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特許7611892半導体処理装置のための非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の膜弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】半導体処理装置のための非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の膜弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/12 20060101AFI20241227BHJP
   F16K 7/17 20060101ALI20241227BHJP
   F16K 31/126 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
F16K7/12 A
F16K7/17 B
F16K7/17 C
F16K31/126 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022505391
(86)(22)【出願日】2020-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2020043318
(87)【国際公開番号】W WO2021021578
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】62/879,274
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール・マリウシュ
(72)【発明者】
【氏名】パナゴプーロス・テオドロス
(72)【発明者】
【氏名】リル・ソーステン・ベルンド
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-090527(JP,A)
【文献】特開2019-045494(JP,A)
【文献】国際公開第2018/089196(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0063421(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0075073(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 3/00
F16K 7/12
F16K 7/17
F16K 31/126
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
1つ以上の微少流体弁構造を有する基板であって、前記1つ以上の微少流体弁構造の各微少流体弁構造は、
公称径Dd、第1の面、および前記第1の面の反対側の第2の面を有するダイヤフラムと、
基部と、
前記基部のオリフィスであって、前記基部に平行な平面に断面積Aoを有するオリフィスと、
公称外径Doおよび公称内径Diを有する隆起シート構造と、を備える基板を備え、
各微少流体弁構造について、
前記ダイヤフラムは、非エラストマ材料で作られ、
前記隆起シート構造は、前記基部から前記ダイヤフラムの前記第1の面に向かって延び、
前記ダイヤフラムに面する前記隆起シート構造の表面は、前記微少流体弁構造が非動作状態にあるときは、前記ダイヤフラムの前記第1の面から距離dのギャップだけ分離され、
iは、0.2・Dd以下であり、
oは、
【数1】
以下であり、
前記ダイヤフラム、前記隆起シート構造、および当該微少流体弁構造の前記ギャップは、前記ダイヤフラムの前記第2の面を第1の圧力に加圧することにより当該微少流体弁構造が動作状態に移行したときは、前記ダイヤフラムの位置が前記隆起シート構造に向かって弾性変形し、前記隆起シート構造を密閉するようにサイズ決めされる、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の1つ以上について、Aoは、
【数1】
以下であり、Aoは、0.9・
【数1】
以上である、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の1つ以上について、Aoは、
【数1】
以下であり、Aoは、0.8・
【数1】
以上である、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の1つ以上について、Aoは、
【数1】
以下であり、Aoは、0.7・
【数1】
以上である、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の1つ以上について、Aoは、
【数1】
以下であり、Aoは、0.6・
【数1】
以上である、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の1つ以上について、Aoは、
【数1】
以下であり、Aoは、0.5・
【数1】
以上である、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の1つ以上について、Aoは、
【数1】
以下であり、Aoは、
【数2】
以上である、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の第1の微少流体弁構造について、
前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第1の面と、前記第1の微少流体弁構造の前記隆起シート構造の前記表面との間の前記距離dは、40μm以下であり、
前記距離dは、前記第1の微少流体弁構造の前記隆起シート構造の前記表面に垂直である第1の軸に沿って定められる、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の第1の微少流体弁構造が前記非動作状態にあるときは、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第1の面は、大気圧以下の圧力に曝され、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第2の面は、大気圧に曝される、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記第1の微少流体弁構造の前記第1の圧力は、大気圧よりも大きい、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の少なくとも1つの微少流体弁構造の前記ダイヤフラムは、シリコンまたは二酸化シリコンで作られている、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の少なくとも1つは、複数のシリコン層または二酸化シリコン層で作られている、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置であって、
前記装置は、前記1つ以上の微少流体弁構造の少なくとも第1の微少流体弁構造が、前記装置内の流路の一部になるように、ガス源に接続されるように構成され、前記流路は、前記第1の微少流体弁構造の前記隆起シート構造が、前記ガス源と前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムとの間に流体的に置かれるように、前記ガス源に流体接続可能に構成されている、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、さらに、
前記ガス源を備え、前記装置は、前記第1の微少流体弁構造の前記隆起シート構造が、前記ガス源と前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムとの間に流体的に置かれるように、前記ガス源に接続されている、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置であって、さらに、
ダイヤフラム層と、
アクチュエータプレナム層と、
弁プレナム層と、を備え、
前記1つ以上の微少流体弁構造の第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムは、前記ダイヤフラム層によって提供され、
前記ダイヤフラム層の第1の面は、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第1の面を提供し、
前記ダイヤフラム層の第2の面は、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第2の面を提供し、
前記ダイヤフラム層の前記第1の面は、前記弁プレナム層に結合され、
前記ダイヤフラム層の前記第2の面は、前記アクチュエータプレナム層に結合され、
前記アクチュエータプレナム層は、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの中心に位置する、前記アクチュエータプレナム層を貫通する直径Daplの孔を有し、
前記弁プレナム層は、同様に前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの中心に位置する、前記弁プレナム層を貫通する直径Dvplの孔を有し、
vplは、Daplよりも小さい、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[参照による援用]
本願の一部として、本明細書と同時にPCT出願書が提出される。同時に出願されたPCT出願書に認められる利益または優先権を本願が主張する各出願は、その全てが全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
半導体処理動作では、半導体処理チャンバに流されうる多くのガスを、様々な組み合わせで、様々な流量で、および様々なタイミングで、提供することが必要なことが多い。いくつかの半導体処理ツールでは、ツールに供給される15~20もの異なるガスがあることも珍しくなく、各ガスは通常、別々に制御される。半導体処理ツールは通常、「ガスボックス」を備え、そこに、多くの異なるコンピュータ制御弁、マスフローコントローラ、および/または、半導体処理動作の間の様々なタイミングに所望のガス混合物を提供するように制御されうる他のガス流部品が収容される。
【0003】
かかるガスボックスは通常、例えば、ガス流部品をそれぞれのマニホールドと接続するための1.5インチ(3.81センチメートル)平方の取付フランジを特徴とする、比較的大型の個々の構成部品(例えば、表面実装弁、マニホールド流路、シール)から組み立てられる。かかる構成部品は、各ガスを制御できるように「ガススティック」に一緒に組み付けられてよく、ガススティックは次にキャビネットに取り付けられて、「ガスボックス」を形成してよい。ガススティックは、複数の表面実装部品(例えば、5~10の当該部品)を備えてよく、半導体処理ツールは、複数(例えば、10または20)の当該ガススティックを備えてよい。
【0004】
本明細書では、より小型の弁システムを提供するために用いられうる半導体処理ガス流制御部品のための新しい設計が提示される。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で説明される発明の主題の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の発明を実施するための形態において記載される。他の特徴、態様、および利点は、発明を実施するための形態、図面、および特許請求の範囲から明らかになるだろう。以下の非限定的な実施形態は、本開示の一部と見なされ、他の実施形態も同様に、本開示全体および添付の図面から明らかだろう。
【0006】
いくつかの実施形態において、1つ以上の微少流体弁構造を有する基板を備える装置が提供されてよく、1つ以上の微少流体弁構造の各微少流体弁構造は、公称径Dd、第1の面、および第1の面の反対側の第2の面を有するダイヤフラムと、基部と、基部内のオリフィスであって、基部に平行な平面に断面積Aoを有するオリフィスと、公称外径Doおよび公称内径Diを有する隆起シート構造と、を備える。かかる装置の各微少流体弁構造について、ダイヤフラムは、非エラストマ材料から作られてよく、隆起シート構造は、ダイヤフラムの基部から第1の面に向かって延びてよく、ダイヤフラムに面する隆起シート構造の表面は、微少流体弁構造が非動作状態にあるときは、ダイヤフラムの第1の面から距離dのギャップだけ離れてよく、Diは0.2・Dd以下であってよく、Ao
【数1】
以下であってよく、ダイヤフラム、隆起シート構造、および微少流体弁構造のギャップは、その微少流体弁構造がダイヤフラムの第2の面を第1の圧力に加圧することにより動作状態に移行したときは、ダイヤフラムの一部が隆起シート構造に向かって弾性変形し、隆起シート構造を密閉するようにサイズ決めされてよい。
【0007】
いくつかのかかる実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造について、Ao
【数1】
以下であってよく、0.9・
【数1】
以上であってよい。いくつかの他のかかる実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造について、Ao
【数1】
以下であってよく、0.8・
【数1】
以上であってよい。いくつかの他のかかる実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造について、Ao
【数1】
以下であってよく、0.7・
【数1】
以上であってよい。いくつかの他のかかる実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造について、Ao
【数1】
以下であってよく、0.6・
【数1】
以上であってよい。いくつかの他のかかる実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造について、Ao
【数1】
以下であってよく、0.5・
【数1】
以上であってよい。いくつかの他のかかる実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造について、Ao
【数1】
以下であってよく、
【数2】
以上であってよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造の第1の微少流体弁構造について、第1の微少流体弁構造のダイヤフラムの第1の面と、第1の微少流体弁構造の隆起シート構造の表面との間の、第1の軸に沿った最大距離は40μm以下であってよく、第1の軸は、第1の微少流体弁構造の隆起シート構造の表面に垂直であってよい。
【0009】
本装置のいくつかの実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造の第1の微少流体弁構造が非動作状態にあるときは、第1の微少流体弁構造のダイヤフラムの第1の面は、大気圧以下の圧力に曝されてよく、第1の微少流体弁構造のダイヤフラムの第2の面は、大気圧に曝されてよい。
【0010】
本装置のいくつかの実施形態では、第1の微少流体弁構造の第1の圧力は、大気圧よりも高くてよい。
【0011】
本装置のいくつかの実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造の少なくとも1つの微少流体弁構造のダイヤフラムは、シリコンまたは二酸化シリコンで作られてよい。
【0012】
本装置のいくつかの実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造の少なくとも1つの微少流体弁構造は、複数のシリコン層または二酸化シリコン層で作られてよい。
【0013】
本装置のいくつかの実施形態では、本装置は、1つ以上の微少流体弁構造の少なくとも第1の微少流体弁構造が本装置内の流路の一部になるように、ガス源に接続されるように構成されてよく、流路は、第1の微少流体弁構造の隆起シート構造が、ガス源と第1の微少流体弁構造のダイヤフラムとの間に流体的に置かれるように、ガス源と流体接続するように構成されている。
【0014】
本装置のいくつかのかかる実施形態では、本装置はさらにガス源を備えてよく、第1の微少流体弁構造の隆起シート構造が、ガス源と第1の微少流体弁構造のダイヤフラムとの間に流体的に置かれるようにガス源に接続されてよい。
【0015】
本装置のいくつかの実施形態では、本装置はさらに、ダイヤフラム層、アクチュエータプレナム層、および弁プレナム層を備えてよい。かかる実施形態では、1つ以上の微少流体弁構造の第1の微少流体弁構造のダイヤフラムは、ダイヤフラム層によって提供されてよく、ダイヤフラム層の第1の面は、第1の微少流体弁構造のダイヤフラムの第1の面を提供してよく、ダイヤフラム層の第2の面は、第1の微少流体弁構造のダイヤフラムの第2の面を提供してよく、ダイヤフラム層の第1の面は、弁プレナム層に結合されてよく、ダイヤフラム層の第2の面は、アクチュエータプレナム層に結合されてよく、アクチュエータプレナム層は、第1の微少流体弁構造のダイヤフラムに中心を置く、アクチュエータプレナム層を貫通する直径Daplの孔を有してよく、弁プレナム層も同様に、第1の微少流体弁構造のダイヤフラムに中心を置く、弁プレナム層を貫通する直径Dvplの孔を有してよく、DvplはDaplよりも小さくてよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に開示の様々な実施形態は、添付の図面の図において限定のためではなく例示のために表される。同じ参照番号は、同一の要素を意味する。
【0017】
図1】非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の微少流体弁構造を有する例示的装置。
【0018】
図2】2つの異なる配置の非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の弁構造について、様々な流動条件下でのかかる弁構造のオリフィスにおけるマッハ数を示すグラフ。
図3】2つの異なる配置の非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の弁構造について、様々な流動条件下でのかかる弁構造のオリフィスにおけるマッハ数を示すグラフ。
図4】2つの異なる配置の非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の弁構造について、様々な流動条件下でのかかる弁構造のオリフィスにおけるマッハ数を示すグラフ。
【0019】
図5】微少流体弁構造の様々な要素の簡易斜視図。
【0020】
図6】複数のガスを制御可能に混合するための分配器の図。
【0021】
図7】2ソース型分配器の例。
【0022】
本明細書の図は、一般に正確な縮尺率で描かれていないが、以下に説明されるような図の様々な態様は、正確な縮尺率で描かれてよい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
現代の半導体処理ツールは、半導体処理チャンバに導入される多数の異なるガスを、異なるタイミングで、異なる組み合わせで、また異なる流量で用いることが多い。いくつかの現代の半導体処理ツールでは、いくつかの反応ガスが交互に流されてよく、一連の反応ガス流の各々の後には、次の反応物流の前に、その反応物の残留物を除去するために用いられる不活性ガス流またはパージガス流が続いてよい。これは、望ましくない副作用を引き起こしうる、ガス分配システム内での2つの反応物の混合を防ぐ(もっとも、かかる混合は、反応ガスが半導体処理チャンバ内に入れば望ましい)。従来のガス制御部品の使用に関する1つの問題は、大抵は流路が長いことであり、所定のガス源の最後の制御可能な流体部品と、半導体処理チャンバにガスが流れる地点との間にかなりの長さを含む可能性があることである。かかる流路に閉じ込められたガスは、無駄になるかもしれない。
【0024】
半導体処理ツールにおけるガス流制御のためのより小型で低コストの解決策を提供するために、本発明者は、新型の非エラストマ性で、非ポリマ性で、非金属性の膜弁を思いついた。かかる膜弁は、いくつかの点では、例えば微少流体カートリッジまたは他の液体分析システムで用いられるエラストマ性微少流体膜弁に多少似ているかもしれない。しかし、半導体処理システムで通常見られる動作圧、およびかかるシステムによって通常扱われる有毒ガスまたは反応ガスのため、例えば遺伝子配列システムで用いられるような液体微少流体処理によく用いられる微少流体弁技術は適さない。例えば、一般に化学分析および生物学的解析用の微少流体用途に用いられるエラストマ性微少流体弁は、かかる弁で用いられるエラストマ膜を通じて化学腐食またはガス透過の影響を受けやすいかもしれない。そのうえ、ほとんどの半導体処理チャンバは準大気圧で操作されるため、かかる弁の下流の圧力環境と、それによりかかる弁に密閉性を提供するかかるエラストマ膜の面とは、かかる膜の反対側よりも低い圧力になることが多い。これは通常、かかるエラストマ膜を「密閉」状態に変形させ、確実に開くことを難しくする、または不可能にするだろう。
【0025】
この問題に対処するため、本発明者は、積層を形成するように結合された、非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の材料層で弁が作られている、非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の膜弁を思いついた。かかる材料は、かかる弁を通って流れるガスと反応しないように選択されてよい(例えば、ガラスなどのシリコン、または石英などの二酸化シリコン)。ポリマ性およびエラストマ性の材料の使用を避けることで、かかる弁膜を通る潜在的なガス透過の問題が回避され、金属性材料の使用を避けることで、弁材料と弁に扱われうる処理ガスとの間の有害な化学反応のリスクが低減する。
【0026】
エラストマ膜弁において、エラストマ薄膜層が基板と接触しているときは、エラストマ膜層は通常、それによって密閉されうる吸気口と排気口とを有する基板上に置かれる。いくつかのかかる弁には、エラストマ膜と基板との間にスペーサ層があってよく、エラストマ膜が非変形状態のときにエラストマ膜と基板との間にギャップをもたし、それにより1つの口からもう一方の口に液体またはガスが流れることができる。ギャップの反対側のエラストマ膜面に圧力が印加されるときは、エラストマ膜は吸気口および排気口に向かって偏向し、吸気口および排気口に接触することによりそれらを密閉する。他のかかる弁では、エラストマ膜は、非変形状態のときに基板に密着することで、吸気口および排気口を密閉してよい。吸気口および排気口に密閉された面とは反対側のエラストマ膜の面が減圧に曝されたときは、エラストマ膜は上向きに膨張され、それにより流体が吸気口から排気口に流れることができてよい。作動圧(または、負圧)が除去されたときは、エラストマ膜は、その非変形状態に戻る。かかる弁には通常、エラストマ材料(例えば、シリコーン)が用いられる。かかる材料は、液密で(ほとんどの微少流体システムは、液体の搬送に用いられる)、丈夫で、永久変形または裂けなしに大きな張りを受けることができる。エラストマ膜材は、その柔軟性により弁構造の内面に適合できることで、吸気口および排気口に対する非常に優れた密閉性を実現し、反復動作および比較的大規模な変形に耐えうるため、大抵の場合、かかるエラストマ膜は比較的最良の選択になる。エラストマ膜弁を有する微少流体弁は、弁構造全体に剛性を提供するエラストマ膜層に加えて、一般的な剛性構造層を有してもよい。かかる剛性構造層は、例えば、非エラストマ性ポリマ材(アクリルまたはポリカーボネートなど)または非エラストマ性非ポリマ材(ガラスなど)によって提供されてよい。
【0027】
しかし、本願の非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の膜弁において、膜を含む全湿式弁構造(すなわち、弁が制御するように設計された流体流と接触する弁の部分)は、非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の材料で作られてよい。特に、シリコン(ガラス)または二酸化シリコン(石英)などの材料が用いられてよく、そのいずれも大抵の半導体処理ガスとほとんど反応しない。かかる材料が化学浸食への優れた耐性を提供するのに対し、ガラスおよび石英はともに非常に脆弱な材料で、膜弁の状況におけるその有用性を著しく限定する。
【0028】
非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の材料を用いることに関する最も重要な問題は、かかる材料が通常、エラストマ材料よりもずっと硬く、それにより、かかる材料で作られた膜が、所定の圧力差の印加に応答して受けうる移動量を制限することである。そのうえ、半導体処理装置で用いられる様々なガスとの使用に適した大抵のかかる材料(例えば、かかるガスとほとんど反応しない材料(シリコンおよび石英など))は、非常に低い可塑性を有し、過剰に湾曲された場合は割れる可能性がある。これに対して、エラストマ材料は、その伸縮性のある迎合的な性質から、裂けることなく激しい変形に耐えることができる。
【0029】
図1は、非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の微少流体弁構造を有する例示的な装置を表す。図1において装置100は、複数のパターン層104(例えば、層104a~104g)が微少流体弁構造106を提供するように配置された基板102に実装されている。層104の数および配置は、図のものとは異なってよく、本明細書に記載のものに類似する特徴を有する構造に至るあらゆる層の配置は、本開示の範囲に該当することが理解されるだろう。これらの層は、任意の適した接合技術(拡散接合、融着など)を用いて接合されてよい。
【0030】
基板102の層104は、アクチュエータプレナム132と弁プレナム138との間に介在する可撓性膜として機能しうるダイヤフラム108(例えば、薄い円形領域)を提供するように構成されてよい。ダイヤフラム108は、第1の面110および第2の面112、ならびに公称径Dvplを有してよい。弁プレナム138は一般に、第1の面110と基部114との間に挟まれ、ダイヤフラム108の外周部によって接合された開口容量として規定されてよい。弁プレナム138は、基部114から上向きに突出し、ダイヤフラム108の第1の面110に向かって延びうる隆起シート構造120を備えてよい。隆起シート構造120は、例えば、その中央領域の周りに連続壁を形成し、ダイヤフラム108の第1の面110に面する表面122を有してよい。いくつかの実施形態では、隆起シート構造120は、図1に示されたように、基部114からダイヤフラム108の第1の面110に向かって上向きに延びる環状壁であってよい。
【0031】
オリフィス118は、隆起シート構造120の中央領域内(例えば、隆起シート構造120の中央領域の中心)に設置され、基部114を貫通してよい。オリフィス118は、隆起シート構造120の中央領域内の他の位置(例えば、隆起シート構造120の中心ではない、隆起シート構造120の中央領域内の位置)に設置されてもよい。オリフィス118は、ガス源(図示せず)から微少流体弁構造106に半導体処理ガスを供給するために用いられうるガス入口124と弁プレナム138とを流体接続してよい。弁プレナム138は、微少流体弁構造106が開口状態のときに処理ガスが流れうる排気口116と流体接続されてよく、ガス入口124は、かかる処理ガスのガス源と流体接続される。オリフィス118は、任意の所望の断面形状を有してよいが、本明細書に記載の例では、オリフィス118は直径Dの円形断面形状を有する。
【0032】
微少流体弁構造106の制御は、ダイヤフラム108を伸縮させるのに適した任意の機構によって提供されてよい。例えば、アクチュエータプレナム132は、制御可能な気圧源(例えば、加圧空気源に取り付けられた弁)と接続されてよく、制御可能な空気圧源は、アクチュエータプレナム132を制御可能に加圧することにより、ダイヤフラム108を伸縮させて弁プレナム138に膨らませ、それによりダイヤフラム108の第1の面110を表面122に向けて動かす。ダイヤフラム108が十分に膨らむと、ダイヤフラム108の第1の面110は表面122に接触し、それにより隆起シート構造120を密閉して、オリフィス118から隆起シート構造120の外に出るさらなるガス流を防いでよい。微少流体弁構造が非動作状態にあるときは、第1の面110および表面122は、距離dのギャップ126によって分離されてよい。
【0033】
図1に示された微少流体弁構造は、(例えば、図の方向に流れるガス、または逆方向に流れるガスの)流れ方向にかかわらず用いられうる。しかし、オリフィス118がガス源とダイヤフラム108との間に流体的に置かれた場合は、ダイヤフラム108に対して上流にオリフィス118が設置されることが大きな利点を提供してよい。本明細書で用いられる「流体的に間に置かれる」という用語は、流体流システムの第1の構造が、流体流システムの2つの第2の構造に対して設置されている状態を意味し、第2の構造の一方から第2の構造のもう一方に流れる流体が、もう一方の第2の構造に達する前に第1の構造に必ず接触する、またはその近くを流れるように設置される。例えば、キッチンのシンクは、そのシンクのキッチン用水栓とそのシンクの排水口との間に流体的に置かれていると説明されるだろう。同様に、家庭の主止水弁は、通りの給水本管と家庭の内部水道管との間に流体的に置かれていると説明されるだろう。
【0034】
ガスが図のように微少流体弁構造106を通って流れるときに、流動抵抗が高い2つの一般領域に遭遇するかもしれない。第1の領域はオリフィス118であり、一般に、例えばオリフィス118を通って流れるガスが、オリフィス118内で音速の完全チョーク流れ(すなわち、M=1)に発達するように構成された音速流量制限器として機能するようにサイズ決めされうる。オリフィス118の直径がリソグラフィ技術によって実現されうるように厳密に制御される場合は、非常に正確なオリフィスの直径を実現できる可能性がある。完全チョーク流れを伴うかかる高精度の寸法管理は、微少流体弁構造を通るガス流の非常に高精度な時間ベースの計測を可能にするかもしれない。
【0035】
第2の領域は、表面122と第1の面110との間に挟まれ、ギャップ126によって規定された高さを有する環状領域にある。この領域は、主に内寸(Di)および外寸(Do)などの要因(例えば、隆起シート構造120の内径および外径、ならびにギャップ距離d)によって決定される流れ抵抗を有してよい。
【0036】
ガス流が図1に示された方向とは反対の方向である場合(すなわち、ダイヤフラム108がガス源とオリフィス118との間に流体的に置かれている場合)は、ダイヤフラム108、および、ダイヤフラム108と隆起シート構造120の表面122との間の環状ギャップは、オリフィスの上流になるだろう。かかる状況では、ダイヤフラム108と隆起シート構造120の表面との間の領域でチョーク流れが起こった場合は、チョーク流れは一般に、下流のオリフィス108では発達しないだろう。かかる状況では、オリフィス118はもはや、ガス流を制御または計測するための有効な機構ではなく、不要になる。チョーク流れで環状ギャップを通る質量流量は、ダイヤフラム108と隆起シート構造120の表面122との間のギャップ距離d、隆起シート構造120の内径Di、および隆起シート構造120の径方向の厚さ(0.5・(Do-Di))を含む様々な要因に影響されてよい。これらの要因の2つは、製造公差によって制御されてよいが、ギャップ距離dの値は、例えば弁プレナム138内の圧力条件、および/または大気圧条件に応じて使用中に変動するため、ギャップ距離dを制御することは難しい。
【0037】
加えて、距離dが小さいほど、ダイヤフラムが隆起シート構造120の表面122と接触するように移動しなければなければならないギャップは小さくなるため、一般にギャップ距離dを低減することが望ましいかもしれない。非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の材料(例えば、石英またはガラス)の限られた可撓性を考慮すると、かかる材料で作られたダイヤフラム108が所定サイズのダイヤフラムに提供しうる移動範囲は、かなり制限されるかもしれない。
【0038】
よって、微少流体弁構造は、ダイヤフラム108がガス源とオリフィス118との間に流体的に置かれた構成について、より大きい直径のダイヤフラムを必要としうるが、環状ギャップ部分における潜在的なチョーク流れを回避できる大きなギャップサイズを用いるか、より小さい直径のダイヤフラムが可能だが、オリフィス118ではなく環状ギャップにおいてチョーク流れが起こる可能性を高めるかもしれない小さいギャップサイズを用いるか、のいずれかであってよい(ギャップを「ちょうど」にサイズ決めする試みがなされてもよいが、ギャップサイズは環境条件(例えば、大気圧環境)によって変動するため、かかる試みは確かな性能を生み出さない可能性がある)。
【0039】
しかし、ダイヤフラム108、オリフィス118、およびガス源を図1に示唆されたように構成して、オリフィス118がガス源とダイヤフラム108との間に流体的に置かれた場合、オリフィス118を通るチョーク流れは、逆配置で用いられるときよりもずっと小さいギャップ距離dを有する所定の流れ様式のために生成されてよい。
【0040】
例えば、10標準立方センチメートル/分(SCCM)のアルゴン流について、直径d=0.3mmの例示的オリフィス118および直径Di=1mmを有する隆起シート構造120において実施された流体シミュレーションでは、オリフィスがガス源とダイヤフラムとの間に流体的に置かれたときは、オリフィス118を通る流れのマッハ数は、0.005~1mmのギャップサイズの範囲については1で比較的一定のままだったが、ダイヤフラムがガス源とオリフィスとの間に流体的に置かれた同一構成では、オリフィス118を通る流れのマッハ数は、0.2mmよりも大きいギャップサイズについては同様に1で一定のままだったが、0.005~0.2mmのギャップサイズについては0.01に急速に低下した。図2は、かかる反応のプロットを示す(オリフィスが上流=オリフィスがガス源とダイヤフラムとの間に流体的に置かれている、オリフィスが下流=ダイヤフラムがガス源とオリフィスとの間に流体的に置かれている)。このシミュレーションのデータから、オリフィスをガス源とダイヤフラムとの間に流体的に置かれるように設置することで、オリフィス118におけるチョーク流れの喪失なしに約0.005mmもの小さいギャップ距離dの使用が可能になる一方で、ダイヤフラムをガス源とオリフィスとの間に流体的に置くことは、オリフィス内でチョーク流れが起こることを確実にするために約0.2mm以上のギャップ距離dを必要とすることがわかる。
【0041】
図3および図4は、シミュレーションデータの類似プロットを示す。図3は、図2のプロットに類似するシミュレーションのプロットを示すが、例示的なオリフィス118は直径d=0.5mmを有し、隆起シート構造120は直径Di=1mmを有し、30標準立方センチメートル/分(SCCM)のアルゴン流が微少流体弁構造106を通じて導入された。同様に、図4は、図2のプロットに類似するシミュレーションのプロットを示すが、例示的なオリフィスおよび隆起シート構造120は、共に直径DiおよびD=1mmを有し、120標準立方センチメートル/分(SCCM)のアルゴン流が微少流体弁構造106を通じて導入された。これら2つの追加事例では、類似の反応が観察されてよい。すなわち、オリフィスがガス源とダイヤフラムとの間に流体的に置かれるように設置することは、オリフィス118内のチョーク流れ条件をまだ維持しながら、ずっと小さいギャップ距離d(例えば、0.01~0.05mm)の使用を認める一方で、ダイヤフラムがガス源とオリフィスとの間に流体的に置かれるように設置することは、ギャップ距離dが、例えば2.5mm以上に維持されることを必要とする(図3の状況および図4の状況では、シミュレーションされた状況について実際には完全チョーク流れは決して発達しない)。
【0042】
本明細書に記載の、非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の微少流体弁構造において、微少流体弁構造の膜/ダイヤフラムは、非常に小さい動作ギャップ(すなわち、弁構造のオリフィスを密閉し、流体流を遮るために、ダイヤフラムが動かなければならない距離)を有するように構成されてよい。動作ギャップは一般に、ダイヤフラムのサイズによって決定され、大きいダイヤフラムは大きな移動を容認し、よって大きな動作ギャップを可能にしてよい。例えば、有効径が5mmのシリコン系ダイヤフラムを有する微少流体弁構造は、弁構造のオリフィスを密閉する前は、0.04mmのたわみしか容認しないように構成されてよい。しかし、前述のように、微少流体弁構造を通って流れたガスが準大気環境に流れ込みうる半導体処理装置と共に機能することを意図した微少流体弁構造について、ダイヤフラムは、非動作状態にあるときは、既存の圧力差(例えば、ダイヤフラムの第1の面には準大気圧、ダイヤフラムの第2の面には大気圧(または、ダイヤフラムの第1の面への準大気圧よりも高い圧力))に曝されてよい。その結果、ダイヤフラムは、能動的に動作していないときでも、部分的に膨張した状態または撓んだ状態であってよい。ダイヤフラムの第2の面への圧力を増加させることによる動作は、ダイヤフラムの第1の面が隆起シート構造に接触するまで、単にダイヤフラムをさらに偏向または膨張させるものであってよい。
【0043】
この問題は、半導体処理ツールにおける微少流体弁に特有であり、通常の微少流体システムは遭遇しない、いくつかの実施上の制限をかかる弁に課す(例えば、液体処理用微少流体システムは、遺伝学、化学、または生物学の流体分析に用いられてよい)。例えば、ダイヤフラムの撓みは、定圧の関数としてダイヤフラムの直径が増大すると共に非線形に増加する。よって、ダイヤフラムの直径の増加は、ダイヤフラムにおけるより多くの電位移動を提供してよいが、ダイヤフラム108と利用可能な隆起シート構造の表面122との間のギャップサイズを低減するように機能する、大気圧による「静的」偏向の増加を犠牲にし、ダイヤフラム内の応力の増加ももたらして、初期不良を引き起こす可能性がある。ダイヤフラムの直径の増加への他の損害は、一度に製造されうる微少流体弁構造が少なくなることである。前述のように、本明細書に記載の微少流体装置の層を製造するためにリソグラフィ技術が用いられてよい。かかる技術では、多数の微少流体弁構造が単一のウエハ(例えば、シリコンウエハ)上に製造されてよい。かかる製造技術は、実施するのに費用がかかり、多数の微少流体弁構造が1つのウエハ上に同時に製造されるときは、より費用効果が高くなる。従って、ダイヤフラム108の直径が大きくなるにつれて、所定サイズのウエハに合う微少流体弁構造が少なくなるため、多くの実施形態においてダイヤフラムの直径を低減または最小化することが有益であってよい。具体的には、本発明者は、いくつかの実施形態において、直径Dvplを約1センチメートル以下の値(例えば、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、またはその間の値)に制限することを思いついた。
【0044】
ダイヤフラムの直径だけでなく、ダイヤフラムを提供するのに用いられる材料の性質は、ダイヤフラムの第2の面が所定圧環境に曝されたときにダイヤフラムが(失敗することなく)提供しうる最大移動量を有効的に決定してよい。この最大移動量は次に、必要に応じて大気圧効果による動作前の移動を考慮して、ギャップ距離dのサイズを決定してよい。例えば、5mmの直径および85μmの厚さのダイヤフラムを有する微少流体弁構造は、0.040mmのギャップ距離を有してよいが、このギャップ距離は控えめであり、いくつかの例ではより大きなギャップ距離(例えば、いくつかの実施形態では最大0.125mm)が用いられてよい。
【0045】
オリフィスは一般に、微少流体弁構造を用いる所定の半導体処理ツールにとって望ましいガスの流れ特性に応じて選択されてよい。オリフィスは、半導体処理ツールによって提供される半導体処理動作にとって望ましい流量範囲のチョーク流れを生み出すように選択された寸法を有してよい。例えば、様々な実施形態において、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、またはそれらの間の値のオリフィスの直径が用いられてよい。
【0046】
隆起シート構造の寸法は、オリフィスのサイズ、ギャップ距離、およびダイヤフラムの直径に応じて選択されてよい。例えば、隆起シート構造の内径Diは、0.2・Dd以下になるように選択されてよい(Ddは、ダイヤフラムの公称径(例えば、Dvpl))。内径Di、ギャップ距離d、およびオリフィスの直径Dは、Aoが(π/2)・d・Di以下になるように選択されてよい(Aoは、オリフィスの断面積(例えば、円形オリフィスではAo=π・D2/4))。様々な実施形態では、
【数3】
、および、
【数4】
である。
【0047】
本明細書に開示の微少流体弁構造の様々な層は、様々な異なる方法で構成されてよい。例えば、いくつかの実施形態は、積層内に止まり穴または内部室を形成するために、後に対応する通しフィーチャを持たない層に接合される、通しフィーチャを有する層を特徴としてよい。他の実施形態では、止まり穴は、例えば、層の厚さ未満の深さまでフィーチャをエッチングまたは機械加工することにより、接合の必要なしに層に直接形成されてよい。様々な層の厚さは、特定の用途の必要性に応じて所望のように選択されてよい。例えば、いくつかの微少流体弁構造では、ダイヤフラムは、15~120μmの厚さ(例えば、約0.085mmの厚さ)であってよく、ダイヤフラムの厚さは当然、少なくとも部分的に、動作中のダイヤフラムによって実現されうる移動を決定する。
【0048】
いくつかの実施形態では、基部は、100~1000μmの厚さ(例えば、0.725mmの厚さ)であってよく、基部の厚さは、構造上、隆起シート構造を支持し、弁構造内の動作圧に耐えることができるように選択されてよい。しかし、基部の厚さは、オリフィスの長さを決定してもよく、長すぎるオリフィスは、流れ抵抗の望ましくない増加を受ける可能性がある。
【0049】
図5は、上記の微少流体弁構造の様々な要素の簡易斜視図を提供する。図5には、隆起シート構造520を伴う、直径Ddのダイヤフラム508が示されており、隆起シート構造520は、ダイヤフラム508の第1の面510に面する表面522を有し、距離dのギャップによって第1の面510から分離されている。ダイヤフラム508の第2の面512(図5における上面)は、ダイヤフラム508が隆起シート構造520の表面522に接触するよう動作するように加圧されてよい。隆起シート構造520は、内径Diおよび外径Doを有してよく、各々は、例えばそれぞれの直径と関連する円周にギャップ距離dを掛けることによって、ギャップ距離dと共に面積Ag1および面積Ag2の円筒状基準面を規定する。オリフィス518は、微少流体弁構造の基部(図示せず)に設置されてよく、断面表面積Aoを有してよい。一般に、Ag1はAoの2倍よりも大きくなるように選択されてよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、ダイヤフラム108は、例えば第1の面110および第2の面112を規定するために異なる直径が用いられる、特定の方法で実装されてよい。例えば、図1に示されたように、ダイヤフラム108の第1の面110および弁プレナム138は、ダイヤフラムの公称径Dvplによって規定されてよく、ダイヤフラム108の第2の面112およびアクチュエータプレナム132は、アクチュエータプレナムの公称径Daplによって規定されてよい。図からわかるように、アクチュエータプレナム132は、貫通する直径Dvplの孔を有しうるアクチュエータプレナム層134(層140a)に設けられてよい。同様に、弁プレナム138は、貫通する直径Daplの孔を有しうる弁プレナム層140(層140c)に設けられてよい。DvplおよびDaplが同じである構造を避けることにより、ダイヤフラム108を提供する層140bと層140aおよび層140cとが交わる角における応力は大幅に低減され、より強力な弁動作を提供して、弁不良の可能性を低減してよい。
【0051】
本明細書に開示されたような、非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の微少流体弁構造は、半導体処理装置において様々な方法で用いられてよい。図6および図7は、かかる微少流体弁構造が用いられうる例示的な実施形態を表す。図6は、制御可能な方法で複数のガスを混合するための分配器の図を表す。図6では、複数のガス源630a~630fが設けられている。各ガス源630は、例えば、加圧されたガス源または管からガスを受け取ってよい。次にガス源630は、各々、吸気ギャラリ642と流体接続されてよい。例えば、ガス源630aは、吸気ギャラリ642aと流体接続されてよく、ガス源630bは、吸気ギャラリ642bと流体接続されてよい。次に各吸気ギャラリ642は、対応する複数の非エラストマ性、非ポリマ性、かつ非金属性の微少流体弁構造606(図6では、3つのみが引出線で示されているが、各吸気ギャラリ642には7つのかかる微少流体弁構造606があることは容易に明らかである)によって、対応する分岐通路646と流体接続されてよい。この例では、各吸気ギャラリは7つの微少流体弁構造と流体接続されているが、より多くのまたはより少数のかかる微少流体弁構造が設けられてよいことと、2つ以上のガス源630が、(各々に対して同数の微少流体弁構造ではなく)異なる数の微少流体弁構造606によってそれぞれの分岐通路642と結合されてよいこととが理解されるだろう。分岐通路646は次に、混合ガス出口648に通じうる共通出口通路644で全て合流する。
【0052】
図6に示されたような分配器において、微少流体弁構造606は、例えば、空気圧弁および圧縮空気を用いてダイヤフラムを加圧することで、ガス源630から提供された処理ガスが分岐通路646に流れ込まないようにすることにより、閉状態に保たれてよい。特定の混合の処理ガスが特定の混合比および/または流量で必要な場合は、これらガス源630の各々に適した数の微少流体弁構造606が開状態に作動され、それによりこれらの処理ガスが、それぞれの分岐通路646および共通出口通路644に流れることを可能にしてよい。例えば、ガス源630a、ガス源630c、およびガス源630dから、それぞれ1:3:7の比率のガスが必要な場合は、吸気ギャラリ642aを分岐通路646aに流体接続する1つの微少流体弁構造606が開かれてよく、吸気ギャラリ642cを分岐通路646cに流体接続する3つの微少流体弁構造606が開かれてよく、吸気ギャラリ642dを分岐通路646dに流体接続する7つの微少流体弁構造606が開かれてよい。各微少流体弁構造606のオリフィスが同じサイズだと仮定すると、開状態の各微少流体弁構造の各オリフィスを通って提供されうる完全チョーク流れは、所望のガス比率を提供してよい。
【0053】
図7は、2ソース型分配器の例を表す。図7において、2つのガス源730aおよびガス源730bは、それぞれの加圧ガス源に接続され、対応する処理ガスをそれぞれ吸気ギャラリ742aおよび吸気ギャラリ742bに供給する。各吸気ギャラリ742は順に、対応する複数の微少流体弁構造706aおよび706bによって共通出口通路744と流体接続されている。共通出口通路744は、混合ガス排気口748につながる。この特定の例では、微少流体弁構造706aの例Aおよび例Bが開状態であり(いくつかの実施形態では、これはデフォルトで非動作状態であってよい)、微少流体弁構造706aの例C、例D、例E、例F、および例Gは閉状態である。同様に、微少流体弁構造706bの例A、例B、例C、および例Dが開状態であり、微少流体弁構造706bの例E、例F、および例Gは閉状態である。よって、ガス源730aからガス源730bへのガスの混合比は、1:2であってよい。
【0054】
本願に開示の微少流体弁構造を用いて、微少流体弁構造の他の多くの実施形態が実施されてよいことが分かるだろう。例えば、かかる一実施形態は、半導体処理用シャワーヘッド(例えば、処理動作の間に半導体ウエハ上に処理ガスを分散するガス分散器)である。シャワーヘッドは通常、その下面(一般に、処理されるウエハと少なくとも同じ直径の領域)全体にわたって多数(例えば、数百または数千)のガス分散口を有する。シャワーヘッドを通る処理ガス流は通常、シャワーヘッドの外側に設置された弁によって制御される。外部弁については、弁が開いたときと、そこを通って流れるガスがシャワーヘッドによって放出されるときとの間に、大きな遅延(例えば、数秒)がある可能性がある(この遅延は、ガスが弁からシャワーヘッドを通って、またシャワーヘッドの下面(または、フェースプレート)のガス分散口を通って流れる必要性によるものである)。各ガス流の後に、シャワーヘッド内に閉じ込められる大量の排ガスもあるかもしれない。
【0055】
2016年11月11日付け出願の米国特許出願第15/346,920号に記載されたように、シャワーヘッド内(例えば、各ガス分散口)に本明細書に開示されたような微少流体弁構造を実装することにより、より効果的なシャワーヘッドが提供されてよい。このように、各微少流体弁構造からガス分散口への流路は、一般に実行可能な程度に短いため、それにより放出されたガスの移動時間を低減してよい。いくつかの実施形態では、各微少流体弁構造またはかかる弁構造群は、個別に動作可能であり、それにより弁の群の動作または非動作が可能になってよい、および、シャワーヘッドによって供給されるガスの異なる流れ形態が可能になってよい。本明細書に記載の微少流体弁構造は、その内容の全てが参照により本明細書に援用される、米国特許出願第15/346,920号に記載のアクティブシャワーヘッドの弁を提供するために用いられてよい。
【0056】
上述のように、本明細書に記載の微少流体弁構造は、任意の適した機構(例えば、かかる弁構造のダイヤフラムを加圧するために用いられうる空気圧弁の動作)によって作動されてよい。かかる空気圧弁は、半導体処理ツールのコントローラによって制御されてよい。コントローラは、半導体処理装置を備えるシステムの一部であってよく、この半導体装置は、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。これらの電子機器は、システムの様々な構成部品または副部品を制御できる「コントローラ」と呼ばれてよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示されたあらゆるプロセスを制御するだけでなく、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールおよび/または特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出などの、半導体処理に影響する様々なパラメータを制御するようにプログラムされてよい。
【0057】
概して、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形式でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハダイの製造時における1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムと統合もしくは結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、またはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えば、コントローラは、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にあってよい、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または実施の基準を調査して、現行の処理のパラメータを変更し、現行の処理に続く処理工程を設定し、または、新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータの形で命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが結合するまたは制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって上述のように、コントローラは、例えば互いにネットワーク接続された1つ以上の別々のコントローラを含むことと、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的に向けて協働することとによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として)設置され、協働してチャンバでのプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバ上の1つ以上の集積回路だろう。
【0059】
制限するのではなく、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、洗浄チャンバまたは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはCVDモジュール、ALDチャンバまたはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる他の半導体処理システムを含んでよい。
【0060】
上記のように、コントローラは、ツールによって実施される処理工程に応じて、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通してよい。
【0061】
本明細書で用いられる「ウエハ」という用語は、半導体ウエハもしくは基板、または他の類似する種類のウエハもしくは基板を意味してよい。本明細書で用いられるウエハステーションという用語は、様々なウエハ処理動作またはウエハ搬送動作の間にウエハが設置されうる、半導体処理ツール内の任意の場所を意味してよい。本明細書で用いられるウエハ支持体は、半導体ウエハを受け取るまたは支持するように構成されたウエハステーション内の任意の構造(例えば、台座、静電チャック、ウエハ支持棚など)を意味する。
【0062】
本明細書の序数標識(例えば、(a)、(b)、(c)、・・・)の使用は、体系的目的のみのためであり、各序数標識に関連する項目に特定の順序または重要性を伝える意図はないことも理解されたい。例えば、「(a)速度に関する情報を得る、および(b)位置に関する情報を得る」ことは、速度に関する情報を得る前に位置に関する情報を得ることと、位置に関する情報を得る前に速度に関する情報を得ることと、速度に関する情報を得ることと同時に位置に関する情報を得ることとが含まれるだろう。それでも、序数標識に関連するいくつかの項目が、本質的に特定の順序を必要としうる例があるかもしれない。例えば、「(a)速度に関する情報を得る、(b)速度に関する情報に基づいて第1の加速度を決定する、および(c)位置に関する情報を得る」では、(b)は(a)で得られた情報に基づくため、(a)は(b)よりも前に実施される必要があるだろう。しかし(c)は、(a)か(b)のいずれかの前または後に実施されうる。
【0063】
本明細書において「各」という用語(例えば、「1つ以上の<項目>の各<項目>について」または「各<項目>の」という表現)が用いられる場合は、1つの項目群および複数の項目群の両方を含むと理解されるべきであることを理解されたい。すなわち、「~各々について」という表現は、プログラミング言語では、参照される全ての項目集団の各項目を表すという意味で用いられる。例えば、参照された項目集団が1つの項目だった場合は、「各」はその1つの項目のみを指し、(「各」についての辞書的定義が、「2つ以上の物の1つ1つ」を意味する用語と定義されることが多いという事実は差し置いて)少なくとも2つのそれらの項目がなければならないことを意味しないだろう。同様に、1つの選択された項目が1つ以上の準項目を有し、それらの準項目の1つが選択されたとき、選択された項目がただ1つの準項目を有する場合は、その1つの準項目の選択は、項目の選択自体に固有であることが理解されるだろう。
【0064】
概して、様々な機能を実施するように構成された複数のコントローラについての言及は、そのうちの1つのコントローラのみが開示または記載の全ての機能を実施するように構成されている状況と、様々なコントローラの各々が記載の機能の下位部分を実施する状況とを含むことを意図することも理解されるだろう。例えば、自動較正ウエハは、コントローラであって、自動較正ウエハの様々なセンサの動作を制御し、そこからのデータを半導体処理ツールと関連付けられた別のコントローラに通信するように構成されたコントローラを備えてよい。半導体処理ツールコントローラは次に、かかるデータを分析して、半導体処理ツールと共に用いるための様々な動作パラメータを決定してよい。
【0065】
本開示に記載された実施形態の様々な変更は、当業者には容易に明らかになってよく、本明細書で定義された一般的原理は、本開示の精神または範囲を逸脱することなく他の実施形態に適用されてよい。よって、本特許請求の範囲は、本明細書に示された実施形態に限定されることを意図するのではなく、本開示、本明細書に開示の原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲を与えることを意図する。
【0066】
本明細書において、別々の実施形態として記載された特定の特徴は、組み合わせて1つの実施形態で実施されてもよい。これに対して、1つの実施形態として記載された様々な特徴は、複数の実施形態において別々に、または任意の適した部分的組み合わせで実施されてもよい。また、特徴は、特定の組み合わせで機能するとして上述され、そのように最初に主張されたとしても、場合によっては、本発明の組み合わせからの1つ以上の特徴は、その組み合わせで実行されることができ、本発明の組み合わせは、部分的組み合わせまたはその変更形に関してよい。
【0067】
同様に、図面において動作は特定の順番で描かれているが、所望の結果を実現するために、かかる動作が図の特定の順番でもしくは順序で実施されること、または、全ての図の動作が実施されることが必要とは理解されるべきでない。さらに図面は、1つ以上の例示的プロセスをフロー図の形で概略的に表してよい。しかし、図示されていない他の動作は、概略的に表された例示的プロセスに組み込まれうる。例えば、1つ以上の追加動作は、図の動作の前、動作の後、動作と同時に、または動作の間に実施されうる。特定の場合には、マルチタスキングおよび同時処理が有利であってよい。また、上記の実施形態における様々なシステム部品の分離は、全ての実施形態でかかる分離が必要と理解されるべきでなく、記載のプログラム部品およびシステムは一般に、単一ソフトウェア製品に統合されうる、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化されうることを理解されたい。加えて、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。いくつかの場合では、特許請求の範囲に記載された動作は、異なる順番で実施されても所望の結果を実現することができる。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
装置であって、
1つ以上の微少流体弁構造を有する基板であって、前記1つ以上の微少流体弁構造の各微少流体弁構造は、
公称径D d 、第1の面、および前記第1の面の反対側の第2の面を有するダイヤフラムと、
基部と、
前記基部のオリフィスであって、前記基部に平行な平面に断面積A o を有するオリフィスと、
公称外径D o および公称内径D i を有する隆起シート構造と、を備える基板を備え、
各微少流体弁構造について、
前記ダイヤフラムは、非エラストマ材料で作られ、
前記隆起シート構造は、前記基部から前記ダイヤフラムの前記第1の面に向かって延び、
前記ダイヤフラムに面する前記隆起シート構造の表面は、前記微少流体弁構造が非動作状態にあるときは、前記ダイヤフラムの前記第1の面から距離dのギャップだけ分離され、
i は、0.2・D d 以下であり、
o は、
【数1】
以下であり、
前記ダイヤフラム、前記隆起シート構造、および当該微少流体弁構造の前記ギャップは、前記ダイヤフラムの前記第2の面を第1の圧力に加圧することにより当該微少流体弁構造が動作状態に移行したときは、前記ダイヤフラムの位置が前記隆起シート構造に向かって弾性変形し、前記隆起シート構造を密閉するようにサイズ決めされる、装置。
適用例2:
請求項1に記載の装置であって、
前記微少流体弁構造の1つ以上について、A o は、
【数1】
以下であり、A o は、0.9・
【数1】
以上である、装置。
適用例3:
請求項1に記載の装置であって、
前記微少流体弁構造の1つ以上について、A o は、
【数1】
以下であり、A o は、0.8・
【数1】
以上である、装置。
適用例4:
請求項1に記載の装置であって、
前記微少流体弁構造の1つ以上について、A o は、
【数1】
以下であり、A o は、0.7・
【数1】
以上である、装置。
適用例5:
請求項1に記載の装置であって、
前記微少流体弁構造の1つ以上について、A o は、
【数1】
以下であり、A o は、0.6・
【数1】
以上である、装置。
適用例6:
請求項1に記載の装置であって、
前記微少流体弁構造の1つ以上について、A o は、
【数1】
以下であり、A o は、0.5・
【数1】
以上である、装置。
適用例7:
請求項1に記載の装置であって、
前記微少流体弁構造の1つ以上について、A o は、
【数1】
以下であり、A o は、
【数2】
以上である、装置。
適用例8:
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の第1の微少流体弁構造について、
前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第1の面と、前記第1の微少流体弁構造の前記隆起シート構造の前記表面との間の、第1の軸に沿った最大距離は、40μm以下であり、
前記第1の軸は、前記第1の微少流体弁構造の前記隆起シート構造の前記表面に垂直である、装置。
適用例9:
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の第1の微少流体弁構造が前記非動作状態にあるときは、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第1の面は、大気圧以下の圧力に曝され、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第2の面は、大気圧に曝される、装置。
適用例10:
請求項9に記載の装置であって、
前記第1の微少流体弁構造の前記第1の圧力は、大気圧よりも大きい、装置。
適用例11:
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の少なくとも1つの微少流体弁構造の前記ダイヤフラムは、シリコンまたは二酸化シリコンで作られている、装置。
適用例12:
請求項1に記載の装置であって、
前記1つ以上の微少流体弁構造の少なくとも1つは、複数のシリコン層または二酸化シリコン層で作られている、装置。
適用例13:
請求項1に記載の装置であって、
前記装置は、前記1つ以上の微少流体弁構造の少なくとも第1の微少流体弁構造が、前記装置内の流路の一部になるように、ガス源に接続されるように構成され、前記流路は、前記第1の微少流体弁構造の前記隆起シート構造が、前記ガス源と前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムとの間に流体的に置かれるように、前記ガス源に流体接続可能に構成されている、装置。
適用例14:
請求項13に記載の装置であって、さらに、
前記ガス源を備え、前記装置は、前記第1の微少流体弁構造の前記隆起シート構造が、前記ガス源と前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムとの間に流体的に置かれるように、前記ガス源に接続されている、装置。
適用例15:
請求項1に記載の装置であって、さらに、
ダイヤフラム層と、
アクチュエータプレナム層と、
弁プレナム層と、を備え、
前記1つ以上の微少流体弁構造の第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムは、前記ダイヤフラム層によって提供され、
前記ダイヤフラム層の第1の面は、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第1の面を提供し、
前記ダイヤフラム層の第2の面は、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの前記第2の面を提供し、
前記ダイヤフラム層の前記第1の面は、前記弁プレナム層に結合され、
前記ダイヤフラム層の前記第2の面は、前記アクチュエータプレナム層に結合され、
前記アクチュエータプレナム層は、前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの中心に位置する、前記アクチュエータプレナム層を貫通する直径D apl の孔を有し、
前記弁プレナム層は、同様に前記第1の微少流体弁構造の前記ダイヤフラムの中心に位置する、前記弁プレナム層を貫通する直径D vpl の孔を有し、
vpl は、D apl よりも小さい、装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7