(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】大豆含有乾燥麺類、麺セット及び大豆含有乾燥麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20241227BHJP
【FI】
A23L7/109 A
(21)【出願番号】P 2024022896
(22)【出願日】2024-02-19
【審査請求日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2023047772
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003753
【氏名又は名称】弁理士法人シエル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 佑尚
(72)【発明者】
【氏名】橋岡 靖隆
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 正則
(72)【発明者】
【氏名】中山 大地
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-215415(JP,A)
【文献】特開2005-218409(JP,A)
【文献】特開2014-008028(JP,A)
【文献】特開2012-130345(JP,A)
【文献】再公表特許第2006/013954(JP,A1)
【文献】特開2006-109708(JP,A)
【文献】国際公開第2022/149801(WO,A1)
【文献】International Food Research Journal,2019年,Vol.26, No. 2,pp.421-428
【文献】特集1 転換期迎える中食市場,月刊フードケミカル,第37巻第8号,2021年,第38頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/AGRICOLA/BIOSIS/BIOTEHCNO/CABA/CAPLUS/SCISEARCH/TOXCENTER(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料粉全質量に対して、
大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、
グルテンを5~15質量%と、
温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.2質量%以上0.6質量%未満と、
を含有
し、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース以外の水溶性食物繊維を実質的に含有しない大豆含有乾燥麺類。
【請求項2】
大豆粉と、グルテンと、
温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有
すると共に、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース以外の水溶性食物繊維を実質的に含有せず、
前記大豆粉含有量が、原料粉全質量の30質量%以上84質量%未満であり、
前記グルテン含有量が、前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部であり、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が、前記大豆粉100質量部あたり0.39質量部以上1.2質量部未満である大豆含有乾燥麺類。
【請求項3】
更に、アルギン酸エステルを含有する請求項1又は2に記載の大豆含有乾燥麺類。
【請求項4】
大豆粉と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルギン酸エステルとを含有し、
前記大豆粉含有量が、原料粉全質量の30質量%以上84質量%未満であり、
前記グルテン含有量が、原料粉全質量の5~15質量%であり、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が、原料粉全質量の0.2質量%以上であり、
前記アルギン酸エステルと前記ヒドロキシプロピルセルロースの総含有量が、原料粉全質量の0.3~4質量%である大豆含有乾燥麺類。
【請求項5】
大豆粉と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルギン酸エステルとを含有し、
前記大豆粉含有量が、原料粉全質量の30質量%以上84質量%未満であり、
前記グルテン含有量が、前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部であり、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が、前記大豆粉100質量部あたり0.39質量部以上であり、
前記アルギン酸エステルと前記ヒドロキシプロピルセルロースの総含有量が、前記大豆粉100質量部あたり0.59~7.5質量部以上である大豆含有乾燥麺類。
【請求項6】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sである
請求項4又は5に記載の大豆含有乾燥麺類。
【請求項7】
更に、小麦粉を含有し、前記グルテンの一部が前記小麦粉由来のグルテンである請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の大豆含有乾燥麺類。
【請求項8】
更に、炭酸カルシ
ウムを含有する請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の大豆含有乾燥麺類。
【請求項9】
麺厚が1.5mm以下である請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の大豆含有乾燥麺類。
【請求項10】
請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の大豆含有乾燥麺類と、調味液とを備える麺セット。
【請求項11】
大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンと、
温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有
し、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース以外の水溶性食物繊維を実質的に含有しない原料粉を用いて生地を調製する工程と、
該生地を成形して麺類を得る製麺工程と、
前記麺類を乾燥させる乾燥工程と
を有し、
前記原料粉は、前記グルテンを5~15質量%及び前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.2質量%以上0.6質量%未満含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、前記グルテンを10~29質量部及び前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.39質量部以上1.2質量部未満含有する大豆含有乾燥麺類の製造方法。
【請求項12】
前記原料粉は、更に、アルギン酸エステルを含有する請求項11に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
【請求項13】
大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルギン酸エステルとを含有する原料粉を用いて生地を調製する生地調製工程と、
前記生地を成形して麺類を得る製麺工程と、
前記麺類を乾燥させる乾燥工程と
を有し、
前記原料粉は、前記グルテンを5~15質量%、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.2質量%以上、前記アルギン酸エステルを前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの総量で0.3~4質量%含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、前記グルテンを10~29質量部、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.39質量部以上、前記アルギン酸エステルを前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの総量で0.59~7.5質量部含有する大豆含有乾燥麺類の製造方法。
【請求項14】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sである請求項
13に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
【請求項15】
前記製麺工程では、前記生地を圧延して麺帯を形成し、前記麺帯から麺線を切り出す請求項11~
14のいずれか1項に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆粉を含む原料を用いて製造された大豆含有乾燥麺類、この大豆含有乾燥麺類を備える麺セット及び大豆粉を含む原料を用いて大豆含有乾燥麺類を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりから、高たんぱく低糖質の食品が求められており、麺類も原料粉に大豆粉を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1~4参照。)。例えば、特許文献1には、小麦全粒粉を15質量%以上22質量%以下、大豆粉を3質量%以上15質量%以下、米糠を3質量%以上6質量%以下含有する麺が記載されている。また、特許文献2には、粒径255μm以上の粒子を3質量%以上含み、且つ中位径が70μm未満である大豆粉砕物を5質量%以上含む麺類用組成物を用いた麺類が記載されている。
【0003】
更に、特許文献3には、大豆臭さやエグミを抑制するため、大豆由来たんぱく質含有材料と、タピオカ澱粉とを含み、大豆由来たんぱく質含有材料の量が、大豆由来たんぱく質含有材料と澱粉質原料との合計量100質量部に対して、40質量部以上である大豆麺が記載されている。一方、特許文献4には、大豆含有麺質量比で1倍量の水との攪拌混合物をレオメータにより直径1.8mmの円錐型プランジャーを用いて測定した付着性が300J/m3以下である大豆粉を7~50質量%の範囲で含有する原料穀粉を用いて製造することで、製麺適性を良好にした大豆含有麺が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2022/004126号
【文献】特開2022-097951号公報
【文献】特開2022-110419号公報
【文献】特開2022-155950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の大豆含有麺類は、原料粉中の大豆粉量を多くすればより高たんぱくで低糖質な麺類が得られるが、大豆含有量が多くなるに従い生地や麺線の結着性が低下するため、製麺適性の低下や食感の劣化が生じる。これらの問題は、短時間調理や電子レンジ調理を可能とするために麺厚を薄くした場合に特に発生しやすく、大豆粉を特定量以上含有させても製麺適性や結着性が低下せず、麺線が切れにくい大豆含有乾燥麺類が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、大豆粉を30質量%以上含有する原料粉を用いて、製麺適性に優れ、麺線のつながりが良好な大豆含有乾燥麺類、麺セット及び大豆含有乾燥麺類の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る大豆含有乾燥麺類は、原料粉全質量に対して、大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンを5~15質量%と、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.2質量%以上0.6質量%未満含有し、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース以外の水溶性食物繊維を実質的に含有しないものである。
又は、本発明に係る大豆含有乾燥麺類は、大豆粉と、グルテンと、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有すると共に、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース以外の水溶性食物繊維を実質的に含有せず、前記大豆粉含有量が原料粉全質量に対して30質量%以上84質量%未満であり、前記グルテン含有量が前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部であり、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が前記大豆粉100質量部あたり0.39質量部以上1.2質量部未満のものである。
本発明の大豆含有乾燥麺類は、更に、アルギン酸エステルを含有していてもよい。
一方、本発明に係る他の大豆含有乾燥麺類は、大豆粉と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルギン酸エステルとを含有し、前記大豆粉含有量が原料粉全質量の30質量%以上84質量%未満であり、前記グルテン含有量が原料粉全質量の5~15質量%であり、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が原料粉全質量の0.2質量%以上であり、前記アルギン酸エステルと前記ヒドロキシプロピルセルロースの総含有量が原料粉全質量の0.3~4質量%である。
又は、本発明に係る他の大豆含有乾燥麺類は、大豆粉と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルギン酸エステルとを含有し、前記大豆粉含有量が、原料粉全質量の30質量%以上84質量%未満であり、前記グルテン含有量が、前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部であり、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が、前記大豆粉100質量部あたり0.39質量部以上であり、前記アルギン酸エステルと前記ヒドロキシプロピルセルロースの総含有量が、前記大豆粉100質量部あたり0.59~7.5質量部以上である。
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、例えば温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sのものを使用することができる。
本発明の大豆含有乾燥麺類は、更に、小麦粉を含有していてもよく、その場合、前記グルテンの一部が前記小麦粉由来のグルテンでもよい。
また、本発明の大豆含有乾燥麺類は、更に、炭酸カルシウムを含有していてもよい。
本発明の大豆含有乾燥麺類は、麺厚を1.5mm以下とすることもできる。
【0008】
本発明に係る麺セットは、前述した大豆含有乾燥麺類と、調味液とを備える。
【0009】
本発明に係る大豆含有乾燥麺類の製造方法は、大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンと、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有し、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース以外の水溶性食物繊維を実質的に含有しない原料粉を用いて生地を調製する工程と、該生地を成形して麺類を得る製麺工程と、前記麺類を乾燥させる乾燥工程とを有し、前記原料粉には、前記グルテンを5~15質量%及び前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.2質量%以上0.6質量%未満含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、前記グルテンを10~29質量部及び前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.39質量部以上1.2質量部未満含有するものを用いる。
本発明の大豆含有乾燥麺類の製造方法では、前記原料粉が、更に、アルギン酸エステルを含有していてもよい。
本発明に係る他の大豆含有乾燥麺類の製造方法は、大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルギン酸エステルとを含有する原料粉を用いて生地を調製する生地調製工程と、前記生地を成形して麺類を得る製麺工程と、前記麺類を乾燥させる乾燥工程とを有し、前記原料粉には、前記グルテンを5~15質量%、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.2質量%以上、前記アルギン酸エステルを前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの総量で0.3~4質量%含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、前記グルテンを10~29質量部、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.39質量部以上、前記アルギン酸エステルを前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの総量で0.59~7.5質量部含有するものを用いる。
本発明の大豆含有乾燥麺類の製造方法では、例えば、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることができる。
また、前記製麺工程では、前記生地を圧延して麺帯を形成し、前記麺帯から麺線を切り出してもよい。
【0010】
ここで、本発明における「原料粉」には、粉状の全ての原料が含まれ、主原料である穀粉(大豆粉や小麦粉など)の他に、グルテン粉、多糖類、澱粉類、食塩、かんすい、野菜粉末、マンナン粉、粉末油脂、増粘多糖類、色素、アミノ酸類、糖類、デキストリン、乾燥卵白、pH調整剤、日持向上剤など副原料も含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、大豆粉を30質量%以上含有する原料粉を用いても、製麺適性に優れ、麺線のつながりが良好な大豆含有乾燥麺類が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態の大豆含有乾燥麺類の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係る大豆含有乾燥麺類(以下、単に「乾燥麺類」ともいう。)について説明する。本実施形態の乾燥麺類は、原料粉全質量に対して、大豆粉を30質量%以上、グルテン及び多糖類を含有し、特に、大豆粉を30質量%以上84質量%未満含有すると共に、グルテン及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:Hydroxypropyl Methylcellulose)を特定量含有する。
【0015】
[大豆粉]
大豆粉は、本実施形態の乾燥麺類における主原料の1つであり、原料粉中に30質量%以上84質量%未満の割合で配合されている。原料粉中の大豆粉量の下限値は、製麺適性や麺線の結着性の観点からは特に限定されるものではないが、大豆粉含有量が少ないと、大豆粉配合の効果(麺類の高たんぱく・低糖質化)が十分に得られないため、本実施形態の乾燥麺類では、原料粉全質量に対する大豆粉含有率は30質量%以上とする。
【0016】
一方、大豆粉含有量が、原料粉全質量に対して84質量%以上の場合、つながり強度が低下して麺線が切れやすくなったりする。このため、本実施形態の乾燥麺類では、原料粉における大豆粉含有率を84質量%未満とする。なお、原料粉の大豆粉含有率は、81質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。
【0017】
本実施形態の乾燥麺類に配合される大豆粉は、全脂大豆粉及び脱脂大豆粉のいずれでもよく、また、加熱大豆粉及び生大豆粉のいずれでもよいが、全脂大豆粉を用いると麺の風味が向上し、生大豆粉を用いると製麺適性が向上する。更に、大豆の種類も特に限定されるものではなく、黄大豆、黒大豆、赤大豆、青大豆、白大豆、大粒種、中粒種及び小粒種などの各種大豆を用いることができ、リポキシゲナーゼ欠失大豆を用いてもよい。
【0018】
[グルテン]
小麦に含まれるたんぱく質であるグルテンは、麺線の結着性を確保するために必要な成分であり、本実施形態の乾燥麺類では、原料粉中に5~15質量%の割合で配合されているか、又は、前述した大豆粉100質量部に対して10~29質量部配合されている。グルテン含有量が、原料粉全質量に対して5質量%未満、又は、大豆粉100質量部あたり10質量部未満の場合、製麺適性が不足して圧延による麺帯形成に支障がでたり、つながり強度が低下して麺線が切れやすくなったりする。なお、製麺適性向上の観点から、原料粉中のグルテン含有率は7質量%以上又は大豆粉100質量部あたり14質量部以上であることが好ましく、より好ましくは原料粉全質量に対して10質量%以上である。
【0019】
一方、グルテン含有量が、原料粉全質量に対して15質量%超、又は、大豆粉100質量部あたり29質量部超の場合、グルテン過多により圧延成形後の麺帯に収縮が生じ、麺線形成に支障がでることがある。なお、グルテン量は、原料粉全質量に対する含有率及び大豆粉100質量部あたりの含有量のいずれかが前述した範囲であればよい。
【0020】
本実施形態の乾燥麺類においてグルテンは、主にグルテン粉として添加されるが、原料粉として小麦粉を配合する場合には、小麦粉中のグルテン(たんぱく質)も含む。グルテン粉のみ配合する(小麦粉が含まれない)場合は、グルテン粉中のたんぱく質の量が前述した範囲になるよう配合すればよく、更に原料粉に小麦粉が含まれる場合は、グルテン粉中のたんぱく質と小麦粉中のたんぱく質の総量が前述した範囲になるようにそれぞれ配合すればよい。
【0021】
[HPMC]
多糖類の1種であるHPMCは、製麺適性や結着性を向上させる効果があり、本実施形態の乾燥麺類では、原料粉中に0.2質量%以上、又は、前述した大豆粉100質量部に対して0.39質量部以上配合されている。HPMC含有量が、原料粉全質量に対して0.2質量%未満、又は、大豆粉100質量部あたり0.39質量部未満の場合、製麺適性や結着性の向上効果が十分に得られないことがある。
【0022】
一方、HPMC含有量の上限値は、特に限定されるものではないが、原料粉全質量に対して4質量%を超えるか、又は、大豆粉100質量部あたり7.5質量部を超える場合、製麺適性が低下することがあるため、原料粉全質量に対して4質量%以下、又は、大豆粉100質量部あたり7.5質量部以下とすることが好ましい。
【0023】
また、製造コストの観点からは、HPMC含有量の上限値は、原料粉全質量に対して0.6質量%未満、又は、大豆粉100質量部あたり1.2質量部未満とすることが好ましい。HPMCは、原料粉全質量に対して0.2質量%以上かつ0.6質量%未満、又は、大豆粉100質量部あたり0.39質量部以上1.2質量部未満といった少ない配合量でも、大豆含有乾燥麺類における製麺適性向上及び結着性向上の効果が得られる。なお、HPMC量は、原料粉全質量に対する含有率及び大豆粉100質量部あたりの含有量のいずれかが前述した範囲であればよい。
【0024】
HPMCの種類は、特に限定されるものではないが、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sであるものが好ましい。このような粘度が高いHPMCを用いると、少ない配合量でも効果が得られ、大豆粉などの他の成分の配合量を減らすことなく、製麺適性及び麺線の結着性を向上させることができる。
【0025】
[その他の原料]
本実施形態の乾燥麺類に用いられる原料粉には、前述した各成分の他に、大豆粉以外の穀粉や澱粉類が配合されていてもよい。大豆粉以外の穀粉としては、例えば小麦、大麦及びライ麦などの麦類、米、蕎麦及びトウモロコシなどの穀物を、必要に応じて精選、洗浄又は精白し、生のまま又は熱加工してアルファー化した後、製粉(粉化)したものなどが挙げられる。
【0026】
これらの穀粉は、用途や目的に応じて適宜選択して使用すればよく、単独で用いても、複数の穀粉を組み合わせて使用してもよい。例えばうどん、冷や麦、そうめん、中華麺及びパスタなどを製造する場合は小麦粉、そばを製造する場合はそば粉又はそば粉と小麦粉、ビーフンやフォーなどを製造する場合は米粉が用いられる。
【0027】
また、澱粉類としては、例えばコーンスターチ、馬鈴薯、かんしょ、タピオカ、サゴ椰子、小麦、米、葛、わらび、蓮根、緑豆及びその他の豆類由来の澱粉が挙げられ、生澱粉の他、α化澱粉、アセチル化澱粉、エーテル化澱粉及び架橋澱粉などの加工澱粉でもよい。これらの澱粉類は、麺の食感改善、麺線の表面をなめらかにする、調理の際の茹で時間短縮などの目的で、必要に応じて添加される。
【0028】
更に、原料粉には、食塩、かんすい(粉末)、野菜粉末、マンナン粉、粉末油脂、増粘多糖類、色素、アミノ酸類、糖類、デキストリン、乾燥卵白、pH調整剤、日持向上剤などが添加されていてもよい。
【0029】
特に、原料粉にかんすい粉末を特定量配合することで、大豆含有麺類の食感を向上させることができる。具体的には、原料粉全質量に対してかんすいを0.01~2質量%配合することで、湯戻しや湯調理後の麺類の食感を良好にすることができる。
【0030】
また、本実施形態の乾燥麺類に用いられる原料粉には、炭酸カルシウム(CaCO3)が配合されていてもよい。炭酸カルシウム(CaCO3)には、麺類のつるみを増し、のどごしを良好にする効果があり、原料粉全質量に対して炭酸カルシウム(CaCO3)を0.1~1質量%配合することで、湯戻しや湯調理後の麺類のつるみやのどごしを向上させることができる。
【0031】
本実施形態の乾燥麺類には、前述した原料粉以外に、例えば、水、醸造酢、酒精、酵母、香料、しょうゆ、豆乳、牛乳及びその加工品などが配合されていてもよい。原料粉以外の原料及びその配合量は、麺の種類や目的などに応じて適宜選択し設定することができる。
【0032】
[麺厚]
本実施形態の乾燥麺類の厚さは、特に限定されるものではなく、目的や調理方法に応じて適宜選択することができるが、麺厚を1.5mm以下にすることが好ましく、これにより短時間調理や電子レンジ調理が可能となる。本実施形態の乾燥麺類は、製麺適性に優れるため、麺厚を1.5mm以下にしても圧延により麺帯を形成でき、麺線のつながりも良好である。
【0033】
[製造方法]
次に、本実施形態の乾燥麺類の製造方法について説明する。
図1は本実施形態の大豆含有乾燥麺類の製造方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、本実施形態の乾燥麺類の製造方法では、生地調製工程S1と、製麺工程S2と、乾燥工程S3とを行う。
【0034】
〔生地調製工程S1〕
生地調製工程S1では、原料粉にその他の原料を加えて混練し、生地を調製する。その際、大豆粉を30質量%以上と、グルテンと、HPMCとを含有する原料粉、具体的には、大豆粉を30質量%以上84質量%未満、グルテンを5~15質量%及びHPMCを0.2質量%以上0.6質量%未満含有する原料粉、又は、大豆粉を30質量%以上84質量%未満含有すると共に、大豆粉100質量部あたり、グルテンを10~29質量部及びHPMCを0.39質量部以上1.2質量部未満含有する原料粉を用いる。
【0035】
なお、原料粉に配合されるHPMCは、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sであるものが好ましい。また、生地調製工程S1における生地の調製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法や装置を適用することができる。また、原料の混練は、減圧下で行ってもよい。
【0036】
〔製麺工程S2〕
製麺工程S2では、生地調製工程S1で調製した生地を成形して麺類とする。製麺方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法や装置を用いることができるが、生産性の観点から、生地を圧延して麺帯を形成し、該麺帯から麺線を切り出す方法が好適である。なお、生地の圧延は1段で行ってもよく、また、複数対のローラを用いて多段で行ってもよい。
【0037】
又は、圧延に代えて、押出機を用いて麺帯や麺線を形成してもよく、その場合、例えば、生地調製工程S1において真空押出機を用いて原料を混練して生地を調製し、引き続き、製麺工程S2において真空押出機から生地を押し出して麺帯を形成してもよい。
【0038】
〔乾燥工程S3〕
乾燥工程S3では、製麺工程S2で得た麺類を乾燥させる。麺類の乾燥方法は、特に限定されるものではなく、麺類の種類や調理方法に応じて、熱風乾燥法、低温乾燥法、高温高速気流乾燥法、フライ乾燥法及びフリーズドライ法などの公知の方法から適宜選択することができる。
【0039】
〔その他の工程〕
本実施形態の乾燥麺類の製造方法では、前述したS1~S3の各工程に加えて、熟成工程を行ってもよい。熟成工程の時期及び回数は、特に限定されるものではなく、麺帯形成後に行ってもよく、また、麺線形成後に麺塊の状態で行ってもよい。熟成の方法及び条件は、麺の種類に応じて適宜選択することができ、常圧下、減圧下又は加圧下のいずれで行ってもよい。
【0040】
以上詳述したように、本実施形態の乾燥麺類は、グルテン及びHPMCを特定量含有しているため、原料粉中の大豆粉含有率を30質量%以上にしても製麺適性が低下せず、圧延成形が可能で、かつ、麺線のつながりが良好で、食感も優れる。そして、本実施形態の乾燥麺類は、短時間調理や電子レンジ調理を行うことを目的に麺厚を薄くした麺類に特に好適である。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る大豆含有乾燥麺類について説明する。本実施形態の乾燥麺類は、大豆粉を原料粉全質量に対して30質量%以上84質量%未満と、グルテンを原料粉全質量に対して5~15質量%と、HPMCを原料粉全質量に対して0.2質量%以上に加えて、アルギン酸エステルを特定量含有する。なお、本実施形態の乾燥麺類における大豆粉含有量、グルテン含有量、HPMC含有量の数値限定理由は、前述した第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
[アルギン酸エステル]
本実施形態の乾燥麺類は、HPMC以外の多糖類を含有していてもよい。HPMCとその他の多糖類を併用することで、大豆含有麺類の結着性を更に向上させることができる。HPMCと併用される多糖類の種類は、特に限定されるものではなく、大豆粉配合量やその他の配合成分、求められる食感などに応じて適宜設定することができ、例えばサイリウムシードガム、アルギン酸プロピレングリコールエステル(PGA:Propylene Glycol Alginate;以下、「アルギン酸エステル」と略す。)及びキサンタンガムなどを用いることができる。
【0043】
前述した多糖類の中でもアルギン酸エステルは、特に結着性の向上効果が高く、HPMC配合量を低減することが可能であり、更に麺のつるみが増し、もっちりとした食感を得られるため、好適である。HPMCと共にアルギン酸エステルを配合する場合、HPMCとアルギン酸エステルの総含有量が、原料粉全質量に対して0.3~4質量%、又は、大豆粉100質量部あたり0.59~7.5質量部とする。これにより、製麺適性を低下させることなく、結着性を向上させることができる。
【0044】
[製造方法]
本実施形態の乾燥麺類を製造する際は、大豆粉を30質量%以上84質量%未満、グルテンを5~15質量%、HPMCを0.2質量%以上、アルギン酸エステルをHPMCとの総量で0.3~4質量%含有する原料粉、又は、大豆粉を30質量%以上84質量%未満、該大豆粉100質量部あたり、グルテンを10~29質量部、HPMCを0.39質量部以上、アルギン酸エステルをHPMCとの総量で0.59~7.5質量部含有する原料粉を用いる。
【0045】
なお、本実施形態の乾燥麺類の製造方法は、前述した原料を用いる以外は、前述した第1の実施形態と同様である。即ち、本実施形態の乾燥麺類は、
図1に示す生地調製工程S1と、製麺工程S2と、乾燥工程S3とを行うことにより製造することができる。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態の乾燥麺類は、グルテン、HPMC及びアルギン酸エステルを特定量含有しているため、原料粉中の大豆粉含有率を30質量%以上にしても製麺適性が低下せず、圧延成形が可能で、かつ、麺線のつながりも良好で、茹で調理するともっちりとした良好な食感の茹で麺が得られる。
【0047】
なお、本実施形態における上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、本実施形態の第3の実施形態に係る麺セットについて説明する。本実施形態の麺セットは、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態の大豆含有乾燥麺類と、調味液とを備える。本実施形態の麺セットに用いられる麺類は、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態の乾燥麺類であればよく、その種類は特に限定されず、うどん、そば、中華麺、パスタ及びビーフンなどの各種麺類を用いることができる。また、調味液は、麺類を調味するものであればよく、めんつゆ、濃縮スープ、パスタソースなどが挙げられ、液体成分の他に具材を含んでいてもよい。
【0049】
本実施形態の麺セットは、大豆粉と共に、グルテンとHPMCを特定量含有する大豆含有乾燥麺類、又は、大豆粉と共に、グルテンと、HPMCと、アルギン酸エステルを特定量含有する大豆含有乾燥麺類を用いているため、製麺適性に優れ、麺線のつながりが良好である。また、麺厚が薄い麺類を用いることで、短時間調理や電子レンジでの調理が可能となる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。
【0051】
(第1実施例)
本発明の第1実施例として、原料粉の配合組成を変えてグルテン及びHPMCを特定量含有する大豆含有乾燥麺類を作製して、製麺適性及び麺線のつながり強度を評価した。
【0052】
<乾燥麺の作製方法>
評価用麺は、
図1に示す方法で作製した。具体的には、先ず、原料組成物を手で1分間攪拌混合し、得られた生地を製麺ロールにて圧延を繰り返し、1.3mmの厚さになるよう調整して麺帯を形成した。次に、圧延成形した麺帯から麺線を切刃にて切り出し、恒温恒湿機により乾燥して評価用の乾燥麺を得た。
【0053】
<評価方法>
(1)製麺適性
「製麺適性」の評価は、圧延成形により麺帯を形成したときの状態を下記の5段階で評価した。
5点:問題なく圧延成形できた。
4点:圧延成形できたが、麺肌の荒れやロールへの張り付きが多少見られた。
3点:圧延成形できたが、麺肌の荒れやロールへの張り付きが発生した。
2点:圧延成形しようとすると穴あきや顕著な張り付きが発生し、麺帯を形成できなかった。
1点:全く圧延成形できなかった。
【0054】
(2)麺線のつながり強度
「麺線のつながり強度」は、麺帯から切り出した直後の乾燥前の麺線(長さ20cm)両端を手で持ち、伸びた長さが6cmになるまでゆっくりと引っ張り、そのときの状態を下記の5段階で評価した。
5点:麺線を引っ張っても切れなかった(切れずに伸びた長さ6cm以上)。
4点:麺線を引っ張ると、伸びた長さが3cm以上かつ6cm未満のときに切れた。
3点:麺線を引っ張ると、伸びた長さが1cm以上かつ3cm未満のときに切れた。
2点:麺線を引っ張ると、伸びた長さが1cm未満のときに切れた。
1点:麺線の形態を維持できないため、試験を実施できなかった。
【0055】
(3)総合評価
総合評価は、前述した2項目の評価点が、いずれも4以上であったものを◎(優)、一方が4点以上で他方が3点であったものを○(良)、いずれも3点であったものを△(可)、1つでも2点以下があったものを×(不可)とした。
【0056】
以上の結果を、下記表1~4に示す。なお、表1~4に示す大豆粉A及び大豆粉Bは非加熱の全脂大豆粉であり、大豆粉Cは脱脂大豆粉である。また、加工澱粉はタピオカ由来のアセチル化澱粉であり、グルテン粉は乾燥状態でのたんぱく質含有量が75質量%以上のバイタルグルテンであり、小麦粉は乾燥状態でのたんぱく質含有量が8.5質量%の中力粉である。更に、HPMC-1は温度20℃の2質量%溶液における粘度が100000mPa・sであり、HPMC-2は温度20℃の2質量%溶液における粘度が4500mPa・sである。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
上記表1~4に示すように、原料粉中の大豆粉含有率が84質量%以上であるNo.7の試料は、麺線のつながり強度が低く、麺線が切れやすかった。グルテン量が原料粉全質量の5~15質量%又は大豆粉100質量部あたり10~29質量部の範囲から外れるNo.8~10の試料は、製麺適性及び麺線のつながり強度のいずれも劣っていた。HPMCを配合していないNo.15の試料は、製麺適性及び麺線のつながり強度のいずれも劣っており、また、HPMCを配合しているが、その含有量が原料粉全質量に対して0.2~4質量%又は大豆粉100質量部あたり0.39~7.5質量部の範囲から外れるNo.16,26,27の試料は、麺線のつながり、製麺適性又はその両方が劣っていた。
【0062】
これに対して、原料粉に大豆粉、グルテン及びHPMCを適量配合したNo.1~6,11~14,17~25,28~32の試料は、製麺適性に優れ、麺線のつながりも良好であった。
【0063】
(第2実施例)
本発明の第2実施例として、HPMC(HPMC-1:温度20℃の2質量%溶液における粘度が100000mPa・s、HPMC-2:温度20℃の2質量%溶液における粘度が4500mPa・s)とアルギン酸エステル(20℃の1%水溶液における粘度が100~150mPa・s)を用い、前述した第1実施例と同様の方法及び条件で大豆含有乾燥麺を作製し、前述した第1実施例と同様の方法及び条件で製麺適性及び麺線のつながり強度を評価した。その結果を、下記表5に示す。
【0064】
【0065】
上記表5に示すように、HPMCと共にアルギン酸エステルを添加したNo.40~49の試料は、製麺適性に優れ、麺線のつながりも良好であった。また、表には示していないが、HPMCとアルギン酸エステルを併用することで、もっちりとした食感の麺が得られ、アルギン酸エステルには食感を向上させる効果があることが確認された。更に、アルギン酸エステルに加えて、かんすい及び炭酸カルシウム(CaCO3)を配合したNo.49の試料は、食感に優れ、のどごしも良好であった。
【0066】
以上の結果から、本発明によれば、大豆粉を30質量%以上含有する原料粉を用いて、製麺適性に優れ、麺線のつながりが良好な大豆含有乾燥麺類を製造できることが確認された。
【0067】
なお、本発明は、以下の構成を採ることもできる。
〔1〕
原料粉全質量に対して、
大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、
グルテンを5~15質量%と、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.2質量%以上0.6質量%未満と、
を含有する大豆含有乾燥麺類。
〔2〕
大豆粉と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有し、
前記大豆粉含有量が、原料粉全質量の30質量%以上84質量%未満であり、
前記グルテン含有量が、前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部であり、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が、前記大豆粉100質量部あたり0.39質量部以上1.2質量部未満である大豆含有乾燥麺類。
〔3〕
更に、アルギン酸エステルを含有する〔1〕又は〔2〕に記載の大豆含有乾燥麺類。
〔4〕
大豆粉と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルギン酸エステルとを含有し、
前記大豆粉含有量が、原料粉全質量の30質量%以上84質量%未満であり、
前記グルテン含有量が、原料粉全質量の5~15質量%であり、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が、原料粉全質量の0.2質量%以上であり、
前記アルギン酸エステルと前記ヒドロキシプロピルセルロースの総含有量が、原料粉全質量の0.3~4質量%である大豆含有乾燥麺類。
〔5〕
大豆粉と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルギン酸エステルとを含有し、
前記大豆粉含有量が、原料粉全質量の30質量%以上84質量%未満であり、
前記グルテン含有量が、前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部であり、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が、前記大豆粉100質量部あたり0.39質量部以上であり、
前記アルギン酸エステルと前記ヒドロキシプロピルセルロースの総含有量が、前記大豆粉100質量部あたり0.59~7.5質量部以上である大豆含有乾燥麺類。
〔6〕
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sである〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔7〕
更に、小麦粉を含有し、前記グルテンの一部が前記小麦粉由来のグルテンである〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔8〕
更に、炭酸カルシウムを含有する〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔9〕
麺厚が1.5mm以下である〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔10〕
〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類と、調味液とを備える麺セット。
〔11〕
大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有する原料粉を用いて生地を調製する工程と、
該生地を成形して麺類を得る製麺工程と、
前記麺類を乾燥させる乾燥工程と
を有し、
前記原料粉は、前記グルテンを5~15質量%及び前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.2質量%以上0.6質量%未満含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、前記グルテンを10~29質量部及び前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.39質量部以上1.2質量部未満含有する大豆含有乾燥麺類の製造方法。
〔12〕
前記原料粉は、更に、アルギン酸エステルを含有する〔11〕に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
〔13〕
大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルギン酸エステルとを含有する原料粉を用いて生地を調製する生地調製工程と、
前記生地を成形して麺類を得る製麺工程と、
前記麺類を乾燥させる乾燥工程と
を有し、
前記原料粉は、前記グルテンを5~15質量%、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.2質量%以上、前記アルギン酸エステルを前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの総量で0.3~4質量%含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、前記グルテンを10~29質量部、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.39質量部以上、前記アルギン酸エステルを前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの総量で0.59~7.5質量部含有する大豆含有乾燥麺類の製造方法。
〔14〕
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sである〔11〕~〔13〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
〔15〕
前記製麺工程では、前記生地を圧延して麺帯を形成し、前記麺帯から麺線を切り出す〔11〕~〔14〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。