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特許7611415制御方法、荷電粒子ビーム装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】制御方法、荷電粒子ビーム装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/305 20060101AFI20241226BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H01J37/305 A
H01J37/22 502H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023550776
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2021035609
(87)【国際公開番号】W WO2023053188
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503460323
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 俊之
(72)【発明者】
【氏名】上本 敦
(72)【発明者】
【氏名】麻畑 達也
(72)【発明者】
【氏名】満 欣
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-122909(JP,A)
【文献】特開2013-114881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/305
H01J 37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層が積層された試料に集束イオンビームを照射することで、所定の角度である加工角度で前記試料の断面を加工する荷電粒子ビーム装置の制御方法であって、
前記試料に電子ビームを照射し、前記試料から発生する二次電子又は反射電子を検出し、検出結果に基づいて試料の断面の画像であって、観察対象の層である観察対象層を含む複数の層が含まれている観察像を生成する画像生成ステップと、
前記観察像が示す観察対象層の厚さを示す距離に基づいて、前記断面の角度と前記加工角度との角度ずれを算出する角度ずれ算出ステップと、
前記角度ずれ算出ステップで算出された前記角度ずれが無くなるように前記試料の姿勢又は集束イオンビームの照射方向を制御する制御ステップと、
を含む、制御方法。
【請求項2】
前記観察像は、観察対象の層である観察対象層を含む複数の層が含まれており、
前記観察対象層の厚さを前記断面の画像に基づいて算出する厚さ算出ステップを更に含み
前記角度ずれ算出ステップは、算出した前記観察対象層の厚さをLd、前記観察対象層の厚さの設計値をLm、前記角度ずれをθとした場合には、式(1)で前記角度ずれを算出する、請求項1に記載の制御方法。
θ=cos-1(Lm/Ld)…式(1)
【請求項3】
前記集束イオンビームを前記試料に照射しながら前記試料の断面の加工を実行する第1加工ステップと、
前記第1加工ステップ中に得られた前記観察像において、上下もしくは左右で2つの層が混ざる場合には、層の変わり目があると判断して前記第1加工ステップでの加工を停止させ、前記集束イオンビームによって一定量だけ前記試料の断面を加工する第2加工ステップと、
前記第2加工ステップ前の前記観察像に基づいて層の切り替わりの位置である第1層エッジ位置と、前記第2加工ステップ後の前記観察像に基づいて層の切り替わりの位置である第2層エッジ位置と、を算出する層エッジ位置算出ステップと、
を更に含み、
前記角度ずれ算出ステップは、前記層エッジ位置算出ステップで求めた前記第1層エッジ位置と第2層エッジ位置との間の距離である位置ずれをLp、前記一定量をLf、前記角度ずれをθとした場合には、式(2)で前記角度ずれを算出する、請求項1に記載の制御方法。
θ=tan-1(Lf/Lp)…式(2)
【請求項4】
前記集束イオンビームを前記試料に照射しながら前記試料の断面の加工を実行する加工ステップと、
前記加工ステップ中に得られた前記観察像において、上下もしくは左右で2つの層が混ざる場合には、層の変わり目があると判断して前記加工ステップでの加工を停止させる停止ステップと、
前記電子ビームの加速電圧を変化させ、前記観察像として前記試料の表面像と透過像とを生成する画像生成ステップと、
前記表面像に基づいて層の切り替わりの位置である第1層エッジ位置と、前記透過像に基づいて層の切り替わりの位置である第2層エッジ位置と、を算出する層エッジ位置算出ステップと、
を含み、
前記角度ずれ算出ステップは、前記層エッジ位置算出ステップで求めた前記第1層エッジ位置と第2層エッジ位置との間の距離である位置ずれをLr、前記試料の表面からの前記電子ビームの透過量をLt、前記角度ずれをθとした場合には、式(3)で前記角度ずれを算出する、請求項1に記載の制御方法。
θ=tan-1(Lt/Lr)…式(3)
【請求項5】
複数の層が積層された試料に集束イオンビームを照射することで、所定の角度である加工角度で前記試料の断面を加工する集束イオンビーム鏡筒と、
前記試料に電子ビームを照射する電子ビーム鏡筒と、
前記試料から発生する二次電子又は反射電子を検出する電子検出器と、
前記電子検出器から出力される信号に基づいて試料の断面の画像であって、観察対象の層である観察対象層を含む複数の層が含まれている観察像を生成する観察像生成部と、
前記観察が示す観察対象層の厚さを示す距離に基づいて、前記断面の角度と前記加工角度との角度ずれを算出する算出部と、
前記算出部で算出された前記角度ずれが無くなるように前記試料の姿勢又は前記集束イオンビームの照射方向を制御する補正部と、
を備える荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
複数の層が積層された試料に集束イオンビームを照射することで、所定の角度である加工角度で前記試料の断面を加工する荷電粒子ビーム装置を制御するコンピュータに、
前記試料に電子ビームを照射し、前記試料から発生する二次電子又は反射電子を検出し、検出結果に基づいて試料の断面の画像であって、観察対象の層である観察対象層を含む複数の層が含まれている観察像を生成させ、前記観察像が示す観察対象層の厚さを示す距離に基づいて、前記断面の角度と前記加工角度との角度ずれを算出させ、算出された前記角度ずれが無くなるように前記試料の姿勢又は集束イオンビームの照射方向を制御させる処理、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御方法、荷電粒子ビーム装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡(TEM: Transmission Electron Microscope)などによって試料の観察を行うために、試料をその観察に適した形状に加工する荷電粒子ビーム装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-120714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
層構造の試料を加工する場合には、試料を層に対して水平又は垂直に精度よく加工することが求められる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、試料を層に対して水平又は垂直に精度よく加工することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、複数の層が積層された試料に集束イオンビームを照射することで、所定の角度である加工角度で前記試料の断面を加工する荷電粒子ビーム装置の制御方法であって、前記試料に電子ビームを照射し、前記試料から発生する二次電子又は反射電子を検出し、検出結果に基づいて試料の断面の画像であって、観察対象の層である観察対象層を含む複数の層が含まれている観察像を生成する画像生成ステップと、前記観察像が示す観察対象層の厚さを示す距離に基づいて、前記断面の角度と前記加工角度との角度ずれを算出する角度ずれ算出ステップと、前記角度ずれ算出ステップで算出された前記角度ずれが無くなるように前記試料の姿勢又は集束イオンビームの照射方向を制御する制御ステップと、を含む、制御方法である。
【0007】
(2)上記(1)の制御方法であって、前記観察像は、観察対象の層である観察対象層を含む複数の層が含まれており、前記観察対象層の厚さを前記断面の画像に基づいて算出する厚さ算出ステップを更に含み、前記角度ずれ算出ステップは、算出した前記観察対象層の厚さをLd、前記観察対象層の厚さの設計値をL、前記角度ずれをθとした場合には、θ=cos-1(Lm/Ld)で前記角度ずれを算出してもよい。
【0008】
(3)上記(1)の制御方法であって、前記集束イオンビームを前記試料に照射しながら前記試料の断面の加工を実行する第1加工ステップと、前記第1加工ステップ中に得られた前記観察像において、上下もしくは左右で2つの層が混ざる場合には、層の変わり目があると判断して前記第1加工ステップでの加工を停止させ、前記集束イオンビームによって一定量だけ前記試料の断面を加工する第2加工ステップと、前記第2加工ステップ前の前記観察像に基づいて層の切り替わりの位置である第1層エッジ位置と、前記第2加工ステップ後の前記観察像に基づいて層の切り替わりの位置である第2層エッジ位置と、を算出する層エッジ位置算出ステップと、を更に含み、前記角度ずれ算出ステップは、前記層エッジ位置算出ステップで求めた前記第1層エッジ位置と第2層エッジ位置との間の距離である位置ずれをLp、前記一定量をLf、前記角度ずれをθとした場合には、θ=tan-1(Lf/Lp)で前記角度ずれを算出してもよい。
【0009】
(4)上記(1)の制御方法であって、前記集束イオンビームを前記試料に照射しながら前記試料の断面の加工を実行する加工ステップと、前記加工ステップ中に得られた前記観察像において、上下もしくは左右で2つの層が混ざる場合には、層の変わり目があると判断して前記加工ステップでの加工を停止させる停止ステップと、前記電子ビームの加速電圧を変化させ、前記観察像として前記試料の表面像と透過像とを生成する画像生成ステップと、前記表面像に基づいて層の切り替わりの位置である第1層エッジ位置と、前記透過像に基づいて層の切り替わりの位置である第2層エッジ位置と、を算出する層エッジ位置算出ステップと、を含み、前記角度ずれ算出ステップは、前記層エッジ位置算出ステップで求めた前記第1層エッジ位置と第2層エッジ位置との間の距離である位置ずれをLr、前記試料の表面からの前記電子ビームの透過量をLt、前記角度ずれをθとした場合には、θ=tan-1(Lt/Lr)で前記角度ずれを算出してもよい。
【0010】
(5)本発明の一態様は、複数の層が積層された試料に集束イオンビームを照射することで、所定の角度である加工角度で前記試料の断面を加工する集束イオンビーム鏡筒と、前記試料に電子ビームを照射する電子ビーム鏡筒と、前記試料から発生する二次電子又は反射電子を検出する電子検出器と、前記電子検出器から出力される信号に基づいて試料の断面の画像であって、観察対象の層である観察対象層を含む複数の層が含まれている観察像を生成する観察像生成部と、前記観察が示す観察対象層の厚さを示す距離に基づいて、前記断面の角度と前記加工角度との角度ずれを算出する算出部と、前記算出部で算出された前記角度ずれが無くなるように前記試料の姿勢又は前記集束イオンビームの照射方向を制御する補正部と、を備える荷電粒子ビーム装置である。
【0011】
(6)本発明の一態様は、複数の層が積層された試料に集束イオンビームを照射することで、所定の角度である加工角度で前記試料の断面を加工する荷電粒子ビーム装置を制御するコンピュータに、前記試料に電子ビームを照射し、前記試料から発生する二次電子又は反射電子を検出し、検出結果に基づいて試料の断面の画像であって、観察対象の層である観察対象層を含む複数の層が含まれている観察像を生成させ、前記観察像が示す観察対象層の厚さを示す距離に基づいて、前記断面の角度と前記加工角度との角度ずれを算出させ、算出された前記角度ずれが無くなるように前記試料の姿勢又は集束イオンビームの照射方向を制御させる処理、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、試料を層に対して水平又は垂直に精度よく加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る制御部の概略構成の一例を示す図であるである。
図3】本実施形態に係る第1の制御方法の流れを説明するフロー図である。
図4】本実施形態に係る第1の制御方法を説明する図である。
図5】本実施形態に係る第2の制御方法の流れを説明するフロー図である。
図6】本実施形態に係る第2の制御方法を説明する図である。
図7】本実施形態に係る第3の制御方法の流れを説明するフロー図である。
図8】本実施形態に係る第3の制御方法を説明する図である。
図9】本実施形態に係る制御装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係る荷電粒子ビーム装置を、図面を用いて説明する。
【0015】
荷電粒子ビーム装置1は、複数の層が積層された試料Sに集束イオンビームを照射することで、所定の角度である加工角度で試料の断面を加工する。本実施形態の荷電粒子ビーム装置1は、試料Sを加工する場合には、試料Sの断面(以下、「試料断面」という。)の角度と加工角度との角度ずれθを算出して、その算出したθが無くなるように試料Sの姿勢を補正する。これにより、荷電粒子ビーム装置1は、試料Sを層に対して水平又は垂直に精度よく加工することができる。
【0016】
ここで、試料Sは、観察対象層を有する複数の層が所定の積層方向に向かって積層された試料のことである。観察対象層は、観察する対象となる物質(例えば、半導体等)により構成される層である。また、試料Sは、複数の観察対象層とともに、1以上の非観察対象層が積層方向に向かって積層されてもよい。非観察対象層は、観察する対象ではない物質(例えば、電力又は信号の伝送路として使われる金属導体等)により構成される層である。試料Sは、例えば3D-NAND型のフラッシュメモリ等である。この場合、試料Sは、観察対象層と非観察対象層とが交互に積層方向に向かって複数積層されている。なお、積層方向は、如何なる方向であってもよい。以下では、一例として、試料室10内に収容された試料Sにおける積層方向が、上下方向である場合について説明する。なお、説明の便宜上、試料Sが3つの層が積層してなる構造である場合を例として説明する。
【0017】
以下において、荷電粒子ビーム装置1の構成について、具体的に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る荷電粒子ビーム装置1の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、荷電粒子ビーム装置1は、試料室10、試料台11、駆動機構12、電子ビーム鏡筒13、集束イオンビーム鏡筒14、二次荷電粒子検出器15、透過電子検出器16、入力部17、表示部18、及び制御装置19を備える。
【0019】
試料室10は、所望の減圧状態を維持可能な気密構造の耐圧筐体によって形成されている。試料室10の内部が所望の減圧状態になるまで排気装置(図示略)によって排気可能である。
【0020】
試料台11は、試料Sを保持するものであり、試料室10の内部に配置されている。試料台11は、駆動機構12によって駆動される。
【0021】
駆動機構12は、試料台11を3次元的に並進及び回転させる。駆動機構12は、例えば、三次空間におけるX軸、Y軸及びZ軸の各軸方向に沿って試料台11を並進させる。Z軸は、上下方向であり、X軸及びY軸がなす平面(XY平面)に直交する。また、駆動機構12は、例えば、X軸又はY軸周りに回転させるチルト機構と、Z軸周りに回転させる回転機構と、を備える。以下に、チルト機構に試料台11を回転させた角度を、チルト角と称する。
【0022】
電子ビーム鏡筒13は、試料室10の内部に配置されている試料Sに荷電粒子ビームの一例である電子ビーム(EB)を照射する。例えば、電子ビームの照射方向は、Z軸方向と平行である。なお、以下では、説明の便宜上、Z軸方向と平行な方向を上下方向と称し、上下方向のうち、鉛直方向を下方向と称し、鉛直方向と逆の方向を上方向と称する。
【0023】
集束イオンビーム鏡筒14は、試料室10の内部に配置されている試料Sに集束イオンビーム(FIB)を照射する。これにより、試料Sの断面が加工される。以下において、集束イオンビームによって試料Sを加工することを「FIB加工」と称する場合がある。集束イオンビームの照射方向は、例えばXY平面に平行な方向である。図1に示した例では、電子ビーム鏡筒13と集束イオンビーム鏡筒14とは、それぞれの照射方向が試料S上で互いに直交するように配置されている。ただし、これに限定されず、集束イオンビーム鏡筒14は、上下方向に配置されてもよいし、上下方向に対して傾斜する傾斜方向に配置されてもよい。
【0024】
二次荷電粒子検出器15は、電子ビーム又は集束イオンビームの照射により試料Sから発生した二次電子を検出する。二次荷電粒子検出器15は、二次電子の検出結果に制御装置19に送信する。
【0025】
透過電子検出器16は、電子ビーム8を試料Sに照射した結果、試料Sを透過した透過電子と試料Sに入射されなかった電子ビームとを検出する。透過電子検出器16は、検出結果に制御装置19に送信する。
【0026】
入力部17は、例えば、操作者の入力操作に応じた信号を出力するマウス及びキーボード等である。
【0027】
表示部18は、荷電粒子ビーム装置1の各種情報と、二次荷電粒子検出器15から出力される信号によって生成された画像データと、画像データの拡大、縮小、移動及び回転等の操作を実行するための画面等を表示する。
【0028】
制御装置19は、荷電粒子ビーム装置1の動作を統合的に制御する。制御装置19は、電子ビーム制御部20、集束イオンビーム制御部(FIB制御部)21、駆動制御部22、記憶部23、及び制御部24を備える。
【0029】
電子ビーム制御部20は、制御部24からの信号に基づいて電子ビーム鏡筒13に照射信号を出力し、電子ビーム鏡筒13から電子ビームを照射させる。
【0030】
集束イオンビーム制御部21は、制御部24からの信号に基づいて集束イオンビーム鏡筒14に照射信号を出力し、集束イオンビーム鏡筒14から集束イオンビームを照射させる。集束イオンビーム制御部21は、制御部24からの信号に基づいて集束イオンビーム鏡筒14から照射される集束イオンビームの照射方向を調整することができる。
【0031】
駆動制御部22は、制御部24からの信号に基づいて駆動機構12の駆動を制御しており、駆動機構12に駆動信号を出力して試料台11を駆動させることで試料Sの姿勢を制御する。例えば、駆動制御部22は、制御部24で算出された角度ずれθが無くなるように駆動機構12を制御することでチルト角を補正する。
【0032】
記憶部23は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等を備えており、各種の情報を記憶する。記憶部23には、FIB加工を行うための加工条件の情報が記憶されている。荷電粒子ビーム装置1は、記憶部23に記憶されている加工条件に応じて走査領域内に対して集束イオンビームによる走査を行う。これにより、荷電粒子ビーム装置1は、走査領域のエッチング、集束イオンビームによる走査領域の観察像の形成等を行うことができる。加工条件は、走査領域を示す走査領域情報、電子ビームの加速電圧を示す情報、ビーム電流を示す情報、倍率を示す情報、コントラストを示す情報、ブライトネスを示す情報、エッチングにより削る層の厚さを示す情報、エッチングにより削る深さを示す情報、集束イオンビーム鏡筒14から試料Sの表面までの距離を示す情報等が含まれた情報である。
【0033】
図1は、本実施形態に係る制御部24の概略構成の一例を示す図である。制御部24は、表示制御部30、観察像生成部31、算出部32及び補正部33を備える。
【0034】
表示制御部30は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを備えており、上述した透過像やSEM像を表示部18に表示させる。
【0035】
観察像生成部31は、電子ビーム制御部20の電子ビームを走査させる信号と、透過電子検出器16で検出した透過電子の信号と基づいて透過像を形成する。観察像生成部31は、電子ビーム制御部20の電子ビームを走査させる信号と、二次荷電粒子検出器15で検出した二次電子の信号と基づいてSEM像のデータを形成する。本実施形態の観察像とは、SEM像であってもよいし、SEM像と透過像とを含んでもよい。
【0036】
算出部32は、SEM像に映っている試料Sの断面のパターンに基づいて、試料断面の角度と加工角度との角度ずれθを算出する。
【0037】
補正部33は、駆動制御部22や集束イオンビーム制御部21と通信し、算出部32で算出された角度ずれθが無くなるように試料Sの姿勢や集束イオンビームの照射方向を制御する。具体的には、補正部33は、角度ずれθが無くなるように、チルト角を補正してもよいし、FIBのScan Rotationによって集束イオンビームの照射方向を補正してもよい。補正部33は、SEM像に映っている試料Sの断面のパターンに基づいて、角度ずれθを無くなるように補正する手段として、チルト角を補正するのか、集束イオンビームの照射方向を補正するのかを判定してもよい。
【0038】
以下において、荷電粒子ビーム装置1の制御方法の流れについて、説明する。まず、試料Sの層の厚さLmがすでに分かっている場合での制御方法(第1の制御方法)について説明する。図3は、荷電粒子ビーム装置1における角度ずれθを無くすための第1の制御方法の一例を示す図である。図4は、第1の制御方法で補正する角度ずれθを説明するための図である。
【0039】
制御装置19は、SEM像において試料Sの3つの層H1~H3が表示されるように、駆動機構12を制御してチルト角を変化させる(ステップS101)。制御部24は、観察像生成部31で生成するSEM像において、3つの層が表示されているか否かを判定する(ステップS102)。制御部24は、観察像生成部31で生成するSEM像において、3つの層H1~H3が表示されていると判定した場合には、駆動制御部22に対して停止命令を出力する。これにより、駆動制御部22は、駆動機構12の動作を停止させてチルト角の調整を停止させる(ステップS103)。ステップS103の処理が終了すると、算出部32は、3つの層を含んだSEM画像に基づいて角度ずれθを算出する。
【0040】
ここで、3つの層H1~H3のうち、観察対象層が、2つの層H1,H3に挟まれた真ん中の層H2であるとする。算出部32は、SEM画像に対して公知の画像処理を適用することにより、観察対象層の厚さを算出する(ステップS104)。なお、算出部32で算出した観察対象層の厚さを「Ld」とする。算出部32は、算出した観察対象層の厚さLd、観察対象層の厚さの設計値Lmを式(1)に代入して求めることにより、試料断面の角度βと加工角度αとの角度ずれθを算出する(ステップS105)。なお、観察対象層の実際の厚さは既知であるため、設計値Lmとして制御部24に予め格納されている。
【0041】
θ=cos-1(Lm/Ld)…式(1)
【0042】
補正部33は、算出部32で算出された角度ずれθが無くなるように試料Sの姿勢又は集束イオンビームの照射方向を制御する(ステップS106)。例えば、チルト角を補正して角度ずれθを無くす場合には、補正部33は、駆動機構12を制御してチルト角を角度ずれθだけ変化させる。一方、集束イオンビームの照射方向を補正して角度ずれθを無くす場合には、補正部33は、集束イオンビーム制御部21に角度ずれθの情報を送信して、角度ずれθだけ集束イオンビームの照射方向を変化させる。一例として、補正部33は、試料Sの断面を層に対して水平に加工する場合であって、層の切り替わり時に試料Sの断面のSEM画像が上下で現在の層と次の層に分かれる場合には、チルト角を角度ずれθだけ変化させることで角度ずれθを無くすことができる。これにより、試料Sの断面を水平に加工することが可能となる。
【0043】
次に、観察対象層の実際の厚さがわからない場合での第2の制御方法を説明する。図5は、荷電粒子ビーム装置1における角度ずれθを無くすための第2の制御方法の一例を示す図である。
【0044】
制御装置19は、電子ビーム鏡筒13を動作させて電子ビームを試料Sに照射させるとともに、集束イオンビーム鏡筒14から集束イオンビームを照射させる。これにより、制御装置19は、SEM画像を取得しながらFIB加工を進める(ステップS201)。
【0045】
制御部24は、ステップS201のFIB加工中において取得されるSEM画像に基づいて、試料Sの断面において層の変り目があるか否かをリアルタイムで判定する(ステップS202)。制御部24は、SEM像に映っている試料Sの断面のパターンにて上下もしくは左右で2つの層が混ざっている場合には、層の変わり目があると判定する。制御部24は、層の変わり目があると判定した場合には、集束イオンビームの照射を停止させて、ステップS201でのFIB加工を停止させる(ステップS203)。
【0046】
次に、制御装置19は、一定量LfずつFIB加工を行う(ステップS204)。すなわち、制御装置19は、層の変わり目があると判定すると、ステップS201での加工から一定量LfだけのFIB加工(以下、「一定量FIB加工」という。」)へ移行する。算出部32は、一定量FIB加工を行った後に観察像生成部31からSEM画像を取得し、取得したSEM画像に基づいて層エッジ位置Pを計測する(ステップS205)。一定量FIB加工が1回以上実行され、一定量FIB加工が実行されるごと層エッジ位置Pが計測される。算出部32は、一定量FIB加工が実行されることで層エッジ位置Pがどのくらいずれるかを求める。すなわち、算出部32は、一定量Lfだけ加工されることで変化する層エッジ位置Pの変化量(以下、「層エッジ位置ずれ」という。)Lpを求める(ステップS206)。
【0047】
例えば、図6に示すように、算出部32は、試料の断面D1でのSEM画像において、層H1から層H2へ変わる位置である層エッジ位置P1(第1層エッジ位置)を計測する。層エッジ位置P1が計測された後に、一定量FIB加工が実行されて断面D2が形成される。断面D2が形成されると、算出部32は、断面D2でのSEM画像において層H1から層H2へ変わる位置である層エッジ位置P2(第2層エッジ位置)を計測する。そして、算出部32は、Z軸方向における層エッジ位置P1と層エッジ位置P2との間の距離を層エッジ位置ずれLpとして求める。算出部32は、層エッジ位置ずれLpを求めると、下記の式(2)を用いて角度ずれθを算出する(ステップS207)。
【0048】
θ=tan-1(Lf/Lp)…式(2)
【0049】
補正部33は、算出部32で算出された角度ずれθが無くなるように試料Sの姿勢又は集束イオンビームの照射方向を制御する(ステップS208)。例えば、補正部33は、角度ずれθが無くすために、駆動機構12を制御してチルト角を角度ずれθだけ変化させてもよいし、集束イオンビームの照射方向を角度ずれθだけ変化させてもよい。例えば、補正部33は、試料Sを層に対して水平に加工する場合であって、層の切り替わり時に試料Sの断面のSEM画像が左右で現在の層と次の層に分かれる場合には、集束イオンビームの照射方向を角度ずれθだけ変化させることで角度ずれθを無くすことができる。これにより、試料Sの断面を水平に加工することが可能となる。
【0050】
次に、観察対象層の実際の厚さが予めわかっていない場合での第3の制御方法を説明する。
【0051】
制御装置19は、電子ビーム鏡筒13を動作させて電子ビームを試料Sに照射させるとともに、集束イオンビーム鏡筒14から集束イオンビームを照射させる。これにより、制御装置19は、SEM画像を取得しながらFIB加工を進める(ステップS301)。
【0052】
制御部24は、ステップS201のFIB加工中において取得されるSEM画像に基づいて、試料Sの断面において層の変り目があるか否かをリアルタイムで判定する(ステップS302)。制御部24は、SEM像に映っている試料Sの断面のパターンにて上下もしくは左右で2つの層が混ざっている場合には、層の変わり目があると判定する。制御部24は、層の変わり目があると判定した場合には、集束イオンビームの照射を停止させてFIB加工を停止させる(ステップS303)。
【0053】
制御部24は、FIB加工が停止されると、電子ビーム制御部20に信号を送信して電子ビームの加速電圧を所定の電圧だけ変化させる(ステップS304)。観察像生成部31は、電子ビームの加速電圧が所定の電圧だけ変化した後に、SEM像と透過像とをそれぞれ形成する(ステップS305)。算出部32は、SEM像と透過像とのそれぞれにおいて層エッジ位置Pを計測し、SEM像での層エッジ位置P1と透過像での層エッジ位置P2とのZ軸方向における距離を層エッジ位置ずれLrを求める(ステップS306)。また、算出部32は、記憶部23に記憶されている加工条件に基づいて電子ビームの透過量Lt(試料Sの断面表面からの透過量)を算出する(ステップS307)。なお、記憶部23に電子ビームの透過量Ltが予め記憶されてもよい。
【0054】
例えば、図7に示すように、算出部32は、試料の断面D1でのSEM画像において、層H1から層H2へ変わる位置である層エッジ位置P1を計測する。算出部32は、試料の断面D2での透過像において、層H1から層H2へ変わる位置である層エッジ位置P2を計測する。そして、算出部32は、Z軸方向における層エッジ位置P1と層エッジ位置P2との間の距離を層エッジ位置ずれLrとして求める。算出部32は、記憶部23に記憶されている加工条件に基づいて電子ビームの透過量Ltを求める。
【0055】
算出部32は、下記の式(3)を用いて角度ずれθを算出する(ステップS308)。
【0056】
θ=tan-1(Lt/Lr)…式(3)
【0057】
補正部33は、算出部32で算出された角度ずれθが無くなるように試料Sの姿勢を制御する(ステップS308)。例えば、補正部33は、角度ずれθが無くすためたに、駆動機構12を制御してチルト角を角度ずれθだけ変化させてもよいし、集束イオンビームの照射方向を角度ずれθだけ変化させてもよい。例えば、補正部33は、試料Sを層に対して水平に加工する場合であって、層の切り替わり時に試料Sの断面のSEM画像が斜めで現在の層と次の層に分かれる場合には、チルト角と集束イオンビームの照射方向との少なくともいずれかを調整することで角度ずれθを無くすことができる。これにより、試料Sの断面を水平に加工することが可能となる。
【0058】
以上、説明したように、本実施形態の制御方法は、複数の層が積層された試料に集束イオンビームを照射することで、所定の角度である加工角度で前記試料の断面を加工する荷電粒子ビーム装置の制御方法である。また、本実施形態の制御方法は、試料Sに電子ビームを照射し、試料Sから発生する二次電子又は反射電子を検出し、検出結果に基づいて試料の断面の観察像を生成する画像生成ステップと、観察像に基づいて、断面の角度と加工角度との角度ずれθを算出する角度ずれ算出ステップと、角度ずれ算出ステップで算出された角度ずれθが無くなるように試料Sの姿勢又は電子ビームの照射方向を制御する制御ステップと、を含む。
【0059】
このような構成により、角度ずれθが無くなるため、層構造の試料Sを層に対して水平又は垂直に精度よく加工することができる。
【0060】
また、本実施形態の制御方法は、観察像において、観察対象の層である観察対象層を含む複数の層が含まれるようにチルト角を調整し、観察対象層の厚さを断面の観察像に基づいて算出する厚さ算出ステップを更に含んでもよい。そして、角度ずれ算出ステップは、算出した観察対象層の厚さをLd、前記観察対象層の厚さの設計値をLとした場合には、式(1)で角度ずれθを算出してもよい。
【0061】
このような構成により、試料Sを加工することなく角度ずれθを算出することができる。
【0062】
また、本実施形態の制御方法は、集束イオンビームを試料Sに照射しながら試料Sの断面の加工を実行する第1加工ステップと、第1加工ステップ中に得られた観察像において、上下もしくは左右で2つの層が混ざる場合には、層の変わり目があると判断して第1加工ステップでの加工を停止させ、集束イオンビームによって一定量だけ試料Sの断面を加工する第2加工ステップと、第2加工ステップ前の前記観察像に基づいて層の切り替わりの位置である第1層エッジ位置と、第2加工ステップ後の前記観察像に基づいて層の切り替わりの位置である第2層エッジ位置と、を算出する層エッジ位置算出ステップと、を更に含んでもよい。そして、角度ずれ算出ステップは、層エッジ位置算出ステップで求めた第1層エッジ位置と第2層エッジ位置との差である位置ずれをLp、一定量をLfとした場合には、式(2)で角度ずれθを算出してもよい。
【0063】
このような構成により、試料Sの層が不明な場合であっても角度ずれθを算出することができ、層構造の試料Sを層に対して水平又は垂直に精度よく加工することができる。
【0064】
また、本実施形態の制御方法は、集束イオンビームを試料Sに照射しながら試料Sの断面の加工を実行する加工ステップと、加工ステップ中に得られた観察像において、上下もしくは左右で2つの層が混ざる場合には、層の変わり目があると判断して加工ステップでの加工を停止させる停止ステップと、電子ビームの加速電圧を変化させ、観察像として試料Sの表面像と透過像とを生成する画像生成ステップと、表面像に基づいて層の切り替わりの位置である第1層エッジ位置と、前記透過像に基づいて層の切り替わりの位置である第2層エッジ位置とを算出する層エッジ位置算出ステップと、を含んでもよい。そして、角度ずれ算出ステップは、層エッジ位置算出ステップで求めた第1層エッジ位置と第2層エッジ位置との間の距離である位置ずれをLr、試料Sの表面からの電子ビームの透過量をLtとした場合には、式(3)で角度ずれθを算出してもよい。
【0065】
このような構成により、試料Sの層が不明な場合であっても試料Sを加工せずに角度ずれθを算出することができ、層構造の試料Sを層に対して水平又は垂直に精度よく加工することができる。
【0066】
図9は、制御装置19として機能するコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1000にインストールされたプログラムは、コンピュータ1000を、上記実施形態に係る制御装置19の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1000に、上記実施形態に係る制御装置19に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1000に、上記実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1000に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1012によって実行されてよい。
【0067】
本実施形態によるコンピュータ1000は、CPU1012、RAM1014、及びグラフィックコントローラ1016を含み、それらはホストコントローラ1010によって相互に接続されている。コンピュータ1000はまた、通信インタフェース1022及び記憶装置1024のような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1020を介してホストコントローラ1010に接続されている。記憶装置1024は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1000はまた、ROM1030及びタッチパネルのような入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1040を介して入出力コントローラ1020に接続されている。
【0068】
CPU1012は、ROM1030及びRAM1014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1016は、RAM1014内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1012によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1018上に表示されるようにする。
【0069】
通信インタフェース1022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1024は、コンピュータ1000内のCPU1012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。
【0070】
ROM1030はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1040はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1020に接続してよい。
【0071】
プログラムは、ICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1024、RAM1014、又はROM1030にインストールされ、CPU1012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1000に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0072】
例えば、通信がコンピュータ1000及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1012は、RAM1014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1022は、CPU1012の制御の下、RAM1014、記憶装置1024、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0073】
また、CPU1012は、記憶装置1024、又はICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1014に読み取られるようにし、RAM1014上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1012は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0074】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1012は、RAM1014から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1014に対しライトバックする。また、CPU1012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1012は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0075】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1000上又はコンピュータ1000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1000に提供する。
【0076】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0077】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0078】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0079】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【符号の説明】
【0080】
1 荷電粒子ビーム装置
19 制御装置
20 電子ビーム制御部
21 集束イオンビーム制御部
22 駆動制御部
23 記憶部
24 制御部
31 観察像生成部
32 算出部
33 補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9