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特許7610004充電式リチウムイオン電池用の正極活物質としてのリチウムニッケル系複合酸化物
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  • 特許-充電式リチウムイオン電池用の正極活物質としてのリチウムニッケル系複合酸化物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】充電式リチウムイオン電池用の正極活物質としてのリチウムニッケル系複合酸化物
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20241224BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20241224BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 A
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2023538122
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2021079617
(87)【国際公開番号】W WO2022135771
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】20215924.0
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501094270
【氏名又は名称】ユミコア
(73)【特許権者】
【識別番号】517107151
【氏名又は名称】ユミコア・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】キョンスブ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・ブランジェロ
(72)【発明者】
【氏名】オレシア・カラクリナ
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ヒョン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ヨン・クウォン
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-216105(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081518(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/525
H01M 4/505
H01M 4/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン充電式電池用の正極活物質であって、前記正極活物質は、Li、S、M’、及びOを含み、M’は、
-M’に対して60.0mol%~95.0mol%の含有量xのNi、
-M’に対して0.0mol%~25.0mol%の含有量yのCo、
-M’に対して0.0mol%~25.0mol%の含有量zのMn、
-M’に対して0.05mol%以上の含有量aのW、
-M’に対して0.0mol%~2.0mol%の含有量bのD、からなり、Dは、Al、B、Ba、Ca、Cr、F、Fe、Mg、Mo、Nb、Si、Sr、Ti、Y、V、Zn及びZrからなる群の少なくとも1つの元素を含み、
-x、y、z、a、及びbはICPにより測定され、
-x+y+z+a+bは、100.0mol%であり、
前記正極活物質は、M’に対して0.30mol%以上の含有量の可溶性硫黄を含み、
前記可溶性硫黄の含有量が、前記正極活物質を脱イオン水に分散させて溶液を得、前記溶液を25℃で少なくとも5分間撹拌し、前記正極活物質を濾過し、前記正極活物質を乾燥した後に、ICPによって決定されるM’に対するS含有量の減少に等しい、正極活物質。
【請求項2】
xが、75mol%~90mol%である、請求項に記載の正極活物質。
【請求項3】
前記可溶性硫黄の含有量が、M’に対して0.50mol%以上である、請求項1又は2に記載の正極活物質。
【請求項4】
aが、0.10mol%以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項5】
M’に対して0.10mol%以上の含有量でAlを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項6】
M’に対して最大1.0mol%の含有量でAlを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項7】
M’に対して少なくとも0.05mol%の含有量でBを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項8】
M’に対して最大1.5mol%の含有量でBを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項9】
-ICP分析によって決定され、x及びy及びzの合計と比較したモル分率として表される、S含有量S及びW含有量W
-XPS分析によって決定され、XPS分析によって測定されるCo、Mn、及びNiの分率の合計と比較したモル分率として表される、平均S分率S及び平均W分率W
を有し、
-比S/S>1.0であり、
-比W/W>1.0である、
請求項1~のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項10】
前記比S/Sが、少なくとも1.5である、請求項に記載の正極活物質。
【請求項11】
前記比W/Wが、少なくとも1.5である、請求項又は10に記載の正極活物質。
【請求項12】
前記比S/Sが、最大600である、請求項11のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項13】
前記比W/Wが、最大700である、請求項12のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項14】
-ICP分析によって決定され、x及びy及びzの合計と比較したモル分率として表される、Al含有量Al
-XPS分析によって決定され、XPS分析によって測定されるCo、Mn、及びNiの分率の合計と比較したモル分率として表される、平均Al分率Al
を有し、
-比Al/Al>1.0である、
請求項1~13のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項15】
前記比Al/Alが、少なくとも3.0である、請求項14に記載の正極活物質。
【請求項16】
前記比Al/Alが、最大2400である、請求項14又は15に記載の正極活物質。
【請求項17】
M’に対して2.00mol%以下の含有量で前記可溶性硫黄を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項18】
M’に対して1.00mol%以下の含有量で前記可溶性硫黄を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項19】
aが、0.50mol%以下である、請求項1~18のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項20】
yが、M’に対して5mol%~10mol%である、請求項1~19のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項21】
-ICP分析によって決定され、x及びy及びzの合計と比較したモル分率として表される、B含有量B
-XPS分析によって決定され、XPS分析によって測定されるCo、Mn、及びNiの分率の合計と比較したモル分率として表される平均B分率B
を有し、
-比B/B>1.0である、
請求項1~20のいずれか一項に記載の正極活物質。
【請求項22】
前記比B/Bが、少なくとも100である、請求項21に記載の正極活物質。
【請求項23】
前記比B/Bが、最大1500である、請求項21又は22に記載の正極活物質。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法であって、連続した、
-第1の焼結リチウム遷移金属系酸化物化合物を調製する工程と、
-前記第1の焼結リチウム遷移金属系酸化物化合物を、タングステン源、サルフェートイオン源、及び水と混合し、それによって混合物を得る工程と、
-本発明による前記正極活物質を得るために、1時間~20時間の間の時間、前記混合物を炉内の酸化雰囲気中で350℃~500℃未満の温度で加熱する工程と、
を含む、方法。
【請求項25】
リチウム金属系酸化物化合物が、ホウ素源及びタングステン源及びサルフェートイオン源と混合される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1~23のいずれか一項に記載の正極活物質を含む、電池。
【請求項27】
電動車両又はハイブリッド電動車両における、請求項26に記載の電池の使用。
【請求項28】
M’に対して0.20mol%以上の含有量でAlを含む、請求項に記載の正極活物質。
【請求項29】
M’に対して最大0.50mol%の含有量でAlを含む、請求項に記載の正極活物質。
【請求項30】
M’に対して少なくとも0.1mol%の含有量でBを含む、請求項に記載の正極活物質。
【請求項31】
M’に対して最大1.0mol%の含有量でBを含む、請求項に記載の正極活物質。
【請求項32】
aが、0.30mol%以下である、請求項19に記載の正極活物質。
【請求項33】
前記タングステン源がWOであり、前記サルフェートイオン源がAl(SO及び/又はHSOであり、
前記混合物を350℃~450℃の温度で加熱する、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記ホウ素源がHBOである、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サルフェートイオン(SO 2-)とも称される可溶性硫黄を含むリチウム遷移金属系酸化物粒子を含む、電動車両(EV)及びハイブリッド電動車両(HEV)用途に好適なリチウムイオン二次電池(LIB)用のリチウムニッケル系酸化物正極活物質に関する。
【背景技術】
【0002】
正極活物質は、正極において電気化学的に活性である物質として定義される。活物質とは、所定の時間にわたって電圧変化にさらされたときにLiイオンを捕捉及び放出することができる物質であると理解されたい。
【0003】
特に、本発明は、高ニッケル系酸化物正極活物質(以降、「高Ni化合物」と称される)、すなわち、Ni対M’の原子比が少なくとも75.0%(又は75.0原子%)、好ましくは少なくとも77.5%(又は77.5原子%)、より好ましくは少なくとも80%(又は80.0原子%)である高Ni化合物に関する。
【0004】
本発明の枠組みにおいて、原子%は、原子百分率を意味する。所与の元素の濃度表現としての原子%又は「原子パーセント」は、特許請求される化合物中の全ての原子のうち何パーセントが当該元素の原子であるかを意味する。
【0005】
物質中の第1の元素Eの重量パーセント(重量%)(Ewt1)は、次の式:
【0006】
【数1】
[式中、Eat1とEaw1(Eaw1は第1の元素Eの原子量(又は分子量)である)との積が、物質中の他の元素のEati×Eawiの合計で除算され、nは、物質に含まれる異なる元素の数を表す整数である]を適用することにより、当該物質中の当該第1の元素Eの所定の原子パーセント(原子%)(Eat1)から変換できる。
【0007】
EV及びHEVの開発に伴い、このような用途に適したリチウムイオン電池が求められるようになり、高Niクラスの化合物は、比較的安価なコスト(リチウムコバルト系酸化物などの代替品に対して)、及びより高い動作電圧におけるより高い容量から、LIBの正極活物質としての使用が確実に見込まれる候補としてますます開発が進められている。
【0008】
このような高Ni化合物は、例えば、特許第5584456(B2)号(以下、「JP’456」と称する)又は特許第5251401(B2)号(以下、「JP’401」と称する)から既に知られている。
【0009】
JP’456は、1000ppm~4000ppmの範囲の含有量で当該高Ni化合物の粒子の上部にSO 2-イオン(例えば、JP’456の表現による硫酸ラジカル)を有する高Ni化合物を開示している。可溶性硫黄の計算モル含有量は、Ni、Co、及びMnの総モル含有量に対して0.1mol%~0.4mol%の範囲である。JP’456は、硫酸ラジカルの量が上記範囲内にあると、化合物の容量保持率及び放電容量特性が増加することを説明している。しかしながら、硫酸ラジカルの量が上記範囲未満であると容量保持率が低下し、この量が上記範囲を超えると放電容量が低下する。
【0010】
JP’401は、一次粒子にサルフェートコーティング、特にリチウムサルフェートコーティングを適用すると、当該サルフェートでコーティングされた一次粒子の凝集から生じる二次粒子を設計でき、当該二次粒子から作製された高Ni化合物に、より高いサイクル耐久性及びより高い初期放電容量を与えることを可能にする特定の細孔構造をもたせることができることを教示している。更に、JP’401は、このような特定の細孔構造は、当該硫酸塩コーティングを洗浄して除去すると達成されると説明している。
【0011】
高Ni化合物は上記の利点に関し有望であるが、また、Ni含有量が多いため、サイクル安定性の低下などの欠点もある。
【0012】
これらの欠点の例として、従来技術の高Ni化合物は、180mAh/g(JP’456)以下の低い第1の放電容量又は最大86%の制限された容量保持(JP’401)のいずれかを有する。
【0013】
したがって、現在、十分に高い第1の放電容量(すなわち、少なくとも207mAh/g)を有する高Ni化合物を実現する必要があり、これは、本発明によれば、このような高Ni化合物を(H)EV用途に適したLIBに使用するための前提条件となる。
【0014】
本発明の目的は、少なくとも207mAh/gの改善された第1の放電容量を有する正極活物質を提供することである。
【0015】
謝辞
本発明は、大韓民国の通商産業資源部(MOTIE、大韓民国)の資金援助により大韓民国産業技術評価機関を通じて材料/部品技術開発プログラムの支援によってなされたものである。[プロジェクト名:8Cレートクラスの高出力(高放電レート)リチウムイオン二次電池の開発/プロジェクト番号:20011287/拠出率:100%]
【発明の概要】
【0016】
この目的は、リチウムイオン電池用の正極活物質であって、正極活物質が、Li、M’、S及びOを含み、M’は、
M’に対して60.0mol%~95.0mol%の含有量xのNi、
M’に対して0.0mol%~25.0mol%の含有量yのCo、
M’に対して0.0mol%~25.0mol%の含有量zのMn、
M’に対して0.05mol%~0.50mol%の含有量aのW、
M’に対して0.0mol%~2.0mol%の含有量bのD、からなり、Dは、Al、B、Ba、Ca、Cr、F、Fe、Mg、Mo、Nb、Si、Sr、Ti、Y、V、Zn及びZrからなる群の少なくとも1つの元素を含み、
x、y、z、a及びbは、ICPによって測定され、
x+y+z+a+bは、100.0mol%であり、
正極活物質は、M’に対して0.30mol%~2.00mol%の含有量の可溶性硫黄を含む、正極活物質を提供することによって達成される。
【0017】
なお、ある元素が0.0mol%と別の数値との間の含有量で存在すると述べられる場合、これは、当該元素が全く存在しない場合があること、言い換えれば、当該元素が任意選択であることを意味する。
【0018】
好ましくは、可溶性硫黄を、SO 2-又はサルフェートの形態に、より正確には、XPSによって決定されるLiSO形態のような硫酸塩として関連付けることができる。また、可溶性硫黄を、SO 2-又はサルファイトの形態に、より正確には亜硫酸塩として関連付けることができる。
【0019】
可溶性硫黄含有量は、詳細な説明におけるセッションA)ICP分析に従って、本発明の正極活物質を水で洗浄した後、ICP分析によって容易に決定される。
【0020】
本発明の枠組みにおいて、ppmは、濃度の単位についての百万分率を意味し、1ppm=0.0001重量%を表す。
【0021】
更に、本発明の枠組みにおいて、「硫黄」という用語は、特許請求される正極活物質における硫黄原子又は硫黄元素の存在を指す。
【0022】
本発明は、以下の実施形態に関する。
【0023】
実施形態1
第1の態様において、本発明は、リチウムイオン電池用の正極活物質であって、正極活物質が、Li、M’、S及びOを含み、M’は、
-M’に対して60.0mol%~95.0mol%の含有量xのNi、
-M’に対して0.0mol%~25.0mol%の含有量yのCo、
-M’に対して0.0mol%~25.0mol%の含有量zのMn、
-M’に対して0.05以上の含有量aのW、
-M’に対して0.0mol%~2.0mol%の含有量bのD、からなり、Dは、Al、B、Ba、Ca、Cr、F、Fe、Mg、Mo、Nb、Si、Sr、Ti、Y、V、Zn及びZrからなる群の少なくとも1つの元素を含み、
-x、y、z、a、及びbはICPにより測定され、
-x+y+z+a+bは、100.0mol%であり、
正極活物質は、M’に対して0.30mol%以上の含有量の可溶性硫黄を含む、正極活物質に関する。
【0024】
好ましくは、正極活物質は、M’に対して0.30mol%~2.00mol%の含有量の可溶性硫黄を含む。
【0025】
好ましくは、可溶性硫黄は、M’に対して0.50mol%~1.50mol%の含有量で正極物質中に存在する。より好ましくは、M’に対して0.50mol%~1.00mol%である。
【0026】
好ましくは、可溶性硫黄含有量は、25℃で少なくとも5分間(撹拌によって)正極活物質粉末を脱イオン水(中で)に数回接触させ(又は分散させ)、当該正極活物質粉末を濾過し、当該正極活物質粉末を乾燥させた後に、ICPによって決定されるM’に対するS含有量の減少に等しい。
【0027】
好ましい実施形態において、当該Niは、75mol%以上、好ましくは少なくとも80mol%の含有量xで存在する。
【0028】
好ましい実施形態において、当該Niは、90mol%以下の含有量xで存在する。
【0029】
好ましい実施形態において、当該Coは、5.0mol%以上の含有量yで存在する。
【0030】
好ましい実施形態において、当該Coは、10.0mol%以下の含有量yで存在する。
【0031】
好ましい実施形態において、当該Niは、75mol%以上、好ましくは少なくとも80mol%の含有量xで存在する。
【0032】
好ましくは、aは最大0.50mol%である。
【0033】
好ましい実施形態において、当該Wは含有量aで、M’に対して0.05mol%~0.50mol%である。
【0034】
別の実施形態において、当該Wは含有量aで、M’に対して0.10mol%~0.30mol%である。
【0035】
実施形態2
第2の実施形態において、好ましくは実施形態1に従い、当該正極活物質は、M’に対して0.10mol%~1.00mol%の含有量でAlを含む。
【0036】
好ましくは、当該正極活物質は、M’に対して0.20mol%~0.50mol%のAl含有量を含む。
【0037】
好ましくは、当該正極活物質は、M’に対して0.10mol%以上、好ましくは0.20mol%以上の含有量でAlを含む。
【0038】
好ましくは、当該正極活物質は、M’に対して最大1.0mol%、好ましくは最大0.50mol%の含有量でAlを含む。
【0039】
完全を期すために、AlはDに含まれ、その結果、Alの当該含有量は当該パラメータbに含まれることを強調しておく。
【0040】
したがって、別の言い方をすれば、好ましい実施形態において、Dは、M’に対して最大1.0mol%、好ましくは最大0.50mol%の含有量でAlを含む。
【0041】
また、好ましい実施形態において、Dは、M’に対して0.10mol%以上、好ましくは0.20mol%以上の含有量でAlを含む。
【0042】
実施形態3
第3の実施形態において、好ましくは実施形態1又は2に従い、当該正極活物質は、M’に対して0.05mol%~1.50mol%の含有量でBを含む。
【0043】
好ましくは、当該正極活物質は、M’に対して少なくとも0.05mol%、より好ましくは少なくとも0.1mol%の含有量でB含有量を含む。
【0044】
好ましくは、当該正極活物質は、M’に対して最大1.5mol%、好ましくは最大1.0mol%の含有量でBを含む。
【0045】
完全を期すために、BはDに含まれ、その結果、Bの当該含有量は当該パラメータbに含まれることを強調しておく。
【0046】
したがって、別の言い方をすれば、好ましい実施形態において、Dは、M’に対して、最大1.5mol%、より好ましくは1.0mol%、更により好ましくは最大0.50mol%の含有量でBを含む。
【0047】
また、好ましい実施形態において、Dは、M’に対して0.05mol%以上、好ましくは0.10mol%以上の含有量でBを含む。
【0048】
実施形態4
第3の実施形態において、好ましくは実施形態1~3に従い、当該物質は、
-ICP分析によって決定され、x及びy及びzの合計と比較したモル分率として表される、S含有量S及びW含有量W
-XPS分析によって決定され、XPS分析によって測定されるCo、Mn、及びNiの分率の合計と比較したモル分率として表される、平均S分率S及び平均W分率W
を有し、
-比S/S>1.0であり、
-比W/W>1.0。
【0049】
好ましくは、比S/Sは少なくとも1.5かつ最大600であり、より好ましくは、比W/Wは少なくとも1.5かつ最大700である。
【0050】
好ましくは、比S/Sは少なくとも50かつ最大550であり、より好ましくは、S/Sは少なくとも100かつ最大500である。
【0051】
好ましくは、比W/Wは少なくとも50かつ最大700であり、より好ましくは、W/Wは少なくとも100かつ最大650である。
【0052】
なお、S及びSは、硫黄の総含有量であり、したがって可溶性硫黄の含有量を含む。
【0053】
実施形態5
第5の実施形態において、好ましくは実施形態1~4に従い、当該物質は、
-ICP分析によって決定され、x及びy及びzの合計と比較したモル分率として表されるAl含有量Al
-XPS分析によって決定され、XPS分析によって測定されるCo、Mn及びNiの分率の合計と比較したモル分率として表される、平均Al分率Al
を有し、
-比Al/Al>1.0。
【0054】
好ましくは、比Al/Alは、少なくとも3.0かつ最大2500である。
【0055】
好ましくは、比Al/Alは、少なくとも200かつ最大2400以下であり、より好ましくは、Al/Alは、少なくとも300かつ最大2300である。
【0056】
実施形態6
第6の実施形態において、好ましくは実施形態1~5に従い、当該物質は、
-ICP分析によって決定され、x及びy及びzの合計と比較したモル分率として表されるB含有量B
-XPS分析によって決定され、XPS分析によって測定されるCo、Mn及びNiの分率の合計と比較したモル分率として表される、平均B分率B
を有し、
-比B/B>1.0。
【0057】
好ましくは、比B/Bは、少なくとも100かつ最大1500である。
【0058】
好ましくは、比B/Bは少なくとも200以上かつ最大1400であり、より好ましくは、B/Bは少なくとも300かつ最大1200である。
【0059】
具体的には、実施形態1~6のいずれについても、S、W、Al、及びBは、それぞれ、本発明による正極物質粉末の粒子の、当該粒子の外縁の第1の点と当該第1の点からある距離にある第2の点との間で画定される領域において測定されるS、W、Al、及びBの平均分率であり、当該第1の点と当該第2の点とを隔てる当該距離は、当該XPSの侵入深さに等しく、当該侵入深さDは、1.0~10.0nmである。具体的には、侵入深さは、当該外縁に接し当該第1の点を通過する仮想線に垂直な軸に沿った距離である。
【0060】
粒子の外縁は、本発明の枠組みにおいて、粒子をその外部環境から区別する境界又は外部限界である。
【0061】
本発明は、電池における前述の実施形態1~6のいずれか1つに従う正極活物質の使用に関する。
【0062】
本発明はまた、前述の実施形態1~6のいずれか1つに従う正極活物質の製造方法であって、
-第1の焼結リチウム遷移金属系酸化物化合物を調製する工程と、
-当該第1の焼結リチウム遷移金属系酸化物化合物を、タングステン源、好ましくはWOと、サルフェートイオン源、好ましくはAl(SO及び/又はHSOと、並びに水と混合し、それによって混合物を得る工程と、
-本発明による正極活物質粉末を得るために、1時間~20時間の間の時間、混合物を炉内の酸化雰囲気中で350℃~500℃未満、好ましくは最大450℃の温度で加熱する工程と、を含む、方法を含む。
【0063】
好ましくは、リチウム金属系酸化物化合物は、タングステン源及びサルフェートイオン源と共に、ホウ素源、好ましくはHBOと混合される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】EX1.3のSEM画像である。
図2a】EX1.4のXPSスペクトルのAl2p及びNi3pピークである。
図2b】EX1.4のXPSスペクトルのS2pピークである。
図2c】EX1.4のXPSスペクトルのW2fピークである。
図2d】EX3のXPSスペクトルのB1sピークである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明の実施を可能にするために、図面及び以下の発明を実施するための形態において、好ましい実施形態を記載する。本発明は、これらの特定の好ましい実施形態を参照して記載されているが、本発明は、これらの好ましい実施形態に限定されないことが理解されよう。本発明は、以下の詳細な説明及び付随する図面の考察から明らかである多くの代替、改変、及び均等物を含む。
【0066】
A)ICP分析
A 1)ICP測定
正極活物質粉末のLi、Ni、Mn、Co、Al、B、W、及びS含有量は、Agillent ICP720-ESを使用することにより、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、ICP)法を用いて測定する。三角フラスコ中で、2gの生成物粉末サンプルを10mLの高純度塩酸に溶解させる。前駆体を完全に溶解させるまで、フラスコをガラスでカバーし、380℃のホットプレート上で加熱する。室温まで冷却した後、三角フラスコの溶液を250mLのメスフラスコに注ぐ。その後、メスフラスコの250mLの標線まで脱イオン水で充填し、続いて、完全に均質化させた。ピペットで適切な量の溶液を取り出し、2回目の希釈のために250mLメスフラスコに移し、メスフラスコの250mLの標線まで内部標準物質及び10%塩酸を充填した後、均質化させる。最後に、この50mL溶液をICP測定に使用する。
【0067】
A2)可溶性硫黄測定
本発明によるリチウム遷移金属系酸化物粒子における可溶性S含有量を調べるために、洗浄及び濾過プロセスが実施される。5gの正極活物質粉末及び100gの超純水をビーカーに測り分ける。電極活物質粉末を、磁気撹拌器を使用して25℃で5分間水に分散させる。分散液を真空濾過し、乾燥した粉末を上記のICP測定によって分析して、可溶性S含有化合物の量を測定する。
【0068】
B)X線光電子分光分析
本発明では、X線光電子分光法(XPS)を使用して、正極活物質粉末粒子の表面を分析する。XPS測定では、シグナルは、サンプルの最上部、すなわち、表面層の最初の数ナノメートル(例えば、1nm~10nm)から取得される。したがって、XPSによって測定される全ての元素は、表面層に含有されている。
【0069】
正極活物質粉末粒子の表面分析では、XPS測定は、ThermoK-A+分光計(Thermo Scientific,https://www.thermofisher.com/order/catalog/product/IQLAADGAAFFACVMAHV)を使用して実施される。単色Al KA放射線(hυ=1486.6eV)を、400μmのスポットサイズ及び45°の測定角度で使用する。表面に存在する元素を特定するための広範な調査スキャンは、200eVのパスエネルギーで実施される。284.8eVの結合エネルギーに最大強度(又は中心)を有するC1sピークは、データ収集後のキャリブレーションピーク位置として使用される。その後、特定された各元素に対して、50eVにて正確なナロースキャンが少なくとも10回スキャンされ、正確な表面組成が決定される。
【0070】
曲線のフィッティングは、CasaXPSバージョン2.3.19PR1.0(Casa Software,http://www.casaxps.com/)により、シャーリー型バックグラウンド処理及びスコフィールド感度係数を使用して行った。フィッティングパラメータは表1aに従う。線形状GL(30)は、70%ガウス線及び30%ローレンツ線を有するガウス/ローレンツ積公式である。LA(A,B,m)は非対称な線形状であり、A及びBはピークのテール広がりを定義し、mは幅を定義する。
【0071】
【表1】
【0072】
Al、S、Co、及びWピークについては、表1bに従って各定義されたピークについて制約を設定する。Ni3p(Ni3p3、Ni3p1、Ni3p3サテライト、及びNi3p1サテライトを含む)及びW5p3は定量化されていない。
【0073】
【表2】
【0074】
XPSによって測定されるAl、S、B、及びWの表面含有量は、粒子の表面層中のAl、S、B、及びWそれぞれのモル分率を、当該表面層中のNi、Mn、及びCoの総含有量で割ったものとして表される。これは以下のように計算される。
Alの分率=Al=Al(原子%)/(Ni(原子%)+Mn(原子%)+Co(原子%))
Sの分率=S=S(原子%)/((Ni(原子%)+Mn(原子%)+Co(原子%))
Wの分率=W=W(原子%)/((Ni(原子%)+Mn(原子%)+Co(原子%))
Bの分率=B=B(原子%)/((Ni(原子%)+Mn(原子%)+Co(原子%))
【0075】
XPSピーク位置の情報は、フィッティングが行われた後、領域及び成分レポート仕様において容易に得ることができる。Al、S、W、及びBのXPSグラフをそれぞれ図2a、図2b、図2c、及び図2dに示す。
【0076】
C)コインセル試験
C1)コインセルの作製
正極の作製に関しては、溶媒(NMP,Mitsubishi)中に正極活物質粉末、コンダクタ(Super P,Timcal)、バインダー(KF#9305,Kureha)を、重量比96.5:1.5:2.0の配合で含有するスラリーを、高速ホモジナイザーによって作製する。均質化したスラリーを、170μmのギャップでドクターブレードコータを使用してアルミニウム箔の片面上に塗り広げる。スラリーでコーティングした箔をオーブン内で120℃にて乾燥させて、次にカレンダーツールを使用してプレスする。次に、これを真空オーブン中で再び乾燥させて、電極フィルム内の残留溶媒を完全に除去する。コインセルは、アルゴンを充填させたグローブボックス中で組み立てる。セパレータ(Celgard2320)を、正極と、負極としてのリチウム箔との間に配置する。EC/DMC(1:2)中1MのLiPFを、電解質として使用し、セパレータと電極との間に滴下する。次いで、コインセルを完全に密封して、電解質の漏れを防止する。
【0077】
C2)試験方法
試験方法は、従来の「一定のカットオフ電圧」試験である。本発明における従来のコインセル試験は、表2に示したスケジュールに従う。各セルを、Toscat-3100コンピュータ制御ガルバノスタットサイクリングステーション(galvanostatic cycling station)(Toyo製)を用いて、25℃でサイクルする。このスケジュールでは、220mA/gの1C電流の定義を使用する。初期充電容量(CQ1)及び放電容量(DQ1)を、4.3V~3.0V/Li金属の範囲域(window range)において、0.1CのCレートで、定電流モード(CC)で測定する。
【0078】
不可逆容量IRRQは、以下のように%で表される。
【0079】
【数2】
【0080】
【表3】
【0081】
本発明を以下の(非限定的な)実施例において更に説明する。
【0082】
比較例1
式Li1+d(Ni0.80Mn0.10Co0.101-dを有する高Ni化合物CEX1は、リチウム源と遷移金属源との間の固相反応である二重焼結プロセスを以下のように実施することによって得られる。
1)共沈:大型連続撹拌槽反応器(CSTR)に混合したニッケル-マンガン-コバルト硫酸塩、水酸化ナトリウム、及びアンモニアを入れた共沈プロセスにより、金属組成Ni0.80Mn0.10Co0.10を有する遷移金属系酸化水酸化物前駆体を作製する。
2)ブレンド:遷移金属系水酸化物前駆体と、リチウム源としてのLiOHとを、工業用ブレンド装置において1.01のリチウム対金属M’(Li/M’)比で均質にブレンドする。
3)1回目の焼結:ブレンドを、酸素雰囲気下、730℃で12時間焼結する。焼結した粉末を破砕し、分級し、篩い分けすることにより、焼結中間体生成物を得る。
4)2回目の焼結:中間体生成物を、酸素雰囲気下、830℃で12時間焼結することにより、凝集した一次粒子の焼結粉末を得る。焼結した粉末を破砕し、分級し、篩い分けすることにより、式Li1.005M’0.995(d=0.005)であり、式中、M’=Ni0.80Mn0.10Co0.10のCEX1を得る。CEX1のD50は12.0μm、スパンは1.24である。CEX1は、工程1)の共沈プロセスで金属サルフェート源から得られた微量の硫黄を含む。
【0083】
任意選択で、ドーパント源を、工程1)の共沈プロセス又は工程2)のブレンド工程で、リチウム源と一緒に加えることができる。例えば、ドーパントを加えて、正極活物質粉末生成物の電気化学的特性を改善することができる。
【0084】
CEX1.1は、本発明によらない。
【0085】
本発明によらないCEX1.2は、以下の手順で作製する。
工程1)湿式混合:CEX1.1を、CEX1.1の重量に対して3.5重量%の脱イオン水にAl(SO粉末から1000ppmのAlを溶解することによって調製される硫酸アルミニウム溶液と混合する。
工程2)加熱:工程1)から得られた混合物を、酸素雰囲気下、385℃で8時間加熱し、続いて、粉砕及び篩い分けすることにより、EX1.2の総重量に対して約1000ppmのAlを含むCEX1.2を得る。
【0086】
実施例1
本発明によるEX1.1は、以下の手順で作製する。工程1)乾式混合:CEX1.1を、WO粉末からの2000ppmのWと乾式混合することにより、乾燥混合物を得る。
【0087】
工程2)湿式混合:工程1)からの乾燥混合物を、CEX1.1の重量に対して3.5wtの脱イオン水にAl(SO粉末から600ppmのAlを溶解することによって調製される硫酸アルミニウム溶液と混合することにより、湿潤混合物を得る。
【0088】
工程3)加熱:工程2)から得られた混合物を、酸素雰囲気下、385℃で8時間加熱し、続いて、粉砕及び篩い分けすることにより、EX1.2を得る。
【0089】
本発明によるEX1.2は、工程1)において3000ppmのWを添加することを除いて、EX1.1と同じ方法に従って作製する。
【0090】
本発明によるEX1.3は、工程1)において4000ppmのWを添加することを除いて、EX1.1と同じ方法に従って作製する。EX1.3のSEM画像を撮影した(図1参照)。
【0091】
本発明によるEX1.4は、工程2)において800ppmのAlを添加することを除いて、EX1.1と同じ方法に従って作製する。
【0092】
本発明によるEX1.5は、工程1)において3000ppmのWを添加することを除いて、EX1.4と同じ方法に従って作製する。
【0093】
本発明によるEX1.6は、工程1)において4000ppmのWを添加することを除いて、EX1.4と同じ方法に従って作製する。
【0094】
実施例2
本発明によるEX2は、以下の手順で作製する。工程1)乾式混合:CEX1.1を、WO粉末からの4500ppmのWと乾式混合することにより、乾燥混合物を得る。
【0095】
工程2)湿式混合:工程1)からの乾燥混合物を、CEX1.1の重量に対して3.5重量%の脱イオン水に濃HSO溶液(98%の濃度)を溶解することによって調製される硫酸溶液からの0.5mol%のSと混合することにより、湿潤混合物を得る。
【0096】
工程3)加熱:工程2)から得られた混合物を、酸素雰囲気下、285℃で8時間加熱し、続いて、粉砕及び篩い分けすることにより、EX1.2を得る。
【0097】
比較例2
本発明によらないCEX2は、湿式混合工程2)が省略されることを除いて、EX2と同じ方法に従って作製される。
【0098】
実施例3
本発明によるEX3は、以下の手順によって調製する。工程1)乾式混合:CEX1.1を、HBOからの500ppmのB及びWO粉末からの4500ppmのWと乾式混合することにより、乾燥混合物を得る。
【0099】
工程2)湿式混合:工程1)からの乾燥混合物を、乾燥混合物の重量に対して3.5重量%の脱イオン水にAl(SO粉末から1000ppmのAlを溶解することによって調製される硫酸アルミニウム溶液と混合する。
【0100】
工程3)加熱:工程2)から得られた湿潤混合物を、酸素雰囲気下、385℃で8時間加熱し、続いて、粉砕及び篩い分けすることにより、EX3を得る。
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
表3は、実施例及び比較例におけるAl、W、及び可溶性Sの組成、並びにそれらの対応する電気化学的特性をまとめたものである。Wの含有量がM’に対して0.05mol%~0.50mol%であり、可溶性Sの含有量がM’に対して0.30mol%~2.00mol%である、EX1.1~EX1.6、及びEX2により、第1の充電容量が少なくとも207mAh/gに改善された正極活物質を提供するという、本発明の目的を達成することができる。更に、EX3も0.4mol%のBを含み、これにより電気化学的特性が更に改善される。
【0105】
表4は、Ni、Mn、及びCoの総原子分率に対するAl、S、B、及びWの原子比を示す、CEX1.2、EX1.4、及びEX3のXPS分析結果をまとめたものである。この表はまた、結果をICPの結果と比較している。0より高い原子比は、シグナルが試料の最上部の最初の数ナノメートル(例えば1nm~10nm)、すなわち表面層から取得されるものであるXPS測定と関連して、当該Al、S、B、及びWが正極活物質の表面に存在していることを示す。他方、ICP測定から得られたAl、S、B、及びWの原子比は、粒子全体からのものである。したがって、XPSのICPに対する比が1より大きいことは、当該元素Al、S、B、又はWが主に正極活物質の表面に存在することを示す。XPSのICPに対する1より高い比は、EX1.4におけるAl、S、及びWについて観察される。同様に、XPSのICPに対する1より高い比は、EX3におけるAl、S、B、及びWについて観察される。
【0106】
表5は、本発明におけるXPS分析の記述に従って得られたCEX1.2、EX1.4、及びEX3についてのAl2p、S2p3、W4f7、及びB1sのXPSピーク位置を示す。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d