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特許7613038樹脂組成物、マスターバッチ、黒色樹脂組成物、黒色樹脂成形体、及びそれらの製造方法
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  • 特許-樹脂組成物、マスターバッチ、黒色樹脂組成物、黒色樹脂成形体、及びそれらの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】樹脂組成物、マスターバッチ、黒色樹脂組成物、黒色樹脂成形体、及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20250107BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20250107BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20250107BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20250107BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
C08F2/44 Z
C08J3/22 CEY
C08K3/04
C08L33/06
C08L101/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020166961
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022059304
(43)【公開日】2022-04-13
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】内海 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-307618(JP,A)
【文献】特開2019-023287(JP,A)
【文献】特開2011-162760(JP,A)
【文献】特開平10-245422(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0051217(KR,A)
【文献】特開平04-300943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00- 2/60
C08J 3/00- 3/28
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)中に、カーボンブラックを主成分とする炭素系粒子(B)および分散剤(C)が分散してなり、
(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)、前記炭素系粒子(B)および分散剤(C)の合計100質量%に対して、
(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)が25.0~98.9質量%、カーボンブラックを主成分とする炭素系粒子(B)が1~65質量%および分散剤(C)が0.1~10質量%であることを特徴とする、黒色マスターバッチ用樹脂組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)は、(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーを含有し、(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーの合計100質量%に対して、(メタ)アクリルモノマーが40~90質量%および(メタ)アクリルポリマーが10~60質量%である、請求項1に記載の黒色マスターバッチ用樹脂組成物。
【請求項3】
前記黒色マスターバッチ用樹脂組成物は、更に重合開始剤(D)を含有する、請求項1又は2に記載の黒色マスターバッチ用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の黒色マスターバッチ用樹脂組成物を硬化してなる硬化物の粒状物からなる、マスターバッチ。
【請求項5】
請求項4に記載のマスターバッチと、熱可塑性樹脂(E)とを含有する黒色樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の黒色樹脂組成物を溶融成形してなる、黒色樹脂成形体。
【請求項7】
表面に直径100μm以上のカーボンブラック凝集物が存在せず、48mm あたり直径10μm未満のカーボンブラック凝集物が10個以下である請求項6に記載の黒色樹脂成形体。
【請求項8】
(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)、カーボンブラックを主成分とする炭素系粒子(B)および分散剤(C)を配合して、(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)中に、炭素系粒子(B)および分散剤(C)を分散させる工程を有することを特徴とする、黒色マスターバッチ用樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
前記(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)は、(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーを含有する、請求項8に記載の黒色マスターバッチ用樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
更に、前記(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)中に重合開始剤(D)を混合する工程を有する、請求項8又は9に記載の黒色マスターバッチ用樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法により樹脂組成物を得る工程と、前記樹脂組成物を硬化して硬化物を得る工程と、前記硬化物を破砕して粒状物を得る工程とを有する、マスターバッチの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の製造方法によりマスターバッチを得る工程と、
前記マスターバッチと、熱可塑性樹脂(E)とを混合および/または溶融混練する工程とを有する、黒色樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の製造方法により黒色樹脂組成物を得る工程と、
前記黒色樹脂組成物を溶融成形する工程と
を有する黒色樹脂成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、マスターバッチ、黒色樹脂組成物、黒色樹脂成形体、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱可塑性プラスチック成形品の意匠性向上や高級感付与のため、表面高漆黒性が求められている。表面高漆黒性を発現するために、プラスチック中への小粒子径、大比表面積のカーボンブラック(CB)微分散化することが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6277335号公報
【文献】特許第6356006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2等の従来の方法では、熱可塑性樹脂、カーボンブラック及び分散剤を押出機により溶融混練して高漆黒性マスターバッチを得ている。しかしながら、表面高漆黒性を発現するために用いられるカーボンブラックは凝集力が強く、通常の溶融混練でのせん断力では分散が困難である。カーボンブラックの分散性向上のために、混練条件の調整や分散剤等による改良効果は限定的である。そのため、表面高漆黒性を発現するために、プラスチック表面の塗装で対応している場合が多い。
一方で、加工コストや環境対応から塗装レスが求められており、表面未加工での成形品高漆黒化のニーズが強いのが実情であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、表面塗装不要の高漆黒成形品が成形可能な樹脂組成物、マスターバッチ、黒色樹脂組成物、黒色樹脂成形体、及びそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を包含する。
(1)(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)中に、カーボンブラックを主成分とする炭素系粒子(B)および分散剤(C)が分散してなり、(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)、前記炭素系粒子(B)および分散剤(C)の合計100質量%に対して、(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)が25.0~98.9質量%、カーボンブラックを主成分とする炭素系粒子(B)が1~65質量%および分散剤(C)が0.1~10質量%であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)は、(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーを含有し、(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーの合計100質量%に対して、(メタ)アクリルモノマーが40~90質量%および(メタ)アクリルポリマーが10~60質量%である、(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記樹脂組成物は、更に重合開始剤(D)を含有する、前記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記(3)に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物の粒状物からなる、マスターバッチ。
(5)前記(4)に記載のマスターバッチと、熱可塑性樹脂(E)とを含有する黒色樹脂組成物。
(6)前記(5)に記載の黒色樹脂組成物を溶融成形してなる、黒色樹脂成形体。
(7)表面に直径100μm以上のカーボンブラック凝集物が存在せず、48mmあたり直径10μm未満のカーボンブラック凝集物が10個以下である前記(6)に記載の黒色樹脂成形体。
(8)(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)、カーボンブラックを主成分とする炭素系粒子(B)および分散剤(C)を配合して、(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)中に、炭素系粒子(B)および分散剤(C)を分散させる工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
(9)前記(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)は、(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーを含有する、前記(8)に記載の樹脂組成物の製造方法。
(10)更に、前記(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)中に重合開始剤(D)を混合する工程を有する、前記(8)又は(9)に記載の樹脂組成物の製造方法。
(11)前記(10)に記載の製造方法により樹脂組成物を得る工程と、前記機能性樹脂組成物を硬化して硬化物を得る工程と、前記硬化物を破砕して粒状物を得る工程とを有する、マスターバッチの製造方法。
(12)前記(11)に記載の製造方法によりマスターバッチを得る工程と、前記マスターバッチと、熱可塑性樹脂(E)とを混合および/または溶融混練する工程とを有する、黒色樹脂組成物の製造方法。
(13)前記(12)に記載の製造方法により黒色樹脂組成物を得る工程と、前記黒色樹脂組成物を溶融成形する工程とを有する黒色樹脂成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表面塗装不要の高漆黒成形品が成形可能な樹脂組成物、マスターバッチ、黒色樹脂組成物、黒色樹脂成形体、及びそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1に係る黒色成形体の光学顕微鏡写真図である。
図2】実施例2に係る黒色成形体の光学顕微鏡写真図である。
図3】実施例3に係る黒色成形体の光学顕微鏡写真図である。
図4】実施例4に係る黒色成形体の光学顕微鏡写真図である。
図5】比較例1に係る黒色成形体の光学顕微鏡写真図である。
図6】比較例2に係る黒色成形体の光学顕微鏡写真図である。
図7】比較例3に係る黒色成形体の光学顕微鏡写真図である。
図8】比較例4に係る黒色成形体の光学顕微鏡写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<樹脂組成物>
本実施形態に係る樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)(以下、「(A)成分」という場合がある。)中に、カーボンブラックを主成分とする炭素系粒子(B)(以下、「(B)成分」という場合がある。)および分散剤(C)(以下、「(C)成分」という場合がある。)が分散してなる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、高漆黒成形品の成形に適用することが好ましく、表面塗装不要の高漆黒成形品の成形に適用することがより好ましい。
【0010】
[(A)成分:(メタ)アクリル樹脂シロップ]
(A)成分は、(メタ)アクリルオリゴマーまたはポリマーが溶解した、モノマーまたはモノマー混合物である。(A)成分は、いわゆる現場重合型(in situ重合型)モノマーである。
【0011】
(A)成分は、(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーを含有することが好ましい。
(A)成分が(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーを含有する場合、(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーの合計100質量%に対して、(メタ)アクリルモノマーが40~90質量%および(メタ)アクリルポリマーが10~60質量%であることが好ましく、(メタ)アクリルモノマーが45~85質量%および(メタ)アクリルポリマーが15~55質量%であることがより好ましく、(メタ)アクリルモノマーが50~80質量%および(メタ)アクリルポリマーが20~50質量%であることが更に好ましい。
(A)成分中、(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルポリマーの含有量が上記範囲内であると、現場重合に適度な粘度としやすい。
【0012】
(A)成分の動的粘度は、10mPa・s~10000mPa・sであることが好ましく、50mPa・s~5000mPa・sであることがより好ましく、100mPa・s~1000mPa・sであることが更に好ましい。好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上、更に好ましくは100mPa・s以上であり、そして、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・s以下である。
(A)成分の動的粘度が上記の好ましい範囲内であると、(A)成分中に(B)成分及び(C)成分を良好に分散しやすい。一方、(A)成分の動的粘度が上記の好ましい範囲の下限値以上であると、樹脂組成物の取り扱い性を良好にしやすい。
(A)成分の粘度はレオメータで容易に測定できる。動的粘度は25℃で測定する。(A)成分はニュートン挙動を示し、剪断による減粘がない。従って、動的粘度はレオメータでの剪断から独立し、粘度計でのモービルの速度から独立している。
【0013】
(A)成分としては、具体的には、アルケマ社製のELIUMシリーズ等が挙げられる。
【0014】
(A)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0015】
本実施形態に係る樹脂組成物中、(A)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量%に対して、25.0質量%以上、好ましくは30.0質量%以上、より好ましくは45.0質量%以上であり、そして、98.9質量%以下、好ましくは97.5質量%以下、より好ましくは95.0質量%以下である。
(A)成分の含有量が上記の範囲の下限値以上であると、(A)成分中に(B)成分及び(C)成分を良好に分散しやすい。一方、(A)成分の含有量が上記の範囲の上限値以下であると、樹脂組成物の取り扱い性を良好にしやすい。
【0016】
[(B)成分:カーボンブラックを主成分とする炭素系粒子]
(B)成分は、カーボンブラックを好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは95質量%以上含む炭素系粒子である。
【0017】
(B)成分におけるカーボンブラックとしては、チャネルブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ボーンブラック等が挙げられる。
【0018】
(B)成分の平均一次粒子径は、5nm~1μmであることが好ましく、10nm~500nmであることがより好ましく、10nm~100nmであることが更に好ましい。
(B)成分の平均一次粒子径が上記の好ましい範囲の下限値以上であると、高漆黒性が発現しやすい。一方、(B)成分の平均一次粒子径が上記の好ましい範囲の上限値以下であると、明度を下げやすく、良好な分散性が得られやすい。
【0019】
(B)成分の平均一次粒子径は、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、(B)成分の一次粒子像を得、200~300個程度の粒子それぞれについて粒子径を測定し、平均値を算出することで得られる。
【0020】
(B)成分の比表面積は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは20m/g以上、更に好ましくは40m/g以上であり、そして、好ましくは700m/g以下、より好ましくは650m/g以下、更に好ましくは600m/g以下である。
(B)成分の比表面積が上記の好ましい範囲の下限値以上であると、統一された漆黒を得やすい。一方、(B)成分の比表面積が上記の好ましい範囲の上限値以下であると、(B)成分が凝集するのを抑制しやすく、均一な黒色を得やすい。
【0021】
(B)成分の比表面積は、JIS K6217-2に準拠して測定できる。
【0022】
(B)成分は、表面を物理的、または化学的に処理されたものであってもよい。これにより、良好な分散性が得られる。
【0023】
(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上のを用いてもよい。
【0024】
本実施形態に係る樹脂組成物中、(B)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量%に対して、1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、そして、65質量%以下であり、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下である。
(B)成分の含有量が上記の範囲の下限値以上であると、高漆黒性が発現しやすい。一方、(B)成分の含有量が上記の範囲の上限値以下であると、(B)成分の分散性が良好となりやすい。
【0025】
[(C)成分:分散剤]
(C)成分としては、カーボンブラックに適用される顔料分散剤として公知のものであれば特に限定されない(C)成分としては、例えばポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体などのスチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体の水性樹脂、及び、前記水性樹脂の塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアリルアミド及びエチレンビスステアリルアミド(EBS)等が挙げられる。
【0026】
(C)成分としては、具体的には、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPBシリーズ、ビックケミー・ジャパン株式会社製のDisperbykシリーズ、BASF社製のEFKAシリーズ、日本ルーブリゾール株式会社製のSOLSPERSEシリーズ、EVONIK社製のTEGOシリーズ等を使用することができる。
【0027】
(C)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0028】
本実施形態に係る樹脂組成物中、(C)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量%に対して、0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上であり、そして、10質量%以下であり、好ましくは7.5質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下である。
(C)成分の含有量が上記の範囲の下限値以上であると、(B)成分の分散性が良好となりやすい。一方、(C)成分の含有量が上記の範囲の上限値以下であると、高漆黒性が発現しやすい。
【0029】
[(D)成分:重合開始剤]
本実施形態に係る樹脂組成物は、更に重合開始剤(D)(以下、「(D)成分」という場合がある。)を含有してもよい。樹脂組成物が(D)成分を含有する場合、樹脂組成物の現場重合を良好に進行しやすくなる。
【0030】
(D)成分としては、(A)成分の重合開始剤として公知のものであれば特に限定されない。(D)成分としては、例えば、ジアシル過酸化物、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシアセタール、アゾ化合物等が挙げられる。
【0031】
(D)成分としては、具体的には、イソプロピルカーボネート、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化カプロイル、過酸化ジクミル、tert-過安息香酸ブチル、tert-過(2-エチルヘキサン酸)ブチル、クミルヒドロペルオキシド、1,1-ジ(tert-ブチルぺルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン,tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-過酢酸ブチル、tert-過ピバル酸ブチル、過ピバル酸アミル、tert-ブチルぺルオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソブチルアミド、2,2’-アゾ-ビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)または4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン)等が挙げられる。
【0032】
(D)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上のを用いてもよい。
【0033】
本実施形態に係る樹脂組成物中、(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは11質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは9.0質量部以下である。
(D)成分の含有量が上記の好ましい範囲内であると、(A)成分の重合反応が良好に進行しやすい。
【0034】
本実施形態に係る樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂シロップ(A)中に、カーボンブラックを主成分とする炭素系粒子(B)および分散剤(C)が分散してなる。
本実施形態においては、樹脂成分として(A)成分を用いることにより、通常の溶融混練でのせん断力では分散が困難であった(B)成分の微分散化が可能である。また、本実施形態に係る樹脂組成物は、現場重合が可能であり、硬化により分散状態を維持出来る。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、硬化後も熱可塑性を有するため、マスターバッチに使用可能である。
そのため、本実施形態に係る樹脂組成物により、表面塗装不要の高漆黒成形品が成形可能である。
【0035】
<マスターバッチ>
本実施形態に係るマスターバッチは、前記樹脂組成物を硬化してなる硬化物の粒状物からなる。
本実施形態に係るマスターバッチは、前記樹脂組成物の硬化物から得られる。そのため、(A)成分が重合したポリマーマトリックス中に(B)成分が微分散化されている。そのため、本実施形態に係るマスターバッチにより、表面塗装不要の高漆黒成形品が成形可能である。
【0036】
<黒色樹脂組成物>
本実施形態に係る黒色樹脂組成物は、前記マスターバッチと、熱可塑性樹脂(E)とを含有する。
【0037】
[(E)成分:熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂(E)(以下、「(E)成分」という場合がある。)は特に限定されず、マスターバッチ用の熱可塑性樹脂として公知のものを使用できる。
(E)成分としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、及びポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等が挙げられる。
【0038】
(E)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0039】
本実施形態に係る樹脂組成物中、(E)成分の含有量は、マスターバッチと(E)成分の合計100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97.5質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
(E)成分の含有量が上記の好ましい範囲内であると、所望の高漆黒成形品が得やすい。
【0040】
本実施形態に係る黒色樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、黒色顔料以外の顔料、エステル系ワックス、ポリエチレンワックス、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等各種安定剤、難燃剤、界面活性剤等各種の添加剤を含有してもよい。
【0041】
本実施形態に係る黒色樹脂組成物は、前記マスターバッチを含有する。そのため、本実施形態に係る黒色樹脂組成物により、表面塗装不要の高漆黒成形品が成形可能である。
【0042】
<黒色樹脂成形体>
本実施形態に係る黒色樹脂成形体は、前記黒色樹脂組成物を溶融成形してなる。
本実施形態において、溶融成形の方法は特に限定されず、射出成形、押出成形等公知の成型方法が適用できる。
【0043】
本実施形態に係る黒色樹脂成形体は、表面に直径100μm以上のカーボンブラック凝集物が存在せず、48mmあたり直径10μm未満のカーボンブラック凝集物が10個以下であると表面高漆黒性が良好となりやすい。
【0044】
黒色樹脂成形体表面のカーボンブラック凝集物は倍率50以上の光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープ等で測定できる。光学顕微鏡としては、特に限定されないが、例えば「LV100D-U」(ニコン社製)を用いることができる。なお、48mmあたり直径10μm未満のカーボンブラック凝集物の個数は、例えば、黒色樹脂成形体の表面の任意の10箇所(各箇所の面積:4.8mm)について測定し、凝集物の個数の合計値とすることができる。
【0045】
本実施形態に係る黒色樹脂成形体は、前記マスターバッチを含有する黒色組成物を溶融成形して得られる。そのため、本実施形態に係る黒色樹脂成形体は、表面塗装が無くても、高漆黒性を発現できる。
【0046】
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、(A)成分、(B)成分および(C)成分を配合して、(A)成分中に、(B)成分および(C)成分を分散させる工程を有する。
本実施形態において、(A)成分、(B)成分及び(C)成分は、前記樹脂組成物における(A)成分、(B)成分及び(C)成分と同様である。
【0047】
(A)成分中に、(B)成分および(C)成分を分散させる方法は特に限定されず、例えば、湿式粉砕機やコロイドミルなどを用いる方法が挙げられる。
【0048】
湿式粉砕機とは、液体中の固形物を粉砕・分散・混合・圧送を同時に行うことが出来る湿式粉砕ポンプである。湿式粉砕ポンプは、液中で固形物を圧送しながら、固形物を固定刃と回転刃、もしくは回転刃とグリッドにより粉砕する機構が好ましく、より好ましくは、切刃、粉砕羽根車、シュラウドリング、グリッドの4点部品の組み合わせにより、3段階に粉砕される機構である。
【0049】
コロイドミルとは、粒子が液体中を浮遊している分散系において粒子サイズを低減するために使用される機械である。コロイドミルは、ロータとステータの組み合わせからなり、固定されたステータに対してロータは高速で回転する。高速回転により、生じる高レベルの剪断により液中の粒子サイズを小さくするために使用される。
【0050】
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、更に、(A)成分中に(D)成分を混合する工程を有してもよい。
(A)成分中に(D)成分を混合する方法は特に限定されないが、典型的には、(A)成分中に、(B)成分および(C)成分を分散させた後に、(D)成分を添加し、撹拌する。撹拌時間は、例えば、1分~1時間である。
【0051】
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法によれば、樹脂成分として(A)成分を用いることにより、通常の溶融混練でのせん断力では分散が困難であった(B)成分の微分散化が、湿式分散処理等により可能である。そのため、本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法によれば、高漆黒性を発現できる樹脂組成物が得られる。
【0052】
<マスターバッチの製造方法>
本実施形態に係るマスターバッチの製造方法は、前記実施形態に係る製造方法により樹脂組成物を得る工程(以下、「樹脂組成物製造工程」という場合がある。)と、前記機能性樹脂組成物を硬化して硬化物を得る工程(以下、「硬化工程」という場合がある。)と、前記硬化物を破砕して粒状物を得る工程(以下、「破砕工程」という場合がある。)とを有する。
【0053】
(樹脂組成物製造工程)
樹脂組成物製造工程は、前記樹脂組成物の製造方法と同様である。
【0054】
(硬化工程)
硬化工程では、前記樹脂組成物製造工程で得られた樹脂組成物を硬化する。典型的には、樹脂組成物に重合開始剤(D)を添加し、15℃~40℃、好ましくは20~30℃で、15分~5時間、好ましくは30分~3時間重合反応を進行させ、樹脂組成物を硬化して硬化物を得る。なお、(D)成分は、前記樹脂組成物製造工程において(A)成分と混合しておいてもよい。
【0055】
(破砕工程)
破砕工程では、前記硬化物を破砕して粒状物(マスターバッチ)を得る。
破砕方法は特に限定されず、カッターミル、くし刃形粉砕機、ハンマーミル、、ジョークラッシャー、ローターミル、カッティングミル、ナイフミル、ディスクミル、冷凍粉砕機等の公知の破砕手段を用いることができる。
【0056】
本実施形態に係るマスターバッチの製造方法によれば、現場重合により樹脂組成物の硬化物を得て、硬化物を粉砕することによりマスターバッチが得られる。また、本実施形態によれば、(A)成分が重合したポリマーマトリックス中に(B)成分が微分散化されたマスターバッチが得られる。そのため、本実施形態に係るマスターバッチの製造方法によれば、実用性が高く、高漆黒性を発現できるマスターバッチが得られる。
【0057】
<黒色樹脂組成物の製造方法>
本実施形態に係る黒色樹脂組成物の製造方法は、前記実施形態に係る製造方法によりマスターバッチを得る工程(以下、「マスターバッチ製造工程」という場合がある。)と、前記マスターバッチと、熱可塑性樹脂(E)とを混合および/または溶融混練する工程(以下、「混合・溶融混練工程」という場合がある。)とを有する。
【0058】
(マスターバッチ製造工程)
マスターバッチ製造工程は、前記マスターバッチの製造方法と同様である。
【0059】
(混合・溶融混練工程)
マスターバッチと(E)成分とを混合および/または溶融混練する方法は特に限定されず、公知の混合手段を用いればよい。
マスターバッチと(E)成分とを溶融混練する場合、溶融混練温度は典型的には100~350℃である。
【0060】
本実施形態に係る黒色樹脂組成物の製造方法によれば、前記マスターバッチを用いるため、高漆黒性を発現できる黒色樹脂組成物が簡易に得られる。
【0061】
<黒色樹脂成形体の製造方法>
本実施形態に係る黒色樹脂成形体の製造方法は、前記実施形態に係る製造方法により黒色樹脂組成物を得る工程(以下、「黒色樹脂組成物製造工程」という場合がある。)と、前記黒色樹脂組成物を溶融成形する工程(以下、「溶融成形工程」という場合がある。)とを有する。
【0062】
(黒色樹脂組成物製造工程)
黒色樹脂組成物製造工程は、前記黒色樹脂組成物の製造方法と同様である。
【0063】
(溶融成形工程)
溶融成形の方法は特に限定されず、射出成形、押出成形等公知の成型方法が適用できる。
成形温度は、典型的には100~350℃である。また、成形時間は、典型的には、1秒~10分間である。
【0064】
本実施形態に係る黒色樹脂成形体の製造方法によれば、前記マスターバッチを含有する黒色組成物を溶融成形するため、表面塗装が無くても、高漆黒性を発現できる黒色樹脂成形体が得られる。
【実施例
【0065】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0066】
(実施例1:黒色成形体(1)の製造)
カーボンブラック(PM-8000(Birla)6質量%、現場重合型アクリルモノマー(Elium 188 O(アルケマ社製)93質量%及び分散剤(BYK-9076(ビックケミー社製)1wt%を湿式ビーズミルにて分散処理し、樹脂組成物(1)を得た。
樹脂組成物(1)93質量%に過酸化物(ナイパーFF(日油社製)7質量%を添加し、ビーカー内でマグネチックスターラーで10分間撹拌後、金属バットに取り出し、室温で12時間保持し、硬化物を得た。得られた硬化物を粉砕し、マスターバッチ(1)を得た。
マスターバッチ(1)をカーボンブラック量が1%となるようにPMMA樹脂(TF9(三菱ケミカル社製))とブレンドし、黒色樹脂組成物(1)を得た。得られた黒色樹脂組成物を射出成形機(シリンダ温度230℃、金型温度50℃)でD2試験片(黒色成形体(1))を作製した。
【0067】
(実施例2:黒色成形体(2)の製造)
カーボンブラック(FW-200(Orion)6質量%、現場重合型アクリルモノマー(Elium 188 O(アルケマ社製)93質量%及び分散剤(BYK-9076(ビックケミー社製)1wt%を湿式ビーズミルにて分散処理し、樹脂組成物(2)を得た。
樹脂組成物(2)93質量%に過酸化物(ナイパーFF(日油社製)7質量%を添加し、ビーカー内でマグネチックスターラーで10分間撹拌後、金属バットに取り出し、室温で12時間保持し、硬化物を得た。得られた硬化物を粉砕し、マスターバッチ(2)を得た。
マスターバッチ(2)をカーボンブラック量が1%となるようにPMMA樹脂(TF9(三菱ケミカル社製))とブレンドし、黒色樹脂組成物(1)を得た。得られた黒色樹脂組成物を射出成形機(シリンダ温度230℃、金型温度50℃)でD2試験片(黒色成形体(2))を作製した。
【0068】
(実施例3:黒色成形体(3)の製造)
カーボンブラック(PM-8000(Birla)6質量%、現場重合型アクリルモノマー(Elium 188 O(アルケマ社製)93質量%及び分散剤(BYK-9076(ビックケミー社製)1wt%を湿式ビーズミルにて分散処理し、樹脂組成物(1)を得た。
樹脂組成物(1)93質量%に過酸化物(ナイパーFF(日油社製)7質量%を添加し、ビーカー内でマグネチックスターラーで10分間撹拌後、金属バットに取り出し、室温で12時間保持し、硬化物を得た。得られた硬化物を粉砕し、マスターバッチ(1)を得た。
マスターバッチ(1)をカーボンブラック量が1%となるようにポリスチレン樹脂(CR2500(DIC社製))とブレンドし、黒色樹脂組成物(3)を得た。得られた黒色樹脂組成物を射出成形機(シリンダ温度230℃、金型温度50℃)でD2試験片(黒色成形体(3))を作製した。
【0069】
(実施例4:黒色成形体(4)の製造)
カーボンブラック(FW-200(Orion)6質量%、現場重合型アクリルモノマー(Elium 188 O(アルケマ社製)93質量%及び分散剤(BYK-9076(ビックケミー社製)1wt%を湿式ビーズミルにて分散処理し、樹脂組成物(2)を得た。
樹脂組成物(2)93質量%に過酸化物(ナイパーFF(日油社製)7質量%を添加し、ビーカー内でマグネチックスターラーで10分間撹拌後、金属バットに取り出し、室温で12時間保持し、硬化物を得た。得られた硬化物を粉砕し、マスターバッチ(2)を得た。
マスターバッチ(2)をカーボンブラック量が1%となるようにポリスチレン樹脂(CR2500(DIC社製))とブレンドし、黒色樹脂組成物(4)を得た。得られた黒色樹脂組成物を射出成形機(シリンダ温度230℃、金型温度50℃)でD2試験片(黒色成形体(4))を作製した。
【0070】
(比較例1:黒色成形体(1’)の製造)
カーボンブラック(PM-8000(Birla社製))5質量%、PMMA樹脂(アクリペット(三菱ケミカル社製))94.5質量%及び分散剤(ステアリン酸マグネシウム)0.5質量%を二軸押出機TEM-26SX(芝浦機械株式会社製)(シリンダ温度220℃、スクリュ回転数300rpm、吐出量10kg/hr)にて混練し、マスターバッチ(1’)を得た。
マスターバッチ(1’)をカーボンブラック量が1%となるようにPMMA樹脂(TF9(三菱ケミカル社製))とブレンドし、黒色樹脂組成物(1’)を得た。得られた黒色樹脂組成物を射出成形機(シリンダ温度230℃、金型温度50℃)でD2試験片(黒色成形体(1’))を作製した。
【0071】
(比較例2:黒色成形体(2’)の製造)
カーボンブラック(FW-200(Orion社製))5質量%、PMMA樹脂(アクリペット(三菱ケミカル社製))94.5質量%及び分散剤(ステアリン酸マグネシウム)0.5質量%を二軸押出機TEM-26SX(芝浦機械株式会社製)(シリンダ温度220℃、スクリュ回転数300rpm、吐出量10kg/hr)にて混練し、マスターバッチ(2’)を得た。
マスターバッチ(2’)をカーボンブラック量が1%となるようにPMMA樹脂(TF9(三菱ケミカル社製))とブレンドし、黒色樹脂組成物(2’)を得た。得られた黒色樹脂組成物を射出成形機(シリンダ温度230℃、金型温度50℃)でD2試験片(黒色成形体(2’))を作製した。
【0072】
(比較例3:黒色成形体(3’)の製造)
カーボンブラック(PM-8000(Birla社製))5質量%、ポリスチレン樹脂(CR-2500(DIC社製))94.5質量%及び分散剤(ステアリン酸マグネシウム)0.5質量%を二軸押出機TEM-26SX(芝浦機械株式会社製)(シリンダ温度220℃、スクリュ回転数300rpm、吐出量10kg/hr)にて混練し、マスターバッチ(3’)を得た。
マスターバッチ(3’)をカーボンブラック量が1%となるようにポリスチレン樹脂(CR-2500(DIC社製))とブレンドし、黒色樹脂組成物(3’)を得た。得られた黒色樹脂組成物を射出成形機(シリンダ温度230℃、金型温度50℃)でD2試験片(黒色成形体(3’))を作製した。
【0073】
(比較例2:黒色成形体(4’)の製造)
カーボンブラック(FW-200(Orion社製))5質量%、ポリスチレン樹脂(CR-2500(DIC社製))94.5質量%及び分散剤(ステアリン酸マグネシウム)0.5質量%を二軸押出機TEM-26SX(芝浦機械株式会社製)(シリンダ温度220℃、スクリュ回転数300rpm、吐出量10kg/hr)にて混練し、マスターバッチ(4’)を得た。
マスターバッチ(4’)をカーボンブラック量が1%となるようにポリスチレン樹脂(CR-2500(DIC社製))とブレンドし、黒色樹脂組成物(4’)を得た。得られた黒色樹脂組成物を射出成形機(シリンダ温度230℃、金型温度50℃)でD2試験片(黒色成形体(4’))を作製した。
【0074】
(分散性の評価)
実施例1~4及び比較例1~4で得られたD2試験片の表面状態を倍率50の光学顕微鏡で各10箇所観察した。観察画像をそれぞれ図1~8に示す。その結果、実施例1~4のD2試験片(図1~4)には直径100μm以上のカーボンブラック凝集物は見られず、成形品表面48mmにおける10μm未満のカーボンブラック凝集物は5個以下であった。一方、比較例1~4のD2試験片(図5~8)には直径100μm以上のカーボンブラック凝集物が見られ、成形品表面48mmにおける10μm未満のカーボンブラック凝集物は100個以上確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8