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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-24
(45)【発行日】2025-01-08
(54)【発明の名称】シロキサンポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/04 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
C08G77/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020199318
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087403
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】田中 陵二
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 和也
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090572(JP,A)
【文献】特開2010-116462(JP,A)
【文献】特開2014-208615(JP,A)
【文献】特開2008-280420(JP,A)
【文献】特開2009-155287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラノール末端の下記式(2)で表されるシロキサンポリマーと下記式(3)で表されるトリメトキシハロシランを反応させることで製造された、下記式(1)で表されるシロキサンポリマーからなるシランカップリング剤



式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表し;
およびRは、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
はハロゲン原子を表し、
nは1~30の実数を表し
n’は0~30の実数を表し;
mは1以上の実数を表す。
【請求項2】
が独立してフェニル又は、シクロヘキシルである請求項1に記載のシロキサンポリマーからなるシランカップリング剤
【請求項3】
が独立してメチル又は、フェニルである請求項1または2に記載のシロキサンポリマーからなるシランカップリング剤
【請求項4】
が独立してメチル又は、フェニルである請求項1~3のいずれか1項に記載のシロキサンポリマーからなるシランカップリング剤
【請求項5】
下記式(1a)で表される、請求項1に記載のシロキサンポリマーからなるシランカップリング剤

式中、nは1~30の実数を表し;
n’は0~30の実数を表し;
mは1以上の実数を表す。
【請求項6】
mが、シロキサンポリマーの重量平均分子量2,000~10,000,000を満たす数字となる、請求項1~5のいずれか1項に記載のシロキサンポリマーからなるシランカップリング剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサンポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
籠型構造を有するシルセスキオキサンを含むポリマーは、特異な構造を有し、またそれによる特異な効果が期待されるため、様々な分野から注目されている。このようなシルセスキオキサン骨格を含むポリマーには、シルセスキオキサン骨格を主鎖に含むケイ素系重合体が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、籠型構造を有するシルセスキオキサン骨格を主鎖に含むケイ素化合物に架橋性官能基を導入して架橋ポリマーとすることにより耐熱性に優れるシリコーン膜が開発されている(特許文献2)。
【0003】
シランカップリング剤は、基材の表面の親撥液性を変化させ、両基材の相溶性や接着性を高めたり、有機成分と無機成分のハイブリッド材料を形成し、各種特性を向上させたり、有機樹脂中への無機成分の分散性を向上させることができるため、幅広い分野で応用されている。しかし、従来のシランカップリング剤では耐熱性が不足しており、使用用途が限られていた。そこで、高温で使用できる耐熱性シランカップリング剤が待望されていた。耐熱性シランカップリング剤として、例えば、重合性液晶化合物から誘導したエポキシ樹脂(特許文献3)、シアヌル酸骨格を有する化合物(特許文献4)、ビフェニルアルキル鎖を有する化合物(特許文献5)が提案されている。しかし、これらの耐熱性シランカップリング剤であっても、絶縁材料や高温プロセスを必要とする電子材料等の場合には耐熱性が不十分であった。そのため高温(特に400℃以上の)で使用できる耐熱性シランカップリング剤が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-33307号公報
【文献】特開2010-116464号公報
【文献】特開2017-155009号公報
【文献】特公表2012-509979号公報
【文献】国際公開2008/108438号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、シランカップリング剤として極めて高い耐熱性を有するシルセスキオキサン構造含有高分子化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、かご状シルセスキオキサンと鎖状シロキサンを交互に結合した共重合体の末端部にトリメトキシシリル基を有するシロキサンポリマーが、極めて高い耐熱性を有するデュアルサイト型シランカップリング剤として使用できることを見いだし、本発明を完成させた。本発明は、以下の構成を含む。
【0007】
[1] 下記式(1)で表されるシロキサンポリマー。
式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール及び前記炭素数5~6のシクロアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく;
およびRは、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し、
前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキル及び前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、
前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、任意の水素原子がフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-、-CH=CH-、又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、
前記炭素数1~40のアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
nは1~30の実数を表し;
n’は0~30の実数を表し;
mは1以上の実数を表す。
【0008】
[2] Rが独立してフェニル又は、シクロヘキシルである上記[1]項に記載のシロキサンポリマー。
【0009】
[3] Rが独立してメチル又は、フェニルである上記[1]または[2]項に記載のシロキサンポリマー。
【0010】
[4] Rが独立してメチル又は、フェニルである上記[1]~[3]項のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【0011】
[5] 下記式(1a)で表される、上記[1]項に記載のシロキサンポリマー。
【0012】
[6]mが、シロキサンポリマーの重量平均分子量2,000~10,000,000を満たす数字となる、上記[1]~[5]項のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、極めて高い耐熱性を有するデュアルサイト型シロキサンポリマーポリマーを提供することができる。また該シロキサンポリマーをシランカップリング剤として提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に何ら限定されない。また、本発明の実施態様は適宜組み合わせることもできる。
【0015】
なお、本明細書で用いる用語は、次のように定義される。アルキルおよびアルキレンは、いずれの場合も直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。このことは、これらの基において任意の水素がハロゲンや環式の基などと置き換えられた場合も、任意の-CH-が-O-、-CH=CH-、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、フェニレンなどで置き換えられた場合も同様である。本発明で用いる「任意の」は、位置のみならず個数も任意であることを示す。そして、個数が複数であるときには、それぞれ異なる基で置き換えられてもよい。例えば、アルキルにおいて2個の-CH-が-O-と-CH=CH-で置き換えられる場合には、アルコキシアルケニル又はアルケニルオキシアルキルを示すことになる。この場合のアルコキシ、アルケニレン、アルケニルおよびアルキレンのいずれの基も、直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。但し、任意の-CH-が-O-で置き換えられると記述するときには、連続する複数の-CH-が-O-で置き換えられることはない。すなわち、例えば、-CH-CH-が-O-O-に置き換えられることはない。
【0016】
次に、本発明の一実施形態に係るシロキサンポリマーは、式(1)で表される。
【0017】
【0018】
式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール及び前記炭素数5~6のシクロアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく;
およびRは、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し、
前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキル及び前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、
前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、任意の水素原子がフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-、-CH=CH-、又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、
前記炭素数1~40のアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
nは1~30の実数を表し;
n’は0~30の実数を表し;
m は1以上の実数を表す。
【0019】
(式(1)のRの好ましい例)
は、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表す。
【0020】
前記、炭素数6~20のアリールとしては、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニルなどがあげられる。これらの中では、フェニル、ナフチル、アントリル、およびフェナントリルが好ましく、フェニル、ナフチルおよびアントリルがより好ましい。
【0021】
前記、炭素数5~6のシクロアルキルとしては、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
【0022】
前記、炭素数6~20のアリール及び前記炭素数5~6のシクロアルキルは、任意の水素原子が独立してハロゲン原子フッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよい。ハロゲン原子としては、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、より好ましくは、フッ素原子である。
【0023】
は、好ましくは、フェニル又はシクロヘキシルである。
【0024】
(式(1)のR、Rの好ましい例)
、Rは、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表す。
【0025】
炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキルは、Rで説明したものと同様のものが挙げられる。
【0026】
前記、炭素数7~40のアリールアルキルとしては、例えば、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチルが挙げられる。
【0027】
前記、炭素数1~40のアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、iso-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、オクタデシルが挙げられる。
【0028】
前記、炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキル及び前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、任意の水素原子が独立してハロゲン原子フッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、任意の水素原子がハロゲン原子フッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-、-CH=CH-、又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、前記炭素数1~40のアルキルは、任意の水素原子が独立してハロゲン原子フッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。
【0029】
、Rは、好ましくは、水素原子、フェニル、シクロヘキシル、及び炭素数1~5のアルキルから選ばれ、より好ましくは、炭素数1~5のアルキルから選ばれる。
【0030】
(式(1)のn、n’の好ましい例)
nは1~30の実数を表し、n’は0~30の実数を表す。製造、取り扱いの観点から、好ましくは、1以上20以下であり、より好ましくは1以上10以下である。nおよびn’は平均数を表す。
【0031】
(式(1)のmの好ましい例)
mは、1以上の実数を表す。好ましくは、mが、シロキサンポリマーの重量平均分子量2,000~10,000,000を満たす数字となる場合である。
【0032】
式(1)で表される繰り返し単位を含むシロキサンポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは2,000~10,000,000であり、より好ましくは、10,000~1,000,000である。重量平均分子量は、後述の実施例に記載されるように、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて得られたクロマトグラムを、分子量標準サンプルにて得られた検量線により計算して求める。
【0033】
式(1)で表される繰り返し単位を含むシロキサンポリマーとして、より具体的には、以下のポリマー(1a-1)~(1a-5)を例示出来る。式中、Meはメチル基を表す。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
シロキサンポリマーの製造方法
次に、本発明のシロキサンポリマー(1)の製造方法について説明する。式(1)で表される繰り返し単位を含むシロキサンポリマーは、次に説明する方法により、好適に製造することができる。
【0040】
本発明のシロキサンポリマー(1)は、例えば特開2017-014320に記載の製造方法で得られるシラノール末端のシロキサンポリマー(下記式(2))とトリメトキシハロシラン(下記式(3))を反応させることで製造できる。式(3)中、R3はハロゲン原子を表す。
【0041】
【0042】
【0043】
上述の製造方法の反応式は、以下の通りである。
【0044】
【0045】
上記式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール及び前記炭素数5~6のシクロアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく;
、Rは、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキル及び前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、
前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、任意の水素原子がフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-、-CH=CH-、又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、
前記炭素数1~40のアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
は、独立して、ハロゲン原子を表し;
nは1~30の実数を表し;
n’は0~30の実数を表し;
mは1以上の実数を表す。
【0046】
以下、式(2)~(5)で表される化合物について説明する。
(式(2)で表される化合物)
シロキサンポリマー(1a)は式(2)で表される化合物に由来する。式(2)で表される化合物は、例えば特開2017-014320で示された方法で製造することができる。
【0047】
【0048】
上記式中、R、R,Rは式(1)で表される化合物のR、R,Rと同様に定義される。nは1~30の実数を表し、n’は0~30の実数を表し、mは1以上の実数を表す。
【0049】
式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(α)および(β)の化合物等が挙げられる。
【0050】
【0051】
【0052】
(式(3)で表される化合物)
下記式(3)で表される化合物により、式(2)で表されるシロキサンポリマーの末端にトリメトキシシリル基を導入することができる。式(3)中、R3はハロゲン原子を表す。
【0053】
【0054】
式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、クロロトリメトキシシラン(下記に構造式を示す)、ブロモトリメトキシシラン、ヨードトリメトキシシラン、等が挙げられる。これらの中でも、クロロトリメトキシシラン(下式)が特に好ましく用いられる。
【0055】
【実施例
【0056】
以下において、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、これらの記載により本発明の範囲が限定されることはない。
【0057】
実施例で用いた試薬を以下に示す。
脱水テトラヒドロフラン:商品名:テトラヒドロフラン(超脱水)、富士フィルム和光純薬(株)製
トリエチルアミン:富士フィルム和光純薬(株)製
脱水トルエン:トルエン(超脱水)富士フィルム和光純薬(株)製
クロロトリエトキシシラン: 東京化成工業(株)製
【0058】
GPC測定の測定条件を以下に示す。
<測定条件>
カラム:Shodex KF-804L 300×8.0mm
Shodex KF-805L 300×8.0mm 2本直列
移動相:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
検出器:RI
分子量標準サンプル:分子量既知のPMMA(ポリメタクリル酸メチル)
【0059】
NMR測定はVarian NMR system 500MHzを使用した。
耐熱性測定は、TG-DTAとして(株)リガク製 TG-DTA8120/Sを使用し、空気雰囲気下、昇温速度10℃/minで測定し、5%重量減少温度を熱分解温度とした。
【0060】
[実施例1]
(シロキサンポリマー(A)の合成)
【0061】
ジムロート冷却器、磁器撹拌子及び200mL滴下ロートを備えた500mL3口フラスコをアルゴンで置換し、共重合体α(重量平均分子量37,500、多分散度2.2)20.2g、脱水テトラヒドロフラン100mL、トリエチルアミン6.50gを収めた。滴下ロートからクロロトリメトキシシラン10.0gのテトラヒドロフラン100mL溶液を45分かけて滴下し、その後2時間加熱還流した。これを減圧下で濃縮し、得られた残渣に脱水トルエン100mLを加え、アルゴン雰囲気下で焼結ガラスフィルター付きシュレンク管を用いてろ過した。ろ液を減圧下で再度濃縮し、その後真空乾燥をすることで、シロキサンポリマー(A)を無色レジンとして18.9g得た。重量平均分子量Mwは27,600、多分散度 Mw/Mn=2.4であった。H-NMR測定より、nおよびn’は平均3.0であった。さらにSi―OH基の消失とメトキシ基の導入を確認した。TG-DTAによる熱重量分析で熱分解温度は486℃であった。
【0062】
H-NMR測定結果)
H-NMR(500MHz, CO(CD)δ(ppm): 7.09~7.62(Ph)、3.31~3.59(-OCH)、0.24~0.39(OSiMe)、-0.06~0.15(OSiMe)。
29Si-NMR測定結果)
29Si-NMR(99MHz, THF-d)δ(ppm): -21.7~-18.3、-65.0~-64.6、-79.4~-78.6、-85.3。
【0063】
[比較例]
実施例1と同様の方法で、両末端シラノール基を有するジメチルシロキサン(B)をクロロトリメトキシシランと反応させ、化合物(C)を得た。TG-DTAによる熱重量分析で5%重量減少温度は189℃であった。
【0064】
【0065】
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、極めて高い耐熱性を有する新規なシロキサンポリマーが提供される。このシロキサンポリマーは、シランカップリング剤、電材用途、接着用途等、特に耐熱を必要とする部材に好適に利用することができる。