(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリウレタンからなる軟質粒子フォーム
(51)【国際特許分類】
C08L 75/04 20060101AFI20241227BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20241227BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20241227BHJP
C08G 18/65 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
C08L75/04
C08K5/10
C08G18/00 F
C08G18/65 011
(21)【出願番号】P 2021551530
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2020055121
(87)【国際公開番号】W WO2020174040
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】プリソク,フランク
(72)【発明者】
【氏名】アーレルス,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】マッツケ,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ケッペラー,ウヴェ
(72)【発明者】
【氏名】グートマン,ペーター
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-526629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0222442(US,A1)
【文献】特表2012-525455(JP,A)
【文献】国際公開第2013/149956(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/016313(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 75/00- 75/16
C08K 3/00- 13/08
C08G 18/00- 18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と少なくとも1種の可塑剤(W)とを含む組成物(Z1)が含まれる発泡したペレット状の材料であって、前記組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する、発泡したペレット状の材料。
【請求項2】
前記組成物(Z1)が20A~43Aの範囲内のショア硬度を有する、請求項1に記載の発泡したペレット状の材料。
【請求項3】
前記組成物(Z1)の溶融範囲が、加熱速度20K/分のDSC測定において、100℃未満から始まるものであり、そして、前記組成物(Z1)は、DIN EN ISO1133に準拠した180℃及び加圧質量21.6kgにおいて、250g/10分の最大メルトフローレート(MFR)を有するものである、請求項1又は2に記載の発泡したペレット状の材料。
【請求項4】
前記可塑剤(W)が、クエン酸の誘導体及びグリセロールの誘導体から選択されるか、又はこれらの2種以上の混合物から選択され、少なくとも1個のグリセロールヒドロキシル基が、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するモノカルボン酸でエステル化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材料。
【請求項5】
前記可塑剤(W)が、前記組成物(Z1)の合計を基準にして1質量%~60質量%の範囲内の量で前記組成物(Z1)中に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材料。
【請求項6】
前記組成物(Z1)が、可塑剤(W2)としてトリカルボン酸のエステルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材料。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール、及びハイブリッド型ポリオールからなる群から選択されるポリオール(P1)を使用して製造されるものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材料。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される鎖延長剤(KV)を使用して製造されるものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材料。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-、及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI);トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI);メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-、及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI);ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);及び、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)からなる群から選択されるジイソシアネートを使用して製造されるものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材料。
【請求項10】
前記熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール、及びハイブリッド型ポリオールからなる群から選択されるポリオール(P1)と、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-、及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI);トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI);メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-、及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI);ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);及び、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)からなる群から選択されるジイソシアネートとを使用して製造されるものであり、かつ、
前記可塑剤(W)が、クエン酸の誘導体及びグリセロールの誘導体から選択されるか、又はこれらの2種以上の混合物から選択され、少なくとも1個のグリセロールヒドロキシル基が、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するモノカルボン酸でエステル化されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材料。
【請求項11】
発泡したペレット状の材料の製造方法であって、以下の工程:
(i)熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と少なくとも1種の可塑剤(W)とを含む組成物(Z1)を提供する工程であって、その組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する、前記工程;
(ii)前記組成物(Z1)に発泡剤を加圧下で含浸させる工程;
(iii)前記組成物(Z1)を圧力低下によって膨張させる工程;
を含む、製造方法。
【請求項12】
発泡したペレット状の材料の製造方法であって、以下の工程:
(i’)熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と少なくとも1種の可塑剤(W)とを含む組成物(Z1)を押出す工程であって、その組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有し、これによって0.2~10mmの範囲内の平均直径を有するペレット状の材料が得られる、前記工程;
(ii’)前記ペレット状の材料の合計質量に基づいて0.1質量%~40質量%の発泡剤を加圧下でペレット状材料に含浸させる工程;及び
(iii’)減圧によって発泡したペレット状の材料を得る工程;
を含む、製造方法。
【請求項13】
前記発泡剤が、ブタン、プロパン、ペンタン、二酸化炭素、及び窒素からなる群から選択される、請求項
11又は
12に記載の製造方法。
【請求項14】
成形品の製造のための、請求項1~
10のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材料の使用方法。
【請求項15】
前記成形品が、前記発泡したペレット状の材料のビーズを互いに融合又は結合させることによって製造される、請求項14に記載の使用方法。
【請求項16】
前記成形品が、靴底、靴底の一部、自転車のサドル、クッション、マットレス、詰め物、バックレスト、アームパッド、パッド、下敷、ハンドル、保護フィルム、あるいは自動車の内装又は外装の部品である、請求項14又は15に記載の使用方法。
【請求項17】
ボール又はスポーツ用品において、あるいは、床材又は壁パネルとしての、請求項1~
10のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材料の使用方法。
【請求項18】
ポリマー(PM)と請求項1~
10のいずれか一項に記載の発泡したペレット状の材
料とから構成されるマトリックスを含むハイブリッド型材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と少なくとも1種の可塑剤(W)とを含む組成物(Z1)が含まれる発泡型ペレット状の材料であって、その組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する、発泡型ペレット状の材料に関するものであり、そしてこの種の発泡型ペレット状の材料の製造方法に関するものでもある。本発明は、更に、成形品の製造のための本発明の発泡型ペレット状の材料の使用を包含する。
【背景技術】
【0002】
ビーズフォーム(又は粒子フォーム)とも呼ばれる(熱可塑性ポリウレタン又はその他のエラストマーをベースにした)発泡型ペレット状の材料、及びそれから製造された成形品は、既知であり(例えば、WO94/20568、WO2007/082838 A1、WO2017/030835、WO2013/153190A1、WO2010/010010)、そして様々な用途が考えられる。
【0003】
本発明の目的において、「発泡型ペレット状の材料(foamed pellet material)」又はその他の「ビーズフォーム」又は「粒子フォーム」は、ビーズの平均直径が0.2~20mm、好ましくは0.5~15mm、特に1~12mmであるビーズ形態のフォームを意味する。非球形(例えば、細長いビーズや円筒形ビーズ)の場合には、直径は最長の寸法を意味する。
【0004】
発泡型ペレット状の材料又はビーズフォーム(これらについては、有利な機械的特性を維持しながら、可能な限り最も低い温度によってこれらに対応する成形品への加工性が向上されている)が基本的に必要とされている。材料やフォーム構造へのダメージを軽減すると同時に十分な結合/融合を得ながら結合性を向上させることができるので、これは、現在広く使用されている融合プロセス(フォーム型ペレットを融合させるためのエネルギーの入力は、補助媒体(例えば、蒸気)によって導入される)において特に重要である。
【0005】
発泡型ペレット状の材料から製造される成形品の機械的特性を有利にするためには、フォーム型ペレットの十分な結合/融合が不可欠である。フォームビーズの接着/融着が不十分であると、その特性が十分に発揮されず、結果として得られる成形品の機械的特性に全般的な悪影響を及ぼすこととなる。成形品の強度が低下した場合も同様である。この場合には、弱くなった部分の機械的性質が悪くなり、上記と同様の結果となる。従って、使用するポリマーの特性は容易に調整可能である必要がある。
【0006】
熱可塑性エラストマー(TPE)をベースにしたポリマーは、さまざまな分野で既に使用されている。用途に応じて、ポリマーの特性を変更することが可能である。特に熱可塑性ポリウレタンは様々な用途に使われている。
【0007】
熱可塑性ポリウレタンは、通常80ショアA~74ショアDの硬度を有している。しかしながら、多くの用途ではより柔らかい素材が有利である。このために、熱可塑性プラスチックにショア硬度を下げることができる可塑剤を添加することが最先端技術である。可塑剤を選ぶ際には、熱可塑性ポリウレタンとの相性がよいことを確保するのが特に重要である。また、熱可塑性ポリウレタンの機械的特性(例えば、耐摩耗性及びエラストマーの特性)が悪くならないようにする必要がある。
【0008】
例えば、WO2011/141408A2には、グリセロールをベースとする可塑剤を含む熱可塑性ポリウレタンが開示されている。そのような熱可塑性ポリウレタンをベースとするフォームも開示されている。しかし、W2011/141408A2に記載されているフォームはブロックフォームであり、その特性プロファイルは多くの用途には適さない。
【0009】
本発明の文脈では、「有利な機械的特性」とは、意図された用途を指すものと理解される。本発明の主題の主な用途は、履物分野での使用であり、フォーム型ペレットは、減衰性及び/又はクッション性が関連する履物の構成部分(例えば、中間ソールやインソール)の成形品に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO94/20568
【文献】WO2007/082838A1
【文献】WO2017/030835
【文献】WO2013/153190A1
【文献】WO2010/010010
【文献】WO2011/141408A2
【文献】EP1979401B1
【文献】US2015/0337102
【文献】EP2872309B
【文献】EP3053732A
【文献】WO2016/146537
【非特許文献】
【0011】
【文献】“Kunststoffhandbuch” [Plastics handbook], volume 7, “Polyurethane” [Polyurethanes], Carl Hanser Verlag, 3rd edition, 1993, chapter 3.1.
【文献】Plastics Additive Handbook, 5th edition, H. Zweifel, ed., Hanser Publishers, Munich, 2001 ([1]), pages 98-136
【文献】Saechtling (ed.), Kunststoff-Taschenbuch [Plastics handbook], 27th edition, Hanser-Verlag, Munich, 1998, chapters 3.2.1 and 3.2.4
【文献】“Kunststoffhandbuch” [Plastics handbook], volume 7, “Polyurethane” [Polyurethanes], Carl Hanser Verlag, 3rd edition, 1993, chapter 3
【文献】Piechota and Roehr in “Integralschaumstoff” [Integral foam], Carl-Hanser-Verlag, Munich, Vienna, 1975
【文献】“Kunststoff-Handbuch” [Plastics handbook], volume 7, “Polyurethane” [Polyurethanes], 3rd edition, 1993, chapter 7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、良好な機械特性及び良好な減衰特性と良好な反発特性を有する熱可塑性ポリウレタンをベースとするフォーム型ペレットを提供することであった。本発明の更なる目的は、対応するフォーム型ペレットの製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と少なくとも1種の可塑剤(W)とを含む組成物(Z1)が含まれる発泡型ペレット状の材料によって達成され、この組成物(Z1)は、15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する。
【発明の効果】
【0014】
驚くべきことに、この種の熱可塑性ポリウレタンは、発泡型ペレット状の材料に容易に加工することができ、次に、特に低い弾性率と良好な反発性を有する成形品に容易にさらに加工することができることが分かった。驚くべきことに、15A~43Aの範囲のショア硬度を有する組成物をベースとするフォーム型ペレットは、良好な機械特性を有するペレット状材料となり、成形品に容易に加工できることが分かった。このような成形品は、低い剛性に比べて驚くほど良好な反発性を示す。
【0015】
本発明の文脈において、本発明の発泡型ペレットは、減衰性と反発性の良好な組み合わせ(特に、非常にソフトな摩耗特性)を示し、それにもかかわらず、高い機械的応力下で崩壊しないことが分かった。
【0016】
また、本発明の発泡型ペレットは、融合温度が低いことも有利な点である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
組成物(Z1)は、本発明によれば、DIN 53505に従って測定された、15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する。ショア硬度は、好ましくは、20A~43Aの範囲内であり、より好ましくは25A~43Aの範囲内であり、いずれの場合もDIN ISO4649Aに従って測定される。
【0018】
更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料にも関しており、組成物(Z1)は、20A~43Aの範囲内のショア硬度を有している。
【0019】
驚くべきことに、組成物(Z1)の溶融範囲及びメルトフローレートは、また、発泡型ペレット状の材料の特性に明確な影響を与えることが分かった。更なる実施形態では、本発明は、すなわち、組成物(Z1)の溶融範囲がDSC測定(20K/分の加熱速度)において100℃未満で始まり、そして、その組成物(Z1)が、180℃での組成物(Z1)及び加圧質量(DIN EN ISO1133に準拠)21.6kgによって、250g/10分の最大メルトフローレート(MFR)を有する、上述の発泡型ペレット状の材料にも関するものである。
【0020】
組成物(Z1)は、本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)及び可塑剤(W)を含む。本発明の文脈において、組成物(Z1)は、更なる成分(例えば、更なる熱可塑性ポリウレタン又は更なる可塑剤)を含んでいてもよい。
【0021】
原則として、本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と十分な相溶性を有するすべての可塑剤が適している。特に、クエン酸誘導体、グリセロール誘導体、及びこれらの化合物の混合物が可塑剤として適していることが分かっている。本発明の文脈では、可塑剤(W)として、グリセロール誘導体、より好ましくはグリセロールの誘導体を使用することが好ましく、少なくとも1個のグリセロールヒドロキシル基が、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子、好ましくは2、3又は4個の炭素原子、より好ましくは2個の炭素原子を有するモノカルボン酸(ii)でエステル化されている。この物質群は、以下、グリセロールカルボン酸エステルという。グリセロールトリカルボン酸エステルがより好ましく、グリセロールトリアセテートが特に好ましい。
【0022】
更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料にも関するものであり、可塑剤(W)が、クエン酸の誘導体及びグリセロールの誘導体、又はそれらの2種以上の混合物から選択され、少なくとも1個のグリセロールヒドロキシル基が、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するモノカルボン酸でエステル化される。
【0023】
本発明の可塑剤を用いて可塑化されたプラスチックの優れた機械的安定性に加えて、これらの可塑剤は、ブルーミングの傾向が低く、また他の可塑剤に比べて無毒性又は低毒性である。また、それらは、TPUの加工時に発生する温度に対しても高い安定性を示し、同時に、TPUの機械的特性は加工時に悪影響を受けることはない。
【0024】
それらの製造に必要な原材料は、再生可能な資源から得られることが望ましい。他の極性可塑剤(特にトリカルボン酸のエステル)との相性が良いので、材料の改良又は特定の特性(例えば、特に低いショア硬度)を実現する手段として、可塑剤を組み合わせることができる。
【0025】
本発明の可塑剤の更なる利点は、その可塑剤が、極性ポリウレタンに対して良好な混和性を有することであり、このことは、可塑剤の割合を大幅に増やして組み込むことができ、その結果、ショアA硬度を低くすることができることを意味する。
【0026】
また、ウレタン結合を有する可塑剤として一般的に使用されている化合物(例えば、低分子量ポリウレタン)は可塑剤としても適している。また、例えばジフェニルクレジルホスフェート(DPK)やフタル酸エステル類なども適している。
【0027】
好ましい実施形態では、本発明の可塑剤(W)に加えて、少なくとも1種の更なる可塑剤(W2)(好ましくは、トリカルボン酸のエステル)が使用される。
【0028】
更なる実施形態では、本発明は、組成物(Z1)が可塑剤(W2)としてトリカルボン酸のエステルを含む、上述の発泡型ペレット状の材料にも関する。
【0029】
前記トリカルボン酸は、好ましくは脂肪族構造を有し、その脂肪族構造は、分岐しており、4~30個の炭素原子、より好ましくは4~20個の炭素原子、特に好ましくは5~10個の炭素原子、最も好ましくは6個の炭素原子を有する。分岐した脂肪族構造の炭素は、単結合又は二重結合を介して互いに直接結合している。脂肪族構造は、好ましくは、炭素間に単結合のみを有する。更に好ましい実施形態では、トリカルボン酸は、少なくとも1種のヒドロキシル基を含む。少なくとも1種のヒドロキシル基は、3個の酸基に結合することに加えて少なくとも1種のヒドロキシル基が脂肪族構造に結合するように、トリカルボン酸の上記脂肪族構造の炭素原子に直接結合されている。特に、トリカルボン酸の脂肪族構造上にヒドロキシル基が1種だけあることが好ましい。特に好ましいトリカルボン酸は、クエン酸である。
【0030】
好ましい実施形態では、トリカルボン酸の3個の酸基すべてがアルコールでエステル化されている。アルコールは、芳香族構造及び/又は脂肪族構造を有していてもよい。より好ましくは1~30個の炭素原子、より好ましくは1~20個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子、特に好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルコールである。脂肪族構造を有するアルコールの使用が好ましく、直鎖状の脂肪族構造を有するアルコールが更に好ましく、二重結合を有しない脂肪族構造が特に好ましい。
【0031】
更に好ましい実施形態では、アルコールの炭素原子は、2の倍数(すなわち、2、4、6、8、10、12、14、16、18又は20個の炭素原子)である。アルコールは、より好ましくは直鎖状の脂肪族である。
【0032】
非常に特に好ましい実施形態では、アルコールはエタノールである。第2の非常に特に好ましい実施形態では、アルコールはブタノールである。代替の実施形態では、アルコールはプロパノールである。より好ましくは、トリカルボン酸の3個の酸基すべてが同じアルコールでエステル化されている。
【0033】
更に好ましい実施形態では、トリカルボン酸の少なくとも1種のヒドロキシル基が、カルボン酸で追加的にエステル化されている。カルボン酸は、1~40個の炭素原子、より好ましくは1~30個の炭素原子、特に好ましくは2~22個の炭素原子を有する芳香族又は脂肪族カルボン酸から選択され、これらは、より好ましくは直鎖状に配置され、更に好ましい実施形態では、炭素原子の数は2の倍数である。ヒドロキシル基は、非常に特に好ましくは、酢酸でエステル化されている。
【0034】
更に好ましい実施形態では、トリカルボン酸の少なくとも1種のヒドロキシル基は、ラジカルROHでエーテル化されている。ROHラジカルは、1~40個の炭素原子、より好ましくは1~30個の炭素原子、特に好ましくは2~22個の炭素原子を含み、特に好ましい実施形態では、炭素原子の数は2の倍数であり、更に好ましくは、このアルコールは直鎖脂肪族構造を有している。更に好ましい実施形態では、それは、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールである。ポリエチレングリコールが更に好ましい。上述の実施形態では、トリカルボン酸の3個のカルボキシル基の酸素原子及びそのヒドロキシル基の酸素原子以外に、好ましくは、エステル中に他のヘテロ原子は存在しない。代替の実施形態では、トリカルボン酸は、少なくとも1種のアミン基を含む。好ましい実施形態では、カルボン酸は、このアミン基と酸アミドを形成する。このカルボン酸は、1~40個の炭素原子、より好ましくは1~30個の炭素原子、特に好ましくは1~22個の炭素原子を有する芳香族又は脂肪族カルボン酸から選択され、特に好ましい実施形態では、カルボン酸中の炭素原子の数は2の倍数である。
【0035】
更に好ましい実施形態では、トリカルボン酸の少なくとも1種のアミン基は、少なくとも1種のラジカルR’と第2級アミンを形成するか、又は第2のラジカルR’’と第3級アミンを形成する。ラジカルR’及びR’’は、それぞれ独立して、1~40個の炭素原子、より好ましくは1~30個の炭素原子、特に好ましくは2~22個の炭素原子を有し、特に好ましい実施形態では、カルボン酸の炭素原子の数は2の倍数である。更に好ましい実施形態では、ラジカルは、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール、好ましくはポリエチレングリコールである。
【0036】
非常に特に好ましい実施形態では、第2可塑剤として使用されるトリカルボン酸のエステルは、トリブチル2-アセトキシ-1,2,3-トリカルボキシレートである。
【0037】
ポリウレタンの可塑剤として使用するには、可能な限り最も低い酸価を有するグリセロールカルボン酸エステル(好ましくは、グリセロールトリカルボン酸エステル)が有利である。なぜなら、遊離の酸基は、任意に使用されるポリエステル-ポリウレタンの分解に寄与し、従って、その安定性に悪影響を及ぼす可能性があるからである。或る好ましい実施形態では、グリセロールの1個、2個又は3個のヒドロキシル基がモノカルボン酸でエステル化されており、好ましくは2個又は3個のヒドロキシル基が少なくとも1種のカルボン酸でエステル化されており、特に好ましくはグリセロールの3個のヒドロキシル基すべてがモノカルボン酸でエステル化されている。
【0038】
或る好ましい実施形態では、グリセロールエステルにおいて異なるモノカルボン酸が存在する。他の好ましい実施形態では、グリセロールのエステル化されたヒドロキシル基は、同じモノカルボン酸でエステル化されている。本発明の可塑剤は、好ましくは、固有色として、100未満、より好ましくは50未満、特に30未満のヘイズ値を有する。
【0039】
可塑剤(W)は、好ましくは40ppm未満、より好ましくは15ppm未満、特に5ppm未満のアルカリ含有量を有する。
【0040】
本発明の可塑剤(W)は、通常、0.2質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.02質量%以下の含水率を有する。
【0041】
本発明の可塑剤(W)は、それぞれの場合において組成物(Z1)の合計質量に基づいて、例えば、1質量%~80質量%の量、好ましくは1質量%~60質量%の量、より好ましくは5質量%~50質量%の量、特に10質量%~40質量%の量で組成物(Z1)中に存在する。
【0042】
更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料にも関しており、可塑剤(W)は、組成物(Z1)合計に基づいて、1質量%~60質量%の範囲内の量で組成物(Z1)中に存在する。
【0043】
可塑剤(W2)を更に使用する場合には、可塑剤の使用比率は、広い範囲で変化させてもよい。例えば、可塑剤(W2)と可塑剤(W)は、2:1~1:10の範囲内の質量比で、より好ましくは1:1~1:5の範囲内の質量比で、最も好ましくは1:1.5~1:3の範囲内の質量比で使用することができる。
【0044】
本発明によれば、組成物(Z1)は、熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)を含む。
【0045】
熱可塑性ポリウレタンの製造は、原理上、既知である。熱可塑性ポリウレタンの製造には、通常、イソシアネート、及びイソシアネートに対して反応性を有する化合物(特に、ポリオール)、及び任意の鎖延長剤が使用される。
【0046】
適切なポリオールは、原則として当業者に知られており、例えば、“Kunststoffhandbuch”[Plastics handbook],volume 7,“Polyurethane”[Polyurethanes],Carl Hanser Verlag,3rd edition 1993,chapter 3.1に記載されている。ポリオール(P1)として、ポリオールとしてのポリエステルオール又はポリエーテルオールを使用することが特に好ましい。同様に、ポリカーボネートを使用することも可能である。本発明の文脈では、コポリマーを使用することもできる。ポリエーテルポリオールが特に好ましい。本発明において使用されるポリオールの数平均分子量は、好ましくは500~5000g/molの範囲内、例えば550g/mol~2000g/molの範囲内、好ましくは600g/mol~1500g/molの範囲内、特に650g/mol~1000g/molの範囲内である。
【0047】
本発明によれば、ポリエーテルオールだけでなく、ポリエステルオール、ブロック共重合体、及びハイブリッド型ポリオール(例えば、ポリ(エステル/アミド))が適している。本発明によれば、好ましいポリエーテルオール類は、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリアジペート類、ポリカーボネート類、ポリカーボネートジオール類、及びポリカプロラクトンである。
【0048】
従って、更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料に関し、ポリオール組成物が、ポリエーテルオール類、ポリエステルオール類、ポリカプロラクトンポリオール類、及びポリカーボネートポリオール類からなる群から選択されるポリオールを含む。
【0049】
適切なポリオール類は、例えば、エーテルブロック及びエステルブロックを有するポリオール(例えば、ポリエチレンオキシド末端ブロック又はポリプロピレンオキシド末端ブロックを有するポリカプロラクトン、又は、ポリカプロラクトン末端ブロックを有するその他のポリエーテル類)である。本発明によれば、好ましいポリエーテルオール類は、ポリエチレングリコール類及びポリプロピレングリコール類である。更に、ポリカプロラクトンが好ましい。
【0050】
また、本発明では、異なるポリオール類の混合物を使用することも可能である。使用されるポリオール類/ポリオール組成物は、好ましくは、1.8~2.3、好ましくは1.9~2.2、特には2の平均官能性を有する。本発明において使用されるポリオール類は、好ましくは、第1級ヒドロキシル基のみを有する。
【0051】
本発明の一実施形態では、少なくともポリテトラヒドロフランを含むポリオール組成物(PZ)が使用される。また、本発明によれば、ポリオール組成物は、ポリテトラヒドロフランに加えて、更なるポリオール類を含んでいてもよい。
【0052】
本発明に適した更なるポリオール類は、例えば、ポリエーテル類だけでなく、ポリエステル類、ブロック共重合体、及びハイブリッド型ポリオール(例えば、ポリ(エステル/アミド))でもある。適切なブロック共重合体は、例えば、エーテルブロック及びエステルブロックを有するブロック共重合体(例えば、ポリエチレンオキシド末端ブロック又はポリプロピレンオキシド末端ブロックを有するポリカプロラクトン、又は、ポリカプロラクトン末端ブロックを有するその他のポリエーテル類)である。好ましいポリエーテル類は、本発明によれば、ポリエチレングリコール類及びポリプロピレングリコール類である。更なるポリオールとしては、ポリカプロラクトンが更に好ましい。
【0053】
特に好ましい実施形態では、ポリテトラヒドロフランは、500g/mol~5000g/molの範囲内、より好ましくは550~2500g/molの範囲内、特に好ましくは650~2000g/molの範囲内の数平均分子量Mnを有する。
【0054】
ポリオール組成物(PZ)の組成は、本発明の文脈において、広い範囲で変化してもよい。また、ポリオール組成物は、異なるポリオールの混合物を含んでいてもよい。
【0055】
本発明によれば、ポリオール組成物は、溶媒を含んでいてもよい。適切な溶媒は、当業者にそれ自体が知られている。
【0056】
ポリテトラヒドロフランを使用する場合には、ポリテトラヒドロフランの数平均分子量Mnは、500~5000g/molの範囲内であることが好ましい。また、ポリテトラヒドロフランの数平均分子量Mnは、500~2000g/molの範囲内であることが更に好ましい。
【0057】
更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料に関するものでもあり、ポリオール組成物は、500g/mol~5000g/molの範囲内の数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるポリオールを含む。
【0058】
従って、更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料に関し、ポリオール組成物は、500g/mol~2000g/molの範囲内の数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるポリオールを含む。
【0059】
本発明によれば、種々のポリテトラヒドロフランの混合物(すなわち、異なる分子量を有するポリテトラヒドロフランの混合物)も使用することができる。
【0060】
好ましいポリエーテルオールは、本発明によれば、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、及びポリテトラヒドロフラン類であり、並びに、これらを混合したポリエーテルオール類でもある。また、本発明によれば、例えば、分子量の異なる種々のポリテトラヒドロフランの混合物も使用可能である。
【0061】
また、ポリエステルオールを使用してもよい。例えば、アジピン酸、エチレングリコール、ブタンジオールをベースにしたポリエステルポリオールが適している。
【0062】
更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料に関するものでもあり、熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール、及びハイブリッド型ポリオールからなる群から選択されるポリオール(P1)を用いて製造される。
【0063】
通常、少なくとも1種の鎖延長剤(KV)が追加で使用される。適切な鎖延長剤は、それ自体が当業者に知られている。鎖延長剤は、例えば、イソシアネート基に対して反応性のある2個の基を有する化合物(特には、500g/mol未満の分子量を有する化合物)である。適切な鎖延長剤は、例えばジアミン又はジオールである。本発明によれば、ジオールが更に好ましい。本発明では、2種類以上の鎖延長剤の混合物を使用することも可能である。
【0064】
適切なジオールは、原則として当業者に知られている。ジオールは、本発明によれば、好ましくは500g/mol未満の分子量を有する。ここで、本発明によれば、鎖延長剤として、例えば、50g/mol~220g/molの分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又はシクロ脂肪族のジオールを使用することが可能である。アルキレンラジカル中に2~10個の炭素原子を有するアルカンジオール(特に、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-及び/又はデカアルキレングリコール)が好ましい。本発明では、1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが特に好ましい。
【0065】
また、本発明の文脈では、適切な鎖延長剤(KV1)は、分岐化合物(例えば、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ピナコ-ル、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール又はシクロヘキサン-1,4-ジオール)である。
【0066】
従って、更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料に関するものであり、鎖延長剤(KV1)が、1,3-プロパンジオール、1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びHQEEからなる群から選択される。
【0067】
更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料にも関するものであり、熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される鎖延長剤(KV)を使用して製造される。
【0068】
本発明の文脈における適切なイソシアネートは、特にジイソシアネート、特に脂肪族又は芳香族ジイソシアネート、より好ましくは芳香族ジイソシアネートである。
【0069】
更に、本発明の文脈では、予め反応させた生成物(OH成分の一部は、先行する反応工程で、イソシアネートと反応している)をイソシアネート成分として使用することが可能である。得られた生成物は、後続の工程、実際のポリマー反応において、残りのOH成分と反応させて熱可塑性ポリウレタンを形成する。
【0070】
使用される脂肪族ジイソシアネートは、慣用の脂肪族及び/又はシクロ脂肪族ジイソシアネートであり、例えば、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)が挙げられる。
【0071】
好適な芳香族ジイソシアネートとしては、特に、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ジフェニルエタン4,4’-ジイソシアネート(EDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)であり、ここで、MDIとは、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート、ジメチルジフェニル3,3’-ジイソシアネート、ジフェニルエタン1,2-ジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネート、あるいはH12MDI(メチレンジシクロヘキシル4,4’-ジイソシアネート)を意味すると理解される。
【0072】
また、原則として、混合物を用いることができる。混合物の例としては、メチレンジフェニル4,4’-ジイソシアネートの他に、更に少なくとも1種のメチレンジフェニルジイソシアネートを含む混合物が挙げられる。ここで、「メチレンジフェニルジイソシアネート」という用語は、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート、又は2種又は3種の異性体の混合物を意味する。従って、更なるイソシアネートとして、例えば、ジフェニルメタン2,2’-もしくは2,4’-ジイソシアネート、又は2種もしくは3種の異性体の混合物を使用することも可能である。本実施形態では、ポリイソシアネート組成物は、他の上述のポリイソシアネートを含んでいてもよい。
【0073】
高機能イソシアネートの好ましい例としては、トリイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネート、また上記のジイソシアネートのシアヌレート、更にはジイソシアネートと水との部分的な反応によって得られるオリゴマーが挙げられる。例えば、上記のジイソシアネートのビウレットや、セミブロックジイソシアネートと平均2個以上、好ましくは3個以上のヒドロキシ基を有するポリオールとの制御された反応によって得られるオリゴマーなどが挙げられる。
【0074】
使用する有機イソシアネートは、脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族及び/又は芳香族のイソシアネートであってもよい。
【0075】
更に、架橋剤として、例えば、前述の高機能ポリイソシアネートやポリオール、あるいは複数のイソシアネート反応性官能基を有する他の高機能分子を使用することもできる。本発明の文脈では、使用されるイソシアネート基をヒドロキシル基に対して過剰に存在させることで、製品の架橋を達成することも同様に可能である。より高機能なイソシアネートの例としては、トリイソシアネート(例えば、トリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネート、及びイソシアヌレート)、また上記のジイソシアネートのシアヌレート、及びジイソシアネートと水との部分的な反応によって得られるオリゴマー(例えば、上記のジイソシアネートのビウレット)、更にはセミブロックジイソシアネートと平均2個以上、好ましくは3個以上のヒドロキシ基を有するポリオールとの制御された反応によって得られるオリゴマーである。
【0076】
本発明の文脈において、架橋剤の量(すなわち、高機能性イソシアネートと高機能性ポリオール/高機能性鎖延長剤との量)は、ここでは、成分の混合物の合計を基準にして、3質量%以下、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満である。
【0077】
更に、ポリイソシアネート組成物は、1種又は複数の溶媒を含んでいてもよい。適切な溶媒は、当業者に知られている。好適な例は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、及び炭化水素などの非反応性溶媒である。
【0078】
更なる実施形態において、本発明はまた、上述の発泡型ペレット状の材料にも関するものであり、熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、及び1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)からなる群から選択されるジイソシアネートを用いて、製造される。
【0079】
使用される成分の相対的な量は、広い範囲で変化してもよい。例えば、イソシアネートとポリオールとは、1:7~1:1.5の範囲内、好ましくは1:5~1:3の範囲内の質量比で使用される。
【0080】
反応は、慣用の指標、好ましくは60~130の指標、より好ましくは80~110の指標で実施することができる。指標は、反応に使用される全イソシアネート基とイソシアネートに対する反応性基(すなわち、活性水素、ポリオール成分、及び使用された鎖延長剤)との比率によって定義される。指標が100の場合、イソシアネート基に対して1種の活性水素原子(すなわち、1種のイソシアネート反応性官能基)に相当することになる。100を超える指数では、OH基よりも多くのイソシアネート基が存在する。
【0081】
熱可塑性ポリウレタンの製造では、触媒及び/又は慣用の助剤を加えてもよい。
【0082】
ジイソシアネートのNCO基とイソシアネートに対する反応性化合物のヒドロキシル基と鎖延長剤との間の反応を特に促進する触媒は、好ましい実施形態では、第3級アミン、特にトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである;別の好ましい実施形態では、この触媒は、有機金属化合物(例えば、チタン酸エステル、鉄化合物、好ましくは鉄(III)アセチルアセトネート、スズ化合物、好ましくはジアセテートスズ、ジオクト酸スズ、ジラウレートスズ、又は脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩、好ましくはジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート)である。
【0083】
触媒は、イソシアネートに対する反応性化合物100質量部に対して、0.0001~0.1質量部の量で使用するのが好ましい。スズ触媒、特にジオクト酸スズを使用するのが好ましい。触媒に加えて、本発明の可塑剤(W)に加えて、慣用の助剤を構造成分に加えることもできる。例えば、表面活性剤、フィラー、難燃剤、核生成剤、酸化安定剤、潤滑剤及び脱型助剤、染料及び顔料、任意に本発明の安定剤に加えて、例えば加水分解、光、熱又は変色に対する更なる安定剤、無機及び/又は有機フィラー、補強剤及び可塑剤が挙げられる。使用される加水分解防止剤は、好ましくはオリゴマー及び/又はポリマーの脂肪族又は芳香族のカルボジイミドである。本発明のTPUを経年変化に対して安定化させるために、好ましくはTPUに安定剤を添加することができる。安定剤とは、本発明の目的のために、プラスチック又はプラスチック混合物を有害な環境影響から保護する添加剤である。例えば、一次及び二次酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、加水分解安定剤、クエンチャー、難燃剤などが挙げられる。市販の安定剤の例は、the Plastics Additive Handbook, 5th edition, H. Zweifel, ed., Hanser Publishers, Munich, 2001 ([1]), pages 98-136に記載されている。上述の助剤及び添加剤に関するより詳細な情報は、技術文献、例えば、the Plastics Additive Handbook, 5th edition, H. Zweifel, ed, Hanser Publishers, Munich, 2001, pages 98-136に記載されている。
【0084】
TPUは、公知のプロセス(例えば、反応性押出機又はベルトプロセスを用いて、「ワンショット」プロセスやプレポリマープロセス)によって連続的に製造してもよいし、公知のプレポリマープロセスによって不連続的に製造してもよい。
【0085】
これらのプロセスでは、反応させる成分を、連続して又は同時に混合し、直ちに反応を開始してもよい。押出機プロセスでは、構造成分を個別に又は混合物として押出機に導入し、好ましくは100℃~280℃、より好ましくは140℃~250℃の温度で反応させ、得られたTPUを押し出し、冷却し、ペレット化する。
【0086】
好ましい実施形態では、熱可塑性ポリウレタンの製造のための少なくとも可塑剤(W)、好ましくは任意に少なくとも1種の第2の可塑剤(W2)も、熱可塑性材料の製造中及び/又は製造後に添加される。好ましい実施形態では、可塑剤は、TPUの製造における出発材料の少なくとも1種に計量され、別の好ましい実施形態では、好ましくは押出機において、既に製造されたTPUと混合される。熱可塑性ポリウレタンは、本発明の可塑剤の効果を失うことなく、更なる熱可塑性加工を受けることができる。
【0087】
また、TPUを製造する場合は、使用する成分に並行して添加することが更に好ましい。
【0088】
更なる観点では、本発明は、発泡型ペレット状の材料の製造方法にも関する。この場合、本発明は、発泡型ペレット状の材料の製造方法であって、以下の工程を含む:
(i)熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)及び少なくとも1種の可塑剤(W)を含む組成物(Z1)を提供し、該組成物(Z1)は、15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する;
(ii)組成物(Z1)に発泡剤を加圧下で含浸させる;
(iii)組成物(Z1)を圧力低下によって膨張させる;
プロセスに関する。
【0089】
本発明の文脈では、組成物(Z1)は、溶融物の形態で使用してもよいし、ペレット状材料の形態で使用してもよい。
【0090】
従って、本発明は、更なる実施形態では、発泡型ペレット状の材料の製造方法に関するものであり、この製造方法は、以下の工程を含む:
(i’)熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と少なくとも1種の可塑剤(W)を含む組成物(Z1)を押し出し、その組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有することで、0.2~10mmの範囲内の平均直径を有するペレット状材料を得る;
(ii’)ペレット状材料の合計質量に基づいて、0.1質量%~40質量%の発泡剤を加圧下でペレット状材料を含浸させる;
(iii’)減圧して、発泡したペレット状材料を得る。
【0091】
プロセスの好ましい実施形態、適切な出発材料又は混合比に関しては、対応する上記の記述を参照されたい。
【0092】
熱可塑性ポリウレタンから出発して発泡型ペレットを製造するプロセスはそれ自体既知である。本発明の文脈では、ブタン、プロパン、ペンタン、二酸化炭素、及び窒素を発泡剤として使用することが有利であることが判明している。
【0093】
更なる実施形態では、本発明は、上述の発泡型ペレット状の材料にも関するものであり、発泡剤が、ブタン、プロパン、ペンタン、二酸化炭素、及び窒素からなる群から選択される。
【0094】
本発明の方法は、更なる工程(例えば、温度調整)を含んでいてもよい。
【0095】
発泡型ペレット状の材料の製造に必要な組成物(Z1)の未膨張ポリマー混合物は、個々の成分と場合により更なる成分(例えば、加工助剤、安定剤、相溶化剤、又は顔料)とから、既知の方法で製造される。適切なプロセスの例としては、連続モード又は回分式モードの混練機を用いるか、又は押出機(例えば、共回転二軸押出機)を用いる慣例的な混合プロセスがある。
【0096】
相溶化剤又は助剤(例えば、安定剤)の場合は、これらは、成分の製造中にすでに組み込まれていることもある。個々の成分は、通常、混合プロセスの前に組み合わされるか、混合を行う装置に計量される。押出機の場合は、成分は、すべて計量され、一緒に押出機に送り込むか、又は個々の成分は、側方供給を介して追加される。処理は、成分がプラスチックの状態で存在する温度で行われる。この温度は、各成分の軟化/溶融範囲に依存するが、各成分の分解温度未満でなければならない。添加剤(例えば、顔料、フィラー、又は前述のその他の慣用的な補助剤)は同時に溶融されずに、固体状態で取り込まれる。
【0097】
ここで標準的な方法による更なる実施形態が可能であり、出発物質の生産に使用されるプロセスを直接生産に組み込むことができる。
【0098】
上述の慣用的な助剤の一部を、この工程において混合物に加えてもよい。
【0099】
本発明のビーズフォームは、一般的には50g/l~200g/l、好ましくは60g/l~180g/l、より好ましくは80g/l~150g/lの嵩密度を有する。嵩密度は、DIN ISO 697と同様の方法で測定されるが、規格とは異なり、上記の値は、0.5lの容積を有する容器の代わりに10lの容積を有する容器を用いて決定される。これは、0.5lの容積のみを用いた測定は、特に低密度で高質量のフォームビーズの場合には不正確になりすぎるためである。
【0100】
上述したように、発泡型ペレット状の材料の個々のビーズの直径は、0.5~30mm、好ましくは1~15mm、特に3~12mmである。非球形(例えば、細長い又は円筒形)の発泡型ペレットの場合には、直径は最長の寸法を意味する。
【0101】
発泡型ペレット状の材料は、以下:
(i)本発明の組成物(Z)を提供する;
(ii)圧力下で組成物に発泡剤を含浸させる;
(iii)圧力低下によって組成物を膨張させる;
の方法によって、先行技術で知られている標準的な方法で製造することができる。
【0102】
発泡剤の使用量は、組成物(Z)の使用量100質量部を基準として、好ましくは0.1~40質量部、特に0.5~35質量部、更に好ましくは1~30質量部である。
【0103】
上述のプロセスの一実施形態は、以下:
(i)本発明の組成物(Z)をペレットの形で提供する;
(ii)ペレットに発泡剤を加圧して含浸させる;
(iii)圧力低下によってペレット状材料を膨張させる;
を含む。
【0104】
上述のプロセスの更なる実施形態は、以下の更なる工程:
(i)本発明の組成物(Z)をペレットの形状で提供する;
(ii)ペレット状材料に圧力下で発泡剤を含浸させる;
(iii-a)ペレット状材料を発泡させることなく、場合により温度を事前に下げて、圧力を標準圧力まで下げる;
(iii-b)温度上昇によりペレット状材料を発泡させる;
を含む。
【0105】
ここでの未膨張のペレット状材料は、好ましくは0.2~10mmの平均最小直径を有している(ペレット状材料の3D評価(例えば、Microtrac社のPartAn 3D光学測定装置を使用した動的画像解析)によって決定される)。
【0106】
個々のペレットは、一般的に0.1~50mgの範囲内の平均質量を有し、好ましくは4~40mgの範囲内、より好ましくは7~32mgの範囲内である。このペレットの平均質量(粒子質量)は、10個のペレット粒子からなる3つのバッチをそれぞれ秤量することによって、算術平均として求められる。
【0107】
上述のプロセスの一実施形態は、圧力下でペレットに発泡剤を含浸させ、その後に工程(I)及び(II)でペレットを膨張させることを含む:
(I)ペレットを発泡剤の存在下で、適切な密閉式反応容器(例えば、オートクレーブ)を用いて高温・高圧下で含浸させる工程;
(II)冷却せずに急激に減圧する工程。
【0108】
工程(I)の含浸は、水及び任意に懸濁助剤の存在下で、あるいは発泡剤のみの存在下で、水の不在下で行うことができる。
【0109】
適切な懸濁助剤は、例えば、水不溶性の無機安定剤(例えば、リン酸三カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、金属炭酸塩);また、ポリビニルアルコール及び界面活性剤(例えば、ドデシルアリールスルホン酸ナトリウム)である。これらは、通常、本発明の組成物に基づいて0.05質量%~10質量%の量で使用される。
【0110】
選択した圧力に応じて、含浸温度は、100℃~200℃の範囲内であり、反応容器内の圧力は、2~150バール、好ましくは5~100バール、より好ましくは20~60バールであり、含浸時間は、一般的に0.5~10時間である。
【0111】
懸濁液中でのプロセスの実行は、当業者に知られており、例えば、WO2007/082838に広範囲にわたって記載されている。
【0112】
発泡剤がない状態でプロセスを実行する場合には、ポリマーペレット状材料の凝集を避けるために注意しなければならない。
【0113】
適切な密閉型反応容器で処理を行うための適切な発泡剤は、例えば、有機液体又は処理条件で気体状態になる気体(例えば、炭化水素又は無機気体、あるいは有機液体又は気体と無機気体との混合物)であり、これらは組み合わせて使用することもできる。
【0114】
適切な炭化水素の例は、ハロゲン化又は非ハロゲン化、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素であり、好ましくは非ハロゲン化、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素である。
【0115】
好ましい有機発泡剤は、飽和脂肪族炭化水素(特に、3~8個の炭素原子を有するものであり、例えばブタンやペンタン)である。
【0116】
適切な無機ガスは、窒素、空気、アンモニア又は二酸化炭素、好ましくは窒素又は二酸化炭素、又は上記のガスの混合物である。
【0117】
更なる実施形態では、圧力下での発泡剤によるペレット状材料の含浸は、工程(α)及び(β)におけるペレット状材料のプロセス及び後続の膨張を含む:
(α) ペレット状材料を、発泡剤の存在下で、押出機を用いて高温の圧力下で含浸させる;
(β) 押出機から出てきた組成物を、制御不能な発泡を防ぐ条件において、ペレット化する。
【0118】
このプロセス変形に適した発泡剤は、標準圧力1013mbarでの沸点が-25℃~150℃、特に-10℃~125℃の揮発性有機化合物である。炭化水素(好ましくはハロゲンフリー)、特にC4~C10アルカン(例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンの異性体、特に好ましくはイソペンタン)が好適である。他にも、より立体的な要求の高い化合物(例えば、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、有機カーボネート)も可能な発泡剤である。
【0119】
組成物はここで、圧力下の押出機において、溶融しながら、押出機に供給された発泡剤と工程(ii)で混合される。発泡剤を含む混合物は、圧力下(好ましくは背圧を適度なレベルに制御してペレット化される(例えば、水中ペレット化))で押し出される。これは、溶融ストランドの発泡を伴い、ペレット化によってビーズの発泡が得られる。
【0120】
押出を介したプロセスの性能は当業者に知られており、例としてWO2007/082838、更にWO2013/153190 A1に広範囲にわたって記載されている。
【0121】
使用できる押出機は、通常のスクリュー式機械、特には、一軸及び二軸押出機(Werner & Pfleiderer社のZSKタイプなど)、コーニーダー、Kombiplastマシン、MPCニーディングミキサー、FCMミキサー、KEXニーディングスクリュー押出機、及びせん断ロール機である。例えば、Saechtling (ed.), Kunststoff-Taschenbuch [Plastics handbook], 27th edition, Hanser-Verlag, Munich 1998, chapter 3.2.1及び3.2.4に記載されている。押出機は通常、組成物(Z1)が溶融物として存在する温度、例えば120℃~250℃、特に150~210℃で、発泡剤を添加した後の圧力を40~200バール、好ましくは60~150バール、より好ましくは80~120バールとし、発泡剤と溶融物の均質化を確保するように操作する。
【0122】
このプロセスは、押出機又は1種以上の押出機からなる配列で実施することができる。例えば、第1の押出機で成分を溶融・混合し、発泡剤を注入する。第2の押出機では、含浸された溶融物を均質化し、温度及び/又は圧力を調整する。例えば、3台の押出機を組み合わせた場合には、成分の混合と発泡剤の注入を同様に2つの異なるプロセスセクションに分けることができる。1台の押出機のみを好ましく使用する場合は、すべてのプロセス工程(溶融、混合、発泡剤の注入、均質化、及び温度と圧力の調整)を1台の押出機で行う。
【0123】
代替案として、WO2014/150122又はWO2014/150124A1に記載されている方法に従って、対応する発泡型ペレット状の材料を、超臨界液体で飽和させ、超臨界液体からこれを除去して、その後、
(i’)加熱された流体に物品を浸すか、又は
(ii’)高エネルギーの放射線(例えば、赤外線やマイクロ波)を物品に照射することによって、
対応する発泡型ペレット状の材料(既に着色されていてもよい)を、ペレット状材料から直接製造することもできる。
【0124】
適切な超臨界液体の例は、WO2014150122に記載されているもの、又は、例えば、二酸化炭素、二酸化窒素、エタン、エチレン、酸素又は窒素、好ましくは二酸化炭素又は窒素である。
【0125】
また、ここで超臨界液体は、ヒルデブランド溶解度パラメーターが9MPa-1/2以上の極性液体を含むことがある。
【0126】
超臨界流体や加熱流体は、ここでは染料を含んでいてもよく、その結果、着色された発泡成形品が得られる。
【0127】
本発明は、更に、本発明の発泡型ペレットから製造される成形品を提供する。
【0128】
対応する成形品は、当業者に知られている方法で製造することができる。
【0129】
ここで発泡成形品を製造するための好ましい方法は、以下の工程を含む:
(A) 本発明の発泡型ペレットを、適切な型に導入する;
(B) 工程(i)の本発明の発泡型ペレットを融合する。
【0130】
工程(B)での融合は、好ましくは密閉された金型内で行われ、融合は、蒸気、熱風(例えばEP1979401B1に記載されている)又は高エネルギー放射線(マイクロ波又はラジオ波)によって行われる。
【0131】
発泡型ペレット状の材料の融合時の温度は、好ましくは、発泡型ペレット状の材料が製造されたポリマーの溶融温度未満又はそれに近い温度である。標準的なポリマーの場合、発泡型ペレット状の材料の融合のための温度は、それに応じて100℃~180℃の間、好ましくは120℃~150℃の間である。
【0132】
温度プロファイル/滞留時間は、例えばUS2015/0337102やEP2872309B1に記載されているプロセスと同様に、ここで個別に決定することができる。
【0133】
高エネルギー放射線による融合は、一般的にマイクロ波又はラジオ波の周波数範囲で、任意に水又は他の極性液体、例えば極性基を有するマイクロ波吸収性炭化水素(例えばカルボン酸のエステル、ジオール又はトリオールのエステル、又はグリコール及び液体ポリエチレングリコール)の存在下で行われ、EP3053732A又はWO2016/146537に記載されているプロセスと同様の方法で行うことができる。
【0134】
上述したように、発泡型ペレット状の材料は、染料を含んでいてもよい。ここで染料は様々な方法で添加することができる。
【0135】
一実施形態では、製造された発泡型ペレットは、製造後に着色されてもよい。この場合、対応する発泡型ペレットを、染料を含むキャリア液と接触させ、キャリア液(TF)は、キャリア液の発泡型ペレット状の材料への収着に適した極性を有するものである。これは、出願番号17198591.4で出願されたEP特許出願に記載されている方法と類似の方法で実施することができる。
【0136】
適切な染料の例は、無機又は有機の顔料である。好適な天然又は合成の無機顔料の例は、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト化合物、酸化クロム化合物、酸化銅化合物である。有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料などが挙げられる。
【0137】
更なる実施形態では、色は、発泡型ペレット状の材料の製造中に加えられてもよい。例えば、染料は、押出を介した発泡型ペレット状の材料の製造中に押出機に加えられてもよい。
【0138】
別の方法として、既に着色されている材料を発泡型ペレット状の材料の製造のための出発材料として使用することができ、これは上述のプロセスによって密閉容器内で押し出し又は膨張される。
【0139】
また、WO2014150122に記載のプロセスでは、超臨界液体又は加熱液体が色素を含んでいてもよい。
【0140】
上述したように、本発明による成形品は、靴及びスポーツシューズ分野の要件における上述の用途に有利な特性を有する。
【0141】
発泡型ペレットから製造された成形品の引張特性及び圧縮特性は、引張強度が600kPa(DIN EN ISO 1798、2008年4月)超え、破断伸びが100%(DIN EN ISO 1798、2008年4月)超えであることを特徴とする。
【0142】
発泡型ペレットから製造された成形品の弾力性は55%超えである(DIN 53512、2000年4月と同様の方法;規格から逸脱しているのは試験片の高さであり、12mmであるべきであるが、この試験は、サンプルの崩壊と基板の測定を避けるために20mmで実施されている)。
【0143】
上述したように、製造される成形品の密度と圧縮特性との間には関係がある。製造される成形品の密度は、有利には75~375kg/m3、好ましくは100~300kg/m3、より好ましくは150~200kg/m3である(DIN EN ISO 845、2009年10月)。
【0144】
本発明の成形品の密度と発泡型ペレットの嵩密度との比は、一般的に1.5~2.5、好ましくは1.8~2.0である。
【0145】
本発明は更に、靴の中間ソール、靴の中敷き、靴のコンビネーションソール、自転車のサドル、自転車のタイヤ、減衰要素、クッション、パッド、バックレスト、アームパッド、パッド、マットレス、アンダーレイ、ハンドル、保護フィルムのために、自動車の内外装分野の部品において、ボール及びスポーツ用品において、又は床材として、特に、スポーツを行う面、トラック表面及びフィールド表面、スポーツホール、子供の遊び場、歩道のための成形品の製造において、本発明の発泡型ペレット状の材料を使用することを提供する。
【0146】
本発明の発泡型ペレット状の材料を、靴の中間ソール、靴の中敷き、靴のコンビネーションソール、又は靴のクッション要素のための成形品の製造に使用することが好ましい。
靴は、ここでは好ましくは、アウトドアシューズ、スポーツシューズ、サンダル、ブーツ、安全靴であり、より好ましくはスポーツシューズである。
【0147】
従って、本発明は、また、成形品を提供し、その成形品は、靴、好ましくは、アウトドアシューズ、スポーツシューズ、サンダル、ブーツ又は安全靴、より好ましくはスポーツシューズのための靴の組み合わせのソールである。
【0148】
従って、本発明は、また、成形品を提供し、この成形品は、靴、好ましくは、アウトドアシューズ、スポーツシューズ、サンダル、ブーツ又は安全靴、より好ましくはスポーツシューズのための中間ソールであることを特徴とする。
【0149】
従って、本発明は、また、成形品を提供し、成形品は靴用のインソールであり、好ましくはアウトドアシューズ、スポーツシューズ、サンダル、ブーツ又は安全靴用のインソールであり、より好ましくはスポーツシューズ用のインソールである。
【0150】
従って、本発明は、また、成形品を提供し、この成形品は、靴、好ましくは、アウトドアシューズ、スポーツシューズ、サンダル、ブーツ又は安全靴、より好ましくはスポーツシューズ用のクッション要素である。
【0151】
このクッション要素は、例えば、踵部や前足部に使用することができる。
【0152】
従って、本発明は更に、本発明の成形品が、例えば、踵領域又は前足領域において、ミッドソール、中間ソール又はクッションとして使用される靴を提供し、この靴は、好ましくは、アウトドアシューズ、スポーツシューズ、サンダル、ブーツ又は安全靴であり、特に好ましくは、スポーツシューズである。
【0153】
更なる観点では、本発明はまた、本発明のプロセスによって得られた、又は得ることができる発泡型ペレット状の材料に関するものである。
【0154】
その良好な機械的特性と良好な温度挙動により、本発明の発泡型ペレットは、成形品の製造に特に適している。成形品は、例えば、本発明の発泡型ペレットから融合又は結合によって製造することができる。
【0155】
更なる観点では、本発明はまた、成形品の製造のための、本発明の発泡型ペレット状の材料、又は本発明のプロセスによって得られた、もしくは得ることができる発泡型ペレット状の材料の使用に関するものである。更なる観点では、本発明は、それに応じて、成形品の製造のための、本発明の発泡型ペレット状の材料、又は本発明のプロセスによって得られたもしくは得ることができる発泡型ペレット状の材料の使用にも関し、ここで、成形品は、ビーズを互いに融合又は結合させることによって製造される。
【0156】
本発明に従って得られた成形品は、例えば、履物の底、履物の底の部品、自転車のサドル、クッション、マットレス、アンダーレイ、グリップ、保護フィルム、自動車の内外装の部品のために、ボールやスポーツ用品の部品において、あるいは床材や壁パネル(特には、スポーツを行う面、陸上競技面、スポーツホール、子供の遊び場、通路)としての製造に適している。
【0157】
更なる実施形態では、本発明は、本発明の発泡型ペレット状の材料の使用、又は本発明のプロセスによって得られた又は得ることができる発泡型ペレット状の材料の使用、成形品の製造のための使用にも関しており、成形品は、靴底、靴底の一部、自転車のサドル、クッション、マットレス、下敷き、グリップ、保護フィルム、自動車の内装及び外装の部品である。
【0158】
更なる観点では、本発明はまた、本発明の発泡型ペレット又はフォームビーズをボールやスポーツ用品に使用すること、床材や壁パネル(特に、スポーツを行う面、陸上競技面、スポーツホール、子供の遊び場、通路)として使用することに関する。
【0159】
更なる観点では、本発明は、ポリマー(PM)から構成されるマトリックスと本発明による発泡型ペレット状の材料とを含むハイブリッド型材料にも関する。発泡型ペレット状の材料とマトリックス材料とを含む材料は、本発明の文脈では、ハイブリッド型材料と呼ばれる。ここでのマトリックス材料は、コンパクトな材料で構成されていてもよいし、同様にフォームで構成されていてもよい。
【0160】
マトリックス材料として適したポリマー(PM)は、それ自体が当業者に知られている。本発明の文脈で適しているのは、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エポキシベースのバインダー、又はその他のポリウレタンである。ポリウレタンフォーム又はその他のコンパクトなポリウレタン、例えば弾力性のあるポリウレタンが、ここでは本発明に従って適している。
【0161】
本発明では、機械的に安定したハイブリッド型材料が得られるように、発泡したペレットとマトリックスとの間に十分な接着性をもたらすポリマー(PM)を選択した。
【0162】
ここでのマトリックスは、発泡型ペレット状の材料を完全に又は部分的に取り囲んでいてもよい。本発明によれば、ハイブリッド型材料は、更なる成分、例えば更なるフィラー又はその他のペレットを含んでいてもよい。また、本発明によれば、ハイブリッド型材料は、異なるポリマー(PM)の混合物を含んでいてもよい。また、本発明によれば、ハイブリッド型材料は、発泡型ペレットの混合物を含んでいてもよい。
【0163】
本発明による発泡型ペレット状の材料に加えて使用することができる発泡型ペレットは、それ自体、当業者に知られている。熱可塑性ポリウレタンで構成された発泡型ペレットは、本発明の文脈において特に好適である。
【0164】
従って、一実施形態では、本発明はまた、ポリマー(PM)から構成されるマトリックスと、本発明による発泡型ペレット状の材料と、熱可塑性ポリウレタンから構成される更なる発泡型ペレット状の材料とを含むハイブリッド型材料にも関するものである。
【0165】
マトリックスは、本発明の文脈では、ポリマー(PM)で構成される。本発明の文脈で適切なマトリックス材料の例は、エラストマー又はフォーム、特にポリウレタンをベースにしたフォーム、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのエラストマー、又はその他の熱可塑性ポリウレタンである。
【0166】
従って、本発明は、ポリマー(PM)がエラストマーである、上記のようなハイブリッド型材料にも関する。本発明は更に、上述のハイブリッド型材料にも関するものであり、ポリマー(PM)が、エチレン-酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性又は弾力性のあるポリウレタンからなる群から選択される。
【0167】
一実施形態では、本発明は、エチレン-酢酸ビニル共重合体から構成されるマトリックスと、本発明による発泡型ペレット状の材料とを含むハイブリッド型材料にも関する。
【0168】
更なる実施形態では、本発明は、エチレン-酢酸ビニル共重合体からなるマトリックスと、本発明による発泡型ペレット状の材料と、例えば熱可塑性ポリウレタンから構成される更なる発泡型ペレット状の材料とを含むハイブリッド型材料に関するものである。
【0169】
一実施形態では、本発明は、弾力性のあるポリウレタンで構成されたマトリックスと、本発明による発泡型ペレット状の材料とを含むハイブリッド型材料に関するものである。
【0170】
更なる実施形態では、本発明は、熱可塑性ポリウレタン又は弾力性ポリウレタンで構成されたマトリックス、本発明の発泡型ペレット状の材料、及び例えば熱可塑性ポリウレタンで構成された更なる発泡型ペレット状の材料を含むハイブリッド型材料に関するものである。
【0171】
適切な熱可塑性ポリウレタン及び弾力性ポリウレタンは、当業者にはそれ自体既知である。適切なポリウレタンは、例えば、“Kunststoffhandbuch”[Plastics handbook]、第7巻、“Polyurethane”[ポリウレタン]、Carl Hanser Verlag、第3版1993、第3章に記載されている。
【0172】
ポリマー(PM)は、本発明の文脈では、好ましくはポリウレタンである。本発明の目的のための“ポリウレタン”は、すべての既知の弾力性のあるポリイソシアネートの重付加製品を包含する。これらには、特に、粘弾性ゲルや熱可塑性ポリウレタンなどの固体ポリイソシアネートの重付加製品や、柔軟なフォーム、半硬質フォーム、一体型フォームなどのポリイソシアネートの重付加製品をベースにした弾力性のあるフォームが含まれる。本発明の目的において、「ポリウレタン」は、ポリウレタンとさらなるポリマーとを含む弾力性のあるポリマーブレンド、更にはこれらのポリマーブレンドから構成されるフォームを意味するものとしても理解される。マトリックスは、好ましくは、硬化したコンパクトなポリウレタンバインダー、弾力性のあるポリウレタンフォーム又は粘弾性ゲルである。
【0173】
「ポリウレタンバインダー」とは、本発明の文脈では、イソシアネート基を有するプレポリマーから少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%、特に少なくとも95質量%の範囲で構成される混合物を意味するものと理解され、以下ではイソシアネートプレポリマーと称する。本発明のポリウレタンバインダーの粘度は、DIN 53 018に準拠して25℃で測定して、好ましくは500~4000mPa.s、より好ましくは1000~3000mPa.sの範囲内である。
【0174】
本発明の文脈において、「ポリウレタンフォーム」は、DIN 7726に準拠したフォームを意味すると理解される。
【0175】
マトリックス材料の密度は、好ましくは1.2~0.01g/cm3の範囲内である。マトリックス材料は、特に好ましくは、0.8~0.1g/cm3、特に0.6~0.3g/cm3の範囲内の密度を有する弾力性のあるフォーム又は一体型フォーム、又はコンパクト材料(例えば、硬化したポリウレタンバインダー)である。
【0176】
マトリックス材料としては、フォームが特に適している。ポリウレタンフォームから構成されるマトリックス材料を含むハイブリッド型材料は、マトリックス材料と発泡型ペレット状の材料との間で良好な接着性を有することが好ましい。
【0177】
一実施形態では、本発明は、ポリウレタンフォームで構成されたマトリックスと、本発明による発泡型ペレット状の材料とを含むハイブリッド型材料にも関する。
【0178】
更なる実施形態では、本発明は、ポリウレタンフォームから構成されるマトリックスと、本発明による発泡型ペレット状の材料と、例えば熱可塑性ポリウレタンから構成される更なる発泡型ペレット状の材料とを含むハイブリッド型材料に関する。
【0179】
一実施形態では、本発明は、ポリウレタン一体型フォームで構成されたマトリックスと、本発明による発泡型ペレット状の材料とを含むハイブリッド型材料に関するものである。
【0180】
更なる実施形態では、本発明は、ポリウレタン一体型フォームで構成されたマトリックスと、本発明による発泡型ペレット状の材料と、例えば熱可塑性ポリウレタンで構成された更なる発泡型ペレット状の材料とを含むハイブリッド型材料に関するものである。
【0181】
マトリックスとしてのポリマー(PM)と本発明の発泡型ペレット状の材料とを含む本発明のハイブリッド型材料は、例えば、ポリマー(PM)を製造するために使用した成分と発泡型ペレット状の材料と任意に更なる成分とを混合し、これらを反応させてハイブリッド型材料を得ることによって製造することができ、この反応は、好ましくは、発泡型ペレット状の材料が本質的に安定する条件で行われる。
【0182】
ポリマー(PM)(特に、エチレン-酢酸ビニル共重合体又はポリウレタン)を製造するための適切なプロセス及び反応条件は、当業者にはそれ自体既知である。
【0183】
好ましい実施形態では、本発明のハイブリッド型材料は、一体型フォーム、特にポリウレタンをベースにした一体型フォームである。一体型フォームを製造するための適切なプロセスは、当業者にそれ自体既知である。一体型フォームは、好ましくは、閉鎖された、有利には温度制御された鋳型内で、低圧又は高圧技術を用いたワンショットプロセスによって製造される。鋳型は通常、アルミニウムやスチールなどの金属でできている。これらの手順は、例えばPiechota and Roehr in“lntegralschaumstoff” [Integral foam], Carl-Hanser-Verlag, Munich, Vienna, 1975, or in“Kunststoff-Handbuch”[Plastics handbook], volume 7, “Polyurethane” [Polyurethanes], 3rd edition, 1993, chapter 7に記載されている。
【0184】
本発明のハイブリッド型材料が一体型フォームを含む場合には、金型に導入される反応混合物の量は、得られる一体型フォームから構成される成形品が0.08~0.70g/cm3、特に0.12~0.60g/cm3の密度を有するような量である。圧縮されたエッジゾーンとセルラーコアを有する成形品を製造するための高密度化レベルは、1.1~8.5、好ましくは2.1~7.0の範囲内である。
【0185】
従って、ポリマー(PM)で構成されたマトリックスに対して本発明の発泡型ペレット状の材料を組み込んだ、フォームビーズが均一に分布したハイブリッド型材料を製造することができる。本発明の発泡型ペレット状の材料は、個々のビーズがその小さなサイズのために自由に流動し、処理に特別な要求をしないので、ハイブリッド型材料を製造するための方法で容易に使用することができる。ここでは、発泡型ペレット状の材料を均一に分散させる技術(例えば、鋳型の低速回転)を使用することが可能である。
【0186】
本発明のハイブリッド型材料を製造するための反応混合物には、任意に更なる助剤及び/又は添加剤を加えることもできる。例えば、界面活性剤、発泡安定剤、セル調整剤、離型剤、フィラー、染料、顔料、加水分解安定剤、臭気吸収物質、殺菌・静菌物質などが挙げられる。
【0187】
使用できる界面活性剤は、例えば、出発材料の均質化を促進するために使用される化合物であり、任意にセル構造を調整するのにも適している。例えば、乳化剤、例えばヒマシ油の硫酸塩や脂肪酸のナトリウム塩、また脂肪酸とアミンの塩、例えばオレイン酸ジエチルアミン、ステアリン酸ジエタノールアミン、リシノール酸ジエタノールアミン、スルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼン又はジナフチルメタンジスルホン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、リシノール酸;シロキサン-オキシアルキレン共重合体などのオルガノポリシロキサン、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪アルコール、パラフィン油、ヒマシ油エステル又はリシノレイン酸エステル、トルコ赤油、ピーナッツ油などの発泡安定剤、パラフィン、脂肪アルコール、ジメチルポリシロキサンなどのセル調整剤が挙げられる。また、ポリオキシアルキレンラジカルやフルオロアルカンラジカルをペンダント基として有するオリゴマーアクリレートも、フォームの乳化作用、セル構造及び/又は安定化を改善するのに適している。
【0188】
適当な離型剤の例としては、脂肪酸エステルとポリイソシアネートとの反応生成物、アミノ基含有ポリシロキサンと脂肪酸との塩、少なくとも8個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の(シクロ)脂肪族カルボン酸と第3級アミンとの塩、及び、特に内部離型剤(モンタン酸と少なくとも2官能のアルカノールアミンを有する少なくとも10個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪族カルボン酸、分子量60~400のポリオール及び/又はポリアミンとの混合物、有機アミンとステアリン酸及び有機モノ及び/又はジカルボン酸の金属塩又はその無水物との混合物、又は、イミノ化合物とカルボン酸の金属塩、及び任意にカルボン酸との混合物のエステル化又はアミド化によって製造されるカルボン酸エステル及び/又はカルボン酸アミド)である。
【0189】
フィラー(特に、強化フィラー)は、一般的な有機及び無機のフィラー、補強剤、重み付け剤、塗料やコーティング組成物の耐摩耗性を向上させるための剤(これらは既知である)などを意味すると理解されている。具体的な例としては、珪素系鉱物などの無機フィラー、例えば、アンチゴライト、ベントナイト、蛇紋岩、普通角閃石、角閃石、クリソタイル、タルクなどのフィロ珪酸塩;カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物、チョーク、バライトなどの金属塩、硫化カドミウム、硫化亜鉛などの無機顔料、更にはガラスなどが挙げられる。カオリン(陶土)、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウムとケイ酸アルミニウムの共沈物、またウォラストナイトなどの天然及び合成繊維状鉱物、金属繊維、特に長さの異なるガラス繊維を使用することが好ましく、これらは任意にサイズ調整されていてもよい。有用な有機フィラーの例としては、カーボンブラック、メラミン、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂、グラフトポリマー、更にはセルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリウレタン繊維、芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸エステルをベースにしたポリエステル繊維、特に炭素繊維が挙げられる。
【0190】
無機系及び有機系のフィラーは、それぞれ単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
【0191】
本発明のハイブリッド型材料において、発泡型ペレット状の材料の体積による割合は、本発明のハイブリッドシステムの体積を基準として、それぞれの場合において、好ましくは20体積%以上、特に好ましくは50体積%以上、より好ましくは80体積%以上、特に90体積%以上である。
【0192】
本発明のハイブリッド型材料、特にセルラーポリウレタンから構成されるマトリックスを有するハイブリッド型材料は、マトリックス材料と本発明の発泡型ペレット状の材料との接着性が非常に良好であることを特徴とする。その結果、本発明のハイブリッド型材料は、マトリックス材料と発泡型ペレット状の材料との界面において、好ましくは破れが生じない。これにより、同一密度の従来のポリマー材料(特に、従来のポリウレタン材料)に比べて、機械的特性(例えば、耐引裂性及び弾性)が向上したハイブリッド型材料を製造することができる。
【0193】
一体型フォームの形態をとる本発明のハイブリッド型材料の弾性は、DIN53512に準拠して、好ましくは40%超え、より好ましくは50%超えである。
【0194】
更に、本発明のハイブリッド型材料、特に一体型フォームをベースにした材料は、低密度で高い弾力性を有する。従って、特に、本発明のハイブリッド型材料をベースとした一体型フォームは、靴底の材料として非常に適している。軽くて快適で、耐久性に優れた靴底が得られる。このような材料は、スポーツシューズの中間ソールとして特に適している。
【0195】
セルラーマトリックスを有する本発明のハイブリッド型材料は、例えば、家具、マットレスなどのクッション材として好適である。
【0196】
粘弾性ゲルから構成されるマトリックスを有するハイブリッド型材料の特徴は、粘弾性が向上し、弾性特性が改善されていることである。よってこのような材料は同様に、例えばシート、特に自転車用サドルやオートバイ用サドルなどのサドルのクッション材としても適している。
【0197】
コンパクトなマトリックスを有するハイブリッド型材料は、例えば、床材、特に運動場、陸上競技面、スポーツフィールドやスポーツホールのカバーとして適している。
【0198】
本発明のハイブリッド型材料の特性は、使用するポリマー(PM)に応じて広い範囲で変化することができ、特に、膨張したペレット状材料のサイズ、形状、及び性質を変化させることによって、あるいは、更なる添加物を加えることによって、例えば、プラスチックペレット、例えば、ゴムペレットなどの非発泡型ペレットを更に加えることによって、広い範囲で変化させることができる。
【0199】
本発明のハイブリッド型材料は、高い耐久性と靭性を有しており、これは特に高い引張強度と破断時の伸びとによって証明されている。更に、本発明のハイブリッド型材料は、低密度を有する。
【0200】
本発明の更なる実施形態は、特許請求の範囲及び実施例に記載されている。上記に記載され、以下に説明される本発明による対象物/プロセス/用途の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの場合において明記された組み合わせだけでなく、他の組み合わせでも使用できることが理解される。従って、例えば、好ましい特徴と特に好ましい特徴との組み合わせ、又は特徴を有しないものと特に好ましい特徴との組み合わせなども、この組み合わせが明示的に言及されていなくても、黙示的に包含される。
【0201】
本発明の例示的な実施形態は、以下に記載されているが、本発明を限定することを意図したものではない。特に、本発明は、下記に明記されている従属関係の記載とその結果としての組み合わせから生じるそれらの実施形態も包含する。
【0202】
1.熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と少なくとも1種の可塑剤(W)とを含む組成物(Z1)が含まれる発泡型ペレット状の材料であって、前記組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する、発泡型ペレット状の材料。
【0203】
2.前記組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する、請求項1に記載の発泡型ペレット状の材料。
【0204】
3.前記組成物(Z1)の溶融範囲が、加熱速度20K/分のDSC測定において、100℃未満から始まるものであり、そして、その組成物(Z1)について、180℃での前記組成物(Z1)及び加圧質量(DIN EN ISO1133に準拠)21.6kgによって、250g/10分の最大メルトフローレート(MFR)を有するものである、請求項1又は2に記載の発泡型ペレット状の材料。
【0205】
4.前記可塑剤(W)が、クエン酸の誘導体及びグリセロールの誘導体から選択されるか、又はこれらの2種以上の混合物から選択され、少なくとも1個のグリセロールヒドロキシル基が、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するモノカルボン酸でエステル化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡型ペレット状の材料。
【0206】
5.前記可塑剤(W)が、前記組成物(Z1)の合計を基準にして1質量%~60質量%の範囲内の量で前記組成物(Z1)中に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡型ペレット状の材料。
【0207】
6.前記組成物(Z1)が、可塑剤(W2)としてトリカルボン酸のエステルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発泡型ペレット状の材料。
【0208】
7.熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール、及びハイブリッド型ポリオールからなる群から選択されるポリオール(P1)を使用して製造されるものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の発泡型ペレット状の材料。
【0209】
8.前記熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される鎖延長剤(KV)を使用して製造されるものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の発泡型ペレット状の材料。
【0210】
9.前記熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-、及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI);トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI);メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-、及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI);ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);及び、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)からなる群から選択されるジイソシアネートを使用して製造されるものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の発泡型ペレット状の材料。
【0211】
10.発泡型ペレット状の材料の製造方法であって、以下の工程:
(i)熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と少なくとも1種の可塑剤(W)とを含む組成物(Z1)を提供し、その組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する工程;
(ii)前記組成物(Z1)に発泡剤を加圧下で含浸させる工程;
(iii)前記組成物(Z1)を圧力低下によって膨張させる工程;
を含む、製造方法。
11.発泡型ペレット状の材料の製造方法であって、以下の工程:
(i’)熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)と少なくとも1種の可塑剤(W)とを含む組成物(Z1)を押し出す工程であって、その組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有し、これによって0.2~10mmの範囲内の平均直径を有するペレット状材料が得られる、工程;
(ii’)ペレット状材料の合計質量に基づいて0.1質量%~40質量%の発泡剤を圧力下でペレット状材料に含浸させる工程;及び
(iii’)減圧によって発泡型ペレット状の材料を得る工程;
を含む、製造方法。
【0212】
12.発泡剤が、ブタン、プロパン、ペンタン、二酸化炭素、及び窒素からなる群から選択される、請求項10又は11に記載の製造方法。
【0213】
13.組成物(Z1)が15A~43Aの範囲内のショア硬度を有する、実施形態10~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【0214】
14.前記組成物(Z1)の溶融範囲が、加熱速度20K/分のDSC測定において、100℃未満から始まるものであり、そして、その組成物(Z1)について、180℃での前記組成物(Z1)及び加圧質量(DIN EN ISO1133に準拠)21.6kgによって、250g/10分の最大メルトフローレート(MFR)を有するものである、実施形態10~13のいずれか一項に記載の製造方法。
【0215】
15.前記可塑剤(W)が、クエン酸の誘導体及びグリセロールの誘導体から選択されるか、又はこれらの2種以上の混合物から選択され、少なくとも1個のグリセロールヒドロキシル基が、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するモノカルボン酸でエステル化されている、実施形態10~14のいずれか一項に記載の製造方法。
【0216】
16.前記可塑剤(W)が、前記組成物(Z1)の合計を基準にして1質量%~60質量%の範囲内の量で前記組成物(Z1)中に存在する、実施形態10~15のいずれか一項に記載の製造方法。
【0217】
17.前記組成物(Z1)が、可塑剤(W2)としてトリカルボン酸のエステルを含む、実施形態10~16のいずれか一項に記載の製造方法。
【0218】
18.熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール、及びハイブリッド型ポリオールからなる群から選択されるポリオール(P1)を使用して製造されるものである、実施形態10~17のいずれか一項に記載の製造方法。
【0219】
19.前記熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、1,2-エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択される鎖延長剤(KV)を使用して製造されるものである、実施形態10~18のいずれか一項に記載の製造方法。
【0220】
20.前記熱可塑性ポリウレタン(TPU-1)が、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-、及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI);トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI);メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-、及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI);ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);及び、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)からなる群から選択されるジイソシアネートを使用して製造されるものである、実施形態10~19のいずれか一項に記載の製造方法。
【0221】
21.実施形態10~20のいずれか一項に記載のプロセスによって得られた又は得ることのできる発泡型ペレット状の材料。
【0222】
22.成形品の製造のための、実施形態1~9又は21のいずれか一項に記載の発泡型ペレット状の材料の使用方法。
【0223】
23.成形品が、発泡型ペレット状の材料のビーズを互いに融合又は結合させることによって製造される、実施形態22に記載の使用方法。
【0224】
24.成形品が、靴底、靴底の一部、自転車のサドル、クッション、マットレス、詰め物、バックレスト、アームパッド、パッド、下敷き、ハンドル、保護フィルム、自動車の内装・外装の部品である、実施形態22又は23に記載の使用方法。
【0225】
25.ボール及びスポーツ用品において、又は床材や壁パネル(特に、スポーツを行う面、陸上競技面、スポーツホール、子供の遊び場、及び通路)として、実施形態1~9又は21のいずれか一項に記載の発泡型ペレット状の材料使用する方法
【0226】
26.ポリマー(PM)と実施形態1~9又は21のいずれか一項に記載の発泡型ペレット材料又は実施形態10~20のいずれか一項に記載の製造方法で得られた又は得ることができる発泡型ペレット材料とからなるマトリックスを含むハイブリッド型材料。
【0227】
27.ポリマー(PM)がEVAである、実施形態26に記載のハイブリッド型材料。
【0228】
28.ポリマー(PM)が熱可塑性ポリウレタンである、実施形態26に記載のハイブリッド型材料。
【0229】
29.ポリマー(PM)が、弾力性のポリウレタンである、実施形態26に記載のハイブリッド型材料。
【0230】
30.ポリマー(PM)がポリウレタンフォームである、実施形態26に記載のハイブリッド型材料。
【0231】
31.ポリマー(PM)がポリウレタン一体型フォームである、実施形態26に記載のハイブリッド型材料。
【実施例】
【0232】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つが、本発明の主題に関しては決して限定されるものではない。
【0233】
1. 以下の原料を使用した。
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート;
数平均モル質量が1kg/molであるポリテトラヒドロフラン;
ブタン-1,4-ジオールとアジピン酸とから製造される数平均モル質量が2400g/molであるポリブチルアジペート;
アジピン酸、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオールから製造されるポリマージオール;
ブタン-1,4-ジオール;
エタン-1,2-ジオール;
フェノール系酸化防止剤;
アジピン酸ジオクチル;
ジオクタン酸スズ;
加水分解安定剤(TMDXI(=テトラメチルキシリルジイソシアネート)から生成されるオリゴマーカルボジイミド;
クエン酸アセチルトリブチル。
【0234】
2.TPUペレットの製造
2.1 実施例1(比較例)
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート420部、ブタン-1,4-ジオール鎖延長剤88.8部、数平均モル質量が1kg/molであるポリテトラヒドロフラン700部を反応押出機でTPUに合成し、押出機のゾーン温度は140℃から210℃である。更に、反応触媒として、フェノール系酸化防止剤15.3部とジオクチルアジペート酸スズのジオクト酸スズ25%水溶液25ppmを添加する。このようにして製造されたペレット状のTPUは、試験値が決定される押出ストランドの製造に使用される。
【0235】
2.2 実施例2(比較例)
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート312部、ブタン-1,4-ジオール鎖延長剤82.1部、ブタン-1,4-ジオールとアジピン酸とから製造された数平均モル質量が2400g/molであるポリブチルアジペート800部を、手動鋳造法でTPUに合成する。更に、反応触媒として加水分解安定剤(TMDXI(=テトラメチルキシリルジイソシアネート)から製造されたオリゴマーカルボジイミド)6.4部、ジオクト酸スズの25%溶液50ppmを添加する。得られたスラブを空気循環式のオーブンにおいて80℃で15時間加熱した後、粉砕する。このようにして製造されたペレット状のTPUは、試験値が決定される押出ストランドの製造に使用される。
【0236】
2.3 実施例3(本発明)
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート393部、エタン-1,2-ジオール鎖延長剤35.5部、数平均モル質量が1kg/molであるポリテトラヒドロフラン1000部と、クエン酸アセチルトリブチル410部を反応押出機でTPUに合成し、押出機のゾーン温度は140℃~210℃である。更に、反応触媒として、フェノール系酸化防止剤15.3部とジオクト酸スズの25%ジオクチルアジペート溶液25ppmを添加する。このようにして製造されたペレット状のTPUは、試験値が決定される押出ストランドの製造に使用される。
【0237】
2.4 実施例4(本発明)
4,4’-MDI260部、エタン-1,2-ジオール鎖延長剤32.2部、アジピン酸、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオールから製造されたポリマージオール1000部(後者は質量比1:1で、数平均モル質量が2000g/mol)、クエン酸アセチルトリブチル231.2部を反応押出機でTPUに合成し、押出機のゾーン温度は140℃~210℃である。更に、反応中に加水分解安定剤(TMDXI(=テトラメチルキシリルジイソシアネート)から製造したオリゴマーカルボジイミド)10部、フェノール系酸化防止剤3.08部、潤滑剤(一部加水分解したモンタン酸エステル)4.62部を添加する。このようにして製造されたペレット状のTPUは、試験値が決定される押出ストランドの製造に使用される。
【0238】
2.5 実施例5(本発明)
4,4’-MDI260部、エタン-1,2-ジオール鎖延長剤31.6部、アジピン酸、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオールから製造されたポリマージオール1000部(後者は質量比1:1で、数平均モル質量が2000g/mol)、クエン酸アセチルトリブチル260部を反応押出機でTPUに合成し、押出機のゾーン温度は140℃~210℃である。更に、反応中に加水分解安定剤(TMDXI(=テトラメチルキシリルジイソシアネート)から製造したオリゴマーカルボジイミド)10部、フェノール系酸化防止剤3.08部、潤滑剤(一部加水分解したモンタン酸エステル)4.62部を添加する。このようにして製造されたペレット状のTPUは、試験値が決定される押出ストランドの製造に使用される。
【0239】
2.6 実施例6(本発明)
4,4’-MDI260部、エタン-1,2-ジオール鎖延長剤32.2部、アジピン酸、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオールから製造されたポリマージオール1000部(後者は質量比1:1で、数平均モル質量が2000g/mol)、クエン酸アセチルトリブチル231.2部を反応押出機でTPUに合成し、押出機のゾーン温度は140℃~210℃である。更に、反応中に加水分解安定剤(TMDXI(=テトラメチルキシリルジイソシアネート)から製造したオリゴマーカルボジイミド)10部、フェノール系酸化防止剤3.08部、潤滑剤(一部加水分解したモンタン酸エステル)4.62部を添加する。このようにして製造されたペレット状のTPUは、試験値が決定される押出ストランドの製造に使用される。得られた生成物は、加熱可能なミキサー(DiOsaタイプ)で85℃に加熱され、25質量%のグリセロールトリアセテートと混合される。90分間の混合工程の後、生成物を攪拌しながら室温まで冷却する。可塑剤はTPUに均一に吸収される。このようにして製造されたペレット状のTPUは、試験値が決定される押出ストランドの製造に使用される。
【0240】
2.7 実施例7(本発明)
4,4’-MDI260部、エタン-1,2-ジオール鎖延長剤32.2部、アジピン酸、エタン-1,2-ジオール、ブタン-1,4-ジオールから製造されたポリマージオール1000部(後者は質量比1:1で、数平均モル質量が2000g/mol)、クエン酸アセチルトリブチル231.2部を反応押出機でTPUに合成し、押出機のゾーン温度は140℃~210℃である。更に、反応中に加水分解安定剤(TMDXI(=テトラメチルキシリルジイソシアネート)から製造したオリゴマーカルボジイミド)10部、フェノール系酸化防止剤3.08部、潤滑剤(一部加水分解したモンタン酸エステル)4.62部を添加する。このようにして製造されたペレット状のTPUは、試験値が決定される押出ストランドの製造に使用される。この製品は、加熱可能なミキサー(DiOsaタイプ)で85℃に加熱され、45質量%のグリセロールトリアセテートと混合される。180分間の混合工程の後、製品は撹拌しながら室温まで冷却される。可塑剤はTPUに均一に吸収される。このようにして製造されたペレット状のTPUは、押し出しストランドの製造に使用され、そのストランドで試験値が決定される。
【0241】
3.得られた生産品の特性
試験は、DIN53505(Shore)に準拠して行われる。
【0242】
【0243】
4.ビーズフォームの製造
ペレット化したTPUサンプル(実施例1~7)を、表2に従って高圧オートクレーブで超臨界CO2を用いて加圧し、TPUにCO2を浸透させた。その後、このビーズに圧力変化を与えた。この圧力変化の際に、それまで高圧だったCO2が標準圧力まで膨張し、このプロセスにおいて、部分的に軟化したTPUを発泡させた。このガス膨張による急冷で、TPUは安定したビーズフォームに固化した。
【0244】
【0245】
【0246】
5.測定方法
材料の特性評価に使用できる測定方法には、以下のものが含まれる;
DSC、DMA、TMA、NMR、FT-IR、GPC
機械的特性 (eTPU)
発泡密度 DIN EN ISO 845:2009-10
耐引き裂き強度 DIN EN ISO 8067:2009-06
寸法安定性試験 ISO 2796:1986-08
引張試験 ASTM D5035:2011
弾力 DIN 53512:2000-4