(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】含気泡チョコレート用油脂組成物
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20250106BHJP
A23G 1/36 20060101ALI20250106BHJP
A23G 1/52 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
A23D9/00 500
A23G1/36
A23G1/52
(21)【出願番号】P 2021031864
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 榛那
(72)【発明者】
【氏名】大西 清美
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 明
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/013582(WO,A1)
【文献】特開2016-002016(JP,A)
【文献】特開2015-089351(JP,A)
【文献】特開2013-223464(JP,A)
【文献】国際公開第2012/041631(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00- 9/06
A23G 1/00- 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)から(d)の条件を満たす含気泡チョコレート用油脂組成物。
(a)Y3を5~25質量%含有する。
(b)X3/Y3の質量比が0.40以上である。
(c)X2Oを60~85質量%含有する。
(d)XOX/X2Oの質量比が0.85以上である。
上記の(a)から(d)の条件において、X、Y、O、X3、Y3、X2O、XOXはそれぞれ以下のものを示す。
X:炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸
Y:炭素数8~24の直鎖飽和脂肪酸
O:オレイン酸
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
Y3:Yが3分子結合しているトリグリセリド
X2O:Xが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリド
XOX:1位と3位にX、2位にOが結合しているトリグリセリド
【請求項2】
(P2St+PSt2)/X3の質量比が0.50以上である請求項1に記載の含気泡チョコレート用油脂組成物。
上記の条件において、P、St、P2St、PSt2はそれぞれ以下のものを示す。
P:パルミチン酸
St:ステアリン酸
P2St:Pが2分子、Stが1分子結合しているトリグリセリド
PSt2:Pが1分子、Stが2分子結合しているトリグリセリド
【請求項3】
(M2X+MX2)/Y3の質量比が0.03~0.35である請求項1又は請求項2に記載の含気泡チョコレート用油脂組成物。
上記の条件において、M、M2X、MX2はそれぞれ以下のものを示す。
M:炭素数8~10の直鎖飽和脂肪酸
M2X:Mが2分子、Xが1分子結合しているトリグリセリド
MX2:Mが1分子、Xが2分子結合しているトリグリセリド
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の含気泡チョコレート用油脂組成物を含有する含気泡用チョコレート。
【請求項5】
請求項4に記載の含気泡用チョコレートをホイップさせた含気泡チョコレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含気泡チョコレート及び該含気泡チョコレートを得るための含気泡チョコレート用油脂組成物に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般にエアインチョコレート、ホイップチョコレート等と言われる含気泡チョコレートは、通常、溶融状態のチョコレート自体に空気を抱き込ませて起泡させることにより製造される。含気泡チョコレートは、気泡を含んでいるため、軽い食感と口どけの良さが特徴であり、嗜好性の高いチョコレートとして消費者に好まれている。
【0003】
チョコレートを起泡させるには、チョコレートに含まれる油脂を一部結晶化させる必要がある。そのため、チョコレートの起泡には、油脂が重要な役割を果たしている。良好な起泡性を有する含気泡チョコレートを得るための油脂としては、例えば、特許文献1、2の油脂組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献1、2の油脂組成物を使用した含気泡チョコレートは、高融点の油脂を使用しているため、含気泡チョコレートの特徴である口どけの良さの面で満足するものではなかった。
【0004】
以上のような背景から、良好な起泡性及び口どけを有する含気泡チョコレートを得るための油脂の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第00/57715号
【文献】特開2009-60829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、良好な起泡性及び口どけを有する含気泡チョコレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、特定の条件を満たす油脂組成物を含気泡チョコレートに使用することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、下記の(a)から(d)の条件を満たす含気泡チョコレート用油脂組成物である。
(a)Y3を5~25質量%含有する。
(b)X3/Y3の質量比が0.40以上である。
(c)X2Oを60~85質量%含有する。
(d)XOX/X2Oの質量比が0.85以上である。
上記の(a)から(d)の条件において、X、Y、O、X3、Y3、X2O、XOXはそれぞれ以下のものを示す。
X:炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸
Y:炭素数8~24の直鎖飽和脂肪酸
O:オレイン酸
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
Y3:Yが3分子結合しているトリグリセリド
X2O:Xが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリド
XOX:1位と3位にX、2位にOが結合しているトリグリセリド
本発明の第2の発明は、(P2St+PSt2)/X3の質量比が0.50以上である第1の発明に記載の含気泡チョコレート用油脂組成物である。
上記の条件において、P、St、P2St、PSt2はそれぞれ以下のものを示す。
P:パルミチン酸
St:ステアリン酸
P2St:Pが2分子、Stが1分子結合しているトリグリセリド
PSt2:Pが1分子、Stが2分子結合しているトリグリセリド
本発明の第3の発明は、(M2X+MX2)/Y3の質量比が0.03~0.35である第1の発明又は第2の発明に記載の含気泡チョコレート用油脂組成物である。
上記の条件において、M、M2X、MX2はそれぞれ以下のものを示す。
M:炭素数8~10の直鎖飽和脂肪酸
M2X:Mが2分子、Xが1分子結合しているトリグリセリド
MX2:Mが1分子、Xが2分子結合しているトリグリセリド
本発明の第4の発明は、第1の発明~第3の発明の何れか1つの発明に記載の含気泡チョコレート用油脂組成物を含有する含気泡用チョコレートである。
本発明の第5の発明は、第4の発明に記載の含気泡用チョコレートをホイップさせた含気泡チョコレートである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、良好な起泡性及び口どけを有する含気泡チョコレートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、下記の(a)から(d)の条件を満たす油脂組成物である。
(a)Y3を5~25質量%含有する。
(b)X3/Y3の質量比が0.40以上である。
(c)X2Oを60~85質量%含有する。
(d)XOX/X2Oの質量比が0.85以上である。
【0011】
本発明でチョコレートとは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上の規定により限定されるものではなく、油脂、糖類を主原料とし、必要によりカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、調温工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含まない(水分が好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。)食品のことである。また、本発明でチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートのいずれであってもよい。
また、本発明で含気泡チョコレートとは、気泡を含むチョコレートのことである。含気泡チョコレートは、エアインチョコレート、ホイップチョコレートと言うこともある。
【0012】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、Y3を5~25質量%含有し、好ましくは8~23質量%含有し、より好ましくは10~20質量%含有する(条件(a))。なお、本発明でY3は、Yが3分子結合しているトリグリセリド(YYY)である。また、本発明でトリグリセリドとは、グリセロールに3分子の脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールのことである。また、本発明でYは、炭素数8~24の直鎖飽和脂肪酸である。
【0013】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、X3/Y3の質量比が0.40以上であり、好ましくは0.50以上であり、より好ましくは0.67以上である(条件(b))。なお、本発明でX3/Y3の質量比は、Y3含有量(質量%)に対するX3含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でX3は、Xが3分子結合しているトリグリセリド(XXX)である。また、本発明でXは、炭素数16~18の直鎖飽和脂肪酸である。
【0014】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、X2Oを60~85質量%含有し、好ましくは63~82質量%含有し、より好ましくは65~80質量%含有する(条件(c))。なお、本発明でX2OはXが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリド(XXO+XOX+OXX)である。また、本発明でOは、オレイン酸(炭素数18の1価の不飽和脂肪酸)である。
【0015】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、XOX/X2Oの質量比が0.85以上であり、好ましくは0.90以上であり、より好ましくは0.93以上である(条件(d))。なお、本発明でXOX/X2Oの質量比は、X2O含有量(質量%)に対するXOX含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でXOXは、1位と3位にX、2位にOが結合しているトリグリセリドである。
【0016】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物が条件(a)~(d)の範囲を満たすと、良好な起泡性及び口どけを有する含気泡チョコレートが得られる。
【0017】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、(P2St+PSt2)/X3の質量比が好ましくは0.50以上であり、より好ましくは0.60~0.85であり、さらに好ましくは0.70~0.80である。なお、本発明で(P2St+PSt2)/X3の質量比は、X3含有量(質量%)に対するP2St含有量とPSt2含有量の合計含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でP2Stは、Pが2分子、Stが1分子結合しているトリグリセリド(PPSt+PStP+StPP)である。また、本発明でPSt2は、Pが1分子、Stが2分子結合しているトリグリセリド(PStSt+StPSt+StStP)である。また、本発明でPは、パルミチン酸(炭素数16の直鎖飽和脂肪酸)である。また、本発明でStは、ステアリン酸(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸)である。
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の(P2St+PSt2)/X3の質量比が前記範囲であると、より良好な口どけを有する含気泡チョコレートが得られる。
【0018】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、(M2X+MX2)/Y3の質量比が好ましくは0.03~0.35であり、より好ましくは0.03~0.32であり、さらに好ましくは0.04~0.25であり、最も好ましくは0.10~0.23である。なお、本発明で(M2X+MX2)/Y3の質量比は、Y3含有量(質量%)に対するM2X含有量とMX2含有量の合計含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でM2Xは、Mが2分子、Xが1分子結合しているトリグリセリド(MMX+MXM+XMM)である。また、本発明でMX2は、Mが1分子、Xが2分子結合しているトリグリセリド(MXX+XMX+XXM)である。また、本発明でMは、炭素数8~10の直鎖飽和脂肪酸である。
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の(M2X+MX2)/Y3の質量比が前記範囲であると、より良好な口どけを有する含気泡チョコレートが得られる。
【0019】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、X2Uを好ましくは65~90質量%含有し、より好ましくは68~87質量%含有し、さらに好ましくは70~85質量%含有する。
なお、本発明でX2Uは、Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド(XXU+XUX+UXX)である。また、本発明でUは、炭素数18の不飽和脂肪酸である。
【0020】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、XU2+U3を好ましくは15質量%以下含有し、より好ましくは12質量%以下含有し、さらに好ましくは3~10質量%含有する。なお、本発明でXU2+U3は、XU2含有量とU3含有量の合計含有量のことである。また、本発明でXU2は、Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(XUU+UXU+UUX)である。また、本発明でU3は、Uが3分子結合しているトリグリセリド(UUU)である。
【0021】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、P2St+PSt2を好ましくは2~20質量%含有し、より好ましくは3~15質量%含有し、さらに好ましくは5~12質量%含有する。なお、本発明でP2St+PSt2は、P2St含有量とPSt2含有量の合計含有量のことである。
【0022】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、M2X+MX2を好ましくは0.3~15質量%含有し、より好ましくは0.4~12質量%含有し、さらに好ましくは0.5~10質量%含有し、最も好ましくは1.5~7質量%含有する。なお、本発明でM2X+MX2は、M2X含有量とMX2含有量の合計含有量のことである。
【0023】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸としてWを好ましくは90質量%以上含有し、より好ましくは93質量%以上含有し、さらに好ましくは95質量%以上含有する。なお、本発明でWは、炭素数16~18の脂肪酸である。
【0024】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸としてXを好ましくは55~75質量%含有し、より好ましくは57~72質量%含有し、さらに好ましくは60~70質量%含有する。
【0025】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、P/Stの質量比が好ましくは0.70~1.50であり、より好ましくは0.80~1.30であり、さらに好ましくは0.90~1.20である。なお、本発明でP/Stの質量比は、構成脂肪酸中のSt含有量(質量%)に対するP含有量(質量%)の比のことである。
【0026】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸としてZを好ましくは5質量%未満含有し、より好ましくは3質量%未満含有し、さらに好ましくは2質量%未満含有する。なお、本発明でZは、炭素数20~22の直鎖飽和脂肪酸である。
【0027】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸としてMを好ましくは0.2~15質量%含有し、より好ましくは0.3~12質量%含有し、さらに好ましくは0.4~8質量%含有する。
【0028】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸として、Uを好ましくは20~40質量%含有し、より好ましくは23~38質量%含有し、さらに好ましくは25~35質量%含有する。
【0029】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を好ましくは5質量%未満含有し、より好ましくは3質量%未満含有し、さらに好ましくは1質量%未満含有する。なお、本発明でトランス脂肪酸は、TFAと記載することもある。
【0030】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、油脂以外の成分を添加することもできる。油脂以外の成分の具体例としては、例えば、乳化剤、トコフェロール、茶抽出物(カテキン等)、ルチン等の酸化防止剤、香料等が挙げられる。本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、油脂以外の成分を好ましくは5質量%以下含有し、より好ましくは3質量%以下含有し、さらに好ましくは1質量%以下含有する。
【0031】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、トリグリセリドの組成、構成脂肪酸の組成等が前記範囲であれば、特に制限されることなく、通常の食用油脂を使用して製造することができる。本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される食用油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ココアバター、シア脂、サル脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂等や、これらの加工油脂(水素添加油、分別油、エステル交換油)等が挙げられる。前記食用油脂は2種以上組み合せて使用することもできる。
【0032】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造には、好ましくは下記油脂A、下記油脂B、下記油脂Cを使用する。
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物は、好ましくは下記油脂Aを75~97質量%、下記油脂Bを3~17質量%、下記油脂Cを0~10質量%含有し、より好ましくは下記油脂Aを80~94質量%、下記油脂Bを5~15質量%、下記油脂Cを0.5~8質量%含有し、さらに好ましくは下記油脂Aを82~91質量%、下記油脂Bを8~13質量%、下記油脂Cを0.8~7質量%含有し、最も好ましくは下記油脂Aを82~88質量%、下記油脂Bを8~13質量%、下記油脂Cを3~7質量%含有する。
【0033】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、テンパリング型ココアバター代用脂である。テンパリング型ココアバター代用脂は、テンパリング型ハードバターやCBEと言われることもあり、市販品のテンパリング型ココアバター代用脂を使用することができる。本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、下記の条件(A)から(D)を満たす油脂である。
(A)X3を5質量%以下含有する。
(B)X2Oを70~90質量%含有する。
(C)XOX/X2Oの質量比が0.90以上である。
(D)XU2+U3を15質量%以下含有する。
【0034】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、X3を5質量%以下含有し、好ましくは4質量%以下含有し、より好ましくは1~3質量%含有する(条件(A))。
【0035】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、X2Oを70~90質量%含有し、好ましくは73~88質量%含有し、より好ましくは75~85質量%含有する(条件(B))。
【0036】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、XOX/X2Oの質量比が0.90以上であり、好ましく0.92以上であり、より好ましくは0.93~0.98である(条件(C))。
【0037】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、XU2+U3を15質量%以下含有し、好ましくは3~12質量%含有し、より好ましくは5~10質量%含有する(条件(D))。
【0038】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸としてWを好ましくは90質量%以上含有し、より好ましくは93質量%以上含有し、さらに好ましくは95質量%以上含有する。
【0039】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸としてXを好ましくは52~72質量%含有し、より好ましくは54~70質量%含有し、さらに好ましくは57~67質量%含有する。
【0040】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、P/Stの質量比が好ましくは0.50~1.50であり、より好ましくは0.80~1.30であり、さらに好ましくは1.00~1.20である。
【0041】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、Uを好ましくは25~45質量%含有し、より好ましくは28~43質量%含有し、さらに好ましくは30~40質量%含有する。
【0042】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を好ましくは5質量%未満含有し、より好ましくは3質量%未満含有し、さらに好ましくは1質量%未満含有する。
【0043】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、植物油の極度硬化油である。本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸としてXを90質量%以上含有する。
【0044】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸としてXを90質量%以上含有し、好ましくは93質量%以上含有し、さらに好ましくは95質量%以上含有する。
【0045】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、P2St+PSt2を好ましくは50~90質量%含有し、より好ましくは65~88質量%含有し、さらに好ましくは75~85質量%含有する。
【0046】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、好ましくはパーム系油脂の極度硬化油、菜種油の極度硬化油又は大豆油の極度硬化油であり、より好ましくはパーム系油脂の極度硬化油であり、さらに好ましくはパーム油の極度硬化油である。
【0047】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、M2X+MX2を50質量%以上含有し、好ましくは60~90質量%含有し、より好ましくは65~80質量%含有する。
【0048】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、MX2/M2Xの質量比が好ましくは0.20~1.50であり、より好ましくは0.40~1.20であり、さらに好ましくは0.50~0.80である。なお、本発明において、MX2/M2Xの質量比は、M2X含有量(質量%)に対するMX2含有量(質量%)の比のことである。
【0049】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、構成脂肪酸としてMを好ましくは35~65質量%含有し、より好ましくは40~60質量%含有し、さらに好ましくは45~55質量%含有する。
【0050】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、構成脂肪酸として、Xを好ましくは35~65質量%含有し、より好ましくは40~60質量%含有し、さらに好ましくは45~55質量%含有する。
【0051】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、好ましくは下記油脂Dと下記油脂Eとの混合油をランダムエステル交換して得られる油脂である。
【0052】
前記油脂Dは、M3のみからなる。前記油脂Dは、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTとする。)である。なお、本発明において、M3はMが3分子結合しているトリグリセリド(MMM)である。
【0053】
前記油脂Eは、構成脂肪酸としてXを90質量%以上含有する。前記油脂Eは、構成脂肪酸としてXを90質量%以上含有し、好ましくは93質量%以上含有し、より好ましくは95質量%以上含有する。前記油脂Eは、好ましくは菜種油の極度硬化油、大豆油の極度硬化油又はパーム系油脂の極度硬化油であり、より好ましくは菜種油の極度硬化油である。
【0054】
前記油脂Dと油脂Eとの混合油の配合比(油脂D:油脂E)は、好ましくは質量比35:65~65:35であり、より好ましくは質量比40:60~60:40であり、さらに好ましくは質量比45:55~55:45である。
【0055】
油脂Cを製造するためのランダムエステル交換は、特に制限はなく、通常の方法で行うことができる。油脂Cを製造するためのランダムエステル交換は、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法を用いてもよい。
化学的エステル交換は、例えば、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.1~1質量%添加した後、減圧下、80~120℃で0.5~1時間攪拌しながら反応を行うことができる。化学的エステル交換終了後は、水洗等により触媒を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。
酵素的エステル交換は、例えば、リパーゼ粉末又は固定化リパーゼを原料油脂に対して0.02~10質量%(好ましくは0.04~5質量%)添加した後、40~80℃、好ましくは40~70℃で0.5~48時間(好ましくは0.5~24時間)攪拌しながら反応を行うことができる。酵素的エステル交換終了後は、濾過等によりリパーゼを除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。ランダムエステル交換を行うことのできるリパーゼは、アルカリゲネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャンディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
【0056】
油脂のトリグリセリド含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993)準拠)、銀イオンカラム-HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105-107(1995)準拠)及びガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce5-86準拠)で測定することができる。
油脂の脂肪酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f-96準拠)で測定することができる。
【0057】
本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートは、本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物を含有する。なお、本発明で含気泡用チョコレートは、気泡を含有させる前のチョコレートのことである。すなわち、含気泡用チョコレートは、ホイップする前のチョコレートのことである。
【0058】
本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートは、本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物を好ましくは5質量%以上含有し、より好ましくは5~30質量%含有し、さらに好ましくは10~20質量%含有する。
本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートが本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物を前記範囲で含有すると、良好な起泡性及び口どけを有する含気泡チョコレートが得られる。
【0059】
本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートは、好ましくはテンパリング型チョコレートである。
【0060】
本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートは、本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物を前記範囲で配合すること以外、特に制限されることなく、通常のチョコレートの製造方法等で製造することができる。通常のチョコレートの製造方法では、例えば、油脂、カカオ成分、糖質、乳製品、乳化剤等を原材料として、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、テンパリング工程、冷却工程等を経て、チョコレートを製造する。また、本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートの製造に使用される本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物以外の原材料は、通常、チョコレートの製造に使用される従来公知の原材料(油脂、カカオ成分、糖質、乳製品、乳化剤等)が、従来公知の量で使用される。
【0061】
本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートは、本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物の含有量が前記範囲となるように、テンパリング型チョコレートに、本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物を配合することで、製造することもできる。テンパリング型チョコレートに、本発明の実施の形態の含気泡チョコレート用油脂組成物を配合する場合、融解させた後にテンパリング処理を行ったテンパリング型チョコレートに、融解させた含気泡チョコレート用油脂組成物を配合し、混合することで製造することができる。前記テンパリング処理は、融解させたテンパリング型チョコレートに、融解させた含気泡チョコレート用油脂組成物を配合し、混合した後に行うこともできる。また、本発明でテンパリング処理は、テンパリング操作又はシーディング剤の添加のどちらでも行うことができる。
本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートの製造に使用されるテンパリング型チョコレートは、テンパリング型チョコレートであれば、特に制限されることなく、使用することができる。本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートの製造に使用されるテンパリング型チョコレートは、市販品のテンパリング型チョコレートを使用することができる。
本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートの製造に使用されるテンパリング型チョコレートは、油脂を好ましくは25~45質量%含有し、より好ましくは27~42質量%含有し、さらに好ましくは30~40質量%含有する。
【0062】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレートは、本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートをホイップさせたチョコレートである。本発明でチョコレートをホイップさせるとは、チョコレートに気泡を含有させることである。
【0063】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレートは、本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートを使用する以外、特に制限されることなく、従来公知の方法により製造することができる。本発明の実施の形態の含気泡チョコレートは、融解させた後、好ましくは25~35℃に調温された本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートをホイップさせる。チョコレートをホイップさせる方法としては、例えば、常圧又は減圧下でミキサーにて撹拌する等が挙げられる。ミキサーは、縦型ミキサー、横型ミキサー等を使用することができる。
【0064】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレートは、本発明の実施の形態の含気泡用チョコレートをホイップさせた後に、好ましくはモールドで成形する。成形に使用されるモールドは、特に制限させることなく、通常、チョコレートの成形に使用されるモールドを使用することができる。
【0065】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレートは、比重が好ましくは0.85以下であり、より好ましくは0.55~0.85であり、さらに好ましくは0.65~0.83であり最も好ましくは0.67~0.80である。
【0066】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレートは、良好な起泡性及び口どけを有する。
【0067】
本発明の実施の形態の含気泡チョコレートは、複合食品用に使用することができる。なお、本発明で複合食品とは、含気泡チョコレートと他の食品を組み合わせることで得られる複合食品のことである。
【0068】
前記複合食品の製造に使用される他の食品としては、例えば、ドーナツ、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、バターロール、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペーストリー等のベーカリー製品、カステラ、ワッフル、ボーロ、八つ橋、あられ、揚げせんべい、かりんとう、スポンジケーキ、ロールケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、シュー、エクレア、ミルフィーユ、パイ、タルト、マカロン、ビスケット、クッキー、クラッカー、サブレ、マシュマロ、蒸しパン、プレッツェル、ウエハース、スナック菓子、クレープ、スフレ、ポテトチップス等の菓子、バナナ、りんご、イチゴ等の果物等が挙げられる。
【0069】
前記複合食品は、従来公知の複合食品の製造方法を用いることによって、本発明の実施の形態の含気泡チョコレートと他の食品とを組み合わせることで製造することができる。本発明の実施の形態の含気泡チョコレートと他の食品とを組み合わせる方法としては、例えば、被覆、包餡、注入、巻く、挟む、付着等が挙げられる。
【実施例】
【0070】
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例になんら制限されるものではない。
【0071】
<測定方法>
油脂のトリグリセリド含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993)準拠)、銀イオンカラム-HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105-107(1995)準拠)及びガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce5-86準拠)で測定した。
油脂の脂肪酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f-96準拠)で測定した。
【0072】
<油脂C1の製造>
51質量部の菜種油の極度硬化油(X含有量:96.8質量%)と49質量部のMCT(M3含有量:100質量%)とを混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換することにより、油脂C1(M2X含有量:41.2質量%、MX2含有量:28.7質量%、M2XとMX2の合計含有量:69.8質量%、MX2/M2X質量比:0.697、M含有量:49.0質量%、X含有量:49.4質量%)を得た。
ランダムエステル交換は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、120℃で0.5時間攪拌しながら反応を行った。
【0073】
<原料油脂>
テンパリング型ココアバター代用脂(X3含有量:2.2質量%、X2O含有量:81.6質量%、XOX/X2O質量比:0.957、XU2とU3の合計含有量:7.1質量%、W含有量:98.5質量%、X含有量:62.1質量%、P/St質量比:1.118、U含有量:36.5質量%、TFA含有量:0.2質量%)を油脂A1とした。
菜種油の極度硬化油(X含有量:96.8質量%、P2StとPSt2の合計含有量:16.2質量%)を油脂B1とした。
パーム油の極度硬化油(X含有量:97.6質量%、P2StとPSt2の合計含有量:79.0質量%)を油脂B2とした。
ハイエルシン菜種油の極度硬化油(X含有量:43.6質量%、Z含有量:55.2質量%、P2StとPSt2の合計含有量:4.2質量%)を油脂b1とした。
【0074】
<含気泡チョコレート用油脂組成物の製造>
表1~2に示す配合で、融解させた油脂を、マーガリンプロセッサーを用いて急冷練り合わせを行ことで、含気泡チョコレート用油脂組成物を製造した。得られた含気泡チョコレート用油脂組成物の脂肪酸含有量、トリグリセリド含有量を前述の分析方法に従って測定した。測定結果を表1~2に示した。なお、配合の単位は質量部であり、含有量の単位は質量%である(質量比の単位はなし)。
【0075】
【0076】
【0077】
<含気泡チョコレートの製造>
下記1)~5)の手順に従い、含気泡チョコレートを製造した。含気泡チョコレートの起泡性、口どけ及びモールド成形性を、下記評価方法で評価した。評価結果を表3に示した。
1)テンパリング型チョコレート(油脂含量:34質量%)を完全に融解させる。
2)テンパリング型チョコレートを30.0℃に調温する。
3)30.0℃に調温したテンパリング型チョコレート100質量部に、シーディング
剤を0.2質量部添加し、10分間撹拌する(64rpm)。
4)縦型ミキサー(製品名:ホバートミキサー、型式:N-50)に、3)で得られる
30.0℃に調温したテンパリング型チョコレート85質量部と、40℃で15時間
調温した後に30.0℃で調温した各含気泡チョコレート用油脂組成物15質量部を
加えることで、含気泡用チョレートを得る。
5)4)で得られる各含気泡用チョコレートを、中速(2速)で30分間撹拌すること
で、含気泡チョコレートを得る。
【0078】
<起泡性の評価方法>
10分間撹拌した後の含気泡チョコレートの比重及び30分間撹拌した後の含気泡チョコレートの比重を測定することで、起泡性を評価した。比重が0.85以下である場合、良好な起泡性を有すると判断した。
【0079】
<口どけの評価方法>
30分間撹拌した後の含気泡チョコレートを、4名の専門パネルが食し、下記評価基準に従って点数を付けた。4名の専門パネルの平均点を算出し、下記評価基準に従って評価した。評価結果は、平均点の評価が◎◎、◎又は○の場合、良好な風味を有していると判断した。なお、含気泡チョコレートの口どけを評価した専門パネルは、チョコレートの口どけ等の官能評価の訓練を定期的に受けており、チョコレートの口どけ等の官能評価結果に個人差が少ない。
4点:非常に良い
3点:かなり良い
2点:良い
1点:やや悪い
0点:悪い
<平均点>
◎◎:3.5点以上
◎ :3.0点以上3.5点未満
○ :2.0点以上3.0点未満
△ :1.0点以上2.0点未満
× :1.0点未満
【0080】
<モールド成形性の評価方法>
10分間撹拌した後の含気泡チョコレート及び30分間撹拌した後の含気泡チョコレート5gを、モールド(上面が縦16mm×横35mm、下面が縦20mm×横38mm、深さ6mmの立体形状)に流し込み、10℃で30分間冷却した後、デモールドすることで、モールド成形性を評価した。モールド成形性は、下記評価基準に従って評価した。評価結果は、平均点の評価が◎又は○の場合、良好なモールド成形性を有していると判断した。
◎:チョコレートが問題なく剥離する。
○:チョコレートは剥離するが、チョコレートの一部がモールドに付着している。
×:チョコレートがモールドにひどく付着している。
【0081】
【0082】
実施例の含気泡チョコレート用油脂組成物を使用して製造した含気泡チョコレートは、良好な起泡性、口どけ、モールド成形性を有していた。特に、口どけは、実施例1及び実施例2よりは実施例3の方が良好であり、実施例3よりは実施例4の方が良好だった。
一方、比較例1の含気泡チョコレート用油脂組成物を使用して製造した含気泡チョコレートは、良好な口どけを有していなかった。