することができる例示的な環境を示すことが有益である。
【0039】
例示的なリソグラフィシステム
【0040】
図1Aおよび
図1Bは、本開示の態様を実装することができるリソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’をそれぞれ模式的に示す。リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’のそれぞれは、放射ビームB(例えば、深紫外(DUV)放射または極端紫外(EUV)放射)を調整するよう構成された照明システム(イルミネータ)ILと;パターニングデバイス(例えばマスク、レチクルまたはダイナミックパターニングデバイス)MAを支持するよう構成され、パターニングデバイスMAを正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続されるサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと;基板(例えばレジストコートされたウェハ)Wを保持するよう構成され、基板Wを正確に位置決めするよう構成され第2位置決め装置PWに接続される基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTといった基板ホルダとを含む。リソグラフィ装置100および100’は、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付されるパターンを基板Wの(例えば一以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するよう構成される投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100において、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは反射型である。リソグラフィ装置100’において、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは透過型である。
【0041】
照明システムILは、放射を方向付け、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型、静電型または他のタイプの光学素子といった様々なタイプの光学素子、または、これらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0042】
サポート構造MTは、基準フレームに対するパターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置100および100’の少なくとも一つのデザイン、および、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されるか否かといった他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械式、真空式、静電式、または他のクランプ技術を用いることができる。サポート構造MTは、フレームまたはテーブルであることができ、例えば、これらは必要に応じて固定することができ、または、移動可能とすることができる。センサを用いることによって、サポート構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSに対して所望の位置にあることを確実にすることができる。
【0043】
「パターニングデバイスMA」の用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するといった目的のために、放射ビームBの断面にパターンを付与するために用いることができる任意のデバイスを指すものと広く解釈されるべきである。放射ビームBに付与されるパターンは、集積回路を形成するためのターゲット部分Cに生成されているデバイスの特定の機能層に対応することができる。
【0044】
パターニングデバイスMAは、(
図1Bのリソグラフィ装置100’のように)透過型であることができ、または(
図1Aのリソグラフィ装置100のように)反射型であることができる。パターニングデバイスMAの例は、マスク、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDパネルを含む。マスクは、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスクといったマスクタイプを含むとともに、様々なハイブリッド型のマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの例は、マトリックス状に配列される小型ミラーを採用し、各ミラーは入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されることができる。傾斜されるミラーは、小型ミラーのマトリックスによって反射される放射ビームBにパターンを付与する。
【0045】
「投影システムPS」の用語は、使用する露光放射、または基板W上の液浸液の使用や真空の使用といった他の要因において適切となるように、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型および静電型の光学システム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、任意のタイプの投影システムを包含することができる。EUVまたは電子ビーム放射では、他のガスが放射または電子を吸収しすぎるため、真空環境を用いることができる。したがって、真空壁および真空ポンプの助けを借りて、ビーム経路の全体に真空環境を提供することができる。
【0046】
リソグラフィ装置100および/またはリソグラフィ装置100’は、二つ(デュアルステージ)またはそれより多い基板テーブルWT(および/または二以上のマスクテーブル)を有するタイプであることができる。このような「マルチステージ」の機械において、追加の基板テーブルWTを並行して用いることができ、または、準備ステップを一以上のテーブルで実行する間、一以上の他の基板テーブルWTを露光に用いることができる。状況によっては、追加のテーブルは、基板テーブルWTでなくてもよい。
【0047】
リソグラフィ装置は、投影システムと基板の間の空間を満たすように、基板の少なくとも一部を比較的高い屈折率を有する液体、例えば、水によって覆うことができるタイプのものであることもできる。液浸液は、リソグラフィ装置内の他の空間、例えば、マスクと投影システムの間にも適用することができる。液浸技術は、投影システムの開口数の増加をもたらす。本書で使用される「液浸」の用語は、基板などの構造を液体中に水没させなければならないことを意味せず、むしろ露光中に投影システムと基板の間に液体が配置されることのみを意味する。
【0048】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、照明システムILは、放射源SOから放射線ビームBを受け取る。放射源SOおよびリソグラフィ装置100、100’は、例えば、放射源SOがエキシマレーザである場合、別々の物理的実体であることができる。そのような場合、放射源SOは、リソグラフィ装置100または100’の一部を形成するとみなされず、放射ビームBは、例えば適切な方向付けミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBD(
図1B参照)の助けによって、放射源SOから照明システムILに通過する。他の場合、放射源SO、例えば、放射源SOが水銀ランプである場合、リソグラフィ装置100、100’の一体的な部分であることができる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じて、ビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと称することができる。
【0049】
照明システムILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタAD(
図1B参照)を含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側径範囲および/または内側径範囲(通常、それぞれσ-アウタおよびσ-インナと呼ばれる)を調整できる。加えて、照明システムILは、インテグレータINや放射コレクタ(例えば、コンデンサ)COといった様々な他の構成要素(
図1B参照)を含むことができる。照明システムILは、ビーム断面において所望の均一性および強度分布を有する放射ビームBを調整するために用いることができる。
【0050】
図1Aを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによりパターン化される。リソグラフィ装置100において、放射ビームBは、パターニングデバイスMAから反射される。放射ビームBは、パターニングデバイスMAから反射された後、投影システムPSを通過し、放射ビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを正確に(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cが位置決めされるように)移動させることができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサIF1を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントできる。
【0051】
図1Bを参照すると、放射ビームBは、サポート構造MT上に保持されたパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン化される。パターニングデバイスMAを横切ると、放射ビームBは、基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる投影システムPSを通過する。投影システムは、照明システムの瞳IPUに対する瞳共役PPUを有する。放射の各部分は、照明システムの瞳IPUでの強度分布から発し、マスクパターンでの回折の影響を受けずにマスクパターンを横切り、照明システムの瞳IPUで強度分布の像を作成する。
【0052】
投影システムPSは、マスクパターンMPの像MP’を基板W上にコートされたレジスト層に投影する。ここで、像MP’は、強度分布からの放射によってマスクパターンMPから生じる回折ビームによって形成される。例えば、マスクパターンMPは、ラインとスペースのアレイを含むことができる。アレイでの放射の回折であって、ゼロ次回折とは異なる回折は、ラインに垂直な方向の方向変化を伴うように逸れた回折ビームを発生させる。非回折ビーム(例えば、いわゆるゼロ次回折ビーム)は、伝搬方向の変化を伴わずにパターンを横切る。ゼロ次回折ビームは、投影システムPSの瞳共役PPUの上流側にある投影システムPSの上側レンズまたは上側レンズ群を横切って、瞳共役PPUに到達する。瞳共役PPUの面内の強度分布の部分であって、ゼロ次回折ビームに関連する部分は、照明システムILの照明システム瞳IPUにおける強度分布の像である。アパチャデバイスPDは、例えば、投影システムPSの瞳共役PPUを含む平面、または、ほぼその平面に配置される。
【0053】
投影システムPSは、レンズまたはレンズ群Lによって、ゼロ次回折ビームだけでなく、1次回折ビームまたは1次および高次回折ビーム(図示せず)も捉えるように構成される。いくつかの態様において、ラインに垂直な方向に延びるラインパターンを結像するためのダイポール照明は、ダイポール照明の解像度向上効果を利用するために用いることができる。例えば、1次回折ビームは、基板Wのレベルで、対応するゼロ次回折ビームと干渉し、可能な限り高い解像度およびプロセスウィンドウ(例えば、許容露光量偏差と組み合わされる使用可能な焦点深度)でマスクパターンMPの像を形成できる。いくつかの態様において、非点収差は、放射ポール(図示せず)を照明システム瞳IPUの対向する象限に設けることによって低減できる。さらに、いくつかの態様において、非点収差は、対向する象限内の放射ポールに関連する投影システムの瞳共役PPUのゼロ次ビームをブロックすることによって低減できる。これは、2009年3月31日に発行された米国特許第7,511,799号により詳細に説明されており、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0054】
第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTを正確に(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cが配置されるように)移動させることができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(
図1Bに図示せず)は、(例えば、マスクライブラリからの機械検索後、またはスキャン中に)放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために用いることができる。
【0055】
一般に、サポート構造MTの移動は、第1位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けを借りて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュールとショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTはショートストロークアクチュエータのみに接続することができ、または固定することもできる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントできる。基板アライメントマークは(図示されるように)専用のターゲット部分を占めるが、ターゲット部分の間のスペースに配置することもできる(例えば、スクライブラインアライメントマーク)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイが設けられる状況では、マスクアライメントマークは、ダイの間に配置することができる。
【0056】
サポート構造MTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバV内にあることができ、真空内ロボットIVRは、マスクなどのパターニングデバイスを真空チャンバの内外に移動させるために使用できる。あるいは、サポート構造MTおよびパターニングデバイスMAが真空チャンバの外にある場合、真空内ロボットIVRと同様に、真空外ロボットを様々な搬送動作に使用できる。いくつかの場合、真空内ロボットおよび真空外ロボットの双方は、任意の搭載物(例えば、マスク)を搬送ステーションの固定キネマティックマウントに円滑に搬送するために較正される必要がある。
【0057】
図示される装置は、以下のモードの少なくとも一つで用いることができる。
【0058】
1.ステップモードでは、サポート構造MTおよび基板テーブルWTが実質的に静止状態とされる間、放射ビームBに付与されるパターン全体がターゲット部分Cに1回で投影される(例えば、単一静的露光)。基板テーブルWTはその後、Xおよび/またはY方向にシフトされるため、異なるターゲット部分Cを露光できる。
【0059】
2.スキャンモードでは、サポート構造MTおよび基板テーブルWTが同期してスキャンされる間、放射ビームBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(つまり、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性および像反転特性によって決定できる。
【0060】
3.別のモードでは、サポート構造MTがプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態を維持し、基板テーブルWTが移動またはスキャンされる間、放射ビームBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される。パルス放射源SOを採用することができ、基板テーブルWTの各移動後またはスキャン中の連続する放射パルスの間に、必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスが更新される。この動作モードは、プログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスMAを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0061】
説明したモードの使用の組み合わせや変形例、全く異なるモードの使用を採用することもできる。
【0062】
ある別の態様において、リソグラフィ装置100は、EUVリソグラフィのためのEUV放射ビームを生成するよう構成されるEUV源を含む。一般に、EUV源は、放射システム内に構成され、対応する照明システムは、EUV源のEUV放射ビームを調整するよう構成される。
【0063】
図2は、放射源(例えば、ソースコレクタ装置)SO、照明システムIL、および投影システムPSを含むリソグラフィ装置100をより詳細に示す。放射源SOは、包囲構造220内に真空環境を維持できるように構築および構成されている。放射源SOは、ソースチャンバ211およびコレクタチャンバ212を含み、EUV放射を生成および伝送するよう構成される。EUV放射は、キセノン(Xe)ガス、リチウム(Li)蒸気、またはスズ(Sn)蒸気などのガスまたは蒸気によって生成することができ、そのガスまたは蒸気内でEUV範囲内の電磁スペクトルの放射を放出するEUV放射放出プラズマ210が生成される。少なくとも部分的に電離されたEUV放射放出プラズマ210は、例えば、放電またはレーザビームによって生成できる。Xeガス、Li蒸気、Sn蒸気、または任意の他の適切なガスまたは蒸気の例えば10パスカル(Pa)の分圧は、放射の効率的な生成のために使用できる。いくつかの態様において、EUV放射を生成するために、励起されたスズのプラズマが提供される。
【0064】
EUV放射放出プラズマ210によって放出された放射は、ソースチャンバ211からコレクタチャンバ212に向けて、ソースチャンバ211の開口内または開口後方に配置される選択的なガスバリアまたは汚染物質トラップ230(いくつかの場合、汚染物質バリアまたはホイルトラップとも呼ばれる)を介して通過する。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含むことができる。汚染物質トラップ230は、ガスバリアまたはガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含むこともできる。本書でさらに示される汚染物質トラップ230は、少なくともチャネル構造を含む。
【0065】
コレクタチャンバ212は、放射コレクタ(例えば、コレクタ光学系)COを含むことができ、これは、いわゆる斜入射コレクタとすることができる。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側面251および下流放射コレクタ側面252を有する。放射コレクタCOを横切る放射は、回折格子スペクトルフィルタ240で反射され、仮想ソース点IFに集光することができる。仮想ソース点IFは、一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタ装置は、仮想ソース点IFが包囲構造220の開口219またはその近傍に位置するように構成される。仮想ソース点IFは、EUV放射放出プラズマ210の像である。回折格子スペクトルフィルタ240は、特に赤外(IR)放射を抑制するために使用される。
【0066】
その後、放射は、照明システムILを横切る。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス222およびファセット瞳ミラーデバイス224を含むことができ、これらは、パターニングデバイスMAにて放射ビーム221の所望の角度分布を提供するとともに、パターニングデバイスMAにて放射強度の所望の均一性を提供するよう構成される。サポート構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAで放射ビーム221が反射すると、パターンビーム226が形成され、パターンビーム226は、投影システムPSによって反射素子228、229を介して、ウェハステージまたは基板テーブルWTによって保持された基板Wに結像される。
【0067】
一般に、図示されるよりも多い素子が、照明システムILおよび投影システムPSに存在してもよい。選択的に、リソグラフィ装置のタイプに応じて、回折格子スペクトルフィルタ240が存在できる。さらに、
図2に示されたものよりも多くのミラーが存在することができる。例えば、投影システムPSには、
図2に示されたものよりも1~6の追加の反射素子が存在できる。
【0068】
放射コレクタCOは、
図2に示されるように、コレクタ(またはコレクタミラー)の例として、かすり入射反射体253、254、255を有するネスト型コレクタとして描かれている。かすり入射反射体253、254、255は、光軸Oの周りに軸対称に配置され、このタイプの放射コレクタCOは、放電生成プラズマ(DPP)源と組み合わせて使用することが好ましい。
【0069】
例示的なリソグラフィセル
【0070】
図3は、リソセルまたはクラスタとも呼ばれるリソグラフィセル300を示す。リソグラフィ装置100または100’は、リソグラフィセル300の一部を形成することができる。リソグラフィセル300は、基板上で露光前および露光後プロセスを実行するための一以上の装置を含むこともできる。例えば、これらの装置は、レジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光されたレジストを現像するデベロッパDE、チルプレートCH、およびベークプレートBKを含むことができる。基板ハンドラ(例えば、ロボット)ROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板をピックアップし、異なるプロセス装置間で移動させ、リソグラフィ装置100または100’のローディングベイLBに搬送する。これらの装置は、しばしばトラックと総称され、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、TCU自体は上位制御システムSCSによって制御される。SCSは、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。このように、異なる装置を操作してスループットやプロセス効率を最大化できる。
【0071】
例示的な基板ステージ
【0072】
図4は、本開示のいくつかの態様に係る例示的な基板ステージ400を概略的に示す。いくつかの態様において、例示的な基板ステージ400は、基板テーブル402、サポートブロック404、一以上のセンサ構造406、任意の他の適切な構成要素、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの態様において、基板テーブル402は、基板408を保持するためのクランプ(例えば、ウェハクランプ、レチクルクランプ、静電クランプ)を備える。いくつかの態様において、一以上のセンサ構造406のそれぞれは、透過型イメージセンサ(TIS)プレートを備える。TISプレートは、TISセンシングシステムで用いるための一以上のセンサおよび/またはマーカを備えるセンサユニットであり、リソグラフィ装置(例えば、
図1A、
図1Bおよび
図2を参照して説明したリソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’)の投影システム(例えば、
図1A、
図1Bおよび
図2を参照して説明した投影システムPS)およびマスク(例えば、
図1A、
図1Bおよび
図2を参照して説明したパターニングデバイス)の位置に対するウェハの正確な位置決めに用いられる。ここで、TISプレートは説明のために例示されており、本書の態様は、いかなる特定のセンサにも限定されない。基板テーブル402は、サポートブロック404上に配置される。一以上のセンサ構造406は、サポートブロック404上に配置される。
【0073】
いくつかの態様において、基板408は、例示的な基板テーブルステージ400が基板408を支持するときに基板テーブル402上に配置されることができる。
【0074】
「平坦」、「平坦性」などの用語は、表面の主面に関連する構造を説明するために本書で用いることができる。例えば、曲がった面や水平でない面は、平坦な面に適合していないものであることができる。また、表面上の突起および凹みも、「平坦」な平面からの逸脱として特徴づけることができる。
【0075】
「滑らか」、「粗さ」などの用語は、表面の局所的な変化、微視的な偏差、粒状性、または質感を指すために使用できる。例えば、「表面粗さ」の用語は、平均線または平面からの表面プロファイルの微視的な偏差を指すことができる。偏差は、二乗平均平方根(RMS)または算術平均偏差(Ra)(例えば、1nm RMS)といった振幅パラメータとして(長さの単位で)一般に測定される。
【0076】
いくつかの態様において、上述の基板テーブル(例えば、
図1Aおよび
図1Bの基板テーブルWT、
図4の基板テーブル402)の表面は、平坦であることができ、またはバール加工されることができる。基板テーブルの表面が平坦である場合、基板テーブルとウェハの間に付着した任意の微粒子または汚染物質は、ウェハを通り抜けて汚染物質の印刷を生じさせ、その近傍でリソグラフィエラーが発生する原因となるであろう。その結果、汚染物質はデバイスの歩留まりを低下させ、製造コストを上昇させる。
【0077】
基板テーブル上にバールを配置することは、平坦な基板テーブルの好ましくない影響の低減を助ける。ウェハがバール加工された基板テーブルにクランプされるとき、ウェハが基板テーブルに接触していない部分において空いたスペースが利用できる。この空いたスペースは、汚染物質のポケットとして機能するため、印刷エラーを防止する。別の利点は、バール上に位置する汚染物質は、バールによって増加する負荷に起因して押し潰されやすくなる点である。汚染物質の破砕は、プリントスルーエラーの軽減にも役立つ。いくつかの態様において、バールの合計表面積は、基板テーブルの表面積のおおよそ1パーセントから5パーセントとすることができる。ここで、バールの表面積とは、ウェハと接触する表面(例えば、側壁を含まない)を指し、基板テーブルの表面積とは、バールが存在する基板テーブルの表面の全範囲(スパン)(例えば、基板テーブルの側面または裏面を含まない)を指す。ウェハがバール加工された基板テーブルにクランプされると、平坦な基板テーブルに比べて荷重が100倍に増加し、ほとんどの汚染物質を押し潰すのに十分となる。ここでは、基板テーブルを例として用いたが、この例は限定を意図するものではない。例えば、本開示の態様は、レチクルテーブル、様々なクランプ構造(例えば、静電クランプ、クランプ膜)、および様々なリソグラフィシステム(例えば、EUV、DUV)において実装することができる。
【0078】
いくつかの態様において、バールとウェハの界面は、基板テーブルの機能的性能を支配する。基板テーブルの表面が滑らかである場合、基板テーブルの滑らかな表面とウェハの滑らかな表面の間に接着力が発生する可能性がある。このように、二つの滑らかな表面同士が接触してくっつく現象は、リンギングとして知られる。リンギングは、ウェハの高い摩擦および面内応力に起因したデバイス製造における問題(例えばオーバーレイ問題)を生じさせる可能性がある (アライメント時には、ウェハが容易に滑ることが最適である)。
【0079】
さらに、基板テーブルのバール加工された表面は、特に基板テーブルの中心から離れた端部において、異常に速く摩耗しやすいことが観察されている(例えば、不均一な摩耗)。不均一な摩耗は、基板テーブルにクランプされたときにウェハの曲げを生じさせ、その結果、デバイス構造のリソグラフィ配置の精度や経時的なオーバーレイドリフトなどを低下させる。そして、全体的な摩耗は、リンギング問題を再発生させ、クランプ面のグローバル形状の変化に起因する結像性能の低下につながる可能性がある。
【0080】
バール頂部表面の硬度を高め、その表面の摩擦摩耗を防止するために、本開示は、硬いバールを提供する。本書で言及するように、「硬い」の用語は、約6.0GPaより大きい硬度を指すことができ、いくつかの態様において、約20.0GPaより大きい。「硬いバール」の用語は、約6.0GPaより大きい硬度を有するバールを指すことができ、いくつかの態様において、約20.0GPaより大きい。例えば、硬いバールは、DLC、AlN、SiN、CrN、または他の任意の適切な材料もしくはその組み合わせからなる群から選択される材料であることができる。
【0081】
例示的な硬いバールを有する表面
【0082】
図5は、例示的なクランプ500(例えば、ウェハクランプ、レチクルクランプ、静電クランプ)のある領域の断面を示す。例示的なクランプ500は、第1表面502aを含む第1層502(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸塩基板、SiO
2層)を含むことができる。
【0083】
例示的なクランプ500は、第2表面504aと、第2表面504aとは反対側の第3表面504bとを含む第2層504(例えば、Cr、Al、Siまたは任意の適切な材料の層といった接着層)をさらに含むことができる。第2層504の第3表面504bは、第1層502の第1表面502a上に配置することができる。いくつかの態様において、第2層504は、最終ステップまたは最終に近いステップでパターニングされることができる。
【0084】
例示的なクランプ500は、第1層502の第1表面502aの上に配置される複数のバール506(例えば、DLCバール)をさらに含むことができる。例えば、複数のバール506は、第2層504の第2表面504a上に配置することができる。複数のバール506の一部(サブセット)の硬度は、約6.0GPaより大きくすることができ、いくつかの態様において、約10.0GPa、約15.0GPa、または約20.0GPaよりも大きい。複数のバール506の厚さは、約2.0ミクロンより大きくすることができ、いくつかの態様において、約5.0ミクロン、約7.5ミクロン、または約10.0ミクロンより大きい。複数のバール506のそれぞれの半径は、約200.0ミクロンとすることができる。いくつかの態様において、複数のバール506は、少なくとも約3万個のバールを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバール506は、第3層(例えば、DLC層)をパターニングおよびエッチングして複数のバール506を形成することによって形成できる。
【0085】
例示的なクランプ500は、複数のバール506の上に配置された複数のバール頂部507(例えば、CrNバール頂部)をさらに含むことができる。複数のバール頂部507は、第4層(例えば、CrN層)をパターニングおよびエッチングして、複数のバール頂部507を形成することによって形成できる。いくつかの態様において、複数のバール506、複数のバール頂部507、またはその両方は、導電性であることができる。
【0086】
複数のバール506の各バールは、第4表面506aと、第4表面506aとは反対側の第5表面506bとを含むことができる。バールの第5表面506bは、第2層504の第2表面504a上に配置することができる。複数のバール頂部507の各バール頂部は、第6表面507aと、第6表面507aとは反対側の第7表面507bとを含むことができる。バール頂部の第7表面507bは、バールの第4表面506a上に配置することができる。
【0087】
選択的に、物体508(例えば、ウェハWまたはパターニングデバイスMA)は、複数のバール頂部507の上に位置決めされることができる。例えば、物体508の第8表面508aは、複数のバール頂部507の一以上の第6表面507a上に移動可能に配置(例えば、載置、位置決め)することができる。
【0088】
図6は、例示的なクランプ600(例えば、ウェハクランプ、レチクルクランプ、静電クランプ)のある領域の断面を示す。例示的なクランプ600は、第1表面602aを含む第1層602(例えば、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウケイ酸塩基板、SiO
2層)を含むことができる。
【0089】
例示的なクランプ600は、第1層602の第1表面602aの上に配置される複数のバール606(例えば、CrN、AlNまたはSiNバール)をさらに含むことができる。例えば、複数のバール606は、第1層602の第1表面602a上に配置することができる。複数のバール606の一部(サブセット)の硬度は、約6.0GPaより大きくすることができ、いくつかの態様において、約10.0GPa、約15.0GPa、または約20.0GPaよりも大きい。複数のバール606の厚さは、約2.0ミクロンより大きくすることができ、いくつかの態様において、約5.0ミクロン、約7.5ミクロン、または約10.0ミクロンより大きい。いくつかの態様において、複数のバール606は、少なくとも約3万個のバールを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバール606は、第2層(例えば、CrN、AlNまたはSiN層)をパターニングおよびエッチングして複数のバール606を形成することによって形成できる。
【0090】
複数のバール606の各バールは、第2表面606aと、第2表面606aとは反対側の第3表面606bとを含むことができる。バールの第3表面606bは、第1層602の第1表面602a上に配置することができる。
【0091】
選択的に、物体608(例えば、ウェハWまたはパターニングデバイスMA)は、複数のバール606の上に位置決めされることができる。例えば、物体608の第4表面608aは、複数のバール606の一以上の第2表面606a上に移動可能に配置(例えば、載置、位置決め)することができる。
【0092】
硬いバールを有する表面を製造するための例示的なプロセス
【0093】
図7は、本開示のいくつかの態様に係る装置を製造するための例示的な方法700またはその部分である。例示的な方法700を参照して説明される工程は、本書に説明される、上述の
図1-6および後述の
図8を参照して説明されるもの等の、任意のシステム、装置、構成要素、技術またはその組み合わせによって実行されることができる。
【0094】
工程702にて、方法は、第1表面を含む第1層を設けることを含むことができる。いくつかの態様において、第1層を設けることは、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸塩基板、SiO2層(例えば、PECVDまたは任意の他の適切な技術を介して堆積される)、または任意の他の適切な層を設けることを含むことができる。
【0095】
工程704にて、方法は、第1層の第1表面の上に複数のバールを形成することをさらに含むことができる。複数のバールの形成は、複数のバールの一部(サブセット)を約6.0GPaより大きい硬度に形成することを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバールの形成は、DLCの複数のバールを形成することを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバールの形成は、複数のバールを約2.0マイクロメートルより大きい、約5.0マイクロメートルより大きい、または約10.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバールの形成は、AlN、SiNまたはCrNからなる群から選択される材料で複数のバールを形成することを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバールの形成は、少なくとも約3万個のバールを形成することを含むことができる。いくつかの態様において、複数のバールの一部の形成は、複数のバールの一部を、約10.0GPaより大きい、約15.0GPaより大きい、または約20.0GPaより大きい硬度に形成することを含むことができる。
【0096】
いくつかの態様において、複数のバールを形成することは、第2表面と、第2表面とは反対側の第3表面とを備える第2層を形成することであって、第2層の第3表面が第1層の前記第1表面上に配置されることと;第4表面と、第4表面とは反対側の第5表面とを備える第3層を形成することであって、第3層の第5表面が第2層の第2表面上に配置されることと;を備え、複数のバールを形成することは、第3層をパターニングして複数のバールを形成することを備える。いくつかの態様において、第2層の形成は、接着層を形成することを含むことができる。いくつかの態様において、接着層の形成は、CrまたはAlからなる群から選択される少なくとも一つの材料で接着層を形成することを含むことができる。いくつかの態様において、第3層の形成は、DLCで第3層を形成することを含むことができる。選択的に、いくつかの態様において、方法は、約350℃より大きい温度で第1層および複数のバールをキュアリングすることをさらに含むことができる。
【0097】
図8は、本開示のいくつかの態様に係る装置を製造するための例示的な方法800またはその部分である。例示的な方法800を参照して説明される工程は、本書に説明される、上述の
図1-7を参照して説明したものといった、任意のシステム、装置、構成要素、技術またはその組み合わせによって実行されることができる。
【0098】
工程802にて、方法は、ウェハクランプを受け取ることを含むことができ、例えば、ウェハクランプは、現場から戻されてきた壊れたガラスバールを有する。ウェハクランプは、第1表面を含む第1層と、第1層の第1表面の上に配置される第1の複数のバールとを含むことができる。第1層は、ガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸塩基板、SiO2層(例えば、PECVDまたは任意の他の適切な技術を介して堆積される)、または任意の他の適切な層を含むことができる。第1の複数のバールは、複数のガラスバールを含むことができ、その一部はクラックが生じているか、壊れている可能性がある。いくつかの態様において、第1の複数のバールは、約6.0GPa以下の硬度を有することができる。
【0099】
工程804にて、方法は、第1の複数のバールを除去することを含むことができる。第1の複数のバールの除去は、第1の複数のバールを研削し、第1の複数のバールと第1層の間の任意の中間層を研削することを含むことができる。いくつかの態様において、第1の複数のバールの除去は、第1層の一部を研削して第1層の修正された第1表面を形成することをさらに含むことができる。第1の複数のバールの除去は、第1層の第1表面(または、いくつかの態様において、第1層の一部の研削の結果として形成される第1層の修正された第1表面)を研磨することをさらに含むことができる。いくつかの態様において、第1の複数のバールの除去後、方法は、第1層の表面から欠陥が好適に除去されていることを確保するために最終研磨を実行することを含むことができる。その後、方法は、第1層(ホウケイ酸プレート)の元の厚さに戻るように、ある厚さのSiO2または別の誘電体材料を(例えば、PECVDなどのプロセスを介して)堆積することを含んでもよい。
【0100】
工程806にて、方法は、第1層の第1表面(または、いくつかの態様において、第1層の修正された第1表面)上に第2の複数のバールを形成することをさらに含むことができる。第2の複数のバールの形成は、第2の複数のバールの一部(サブセット)を約6.0GPaより大きい硬度に形成することを含むことができる。いくつかの態様において、第2の複数のバールの形成は、DLC、AlN、SiNまたはCrNからなる群から選択される材料で第2の複数のバールを形成することを含む。いくつかの態様において、第2の複数のバールの形成は、第2の複数のバールを約2.0マイクロメートルより大きい、約5.0マイクロメートルより大きい、または約10.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを含む。いくつかの態様において、第2の複数のバールの形成は、少なくとも約3万個のバールを形成することを含む。いくつかの態様において、第2の複数のバールの一部の形成は、第2の複数のバールの一部を約10.0GPaより大きい、約15.0GPaより大きい、または約20.0GPaより大きい硬度に形成することを含む。
【0101】
本発明の他の態様は、以下の番号が付された項に規定される。
(項1)装置を製造する方法であって、
第1表面を備える第1層を設けることと、
前記第1層の前記第1表面の上に複数のバールを形成することと、を備え、
前記複数のバールを形成することは、前記複数のバールの一部を約6.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成することを備える、方法。
(項2)前記第1層を設けることは、ガラス基板を設けることを備える、項1に記載の方法。
(項3)前記複数のバールを形成することは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)で前記複数のバールを形成することを備える、項1に記載の方法。
(項4) 前記複数のバールを形成することは、前記複数のバールを約2.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを備える、項3に記載の方法。
(項5)前記複数のバールを形成することは、前記複数のバールを約5.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを備える、項3に記載の方法。
(項6)前記複数のバールを形成することは、前記複数のバールを約10.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを備える、項3に記載の方法。
(項7)前記複数のバールを形成することは、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、または窒化クロム(CrN)からなる群から選択される材料で前記複数のバールを形成することを備える、項1に記載の方法。
(項8)前記複数のバールを形成することは、少なくとも約3万個のバールを形成することを備える、項1に記載の方法。
(項9)前記複数のバールの前記一部を形成することは、前記複数のバールの前記一部を約10.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成することを備える、項1に記載の方法。
(項10)前記複数のバールの前記一部を形成することは、前記複数のバールの前記一部を約15.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成することを備える、項1に記載の方法。
(項11)前記複数のバールの前記一部を形成することは、前記複数のバールの前記一部を約20.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成することを備える、項1に記載の方法。
(項12)前記複数のバールを形成することは、
第2表面と、前記第2表面とは反対側の第3表面とを備える第2層を形成することであって、前記第2層の前記第3表面が前記第1層の前記第1表面上に配置されることと、
第4表面と、前記第4表面とは反対側の第5表面とを備える第3層を形成することであって、前記第3層の前記第5表面が前記第2層の前記第2表面上に配置されることと、を備え、
前記複数のバールを形成することは、前記第3層をパターニングして前記複数のバールを形成することを備える、項1に記載の方法。
(項13)前記第2層を形成することは、接着層を形成することを備える、項12に記載の方法。
(項14)前記接着層を形成することは、クロム(Cr)またはアルミニウム(Al)からなる群から選択される少なくとも一つの材料で前記接着層を形成することを備える、項13に記載の方法。
(項15)前記第3層を形成することは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の前記第3層を形成することを備える、項12に記載の方法。
(項16)装置を製造する方法であって、
第1表面を備える第1層と、前記第1層の前記第1表面の上に配置される第1の複数のバールとを備えるウェハクランプを受け取ることと、
前記第1の複数のバールを除去することと、
前記第1層の前記第1表面の上に第2の複数のバールを形成することと、を備え、
前記第2の複数のバールを形成することは、前記第2の複数のバールの一部を約6.0ギガパスカル(GPa)より大きい硬度に形成することを備える、方法。
(項17)前記第2の複数のバールを形成することは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、または窒化クロム(CrN)からなる群から選択される少なくとも一つの材料で前記第2の複数のバールを形成することを備える、項16に記載の方法。
(項18)前記第2の複数のバールを形成することは、前記第2の複数のバールを約2.0マイクロメートルより大きい厚さに形成することを備える、項16に記載の方法。
(項19)第1表面を備える第1層と、
前記第1層の前記第1表面の上に配置される第1の複数のバールと、を備え、
前記複数のバールの一部の硬度は、約6.0ギガパスカル(GPa)より大きい装置。
(項20)前記複数のバールは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、または窒化クロム(CrN)からなる群から選択される少なくとも一つの材料を備える、請求項19に記載の装置。
【0102】
いくつかの態様において、第2の複数のバールを形成することは、第2表面と、第2表面とは反対側の第3表面を含む第2層を形成することであって、第2層の第3表面が第1層の第1表面上に配置されることと;第4表面と、第4表面とは反対側の第5表面とを含む第3層を形成することであって、第3層の第5表面が第2層の第2表面上に配置されることとを含み、第2の複数のバールの形成は、第3層をパターニングして第2の複数のバールを形成することを含む。いくつかの態様において、第2層の形成は、接着層を形成することを含む。いくつかの態様において、接着層の形成は、CrまたはAlからなる群から選択される少なくとも一つの材料で接着層を形成することを含む。いくつかの態様において、第3層の形成は、DLCで第3層を形成することを含む。選択的に、いくつかの態様において、方法は、約350℃より大きい温度で第1層および第2の複数のバールをキュアリングすることをさらに含むことができる。
【0103】
この文章では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について特定の言及がなされるかもしれないが、本書に記載されたリソグラフィ装置は、他の用途を有することができると理解されたい。他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどである。当業者であれば、そのような代替的な用途の文脈において、本書における「ウェハ」、または「ダイ」の用語のいかなる使用も、より一般的な「基板」または「ターゲット部分」の用語とそれぞれ同義とみなすことができることが理解されよう。本書で言及される基板は、露光前または露光後において、例えばトラックユニット(典型的には、基板にレジスト層を塗布し、露光されたレジストを現像するツール)、計測ユニットおよび/または検査ユニットにおいて処理されることができる。適用可能な場合、本書の開示は、そのような基板処理ツールおよび他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを作成するために複数回処理することができ、本書で使用する基板の用語は、複数の処理された層を既に含む基板を指してもよい。
【0104】
本書での語句および用語は、本明細書の語句および用語が本書における教示を考慮して当業者によって解釈されるように、限定ではなく説明を目的とするものであることが理解されよう。
【0105】
本書で使用される「基板」の用語は、その上に材料層が追加される材料を説明するものである。いくつかの態様において、基板自体は、パターニングされることができ、その上に追加される材料もパターニングされることができ、またはパターニングされずに残ることができる。
【0106】
本書に開示された例は、本開示の実施形態を例示するものであって、限定するものではない。当該分野で通常遭遇する、関連技術の当業者にとって自明である様々な条件およびパラメータの他の適切な修正および適合は、本開示の精神および余地の範囲内である。
【0107】
この文章では、ICの製造における装置および/またはシステムの使用について特定の言及がなされるかもしれないが、このような装置および/システムは、多くの他の取り得る用途を有することが明確に理解されるべきである。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、LCDパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造に採用することができる。そのような代替的な用途の文脈において、この文章における「レチクル」、「ウェハ」、または「ダイ」の用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「マスク」、「基板」および「ターゲット部分」のそれぞれに置き換えられるとみなすべきであることが理解されよう。
【0108】
本開示の特定の態様を上述してきたが、その態様は、説明された以外の方法で実施できることが理解されよう。説明は、本開示の実施形態を限定することを意図していない。
【0109】
背景、概要および要約の項目ではなく、詳細な説明の項目が請求項の解釈に使用されることが意図されていることを理解されたい。概要および要約の項目は、発明者によって企図された一以上の例示的な実施形態を規定しうるが、全ての例示的な実施形態を規定するものではなく、したがって、本実施形態および添付の請求項をいかなる方法でも制限することを意図していない。
【0110】
本開示のいくつかの態様は、特定された機能およびその関係の実装を例示する機能ブロックの助けを借りて上述された。これら機能ブロックの境界は、本書において、説明の便宜のために恣意的に定義されている。特定された機能およびその関係が適切に実行される限り、代替的な境界を定義することができる。
【0111】
本開示の特定の態様の前述の説明は、他人が、当業者の範囲内の知識を適用することによって、過度の実験をすることなく、本開示の一般概念から離れることなく、そのような特定の態様を様々な用途のために容易に修正および/または適合することができるように、その態様の一般的な性質を十分に明らかにするものである。したがって、そのような適合および修正は、本書に提示された教示および示唆に基づけば、開示された態様の意味および等価物の範囲内にあることが意図される。
【0112】
本開示の幅および範囲は、上述した例示的な態様または実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求項およびその等価物にしたがってのみ定義されるべきである。