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特許7611944ハイブリッド・ゲート構造を有するパワー・デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】ハイブリッド・ゲート構造を有するパワー・デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10D 84/80 20250101AFI20241227BHJP
   H10D 30/66 20250101ALI20241227BHJP
   H10D 12/00 20250101ALI20241227BHJP
【FI】
H01L29/78 656A
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 652E
H01L29/78 652C
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022577496
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 US2021037522
(87)【国際公開番号】W WO2021257634
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】16/907,163
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンヴァルナ―、ダニエル、ジェンナー
(72)【発明者】
【氏名】イスラム、ネーム
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/103000(WO,A1)
【文献】特開2016-058679(JP,A)
【文献】特開2018-010995(JP,A)
【文献】特開2019-121705(JP,A)
【文献】国際公開第2010/110246(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 29/739
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ボディであって、
・前記ボディの中へと延びる第1のソース領域及び第2のソース領域と、
・前記第1のソース領域より下で横方向に重なる第1のチャネル領域及び前記第2のソース領域より下で横方向に重なる第2のチャネル領域と、
・前記第1のチャネル領域より下で横方向に重なる第1のシールディング領域であって、前記第1のチャネル領域よりも高いドーピング濃度を有する第1のシールディング領域と、
・前記第2のチャネル領域より下で横方向に重なる第2のシールディング領域であって、前記第2のチャネル領域よりも高いドーピング濃度を有する第2のシールディング領域と、
・第1のコネクタ領域及び第2のコネクタ領域であって、前記第1のコネクタ領域は前記第1のソース領域に横方向に隣接し、前記第2のコネクタ領域は前記第2のソース領域に横方向に隣接し、前記第1のコネクタ領域及び前記第2のコネクタ領域は前記第1のチャネル領域及び前記第2のチャネル領域と同じ導電型を有し且つ前記第1のチャネル領域及び第2のチャネル領域よりも高いドーピング濃度を有し、前記第1のコネクタ領域は前記第1のシールディング領域に直接接し、前記第2のコネクタ領域は第2のシールディング領域に直接接する、第1のコネクタ領域及び第2のコネクタ領域と、
・前記第1のチャネル領域と前記第2のチャネル領域との間のJFET領域と
を備える、ボディと、
・前記ボディの中へと延びそして前記第1のソース領域と前記第2のソース領域との間に位置するトレンチ内のゲート電極と、
・前記ゲート電極と前記ボディとの間で、前記ゲート電極を前記ボディとは分離するゲート絶縁膜であって、
・前記第1のソース領域及び前記第2のソース領域が前記ゲート電極と縦方向に重なり、
・前記第1のチャネル領域及び前記第2のチャネル領域が前記ゲート電極の底部と横方向に重なり、
・前記第1のチャネル領域と前記第2のチャネル領域とは、前記ゲート電極と縦方向に重ならず、
・前記第1のソース領域と前記第2のソース領域とは、縦方向の軸に沿ってゲート電極と重ならない、ゲート絶縁膜と
を備える、縦型電界効果デバイス。
【請求項2】
前記JFET領域と前記第1及び第2のソース領域との間の前記第1及び第2のチャネル領域内に形成された第1及び第2のチャネルは、前記第1及び第2のチャネル領域のそれぞれが前記ゲート電極の前記底部と横方向に重なる水平セグメントを有する、請求項1に記載の縦型電界効果デバイス。
【請求項3】
前記第1及び第2のチャネル領域が、前記ゲート電極と縦方向には重ならない、請求項2に記載の縦型電界効果デバイス。
【請求項4】
前記JFET領域が第1のシールディング領域と第2のシールディング領域との間にさらに存在する、請求項2に記載の縦型電界効果デバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2のチャネル領域は、前記第1のチャネル領域と前記第2のチャネル領域との間の前記JFET領域の一部分が前記第1のシールディング領域と前記第2のシールディング領域との間の前記JFET領域の一部分よりも狭いように、前記第1及び第2のシールディング領域よりも互いに近接する、請求項4に記載の縦型電界効果デバイス。
【請求項6】
前記第1及び第2のチャネル領域は、前記JFET領域と前記第1及び第2のソース領域との間の前記第1及び第2のチャネル領域内に形成された前記第1及び第2のチャネルが、前記第1及び第2のチャネル領域が前記ゲート電極と縦方向に重なる垂直セグメントを有するように、前記ゲート電極と縦方向に重なる、請求項2に記載の縦型電界効果デバイス。
【請求項7】
前記ゲート電極のどの部分も前記第1及び第2のソース領域と横方向には重ならない、請求項6に記載の縦型電界効果デバイス。
【請求項8】
前記ボディは、前記JFET領域が第1のシールディング領域と第2のシールディング領域との間にさらに存在するように、前記第1のチャネル領域より下で横方向に重なる第1のシールディング領域と、前記第2のチャネル領域より下で横方向に重なる第2のシールディング領域とをさらに備える、請求項6に記載の縦型電界効果デバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2のチャネル領域は、前記第1のチャネル領域と前記第2のチャネル領域との間の前記JFET領域の一部分が前記第1のシールディング領域と前記第2のシールディング領域との間の前記JFET領域の一部分よりも狭いように、前記第1及び第2のシールディング領域よりも互いに近接する、請求項8に記載の縦型電界効果デバイス。
【請求項10】
前記トレンチが、前記ボディに上面から前記トレンチの底まで測定して、0.2umと0.8umとの間の深さを有し、
前記ボディは、第1及び第2のシールディング領域が前記トレンチの前記底よりも2マイクロメートル未満深いように、前記第1のチャネル領域より下で横方向に重なる第1のシールディング領域と、前記第2のチャネル領域より下で横方向に重なる第2のシールディング領域とをさらに備える、請求項2に記載の縦型電界効果デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、縦方向に配向したパワー・デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
パワー金属-酸化物-半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET:metal-oxide-semiconductor field effect transistor)は、大パワー用途での使用に適している一種のMOSFETである。一般に、パワーMOSFETは、縦型構造を有し、ソース及びゲート・コンタクトがMOSFETのボディの上面に設置され、そしてドレイン・コンタクトがMOSFETのボディの底面に設置される。これらの「縦型」MOSFETは、縦拡散MOSFET(VDMOSFET:vertical diffused MOSFET)又は二重拡散MOSFET(DMOSFET:double-diffused MOSFET)と時には呼ばれる。このようなパワー・デバイスは、典型的な用途では、オフ状態で少なくとも300ボルトを遮断することができそしてオン状態で少なくとも1アンペアを伝導することができる。一般に、所与のデバイス面積に関して、ブロッキング電圧が高いほど電流処理が低く、逆も同様である。
【0003】
従来の縦型MOSFETは、基板及びボディの下側部分の基板全体にわたって形成されたドリフト層を一般に含む。1つ又は複数の接合注入部は、ボディの上面からボディの中へと延びる。接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET:junction FET)領域は、ボディの上側部分内の接合注入部同士の間に形成される。接合注入部のそれぞれ1つは、イオン注入プロセスにより形成され、そして少なくとも1つのソース領域を含むだろう。各々のソース領域は、ドリフト層の上面の下の浅い部分に形成される。ゲート構造は、プレーナ構成又はトレンチ構成のうちの一方を一般に取る。プレーナ・デバイスでは、ゲート絶縁膜は、ボディの上面に沿って形成され、各々のソース領域の少なくとも一部分を覆って横方向に延びる。プレーナ・ゲート電極は、ゲート絶縁膜を覆って形成される。トレンチ・デバイスでは、ゲート絶縁膜及びゲート電極は、ボディの上面へと延びそしてソース領域同士の間のトレンチ内に設けられる。ソース・コンタクトはソース領域を覆って形成され、そしてドレイン・コンタクトは基板の底面に形成される。
【0004】
縦型MOSFETの長期信頼性はしばしば、JFET領域とゲート絶縁膜との間の界面の完全性の関数である。さらに、この界面は、MOSFETのゲート-ドレイン間容量を規定し、これが、スイッチング速度、オン状態及びオフ状態の両方におけるゲート・リーク電流、並びにオフ状態におけるブロッキング電圧に直接影響を及ぼす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ボディと、ゲート絶縁膜と、ゲート電極とを有する縦型電界効果デバイスを提供する。上記ボディは、上記ボディの上面から上記ボディの中へと延びる第1のソース領域及び第2のソース領域を有する。第1のチャネル領域が、上記第1のソース領域より下で横方向に重なる。第2のチャネル領域が、上記第2のソース領域より下で横方向に重なる。JFET領域が、上記第1のチャネル領域と上記第2のチャネル領域との間に設けられる。ゲート電極が、上記ボディの上面から前記ボディの中へと延びそして上記第1のソース領域と上記第2のソース領域との間に位置するトレンチ内にある。ゲート絶縁膜が、上記ゲート電極と上記ボディとの間で、上記ゲート電極を上記ボディとは分離する。上記第1のソース領域及び上記第2のソース領域が、上記ゲート電極と縦方向に重なる。上記第1のチャネル領域及び上記第2のチャネル領域が、上記ゲート電極の底部と横方向に重なる。上記JFET領域と上記第1及び第2のソース領域との間の上記第1及び第2のチャネル領域内に形成された各々のチャネルは、上記第1及び第2のチャネル領域が上記ゲート電極の上記底部と横方向に重なる水平セグメントを有する。
【0006】
1つの実施例では、上記第1及び第2のチャネル領域が、上記ゲート電極と縦方向には重ならない。上記ボディはまた、上記JFET領域が第1のシールディング領域と第2のシールディング領域との間にさらに存在するように、上記第1のチャネル領域より下で横方向に重なる第1のシールディング領域と、上記第2のチャネル領域より下で横方向に重なる第2のシールディング領域とを有することができる。上記第1及び第2のチャネル領域は、上記第1のチャネル領域と上記第2のチャネル領域との間の上記JFET領域の一部分が上記第1のシールディング領域と上記第2のシールディング領域との間の上記JFET領域の一部分よりも狭いように、上記第1及び第2のシールディング領域よりも互いに近接することができる。
【0007】
もう1つの実施例では、上記第1及び第2のチャネル領域は、上記JFET領域と上記第1及び第2のソース領域との間の上記第1及び第2のチャネル領域内に形成された各々のチャネルが、上記第1及び第2のチャネル領域がまた上記ゲート電極と縦方向に重なる垂直セグメントも有するように、上記ゲート電極と縦方向に重なる。
【0008】
1つの変形例では、上記ゲート電極のどの部分も上記第1及び第2のソース領域と横方向には重ならない。上記ボディはまた、上記JFET領域が第1のシールディング領域と第2のシールディング領域との間にさらに存在するように、上記第1のチャネル領域より下で横方向に重なる第1のシールディング領域と、上記第2のチャネル領域より下で横方向に重なる第2のシールディング領域とを有することができる。上記第1及び第2のチャネル領域は、上記第1のチャネル領域と上記第2のチャネル領域との間の上記JFET領域の一部分が上記第1のシールディング領域と上記第2のシールディング領域との間の上記JFET領域の一部分よりも狭いように、上記第1及び第2のシールディング領域よりも互いに近接することがある。
【0009】
複数の実施例のうちのいずれかでは、上記第1及び第2のソース領域が、N型物質でドープされることがあり、上記第1及び第2のチャネル領域がP型物質でドープされることがある。上記電界効果デバイスが、金属酸化物半導体電界効果デバイス(MOSFET)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT:insulated gate bipolar transistor)、等であってもよい。
【0010】
ある種の実施例では、上記トレンチが、上記ボディに上面から上記トレンチの底まで測定して、0.25umと1.0umとの間、0.5umと1.25umとの間、0.5umと1.5umとの間、及び0.75umと1.5umとの間の深さを有する。上記ボディは、上記第1及び第2のシールディング領域が上記トレンチの上記底よりも2マイクロメートル未満深いように、上記第1のチャネル領域より下で横方向に重なる第1のシールディング領域と、上記第2のチャネル領域より下で横方向に重なる第2のシールディング領域とをさらに含んでもよい。
【0011】
ある種の実施例では、上記電界効果デバイスが、オフ状態では少なくとも300ボルト、600ボルト、900ボルト、1200ボルト、1700ボルト、2200ボルト、3500ボルト、6500ボルト、又は10000ボルトを遮断でき、そしてオン状態では少なくとも1アンペア、5アンペア、10アンペア、20アンペア、50アンペア、又は100アンペアを伝導できる。
【0012】
当業者は、添付の描かれた図とともに好ましい実施例の次の詳細な説明を読んだ後で本開示の範囲を認識するだろう、そして本開示の追加の態様をはっきり理解するだろう。
【0013】
この明細書に組み込まれそして一部を形成する添付の描かれた図は、開示のいくつかの態様を図示し、そして上記説明とともに開示の原理を説明することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】関連技術による、プレーナ・ゲート構造を有する縦型MOSFETの断面図である。
図2】関連技術による、プレーナ・ゲート構造を有するトレンチ型MOSFETの断面図である。
図3】開示の第1の実施例によるハイブリッドMOSFETの断面図である。
図4】開示の第2の実施例によるハイブリッドMOSFETの断面図である。
図5】開示の第3の実施例によるハイブリッドMOSFETの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下に述べる複数の実施例は、上記実施例を当業者が実行することを可能にするために必要な情報を表し、そして実施例を実行する最善のモードを図示する。添付の描かれた図を考慮して次の説明を読むと、当業者は、開示の概念を理解するだろうそして本明細書では特別に扱っていないこれらの概念の応用をはっきりと理解するだろう。これらの概念及び応用が本開示及び別記の特許請求の範囲の範囲内になることが理解されるはずである。
【0016】
第1の、第2の、等という用語が、本明細書では様々な要素を記述するために使用されることがあるとはいえ、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるだろう。これらの用語は、1つの要素をもう1つとは区別するために使用されるに過ぎない。例えば、第1の要素が第2の要素と呼ばれてもよく、そして同様に、第2の要素が、本開示の範囲から逸脱せずに第1の要素と呼ばれてもよい。本明細書において使用されるように、「及び/又は」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。
【0017】
層、領域又は基板などの要素がもう1つの要素の「上に(on)」ある又は「上へと(onto)」延びると呼ばれるときには、他の要素の直接上にある若しくは直接上へと延びる又は介在する要素もまた存在してもよいことが理解されるだろう。対照的に、ある要素がもう1つの要素の「直接上に」ある又は「直接上へと」延びると呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。同じように、層、領域、又は基板などのある要素が、もう1つの要素を「覆う(over)」又は「覆って」延びると呼ばれるときには、他の要素を直接覆う若しくは直接覆って延びてもよい又は介在する要素もまた存在してもよいことが理解されるだろう。対照的に、ある要素がもう1つの要素を「直接覆う」又は「直接覆って」延びると呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。ある要素がもう1つの要素に「接続される(connected)」又は「結合される(coupled)」と呼ばれるときには、他の要素に直接接続される若しくは結合されてもよい、又は介在する要素が存在してもよいこともまた理解されるだろう。対照的に、ある要素がもう1つの要素に「直接接続される」又は「直接結合される」と呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。
【0018】
「より下に(below)」若しくは「より上に(above)」又は「上部に(upper)」若しくは「下部に(lower)」又は「水平に(horizontal)」若しくは「垂直に(vertical)」などの相対的な用語は、図に図示されたように1つの要素、層又は領域のもう1つの要素、層又は領域に対する関係を記述するために本明細書では使用されることがある。これらの用語及び上に論じたものは、図に描かれた向きに加えてデバイスの違った向きを包含するものであることが理解されるだろう。
【0019】
本明細書において使用される用語法は、単に特定の実施例を説明する目的のためであり、開示を限定するものではない。本明細書において使用されるように、「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」という単数形は、文脈が別に明らかに指示しない限り、同様に複数形を含むものである。本明細書において使用されるときに「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」という用語が、述べた特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除しないことがさらに理解されるだろう。
【0020】
別に規定しない限り、本明細書において使用される(技術用語及び科学用語を含め)すべての用語は、この開示が属する技術の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書において使用される用語が、この明細書の文脈及び関連する技術におけるそれらの意味と整合する意味を有するように解釈されるべきであることがさらに理解されるだろう、そして本明細書において明示的にそのように規定されない限り理想化された概念で又は過度に形式ばった感覚では解釈され得ない。
【0021】
一般に、本開示は、ボディ、ゲート絶縁膜、及びゲート電極を有する縦型電界効果デバイスを提供する。ボディは、ボディの上面からボディの中へと延びる第1のソース領域及び第2のソース領域を有する。第1のチャネル領域は、第1のソース領域より下で横方向に重なる。第2のチャネル領域は、第2のソース領域より下で横方向に重なる。JFET領域が、第1のチャネル領域と第2のチャネル領域との間に設けられる。ゲート電極は、ボディの上面からボディの中へと延びるトレンチ内にあり、そして第1のソース領域と第2のソース領域との間に位置する。ゲート絶縁膜は、ゲート電極とボディとの間にありそしてボディからゲート電極を分離する。
【0022】
第1のソース領域及び第2のソース領域は、ゲート電極と縦方向に重なる。第1のチャネル領域及び第2のチャネル領域は、ゲート電極の底部と横方向に重なる。したがって、JFET領域と第1及び第2のソース領域との間の第1及び第2のソース領域内に形成された各々のチャネルは、第1及び第2のチャネル領域がゲート電極の底部と横方向に重なる水平セグメントを有する。
【0023】
1つの実施例では、第1及び第2のチャネル領域は、ゲート電極と縦方向には重ならない。ボディはまた、JFET領域が第1のシールディング領域と第2のシールディング領域との間にさらに存在するように、第1のチャネル領域より下で横方向に重なる第1のシールディング領域及び第2のチャネル領域より下で横方向に重なる第2のシールディング領域も有することができる。第1及び第2のチャネル領域は、第1のチャネル領域と第2のチャネル領域との間のJFET領域の一部分が第1のシールディング領域と第2のシールディング領域との間のJFET領域の一部分よりも狭いように、第1及び第2のシールディング領域よりも互いに近接してもよい。
【0024】
もう1つの実施例では、第1及び第2のチャネル領域は、JFET領域と第1及び第2のソース領域との間の第1及び第2のソース領域内に形成された各々のチャネルもまた第1及び第2のチャネル領域がゲート電極と縦方向に重なる垂直セグメントを有するように、ゲート電極と縦方向に重なる。1つの変形例では、ゲート電極のどの部分も、第1及び第2のソース領域と横方向には重ならない。開示の概念を詳細に探究することに先立って、ある種の関連する技術の概観が提供される。
【0025】
図1は、従来のプレーナ型MOSFET10Pを示す。プレーナ型MOSFET10Pは、基板12及び基板12に形成されたドリフト領域14を含むボディBを有する。1つ又は複数の接合注入部16がボディBの上面からボディBの中へと延び、ここでは上面は、基板とは反対側である。接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET)領域18が、接合注入部16同士の間に設けられる。複数の接合注入部16のうちの各々1つは、イオン注入プロセスによって形成され、そして典型的には、シールディング領域20、チャネル領域22、ソース領域24、及びコネクタ領域26を含む。
【0026】
ソース領域24は、JFET領域18の両側のボディBの最上部に設けられる。各々のチャネル領域22は、対応するソース領域24とJFET領域18との間に存在する。各々のシールディング領域20は、対応するチャネル領域22、ソース領域24、及びコネクタ領域26より下に存在する部分を有する。各々のコネクタ領域26は、対応するソース領域24の外側にある又は横方向に隣り合い、ドリフト領域14の上面と対応するシールディング領域20との間に延びる。図示した例では、シールディング領域20は、JFET領域18からチャネル領域22の底部部分及びソース領域24に沿って、そしてソース領域24の外側部分に沿ってドリフト領域14の上面に向かって上向きに延びる。したがって、各々のチャネル領域22は、ドリフト領域14の上面、JFET領域18、シールディング領域20、及びソース領域24により境界を形成される。
【0027】
典型的な構成では、ドリフト領域14及びJFET領域18は、約1×1014cm-3と1×1018cm-3との間の濃度でN型ドーピング物質を用いて中間濃度(N)にドープされる。シールディング領域20は、約1×1017cm-3と5×1019cm-3との間の濃度でP型ドーピング物質を用いて高濃度(P+)にドープされる。チャネル領域22は、約1×1015cm-3と1×1018cm-3との間の濃度でP型ドーピング物質を用いて中間濃度(P)にドープされる。ソース領域24は、約1×1018cm-3と1×1021cm-3との間の濃度でN型ドーピング物質を用いて高濃度(N+)にドープされる。コネクタ領域26は、約1×1018cm-3と1×1021cm-3との間のおおよその濃度同士の間の濃度でP型ドーピング物質を用いて高濃度にドープされる。濃度レベルは、単に例示的であり、そしてデバイスの性能基準に依存して実施例毎に変わるだろう。
【0028】
基板12は、Nドープの、単結晶、SiC基板12であってもよい。基板12は、2H、4H、6H、3C、等などの様々な結晶ポリタイプを有することがある。他の実施例では、基板12はまた、窒化ガリウム(GaN)、ガリウム・ヒ素(GaAs)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、SiGe、等などの他の材料系から形成されてもよい。基板12は、約1×1017cm-3と1×1019cm-3との間の濃度でN型ドーパントを用いて高濃度にドープされてもよく、そして約100ミクロンと600ミクロンとの間の厚さを有することがあるが、しかしながら、基板12及び他の層のドーピング濃度及び厚さは、MOSFET10Pの望まれるパラメータに基づいて変わってもよい。
【0029】
ドリフト領域14は、全体にわたって比較的一様にドープされることがある、又はドリフト領域14のすべて又は一部分にわたって傾斜ドーピングを利用できる。一様にドープされたドリフト領域14に関して、ドーピング濃度は、デバイスの定格電圧に依存して、1つの実施例では約1×1014cm-3と2×1016cm-3との間であってもよい。例えば、10,000ボルトを超える定格電圧を有するデバイス用のドリフト領域14は、1×1014cm-3付近のドーピング濃度を有することがあり、そして100ミクロン内外の厚さであってもよく、一方で650ボルトの定格電圧を有するデバイスは、1×1014cm-3付近のドーピング濃度を有することがあり、そして6ミクロン内外の厚さであってもよい。
【0030】
ドリフト領域14内のドーピング濃度が傾斜である場合には、ドリフト領域14は、底部のところで1×1018cm-3の最大ドーピングを有することができ、そして最上部近くでデバイス定格に対して必要なレベルまで低下することがある。より高濃度にドープされた領域は、低濃度にドープされたドリフト領域よりも一般にはるかに薄くてもよいはずである。他の実施例では、ドーピング濃度は、ドリフト領域14の底部から最上部へドリフト領域14内で増加してもよい。
【0031】
ドリフト領域14は、1つ又は複数の部分を含むことができる。多数の部分が設けられる場合には、上側部分が広がり層を表してもよく、そして下側部分がドリフト層を表してもよい。1つ又は複数の上側広がり層及び1つ又は複数の下側ドリフト層を含む実施例では、広がり層は、ドリフト層より直ぐ上に設けられ、電界のさらなる減少を助けそして電流がドリフト層及びドレイン・コンタクト34に向かって下向きに流れるにつれて電流の広がりを容易にする。広がり層は、電流経路内の抵抗を低下させるようなやり方でドープされる。広がり層の使用は、デバイスのON抵抗を低下させる、ここではON抵抗の低下は、高効率デバイスをもたらすことができる。
【0032】
ある種の実施例では、広がり層は、1×1016cm-3と4×1016cm-3との間のドーピング濃度を有することがあり、そしてほぼ1マイクロメートルから3マイクロメートルの厚さであってもよい。広がり層内のドーピング濃度は、一様であっても傾斜であってもよく、ここでは相対的アクション・ドーピング濃度は、デバイスの望まれる特性に依存して広がり層の底部から最上部まで増加してもよい又は減少してもよい。一様に又は傾斜してドーピングされたドリフト層は、一様な又は傾斜した広がり層と対を形成することがある。本明細書において説明する下記の複数の実施例のうちのいずれかが、ドリフト領域14内の広がり層及びドリフト層で構成されてもよい。
【0033】
ゲート絶縁膜28は、ボディBの上面に沿って形成され、そして各々のソース領域24同士の間で横方向に延び、その結果ゲート電極28の一部分がチャネル領域22及びソース領域24の少なくとも一部分を覆って延びる。ゲート(G)電極30は、ゲート絶縁膜28を覆って形成される。ゲート絶縁膜28及びゲート電極30のプレーナな性質は、プレーナ型MOSFET10Pというその名前を与える。
【0034】
ソース(S)コンタクト32は、ドリフト領域14の上面に及びソース領域24を覆って形成され、その結果ソース・コンタクト32のうちの各々1つが、ゲート絶縁膜28又はゲート電極30とは接触せずにソース領域24及びコネクタ領域26の両方の対応する部分と部分的に重なる。ドレイン(D)コンタクト34は、ドリフト領域14の反対の基板12の底面に設置される。
【0035】
動作では、バイアス電圧がゲート電極30に印加されずそしてドレイン・コンタクト34が正にバイアスされるときには、各々のシールディング領域20とドリフト領域14との間のP-N接合は、逆バイアスされ、それによってプレーナ型MOSFET10PをOFF状態に置く。プレーナ型MOSFET10PのOFF状態では、ソース・コンタクト32とドレイン・コンタクト34との間のいかなる電圧もドリフト領域14によって維持され、そしてリーク電流だけがこれらのコンタクトの間を流れるだろう。プレーナ型MOSFET10Pの縦構造のために、大きな電圧が、デバイスを損傷せずにソース・コンタクト32とドレイン・コンタクト34との間にかけられることがある。
【0036】
正バイアスがプレーナ型MOSFET10Pのゲート電極30に印加されるときには、横方向チャネルがゲート電極30の直下のドリフト領域14の上面より直ぐ下の各々のチャネル領域22内に形成され、それによってプレーナ型MOSFET10PをON状態に置く。ON状態では、電流(破線により示される)は、それぞれのソース領域24から、ソース・コンタクト32を介して、ドリフト領域14のJFET領域18へと各々のチャネル領域22内に形成された横方向チャネルを通って横方向に流れる。とりわけ、電流は、ソース領域24の一部分を通って横方向に主として流れる。
【0037】
JFET領域18では一旦、電流は、ドレイン・コンタクト34へ向かってドリフト領域14を通って下向きに流れる。シールディング領域20と、チャネル領域22と、ドリフト領域14との間に形成されたP-N接合のところに存在する電界は、JFET領域18の真ん中を通って電流を流れさせる傾向がある。電流が流れるJFET領域18の真ん中は、JFETチャネルと呼ばれる。広がり深さ(spreading depth)と呼ばれるある深さに達した後で、接合注入部16により引き起こされた電界が、消滅し始める。消滅する電界は、電流がドレイン・コンタクト34に向かってドリフト領域14を通ってさらに下向きに流れるにつれて電流が広がることを可能にする。
【0038】
MOSFET10Pのようなプレーナ・デバイスに関して、ゲート電極30は、広いことが必要であり、そしてチャネル領域22内のチャネルが水平であるようにソース領域24と横方向に重なる。チャネル長は、図1で特定される横方向ゲート長(LL)により表される。どれだけのゲート電極30がソース領域24の各々と重なるかの尺度であるゲート-ソース重なり(GOL)もまた水平である。したがって、MOSFET10Pの全体的なゲート構造は、横方向に広がりそして大きな面積を要する、これは一般にコストを上昇させそしてこのようなデバイスを小さくさせる現在起きている要望に逆行する。
【0039】
プレーナ・デバイスの利点は、ゲート絶縁膜28が折れ曲がる又はゲート電極を取り囲む角を持たないことである。ゲート絶縁膜28のこのような折れ曲がり又は角は、動作中に内部で発生する高い電界に起因する経時的な劣化を受け易い。このような劣化は、デバイス性能の低下及び故障に導く。さらに、シールディング領域20が一般に比較的浅いという理由で、シールディング領域20を作り出すための非常に深い注入の必要性がない。
【0040】
図2は、トレンチ型MOSFET10Tと呼ばれるもう1つの従来のMOSFET構成を図示する。図1のプレーナ型MOSFET10Pと図2のトレンチ型MOSFET10Tとの間の根本的な違いは、ゲート構造の構成にある。上に記したように、プレーナ型MOSFET10Pは、ゲート絶縁膜28及びゲート電極30を有し、これらは両方とも平面状でありボディBの上面を覆って存在する。トレンチ型MOSFET10Tはこれに反して、ボディBの上面からボディBの中へとリセスされる「トレンチ」内に存在するゲート絶縁膜28及びゲート電極30を有する。この実施例では、ボディBの上面からトレンチの底までのトレンチの深さは、典型的には1umから2umまでの範囲である。
【0041】
ソース領域24は、ゲート電極30の両側に形成され、ゲート絶縁膜28によってゲート電極30とは隔てられる。チャネル領域22が、ソース領域24の内側部分より下でシールディング領域20の一部分とゲート電極30との間に形成される。ゲート絶縁膜28は、ソース領域24、チャネル領域22、シールディング領域20、及びJFET領域18からゲート電極30を絶縁する。
【0042】
動作では、バイアス電圧がゲート電極30に印加されずそしてドレイン・コンタクト34が正にバイアスされるときには、各々のシールディング領域20とドリフト領域14との間のP-N接合は、逆バイアスされ、それによってトレンチ型MOSFET10TをOFF状態に置く。OFF状態では、ソース・コンタクト32とドレイン・コンタクト34との間のすべての電圧は、ドリフト領域14により維持され、そしてリーク電流だけがこれらのコンタクトの間を流れるだろう。
【0043】
正バイアスが、トレンチ型MOSFET10TをON状態に置くためにゲート電極30に印加される。ON状態では、垂直チャネルが、対応するソース領域24からJFET領域18までゲート絶縁膜28に沿って各々のチャネル領域22内に形成される。電流(破線により示される)は、各々のチャネル領域22内に形成された垂直チャネルを通り、それぞれのソース領域24から、ソース・コンタクト32を介してドリフト領域14のJFET領域18へと縦方向に流れる。JFET領域18では一旦、電流はドレイン・コンタクト34に向かってドリフト領域14を通り下向きに流れる。
【0044】
典型的なトレンチ型レイアウトに関して、垂直ゲート長(VL)によって表されるチャネル及びゲート-ソース重なり(GOL)の両方は、ゲート構造の幅(すなわち、ピッチ)を減少させるため及び電流密度を増加させるために縦である。炭化ケイ素SiCデバイスでは、縦方向に向けられたチャネルが、より大きな電子移動度をもたらし、それゆえにより高い電流能力を与える。しかしながら、トレンチ型MOSFET10Tなどのトレンチ型デバイスに関して、シールディング領域20は、ボディBの上面より下で1マイクロメートルよりもしばしば大きく、多くの注入装置が典型的に達し得るものよりもはるかに深い。シールディング領域20は、プレーナ・デバイスの性能に釣り合ったJFET領域18のシールディングを保つために、ゲート電極30用のトレンチの深さだけプレーナ・デバイスに対して一般に深くされる。トレンチ型MOSFET10Tなどのトレンチ・デバイスのもう1つの弱点は、トレンチ内のゲート絶縁膜28の角がJFET領域18内に露出され、したがって、ブロッキング電流が流れるときに高電界を受けることである。上に記したように、ゲート絶縁膜28を形成するために使用される酸化物は、高電界に曝されたときに故障しがちである。
【0045】
次の実施例は、リセス型ゲート構造と少なくとも水平セグメントを有するチャネルとの両方を採用するハイブリッド・ゲート・アーキテクチャを提供することによって上に説明したプレーナ設計及びトレンチ設計よりも改善する。図3を参照して、ハイブリッドMOSFET10Hは、ドリフト領域14の上面からドリフト領域14の中へとリセスされる「トレンチ」内に存在するゲート絶縁膜28及びゲート電極30を有する。ソース領域24は、ゲート電極30の両側に設けられ、そしてゲート絶縁膜28によってゲート電極30とは隔てられる。チャネル領域22が、ソース領域24より下に形成され、そしてゲート電極30の一部分の下方に延びる。各々のチャネル領域22の第1の部分は、ゲート電極30の一部分より下で横方向に重なり、そして各々のチャネル領域22の第2の部分は、ソース領域24の少なくとも一部分より下で横方向に重なる。この実施例に関して、チャネル領域22のどの部分もゲート電極30のいずれの部分とも縦方向には重ならない。再び、ゲート絶縁膜28は、ソース領域24、チャネル領域22、シールディング領域20、及びJFET領域18からゲート電極30を絶縁する。ボディBの上面からトレンチの底までのトレンチの深さは、0.2マイクロメートルから1.0マイクロメートルまで、0.2マイクロメートルから0.5マイクロメートル、0.4マイクロメートルから0.8マイクロメートル、0.5umから1.0um、等の範囲にわたる。トレンチの深さは、非限定的である。
【0046】
動作では、バイアス電圧がゲート電極30に印加されずそしてドレイン・コンタクト34が正にバイアスされるときには、各々のシールディング領域20とドリフト領域14との間のP-N接合は、逆バイアスされ、それによってハイブリッドMOSFET10HをOFF状態に置く。OFF状態では、ソース・コンタクト32とドレイン・コンタクト34との間のすべての電圧は、ドリフト領域14により維持され、そしてリーク電流だけがこれらのコンタクト同士の間を流れるだろう。
【0047】
正バイアスが、ハイブリッドMOSFET10HをON状態に置くためにゲート電極30に印加される。ON状態では、チャネルが、ソース領域24からJFET領域18へと流れる電流のために各々のチャネル領域22内に形成される。ゲート電極30がドリフト領域14の中へとリセスされるとしても、各々のチャネルは、ゲート電極30の一部分と横方向に重なるチャネル領域22の一部分に水平セグメントを有する。したがって、電流(破線により示される)は、それぞれのソース領域24から、ソース・コンタクト32を介して、ドリフト領域14のJFET領域18へと各々のチャネル領域22内に形成された実質的に水平なチャネルを通って流れる。JFET領域18では一旦、電流は、基板12を通ってドレイン・コンタクト34に向かってドリフト領域14を通り下向きに流れる。一般に、電流は、ゲート電極30がチャネル領域22に隣り合うチャネル領域22を通って流れるだけである。
【0048】
この実施例に関するシールディング領域20は、チャネル領域22の全部又はほんの一部分と横方向に重なることがある。図示したように、シールディング領域20は、チャネル領域22及びコネクタ領域26のすべてと横方向に重なる。とりわけ、チャネル領域22及びシールディング領域20の内部の縦方向境界は、実質的に整列し、そしてJFET領域18の縦方向境界を共に画定する。
【0049】
図3の実施例に関して、ソース領域24同士の間の比較的浅いトレンチ形成は、ゲート-ソース重なり(GOL)を縦方向にし、したがってより小さなデバイス・ピッチ(すなわち、より小さな幅)、そしてしたがって、より大きな電流密度を可能にする。シールディング領域20は、同じブロッキング能力を保つためにシャロー・トレンチ深さの大きさ(例えば、プレーナ・デバイスに対するよりもほぼ0.2から0.4マイクロメートル大きい)だけ深いことだけが必要である。例えば、ゲート電極30及びゲート絶縁膜28用のトレンチ深さが0.2umから0.8umまでの範囲にわたる場合には、シールディング領域20の深さは、0.5から2umまでボディの中へと延びるだろう。結果として、ハイブリッドMOSFET10Hは、同等のプレーナ・デバイスに対するよりもゲート-ソース重なりの2倍(2×GOL)だけ狭いセル・ピッチを与え、過度に深いシールディング領域20を必要とせずに同じレイアウト設計ルールに対するより高い電流密度を意味する。ある種の製造プロセスに関して、ボディBの上面から1.5ミクロンを超えないシールディング領域を有することが好ましい。また、存在する角がチャネル領域22及びシールディング領域20によってドリフト領域14内の電界からシールドされるという理由で、高電界に曝されるゲート絶縁膜には角がない。
【0050】
ハイブリッドMOSFET10H’に関する第2の実施例が図4に図示される。ハイブリッドMOSFET10H’もまた、ドリフト領域14の上面からドリフト領域14の中へとリセスされる「トレンチ」内に存在するゲート絶縁膜28及びゲート電極30を有する。ソース領域24は、ゲート電極30の両側に設けられ、そしてゲート絶縁膜28によってゲート電極30とは隔てられる。図3のハイブリッドMOSFET10Hと図4のハイブリッドMOSFET10H’との間の違いは、主としてゲート電極30に対するチャネル領域22の構成に存在する。
【0051】
チャネル領域22は、ソース領域24より下に形成され、そしてゲート電極30の下方の部分に延び、その結果、
・各々のチャネル領域22の第1の部分が、ゲート電極30の一部分より下で横方向に重なり、
・各々のチャネル領域の第2の部分が、ソース領域24より下で少なくとも一部分と横方向に重なり、
・各々のチャネル領域22の第2の部分が、ゲート電極30の横で一部分と縦方向に重なる。
【0052】
図4に図示した構成は、MOSFET10H’がON状態であるときに、チャネル領域22の各々に垂直セグメント及び水平セグメントの両方を有するチャネルを形成する。各々のチャネルの水平セグメントは、ゲート電極30の一部分と横方向に重なる各々のチャネル領域22の第1の部分内に存在する。各々のチャネルの垂直セグメントは、ゲート電極30の一部分と縦方向に重なる各々のチャネル領域22の第2の部分内に存在する。したがって、電流は、ソース領域24からJFET領域18へと対応するチャネル領域22を通って流れるだろう(破線により示される)。チャネル領域22を通って流れるときに、電流は、ゲート電極30と縦方向に重なるチャネル領域22の部分のチャネルの垂直セグメントに沿ってソース領域24から下に向かって流れ、次いでゲート電極30と横方向に重なるチャネル領域22の部分のチャネルの水平セグメントを通って水平方向に流れるだろう。JFET領域18では一旦、電流は、基板12を通ってドレイン・コンタクト34に向かってドリフト領域14を通って下向きに流れる。図示したように、電流は一般に、ゲート電極30がチャネル領域22に隣り合うチャネル領域22を通って流れるだけである。
【0053】
バイアス電圧がゲート電極30に印加されずそしてドレイン・コンタクト34が正にバイアスされるときには、各々のシールディング領域20とドリフト領域14との間のP-N接合は、逆バイアスされ、それによってハイブリッドMOSFET10H’をOFF状態に置く。OFF状態では、ソース・コンタクト32とドレイン・コンタクト34との間のすべての電圧がドリフト領域14によって維持され、そしてリーク電流だけがこれらのコンタクト同士の間を流れるだろう。
【0054】
シールディング領域20は、チャネル領域22の全部又はほんの一部分と横方向に重なることがある。図4の実施例に関して、シールディング領域20は、チャネル領域22の大部分又はすべてと横方向に重なる。したがって、シールディング領域22の複数の部分は、チャネル領域22の複数の部分がゲート電極30とシールディング領域20との間に存在するにもかかわらず、ゲート電極30の複数の部分と重なる。とりわけ、チャネル領域22とシールディング領域20との内部の垂直な境界は、実質的に整列され、そしてJFET領域18の垂直な境界を共に画定する。チャネル領域22とシールディング領域20との内部境界は、整列される必要がない又は垂直である必要がない。
【0055】
図4の実施例は、ゲート電極30及びゲート絶縁膜28用のわずかに深いトレンチを提供する。例えば、トレンチは、0.3から1.3マイクロメートルの範囲に及んでもよい。図3の実施例に比較してソース領域24同士の間のこのエリアのわずかに深いトレンチ形成は、垂直ゲート-ソース重なり(GOL)を拡張する。さらに、チャネルは、垂直部分及び水平部分を有し、そこではチャネルがV+LL(すなわち、垂直成分及び横方向成分)として表されそして図4に強調された総合的なゲート長を有する。結果は、図4のハイブリッドMOSFET10H’に関してさらに小さなデバイス・ピッチ及びさらに高い電流密度である。SiC(0001)での垂直チャネルは、同様により大きな電子移動度を有するだろう。シールディング領域20は、同じブロッキング能力を保つためにトレンチ深さの大きさだけプレーナ・デバイスに対するよりも深い(例えば、プレーナ・デバイスに対するよりもほぼ0.3から0.6マイクロメートル大きい)ことが必要である。ゲート電極30及びゲート絶縁膜28用のトレンチ深さは、0.3から1.3マイクロメートルまで、0.5から1.1マイクロメートル、0.7から1.0マイクロメートル、等の範囲に及ぶことがある。ある種の非限定的な実施例では、シールディング領域20の深さは、0.6から2マイクロメートルまで、0.9から1.7マイクロメートル、又は1.1から1.4マイクロメートルに延びてもよい。
【0056】
図5は、ハイブリッドMOSFET10H”のもう1つの実施例を図示する。この実施例では、シールディング領域20の内部側壁がチャネル領域22の内部側壁からリセス・バックされ、その結果、チャネル領域22同士の間のJFET領域18の部分がシールディング領域20同士の間のJFET領域18の部分よりも狭い。図4の実施例と比較してわずかなピッチ密接化があり、これによって類似の又は向上したシールディングそしてより大きな電流密度さえ提供する。チャネル領域22及びシールディング領域20に関するこれらの内側側壁は、実質的に垂直であってもよいし、角度を付けられてもよい。側壁の向き並びに相互の重なり及びゲート電極30に対する重なりの大きさは、望まれる性能特性、サイズ、コスト、等に基づいて変わるだろう。もう1つの実施例では、シールディング領域20は、チャネル領域22の内部側壁を通り越して横方向の内側に延びる。
【0057】
ここで説明した概念は、MOSFET及び絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタなどの他の絶縁ゲート・デバイスに限定されないだけでなく特に有益である。とりわけ、本明細書において使用したようにソース、ゲート及びドレインという用語は、エミッタ、ベース、及びコレクタをそれぞれ含むように見なされ、したがって、別記の特許請求の範囲は、各々の領域又はコンタクトがどのように名前を付けられるかに拘わらずすべてのこのような絶縁ゲート・デバイスをカバーするものである。
【0058】
当業者は、本開示の好ましい実施例への改善及び修正を認識するだろう。すべてのそのような改善及び修正は、本明細書において開示した概念及び別記の特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5