(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
G01N35/00 F
(21)【出願番号】P 2023538359
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2022026088
(87)【国際公開番号】W WO2023008069
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2021123894
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(73)【特許権者】
【識別番号】501196013
【氏名又は名称】エフ・ホフマン・ラ・ロッシュ・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN LA ROCHE AG
【住所又は居所原語表記】GRENZACHERSTRASSE 124, CH‐4070 BASEL, SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正樹
(72)【発明者】
【氏名】フェスター エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ヒンツ ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュパイヤー ジュリア
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146251(JP,A)
【文献】国際公開第2021/140741(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/217720(WO,A1)
【文献】特開2014-163855(JP,A)
【文献】特開2010-276375(JP,A)
【文献】特開2010-139485(JP,A)
【文献】特開2020-101465(JP,A)
【文献】特開2010-256345(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053991(WO,A1)
【文献】特開2013-072799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器に検体と試薬を各々分注して反応させ、この反応させた液体を分析する自動分析装置であって、
前記試薬が収容された試薬容器を保持する試薬ディスクを含む、前記検体の分析に用いられる1つ以上の機構と、
前記分析に必要な消耗品を格納する消耗品格納部と、
前記試薬ディスクを覆う試薬カバーと、
前記機構及び前記試薬カバーを覆うメインカバーと、
前記メインカバーおよび前記試薬カバーの開閉を検知する検知部と、
ユーザに前記自動分析装置に関する情報を表示する表示部と、
前記機構の動作を制御するとともに、前記表示部に情報を表示させる制御部と、を備え、
前記試薬カバーは前記メインカバーが開かれなければ開けない構造であり、
前記制御部は、
前記検知部において前記メインカバーが開いたと検知されたときに、ユーザに対して前記分析に必要な作業を行うように促すガイダンスとして消耗品管理画面、又は前記試薬の登録を行う試薬登録画面を前記表示部に表示させ、
前記検知部において前記メインカバーが開き、かつ前記試薬カバーが開いたと検知されたときに、前記試薬登録画面を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記メインカバーまたは前記試薬カバーが開かれた際に前記ユーザが行うべき作業を前記メインカバーおよび前記試薬カバーの種類と対応して記憶している記憶部を更に備えた
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記ガイダンスとして、前記作業を行う画面を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記ガイダンスとして、前記作業を行う画面に遷移するか否かを確認するポップアップ領域を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記ガイダンスとして、警告音を発報させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項3に記載の自動分析装置において、
前記機構の周囲にLEDを更に備え、
前記制御部は、前記ガイダンスとして、前記作業の対象となる前記機構の周囲の前記LEDを点灯、あるいは点滅させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記消耗品の残量を管理する残量管理部を更に備え、
前記制御部は、前記残量管理部により前記消耗品が所定値よりも少ないと検知されたときは、前記消耗品管理画面のうち、対象となる前記消耗品格納部に対応する領域を強調表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記分析で使用された廃棄物を格納する廃棄物格納部を更に備え、
前記制御部は、前記検知部により前記メインカバーが開いたと検知されたときは、前記ガイダンスとして廃棄物管理画面を表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項9に記載の自動分析装置において、
前記廃棄物の格納余裕量を管理する残量管理部を更に備え、
前記制御部は、前記残量管理部により前記廃棄物が所定値よりも多いと検知されたときは、前記廃棄物管理画面のうち、対象となる前記廃棄物格納部に対応する領域を強調表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記検体が収容された検体容器を保持する検体ディスクと、
前記検体ディスクを覆う検体カバーと、を更に備え、
前記制御部は、前記検体カバーが開閉されたときは、前記検体の登録を行う検体登録画面を表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
試薬が収容された試薬容器を保持する試薬ディスクを含む、検体の分析に用いられる1つ以上の機構と、前記分析に必要な消耗品を格納する消耗品格納部と、前記試薬ディスクを覆う試薬カバーと、前記機構及び前記試薬カバーを覆うメインカバーと、前記メインカバーおよび前記試薬カバーの開閉を検知する検知部と、ユーザに自動分析装置に関する情報を表示する表示部と、前記機構の動作を制御するとともに、前記表示部に情報を表示させる制御部と、を備え、前記試薬カバーは前記メインカバーが開かれなければ開けない構造である自動分析装置でのガイダンス方法であって、
前記検知部において前記メインカバーが開いたと検知されたときに、ユーザに対して前記分析に必要な作業を行うように促すガイダンスとして消耗品管理画面、又は前記試薬の登録を行う試薬登録画面を前記表示部に表示させ、前記検知部において前記メインカバーが開き、かつ前記試薬カバーが開いたと検知されたときに、前記試薬登録画面を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする自動分析装置でのガイダンス方法。
【請求項14】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、
前記検知部において前記メインカバーが開いたと検知されたときに前記消耗品管理画面を前記表示部に表示させ、前記試薬カバーが開いたと検知されたときに前記試薬登録画面を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置において、分析時に測定部に異常が発生した場合、解決のための操作手順を記載した装置電子マニュアルの該当文書、および該当ページへのリンクを装置GUI(Graphical User Interface)上に表示することでユーザガイダンスを行うものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、ガイダンスの発生するタイミングおよび内容は、分析時に測定部異常が発生した際の解除手順のみを対象としている。しかし、分析開始までに必要なユーザ操作手順に実施漏れがあった場合、分析開始時に異常が発生するまで発覚しないという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザの手順の実施漏れを従来に比べて減らすことが可能な自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、反応容器に検体と試薬を各々分注して反応させ、この反応させた液体を分析する自動分析装置であって、前記試薬が収容された試薬容器を保持する試薬ディスクを含む、前記検体の分析に用いられる1つ以上の機構と、前記分析に必要な消耗品を格納する消耗品格納部と、前記試薬ディスクを覆う試薬カバーと、前記機構及び前記試薬カバーを覆うメインカバーと、前記メインカバーおよび前記試薬カバーの開閉を検知する検知部と、ユーザに前記自動分析装置に関する情報を表示する表示部と、前記機構の動作を制御するとともに、前記表示部に情報を表示させる制御部と、を備え、前記試薬カバーは前記メインカバーが開かれなければ開けない構造であり、前記制御部は、前記検知部において前記メインカバーが開いたと検知されたときに、ユーザに対して前記分析に必要な作業を行うように促すガイダンスとして消耗品管理画面、又は前記試薬の登録を行う試薬登録画面を前記表示部に表示させ、前記検知部において前記メインカバーが開き、かつ前記試薬カバーが開いたと検知されたときに、前記試薬登録画面を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの手順の実施漏れを従来に比べて減らすことができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の自動分析装置の正面を示す外観図。
【
図2】実施例1の自動分析装置の上面を示す外観図。
【
図3】実施例1の自動分析装置の内部の概略構成を示す上面図。
【
図4】実施例1のガイダンスの一例である廃棄物・消耗品画面の構成を示す図。
【
図5】実施例1のガイダンスの一例である試薬登録画面の構成を示す図。
【
図6】実施例1のガイダンスの一例である検体・分析依頼登録画面の構成を示す図。
【
図7】実施例1の分析開始までの手順を示したフロー図。
【
図8】実施例2のガイダンスの一例であるポップアップ領域の構成を示す図。
【
図9】実施例3の自動分析装置の内部の概略構成を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に実施例の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法の実施例を、図面を用いて説明する。
【0010】
なお、以下の実施例において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須でないことは言うまでもない。
【0011】
また、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一、または類似の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0012】
<実施例1>
自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法の実施例1について
図1乃至
図7を用いて説明する。
【0013】
最初に、自動分析装置の全体構成について
図1乃至
図3を用いて説明する。
【0014】
図1は自動分析装置の正面図を簡略的に示した図、
図2は自動分析装置の上面図を簡略的に示した図、
図3は自動分析装置の上面図において、装置機構を保護するためのメインカバー21を除去した状態の図である。
【0015】
図1乃至
図3に示した自動分析装置1は、反応容器36aに検体と試薬を各々分注して反応させ、この反応させた液体を分析するための装置であり、検体ディスク42、検体分注機構52、試薬ディスク41、試薬分注機構51、反応ディスク(インキュベータ)54、廃棄物コンテナ31、反応容器コンテナ36、第一反応容器輸送ユニット59、免疫検出部58、生化学検出部57、制御部80、表示部11等を備えている。
【0016】
検体ディスク42は、環状に検体容器(図示省略)を複数保持可能な構造となっている。検体分注の際に検体ディスク42が回転し、検体分注機構52のアクセスポジションへ検体容器を輸送する。本実施例では、反応容器36aで反応させる検体が収容される検体容器をユーザが自ら検体ディスク42へ架設する形態を示しているが、ユーザが自ら架設する形態である必要は無く、搬送機構などを用いて搬送する形式としてもよい。
【0017】
検体分注機構52は、回転駆動機構、上下駆動機構、および交換可能な分注チップから構成されており、回転駆動機構および上下駆動機構によりアッセイチップコンテナ35、検体吸引位置、検体吐出位置の間を移動して、アッセイチップコンテナ35に保持された使い捨てのチップ35aを先端に装着して検体の分注を行う。使用済みのチップ35aは、廃棄物コンテナ31に廃棄される。なお、使い捨てのチップ35aを用いずに洗浄により再利用可能な分注ノズルを用いる形態とすることができる。
【0018】
試薬ディスク41は、反応容器36aで反応させる試薬が収容された試薬容器(図示省略)を複数保持するための機構である。試薬ディスク41は、試薬性状のオンボード安定性を高めるための保冷機能を備えている。試薬ディスク41は回転駆動機構を有し、回転運動によって各々の試薬容器を円周部上の所定位置へ移動させる。
【0019】
試薬分注機構51は、回転駆動機構、上下駆動機構、および分注プローブから構成されており、試薬ディスク41上の所定の種類の試薬容器位置へ試薬分注機構51が回転および下降し、所定の量の試薬を吸引する。試薬吸引後、試薬分注機構51は上昇する。次に試薬吐出先、反応容器36aの上へ回転および下降し、各々の試薬を吐出する。
【0020】
試薬ディスク41上には、撹拌手段としての磁性粒子撹拌アーム(図示省略)(スティラーとも称される)がセットされている。この磁性粒子撹拌アームは、撹拌するべき磁性粒子溶液が入っている試薬容器の上部領域へ移動し、磁性粒子撹拌アームの磁性粒子撹拌要素を下げ、この撹拌要素を回転させることによって磁性粒子溶液を撹拌する。溶液内の磁性粒子が自然沈殿しないように、磁性粒子撹拌アームは、試薬が分注される直前に磁性粒子を撹拌する。
【0021】
以下、免疫分析フローを処理の順に説明する。
【0022】
第一反応容器輸送ユニット59は、X軸、Y軸およびZ軸方向の駆動機構、および反応容器把持機構を有しており、廃棄物コンテナ31、インキュベータブロック(図示省略)、反応液撹拌ユニット(図示省略)、および反応容器コンテナ36の上方を移動する。
【0023】
第二反応容器輸送ユニット(図示省略)は、回転駆動機構、上下駆動機構、および反応容器把持機構を有しており、回転軌道上に設けられた反応液撹拌ユニットや検体吐出ポジション等の各反応容器設置ポジションに反応容器36aを移動させる機能を備えている。
【0024】
第一反応容器輸送ユニット59は、反応容器36aを反応容器コンテナ36から検体吐出ポジションへ移動させる。検体分注機構52は、検体吐出ポジションに設置された反応容器36aに対し、所定の量の検体を分注する。その後、検体が吐出された反応容器36aは、第二反応容器輸送ユニットによって試薬吐出ポジションに移動される。
【0025】
試薬分注機構51は、試薬吐出ポジションに設置された反応容器36aに対し、所定の量の試薬を分注する。その後、反応容器36aは第二反応容器輸送ユニットによって反応液撹拌ユニットに移動され、検体と試薬とが撹拌される。
【0026】
反応液撹拌後、反応容器36aは第一反応容器輸送ユニット59によってインキュベータブロックに移動される。インキュベータブロックは検体と試薬の反応を促進する目的で適温に温調されており、インキュベータブロック上での検体と試薬の反応プロセスが完了すると、反応容器36aは第一反応容器輸送ユニット59によって検体吐出ポジションに移動される。
【0027】
その後、反応容器36aは第二反応容器輸送ユニットによって、検体の免疫項目を分析する免疫検出部58の下方に設けられた反応液吸引ポジションに移動される。その後、反応液は免疫検出部58内の検出部に吸引され、反応シグナルの測定が実施される。
【0028】
シグナル測定後、反応容器36aは第二反応容器輸送ユニットによって検体吐出ポジションに移動され、続けて第一反応容器輸送ユニット59によって廃棄物コンテナ31に廃棄される。
【0029】
次に、生化学分析フローを処理の順に説明する。
【0030】
反応ディスク54は、生化学検出部57による分析用の反応液を保持する機構であり、インキュベータブロックと同様に検体と試薬の反応を促進する目的で適温に温調されている。
【0031】
最初に、検体分注機構52は、反応ディスク54上の所定の反応セル55に対して所定の量の検体を分注する。その後、反応ディスク54が回転し、検体が吐出された反応セル55を試薬分注機構51のアクセスポジションに移動させ、試薬分注機構51は検体が吐出された反応セル55に対して所定の量の試薬を分注する。
【0032】
次いで、反応ディスク54が回転し、検体および試薬が吐出された反応セル55を撹拌ユニット(図示省略)設置ポジションに移動させ、検体および試薬は撹拌ユニットによって撹拌される。
【0033】
反応ディスク54上での検体と試薬の反応プロセスが完了すると、反応ディスク54が回転し、反応完了後の反応液が入った反応セル55を検体の生化学項目を分析する生化学検出部57の設置ポジションに移動させる。
【0034】
その後、生化学検出部57内の検出部により反応シグナルの測定が実施される。シグナル測定後、反応液は反応セル洗浄機構により反応セル55から排出される。
【0035】
また、上述の各種駆動機構の動作を保護するために、
図1乃至
図3に示すように、メインカバー21、試薬ディスク41の試薬投入部を保護するための試薬カバー22、検体ディスク42の検体投入部を保護するための検体カバー23を備えている。
【0036】
メインカバー21にはその開閉を検知する開閉センサ21aが、試薬カバー22にはその開閉を検知する開閉センサ22aが、検体カバー23にはその開閉を検知する開閉センサ23aが、それぞれ設けられている。開閉センサ21a,22a,23aの検出信号は後述する制御部80に入力される。
【0037】
また、メインカバー21の内部には、分析で使用された廃棄物を格納する廃棄コンテナ、および分析に必要な消耗品を格納する消耗品コンテナが設けられている。廃棄コンテナは、廃棄物コンテナ31、廃液コンテナ32からなる。消耗品コンテナは、システム試薬コンテナ33、システム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36からなる。
【0038】
廃棄物コンテナ31は、検体と試薬との反応に用いられて使用済みとなった反応容器36aや、検体の分注後のチップ35aを廃棄する部分である。
【0039】
廃液コンテナ32は、後述するシステム水や洗浄水などの使用済みの溶液を保持するタンクである。
【0040】
システム試薬コンテナ33は、上述の試薬ディスク41に保持される試薬(アッセイ試薬)とは異なる複数の分析項目に共通に使用されるシステム試薬を収容したシステム試薬ボトルを収容するコンテナである。
【0041】
システム水コンテナ34は、洗浄や希釈などに用いられるシステム水を収容したシステム水ボトルを収容するコンテナである。
【0042】
アッセイチップコンテナ35は、使用前のチップ35aを複数保管するコンテナである。
【0043】
反応容器コンテナ36は、使用前の反応容器36aを複数保管するコンテナである。
【0044】
本実施例の自動分析装置1では、検体カバー23に覆われる検体ディスク42、試薬カバー22に覆われる試薬ディスク41、試薬カバー22や廃棄物コンテナ31、廃液コンテナ32、システム試薬コンテナ33、システム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36が、検体の分析に用いられる1つ以上の機構に相当するものとする。
【0045】
また、自動分析装置1は、以上説明した機構に加えて、検体ディスク42や検体分注機構52を始めとした自動分析装置1内の各機器の動作を制御するとともに、表示部11に情報を表示させる制御部80や、外観から確認できる部品として、
図1に示す装置GUIを表示する表示部11を備えている。
【0046】
制御部80は、例えばハードウェア基板とコンピュータとで構成され、ハードディスクなどの記憶部81や残量管理部82を内蔵している。
【0047】
制御部80では、開閉センサ21aにおいてメインカバー21が開いた、開閉センサ22aにおいて試薬カバー22が開いた、あるいは開閉センサ23aにおいて検体カバー23が開いたと検知されたときに、ユーザに対して分析に必要な作業を行うように促すガイダンスを表示部11に表示させる。本実施例では、ガイダンスとして、作業を行う画面を表示部11に表示させる。その詳細は後述する。
【0048】
この制御部80は、専用の回路基板によってハードウェアとして構成されていてもよいし、コンピュータで実行されるソフトウェアによって構成されてもよい。ハードウェアにより構成する場合には、処理を実行する複数の演算器を配線基板上、または半導体チップまたはパッケージ内に集積することにより実現できる。ソフトウェアにより構成する場合には、コンピュータに高速な汎用CPUを搭載して、所望の演算処理を実行するプログラムを実行することで実現できる。このプログラムが記録された記録媒体(好適には記憶部81)により、既存の装置をアップグレードすることも可能である。また、これらの装置や回路、コンピュータ間は、有線または無線のネットワークで接続され、適宜データが送受信される。
【0049】
記憶部81には例えば各機構の動作の制御に必要な制御パラメータや各種検体に関する検体情報、上述の制御部80における表示部11への画面の表示制御に必要な各種プログラムなどが記憶されている。
【0050】
また、本実施例では、記憶部81は、メインカバー21,試薬カバー22,検体カバー23が開かれた際にユーザが行うべき作業をメインカバー21,試薬カバー22,検体カバー23の種類と対応して記憶している。
【0051】
残量管理部82は、廃棄物コンテナ31内の使用済みのチップ35aや反応容器36aの格納余裕量を管理するとともに、システム試薬コンテナ33や、システム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36の残量を管理する部分である。
【0052】
本実施例では、この残量管理部82は、分析の実行回数から格納余裕量や残量を管理するものとして説明するが、各々のコンテナにセンサを取り付け、センサからの入力情報に基づいて格納余裕量や残量を管理するものとすることができる。
【0053】
表示部11は、ユーザに自動分析装置1に関する情報を表示する液晶ディスプレイなどであり、入力部を兼ねたタッチパネル式などとすることができる。この表示部11では、記憶部81に記憶された各種情報が表示される。
【0054】
以上が本実施例の自動分析装置1の構成である。
【0055】
なお、自動分析装置の構成は
図1に示すような免疫検出部58および生化学検出部57のいずれも搭載している場合を挙げたが、本発明が適用される自動分析装置の構成はこれに限定されず、例えば、免疫検出ユニット、あるいは生化学検出ユニットのいずれか一方の検出ユニット、あ
るいは他の分析項目用の検出ユニットを更に、あるいは換えて備えている自動分析装置に対しても適用可能である。
【0056】
また、自動分析装置は
図1に示すような単一の分析モジュール構成とする形態に限られず、様々な同一あるいは異なる分析項目を測定可能な分析モジュールや前処理を行う前処理モジュールを搬送装置で2つ以上接続する構成とすることができる。
【0057】
次いで、本実施例の自動分析装置1におけるカバー21,22,23の開閉をトリガとしたユーザ操作に関するユーザガイダンス機能の詳細について
図4乃至
図6を用いて説明する。
図4は実施例1の自動分析装置におけるガイダンスの一例である廃棄物・消耗品画面の構成を示す図、
図5は試薬登録画面の構成を示す図、
図6は検体・分析依頼登録画面の構成を示す図である。
【0058】
まず、カバー開閉とユーザガイダンスの対応の一覧を表1に示す。
【0059】
【0060】
表1に示すように、センサ情報が「メインカバー21の開閉」の場合は、ユーザが廃棄コンテナ内容物の廃棄、もしくは消耗品コンテナ内容物の補充を行う可能性が高いため、予測されるユーザの操作は「消耗品補充」、もしくは「廃棄コンテナ内容物の廃棄」となる。
【0061】
従って、予測されるユーザの装置GUI操作は「消耗品、廃棄物残量リセット」と判断できることから、実施するガイダンスは「廃棄物・消耗品画面141(
図4参照)の表示」が望まれる。
【0062】
制御部80は、開閉センサ21aによりメインカバー21が開いたと検知されたときは、ガイダンスとして表示部11に
図4に示すような廃棄物・消耗品画面141を表示させるための制御を実行する。
【0063】
この際、残量管理部82の情報に基づいて、制御部80は、廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32については廃棄物が所定値よりも多いものがあるか、システム試薬コンテナ33やシステム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36については消耗品の残量が所定値より少ないものがあるかを確認する。そして、制御部80は、残量管理部82により所定値よりも多いと検知されたときは、廃棄物・消耗品画面141のうち、対象となる廃棄物コンテナ31、廃液コンテナ32に対応する残量リセットボタン143を強調表示、あるいは残量管理部82により消耗品が所定値よりも少ないと検知されたときは、廃棄物・消耗品画面141のうち、対象となるシステム試薬コンテナ33、システム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36に対応する残量リセットボタン143を強調表示させる。
【0064】
このように、対応する残量リセットボタン143を点滅させることで、残量リセット漏れを防止することが望ましい。なお、強調表示は点滅以外にも、ハイライト表示であったり、押下を促すポップアップコメントの表示などの方法とすることができる。
【0065】
図4の廃棄物・消耗品画面141では、コンテナ残量表示エリア142にて廃棄コンテナ、および消耗品コンテナの残量を確認可能になっている。
【0066】
廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32の容量が所定値より多い場合、ユーザは廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32の内容物の廃棄を行う。システム試薬コンテナ33やシステム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36の残量が所定値より少ない場合、ユーザはシステム試薬コンテナ33やシステム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36の内容物を最大まで補充する。
【0067】
作業の実施後、ユーザはコンテナ残量表示エリア142の残量リセットボタン143,144のうち、廃棄もしくは補充を行った廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32、システム試薬コンテナ33やシステム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36に対応した残量リセットボタン143を押下することで、廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32、システム試薬コンテナ33やシステム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36の残量リセットを行う。
【0068】
また、表1に示すように、センサ情報が「メインカバー21の開閉+試薬カバー22の開閉」の場合は、ユーザが試薬を試薬投入口から試薬ディスク41に投入する可能性が高いため、予測されるユーザの操作は「消耗品補充」、「廃棄コンテナ内容物の廃棄」、もしくは「試薬投入」となる。
【0069】
従って、予測されるユーザの装置GUI操作は「消耗品、廃棄物残量リセット」もしくは「試薬登録」と判断できることから、実施するガイダンスは「廃棄物・消耗品画面141の表示」もしくは「試薬登録画面151(
図5参照)の表示」が望まれる。
【0070】
制御部80は、試薬カバー22が開閉されたときは、
図5に示すような試薬の登録を行う試薬登録画面151を表示させる。この際、制御部80は、試薬登録開始用のスキャンボタン152を点滅させる。
【0071】
なお、
図1乃至
図3に示した本実施例の自動分析装置1においては、試薬カバー22の一部とメインカバー21とが設計上干渉しているため、試薬カバー22を開く前には、その機構上、必ずメインカバー21を開く必要がある。このため、消耗品、廃棄物残量リセットに関するガイダンス(
図4参照)も実施することが望ましい。
【0072】
ここで、試薬登録画面151と廃棄物・消耗品画面141とのいずれを先に表示するかは特に限定されず、いずれが先であってもよいが、本実施例の自動分析装置1では、構造上、試薬カバー22はメインカバー21が開かれなければ開けないことから、まず、廃棄物・消耗品画面141が表示部11に表示され、試薬カバー22が開かれたことを検知した時点で廃棄物・消耗品画面141から自動的に試薬登録画面151に遷移することができる。
【0073】
なお本実施例では試薬カバー22がメインカバー21が開かれていないと開閉できない構造の場合を示したが、試薬カバーがメインカバー等の他のカバーの開閉の影響を受けない構造の場合は、試薬カバーが開かれた時点で試薬登録画面151を表示部11に表示することが望ましい。
【0074】
また、試薬カバーは、アッセイ試薬を収容する試薬ディスク41のカバーに限られず、システム試薬の収容部のカバーとすることができる。
【0075】
更に、表1に示すように、センサ情報が「検体カバー23の開閉」の場合は、ユーザが検体を検体投入口から検体ディスク42に投入する可能性が高いため、予測されるユーザの操作は「検体投入」となる。
【0076】
従って、予測されるユーザの装置GUI操作は「検体、分析依頼登録」と判断できることから、実施するガイダンスは「検体・分析依頼登録画面161の表示」が望まれる。
【0077】
制御部80は、検体カバー23が開閉されたときは、
図6に示すような、検体の登録を行う検体・分析依頼登録画面161を表示させる。
【0078】
検体投入後、ユーザは表示部11に表示された
図6の検体・分析依頼登録画面161を確認し、検体、分析依頼に関する情報が上位システム(HOST)から送付されている場合、ユーザは画面により当該情報を確認する。送付されていない場合、ユーザは画面より検体、分析依頼情報の登録を直接行う。
【0079】
次いで、本実施例の自動分析装置1において、ユーザの分析開始までの操作の流れを
図7を用いて説明する。
図7は本実施例1の自動分析装置での分析開始までの手順の一例を示したフロー図である。
【0080】
まず、
図7に示すように、ユーザにより自動分析装置1の電源がONされた(ステップS101)のち、メインカバー21が開かれ、システム試薬コンテナ33やシステム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36や、廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32の残量が確認される(ステップS102)。
【0081】
その後、残量が所定値を外れた廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32、システム試薬コンテナ33やシステム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36はあるか否かを確認し(ステップS103)、あると判定されるときは処理をステップS104に進め、あると判定されなかったときは処理をステップS106に進める。ユーザにより、消耗品の補充や、廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32の内容物の廃棄が行われる(ステップS104)。
【0082】
その後、消耗品、廃棄コンテナの残量のリセットを行う(ステップS105)。
【0083】
これらステップS102乃至ステップS105の間はメインカバー21が開かれているため、表示部11には廃棄物・消耗品画面141が表示される。
【0084】
その後、試薬カバー22が開かれ、試薬ディスク41へ試薬が投入され(ステップS106)、投入完了後に試薬が装置に登録される(ステップS107)。
【0085】
このステップS106の間はメインカバー21に加えて試薬カバー22が開かれているため、表示部11には試薬登録画面151が表示される。
【0086】
その後、検体カバー23が開かれ、検体が検体ディスク42内に投入される(ステップS108)。このステップS108の間は検体カバー23が開かれているため、検体・分析依頼登録画面161が表示部11に表示される。
【0087】
検体投入後、検体、分析依頼の登録、確認を行い(ステップS109)、分析が開始される(ステップS110)。
【0088】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0089】
上述した実施例1の自動分析装置1は、反応容器36aに検体と試薬を各々分注して反応させ、この反応させた液体を分析するための装置であって、検体の分析に用いられる1つ以上の機構と、機構のうち1つ以上を覆うメインカバー21,試薬カバー22,検体カバー23と、メインカバー21,試薬カバー22,検体カバー23の開閉を検知する開閉センサ21a,22a,23aと、ユーザに自動分析装置1に関する情報を表示する表示部11と、機構の動作を制御するとともに、表示部11に情報を表示させる制御部80と、を備え、制御部80は、開閉センサ21a,22a,23aにおいてメインカバー21,試薬カバー22,検体カバー23が開いたと検知されたときに、ユーザに対して分析に必要な作業を行うように促すガイダンスを表示部11に表示させる。
【0090】
このように、ユーザのメインカバー21、試薬カバー22、検体カバー23の開閉というハードウェア操作をトリガとし、ユーザの次の行動を予測し、分析手順に関するユーザガイダンス機能を搭載することで、ユーザがマニュアルを確認する頻度が減少するため、ユーザの認知負荷を軽減するとともに、それによる操作手順の実施漏れを従来に比べて減らすことができる。特に、操作を覚えるまで装置機構、装置GUI、マニュアルを頻繁に切り替えて確認する必要がある自動分析装置1の操作に不慣れなユーザにとっても、認知負荷の削減により、手順の実施漏れを減らすことができる。
【0091】
また、メインカバー21,試薬カバー22,検体カバー23が開かれた際にユーザが行うべき作業をメインカバー21,試薬カバー22,検体カバー23の種類と対応して記憶している記憶部81を更に備えたため、安定したガイダンスを実現することができる。
【0092】
更に、制御部80は、ガイダンスとして、作業を行う画面を表示部11に表示させることで、装置GUI上によるユーザがより分かりやすい形でのガイダンスを提供することができる。
【0093】
また、分析に必要な消耗品を格納するシステム試薬コンテナ33、システム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36を更に備え、制御部80は、開閉センサ21aによりメインカバー21が開いたと検知されたときは、ガイダンスとして廃棄物・消耗品画面141を表示させることにより、消耗品の不足との判定による分析の停止をより確実に抑制し、分析をよりスムーズに実行することができるようになる。
【0094】
更に、消耗品の残量を管理する残量管理部82を更に備え、制御部80は、残量管理部82により消耗品が所定値よりも少ないと検知されたときは、廃棄物・消耗品画面141のうち、対象となるシステム試薬コンテナ33、システム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36に対応する領域を強調表示させることで、不足した消耗品の補充をより強く促すとともに、補充を反映させることを促すことができ、消耗品の不足との判定が生じることをより確実に抑制することができる。
【0095】
また、分析で使用された廃棄物を格納する廃棄物コンテナ31、廃液コンテナ32を更に備え、制御部80は、開閉センサ21aによりメインカバー21が開いたと検知されたときは、ガイダンスとして廃棄物・消耗品画面141を表示させることにより、廃棄物の廃棄不可能との判定による分析停止や装置の汚染をより抑制し、分析をよりスムーズに実行するとともにユーザの負担を軽減することができるようになる。
【0096】
更に、廃棄物の格納余裕量を管理する残量管理部82を更に備え、制御部80は、残量管理部82により廃棄物が所定値よりも多いと検知されたときは、廃棄物・消耗品画面141のうち、対象となる廃棄物コンテナ31、廃液コンテナ32に対応する領域を強調表示させることで、処理が必要な廃棄物の処理を促すことができ、廃棄物の廃棄不可能との判定が生じることをより確実に抑制することができる。
【0097】
また、試薬が収容された試薬容器を保持する試薬ディスク41を更に備え、カバーが、試薬ディスク41を覆う試薬カバー22であり、制御部80は、試薬カバー22が開閉されたときは、試薬の登録を行う試薬登録画面151を表示させることにより試薬の登録を確実に行うことができ、試薬未登録による、分析に必要な試薬の不足との判定による分析の中断といった事態が生じることをより確実に避けることができる。
【0098】
更に、検体が収容された検体容器を保持する検体ディスク42を更に備え、カバーが、検体ディスク42を覆う検体カバー23であり、制御部80は、検体カバー23が開閉されたときは、検体の登録を行う検体・分析依頼登録画面161を表示させることで、検体の登録作業を確実に行うことができ、分析を速やかに開始することができる。
【0099】
<実施例2>
実施例2の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法について
図8を用いて説明する。
図8は本実施例2の自動分析装置におけるガイダンスの一例であるポップアップ領域の構成を示す図である。
【0100】
本実施例の自動分析装置の制御部80は、実施例1とは異なり、ガイダンスとして、
図8に示すように、作業を行う画面(廃棄物・消耗品画面141、試薬登録画面151、あるいは検体・分析依頼登録画面161)に遷移するか否かを確認するポップアップ領域171を表示部11に表示させる。
【0101】
図8に示すポップアップ領域171では、表示部11中に表示される領域であり、ガイダンス表示領域172、作業画面(廃棄物・消耗品画面141、試薬登録画面151、あるいは検体・分析依頼登録画面161)に遷移するためのYesボタン173、遷移せずにポップアップ領域171を閉じるNoボタン174等が表示される。
【0102】
例えば、メインカバー21開閉時には、消耗品、廃棄物残量リセットガイダンスについて、廃棄物・消耗品画面141へ遷移するか否かのポップアップ領域171の表示を、メインカバー21開、メインカバー21閉のタイミングに分けて行う。
【0103】
メインカバー21が開いたことを検知した際、制御部80は、残量管理部82の情報を参照して、廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32について残量が満杯のものがあるか、システム試薬コンテナ33やシステム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36について、残量が0のものがあるかを確認する。
【0104】
条件に該当するコンテナがあると判定されたときは、制御部80は、
図8に示すような、ユーザに補充を行うべきか否かの判断材料となる情報が表示されている廃棄物・消耗品画面141に画面遷移するかどうかをYesかNoかで確認するポップアップ領域171を表示部11上に表示する。
【0105】
ユーザによりNoボタン174が選択された場合は、ポップアップ領域171を閉じてガイダンスを終了する。これに対し、Yesボタン173が選択された場合、実施例1と同様に廃棄物・消耗品画面141に自動で遷移し、補充対象のコンテナの残量リセットボタン143,144を点滅させる。
【0106】
また、試薬カバー22の開閉を検知した際は、表示部11上に試薬登録を行うための試薬登録画面151に遷移するかどうかを確認するポップアップ領域を表示する。ユーザによりポップアップ領域にてYesが選択された場合のみ、表示部11上で
図5に示すような試薬登録画面151に自動遷移し、スキャンボタン152を点滅させる。
【0107】
更に、検体カバー23の開閉を検知した際は、表示部11上に検体登録を行うための検体・分析依頼登録画面161に遷移するかを確認するポップアップ領域を表示する。ユーザによりポップアップ領域にてYesが選択された場合のみ、表示部11上で検体・分析依頼登録画面161に自動遷移する。
【0108】
その他の構成・動作は前述した実施例1の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0109】
実施例2の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法においても、前述した実施例1の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0110】
また、制御部80は、ガイダンスとして、作業を行う画面に遷移するか否かを確認するポップアップ領域171を表示部11に表示させることにより、画面が強制的に遷移されないことから、異なる作業を行っている場合にも対応することができ、より適切なガイダンスが可能となる。
【0111】
<実施例3>
実施例3の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法について説明する。
【0112】
実施例1に示す自動分析装置1における廃棄物・消耗品画面141や、試薬登録画面151、検体・分析依頼登録画面161への遷移に併せて、または実施例2に示す自動分析装置におけるポップアップ領域171の表示の際に、制御部80は、ガイダンスとして、表示部11に好適に併設されるスピーカーなどによってビープ音等の警告音によりユーザにガイダンスが行われることを通知する。
【0113】
その他の構成・動作は前述した実施例1の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0114】
実施例3の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法においても、前述した実施例1の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0115】
また、制御部80は、ガイダンスとして、警告音を発報させることにより、ユーザはガイダンスが行われていることをより明確かつ簡易に把握することができ、作業漏れが生じる可能性をより低減することができる。
【0116】
<実施例4>
実施例4の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法について
図9を用いて説明する。
図9は本実施例
4の自動分析装置の内部の概略構成を示す上面図である。
【0117】
図9に示す本実施例の自動分析装置1Aでは、試薬カバー22の周囲にLED22bを、検体カバー23の周囲にLED23bを、廃棄物コンテナ31や廃液コンテナ32、システム試薬コンテナ33、システム水コンテナ34、アッセイチップコンテナ35、反応容器コンテナ36の設置部の周囲にLED31a,32a,33a,34a,35b,36bを設置する。
【0118】
そして、制御部80Aは、実施例1、実施例2、実施例3におけるガイダンス対象となった際、画面遷移、ポップアップ、あるいは警告音に加えて、ガイダンスとして、作業の対象となる機構の周囲のLED22b,23b,31a,32a,33a,34a,35b,36bを点灯、あるいは点滅させるものとする。
【0119】
具体的には、消耗品、廃棄物残量リセットガイダンスを実施する際は、残量リセットの対象であるコンテナ設置部に配置したLED22b,23b,33a,34a,35b,36bを発光させる。また、試薬登録ガイダンスを行う際は、試薬カバー22の周囲に配置したLED22bを発光させる。検体、分析依頼登録ガイダンスを行う際は、検体カバー23の周囲に配置したLED23bを発光させる。
【0120】
ここで、自動分析装置1Aでは、メインカバー21Aは、LED31a,32a,33a,34a,35b,36bの明かりが確認できるように、全体、もしくは一部をクリアカバーとすることが望ましい。
【0121】
その他の構成・動作は前述した実施例1の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0122】
実施例4の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法においても、前述した実施例1の自動分析装置、および自動分析装置でのガイダンス方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0123】
また、機構の周囲にLED22b,23b,31a,32a,33a,34a,35b,36bを更に備え、制御部80Aは、ガイダンスとして、作業の対象となる機構の周囲のLED22b,23b,31a,32a,33a,34a,35b,36bを点灯、あるいは点滅させることにより、ガイダンス対象となっている部品を視覚的に把握でき、ユーザの負担の軽減を図ることができる。
【0124】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0125】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0126】
1,1A…自動分析装置
11…表示部
21,21A…メインカバー
21a,22a,23a…開閉センサ(検知部)
22b,23b,31a,32a,33a,34a,35b,36b…LED
31…廃棄物コンテナ(格納部)
32…廃液コンテナ(格納部)
33…システム試薬コンテナ(格納部)
34…システム水コンテナ(格納部)
35…アッセイチップコンテナ(格納部)
35a…チップ
36…反応容器コンテナ(格納部)
36a…反応容器
41…試薬ディスク
42…検体ディスク
51…試薬分注機構
52…検体分注機構
54…反応ディスク
55…反応セル
57…生化学検出部
58…免疫検出部
59…第一反応容器輸送ユニット
80,80A…制御部
81…記憶部
82…残量管理部
141…廃棄物・消耗品画面(消耗品管理画面、廃棄物管理画面)
142…コンテナ残量表示エリア
143…残量リセットボタン(領域)
144…残量リセットボタン
151…試薬登録画面
152…スキャンボタン
161…検体・分析依頼登録画面
171…ポップアップ領域
172…ガイダンス表示領域
173…Yesボタン
174…Noボタン