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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】緊急管理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20250106BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20250106BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20250106BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20250106BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20250106BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/08 A
G08B21/02
A61B5/00 102C
G16H10/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022525681
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2020080644
(87)【国際公開番号】W WO2021089463
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】19306434.2
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・クレム
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211719(JP,A)
【文献】国際公開第2019/115358(WO,A1)
【文献】特開2018-085079(JP,A)
【文献】特許第6592633(JP,B1)
【文献】国際公開第2015/143085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
G06Q 50/22
G08B 19/00-31/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急要請を開始するように構成された緊急管理システム(80)であって:
ユーザ(1)の重要データ(400)を収集するように構成されたパーソナルコンピュータデバイス(10、100)であって、外部電子機器(200)および緊急サービス提供者(300)の少なくとも一方と通信するように動作可能な少なくとも1つの通信インターフェース(40、140、142、144)を含むパーソナルコンピュータデバイス(10、100)と、
ユーザ(1)の個人データ(500)を記憶するように構成された電子記憶装置(16、120、220、222)と、
該電子記憶装置(16、120、220、222)に連結可能な少なくとも1つのプロセッサ(14、110、210)とを含み、
該少なくとも1つのプロセッサ(14;110、210)は:
個人データ(500)および収集重要データ(400)に基づいて緊急レベルインジケータを導出するように、かつ
緊急レベルインジケータの所定の上方緊急閾値を超えての増加に応答して緊急要請を生成し、緊急サービス提供者(300)へその緊急要請を送信するように動作可能であって、
前記緊急管理システムは、ユーザ(1)とのユーザ対話に入るように動作可能なユーザ対話システム(250)をさらに含み、ここで、少なくとも1つのプロセッサ(110、210)は、緊急レベルインジケータが所定の下方緊急閾値を超えたときにユーザ対話システム(250)を始動するように構成され、そして、
ユーザがユーザ対話システム(250)との対話中に適切なあるいは予想通りの反応を示したときに、少なくとも一つのプロセッサ(14;110、210)は緊急レベルインジケータを下げるように動作可能であり、ユーザがユーザ対話システム(250)との対話中に不適切な、またはあるいは予想外の反応を示したときに、少なくとも一つのプロセッサ(14;110、210)は緊急レベルインジケータを上げるように動作可能である、前記緊急管理システム。
【請求項2】
緊急要請を生成および送信することは、収集重要データ(400)の少なくとも一部、および個人データ(500)の少なくとも一部を緊急サービス提供者(300)に提供す
ることを含む、請求項1に記載の緊急管理システム(80)。
【請求項3】
緊急レベルインジケータ(300)を導出することは、収集された重要データ(400)を個人データ(500)に基づいて確率論的に解析することを含む、請求項1または2に記載の緊急管理システム(80)。
【請求項4】
パーソナルコンピュータデバイス(10)は、次の重要パラメータ、すなわち:心拍数、呼吸数、血糖値、血圧、心電図(ECG)、酸素飽和度、体温、位置、動きの状態、向き、聴覚信号、触覚信号、のうちの少なくとも1つを測定するように動作可能な少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26、28)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の緊急管理システム(80)。
【請求項5】
個人データ(500)は、次のデータ、すなわち:年齢、性別、体重、住所情報、疾患の種類、処方医薬品、医薬品歴、治療歴、緊急歴、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の緊急管理システム(80)。
【請求項6】
少なくとも1つのプロセッサ(14、110、210)は、重要データ(400)を継続的に収集し、緊急レベルインジケータを継続的に導出するように構成され、少なくとも1つのプロセッサ(110、210)はさらに、緊急レベルインジケータが所定の上方緊急閾値を超える場合に、緊急要請を自律的に生成して緊急サービス提供者(300)へ送信するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の緊急管理システム(80)。
【請求項7】
ユーザ対話システム(250)およびプロセッサ(110、210)の少なくとも一方は、ユーザ対話時またはその間中に、緊急レベルインジケータをユーザ(1)の応答に基づいて修正するように動作可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載の緊急管理システム(80)。
【請求項8】
薬剤送達デバイス(50)をさらに含み、該薬剤送達デバイス(50)は、パーソナルコンピュータデバイス(10、100)と通信するように構成された、かつ医薬品歴に関連するデータをパーソナルコンピュータデバイス(10、100)に提供するように構成された通信インターフェース(52)を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の緊急管理システム(80)。
【請求項9】
緊急要請を開始するように構成されたパーソナルコンピュータデバイス(10、100)であって:
人(1)の重要データ(400)を収集および処理するように動作可能なプロセッサ(14、110)と、
プロセッサ(14、110)に連結され、人(1)の重要データ(400)および個人データ(500)の少なくとも一方を記憶するように動作可能な電子記憶装置(16、120)と、
プロセッサ(14、110)に連結された少なくとも1つの通信インターフェース(40、140、142、144)とを含み、
該少なくとも1つの通信インターフェース(40、140、142、144)は、緊急要請を緊急サービス提供者(300)へ送信するように動作可能であり、ここで、プロセッサ(14、110)は:
収集重要データ(400)および個人データ(500)に基づいて緊急レベルインジケータを導出するように、
緊急インジケータに基づいて緊急要請を生成するように、かつ
緊急レベルインジケータの所定の上方緊急閾値を超えての増加に応答して緊急要請を
緊急サービス提供者(300)へ送信するように
動作可能であり、
ここで、前記パーソナルコンピュータデバイス(10、100)は、
ユーザ(1)とのユーザ対話に入るように動作可能なユーザ対話システム(250)をさらに含み、
ここで、プロセッサ(14、110)は、緊急レベルインジケータが所定の下方緊急閾値を超えたときにユーザ対話システム(250)を始動するように構成され、ユーザがユーザ対話システム(250)との対話中に適切なあるいは予想通りの反応を示したときに、少なくとも一つのプロセッサ(14、110)は緊急レベルインジケータを下げるように動作可能であり、ユーザがユーザ対話システム(250)との対話中に不適切な、またはあるいは予想外の反応を示したときに、少なくとも一つのプロセッサは緊急レベルインジケータを上げるように動作可能である、前記パーソナルコンピュータデバイス。
【請求項10】
ユーザ(1)の音声ベースの入力または音声ベースのフィードバックを処理するように構成された音声インターフェース(146)をさらに含む、請求項に記載のパーソナルコンピュータデバイス(10、100)。
【請求項11】
ウェアラブル電子デバイス(10)として構成され、次の重要パラメータ、すなわち:心拍数、呼吸数、血糖値、血圧、心電図(ECG)、酸素飽和度、体温、位置、動きの状態、向き、聴覚フィードバック、触覚フィードバック、のうちの少なくとも1つを測定するように動作可能な少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26、28)を含む、請求項9または10に記載のパーソナルコンピュータデバイス(10、100)。
【請求項12】
緊急要請を開始する方法であって:
ユーザ(1)の重要データ(400)を収集する工程と、
ユーザ(1)の個人データ(500)を電子記憶装置(120、220、222)から提供する工程と、
個人データ(500)および収集重要データ(400)に基づいて緊急レベルインジケータを導出する工程と、
緊急レベルインジケータに基づいて緊急要請を生成し、緊急レベルインジケータの所定の上方緊急閾値を超えての増加に応答してその緊急要請を緊急サービス提供者(300)へ送信する工程と
緊急レベルインジケータが所定の下方緊急閾値を超えたときにユーザ(1)とのユーザ対話に入る工程と
ユーザがユーザ対話システム(250)との対話中に適切なあるいは予想通りの反応を示したときに、緊急レベルインジケータを下げ、そして
ユーザがユーザ対話システム(250)との対話中に不適切な、またはあるいは予想外の反応を示したときに、緊急レベルインジケータを上げる工程とを含む、前記方法。
【請求項13】
緊急要請を生成することは、収集重要データ(400)の少なくとも一部、および個人データ(500)の少なくとも一部を緊急サービス提供者(300)に提供することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
重要データ(400)は継続的に収集され、緊急要請の生成および/または送信は、収集重要データ(400)に基づいて自律的にトリガされる、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
1つまたはそれ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、1つまたはそれ以上のプログラムは命令を含み、この命令は、パーソナルコンピュータデバイスによって実行されたとき、デバイスに:
ユーザ(1)の重要データ(400)を収集させ、
電子記憶装置(120、220、222)からユーザ(1)の個人データ(500)を提供させ、
個人データ(500)および収集重要データ(400)に基づいて緊急レベルインジケータを導出させ、
該緊急レベルインジケータに基づいて緊急要請を生成させ、
緊急レベルインジケータの所定の上方緊急閾値を超えての増加に応答して該緊急要請を緊急サービス提供者(300)へ送信させ
緊急レベルインジケータが所定の下方緊急閾値を超えたときにユーザ(1)とのユーザ対話に入り、
ユーザがユーザ対話システム(250)との対話中に適切なあるいは予想通りの反応を示したときに、緊急レベルインジケータを下げ、そして
ユーザがユーザ対話システム(250)との対話中に不適切な、またはあるいは予想外の反応を示したときに、緊急レベルインジケータを上げる、前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、緊急管理の分野に関し、詳細には緊急管理システムの分野に関する。別の態様では、本開示は、パーソナルコンピュータデバイス、緊急要請を開始する方法、および緊急管理のための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性疾患を患っているユーザまたは患者、あるいは高齢者は、緊急サービス提供者への救急車などの緊急要請を開始することができない緊急事態に直面することがある。たとえば、このような事態は、人が心臓発作や脳卒中に見舞われたときに発生することがある。糖尿病などの慢性疾患を患っている患者には、低血糖または高血糖が発症して、それぞれの患者または人が重度の制約を受けることになり得る。このような状況では、ほぼ即時に医療支援を提供することが望まれる。実際の状況では、病気になった人が、特に誰にも見られていない場合に、または一人暮らしの家庭環境にある場合に、緊急通報ができないことがある。このような状況では、即時の緊急通報が、たとえ病気になった人がそのような緊急通報ができないとしても望ましいはずである。
【0003】
その一方で、そのような緊急通報をする必要が全くないはずの状況でも、緊急通報を行い、緊急サービス提供者に医療支援を求める傾向が増大していることが報告されている。緊急サービス提供者には、機器に関しても人員に関しても限られた資源しかないので、緊急サービス提供者への過剰な緊急要請がサービス提供者に過大な負担をかけることになり得る。そのため、緊急事態のさなかの人に適切な援助または支援が提供されないという状況になり得る。この問題は、救急サービス提供者の密度が都市部と比べて比較的低い地方部において、いっそう深刻になっている。
【0004】
さらに実際のところ、一部の緊急通報については、緊急サービス提供者に提供される情報が不十分であるか不必要であるかのどちらかである。緊急要請を受けたときの情報の終局の不足の故に、緊急サービス提供者は、当然ながら、緊急支援を求めている人に物理的に近づく前に最大限の緊急サービスを提供する傾向がある。緊急サービス提供者の機器および/または人員が、そのような機器または人員が一般に必要とされない特定の緊急現場に不必要に拘束される状況があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、課題は、改善された緊急管理システム、改善されたパーソナルコンピュータデバイス、改善された緊急要請の開始方法を提供して欲しいという要望、ならびに、緊急サービス提供者の的確さおよび/または効率を向上または強化できるパーソナルコンピュータデバイスによって実行可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供して欲しいという要望にある。課題はさらに、そのような支援を要請している緊急システムのユーザには、むしろ即時の緊急支援を提供する目的にある。さらに、課題は、救急機器と緊急支援を提供する訓練を受けた人員との両方に関して、利用可能な緊急事態の資源の適切な使用を有効にするように異なるレベルの緊急事態を的確に区別できる緊急管理システムを提供して欲しいという要望にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、緊急要請を開始するように構成された緊急管理システムが提供される。緊急管理システムは、ユーザの重要データを収集するように構成されたパーソナルコンピュータデバイスを含む。パーソナルコンピュータデバイスは、外部電子デバイスおよび緊急サービス提供者の少なくとも一方と通信するように動作可能である少なくとも1つの通信インターフェースを含む。少なくとも1つの通信インターフェースは、緊急サービス提供者と直接通信するように動作可能であるか、または、たとえば外部電子デバイスを介して緊急サービス提供者と間接的に通信するように動作可能である。
【0007】
緊急管理システムはさらに、電子記憶装置を含む。電子記憶装置は、ユーザの個人データを記憶するように構成される。緊急管理システムはさらに、少なくとも1つのプロセッサ、典型的にはデジタルプロセッサを含む。少なくとも1つのプロセッサは、パーソナルコンピュータデバイスの構成要素であり、あるいは、少なくとも1つのプロセッサは、データ転送するようにしてパーソナルコンピュータデバイスに連結可能である。少なくとも1つのプロセッサはさらに、電子記憶装置に連結されているか連結可能である。どちらでも、少なくとも1つのプロセッサは、個人データに基づいて、および収集重要データに基づいて、緊急レベルインジケータを導出または計算するように動作可能である。緊急レベルインジケータに基づいて、プロセッサはさらに、緊急要請を生成するように動作可能である。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、緊急レベルインジケータに基づいて緊急要請を緊急サービス提供者に送信するように構成され、そのように動作可能である。
【0008】
通常、緊急レベルインジケータは、実際の緊急レベルの直接的な尺度である。かなり低い緊急レベルは、重篤ではない緊急事態を示し得る。それゆえに、低い緊急レベルは、緊急支援を求める人に生命にかかわる危険や死の危険がない緊急事態の特徴を示し得る。
【0009】
それとは対照的に、高い緊急レベルは、重篤な緊急事態を示し得る。ここでは、緊急管理システムのユーザまたは患者は、死の危険または生命にかかわる危険にさらされている可能性がある。
【0010】
少なくとも1つのプロセッサによって導出または計算された緊急レベルインジケータに応じて、緊急管理システムは、緊急サービス提供者が緊急要請を受けた場合に、異なる緊急レベルを自律的に区別することができる。緊急レベルインジケータによって示される緊急レベルに応じて、緊急サービス提供者は、緊急レベルインジケータに適合した適切な措置を講じることができる。このようにして、緊急事態機器に関して、ならびに緊急事態の訓練を受けた人員に関して利用可能な資源が、より効率的に使用される。このようにして、緊急事態のための個々のコストが、緊急サービスの質を大幅に低下させずに低減される。
【0011】
緊急レベルインジケータを導出することには、電子記憶装置から入手できる個人データの少なくとも一部分を処理することが含まれる。加えて、緊急レベルインジケータを導出するおよび/または計算することには、パーソナルコンピュータデバイスによって収集された重要データを処理することが含まれる。重要データは、ユーザの瞬時生理学的状態、状況、動きまたは向きを表し得る。緊急レベルインジケータを導出または計算することにより、同一のユーザの個人データと収集重要データの両方を利用して、特定の緊急シナリオが実際に存在することを判定する精度または確度を高めることができる。緊急レベルインジケータを導出または計算することでは、ユーザの重要データを考慮し、さらに、少なくとも1つのプロセッサがアクセス可能な電子記憶装置から入手できるようになっている、同一のユーザの個人データも考慮する。
【0012】
本明細書では、またいくつかの例では、緊急レベルインジケータは緊急レベル指標を表す。緊急レベルインジケータ、すなわちそれぞれの緊急レベル指標は数値の形で表され、そのサイズまたは大きさは、緊急事態の程度またはそれぞれの緊急レベルを示す。
【0013】
他の、または別の例では、緊急レベルインジケータまたは緊急レベル指標は、多数の緊急事態カテゴリを含む1次元または多次元の格子または配列の形で表され、各緊急事態カテゴリには番号が付与される。ここで、それぞれの番号は、各緊急事態カテゴリのサイズまたは大きさを示し得る。
【0014】
その限りにおいて、本明細書で使用される用語の「緊急レベルインジケータ」は、緊急事態の程度または重症度が定量的に記述または特徴付けされる緊急レベル指標として一般に理解される。
【0015】
重要データは、たとえばパーソナルコンピュータデバイスの助けによって、ユーザから動的および/または継続的に収集される。重要データは、たとえば、所定の収集または取得スケジュールに従って、頻繁に収集または取得される。それゆえに、収集重要データは、ユーザの身体的または生理学的状態に応じて動的に変化する可能性がある。個人データは、やや静的であり得る。個人データは、それぞれのユーザに固有の識別名を示し得る。個人データはさらに、年齢、性別、体重、疾患の種類または処方医薬品などの、いくぶん静的なユーザ関連情報を含み得る。
【0016】
様々な種類のデータ、すなわち個人データと重要データを組み合わせることによって、緊急レベルインジケータは、緊急サービス提供者が大局的対応策をかなり効率的に、かつコストを削減するように取ることができる、様々な緊急レベルを示すことが可能である。
【0017】
通常、緊急要請の生成には、緊急レベルインジケータが含まれる。ここで、緊急レベルインジケータは、緊急サービス提供者に伝達、たとえば送信される緊急要請に埋め込まれる。このようにして、緊急サービス提供者が受けた緊急要請は、緊急レベルを即座に示す。緊急サービス提供者には、様々な緊急レベルの緊急要請を区別する可能性が与えられる。
【0018】
緊急サービス提供者への緊急要請の送信は通常、パーソナルコンピュータデバイスの少なくとも1つの通信インターフェースによって提供される。それぞれの通信インターフェースは、有線または無線の通信インターフェースである。パーソナルコンピュータデバイスは、たとえば専用の緊急通信チャネルを介して、通信ネットワークによって、または電話を介して、緊急サービス提供者と直接通信するように構成される。パーソナルコンピュータデバイスおよび/またはその少なくとも1つの通信インターフェースは、緊急サービス提供者との通信リンクを直接または間接的に確立するように構成される。
【0019】
直接の通信リンクでは、パーソナルコンピュータデバイスの少なくとも1つの通信インターフェースは、緊急サービス提供者の対応する通信インターフェースと直接通信するように構成される。この種の通信リンクは、たとえば電話、ボイスオーバーIP(VoIP)、またはインターネットなどの通信ネットワークを介して、多様に確立される。間接的な通信では、パーソナルコンピュータデバイスは、別個の外部電子デバイスとの通信リンクを確立するように構成され、この外部電子デバイスは、緊急サービス提供者と通信するように構成される。
【0020】
他の例では、緊急管理システムは、第1のパーソナルコンピュータデバイスおよび第2のパーソナルコンピュータデバイスを備える。第1および第2のパーソナルコンピュータデバイスのうち、一方のパーソナルコンピュータデバイス、たとえば第2のパーソナルコンピュータデバイスだけが緊急サービス提供者との通信リンクを設定するように構成され、第1のパーソナルコンピュータデバイスは、第2のパーソナルコンピュータデバイスとの通信に限定される。
【0021】
緊急管理システムが複数のパーソナルコンピュータデバイス、たとえば、第1のパーソナルコンピュータデバイスおよび第2のパーソナルコンピュータデバイスを含むならば、電子記憶装置および少なくとも1つのプロセッサは、同一のパーソナルコンピュータデバイスにあっても別々のパーソナルコンピュータデバイスにあってもよい。同じことが、1つまたは2つのパーソナルコンピュータデバイスしか含まない緊急管理システムにも当てはまり、第1および第2のパーソナルコンピュータデバイスの少なくとも一方は、たとえばデータ提供者または医療提供者から提供される別の外部電子デバイスへの通信リンクを確立するように構成される。
【0022】
それゆえに、緊急管理システムは多様に実施される。緊急管理システムは、単一のパーソナルコンピュータデバイスに実施されてもよく、このパーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの重要データを収集するように構成される。ここで、電子記憶装置および少なくとも1つのプロセッサは、ただ1つのパーソナルコンピュータデバイスによって提供される。
【0023】
他の例では、緊急管理システムは2つ以上のパーソナルコンピュータデバイスを含み、これらパーソナルコンピュータデバイスのうちの1つは、ユーザの重要データを収集するように構成されるのに対し、別のパーソナルコンピュータデバイスは電子記憶装置を備え、少なくとも1つのプロセッサは、前述のパーソナルコンピュータデバイスのうちの1つによって、または別のパーソナルコンピュータデバイスによって、または外部の電子デバイスによって提供される。緊急管理システムの意図された機能を得るために、少なくとも1つのプロセッサおよび電子記憶装置、ならびに重要データを検出または取得するための終局のセンサは、電子デバイスまたはパーソナルコンピュータデバイスが相互に適切に通信する限り、多数のパーソナルコンピュータデバイスまたは外部の電子装置の分散環境において提供される。
【0024】
別の例によれば、緊急要請を生成および送信することは、収集重要データの少なくとも一部および個人データの少なくとも一部を緊急サービス提供者に提供することを含む。このように、緊急サービス提供者は、緊急レベルインジケータを提供されるだけではない。収集重要データの少なくとも一部、および個人データの少なくとも一部を緊急サービス提供者に提供することによって、適切な緊急措置に関するかなり有用な情報が緊急サービス提供者に直ちに提供される。
【0025】
一例として、緊急要請は、瞬時の心拍数、呼吸数、酸素飽和度および/または血糖値などの、ユーザの生理的パラメータを含み得る。たとえばそれぞれのユーザの疾患の種類または処方医薬品を示す個人情報と組み合わせて、緊急サービス提供者には、それぞれの対策を導入できるようにする緊急関連情報が直ちに提供される。
【0026】
例として、緊急要請は、特定の人の既知の疾患を直接示すことができ、さらに、心拍数や呼吸数などの瞬時の重要データを含み得る。このようにして、緊急サービス提供者には、状況別の適切な緊急サービスを提供するための、高度に関連があり得る有益な情報が直ちに提供される。
【0027】
別の例によれば、緊急レベルインジケータを導出することは、個人データに基づいて収集重要データを確率論的に解析することを含む。さらに、別の代替形態として、緊急レベルインジケータを導出することは、収集重要データに基づいて個人データを確率論的に解析することを含む。さらに別の例では、緊急レベルインジケータを導出することは、収集重要データと個人データの両方を確率論的に解析することを含む。確率論的解析は、個人データおよび/または収集重要データについての発見的手法または発見的利用に基づく。
【0028】
たとえば、呼吸数の急激な変化と一緒の心拍数の動的な変化は、心臓発作を示し得る。この変化は、心血管疾患を患っている患者では、または近い過去もしくは遠い過去に心臓発作または類似の心血管問題が生じていた患者では、さらに起こりやすい。それゆえに、平均的な体重の比較的若い人では、心拍数および/または呼吸数の特定の動的変化が心臓発作を示している可能性は、肥満で近い過去に多くの心血管イベントが生じている高齢者と比べて低い。
【0029】
その限りにおいて、緊急管理システムには、たとえば特定の性別、年齢層および体重の人が、異なる年齢層、性別または体重の他の人と比較して一定の確率で特定の疾患に罹患したり緊急事態に陥ったりすることを示す、比較的大規模の医療データセットから抽出された確率論的解析が提供される。一般に、確率論的解析は、ユーザの重要パラメータおよび/または個人データのいずれについても実施される。
【0030】
収集重要データおよび個人データの確率論的解析を考慮に入れると、緊急レベルインジケータは、医療データの確率論的解析が考慮されない場合と比較して、より高い精度で導出される。その限りにおいて、個人データは、ユーザのいくぶん静的な通常のデータを反映するだけではないことがある。むしろ、個人データおよび/または重要データは、パーソナルコンピュータデバイスを利用する、および/または緊急管理システムを利用するそれぞれのユーザの睡眠と活動の割合、スポーツ活動、またはストレスレベルなどの、その人の生活習慣を表すデータを含み得る。緊急管理システムが入手できるデータが多ければ多いほど、緊急レベルインジケータの精度が高まる。
【0031】
いくつかの例では、収集重要データの確率論的解析は、ユーザから収集された重要データの時間平均に基づく。このために、電子記憶装置および少なくとも1つのプロセッサは一般に、ある期間にわたって重要データを収集してユーザの時間平均重要データを導出するように動作可能であり、そのように構成される。ユーザの時間平均重要データは、電子記憶装置に記憶され、緊急レベルインジケータを導出するための確率論的解析に使用される。それゆえに、特定の瞬間に、または特定の時間間隔中に取得された収集重要データは、同一の人についての長期の時間平均重要データと比較される。このようにして、瞬時収集重要データが緊急事態を示しているかどうかの、および、どの程度示しているかの、かなり正確な判定がもたらされる。
【0032】
ユーザの時間平均重要データを利用することが、緊急事態の認識または判定の精度を高める助けになり得る。さらに、ユーザの時間平均重要データは、ユーザの生活習慣の個々の、およびユーザ別の特徴付けを提供する。同一のユーザの瞬時収集重要データと時間平均重要データとの比較に基づいて、瞬時収集重要データが緊急事態を示しているかどうかの、および、どの程度示しているかの、かなり正確な推定が行われる。
【0033】
たとえば、ユーザが安静にしているか眠っている間に重要データが継続的に収集される場合、重要データの平均値は、その人が緊急事態に陥る大まかな罹患率の直接的なインジケータになり得る。
【0034】
確率論的解析では、少なくとも第1の種類の重要データと第2の種類の重要データとを組み合わせて、緊急管理システムのユーザの健康であることまたは健全さなどの、瞬時の体質を導出または推定することができる。単なる一例として、第1の種類の重要データはユーザの動きの状態とすることができ、第2の種類の重要データはユーザの呼吸数または心拍数とすることができる。ここで、第1の種類の重要データの第1の平均値と第2の種類の重要データの第2の平均値とは、ある期間にわたって計算される。第1の平均値と第2の平均値の比率または比較が導出され、ユーザの健康であることまたは体質の直接的なインジケータとして使用される。第1のタイプの重要データおよび第2のタイプの重要データの、少なくとも第1および第2の時間平均値を利用または使用して、緊急要請を生成するための感度または感受性が修正される。
【0035】
別の例によれば、パーソナルコンピュータデバイスは、少なくとも1つのセンサを含む。少なくとも1つのセンサは、次の重要パラメータ、すなわち:心拍数、呼吸数、血糖値、血圧、心電図(ECG)、酸素飽和度、体温、位置、動きの状態、向き、聴覚フィードバックおよび/または触覚フィードバック、のうちの少なくとも1つを測定するように動作可能である。その限りにおいて、パーソナルコンピュータデバイスは、上述の重要なパラメータのうちの少なくとも1つまたはいくつかを頻繁に測定または決定できる少なくとも1つまたは多数のセンサを含む。
【0036】
たとえば、少なくとも1つのセンサは、加速度センサとして実施される。このようにして、ユーザの動きまたは動きパターンが常に監視される。ユーザが心臓発作を起こし、不意に地面に倒れるかもしれないことを想定すると、このような特徴的な動きは、少なくとも1つのセンサによって直ちに検出可能であり得る。それぞれのセンサ信号に応答して、少なくとも1つのプロセッサは、比較的高い緊急レベルの緊急レベルインジケータを直ちに導出することができ、緊急要請を直ちに生成して緊急サービス提供者へ送信することができる。
【0037】
緊急サービス提供者への緊急要請の生成および/または送信は、緊急閾値によって制御される。緊急レベルインジケータが緊急閾値を超えると、緊急要請が生成され、緊急サービス提供者へ送信される。緊急レベルインジケータが所与の緊急閾値以下である場合には、緊急管理システムは、緊急要請が緊急サービス提供者に向けて生成および/または送信される前に、別のサービスをユーザに提供することができる。このような状況では、単なる例として、緊急管理システムは、たとえば、ユーザに緊急事態が実際に生じている場合にユーザからさらなる情報を得るために、ユーザとの対話を設定するように構成される。緊急閾値は、個人データに応じて、特に個人データにリンクされた確率論的リスク因子に応じて、変化し得る。一例として、近い過去に心血管の問題が繰り返し生じた人の場合では、緊急閾値は、心血管の問題を経験したことがない人と比較して低いレベルに維持される。
【0038】
別の例によれば、個人データは、次のデータ、すなわち:年齢、性別、体重、住所情報、疾患の種類、処方医薬品、医薬品歴、治療歴および/または緊急歴、のうちの少なくとも1つのデータを含む。単一または多数の個人データが、緊急レベルインジケータを導出するために少なくとも1つのプロセッサによって、上述の重要データのうちのいずれか1つと組み合わされる。ここで、緊急事態を特徴付ける大きい医療データセットの確率論的解析が提供され、かつ/または緊急レベルインジケータを導出するために使用される。
【0039】
たとえば、緊急要請に、年齢、性別、体重、住所情報、および疾患の種類、ならびに処方医薬品、医薬品歴などの個人データ有用情報がさらに提供されると、治療歴および緊急歴が救急サービス提供者に自動的に提供される。電話によって行われる従来の緊急通報と比べて、このような情報はもはや、音声で伝達されなくてもよい。さらに、電話による緊急通報によってユーザが実際に支援を要請している緊急事態では、状況によってユーザは、意図せずに不正確または不完全な情報を緊急サービス提供者に提供することがあり得る。このような電話による言語データ取得は、非常に時間がかかり、時として間違いを起こしやすい。パーソナルコンピュータデバイスから緊急サービス提供者に提出されるデジタル的に実施された緊急要請に、上述の個人データの少なくとも一部を直接埋め込むことによって、緊急事態関連の、およびある程度関連した情報が、時間がかからないようにしてより正確かつ明確に提供される。
【0040】
緊急管理システムの別の例によれば、個人データの緊急歴は、少なくとも1つのプロセッサが、緊急レベルインジケータを導出するたびに、かつ/または緊急サービス提供者に向けてそれぞれの緊急要請を生成もしくは送信するたびに、自動更新される。緊急サービス提供者から提供された緊急サービスがある程度成功裏に完了した後に、緊急管理システムの質が評価され、個人データとして記憶された少なくとも緊急歴が完了および/または修正される。
【0041】
このようにして、緊急レベルインジケータの導出または計算の精度を改善できる一種の自己学習アルゴリズムが実施される。ユーザまたは緊急サービス提供者の少なくとも一方は、それぞれのユーザフィードバックを提供することができ、このフィードバックは、少なくとも1つのプロセッサが個人データおよび収集重要データに基づいて緊急レベルインジケータを導出するアルゴリズムを修正することによって、重要データに、またはそれぞれのユーザの個人データに記憶される。
【0042】
さらに、この関連で、緊急管理システムは、パーソナルコンピュータデバイスをそれぞれが利用する多数のユーザに適用可能であり得る。緊急管理システムは、自己学習アルゴリズムを含むことができ、使用中に絶えず訓練される。
【0043】
別の例によれば、少なくとも1つのプロセッサは、緊急レベルインジケータを継続的に導出するために、重要データを継続的に収集するように構成される。通常、パーソナルコンピュータデバイスの少なくとも1つのプロセッサ、またはパーソナルコンピュータデバイスに連結可能な少なくとも1つのプロセッサは、たとえばパーソナルコンピュータデバイスの少なくとも1つのセンサから得られる信号を処理することによって、ユーザについての少なくとも1つまたはいくつかの重要データを頻繁に収集する。
【0044】
いくつかの例では、緊急レベルインジケータは、個人データをさらに考慮に入れることによって、収集重要データから恒久的に導出される。このようにして、緊急レベルインジケータは、ユーザの瞬時の体調、状態または動きに合わせて恒久的に調整される。通常、少なくとも1つのプロセッサは、重要データのただ1つよりも多い重要パラメータを処理するように構成される。少なくとも1つのプロセッサは、入手可能な個人データを考慮して、重要データのある数の、すなわち少なくとも2つの重要パラメータを処理するように構成される。
【0045】
このようにして、かなり正確な緊急レベルインジケータの推定または計算が提供される。たとえば、ユーザが体操を開始する場合、その心拍数だけでなく呼吸数が、ある程度同時に増加し得る。プロセッサは、それぞれのデータにアクセスすることができ、あるいは、2つの重要パラメータを相関関係になるように設定するために実施される。このように、心拍数、呼吸数および/または血圧の同時上昇は、緊急事態を示すものではない。特に、少なくとも1つのプロセッサに、ユーザの身体活動の動きを監視できる運動加速度センサのさらなる信号が提供される場合には、少なくとも1つのプロセッサは、ユーザの身体活動による、検出された重要パラメータの変化が緊急事態を表していないことを明らかにすることが可能である。他の状況では、たとえば、それぞれのユーザの動きの状態の顕著な変化がなくても、心拍数および/または呼吸数が急激に変化することになるはずである場合には、緊急事態または緊急イベントが検出される。
【0046】
別の例によれば、少なくとも1つのプロセッサは、緊急レベルインジケータが所定の上方緊急閾値を超えると、緊急サービス提供者への緊急要請を自律的に生成し、かつ/または自律的に送信するように構成される。このようにして、緊急管理システムは、ユーザとの対話が何もなくても、緊急サービス提供者への緊急要請を自律的に生成および送信することが可能になる。このことは、ユーザが緊急要請を能動的にトリガできないときに特に有用である。緊急サービス提供者への緊急要請のこのような自律的な生成および/または送信は、パーソナルコンピュータデバイスによって測定または収集された重要パラメータ、たとえば心拍数および/または呼吸数ならびに血圧が、潜在的に有害または重篤で危険なユーザの体調を明白に表す状況に適用することができる。
【0047】
別の例では、緊急管理システムはさらに、ユーザとの対話に入るように動作可能なユーザ対話システムを含む。ここで、少なくとも1つのプロセッサは、緊急レベルインジケータが所定の下方緊急閾値を超えたときにユーザデータシステムを開始するように構成されている。このようにして、緊急管理システムは、緊急レベルインジケータを導出または計算するプロセスに多段階カスケードを配置することができる。
【0048】
ユーザ対話システムは、視覚的および/または聴覚的に実施される。ユーザ対話システムは、スクリーン上に配置されるボタンまたはタッチセンス領域などの、少なくとも1つの入力部と一緒の視覚スクリーンを含み得る。加えて、または代替形態として、ユーザ対話システムは、スピーカおよびマイクロフォンの少なくとも一方を含み、それによって、ユーザとパーソナルコンピュータデバイスの間で音声ベースの、または音声制御の対話を可能にすることができる。
【0049】
多数の例で、緊急レベルインジケータを導出または計算することには、多数の反復またはエスカレーション段階が含まれ得る。第1の工程では、継続的に収集された重要パラメータが平均値から急に逸脱することがある。これにより、下方緊急閾値を超える緊急レベルインジケータが導出され、計算されることになり得る。このような緊急レベルインジケータを導出することにより、ユーザ対話システムを自律的に起動させることができる。このユーザ対話システムは、ユーザとの直接対話を視覚的および/または聴覚的に設定することを開始できる。ユーザが対話システムに反応すべきでない場合、またはユーザがユーザ対話システムに不適切に反応した場合には、緊急レベルインジケータは上がる。
【0050】
緊急レベルインジケータが上がると、後に続くユーザ対話システムの反復またはエスカレーション段階がトリガされる。ユーザ対話システムの第1のエスカレーション段階では、ユーザ対話システムは、ユーザへの視覚的または聴覚的な要請の送信を簡単に試行することができる。ここで、ユーザは、要請を受け取ったことを簡単に促すことができる。ユーザは、ユーザ対話システムから、支援を必要とするかどうかを尋ねられる。ユーザの返答に応じて、ユーザ対話システムは反応することができる。
【0051】
ユーザが明確に支援を要求している状況において、ユーザ対話システムはさらに、特定の種類の支援を分類すること、または現在生じている問題を明示することをユーザに促すことができる。ユーザがユーザ対話システムと対話できる限り、パーソナルコンピュータデバイスは、応急処置またはそれぞれの対応策をユーザに提供することが可能であり得る。一例として、ユーザ対話システムは、多様な典型的緊急シナリオに対応できるように訓練される。たとえば、糖尿病の人では、ユーザ対話システムは、血糖測定を手動で行うこと、およびそれぞれの血糖濃度を提供することを、たとえばパーソナルコンピュータデバイスがそのような重要なパラメータを自律的に提供できない場合に、ユーザに促すことができる。
【0052】
血糖値が所定の範囲より低い場合、ユーザ対話システムは、特定の量のブドウ糖を摂取するようにユーザに簡単に促すことができる。ユーザは、体調が改善したか悪くなったかを明示するように繰り返し促される。ユーザの応答に従って、対話システムは、緊急レベルインジケータを上げるか下げるかすることができる。ユーザ対話システムとのユーザ対話の過程で、パーソナルコンピュータデバイスは、緊急サービス提供者への緊急通報を手動でトリガすることをユーザに繰り返し勧めることができる。
【0053】
ユーザ対話の間中にユーザが不適切に行動を開始していることが判明した場合には、ユーザ対話システムは、ユーザの回答または反応がもはや所定の方式に適合していないという、それぞれのインジケータを生成および/または提供することができる。したがって、ユーザ対話システムは、緊急レベルインジケータを上げることができる。緊急レベルインジケータが、たとえば上方緊急閾値を超えるレベルまで上がると、緊急管理システムは、緊急要請を緊急サービス提供者に自律的に送信することができる。
【0054】
ここで、緊急要請はさらに、以前のユーザ対話の内容を含むことができ、それにより、緊急サービス提供者が緊急要請を受けて処理すると、有益な情報が緊急サービス提供者に提供される。
【0055】
別の例によれば、ユーザ対話システムおよびプロセッサの少なくとも一方は、ユーザ対話時またはその間中に、緊急レベルインジケータをユーザの応答に基づいて修正するように動作可能である。通常、ユーザが対話システムとの対話中に正常な、または予想通りの反応を示した場合には、対話システムおよびプロセッサの少なくとも一方は、緊急レベルインジケータを下げるように動作可能である。他の状況では、ユーザが対話システムとの対話中に不適切な、または予想外の反応を示した場合、対話システムおよびプロセッサの少なくとも一方は、緊急レベルインジケータを上げるように動作可能になる。
【0056】
ユーザ対話システムは、多数のエスカレーション段階を提供するように動作可能であり得る。デフォルトで起動されたとき、ユーザ対話システムは、初期または第1のエスカレーション段階にあり得る。その後、ユーザとの第1の対話ループで、ユーザの反応に応じて対話システムは、第2のエスカレーション段階に入ること、または自律的に動作停止することができる。通常、対話システムは、第1の対話ループの間中のユーザの反応が不適切であるか予想外である場合に、第2のエスカレーション段階に入る。第2のエスカレーション段階に入ることには、緊急レベルインジケータの上昇が伴う。第1の対話ループの間中のユーザの反応が予想通りであるか適切である場合には、対話システムは自動的に動作停止することができる。
【0057】
第2のエスカレーション段階にあるとき、ユーザ対話システムは、ユーザとの第2の対話ループを実施するように動作可能である。ユーザの反応に応じて、対話システムは第3のエスカレーション段階に入ること、第1のエスカレーション段階に戻ること、または動作停止することができる。通常、対話システムは、第2の対話ループの間中のユーザの反応が不適切であるか予想外である場合に、第3のエスカレーション段階に入る。この場合も、第3のエスカレーション段階に入ることには、緊急レベルインジケータのさらなる上昇が伴う。第2の対話ループの間中のユーザの反応が予想通りであるか適切である場合には、対話システムは、第1の対話ループに再び入ること、または自動的に動作停止することができる。
【0058】
緊急管理システムの特定の実施に応じて、様々な数のエスカレーション段階および対話ループが対話システムにおいて実施される。最終のエスカレーション段階に到達したとき、対話システムおよび/またはプロセッサは、緊急要請を生成するように動作可能である。
【0059】
様々なエスカレーション段階および関連する対話ループは、対話システムによって生成される聴覚信号、視覚信号および/または触覚信号の強度、振幅および強さのうちの少なくとも1つによって互いに区別することができる。エスカレーション段階の数が増加することにより、かつ/または対話ループの数が増加することにより、対話システムによって生成される知覚可能な信号の強度、振幅または強さが増加する。
【0060】
いくつかの例では、第1のエスカレーション段階中のユーザの反応に応じて、対話システムは、中間のエスカレーション段階のうちの少なくとも1つまたはいくつかをスキップすることができ、かつ緊急要請を生成することを直接決定することができる。こうすることは、たとえば、第1のエスカレーション段階中にユーザ対話システムの最初の要請にユーザが応答しない場合に、またはユーザの応答が高度に不合理である場合に適用することができる。
【0061】
いくつかの例では、ユーザ対話システムが起動したときに、緊急レベルインジケータと所定の下方緊急閾値との間の差異が定量的に測定または導出される。緊急レベルインジケータと所定の緊急度下限閾値の差が所定の第1のエスカレーションレベル未満である場合、ユーザ対話システムは第1のエスカレーション段階に入る。その差が所定の第1のエスカレーションレベルを超えている場合には、ユーザ対話システムは、ユーザ対話システムが起動したときに直ちに第2のエスカレーション段階に入る。その差が所定の第2のエスカレーションレベルを超えている場合には、ユーザ対話システムは、ユーザ対話システムが起動したときに直ちに第3のエスカレーション段階に入る。このようにして、緊急レベルインジケータのサイズまたは大きさに応じて、ユーザ対話システムの最初のエスカレーション段階、または他のいくつかの下位のエスカレーション段階が、緊急要請の速く迅速な生成を利点としてスキップされる。別の例によれば、緊急管理システムはさらに、薬剤送達デバイスを含む。薬剤送達デバイスは、ユーザに薬剤を投与するように構成される。薬剤送達デバイスは、一般に薬剤を患者に送達できる注射デバイス、注入デバイス、注入ポンプ、吸入器などのデバイスのうちの少なくとも1つを含み得る。薬剤送達デバイスに取り付けられる付加デバイス用の薬剤送達デバイスは、パーソナルコンピュータデバイスと通信するように構成されている通信インターフェースを含む。薬剤送達デバイスの通信インターフェースはさらに、医薬品歴に関連するデータをパーソナルコンピュータデバイスに提供するように構成される。
【0062】
薬物送達デバイスは、通信インターフェースと、さらに、ユーザに投与される薬剤の量を決定するように構成されたセンサ配置とを含む、オンボード電子ユニットを含み得る。通常、薬物送達デバイスおよび/またはその通信インターフェースは、特定の量の薬剤がユーザに投与された時刻または日付に関する詳細な情報を提供するように構成される。
【0063】
いくつかの薬物送達デバイスは、付加デバイスまたは補助デバイスを備え、この付加デバイスまたは補助デバイスは、通信インターフェースを備える。ここで、補助デバイスは、薬剤送達デバイスによって投与された薬剤の量を決定または測定するように構成されている。いくつかの例では、薬剤送達デバイスは、たとえば、インスリンなどの薬剤をユーザの生体組織に注射するための、注射ペンなどの注射デバイスである。
【0064】
薬剤送達デバイスの通信インターフェースによって、緊急管理システムには、医薬品歴を示すデータが提供される。このようにして、緊急管理システムは、具体的には電子記憶装置に記憶された個人データは、過去にユーザに投与された薬剤を示す。医薬品歴に関するこのようなデータは、緊急事態において、緊急サービス提供者が適切な対処策を取ることを可能にするのに、ならびに、ユーザに投与された薬剤による緊急行動のいかなる合併症も回避するのに、特に有益であり得る。
【0065】
いくつかの例では、緊急管理システムは、単一のパーソナルコンピュータデバイスによって提供される。パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの個人データを記憶するように構成された電子記憶装置を含む。パーソナルコンピュータデバイスは、電子記憶装置に連結された少なくとも1つのプロセッサを含む。パーソナルコンピュータデバイスの少なくとも1つのプロセッサは、個人データおよび収集重要データに基づいて緊急レベルインジケータを導出するように動作可能である。さらに、パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの重要データを検出および/または収集するように構成された少なくとも1つまたは複数のセンサを含む。パーソナルコンピュータデバイスはさらに、緊急サービス提供者と直接または間接的に通信するように構成された通信インターフェースを含む。
【0066】
他の例では、緊急管理システムは、ウェアラブルパーソナルコンピュータデバイスまたはウェアラブル電子デバイスとして実施されたパーソナルコンピュータデバイス、環境、たとえば、ユーザの家庭環境に設置された固定または可動の電子ハブデバイスのような第2のパーソナルコンピュータデバイスなどの、多数のエンティティを含む分散型システムである。緊急管理システムはさらに、たとえば外部サービス提供者から、たとえば医療サービス提供者から、または計算もしくは電子サービス提供者から提供される、外部電子デバイスを含み得る。外部電子デバイスは、データベースを備えるかデータベースにアクセスすることができる。緊急レベルインジケータを導出するための計算力は、第1および第2のパーソナルコンピュータデバイスの一方の少なくとも1つのプロセッサから、または、たとえば外部サービス提供者の外部電子デバイスの少なくとも1つのプロセッサから提供される。
【0067】
どちらでも、パーソナルコンピュータデバイスと外部電子デバイスは、相互に通信するように構成される。これらのデバイスは、相互に対応する通信インターフェースを含む。
【0068】
別の態様によれば、本開示は、緊急要請を開始するように構成されたパーソナルコンピュータデバイスに関する。パーソナルコンピュータデバイスは、人の重要データを収集および処理するように動作可能なプロセッサを含む。パーソナルコンピュータデバイスはさらに、プロセッサに連結されている、かつ人またはユーザの少なくとも1つの重要データおよび個人データを記憶するように動作可能である、電子記憶装置を含む。パーソナルコンピュータデバイスはさらに、プロセッサに連結された少なくとも1つの通信インターフェースを含む。少なくとも1つの通信インターフェースは、緊急要請を緊急サービス提供者へ直接または間接的に送信するように動作可能である。プロセッサは、収集重要データに基づいて、および個人データに基づいて緊急レベルインジケータを導出するように動作可能である。プロセッサはさらに、緊急事態インジケータに基づいて緊急要請を生成するように、かつ、その緊急要請を緊急事態サービス提供者へ送信するように動作可能である。
【0069】
通常、パーソナルコンピュータデバイスは、上述の緊急管理システムに属する。パーソナルコンピュータデバイスのいくつかの例では、緊急管理システムの全機能がパーソナルコンピュータデバイスから提供され、かつ/またはパーソナルコンピュータデバイスに埋め込まれる。他の例では、特に、緊急管理システムが分散システムとして実施される場合に、または緊急管理システムが分散アーキテクチャを含む場合に、パーソナルコンピュータデバイスは、別のパーソナルコンピュータデバイスおよび、たとえば外部サービス提供者から提供される外部電子デバイスの少なくとも一方と通信するように少なくとも構成される。
【0070】
通常、パーソナルコンピュータデバイスの通信インターフェースは、別のパーソナルコンピュータデバイスおよび/または外部電子デバイスとの無線通信リンクを設定するように動作可能である。パーソナルコンピュータデバイスの通信インターフェースはさらに、別のパーソナルコンピュータデバイスうちの少なくとも1つとの、および/または、医療提供者のデータ処理センタなどの、外部サービス提供者の外部電子デバイスとの、有線通信リンクを設定するように構成される。
【0071】
パーソナルコンピュータデバイスは、ウェアラブル電子デバイスとして実施される。パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの身体にパーソナルコンピュータデバイスを取り付けるためのベルトおよびリストバンドの一方を含み得る。このようにして少なくとも1つの、または多数のセンサを適切に備えると、パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの重要なデータを測定および収集することが可能になる。他のいくつかの例では、パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの皮膚に粘着させる。パーソナルコンピュータデバイスは、たとえば血糖値を決定するために、ユーザの皮膚を一時的および/または恒久的に穿孔するように構成される。
【0072】
いくつかの例では、パーソナルコンピュータデバイスは、薬物送達デバイスを含み得る。それゆえに、パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザに薬剤を投与するように構成された薬物送達デバイスと、ユーザの重要データを測定および/または収集するように構成されたデータ収集デバイスとの組合せを含み得る。
【0073】
別の例によれば、パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの音声ベースの入力または音声ベースのフィードバックを処理するように構成された音声インターフェースを含む。音声インターフェースはさらに、音声ベースの情報をユーザに提供するように構成される。それゆえに、音声インターフェースは、音声および可聴出力をユーザに提供するように構成される。通常、音声インターフェースは、パーソナルコンピュータデバイスによって実施または配置されるユーザ対話システムに属し得る。ユーザ対話システムは、ユーザによって発せられた音声を適切に認識できる自然音声認識ユニットを含み得る。
【0074】
パーソナルコンピュータデバイスの音声インターフェースは、外部サービス提供者の外部電子デバイスまたは音声認識サービスの、対応する音声インターフェースと通信するように構成される。通常、パーソナルコンピュータデバイスのオンボード音声インターフェースは、ユーザによって発せられた音声をたとえばマイクロフォンの助けによって取り込むように構成される。記録されたユーザの音声は解析され、たとえば変換および/または前処理され、外部サービス提供者に伝達される。このようにして、音声認識は、外部サービス提供者によって実施および実行される。ユーザの元の音声から抽出された認識テキストは、次に、パーソナルコンピュータデバイスに戻される。通常、パーソナルコンピュータデバイスおよび/またはその音声インターフェースは、スピーカを含む。ユーザの元の音声から認識されたテキストは、音声インターフェースおよび/または外部サービス提供者によって聴覚的に再生される。
【0075】
通常、パーソナルコンピュータデバイスにローカルに提供される、または外部サービス提供者によって提供される音声インターフェースは通常、音声入力を一連の音素、一連の単語、または1つもしくはそれ以上の言語で書かれたトークンとして認識するための様々な聴覚モデルおよび言語モデルを使用する、音声-テキスト処理モジュールを含む。音声-テキスト処理モジュールは、隠れマルコフモデル、動的タイムワーピング(DTW)ベースの音声認識、および他の統計的および/または解析的技法などの、任意の適切な音声認識技法、聴覚モデル、および言語モデルを使用して実施される。
【0076】
パーソナルコンピュータデバイスと外部サービス提供者の間に通信リンクを確立することによって、音声-テキスト処理が、外部サービス提供者によって、および/またはパーソナルコンピュータデバイスによって、少なくとも部分的に実施される。
【0077】
音声認識の少なくとも一部分を外部サービス提供者から提供することは、音声認識の品質に、外部サービス提供者から提供される一定の改善がなされ得るという点で有益である。このため、パーソナルコンピュータデバイスにおけるそれぞれのソフトウェアの更新は必要がないことがある。さらに、外部サービス提供者から提供される音声認識は、同一の外部サービス提供者を全員が利用する多数のユーザによって得られた訓練を考慮に入れることができる。このようにして、外部サービス提供者から提供される音声認識を利用する各ユーザは、たとえば外部サービス提供者によって実施される、一定の改善および自己学習アルゴリズムから参加することができる。
【0078】
別の例によれば、パーソナルコンピュータデバイスは、ウェアラブル電子デバイスとして構成される。ウェアラブル電子デバイスは、次の重要パラメータ、すなわち:ユーザの心拍数、呼吸数、血糖値、血圧、心電図(ECG)、酸素飽和度、体温、位置、動きの状態、向き、聴覚フィードバックまたは触覚フィードバック、のうちの少なくとも1つを測定するように動作可能な少なくとも1つのセンサを含む。いくつかの例では、少なくとも1つのセンサは、動きセンサまたは加速度センサを含む。いくつかの例では、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのセンサの、それゆえにパーソナルコンピュータデバイスの、瞬時の向きを周囲の磁場と比較して決定できる磁場センサを含む。
【0079】
少なくとも1つのセンサは、次の重要パラメータ、すなわち:心拍数、呼吸数、血糖値、心電図、酸素飽和度など、のうちの少なくとも1つを測定するための少なくとも1つまたは複数の光源および/または電極を含み得る。このようにして、ユーザが携帯する場合には、パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの重要データを頻繁におよび/または定期的に収集するように構成されている。
【0080】
パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの手首に装着される活動量計として実施される。このために、パーソナルコンピュータデバイスはリストバンドを含む。ユーザが携帯している限り、パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザのすべての身体活動を追跡および監視することができる。それぞれの重要データは、少なくとも1つのプロセッサによって処理され、ユーザ固有の個人データと組み合わされる。このようにして、緊急レベルインジケータのかなり正確な推定値が定期的に提供される。
【0081】
パーソナルコンピュータデバイスはさらに、スマートウォッチとして実施される。さらに、いくつかの例では、活動量計またはスマートウォッチなどの既存および/または市販のパーソナルコンピュータデバイスが、本明細書に記載の緊急管理システムのためのパーソナルコンピュータデバイスとして使用される。ただし、このような既存および/または市販のパーソナルコンピュータデバイスに、重要データの収集および後の白の処理をそれぞれのユーザまたは人の個人データと組み合わせて可能にする、それぞれのコンピュータプログラムまたはソフトウェアが含まれていることが前提である。
【0082】
スマートウォッチまたは活動量計などの既存のパーソナルコンピュータデバイスを有する緊急管理システムを設定するために、これらのデバイスには、ユーザ環境に設置され、パーソナルコンピュータデバイスと通信するように構成された、固定またはモバイルのハブなどの補助パーソナルコンピュータデバイスが提供される。補助パーソナルコンピュータデバイスは、それぞれのユーザの携帯電話またはスマートフォンによって提供される。
【0083】
補助パーソナルコンピュータデバイスは、ユーザの個人データを記憶するように構成された少なくとも1つの電子記憶装置を含み得る。さらに、第2の、または補助のパーソナルコンピュータデバイスは、電子記憶装置に連結された、または連結可能な少なくとも1つのプロセッサを備える。ここで、第2のパーソナルコンピュータデバイスの少なくとも1つのプロセッサは、個人データに基づいて、ならびに、第1のパーソナルコンピュータデバイスによって収集および/または提供された重要データに基づいて、緊急レベルインジケータを導出するように動作可能である。さらに、補助パーソナルコンピュータデバイスは、緊急レベルインジケータに基づいて緊急要請を生成するように、かつその緊急要請を緊急サービス提供者へ送信するように構成されている、第2のパーソナルコンピュータデバイス、たとえば、ユーザのスマートフォンまたはパーソナルハブでもよい。
【0084】
多くのスマートウォッチ、スマートフォンまたは同様のパーソナルコンピュータデバイスは、デバイスのユーザから発せられた音声を処理するために、外部サービス提供者と対話するように構成された聴覚の、たとえば音声ベースの、ユーザ対話システムを容易に備える。それゆえに、この緊急管理システム用のユーザ対話システムを設定するために、既存のハードウェアソリューションが使用され、それによって、緊急管理システムを実施するためのコストは比較的低いレベルで維持される。スマートフォンなどの既存または市販のスマートデバイスは、それぞれのソフトウェアアプリケーション、たとえばいわゆるアプリケーションをインストールおよび/または配置することによって、本開示によるパーソナルコンピュータデバイスに変えられる。
【0085】
別の態様によれば、本開示は、緊急要請を開始する方法に関する。この方法は、ユーザの重要データを収集する工程と、ユーザの個人データを電子記憶装置から提供する工程とを含む。この方法はさらに、個人データおよび収集重要データに基づいて緊急レベルインジケータを導出することを含む。この方法はさらに、緊急レベルインジケータに基づいて緊急要請を生成すること、および緊急要請を緊急サービス提供者へ送信することを含む。緊急要請を開始する方法は、通常、上述のように、緊急管理システムおよび/またはパーソナルコンピュータデバイスによって実施される。その限りにおいて、緊急管理システムおよびパーソナルコンピュータデバイスに関連して上述したすべての構成、特性および利点は、緊急要請を開始する方法にも等しく適用され;逆もまた同様である。
【0086】
この方法は、単一のパーソナルコンピュータデバイスによって実施される。他の例では、この方法は、分散型緊急管理システムによって実施され、このシステムは、たとえば、第1および第2のパーソナルコンピュータデバイスを含み、場合により、外部サービス提供者から提供された外部電子デバイスを含む。
【0087】
通常、多数の例では、この方法は、ユーザの心拍数、呼吸数、血糖値、血圧、心電図、酸素飽和度、体温、位置、動きの状態、向き、聴覚フィードバックおよび触覚フィードバックなどの、多数の重要パラメータを定期的に取得および/または収集することを含む。いくつかの例では、緊急要請を開始する方法は、次のデータ、すなわち:年齢、性別、体重、住所情報、疾患の種類、処方医薬品、医薬品歴、治療歴および/または緊急歴のうちの少なくとも1つを含むユーザの個人データを提供することを含む。この方法は、ユーザに実際に起きている、終局の緊急事態を示す緊急レベルインジケータを取得および/または導出するために、重要データのうちの少なくとも1つを個人データのうちの少なくとも1つとともに処理することを含む。
【0088】
導出または推定された緊急事態のレベルに応じて、この方法では多数の措置を講じることができる。緊急レベルが所定の上方緊急閾値を超えている場合、この方法では、緊急要請を緊急サービス提供者へ速やかに送信することができる。緊急事態のレベルが上方緊急閾値より低いが下方緊急閾値よりは高い場合、この方法ではユーザ対話を継続することができる。ユーザ対話の間中、収集重要データに適合する典型的な、または訓練された状況について、自律的にユーザと議論または対話がされる。
【0089】
ユーザは、多くの質問に直面し、それに回答するように促される。このようにして、緊急管理システムは、ユーザが実際にどんな特定の問題に悩んでいるのかを見つける助けになる。自動化の、すなわち機械で実施される対話をユーザと行うことは、外部サービス提供者によって、特にデータベースおよび/または適切に構成された対話システムによって支援される。
【0090】
重篤ではない問題の場合には、緊急管理システムは、最初の支援をユーザに提供することができ、また、自分自身を支援するようにユーザを案内することができる。
【0091】
伝達された重要パラメータおよび個人データに応じて、緊急管理システムは、ある程度の診断を提供することができ、また、それぞれの対処策を講じるようにユーザに自律的に指示することができる。たとえば、低血糖の場合、ユーザは緊急管理システムから、ある特定の量のブドウ糖を摂取するように指示される。このようにして、緊急サービス提供者の有限の人的資源は、それに応じて節約され、あるいは無駄がなくなる。
【0092】
別の例の緊急要請を開始する方法では、システムによって生成された緊急要請は、収集重要データの少なくとも一部、および個人データの少なくとも一部を含む。このデータは、緊急要請と同時に緊急サービス提供者に提示される。このようにして、緊急要請を受けたときに緊急サービス提供者には、ユーザの実際の活力に関する有益な情報、および関連するユーザの個人データが直ちに提供される。このようにして、適切で非常に効率的な、ユーザ個別の緊急支援がユーザに提供される。
【0093】
別の例によれば、重要データは継続して収集される。加えて、緊急要請の生成および/または送信は、収集重要データに基づいて、通常はユーザの個人データを考慮に入れて、自律的にトリガされる。こうしたことは、かなり危険または重篤なイベントの際に、たとえばユーザが手動で緊急通報をトリガできない場合に、特に有益である。個人データを使用すると、特に医薬品歴、治療歴、および緊急歴などのデータを使用すると、緊急管理システムのユーザごとに下方および/または上方緊急閾値を個別に設定または修正することが可能になる。
【0094】
たとえば、近い過去に多数の緊急問題を経験したユーザについては、危険な緊急事態を経験したことがないユーザと比較して、上方緊急閾値が低いレベルに設定される。
【0095】
別の例では、重要データが継続して収集され、緊急要請の生成および/または送信は、収集重要データに基づいて自律的にトリガされる。このようにして、この方法では、それぞれのユーザの参加がなくても、ユーザから収集された重要データだけに基づいて、緊急要請の開始を提供する。こうすることは、ユーザが自分自身で緊急要請をトリガまたは開始できない、かなり危険または深刻な緊急問題がユーザに生じている場合に、特に有益であり得る。
【0096】
別の例では、緊急要請を開始する方法は、ユーザ対話システムを用いてユーザとの対話に入る工程を含む。ユーザ対話システムは、パーソナルコンピュータデバイスで実施される。ここで、この方法は、緊急レベルインジケータが所定の下方緊急閾値を超えた場合に、ユーザとの対話に入る工程を含む。緊急管理システムに関連して上述したように、対話システムは、多数の所定のエスカレーション段階のうちの1つに入ることができる。デフォルトで、緊急レベルインジケータが所定の下方閾値を所定の最小度合い未満しか超えなかった場合には、ユーザ対話システムは、初期または第1のエスカレーション段階に入る。次に、第1の対話ループがユーザと行われる。第1の対話ループの間中のユーザの反応に応じて、次に、対話システムは第2のエスカレーション段階に入るか、または対話システムが自律的に動作停止する。
【0097】
別の例では、この方法は、ユーザ対話時またはその間中のユーザの反応に応じて緊急レベルインジケータを修正する工程を含む。通常、緊急管理システムに関連して上述したように、ユーザがユーザ対話時またはその間中に不合理または予想外の行動をした場合に、緊急レベルインジケータは上がる。ユーザが合理的であるか、かなり予想通りに行動する場合には、緊急レベルインジケータは下がる。緊急レベルインジケータが上がることには、ユーザ対話システムにおいてさらなるエスカレーション段階または対話ループに入ることが伴う。緊急レベルインジケータが下がることには、ユーザ対話システムの下位のエスカレーション段階または対話ループに入ることが伴う。あるいは、緊急レベルインジケータが下がることには、ユーザ対話システムが自動的に動作停止することが伴う。
【0098】
別の態様によれば、本開示は、1つまたはそれ以上のプログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に関する。1つまたはそれ以上のプログラムは命令を含み、この命令は、パーソナルコンピュータデバイスによって実行されたとき、デバイスに、ユーザの重要データを収集させ、電子記憶装置からユーザの個人データを提供させ、個人データおよび収集重要データに基づいて緊急レベルインジケータを導出させ、その緊急レベルインジケータに基づいて緊急要請を生成させ、この緊急要請を緊急サービス提供者へ送信させる。
【0099】
1つまたはそれ以上のプログラムは、コンピュータプログラムとして実施される。コンピュータプログラムは、上述の緊急管理システムの第1および/または第2のパーソナルコンピュータデバイスにインストールまたは配置される。加えて、または代替形態で、1つまたはそれ以上のプログラムは、たとえば外部サービス提供者から提供される外部電子デバイスにインストールまたは配置される。
【0100】
通常、1つまたはそれ以上のプログラムは、たとえば、上述の緊急管理システムの助けによって、および/または上述のパーソナルコンピュータデバイスの助けによって、緊急要請を開始する上述の方法を実行するように構成される。その限りにおいて、緊急管理システムと、パーソナルコンピュータデバイスと、緊急要請を開始する方法とのすべての構成、利点および特性は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と、それに記憶された1つまたはそれ以上のプログラムとに等しく適用される。
【0101】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0102】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含み得る。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0103】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルであり得る。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジであり得るか、またはそれを含み得る。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0104】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0105】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかであり得る。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0106】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0107】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0108】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0109】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0110】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0111】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0112】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0113】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体であり得る。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0114】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0115】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0116】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0117】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0118】
当業者には、本明細書に記載のAPI、配合物、装置、方法、システムおよび諸実施形態の様々な構成要素の変更(追加および/または除去)を、このような変更、およびありとあらゆるその均等物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱せずになすことができることが理解されよう。
【0119】
以下では、緊急管理システムの一例と、そのような緊急管理システム用に構成された、対応するパーソナルコンピュータデバイスの例と、緊急要請を開始するそれぞれの方法とについて、図面を参照することによってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1】緊急管理システムの1つの例を概略的に示す図である。
図2】緊急管理システムのブロック図である。
図3】緊急管理システムの第1および第2のパーソナルコンピュータデバイスのより詳細なブロック図である。
図4】重要パラメータのデータ構造の1つの例を示す図である。
図5】個人データのデータ構造を示す図である。
図6】緊急管理システムを利用して緊急要請を開始するフローチャートの1つの例である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1に、本開示による緊急管理システム80の一例が概略的に示されている。ここで、ユーザ1は、少なくとも1つのパーソナルコンピュータデバイス10を装備している。パーソナルコンピュータデバイス10は、ハウジング11と、パーソナルコンピュータデバイス10をユーザ1の身体の一部に取り付けるためのカラー12とを含み得る。いくつかの例では、図1にも示されるように、パーソナルコンピュータデバイス10は、パーソナルコンピュータデバイス10を人またはユーザ1の腰またはヒップに取り付けられるようにするベルト13を含み得る。
【0122】
図1には、第1のパーソナルコンピュータデバイス10が、第2のパーソナルコンピュータデバイス100に加えて示されている。第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、スマートウォッチとして、または、ユーザ1が着用する活動量計として実施される。第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、パーソナルハブとして、パーソナルデジタルアシスタントとして、またはスマートフォンとして実施される。いくつかの例では、第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、パーソナルコンピュータとして、またはタブレットコンピュータとして実施される。図1には、薬物送達デバイス50がさらに示されている。
【0123】
薬物送達デバイス50は、医薬活性物質、たとえば薬剤をユーザ1に投与するように構成される。薬物送達デバイス50は、注射デバイスとして、注入デバイスとして、たとえば注射ペンまたは注入ポンプとして実施される。いくつかの例では、薬物送達デバイス50は、吸入器として実施される。
【0124】
緊急管理システム80は、外部サービス提供者202から提供される外部電子デバイス200をさらに含む。外部サービス提供者202は、外部データ提供者であることもある。外部サービス提供者202は、たとえばデータベースとして実施される電子記憶装置222にアクセスすることができる。外部電子デバイス200を実施すること、および外部サービス提供者202を使用することは、任意選択にすぎない。第1および第2のパーソナルコンピュータデバイス10、100の少なくとも一方は、緊急サービス提供者300および外部サービス提供者202の少なくとも一方と、通常は通信ネットワーク180を介して通信するように動作可能である。
【0125】
図示の例では、第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、第2のパーソナルコンピュータデバイス100と無線で通信するように動作可能である。ここでは、第2のパーソナルコンピュータデバイス100だけが、通信ネットワーク180を介して緊急サービス提供者300と通信することができる。通常、第1のパーソナルコンピュータデバイス10と第2のパーソナルコンピュータデバイス100の間の無線通信は、短距離通信リンクである。
【0126】
短距離通信リンクは、Bluetooth、Wi-Fi、NFC、IrDAなどの、一般に利用可能な無線通信規格によって実施される。いくつかの例では、第1のパーソナルコンピュータデバイス10と第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、有線で連結される。通信ネットワーク180は、携帯電話ネットワーク、従来の電話ネットワーク、およびインターネットのうちの1つでもよい。通常、通信ネットワーク180はデジタル通信ネットワークである。いくつかの例では、通信ネットワークは、アナログ通信ネットワークである。
【0127】
より詳細に図2および図3に示されているように、第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、ウェアラブル電子デバイスとして実施される。第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、ハウジング11、および多数のセンサ20、22、24、26、28を含む。第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、パーソナルコンピュータデバイス10をユーザ1の手首に取り付けられるようにするカラー12を含む。このようにして、パーソナルコンピュータデバイス10は、ユーザ1に恒久的に着用される。
【0128】
パーソナルコンピュータデバイス10は、電子記憶装置16およびプロセッサ14をさらに含む。さらに、第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、通信インターフェース40を含む。通信インターフェース40によって、パーソナルコンピュータデバイス10は、別の、それゆえ第2のパーソナルコンピュータデバイス100と通信することができる。典型的な例では、第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、センサ20、22、24、26、28のうちの少なくとも1つを利用することによって、ユーザの重要データ400を収集するように動作可能である。センサ20、22、24、26、28は、プロセッサ14に連結されている。
【0129】
センサ20、22、24、26、28によって生成された信号は、プロセッサ14によって少なくとも処理または前処理される。センサ信号、処理されたセンサ信号または前処理されたセンサ信号のうちの少なくとも1つは、第1のパーソナルコンピュータデバイス10の電子記憶装置16に少なくとも一時的に記憶される。プロセッサ14はさらに、通信インターフェース40に連結されている。このようにして、センサ20、22、24、26、28のうちの少なくとも1つから得られた、信号、処理された信号または前処理された信号が、少なくとも第2のパーソナルコンピュータデバイス100に送信され伝達される。
【0130】
この送信および伝達のために、第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、通信インターフェース140を含む。通信インターフェース40および通信インターフェース140は、パーソナルコンピュータデバイス10とパーソナルコンピュータデバイス100の間の無線通信リンクを設定および/または確立するように構成される。
【0131】
多数のセンサ20、22、24、26、28は、次の重要パラメータ、すなわち:ユーザ1の心拍数、呼吸数、血糖値、心電図、酸素飽和度、体温、位置、動きの状態、向き、聴覚フィードバックおよび/または触覚フィードバック、のうちの少なくとも1つを測定するように構成される。たとえば、センサ20は、位置センサとして実施される。このセンサは、周囲の磁場に対するパーソナルコンピュータデバイス10の向きを決定できる磁場センサを含み得る。センサ22は、加速度センサとして実施される。したがって、センサ22は、パーソナルコンピュータデバイス10の動きの状態についての情報を提供することができる。センサ24は、心拍センサとして実施される。センサ26は体温センサとして実施され、センサ28はECGセンサとして実施される。
【0132】
他の例では、センサ24は血糖値センサとして実施される。特に、第1のパーソナルコンピュータデバイス10がユーザに装着される場合には、センサ24は、ユーザ1の皮膚と接触することができる。このデバイスは、ユーザの外皮に恒久的または定期的に貫入することができる。センサ24は、グルコース測定が継続されるように構成される。センサ24および/またはパーソナルコンピュータデバイス10は、測定するように構成され、かつ/または測定データを第2のパーソナルコンピュータデバイス100、外部サービス提供者202、電子記憶装置222および/または緊急サービス提供者300のうちの少なくとも1つへ送信するように構成される。
【0133】
いくつかの例では、センサ24がグルコース測定センサとして実施される場合に、センサ24は第1のパーソナルコンピュータデバイス10に組み込まれる。他の例では、センサ24は、第1のパーソナルコンピュータデバイス10および第2のパーソナルコンピュータデバイス100の少なくとも一方と通信するように構成された、別個のセンサユニットである。センサ24は、別個のハウジングに封入されており、第1のパーソナルコンピュータデバイス10および第2のパーソナルコンピュータデバイス100の少なくとも一方と通信するように構成された無線送信機を含み得る。センサ24および/または第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、一定の時間間隔で、たとえば予め定められたスケジュールに従って、ユーザの血糖値を測定および/または決定するように構成される。
【0134】
第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、活動量計として、またはスマートウォッチとして構成される。このデバイスは、血糖値測定センサ24を含むことができ、あるいは、たとえばユーザ1の皮膚と恒久的または定期的に接触している、またはユーザの皮膚もしくはその下に少なくとも一時的に埋め込まれている、別個の血糖値測定センサ24と無線で通信することができる。多数のセンサに加えて、パーソナルコンピュータデバイス10はさらに、少なくとも1つのインジケータ30を含み得る。インジケータ30は、視覚、聴覚または触覚インジケータとして実施される。それゆえに、通常はプロセッサ14に連結されているインジケータ30は、ユーザ1に視覚、音響または触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを与えるために、光源、スピーカおよびブザーのうちの少なくとも1つ、またはこれらの組合せを含み得る。
【0135】
第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、特に、ユーザ1の重要データを測定、記録および/または収集するように構成される。収集重要データは、記憶装置16に記憶され、同じパーソナルコンピュータデバイス10のプロセッサ14によって処理される。第2のパーソナルコンピュータデバイスと組み合わせて、第1のパーソナルコンピュータデバイス10によって収集された重要データは、少なくとも一部が第2のパーソナルコンピュータデバイス100へ送信される。第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、ハウジング101およびプロセッサ110を含む。第2のパーソナルコンピュータデバイス100はさらに、プロセッサ110に連結された記憶装置120を含む。第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、第1のパーソナルコンピュータデバイス10の通信インターフェース40と通信するように構成された通信インターフェース140を含む。
【0136】
第2のパーソナルコンピュータデバイス100はさらに、マイクロフォン150およびスピーカ160のうちの少なくとも1つを含む。このように、ユーザ1は、自然言語または専用の音声コマンドを用いて、第2のパーソナルコンピュータデバイス100と直接対話することができる。マイクロフォン150およびスピーカ160は、プロセッサ110に連結されている。第2のパーソナルコンピュータデバイス100はさらに、たとえば外部サービス提供者202から提供された外部電子デバイス200の通信インターフェース240と通信するように動作可能な、別の通信インターフェース142を含む。第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、緊急サービス提供者300の通信インターフェース340と通信するように特に構成された、別の通信インターフェース144を含み得る。
【0137】
多数の通信インターフェース140、142、144は、別個の異なるハードウェア構成要素によって、または1つの同じハードウェア構成要素によって実施される。通信インターフェース140、142、144は、ユーザ環境5の特定の構成と、インターネットなどの通信ネットワーク180への使用可能なアクセス権とに応じて、無線通信インターフェースとして、および/または有線通信インターフェースとして実施される。通信インターフェース142と240の間の通信、ならびに通信インターフェース144と340の間の通信は、それぞれの通信リンクの特定の実施態様に応じて、1つの同じ通信ネットワーク180によって、または別々の通信ネットワークによって提供される。第2のパーソナルコンピュータデバイス100と外部サービス提供者202と緊急サービス提供者300との間の通信リンクは、アナログ通信リンクまたはデジタル通信リンクとして実施される。
【0138】
いくつかの例では、第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、外部サービス提供者202の外部電子デバイス200、および緊急サービス提供者300の少なくとも一方と直接通信するように構成されている。ここで、第1のパーソナルコンピュータデバイス10の通信インターフェース40は、外部電子デバイス200および緊急サービス提供者300の通信インターフェース240、340の少なくとも一方と、通常は通信ネットワーク180を介して通信するよう構成されている。この例では、緊急管理システム80には第2のパーソナルコンピュータデバイス100がなくてもよい。
【0139】
薬物送達デバイス50はまた、通信インターフェース52を含み得る。通信インターフェース52は、第1または第2のパーソナルコンピュータデバイス10、100の通信インターフェース40、140、142、144のうちの少なくとも1つと通信するように構成される。通常、通信インターフェース52は、第2のパーソナルコンピュータデバイス100の少なくとも無線通信インターフェース140との通信リンクを設定するための、無線通信インターフェースとして構成される。
【0140】
図2図3の組合せで示されるように、外部サービス提供者202は、外部電子デバイス200を含む。外部電子デバイス200は、固定データ処理センタとして実施される。外部電子デバイス200は、プロセッサ210および内部電子記憶装置220を含む。外部電子デバイス200はさらに、第2のパーソナルコンピュータデバイス100の通信インターフェース142と通信するために、通信インターフェース240を含む。外部電子デバイス200はさらに、別個または外部の電子記憶装置222と通信するために、通信インターフェース242を含む。電子記憶装置222は、データベースとして実施され、この電子記憶装置には外部電子デバイス200が恒久的にアクセスすることができる。
【0141】
外部電子デバイス200はさらに、別の通信インターフェース244を含む。通信インターフェース244は、緊急サービス提供者300の通信インターフェース342と直接通信するように実施される。
【0142】
いくつかの例では、緊急管理システム80は、ユーザ対話システム250を含む。対話システム250は、第2のパーソナルコンピュータデバイス100によって実施または提供される音声インターフェース146と、外部電子デバイス200によって実施または提供されるさらなる音声インターフェース246とを含み得る。音声インターフェース146、246は、相互に補完することも、互いに対応することもできる。音声インターフェース146、246は、通信インターフェース142と通信インターフェース240を連結する通信リンクを介してデータを交換するように構成される。
【0143】
電子記憶装置16、120、220、222のうちの少なくとも1つは、ユーザ1の個人データ500を記憶するように構成される。個人データ500は、次のデータ、すなわち:それぞれのユーザ1の年齢、性別、体重、ユーザ住所情報、病気の種類、処方医薬品、医薬品歴、治療歴および/または緊急歴、のうちの少なくとも1つを含む。個人データ500またはその一部分は、電子記憶装置16、120、220、222のうちの少なくとも1つに記憶される。
【0144】
個人データ500は、収集重要データ400および個人データ500に基づいて緊急度インジケータを導出するために、プロセッサ14、110、210のうちの少なくとも1つが利用できるようになっている。それぞれのプロセッサ14、110、210は、パーソナルコンピュータデバイス10によって収集された重要データ400にもアクセスすることができる。
【0145】
少なくとも1つのプロセッサ14、110、210は、ユーザ1の個人データ500と、同じユーザ1の収集重要データ400とに基づいて、緊急レベルインジケータを導出、計算、または推定するように構成される。重要データ400および個人データ500を適切に処理することによって、少なくとも1つのプロセッサ14、110、210、および/またはプロセッサ14、110、210に配置されたそれぞれのコンピュータプログラムは、ユーザがさらされている、またはユーザに実際に生じている緊急レベルを示す、緊急レベルインジケータを提供する。
【0146】
緊急管理システム80の具体的な実施態様は、多様であり得る。いくつかの例では、緊急管理システム80全体が第1のパーソナルコンピュータデバイス10に組み込まれる。ここで、パーソナルコンピュータデバイス10は、緊急サービス提供者300と直接通信するように構成されている。この場合、個人データ500を提供する電子記憶装置16はまた、多数のセンサ20、22、24、26、28から提供された、取得または収集重要データ400を一時的に記憶することもできる。
【0147】
ここで、プロセッサ14は、収集重要データ400に基づいて、また個人データ500に基づいて、緊急レベルインジケータを導出するように構成される。個人データ500は、電子記憶装置16から提供される。重要データ400は、多数のセンサ20、22、24、26、28のうちの少なくとも1つから提供される。
【0148】
プロセッサ14は、所定の上限閾値を超える緊急レベルインジケータを決定または導出すると、緊急要請を生成することと、その緊急要請を通信インターフェース40経由で緊急サービス提供者300へ直接送信することとを自律的に開始することができる。緊急要請の生成および/または送信には、ユーザ検出可能なインジケータ30の起動が伴い得る。パーソナルコンピュータデバイス10はさらに、たとえば、パーソナルコンピュータデバイス10のハウジング11の上または内部にボタンまたはタッチセンス領域として実施された、入力部32を含み得る。
【0149】
入力部32を用いて、ユーザは、自動緊急要請生成、および/または緊急サービス提供者300への自動緊急要請送信を無効にすることができる。典型的なシナリオでは、パーソナルコンピュータデバイス10は、個人データ500に基づいて、また収集重要データ400に基づいて、所定の上方緊急閾値を超えている緊急レベルインジケータを導出することができる。それゆえに、パーソナルコンピュータデバイス10は、所定の時間間隔でインジケータ30を起動して、ユーザ1にパーソナルコンピュータデバイス10が緊急サービス提供者300に緊急要請を送信しようとしていることを示すように、構成される。
【0150】
その後、ユーザ1には、自動化された緊急要請を無効にするために、かつ/または自動緊急要請を確認するために、入力部32と対話する可能性が与えられる。入力部32をたとえば押下げて起動することによって、ユーザにはさらに、緊急サービス提供者300への緊急要請の生成および送信を手動でトリガする可能性が与えられる。このようにして、ユーザ1には、たとえ緊急レベルインジケータが所定の上方または下方緊急閾値未満である状況においても、支援を求める可能性が与えられる。
【0151】
いくつかの他の例では、緊急管理システム80は、第1のパーソナルコンピュータデバイス10および第2のパーソナルコンピュータデバイス100を含む。ここで、第1のパーソナルコンピュータデバイス10は、特に専用のものであり、ユーザの重要データ400を収集し、第2のパーソナルコンピュータデバイス100に提供するように構成される。第1のパーソナルコンピュータデバイス10のローカル電子記憶装置16は、データ、たとえば、センサ20、22、24、26、28のうちの少なくとも1つから提供される、前処理された重要データを一時的に記憶するために使用される。このローカル電子記憶装置は、通信インターフェース40と通信インターフェース140との間の通信リンクが一時的に中断されるべき、または利用不可であるべき状況において、特に有用であり得る。
【0152】
ユーザの個人データは、電子記憶装置120、220、222のうちの1つに記憶される。個人データ500が第2のパーソナルコンピュータデバイス100の電子記憶装置120に記憶される場合、第2のパーソナルコンピュータデバイス100のプロセッサ110は、電子記憶装置120から提供された個人データ500を、第1のパーソナルコンピュータデバイス10から通信インターフェース140を介して得られた重要データ400と一緒に処理するように構成される。
【0153】
この例では、第2のパーソナルコンピュータデバイス110は、個人データ500および収集重要データ400の処理に基づいて、緊急レベルインジケータを導出するように構成される。導出された緊急レベルに応じて、プロセッサ110は、緊急要請を生成するように、かつ/または緊急要請をたとえば通信インターフェース144を介して緊急サービス提供者300へ送信するように、構成される。個人データ500および収集重要データ400を処理する目的で、第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、通信インターフェース142を介して外部サービス提供者202と通信するように構成される。
【0154】
いくつかの他の例では、緊急管理システム80には、第2のパーソナルコンピュータデバイス100だけが含まれ、第1のパーソナルコンピュータデバイス10がない。この場合、重要データ400は、第2のパーソナルコンピュータデバイス100によって集められる。このために、第2のパーソナルコンピュータデバイス100もまた、次のパラメータ、すなわち:第1のパーソナルコンピュータデバイス10に関連して現在記載されている心拍数、呼吸数、血糖値、血圧、心電図(ECG)、酸素飽和度、体温、位置、動きの状態、向き、聴覚フィードバック、触覚フィードバック、のうちの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成された、センサ20、22、24、26、28のうちの少なくとも1つを含み得る。第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、ウェアラブル電子デバイスとして構成される。ウェアラブル電子デバイスは、スマートフォンまたはスマートウォッチを含む。
【0155】
この実施形態では、さらには第1のパーソナルコンピュータデバイス10および第2のパーソナルコンピュータデバイス100を含む緊急管理システムの例でも、第2のパーソナルコンピュータデバイスは、スマートウォッチまたはスマートフォンとして実施され、糖尿病管理ソフトウェアアプリケーション、たとえば糖尿病管理アプリケーションが付属している。第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、たとえば無線通信リンクによって、第1のパーソナルコンピュータデバイス10からユーザ1の血糖値データを受けることができる。第2のパーソナルコンピュータデバイス100はさらに、薬物送達デバイス50からデータを受けることができる。薬物送達デバイス50からのデータは、ユーザ1に現在または最近投与されている薬剤の量を示し得る。
【0156】
場合により、第1のパーソナルコンピュータデバイス10からの重要データ400の収集、および薬物送達装置50からの個人データ500の収集に加えて、第1および第2のパーソナルコンピュータデバイス10、100の少なくとも一方はさらに、ユーザの現在の身体活動性、位置および/または向きに関するデータを収集および/または送信するように動作可能である。たとえば、またユーザ1の正確な位置決定のために、ユーザ1のWi-Fi環境の一般に利用可能な、または記憶された位置データが、ならびに/または第1および第2のパーソナルコンピュータデバイス10、100の少なくとも一方によって導出可能な瞬時GPSデータが、さらに使用される。
【0157】
現在または最近の薬剤投与工程を示す、薬物送達デバイス50から受けたデータに基づいて、および第1のパーソナルコンピュータデバイス10から受けた血糖値データに基づいて、さらに場合により、第1および第2のパーソナルコンピュータデバイス10、100の一方によって受けられたり収集されたりした補足重要データ400に基づいて、後続の緊急要請の生成に関するかなり正確な緊急レベルインジケータが導出、生成および/または提供される。
【0158】
たとえば、第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、自然言語処理および/または自然言語認識に基づいてユーザ1と通信できるようにするユーザ対話システム250を提供すること、または含むことができる。ユーザ1によって発せられ、マイクロフォン150によって記録または受けられた音声シーケンスを解釈するために、第2のパーソナルコンピュータデバイス100、たとえば内蔵音声インターフェース146は、外部電子デバイス200と、および/または外部サービス提供者202の音声インターフェース246と通信することができる。ユーザとの対話の実施は、緊急レベルが下方緊急閾値を超えている場合に特に有用である。
【0159】
したがって、緊急要請を生成し緊急サービス提供者300へ送信する前に、第2のパーソナルコンピュータデバイス100、たとえばそのプロセッサ210は、現在の問題または潜在的な緊急事象をより詳細に特定するために、ユーザ1と対話を始めるように構成される。ユーザ対話は、緊急レベルインジケータが所定の下方緊急閾値を超えると、たとえばプロセッサ110によって、自律的にトリガされる。緊急問題を特徴付けるために、対話システムは、ユーザが適切に回答しなければならない一連の質問をユーザに提示するように構成される。
【0160】
ここで、ユーザ対話システム250は、マルチ工程カスケードに入るように、または多数のエスカレーション段階を行うように実施される。最初の段階で、対話システムは、ユーザ1に潜在的な緊急問題を指定するように求めることができる。ここで、ユーザは、自分の名前、現在日または現在時刻をつづるように促される。ユーザが応答しないか、または正しい答えに対応しない不適切な応答をした場合、ユーザ対話システム250は、後続のエスカレーション段階に入ることができる。
【0161】
ユーザ対話の後続または第2のエスカレーション段階では、ユーザ1に向けられる質問は、より強い強度で、たとえば、視覚的に提供されるときには増大した輝度で、または聴覚対話の場合には増大した音量で発せられる。
【0162】
さらに、第2または後続のエスカレーション状態では、質問は、第1もしくは最初のエスカレーション段階またはその間中に提供された質問と比較して、簡略化される。このようにして、ユーザには、明確かつ明白な応答を提供する可能性が与えられるべきである。応答できないこと、または適切に応答できないことが繰り返されると、ユーザ対話システムのさらなる、たとえば第3のエスカレーション段階が呼び出される。
【0163】
ここで、緊急管理システムは、第2のパーソナルコンピュータデバイス100と緊急サービス提供者300の間の直接通信を確立することができる。代替の、またはさらなるエスカレーション段階では、パーソナルコンピュータデバイス100は、緊急要請を生成するように、かつ緊急サービス提供者300へ送信するように構成される。
【0164】
さらに、緊急管理システムは、いくつかの異なる感度レベルを用いて実施される。特定の感度レベルが、緊急管理システム80の特定のユーザに個別に割り当てられる。感度レベルは、疾患の程度と、その疾患の程度によって生じ得る緊急事態の可能性とに依存し得る。例として、II型糖尿病を患っているユーザでは、このユーザは、多数の利用可能な感度レベルまたは重症度レベルのうちの1つに分類される。
【0165】
第1のレベルでは、ユーザは、糖尿病教育を受けるとともに、ライフスタイルを変更しなければならない。ユーザは、減量に気を配らなければならず、定期的に運動しなければならず、食生活を変えなければならず、かつ/または禁煙しなければならない。糖尿病の第2レベルでは、ユーザは、経口抗糖尿病薬による単剤療法を受ける可能性がある。さらなるレベル、または第3のレベルでは、ユーザは、2つ以上の抗糖尿病薬の組合せまたはインスリンを使用する療法を受ける可能性がある。さらなるレベル、たとえば第4のレベルでは、ユーザはインスリン療法を、場合によっては経口抗糖尿病薬と組み合わせて、受ける可能性がある。
【0166】
ここで、レベルが上がると、ユーザの代謝の脱線がより起こりやすくなる。ユーザの治療レベルが上がると、緊急管理システムの感度レベルが上がり得る。レベルが高いほど、緊急管理システムは、個人データ500および重要データ400の処理、緊急レベルインジケータの導出、生成もしくは推定、または緊急要請に関して、感度が高くなる。感度レベルが高くなるほど、緊急レベルインジケータの閾値、および/または緊急要請の生成の閾値が低くなる。一般に、かつ緊急サービス提供者300への緊急要請の生成および送信ごとに、緊急要請は、ユーザ1の少なくとも1つの、または多数の収集重要データまたは個人データを含み得る。このようにして、緊急サービス提供者300には、関連する重要パラメータまたは個人データが直ちに伝達される。
【0167】
ユーザ1との対話を行うために、第2のパーソナルコンピュータデバイス100は、外部サービス提供者202と、特に外部電子デバイス200と、および/または、たとえばデータベースとして実施されている電子記憶装置222と、通信することができる。このことは、特にユーザ対話システム250が音声ベースの対話システムとして実施される場合に、高レベルのかなり正確な音声認識を提供するのに特に有用である。
【0168】
いくつかの例では、緊急サービス提供者300への緊急要請の送信のために、外部電子デバイス200の通信インターフェース244と緊急サービス提供者300の通信インターフェース342との間の通信リンクもまた提供される。このことは、緊急サービス提供者300と直接通信するように構成された別個の通信インターフェース144がパーソナルコンピュータデバイス100にない場合に、特に有益であり得る。
【0169】
このような例では、パーソナルコンピュータデバイス100が専ら外部電子デバイス200と通信することだけが要求され、必要である。ここで、緊急要請は、パーソナルコンピュータデバイス100によって生成され、外部電子デバイス200を介して緊急サービス提供者300へ送信される。
【0170】
いくつかのさらなる例では、第2のパーソナルコンピュータデバイス100は単に、第1のパーソナルコンピュータデバイス10と外部電子デバイス200および/または緊急サービス提供者との間のデータ伝送を提供するための通信ハブとして使用される。ここで、収集重要データ400および個人データ500の処理は、外部電子デバイス200のプロセッサ210によって提供され、行われる。このようにして、プロセッサ120およびプロセッサ14に対する計算要求、および求められる計算パワーが最小限に低減される。これにはまた、終局のソフトウェアの更新がパーソナルコンピュータデバイス10、100では実施されなくてもよいという利点もあり、このようなソフトウェア更新が、緊急レベルインジケータの導出に関して、進行中の、最新の、または最近の開発成果を提供する。このような例では、個人データ500は、外部電子デバイス200の電子記憶装置220、および/またはデータベース222に記憶される。
【0171】
これには、個人データ、特に疾患の種類、処方医薬品、医薬品歴、治療歴または緊急歴に関するデータが、外部サービス提供者202などの多数の外部エンティティによって更新されるという、さらなる利点がある。それゆえに、外部サービス提供者202は、医療提供者または医薬品製造者の一方でもよい。
【0172】
緊急サービス提供者300と外部電子デバイス200との間のデータリンク、たとえば、緊急サービス提供者300と外部サービス提供者202との間の通信リンクを介して、特定のユーザ1の治療歴および緊急歴に関する緊急サービス提供者300からの即時フィードバックが、特に緊急要請が緊急サービス提供者300に送信され処理された後に、提供される。緊急サービス提供者300からのフィードバックに従って、個人データおよび/または緊急レベルインジケータを導出するように構成されたアルゴリズムが、それに応じて適合または修正される。
【0173】
図4に、パーソナルコンピュータデバイス10によって取り込まれ、かつ/または収集された重要データのセットの一例が示されている。重要データ400は、多数のデータフィールド402、404、406、408、410、412、414を含む。例として示されるように、図4で、データフィールド402は、ユーザ1の位置または場所を示している。このデータフィールドは、ユーザ1が位置する瞬時の位置または場所を示すことができる。データフィールド404は、ユーザ1の向きを示す。図4の例で示すように、ユーザは直立姿勢である。データフィールド406は、現在の動きの状態を示す。ここでは、例として、ユーザが過去5秒の間に動いていないことが示されている。データフィールド408は、ユーザから発せられる潜在的なノイズまたは音声信号を示す。ここでは、例として、過去10秒間にユーザ1が何も可聴音を発生させていないことが示されている。
【0174】
データフィールド410では、ユーザ1の心拍数が示されている。ここで、データフィールド410は、瞬時心拍数が区分されており、この心拍数は85拍/分(bpm)に等しい。所定の時間間隔にわたる、たとえば、過去1時間または過去1日の間の、平均心拍数を表すデータフィールドがさらに提供されている。例に示されているように、85bpmの瞬時心拍数は、75bpmである平均心拍数をわずかに上回っている。別のデータフィールド412には、呼吸速度が示されている。ここでは、1分当たり15ストロークの平均呼吸数と比べて、瞬時呼吸数が1分当たり17ストロークであることが示されている。別のデータフィールド414には、瞬時血圧および/または平均血圧が示されている。
【0175】
緊急レベルインジケータの推定または導出のために、少なくとも1つまたはいくつかのデータフィールド402、404、406、408、410、412、414が、上で説明したプロセッサ14、110、210のうちの少なくとも1つによって処理される。それぞれのプロセッサ14、110、210はまた、図5の例に示されるように、個人データ500にアクセスができ、または個人データ500を提供される。通常、個人データは、それぞれの人の年齢を示すデータフィールド502を含む。データフィールド504は、ユーザ1の性別を示す。データフィールド506は、その人の実際の体重を示す。データフィールド508には、それぞれの人の知られている疾患の種類が示されている。ここでは、心血管疾患、代謝疾患または呼吸欠陥などの様々な種類の疾患それぞれに、たとえば指標または数字で表されるインジケータが提供される。指標または数字が大きいほど、それぞれの疾患または問題がそれぞれのユーザにより多く当てはまる。もちろん、各ユーザ1の個人データ500には、複数のユーザのうちの特定のユーザに個人データ500を対応付けることができる一意の識別子が提供される。
【0176】
別のデータフィールド510には、処方医薬品が示される。ここでは、薬剤名で識別される多数の薬剤が列記される。薬剤ごとに、薬剤の量および処方スケジュールがデータフィールド510に示される。緊急管理システム80が、パーソナルコンピュータデバイス10、100および外部サービス提供者202のうちの少なくとも1つと通信するように構成された薬物送達装置50を備える場合、医薬品歴がデータフィールド512に医薬品歴として記録される。医薬品歴データフィールド512は、適切に画成された量の特定の薬剤が、どの時刻またはどの日にユーザに投与されたかの記憶を提供する。医薬品歴データフィールド512はさらに、特定の薬剤の摂取がユーザ1によって受動的または能動的に確認されたかどうかを示すことができる。別のデータフィールド514には、特定のユーザの緊急歴が記述または記録される。ここでは、緊急事態の種類、ならびに以前のそのような緊急事態の時刻または日付が記録される。
【0177】
個人データ500は、緊急レベルインジケータを導出または計算するために、プロセッサ14、110、210のうちの少なくとも1つによって、重要データ400と一緒に処理され評価される。緊急レベルインジケータによって表される緊急レベルは、緊急の程度を分類するのに、ならびに、様々な種類の緊急問題を区別するのに、たとえば緊急レベルインジケータが重大な問題を表しているのか比較的無害な緊急状況を表しているのかを区別するのに、有用である。加えて、少なくとも1つのプロセッサ14、110、210によって生成された緊急要請は、それぞれの人の個人データ500、ならびに、それぞれの人1の実際に測定された重要パラメータ400を表す別の有益な情報を備える。
【0178】
図6に、緊急要請を開始する方法の一例がフローチャートを用いて示されている。最初の工程600で、人1の重要データ400が収集される。並行工程602で、同一の人1の個人データ500が提供される。後続の工程604で、収集された重要データ400および提供された個人データ500に基づいて、プロセッサ14、110、210のうちの少なくとも1つが緊急レベルインジケータを導出する。続く工程606で、導出緊急レベルインジケータが緊急閾値と比較される。たとえば、工程606で、導出緊急レベルインジケータは、上方緊急閾値と比較される。工程606で、緊急レベルインジケータが所定の上方緊急閾値を超えている場合、この方法では直接工程608へ進み、ここで緊急要請が生成され、緊急サービス提供者300へ送信される。
【0179】
ここで、このような緊急要請を緊急サービス提供者300に送信する前に、緊急要請を中断または無効にする可能性が場合によりユーザ1に与えられる。それゆえに、第1のパーソナルコンピュータデバイス10のインジケータ30が、または第2のパーソナルコンピュータデバイス100のそれぞれのインジケータ、たとえばスピーカ160が、ユーザ1に、所定の時間間隔中に緊急サービス提供者300への緊急要請の送信を確認または中止するように促すことができる。
【0180】
工程606で、導出された緊急レベルインジケータが上方緊急閾値以下である場合、この方法は工程610へ進む。工程610で、緊急レベルインジケータは、所定の下方緊急閾値と比較される。緊急レベルインジケータが所定の下方緊急閾値未満である場合、この方法は工程600および602へ戻る。ここで、それに応じて、この方法ではユーザ1の重要データ400を収集することが継続される。工程600、602、604、606、610からなるループは、工程606、610における比較の一方で、緊急レベルインジケータが外側緊急閾値または下方緊急閾値の一方と等しいか超えることが明らかにされる限り、実施される。
【0181】
工程610で、緊急レベルインジケータが所定の下方緊急閾値を超える場合、この方法は工程612へ進む。工程612で、この方法はユーザ1とのユーザ対話を開始する。ユーザ対話は、ユーザ対話システム250によって視覚および/または聴覚で行われる。このために、コンテンツベースの対話システムは、ユーザ1に対して一連の質問を開始し、それに応答するようにユーザ1を促すことができる。ユーザ1の応答に応じて、対話システム250は、多数のエスカレーション段階を実行することができる。
【0182】
最後に、ユーザ対話システム250は工程614で終了する。ここでは、現在の緊急問題が解決されているかどうかが評価される。解決されている場合で、かつユーザ1によって同様に確認された場合には、この方法は工程600および/または602へ戻る。他の場合で、緊急問題がユーザ対話によって解決されていないときには、この方法は工程608へ進む。それに応じて、緊急要請が生成され、緊急サービス提供者300へ送信される。
【符号の説明】
【0183】
1 ユーザ
5 ユーザ環境
10 パーソナルコンピュータデバイス
11 ハウジング
12 カラー
13 ベルト
14 プロセッサ
16 電子記憶装置
20 センサ
22 センサ
24 センサ
26 センサ
28 センサ
30 インジケータ
32 入力部
40 通信インターフェース
50 送達デバイス
52 通信インターフェース
80 緊急管理システム
100 パーソナルコンピュータデバイス
101 ハウジング
110 プロセッサ
120 記憶装置
140 通信インターフェース
142 通信インターフェース
144 通信インターフェース
146 音声インターフェース
150 マイクロフォン
160 スピーカ
180 通信ネットワーク
200 外部電子デバイス
202 サービス提供者
210 プロセッサ
220 電子記憶装置
222 電子記憶装置
240 通信インターフェース
242 通信インターフェース
244 通信インターフェース
246 音声インターフェース
250 対話システム
300 緊急サービス提供者
340 通信インターフェース
342 通信インターフェース
400 重要データ
402 データフィールド
404 データフィールド
406 データフィールド
408 データフィールド
410 データフィールド
412 データフィールド
414 データフィールド
500 個人データ
502 データフィールド
504 データフィールド
506 データフィールド
508 データフィールド
510 データフィールド
512 データフィールド
514 データフィールド
600 ユーザ対話システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6